JP6616943B2 - 調光装置及び調光窓 - Google Patents
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Description
パターニング偏光板は、ある方向に吸収軸を有する第1偏光領域と、前記第1偏光領域の吸収軸方向に直交する方向に吸収軸を有する第2偏光領域と、を有し、第1偏光領域と第2偏光領域が面内に交互に配設されている。そして、2枚の前記偏光板を向かい合って並設することで調光装置を構成することができる。
調光装置は、2枚のパターニング偏光板の双方又は何れか一方を面方向にスライドさせることができる。そのため、2枚の偏光板の第1偏光領域同士及び第2偏光領域同士を重ならせ、或いは、一方の偏光板の第1偏光領域と他方の偏光板の第2偏光領域とを重ならせることができ、これによって調光装置から出る光の明るさを調節できる。
他方、2枚のパターニング偏光板の第1偏光領域同士及び第2偏光領域同士が重なった状態では、吸収軸方向は互いに平行である。そのため、調光装置の反視認側から入射した光は、反視認側に位置する偏光板によって特定の直線偏光を抽出され、この直線偏光は視認側に位置する偏光板を透過する。従って、調光装置の視認側に光が到達する(透光状態となる)。
この調光装置を、調光を必要とする透光板(例えば、窓ガラス)に適用することで調光窓を構成することができる。この調光窓は、調光装置を備えているため、透光状態と遮光状態を切り替えることができる。そのため、調光窓の反視認側(例えば、屋外)から視認側(例えば、室内)に入る光の量を適度に調整することができる。
しかしながら、従来の調光装置や調光窓では、透光状態において、窓ガラスに近い自然な外観を呈することができない。
調光装置や調光窓を見る角度によって色むらが現れたり消失したりすると、調光装置や調光窓が窓ガラスのような自然な外観を呈さなくなり、調光装置や調光窓を見る者(看者)にとって非常に目障りである。
この問題は、看者がその目線の高さに配置された調光装置や調光窓の正面を横切る場合、特に顕著である。以下、図18を参照しつつ説明する。
看者が、調光装置の表面に対して斜め(位置A)にいる場合、看者は、調光装置を斜め方向から見ることとなり、その結果、調光装置の面内に色むらが生じる。そして、看者が位置Aから位置B(調光装置の真正面)に移動すると、看者は、調光装置を正面から観察することとなり、前記色むらは殆ど消失する。さらに、看者が位置C(位置Bを挟む位置Aと反対側)に移動すると、看者は、調光装置を再び斜め方向から見ることとなり、調光装置の面内に色むらが再び発生する。
このように、看者が位置Aから位置Cにかけて調光装置の前を横切るように移動すると、調光装置の面内で色むらの発生及び消失が観察される。調光装置の面内で色むらの発生と消失が生じると、調光装置の外観は自然な窓ガラスとは全く異なるものとなり、看者にとって非常に目障りとなる。
そして、本発明者らは、調光装置の面内に色むらが発生する一因は、複数の偏光領域間における透過率差であることを発見し、偏光領域間における透過率差を小さくすることで色むらが発生し難くなることを見出し、本発明を完成させた。
好ましくは、前記透光板は、実質的に光学的等方性を示す。また、好ましくは、前記透光板は、窓ガラスである。
本明細書において、用語の前に、「第1」や「第2」などを付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するために付加されたものであり、用語の優劣や順序などを意味しない。また、角度及びその関係(例えば、略直交、略平行、略45°など)は、本発明の属する技術分野において許容される誤差範囲を含むものとする。例えば、略45°などは、厳密な角度±5°の範囲を含み、好ましくは±3°の範囲を含む。
また、本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
図1に示すように、本発明の調光装置1Aは、第1及び第2のパターニング偏光板21,22が平行に向かい合って設けられた(並設された)調光部材2を有する。
第1及び第2のパターニング偏光板21の各々は、その面内に、吸収軸方向がそれぞれ異なる第1偏光領域31と第2偏光領域32を少なくとも有する。なお、第1及び第2のパターニング偏光板21,22は、第1及び第2偏光領域31,32以外の偏光領域を有していてもよい(図示せず)。
第1及び第2のパターニング偏光板21,22のうち少なくとも何れか一方は、面方向にスライド可能に構成されている。第1及び/又は第2パターニング偏光板21,22を面方向にスライドさせることによって調光装置1Aの透光状態と遮光状態を切り替えることができる。なお、面方向とは、第1及び第2のパターニング偏光板の表面と平行な方向である。
そして、第1及び第2のパターニング偏光板21,22の表面が水平面4に対して直交した状態を基準にして、第1偏光領域31の吸収軸方向は、水平面4に対して45°を成しており、第2偏光領域32の吸収軸方向は、第1偏光領域31の吸収軸方向に対して直交している。ここで、各図中の太白矢印は、各偏光領域31,32の吸収軸方向を表す(他の図においても同様)。
なお、水平面4は、水平方向に延びる仮想平面である。便宜上、図1及び図2では、水平面4を2点鎖線で表しているが、図5乃至図9では、図面が煩雑になることを避けるため、水平面4の描写を省略している。
また、調光部材2の一方側及び/又は他方側には、公知の保護板、反射防止板、位相差板などが設けられていてもよい。特に、調光装置1Aの両側に位相差板を設けることが好ましい。調光部材2に位相差板を設けた態様については、本発明の他の実施形態として後に詳述する。
パターニング偏光板は、その面内に、吸収軸方向が異なる複数の偏光領域を有する部材である。複数の偏光領域は、パターニング偏光板の面内に、規則的に設けられていてもよいし、或いは、不規則に設けられていてもよいが、好ましくは、複数の偏光領域は、規則的に設けられている。また、より好ましくは、複数の偏光領域は、一方向に並んで設けられる。
