JP2007224944A - 複合シール材 - Google Patents

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Akira Muramatsu
晃 村松
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Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

【課題】真空シール性能、耐プラズマ性、ならびに耐腐食ガス性などのシール性能を持つ複合シール材の提供。
【解決手段】シール溝2内に収容される第1のシール部材6、第2のシール部材8、第3のシール部材9とからなる。第1のシール部材6は、その厚さ方向略中間部の径内方側から径内方に向かって横方向凸部12が突出して形成され、第2のシール部材8は、シール溝2の外周側で第1のシール部材6の側端面に当接されるフランジ部14と、このフランジ部14からシール溝2の底面26側に延びる略直線状の内壁部分18とにより断面略L字状に形成され、これらが一体的に組み付けられた場合に、第1のシール部材6の横方向凸部12と第2のシール部材8の内壁部分18と第3のシール部材9との間に空所20が確保され、かつ内壁部分18の先端部18aは第3のシール部材9の側端面9aに対して摺動自在に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、超真空状態で使用される複合シール材に関し、特に、半導体製造装置や半導体製造装置に組み込まれるゲート弁などに使用されて好適な複合シール材に関する。
半導体製造装置の進歩により、半導体製造装置に使用される部材に対する要求が更に厳しくなってきており、その要求も様々なものになってきている。
例えば、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置などの半導体製造装置に使用されるシール材は、基本的な性能として真空シール性能が必要である。そして、使用される装置やシール材の装着個所により、耐プラズマ性や耐腐食ガス性などの性能を併せ持つことが要求される。
このように真空シール性能に加えて、耐プラズマ性や耐腐食ガス性が求められるシール部では、これまで流体の影響を受けにくいフッ素ゴムが使用されてきた。
しかし、使用条件が厳しくなるにつれ、フッ素ゴムでは、耐プラズマ性や耐腐食ガス性などの性能が不十分となり新しい材料が求められるようになってきている。
このような要求に対して、真空シール性能、耐プラズマ性、耐腐食ガス性などの特性を併せ持ち、繰り返しの使用によっても真空シール性能が低下することがなく、使用時に金属パーティクルが発生することもなく、製造が容易で安価に製造でき、また半導体製造装置で一般的に用いられているいわゆる「あり溝」に適用可能であるシール材として、例えば、本出願人により特許文献1が提案されている。
特開2005−164027号公報
ところで、特許文献1に記載されている複合シール材においては、シールを担当する部分がゴム部材であるため繰り返し使用に対しても真空シール性能が低下することはないが、耐プラズマ性や耐腐食ガス性を担当する部分が合成樹脂製部材であるため、合成樹脂製部材はゴム部材のような弾性がなく繰り返し使用時においては緩和を生じてしまうために、相手部材との密着性が繰り返しとともに低減し、十分に性能を保持できないという問題がある。
本発明は、このような実状に鑑み、真空シール性能、耐プラズマ性、ならびに耐腐食ガス性などの性能を併せ持ち、また、繰り返しの使用によっても真空シール性能が低下することがなく、使用時に金属パーティクルが発生することもなく、また、半導体製造装置で一般的に用いられているいわゆるあり溝に適用可能で、さらにゲート弁開閉部などのように、繰り返し開閉が行なわれる場所に用いられても耐プラズマ性や耐腐食ガス性などの性能が低下することのない複合シール材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、
シール溝2に装着される複合シール材10であって、
前記シール溝2の外周側で相手部材36に対向するように配置され、かつ弾性部材からなる第1のシール部材6と、
前記シール溝2の内周側で前記相手部材36に対向する位置に配置され、かつ前記第1
のシール部材6よりも硬質の材料からなる第2のシール部材8と、
前記シール溝2の内周側で前記第2のシール部材8よりも前記シール溝2の底面26側に配置される第3のシール部材9と、を備え、
前記第1のシール部材6は、その厚さ方向略中間部の径内方側から径内方に向かって横方向凸部12が突出して形成されているとともに、
前記第2のシール部材8は、前記シール溝2の外周側で前記第1のシール部材6の側端面に当接されるフランジ部14と、このフランジ部14から前記シール溝2の底面26側に延びる略直線状の内壁部分18とにより、断面略L字状に形成され、
前記第1のシール部材6と前記第2のシール部材8と前記第3のシール部材9とが一体的に組み付けられた場合に、前記第1のシール部材6の前記横方向凸部12と前記第2のシール部材8の前記内壁部分18と前記第3のシール部材9との間に空所20が確保され、かつ前記内壁部分18の先端部18aは前記第3のシール部材9の側端面9aに対して摺動自在に配置されていることを特徴としている。
