JP6614410B2 - 照明器具 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、光演出効果が得られる照明器具に関する。
従来、器具本体に白色光を発光する白色光源と任意の色の光を発光するカラー光源とを設け、これら光源を拡散カバーで覆った照明器具がある。この照明器具では、例えば読書や作業を行う場合に白色光源を点灯させ、一方、照明空間の雰囲気を変化させる場合に白色光源の出力を下げるか消灯させてカラー光源を点灯させている。
このような照明器具では、拡散カバーの全体が均一の色および輝度となるように構成している。そのため、カラー光源を点灯させて拡散カバーの全体を白色光以外の色にしている場合、照明空間の雰囲気を変化させることはできるが、主照明の機能が得られず、読書や作業を行うのに適さないことがある。
特開2013−58384号公報
本発明が解決しようとする課題は、白色光による主照明の機能を維持しながら、光演出効果を得ることができる照明器具を提供することである。
実施形態の照明器具は、器具本体、拡散カバー、主光源および補助光源を備える。器具本体は、下面に照射開口を有する。拡散カバーは、照射開口を覆う。主光源は、器具本体内に設けられ、拡散カバーの端部領域から中央領域に亘って白色光を照射する。補助光源は、器具本体内に設けられ、拡散カバーの中央領域に白色光とは異なる光色の光を照射する。主光源は、相関色温度が1500K以上、3500K未満の第2の主光源を備える。第2の主光源および補助光源の点灯時において、拡散カバーの最低輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.25≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3であるとともに、拡散カバーの最高輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.4≦x≦0.5かつ0.35≦y≦0.45である。
本発明によれば、白色光による主照明の機能を維持しながら、光演出効果を得ることが期待できる。
第1の実施形態を示す照明器具の断面図である。 同上照明器具の斜視図である。 同上照明器具の拡散カバーの斜視図である。 同上照明器具の点灯状態の斜視図である。 同上照明器具の第1の主光源および補助光源の点灯時のXYZ表色系のxy色度図である。 主観評価試験の照明空間の説明図である。 開放感の主観評価試験の結果を示すグラフである。 リラックス感の主観評価試験の結果を示すグラフである。 同上照明器具の第2の主光源および補助光源の点灯時のXYZ表色系のxy色度図である。 開放感の主観評価試験の結果を示すグラフである。 リラックス感の主観評価試験の結果を示すグラフである。 同上照明器具の発光面の水平距離と色度との関係を示す色度図である。 同上照明器具の点灯状態の底面図である。 比較例の照明器具の発光面の水平距離と色度との関係を示す色度図である。 比較例の照明器具の点灯状態の底面図である。 同上照明器具の輝度分布図である。 同上照明器具の補助光源のみ点灯時の輝度分布図である。 比較例の照明器具の輝度分布図である。 比較例の照明器具の補助光源のみ点灯時の輝度分布図である。 比較例の照明器具の点灯状態の底面図である。 空らしさの主観評価試験の結果を示すグラフである。 好ましさの主観評価試験の結果を示すグラフである。 グラデーションの自然さの主観評価試験の結果を示すグラフである。 第2の実施形態を示す照明器具の断面図である。 第3の実施形態を示す照明器具の断面図である。
以下、第1の実施形態を、図1ないし図23を参照して説明する。
図4に示すように、照明器具10は、天井面11に形成された埋込孔に埋め込み設置される天井埋込形照明器具である。
図1および図2に照明器具10の構成を示す。照明器具10は、器具本体12、拡散カバー13、化粧枠14、主光源15および補助光源16を備えている。
さらに、照明器具10は、図示していないが、器具本体12を天井構造物に取り付ける取付枠、主光源15に点灯電源を供給する主電源装置、補助光源16に点灯電源を供給する補助電源装置、主光源15および補助光源16をそれぞれ点灯・消灯および調光制御するために主電源装置および補助電源装置を制御する制御装置を備えている。取付枠は、器具本体12の上部に固定され、天井面11よりも上方の天井構造物から垂下されている埋込ボルトに取り付けられ、器具本体12を支える。この取付枠に、各電源装置が設置されている。