偏光領域は、自然光又は各種偏光から特定の直線偏光を抽出するという光学特性を有する領域である。換言すると、偏光領域は、自然光又は各種偏光が当たった際に、特定の直線偏光を透過するという光学特性を有する領域である。
複数の偏光領域のそれぞれの単体透過率は、特に限定されないが、例えば、10%〜90%の範囲である。
例えば、図3に示すように、パターニング偏光板21(22)は、基材5と、基材5の表面に積層された配向層6と、配向層6の表面に積層されたパターニング偏光層3と、を有する。
基材は、例えば、平面視長方形状に形成されている。もっとも、基材の形状は、これに限定されず、長尺状(長手方向が非常に長い長方形状)、その他、任意の形状に形成されていてもよい。基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜200μmであり、好ましくは、30μm〜100μmである。
第1偏光領域31の厚みと第2偏光領域32の厚みは、異なっていてもよいが、好ましくは、図3に示すように同じである。第1偏光領域31及び第2偏光領域32の各厚みは、例えば、それぞれ独立して0.01μm〜10μmであり、好ましくは0.1μm〜5μmであり、特により好ましくは0.1μm〜1μmである。
第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、それぞれ面内に吸収軸を有する。図2では、第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、基材5の長手方向に交互に配置されている。第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、何れも基材5の短手方向に延びる平面視帯状である。なお、基材5の短手方向は、基材5の面内において基材5の長手方向と直交する方向である。
もっとも、本発明のパターニング偏光板21(22)は、図2に示した実施形態に限定されず、図4に示すような形態であってもよい。図4では、第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、基材5の短手方向に交互に配置されている。この第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、何れも基材の長手方向に延びる平面視帯状である。
両パターニング偏光板21,22は、それらの第2偏光領域32の吸収軸方向が第1偏光領域31の吸収軸方向と略直交するように設けられている。そのため、第2偏光領域32の吸収軸方向も、水平面4に対して略45°を成す。もっとも、第2偏光領域32の吸収軸方向と水平面4の成す角度は、第1偏光領域31の吸収軸方向と水平面4の成す角度とは逆向きである。また、第1及び第2偏光領域31,32の透過軸は、第1及び第2偏光領域31,32の面内で各吸収軸と直交する方向に生じる。そのため、第2偏光領域32の吸収軸方向は、第1偏光領域31の透過軸方向と略平行である。
このように、本発明では、第1及び第2偏光領域31,32の吸収軸方向は、共に水平面に対して略45°を成しているため、調光装置1Aを斜め方向から観察した際、第1偏光領域31の透過率と第2偏光領域32の透過率の差が小さくなる。そのため、本発明の調光装置は、斜めから観察した際において、両偏光領域31,32間に色むらが発生し難くなり、自然な外観を呈する。
第1及び第2偏光領域31,32の吸収軸方向は、図1に示すように、水平面に対して共に45°を成すことが好ましい。
図3では、第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、同じ材料で形成された単一層からなる。同じ材料から形成された第1偏光領域31及び第2偏光領域32は、吸収軸の方向が異なっていることを除いて、連続した1つの層からなる。前記連続した1つの層は、図3に示すように、複数の偏光領域31,32の境界に、構造上の界面が認められないことをいう。複数の偏光領域31,32が連続した1つの層から構成されていることにより、偏光領域間の境界に応力が生じないので、各偏光領域31,32の寸法安定性が向上する。
また、第1のパターニング偏光板21の第1偏光領域31と第2のパターンニング偏光板22の第1偏光領域31は、同じ方向に吸収軸を有することを条件に、互いに異なる形成材料で形成されていてもよい。もっとも、好ましくは第1及び第2偏光領域31,32間の透過率差を小さくするため、互いに同じ材料で形成されている。第1のパターニング偏光板21の第2偏光領域32と第2のパターニング偏光板22の第2偏光領域32についても同様である。特に好ましくは、第1のパターニング偏光板21と第2のパターニング偏光板22は同一である。
前記第1偏光領域31及び第2偏光領域32の幅は、図2の場合には、紙面を基準にして、それらの領域の縦方向の長さであり、図4の場合には、横方向の長さである。
第1配向層61は、偏光領域の形成材料を所定の方向に配向させ、上記吸収軸方向の第1偏光領域31を形成する機能を有し、第2配向層62は、偏光領域の形成材料を所定の方向に配向させ、上記吸収軸方向の第2偏光領域32を形成する機能を有する。
第1配向層61及び第2配向層62は、同じ材料で形成されていてもよいし、或いは、互いに異なる材料で形成されていてもよい。また、第1配向層61及び第2配向層62は、互いに厚みが異なっていてもよいし、或いは、同じ厚みでもよいが、同じ厚みであることが好ましい。前記第1配向層61及び第2配向層62の各厚みは、例えば、それぞれ独立して0.1μm〜10μmである。また、第1配向層61の幅と第2配向層62の幅は、同じである。
基材は、パターニング偏光層を支持できるものであれば特に限定されない。基材としては、例えば、ガラス板、柔軟性のあるポリマーフィルム、柔軟性のある金属薄板などが挙げられる。また、基材の表面に、コロナ処理などの親水化処理が施されていてもよい。
