本発明に基づいた各実施の形態における複合シールを用いたシール構造について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(参考技術1:複合シール100を用いた複合シール構造)
初めに、図1から図7を参照して、参考技術1として複合シール100を用いた複合シール構造について説明する。なお、図1は、参考技術1における複合シール100の平面図、図2は、参考技術1における複合シール100の底面図、図3は、参考技術1における複合シール100の正面図、図4は、図1中IV−IV線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図5は、参考技術1における複合シールの使用状態を示す断面図、図6は、参考技術2におけるシールの使用状態を示す断面図、図7は、参考技術1における複合シール100の課題を示す断面図である。
図1から図4を参照して(特に図4)、複合シール100の構造について説明する。複合シール100は、無端状の環状形態を有し、後述する大気圧側に第1シール110、後述する真空側に第2シール120が配置されている。第1シール110および第2シール120は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール110の第2シール120側には、凸部110pが設けられ、第2シール120の第1シール110側には、凹部110gが設けられ、凸部110pが凹部110gに嵌合して、第1シール110と第2シール120とが結合している。
第1シール110の大気圧側は、斜辺111、斜辺112、頂部115、斜辺113、および、斜辺114を含む、大気圧側に山形の形状を有している。
第1シール110は、エラストマーを用いて形成されており、例えば、パーフロロエラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、PVC系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは後述の第2シール120に用いられるフッ素樹脂に比べて弾性変形の特性に富み、シール性を高めるには好適の材料である。
第2シール120の真空側は、斜辺121、斜辺122、底辺123、斜辺124、および、斜辺125を含む、真空側に山形の形状を有している。
第2シール120は、フッ素樹脂を用いて形成されており、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(VDF−HFP共重合体)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(VDF−HFP−TFE共重合体)等が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、第1シール110に用いられるエラストマーに比べて反応性活性ガスに対して耐性を有している。
次に、図5を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。
シール溝Gに複合シール100が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール110の斜辺111が底壁G11に圧接し、頂部115が大気圧側壁G12に圧接し、斜辺114が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。また、真空側に第2シール120が位置し、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることになるが、第2シール120は、耐性を有することから、第1シール110を保護することができる。また、第2シール120の斜辺121が底壁G11に圧接し、底辺123が真空側壁G13に圧接することから、シール溝G内において、反応性活性ガスが第1シール110に到達することもない。
このように、エラストマーを用いた第1シール110とフッ素樹脂を用いた第2シール120とを組み合わせた複合シール100を用いることで、気密性を確保するとともに、複合シール100の劣化を抑制することを可能としている。例えば、図6に示すように、エラストマーを用いたシール50の場合には、気密性を確保することは可能であるが、真空側においてシール50は、反応性活性ガスの雰囲気に晒されることになり、シール50の劣化は避けられない。
しかし、図5に示す複合シール100においても、新たな課題が考えられる。図7を参照して、新たな課題を説明する。図7に示す筐体は、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有している。この分割筐体構造を用いた場合には、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成される場合がある。この状況の場合には、通路P1と真空側とは、第2シール120の真空側壁G13への圧接により気密性が確保される状態となる。
しかしながら、第2シール120にはフッ素樹脂が用いられていることから、エラストマーよりも気密性能は低く、大気圧側から真空側への空気の漏れの発生が懸念される。そこで、以下の各実施の形態においては、これらの課題を解決した新たな構成を備える複合シール、および、その複合シールを用いたシール構造について説明する。
(実施の形態1:複合シール200を用いた複合シール構造)
図8から図12を参照して、実施の形態1における複合シール200およびこの複合シール200を用いた複合シール構造について説明する。図8は、複合シール200の平面図、図9は、複合シール200の底面図、図10は、複合シール200の正面図、図11は、図8中XI−XI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図12は、複合シール200の使用状態を示す断面図である。
図8から図11を参照して(特に図11)、複合シール200の構造について説明する。複合シール200は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール210、真空側に第2シール220が配置されている。第1シール210および第2シール220は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール210の第2シール220側には、凸部210pが設けられ、第2シール220の第1シール210側には、凹部210gが設けられ、凸部210pが凹部210gに嵌合して、第1シール210と第2シール220とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール210と第2シール220との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール210の大気圧側は、斜辺211、斜辺212、斜辺213が設けられ、斜辺211の第2シール220側に頂部214、斜辺211と斜辺212とが交差する領域に頂部215、斜辺212と斜辺213とが交わる領域に頂部216、および、斜辺213の第2シール220側に頂部217を含む、略矩形形状を有している。頂部214、頂部215、および、頂部216はいずれも湾曲形状である。
