JP6616767B2 - 骨折治療用内固定器 - Google Patents
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Description
対象部位に対し、骨折部位を跨ぐように貫通される鋼線と、前記治療対象部位の前記骨折
部位を挟む骨の両端箇所に差し込むことで固定され、前記鋼線の両端部を保持する一対の
鋼線保持具と、該鋼線保持具上で前記鋼線の両端部を力学的手段により固定する鋼線固定
具とを備え、前記鋼線固定具は、ネジ部及び頭部を有するボルトと、前記ネジ部に螺合さ
れるナットとを有し、前記ネジ部には前記鋼線を貫通させる第2の貫通孔が前記ネジ部の
軸方向に対して直交するように形成され、前記ナットの螺合により前記鋼線の端部が該ナ
ットと前記ボルトの頭部との間で固定されることを特徴とする。
ここにおいて、本発明の骨折治療用内固定器を構成する各部について説明する。該固定
具を構成する鋼線は、直線的な棒状体であり、施術留置した際に、患者の運動などに対し
て充分な強度を保持できるものであればよく、特段に限定されるものではない。具体的に
は、材質としては、金属類である鋼などの鉄、銅(ただし強度(硬度)を持たせるために
焼きなまししたものが好ましい。)、ステンレス合金、チタン、チタン合金などが例示さ
れ、高強度樹脂なども例示されるが、腐食性、強度、脆性、生体親和性などの観点から、
ステンレス合金、チタン合金などが好ましい材質として推奨される。
また、形状としては長い直線で棒状の形状であり、太さは施術後、体内留置した際に極
端に運動を阻害したり、留置の際に周辺の骨部位を破壊しない程度の太さであればよく、
従って留置部位の骨形状や周辺状況、部位における外力などの負荷の大きさなどにより適
宜選択できる。
余りにその太さが細い場合には、鋼線保持具による固定が難しい恐れもあるため、細す
ぎることは避ける必要がある。従って、太さは、たとえば膝蓋骨骨折に用いる場合、断面
最大径が0.5〜8mm、好ましくは0.8〜5mmであることが推奨される。また、形
状としては、円柱状や三角柱、四角柱などの角柱状でもよいが、一般的には円柱状が好ま
しい。
さらに、鋼線の一端部(先端部)は、施術時に鋼線が骨を貫通し易いように、鋭利な形
態とすることも好ましい。鋭利な形態としては、円錐状、角錐状、モクネジ形状や先端切
り欠き形状などが例示される。また円柱形状の場合には、その外側面の一部もしくは全部
を雄ネジ状に加工された形状であるものも使用することができる。
また、このような鋼線は、施術し、固定措置を施したあと、両末端部が長すぎた場合に
は、適宜、切断して不要部を取り除く処理を行うことが推奨される。特に、前記した先端
部については、骨に貫通させた後、鋭利な部分を切断除去することも、鋼線の固定のし易
さ等の点からも推奨される。
本発明においては、これらの材質・形状などについては特に限定されることはないが、
通常市販されているキルシュナー鋼線であれば、充分にこれらの形状を満足させることが
できる。
また、前記鋼線保持具は、前記鋼線を貫通させる第1の貫通孔が形成された基板部と、
該基板部に前記第1の貫通孔の向きに沿って具備された楔部とを有し、前記楔部が前記治
療対象部位に食い込み可能とされていることを特徴とする。
ここにおいて、基板部の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形など、上記機能
が果たせれば、いかなる形状であっても差し支えないが、鋼線保持具が接する骨表面の形
状に適応した形状であることが推奨される。たとえば、膝蓋骨に適用する場合には、接触
する骨部分の形状から、長方形や楕円形であることが推奨される。
また、大きさ及び厚さなど(規格)については、材料強度(基板にかかる外力などに対
する。)及び留置箇所(対象となる骨の部位)などにより、それぞれ異なるが、たとえば
対象となる骨が膝蓋骨である場合には、長方形や楕円形の基板が推奨され、長手方向の長
さは1〜10cm程度が好ましく、1.5〜5cm程度であることがさらに好ましい。
幅方向の長さは0.3〜2cm程度が好ましく、0.5〜1.5cm程度であることが
さらに好ましい。また、厚みについては0.1から1cmであることが好ましく、0.2
〜0.7cm程度であることがさらに好ましい。
また、基板には、前記したように鋼線が貫通することから、鋼線貫通用の孔が設けられ
ている。該孔の規格は、鋼線が貫通できる大きさであることが必須であり、好ましくは極
端な抵抗を受けずに貫通できる程度の大きさであることが推奨される。また、余りに大き
な孔であれば、後記する鋼線固定具の規格を極端に大きくする必要が生じ好ましくない。
さらに、本発明における鋼線保持具に具備される楔部については、その機能は楔部を対
象となる骨に打ち込み(差し込む、押し込む、突き刺すなど)、施術後は基板と実質的に
