JP7150899B2 - 嫌気性処理装置及び嫌気性処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は乳酸を含有する排水の嫌気性処理装置に関する。また、本発明は乳酸を含有する排水の嫌気性処理方法に関する。
有機性廃棄物を、メタン発酵を用いて嫌気性処理する方法は、活性汚泥法等の好気性処理に比べると曝気のためのエネルギーが不要であり運転コストが低いこと、嫌気性処理後の消化液が生物学的に安定していること、嫌気性処理で得られる消化ガス(メタンガス)をエネルギーとして利用できることなど、多くのメリットがある。そのため、近年では厨芥、残飯、食品及び飲料品の製造残渣、下水汚泥、有機性の排水処理汚泥、家畜糞尿などの有機性廃棄物を対象とした嫌気性処理装置の需要が増加している。
しかしながら、有機性廃棄物と一口に言ってもその中に含まれる有機物は排出源に応じて大きく変動する。このため、有機性廃棄物中に含まれる有機物の種類に応じて適切な嫌気性処理装置の設計及び運転が必要になる。このような背景から、これまで有機性廃棄物の種類に応じた各種の嫌気性処理装置が提案されており、その改良が続けられてきた。
特許文献1(特開2018-015691号公報)には、化学工場などから排出されるメタノールやホルムアルデヒドなどの低分子有機物を主成分とする有機性廃水では、グラニュール汚泥を形成しにくく、維持しにくいという問題を背景として、嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法を提供することを課題とする発明が記載されている。具体的には、嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽と、当該嫌気性反応槽に投入するための嫌気性微生物が付着している馴致担体を調製する馴致担体調製用嫌気性反応槽と、を具備することを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理装置が記載されている。特許文献1に記載の有機性廃水の嫌気性処理装置によれば、嫌気性微生物が付着している馴致担体を投入するため、担体表面に高いメタン生成活性度を有する生物膜が形成されやすく、立ち上げ期間の短縮を行うことができるとされる。
特許文献2(特開2017-154082号公報)には、油脂は、嫌気性処理条件下で生分解されにくいといった問題があることに鑑み、嫌気性処理における高級脂肪酸の分解効率を高めた嫌気性排水処理装置を提供することを課題とする発明が記載されている。具体的には、油脂を含む排水を導入し、処理菌により油脂を分解して酸を含む一次処理水を生成する酸生成槽と、一次処理水を導入し、処理菌によりメタン発酵して二次処理水を生成する反応槽と、を備え、反応槽から排出される処理菌を酸生成槽に返送する返送手段及び/又は酸生成槽における水素分圧を低減させる水素分圧低減手段を有する、嫌気性排水処理装置が記載されている。
特許文献3(特開2005-161173号公報)には、廃水中にたんぱく質が存在すると、嫌気的条件下で次第に低分子化し、その際に、たんぱく質中の有機性窒素が無機化してアンモニアが発生することで、メタン菌の活性が低下するという問題を解決するための発明が記載されている。具体的には、たんぱく質含有排水をメタン発酵処理する方法において、該たんぱく質含有排水を乳酸発酵してpHを低下せしめ、該排水中のたんぱく質を凝固して分離したのちに、該分離水をメタン発酵処理することを特徴とするたんぱく質含有排水のメタン発酵処理方法が記載されている。
特許文献4(特開2010-042352号公報)には、酢酸が高濃度に含まれる廃水や酸発酵処理水がメタン発酵槽に流入した場合、高濃度の酢酸に接触する流入部で阻害が起こる可能性があることを背景に、改良された嫌気性処理装置が記載されている。具体的には、グラニュール汚泥及び/又は担体を充填した、ガス・液・固分離装置を多段に有する上向流嫌気性処理装置を用いて有機性廃水を生物学的に処理する嫌気性処理装置において、前記グラニュール汚泥及び/又は担体の界面より上方に配置し、かつ、最上段に設置されたガス・液・固分離部よりも下方に配置した循環水の取水口から上向流嫌気性処理装置内の水を循環水として引き抜き、前記循環水を上向流嫌気性処理装置の底部及び/又は原水流入箇所及び/又は当該上向流嫌気性処理装置の前段処理装置に循環させることを特徴とする嫌気性処理装置が記載されている。当該嫌気性処理装置によれば、上向流嫌気性処理装置内の最上段に設置されたガス・液・固分離部でのガス・液・固分離性能を維持したまま循環水の水量を増加させることができ、これにより、原水中の高濃度では阻害のある酢酸等の物質の希釈、処理水のアルカリ度を供給、さらに循環水量の増加によるグラニュール汚泥及び/又は担体の流動化を促進することができるとされている。
特許文献5(特開2018-008203号公報)には、食品廃棄物を処理対象とした湿式メタン発酵設備に関する発明が記載されている。具体的には、食品廃棄物を処理してメタンガスを得るための、酸発酵槽及びメタン発酵槽を有する、2槽発酵の湿式メタン発酵設備であって、酸発酵槽の発酵液のpHが3から4であり、酸発酵槽に存在する酸発酵菌の80%以上が乳酸菌である、湿式メタン発酵設備が記載されている。この湿式メタン発酵設備により、酸発酵槽に存在する酸発酵菌の大部分が乳酸菌となり、酸発酵槽で生成する有機酸が乳酸となる。そして、酸発酵槽で乳酸が多量に生成し、メタン発酵槽において、それを栄養源としたWWE1門の真正細菌を優先菌としたメタン発酵液の発酵効果により、メタンガスの生成量が増加することで、安定的に多量のメタンガスが回収可能となると推論されている。
特許文献6(特開2014-024032号公報)には、低水温の条件においては、電子産業工場やパルプ製造工場、化学工場等から排出される有機物を主成分とする排水を嫌気処理することが困難であったという問題を解決することを課題とする発明が記載されている。当該発明は、有機物を含有する排水をゲル状の担体の存在下で嫌気性生物処理を行うことを特徴とする。これにより、水温35℃未満の低水温の条件においても高負荷で安定してメタン発酵する嫌気性生物処理を行うことができるとされている。また、当該発明は特に、半導体製造工場等から排出されるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)やメタノール等の有機物を含有する排水の処理に好適であるとされている。