このように構成することによって、複合シール材10が圧接された際に、横方向凸部12が空所20内に倒れこむように変形するので、第1のシール部材6によるシール性が確保される。また、空所20を設け、かつ第2のシール部材8の先端部18aは、直線的に移動可能であるため、第2のシール部材8の変形が、第1のシール部材6および第3のシール部材9により妨げられることはない。
しかも、第2のシール部材8を、第1のシール部材6よりも硬質の材料から形成すれば、第2のシール部材8側を、例えば、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置などの半導体製造装置における腐食性ガス、プラズマなどの厳しい環境側であるチャンバー側に配置することによって、第1のシール部材6がこれらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性が低下することがない。
また、この場合、厳しい環境側に、第1のシール部材6よりも硬質の材料から形成される第2のシール部材8が位置することになるので、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が良く、しかも、弾性部材から形成される第1のシール部材6全体が、これらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性が低下することがない。
さらに、本発明では、前記第1のシール部材6の前記横方向凸部12のシール溝底面側端部12bが前記第3のシール部材9側に突出して形成されていても良い。
このような構成であれば、第1のシール部材6が圧縮された場合に、空所20内の密封性を良好に維持することができる。
また、本発明では、前記第1のシール部材6と前記第2のシール部材8とは、前記シール溝2の底面26に対して垂直な面のいずれか一方に凸部が、いずれか他方に凹部が形成され、これらが互いに嵌合されて組付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1のシール部材6と第2のシール部材8とを予め一体的に組み付けることができる。
さらに、本発明では、前記第1のシール部材6と前記第3のシール部材9とは、前記シール溝2の底面26に対して垂直な面のいずれか一方に凸部が、いずれか他方に凹部が形成され、これらが互いに嵌合されて組付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1のシール部材6と第3のシール部材8とを予め一体的に組み付けることができる。
また、本発明では、前記第1のシール部材6と前記第2のシール部材8との間、および前記第1のシール部材6と前記第3のシール部材9との間は、それぞれ接着剤により少な
くとも一部が接着されていても良い。
このように接着剤で互いに接着されていれば、シール部材間の固定を容易にかつ強固にすることができる。
さらに、本発明では、前記第1のシール部材6が、フッ素ゴムから構成されていることが好ましい。
このように第1のシール部材6が、フッ素ゴムから構成されていれば、万一、腐食性ガス、プラズマに接触したとしても、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が良く、シール性が低下することがない。
また、本発明では、前記第2のシール部材8が、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂から選択した1種以上の合成樹脂から構成されていることが好ましい。
このように、第2のシール部材8を構成する合成樹脂がこれらの合成樹脂から構成されていれば、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が極めて良好であり、しかも、弾性部材から構成される第1のシール部材6全体が、これらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性が低下することがない。
本発明の複合シール材によれば、ゴムおよび合成樹脂などの部材を組み合せることにより、真空シール性能、耐プラズマ性、ならびに耐腐食ガス性などを確保することができる。また、第2のシール部材の内壁部分を第3のシール部材に対して直線的に移動可能にしたので、締付力が加わった場合に、第2のシール部材の先端部が第3のシール部材に対して直線的に摺動するので、第2のシール部材などの応力緩和を防止できる。
さらに、締付力が解除されれば、第1のシール部材、第2のシール部材ならびに第3のシール部材が速やかに元の状態に復帰するので、繰り返しの使用によっても、真空シール性能あるいは相手部材との密着性が低下することがない。また、第1のシール部材、第2のシール部材および第3のシール部材としてゴムあるいは合成樹脂を用いることにより、使用時に金属パーティクルが発生することがない。
以下、本発明に係る複合シール材について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「右」、「左」などの文言は説明の都合上、便宜的に用いたもので、使用箇所での姿勢は図1の姿勢に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例に係る複合シール材の左半断面を示したもので、閉環状シール材の環の中心は図の右側にある。
