次に、この発明の第1の実施形態のヒートポンプ装置の構成について、図面に基づき詳細に説明する。
1は冷温水を供給するヒートポンプ式の熱源機としてのヒートポンプユニットで、ヒートポンプユニット1は、その筐体内に、冷媒を圧縮する回転数可変の圧縮機2、四方弁3、負荷側熱交換器4、減圧手段としての膨張弁5、熱源側熱交換器6を備え、それらを冷媒配管7で環状に接続してヒートポンプサイクル8を形成しているものである。なお、ヒートポンプサイクル8を循環する冷媒としては、HFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができるものである。
前記負荷側熱交換器4および前記熱源側熱交換器6は液−冷媒熱交換器であり、例えばプレート式熱交換器で構成されている。このプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、冷媒を流通させる冷媒流路と循環液等の液体を流通させる液体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されている。
前記冷媒配管7に設けられた四方弁3は、ヒートポンプサイクル8における冷媒の流れ方向を切り換える切換弁としての機能を有し、圧縮機2から吐出された冷媒を、負荷側熱交換器4、膨張弁5、熱源側熱交換器6の順に流通させ、圧縮機2に戻す流路を形成する状態(暖房運転時の状態)と、圧縮機2から吐出された冷媒を、熱源側熱交換器6、膨張弁5、負荷側熱交換器4の順に流通させ、圧縮機2に戻す流路を形成する状態(冷房運転時の状態)とに切換可能なものである。
また、9は圧縮機2から吐出された冷媒の温度を検出する吐出温度センサ、10は膨張弁5と熱源側熱交換器6とを接続する冷媒配管7に設けられ、ここを流通する冷媒の温度を検出する冷媒温度センサである。
11は熱源側熱交換器6を流通する冷媒を加熱または冷却する熱源として地中に設置された地中熱交換器で、熱源側熱交換器6の液体流路と地中熱交換器11とを熱源側配管12で環状に接続して熱源側循環回路13を形成するものであり、熱源側配管12には、熱源側循環回路13に熱源側循環液(例えば、水や不凍液等)を循環させる回転数可変の熱源側循環ポンプ14と、熱源側循環液を貯留し熱源側循環回路13の圧力を調整する熱源側シスターン15とを備えているものである。
16はヒートポンプユニット1と冷温水往き管17および冷温水戻り管18を介して室内に設置される室内端末である。図1では室内端末16を複数台(3台)設置しているが、1台や2台、3台以上設置してあってもよいものである。また、室内端末16としては冷暖房兼用であれば冷温水パネルやファンコイル、暖房専用であれば床暖房パネルやパネルコンベクター等、様々な種類の端末を用いることができるものである。
ここで、ヒートポンプユニット1から室内端末16に向かって延びる前記冷温水往き管17の途中には、1つの往きヘッダ19が設けられており、冷温水往き管17のうち往きヘッダ19より上流側部分は、1つの共通往き管17aとして構成され、ヒートポンプユニット1の負荷側熱交換器4にて加熱または冷却された負荷側循環液(例えば、水や不凍液等)が供給される。そして、冷温水往き管17のうち往きヘッダ19より下流側部分は、室内端末16の台数分だけ個別往き管17bが分岐している。同様に、室内端末16からヒートポンプユニット1に向かって延びる前記冷温水戻り管18の途中には、1つの戻りヘッダ20が設けられており、冷温水戻り管18のうち戻りヘッダ20より上流側部分は、室内端末16の台数分だけ個別戻り管18bが分岐している。そして、冷温水戻り管18のうち戻りヘッダ20より下流側部分は、1つの共通戻り管18aとして構成され、個別戻り管18bを介して導入された負荷側循環液をヒートポンプユニット1へと戻すものである。
21はヒートポンプユニット1に備えられた負荷側熱交換器4と、室内端末16とを、冷温水往き管17および冷温水戻り管18で接続して形成される負荷側循環回路で、冷温水戻り管18には、負荷側循環回路21に負荷側循環液を循環させる回転数可変の負荷側循環ポンプ22と、室内端末16から負荷側熱交換器4に流入する負荷側循環液の温度を検出する戻り温度検出手段としての戻り温度センサ23と、負荷側循環液を貯留し負荷側循環回路21の圧力を調整する負荷側シスターン24とを備えているものである。