好ましくは、基材として、ポリマーフィルムが用いられ、好ましくは透明性に優れたポリマーフィルム(例えば、ヘイズ値3%以下)が用いられる。
上記ポリマーフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系;トリアセチルセルロース等のセルロース系;ポリカーボネート系;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系;ポリスチレン等のスチレン系;ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン等のオレフィン系;などが挙げられる。前記二色性液晶化合物を良好に配向させるために、ノルボルネン系フィルムを用いることが好ましい。
基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、ポリマーフィルムを用いる場合には、20μm〜100μmである。
図3に示す実施形態では、基材上に配向層を形成すること(上記(2)又は(3)の方法)によって基材に配向規制力が付与されている。
例えば、任意の方向に配向した第1配向層及びこれと直交する方向に配向した第2配向層を、それぞれ基材の表面に形成することにより、図2及び図4に示すような、吸収軸が互いに直交する方向に生じる2つの偏光領域を有するパターニング偏光層を基材上に形成できる。
配向層の形成方法は、特に限定されず、従来公知な方法を採用でき、例えば、光配向層の形成が好ましい。前記配向層の形成材料及び形成方法としては、特開2007−133184号及び特開2000−226448号などに詳しく開示されている。これらの公報の配向層の形成材料及び形成方法を本明細書に記載したものとして、それらの記載を省略するが、必要に応じて、配向層に関する記載をそのまま本明細書に取り込むことができるものとする。
パターニング偏光層の形成方法は、偏光領域を形成できるものであれば特に限定されない。偏光領域は、例えば、既存の偏光フィルム(例えば、PVAフィルムにヨウ素などの二色性色素を吸着させ、延伸したフィルム)を基材上に貼り合わすことでも形成できるし、基材上に形成材料が配向するように塗布・乾燥することでも形成できる。
本発明のパターニング偏光層の形成材料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、ペリレン系、インダンスロン系、イミダゾール系、インジゴイド系、オキサジン系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ピラゾロン系、スチルベン系、ジフェニルメタン系、ナフトキノン系、メロシアニン系、キノフタロン系、キサンテン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、チアゾール系、メチン系、ニトロ系、及びニトロソ系の化合物等を例示できる。これらは1種単独で、又は2種以上を併用できる。
前記等方相は、巨視的な光学的性質が方向により異ならない(光学的異方性を示さない)状態の相である。
前記リオトロピック液晶性を有する化合物は、溶液状態で液晶相を示し、超分子を形成する性質を有する。前記超分子の構造は、特に限定されず、球状構造、柱状構造、管状構造のようなミセル構造;ラメラ構造;などが挙げられる。前記液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
前記置換若しくは無置換のアリール基は、隣接しない炭素原子の一部が窒素原子に置換されているアリール基を含む。前記置換若しくは無置換のアリーレン基も同様に、隣接しない炭素原子の一部が窒素原子に置換されているアリーレン基を含む。
なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基を有する又は置換基を有さない」という意味である。
前記Q1及びQ3で表されるアリール基が置換基を有する場合、前記置換基は、それぞれ1つでもよいし、それぞれ2つ以上でもよい。
前記Q3は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチル基(隣接しない炭素原子の一部が窒素原子に置換されているナフチル基を含む)であり、より好ましくは置換基を有するナフチル基であり、特に好ましくは置換基として極性基を有するナフチル基である。前記極性基としては、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、炭素数1〜4のアシルアミノ基、ニトロ基、アセトアミド基、リン酸基、−OH基、−SO3M基、−COOM基、−NHR基、−CONHR基が挙げられる。前記極性基は、好ましくは−OH基、−SO3M基、及び−NHR基である。
前記Q2で表されるアリール基が置換基を有する場合、前記置換基は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
前記Q2は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基(隣接しない炭素原子の一部が窒素原子に置換されているナフチレン基を含む)であり、より好ましくは極性基を有するナフチレン基であり、特に好ましくは−SO3M基を有するナフチレン基である。
ただし、m及びnのうち少なくとも何れか一方は、1以上の整数である。l、m及びnが2以上である場合、それぞれ置換基は同一でもよいし、又は異なっていてもよい。
例えば、置換基を有するアニリン化合物をジアゾニウム塩化し、これをアミノナフタレンスルホン酸化合物とカップリング反応させることにより、モノアゾアニリン化合物を得る。このモノアゾアニリン化合物を、ジアゾニウム塩化した後、これをアニリノ−ヒドロキシナフタレンジスルホン酸と弱アルカリ性下においてカップリング反応させることにより、上記ジスアゾ化合物を得ることができる。