本実施例による複合シール材10は、例えば、略環状のシール溝2内に装着される。
このシール溝2は、例えば、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置などの半導体製造装置の継手部分に形成されたもので、シール溝2は、その底面26側の幅が、シール溝2の開口部22側の幅より広くなったいわゆる「あり溝」となっている。
そして、複合シール材10は、シール溝2の一方の側壁28側(外周側)に、第1のシール部材6が配置され、シール溝2の他方の側壁30側(内周側)に、第2のシール部材8が配置されている。また、シール溝2の底面26側に第3のシール部材9が配置されて
いる。すなわち、この複合シール材10は、半導体製造装置における腐食性ガス、プラズマなどの厳しい環境側に第2のシール部材8が配置され、厳しい環境側とは反対側(例えば、大気側)に、第1のシール部材6が配置され、シール溝2の底面26側に第3のシール部材9が配置されている。
第1のシール部材6は、その厚さ方向略中間部から径内方に向かって横方向凸部12が突出して形成されている。また、この第1のシール部材6は、変形されたときに相手部材36との間でシール部として機能する膨出部32がシール溝2の開口部22側に突出して形成され、膨出部32とは反対側すなわちシール溝2の底面26側に下方凸部34が形成されている。
膨出部32の頂部は、略円弧状に膨出して形成されているが、下方凸部34の底面は、シール溝2の底面26に密着するように、略平坦に形成されている。また、横方向凸部12の一方の側端面12aは、略平坦に形成され、横方向凸部12のシール溝底面側端部12bは、シール溝2の底面26側に突出されている。
このように、第1のシール部材6は、相手部材36との間でシール部を構成する膨出部32と、シール溝2の底面26側に配置される下方凸部34と、径内方側に突出される横方向凸部12とを備えており、断面形状でみれば図1に示したように上下左右方向に突出した形状となっている。また、横方向凸部12の突出方向と反対側の外周面に角部P1
形成されている。
上記第1のシール部材6は、弾性部材であるゴムから構成されているのが望ましい。ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれも使用可能である。
このように第1のシール部材6を、弾性部材であるゴムから構成することによって、このゴム部材の弾性力によって。複合シール材10を相手部材36との間で圧接した際に、第1のシール部材6における膨出部32が相手部材36により圧接されて高いシール性を付与することができる。第1のシール部材6を構成するゴムは、フッ素ゴムから構成されているのがさらに望ましい。
このようなフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/トリフルオロクロロエチレン系共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン系共重合体等の2元系のフッ化ビニリデン系ゴム、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体等の3元系のフッ化ビニリデンゴムやテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレンlパーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、熱可塑性フッ素ゴムなどが使用可能である。
このように第1のシール部材6を構成するゴムが、フッ素ゴムから構成されていれば、万一、第1のシール部材6が腐食性ガス、プラズマに接触したとしても、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が良く、シール性が低下することがない。
第2のシール部材8は、第1のシール部材6とは別体に形成されたもので、第1のシール部材6の内周側に配置される。この第2のシール部材8は、第1のシール部材6の横方向凸部12の上側を挟持できるように、フランジ部14を有し、さらに略直線状の内壁部分18を内周側に有している。そして、第2のシール部材8を断面形状で見れば、断面略L字状に形成されている。
このような第2のシール部材8は、前記第1のシール部材6より硬質の合成樹脂から構成されているのが望ましく、好ましくは、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂から選択した1種以上の合成樹脂から構成するのが望ましい。
また、第3のシール部材9は、断面略矩形状に形成されたもので、その内周側の側端面9aに沿って、前記第2のシール部材8の先端部18aの側壁が摺動可能とされている。したがって、第2の部材8が相手部材36により圧縮されれば、内壁部分18の先端部18aは、第3のシール部材9の側端面9aに沿って直線的に移動することができる。