25は各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段と、演算・制御処理を行う制御手段とを備えたヒーポン制御部であり、ヒーポン制御部25は、ヒートポンプユニット1内の各種センサの信号や、リモコン26からの信号に基づいて、ヒートポンプユニット1の圧縮機2、四方弁3、膨張弁5、熱源側循環ポンプ14、負荷側循環ポンプ22の駆動を制御するものである。
前記リモコン26は、ヒートポンプユニット1を遠隔制御し相互に通信するためにヒートポンプユニット1のヒーポン制御部25と通信可能に接続されているものであり、図2に示すように、室内端末16の運転状態や各種設定状態を表示可能な表示部27と、リモコン26自体の電源をONすると共にヒートポンプユニット1を待機状態とする、またはリモコン26自体の電源をOFFすると共にヒートポンプユニット1を停止状態とするための電源スイッチ28と、室内端末16の運転開始を指示するための運転スイッチ29と、室内端末16に対しタイマーによる運転を指示するためのタイマースイッチ30と、室内端末16の運転態様(暖房または冷房)の切り替えを指示する運転切替スイッチ31と、適宜の節電運転等のガイドを行うためのecoガイドスイッチ32と、画面表示を1つ前の画面に戻すための戻るスイッチ33と、メニュー/決定スイッチ34と、上下左右方向への十字キー35とが備えられている。なお、リモコン26には、各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段と、各種の表示を行うための演算処理等を行う制御手段とを備えたリモコン制御部36が内蔵され、ヒーポン制御部25とリモコン制御部36とでヒートポンプユニット1を制御する制御部を構成するものである。
前記リモコン制御部36は、図3に示すように、室内端末16に供給する負荷側循環液の温度レベルを設定する設定手段37を備えているものである。ここで、冷房運転においてユーザがリモコン26で選択できる温度レベルとしての温度値の範囲は7℃〜20℃で1℃単位で変更が可能であり、図4に示すような表示状態でユーザがリモコン26の十字キー35のプラスキーまたはマイナスキーを操作することによって選択した温度を、室内端末16に供給する負荷側循環液の温度レベルとして設定手段37は設定するものである。なお、本実施形態では、設定できる温度レベルとしては室内端末16に供給できる負荷循環液の温度値そのものを用いたが、設定できる温度レベルとしては、冷房の強さを表す強・中・弱や、冷房の強さを数値で表す、例えば1〜9の数値を用いて9段階の冷房の強さを有し数値が大きいほど冷房の強さが強くなるといったものを用いてもよいものであり、特に限定されるものではない。
また、リモコン制御部36は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度(目標戻り温度についての詳細は後述する)を定める所定の規則を複数有し、この複数の所定の規則の中から何れか一つを選択する選択手段38を備えているものである。ここで、前記所定の規則とは、冷房運転にて設定できる温度レベルTs(ここでは、7℃〜20℃)に対応する数値(7〜20)に所定の数値α(例えば、αは+5〜+15のうちの任意の値とする)を加算した加算値を目標戻り温度Tmとする規則であり、ここでは所定の数値αの数だけ規則を有しているものであり、この規則を演算式で表すと、Ts+5=Tm、Ts+6=Tm、・・・、Ts+14=Tm、Ts+15=Tmの11個の演算式を規則として有している。なお、選択手段38による所定の規則の選択方法については、以下に説明する。
