JP6612195B2 - 有機性廃水の処理設備及びその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機性廃水の流動式嫌気性処理方法に関し、特に、嫌気性微生物を非生物担体に付着させて、非生物担体の表面に活性の高い生物膜を形成させるまでの立ち上げ運転期間を短縮する有機性廃水の処理設備の運転方法に関する。
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、好気性生物処理、嫌気性生物処理が挙げられる。嫌気性生物処理の中でもメタン発酵処理は、酸素のない嫌気性環境下で生育する嫌気性微生物の代謝反応を利用して、有機性廃水中の有機物をメタンガスや炭酸ガスなどに分解する生物処理方法であり、好気性生物処理と比べて、汚泥発生量が少なく、ブロワ−(曝気)などの電気代が不要なためランニングコストがかからないと言ったメリットがあるほか、発生したメタンガスを有効利用できるなどのメリットがあるため、近年、有機性廃水の処理方法として特に注目されている。
メタン発酵処理方法としては、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket(上向流嫌気性汚泥床)の略)法、固定床法、流動床法等などが知られている。中でも、UASB法は、メタン菌等の嫌気性菌と酸生成菌と汚泥との接触によりグラニュール状に造粒化してなるグラニュール汚泥を利用することにより、反応槽内のメタン菌の濃度を高濃度に維持できるという特徴があり、その結果、廃水中の有機物の濃度が相当高い場合でも効率よく処理できるため、有機性廃水の処理方法として国内外で普及している。しかしながら、化学工場などから排出されるメタノールやホルムアルデヒドなどの低分子有機物を主成分とする有機性廃水では、グラニュール汚泥を形成しにくく、維持しにくいという問題がある。
また、CODCr(二クロム酸カリウムによる酸素要求量)が2000mg/L以下の低濃度原水を対象とする場合、一般的なUASB処理方法における設計負荷であるCODCr容積負荷10kg/(m・d)で運転しようとすると、有機性排水の通水量が過大となり、UASB反応槽内の上昇線速度LV(Liner Velocity)が3m/hを超過するため、UASB反応槽からグラニュール汚泥が流出し、UASB反応槽内での汚泥量の維持が困難となる。
UASB反応槽内に必要量の汚泥を維持する方策として、グラニュール汚泥をUASB反応槽内に非生物担体とメタン菌グラニュールとを100:5〜100:500の容積比で存在させた状態で有機性排水の通水を開始する立ち上げ運転方法が提案されている(特許文献1)。しかし、メタン菌グラニュールが非生物担体に付着して生物膜を形成するまでに時間がかかるため、非生物担体に生物膜が形成される前にグラニュール汚泥が解体されてメタン菌が流出してしまい、定常運転時に必要な量のメタン菌グラニュールを確保するためには、通水開始時に大量のグラニュール汚泥を投入することが必要となる。
反応槽に、担体とメタン菌グラニュールを粉砕させたメタン菌凝集物を投入し、担体1Lあたりのメタン菌凝集物を1g〜900gの範囲で存在させた状態で反応槽の立ち上げ運転を行うことが示されている(特許文献2)。しかし、メタン菌グラニュールを粉砕しているため、沈降速度が低下して反応槽から流出しやすくなり、立ち上げ運転中に所望の汚泥量を維持することができず、通水開始時には、流出量を見込んだ多量のメタン菌グラニュールを投入することが必要となる。
UASB反応槽の後段に担体カラム槽を設けて、スタートップ時にUASB反応槽から流出した汚泥を担体カラム槽内で担体に付着させた後、UASB反応槽に戻す方法が提案されている(特許文献3)。特許文献3には、流出した汚泥を反応槽に返送しようとすると、反応槽内の微生物のさらなるウォッシュアウトの原因となるから「流出した分散汚泥は反応槽に返送しない」ことが大原則となっており、スタートアップ期間を長期化させる要因であるとして、分散汚泥そのままの状態で返送するのではなく、担体に付着させた状態で返送することで反応槽内の微生物のさらなるウォッシュアウトを防止し、種汚泥を失うことなく有効利用することが紹介されている。