そして、器具本体12は、四角形箱状に形成されており、天板20、この天板20に沿った第1の方向aで互いに対向する側板21、および第1の方向aに直交する第2の方向bで互いに対向する側板22を有している。器具本体12の下面には、四角形状の照射開口23が形成されている。天板20および側板21,22の組み立てには本体枠24が用いられている。
天板20および側板21,22の内面は、例えば白色面などの反射率の高い反射面25に形成されている。
また、図1ないし図3に示すように、拡散カバー13は、透光性および光拡散性を有する例えば乳白色の樹脂材料を用い、例えば圧空成形法によって一体に形成されている。拡散カバー13は、一方の対向する辺を結ぶ湾曲方向(第1の方向a)に湾曲されるとともに他方の対向する辺を結ぶ幅方向(第2の方向b)には直線状に形成されたカバー部13A、このカバー部13Aの湾曲方向(第1の方向a)に対して直交する幅方向(第2の方向b)の両側面に設けられた側面部13B、これらカバー部13Aおよび側面部13Bの下端周辺部から外側方向に突設された縁部13Cを有している。拡散カバー13は、周辺部の縁部13Cが化粧枠14に嵌め込まれて取り付けられている。
拡散カバー13のカバー部13Aは、主光源15および補助光源16からの光が照射されて発光する発光面13Dである。発光面13Dの湾曲形状については、例えば、湾曲方向(第1の方向a)の幅Aが565mm、高さBが54.5mm、曲率半径Rが853mmである。そして、それら幅と高さの好ましい範囲はB/A=0.07〜0.12、より好ましくは0.08〜0.10、曲率半径Rは800〜900mmである。
化粧枠14に取り付けられた拡散カバー13は、照射開口23を覆って器具本体12に配設され、器具本体12の内側に向けて窪むように湾曲されている。
拡散カバー13(発光面13D)は、湾曲方向の中央領域13aおよびこの中央領域13aの両端の端部領域13bを有し、中央領域13aの頂部が器具本体12の中心に一致するように構成されている。
また、化粧枠14は、中央に四角形状の開口部28を有する四角形枠状に形成され、器具本体12の側板21,22の下端に取り付けられている。すなわち、化粧枠14は、器具本体12の照射開口23の周囲に設けられている。
化粧枠14は、四角形枠状に設けられた化粧板部29、およびこの化粧板部29の上面から立ち上げられて側板21,22に取り付けられる取付部30を備えている。
化粧板部29の外周側には、天井面11の埋込孔を覆って天井面11に対向される縁部31が設けられている。
第1の方向aの化粧板部29の内側縁には、それぞれ化粧枠14の中央方向に向けて突出する対向部32が設けられている。対向部32は、拡散カバー13の端部領域13bの下面との間に間隙を設けて、拡散カバー13の端部領域13bの下面に対向されている。対向部32の上面は、例えば白色面などの反射率の高い反射面に形成されている。
したがって、本実施形態では、化粧枠14は、第1の方向aの両側に位置する化粧板部29の幅が、第2の方向bの両側に位置する化粧板部29の幅よりも広く設けられている。なお、第2の方向bの化粧板部29の内側縁にも対向部32を設けて、化粧板部29の全周の幅を同じ幅としてもよい。
また、主光源15は、器具本体12内の第1の方向aの両端部側の位置で、それぞれ第2の方向bに沿って設けられている。
主光源15は、白色光を発光する。白色光は、一般の照明光に用いられる白色系の照明光で、例えば昼光色、昼白色および電球色などの照明光が含まれる。主光源15は、所定の相関色温度の白色光を発光する主光源15のみを用いてもよいし、相関色温度が3500K以上、10000K以下、例えば4000Kの白色光を発光する第1の主光源15a、および相関色温度が1500以上、3500K未満、例えば2700Kの白色光を発光する第2の主光源15bを備えていてもよい。
主光源15には、発光モジュール35が用いられている。発光モジュール35は、基板36、およびこの基板36に実装された白色光を発光する複数の発光素子37を備えている。基板36は、器具本体12の第2方向bに細長い長方形に形成され、表面に配線パターンが形成されている。複数の発光素子37は、基板36の配線パターン上に、基板36の幅方向の中央に1列または複数列で、基板36の長手方向に沿って所定の間隔をあけて実装されている。発光素子37には、白色光を発光する例えばSMD(Surface Mount Device)パッケージ方式のLEDが用いられている。主光源15が第1の主光源15aおよび第2の主光源15bを備える場合、例えば、第1の主光源15aの発光素子37と第2の主光源15bの発光素子37とを基板36の長手方向に沿って2列に配列し、あるいは、第1の主光源15aの発光素子37と第2の主光源15bの発光素子37とを基板36の長手方向に沿って交互に1列状に配列し、第1の主光源15aの発光素子37と第2の主光源15bの発光素子37とを独立して点灯制御できるように構成される。