前記リモコン26のメニュー/決定スイッチ34を操作すると、メニュー画面(図示せず)が表示され、その画面から十字キー35およびメニュー/決定スイッチ34の決定操作により適宜遷移していくと、図5に示すような冷水補正値温度設定画面となるが、この設定画面での操作を行うのは、主としてヒートポンプユニット1やリモコン26等を設置し施工する施工業者である。この冷水補正値温度設定画面において、リモコン26の十字キー35のプラスキーまたはマイナスキーを手動で操作すると、冷房運転における冷水補正値温度を選択できるものであるが、冷水補正値温度としての温度値の範囲は+5℃〜+15℃の範囲で1℃単位で変更が可能であり、冷水補正値温度の値として与えられるこの+5〜+15が先に説明した所定の数値αのことであり、冷水補正値温度と所定の数値αとが関連づけられ、冷水補正値温度を選択する行為が複数の規則の中から所定の規則を選択する行為と同じ意味となり、例えば施工業者により冷水補正値温度として+10℃が選択され、メニュー/決定スイッチ34の決定操作がなされると、選択手段38は上記の複数の規則の中からTs+10=Tmの規則を選択するものである。また、施工業者は、設置される室内端末16の種類や台数から冷水補正値温度を適宜設定するものであり、冷水補正値温度の初期設定値としては、図5に示すように、例えば+10℃が設定されているものである。
なお、本実施形態では、上記所定の規則は、冷房運転にて設定できる温度レベルTsとして室内端末16に供給できる負荷循環液の温度値そのものを用いて、それに対応する数値に所定の数値を加算した加算値を目標戻り温度Tmとする規則としたが、冷房運転にて設定できる温度レベルTsとして冷房の強さを表す強・中・弱を用いた場合は、強・中・弱に対応する温度換算値(例えば、強は7、中は13、弱は20)を予め記憶しておき、その数値(温度換算値)に所定の数値を加算した加算値を目標戻り温度Tmとする規則としてもよいものであり、冷房運転にて設定できる温度レベルTsとして冷房の強さを数値で表す、例えば1〜9の数値を用いて9段階の冷房の強さを有するものを用いた場合においても、9段階の冷房の強さに対応する温度換算値を予め記憶しておき、その数値(温度換算値)に所定の数値を加算した加算値を目標戻り温度Tmとする規則としてもよいものであり、特に限定されるものではない。
また、前記ヒーポン制御部25は、図3に示すように、室内端末16から負荷側熱交換器4に戻ってくる負荷側循環液の目標戻り温度を設定する目標戻り温度設定手段39を備えているものであり、目標戻り温度設定手段39は、設定手段37で設定された温度レベルと選択手段38で選択された所定の規則とに基づいて目標戻り温度を設定するものである。
次に、第1の実施形態におけるヒートポンプ装置の冷房運転時の動作について図6を用いて説明する。本実施形態におけるヒートポンプ装置は四方弁3を切り換えて冷媒の流路を変更することで暖房運転も行うことができるが、ここでは主として冷房運転を行う場合の動作のみを説明し、暖房運転を行う場合の動作については省略する。なお、図6中の矢線は、冷媒、負荷側循環液、熱源側循環液の流れる方向を示したものである。
リモコン26の運転切替スイッチ31で冷房が設定されている状態で、運転スイッチ29のON操作により、負荷側熱交換器4において熱交換によって冷却された負荷側循環液を負荷側循環ポンプ22の駆動により室内端末16に循環させる冷房運転の指示がなされると、制御部25は、四方弁3を冷房運転時の流路状態となるようにし、圧縮機2、膨張弁5、熱源側循環ポンプ14、負荷側循環ポンプ22を駆動させて冷房運転を開始させる。
前記冷房運転中、負荷側熱交換器4では、一定回転数で駆動される負荷側循環ポンプ22によって循環される負荷側循環液と膨張弁5から吐出された低温低圧の冷媒とが熱交換され負荷側循環液が冷却され、冷却された負荷側循環液は、冷温水往き管17から室内端末16に供給され、室内端末16を流通するときに負荷側循環液の冷熱が室内に放出されることで室内の冷房が行われるものであり、室内端末16を流出した負荷側循環液は、冷温水戻り管18を介して負荷側熱交換器4に戻され再度冷却されるものである。一方、前記冷房運転中、熱源側熱交換器6では、熱源側循環回路13を循環する熱源側循環液と圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒とが熱交換され、冷媒は冷却し凝縮され、熱源側循環液が冷媒から受け取った熱は地中熱交換器11を介して地中に放出されるものである。なお、図6では、全ての室内端末16に負荷側循環液が供給される様子が示されているが、個別往き管17bまたは個別戻り管18bに熱動弁(図示せず)を設けて、負荷側循環液の供給が必要な室内端末16のみ作動するようにしてもよいものである。