一体化できることである。
ここで本発明でいう、実質的に一体化するということは、基板と一体となって成型され
ている場合や、楔部が基板に溶接や接着若しくはネジ込みなどによって一体化しているも
のや、さらには楔部が釘状や木ネジ状、くさび状などであって、基板部とは分離されてい
てもよい。また、基板部に、これら分離された楔部を貫通する孔を有し、該孔を貫通し、
対象となる孔に差し込み、基板部に固定化されることでも、実質的に一体化となる。
このような場合には骨に差し込む側でなく、基板部と接触する部分の端部の形状は、基
板部の楔部を貫通させるために設けられた孔よりは大きくするなどによって、楔部によっ
て基板部を押さえこむことができる形状である。
また、楔部の全体的な形状としては、差し込む、押し込むもしくは突き刺すなどによっ
て、対象となる骨に侵入させることが必要である。このことから、その骨に差し込む側の
少なくとも先端は、先鋭な形状でなければならない。具体的な形状は、たとえば、三角柱
(直角三角柱や二等辺三角柱)や円錐形、円錐台形などがあげられる。また、釘状や木ネ
ジ状といった先端が尖鋭な円柱形やくさび状である、先端が尖鋭な多角柱形なども例示さ
れる。
さらに、基板部と一体成型されている場合には、たとえば、基板部の長手方向の両端を
折り曲げるなどし、折り曲げられた部分を楔部とすることができる。この場合、その楔部
の先端を、面取り、切削などにより部分的に切り欠き、先端を先鋭化することができる。
具体的には、先端から根元(基板部接触部)に向け、板の厚み方向においてその対角線的
に沿って切り欠くことにより、直角三角柱形とすることや、厚み方向において二等辺三角
形となるように切り欠くことで、先端を先鋭化することができる。
本発明の骨折治療用内固定器における楔部の長さについては、対象となる骨により、ま
た当該骨にかかる外力の大きさなどによって適宜に適応され、且つ、骨に十分に嵌り込み
、ズレや外れを生じないようになるに十分な長さであることが必要である。たとえば膝蓋
骨に適用する場合には、凡そ0.5〜4cm程度が好ましく、凡そ1〜3cmであること
がさらに好ましい。
また、楔部の材質は前記した、基板部に用いられる材質と同様の材質が例示される。特
に、基板部と一体成型されている場合には、基板部と同一の材質となることが好ましい。
また、溶接、接着などにより基板部と一体化されている場合や、木ネジや釘などで基板部
の孔に差し込み実質的に基板部と一体化する場合には、基板部と異なる材質であっても差
し支えない。
次に鋼線固定具について述べる。本発明における鋼線固定具の作用は、該固定具による
鋼線への力学的作用、たとえば締め込み作用によって鋼線を押さえ、実質的に鋼線と一体
化させて固定化することである。同時に、鋼線と鋼線保持具が外れないように一体化し、
固定化する作用である。固定具による鋼線への締め込み作用による固定化については、具
体的にはネジ込み方式や押圧方式などにより力学的な鋼線への締め付け等により果たされ
る。特に、ネジによる締め込み作用を応用した一体化による固定化が好ましい。
これらの作用の具現化するための手段及び鋼線固定具の構造について具体的な例示をす
るが、本発明における鋼線固定具は以下の例示のみに限定されるものではなく、前記した
作用・機能を満足させるものであれば如何なる固定具でも差し支えない。
前記鋼線固定具としての第一の例としては、上記のように、ネジ部及び頭部を有するボ
ルトと、前記ネジ部に螺合されるナットとを有し、前記ネジ部には前記鋼線を貫通させる
第2の貫通孔が前記ネジ部の軸方向に対して直交するように形成され、前記ナットの螺合
により前記鋼線の端部が該ナットと前記ボルトの頭部との間で固定される。
また、前記第2の貫通孔は、前記頭部に寄った位置に設けられていることを特徴とする
。
また、前記ボルトは頭部が多角形のボルトである。
この場合、ナットを締め付けることにより、ボルト側の頭部内面とナット面で鋼線を押
さえつけることで、鋼線の固定化、固定具と鋼線との固定が達成され、さらには鋼線保持
具も固定される。ここにおいて、固定具により固定化された鋼線は骨の両端からの締め付
けに際し、ほぼ完全に骨折部または亀裂部を押さえ込むようにするには、ボルトの端部(
頭部)に位置する多角形体(以下、ボルト端部多角体という。)側面部分と鋼線保持具の
基板面とが当接(密着)することが好ましく、このためには、前記ナットの外径は前記ボ
ルト端部多角体の頭部の外径より小さくする。これにより、ナットによる締め付けが容易
になり、前記ボルト端部多角体の端面(側面)が前記鋼線保持具の基板部に当接した状態
で前記鋼線の端部が固定される。
このとき、鋼線を固定した、鋼線固定具のボルト端部多角体の側面及びナットの多角体
側面と鋼線保持具基板部面との間隔は、多少(膝蓋骨の施術の場合では、ほぼ1cmくら
