JP6615901B2 - 転写フィルム、静電容量型入力装置の電極保護膜、積層体、積層体の製造方法および静電容量型入力装置 - Google Patents
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Description
静電容量型入力装置の電極パターンや枠部にまとめられた引き回し配線(例えば銅線などの金属配線)などを保護する等の静電容量型入力装置の電極保護膜として、指などで入力する表面とは反対側に透明樹脂層が設けられている。
静電容量型入力装置の透明絶縁層または透明保護層を、転写フィルムから硬化性透明樹脂層を転写して形成する方法が知られている。例えば、特許文献1には、仮支持体と、第一の硬化性透明樹脂層と、第一の硬化性透明樹脂層に隣接して配置された第二の硬化性透明樹脂層とをこの順で有し、第二の硬化性透明樹脂層の屈折率が第一の硬化性透明樹脂層の屈折率よりも高く、第二の硬化性透明樹脂層の屈折率が1.6以上である転写フィルムを、静電容量型入力装置の透明絶縁層用または透明保護層用の転写フィルムとして用いることが記載されている。
特許文献2には、基板フィルム上に、硬化性組成物の全固形分を100質量%としたときに、全固形分に対して下記(A)を50〜99質量%及び下記(B)を1〜50質量%含有する硬化性組成物を硬化して形成される層を有する光学フィルム;
(A)環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物及びフルオレン環とエチレン性不飽和基とを有する化合物の少なくともいずれか;
(B)ロジン化合物;
が記載されている。特許文献2によれば、この構成により透湿度を低減した光学フィルムを提供することができると記載されている。また、この光学フィルムを偏光板の偏光子の保護フィルムとして用いることで、高温高湿環境経時後の光漏れ発生が抑えられた液晶表示装置を提供することができると記載されている。
しかしながら、液晶表示装置の内部に配置された偏光板の偏光子の保護フィルムは人間が指で触った後に湿熱環境下で使用されることが想定されない用途であり、液晶表示装置の内部に配置された偏光板の偏光子の保護フィルムでは、硬化後の塩水付与後の湿熱耐性が課題となることはない。実際、特許文献2は塩水付与後の湿熱耐性の課題に着目していなかった。
また、特許文献2には硬化性組成物を静電容量型入力装置の用途に用いることを示唆する記載もなかった。そのため、液晶表示装置の内部に配置された偏光板の偏光子の保護フィルム用の硬化性組成物を静電容量型入力装置の用途に転用することは、これまで当業者は検討していなかった。
また、この転写フィルムを用いた静電容量型入力装置の電極保護膜、積層体、この積層体の製造方法、およびこの積層体を含む静電容量型入力装置を提供することである。
なお、特許文献1は、転写フィルムにロジン化合物を用いることについて記載がなかった。特許文献2は、ロジン化合物を含む硬化性組成物を静電容量型入力装置の電極保護膜や、仮支持体を有する転写フィルムに用いることについて記載がなかった。
[1] 仮支持体と、仮支持体の上に位置する感光性透明樹脂層とを有し、
感光性透明樹脂層が(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤および(D)ロジン化合物を含む、転写フィルム。
[2] [1]に記載の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、ロジン、水添ロジン、酸変性ロジンおよびエステル化ロジンから選ばれる1種類以上のロジン化合物であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、アビエチン酸およびアビエチン酸誘導体、パラストリン酸およびパラストリン酸誘導体、イソピマール酸およびイソピマール酸誘導体から選ばれる1種類以上の化合物を含むことが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、ロジンまたは水添ロジンであることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、感光性透明樹脂層の固形分中の45質量%以下含まれることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の転写フィルムは、感光性透明樹脂層上に、第二の透明樹脂層を有し、
第二の透明樹脂層の屈折率が、感光性透明樹脂層の屈折率よりも高いことが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の転写フィルムは、感光性透明樹脂層の厚みが20μm以下であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の転写フィルムは、静電容量型入力装置の電極保護膜に用いられることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一つに記載の転写フィルムから、仮支持体が取り除かれた静電容量型入力装置の電極保護膜。
[10] [1]〜[8]のいずれか一つに記載の転写フィルムを用いて、静電容量型入力装置の電極を含む基板上に転写フィルムの感光性透明樹脂層を転写することにより形成される、積層体。
[11] 静電容量型入力装置の電極を含む基板と、
基板の上に位置する感光性透明樹脂層とを有する積層体であって、
感光性透明樹脂層が、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)ロジン化合物を含む、積層体。
[12] [10]または[11]に記載の積層体は、静電容量型入力装置の電極が、透明電極パターンであることが好ましい。
[13] [10]〜[12]のいずれか一つに記載の積層体は、感光性透明樹脂層の厚みが20μm以下であることが好ましい。
[14] [1]〜[8]のいずれか一つに記載の転写フィルムを用いて、静電容量型入力装置の電極を含む基板上に転写フィルムの感光性透明樹脂層を転写する工程を含む、積層体の製造方法。
[15] [14]に記載の積層体の製造方法は、基板が、透明フィルム基板であることが好ましい。
[16] [14]または[15]に記載の積層体の製造方法で製造される、積層体。
[17] [10]〜[13]および[16]のいずれか一つに記載の積層体を含む、静電容量型入力装置。
また、この転写フィルムを用いた静電容量型入力装置の電極保護膜、積層体、この積層体の製造方法、およびこの積層体を含む静電容量型入力装置を提供することができる。
特に断りが無い限り、本明細書中の屈折率は550nmの波長における屈折率を表す。
なお、本明細書において透明とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味する。したがって、透明な層とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が80%以上である層を指す。透明な層の波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率は、90%以上であることが好ましい。
本発明の転写フィルム、または、転写フィルムの透明な層の波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U−3310を用いて測定する。
本発明の転写フィルムは、仮支持体と、仮支持体の上に位置する感光性透明樹脂層とを有し、
感光性透明樹脂層が(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤および(D)ロジン化合物を含む、転写フィルムである。
この構成により、本発明の転写フィルムは、透湿度が小さく、塩水付与後の湿熱耐性が優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できる。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、ロジン化合物を添加することにより、透湿度を下げることができ、かつ、塩水も感光性透明樹脂層を通過しにくくなる。いずれも疎水的なロジン化合物が、感光性透明樹脂層を用いた膜中の水の通り道をふさぐためと推定される。
転写フィルムが5層積層された測定サンプルの透湿度が、500g/m2/day(g/m2/24時間)未満であることが好ましく、400g/m2/day未満であることがより好ましく、300g/m2/day未満であることが特に好ましく、250g/m2/day未満であることがより特に好ましい。
転写フィルムに用いられる仮支持体としては特に制限はない。
仮支持体の厚みは、特に制限はなく、5〜200μmの範囲が一般的であり、取扱い易さ、汎用性などの点で、特に10〜150μmの範囲が好ましい。
仮支持体としてはフィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。
仮支持体として用いられるフィルムとしては、可撓性を有し、加圧下または、加圧および加熱下で著しい変形、収縮もしくは伸びを生じない材料を用いることができる。この性質を満たす仮支持体の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
また、仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
感光性透明樹脂層は、光硬化性であっても、熱硬化性かつ光硬化性であってもよい。その中でも、感光性透明樹脂層および後述の第二の透明樹脂層は熱硬化性透明樹脂層かつ光硬化性透明樹脂層であることが、転写後に光硬化して製膜しやすく、かつ、製膜後に熱硬化して膜の信頼性および塩水付与後の湿熱耐性を付与できる観点から好ましい。
感光性透明樹脂層がアルカリ可溶性であることが好ましい。樹脂層がアルカリ可溶性であることは、弱アルカリ水溶液により溶解することを意味し、弱アルカリ水溶液により現像可能であることが好ましい。
本発明の転写フィルムは、前述の感光性透明樹脂層の厚みが、20μm以下であることが、静電容量型入力装置の薄型化の点から電極保護膜の厚みを薄くし、かつ、現像残渣を改善できるために、好ましい。前述の感光性透明樹脂層は静電容量型入力装置の画像表示部分に使用されることが好ましく、その場合は高透明性および高透過率化が重要であり、感光性透明樹脂層の厚みが十分に薄いことで感光性透明樹脂層の吸収に起因する透過率の低下が生じにくくなり、また、短波長の光が吸収されにくくなることで黄着色化も生じにくくなる。
感光性透明樹脂層の厚みは1〜20μmであることがより好ましく、2〜16μmであることが特に好ましく、2〜12μmであることがより特に好ましい。感光性透明樹脂層の厚みが十分に厚いことで、転写後の感光性透明樹脂層(特に露光、現像、加熱した後)の透湿度を小さくでき、かつ、塩水付与後の湿熱耐性を改善することができる。
感光性透明樹脂層の厚みは、後述の実施例に記載の方法で求める。
本発明の転写フィルムは、前述の感光性透明樹脂層の屈折率が、1.50〜1.53であることが好ましく、1.50〜1.52であることがより好ましい。
本発明の転写フィルムの感光性透明樹脂層は、ネガ型材料であってもポジ型材料であってもよい。
本発明の転写フィルムの感光性透明樹脂層がネガ型材料であることが好ましい。
本発明の転写フィルムは、感光性透明樹脂層に(A)バインダーポリマーを含む。
感光性透明樹脂層のバインダーポリマーがアクリル樹脂であることが好ましい。
感光性透明樹脂層に含まれるバインダーポリマーが、アクリル樹脂であることが好ましい。感光性透明樹脂層に含まれるバインダーポリマーと後述の第二の透明樹脂層に含まれるバインダーポリマーがいずれもアクリル樹脂を含有することが、感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層を転写する前および後の層間密着性を高める観点からより好ましい。
感光性透明樹脂層に用いられるバインダーポリマーの好ましい範囲を具体的に説明する。
バインダーポリマーが酸基を有する樹脂である場合、バインダーポリマーの酸価は特に制限はなく、60mgKOH/g以上であることが好ましく、60〜200mgKOH/gであることがより好ましく、60〜180mgKOH/gであることが特に好ましく、70〜150mgKOH/gであることがより特に好ましい。
本発明におけるバインダーポリマーの酸価は、以下の文献等に記載の計算方法により算出した理論酸価の値を用いる。特開2004−149806号公報[0063]、特開2012−211228号公報[0070]。
前述の感光性透明樹脂層に用いられる、酸基を有する樹脂であるバインダーポリマー(「バインダー」、または、「ポリマー」とも言う)としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無く、公知のものの中から適宜選択できる。特開2011−95716号公報の段落0025に記載のポリマー(このうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるバインダーポリマーが好ましい)、特開2010−237589号公報の段落0033〜0052に記載のポリマー(このうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるバインダーポリマーが好ましい)を用いることが好ましい。また、酸基を有する樹脂であるバインダーポリマーとしては、後述の実施例で用いる化合物Gが特に好ましい。化合物Gは、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂である。
使用できるポリマー粒子としてはアクリル系、酢酸ビニル系、ゴム系(例えばスチレン−ブタジエン系、クロロプレン系)、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系などのポリマー、及びこれらの共重合体からなるポリマー粒子が好ましい。
ポリマーラテックスから形成されるバインダーポリマーは、ポリマー粒子を構成するポリマー鎖相互間の結合力を強くすることが好ましい。ポリマー鎖相互間の結合力を強くする手段としては水素結合に起因して生じる相互作用を利用する手段と共有結合を生成する手段が挙げられる。
バインダーポリマーが有する極性基(好ましくは酸基)としては、カルボキシ基(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、部分エステル化マレイン酸等に含有される)、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム塩基、スルホン酸基(スチレンスルホン酸基など)などが挙げられる。バインダーポリマーは、極性基として少なくともカルボキシ基を有することが好ましい。カルボキシ基を有するバインダーポリマーと、(E)加熱により酸と反応可能な化合物を併用して熱架橋する結果、3次元架橋密度が高まることに加え、カルボキシ基を有するバインダーポリマーのカルボキシ基が無水化して疎水化すること等が、塩水付与後の湿熱耐性の改善に寄与すると推定される。
バインダーポリマー中、これらの極性基を有するモノマー由来の構成単位の共重合比の好ましい範囲はバインダーポリマー100質量%に対し5〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは20〜30質量%の範囲内である。
本発明に用いることができるポリマーラテックスとしては、例えば、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム(商品名:ジュリマーAT−210 東亞合成(株)製)、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム(商品名:ジュリマーET−410 東亞合成(株)製)、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム(商品名:ジュリマーAT−510 東亞合成(株)製)、ポリアクリル酸(商品名:ジュリマーAC−10L 東亞合成(株)製)をアンモニアで中和し、乳化した物を挙げることができる。
感光性透明樹脂層に含まれる他のバインダーポリマーとしては任意のポリマー成分を特に制限なく用いることができ、静電容量型入力装置の透明保護膜として用いる観点から、表面硬度および耐熱性が高いものが好ましく、アルカリ可溶性樹脂がより好ましい。極性基(酸基)を有する樹脂以外の他のバインダーポリマーであるアルカリ可溶性樹脂としては、公知の感光性シロキサン樹脂材料などを挙げることができる。
本発明の転写フィルムは、感光性透明樹脂層が、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を含む。エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物は、光重合性基として少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有していればよく、エチレン性不飽和基に加えてエポキシ基などを有していてもよい。感光性透明樹脂層の光重合性化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
