JP2018015690A - 有機性廃水の嫌気性処理方法 - Google Patents

有機性廃水の嫌気性処理方法 Download PDF

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一将 蒲池
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智弘 飯倉
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Abstract

【課題】嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法を提供する。【解決手段】嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に、有機性廃水を通水して処理する有機性廃水の嫌気性処理方法であって、種汚泥としてグラニュール汚泥を用い、有機性廃水の通水開始時には、当該担体のかさ容量1に対して、当該種汚泥のかさ容量を0.03以下の比率とし、当該嫌気性反応槽のCODCr設計負荷においてS−CODCr除去率が90%に到達するまでに当該種汚泥の追加投入を少なくとも1回行うことを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、有機性廃水の嫌気性処理方法に関し、特に、嫌気性微生物を非生物担体に付着させて、非生物担体の表面に活性の高い生物膜を形成させるまでの立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法に関する。
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、好気性生物処理、嫌気性生物処理が挙げられる。嫌気性生物処理の中でもメタン発酵処理は、酸素のない嫌気性環境下で生育する嫌気性微生物の代謝反応を利用して、有機性廃水中の有機物をメタンガスや炭酸ガスなどに分解する生物処理方法であり、好気性生物処理と比べて、汚泥発生量が少なく、ブロワ−(曝気)などの電気代が不要なためランニングコストがかからないと言ったメリットがあるほか、発生したメタンガスを有効利用できるなどのメリットがあるため、近年、有機性廃水の処理方法として特に注目されている。
メタン発酵処理方法としては、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket(上向流嫌気性汚泥床)の略)法、固定床法、流動床法等などが知られている。中でも、UASB法は、メタン菌等の嫌気性菌と酸生成菌と汚泥との接触によりグラニュール状に造粒化してなるグラニュール汚泥を利用することにより、反応槽内のメタン菌の濃度を高濃度に維持できるという特徴があり、その結果、廃水中の有機物の濃度が相当高い場合でも効率よく処理できるため、有機性廃水の処理方法として国内外で普及している。しかしながら、化学工場などから排出されるメタノールやホルムアルデヒドなどの低分子有機物を主成分とする有機性廃水では、グラニュール汚泥を形成しにくく、維持しにくいという問題がある。
また、CODCr(二クロム酸カリウムによる酸素要求量)が2000mg/L以下の低濃度原水を対象とする場合、一般的なUASB処理方法における設計負荷であるCODCr容積負荷10kg/(m・d)で運転しようとすると、有機性排水の通水量が過大となり、UASB反応槽内の上昇線速度LV(Liner Velocity)が3m/hを超過するため、UASB反応槽からグラニュール汚泥が流出し、UASB反応槽内での汚泥量の維持が困難となる。
UASB反応槽内に必要量の汚泥を維持する方策として、グラニュール汚泥をUASB反応槽内に非生物担体とメタン菌グラニュールとを100:5〜100:500の容積比で存在させた状態で有機性排水の通水を開始する立ち上げ運転方法が提案されている(特許文献1)。しかし、メタン菌グラニュールが非生物担体に付着して生物膜を形成するまでに時間がかかるため、非生物担体に生物膜が形成される前にグラニュール汚泥が解体されてメタン菌が流出してしまい、定常運転時に必要な量のメタン菌グラニュールを確保するためには、通水開始時に大量のグラニュール汚泥を全量投入することが必要となる。
反応槽に、担体とメタン菌グラニュールを粉砕させたメタン菌凝集物を投入し、担体1Lあたりのメタン菌凝集物を1〜900gの範囲で存在させた状態で反応槽の立ち上げ運転を行うことが示されている(特許文献2)。しかし、メタン菌グラニュールを粉砕しているため、沈降速度が低下して反応槽から流出しやすくなり、立ち上げ運転中に所望の汚泥量を維持することができず、通水開始時には、流出量を見込んだ多量のメタン菌グラニュールを投入することが必要となる。
特許5685902号公報 特開2014−100680号公報
本発明は、嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、負荷変動に応じた汚泥量の維持管理の必要性を低減できる有機性廃水の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
本発明の実施態様は以下のとおりである。