いまで)の隙間が生じても、施術効果に実質的に問題を生じない場合もあり、この場合に
は、ボルト端部多角体外径とナットの外径が同一であっても差し支えない。
逆に、ボルトの多角体径がナットの外径よりも小さくなっても差し支えない場合もある
。ただし、これらの径の大きさの違いが余りに大きいと、好ましくなく、たとえば膝蓋骨
に適用する場合の外径の差は、1cm以下、好ましくは0.5cm以下であることが推奨
される。
このとき、該固定具のボルト部に設けた、貫通孔の内表面に窪みを設けることも推奨さ
れる。ここで言う窪みとは、表面に筋状に設けた浅い窪みである。このような窪みを形成
することで、窪み加工したボルト面と鋼線との摩擦力が増大することにより、溝面の押圧
力による鋼線固定保持効果が増大し、ボルトの回転などによるズレを防ぐ効果をもたらす
。このような窪みは、三角形の形状や四角形の形状といった、先鋭な溝形状であることが
好ましい。
次に、前記鋼線固定具の第二の例として、前記ボルトのネジ部はボルト端部多角体に接
合する部分から先端(締め付け用のナットが挿入されるボルト末端部)に向けて先細りと
なるテーパー形状とされ、該ネジ部の中心部には、先端から前記ボルト端部にかけてボル
トの長軸方向に沿って切り欠かれ、ボルトネジ部を分割する溝が第一の例のボルト上の貫
通孔に代えて、1以上、ボルトの長軸方向に沿って形成され、該溝は鋼線を通すことがで
き、かつ鋼線の外径より若干(1mm以下が好ましい。)大きい程度の幅を有する。
前記ナットの螺合により、テーパーネジを締め付けることにより、前記溝の幅間隔は狭
まり、強くネジ止めすることにより、溝内表面からの押す力により該溝に通した鋼線を締
め付ける。この結果、前記溝に嵌め込まれた前記鋼線の端部が前記溝内で固定される。こ
の際に、前記溝において、鋼線と接触する部分に、第一の例に記載したと同様な窪みのも
のを締め付ける鋼線の長軸方向に沿って形成させておいてもよい。言い換えればボルトの
長軸方向と直交するように該窪みを形成させる。
前記した、ボルトネジ部を分割する溝の例としては、テーパーネジ(雄ネジ)状とした
ボルトを2分割するように溝を設ける。該溝の幅は、ナットによる締め付け前には、鋼線
を貫通させることができる幅であり、かつ、ナットを締めつけた際には、鋼線を十分に押
え込むことができる幅である。
このように設けた溝の内表面に窪み加工を施す。窪みは、前記したように、溝内表面に
、鋼線が貫通する方向に沿って設けられる。この際、溝の形状としては、鋼線外径よりは
幾分小さい幅で、三角形や四角形状に切り欠きを設けることや、溝内表面上に、鋼線の貫
通方向に沿って、複数(各溝面に対して2以上、好ましくは5以上)の線状の窪みを設け
ることも推奨される。
このようにして、テーパーネジ状であり、かつ、溝を有したボルトをナットにより締め
付けることで、鋼線は抑えられ固定される。また、2以上の溝を設けた場合は、溝は鋼線
が貫通されなければならないことから、鋼線が貫通できるように設けることが必須である
。具体的には、たとえばボルトを等分割するように設置する場合には、2分割、4分割、
8分割というように溝を設置する必要があるが、接触効率の観点から2分割であることが
好ましい。
また、前記鋼線固定具の第三の例として、第二の例と同様に、ネジ部及び頭部(端部多
角体)を有するボルトと、前記ネジ部に螺合されるナットとを有し、前記ボルトのネジ部
は先端に向けて先細りとなるテーパー形状となっている。該ネジ部の中心部には、先端か
ら前記頭部にかけて第二の例と同様にボルトネジ部を分割するように、切り欠かれた溝が
形成され、前記ボルト端部多角体に前記ネジ部の軸方向に沿いかつ前記溝に連通させた孔
が形成され、前記ボルトの頭部の頂部が前記鋼線保持具の基板部に当接した状態で前記ナ
ットが螺合されることにより、前記鋼線の端部が前記溝の内面側で締め付けられて固定さ
れることを特徴とする。
具体的には、前記鋼線保持具に鋼線を貫通させた後、該保持具を骨に突き刺し、該ボル
ト端部多角対の端面(平面状の底面)が該保持具基板部の平面に接触するように鋼線を該
固定具に通し、その後、ナットをボルトネジ部に装着し、締め込む。ナットで締め込むこ
とにより、該ボルトの溝間隔が狭まり、鋼線を締め付けることにより、鋼線と固定具、さ
らには鋼線保持具と一体化させ、固定がなされる。
ここにおいて、第三の例における溝の形態は、ボルトのネジ部(頭部は除く)を等分割
するように設けることが好ましい。たとえば2分割した形態であれば、鋼線と接触する溝
内面は平面状であるが、3分割した場合、またはそれ以上に等分割した溝では、鋼線と接
触する部分は、それぞれ核の頂点部分で接触(つまりは線状接触となる。)する。
このような場合、形成した頂点部分を面取り加工することにより、溝と鋼線が接触する
際に、溝の平面と鋼線が接触するようになり、鋼線を締め付ける効果が増大することが期
