JP6611967B2 - 発熱金属系の熱化学処理 - Google Patents

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Description

本発明は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Al、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、およびMo、および/またはPb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reのうち、1つ以上に基づく合金および化合物の調製方法に関する。
遷移金属の合金系の金属粉末と遷移金属の化合物系の金属粉末とは、多種多様な産業用途に使用され得る。金属粉末は、しばしば、必要な合金構成要素の鋳塊の溶融、次いで、蒸発または霧化を伴う多段階溶融プロセスを通じて生成される。その溶融経路は、これらの合金が反応性添加物を含む場合、多くの組成物を生成するのは、非常に困難である。粉末生成物全体で正確かつ均一な組成である必要性も存在し、構成する元素が幅広く異なる物理特性を有する場合、これを達成することは困難になり得る。
ある種の純金属粉末はカルボニル経路を用いて生成され、金属構成要素は気体状カルボニルに変換され、次いで、気体状カルボニルは関連する金属への分解に適した条件下で加熱され、生成物は通常、粉末状である。この経路は、Niなどのいくつかの材料の生成のために産業規模で使用されるが、一般的に、大部分の合金には適さない。
合金の生成のための現行の間接的な溶融経路に関連する問題を回避し、低コストで高品質な粉末の生成を可能にするために、新規な技術が必要とされる。同様に、構成要素の元素が化学的に適合しない、現行の溶融経路を用いては得ることができない化合物の形成を可能にする新規なプロセスが必要とされる。
本開示は、遷移金属、金属合金、または金属化合物粉末を低コストで生成するための方法と、装置と、を記載することを目的とする。
本明細書において、矛盾する意図が示されない限り、
・「ベース金属」という用語は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、Pb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reといった元素のうち、任意の1つ以上を表す。
・「ベース金属合金」という用語は、ベース金属を10重量%より高い合計濃度で含み、特に、25重量%より高い合計濃度で含み、より好ましくは、50重量%より高い合計濃度で含む、ベース金属に基づく合金または化合物を表す。
・「合金添加物」という用語は、O系、N系、S系、P系、C系、B系、Si系、Mn系、Ti系、Zr系、Hf系である任意の1つ以上の元素または化合物を表す。金属添加物は、好ましくは、10重量%未満のレベルの個々の濃度で、好ましくは、50重量%未満のレベルの全ての添加物の合計濃度で、存在してもよい。しかしながら、Alは90重量%までのより高い濃度で存在してもよく、CとBとSiとは25重量%より高い濃度まで存在してもよい。
・Al還元剤という用語は、ベース金属ハロゲン化物反応物を還元するために用いられる粉末状の純AlまたはAl合金を表す。
・「制御粉末」または「制御剤」という用語は、還元反応のエネルギー/速度反応挙動を制御するか、または変えるために、反応物に添加される粉末を表す。制御粉末は、ハロゲン化物とAl還元剤との反応性よりも低い、ベース金属ハロゲン化物またはAl還元剤との反応性を有する固体粉末である。「制御粉末」または「制御剤」は、純金属系、または、合金、金属間化合物、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、酸化物、窒化物などの金属系の化合物から作製されてもよい。
・「ベース金属ハロゲン化物」という用語は、例えば、塩化物などの出発ベース金属ハロゲン化物を表し、「ベース金属亜塩化物」という用語は、出発ハロゲン化物よりも低い価数を有するハロゲン化物を表す。
・「AlCl」、「塩化アルミニウム(aluminium chloride)」および「塩化アルミニウム(aluminium chlorides)」という用語は、気相と固相との両方のAlClとAlClとを含む、全てのAl−Cl化合物を記載するために表す。「ハロゲン化アルミニウム」は、類似した意味を有する。
・「微粒子状で」という用語は、少なくとも1つの次元での寸法において、500ミクロン未満の平均粒径を有し、好ましくは、50ミクロン未満の平均粒径を有し、より好ましくは、15ミクロン未満の平均粒径を有する粉末を表す。
本発明が関連するベース金属について、Alを用いたベース金属塩化物の還元は、非常に発熱性であり、反応物の過剰な温度上昇を伴う熱暴走を引き起こす(lead to)場合がある。本発明は、ベース金属塩化物とAlとの間の発熱反応を制御するための方法を提供し、Zn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb系、Cu系、Pt系、W系、Pd系、Mo系の固体金属塩化物をそのベース金属または合金へと還元するために、この方法を使用する。
一形態では、このプロセスは、ベース金属ハロゲン化物粉末と制御粉末とを接触させ、混合物とAl還元剤とを接触させることにより、発熱反応に起因する熱暴走の影響を克服する。制御粉末を含むことは、発熱反応の速度を抑え、熱質量を追加し、任意で、ベース金属ハロゲン化物を中間体として部分的に還元するための還元剤として作用する。以下、本願発明者は、プロセスを示し、様々な処理工程を説明するために、ベース金属塩化物について言及する。しかしながら、他のハロゲン化物の使用は本発明の範囲内であり、塩化物の例を使用することはそれに限定することを意図しない。
ベース金属塩化物とAlとの間の反応は、2工程に分けられてもよい。ベース金属塩化物は、Zn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb系、Cu系、Pt系、W系、Pd系、Mo系の制御粉末と混合され、反応させられ、次いで、結果として生じる中間体生成物は、Al捕捉剤と反応させられる。この2つの反応工程は、