前記制御部25は、この冷房運転中、負荷側熱交換器4の直上流側の負荷側循環液の温度を検出する戻り温度センサ23の検出値が、目標戻り温度設定手段39で設定された目標戻り温度になるように、ヒートポンプユニット1を制御、特に圧縮機2の回転数を制御するものであるが、目標戻り温度は、設定手段37で設定された温度レベルと選択手段38で選択された所定の規則とに基づいて、目標戻り温度設定手段39により設定されるものであり、設定手段37で設定された温度レベルとは、ユーザがリモコン26を操作して選択した室内端末16に供給する負荷側循環液の温度レベル、例えば図4の表示部27に示された冷水設定温度15℃のことを指し、選択手段38で選択された所定の規則とは、主としてヒートポンプユニット1やリモコン26等を設置し施工する施工業者がリモコン26を操作して選択した、例えば図5の表示部27に示された冷水補正値温度(+10℃)に関連づけて予め記憶された規則(温度レベルTs+10=目標戻り温度Tmの規則)のことを指すものである。
ここで、前記冷水補正値温度、またはそれに関連する所定の規則は、複数ある中から選択することができる構成とする必要がある理由について以下に示す。例えば、設置される室内端末16が冷温水パネルである場合は、冷温水パネルの熱交換能力(定格出力)は例えば0.5kW/台であり、設置される室内端末16がファンコイルである場合は、ファンコイルの熱交換能力(定格出力)は例えば2.5kW/台であり、室内端末16の種類により熱交換能力が異なり、冷温水パネルよりもファンコイルの方が熱交換能力が大きいため、室内端末16として、冷温水パネルを設置した場合とファンコイルを設置した場合とで、仮に同じ冷水補正値温度として例えば+6℃が選択され、設定手段37で設定された温度レベルが7℃、選択手段38で選択された所定の規則が温度レベルTs+6=目標戻り温度Tmの規則だったとすると、目標戻り温度設定手段39で設定される目標戻り温度は13℃となる。そして、室内端末16として冷温水パネルを設置した場合において、冷房運転中、負荷側循環ポンプ22が一定回転数で駆動され、目標戻り温度が13℃で制御されているときに冷温水パネルに供給される実際の負荷側循環液の温度が例えば7℃であったとすると、室内端末16としてファンコイルを設置した場合では、冷房運転中、負荷側循環ポンプ22が一定回転数で駆動され、目標戻り温度は13℃で制御されているものの、ファンコイルの熱交換能力が冷温水パネルより大きいことから、ファンコイルに供給される実際の負荷側循環液の温度は例えば2℃となり、設定手段37で設定された温度レベルから離れた温度となってしまい、ファンコイルの筐体の外表面が結露するといった問題が発生するおそれがある。ここで、冷水補正値温度、またはそれに関連する所定の規則が、複数ある中から選択することができる構成であれば、室内端末16としてファンコイルが設置された場合であって、設定手段37で設定された温度レベルが7℃と低い温度であっても、上記の結露の問題を生じない設定とするために、冷水補正値温度として大きい値、例えば+11℃を選択することで、目標戻り温度を18℃(温度レベル7℃+11℃=目標戻り温度18℃)と高くでき、ファンコイルに供給される実際の負荷側循環液の温度が結露を生じない温度、例えば7℃まで高くすることができるものである。一方、ファンコイルに合わせて冷水補正値温度として+11℃を選択し、設定手段37で設定された温度レベルが7℃、選択手段38で選択された所定の規則が温度レベルTs+11=目標戻り温度Tmの規則だったとすると、目標戻り温度設定手段39で設定される目標戻り温度は18℃となり、冷房運転中、負荷側循環ポンプ22が一定回転数で駆動され、目標戻り温度が18℃で制御されているときにファンコイルに供給される実際の負荷側循環液の温度が例えば7℃であったとすると、冷温水パネルを設置した場合では、冷房運転中、負荷側循環ポンプ22が一定回転数で駆動され、目標戻り温度は18℃で制御されているものの、冷温水パネルの熱交換能力がファンコイルより小さいことから、冷温水パネルに供給される実際の負荷側循環液の温度は例えば13℃となり、設定手段37で設定された温度レベルから離れた高い温度となってしまい、設定した温度レベル、例えば7℃と同程度の低温の負荷側循環液を冷温水パネルに対して供給できる能力があるにも関わらず、冷温水パネルに供給される負荷側循環液の温度が高めに制限されてしまうといった問題が発生するおそれがある。よって、冷水補正値温度、またはそれに関連する所定の規則は、複数ある中から選択することができる構成であることで、設置される室内端末16に応じた適切な設定を選択することが可能となっている。