特開2018-015691号公報 特開2017-154082号公報 特開2005-161173号公報 特開2010-042352号公報 特開2018-008203号公報 特開2014-024032号公報
排水の中には食品製造系排水等のように乳酸の濃度が高い排水がある。また、上記の特許文献にも記載されているように、有機性廃棄物を処理する過程で乳酸を含有する排水が生成する場合もある。乳酸は上記の特許文献にも記載されているようにメタン発酵処理する方法が知られている。
しかしながら、本発明者は乳酸を高濃度に含有する排水に対して上記の特許文献に記載されているような嫌気性処理装置を用いて処理しても、十分な処理性能を達成することが困難であることを見出した。具体的には、乳酸を高濃度に含有する排水をメタン発酵処理装置で処理すると、酢酸及びプロピオン酸が残留しやすく、CODcr除去率が低下しやすいという問題があることが分かった。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一側面において、乳酸を高濃度に含有する排水に対する処理性能を向上させることの可能な嫌気性処理装置を提供することを課題とする。また、本発明は別の一側面において、乳酸を高濃度に含有する排水に対する処理性能を向上させることの可能な嫌気性処理方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、メタン発酵槽単独ではなく、乳酸分解槽及びメタン発酵槽を直列に繋いで乳酸を段階的に分解すること、及び、メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送することを組み合わせることが効果的であることを見出した。本発明は当該知見に基づき完成したものであり、以下に例示される。
本発明は一側面において、
有機酸を含有し、有機酸のうち50質量%以上が乳酸を占める排水を導入し、排水中の乳酸を嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成するための乳酸分解槽と、
乳酸分解槽から流出する一次処理液を導入し、一次処理液をメタン発酵処理して二次処理液を生成するためのメタン発酵槽であって、水素資化性メタン発酵菌を含有するメタン発酵槽と、
メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送するための返送系統と、
を備えた嫌気性処理装置である。
本発明に係る嫌気性処理装置の一実施形態において、メタン発酵槽は、水素資化性メタン発酵菌を担持する担体を備える。
本発明に係る嫌気性処理装置の別の一実施形態において、返送系統は、メタン発酵槽中の前記担体の一部を乳酸分解槽に返送できる手段を備える。
本発明に係る嫌気性処理装置の更に別の一実施形態において、返送系統は、メタン発酵槽からの抽出液と共に水素資化性メタン発酵菌を返送するための返送ラインと、当該返送ラインの途中に設置された懸濁物質の濃縮装置とを備えており、当該濃縮装置によって水素資化性メタン発酵菌が濃縮された抽出液が乳酸分解槽に返送できるように構成されている。
本発明に係る嫌気性処理装置の更に別の一実施形態において、排水は、排水中のCODcrに対して炭素数3以下の有機酸が20~100%を占める。
本発明に係る嫌気性処理装置の更に別の一実施形態において、乳酸分解槽の液中pHが5.0~7.5の範囲であり、メタン発酵槽の液中pHが6.5~8.2の範囲であり、乳酸分解槽の液中pHがメタン発酵槽の液中pHよりも低い。
本発明は別の一側面において、
有機酸を含有し、有機酸のうち50質量%以上が乳酸を占める排水中の乳酸を乳酸分解槽で嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成する工程1と、
工程1で得られる一次処理液を、水素資化性メタン発酵菌を含有するメタン発酵槽中でメタン発酵処理して二次処理液を生成する工程2と、
を含み、
工程1は、メタン発酵槽から乳酸分解槽に返送される水素資化性メタン発酵菌の存在下で実施する嫌気性処理方法である。
本発明に係る嫌気性処理装置及び嫌気性処理方法によれば、乳酸を高濃度で含有する排水に対する処理性能を有意に向上させることができる。具体的には、乳酸分解時の中間生成物である酢酸及びプロピオン酸をスムーズにメタンに分解することが可能になるので、乳酸を高濃度で含有する排水に対するCODcr除去率を有意に向上させることができる。また、処理槽が二つ設けられていることで高負荷においても処理が可能となるという利点も得られる。
本発明に係る嫌気性処理装置の第一構成例を示す模式図である。 本発明に係る嫌気性処理装置の第二構成例を示す模式図である。 本発明に係る嫌気性処理装置の第三構成例を示す模式図である。 本発明に係る嫌気性処理装置の第四構成例を示す模式図である。 比較例1に係るメタン発酵槽の構成を示す模式図である。 比較例2に係る嫌気性処理装置の構成を示す模式図である。
(1.排水)
従来技術では、乳酸を高濃度で含有する排水を嫌気性処理すると、酢酸及びプロピオン酸が残留しやすく、CODcr除去率が低下しやすいという問題があった。しかしながら、本発明に係る嫌気性処理装置の一実施形態によれば、乳酸を高濃度で含有する排水に対しても優れたCODcr除去率を達成することができる。従って、本発明が処理対象とする排水は一実施形態において、有機酸を含有し、有機酸のうち50質量%以上が乳酸を占める排水に対して優れた処理性能を発揮することができる。排水は、有機酸のうち70質量%以上が乳酸を占めていてもよいし、80質量%以上が乳酸を占めていてもよい。排水中の各種有機酸の濃度はHPLC(高速液体クロマトグラフ法)(JIS K0124:2011、JIS K0214:2013)により測定可能である。