発光素子37を用いた主光源15は、発光素子37の発光面の中心に垂直な方向であって配光ピークとなる光軸38を中心として例えば120°の範囲(図1の破線の範囲)に白色光を照射する。
主光源15は、取付部材39によって器具本体12の第1の方向aの側板21の内面に取り付けられている。取付部材39によって、主光源15は、発光素子37の光軸38が、器具本体12の下面に対して拡散カバー13の中央領域13aの方向に向けて所定の角度θで傾斜するように取り付けられている。その所定の角度θは、発光素子37からの白色光が拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに亘って照射されるように、例えば45°に設定されている。
したがって、主光源15は、器具本体12内の第1の方向aの両端部側にそれぞれ設けられ、拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに亘って対向し、拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに亘って白色光を照射する。そして、1つの主光源15の光束は例えば3000lm程度で、照明器具10が備える2つの主光源15の合計の光束は6000lm程度となっている。
なお、主光源15は、拡散カバー13の端部領域13bに白色光を均一に照射するために、光拡散性を有する光源カバーで覆うようにしてもよい。
また、補助光源16は、器具本体12内の中央の位置で、第2の方向bに沿って設けられている。
補助光源16は、白色光とは異なる光色の光(以下、カラー光という)を発光する。カラー光としては、例えば、青色や赤色などのいずれか1色の場合、または、赤色、緑色および青色などの複数色の場合が含まれる。
補助光源16には、発光モジュール42が用いられている。発光モジュール42は、基板43、およびこの基板43に実装されたカラー光を発光する複数の発光素子44を備えている。基板43は、器具本体12の第2方向bに細長い長方形に形成され、表面に配線パターンが形成されている。複数の発光素子44は、基板43の配線パターン上に、基板43の幅方向の中央に1列または複数列で、基板43の長手方向に沿って所定の間隔をあけて実装されている。発光素子44には、カラー光を発光する例えばSMD(Surface Mount Device)パッケージ方式のLEDが用いられている。
発光素子44を用いた補助光源16は、発光素子44の発光面の中心に垂直な方向であって配光ピークとなる光軸45を中心として例えば120°の範囲(図1の破線の範囲)にカラー光を照射する。
補助光源16は、発光素子44の光軸45が拡散カバー13の中央領域13aの頂部に垂直に対向するように、すなわち、発光素子44の光軸45が器具本体12の下面に対して垂直となるように、器具本体12の天板20の下面中央に取り付けられている。
したがって、補助光源16は、器具本体12内の中央に設けられ、拡散カバー13の中央領域13aに対向し、拡散カバー13の中央領域13aにカラー光を照射する。そして、補助光源16の光束は、補助光源16の光が青色光の場合には例えば270lm程度となっている。なお、照明器具10が主光源15からの白色光による主照明の機能を維持し、かつ補助光源16のカラー光によって空間が変色することを抑制するためには、補助光源16の光束は1つの主光源15の光束よりも小さく、例えば1/5以下、さらには1/7以下であることが好ましい。
なお、補助光源16は、拡散カバー13の中央領域13aにカラー光を均一に照射するために、光拡散性を有する光源カバーで覆うようにしてもよい。
そして、照明器具10は、主光源15および補助光源16にそれぞれ主電源装置および補助電源装置から点灯電源を供給し、主光源15および補助光源16をそれぞれ点灯させる。
点灯した主光源15からの白色光が拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに照射され、点灯した補助光源16からのカラー光が拡散カバー13の中央領域13aに照射され、拡散カバー13が光る。
この場合、図4に示すように、拡散カバー13の端部領域13bは白色光によって白色に光り、拡散カバー13の中央領域13aはカラー光によって例えば青色に光る。
拡散カバー13を透過した白色光が照明空間に照射される。この場合、主光源15が器具本体12の端部側に設けられ、主光源15の光軸38を照明器具10の中央方向に向けて傾斜させていることにより、埋込形の照明器具10であっても広い配光角の領域に白色光を照射することができる。