有機性排水を嫌気処理した後に、嫌気処理槽外の内圧式管状膜で固液分離し、濃縮水を嫌気処理槽に戻す方法が提案されている(特許文献4)。特許文献4の方法は定常運転方法であって、流動式嫌気処理槽の立ち上げ運転方法ではなく、特許文献4に記載されている内圧式管状膜は定常運転時に好気処理槽からの処理水を固液分離することはできない。
特許5685902号公報 特開2014−100680号公報 特開平03−109998号公報 特開2012−205990号公報
本発明は、流動床式生物処理装置の立ち上げ運転期間を短縮する有機性廃水の処理設備の運転方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、負荷変動に応じた汚泥量の維持管理の必要性を低減できる有機性廃水の嫌気性処理設備の運転方法を提供することを目的とする。
本発明の実施態様は以下のとおりである。
[1]嫌気性微生物を付着させた非生物担体を用いて有機性廃水を嫌気性処理する流動床式生物処理装置と、
当該流動床式生物処理装置の後段に設けられ、嫌気性処理された処理水を好気性処理する好気性処理装置と、
膜分離装置と、を具備する有機性廃水の流動床式生物処理設備の運転方法であって、
当該処理設備の立上げ期間中は、当該流動床式生物処理装置からの汚泥を含む処理水を当該膜分離装置に送って固液分離し、分離した汚泥を当該流動床式生物処理装置に戻して、種汚泥として非生物担体表面に付着させ、
当該処理設備の定常運転時には、当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送って固液分離する、ことを特徴とする有機性廃水の処理設備の運転方法。
[2]前記種汚泥は、消化汚泥又はグラニュール汚泥である、[1]に記載の有機性廃水の処理設備の運転方法。
[3]嫌気性微生物を付着させた非生物担体を用いて有機性廃水を嫌気性処理する流動床式生物処理装置と、
当該流動床式生物処理装置の後段に設けられ、嫌気性処理された処理水を好気性処理する好気性処理装置と、
膜分離装置と、
当該流動床式生物処理装置からの処理水又は当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送るために流路を切り換える切り替え機構と、
を具備する有機性廃水の処理設備であって、
当該処理設備の立ち上げ運転期間中は、当該流動床式生物処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送り、
当該処理設備の定常運転期間中は、当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送るように構成されている、有機性廃水の処理設備。
本発明の有機性廃水の嫌気性処理設備の運転方法によれば、流動式生物処理装置の立ち上げ運転期間中のみ、流動式生物処理装置からの処理水を膜分離装置にて固液分離して、汚泥を流動式生物処理装置に返送することで、流動式生物処理装置内の非生物担体への生物付着を促進し、立ち上げ期間の短縮を行うことができる。また、種汚泥の追加投入が不要となり、汚泥の輸送及び投入に関連する時間及び費用を削減することができる。さらに、定常運転時には同じ膜分離装置を好気性処理水の固液分離に利用することで、装置全体を小型化することができ、設置費用も削減することができ、さらに、薬品洗浄やろ過動力などにかかるランニングコストを比較的低減できる。また、定常運転時には、好気性処理の後に、膜分離装置を用いるため、良好な処理水質を得ることができる。
本発明の有機性廃水処理設備の運転方法の一形態の概要を例示した説明図である。 本発明の有機性廃水処理設備の運転方法で用いることができる流動式生物処理槽としてのメタン発酵槽の一形態を例示する説明図である。 本発明の有機性廃水処理設備の運転方法で用いることができる流動式生物処理槽としてのメタン発酵槽の別の一形態を例示する説明図である。 正常なグラニュール汚泥の模式図である。 担体に担持させたグラニュール汚泥の模式図である。 比較例1及び2で用いた処理フローを示す。 比較例3で用いた処理フローを示す。