転写フィルムに使用する光重合性化合物は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いることが、転写後の感光性透明樹脂層を露光した後の塩水付与後の湿熱耐性を改善する観点から好ましい。本発明の転写フィルムに使用する光重合性化合物は、3官能以上の光重合性化合物と2官能の光重合性化合物を組みあわせて使用することが転写後の感光性透明樹脂層を露光した後の塩水付与後の湿熱耐性を改善する観点から、好ましい。2官能の光重合性化合物はすべての光重合性化合物に対して10〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、20〜85質量%の範囲で使用することがより好ましく、30〜80質量%の範囲で使用することが特に好ましい。3官能以上の光重合性化合物はすべての光重合性化合物に対して10〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、15〜80質量%の範囲で使用することがより好ましく、20〜70質量%の範囲で使用することが特に好ましい。転写フィルムは、前述の光重合性化合物として、2つのエチレン性不飽和基を有する化合物および少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むことが好ましく、2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物および少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含むことがより好ましい。
また、転写フィルムは、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の少なくとも1種類がカルボキシ基を含有することが、バインダーポリマーのカルボキシ基と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物のカルボキシ基とがカルボン酸無水物を形成して、さらに塩水付与後の湿熱耐性を改善できる観点から好ましい。カルボキシ基を含有するエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、特に限定されず、市販の化合物が使用できる。例えば、アロニックスTO−2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM−520(東亞合成(株)製)、アロニックスM−510(東亞合成(株)製)などを好ましく用いることができる。カルボキシ基を含有するエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物はすべての光重合性化合物に対して1〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜30質量%の範囲で使用することがより好ましく、5〜15質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
前述の光重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート化合物の混合量はすべての光重合性化合物に対して10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート化合物は光重合性基の官能基数、すなわち(メタ)アクリロイル基の数が3官能以上であることが好ましく、4官能以上であることがより好ましい。
2官能のエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物は、エチレン性不飽和基を分子内に2つ持つ化合物であれば特に限定されず、市販の(メタ)アクリレート化合物が使用できる。例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP 新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP 新中村化学工業(株)製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(A−NOD−N 新中村化学工業(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N 新中村化学工業(株)製)などを好ましく用いることができる。
3官能以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物は、エチレン性不飽和基を分子内に3つ以上持つ化合物であれば特に限定されず、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート等の骨格の(メタ)アクリレート化合物が使用できるが、(メタ)アクリロイル基間の距離が長いものが好ましい。具体的には、前述のジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート等の骨格の(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬製KAYARAD DPCA、新中村化学工業製A−9300−1CL等)、アルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬製KAYARAD RP−1040、新中村化学工業製ATM−35E、A−9300、ダイセル・オルネクス製 EBECRYL 135等)等を好ましく用いることができる。また、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、8UX−015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA−32P(新中村化学工業(株)製)、UA−1100H(新中村化学工業(株)製)などを好ましく用いることができる。
転写フィルムに使用する光重合性化合物は、重量平均分子量が200〜3000であることが好ましく、250〜2600であることがより好ましく、280〜2200であることが特に好ましい。
本発明の転写フィルムは、感光性透明樹脂層が、(C)光重合開始剤を含む。前述の感光性透明樹脂層が、前述の光重合性化合物および前述の光重合開始剤を含むことによって、感光性透明樹脂層のパターンを形成しやすくすることができる。
感光性透明樹脂層に用いられる光重合開始剤としては、特開2011−95716号公報に記載の段落0031〜0042に記載の光重合開始剤を用いることができる。例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE−01、BASF製)の他、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE−02、BASF製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 907、BASF製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:IRGACURE 369、BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF製)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:IRGACURE 651、BASF製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン株式会社製)などを好ましく用いることができる。
前述の感光性透明樹脂層中、前述の感光性透明樹脂層に対して、前述の光重合開始剤は、1質量%以上含まれることが好ましく、2質量%以上含まれることがより好ましい。前述の感光性透明樹脂層中、前述の感光性透明樹脂層に対して、前述の光重合開始剤は、10質量%以下含まれることが好ましく、5質量%以下含まれることが本発明の積層体のパターニング性を改善する観点からより好ましい。
本発明の転写フィルムは、感光性透明樹脂層が(D)ロジン化合物を含む。
ロジン化合物としては特に制限はなく、公知のロジン化合物を用いることができる。
本発明の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、ロジン、水添ロジン(水素化ロジンとも称する)、酸変性ロジンおよびエステル化ロジン(ロジンエステルとも称する)から選ばれる1種類以上のロジン化合物であることが好ましい。本発明の転写フィルムは、(D)ロジン化合物が、ロジンまたは水添ロジンであることが、極性が小さいために感光性透明樹脂層に含まれる極性を有する化合物を少なくでき、透湿度が小さく、塩水付与後の湿熱耐性が優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できる観点からより好ましく、水添ロジンであることが特に好ましい。
感光性透明樹脂層に含まれる全ロジン化合物に対して、アビエチン酸およびアビエチン酸誘導体、パラストリン酸およびパラストリン酸誘導体、イソピマール酸およびイソピマール酸誘導体から選ばれる1種類以上の化合物の割合が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
上記エステル化ロジン(ロジンエステル)としては市販品も用いることができる。例えば、スーパーエステルE−720、スーパーエステルE−730−55、スーパーエステルE−650、スーパーエステルE−786−60、タマノルE−100、エマルジョンAM−1002、エマルジョンSE−50(以上全て商品名、特殊ロジンエステルエマルジョン、荒川化学工業(株)製)、スーパーエステルL、スーパーエステルA−18、スーパーエステルA−75、スーパーエステルA−100、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、スーパーエステルT−125(以上全て商品名、特殊ロジンエステル、荒川化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、エステルガムAAG、エステルガムAAL、エステルガムA、エステルガムAAV、エステルガム105、エステルガムHS、エステルガムAT、エステルガムH、エステルガムHP、エステルガムHD、ペンセルA、ペンセルAD、ペンセルAZ、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ペンセルKK(以上全て商品名、ロジンエステル系樹脂、荒川化学工業(株)製)が挙げられる。
荒川化学工業(株)製のロジン誘導体としては、ロンヂスR、ロンヂスK−25、ロンヂスK−80、ロンヂスK−18を挙げることができる。
荒川化学工業(株)製の超淡色系ロジン誘導体としては、パインクリスタルPR−580(水添ロジン)、パインクリスタルKR−85、パインクリスタルKR−120、パインクリスタルKR−612、パインクリスタルKR−614、パインクリスタルKE−100(エステル化ロジン)、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604(酸変性ロジン)、パインクリスタル30PX、パインクリスタルD−6011、パインクリスタルD−6154、パインクリスタルD−6240、パインクリスタルKM−1500、パインクリスタルKM−1550を挙げることができる。
荒川化学工業(株)製の重合ロジンとしては、アラダイムR−140、アラダイムR−95を挙げることができる。
荒川化学工業(株)製の水素化ロジンとしては、ハイペールCHを挙げることができる。
荒川化学工業(株)製のロジンアクリレートとしては、ビームセット101を挙げることができる。
酸価が上記範囲のロジン化合物としては、前出のロジンまたは水添ロジンを挙げることができる。
転写フィルムは、感光性透明樹脂層が、(E)加熱により酸と反応可能な化合物を含むことが好ましく、下記条件1および下記条件2のうち少なくとも一方を満たすことがより好ましい。
条件1:感光性透明樹脂層が、(E)加熱により酸と反応可能な化合物を含み、(E)加熱により酸と反応可能な化合物が分子内に親水性基を持つ。
条件2:感光性透明樹脂層が、さらに(F)エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物を含む。
塩水付与後の湿熱耐性を改善する方法を本発明者らが検討したところ、バインダーポリマーと、ブロックイソシアネートやエポキシ化合物等の加熱により酸と反応可能な化合物を用いた感光性透明樹脂層を用いることが有効であることがわかった。
しかしながら、ある粘度範囲のブロックイソシアネートやエポキシ化合物等の加熱により酸と反応可能な化合物を用いた感光性透明樹脂層を露光および現像して得られたパターンを観察したところ、未露光部に現像残渣として残る場合があることがわかった。このように未露光部に現像残渣が残ると、静電容量型入力装置に組み込んだ際に粒子状の異物が観察されてしまい、いわゆる現像後の面状故障が発生してしまうことがわかった。ある特定化合物存在下において生じた現像残渣の問題については、静電容量型入力装置の電極保護膜の分野では検討されていなかった新規課題であり、バインダーポリマーと加熱により酸と反応可能な化合物を用いた感光性透明樹脂層を用いて静電容量型入力装置の電極保護膜を作製した場合にはじめて生じる課題であった。
このように塩水付与後の湿熱耐性と、現像残渣も含めた現像性がともに優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できる転写フィルムは、これまで知られていなかった。
バインダーポリマーと分子内に親水性基を持つ加熱により酸と反応可能な化合物を併用した感光性透明樹脂層を用いること、あるいは、バインダーポリマーと酸と反応可能な化合物と特定の親水性基を持つ化合物とを併用した感光性透明樹脂層を用いることによって、塩水付与後の湿熱耐性と現像残渣がともに優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できる。
いかなる理論に拘るものでもないが、バインダーポリマーと加熱により酸と反応可能な化合物を用いて現像性を高めた場合でも、本発明の構成であれば光(紫外線)照射および加熱後の感光性透明樹脂層の内部では塩水を十分に遮断できる程度まで光重合性化合物が密に架橋構造を形成していると予測され、転写後の感光性透明樹脂層を露光した後の塩水付与後の湿熱耐性が改善できると推定される。
一方、本発明者らは、バインダーポリマーと加熱により酸と反応可能な化合物を用いた感光性透明樹脂層を露光および現像して得られた透明樹脂層のパターンに未露光部に現像残渣として残る場合があるのは、親油性が高い加熱により酸と反応可能な化合物を用いた場合であることを見出した。そのため、加熱により酸と反応可能な化合物の親油性が高いことが現像後の現像残渣の原因と推定した。感光性透明樹脂層を親油性から親水性に近づけた結果、現像残渣の発生を抑制できたと予想している。
ただし、酸と反応可能な化合物を添加しない場合に感光性透明樹脂層を親水性に近づけると、塩水付与後の湿熱耐性を含め、湿熱耐性が低下すると予想される。これに対し、親水性基を加熱により酸と反応可能な化合物に導入するか、酸と反応可能な化合物とは別に特定の親水性基を持つ化合物を感光性透明樹脂層に添加することにより、加熱により酸と反応可能な化合物と、親水性基の相乗効果により、塩水付与後の湿熱耐性を低下させずに、現像残渣の発生を抑制することができる。
なお、光照射量を増やして感光性透明樹脂層中の光重合性化合物の反応率を高めて3次元架橋密度を高めた場合は硬化後の膜の硬化収縮が大きくなり、転写後の感光性透明樹脂層と基板との密着性が損なわれる可能性も考えられる。本発明の転写フィルムの好ましい態様によれば、光照射量を増やさずに塩水付与後の湿熱耐性と現像残渣がともに優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できるため、転写後の感光性透明樹脂層と基板との密着性も良好にしやすい。
加熱により酸と反応可能な化合物の25℃での粘度が下限値以上であることが、塗布乾燥やポストベーク時のこの成分の揮発を抑制し、加熱時のこの成分の反応性を確保するために、好ましい。
加熱により酸と反応可能な化合物の25℃での粘度が上限値以下であることが、ポストベーク時における膜中のこの成分の流動性を確保することにより、加熱時のこの成分の反応性を確保するとなるために、好ましい。
この粘度範囲において、(E)加熱により酸と反応可能な化合物が現像後も基板上に残り難く、現像残渣になり難い。
加熱により酸と反応可能な化合物は、カルボン酸化合物、アルコール化合物、アミン化合物、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物などを挙げることができ、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物であることが好ましい。