また、本発明が処理対象とする排水は一実施形態において、排水中のCODcr(ニクロム酸カリウムによる酸素要求量)に対して炭素数3以下の有機酸が20~100%を占める。排水は、排水中のCODcrに対して炭素数3以下の有機酸が40~100%を占めてもよく、50~100%を占めてもよく、典型的には50~80%を占めることができる。
本発明において、炭素数3以下の有機酸は、乳酸(C363)、ギ酸(HCOOH)、酢酸(CH3COOH)、及びプロピオン酸(C362)を指す。排水中のCODcrに対する炭素数3以下の有機酸の濃度は、以下の手順により求める。まず、排水中のCODcr(単位:mg/L)をJIS K0102:2016に規定される蓋付き試験管を用いた吸光光度法に準拠して求める。また、乳酸、ギ酸、酢酸、及びプロピオン酸の排水中の濃度をHPLCによりそれぞれ求め、これらの有機酸の濃度(単位:mg/L)に対して酸素換算係数を乗ずることでCODcrに換算する。酸素換算係数は乳酸:0.936、ギ酸:0.343、酢酸:1.01、プロピオン酸:1.46とする。例えば、排水中の乳酸濃度が1000mg/Lの場合、CODcrに換算した乳酸の値は936mg/Lとなる。乳酸、ギ酸、酢酸、及びプロピオン酸のCODcr換算値の合計を、排水のCODcrで除することで、排水中のCODcrに対する炭素数3以下の有機酸の割合が求められる。
本発明が処理対象とする排水のCODcrの下限は、特に制限はないが、例えば、メタン発酵槽が担体を有する場合は、500mg/L以上とすることができ、1,000mg/L以上とすることもでき、2,000mg/L以上とすることもできる。また、メタン発酵槽が担体を有しない場合は、CODcrが低すぎるとグラニュールが崩壊してしまう可能性があるため、3,000mg/L以上とすることが好ましい。本発明が処理対象とする排水のCODcrの上限は、特に制限はないが、例えば、20,000mg/L以下とすることができ、15,000mg/L以下とすることもでき、10,000mg/L以下とすることもできる。
本発明が処理対象とする排水の具体例としては、乳酸系飲料排水、乳酸菌製造設備等からの乳酸系排水、し尿、浄化槽汚泥等からの乳酸系汚泥、生ごみメタン発酵の可溶化液が挙げられる。
(2.乳酸分解槽)
乳酸分解槽では、排水中の乳酸を嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成する工程1を行うことができる。
乳酸を高濃度に含有する排水をメタン発酵槽単独で処理すると、酢酸及びプロピオン酸が残留しやすく、十分なCODcr除去率が得られない。これは、以下の理由によると考えられる。乳酸は、プロピオン酸に分解された後(例:C6126→4/3CH3CH2COOH+2/3CH3COOH+2/3CO2+2/3H2O)、酢酸を経てメタンへ分解される。表1に、プロピオン酸及び酢酸がメタンへと分解されるときの反応式、化学反応に関与する細菌の種類及び自由エネルギーの変化を例示的に示す。表1の(3)の反応式から分かるように、プロピオン酸の酢酸への酸化反応は自由エネルギーの観点から進行しにくい。そして、プロピオン酸は酢酸に分解されるときに水素が発生するため、メタン発酵槽内の水素分圧が高くなると、(3)の反応式に示す化学反応が更に進行しにくくなる。
Figure 0007150899000001
これに対し、本発明者は、メタン発酵槽単独で乳酸をメタンまで分解するよりも、排水中の乳酸を嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成する乳酸分解槽をメタン発酵槽の前段に設置することが有利であることを見出した。乳酸分解槽では特に、乳酸のプロピオン酸への分解反応と、プロピオン酸の酢酸への分解反応が促進される。メタン発酵槽に設置される乳酸分解槽においてプロピオン酸をできるだけ酢酸に分解し、一次処理液中のプロピオン酸の残留濃度をできるだけ低くしておくことが、乳酸を高濃度に含有する排水のCODcrの除去率を向上させる上で重要である。
そこで、乳酸分解槽においては、生成される水素を利用して水素資化性細菌(「水素資化性メタン発酵菌」と同じ。)によりメタンを生成し(例:(2)の反応式)、水素分圧を下げることでプロピオン酸の分解反応を促進する。水素資化性メタン発酵菌の乳酸発酵槽及びメタン発酵槽への添加方法には特に制限はなく、水素資化性メタン発酵菌をそのまま添加する方法、水素資化性メタン発酵菌を含むグラニュール汚泥を添加する方法、および、担体に固定化された水素資化性メタン発酵菌を添加する方法等がある。水素資化性細菌は、メタン発酵槽において増殖しやすいことから、メタン発酵槽から返送することで供給するのが好都合である。メタン発酵槽は、滞留時間を比較的長く取ったり、グラニュールや担体など付着増殖するための媒体が存在したりするために、増殖速度が遅い水素資化性細菌でも増殖できるのである。また、水素資化性メタン発酵菌を生育するために乳酸分解槽内に栄養塩を与えてもよい。
水素資化性メタン発酵菌としては嫌気性処理に適した嫌気性菌であればよく、特に制限はないが、例えばMethanobacterium属、Methanothermobacter属などを含むMethanobacteria綱、及び、Methanospirillum属、Methanoculleus属、Methanosarcina属、Methanothrix属、Methanolinea属などを含むMethanomicrobia綱等のメタン生成古細菌等が挙げられる。水素資化性メタン発酵菌は一種単独で使用してもよいが通常複数種の混合形態で使用される。
乳酸分解槽は、限定的ではないが、Methanosaeta属、Geobacter属(酢酸資化性細菌)、Clostridium属、Desulfovibrio属(硫酸還元細菌)、Thermodesulfovibrio属、Pelotomaculum属(プロピオン酸酸化細菌)、Pelobacter属、Veillonella属(乳酸分解菌)、Propionibacterium属等の酸発酵菌及びその他の嫌気性菌を含むことができる。メタン発酵槽からの抽出液を返送することで更に、Syntrophobacter属、Syntrophaceticus属等の微生物も処理に寄与する。Syntrophobacter属、Syntrophaceticus属等は、メタン発酵槽からの抽出液を返送することでメタン生成古細菌との共生関係を構築するため、プロピオン酸を酢酸に分解する反応をするようになる。また、メタン生成古細菌が直接利用できないプロピオン酸を酢酸に変換することで、後段でのメタン発酵処理をより安定・高速で行うことが可能となる。