実施形態
図1は、本発明の有機性廃水の嫌気性処理設備の運転方法の一形態の概要を例示した説明図である。図1において、流動式生物処理(メタン発酵)槽の立ち上げ運転時には、原水(有機性廃水)を酸発酵処理槽にて処理した後、流動式生物処理(メタン発酵)槽に導入して嫌気性処理し、得られる処理水を膜分離槽に送り、汚泥を流動式生物処理(メタン発酵槽)に返送する。
流動式生物処理槽であるメタン発酵槽は、上向流型反応槽に嫌気性微生物を流動性の非生物担体(以下「担体」と略称することもある。)表面に保持する嫌気性流動床方式、あるいはガス撹拌又は機械撹拌による完全混合反応槽内に嫌気性微生物を流動性の非生物担体に保持する嫌気性流動床方式を採用することができる。メタン発酵槽では、嫌気性反応により発生するバイオガス(メタンガス)がメタン発酵槽内を上昇して、メタン発酵槽の上部から外部に排出されて回収される。このとき、微生物を保持している担体も一緒に上昇し、メタン発酵槽から越流として流出する可能性がある。完全混合槽の場合には、機械撹拌又はガス撹拌により強制的にバイオガスを上昇させるため、担体の上昇も多い。本発明を実施する装置においては、担体がメタン発酵槽から越流することを防止するために、処理水と担体を分離するスクリーンがメタン発酵槽の越流口に設置されていることが好ましい(図2)。あるいは、メタン発酵槽外部に越流水貯蔵部を取り付けて、担体を含む越流水を一旦貯蔵し、越流水貯蔵部からの流出部にスクリーンを設けて、担体と処理水とを分離し、担体のみをメタン発酵槽に返送する構成としてもよい(図3)。メタン発酵槽から回収されたバイオガスは、立ち上げ運転時には膜分離装置の洗浄に用いることができ、定常運転時には必要に応じて脱硫などのガス精製を行ったのちに、ボイラーなどで利用することができる。なお、定常運転時の膜分離装置の洗浄は空気洗浄とする。
本発明は、流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の立ち上げ運転を制御することを特徴とする。通常、有機性廃水の嫌気性処理において、メタン発酵槽の設計負荷に到達するまでに嫌気性微生物の馴致運転を行うことが必要である。担体への微生物の安定付着及び繁殖には長時間がかかるため、立ち上げ運転時間が90日を越えることもある。本発明では、担体に微生物を付着させるために、流動式生物処理槽(メタン発酵槽)からの処理水を後段に設けた膜分離装置にて固液分離して、汚泥を流動式生物処理槽(メタン発酵槽)に戻し、流動式生物処理槽(メタン発酵槽)内の非生物担体の周囲に存在する汚泥を高濃度に維持して、非生物担体への種汚泥の付着を促進する。流動式生物処理槽(メタン発酵槽)が設計負荷に到達し定常運転に移行した後は、後段に設けた好気性処理槽からの処理水の固液分離に同じ膜分離装置を用いる。
[膜分離装置]
膜材質は特に限定されず、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの有機膜やセラミックの無機膜を好適に用いることができる。膜形状は、平膜、中空糸、チューブラ、スパイラル、モノリスなどを好適に用いることができる。膜分離装置は、槽浸漬型でもよいし、ケーシング型でもよい。通水方式は内圧式でもよいし、外圧式でもよい。
流動式生物処理槽及び後段の好気性処理槽からの処理水をそれぞれ膜分離装置に送るラインを設け、切り換え弁などで流路の切り替えを行う。立ち上げ運転時には、流動式生物処理槽からの処理水を膜分離装置に送り、膜分離装置からの汚泥を流動式生物処理槽に戻し、透過水を好気性処理槽に送り、好気性処理槽からの処理水を後段の処理水槽に送る。定常運転時には、流動式生物処理槽からの処理水を好気性処理槽に送り、好気性処理槽からの処理水を膜分離装置に送り、膜分離装置からの透過水を後段の処理水槽に送る(図1)。