拡散カバー13の中央領域13aに照射されるカラー光は、その拡散カバー13の中央領域13aがカラー光に染まる程度の光束であるため、拡散カバー13の中央領域13aを透過して照明空間に照射されるカラー光の光量は白色光に比べて少ない。
そのため、照明空間には、主として白色光が照射され、例えば読書や作業を行うのに適した照明環境となる。
また、拡散カバー13の中央領域13aには、主光源15からの白色光と補助光源16からのカラー光との両方が照射されるが、白色光の光量が拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに向かうに従って徐々に少なくなるとともに、カラー光の光量が拡散カバー13の中央領域13aの周辺から中央に向かうに従って徐々に多くなる。そのため、拡散カバー13の端部領域13bと中央領域13aとの間には、白色と青色との間で徐々に色が変わるグラデーション領域が形成される。そのため、照明器具10を見上げた際、拡散カバー13の色がグラデーション領域を介して自然に変化しているように見え、光演出効果を高めることができる。
拡散カバー13の中央領域13aは、補助光源16のカラー光が青色であっても、この青色と白色光とが混色することで、空色に近い青色となる。この場合、照明器具10を見上げた人は、空が連想されやすく、開放感やリラックス感が得られやすくなる。
したがって、照明器具10によれば、白色光による主照明の機能を維持しながら、光演出効果を得ることができる。
さらに、拡散カバー13の中央領域13aが器具本体12の内側に窪むように湾曲しているため、カラー光で光る拡散カバー13の中央領域13aが遠くにあるような奥行き感や開放感が得られやすく、光演出効果を向上できる。
しかも、拡散カバー13の発光面13Dの湾曲形状については、湾曲方向(第1の方向a)の幅をA、高さをBとした場合、好ましい範囲はB/A=0.07〜0.12、より好ましくは0.08〜0.10、曲率半径Rは800〜900mmであり、この範囲内で連続する曲面形状であることで、主光源15および補助光源16からのそれぞれ光の入射角度が緩やかに変化することとなり、発光面13Dでの色度および輝度の自然な変化が達成でき、違和感のない自然なグラデーション効果を得ることができる。
また、化粧枠14の対向部32が、拡散カバー13の端部領域13bの下面との間に間隙を設けて、拡散カバー13の端部領域13bの下面に対向されているため、拡散カバー13の端部領域13bを透過した光の一部が対向部32で反射し、拡散カバー13の端部領域13bを照らすことになる。そのため、化粧枠14の対向部32に対して拡散カバー13の端部領域13bが離れているように見えやすく、間接照明のように見える効果がある。
次に、拡散カバー13の発光面13Dの色度について説明する。
主光源15の相関色温度4000Kの第1の主光源15aと青色光の補助光源16とを点灯した場合、拡散カバー13の発光面13Dには白色から青色にかけてのグラデーションを呈する。この場合の発光面13Dの色度分布を、図5のXYZ表色系のxy色度図に示す。
このとき、拡散カバー13の最低輝度(400〜12000cd/m2の範囲であって、例えば4000cd/m2)となる点P1の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.25≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3にある。この最低輝度となる点P1は、拡散カバー13の中央領域13aでかつ第2の方向bの端部側にある(図4参照)。また、拡散カバー13の最高輝度(8000〜30000cd/m2の範囲であって、例えば16000cd/m2)となる点P2の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.4≦x≦0.5かつ0.35≦y≦0.45にある。最高輝度となる点P2は、端部領域13bの中央にある(図4参照)。
そして、図6に示す照明空間の天井に設置された照明器具10の色度分布が図5に示した色度分布である場合、照明空間に居る居住者Dの眼前の相関色温度が5500K、眼前の照度が250lxとなった。この環境を実施例5500Kとする。また、従来、発光面の色度および輝度が均一な照明器具を用い、図6に示す照明空間で居住者Dの眼前の測定点dにおける相関色温度が5500K、眼前の照度が250lxを再現した環境を従来5500Kとする。