待される。また、溝内部に形成された面に鋼線の長軸方向に沿った形で窪み(好ましくは
複数)を設けることが推奨される。窪みを設けることで、鋼線と溝内平面部分との摩擦力
が増大され、より効果的に鋼線を固定することがもたらされる。
窪みとしての形態は、前記の第一及び第二の例と同様であることが推奨される。また、
鋼線の長軸方向と同一方向に直線的に線上の浅い溝状の窪みを等間隔に複数設けること、
好ましくは3本以上、さらに好ましくは5本以上設けることが推奨される。当該窪みを設
置することで、鋼線側面と溝面との間の摩擦力は増大し、固定具の回転などによる緩みを
より防止することができる。
また、第四の例としては一般的な管(チューブなど)を結合する際に使用する、片側ユ
ニオンやスリーブの機能を応用した例である。前記鋼線固定具は、外周にネジ部を有し、
内部に貫通孔を有する、貫通型のボルト形式となっているいわゆる孔貫通型スリーブと、
内部に貫通孔を有する所謂ドーナッツ型の締め付け具となるフェラルまたはO−リング及
び貫通型内部に前記フェラルやO−リングなどを収容可能な空間を有し、頂部から前記空
間に連通させた貫通孔を有する袋ナットとを有し、前記袋ナットのネジつきユニオンタイ
プのスリーブへの締め込みにより、前記フェラルやO−リングなどが鋼線と片側ネジつき
ユニオンタイプのスリーブ内面との間に形成されている空間に押し込まれ、前記鋼線の端
部及び前記空間に食い込むことで前記鋼線の端部が固定されることを特徴とする。
具体的には、本発明でいうスリーブとは、径の中心に長軸方向に鋼線が貫通することが
できる貫通孔を有し、雄ネジを有し、ある程度の厚みを有する多角柱(通常は6角柱)の
一端部(以降頭部と呼称する。)を有する、ボルト形状の中空孔貫通型のユニオンタイプ
のスリーブである。該スリーブには、前記したように長軸方向に貫通孔(ボルトの頭部端
面から、ボルト先端面までの総てに亘る長軸方向の直線状の貫通孔)が設けられている。
外形状的には通常、管を結合させる際に用いるユニオン継ぎ手の片側のみの形状をしてい
る。
また、ボルトの頭部端面(ボルト長軸方向と垂直となる面)は鋼線保持具基板面と良好
に接触するように平面であることが好ましい。さらには、ボルト頭部端面と鋼線保持具基
板面が接合しボルト形状のユニオンタイプのスリーブと鋼線保持具が一体化していてもよ
い。この場合、該保持具基板面に形成された貫通孔とスリーブに設けられた貫通孔は、鋼
線が同時に双方の貫通孔を貫通できるように配置されている。このとき、該保持具とユニ
オンとの一体化について、本発明では特に限定されるものではないが、たとえば溶接、接
着、また保持具とユニオンが同一材料となる切り出し、削り出し、もしくは鍛造などによ
り達成することができる。
スリーブに設けられた貫通孔の形状は、特段の制限はなく円形、楕円形や多角形の孔で
あっても、フェラルによる締め付け効果が十分に発揮でき、かつ鋼線が貫通出来る形状で
あればいずれの形状であっても差し支えないが、加工上の観点、鋼線の形状やフェラルの
効果などから円形であることが推奨される。
さらに、該貫通孔の径の大きさについては、本発明においては特段の規定はしないが、
好ましい大きさについては、鋼線の径の大きさ及びフェラルの外径の大きさと形状に依存
する。具体的には、鋼線の外径に対してフェラルが接触する部分の内径において、数%〜
10数%程度大きいことが好ましいが、フェラルが接触しない部分の貫通孔の径について
は前記した大きさでもよく、好ましくは鋼線が極端な抵抗を受けずに貫通できる程度の径
である。すなわち、鋼線の外径より数%程度大きければ好ましい。
従って、このような場合には、ユニオンの袋ナットと接する先端面からある程度の深さ
(たとえば膝蓋骨用に使用する場合は数mm程度以内の範囲)は広い口径であり、それ以
降、保持具基板面までの貫通孔の口径を小さくするといった、2段型の貫通孔であること
が、フェラルによる鋼線の締め付け効果の観点から好まししい。
また、該ユニオンの貫通孔径を鋼線が上記したように極端な抵抗を受けずに貫通可能な
程度の径とし、フェラルと接触する部分の先端部をテーパー状に面取りする貫通孔も推奨
される。テーパー状に面取りすることで、後述するように、フェラルが袋ナットに押され
て、貫通孔と鋼線との隙間により食い込みやすくなり、強い鋼線の固定化が期待できる。
このとき、テーパー面の深さに関しては前記した2段型孔と大口径となる孔の深さと同
様の範囲となるか、もしくはそれより幾分浅い程度とすることが推奨される。 また、第
五の例として、第四の例と同様の構造であるが、多角形状部を挟んで、双方にボルト上の
ユニオン部を有し、長軸方向に貫通孔を有する、通常の配管継ぎ手型ユニオンであっても
本発明の鋼線固定具の構成要素となり得る。この場合、鋼線はユニオンの上下両端部二箇