膜分離装置の透過水量は0.1m/d以上1.0m/d以下であり、0.2〜0.5m/dが好ましい。
[流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の運転条件]
本発明における流動式生物処理槽(メタン発酵槽)は、30℃〜40℃を至適温度とした中温メタン発酵処理槽、50℃〜60℃を至適温度とした高温メタン発酵処理槽など、すべての温度範囲の嫌気性処理槽を制限無く用いることができる。
流動式生物処理槽(メタン発酵槽)のLVは1m/h以上20m/h以下、特に2m/h以上10m/h以下が好ましい。流動式生物処理槽(メタン発酵槽)内を所定のLVに調整するために、嫌気性反応(メタン発酵)処理水の一部を流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の下部に設けられている流入水入口に循環させることができる。循環させる処理水は、流動式生物処理槽(メタン発酵槽)から流出した担体を随伴する処理水をスクリーンに通過させて担体を分離した後の担体を含まない処理水でもよいし、担体を含む処理水でもよい。担体を含む処理水を循環させる場合には、担体を破壊しないようなスネークポンプやガスリフトによることが好ましい。担体を分離した場合には、担体を流動式生物処理槽(メタン発酵槽)に戻すことが好ましい(図3)。
流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の設計負荷(CODCr容積負荷)は原水性状に依存するが、5〜50kg/(m・d)の範囲とすることができる。グラニュール汚泥では内部に気泡を抱えて浮上したり、過大なガス混合によりグラニュール汚泥が解体したりすることがあるため、高負荷処理は困難であるが、本発明では後述するようにグラニュール汚泥又は消化汚泥を種汚泥として担体に担持させて繁殖させることで、より高負荷処理が可能となる。
一般的に、グラニュール汚泥は、メタン生成菌だけではなく酸生成菌などを含み、表面付近の活性が高いが、中心部の活性は低い。一方、本発明において、種汚泥としてグラニュール汚泥を担体に担持させて繁殖させると、担体表面に活性の高いメタン生成菌が繁殖する。一般的なグラニュール汚泥のメタン生成活性度は0.4〜0.8kg/(kg−MLVSS・d)とされるが、本発明で用いる担体に担持させた微生物のメタン生成活性度は1.0〜2.0kg/(kg−MLVSS・d)と高い。
[担体]
担体は、微生物を担持して、担体表面で微生物を繁殖させることができるものであれば特に制限無く用いることができる。
担体の形状は、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよいが、微生物の担持量、繁殖した微生物と有機性廃水との接触効率、嫌気性反応槽内での担体の保持量などを考慮して、特に球状が好ましい。
担体の寸法は、平均値(球状粒子の場合には中位径d50、他の形状の場合には最大寸法と最小寸法との算術平均値)で0.1mm以上10mm以下が好ましく、特に2mm以上6mm以下が好ましい。
担体は、微生物が付着しやすい細孔を有する多孔質担体であることが好ましく、細孔径は1μm以上100μm以下が好ましく、特に5μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、流動式生物処理槽内に上向流で流動層を展開させるためには、未使用の担体を充填した直径80mmの円筒カラムに清水を上向流で上昇線速度(LV)を1m/h以上20m/h以下で通水した場合の膨張率(投入時担体高さに対する通水時担体高さ)が、105%以上150%以下、特にLV2m/h以上15m/h以下で通水した場合の膨張率110%以上130%以下となる担体が好ましい。
担体の素材は、嫌気性微生物が付着すればどのような素材でも良いが、上述の諸要件を充足することから、特に活性炭、ポリビニルアルコール、エチレングリコールなどが好ましい。
[種汚泥]