第1シール210は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール220の真空側は、斜辺221、斜辺222、および、斜辺223を含む、斜辺222側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール220は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図12を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール200が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール210の頂部215が底壁G11に圧接し、頂部216が大気圧側壁G12に圧接し、頂部214が真空側壁G13に圧接し、頂部217が軸R1に圧接し、第2シール220の斜辺221が真空側壁G13に圧接し、斜辺223が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール210の頂部214が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール220の斜辺221が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においては、第1シール210は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール220は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール210は、第2シール220が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール210の頂部214が、第2シール220の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール210を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール220の斜辺221が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール210が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
(実施の形態2:複合シール300を用いた複合シール構造)
図13から図17を参照して、実施の形態2における複合シール300およびこの複合シール300を用いた複合シール構造について説明する。図13は、複合シール300の平面図、図14は、複合シール300の底面図、図15は、複合シール300の正面図、図16は、図13中XVI−XVI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図17は、複合シール300の使用状態を示す断面図である。
図13から図16を参照して(特に図16)、複合シール300の構造について説明する。複合シール300は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール310、真空側に第2シール320が配置されている。第1シール310および第2シール320は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール310の第2シール320側には、凸部310pが設けられ、第2シール320の第1シール310側には、凹部310gが設けられ、凸部310pが凹部310gに嵌合して、第1シール310と第2シール320とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール310と第2シール320との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール310の大気圧側は、斜辺311、斜辺312、斜辺313、斜辺318が設けられ、斜辺311の第2シール320側に頂部214、斜辺311と斜辺312とが交差する領域に頂部315、斜辺312と斜辺313とが交わる領域に頂部316、および、斜辺313と斜辺318とが交わる領域に頂部317を含む、略矩形形状を有している。頂部314、頂部315、頂部316、および、頂部317はいずれも湾曲形状である。
第1シール310は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール320の真空側は、斜辺321、斜辺322、および、斜辺323を含む、斜辺322側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール320は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図17を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール300が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール310の頂部315が底壁G11に圧接し、頂部316が大気圧側壁G12に圧接し、頂部314が真空側壁G13に圧接し、斜辺318が軸R1に圧接し、第2シール320の斜辺321が真空側壁G13に圧接し、斜辺323が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール310の頂部314が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール320の斜辺321が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においても、第1シール310は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール320は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール310は、第2シール320が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール310の頂部314が、第2シール320の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール310を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール320の斜辺321が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール310が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
(実施の形態3:複合シール400を用いた複合シール構造)
図18から図22を参照して、実施の形態3における複合シール400およびこの複合シール400を用いた複合シール構造について説明する。図18は、複合シール400の平面図、図19は、複合シール400の底面図、図20は、複合シール400の正面図、図21は、図18中XXI−XXI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図22は、複合シール400の使用状態を示す断面図である。