したがって、本実施形態では、上記のように、冷房運転時に戻り温度センサ23の検出する温度が目標戻り温度になるようにヒートポンプユニット1を制御するものにおいて、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定める所定の規則を複数有し、この複数の所定の規則の中から何れか一つを選択する選択手段38を備え、目標戻り温度は、設定手段37で設定された温度レベルと選択手段38で選択された所定の規則とに基づいて、目標戻り温度設定手段39により設定されるようにしたことで、設定された温度レベルと室内端末16に供給される実際の負荷側循環液の温度との差を小さくするために、複数ある規則の中から何れかの規則を選択して、目標戻り温度を設定することができるので、設置される室内端末16に対して意図しない箇所(ファンコイルの筐体外表面等)の結露の発生を防止することができるものである。
また、所定の規則は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対応する数値に所定の数値を加算した加算値を目標戻り温度とする規則としたことで、複雑な演算式とすることなく、容易に設計することができるものである。
さらに、所定の規則は、リモコン26を操作して手動で選択できるようにしたことで、ヒートポンプユニット1やリモコン26の施工を行う施工業者等が、室内端末16の設置状況に応じた設定に容易に設定することができるものである。
なお、本発明は先に説明した第1の実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、所定の規則を、冷房運転にて設定できる温度レベルに対応する数値に所定の数値を加算する規則としたが、所定の規則は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定めることができるものであればよく、図7に示すような、温度レベルと目標戻り温度とが対応した(a)、(b)、(c)のマトリクスデータを複数有し、それぞれのマトリクスデータを所定の規則として、リモコン26を操作することにより、(a)、(b)、(c)のマトリクスデータの中で何れか一つを選択することができるものとしてもよいものである。
また、本実施形態では、リモコン制御部36が設定手段37および選択手段38を備え、ヒーポン制御部25が目標戻り温度設定手段39を備える構成としたが、ヒーポン制御部25およびリモコン制御部36がヒートポンプユニット1を制御する制御部として構成されていれば、設定手段37、選択手段38、目標戻り温度設定手段39のそれぞれが持つ機能が変更されることはないものであり、ヒーポン制御部25、リモコン制御部36のどちらに設定手段37、選択手段38、目標戻り温度設定手段39が備えられていようともよいものである。
次に、この発明の第2の実施形態のヒートポンプ装置について図8を用いて説明する。なお、先の第1の実施形態と同一のものは同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
40はリモコン制御部36に備えられ、設置される室内端末16の種類および室内端末16の種類毎の台数を設定する室内端末設定手段である。なお、室内端末設定手段40による室内端末16の設定方法については、以下に説明する。