所にて、前記と同様の一対の袋ナット及びフェラル又はO−リングにより、前記と同様に
して上下2箇所で鋼線が固定される。
この場合には、鋼線固定具に設けられる貫通孔やフェラルと接触する孔の末端部分の構
造は、前記した第四の例の固定具での孔の形状と同様であることが好ましい。このように
第四の例に比して、鋼線固定具は、鋼線の長軸方向に沿って長くなり、固定具自体が過大
となる可能性が高いことから、ボルト部の長さを短くするような手段を講じることが推奨
される。
次に、第四の例及び前記第五の例で例示される鋼線固定具におけるフェラルは、通常の
ユニオン継ぎ手に使用されるような形状であり、袋ナット、孔(本器具では貫通孔)など
の形状に対応付随して決定される形状及び規格であればよい。具体的なフェラルの形状と
しては、ドーナッツ状に中央部が鋼線を通過可能な大きさの孔を有し、ドーナッツ本体部
分の形状としてはユニオンの孔に入り込む方の一端が細く、袋ナット内面と接触する方の
一端が太くなるといった所謂、中空の円錐台柱型や、フェラル側面中央部が膨らんでいる
、所謂そろばん玉型であることが推奨される。
また、通常のユニオン継ぎ手において、ダブル食い込みタイプのフェラルが使用される
ことも多いが、本鋼線固定具におけるフェラルとして2個1対となるダブル食い込みタイ
プのフェラルを使用することも推奨でき、この場合にはより強固に鋼線を固定することが
できる。これに加えて、フェラルの代わりに、O−リングを用いることも推奨される。
このようなフェラルまたはO−リングの内径については、使用する鋼線を通すことが可
能な径の大きさであることが必須であるが、余りに内径が大きいと、ユニオンの貫通孔に
鋼線を挿入した際にできる、貫通孔内壁面(特にナット接触側端部)と鋼線との間にでき
る空間へ、当該フェラルやO−リングが実質的に食い込むことができなくなり、有効に鋼
線を固定することが困難となる。
従って、フェラルやO−リングの内径としては、鋼線を通すことができる程度の径の大
きさであることが好ましい。但し、あまりに鋼線に比して大きければ、鋼線を締め込み、
固定することが実質的に不可能となる恐れが生じる。また、フェラルやO−リングの素材
として可撓性材質(たとえば、バイトンやシリコーン)である場合、その内径は鋼線の外
径よりも若干小さいことが好ましい。この場合には、O−リングを拡げ、挟みながら、鋼
線に取り付け、その後、袋ナットで押さえこむことで、鋼線は効果的に固定される。
さらに、前記フェラルやO−リングの最大外径については、前記したユニオンのナット
装着部端面に位置する、貫通孔端部の内径(2段型孔の場合は端部の大きい孔径、テーパ
ー状に面取りされた場合はテーパーの開口部である径)よりも大きくいことが好ましい。
特に、中空型円錐台柱型や算盤玉型のフェラルでは、最大外径がユニオン貫通孔端部内
径よりも小さいと、固定時に袋ナットでの締め付けが有効にできない恐れがあるためであ
る。この際、使用するフェラルの厚み幅(外径と内径の差ではなく、所謂、高さ幅)が大
きく、たとえば前記したようにユニオンボルト孔開口部の構造が2段ないしはテーパー状
の場合は、ユニオン貫通孔開口部の内径の最大径より小さくても差し支えない。ただし、
フェラルやO−リングの最大径がユニオン貫通孔の最小径より小さいことは好ましくない
。
また、前記フェラルやO−リングの最大外径は、前記ボルト型ユニオンのオスネジ部の
外径及び袋ナットネジ部の内径の大きさよりも小さくすることが推奨される。これは、フ
ェラルの材質が金属などの硬いものであれば、実質的に袋ナットのよるねじ込みができな
くなり、またバイトンやシリコーンである場合、ユニオンや袋ナットのネジ部が金属材質
であると、フェラルやO−リングをネジ切るおそれがあるためである。
また、第四及び第五の例での鋼線固定具のユニオン部、ナット部の材質については、前
記した鋼線の材質と同様に、金属類である鋼などの鉄、銅(ただし銅の場合には強度(硬
度)を持たせるために焼きなまししたものが好ましい。)、ステンレス合金、チタン、チ
タン合金などが例示され、高強度樹脂なども例示されるが、腐食性、強度、脆性、生体親
和性などの観点から、ステンレス合金、チタン合金などが好ましい材質として推奨される
。また、パーフルオロポリエチレンなどのフッ素系の樹脂(商品名テフロン:登録商標)
や硬質の樹脂を用いることも推奨される。
また、フェラルやO−リングなどの材質に関しては、前記した金属材料や硬質樹脂に加
えて前記したような、バイトンやシリコーン樹脂といった可撓性樹脂を用いることも可能
である。このとき、前記した金属材料をフェラルやO−リングの材質とした場合、袋ナッ
トにより、ユニオン部へ大きな力で締め付け鋼線を固定すると、フェラルやO−リングが
鋼線に強力に密着し、一体化し、鋼線から外すことができなくなることが場合によっては
生じる。