乳酸分解槽では乳酸を酢酸まで分解することを主たる目的としているため、乳酸分解槽の液中pHはメタン発酵槽の液中pHよりも低くすることが好ましい。具体的には、乳酸分解槽の液中pHの上限値は7.5以下とすることが好ましい。一方で、乳酸分解槽の液中pHが低すぎると、水素発酵が進みやすい状況になる。例えば、排水中には、乳酸の前段物質である糖質基質が流入することがある。糖質基質から乳酸が生成される「乳酸発酵」では乳酸生成に伴いpHが4~5程度まで低下する。そこで、乳酸発酵槽の液中pHの下限値は5.0以上とすることが好ましく、6.0以上とすることがより好ましい。よって、乳酸分解槽の液中pHは5.0~7.5であることが好ましく、6.0~7.5であることがより好ましい。水素資化性メタン発酵菌の至適pHは5.0~6.0であるところ、乳酸分解槽における液中pHは、メタン発酵槽よりもこの至適pHに近い。このため、乳酸分解槽において水素資化性メタン発酵菌が能力をより発揮できると考えられる。
乳酸分解槽のpHを上げるために乳酸分解槽にアルカリ剤を添加してもよいが、乳酸分解槽にアルカリを添加するとメタン発酵槽のpHも高くなり、別途一次処理液のpH中和が必要になるため非効率的である。メタン発酵槽では、メタンガス発生量が増えて、二酸化炭素の比率が下がることや有機酸が分解される過程でアルカリ度が増えてpHが高くなる。そのため、アルカリ剤を添加せずに、メタン発酵槽からpHの高い液を乳酸分解槽に返送することでpHが調整され、二次処理液pHの上昇を招くこともなく効率的にpHを好適な範囲に維持することができる。
乳酸分解槽から流出する一次処理液中の酢酸に対するプロピオン酸のモル比は、低いほうが好ましい。当該モル比が低いということは酢酸に分解されるプロピオン酸の比率が高いことを意味するからである。乳酸から生成されるプロピオン酸と酢酸の比率は酸化還元電位(ORP)と相互関係にあるため、乳酸分解槽内の液又は一次処理液のORPの監視制御を行うことで処理状況を推測することができる。酢酸に対するプロピオン酸のモル比が低くなるほど、当該ORPは低くなる傾向にある。そこで、乳酸分解槽内の液、望ましくは乳酸分解槽から流出する一次処理液のORPは-100mV以下を示すことが好ましく、-200mV以下を示すことがより好ましい。当該ORPに下限は特に設定されないが、低すぎるとメタン発酵を介して後処理で好気性処理を行う場合に曝気風量が多くなるといった懸念もあるため、-500mV以上であることが好ましい。
乳酸分解槽のその他の運転条件は、例えば、以下のように設定することができる。
・滞留時間:3~15時間、好ましくは4~8時間
・水温:30~35℃、好ましくは32~35℃
・攪拌:機械攪拌
上述したように、乳酸分解槽においては、水素資化性メタン発酵菌によりメタンが生成する。また、メタン発酵槽から水素資化性メタン発酵菌と共に返送される液によりpHが上昇してメタン発酵が行われることも想定される。このため、乳酸分解槽にはバイオガスを回収するためのガス回収系統が接続されていることが好ましい。
乳酸系排水の乳酸分解時には栄養塩や微量元素の必要添加量に留意する必要がある。栄養塩はアンモニア、リン、マグネシウムなど、微量元素はカリウム、カルシウム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、硫黄などが該当する。
その他、乳酸分解槽にpH計器及び/又はガス発生量計器を設置することで、乳酸分解槽で安定処理が行われていることを確認することも可能である。
(3.メタン発酵槽)
乳酸分解槽の後段に設置されるメタン発酵槽では、工程1で得られる一次処理液を、水素資化性メタン発酵菌を含有するメタン発酵槽中でメタン発酵処理して二次処理液を生成する工程2を行うことができる。
一次処理液には酢酸が含まれている。また、乳酸分解槽で分解できなかったプロピオン酸も含まれている。このため、メタン発酵槽では酢酸からメタンへの分解反応が行われ(例:表1の(1)の反応式)、また、プロピオン酸のメタンへの分解反応も行われる(例:表1の(4)及び(5)の反応式)。従って、メタン発酵処理には、水素資化性メタン発酵菌の他、水素資化性ではないメタン発酵菌(酢酸資化性メタン発酵菌、ギ酸資化性メタン発酵菌、メタノール資化性メタン発酵菌など)やプロピオン酸酸化細菌が寄与する。メタン発酵槽でも水素が発生し得るが、乳酸分解槽において予めプロピオン酸の酢酸への分解が行われているため、メタン発酵槽に対するプロピオン酸の負荷は小さく、メタン発酵槽内での分解反応を大きく阻害することはない。
メタン発酵槽には、UASB(上向流嫌気性汚泥床法)及びEGSB(膨脹汚泥床法)のような上向流型の他、固定床型、流動床型及び完全混合型等の方式がある。本発明においては、何れの方式のメタン発酵槽を用いてもよいが、担体の流動を促進させる理由から、完全混合型が好ましい。
メタン発酵槽内における水素資化性メタン発酵菌の増殖を促進するため、担体をメタン発酵槽内に投入することが好ましい。担体の性状としては、微生物を担持し、担体表面で微生物を繁殖させることができるものであれば特に制限無く用いることができる。乳酸等の低分子有機物を主成分とする排水においてはグラニュール汚泥の形成及び維持が難しいという問題がある。そこで、投入した担体にメタン発酵菌を付着させることで槽内にメタン発酵菌を留めておくことが可能となる。また、UASBやEGSBのような上向流型であれば投入したグラニュール汚泥を保持できるが、完全混合型ではグラニュール汚泥は短期間で流出してしまう。そこで担体を槽内に保持するためにスクリーンにより流出した担体を収集し、槽内に戻すことも可能である。