また、前記パターニング偏光層には、二色性液晶化合物以外に、他の成分が含まれていてもよい。前記他の成分としては、二色性を有さない液晶化合物、ポリマー、及び添加剤などが挙げられる。前記添加剤としては、相溶化剤、界面活性剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、難燃剤、帯電防止剤などが挙げられる。
前記他の成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、0質量%を超え50質量%以下であり、好ましくは0質量%を超え20質量%以下である。
本発明のパターニング偏光板の製造方法の一例について説明する。本製造方法は、上記二色性液晶化合物と溶媒とを含む塗布液を基材の上に塗布する工程を有する。ここで、塗布とは、塗布液を基材の表面に付着させて塗膜を形成することを意味する。
本発明のパターニング偏光板の製造方法は、前記塗布工程以外の工程を有していてもよい。例えば、前記製造方法は、前記塗布工程によって得られた塗膜を乾燥する工程を有していてもよい。前記基材は、上述のように配向規制力が付与された基材である。
前記塗布液は、二色性液晶化合物と、その二色性液晶化合物を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。使用する二色性液晶化合物は、上述した中から選ばれる1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
塗布液は、水系溶媒などの溶媒に、前記二色性液晶化合物を溶解又は分散させることによって得られる。なお、必要に応じて、前記二色性液晶化合物以外に、上述した他の成分を前記溶媒に添加してもよい。
塗布液中における二色性液晶化合物の濃度は、特に限定されないが、二色性液晶化合物が析出しない濃度であることが好ましい。また、前記液中において二色性液晶化合物が液晶相を示す濃度でもよいし、液晶層を示さない濃度であってもよい。前記塗布液中における二色性液晶化合物の濃度は、好ましくは0.05質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%であり、特に好ましくは2質量%〜30質量%である。
さらに、前記塗布液の温度は、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃に調整される。
前記塗布液は、適切な粘度に調整される。塗布液の粘度(23℃)は、好ましくは1mPa・s〜500mPa・sである。
上記塗布液を、配向層などの配向処理が成された基材上に塗布し、塗膜を形成する。
塗布液は、各種のコーターを用いて塗布できる。前記コーターとしては、特に限定されず、例えば、バーコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどが挙げられる。
また、基材の平面形状は、枚葉状でもよいし、長尺状でもよい。長尺状の基材を用いることにより、ロールツーロール方式で、パターニング偏光板を連続的に製造することもできる。
塗布液を配向層の表面に塗布すると、配向層の配向規制力の方向に従い、塗膜中の二色性液晶化合物が配向する。
なお、二色性液晶化合物の配向を高めるため、必要に応じて、前記塗膜を形成した後、磁場又は電場などを印加してもよい。
塗布後の塗膜(未硬化の塗膜)を乾燥することにより、配向された二色性液晶化合物が固定される。このようにして、基材上にパターニング偏光層が形成された、パターニング偏光板が得られる(硬化後の塗膜が、パターニング偏光層となる)。
前記未硬化の塗膜の乾燥は、自然乾燥、又は強制的な乾燥などで実施できる。強制的な乾燥としては、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。
なお、上記硬化後の塗膜の表面に、公知の耐水化処理を行ってもよい。
図1を参照しつつ本発明の調光装置の調光方法について説明する。
本発明の調光装置1Aでは、第1のパターニング偏光板21及び第2のパターニング偏光板22のうち少なくとも何れか一方が面方向にスライド可能である。図1に示す例では、第1のパターニング偏光板21と第2のパターニング偏光板22は、共に、水平面に対して略45°を成す吸収軸を有する第1偏光領域31と第1偏光領域31の吸収軸と直交する方向に吸収軸を有する第2偏光領域32を有する。図1では、第1偏光領域31と第2偏光領域32は、パターニング偏光板21(22)の長手方向に交互に配設され、且つ、その短手方向に延びる帯状に設けられている。
遮光状態にある、調光装置1Aの第1及び第2のパターニング偏光板21,22の何れか一方を一方向(図1ではパターニング偏光板21(22)の長手方向)にスライドさせると、第1のパターニング偏光板21の第1偏光領域31が第2のパターニング偏光板22の第1偏光領域31に重なり、且つ、第1のパターニング偏光板21の第2偏光領域32が第2のパターニング偏光板22の第2偏光領域32に重なる。即ち、吸収軸方向が同じ偏光領域同士がパターニング偏光板21(22)のスライドによって重なり合う。この場合、第1(2)のパターニング偏光板21(22)を透過した直線偏光は、第2(1)のパターニング偏光板22(21)によって吸収されることなく透過する。即ち、調光部材2(調光装置1A)は透光状態となる。
なお、遮光状態から透光状態への切り替えは、第1又は第2のパターニング偏光板を一方にスライドさせ、且つ、第2又は第1のパターニング偏光板を他方向にスライドさせることでも実現できる。
例えば、図4に示すようなパターニング偏光板21(22)を2枚用いた調光装置の場合、パターニング偏光板21(22)をその短手方向にスライドさせることで透光状態と遮光状態を切り替えることが可能である。