このような第2のシール部材8および第3のシール部材9が第1のシール部材6よりも硬質の合成樹脂から形成されているので、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が良く、しかも、弾性部材から形成される第1のシール部材6の全体が、これらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性の低下が防止されている。
この場合、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)樹脂、ポリビニリデンフルオライト(PVDF)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)樹脂、ポリビニルフルオライド(PVF)樹脂などを挙げることができ、この中では、耐熱性、耐腐食性ガス、耐プラズマ性などを考慮すれば、PTFEが好ましい。
本実施例による第1のシール部材6と、第2のシール部材8および第3のシール部材9は、上記のような材質から形成されているが、これらを一体的に組付ければ、第1のシール部材6の横方向凸部12と第2のシール部材8の略直線状の内壁部分18との間に、予め空所20が確保される。
また、図1のように組み付けられたとき第1のシール部材6における下方凸部34および横方向凸部12のシール溝底面側端部12bと、第3のシール部材9との間に、空所21が確保される。
本実施例の複合シール材10は、上記のように構成されているが、以下に、複合シール材10の主たる部分の好ましい各部の寸法について説明する。
図1に示したように、複合シール材10のシールの幅L1は、シール溝2の溝幅L2よりも大きいほど脱落抵抗が増すが装着性が困難になるため、シールの幅L1は、溝幅L2の101〜130%とするのが望ましい。
また、第1のシール部材6によって規定されるゴム部シール高さL3は、つぶし率を、
3〜45%、好ましくは5〜30%となる範囲が望ましい。ただし、つぶし率とは、[(
シール高さL3)-(溝深さL5)/(シール高さL3)]×100とする。なお、L3とL4
の大小関係は問わない。
第1のシール部材6における膨出部32のゴム幅L6は、大きくすると相手部材36と
の接触部が大きくなり真空シール性能は安定するが、第2シール部材8の樹脂幅(L7+L8+L9)がその分小さくなり、プラズマ、腐食ガスの遮蔽効果が低下する。したがって、
6の範囲としてはL1の50%〜70%が望ましい。
第1のシール部材6の横方向凸部12の突出長さL7を大きくすると、第1のシール部
材6の復元力を、第2のシール部材8が広い範囲で受けることができるため、プラズマ、腐食ガスの遮蔽効果が向上するが、L7を大きくすると、その分L6が小さくなり真空シール性能を低減させる虞があるため、L6に対し25%〜45%の範囲が望ましい。
第1のシール部材6と第2のシール部材8との間の空所20の距離L8は、圧縮時にこ
の空所20に第1のシール部材6の横方向凸部12が逃げ込むことにより、第2のシール部材8の内壁部分18が図1において時計方向に回転するように倒れる。空所20の距離L8の範囲としては、L7に対し50%以上が望ましい。
第2のシール部材8の略直線状の内壁部分18の厚さL9は、薄い方がスムースに変形
するが、加工性を考慮すると、50μm〜2mmの範囲が望ましい。
第1のシール部材6の角部P1から溝開口部22と同じ高さになる点P2との間は、第1のシール部材6が圧縮されるときにシール溝2の側壁28に沿ってスムースに変形させるために、角度θ1はシール溝12の角度θ2±2°となる傾斜とすることが望ましい。
点P2から第2のシール部材8との接触面までの膨出部32のシール面はなだらかな曲面とする。
第1のシール部材6の底面26から角部P1までの高さL10は、脱落防止のためシール
溝2の溝深さL5以下であることが望ましいが、低すぎると装着時にシール溝2の側壁2
8に沿って複合シール材10が転動し装着性を低下させるため、L10の範囲としては、L3に対して50%〜70%かつL10<L5とするのが望ましい。
第1のシール部材6の底部幅L11は大きい方が転動を起こし難いが、圧縮時に第1のシール部材6の横方向凸部12が空所20内に逃げ込んで第2のシール部材8を倒れこむように変形させるためには、L11<L6であるため、L11の範囲としては、L2に対して20%以上、かつL11<L6とするのが望ましい。
また、圧縮時に第1のシール部材6のL7部分が空所20内に逃げ込んで第2シール部
材8の内壁部分18を倒れ込むように変形させるには、
第2シール部材8の底部幅L12は、(L11+L12)<(L6+L7
となるように設定するのが望ましい。
第3のシール部材9の幅方向の距離L13は、L12に対し50%〜150%とするのが望ましい。
第3のシール部材9の側端面9aは、第2のシール部材8の内壁部分18を直線的に案内するために、シール溝2の底面26に対して略垂直であることが望ましい。第1のシール部材6における横方向凸部12のシール溝底面側端部12bは、圧縮に伴い、第3のシール部材9を積極的に押圧するように凸形状であることが望ましい。
さらに、本実施例では、複合シール材10の締め代をH1、第2のシール部材8におけ
る内壁部分18の先端部18aから第3のシール部材9の下面までの距離をH2、第3の
シール部材9の高さをH3、としたとき、
1<H2<H3 であり、
2<0.8H3 にすることが望ましい。
このような条件にH1,H2,H3を設定すれば、シール材が圧縮された時に第2のシー