本発明において投入する種汚泥としては、嫌気性微生物が自己造粒し沈降性の汚泥となったグラニュール汚泥となったものや、消化汚泥を好ましく用いることができる。
グラニュール汚泥は、UASB(上向流嫌気性汚泥床法)やEGSB(膨脹汚泥床法)において汚泥層として形成される。正常なグラニュール汚泥は、糸状性あるいはロッド状のMethanosaeta属のメタン生成菌が絡み合った構造を有している(図4)。UASB法やEGSB法では、グラニュール汚泥を担体に保持させずに、グラニュール汚泥を流動床として利用する。本発明においては、UASB法やEGSB法にて形成されるグラニュール汚泥を種汚泥として利用し、担体に保持させ、担体表面で微生物を繁殖させる(図5)。本発明において用いることができるグラニュール汚泥は、粒径が0.5mm以上4.0mm以下、特に0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。粒径が0.5mm以下だと流出しやすく、4.0mm以上だと内部に気泡を抱えて浮上流出しやすくなる。ただし、グラニュール汚泥のすべてが上記範囲内の粒径である必要はなく、汚泥量の80%以上、好ましくは90%以上が上記範囲内の粒径であればよい。
消化汚泥は、下水の消化汚泥、あるいは、工場廃水・廃棄物を対象とした消化汚泥を好適に用いることができる。消化汚泥は、濃縮あるいは脱水した含水率85〜95%の濃縮汚泥、含水率70%〜85%の脱水ケーキを種汚泥として好適にもちいることができる。
本発明において、種汚泥の充填量は1,000mg/L〜60,000mg/Lであることが好ましく、1,000mg/L〜20,000mg/Lであることがより好ましい。
[排泥]
流動式生物処理槽内の汚泥濃度が高すぎる場合は、後段の膜分離装置のろ過膜に印加される圧が増大するため、また、担体に付着・増殖しにくい微生物あるいは無機汚泥の蓄積を防止するために、流動式生物処理槽からの処理水の20vol%〜100vol%を膜分離装置に送るか、あるいは過剰の汚泥を引き抜いて(排泥)、膜分離装置に送る汚泥濃度を制御することが好ましい。排泥は、汚泥引き抜きポンプを接続させて行うことができる。流動式生物処理槽内の汚泥濃度は、MLSS(下水試験法に基づく分析方法)が1,000mg/L〜60,000mg/Lとなるように制御することが好ましい。
[有機性廃水]
本発明の嫌気性処理方法により処理できる有機性廃水のCODCrは特に限定されるものではなく、500mg/L以上50,000mg/L以下の範囲の有機物濃度が低濃度乃至高濃度の有機性廃水に適用することができる。有機物濃度が高濃度の有機性廃水の場合には、原水成分の阻害を緩和するために適宜希釈することが好ましい。
本発明の嫌気性処理方法は、グラニュール汚泥を維持できない組成の有機性廃水の処理に特に有用である。例えば、グラニュール汚泥の強度が低下してグラニュール汚泥を維持できないエタノール、メタノール、酢酸などの炭素数5以下の低分子有機物を含む有機性廃水や、グラニュール汚泥を解体させてしまう配管洗浄剤、キレート剤、殺菌剤などを含む飲料工場などからの有機性廃水などの処理に効果的である。
図1には、有機性廃水は、酸発酵槽にて酸発酵処理した後、メタン発酵槽に流入する処理フローを示すが、酸発酵処理は必須ではない。すでに酸発酵が十分進行している有機性廃水や、酸発酵処理を行わずにメタン発酵槽のみで処理可能な有機性廃水の場合には酸発酵槽を用いる必要はない。具体的には、例えば、有機性廃水CODCrに対する炭素数6以下の有機酸のCODCr換算値の合計が40%以上を占める有機性廃水や、メタノールやホルムアルデヒドなど炭素数1の低分子有機物が有機性廃水CODCrの70%以上を占める有機性廃水の場合には、酸発酵処理は不要である。酸発酵処理を行う場合には、酸発酵槽では酸生成菌に適したpHである5.5以上となるようにアルカリ剤でpH調整を行う。メタン発酵処理水を酸発酵槽に循環することで、メタン発酵処理水に含まれるアルカリ成分によってアルカリ剤添加量を削減することもできる。酸発酵槽の滞留時間は、有機性廃水中に含まれる成分によって2時間以上48時間以下の範囲で適宜決定することができるが、分解しやすい糖質成分を含む場合は2時間以上6時間以下とすることが多い。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す嫌気性処理装置を用いて、下記の条件で流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の立ち上げ運転を行った。膜分離装置は、浸漬式の中空糸膜を用いた。