図18から図21を参照して(特に図21)、複合シール400の構造について説明する。複合シール400は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール410、真空側に第2シール420が配置されている。第1シール410および第2シール420は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール410の第2シール420側には、凸部410pが設けられ、第2シール420の第1シール410側には、凹部410gが設けられ、凸部410pが凹部410gに嵌合して、第1シール410と第2シール420とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール410と第2シール420との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール410の大気圧側は、斜辺411、斜辺412、斜辺413が設けられ、斜辺411の第2シール420側に頂部414、斜辺411と斜辺412とが交差する領域に頂部415、斜辺412と斜辺413とが交わる領域に頂部416、および、斜辺413の第2シール420側に頂部417を含む、略矩形形状を有している。頂部414、頂部415、および、頂部416はいずれも湾曲形状である。
第1シール410は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール420の真空側は、斜辺421、斜辺422、および、斜辺423を含む、斜辺422側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール420は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図22を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール400が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール410の頂部415が底壁G11に圧接し、頂部416が大気圧側壁G12に圧接し、頂部414が真空側壁G13に圧接し、頂部417が軸R1に圧接し、第2シール420の斜辺421が真空側壁G13に圧接し、斜辺423が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール410の頂部414が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール420の斜辺421が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においては、第1シール410は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール420は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール410は、第2シール420が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール410の頂部414が、第2シール420の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール410を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール420の斜辺421が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール410が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
また、本実施の基本的構成は、上記実施の形態1における複合シール200と同じであるが、第1シール210の頂部215が底壁G11の略中央領域に圧接しているのに対して、本実施の形態における複合シール400は、第1シール410の頂部415が底壁G11の略真空圧側で圧接している点で、相違している。
これにより、斜辺411と真空側壁G13との当接面積を大きくすることが可能となり、軸R1の摺動にともない、複合シール400が回動した場合であっても、シール性能を維持することが可能となる。
(実施の形態4:複合シール500を用いた複合シール構造)
図23から図27を参照して、実施の形態4における複合シール500およびこの複合シール500を用いた複合シール構造について説明する。図23は、複合シール500の平面図、図24は、複合シール500の底面図、図25は、複合シール500の正面図、図26は、図23中XXVI−XXVI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図27は、複合シールの使用状態を示す断面図である。
図23から図26を参照して(特に図26)、複合シール500の構造について説明する。複合シール500は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール510、真空側に第2シール520が配置されている。第1シール510および第2シール520は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール510の第2シール520側には、凸部510pが設けられ、第2シール520の第1シール510側には、凹部510gが設けられ、凸部510pが凹部510gに嵌合して、第1シール510と第2シール520とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール510と第2シール520との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール510の大気圧側は、斜辺511、斜辺512、斜辺513、斜辺518が設けられ、斜辺511の第2シール520側に頂部514、斜辺511と斜辺512とが交差する領域に頂部515、斜辺512と斜辺513とが交わる領域に頂部516、および、斜辺513と斜辺518とが交わる領域に頂部517を含む、略矩形形状を有している。頂部514、頂部515、頂部516、および、頂部517はいずれも湾曲形状である。
第1シール510は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール520の真空側は、斜辺521、斜辺522、および、斜辺523を含む、斜辺522側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール520は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図27を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール500が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール510の頂部515が底壁G11に圧接し、頂部516が大気圧側壁G12に圧接し、頂部514が真空側壁G13に圧接し、斜辺518が軸R1に圧接し、第2シール520の斜辺521が真空側壁G13に圧接し、斜辺523が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール510の頂部514が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール520の斜辺521が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においても、第1シール510は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール520は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール510は、第2シール520が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール510の頂部514が、第2シール520の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール510を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール520の斜辺521が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール510が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