分子内に親水性基を持つ加熱により酸と反応可能な化合物としては特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。分子内に親水性基を持つ加熱により酸と反応可能な化合物の調製方法としては特に制限はないが、例えば合成により調製することができる。
分子内に親水性基を持つ加熱により酸と反応可能な化合物としては、分子内に親水性基を持つブロックイソシアネートであることが好ましい。分子内に親水性基を持つ加熱により酸と反応可能な化合物の詳細については、後述のブロックイソシアネートの説明に記載する。
ブロックイソシアネートとは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(マスク)した構造を有する化合物」のことを言う。
本明細書中におけるブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)によりDSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合に、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」のことを言う。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネートの中でも、オキシム系の化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物の方が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、現像残渣を少なくしやすい観点から好ましい。
転写フィルムに用いられるブロックイソシアネートの具体例としては以下の化合物を挙げることができる。ただし、本発明に用いられるブロックイソシアネートは以下の具体例に限定されない。
加熱により酸と反応可能な化合物が持つ親水性基としては、特に限定されないが、具体的には、ノニオン型親水性基、カチオン型親水性基等が挙げられる。
また、エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖の付加数としては、4〜30が好ましく、4〜20がより好ましい。付加数が4以上であれば、水分散性がより向上する傾向にある。また、付加数が30以下であれば、得られたブロックイソシアネートの初期Tgがより向上する傾向にある。
カチオン型親水性基の付加は、カチオン型親水性基と、イソシアネート基と反応する活性水素と、を併せ持つ化合物を利用する方法;ポリイソシアネートに、例えば、グリシジル基等の官能基を予め導入し、その後、例えば、スルフィド、ホスフィン等の特定化合物をこの官能基と反応させる方法等があるが、前者の方法が容易である。
イソシアネート基と反応する活性水素としては、特に限定されないが、具体的には、水酸基、チオール基等が挙げられる。カチオン型親水性基と、イソシアネート基と反応する活性水素と、を併せ持つ化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が挙げられる。これにより導入された三級アミノ基は、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等で四級化することもできる。
分子内に親水性基を持つブロックイソシアネートを合成する場合、親水性基を有する化合物は、ポリイソシアネートに対して、1〜100質量%添加されることが好ましく、2〜80質量%添加されることがより好ましい。
分子内に親水性基を持つブロックイソシアネートを合成する場合、ブロック剤は、ポリイソシアネートに対して、20〜99質量%添加されることが好ましく、10〜100質量%添加されることがより好ましい。
エポキシ化合物としては特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。
エポキシ化合物としては、特開2015−135396号公報の[0096]〜[0098]に記載の化合物を好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
エポキシ化合物の例としては、EPOX−MK R151((株)プリンテック製)などを挙げることができる。
感光性透明樹脂層に対して、エポキシ化合物は、5〜50質量%含まれることが好ましく、5〜30質量%含まれることがより好ましい。
転写フィルムが条件2を満たす場合、感光性透明樹脂層が、さらに(F)エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物を含むことが好ましい。
エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物としては特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。
エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物は、ノニオン性界面活性剤であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤であるエチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物としては、WO2011/052620号公報の[0021]〜[0026]に記載の化合物を好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物の例としては、エマルゲンB−66、エマルゲンA−90(いずれも花王(株)製)などを挙げることができる。
感光性透明樹脂層に対して、エチレンオキサイド鎖またはプロピレンオキサイド鎖を持つ化合物は、0.1〜10質量%含まれることが好ましく、0.3〜8質量%含まれることがより好ましく、0.5〜5質量%含まれることが特に好ましい。
前述の感光性透明樹脂層は、屈折率や光透過性を調節することを目的として、粒子(好ましくは金属酸化物粒子)を含んでいてもよいが、含んでいないことが好ましい。上述の範囲に前述の感光性透明樹脂層の屈折率を制御するために、使用するポリマーや重合性化合物の種類に応じて、任意の割合で金属酸化物粒子を含めることができる。前述の感光性透明樹脂層中、前述の感光性透明樹脂層に対して、前述の金属酸化物粒子は、0〜35質量%含まれることが好ましく、0〜10質量%含まれることがより好ましく、含まれないことが特に好ましい。感光性透明樹脂層は金属酸化物粒子を含まない方が好ましいが、金属酸化物粒子を含む場合も本発明に含まれる。
本発明の積層体において、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の金属酸化物粒子の含有量を測定する方法は、以下のとおりである。
積層体の断面を切削した後、TEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)で、断面を観察する。感光性透明樹脂層(または第二の透明樹脂層)の膜断面積における、金属酸化物粒子の占有面積の割合を層内の任意の3箇所で測定し、その平均値を体積分率(volume fraction;VR)と見なす。
体積分率(VR)を下記の式で換算することにより、感光性透明樹脂層(または第二の透明樹脂層)内における金属酸化物粒子の重量分率(weight fraction;WR)を算出する。
WR=D*VR/(1.1*(1−VR)+D*VR)
D:金属酸化物粒子の比重
金属酸化物粒子が、酸化チタンの場合D=4.0、酸化ジルコニウムの場合D=6.0として計算することができる。
金属酸化物粒子の屈折率は、金属酸化物粒子を含まない感光性透明樹脂層の屈折率より高いことが好ましい。すなわち、前述の金属酸化物粒子は、感光性透明樹脂層からこの粒子を除いた材料からなる組成物の屈折率より屈折率が高いものであることが好ましい。
光透過性で屈折率の高い金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウムが特に好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウムがより特に好ましく、酸化チタンが最も好ましい。酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料で処理することもできる。
本発明の転写フィルムは、前述の感光性透明樹脂層上に、第二の透明樹脂層を有することが好ましく、前述の感光性透明樹脂層に隣接して位置する第二の透明樹脂層を有することがより好ましい。
第二の透明樹脂層が硬化性透明樹脂層である場合は、熱硬化性であっても、光硬化性であっても、熱硬化性かつ光硬化性であってもよい。その中でも、第二の透明樹脂層は少なくとも熱硬化性透明樹脂層であることが、転写後に熱硬化して膜の信頼性および湿熱耐性を付与できる観点から好ましく、熱硬化性透明樹脂層かつ光硬化性透明樹脂層であることが、転写後に光硬化して製膜しやすく、かつ、製膜後に熱硬化して膜の信頼性および湿熱耐性を付与できる観点からより好ましい。
第二の透明樹脂層がアルカリ可溶性であることが好ましい。
本発明の転写フィルムは、感光性透明樹脂層上に、第二の透明樹脂層を有することが好ましく、第二の透明樹脂層の屈折率が感光性透明樹脂層の屈折率よりも高いことがより好ましい。
透明電極パターン(好ましくはITO;Indium Tin Oxide)と前述の第二の透明樹脂層との屈折率差、ならびに、前述の第二の透明樹脂層と前述の感光性透明樹脂層との屈折率差を小さくすることにより、透明電極パターンよりも視認側に第二の透明樹脂層と感光性透明樹脂層を形成することで光反射が低減して透明電極パターンが見えにくくなり、透明電極パターン隠蔽性を改善することができる。高屈折率層である第二の透明樹脂層を積層した転写フィルムにより、透明電極パターンが見えにくい(骨見えしにくい)保護膜を、一回の転写で作製することができる。また、感光性透明樹脂層を積層した後に感光性透明樹脂層を硬化させることなく第二の透明樹脂層を積層しても、層分画が良好となって、上記のメカニズムで透明電極パターン隠蔽性を改善することができる。感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層が硬化性透明樹脂層である場合、さらに転写フィルムから感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を透明電極パターン上に転写した後で、フォトリソグラフィによって所望のパターンに現像できる。なお、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の層分画が良好であると、上記のメカニズムに起因する屈折率調整の効果が十分となりやすく、透明電極パターン隠蔽性の改善が十分となりやすい。
一方、前述の第二の透明樹脂層の屈折率は、透明電極パターンの屈折率によって調整する必要があり、値の上限値としては特に制限はないが、2.10以下であることが好ましく、1.78以下であることがより好ましく、1.74以下であってもよい。
特に、透明電極の屈折率が、In及びZnの酸化物(IZO)の場合の様に2.00を超える場合においては、第二の透明樹脂層の屈折率は、1.70以上1.85以下であることが好ましい。
前述の第二の透明樹脂層の厚みが、500nm以下であることが好ましく、110nm以下であることがより好ましい。前述の第二の透明樹脂層の厚みが20nm以上であることが好ましい。前述の第二の透明樹脂層の厚みが55〜100nmであることが特に好ましく、60〜100nmであることがより特に好ましく、70〜100nmであることがさらにより特に好ましい。
第二の透明樹脂層の厚みは、後述の実施例に記載の方法で求める。
第二の透明樹脂層は、ネガ型材料であってもポジ型材料であってもよい。
第二の透明樹脂層がネガ型材料である場合、第二の透明樹脂層には、バインダーポリマー(好ましくはアルカリ可溶性樹脂)、重合性化合物、光重合開始剤を含むことが好ましい。本発明の転写フィルムは、第二の透明樹脂層が、バインダーポリマー、光重合性化合物および光重合開始剤を含むことがより好ましい。第二の透明樹脂層は、金属酸化物粒子を含むことが特に好ましい。さらに、添加剤などが用いられるがこれに限られない。
第二の透明樹脂層は、バインダーポリマーを含むことが好ましい。
バインダーポリマーとしては、酸基を有する樹脂、および、酸基を有さない他のバインダーポリマーを挙げることができる。
酸基を有する樹脂としては、酸基を有する樹脂であることが好ましく、1価の酸基(カルボキシ基など)を有する樹脂であることがより好ましい。第二の透明樹脂層のバインダーポリマーは、カルボキシ基を有するバインダーポリマーであることが特に好ましい。
第二の透明樹脂層に用いられ、水系溶媒(好ましくは水もしくは炭素原子数1乃至3の低級アルコールと水との混合溶媒)に対して溶解性を有する樹脂としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無く、公知のものの中から適宜選択できる。
第二の透明樹脂層に用いられる酸基を有する樹脂は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ溶解を促進する基(すなわち酸基:例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。このポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等を挙げることができる。
酸基を有する樹脂の重量平均分子量は1万以上が好ましく、より好ましくは2万〜10万である。
第二の透明樹脂層に用いられる酸基を有さない他のバインダーポリマーとしては特に制限はなく、前述の感光性透明樹脂層に用いられるバインダーポリマーを用いることができる。
第二の透明樹脂層が、光重合性化合物または熱重合性化合物などの重合性化合物を含むことが、硬化させて膜の強度などを高める観点から好ましい。
第二の透明樹脂層が有する重合性化合物としては、酸基を有するモノマー、および、酸基を有するモノマー以外の他の重合性化合物を挙げることができる。
第二の透明樹脂層が有する重合性化合物は、酸基を有するモノマー以外の他の光重合性化合物を含むことが好ましく、酸基を有するモノマーおよび酸基を有するモノマー以外の他の光重合性化合物を含むことがより好ましい。
酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やその誘導体などのアクリルモノマーや、以下のモノマーを好ましく用いることができる。
例えば、3〜4官能のラジカル重合性モノマー(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート骨格にカルボン酸基を導入したもの(酸価=80〜120mgKOH/g))、5〜6官能のラジカル重合性モノマー(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート骨格にカルボン酸基を導入したもの(酸価=25〜70mgKOH/g))等が挙げられる。具体的な名称は記載していないが、必要に応じ、2官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーを用いても良い。
その他、特開2004−239942号公報の[0025]〜[0030]に記載の酸基を有するモノマーも好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
また、酸基を有するモノマーとしては、感光性透明樹脂層に用いられる重合性化合物として挙げた重合性化合物の中で酸基を有するモノマーも好ましく用いることができる。
これらの中でも、酸基を有するモノマーとしては、カルボキシ基を含有する重合性化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸やその誘導体などのアクリルモノマーをより好ましく用いることができ、その中でもアロニックスTO−2349(東亞合成(株)製)が特に好ましい。なお、本明細書中、アクリルモノマーは、メタクリルモノマーとアクリルモノマーの両方が含まれる。
第二の透明樹脂層に用いられる、酸基を有するモノマー以外の他の重合性化合物としては、光重合性化合物が好ましい。
光重合性化合物としては、特許第4098550号の段落0023〜0024に記載の重合性化合物を用いることができる。その中でも、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物のテトラアクリレートを好ましく用いることができる。これらの重合性化合物は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物を用いる場合、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物全体に対するペンタエリスリトールトリアクリレートの比率は質量比で0〜80質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