担体の形状は、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよいが、微生物の担持量、繁殖した微生物と排水との接触効率、メタン発酵槽内での担体の保持量などを考慮して、特に球状が好ましい。
担体の素材は、嫌気性微生物が付着すればどのような素材でも良いが、上述の諸要件を充足することから、特に活性炭、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが好ましい。メタン発酵槽内で担体が流動することで担体に付着した水素資化性メタン発酵菌が担体から剥離する。このため、メタン発酵槽内の液(典型的には二次処理液)を抽出して乳酸分解槽に返送することで、水素資化性メタン発酵菌をメタン発酵槽内に添加することが可能である。
メタン発酵槽の液中pHはメタン発酵に適した6.5~8.2とすることが好ましく、7.0~8.0とすることがより好ましい。つまり、メタン発酵に適したpHは乳酸分解槽における至適pHよりも高い。このことも、メタン発酵槽とは別に乳酸分解槽を設置する利点である。
メタン発酵槽内の液、望ましくはメタン発酵槽から流出する二次処理液のORPは、メタン発酵を安定して進める理由から、-200mV以下を示すことが好ましく、-300mV以下を示すことがより好ましい。当該ORPに下限は特に設定されないが、低すぎると後処理で好気性処理を行う場合に曝気風量が多くなるといった懸念もあるため-500mV以上であることが好ましい。
メタン発酵槽のその他の運転条件は、例えば、以下のように設定することができる。
・滞留時間:2~8時間、好ましくは5~8時間
・水温:30~35℃、好ましくは32~35℃
・攪拌:メタンガスが発生することによるガス攪拌
メタン発酵槽においては大量のメタンが生成することから、メタン発酵槽にはバイオガスを回収するためのガス回収系統が接続されていることが好ましい。
乳酸系排水のメタン発酵時には栄養塩や微量元素の必要添加量に留意する必要がある。栄養塩はアンモニア、リン、マグネシウムなど、微量元素はカリウム、カルシウム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、硫黄などが該当する。
その他、メタン発酵槽にpH計器及び/又はガス発生量計器を設置することで、メタン発酵槽で安定処理が行われていることを確認することも可能である。
(4.返送系統)
本発明に係る嫌気性処理装置は、メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送するための返送系統を備える。返送系統の構成は、メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送することができれば、特に制限はない。以下に返送系統の構成を例示する。
一実施形態において、返送系統は、メタン発酵槽からの抽出液、典型的には二次処理液と共に水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送するための返送ラインを有する。すなわち、一実施形態において、メタン発酵槽からの抽出液は乳酸発酵槽に直接供給される。抽出液中には、水素資化性メタン発酵菌が浮遊しているため、担体の有無に関わらず、抽出液を乳酸分解槽に返送することで水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送可能となる。メタン発酵槽内の液は、完全混合型の場合に担体の流出を抑制しやすいという理由により、水位の中心よりも上方から抽出することが好ましく、水位頂部から抽出することがより好ましい。
抽出液を乳酸分解槽に返送する際、返送ラインに担体が混入することがある。担体を抽出液と一緒に乳酸分解槽に返送するという方法も考えられるが、担体の管理が煩雑になる。そこで、一実施形態においては、返送ラインの途中で担体を抽出液から分離し、メタン発酵槽に戻すように構成することができる。例えば、メタン発酵槽からの抽出液から担体を分離するための手段(例えばスクリーンや遠心分離機)を返送ラインの途中に設ける方法がある。担体分離後の抽出液は乳酸分解槽に送ることができる。
分離後の担体は、メタン発酵槽に戻すことができる。担体の全量をメタン発酵槽に戻してもよいが、一部を乳酸分解槽に返送できるように、担体返送ラインを設置することも可能である。担体の管理は煩雑になるが、水素資化性メタン発酵菌等の微生物が付着した担体を乳酸分解槽に返送することで、乳酸分解槽内の水素資化性メタン発酵菌の量を効果的に増加させることができ、酸発酵槽においてもメタン発酵を促進できる。従って、排水の乳酸負荷が高いときに特に有効である。
返送ラインの途中には懸濁物質の濃縮装置を備えてもよい。例えば上記の分離手段によって担体を分離した抽出液に対し、濃縮装置を使用して水素資化性メタン発酵菌の濃度を高めることが可能である。抽出液中の水素資化性メタン発酵菌の濃度が高まることで、返送量の可変域を広げたり、同じ返送量で菌体量を大きく増やしたりすることができる。濃縮装置における濃縮度は、2~10倍が良く5~10倍程度がより好ましい。懸濁物質の濃縮装置としては、公知の任意の装置を使用可能であり、例えば遠心濃縮、浮上濃縮、ベルト濃縮、ろ過濃縮、重力濃縮等の方式の濃縮装置が挙げられる。濃度が2~5倍の場合は重力濃縮でも良いが、より濃縮度を高める場合は、遠心濃縮、浮上濃縮、ベルト濃縮、ろ過濃縮が好ましい。
メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送する際の、水素資化性メタン発酵菌の返送量については、乳酸分解槽に流入する排水中のCODcr、乳酸分解槽の大きさ等により変動するが、乳酸分解槽内の液又は乳酸分解槽から流出する一次処理液中の酢酸に対するプロピオン酸の質量濃度比が2.5以下となるように、好ましくは2.0以下となるように、より好ましくは1.5以下となるように、水素資化性メタン発酵菌のメタン発酵槽から乳酸分解槽への返送量を制御することが好ましい。一般に、返送量を多くすればするほど酢酸に対するプロピオン酸の質量濃度比を下げることができる。