また、本実施の基本的構成は、上記実施の形態2における複合シール300と同じであるが、第1シール310の頂部314が底壁G11の略中央領域に圧接しているのに対して、本実施の形態における複合シール500は、第1シール510の頂部515が底壁G11の略真空圧側で圧接している点で、相違している。
これにより、斜辺511と真空側壁G13との当接面積を大きくすることが可能となり、軸R1の摺動にともない、複合シール500が回動した場合であっても、シール性能を維持することが可能となる。
(実施の形態5:複合シール600を用いた複合シール構造)
図28から図32を参照して、実施の形態5における複合シール600およびこの複合シール600を用いた複合シール構造について説明する。図28は、複合シール600の平面図、図29は、複合シール600の底面図、図30は、複合シール600の正面図、図31は、図28中XXXI−XXXI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図32は、複合シール600の使用状態を示す断面図である。
図28から図31を参照して(特に図31)、複合シール600の構造について説明する。複合シール600は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール610、真空側に第2シール620が配置されている。第1シール610および第2シール620は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール610の第2シール620側には、凸部610pが設けられ、第2シール620の第1シール610側には、凹部610gが設けられ、凸部610pが凹部610gに嵌合して、第1シール610と第2シール620とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール610と第2シール620との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール610の大気圧側は、斜辺611、斜辺612、斜辺613が設けられ、斜辺611の第2シール620側に頂部614、斜辺611と斜辺612とが交差する領域に頂部615、斜辺612と斜辺613とが交わる領域に頂部616、および、斜辺613の第2シール620側に頂部617を含む、略矩形形状を有している。頂部614、頂部615、および、頂部616はいずれも湾曲形状である。
第1シール610は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール620の真空側は、斜辺621、斜辺622、および、斜辺623を含む、斜辺622側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール620は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図32を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール600が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール610の頂部615が底壁G11に圧接し、頂部616が大気圧側壁G12に圧接し、頂部614が真空側壁G13に圧接し、頂部617が軸R1に圧接し、第2シール620の斜辺621が真空側壁G13に圧接し、斜辺623が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール610の頂部614が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール620の斜辺621が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においては、第1シール610は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール620は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール610は、第2シール620が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール610の頂部614が、第2シール620の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール610を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール620の斜辺621が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール610が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
また、本実施の基本的構成は、上記実施の形態1における複合シール200と同じであるが、第1シール210の頂部215が底壁G11の略中央領域に圧接しているのに対して、本実施の形態における複合シール600は、第1シール610の頂部615が底壁G11の大気圧側で圧接している点で、相違している。
これにより、斜辺613と大気圧側壁G12との当接面積を大きくすることが可能となり、軸R1の摺動にともない、複合シール600が回動した場合であっても、シール性能を維持することが可能となる。
(実施の形態6:複合シール700を用いた複合シール構造)
図33から図37を参照して、実施の形態6における複合シール700およびこの複合シール700を用いた複合シール構造について説明する。図33は、複合シール700の平面図、図34は、複合シール700の底面図、図35は、複合シール700の正面図、図36は、図33中XXXVI−XXXVI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図37は、複合シールの使用状態を示す断面図である。
図33から図36を参照して(特に図36)、複合シール700の構造について説明する。複合シール700は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール710、真空側に第2シール720が配置されている。第1シール710および第2シール720は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール710の第2シール720側には、凸部710pが設けられ、第2シール720の第1シール710側には、凹部710gが設けられ、凸部710pが凹部710gに嵌合して、第1シール710と第2シール720とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール710と第2シール720との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール710の大気圧側は、斜辺711、斜辺712、斜辺718が設けられ、斜辺711の第2シール720側に頂部714、斜辺711と斜辺712とが交差する領域に頂部715、および、斜辺712と斜辺718とが交わる領域に頂部717を含む、略矩形形状を有している。頂部714、頂部715、および、頂部717はいずれも湾曲形状である。