例えば、図2に示すように、長手方向に交互に第1及び第2偏光領域31,32を有する長方形状のパターニング偏光板21(22)を用いる場合、パターニング偏光板21(22)の長手方向に延びる左右一組の溝部材(図示せず)が用いられる。左右一組の溝部材にパターニング偏光板21(22)の左側縁21a(22a)及び右側縁21b(22b)を嵌め入れることにより、パターニング偏光板21(22)をその長手方向にスライドさせることができる。
また、図4に示すように、短手方向に交互に第1及び第2偏光領域31,32を有する長方形状のパターニング偏光板21(22)を用いる場合、パターニング偏光板21(22)の短手方向に延びる上下一組の溝部材(図示せず)が用いられる。上下一組の溝部材にパターニング偏光板21(22)の上側縁21c(22c)及び下側縁21d(22d)を嵌め入れることにより、パターニング偏光板21(22)をその短手方向にスライドさせることができる。
上下一組の溝部材は、パターニング偏光板をスライド移動させるため、パターニング偏光板の上下側縁の厚みよりも長い幅を有し、左右一組の溝部材は、同様の理由により、パターニング偏光板の左右側縁の厚みよりも長い幅を有する。
なお、パターニング偏光板の「上側縁」とは、図2及び図4に示すように、水平面に直立したパターニング偏光板21(22)を基準に、鉛直方向の天側(紙面の上側)にある側縁を意味し、同「下側縁」とは、鉛直方向の地側(紙面の下側)にある側縁を意味し、「左右側縁」とは、水平方向の両側(紙面の両側)にある側縁を意味する。
これは、第1及び第2のパターニング偏光板の第1及び第2偏光領域の吸収軸方向が、共に水平面に対して略45°を成しているため、斜め方向における第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差が小さくなることが一因であると考えられる。
第1及び第2偏光領域の吸収軸方向が共に水平面に対して略45°を成すと、両偏光領域間の透過率差が小さくなる理由は明確ではない。しかし、本発明者らは以下のように推測している。
従って、調光装置のパターニング偏光板の第1偏光領域の吸収軸方向が水平方向と平行(即ち、吸収軸方向と水平面との成す角度が0°)であり、且つ、第2偏光領域の吸収軸方向が鉛直方向と平行(即ち、吸収軸方向と水平面との成す角度が90°)である場合、第1偏光領域の透過率と第2偏光領域の透過率に差が生じ易くなり、調光装置の面内にパターン模様が顕在し易くなると考えられる。即ち、水平振動光と鉛直振動光の偏りによって透過率の差が生じ易くなると考えられる。
一方、本発明では、第1及び第2偏光領域の吸収軸方向が、共に水平面に対して略45°を成すように設けられている。そのため、第1及び第2偏光領域の透過率は、水平振動光と鉛直振動光の偏りに影響を受け難い。そのため、両領域の透過率差が小さくなると考えられる。
本発明の調光装置の用途は特に限定されない。本発明の調光装置は、それ単独で用いることもできるが、調光を必要とする既存の部材に適用することも可能である。好ましくは、調光装置は調光窓の部材として用いられる。調光窓は、調光装置と、調光対象となる透光板と、を有する。つまり、透光板に本発明の調光装置を適用することで、透光板に調光機能が付与された調光窓を構成することができる。
透光板は、透明な部材であれば特に限定されず、例えば、ガラス板や合成樹脂板などが用いられる。ガラス板は、化学的安定性が高く、表面の耐擦傷性が大きく、経年劣化が少ないという利点を有する反面、重量が大きく、衝撃に弱く、破損した場合にはその破片による負傷の可能性があるなどの欠点を有する。これに対して、合成樹脂板は、ガラス板と比較して、軽量で、衝撃に強く、破損した場合の負傷の可能性が低いという利点を有する反面、化学的安定性が低く、表面の耐擦傷性が低く、経年劣化が多いなどの欠点を有する。透光板は、ガラス板と合成樹脂板の上記特性を考慮して、用途に応じて適当なものを選択することができる。なお、ガラス板と合成樹脂板を重ね合わせた積層板を用いることもできる。調光窓の汎用性を考えると、透光板はガラス板からなる窓(窓ガラス)であることが好ましい。
また、透光板の厚みは特に限定されないが、好ましくは、1mm〜30mmであり、より好ましくは1mm〜15mmである。
また、図6に示すように、調光窓1Bは、2枚の透光板7,7を有していてもよい。図6では、2枚の透光板7,7のうち一方の透光板7は、調光部材2の一方側に設けられており、他方の透光板7は、調光部材2の他方側に設けられている。図6では、両透光板7,7は、それぞれ第1及び第2のパターニング偏光板21,22に接着されているが、これらの透光板7,7は非接着であってもよい。
図6に示す調光窓1Bは、一方側に設けられた透光板7及び第1のパターニング偏光板21からなる一方側積層体と、他方側に設けられた透光板7及び第2のパターニング偏光板22からなる他方側積層体と、を有し、この一方側積層体及び他方側積層体の何れか一方を面方向にスライドさせることにより調光窓1Bの透光状態・遮光状態を切り替えることができる。
調光窓は、その面が看者の目線と同じ高さにあることが好ましい。そのため、調光窓の下縁部と床面との距離は特に限定されないが、好ましくは0.5m〜2.0mであり、より好ましくは、1.0m〜1.5mである。
調光窓が外窓である場合、調光窓に入射する光の大部分は、太陽から発せられた自然光である。また、調光窓が室内窓である場合、調光窓に入射する光の大部分は、室内灯から発せられた光である。どちらの場合でも、透光状態の調光窓の面内に色むらが発生することを防止でき、従来の窓ガラスに近い自然な外観を呈することができる。
調光窓1Bを室内窓として用いる場合、調光窓1Bは、調光部材2の内側に透光板7が設けられた構成であってもよい。この場合、第1(2)のパターニング偏光板21(22)を透過した直線偏光の方向性を乱さないように、透光板7は、実質的に光学的等方性を示すことが好ましい。