第二の透明樹脂層に用いられる光重合性化合物として、具体的には、下記構造式1で表される水溶性の重合性化合物、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(NKエステル A−TMMT新中村化学工業(株)製、不純物としてトリアクリレート約10質量%含有)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとトリアクリレートの混合物(NKエステル A−TMM3LM−N 新中村化学工業(株)製、トリアクリレート37質量%)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとトリアクリレートの混合物(NKエステル A−TMM−3L 新中村化学工業(株)製、トリアクリレート55質量%)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとトリアクリレートの混合物(NKエステル A−TMM3 新中村化学工業(株)製、トリアクリレート57質量%)、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物のテトラアクリレート(カヤラッドRP−1040 日本化薬(株)製)、アロニックスTO−2349(東亞合成社製)などを挙げることができる。
第二の透明樹脂層に用いられる光重合性化合物としては、これらの中でも、転写フィルムのレチキュレーションを改善する観点からは、下記構造式1で表される水溶性の重合性化合物、ペンタエリスリトールテトラアクリレート混合物(NKエステル A−TMMT新中村化学工業(株)製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとトリアクリレートの混合物(NKエステル A−TMM3LM−N 新中村化学工業(株)製、トリアクリレート37質量%)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとトリアクリレートの混合物(NKエステル A−TMM−3L 新中村化学工業(株)製、トリアクリレート55質量%)を好ましく用いることができる。
また、光重合性化合物の含有量は、第二の透明樹脂層に対し、0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましく、0〜5質量%であることが特に好ましい。
前述の第二の透明樹脂層に用いられ、水もしくは炭素原子数1乃至3の低級アルコールと水の混合溶媒に対して溶解性を有する光重合開始剤としてはIRGACURE 2959や、下記構造式2の開始剤が使用できる。
前述の第二の透明樹脂層は、屈折率や光透過性を調節することを目的として、粒子(好ましくは金属酸化物粒子)を含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。粒子の中でも金属酸化物粒子を含むことが、上述の範囲に前述の第二の透明樹脂層の屈折率を制御する観点から好ましい。前述の第二の透明樹脂層には、使用するポリマーや重合性化合物の種類に応じて、任意の割合で金属酸化物粒子を含めることができる。前述の第二の透明樹脂層中、前述の第二の透明樹脂層に対して、前述の金属酸化物粒子は、40〜95質量%含まれることが好ましく、55〜95質量%含まれることがより好ましく、62〜90質量%含まれることが転写フィルムのヒビ割れを改善する観点から特に好ましく、62〜75質量%含まれることが転写フィルムのヒビ割れをより改善し、かつ、本発明の積層体の基板密着性を改善する観点からより特に好ましく、62〜70質量%含まれることがさらにより特に好ましい。
金属酸化物粒子の屈折率は、金属酸化物粒子を含まない第二の透明樹脂層の屈折率より高いことが好ましい。すなわち、前述の金属酸化物粒子は、第二の透明樹脂層からこの粒子を除いた材料からなる組成物の屈折率より屈折率が高いものであることが好ましい。具体的には、第二の透明樹脂層が、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上の粒子を含有することが好ましく、屈折率が1.55以上の粒子を含有することがより好ましく、屈折率が1.70以上の粒子を含有することが特に好ましく、1.90以上の粒子を含有することがより特に好ましく、2.00以上の粒子がさらにより特に好ましい。
ここで、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上であるとは、上記範囲の波長を有する光における平均屈折率が1.50以上であることを意味し、上記範囲の波長を有する全ての光における屈折率が1.50以上であることを要しない。また、平均屈折率は、上記範囲の各波長の光に対する屈折率の平均値である。
金属酸化物粒子の種類としては特に制限はなく、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。本発明の転写フィルムは、第二の透明樹脂層が、酸化ジルコニウム粒子(ZrO2粒子)、Nb2O5粒子および酸化チタン粒子(TiO2粒子)のうち少なくとも一つを有することが、前述の第二の透明樹脂層の屈折率の範囲に屈折率を制御する観点から好ましく、金属酸化物粒子が酸化ジルコニウム粒子または酸化チタン粒子であることがより好ましく、酸化ジルコニウム粒子であることが特に好ましい。
第二の透明樹脂層は、金属酸化抑制剤を含むことが好ましい。第二の透明樹脂層が金属酸化抑制剤を含有することにより、第二の透明樹脂層を基板(基板は、透明電極パターンおよび金属配線部等を含むことが好ましい)上に積層する際に、第二の透明樹脂層と直接接する金属配線部を表面処理することが可能となる。上記表面処理をすることで付与される金属配線部の保護性は、第二の透明樹脂層(及び感光性透明樹脂層)を除去した後にも有効であると考えられる。
本発明に用いられる金属酸化抑制剤としては、分子内に窒素原子を含む芳香環を有する化合物であることが好ましい。
また、金属酸化抑制剤としては、上記窒素原子を含む芳香環が、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、及び、それらと他の芳香環との縮合環よりなる群から選ばれた少なくとも一つの環であることが好ましく、上記窒素原子を含む芳香環が、イミダゾール環、又はイミダゾール環と他の芳香環との縮合環であることがより好ましい。
上記他の芳香環としては、単素環でも複素環でもよいが、単素環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましく、ベンゼン環であることが特に好ましい。
金属酸化抑制剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、テトラゾール、メルカプトチアジアゾール、及び、ベンゾトリアゾールが好ましく、イミダゾール、ベンズイミダゾール及びベンゾトリアゾールがより好ましい。金属酸化抑制剤としては市販品を用いてもよく、例えばベンゾトリアゾールを含む城北化学工業(株)製BT120などを好ましく用いることができる。
また、金属酸化抑制剤の含有量は、第二の透明樹脂層の全質量に対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。
本発明の転写フィルムは、前述の仮支持体と前述の感光性透明樹脂層との間に熱可塑性樹脂層を設けることもできる。前述の熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いて、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を転写して積層体を形成すると、転写して形成した各要素に気泡が発生し難くなり、画像表示装置に画像ムラなどが発生し難くなり、優れた表示特性を得ることができる。
前述の熱可塑性樹脂層はアルカリ可溶性であることが好ましい。熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などを原因とする凹凸等も含む。)を吸収することができるようにクッション材としての役割を担うものであり、対象面の凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
前述の熱可塑性樹脂層の100℃で測定した粘度が1000〜10000Pa・sの領域にあり、光硬化性樹脂層の100℃で測定した粘度が2000〜50000Pa・sの領域にあることが好ましい。
本発明の転写フィルムは、前述の熱可塑性樹脂層と前述の感光性透明樹脂層との間に中間層を設けることもできる。中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている層が好ましい。
本発明の転写フィルムは、前述の第二の透明樹脂層の表面に保護フィルムなどを更に設けることが好ましい。
転写フィルムの製造方法は特に制限は無く、公知の方法を用いることができる。
仮支持体上に感光性透明樹脂層に加えて、さらに第二の透明樹脂層を有する転写フィルムを製造する場合、この転写フィルムの製造方法は、仮支持体上に感光性透明樹脂層を形成する工程と、前述の感光性透明樹脂層の上に直接第二の透明樹脂層を形成する工程とを有することが好ましい。前述の感光性透明樹脂層を形成する工程が、有機溶剤系樹脂組成物を前述の仮支持体上に塗布する工程であることが好ましい。前述の第二の透明樹脂層を形成する工程が、感光性透明樹脂層の上に直接第二の透明樹脂層を形成する工程を有することが好ましく、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を含む水系樹脂組成物を塗布する工程であることがより好ましい。この構成とすることで、層分画が良好であり、かつ、高温高湿下で経時させた場合に水系樹脂組成物を用いて形成された透明樹脂層の吸湿に起因する問題を抑制できる。有機溶剤系樹脂組成物によって得られた感光性透明樹脂層の上に、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を含む水系樹脂組成物を塗布することで、感光性透明樹脂層を硬化せずに第二の透明樹脂層を形成しても層混合が生じず、層分画が良好となる。さらに、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を含む水系樹脂組成物を用いた塗布膜を乾燥させるときに酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩から、水よりも沸点の低いアンモニアが乾燥工程で揮発しやすいため、酸基を生成(再生)して酸基を有するモノマーまたは酸基を有する樹脂として第二の透明樹脂層に存在させることができる。そのため、高温高湿下で経時させて吸湿させた場合に第二の透明樹脂層を構成する酸基を有するモノマーまたは酸基を有する樹脂はすでに水に溶解しなくなっているため、転写フィルムが吸湿したときの問題も抑制することができる。
転写フィルムの製造方法では、仮支持体上に感光性透明樹脂層を形成する工程を有し、前述の感光性透明樹脂層を形成する工程が、樹脂組成物を仮支持体上に塗布する工程であることが好ましく、有機溶剤系樹脂組成物を仮支持体上に塗布する工程であることがより好ましい。
有機溶剤系樹脂組成物とは、有機溶剤に溶解することができる樹脂組成物のことを言う。
有機溶剤としては、一般的な有機溶剤が使用できる。有機溶剤の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
転写フィルムの製造方法では、感光性透明樹脂層の上に直接第二の透明樹脂層を形成する工程を有することが好ましい。第二の透明樹脂層を形成する工程が、樹脂組成物を塗布する工程であることが好ましく、水系樹脂組成物を塗布する工程であることがより好ましい。第二の透明樹脂層を形成する工程が、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を含む水系樹脂組成物を塗布する工程であることが特に好ましい。
水系樹脂組成物とは、水系溶媒に溶解することができる樹脂組成物のことを言う。
水系溶媒としては、水もしくは炭素原子数1乃至3の低級アルコールと水との混合溶媒が好ましい。転写フィルムの製造方法の好ましい態様では、第二の透明樹脂層の形成に用いる水系樹脂組成物の溶媒が、水および炭素原子数1〜3のアルコールを含むことが好ましく、水/炭素原子数1〜3のアルコール含有率が質量比で58/42〜100/0の水または混合溶媒であることがより好ましい。水/炭素原子数1〜3のアルコール含有率は、質量比で59/41〜100/0の範囲が特に好ましく、60/40〜97/3が本発明の積層体の着色を改善する観点からより特に好ましく、62/38〜95/5が本発明の積層体の基板密着性を改善する観点からさらにより特に好ましく、62/38〜85/15が最も好ましい。
水、水及びメタノールの混合溶剤、水及びエタノールの混合溶剤が好ましく、乾燥及び塗布性の観点から水及びメタノールの混合溶剤が好ましい。
特に、第二の透明樹脂層形成の際、水及びメタノールの混合溶剤を用いる場合は、水/メタノールの質量比(質量%比率)が58/42〜100/0であることが好ましく、59/41〜100/0の範囲がより好ましく、60/40〜97/3が特に好ましく、62/38〜95/5がより特に好ましく、62/38〜85/15がさらにより特に好ましい。この水/炭素原子数1〜3のアルコール含有率が質量比で58/42の範囲よりもメタノールが少なくなると感光性透明樹脂層が、溶解しにくくなったり、白濁しにくくなったりして好ましい。
上記範囲に制御することにより、第二の透明樹脂層と層混合なく塗布と迅速な乾燥を実現できる。
第二の透明樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物が、バインダーポリマーと、光または熱重合性化合物と、光または熱重合開始剤とを含むことが好ましい。
酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩としては特に制限はない。第二の透明樹脂層の酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩が、酸基を有するアクリルモノマーまたはアクリル樹脂のアンモニウム塩であることが好ましい。第二の透明樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物のうち、酸基を有する樹脂のアンモニウム塩のみがバインダーポリマーであってもよく、酸基を有する樹脂のアンモニウム塩の他にさらに他のバインダーポリマーを併用してもよい。第二の透明樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物のうち、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩が光または熱重合性化合物であってもよく、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩の他にさらに光または熱重合性化合物を併用してもよい。
酸基を有するモノマーまたは酸基を有する樹脂をアンモニア水溶液に溶解させ、前述の酸基の少なくとも一部がアンモニウム塩化したモノマーまたは樹脂を含む水系樹脂組成物を調製する工程を含むことが好ましい。
酸基を有するモノマーのアンモニウム塩および酸基を有する樹脂のアンモニウム塩の中では、酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を用いることが好ましい。
さらに転写フィルムの製造方法は、酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩からアンモニアを揮発させて酸基を生成する工程を含むことが好ましい。第二の透明樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物の酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩からアンモニアを揮発させると、第二の透明樹脂層に酸基を有するモノマーまたは酸基を有する樹脂を含有させることができる。前述の酸基を有するモノマーのアンモニウム塩または酸基を有する樹脂のアンモニウム塩からアンモニアを揮発させて酸基を生成する工程が、塗布された第二の透明樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物を加熱する工程であることが好ましい。
塗布された前述の水系樹脂組成物を加熱する工程の詳細な条件の好ましい範囲について、以下に示す。
加熱および乾燥方法としては、加熱装置を備えた炉内を通過させる方法や、又、送風により実施することもできる。加熱および乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すれば良く、40〜150℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。これらの条件の中でも、50〜120℃の温度で加熱することが好ましく、60〜100℃の温度に加熱することがより好ましい。加熱および乾燥後の組成物としては、湿潤基準における含水率が5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下にすることがより好ましく、1質量%以下にすることが特に好ましい。