第1シール710は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール720の真空側は、斜辺721、斜辺722、および、斜辺723を含む、斜辺722側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール720は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図37を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール700が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール710の頂部715が底壁G11に圧接し、斜辺712が大気圧側壁G12に圧接し、頂部714が真空側壁G13に圧接し、斜辺718が軸R1に圧接し、第2シール720の斜辺721が真空側壁G13に圧接し、斜辺723が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール710の頂部714が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール720の斜辺721が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においても、第1シール710は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール720は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール710は、第2シール720が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール710の頂部714が、第2シール520の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール710を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール720の斜辺721が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール710が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
また、本実施の基本的構成は、上記実施の形態2における複合シール300と同じであるが、第1シール310の頂部314が底壁G11の略中央領域に圧接しているのに対して、本実施の形態における複合シール700は、第1シール710の頂部715が底壁G11の略大気圧側で圧接している点で、相違している。
これにより、斜辺712と真空側壁G13との当接面積を大きくすることが可能となり、軸R1の摺動にともない、複合シール700が回動した場合であっても、シール性能を維持することが可能となる。
(実施の形態7:複合シール800を用いた複合シール構造)
図38から図42を参照して、実施の形態7における複合シール800およびこの複合シール800を用いた複合シール構造について説明する。図38は、複合シール800の平面図、図39は、複合シール800の底面図、図40は、複合シール800の正面図、図41は、図38中XLI−XLI線矢視に沿って見たシール構造を示す断面図、図42は、複合シール800の使用状態を示す断面図である。
図38から図41を参照して(特に図41)、複合シール800の構造について説明する。複合シール800は、無端状の環状形態を有し、大気圧側に第1シール810、真空側に第2シール820が配置されている。第1シール810および第2シール820は、大気圧側および真空側に2分割される形態である。
第1シール810の第2シール820側には、凸部810pが設けられ、第2シール820の第1シール810側には、凹部810gが設けられ、凸部810pが凹部810gに嵌合して、第1シール810と第2シール820とが結合している。
本実施の形態においては、第1シール810と第2シール820との結合面は、約45°程度傾斜しており、大気圧側から真空側に向うにしたがって外方に向うように傾斜している。
第1シール810の大気圧側は、斜辺811、斜辺812、斜辺813が設けられ、斜辺811の第2シール820側に頂部814、斜辺811と斜辺812とが交差する領域に頂部815、斜辺812と斜辺813とが交わる領域に頂部816、および、斜辺813の第2シール820側に頂部817を含む、略矩形形状を有している。頂部814、頂部815、および、頂部816はいずれも湾曲形状である。
第1シール810は、上記参考技術1で示した第1シール110と同様のエラストマーを用いて形成されている。
第2シール820の真空側は、斜辺821、斜辺822、および、斜辺823を含む、斜辺822側を頂き側とする略台形形状を有している。
第2シール820は、上記参考技術1で示した第2シール120と同様のフッ素樹脂を用いて形成されている。
次に、図42を参照して、軸R1を摺動可能に支持する筐体Mには、軸R1の周りに設けられた環状のシール溝Gが設けられている。このシール溝Gは、大気圧側に位置する大気圧側壁G12と、真空側に位置する真空側壁G13と、大気圧側壁G12と真空側壁G13と間に位置する底壁G11と、を有している。さらに、筐体Mは、筐体M1と筐体M2とから構成される2分割筐体構造を有し、シール溝Gが大気圧に連通する通路P1が形成されている。
シール溝Gに複合シール800が圧入状態で嵌合された場合には、第1シール810の頂部815が底壁G11に圧接し、頂部816が大気圧側壁G12に圧接し、頂部814が真空側壁G13に圧接し、頂部817が軸R1に圧接し、第2シール820の斜辺821が真空側壁G13に圧接し、斜辺823が軸R1に圧接することで、大気圧側と真空側との気密性が確保される。
さらに、第1シール810の頂部814が真空側壁G13に圧接する位置は、第2シール820の斜辺821が真空側壁G13に圧接する位置よりも、軸R1とは反対側の領域である。
このように、本実施の形態においては、第1シール810は、大気圧側壁G12および軸R1に当接する領域を有し、第2シール820は、真空側壁G13および軸R1に当接する領域を有し、第1シール810は、第2シール820が真空側壁G13に当接する領域よりも軸R1とは反対側の領域において、真空側壁G13に当接する領域をさらに有している。
この構造を有することで、弾性変形の特性に富んだ第1シール810の頂部814が、第2シール820の外側の位置において真空側壁G13に当接することから、通路P1の大気圧と真空圧とを第1シール810を用いて気密性を確保することが可能となる。また、第2シール820の斜辺821が真空側壁G13に圧接していることから、第1シール810が、真空側の反応性活性ガスの雰囲気に晒されることはない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。