[1]嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に、有機性廃水を通水して処理する有機性廃水の嫌気性処理方法であって、
種汚泥としてグラニュール汚泥を用い、
有機性廃水の通水開始時には、当該担体のかさ容量1に対して、当該種汚泥のかさ容量を0.03以下の比率とし、
当該嫌気性反応槽のCODCr設計負荷においてS−CODCr除去率が90%に到達するまでに当該種汚泥の追加投入を少なくとも1回行うことを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理方法。
[2]前記有機性廃水は酸発酵処理水であり、
当該酸発酵処理水の通水開始時には、前記嫌気性反応槽内には前記担体を保持させるが、前記種汚泥を投入しない、[1]に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
[3]嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する上向流式嫌気性反応槽と、
当該上向流式嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間中に種汚泥としてのグラニュール汚泥を導入する種汚泥導入管と、
当該種汚泥導入管から当該上向流式嫌気性反応槽への種汚泥の導入を制御する弁と、
を具備することを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理装置。
[4]前記上向流式嫌気性反応槽の前段に設けられている酸発酵槽と、
当該酸発酵槽からの酸発酵処理水を前記上向流式嫌気性反応槽に送る酸発酵処理水導入管と、
をさらに具備することを特徴とする[3]に記載の有機性廃水の嫌気性処理装置。
本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法によれば、通水開始時に種汚泥あたりの有機物負荷を高い状態として、嫌気性微生物がさかんに増殖する環境とすることで担体への生物付着を促進し、種汚泥の流出状況にあわせて適正な量の嫌気性微生物を補充でき、汚泥負荷を制御でき、安定した処理で立ち上げが可能である。また、反応槽内に適切な嫌気性微生物量を保持することで立ち上げ期間の短縮を行うことができる。
また、有機性廃水が酸発酵処理水である場合には、有機性廃水の通水開始時に種汚泥を投入せず、酸発酵処理水中に含まれる細胞外ポリマーを多量に産出する加水分解菌や酸生成菌を担体表面に付着させ、担体表面で水素や有機酸を生成させる状態とした後に種汚泥を投入することで、種汚泥投入後に担体表面で水素や酢酸利用のメタン生成菌の増殖を促進させることが可能となり、立ち上げ期間の短縮を行うことができる。
さらに、本発明の有機性廃水処理方法では、負荷変動時などにグラニュール汚泥が流出することを防止できるため、負荷変動に応じた汚泥量の維持管理の必要性を低減できる。
本発明の有機性廃水処理方法の一形態の概要を例示した説明図である。 嫌気性反応槽としてメタン発酵槽の概略構成の一例を示す説明図である。 嫌気性反応槽としてメタン発酵槽の概略構成の別の一例を示す説明図である。 正常なグラニュール汚泥の模式図である。 担体に付着したグラニュール汚泥の模式図である。 比較例1のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。 比較例2のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。 実施例1のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。 実施例2のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。 実施例3のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。 実施例4のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示すグラフである。
実施形態
図1は、本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法の一形態の概要を例示した説明図である。図1において、原水(有機性廃水)を酸発酵処理槽にて処理した後、メタン発酵槽に導入して嫌気性処理し、得られる処理水を処理水槽に送る。処理水槽からの処理水を酸発酵槽及び/又はメタン発酵槽に戻し、槽内の上向流速の制御に用いてもよい。
メタン発酵槽は、上向流型反応槽に嫌気性微生物を流動性担体表面に保持する嫌気性流動床方式を採用する。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)では、嫌気性反応により発生するバイオガス(メタンガス)が嫌気性反応槽内を上昇して、嫌気性反応槽の上部から外部に排出されて回収される。このとき、微生物を保持している担体も一緒に上昇し、嫌気性反応槽から越流として流出する可能性がある。本発明を実施する装置においては、担体が嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から越流することを防止するために、処理水と担体を分離するスクリーンが越流口に設置されている(図2)。あるいは、嫌気性反応槽外部に越流水貯蔵部を取り付けて、担体を含む越流水を一旦貯蔵し、越流水貯蔵部からの流出部にスクリーンを設けて、担体と処理水とを分離し、担体のみを嫌気性反応槽に返送する構成としてもよい(図3)。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から回収されたバイオガスは、必要に応じて脱硫などのガス精製を行ったのちに、ボイラーなどで利用することができる。