前記リモコン26のメニュー/決定スイッチ34を操作すると、メニュー画面(図示せず)が表示され、その画面から十字キー35およびメニュー/決定スイッチ34の決定操作により適宜遷移していくと、設置される室内端末16について設定する室内端末設定画面(図示せず)となるが、この設定画面での操作を行うのは、主としてヒートポンプユニット1やリモコン26等を設置し施工する施工業者である。ここで、室内端末16が3台まで接続可能なシステムを例として説明すると、前記室内端末設定画面では、室内端末16を3台分設定でき、1台毎に設置される室内端末16の種類(冷温水パネルorファンコイルor未使用)を選択することができるものであり、室内端末設定画面においてリモコン26の十字キー35を手動で操作して、例えば、1台目の室内端末16は冷温水パネルを選択し、2台目の室内端末16は未使用を選択し、3台目の室内端末16は未使用を選択して、メニュー/決定スイッチ34の決定操作をすると、室内端末設定手段40は、設置される室内端末16が冷温水パネル1台とファンコイル0台であると設定するものである。
ここで、図9を用いて室内端末16の設定方法についてさらに説明すると、室内端末16が3台まで接続可能なシステムにおいて、設置される室内端末16の組み合わせは図9に示すように9通りあり、パターン1は冷温水パネル1台、パターン2は冷温水パネル1台とファンコイル1台、パターン3は冷温水パネル1台とファンコイル2台、パターン4は冷温水パネル2台、パターン5は冷温水パネル2台とファンコイル1台、パターン6は冷温水パネル3台、パターン7はファンコイル1台、パターン8はファンコイル2台、パターン9はファンコイル3台が設置されることを意味している。前段で説明したように、室内端末設定画面において、1台目の室内端末16は冷温水パネルが選択され、2台目の室内端末16は未使用が選択され、3台目の室内端末16は未使用が選択された場合は、室内端末設定手段40は、上記のパターン1が選択されたと判断し、設置される室内端末16が冷温水パネル1台であると設定するものである。なお、室内端末設定画面において、例えば、1台目ファンコイル、2台目冷温水パネル、3台目ファンコイルが選択された場合と、室内端末設定画面において、1台目ファンコイル、2台目ファンコイル、3台目冷温水パネルが選択された場合と、室内端末設定画面において、1台目冷温水パネル、2台目ファンコイル、3台目ファンコイルが選択された場合とは、何れもパターン3と同じ意味となり、設置される室内端末16が冷温水パネル1台とファンコイル2台であることを意味し、上記の何れの場合であっても、室内端末設定手段40は、パターン3が選択されたと判断し、設置される室内端末16が冷温水パネル1台とファンコイル2台であると設定するものである。
そして、前記室内端末設定手段40によって室内端末16の種類および室内端末16の種類毎の台数が設定されると、それに基づいて選択手段38は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定める複数の所定の規則の中から何れか一つを選択するものである。ここでの所定の規則とは、冷房運転にて設定できる温度レベルTs(ここでは、7℃〜20℃)に対応する数値(7〜20)に所定の数値αを加算した加算値を目標戻り温度Tmとする規則であり、室内端末16の種類および室内端末16の種類毎の台数と所定の規則とは、図9に示すように関連づけられている。例えば、室内端末設定手段40が、設置される室内端末16が冷温水パネル1台とファンコイル2台(図9のパターン3)であると設定した場合、選択手段38は、温度レベルTs+14=目標戻り温度Tmとする規則を選択するものである。この時、設定手段37で設定された温度レベルTsが7℃で、選択手段38で選択された所定の規則が温度レベルTs+14=目標戻り温度Tmであった場合、目標戻り温度設定手段39は、目標戻り温度を21℃(温度レベル7℃+14℃=目標戻り温度21℃)に設定するものである。なお、前記所定の数値αについては、先に第1の実施形態で説明したようなファンコイルの熱交換能力が冷温水パネルの熱交換能力よりも大きいことに起因する結露の問題を考慮して、室内端末16として冷温水パネルが設置される場合よりもファンコイルが設置される場合の方が、大きい値をとるように予め設定されており、図9にも示されているように、パターン1(冷温水パネル1台)に対応する規則の所定の数値αが+4であるのに対して、パターン7(ファンコイル1台)に対応する規則の所定の数値αが+8であり、ファンコイルが設置される場合の方が大きい値をとるようになっているものである。