なお、「nx」は、23℃で波長590nmの測定条件において、測定対象(ここでは、透光板)の面内において屈折率が最大となる方向(通常、X軸方向という)の屈折率を示し、「ny」は、面内において前記X軸方向と直交する方向(通常、Y軸方向という)の屈折率を示し、「nz」は、厚み方向(測定対象のX軸方向及びY軸方向に直交する方向)の屈折率を表す。
図7及び図8は、本発明の他の実施形態に係る調光装置を模式的に表した斜視図である。
本実施形態に係る調光装置1Aは、第1及び第2のパターニング偏光板21,22からなる調光部材2と、位相差板8と、を有する。なお、調光部材2(第1及び第2のパターニング偏光板21,22)は前述の実施形態で説明したものと同じである。
位相差板8は、第1及び第2のパターニング偏光板と平行に向かい合って設けられることを条件に、その配置は特に限定されない。好ましくは、位相差板8は、調光部材2の外側に設けられる。図7では、調光部材2の一方側に1枚の位相差板8が設けられており、図8では、調光部材2の両側に位相差板8が一枚ずつ設けられている。なお、パターニング偏光板21(22)を透過した直線偏光の方向性が乱れる虞があるため、位相差板8は調光装置2の内側に設けられないことが好ましい。
図7では、調光部材2の一方側にのみ位相差板8が設けられているため、この一方側が反視認側となる。他方、図8では、位相差板8は、調光部材2の両側に設けられているため、どちらの側も視認側又は反視認側となり得る。即ち、どちら側に光源が存在していてもよく、どちら側から調光装置1Aを観察してもよい。
また、位相差板8は、図7に示すように、パターニング偏光板21(22)と非接着でもよく、図8に示すように、パターニング偏光板21(22)と接着されていてもよい。何れの態様であっても、調光装置1Aは、位相差板8を有するため、透光状態における色むらの発生をより抑制することができる。
図7では、位相差板8の遅相軸方向は、鉛直方向と平行に設けられており、図8では、位相差板8の遅相軸方向は、水平方向と平行に設けられている。なお、図7及び図8中の太黒矢印は、位相差板8の遅相軸の方向を表す。図8では、2枚の位相差板8,8を用いているが、両位相差板8,8の遅相軸方向は同じであってもよく異なっていてもよい。
位相差板の遅相軸方向とパターニング偏光板の各吸収軸方向との成す角度は、特に限定されないが、通常、10°〜80°の範囲内であり、好ましくは20°〜70°の範囲内であり、より好ましくは35°〜55°範囲内であり、特に好ましくは、略45°である。
なお、図7及び図8では、位相差板8の遅相軸方向と第1偏光領域31の吸収軸方向の成す角度と、遅相軸方向と第2偏光領域32の吸収軸方向の成す角度は等しい(共に45°である)。しかし、必ずしも両角度が同じである必要はなく、それぞれの角度が上記範囲内にあればよい。
調光装置1Aに含まれるパターニング偏光板21(22)の各吸収軸方向と位相差板8の遅相軸方向の成す角度が上記の範囲にあれば、調光装置1Aの透光状態における色むらの発生をさらに抑制することができる。
本調光窓1Bは、一方側に設けられた透光板7、位相差板8、及び第1のパターニング偏光板21からなる一方側積層体と、他方側に設けられた透光板7、位相差板8、及び第2のパターニング偏光板22からなる他方側積層体と、を有し、この一方側積層体及び他方側積層体の何れか一方を面方向にスライドさせることにより調光窓1Bの透光状態・遮光状態を切り替えることができる。
なお、透光板7の配置は、特に限定されず、各位相差板8とパターニング偏光板21(22)の間に配置されていてもよく、調光部材2の内側に配置されていてもよい。調光部材2の内側に透光板7を配置する場合、透光板7は実質的に光学的等方性を示すことが好ましい。
位相差板を設けることにより、透光状態における調光装置及び調光窓の色むらの発生をさらに抑制できる理由は明確ではないが、本発明者らは以下の様に推測している。
つまり、調光装置や調光窓に入射する光(自然光など)は、偏光板へ入射する光の入射面に対し法線方向に光の電場が振動している偏光成分(s波成分)と、s波成分の電場振動方向と直交する方向に電場が振動している偏光成分(p波成分)と、を有している。
s波成分が、パターニング偏光板の第1偏光領域を透過する成分である場合、s波成分は第2偏光領域(第1偏光領域の吸収軸と直交する方向に吸収軸を有する)を透過しない。この場合、p波成分は、パターニング偏光板の第2偏光領域を透過するが第1偏光領域を殆ど透過しない。
ここで、入射光のs波成分とp波成分が等量で、且つ、s波成分とp波成分の光学的性質(振動方向を除く)が同じであれば、第1偏光領域の透過率と第2偏光領域の透過率は等しくなるため、両領域間に透過率差が発生せず、色むらも発生しないと言える。
しかしながら、光は、その性質上、反射などによりs波成分の方がp波成分に比して多くなる。そのため、調光装置や調光窓に入射する光(例えば、自然光)のs波成分とp波成分の量を比較すると、s波成分の方が多い。また、浅い角度で光が偏光板へ入射した際、s波成分の方がp波成分に比して偏光板を透過し難い(即ち、反射し易い)という光学的特性がある。
そのため、s波成分とp波成分の量及び光学的性質の違いに起因して、第1偏光領域と第2偏光領域との間に透過率差が発生し、その結果、色むらが生じると考えられる。特に、s波成分とp波成分の量の相違が、色むらの発生に影響を与えていると考えられる。
そこで、入射光がパターニング偏光板に入射する前に、位相差板を用い、調光装置や調光窓に対する入射光の偏光状態を乱すことで、パターニング偏光板に入射するs波成分及びp波成分は略等量になると考えられる。従って、パターニング偏光板の第1及び第2偏光領域の透過率差が小さくなり、その結果、色むらの発生をさらに抑制することができると考えられる。
なお、面内位相差値(Re[590])とは、23℃で波長590nmにおける面内位相差値をいう。Re[590]は、測定対象(ここでは、位相差板)の厚みをd(nm)としたとき、Re[590]=(nx−ny)×dによって求めることができる。