水素資化性メタン発酵菌はメタン発酵槽からの抽出液と共に乳酸分解槽に返送する方法が利便性の観点で有利である。この場合、乳酸分解槽に流入する排水の質量流量に対して、乳酸分解槽に返送する抽出液の質量流量(“循環比”と呼ぶ)は、抽出液中の水素資化性メタン発酵菌の濃度にもよるが、経験的には、500≦CODcr(mg/L)/循環比≦4000、典型的には600≦CODcr(mg/L)/循環比≦3000とすることで、上述した酢酸に対するプロピオン酸のモル比を達成することができる。上記の式中、CODcrは乳酸分解槽に流入する排水(原水)のCODcrを指す。
(5.装置構成例)
以下、図面を用いて本発明に係る嫌気性処理装置の構成例について例示的に説明する。
図1には、本発明に係る嫌気性処理装置100の第一構成例が模式的に示されている。嫌気性処理装置100は、乳酸分解槽110、メタン発酵槽120及び担体分離装置140を備える。乳酸を含有する排水は、排水ライン101を通って乳酸分解槽110に流入する。乳酸分解槽110では、乳酸分解槽110内に保持されている嫌気性生物の働きにより、乳酸の嫌気性分解が行われ、酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液が生成される。
一次処理液は、乳酸分解槽110から流出し、一次処理液ライン102を通ってメタン発酵槽120に流入する。メタン発酵槽120では、メタン発酵槽120内に保持されている嫌気性生物の働きにより、メタン発酵処理が行われ、二次処理液が生成する。メタン発酵槽120内における水素資化性メタン発酵菌の増殖を促進するため、メタン発酵槽120内には担体122が保持されている。嫌気性生物による乳酸の分解を促進する観点で、攪拌機112によって乳酸分解槽110内を機械的に攪拌することが好ましい。
乳酸分解槽110からの流出位置は、後段のメタン発酵槽120の流入高さに近づけて底部に設置することにより、配管材料費を抑えることができる。その場合配管形状も単純化できるので汚泥等による閉塞を抑止することもできる。一方、メタン発酵槽120についてみると、流入位置と流出位置を異なる高さに設置することで、メタン発酵槽120内の短絡を防止することができ、また、担体の流動が促進されるという利点が得られる。短絡防止を優先する場合は、必要に応じてメタン発酵槽120の流出位置を水位の中心よりも上部にしても良い。
メタン発酵槽120内の流動性を上げるために、メタン発酵槽内の液を循環させるための循環ライン107を設置してもよい。一実施形態において、循環ライン107は、メタン発酵槽120の水位の中心よりも上方、典型的には頂部に流出口を有し、メタン発酵槽120の水位の中心よりも下方、典型的には底部に流入口を有する。循環ライン107の途中にはポンプ109を設置することで、循環量を制御することができる。図1において、メタン発酵槽120から抽出された液は下方に向かって循環ライン107内を流れるが、これとは逆に上方に向かって流すことも可能である。
二次処理液は、メタン発酵槽120から流出し、二次処理液ライン103を通って担体分離装置140に流入する。二次処理液中に含まれる担体122は、担体分離装置140で分離される。例えば、担体分離装置140は、外槽141、外槽141の中に収容されている内槽142、及びスクリーン143を有する。内槽142の内面は曲面形状を有しており、内槽142に流入した二次処理液は旋回しながら、内槽142内を流れ、内槽142の側面に設けられたスクリーン143から流出する。二次処理液が旋回しながら内槽142内を流れることでスクリーン143の目詰まりを防止することができる。スクリーン143を介して内槽142から流出した二次処理液は外槽141に流入する。その後、二次処理液は外槽141の出口から、二次処理液ライン105を通って系外へ排出することができる。担体122は、スクリーン143を通過することができないため、内槽142の出口から排出された後、担体ライン106を通ってメタン発酵槽120に戻される。担体ライン106には、スクリーン143を通過しなかった一部の二次処理液も一緒に流れる。二次処理液が含まれている方が、二次処理液を担体122の搬送媒体として使用することができるので好都合である。担体ライン106は一次処理液ライン102に接続してもよい。
担体分離装置140から流出する二次処理液の一部は、返送ライン104を通って乳酸分解槽110に返送される。二次処理液中には水素資化性メタン発酵菌が含まれていることから、乳酸分解槽110での水素分圧を下げ、乳酸の分解過程で生成するプロピオン酸の酢酸への分解反応を促進することができる。返送ライン104には、バルブ等の流量制御手段170を適宜設置することで、返送量を調節することができる。
乳酸分解槽110及びメタン発酵槽120においては、メタン及び水素等のバイオガスが発生する。そこで、乳酸分解槽110及びメタン発酵槽120はそれぞれ、各槽で発生するメタン等のバイオガスを回収するためのガス回収系統132が接続されている。ガス回収系統132はバイオガス利用設備130に接続されており、バイオガス利用設備130においてバイオガスの利用が図られる。
図2には、本発明に係る嫌気性処理装置200の第二構成例が模式的に示されている。図2に示す嫌気性処理装置200が図1に示す嫌気性処理装置100と相違する点は、図2に示す嫌気性処理装置200においては返送ライン104の途中に懸濁物質の濃縮装置150が設置されている点である。濃縮装置150が設置されていることにより、二次処理液中の水素資化性メタン発酵菌等の微生物濃度を高めることができる。図2に示す嫌気性処理装置200において、図1に示す嫌気性処理装置100と同じ符号が付された構成要素は、既に説明した通りであるため、詳細な説明を割愛する。
図3には、本発明に係る嫌気性処理装置300の第三構成例が模式的に示されている。図3に示す嫌気性処理装置300が図1に示す嫌気性処理装置100と相違する点は、図3に示す嫌気性処理装置300が、乳酸分解槽110に担体122を返送するための担体返送ライン108を有する点である。担体返送ライン108は、担体ライン106に接続されており、担体ライン106を流れる担体122の一部を乳酸分解槽110に返送することができる。担体返送ライン108と担体ライン106の接続点に三方弁等の流量制御手段160を設置することで、乳酸分解槽110に返送する担体の量を制御してもよい。