実施例5500Kの環境下と従来5500Kの環境下とで、20〜40歳代の男女15名による開放感およびリラックス感を評価した主観評価試験を行い、その主観評価の結果の平均値を図7および図8に示す。主観評価の結果、t検定により有意水準1%において、実施例5500Kの環境は、従来5500Kの環境に比べて、有意に良好であった。これは、実施例5500Kの環境下では、屋外にいるような感覚が得られることが一つの理由としてある。
また、主光源15の相関色温度2700Kの第2の主光源15bと青色光の補助光源16を点灯することで、発光面13Dには電球色から青紫色にかけてのグラデーションを呈する。この場合の発光面13Dの色度分布を、図9のXYZ表色系のxy色度図に示す。
このとき、拡散カバー13の最低輝度(400〜12000cd/m2の範囲であって、例えば4000cd/m2)となる点P3の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.25≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3にある。この最低輝度となる点P3は、拡散カバー13の中央領域13aでかつ第2の方向bの端部側にある(図4参照)。また、拡散カバー13の最高輝度(8000〜30000cd/m2の範囲であって、例えば16000cd/m2)となる点P4の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.4≦x≦0.5かつ0.35≦y≦0.45にある。最高輝度となる点P4は、端部領域13bの中央にある(図4参照)。
そして、図6に示す照明空間の天井に設置された照明器具10の色度分布が図6に示した色度分布である場合、照明空間に居る居住者Dの眼前の相関色温度が3500K、眼前の照度が200lxとなった。この環境を実施例3500Kとする。また、従来、発光面の輝度および色度が均一な照明器具を用い、図6に示す照明空間で居住者Dの眼前の測定点dにおける相関色温度が3500K、眼前の照度が200lxを再現した環境を従来3500Kとする。
実施例3500Kの環境下と従来3500Kの環境下とで、20〜40歳代の男女15名による開放感およびリラックス感を評価した主観評価試験を行い、その主観評価の結果の平均値を図10および図11に示す。主観評価の結果、t検定によりそれぞれ有意水準1%(開放感)、5%(リラックス感)において、実施例3500Kの環境は、従来3500Kの環境に比べて、有意に良好であった。これは、実施例3500Kの環境下では、屋外にいるような感覚が得られることが一つの理由としてある。
なお、相関色温度4000Kの第1の主光源15aと相関色温度2700Kの第2の主光源15bと青色光の補助光源16とを点灯した場合、拡散カバー13の最低輝度(400〜12000cdの範囲であって、例えば4000cd)となる点の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3にある。この最低輝度となる点は、拡散カバー13の中央領域13aでかつ第2の方向bの端部側にある。また、拡散カバー13の最高輝度(8000〜30000cdの範囲であって、例えば16000cd)となる点の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.3≦x≦0.5かつ0.3≦y≦0.45にある。最高輝度となる点は、端部領域13bの中央にある。この場合にも、同様に、開放感およびリラックス感が得られる。
このように、本実施形態の発光面13Dの見え方を呈する照明器具10は、居住者Dの目に届く光の色温度と照度が等しく、発光面の輝度および色度が均一な照明器具に比べて、開放感やリラックス感などの視的快適性を高めることができる。
また、主光源15が相関色温度4000Kの第1の主光源15aと相関色温度2700Kの第2の主光源15bとを備える場合、朝および昼は第1の主光源15aを点灯させる実施例5500Kの環境下とし、昼から夕方にかけて第2の主光源15bを点灯させる実施例3500Kに移行するような制御をすることで、時刻に応じて空の色の変化を再現することができる。
しかも、昼から夕方にかけて第2の主光源15bを点灯させる実施例3500Kの環境下に移行するような制御をすることで、第1の主光源15aのみを点灯した実施例5500Kの環境下で終日過ごす場合に比べ、夜間に分泌されて睡眠を促すホルモンであるメラトニンを抑制する480nm付近の光量を相対的に減らすことができ、良質な睡眠を促すことが期待できる。これにより、居住者Dにとって生理的にも良好な環境が実現できる。
また、図12には、横軸に湾曲方向(第1の方向a)における発光面13Dの位置(発光面13Dの一端を基準とした他端までの水平距離L)、縦軸に色度xおよび色度yとした色度図を示す。