これらの位相差板を用いることで、パターニング偏光板の複数の偏光領域間の透過率差をより小さくすることができ、色むらの発生をより効果的に防止することができる。
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学(5版)」(昭和43年7月15日、技報堂発行、135頁から152頁)に従って、ジアゾ化及びカップリング反応させることにより、モノアゾ化合物を得た。このモノアゾ化合物を、前記常法に従って、ジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させることにより、下記式(4)で表されるジスアゾ化合物を含む粗生成物を得た。この粗生成物を塩化リチウムで塩析することにより、式(4)で表されるジスアゾ化合物を得た。
前記溶液にさらにイオン交換水を加えて希釈することにより、ジスアゾ化合物濃度8質量%の塗布液を調製した。
(偏光フィルム片の用意)
長方形状のノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製:製品名「ゼオノア」)を用意し、このフィルムの表面にラビング処理及び親水化処理(コロナ処理)を施した。ラビング処理は、フィルムの長手方向に対して反時計回りに45°を成す方向に施した。
ラビング処理を施したポリマーフィルムの表面に上記塗布液をバーコータ(BUSHMAN社製:製品名「Mayer rot HS3」を用いて塗布し、塗布液を23℃の恒温室内で自然乾燥するとで、基板の表面に乾燥塗膜(偏光フィルム)を形成した。なお、偏光フィルムの厚みを反射分光膜厚計(大塚電子社製、製品名「FE−3000」)を用いて測定したところ、250nmであった。
得られた偏光フィルムは、その吸収軸方向と偏光フィルムの長手方向との成す角度が45°であった。この偏光フィルムを、図10に示すように、フィルムの短手方向と平行な切り取り線(破線1)に沿って切断することで、幅25mmの第1偏光フィルム片を複数得た。次に、同偏光フィルムを、図10に示すように、フィルムの長手方向と平行な切り取り線(破線2)に沿って切断することで、幅25mmの第2偏光フィルム片を複数得た。
具体的には、図11に示すように、吸収軸方向がフィルムの長手方向に対して反時計回りに45°を成す第1偏光フィルムを用意し、第1偏光フィルムをその長手方向と平行な切り取り線(破線)に沿って切断することで複数の第1偏光フィルム片を得る。他方、吸収軸方向がフィルムの長手方向に対して時計回りに45°を成す第2偏光フィルムを用意し、第2偏光フィルムをその長手方向と平行な切り取り線(破線)に沿って切断することで複数の第2偏光フィルム片を得る。
基材として、縦165mm×横65mm×厚み1.3mmの矩形状のガラス板(松浪硝子工業(株)社製、製品名「S200423」)を用意した。
この基材の表面に、第1偏光フィルム片及び第2偏光フィルム片を感圧接着剤を用いて接着した。なお、第1偏光フィルム片と第2偏光フィルム片は、基材の縦方向(長手方向)に交互に配置された。
第1偏光フィルム片は、その吸収軸方向と基材の縦方向及び横方向(長手方向及び短手方向)との成す角度が45°となるようにガラス板に接着され、第2偏光フィルム片は、その吸収軸方向が第1の偏光フィルム片の吸収軸方向と直交するようにガラス板に接着された。このようにして、図2に示すような偏光領域を有するパターニング偏光板を作製した。
次に、上記の工程で得られたパターニング偏光板を2枚用意し、互いのパターニング偏光層同士が対面するように重ね合わせることで光学積層体を得た。なお、パターニング偏光板の重ね合わせは、一方の偏光板の第1(2)偏光領域と他方の偏光板の第1(2)領域が重なるように行った。
即ち、2枚のパターニング偏光板を積層し、光学積層体を形成することで、透光状態にある調光装置を再現した。
得られた光学積層体の第1偏光領域の波長550nmにおける透過率及び第2偏光領域の波長550nmにおける透過率を、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、製品名「M−2000VI」)を用いて測定した。透過率は、波長550nmを基準にして測定した。
具体的には、極角0°(偏光領域(光学積層体の表面)に対して垂直な方向)から、光学積層体の短手方向における極角80°(偏光領域(光学積層体の表面)に対して10°で交叉する方向)まで段階的に光学積層体の透過率を測定した(図12参照)。以下、「光学積層体の短手方向」を短手方向と略称する。なお、図12において、破線は、光学積層体の表面と平行な仮想線を表している(図13についても同様)。
そして、短手方向における極角0°から極角80°間で測定された第1及び第2偏光領域の透過率の変化をグラフにプロットした。その結果を図15(a)に示す。また、短手方向における極角60°での第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差(ΔT)を算出した。その結果を、以下の表1に示す。
なお、実施例1では、第1及び第2偏光領域の透過率は、略同じであったため、図15(a)の曲線は1本に見えるが、極角20°から極角60°において、僅かに第2偏光領域の方が透過率が高かった。
そして、45°方向における極角0°から極角80°の間で測定された第1及び第2偏光領域の透過率の変化をグラフにプロットした。その結果を図15(b)に示す。また、45°方向における極角60°での第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差(ΔT)を算出した。その結果を、以下の表2に示す。
得られた光学積層体を、短手方向における極角45°から観察したところ、色むら及びそれに起因するパターン模様は殆ど観察されず、光学積層体は従来の窓ガラスに近い自然な外観を呈した。
(光学積層体の作製)