図4には、本発明に係る嫌気性処理装置400の第四構成例が模式的に示されている。図4に示す嫌気性処理装置400が図1に示す嫌気性処理装置100と相違する点は、図4に示す嫌気性処理装置400では、メタン発酵槽120内に担体を保持しておらず、従って担体分離装置140及び担体ライン106も有しない点である。第四構成例に係る嫌気性処理装置400は、排水が汚泥など固形分を多く含む場合に適用され、固形分も含めて分解させるために滞留時間を20~30日程度と比較的長くとることが多いため、担体を用いなくても水素資化性メタン発酵菌を増殖させることができる。このようにして増殖させた水素資化性メタン発酵菌を、至適pH域に近い乳酸発酵槽に返送することで菌の活性を上げることができる。
なお、排水ライン101、一次処理液ライン102、二次処理液ライン103、105、返送ライン104、担体ライン106、及び、担体返送ライン108には必要に応じて送液のためのポンプを設置することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。以下の実験において、CODcrは、JIS K0102:2016に規定される蓋付き試験管を用いた吸光光度法に準拠して、HACH製の吸光光度計により測定した。各有機酸の濃度は、JIS K0124:2011、JIS K0214:2013に準拠した、島津製作所製のHPLC型式LC-20AD(導電率検出器を使用)により測定した。
(1.ラボ試験)
乳酸菌製造設備から排出される乳酸系排水に対するラボ試験を実施した。乳酸系排水の性状は以下の通りである。
・CODcr:10,000mg/L
・排水中のCODcrに対して炭素数3以下の有機酸が占める割合:95質量%以上
・有機酸のうち乳酸が占める割合:90質量%以上
<比較例1>
図5に示す構成の完全混合型のメタン発酵槽500を用意し、上記の乳酸系排水に対する処理を行った。メタン発酵槽500には、メタン発酵菌(水素資化性メタン発酵菌を含む)及び酸発酵菌が付着した担体520(担体形状:球体、担体素材:ポリビニルアルコール)を使用した。メタン発酵槽500に流入した排水は、メタン発酵槽500内で嫌気性処理を受けた後、担体を分離するためのスクリーン510を通過した後に槽外へ処理水として流出する。メタン発酵槽500の運転条件は以下とした。
・有効容積:1L
・槽内の液温:35℃
・担体の能力:メタン生成活性度0.5kg/(kg・d)以上
(メタン生成活性度は、ケルダール法で担体の窒素含有量を測定し、担体当たりのSS量で評価した。)
・槽内の液中pH:7~8.2(制御せず)
・ORP:-200~-500mV(制御せず)
・攪拌:機械攪拌
・滞留時間:2~5日
流量を増加させる方法により、排水負荷を徐々に上昇させながら、処理水のCODcr及び有機酸濃度の変化を調査した。すると、2kg-CODcr/(m3・d)まで負荷が上昇したところで、処理水に酢酸及びプロピオン酸が残留する傾向が見られ、それぞれ平均1,000mg/Lほど残留した。CODcr除去率は50%程度まで低下した。
<比較例2>
次に、図6に示すように、比較例1で使用したメタン発酵槽500の前段に、攪拌機620を備えた完全混合型の乳酸分解槽600を追加して、上記の乳酸系排水に対する嫌気性処理を行った。メタン発酵槽500の運転条件は比較例1と同様とした。乳酸分解槽600の運転条件は以下とした。
乳酸分解槽
・有効容積:1L
・槽内の液温:35℃
・嫌気性微生物:メタン発酵槽の処理水SSを投入
・槽内の液中pH:5~7(制御せず)
・ORP:-100~-150mV(制御せず)
・攪拌:機械攪拌
・滞留時間:2~5日
メタン発酵槽
・有効容積:1L
・槽内の液温:35℃
・担体の能力:メタン生成活性度0.5kg/(kg・d)以上
(メタン生成活性度は、ケルダール法で担体の窒素含有量を測定し、担体当たりのSS量で評価した。)
・槽内の液中pH:7~8.2(制御せず)
・ORP:-200~-500mV(制御せず)
・攪拌:機械攪拌
・滞留時間:2~5日
流量を増加させる方法により、排水負荷を徐々に上昇させながら、処理水のCODcr及び有機酸濃度の変化を調査した。6kg-CODcr/(m3・d)まで負荷が上昇したところで、処理水に酢酸及びプロピオン酸が残留する傾向がみられ、それぞれ平均800mg/Lほど残留した。CODcr除去率は60%程度まで低下した。
(2.実機試験)
<実施例1>
図1に示す構成の嫌気性処理装置100を構築し、上記の乳酸系排水に対する嫌気性処理を行った。嫌気性処理装置100は、完全混合型の乳酸分解槽110及び完全混合型のメタン発酵槽120を備え、メタン発酵槽120から排出される水素資化性メタン発酵菌を含有する二次処理液は、担体分離装置140で担体122を分離した後、乳酸分解槽110に返送される。
乳酸分解槽110の運転条件は以下とした。
・有効容積:35m3
・槽内の液温:35℃
・嫌気性微生物:未使用担体とグラニュールを初期に投入(その他はメタン発酵槽から返送される二次処理液から供給)担体に付着している微生物は、Methanosaeta属、Methanobacterium、Geobacter属、Thermodesulfovibrio属、Syntrophobacter属等であった。
・嫌気性微生物の活性度:0.5kg/(kg・d)以上
(活性度は、ケルダール法で担体の窒素含有量を測定し、担体当たりのSS量で評価した。)
・槽内の液中pH:6.5~7.5の範囲であるが、常にメタン発酵槽の液中pHより低かった。(メタン発酵槽のpHが6.5以下に低下した場合に乳酸分解槽に苛性ソーダを注入することで、菌体の活性を高めるため、また、水素発酵を防止するため、両槽のpHを上げた。)
・攪拌:機械攪拌
・滞留時間:3~15h
メタン発酵槽120には、水素資化性メタン発酵菌、酢酸資化性メタン発酵菌、及びプロピオン酸分解細菌が付着した担体122(担体形状:球状、担体素材:ポリビニルアルコール)を使用した。メタン発酵槽120の運転条件は以下とした。
・有効容積:96m3
・槽内の液温:35℃