ル部材8における先端部18aが、シール溝2の底面26に当接することはない。また、非圧縮時に第2のシール部材8と第3のシール部材9が安定した接触状態を保持することができる。
上記のように各部の寸法が規定された第1のシール部材6と第2のシール部材8との間を接合一体化する方法としては、溶接、溶着、接着、など公知の接合方法が採用可能であり、特に限定されるものではないが、必要に応じて接着剤、好ましくは、耐熱性接着剤にて接合一体化することができる。また、第1のシール部材6と第2のシール部材8との接合一体化する箇所は、図1において、符号Aの面である。
また、第1のシール部材6と第3のシール部材9との間を接合一体化する箇所は、符号Bの面である。
このように第1のシール部材6と第2のシール部材8との間、あるいは第1のシール部材6と第3のシール部材9との間を、A面,B面で接着剤で接着することもできるが、A面、B面において互いの間に凹凸嵌合部を設け、これらの凹凸嵌合部で互いに組付けても良い。
このように構成される本発明の複合シール材10は、図2〜図6に示したように使用される。
先ず、図2に示したように、複合シール材10をシール溝2内に装着する。このとき、第1のシール部材6と第2のシール部材8との間、および第1のシール部材6と第3のシール部材9との間を、接着剤などで予め接着しておいても良い。あるいは、別体のものを別々に装着しても良い。
しかしながら、接着あるいは凹凸嵌合などで一体化した方が、装着時の姿勢が定まるので好ましい。
このようにして装着時に、第1のシール部材6と第2のシール部材8と第3のシール部材9との間に空所20および空所21が形成される。複合シール材10がシール溝2内に装着された後には、シール溝2の開口部22の幅よりも複合シール材10の全体の幅の方が大きいため、複合シール材10のシール溝2からの不用意な脱落が防止される。
複合シール材10がシール溝2内に装着された状態において、第2のシール部材8の略直線状の内壁部分18は第3のシール部材9の側端面9aに摺接している。したがって、この状態で圧縮力が加われば、内壁部分18の圧縮時の直線的な変形が案内される。
そして、図2〜図4に示したように、複合シール材10への締付力を次第に強化すれば、第1のシール部材6の膨出部32および第2のシール部材8のフランジ部14が次第に圧縮されて真空シール性および耐プラズマ性が付与される。
第1のシール部材6における膨出部32が相手部材36に当接された図2の状態から図3に示したように圧縮が進めば、第1のシール部材6の横方向凸部12が空所20内に入り込むように変形する。このとき、第2のシール部材8の内壁部分18が下方に向かって直線的に摺動する。この状態からさらに圧縮力が加えられると、図4に示したように、第1のシール部材6の相手部材36との接触面積が十分に確保され、確実なシール力が得られることになる。
なお、図4において、内壁部分18の下端部は、シール溝2の底面26に当接しているように示されているが、実際には若干の隙間が形成されていることが好ましい。このような姿勢であれば、特に、第1のシール部材6の膨出部32に応力集中が生じてシール性が付与される。
また、第2のシール部材8が第1のシール部材6よりも硬質の材料から形成されているので、第2のシール部材8側を、例えば、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置な
どの半導体製造装置における腐食性ガス、プラズマなどの厳しい環境側であるチャンバー側に配置することによって、第2のシール部材8による圧接により、弾性部材から構成される第1のシール部材6の膨出部32が、これらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性が低下することがない。
また、この場合に、厳しい環境側に、第1のシール部材6よりも硬質の材料から形成される第2のシール部材8が位置することになるので、腐食性ガス、プラズマなどへの耐久性が良く、しかも、弾性部材から構成される第1のシール部材6全体が、これらの腐食性ガス、プラズマなどから保護されることになり、シール性が低下することがない。
このように本実施例では、複合シール材10が圧接される場合に、第1のシール部材6の横方向凸部12が空所20内に倒れこむとともに、第2のシール部材8の内壁部分18が下方向に摺動する。さらに、力が解除されれば、図5および図6に示したように、横方向凸部12の復元力が上方のフランジ部14および下方の第3のシール部材9に作用する。したがって、第2のシール部材8に応力緩和が生じ難い。
よって、繰り返しの使用によっても、安定したシール性を維持することができる。また、金属材料を使用していないことから金属パーティクルの発生を防止することができる。さらに、シール材10の幅L1がシール溝2の溝幅L2よりも大きく、下方凸部34の幅L11が尻つぼみとなっていることから、あり溝に好ましく用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記実施例では、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置などの半導体装置に適用した場合について説明したが、本願発明の複合シール材は、その他の環境の厳しい条件で使用するその他の装置のシール部分にも用いることも可能である。また、あり溝以外のシール溝にも適用可能である。