このように、治療終了後、本発明の骨折治療用内固定器を患者から取り外す際に、鋼線
にフェラルやO−リングが密着し外すことができないときには、前記のフェラルやO−リ
ングの形状や大きさであると、実質的に袋ナット部は除去することができてもユニオン部
の貫通孔をフェラルが通過できない事態が生じる恐れが大きい。
鋼線からフェラルやO−リングが外せない場合には、ユニオン部の貫通孔を通して、鋼
線を取り除くことができない。このような場合には、フェラルやO−リングを切断などに
より除去する、もしくはフェラル密着部とユニオン部との間若しくはユニオン頭部と骨と
の間で鋼線を切断する必要がある。実質的に鋼線を前記部分で切断することは非常に困難
であり、フェラルやO−リングを除去することが好ましい。
フェラルの材質が上記した金属材料である場合には、切断などの破壊は困難である。こ
ういった場合には、フェラルの材質をテフロン(登録商標)(一般名:パーフルオロポリ
エチレン)や一般名バイトン、シリコーン樹脂といった可撓性樹脂材質とし、カッターナ
イフなどの刃物により切断可能な材質を選択することが好ましい。ただし、フェラルの場
合には、バイトン材質やシリコーン材質については、軟質ではなく硬質のものが好ましい
。
第四及び第五の例における鋼線固定具に用いる袋ナットは、前記ユニオンのボルト部に
ねじ込むナットであり、ボルト部先端面及びフェラルまたはO−リングを覆うように、蓋
面を有している。
該蓋面には、該ナットをユニオンにネジ込み、装着した際にユニオンに設けられた貫通
孔と同心円等となる位置、つまりは直線棒状の鋼線がユニオンの孔を貫通し、且つ、袋ナ
ットの穴を貫通することができるように貫通孔が設けられている。この際に、該貫通孔の
大きさは、前記する鋼線が貫通可能な大きさであることが要求される。さらに、ユニオン
と共に装着するフェラルの最大外径よりは小さい径である。
この範囲の規格であれば、鋼線、鋼線が貫通した鋼線保持具及び鋼線を貫通させた鋼線
固定具のユニオン部を装着し、さらに鋼線を通してユニオン部のボルト部分の端面に装着
したフェラルを該袋ナットで締め込み、袋ナットの袋ナット蓋内面により、ユニオン部の
ボルト部分の内面と鋼線との間に形成する隙間にフェラルを押し込み、食い込ませること
により、鋼線と鋼線固定具との固定が達成される。
また、第六の例として、前記鋼線外周には、軸方向に沿って雄ネジ部が設けられ、前記
鋼線固定具は、前記雄ネジ部に螺合されるナットを有し、前記ナットの螺合により前記鋼
線の端部が該ナットにより固定されることを特徴とする。この例では、ナットの雌ネジ部
に鋼線の雄ネジ部が噛み合うことで、鋼線の端部がナットにより固定される。このとき、
鋼線に設けられた雄ネジは、鋼線全体に設けてもよいし、ナットが螺合される部分を中心
にその前後に亘る部分にみに設けても差し支えない。
従って、ナット自体が本発明でいう鋼線固定具となり得る。この場合、対象となる骨部
位によっては、太い鋼線を使用できない場合があり、細い鋼線を雄ネジにネジ切りするこ
とは、鋼線の耐久性や加工上の問題が生じる恐れがある。この際に、ナットと保持具との
間にナットを更に使用することも、締め付けの効果を大きくし得るために推奨される。
要するに、本発明の骨折治療用内固定器では、治療対象部位に対し、鋼線が骨折部位を
跨ぐように貫通され、鋼線の端部を保持する鋼線保持具が治療対象部位の骨折部位を挟む
箇所に固定され、鋼線固定具により鋼線保持具上で鋼線の端部が固定される。
また、鋼線が治療対象部位に対し骨折部位を跨ぐように貫通されることから、切開は治
療対象部位の骨折部位を挟む箇所に固定される鋼線保持具の大きさ程度であればよいこと
になる。
これに加えて、前記した鋼線固定具のうち、第一の例及び第六の例については、ナット
と共に、ワッシャー(座金)を併用することで、よりボルト部分とナット部分の締め付け
を良くし、ナットの緩みを防止する等の効果により固定する効果が得られることも期待で
きる。また、本発明における鋼線固定具においてナットが使用される場合には、ナットを
2個使用する、ダブルナット押さえを行うことでも、ナットの緩みを防止することに効果
をもたらす。
以下、本発明の骨折治療用内固定器の第1実施形態(前記の鋼線固定具の第一の例の具体的例)を、図1〜図5を参照しながら説明する。なお、以下に説明する治療対象は、たとえば膝蓋骨であるものとする。まず、図1及び図2に示すように、第1実施形態での骨折治療用内固定器(以下、内固定器という)は、骨接合用のステープラー10、キルシュナー鋼線20、バックアウト現象防止用のネジセット30を備えている。なお、図1及び図2において、符号40は膝蓋骨を示し、符号40aは一方の骨片を示し、符号40bは他方の骨片を示し、符号40cは亀裂部を示している。