前述の仮支持体上に前述の感光性透明樹脂層を形成する前に、さらに熱可塑性樹脂層を形成する工程を含んでいてもよい。
本発明の転写フィルムは、静電容量型入力装置の電極保護膜に用いられることが好ましく、電極保護膜用の中でも透明絶縁層用または透明保護層用であることがより好ましい。本発明の転写フィルムは感光性透明樹脂層が未硬化状態であってもよい。その場合は、透明電極パターンの上に、フォトリソグラフィ方式により、静電容量型入力装置の電極保護膜の積層パターンを形成するための転写フィルム、より好ましくは第二の透明樹脂層(屈折率調整層)および感光性透明樹脂層(オーバーコート層)の積層パターンを形成するための転写フィルムとして用いることができる。本明細書中、感光性透明樹脂層が未硬化とは、感光性透明樹脂層に含まれる硬化性基の消費率が10%未満であることを言う。
本発明の静電容量型入力装置の電極保護膜は、本発明の転写フィルムから、仮支持体が取り除かれたものである。
本発明の静電容量型入力装置の電極保護膜は、透湿度が小さい。電極保護膜の透湿度は、電極保護膜の厚みと正の相関関係を有する。軽量化の点から静電容量型入力装置の電極保護膜の厚みを薄くする要求が強まることを踏まえると、電極保護膜の透湿度をより小さくすることが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置の電極保護膜は、透湿度が小さいために静電容量型入力装置の用途で特に重要となる湿熱耐性が優れ、かつ、塩水付与後の湿熱耐性が優れる。そのため、静電容量型入力装置の電極保護膜は、フィルムセンサー型の静電容量型入力装置の電極保護膜に用いられることが好ましい。
後述の本発明の積層体は、本発明の静電容量型入力装置の電極保護膜を有する。
本発明の積層体の第1の態様は、静電容量型入力装置の電極を含む基板と、基板の上に位置する感光性透明樹脂層とを有し、感光性透明樹脂層が、基板の上に本発明の転写フィルムから感光性透明樹脂層を転写されて形成される積層体である。
本発明の積層体の第2の態様は、静電容量型入力装置の電極を含む基板と、基板の上に形成された感光性透明樹脂層とを有する積層体であって、感光性透明樹脂層が、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)ロジン化合物を含む、積層体である。
本発明の積層体の第3の態様は、後述の本発明の積層体の製造方法で製造される積層体である。
これらの構成であるため、本発明の積層体は、透湿度が小さく、塩水付与後の湿熱耐性が優れる。
なお、本発明の転写フィルムの感光性透明樹脂層を透明電極パターン上に転写し、この層を光硬化した後の膜のことを、電極保護膜とも言う。本発明の積層体は、基板の上に、感光性透明樹脂層を加熱処理された電極保護膜を有することが好ましい。
本発明の積層体は、基板と透明電極パターンと、この透明電極パターンに隣接して配置された第二の透明樹脂層と、この第二の透明樹脂層に隣接して配置された感光性透明樹脂層とを有し、前述の第二の透明樹脂層の屈折率が前述の感光性透明樹脂層の屈折率よりも高いことが特に好ましく、前述の第二の透明樹脂層の屈折率が1.6以上であることがより特に好ましい。この構成とすることにより、透明電極パターンが視認される問題を解決することができ、パターニング性が良好となる。
本発明の積層体は、前述の透明電極パターンの前述の第二の透明樹脂層が形成された側と反対側に、屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜や、その他の屈折率または厚みの透明膜をさらに有することが、透明電極パターンの隠蔽性をより改善する観点から、好ましい。なお、本明細書中、特に断りがなく「透明膜」と記載する場合は、上記の「屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜」を指す。
本発明の積層体は、前述の屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜の前述の透明電極パターンが形成された側と反対側に、基板をさらに有することが好ましい。
図11では、積層体13は、基板1、屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜11を有し、さらに第二の透明電極パターン4、第二の透明樹脂層12および感光性透明樹脂層7がこの順に積層された領域21を面内に有する。また、図11では、前述の積層体13は、上記領域21に加えて、基板1、および透明膜11がこの順に積層された領域(図11の構成では、第二の透明樹脂層12と感光性透明樹脂層7がこの順に積層された領域22(すなわち、透明電極パターンが形成されていない非パターン領域22))を含むことが示されている。
換言すれば、積層体13は、基板1、透明膜11、第二の透明電極パターン4、第二の透明樹脂層12および感光性透明樹脂層7がこの順に積層された領域21を面内方向に含む。
面内方向とは、積層体の基板の主面と平行な面に対して略平行方向を意味する。したがって、第二の透明電極パターン4、第二の透明樹脂層12および感光性透明樹脂層7がこの順に積層された領域を面内に含むとは、第二の透明電極パターン4、第二の透明樹脂層12および感光性透明樹脂層7がこの順に積層された領域の、積層体の基板と平行な面への正射影が、積層体の基板と平行な面内に存在することを意味する。
ここで、本発明の積層体を後述する静電容量型入力装置に用いる場合、透明電極パターンは行方向と列方向の略直交する2つの方向にそれぞれ第一の透明電極パターンおよび第二の透明電極パターンとして設けられることがある(例えば、図3参照)。例えば図3の構成では、本発明の積層体における透明電極パターンは、第二の透明電極パターン4であっても、第一の透明電極パターン3のパッド部分3aであってもよい。言い換えると、以下の本発明の積層体の説明では、透明電極パターンの符号を「4」で代表して表すことがあるが、本発明の積層体における透明電極パターンは、本発明の静電容量型入力装置における第二の透明電極パターン4への使用に限定されず、例えば第一の透明電極パターン3のパッド部分3aとして使用してもよい。
図11には、本発明の積層体が非パターン領域22を含む態様が示されている。
本発明の積層体は、前述の透明電極パターンが形成されていない非パターン領域22の少なくとも一部に、前述の基板、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層がこの順に積層された領域を面内に含むことが好ましい。
本発明の積層体は、前述の基板、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層がこの順に積層された領域において、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層が互いに隣接していることが好ましい。
但し、前述の非パターン領域22のその他の領域には、本発明の趣旨に反しない限りにおいてその他の部材を任意の位置に配置してもよく、例えば本発明の積層体を後述する静電容量型入力装置に用いる場合、図1におけるマスク層2や、絶縁層5や別の導電性要素6などを積層することができる。
図11には、前述の基板1の上に隣接して前述の透明膜11が積層している態様が示されている。
但し、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、前述の基板および前述の透明膜の間に、第三の透明膜が積層されていてもよい。例えば、前述の基板および前述の透明膜の間に、屈折率1.5〜1.52の第三の透明膜(図11には不図示)を含むことが好ましい。
ここで、前述の透明膜は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。前述の透明膜が2層以上の積層構造である場合、前述の透明膜の厚みとは、全層の合計厚みを意味する。
図11には、前述の透明膜11の一部の領域上に隣接して前述の第二の透明電極パターン4が積層している態様が示されている。
前述の第二の透明電極パターン4の端部は、その形状に特に制限はなく、図11に示すようにテーパー形状を有していてもよく、例えば、前述の基板側の面の方が、前述の基板と反対側の面よりも広いテーパー形状を有していてもよい。
ここで、前述の透明電極パターンの端部がテーパー形状であるときの透明電極パターンの端部の角度(以下、テーパー角とも言う)は、30°以下であることが好ましく、0.1〜15°であることがより好ましく、0.5〜5°であることが特に好ましい。
本明細書中におけるテーパー角の測定方法は、前述の透明電極パターンの端部の断面の顕微鏡写真を撮影し、その顕微鏡写真のテーパー部分を三角形に近似し、テーパー角を直接測定して求めることができる。
図10に透明電極パターンの端部がテーパー形状である場合の一例を示す。図10におけるテーパー部分を近似した三角形は、底面が800nmであり、高さ(底面と略平行な上底部分における厚み)が40nmであり、このときのテーパー角αは約3°である。テーパー部分を近似した三角形の底面は、10〜3000nmであることが好ましく、100〜1500nmであることがより好ましく、300〜1000nmであることが特に好ましい。
なお、テーパー部分を近似した三角形の高さの好ましい範囲は、透明電極パターンの厚みの好ましい範囲と同様である。
図11には、前述の透明電極パターン、前述の第二の透明樹脂層および感光性透明樹脂層がこの順に積層された領域21において、前述の透明電極パターン、前述の第二の透明樹脂層および感光性透明樹脂層が互いに隣接している態様が示されている。
ここで、「連続して」とは、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層がパターン膜ではなく、連続膜であることを意味する。すなわち、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層は、開口部を有していないことが、透明電極パターンを視認されにくくする観点から好ましい。
また、前述の透明膜および前述の第二の透明樹脂層によって、前述の透明電極パターンおよび前述の非パターン領域22が、他の層を介して被覆されるよりも、直接被覆されることが好ましい。他の層を介して被覆される場合における「他の層」としては、後述する本発明の静電容量型入力装置に含まれる絶縁層5や、後述する本発明の静電容量型入力装置のように透明電極パターンが2層以上含まれる場合の2層目の透明電極パターンなどを挙げることができる。
図11には、前述の第二の透明樹脂層12が積層している態様が示されている。前述の第二の透明樹脂層12は、前述の透明膜11上の第二の透明電極パターン4が積層していない領域と、第二の透明電極パターン4が積層している領域との上にまたがって積層している。すなわち、前述の第二の透明樹脂層12は、前述の透明膜11と隣接しており、さらに、前述の第二の透明樹脂層12は、第二の透明電極パターン4と隣接している。
また、第二の透明電極パターン4の端部がテーパー形状である場合は、テーパー形状に沿って(テーパー角と同じ傾きで)前述の第二の透明樹脂層12が積層していることが好ましい。
(基板)
本発明の積層体は、静電容量型入力装置の電極を含む基板を有する。静電容量型入力装置の電極を含む基板は、基板と、電極が別の部材であることが好ましい。
前述の基板がガラス基板またはフィルム基板であることが好ましく、フィルム基板であることがより好ましい。また、基板は透明基板であることが好ましい。すなわち、本発明の積層体は、基板が、透明フィルム基板であることがより好ましい。
前述の基板の屈折率は、1.5〜1.52であることが特に好ましい。
前述の基板はガラス基板で構成されていてもよく、ガラス基板としてはコーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。
また、前述の透明基板としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
前述の基板としてフィルム基板を用いる場合は、光学的に歪みがないものや、透明度が高いものを用いることがより好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーを挙げることができる。
積層体は、基板の両面に、それぞれ透明電極パターン、第二の透明樹脂層および感光性透明樹脂層を有する構成も好ましい。この場合、積層体はフィルムセンサーとして用いることが好ましい。
積層体における透明電極パターンの屈折率は1.75〜2.1であることが好ましい。
前述の透明電極パターンの材料は特に制限されることはなく、公知の材料を用いることができる。透明電極パターンの材料として、例えば、金属膜や、ITOやIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明かつ導電性の金属酸化物膜を挙げられる。金属膜および金属酸化物膜としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;ITO、SiO2等の金属酸化物膜などが挙げられる。この際、透明電極パターンの厚みは10〜200nmとすることができる。
また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とする場合、電気的抵抗を低減することもできる。
また、透明電極パターンの製造方法は特に制限はない。例えば前述の第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する別の導電性要素6とは、公知の導電性繊維を用いた光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の透明電極パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落0014〜0016等を参考にすることができる。
前述の透明電極パターンは、ITO膜であることが好ましい。
本発明の積層体は、前述の透明電極パターンが屈折率1.75〜2.1のITO膜であることがより好ましい。
本発明の積層体に含まれる感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の好ましい範囲は、本発明の転写フィルムにおける前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層の好ましい範囲と同様である。
その中でも、本発明の積層体は、感光性透明樹脂層が、カルボン酸無水物を含むことが、塩水付与後の湿熱耐性と現像残渣がともに優れる静電容量型入力装置の電極保護膜となる観点から、好ましい。感光性透明樹脂層のカルボキシ基含有樹脂に対してブロックイソシアネートを添加して熱架橋することで、3次元架橋密度が高まることや、カルボキシ基含有樹脂のカルボキシ基が無水化して疎水化すること等が、塩水付与後の湿熱耐性の改善に寄与すると推定される。
感光性透明樹脂層にカルボン酸無水物を含ませる方法としては特に制限はないが、転写後の感光性透明樹脂層を加熱処理して、カルボキシ基含有アクリル樹脂の少なくとも一部をカルボン酸無水物とする方法が好ましい。また、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の少なくとも1種類がカルボキシ基を含有する場合は、カルボキシ基含有アクリル樹脂とカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物とがカルボン酸無水物を形成してもよく、カルボキシ基を含有するエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物同士でカルボン酸無水物を形成してもよい。
本発明の積層体は、前述の透明膜の屈折率が1.6〜1.78であることが好ましく、1.65〜1.74であることがより好ましい。ここで、前述の透明膜は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。前述の透明膜が2層以上の積層構造である場合、前述の透明膜の屈折率とは、全層の屈折率を意味する。
前述の透明膜の材料は特に制限されず、この屈折率の範囲を満たす材料が好ましい。
本発明の積層体は、前述の透明膜と前述の第二の透明樹脂層が、同一材料によって構成されたことが光学的均質性の観点から好ましい。
透明樹脂膜に用いられる金属酸化物粒子やバインダーポリマーやその他の添加剤としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無く、本発明の転写フィルムにおける前述の第二の透明樹脂層に用いられるバインダーポリマーやその他の添加剤を好ましく用いることができる。