CODCrを約500mg/Lに調整した清涼飲料工場排水に栄養塩類として窒素(N)、リン(P)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)を添加した有機性廃水(原水)を、滞留時間3時間、水温35℃、pH6.5〜7.0となるようにアルカリ剤として水酸化ナトリウムを添加して酸発酵処理した後、容量7Lの上向流型嫌気性反応槽(メタン発酵槽)を用いて嫌気性処理を行った。メタン発酵槽上部の処理水流出部には、幅2.0mmのスクリーンを設けて担体がメタン発酵槽から流出しないようにした。メタン発酵処理水の一部をメタン発酵槽下部の流入部に循環させ、メタン発酵槽のLVを5.0m/hに調整した。
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)には、担体として、平均粒径4.0mm、未使用の清水試験におけるLV5m/hの膨張率120%のポリビニルアルコールのゲル状粒子を充填率30%となるように投入した。種汚泥として、飲料製造排水処理向けのグラニュール汚泥(径0.5mm〜2.0mmが全体の92%を占める、UASBから採取したグラニュール汚泥)をMLSS:8,000mg/Lとなるように立上げ初期に嫌気性反応槽に投入した。
メタン発酵槽内のpHが7.0〜8.0、汚泥負荷が約0.3g−CODCr/(g−MLSS・d)となるように原水の注入量を調節した。立ち上げ運転中は、メタン発酵槽からの処理水を全量、後段の膜分離装置に送液した。
メタン発酵槽の設計負荷は、13kg−CODCr/(m・d)とした。
原水注入開始後約49日目で、メタン発酵槽内の生物濃度の設定値(40g−MLSS/L)を上回り、設計負荷13kg−CODCr/(m・d)以上を達成した。設計負荷達成後に、膜分離装置に送液するラインをメタン発酵槽から好気処理槽に切り換えて、好気性処理槽の処理水を膜分離装置により固液分離し、膜分離装置からの処理水を後段の処理水槽に送り、安定した定常運転が行えることを確認した。
[実施例2]
図1に示す嫌気性処理装置を用いて、下記の条件で流動式生物処理槽(メタン発酵槽)の立ち上げ運転を行った。膜分離装置は、浸漬式の中空糸膜を用いた。
CODCrを約500mg/Lに調整した清涼飲料工場排水に栄養塩類として窒素(N)、リン(P)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)を添加した有機性廃水(原水)を、滞留時間3時間、水温35℃、pH6.5〜7.0となるようにアルカリ剤として水酸化ナトリウムを添加して酸発酵処理した後、容量7Lの上向流型嫌気性反応槽(メタン発酵槽)を用いて嫌気性処理を行った。メタン発酵槽上部の処理水流出部には、幅2.0mmのスクリーンを設けて担体がメタン発酵槽から流出しないようにした。メタン発酵処理水の一部をメタン発酵槽下部の流入部に循環させ、メタン発酵槽のLVを5.0m/hに調整した。
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)には、担体として、平均粒径4.0mm、未使用の清水試験におけるLV5m/hの膨張率120%のポリビニルアルコールのゲル状粒子を充填率30%となるように投入した。種汚泥として、下水の消化汚泥をMLSS:8,000mg/Lとなるように立上げ初期に嫌気性反応槽に投入した。
メタン発酵槽内のpHが7.0〜8.0、汚泥負荷が約0.3g−CODCr/(g−MLSS・d)となるように原水の注入量を調節した。立ち上げ運転中は、メタン発酵槽からの処理水を全量、後段の膜分離装置に送液した。