なお、このような複合シール材10の実際的な寸法(mm)を例示すると、全体の直径が99.8Φである場合:
1=3.3
4=2.8
5=3.4
6=2.7
13=1.4
14=1.3
3=0.8である。
図1は、本発明の複合シール材をシール溝であるいわゆる「あり溝」に装着した場合のシール溝との寸法関係を示す概略図である。 図2は、本発明の複合シール材をシール溝に装着して圧接する場合の初期状態を説明する概略図である。 図3は、本発明の複合シール材をシール溝に装着して圧接する場合に図2の状態からさらに力が加えられたときの概略図である。 図4は、本発明の複合シール材をシール溝に装着して圧接する場合に図3の状態からさらに力が加えられたときの概略図である。 図5は、本発明の複合シール材をシール溝に装着して圧接する場合に図4の状態から力が解除されたときの初期状態を説明する概略図である。 図6は、本発明の複合シール材をシール溝に装着した図4の状態からさらに力が解除されたときの概略図である。
符号の説明
2 シール溝
6 第1のシール部材
8 第2のシール部材
9 第3のシール部材
10 複合シール材
12 横方向凸部
12a 一方の側端面
12b シール溝底面側端部
14 フランジ部
18 内壁部分
20 空所
21 空所
22 開口部
26 底面
34 下方凸部
36 相手部材

Claims (7)

  1. シール溝(2)に装着される複合シール材(10)であって、
    前記シール溝(2)の外周側で相手部材(36)に対向するように配置され、かつ弾性部材からなる第1のシール部材(6)と、
    前記シール溝(2)の内周側で前記相手部材(36)に対向する位置に配置され、かつ前記第1のシール部材(6)よりも硬質の材料からなる第2のシール部材(8)と、
    前記シール溝(2)の内周側で前記第2のシール部材(8)よりも前記シール溝(2)の底面(26)側に配置される第3のシール部材(9)と、を備え、
    前記第1のシール部材(6)は、その厚さ方向略中間部の径内方側から径内方に向かって横方向凸部(12)が突出して形成されているとともに、
    前記第2のシール部材(8)は、前記シール溝(2)の外周側で前記第1のシール部材(6)の側端面に当接されるフランジ部(14)と、このフランジ部(14)から前記シール溝(2)の底面(26)側に延びる略直線状の内壁部分(18)とにより、断面略L字状に形成され、
    前記第1のシール部材(6)と前記第2のシール部材(8)と前記第3のシール部材(9)とが一体的に組み付けられた場合に、前記第1のシール部材(6)の前記横方向凸部(12)と前記第2のシール部材(8)の前記内壁部分(18)と前記第3のシール部材(9)との間に空所(20)が確保され、かつ前記内壁部分(18)の先端部(18a)は前記第3のシール部材(9)の側端面(9a)に対して摺動自在に配置されていることを特徴とする複合シール部材。
  2. 前記第1のシール部材(6)の前記横方向凸部(12)のシール溝底面側端部(12b)が前記第3のシール部材(9)側に突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合シール材。
  3. 前記第1のシール部材(6)と前記第2のシール部材(8)とは、前記シール溝(2)の底面(26)に対して垂直な面のいずれか一方に凸部が、いずれか他方に凹部が形成され、これらが互いに嵌合されて組付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合シール材。
  4. 前記第1のシール部材(6)と前記第3のシール部材(9)とは、前記シール溝(2)の底面(26)に対して垂直な面のいずれか一方に凸部が、いずれか他方に凹部が形成され、これらが互いに嵌合されて組付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合シール材。
  5. 前記第1のシール部材(6)と前記第2のシール部材(8)との間、および前記第1の
    シール部材(6)と前記第3のシール部材(9)との間は、それぞれ接着剤により少なくとも一部が接着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合シール材。
  6. 前記第1のシール部材(6)が、フッ素ゴムから構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合シール材。
  7. 前記第2のシール部材(8)が、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂から選択した1種以上の合成樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合シール材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014214778A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 三菱電線工業株式会社 シール材

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