本発明の積層体は、前述の透明膜が無機膜であってもよい。無機膜に用いられる材料としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができ、これらの文献の内容は本明細書中に組み込まれる。
前述の第三の透明膜の屈折率は、1.5〜1.55であることが前述の基板の屈折率に近付けて、透明電極パターン隠蔽性を改善する観点から好ましく、1.5〜1.52であることがより好ましい。
本発明の積層体の製造方法は、本発明の転写フィルムを用いて、静電容量型入力装置の電極を含む基板の上に転写フィルムの感光性透明樹脂層を転写する工程を含む。
この構成により、積層体の第二の透明樹脂層および前述の感光性透明樹脂層を一括して転写することができ、透明電極パターンが視認される問題がない積層体を容易に、生産性良く製造することができる。
なお、前述の第二の透明樹脂層は、前述の透明電極パターン上と、前述の非パターン領域では前述の透明膜上に直接、または、他の層を介して、製膜される。
また、後の転写工程におけるラミネートを行った後の各層の密着性を高めるために、予め基板の非接触面(静電容量型入力装置を構成する基板の表面のうち、指などの入力手段を接触させる側の面とは反対側の面)に表面処理を施すことができる。前述の表面処理としては、シラン化合物を用いた表面処理(シランカップリング処理)を実施することが好ましい。シランカップリング剤としては、感光性樹脂と相互作用する官能基を有するものが好ましい。例えばシランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させることが好ましい。加熱槽を用いてもよく、ラミネータの予備加熱を用いてもよく、いずれも反応を促進できる。
前述の透明電極パターンは、後述する本発明の静電容量型入力装置の説明における、第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および別の導電性要素6の形成方法などを用いて、基板上または前述の屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜上に製膜することができ、感光性フィルムを用いる方法が好ましい。
前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を形成する方法は、本発明の転写フィルムから前述の保護フィルムを除去する保護フィルム除去工程と、前述の保護フィルムが除去された本発明の転写フィルムの前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を透明電極パターン上に転写する転写工程と、透明電極パターン上に転写された感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を露光する露光工程と、露光された感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を現像する現像工程と、を有する方法が挙げられる。
前述の転写工程は、前述の保護フィルムが除去された本発明の転写フィルムの前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を透明電極パターン上に転写する工程であることが好ましい。
この際、本発明の転写フィルムの前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を透明電極パターンにラミネート後、仮支持体を取り除く工程を含む方法が好ましい。
前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層の透明電極パターン表面への転写(貼り合わせ)は、前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を透明電極パターン表面に重ね、加圧、加熱することに行われる。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、および、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
前述の露光工程、現像工程、およびその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜0051に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
具体的には、前述の透明電極パターン上に形成された前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層ならびに仮支持体の上方に所定のマスクを配置し、その後マスク上方の光源から(マスク、仮支持体を介して)前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を露光する方法が挙げられる。
ここで、前述の露光の光源としては、前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選択して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
本発明では、前述の現像工程は、パターン露光された前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を現像液によってパターン現像する狭義の意味の現像工程である。
前述の現像は、現像液を用いて行うことができる。前述の現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は光硬化性樹脂層が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましく、例えば、pKa(power of Ka;Kaは酸解離定数)=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含む現像液が好ましい。一方、前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層自体がパターンを形成しない場合の現像液は前述の非アルカリ現像型着色組成物層を溶解しない型の現像挙動をする現像液が好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含む現像液が好ましい。現像液には、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、前述の現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
本発明の積層体の製造方法は、転写後の感光性透明樹脂層を加熱処理する工程を含むことが好ましく、転写後の感光性透明樹脂層を加熱処理して、カルボキシ基含有アクリル樹脂の少なくとも一部をカルボン酸無水物とする工程を含むことが塩水付与後の湿熱耐性を改善できる観点からより好ましい。転写後の感光性透明樹脂層への加熱処理は、露光、現像後が好ましく、すなわち露光、現像後のポストベーク工程であることが好ましい。前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層が、熱硬化性である場合は、特にポストベーク工程を行うことが好ましい。また、ITOなどの透明電極の抵抗値を調整する観点からもポストベーク工程を行うことが好ましい。
転写後の感光性透明樹脂層を加熱処理して、カルボキシ基含有アクリル樹脂の少なくとも一部をカルボン酸無水物とする工程における加熱温度は、100〜160℃であることが、基板としてフィルム基板を用いる場合に好ましく、140〜150℃であることがより好ましい。
本発明の積層体が、前述の透明電極パターンの前述の第二の透明樹脂層が形成された側と反対側に、屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜をさらに有する場合、前述の透明膜を、前述の基板の上に直接、または、前述の第三の透明膜などの他の層を介して、製膜することができる。透明膜を、基板の上に直接製膜することが好ましい。
前述の透明膜の製造方法としては特に制限はないが、転写またはスパッタによって製膜することが好ましい。
その中でも、前述の透明膜を、転写によって製膜することが好ましく、転写後に硬化して製膜することがより好ましい。転写および硬化の方法としては、後述する本発明の静電容量型入力装置の説明における感光性フィルムを用い、積層体の製造方法における前述の感光性透明樹脂層および前述の第二の透明樹脂層を転写する方法と同様に転写、露光、現像およびその他の工程を行う方法を挙げることができる。その場合は、感光性フィルムは、仮支持体上に光硬化性樹脂層を有することが好ましい。さらに、感光性フィルム中の光硬化性樹脂層に前述の金属酸化物粒子を分散させることで、上述の範囲に前述の透明膜の屈折率を調整することがより好ましい。
スパッタの方法としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている方法を好ましく用いることができる。
前述の第三の透明膜の製造方法は、基板上に屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜を製膜する方法と同様である。
積層体の製造方法は、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を同時に硬化する工程の後に、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の未硬化部(光硬化の場合は、未露光部のみ、または、露光部のみ)を現像して、取り除く工程を含むことがより好ましい。
本発明の静電容量型入力装置は、本発明の積層体を含む。
本発明の静電容量型入力装置は、本発明の転写フィルムから第二の透明樹脂層と前述の第二の透明樹脂層に隣接して配置された感光性透明樹脂層とを、静電容量型入力装置の透明電極パターンの上に転写して作製されることが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置は、本発明の転写フィルムから転写された感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を同時に硬化されることが好ましく、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を同時にパターン硬化されることがより好ましい。なお、本発明の転写フィルムから転写された感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を同時に硬化する際、本発明の転写フィルムから仮支持体を剥離しないことが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置は、本発明の転写フィルムから転写され、同時にパターン硬化される感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の未硬化部を現像し、取り除かれることがより好ましい。なお、本発明の転写フィルムから転写された感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を同時に硬化した後、現像する前に本発明の転写フィルムから仮支持体を剥離することが好ましい。本発明の静電容量型入力装置は、引き回し配線の端末部で、ポリイミドフィルム上に形成されたフレキシブル配線と接続する必要があるため、感光性透明樹脂層(および第二の透明樹脂層)に覆われていないことが好ましい。
その態様を図13に示した。図13は透明電極パターンの引き回し配線(別の導電性要素6)と引き回し配線の端末部31を含む、以下の構成の静電容量型入力装置を示した。
引き回し配線の端末部31上の感光性透明樹脂層が未硬化部(未露光部)となっているため、現像で除去され、引き回し配線の端末部31が露出している。
具体的な露光、現像の態様を図14および図15に示した。図14は、感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を有する本発明の転写フィルム30を、静電容量型入力装置の透明電極パターンの上にラミネートにより積層し、露光等によって硬化する前の状態を示す。フォトリソグラフィを利用する場合、すなわち露光により硬化する場合は、図15に示した形状の感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層の硬化部(露光部)33を、マスクを用いてパターン露光および未露光部の現像をすることにより、得ることができる。具体的には、図15では、感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層の未硬化部として引き回し配線の端末部に対応する開口部34と、静電容量型入力装置の枠部の輪郭の外側にはみ出していた感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層を有する本発明の転写フィルムの端部とが取り除かれた、引き回し配線の端末部(取出配線部)を覆わないための感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層の硬化部(所望のパターン)が得られる。
これにより、ポリイミドフィルム上に作製されたフレキシブル配線を、引き回し配線の端末部31に直接つなぐことができ、これにより、センサーの信号を電気回路に送ることが可能になる。
本発明の静電容量型入力装置は、透明電極パターンと、この透明電極パターンに隣接して配置された第二の透明樹脂層と、この第二の透明樹脂層に隣接して配置された感光性透明樹脂層とを有し、前述の第二の透明樹脂層の屈折率が前述の感光性透明樹脂層の屈折率よりも高く、前述の第二の透明樹脂層の屈折率が1.6以上である、積層体を有することが好ましい。
以下、本発明の静電容量型入力装置の好ましい態様の詳細を説明する。
(3)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン;
(4)前述の第一の透明電極パターンと電気的に絶縁され、前述の第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の電極パターン;
(5)前述の第一の透明電極パターンと前述の第二の電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層;
(7)前述の(3)〜(5)の要素の全てまたは一部を覆うように形成された第二の透明樹脂層;
(8)前述の(7)の要素を覆うように隣接して形成された感光性透明樹脂層。
ここで、前述の(7)第二の透明樹脂層が、本発明の積層体における前述の第二の透明樹脂層に相当する。また、前述の(8)感光性透明樹脂層が、本発明の積層体における前述の感光性透明樹脂層に相当する。なお、前述の感光性透明樹脂層は、通常公知の静電容量型入力装置におけるいわゆる透明保護層であることが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置は、さらに、(6)前述の第一の透明電極パターンおよび前述の第二の電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続される、前述の第一の透明電極パターンおよび前述の第二の電極パターンとは別の導電性要素を有していてもよい。
ここで、前述の(4)第二の電極パターンが透明電極パターンでなく、前述の(6)別の導電性要素を有さない場合は、前述の(3)第一の透明電極パターンが、本発明の積層体における透明電極パターンに相当する。
前述の(4)第二の電極パターンが透明電極パターンであり、前述の(6)別の導電性要素を有さない場合は、前述の(3)第一の透明電極パターンおよび前述の(4)第二の電極パターンのうち少なくとも一つが、本発明の積層体における透明電極パターンに相当する。
前述の(4)第二の電極パターンが透明電極パターンでなく、前述の(6)別の導電性要素を有する場合は、前述の(3)第一の透明電極パターンおよび前述の(6)別の導電性要素のうち少なくとも一つが、本発明の積層体における透明電極パターンに相当する。
前述の(4)第二の電極パターンが透明電極パターンであり、前述の(6)別の導電性要素を有する場合は、前述の(3)第一の透明電極パターン、前述の(4)第二の電極パターンおよび前述の(6)別の導電性要素のうち少なくとも一つが、本発明の積層体における透明電極パターンに相当する。
前述の(1)マスク層および/または加飾層は、前述の(2)透明膜と前述の基板の間、前述の(3)第一の透明電極パターンと前述の基板の間、前述の(4)第二の透明電極パターンと前述の基板の間、または、前述の(6)別の導電性要素と前述の基板の間に有することが好ましい。前述の(1)マスク層および/または加飾層は、前述の基板に隣接して設けられることがより好ましい。