色度図上で、色度xおよび色度yは、発光面13Dの端部位置から中央位置に亘って滑らかに連続して変化する曲線となる。この場合、図13に示すように、発光面13Dは、色度が自然に変化し、違和感のない自然なグラデーションを呈する。
図14には、比較例の色度図を示す。色度図上で、色度xおよび色度yは、発光面13Dの端部領域と中央領域との間で急激に変化しており、滑らかに連続して変化する曲線ではない。この場合、図15に示すように、発光面13Dは、色度がはっきりと変化していることが表れ、違和感のない自然なグラデーションを得ることができない。
次に、拡散カバー13の発光面13Dの輝度について説明する。
相関色温度4000Kの主光源15と青色光の補助光源16とを点灯した場合、拡散カバー13の発光面13Dには白色から青色にかけてのグラデーションを呈する。この場合の発光面13Dの輝度分布図を図16に示す。図16には、横軸に湾曲方向(第1の方向a)における発光面13Dの位置(発光面13Dの一端を基準とした他端までの水平距離L)、縦軸に輝度を示し、この輝度分布図上に白色の輝度分布曲線、青色の輝度分布曲線、白色+青色の輝度分布曲線をそれぞれ示している。
白色+青色の輝度分布曲線は、発光面13Dの端部領域13bに最高輝度の領域があり、発光面13Dの中央領域13aに最低輝度の領域があり、最高輝度の領域から最低輝度の領域に亘って輝度が滑らかに連続して変化する曲線(下に凸となる曲線)を描いている。この場合、図13に示したように、発光面13Dは、輝度が自然に変化し、違和感のない自然なグラデーションを呈する。
なお、この場合の最低輝度は最大輝度の約25%である。最低輝度は、最高輝度の5%以上40%以下であることが好ましい。5%より少ないと発光面13Dの青色に見えにくく、40%よりも多いと発光面13Dが青く光っているように見えてしまう。
青色の補助光源16のみを点灯した輝度分布図を図17に示す。輝度値が最高輝度の半分の値となる半値幅(L/4〜3L/4)は、発光面13Dの全幅の約50%となる。
一方、図18および図19に比較例の輝度分布図を示す。
図18は、白色光の主光源15と青色光の補助光源16とを点灯したときで、最高輝度から最低輝度に亘って輝度が滑らかに連続して変化しない曲線となる比較例の輝度分布図を示す。この場合、発光面13Dは、図15と同様に、白色と青色とが分断された不自然な見え方を呈する。
図19は、青色光の半値幅が発光面13Dの全幅の24%である比較例の輝度分布図を示す。この場合、発光面13Dは、図20に示すように、白色と青色との間に暗部47ができ、不自然な見え方を呈する。
そのため、発光面13Dの色度が自然に変化し、違和感のない自然なグラデーションを呈するには、補助光源16の半値幅が25%以上であることが好ましい。
なお、輝度が最高輝度の50%以上となる最高輝度領域は拡散カバー13の発光面13Dの端部領域13bにあり、発光面13Dの面積に対する最高輝度領域の割合は10〜40%の範囲である。なお、この面積は、平面に投影したとき(真下から見上げたとき)の見かけの面積である。
そして、図21ないし図23は、20〜40歳代の男女10名に照明器具の印象を評価する主観評価試験を行い、その主観評価の結果の平均値を示すものである。図21ないし図23の横軸は、左から、図20に示す発光面13Dに暗部がある場合、図13に示す本実施形態の場合、図15に示す発光面13Dに境界が明瞭な場合である。図21は空らしさ、図22は好ましさ、図23はグラデーションの自然さに対する10名の評価値の平均値をそれぞれ縦軸にとった。
t検定の結果、いずれの項目においても、本実施形態の評価が有意水準1%で、有意に良好である。
したがって、本実施形態では、拡散カバー13の発光面13Dの色度および輝度のそれぞれが滑らかに変化することで、違和感のない自然なグラデーション効果を得ることができる。
なお、補助光源16を消灯し、主光源15のみを点灯させた場合、拡散カバー13の全体を白色光によって光らせることができる。また、主光源15を消灯し、補助光源16のみを点灯させることもできる。
また、補助光源16は、赤色、緑色および青色の発光素子44を備えてカラー照明可能な場合、例えば時刻毎の空の色の変化に対応したカラー光を照射し、例えば日中は青空、夕方は夕焼け空を発光面13Dに再現するようにしてもよい。
次に、図24に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果についての説明を省略する。
器具本体12の上側の反射面25が湾曲または傾斜されている。例えば、天板20の下面に、天板20の第1の方向aの端部側から中央側に向かって徐々に下方に突出する突出部20aを設けることにより、反射面25が湾曲または傾斜されている。