メタン発酵槽の設計負荷は、13kg−CODCr/(m・d)とした。
原水注入開始後約52日目で、メタン発酵槽内の生物濃度の設定値(40g−MLSS/L)を上回り、設計負荷13kg−CODCr/(m・d)以上を達成した。設計負荷達成後に、膜分離装置に送液するラインをメタン発酵槽から好気処理槽に切り換えて、好気性処理槽の処理水を膜分離装置により固液分離し、膜分離装置からの処理水を後段の処理水槽に送り、安定した定常運転が行えることを確認した。
[比較例1]
図6に示す装置構成の処理フローを実施した。流動式生物処理槽であるメタン発酵槽の後段に沈殿槽を設け、立ち上げ運転中に汚泥を引き抜いて濃縮汚泥をメタン発酵槽に戻した。
原水、担体、種汚泥及び設計負荷は実施例1と同様とした。
原水注入開始後約66日目で、メタン発酵槽内の生物濃度の設定値(40g−MLSS/L)を上回り、設計負荷13kg−CODCr/(m・d)以上を達成した。
[比較例2]
種汚泥として消化汚泥を用いた以外は比較例1と同様とした。原水注入開始後約77日目で、メタン発酵槽内の生物濃度の設定値(40g−MLSS/L)を上回り、設計負荷13kg−CODCr/(m・d)以上を達成した。
[比較例3]
図7に示す装置構成の処理フローを実施した。流動式生物処理槽であるメタン発酵槽の後段に処理水槽を設け、流動式生物処理槽からの処理水の固液分離及び汚泥の返送を行なわなかった、
原水、担体、種汚泥及び設計負荷は比較例1と同様とした。
原水注入開始後約98日目で、メタン発酵槽内の生物濃度の設定値(40g−MLSS/L)を上回り、設計負荷13kg−CODCr/(m・d)以上を達成した。
以上の実施例1〜2、比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。
以上の実施例及び比較例より、本発明の有機性廃水の処理設備の運転方法によれば、立ち上げ期間を大幅に短縮することができることがわかる。

Claims (3)

  1. 嫌気性微生物を付着させた非生物担体を用いて有機性廃水を嫌気性処理する流動床式生物処理装置と、
    当該流動床式生物処理装置の後段に設けられ、嫌気性処理された処理水を好気性処理する好気性処理装置と、
    膜分離装置と、を具備する有機性廃水の流動床式生物処理設備の運転方法であって、
    当該処理設備の立上げ期間中は、当該流動床式生物処理装置からの汚泥を含む処理水を当該膜分離装置に送って固液分離し、分離した汚泥を当該流動床式生物処理装置に戻して、種汚泥として非生物担体表面に付着させ、
    当該処理設備の定常運転時には、当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送って固液分離する、ことを特徴とする有機性廃水の処理設備の運転方法。
  2. 前記種汚泥は、消化汚泥又はグラニュール汚泥である、請求項1に記載の有機性廃水の処理設備の運転方法。
  3. 嫌気性微生物を付着させた非生物担体を用いて有機性廃水を嫌気性処理する流動床式生物処理装置と、
    当該流動床式生物処理装置の後段に設けられ、嫌気性処理された処理水を好気性処理する好気性処理装置と、
    膜分離装置と、
    当該流動床式生物処理装置からの処理水又は当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送るために流路を切り換える切り替え機構と、
    を具備する有機性廃水の処理設備であって、
    当該処理設備の立ち上げ運転期間中は、当該流動床式生物処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送り、
    当該処理設備の定常運転期間中は、当該好気性処理装置からの処理水を当該膜分離装置に送るように構成されている、有機性廃水の処理設備。
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