次に、図6及び図7を参照し、上述の隙間を無くすようにした場合の第2実施形態(前記の鋼線固定具の第一の例の具体的例)について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態での鋼線固定具の構成を変えた場合を説明するものであって、ナット32の外径の大きさが、ボルト31の頭部31aの外径の大きさより小さくなっている。また、図6(a)は内固定器を側面から見た状態を示し、図6(b)は図6(a)の内固定器を右方向から見た状態を示している。また、以下に説明する図において、図1〜図5と共通する部分には同一符号を付し重複する説明は適宜行うものとする。
次に、図8及び図9を参照し、鋼線固定具であるネジセット30のボルト31の形状をさらに変えた場合の第3実施形態(前記の鋼線固定具の第二の例の具体的例)について説明する。第3実施形態は、第2実施形態でのたとえば図7(a)に示すネジセット30のボルト31のネジ部31bの構成を変えた場合を示している。また、図8(a)は内固定器を側面から見た状態を示し、図8(b)は図8(a)の内固定器を右方向から見た状態を示している。
次に、図10及び図11を参照し、鋼線固定具であるネジセット30のボルト31の形状をさらに変えた場合の第4実施形態(前記の鋼線固定具の第三の例の具体的例)について説明する。なお、第4実施形態では、第3実施形態でのネジセット30のボルト31の構成を変えている。また、図10(a)は内固定器を側面から見た状態を示し、図10(b)は内固定器を正面から見た状態を示し、図10(c)は内固定器を真上から見た状態を示している。
次に、図12〜図15を参照し、ネジセット30を袋ナットスリーブセットに変えた場合の第5実施形態(前記の鋼線固定具の第四の例の具体的例)について説明する。なお、図12(a)は袋ナットを真上から見た状態を示し、同図(b)はその袋ナットを側面から見た状態を示し、同図(c)はフェラルを真上から見た状態を示し、同図(d)はそのフェラルを側面から見た状態を示し、同図(e)はスリーブを真上から見た状態を示し、同図(f)はそのスリーブを側面から見た状態を示している。
次に、図16を参照し、図12の骨折治療用内固定器の鋼線固定器具(袋ナットスリーブセット)の構成を変えた場合の第6実施形態(前記の鋼線固定具の第五の例の具体的例)について説明する。
次に、図17を参照し、ネジセット30のボルト31を省いた場合の第7実施形態(前記の鋼線固定具の第六の例の具体的例)について説明する。すなわち、図17(a)に示すように、キルシュナー鋼線20の外周には、軸方向に沿って雄ネジ部21が設けられている。なお、雄ネジ部21にあっては、キルシュナー鋼線20の一端部20a(又は他端部20b)のみに設けられているようにしてもよい。ナット32には、キルシュナー鋼線20の一端部20a(又は他端部20b)の雄ネジ部21に螺合される雌ネジ部(図示省略)が形成されている。
11 基板部
12 楔部
13 貫通孔
20 キルシュナー鋼線
20a 一端部
20b 他端部
30 ネジセット
30A、30B 袋ナットスリーブセット
31 ボルト
31a 頭部
31b ネジ部
31c 貫通孔
31d 端面
31e ネジ部
31f 溝
31g 丸孔
31h 頂部
32 ナット
33、34 ワッシャー
35、35A スリーブ
35a フランジ部
35b 軸部
35c、35d 貫通孔
35e ネジ部
36 袋ナット
36a 雌ネジ部
36b 貫通孔
36c 空間
36d 頂部
37 フェラル
37a 先端部
37b 貫通孔
40 膝蓋骨
40a 一方の骨片
40b 他方の骨片
40c 亀裂部
Claims (13)
- 骨折治療に用いる骨折治療用内固定器であって、
治療対象部位に対し、骨折部位を跨ぐように貫通される鋼線と、
前記治療対象部位の前記骨折部位を挟む骨の両端箇所に差し込むことで固定され、前記
鋼線の両端部を保持する一対の鋼線保持具と、
該鋼線保持具上で前記鋼線の両端部を力学的手段により固定する鋼線固定具とを備え、
前記鋼線固定具は、
ネジ部及び頭部を有するボルトと、
前記ネジ部に螺合されるナットとを有し、
前記ネジ部には前記鋼線を貫通させる第2の貫通孔が前記ネジ部の軸方向に対して直交するように形成され、
前記ナットの螺合により前記鋼線の端部が該ナットと前記ボルトの頭部との間で固定される
ことを特徴とする骨折治療用内固定器。 - 前記鋼線保持具は、
前記鋼線を貫通させる第1の貫通孔が形成された基板部と、
該基板部に前記第1の貫通孔の向きに沿って具備された楔部とを有し、
前記楔部が前記治療対象部位に食い込み可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の骨折治療用内固定器。 - 前記力学的手段が、ネジの作用により鋼線を押圧することであることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨折治療用内固定器。