まず、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成について、装置を構成する各部材の製造方法とあわせて説明する。図1は、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成を示す断面図である。図1において静電容量型入力装置10は、基板1と、マスク層2と、屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜11と、第一の透明電極パターン(図示されているのは第一の透明電極パターンの接続部分3b)と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、別の導電性要素6と、第二の透明樹脂層12と、感光性透明樹脂層7と、から構成されている態様が示されている。
また、後述する図3におけるX−Y断面を表した図9も同様に、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成を示す断面図である。図9において静電容量型入力装置10は、基板1と、屈折率が1.6〜1.78であり厚みが55〜110nmの透明膜11と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、第二の透明樹脂層12と、感光性透明樹脂層7と、から構成されている態様が示されている。
本発明の静電容量型入力装置10には、図2に示すように、基板1の一部の領域(図2においては入力面以外の領域)を覆うようにマスク層2が設けられている。更に、基板1には、図2に示すように一部に開口部8を設けることができる。開口部8には、押圧式のメカニカルなスイッチを設置することができる。
このように、一定の厚みが必要なマスク層と基板の非接触面(接触面の裏面)とにまたがって感光性フィルムをラミネートする場合でも、後述する特定の層構成を有する感光性フィルムを用いることで真空ラミネータなどの高価な設備を用いなくても、簡単な工程でマスク部分境界に泡の発生がないラミネートが可能になる。
また、図3における第一の透明電極パターン3や第二の透明電極パターン4や後述する別の導電性要素6が形成されていない領域が、本発明の積層体における非パターン領域22に相当する。
図1においては、別の導電性要素6が第二の透明電極パターン4に接続されている一態様が示されている。
本発明の静電容量型入力装置を製造する過程で形成される態様例として、図4〜8の態様を挙げることができる。図4は、開口部8が形成された強化処理ガラスからなる透明な基板1の一例を示す上面図である。図5は、マスク層2が形成された基板の一例を示す上面図である。図6は、第一の透明電極パターン3が形成された基板の一例を示す上面図である。図7は、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4が形成された基板の一例を示す上面図である。図8は、第一の透明電極パターンおよび第二の透明電極パターンとは別の導電性要素6が形成された基板の一例を示す上面図である。これらは、以下の説明を具体化した例を示すものであり、本発明の範囲はこれらの図面により限定的に解釈されることはない。
本発明の転写フィルムや前述の感光性フィルムを用いて前述の各要素(マスク層2と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、別の導電性要素6のうち少なくとも一要素)を形成すると、開口部を有する基板でも開口部分からレジスト成分のモレおよび/またははみ出しがなく、特に基板の縁部の境界線直上まで遮光パターンを形成する必要のあるマスク層において、基板の縁部からのレジスト成分のモレおよび/またははみ出しがない。そのため、基板の非接触面(接触面の裏側)を汚染することなく、簡略な工程で、薄型化および軽量化されたタッチパネルを製造することができる。
本発明の静電容量型入力装置を製造するときに好ましく用いられる、本発明の転写フィルム以外の前述の感光性フィルムについては、特開2014−178922号公報の[0222]〜[0255]に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の静電容量型入力装置、およびこの静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置は、「最新タッチパネル技術」(2009年7月6日発行(株)テクノタイムズ)、三谷雄二監修、「タッチパネルの技術と開発」、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
[1.塗布液の調製]
<感光性透明樹脂層用の塗布液の調製>
以下の表1に示すとおりの組成となるように、感光性透明樹脂層用の塗布液である材料A−1〜A−19を調製した。
化合物Hは下記合成例1の方法にて合成した。
−合成例1−
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)600部を仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40質量%になった時点で燐酸を添加し反応を停止させた。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は3Pa・s、イソシアネート基濃度は23.0質量%、数平均分子量は670、イソシアネート基平均数は3.3、未反応HDI濃度は0.2質量%であった。ブロックイソシアネートなどの加熱により酸と反応可能な化合物の25℃における粘度を以下の方法で測定した。
E型粘度計 RE−85U(東機産業製)を用い、ポリイソシアネート樹脂組成物の25℃における粘度を測定した。
−ロジンRの製造−
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えた密封可能な反応容器に、未精製の中国産ガムロジン(酸価171mgKOH/g、軟化点74℃、色調6G、アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸を全ロジン化合物に対して15質量%以上含む混合物)を3000g仕込み、窒素パージ下に400Paの減圧下で蒸留し、酸価176.3mgKOH/g、軟化点80.5℃、色調ガードナー2の主留出物(収率86.3質量%)を、ロジン(精製ガムロジン)Rとして得た。
本明細書中、各ロジン化合物の酸価はJIS(Japanese Industrial Standards) K−5601記載の方法に則って測定した値である。また、本明細書中、各ロジン化合物の軟化点はJIS K−2531の環球法により測定した値である。
攪拌機、分水器付き還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、上記で作製したロジン(精製ガムロジン)Rを1,000質量部仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融した。ついで、フマル酸267質量部を仕込み、攪拌下に230℃まで昇温して1時間保温した後、冷却して、酸変性ロジンAの固形樹脂を得た。酸変性ロジンAの固形樹脂の酸価は342.0mgKOH/g、軟化点は125℃であった。
特開2001−181400号公報の実施例1を参考に、水添ロジンB(アビエチン酸誘導体、パラストリン酸誘導体、イソピマール酸誘導体を全ロジン化合物に対して20質量%以上含む混合物)を合成した。
水添ロジンBの酸価は176mgKOH/g、軟化点は80℃であった。
パインクリスタルPR−580、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルKE−100(いずれも荒川化学工業(株)製)をそれぞれ水添ロジンC、酸変性ロジンD、エステル化ロジンEとして用いた。
ポリエチレンテレフタレートフィルムである16μmの仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、乾燥後の感光性透明樹脂層の厚みが表5に記載の厚みになるように塗布量を調整し、感光性透明樹脂層用の材料A−1〜A−19のいずれか1種類を塗布し、感光性透明樹脂層を形成した。120℃の乾燥ゾーンで溶剤を揮発させた後、スリット状ノズルを用いて材料B−1およびB−2のいずれか1種類を乾燥後の厚みが0.1μmの厚みになるように、塗布量を変更しながら塗布、乾燥させ、第二の透明樹脂層を形成した。
<透明膜の形成>
厚み38μm、屈折率1.53のシクロオレフィン樹脂フィルムを、高周波発振機を用いて、出力電圧100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー電極で、電極長240mm、ワーク電極間1.5mmの条件で3秒間コロナ放電処理を行い、表面改質を行った。得られたフィルムを透明フィルム基板とした。
次に、下記表4中に示す材料−Cの材料を、スリット状ノズルを用いて、透明フィルム基板上に塗工した後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm2)し、約110℃で乾燥することにより、屈折率1.60、厚み80nmの透明膜を製膜した。
上記にて得られた透明フィルム基板上に透明膜が積層されたフィルムを、真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DC(Direct Current)マグネトロンスパッタリング(条件:透明フィルム基板の温度150℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、厚み40nm、屈折率1.82のITO薄膜を形成し、透明フィルム基板上に透明膜と透明電極層を形成したフィルムを得た。ITO薄膜の表面抵抗は80Ω/□(Ω毎スクエア)であった。
厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮基材の上に、スリット状ノズルを用いて、下記の処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記の処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記の処方E1からなるエッチング用光硬化性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。このようにして仮基材の上に乾燥膜の厚みが15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜の厚みが1.6μmの中間層と、乾燥膜の厚みが2.0μmエッチング用光硬化性樹脂層からなる積層体を得、最後に保護フィルム(厚み12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮基材と熱可塑性樹脂層と中間層とエッチング用光硬化性樹脂層とが一体となったエッチング用感光性フィルムE1を作製した。
・メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸共重合体
(共重合体組成(質量%):31/40/29、重量平均分子量6000
0、酸価163mgKOH/g) :16質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートのテトラエチレンオキシドモノ
メタクリレート0.5モル付加物 :7質量部
・分子中に重合性基を1つ有する化合物としてのシクロヘキサンジ
メタノールモノアクリレート :2.8質量部
・2−クロロ−N−ブチルアクリドン :0.42質量部
・2,2−ビス(オルトクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフ
ェニルビイミダゾール :2.17質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 :0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット :0.26質量部
・フェノチアジン :0.013質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF780F、大日本インキ(株)製)
:0.03質量部
・メチルエチルケトン :40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール :20質量部
なお、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液E1の溶剤除去後の100℃の粘度は2500Pa・sであった。
・メタノール :11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :6.36質量部
・メチルエチルケトン :52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=
55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃)
:5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、
重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) :13.6質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:9.1質量部
・フッ素系ポリマー :0.54質量部
上記のフッ素系ポリマーは、C6F13CH2CH2OCOCH=CH2 40部とH(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2 55部とH(OCH2CH2)7OCOCH=CH2 5部との共重合体で、重量平均分子量3万、メチルエチルケトン30質量%溶液である(商品名:メガファックF780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリビニルアルコール :32.2質量部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、鹸化度=88モル%、重合
度550)
・ポリビニルピロリドン :14.9質量部
(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・蒸留水 :524質量部
・メタノール :429質量部
透明フィルム基板上に透明膜と透明電極層を形成したフィルムを洗浄し、保護フィルムを除去したエッチング用感光性フィルムE1を、透明電極層の表面とエッチング用光硬化性樹脂層の表面とが対向するようにラミネートした(透明フィルム基板の温度:130℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分)。仮基材を剥離した結果、熱可塑性樹脂層と中間層がエッチング用光硬化性樹脂層とともに、透明電極層の表面に転写された。露光マスク(透明電極パターンを有す石英露光マスク)面とエッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、熱可塑性樹脂層と中間層を介して、エッチング用光硬化性樹脂層を露光量50mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて25℃で100秒間現像処理し、熱可塑性樹脂層と中間層を溶解し、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間洗浄処理した。超高圧洗浄ノズルから純水を噴射し、回転ブラシで熱可塑性樹脂層上の残渣を除去し、さらに130℃30分間のポストベーク処理を行って、透明フィルム基板上に透明膜と透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成したフィルムを得た。
透明フィルム基板上に透明膜と透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成したフィルムを、ITOエッチャント(塩酸、塩化カリウム水溶液。液温30℃)を入れたエッチング槽に浸漬し、100秒間処理し(エッチング処理)、エッチング用光硬化性樹脂層で覆われていない露出した領域の透明電極層を溶解除去し、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極パターン付のフィルムを得た。
次に、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極パターン付のフィルムを、レジスト剥離液(N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ製)液温45℃)を入れたレジスト剥離槽に浸漬し、200秒間処理し(剥離処理)、エッチング用光硬化性樹脂層を除去し、透明フィルム基板上に透明膜および透明電極パターン(静電容量型入力装置の電極)を形成したフィルムを得た。