そして、主光源15から上方の天板20の反射面25に向かった光を拡散カバー13に向けて有効に反射させることができため、照明器具10から照明空間に光を照射する効率を向上できる。
なお、第2の実施形態においても、化粧枠14には、第1の実施形態と同様の対向部32を設けてもよい。
次に、図25に第3の実施形態を示す。なお、各実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果についての説明を省略する。
照明器具10は、化粧枠14に取り付けられて器具本体12内に配設される反射体50を備えている。反射体50は、拡散カバー13の発光面13Dの上面に対向する反射面51を有している。反射面51は、発光面13Dの湾曲形状に対応して折り曲げられた複数の反射面51a,51b,51c,51d,51eによって構成されている。なお、反射体50は、拡散カバー13の湾曲方向である第1の方向aに沿って反射面51a〜51eが設けられているが、第2の方向bの側面は開口されていてもよいしあるいは側面反射板で閉塞されていてもよい。
中央の反射面51aは、水平状で補助光源16が取り付けられている。中央の反射面51aの両側の反射面51b,51cはそれぞれ端部側が下降するように傾斜状に設けられている。反射面51cは、例えば45°の角度で傾斜し、主光源15が取り付けられている。反射面51d,51eは、側面を構成し、化粧枠14に取り付けられている。
反射体50の反射面51cには、主光源15を備えた主光源ユニット53が取り付けられている。主光源ユニット53は、主光源15の発光モジュール35に加えて、この発光モジュール35を反射体50に取り付けるための取付部54、および発光モジュール35を覆う光源カバー55を備えている。光源カバー55は、透光性および光拡散性を有しており、発光モジュール35の発光素子37に対向する中央を頂部とした湾曲形状に形成されていて、その両側端部は発光素子37の位置まで延伸している。
反射体50の反射面51aには、補助光源16を備えた補助光源ユニット57が取り付けられている。補助光源ユニット57は、補助光源16の発光モジュール42に加えて、この発光モジュール42を反射体50に取り付けるための取付部58、および発光モジュール42を覆う光源カバー59を備えている。光源カバー59は、透光性および光拡散性を有しており、発光モジュール42の発光素子44に対向する中央を頂部とした湾曲形状に形成されていて、その両側端部は発光素子37の位置まで延伸している。本実施形態では、2つの補助光源ユニット57が用いられ、これら2つの補助光源ユニット57が、反射体50の反射面51aに、発光面13Dの湾曲方向(第1の方向a)に対応した方向に所定の間隔をあけて並設されている。
また、化粧枠14は、器具本体12に引っ掛けられた複数の取付ばね61によって上方に引き上げられて、器具本体12に取り付けられている。
また、器具本体12内の上部には、主光源電源装置62および補助光源電源装置63が取り付けられているとともに制御装置が取り付けられている。
そして、この照明器具10において、主光源15および補助光源16から拡散カバー13に照射された光の一部が反射して反射面51に向かい、この反射面51で反射して再び拡散カバー13に照射されるため、拡散カバー13を透過して照明空間に取り出される光取出効率を高めることができる。
また、主光源15からの白色光が反射面51bで反射して発光面13Dの中央領域13aの方向に向かい、補助光源16からのカラー光が反射面51bで反射して発光面13Dの端部領域13bの方向に向かう。すなわち、主光源15と補助光源16との間の反射面51bに白色光およびカラー光が直接または間接的にそれぞれ入射して反射する。そのため、反射面51bで反射する白色光およびカラー光が発光面13Dの中央領域13aと端部領域13bとの間に照射され、発光面13Dの色度が自然に変化し、違和感のない自然なグラデーションを呈することができる。
また、各実施形態において、拡散カバー13は、中心を頂部として周辺部に向けて湾曲する球面状に形成してもよい。この場合、拡散カバー13の周辺部は、四角形状および円形状のいずれでもよい。さらに、主光源15は、器具本体12の側面全周域に設けて、拡散カバー13の外径側から拡散カバー13に白色光を照射するようにすればよい。
また、拡散カバー13は、平板状でもよく、あるいは、中央領域13aが器具本体12から突出するように湾曲していてもよい。