- 前記第2の貫通孔は、前記頭部に寄った位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の骨折治療用内固定器。
- 前記ボルトは多角形ボルトであり、
前記ナットの外径は前記ボルトの頭部の外径より小さくされており、
前記ボルトの頭部の側方端面が前記鋼線保持具の基板部に当接した状態で前記鋼線の端部が固定される
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の骨折治療用内固定器。 - 骨折治療に用いる骨折治療用内固定器であって、
治療対象部位に対し、骨折部位を跨ぐように貫通される鋼線と、
前記治療対象部位の前記骨折部位を挟む骨の両端箇所に差し込むことで固定され、前記鋼線の両端部を保持する一対の鋼線保持具と、
該鋼線保持具上で前記鋼線の両端部を力学的手段により固定する鋼線固定具とを備え、
前記鋼線固定具は、
ネジ部及び頭部を有するボルトと、
前記ネジ部に螺合されるナットとを有し、
前記ボルトは多角形ボルトの形状であり、且つ、
前記ボルトのネジ部は先端に向けて先細りとなるテーパー形状とされ、且つ、
該ネジ部の中心部には、ボルトネジ部を分割するように、先端から前記多角形ボルトの
頭部にかけて切り欠かれた溝が形成され、
該多角形ボルトへのナットの螺合により、前記溝に嵌め込まれた前記鋼線の端部が、前記溝の幅が狭められ、溝内面により押圧されることで、前記溝内で固定される
ことを特徴とする骨折治療用内固定器。 - 前記鋼線固定具は、
ネジ部及び頭部を有するボルトと、
前記ネジ部に螺合されるナットとを有し、
前記ボルトのネジ部は先端に向けて先細りとなるテーパー形状とされ、
該ネジ部の中心部には、先端から前記頭部にかけて切り欠かれた溝が形成され、
前記頭部に前記ネジ部の軸方向に沿いかつ前記溝に連通させた丸孔が形成され、
前記ボルトの頭部の頂部が前記鋼線保持具の基板部に当接した状態で前記ナットが螺合されることにより、前記溝の内面により押圧されることで、前記鋼線の端部が前記溝の先端側で固定される
ことを特徴とする請求項6に記載の骨折治療用内固定器。 - 骨折治療に用いる骨折治療用内固定器であって、
治療対象部位に対し、骨折部位を跨ぐように貫通される鋼線と、
前記治療対象部位の前記骨折部位を挟む骨の両端箇所に差し込むことで固定され、前記鋼線の両端部を保持する一対の鋼線保持具と、
該鋼線保持具上で前記鋼線の両端部を力学的手段により固定する鋼線固定具とを備え、
前記鋼線固定具は、
外周にネジ部を有し、内部に第3の貫通孔を有するスリーブと、
内部に第4の貫通孔を有し、前記第3の貫通孔と貫通した鋼線との間に形成される隙間に先端部側が嵌め込まれるフェラル又はO−リングと、
内部に前記フェラル又はO−リングを収容可能な空間を有し、頂部から前記空間に連通させた第5の貫通孔を有する袋ナットとを有し、
前記袋ナットの締め込みにより、前記フェラル又はO−リングが前記鋼線の端部及び前記第3の貫通孔と鋼線との間で形成される隙間に食い込むことで前記鋼線の端部が固定される
ことを特徴とする骨折治療用内固定器。 - 骨折治療に用いる骨折治療用内固定器であって、
治療対象部位に対し、骨折部位を跨ぐように貫通される鋼線と、
前記治療対象部位の前記骨折部位を挟む骨の両端箇所に差し込むことで固定され、前記鋼線の両端部を保持する一対の鋼線保持具と、
該鋼線保持具上で前記鋼線の両端部を力学的手段により固定する鋼線固定具とを備え、
前記鋼線固定具は、
外周にネジ部を有し、内部に第3の貫通孔を有し、フランジを挟んで、両側が雄ネジとなるボルト部を有するユニオンタイプのスリーブと、
内部に第4の貫通孔を有し、双方のボルト部の端部にある前記第3の貫通孔と貫通した鋼線との間に形成される隙間に先端部側が嵌め込まれる1対のフェラル又はO−リングと、
内部に前記フェラル又はO−リングを収容可能な空間を有し、頂部から前記空間に連通させた第5の貫通孔を有する1対の袋ナットとを有し、
前記袋ナットの締め込みにより、前記フェラル又はO−リングが前記鋼線の端部及び前記第3の貫通孔と鋼線との間で形成される隙間に食い込むことで前記鋼線の端部が固定される
ことを特徴とする骨折治療用内固定器。 - 前記フェラル又はO−リングは、硬質樹脂よりなることを特徴とする請求項8又は9に記載の骨折治療用内固定器。
- 前記硬質樹脂は、テフロン(登録商標)であることを特徴とする請求項10に記載の骨折治療用内固定器。
- 前記フェラル又はO−リングは可撓性の樹脂よりなることを特徴とする請求項8又は9に記載の骨折治療用内固定器。
- 前記可撓性の樹脂は、シリコーン樹脂又はバイトン樹脂であることを特徴とする請求項12に記載の骨折治療用内固定器。
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