本発明で用いるメタン発酵槽は、立ち上げ運転期間中に種汚泥としてのグラニュール汚泥を導入する種汚泥導入管と、当該種汚泥導入管から当該上向流式嫌気性反応槽への種汚泥の導入を制御する弁と、を具備することを特徴とする。必要に応じて、メタン発酵槽の前段に酸発酵槽を設けてもよい。
本発明は、嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の立ち上げ運転を制御することを特徴とする。通常、有機性廃水の嫌気性処理において、嫌気性反応槽の設計負荷に到達するまでに嫌気性微生物の馴致運転を行うことが必要である。担体への微生物の安定付着及び繁殖には長時間がかかるため、立ち上げ運転時間が90日を越えることもある。本発明では、担体に微生物を付着させるために、グラニュール汚泥を種汚泥として用い、種汚泥の投入量及び投入時を制御する。
本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法は、嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に有機性廃水を通水して処理する嫌気性処理方法であって、種汚泥としてグラニュール汚泥を用い、有機性廃水の通水開始時には、当該担体のかさ容量1に対して、当該種汚泥のかさ容量を0.03以下の比率とし、当該嫌気性反応槽のCODCr設計負荷においてS−CODCr(溶解性CODCr)除去率が90%に到達するまでに種汚泥の追加投入を少なくとも1回行うことを特徴とする。
本発明における嫌気性反応は、30℃〜40℃を至適温度とした中温メタン発酵、50℃〜60℃を至適温度とした高温メタン発酵など、すべての温度範囲の嫌気性処理を制限無く用いることができる。
[種汚泥]
本発明において投入する種汚泥としては、嫌気性微生物を含む汚泥が微生物の自己造粒作用により粒状化して沈降性のグラニュールとなったグラニュール汚泥を好ましく用いることができる。グラニュール汚泥は、UASB(上向流嫌気性汚泥床法)やEGSB(膨脹汚泥床法)において汚泥層として形成される。正常なグラニュール汚泥は、糸状性あるいはロッド状のMethanosaeta属のメタン生成菌が絡み合った構造を有している(図4)。UASB法やEGSB法では、グラニュール汚泥を担体に保持させずに、グラニュール汚泥を流動床として利用する。本発明においては、UASB法やEGSB法にて形成されるグラニュール汚泥を種汚泥として利用し、担体に保持させ、担体表面で微生物を繁殖させる。本発明において用いることができるグラニュール汚泥は、粒径が0.5mm以上4.0mm以下、特に0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。粒径が0.5mm以下だと流出しやすく、4.0mm以上だと内部に気泡を抱えて浮上流出しやすくなる。ただし、グラニュール汚泥のすべてが上記範囲内の粒径である必要はなく、汚泥量の80%以上、好ましくは90%以上が上記範囲内の粒径であればよい。
グラニュール汚泥の追加投入は、図1又は図3に示すメタン発酵槽の下部に設けられている流入水入口に圧送してもよいし、あるいはメタン発酵槽の上部から投入してもよい。
[担体]
担体は、微生物を担持して、担体表面で微生物を繁殖させることができるものであれば特に制限無く用いることができる。
担体の形状は、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよいが、微生物の担持量、繁殖した微生物と有機性廃水との接触効率、嫌気性反応槽内での担体の保持量などを考慮して、特に球状が好ましい(図5)。
担体の寸法は、平均値(球状粒子の場合には中位径d50、他の形状の場合には最大寸法と最小寸法との算術平均値)で0.1mm以上10mm以下が好ましく、特に2mm以上6mm以下が好ましい。
担体は、微生物が付着しやすい細孔を有する多孔質担体であることが好ましく、細孔径は1μm以上100μm以下が好ましく、特に5μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、嫌気性反応槽内に上向流で流動層を展開させるためには、未使用の担体を充填した直径80mmの円筒カラムに清水を上向流で上昇線速度(LV)を1m/h以上20m/h以下で通水した場合の膨張率(投入時担体高さに対する通水時担体高さ)が、105%以上150%以下、特にLV2m/h以上15m/h以下で通水した場合の膨張率110%以上130%以下となる担体が好ましい。
担体の素材は、嫌気性微生物が付着すればどのような素材でも良いが、上述の諸要件を充足することから、特に活性炭、ポリビニルアルコール、エチレングリコールなどが好ましい。
担体は、メタン発酵槽の立ち上げ運転前にメタン発酵槽内に充填しておく。
[嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の運転条件]
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)のLVは1m/h以上20m/h以下、特に2m/h以上10m/h以下が好ましい。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)内を所定のLVに調整するために、嫌気性反応(メタン発酵)処理水の一部を嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の下部に設けられている流入水入口に循環させることができる。循環させる処理水は、嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から流出した担体を随伴する処理水をスクリーンに通過させて担体を分離した後の担体を含まない処理水でもよいし、担体を含む処理水でもよい。担体を含む処理水を循環させる場合には、担体を破壊しないようなスネークポンプやガスリフトによることが好ましい。担体を分離した場合には、担体を嫌気性反応槽(メタン発酵槽)に戻すことが好ましい(図3)。
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の設計負荷(CODCr容積負荷)は原水性状に依存するが、5〜50kg/(m・d)の範囲とすることができる。グラニュール汚泥では内部に気泡を抱えて浮上したり、過大なガス混合によりグラニュール汚泥が解体したりすることがあるため、高負荷処理は困難であるが、本発明ではグラニュール汚泥を種汚泥として担体に担持させて繁殖させることで、より高負荷処理が可能となる。
一般的に、グラニュール汚泥は、メタン生成菌だけではなく酸生成菌などを含み、表面付近の活性が高いが、中心部の活性は低い(図4)。一方、本発明において、種汚泥としてグラニュール汚泥を担体に担持させて繁殖させると、担体表面に活性の高いメタン生成菌が繁殖する(図5)。一般的なグラニュール汚泥のメタン生成活性度は0.4〜0.8kg/(kg−MLVSS・d)とされるが、本発明で用いる担体に担持させた微生物のメタン生成活性度は1.0〜2.0kg/(kg−MLVSS・d)と高い。
メタン発酵槽の負荷条件決定にあたっては、MLVSSを基準とした汚泥量あたりのCODCr負荷(以降「汚泥負荷」と称す。)が、0.4〜0.8kg/(kg−MLVSS・d)となるように調整し、種汚泥となるグラニュール汚泥の投入を行うことが好ましい。
[有機性廃水]
本発明の嫌気性処理方法により処理できる有機性廃水のCODCrは特に限定されるものではなく、500mg/L以上50,000mg/L以下の範囲の有機物濃度が低濃度乃至高濃度の有機性廃水に適用することができる。有機物濃度が高濃度の有機性廃水の場合には、原水成分の阻害を緩和するために適宜希釈することが好ましい。
本発明の嫌気性処理方法は、グラニュール汚泥を維持できない組成の有機性廃水の処理に特に有用である。例えば、グラニュール汚泥の強度が低下してグラニュール汚泥を維持できないエタノール、メタノール、酢酸などの炭素数5以下の低分子有機物を含む有機性廃水や、グラニュール汚泥を解体させてしまう配管洗浄剤、キレート剤、殺菌剤などを含む飲料工場などからの有機性廃水などの処理に効果的である。
図1には、有機性廃水は、酸発酵槽にて酸発酵処理した後、メタン発酵槽に流入する処理フローを示すが、酸発酵処理は必須ではない。すでに酸発酵が十分進行している有機性廃水や、酸発酵処理を行わずにメタン発酵槽のみで処理可能な有機性廃水の場合には酸発酵槽を用いる必要はない。具体的には、例えば、有機性廃水CODCrに対する炭素数6以下の有機酸のCODCr換算値の合計が40%以上を占める有機性廃水や、メタノールやホルムアルデヒドなど炭素数1の低分子有機物が有機性廃水CODCrの70%以上を占める有機性廃水の場合には、酸発酵処理は不要である。酸発酵処理を行う場合には、酸発酵槽では酸生成菌に適したpHである5.5以上となるようにアルカリ剤でpH調整を行う。メタン発酵処理水を酸発酵槽に循環することで、メタン発酵処理水に含まれるアルカリ成分によってアルカリ剤添加量を削減することもできる。酸発酵槽の滞留時間は、有機性廃水中に含まれる成分によって2時間以上48時間以下の範囲で適宜決定することができるが、分解しやすい糖質成分を含む場合は2時間以上6時間以下とすることが多い。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
比較例および実施例では、CODCrを約3,000mg/Lに調整した清涼飲料工場排水である有機性廃水(原水)を、滞留時間6時間、水温36℃、pH6.5となるようにアルカリ剤として水酸化ナトリウムを添加して酸発酵処理した後、容量10Lの上向流型嫌気性反応槽(メタン発酵槽)を用いて嫌気性処理を行った。メタン発酵槽上部の処理水流出部には、幅2.0mmのスクリーンを設けて担体がメタン発酵槽から流出しないようにした。メタン発酵処理水の一部をメタン発酵槽下部の流入部に循環させ、メタン発酵槽のLVを5.0m/hに調整した。