また、器具本体12の拡散カバー13の中央領域13aに対向してプロジェクタを配設し、拡散カバー13の中央領域13aに対して例えば雲などの映像を投影するようにしてもよい。この場合、補助光源16は、主光源15とともに器具本体12の端部側に設けて、カラー光を拡散カバー13の中央領域13aに照射するようによればよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 照明器具
12 器具本体
13 拡散カバー
13a 中央領域
13b 端部領域
14 化粧枠
15 主光源
15a 第1の主光源
15b 第2の主光源
16 補助光源
23 照射開口
32 対向部
38 光軸

Claims (8)

  1. 下面に照射開口を有する器具本体と;
    前記照射開口を覆う拡散カバーと;
    前記器具本体内に設けられ、前記拡散カバーの端部領域から中央領域に亘って白色光を照射する主光源と;
    前記器具本体内に設けられ、前記拡散カバーの中央領域に前記白色光とは異なる光色の光を照射する補助光源と;
    を具備し、
    前記主光源は、相関色温度が1500K以上、3500K未満の第2の主光源を備え、
    前記第2の主光源および前記補助光源の点灯時において、前記拡散カバーの最低輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.25≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3であるとともに、前記拡散カバーの最高輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.4≦x≦0.5かつ0.35≦y≦0.45である
    ことを特徴とする照明器具。
  2. 下面に照射開口を有する器具本体と;
    前記照射開口を覆う拡散カバーと;
    前記器具本体内に設けられ、前記拡散カバーの端部領域から中央領域に亘って白色光を照射する主光源と;
    前記器具本体内に設けられ、前記拡散カバーの中央領域に前記白色光とは異なる光色の光を照射する補助光源と;
    を具備し、
    前記主光源は、相関色温度が3500K以上、10000K以下の第1の主光源と、相関色温度が1500K以上、3500K未満の第2の主光源とを備え、
    前記第1の主光源、前記第2の主光源および前記補助光源の点灯時において、前記拡散カバーの最低輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3であるとともに、前記拡散カバーの最高輝度となる点の色度がXYZ表色系のxy色度図上で0.3≦x≦0.5かつ0.3≦y≦0.45である
    ことを特徴とする照明器具。
  3. 前記補助光源の光束は、前記主光源の光束よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。
  4. 前記主光源は、前記器具本体の端部側に、前記主光源の光軸が前記拡散カバーの中央領域の方向に向けて傾斜するように設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の照明器具。
  5. 前記器具本体の前記照射開口の周囲に設けられる化粧枠を具備し、
    前記拡散カバーは、前記拡散カバーの端部領域に対して中央領域が前記器具本体の内側に向けて窪むように湾曲され、
    前記化粧枠は、前記拡散カバーの端部領域との間に間隙を設けて対向する対向部を有する
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の照明器具
  6. 前記主光源および前記補助光源の点灯時において、前記拡散カバーの端部領域に最高輝度の領域があり、前記拡散カバーの中央領域に最低輝度の領域があり、最高輝度の領域から最低輝度の領域に亘って輝度が滑らかに変化する輝度分布を有する
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の照明器具。
  7. 前記拡散カバーの最低輝度は、最高輝度の5%以上40%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の照明器具。
  8. 前記補助光源のみの点灯時において、前記拡散カバーの中央領域が最高輝度となって前記拡散カバーの端部領域に行くにつれて輝度が低下する輝度分布を有し、輝度値が最高輝度の半分の値となる半値幅は、前記拡散カバーの全幅に対して25%以上である
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の照明器具。
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