保護フィルムを剥離した各実施例および比較例の転写フィルムを用いて、透明フィルム基板上に透明膜および透明電極パターンを形成したフィルム(静電容量型入力装置の電極を含む基板)の透明膜と透明電極パターン(静電容量型入力装置の電極)を、第二の透明樹脂層が覆うように、第二の透明樹脂層、感光性透明樹脂層および仮支持体をこの順で転写し、仮支持体を有する積層体を得た(透明フィルム基板の温度:40℃、ゴムローラー温度110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分)。
その後、得られた仮支持体を有する積層体に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有す石英露光マスク)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm2(i線)でパターン露光した。仮支持体を剥離後、パターン露光後の積層体(フィルム基板)を炭酸ソーダ2質量%水溶液を用いて32℃で60秒間洗浄処理した。洗浄処理後の透明フィルム基板に超高圧洗浄ノズルから超純水を噴射することで残渣を除去した。引き続き、エアを吹きかけて透明フィルム基板上の水分を除去し、145℃30分間の加熱(ポストベーク)処理を行って、透明フィルム基板上に透明膜、透明電極パターン(静電容量型入力装置の電極)、第二の透明樹脂層および感光性透明樹脂層がこの順で連続された積層体を得た。
<転写フィルムの各層の屈折率および厚みの測定>
屈折率および厚みの測定方法としては、分光反射率スペクトルから理論値とのフィッティングにより算出する方法、エリプソメトリー法により求める方法などがある。各実施例および比較例においては分光反射率スペクトルから各層の屈折率および厚みを算出した。測定装置は、反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子(株)製)を用いた。
(1)各実施例および比較例で用いる仮支持体の一方の表面に、透明接着テープ(商品名OCAテープ8171CL:3M(株)製。OCAは、Optically Clear Adhesiveの略称)を介して、黒色polyethylene terephthalate(PET)材であるPT100 NB(リンテック(株)製)を接着させた積層体を作製した。反射分光膜厚計FE−3000を用いて仮支持体と黒色PETの積層体の反射スペクトル(波長:430〜800nm)を測定し、演算により各波長における仮支持体の屈折率を求めた。
(2)各実施例および比較例と同様にして感光性透明樹脂層および第二の透明樹脂層のみを仮支持体の上に形成したサンプルの仮支持体面に、透明接着テープ(OCAテープ8171CL:3M(株)製)を介して、黒色PET材を接触させた積層体を作製した。反射分光膜厚計FE−3000を用いて感光性透明樹脂層と仮支持体と黒色PETの積層体の反射スペクトル(波長:430〜800nm)を測定し、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)法と最小二乗法を用いたフィッティング演算により各波長における感光性透明樹脂層の屈折率および感光性透明樹脂層の厚みを求めた。この際、演算に用いる厚みの初期値として、透過型電子顕微鏡(TEM:HT7700、(株)日立ハイテクフィールディング)を用いて測定した感光性透明樹脂層の厚みを用いた。
(3)同様にして、仮支持体と感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層までの積層体のサンプルに黒色PET材を貼り合せた積層体の反射スペクトルを順に測定しながら、各層の屈折率と厚みを算出した。
各実施例および比較例の転写フィルムで用いる第二の透明樹脂層の屈折率と、感光性透明樹脂層の厚みを下記表5に記載した。また、各実施例および比較例の転写フィルムで用いる感光性透明樹脂層の屈折率は1.50〜1.52の範囲であった。
JIS Z 0208記載の方法により、各実施例および比較例の転写フィルムが5層積層された測定サンプルの透湿度の測定を行った(測定条件:40℃、相対湿度90%で、24時間経過後)。
測定サンプルの作製は、以下の方法で行った。市販のテフロン(登録商標)メッシュ上に作製した各実施例および比較例の転写フィルムを5回ラミネートした(透明フィルム基板の温度:40℃、ゴムローラー温度110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分)。その後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有す石英露光マスク)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm2(i線)でパターン露光し、さらに150℃60分間の加熱(ポストベーク)処理を行ったものを測定サンプルとして用いた。
結果を下記表5に記載した。
保護フィルムを剥離した各実施例および比較例の転写フィルムを用いて、銅箔(静電容量型入力装置の電極の代用)が積層されたPETフィルム(ジオマテック社製)上に、透明フィルム基板上に透明膜および透明電極パターンを形成したフィルムへ転写した方法と同様にして、第二の透明樹脂層、感光性透明樹脂層を転写し、後プロセス(仮支持体の剥離、現像、ポストベークなど)を実施した試料を得た。
試料の感光性透明樹脂層の膜面に濃度200g/Lの塩水を5cm3滴下し、50cm2に均一に広げた後、常温にて水分を揮発させ、高温高湿下(85℃、相対湿度85%)で120時間経時させた。その後、塩水をふき取って試料の表面状態を観察し、以下の評点にしたがって評価した。
AまたはBであることが実用上必要なレベルであり、Aであることが好ましい。評価結果を下記表5に記載した。
A : 銅、第二の透明樹脂層表面、感光性透明樹脂層表面ともに全く変化なし。
B : 第二の透明樹脂層表面または感光性透明樹脂層表面に若干痕が見えるが銅は変化なし。
C : 第二の透明樹脂層表面または感光性透明樹脂層表面に痕が明確に見えるが銅は変化なし。
D : 銅が変色。
<現像残渣の評価>
各実施例の転写フィルムを透明フィルム基板上に透明膜および透明電極パターンを形成したフィルム(静電容量型入力装置の電極を含む基板)上に転写した後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有す石英露光マスク)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm2(i線)でパターン露光した。仮支持体を剥離後、炭酸ソーダ2質量%水溶液32℃で40秒間洗浄処理した。その後、光学顕微鏡で観察を行った。いずれの水準も、現像残渣は確認できなかった。
現像条件に対するラチチュードを評価するため、現像が過酷な条件、現像温度を30℃とし、現像残渣評価(強制条件)を行なった。
標準的な現像条件から条件を過酷にした際においても、現像残渣がみられない領域があることが望ましく、A、Bであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果を下記表5に記載した。
《評価基準》
A:顕微鏡でも未露光部に現像残渣が確認できない。
B:目視では未露光部に現像残渣が確認できないものの、顕微鏡で1個/m2未満の残渣が確認できた。
C:未露光部に現像されない部分があり、目視で多くの現像残渣が確認できる。
各実施例の転写フィルムを透明フィルム基板上に透明膜および透明電極パターンを形成したフィルム(静電容量型入力装置の電極を含む基板)上に転写した後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有す石英露光マスク)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm2(i線)でパターン露光した。仮支持体を剥離後、保護膜を指で触り、その変形により膜のタック性評価を官能評価により行った。
A、B、Cであることが好ましく、A、Bであることがより好ましく、Aであることが特に好ましい。評価結果を下記表5に記載した。
《評価基準》
A:指で触った跡がまったく見えない。
B:光を反射させると、指で触った跡が若干観察できる。
C:指で触ると、目視で若干変形が観察できる。
D:明らかに指で触った跡が残る。
透明フィルム基板上に、透明膜、透明電極パターン、第二の透明樹脂層および感光性透明樹脂層をこの順に積層させた積層体と、黒色PET材とを、透明接着テープ(3M社製、商品名、OCAテープ8171CL)を介して、黒色PET材と透明接着テープが隣接し、かつ、透明接着テープと感光性透明樹脂層が隣接する積層順で接着させて、全体を遮光した評価用基板を作製した。
透明電極パターン隠蔽性は、暗室において、蛍光灯(光源)と作製した評価用基板を用いて、評価用基板の透明フィルム基板面側から光を入射させ、透明フィルム基板の光が入射する側の表面からの反射光を、斜めから目視観察した。下記評価基準に基づいて透明電極パターンの隠蔽性を評価した。透明電極パターンの隠蔽性は、A、BまたはCであることが好ましく、AまたはBであることがより好ましく、Aであることが特に好ましい。評価結果を下記表5に記載した。
《評価基準》
A :透明電極パターンが全く見えない。
B :透明電極パターンがわずかに見えるが、ほとんど見えない。
C :透明電極パターンが見える(分かりにくい)。
D :透明電極パターンが見えるが、実用上許容できる。
E :透明電極パターンがはっきり見える(分かりやすい)。
一方、(D)ロジン化合物を添加しなかった比較例1および2においては、透湿度が高く、塩水付与後の湿熱耐性が悪かった。
(D)ロジン化合物の量が多い実施例4、5および9では、透湿度は低いものの、タック性が見られた。また、実施例1〜21の第二の透明樹脂層にZrO2粒子を添加した構成では、第二の透明樹脂層の屈折率が1.65となり、透明電極パターン隠蔽性において優れる静電容量型入力装置の電極保護膜を形成できることがわかった。
積層体を切削して断面を得た後、TEM(透過型電子顕微鏡)で、断面を観察する。積層体の感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層の膜断面積における、金属酸化物粒子の占有面積の割合を層内の任意の3箇所で測定し、その平均値を体積分率(VR)とみなす。
体積分率(VR)を下記の式で換算することにより、積層体の感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層内における金属酸化物粒子の重量分率(WR)を算出する。
WR=D*VR/(1.1*(1−VR)+D*VR)
D:金属酸化物粒子の比重
金属酸化物粒子が、酸化チタンの場合D=4.0、酸化ジルコニウムの場合D=6.0として計算することができる。
なお、各実施例および比較例の積層体の感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層の金属酸化物粒子の含有量は、感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層の組成から算出することもできる。積層体の感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層の金属酸化物粒子の含有量は、感光性透明樹脂層または第二の透明樹脂層の組成から算出した含有量と同じであった。
特開2009−47936号公報の[0097]〜[0119]に記載の方法で製造した液晶表示素子に、先に製造した各実施例の積層体を貼り合せ、更に、前面ガラス板を張り合わせることで、公知の方法で静電容量型入力装置を構成要素として備えた各実施例の積層体を含む画像表示装置を作製した。
実施例1〜23の積層体を含む画像表示装置は感光性透明樹脂層、第二の透明樹脂層にも気泡等の欠陥がなく、表示特性に優れた画像表示装置が得られた。
2 マスク層
3 透明電極パターン(第一の透明電極パターン)
3a パッド部分
3b 接続部分
4 透明電極パターン(第二の透明電極パターン)
5 絶縁層
6 別の導電性要素
7 感光性透明樹脂層(透明保護層の機能を有することが好ましい)
8 開口部
10 静電容量型入力装置
11 透明膜
12 第二の透明樹脂層(透明絶縁層の機能を有してもよい)
13 積層体
21 透明電極パターンと第二の透明樹脂層と感光性透明樹脂層がこの順に積層された領域
22 非パターン領域
α テーパー角
26 仮支持体
27 熱可塑性樹脂層
28 中間層
29 保護フィルム
30 転写フィルム
31 引き回し配線の端末部
33 感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層の硬化部
34 引き回し配線の末端部に対応する開口部(感光性透明樹脂層と第二の透明樹脂層の未硬化部)
C 第一の方向
D 第二の方向
Claims (19)
- 仮支持体と、前記仮支持体の上に位置する感光性透明樹脂層とを有し、
前記感光性透明樹脂層が(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤および(D)ロジン化合物を含む、転写フィルム;
但し、前記感光性透明樹脂層の全固形分に対して、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物及びフルオレン環とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物の少なくともいずれかを50〜99質量%含む場合を除く。 - 前記(D)ロジン化合物が、ロジン、水添ロジン、酸変性ロジンおよびエステル化ロジンから選ばれる1種類以上のロジン化合物である、請求項1に記載の転写フィルム。
- 前記(D)ロジン化合物が、アビエチン酸およびアビエチン酸誘導体、パラストリン酸およびパラストリン酸誘導体、イソピマール酸およびイソピマール酸誘導体から選ばれる1種類以上の化合物を含む、請求項1または2に記載の転写フィルム。
- 前記(D)ロジン化合物が、ロジンまたは水添ロジンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 前記(D)ロジン化合物が、前記感光性透明樹脂層の固形分中の45質量%以下含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 前記感光性透明樹脂層上に、第二の透明樹脂層を有し、
前記第二の透明樹脂層の屈折率が、前記感光性透明樹脂層の屈折率よりも高い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転写フィルム。 - 前記感光性透明樹脂層の厚みが20μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 静電容量型入力装置の電極保護膜に用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 前記感光性透明樹脂層がブロックイソシアネートまたはエポキシ化合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 前記(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としてウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の転写フィルム。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の転写フィルムから、前記仮支持体が取り除かれた静電容量型入力装置の電極保護膜。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の転写フィルムを用いて、静電容量型入力装置の電極を含む基板上に前記転写フィルムの前記感光性透明樹脂層を転写することにより形成される、積層体。
- 静電容量型入力装置の電極を含む基板と、
前記基板の上に位置する感光性透明樹脂層とを有する積層体であって、
前記感光性透明樹脂層が、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)ロジン化合物を含む、積層体;
但し、前記感光性透明樹脂層の全固形分に対して、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物及びフルオレン環とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物の少なくともいずれかを50〜99質量%含む場合を除く。 - 前記静電容量型入力装置の電極が、透明電極パターンである、請求項12または13に記載の積層体。
- 前記感光性透明樹脂層の厚みが20μm以下である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の転写フィルムを用いて、静電容量型入力装置の電極を含む基板上に前記転写フィルムの前記感光性透明樹脂層を転写する工程を含む、積層体の製造方法。
- 前記基板が、透明フィルム基板である、請求項16に記載の積層体の製造方法。
- 請求項16または17に記載の積層体の製造方法で製造される、積層体。
- 請求項12〜15および18のいずれか一項に記載の積層体を含む、静電容量型入力装置。
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