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)には、担体として、平均粒径4.0mm、未使用の清水試験におけるLV5m/hの膨張率140%のポリビニルアルコールのゲル状粒子を投入した。種汚泥として、径0.5mm〜2.0mmが全体の92%を占める、UASBから採取したグラニュール汚泥を使用した。
メタン発酵槽の設計負荷は、20kg/(m・d)とした。
比較例及び実施例におけるメタン発酵槽内のグラニュール汚泥の残存量は、メタン発酵槽への投入量と、メタン発酵槽からの流出量の差として求めた。グラニュール汚泥の残存量が十分であれば、担体への微生物が付着しやすく、残存量は不足すると微生物付着が遅くなる。
処理性能の評価にあたっては、流出した汚泥の影響を除くため、1μmろ液の溶解性CODCr(S−CODCr)を採用した。
[比較例1]
メタン発酵槽にグラニュール汚泥4.0L及び担体4.0Lを一度に投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は1.0である。
CODCr容積負荷の設定負荷を5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)及び20kg/(m・d)の5段階で段階的に上げて、各段階の運転期間を7日間とする立ち上げ運転を行った。各設定負荷の最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表1に示す。
CODCr容積負荷(設定値)が10kg/(m・d)以上になると、メタン発酵槽からグラニュール汚泥が流出するとともに、S−CODCr除去率が低下した。運転開始後22日目及び29日目に、グラニュール汚泥を各2.0Lずつ追加投入したが、投入後3日程度で流出してしまい、運転開始後35日目で測定した時点でグラニュール汚泥の残存率は0%であり、S−CODCr除去率の向上も認められなかった。そのまま運転を継続するとS−CODCr除去率は57日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は57日間となった。
[比較例2]
メタン発酵槽に担体4.0Lを投入したが種汚泥を投入しない状態で、酸発酵処理を行わない原水の通水を開始した。原水を10日間通水した後、グラニュール汚泥4.0Lを投入した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は0である。
CODCr容積負荷の設定負荷を5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)、20kg/(m・d)の5階で段階的に上げて、各段階の運転期間を4日間とする立ち上げ運転を行った。各設定負荷最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表2に示す。
運転開始後15日目以降に、メタン発酵槽内のグラニュール汚泥が急激に減少し、運転開始後26日目にS−CODCr除去率は約52%に低下した。そのまま運転を継続するとS−CODCr除去率は62日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は62日間となった。
[実施例1]
メタン発酵槽にグラニュール汚泥0.1L及び担体4.0Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は0.025である。
CODCr容積負荷の設定負荷を0.3kg/(m・d)、5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)及び20kg/(m・d)の6段階で段階的に上げて、各段階の運転期間を7日間とする立ち上げ運転を行った。運転開始後14日目及び21日目に、種汚泥としてグラニュール汚泥1.9L及び2.0Lをそれぞれ追加投入した。各設定負荷の最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表3に示す。
運転開始後28日目以降に、メタン発酵槽内のグラニュール汚泥が急激に減少し、S−CODCr除去率は運転開始後36日目に80%まで低下したものの、運転開始後39日目以降は約90%で安定していた。結果として、立ち上げ運転期間は39日間となった。
[実施例2]
メタン発酵槽にグラニュール汚泥0.1L及び担体4.0Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は0.025である。
CODCr容積負荷の設定負荷を0.3kg/(m・d)、5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)及び20kg/(m・d)の6段階で段階的に上げて、各段階の運転期間を7日間とする立ち上げ運転を行った。運転開始後7日目、21日目及び28日目に、種汚泥としてグラニュール汚泥1.9L、0.5L及び0.5Lをそれぞれ追加投入した。各設定負荷の最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表4に示す。
運転開始後29日目及び36日目に負荷を上げた後の3〜4日間は、S−CODCr除去率が一時的に約80%まで低下したものの、運転開始後39日目以降は約90%で安定していた。結果として、立ち上げ運転期間は39日間となった。