・担体の能力:メタン生成活性度0.5kg/(kg・d)以上
(活性度は、ケルダール法で担体の窒素含有量を測定し、担体当たりのSS量で評価した。)
・槽内の液中pH:6.5~8.2
・攪拌:メタンガスが発生することによるガス攪拌
・滞留時間:2~8h
・メタン発酵槽から乳酸分解槽に流入する排水のCODcr:500~4000mg/L
・メタン発酵槽から乳酸分解槽へ返送する二次処理液の循環比:5~20倍(乳酸分解槽の水位を一定に保持)
流量を増加させる方法により、排水負荷を徐々に上昇させながら、二次処理液のCODcr及び有機酸濃度の変化を調査した。二次処理液中に酢酸及びプロピオン酸の濃度の残留はほとんど見られず、10kg-CODcr/(m3・d)まで負荷を上昇(このとき、乳酸系排水のCODcrは12,000~15,000mg/L程度に上昇)させてもCODcr除去率は90%以上で運転可能であった。
(3.回分試験)
乳酸試薬を水に溶かすことで得た乳酸含有水(乳酸濃度:5,000mg/L、水量:500mL)を乳酸発酵槽で嫌気性処理する回分試験を行った。この際、試験番号に応じて乳酸含有水のメタン発酵処理水を表2に示す質量割合で混合し、乳酸発酵槽に供給して嫌気性処理を行った。ここで使用したメタン発酵処理水は、上記の乳酸含有水を担体でメタン発酵処理した後の処理水であり、水素資化性メタン発酵菌を含む。
乳酸分解槽の運転条件は以下とした。
・有効容積:400mL
・槽内の液温:35℃
・嫌気性微生物:未使用担体を投入した。担体に付着している微生物は、Methanosaeta属、Methanobacterium、Geobacter属、Thermodesulfovibrio属、Syntrophobacter属等であった。
・槽内の液中pH:7.5程度(制御せず)
・乳酸分解槽からの流出液(一次処理液)のORP:-100~-150mV(制御せず)
・攪拌:機械攪拌
・滞留時間:24時間
乳酸発酵槽で24時間嫌気性処理した後の乳酸発酵槽内の液中のプロピオン酸及び酢酸の濃度を測定し、懸濁物質(SS)1mg当たりのプロピオン酸及び酢酸の平均生成速度、並びに両者の比(質量濃度比)を求めた。結果を表2に示す。メタン発酵処理水/乳酸含有水の比率が6の場合はΔプロピオン酸/Δ酢酸の比率が1.04であったが、メタン発酵処理水/原水の比率が1の場合はΔプロピオン酸/Δ酢酸の比率が2.21であった。以上のことからメタン発酵槽の処理水を乳酸発酵槽に返送する量を増加することで、乳酸から生成されるプロピオン酸/酢酸の比率を下げられることが分かる。
Figure 0007150899000002
また、乳酸発酵槽で24時間嫌気性処理した後の乳酸発酵槽内の気相中のメタン、二酸化炭素、及び水素の濃度をガスクロマトグラフ(GL Sciences社製型式GC323)により測定した。結果を表3に示す。メタン発酵処理水/乳酸含有水の比率を高くするにつれて、水素濃度が低下していくことが分かる。これは、メタン発酵処理水中の水素資化性メタン発酵菌の働きによる。
Figure 0007150899000003
100 嫌気性処理装置
101 排水ライン
102 一次処理液ライン
103 二次処理液ライン
104 返送ライン
105 二次処理液ライン
106 担体ライン
107 循環ライン
108 担体返送ライン
109 ポンプ
110 乳酸分解槽
120 メタン発酵槽
122 担体
130 バイオガス利用設備
132 ガス回収系統
140 担体分離装置
141 外槽
142 内槽
143 スクリーン
150 濃縮装置
160 流量制御手段
170 流量制御手段
200 嫌気性処理装置
300 嫌気性処理装置
400 嫌気性処理装置
500 メタン発酵槽
510 スクリーン
520 担体
530 攪拌機
600 乳酸分解槽
620 攪拌機

Claims (7)

  1. 有機酸を含有し、有機酸のうち50質量%以上が乳酸を占める排水を導入し、排水中の乳酸を嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成するための乳酸分解槽と、
    乳酸分解槽から流出する一次処理液を導入し、一次処理液をメタン発酵処理して二次処理液を生成するためのメタン発酵槽であって、水素資化性メタン発酵菌を含有するメタン発酵槽と、
    メタン発酵槽中の水素資化性メタン発酵菌を乳酸分解槽に返送するための返送系統と、
    を備えた嫌気性処理装置。
  2. メタン発酵槽は、水素資化性メタン発酵菌を担持する担体を備える請求項1に記載の嫌気性処理装置。
  3. 返送系統は、メタン発酵槽中の前記担体の一部を乳酸分解槽に返送できる手段を備える請求項2に記載の嫌気性処理装置。
  4. 返送系統は、メタン発酵槽からの抽出液と共に水素資化性メタン発酵菌を返送するための返送ラインと、当該返送ラインの途中に設置された懸濁物質の濃縮装置とを備えており、当該濃縮装置によって水素資化性メタン発酵菌が濃縮された抽出液が乳酸分解槽に返送できるように構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の嫌気性処理装置。
  5. 排水は、排水中のCODcrに対して炭素数3以下の有機酸が20~100%を占める請求項1~4の何れか一項に記載の嫌気性処理装置。
  6. 乳酸分解槽の液中pHが5.0~7.5の範囲であり、メタン発酵槽の液中pHが6.5~8.2の範囲であり、乳酸分解槽の液中pHがメタン発酵槽の液中pHよりも低い請求項1~5の何れか一項に記載の嫌気性処理装置。
  7. 有機酸を含有し、有機酸のうち50質量%以上が乳酸を占める排水中の乳酸を乳酸分解槽で嫌気的に分解して酢酸及びプロピオン酸を含む一次処理液を生成する工程1と、
    工程1で得られる一次処理液を、水素資化性メタン発酵菌を含有するメタン発酵槽中でメタン発酵処理して二次処理液を生成する工程2と、
    を含み、
    工程1は、メタン発酵槽から乳酸分解槽に返送される水素資化性メタン発酵菌の存在下で実施する嫌気性処理方法。
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