ガラス板の表面に、位相差フィルムを接着し、この位相差フィルムの表面に第1偏光フィルム片と第2偏光フィルム片を接着したこと以外は実施例1と同様にパターニング偏光板を作製した。続いて、実施例1と同様に、得られたパターニング偏光板を用いて光学積層体を作製し、透光状態にある調光装置を再現した。
なお、位相差フィルムは、その遅相軸方向がパターニング偏光板の長手方向と平行となるように(即ち、その遅相軸方向が、第1偏光フィルム片の吸収軸方向及び第2偏光フィルム片の吸収軸方向と45°を成すように)接着された。
本実施例で用いた位相差フィルムは、厚み100μmのシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)社製、製品名「ZF14−100」)を1.4倍に延伸したフィルムである。位相差フィルムの厚みは、81μmであった。また、位相差フィルムの面内位相差値(Re[590])は、141nmであった。
実施例1と同様に、光学積層体の短手方向における極角0°から極角80°まで段階的に光学積層体の透過率を測定した(図12参照)。続いて、短手方向における極角0°から極角80°間で測定された第1及び第2偏光領域の透過率の変化をグラフにプロットした。その結果を図16(a)に示す。また、短手方向における極角60°での第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差(ΔT)を算出した。その結果を、以下の表1に示す。
また、実施例1と同様に、45°方向における極角0°から極角80°まで段階的に光学積層体の透過率を測定した(図13参照)。続いて、45°方向における極角0°から極角80°の間で測定された第1及び第2偏光領域の透過率の変化をグラフにプロットした。その結果を図16(b)に示す。また、45°方向における極角60°での第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差(ΔT)を算出した。その結果を、以下の表2に示す。
得られた光学積層体を、短手方向における極角45°及び45°方向における極角45°から観察したところ、色むら及びそれに起因するパターン模様は殆ど観察されず、光学積層体は従来の窓ガラスに近い自然な外観を呈した。
(偏光フィルム片の用意)
まず、図14に示すような長方形状の偏光フィルム(日東電工(株)製、製品名「SEG1425DU」)を用意した。この偏光フィルムは、同図に示すように、吸収軸方向がフィルムの長手方向と平行である。この、偏光フィルムを、その短手方向と平行な方向に切り取ることで、幅25mmの第1偏光フィルム片を複数得た。なお、図14において、破線は偏光フィルム片の切り取り線を表す。
次に、同偏光フィルムを、その長手方向と平行な方向に切り取ることで、幅25mmの第2偏光フィルム片を複数得た。
実施例1と同様にガラス板上に第1及び第2偏光フィルム片を接着することでパターニング偏光板を作製した。
なお、第1偏光フィルム片は、その吸収軸方向と基材の縦方向が平行となるようにガラス板に接着され、第2偏光フィルム片は、その吸収軸方向が第1の偏光フィルム片の吸収軸方向と直交するようにガラス板に接着された。
実施例1と同様に、2枚のパターニング偏光板を積層し、光学積層体を形成することで、透光状態にある調光装置を再現した。
実施例1と同様に、光学積層体の短手方向における極角0°から極角80°まで段階的に光学積層体の透過率を測定した(図12参照)。続いて、短手方向における極角0°から極角80°間で測定された第1及び第2偏光領域の透過率の変化をグラフにプロットした。その結果を図17に示す。また、短手方向における極角60°での第1偏光領域と第2偏光領域の透過率差(ΔT)を算出した。その結果を、以下の表1に示す。
得られた光学積層体を、短手方向における極角45°から観察したところ、色むら及びそれに起因するパターン模様が顕著に観察され、光学積層体は従来の窓ガラスと全く異なる外観を呈した。
実施例1では、短手方向から光学積層体を観察した際に、色むら及びそれに起因するパターン模様は殆ど観察されなかった。また、実施例2では、短手方向及び45°方向の双方から光学積層体を観察しても、色むら及びそれに起因するパターン模様は殆ど観察されなかった。
ここから、位相差フィルムを用いることで短手方向及び45°方向の双方から観察しても良好な外観を呈する光学積層体を作製できることが分かる。
Claims (5)
- 第1及び第2のパターニング偏光板が平行に向かい合って設けられた調光部材を有する調光装置であって、
前記調光部材と平行に向かい合って設けられた位相差板であって波長590nmにおける面内位相差値が100nm以上の位相差板を有し、
前記位相差板が、前記第1のパターニング偏光板の外側及び前記第2のパターニング偏光板の外側にそれぞれ設けられており、
前記第1及び第2のパターニング偏光板の各々が、吸収軸方向がそれぞれ異なる第1偏光領域と第2偏光領域を少なくとも有し、
前記第1偏光領域の吸収軸方向が水平面に対して略45°を成し、且つ、前記第2偏光領域の吸収軸方向が前記第1偏光領域の吸収軸方向に対して略直交しており、前記位相差板の遅相軸方向が、前記第1及び第2偏光領域の吸収軸方向と非平行であり、
前記第1及び第2のパターニング偏光板のうち少なくとも何れか一方が面方向にスライド可能に構成されていることを特徴とする調光装置。 - 前記位相差板の遅相軸方向と前記第1及び第2偏光領域の吸収軸方向とが、10°〜80°の角度を成している請求項1に記載の調光装置。
- 請求項1または2に記載の調光装置と、前記調光装置の調光対象である透光板と、を有し、
前記透光板が、前記調光装置と向かい合って設けられている調光窓。 - 前記透光板が、実質的に光学的等方性を示す請求項3に記載の調光窓。
- 前記透光板が、窓ガラスである請求項3又は4に記載の調光窓。
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