[実施例3]
メタン発酵槽に担体4.0Lを投入したが種汚泥を投入しない状態で、酸発酵処理水の通水を開始した。酸発酵処理水を10日間通水した後、グラニュール汚泥4.0Lを投入した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は0である。
CODCr容積負荷の設定負荷を0.3kg/(m・d)、5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)、20kg/(m・d)の6段階で段階的に上げて、各段階の運転期間を4日間とする立ち上げ運転を行った。各設定負荷最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表5に示す。
運転開始後22日目以降に、メタン発酵槽内のグラニュール汚泥が急激に減少し、運転開始後27日目にS−CODCr除去率は約62%に低下したものの、運転開始後36日目以降はS−CODCr除去率は約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は36日間となった。
[実施例4]
メタン発酵槽に担体4.0Lを投入したが種汚泥を投入しない状態で、酸発酵処理水の通水を開始した。酸発酵処理水を10日間通水した後、グラニュール汚泥2.0Lを投入し、運転開始後22日目にグラニュール汚泥2.0Lを投入した。この場合、有機性廃水の通水開始時の担体のかさ容量に対する種汚泥のかさ容量の比率(Rgc)は0である。
CODCr容積負荷の設定負荷を0.3kg/(m・d)、5kg/(m・d)、7.5kg/(m・d)、10kg/(m・d)、15kg/(m・d)、20kg/(m・d)の6段階で段階的に上げて、各段階の運転期間を4日間とする立ち上げ運転を行った。各設定負荷最終日におけるS−CODCr除去率と、処理水へのグラニュール汚泥流出量に基づくグラニュール汚泥残存率を求めた。結果を表6に示す。
運転開始後22日目以降にメタン発酵槽内のグラニュール汚泥が急激に減少し、S−CODCr除去率は運転開始後27日目に約62%まで低下したものの、運転開始後35日目以降は約90%で安定していた。結果として、立ち上げ運転期間は35日間となった。
図6には、比較例1のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示し、図7には比較例2のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示し、図8には実施例1のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示し、図9には実施例2のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示し、図10には実施例3のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示し、図11には実施例4のCODCr容積負荷(上段)とS−CODCr除去率(下段)の経日変化を示す。
比較例1〜2及び実施例1〜4の結果をまとめて表7に示す。

Claims (4)

  1. 嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に、有機性廃水を通水して処理する有機性廃水の嫌気性処理方法であって、
    種汚泥としてグラニュール汚泥を用い、
    有機性廃水の通水開始時には、当該担体のかさ容量1に対して、当該種汚泥のかさ容量を0.03以下の比率とし、
    当該嫌気性反応槽のCODCr設計負荷においてS−CODCr除去率が90%に到達するまでに当該種汚泥の追加投入を少なくとも1回行うことを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理方法。
  2. 前記有機性廃水は酸発酵処理水であり、
    当該酸発酵処理水の通水開始時には、前記嫌気性反応槽内には前記担体を保持させるが、前記種汚泥を投入しない、請求項1に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
  3. 嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する上向流式嫌気性反応槽と、
    当該上向流式嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間中に種汚泥としてのグラニュール汚泥を導入する種汚泥導入管と、
    当該種汚泥導入管から当該上向流式嫌気性反応槽への種汚泥の導入を制御する弁と、
    を具備することを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理装置。
  4. 前記上向流式嫌気性反応槽の前段に設けられている酸発酵槽と、
    当該酸発酵槽からの酸発酵処理水を前記上向流式嫌気性反応槽に送る酸発酵処理水導入管と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の有機性廃水の嫌気性処理装置。
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