上記のように、選択手段38は、室内端末設定手段40によって設定された室内端末16の種類および種類毎の台数に基づいて、複数の所定の規則の中から何れか一つを選択するようにしたことで、目標戻り温度設定手段39は、設置される室内端末16の種類および種類毎の台数に応じた最適な目標戻り温度を設定することができるので、設置される室内端末16に対して意図しない箇所の結露の発生を防止することができるものである。
また、本実施形態では、室内端末設定手段40によって室内端末16の種類および室内端末16の種類毎の台数が設定されると、それに基づいて選択手段38は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定める複数の所定の規則の中から何れか一つを選択するものとしたが、ファンコイルの熱交換能力が冷温水パネルの熱交換能力に比べて大きいことから、室内端末16の種類のみに基づいて、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定める所定の規則をそれぞれ定めておき、室内端末設定手段40によって設定される室内端末16の種類が冷温水パネルであれば、選択手段38は、所定の規則として、温度レベルTs+8=目標戻り温度Tmを選択するようにし、室内端末設定手段40によって設定される室内端末16の種類がファンコイルであれば、選択手段38は、所定の規則として、温度レベルTs+15=目標戻り温度Tmを選択するようにするというように、選択手段38は、室内端末設定手段40によって設定された室内端末16の種類に基づいて、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定める複数の所定の規則の中から何れか一つを選択するものとしてもよいものであり、この場合、室内端末16の種類の違いによる熱交換能力の大きさの違いを考慮して、目標戻り温度設定手段39が、設置される室内端末16に応じた目標戻り温度を設定することができるので、設置される室内端末16に対して意図しない箇所(ファンコイルの筐体外表面等)の結露の発生を防止することができるものである。
なお、本発明は先に説明した第2の実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、所定の規則を、冷房運転にて設定できる温度レベルに対応する数値に所定の数値を加算する規則としたが、所定の規則は、冷房運転にて設定できる温度レベルに対して目標戻り温度を定めることができるものであればよく、温度レベルと目標戻り温度とが対応したマトリクスデータを複数有し、それぞれのマトリクスデータを所定の規則とし、室内端末設定手段40で設定された室内端末16の種類および室内端末16毎の台数に基づいて、選択手段38が、複数のマトリクスデータの中から何れか一つを選択することができるものとしてもよいものである。
また、本実施形態では、リモコン制御部36が設定手段37および選択手段38および室内端末設定手段40を備え、ヒーポン制御部25が目標戻り温度設定手段39を備える構成としたが、ヒーポン制御部25およびリモコン制御部36がヒートポンプユニット1を制御する制御部として構成されていれば、設定手段37、選択手段38、目標戻り温度設定手段39、室内端末設定手段40のそれぞれが持つ機能が変更されることはないものであり、ヒーポン制御部25、リモコン制御部36のどちらに設定手段37、選択手段38、目標戻り温度設定手段39、室内端末設定手段40が備えられていようともよいものである。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、ヒートポンプユニット1の熱源として地中熱交換器11を示したが、熱源としては、地中熱の他に、河川の水、海水、井戸水、貯水等が利用可能であり、種類は問わないものであり、さらに、熱源側熱交換器6に供給される熱源側循環液は熱源側循環回路13のような閉回路を循環する形態でなくてもよく、熱源側循環液は熱源側熱交換器6で熱交換した後は外部に排出されるような開放式の形態であってもよいものである。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、熱源機として地中熱源式のヒートポンプユニット1を示したが、空気熱源式のヒートポンプユニットを熱源機としたものに対しても本発明を適用することができるものである。