・(i)ベース金属塩化物と反応させ、(ii)反応速度を抑え、(iii)発熱による熱放出の度合いを減らし、(iv)反応により発生する熱を吸収するために、制御粉末を提供する工程と、任意で、
・固体反応物と徐々に混合させ、反応させることにより、反応速度を制御するための外部追加手段を提供する工程と、任意で、
・反応により発生する熱を除去するために、外部有効エネルギー管理を提供する工程と、
を含む、
制御メカニズムの組み合わせを提供する間に行われる。
還元プロセスは、
・660℃未満、しかし、ほとんどの場合500℃未満の温度で、制御粉末とAl捕捉剤とを用いたベース金属塩化物の制御された還元を行うための還元段階と、
・粉体生成物を精製し、求められる場合または必要な場合には、凝集を誘発するための塩化物の昇華/蒸発点より高い温度での精製段階と、
の2段階に分けられてもよい。
このプロセスは、完全バッチモード、半バッチモード、または完全連続モードで操作されてもよい。
本発明は、いくつかの態様を含む。
第1態様では、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、Pb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reのうち、1つ以上の金属ハロゲン化物と、Al還元剤と、の制御された発熱還元のための方法が提供される。同方法は、
・粉末状の金属生成物または金属合金生成物と、塩化アルミニウムを含む副生成物と、を形成するために、同1つ以上の金属ハロゲン化物と、制御粉末と、Al還元剤と、を全て微粒子状の態様で、25℃から最大温度Tmaxまでの温度で接触させる工程と、
・金属合金粉末生成物から副生成物を分離させる工程と、
を含み、
・制御粉末は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、またはこれらの合金、または化合物のうち、1つ以上を含み、還元反応からの発熱による熱放出を制御し、それにより、反応温度をTmax未満に保つように作用する。
・Tmaxは、400℃から1100℃までであり、ベース金属または金属合金生成物の融点未満である。
制御粉末は、この方法の最終的な完全に還元された生成物、またはこの方法の部分的に還元された生成物である中間体、または最終生成物とは異なるが、必要な最終生成物の必要な組成と適合する他のベース金属のうち、1つ以上から選択される粉末でもよい。好ましい実施形態では、制御粉末は塩化アルミニウムも含んでもよく、塩化アルミニウムの昇華は発熱化学反応が行われる反応ゾーンから熱を除去する冷却剤として作用する。
第2態様では、Al系、Zn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb系、Cu系、Pt系、W系、Pd系、およびMo系、および/またはPb系、Sb系、Bi系、In系、Cd系、Ga系、Rh系、Ir系、Ru系、Os系、Re系の無機粉末を生成するための2段階方法が提供される。同方法において、
・第1還元段階(本明細書では以下、還元段階と表される)では、ベース金属塩化物と、制御粉末と、Al合金粉末とは、25℃から700℃まで、好ましくは、160℃から660℃まで、より好ましくは、200℃から600℃までの温度の第1反応ゾーンに徐々に導入され、混合物は、660℃未満、好ましくは、600℃未満の中程度の温度に反応物を維持するために、反応物供給速度を制御しつつ、徐々に反応させられる。制御粉末は、結果として生じるベース金属生成物でもよい。供給速度と、混合と、ベース金属塩化物に対する制御粉末の比率とは、発熱エネルギー放出に起因する温度上昇を制限し、反応により発生する熱と、外部冷却による熱の除去と、の平衡を維持するために使用され得る制御メカニズムである。還元段階の終了時に、固体ベース金属粉末生成物が結果的に形成され、固体ベース金属粉末生成物は、残留ベース金属塩化物と残留Al還元剤とを含んでもよい。
・第2精製段階(本明細書では以下、精製段階と表される)では、還元段階からの生成物は、第2反応ゾーンに移送され、ベース金属塩化物の昇華/蒸発温度より高い温度まで、好ましくは、ベース金属合金生成物の融点より低い温度まで加熱される。精製段階は、粉末生成物を精製し、固体粉末生成物と気体状副生成物との形成を引き起こす反応を完結させることに役立つ。
第3態様では、触媒および構造材料を生成する方法が提供される。同方法において、この生成物は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Al、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、およびMo、および/またはPb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reといった1つ以上のベース金属系金属、合金、または化合物であり、さらに、合金添加物を含む。この態様の方法によれば、ベース金属またはベース金属合金は、第1態様と第2態様との方法に従って生成され、この方法は、その組成および/または形態の変化を誘発するために、結果として生じるベース金属合金粉末を後処理する追加の工程を含んでもよい。追加の工程を行うための手段は、アルカリ性溶液または酸性溶液にAlを溶解する工程と、ベース金属粉末と、酸素、水素、ナトリウムおよび/または硫黄などの反応性元素と、を反応させる工程と、を含んでもよい。制御粉末は、この方法の最終生成物または中間体生成物でもよく、または最終生成物とは異なる粉末でもよく、出発化学物質と共に添加されてもよい。
第4態様では、多成分合金粉末と複合物とを生成するための方法が提供される。同方法において、制御粉末は、Alを用いた出発ベース金属塩化物の還元を通じて生成される元素組成物とは実質的に異なる組成を有し、最終生成物は、かなりの量の未反応の制御粉末を含み、制御粉末は、660℃より高い融点を有する粉末状でもよい。制御粉末形態は、生成物構成要素の一成分を形成する。
熱は、発熱エネルギー放出に起因する温度上昇を管理可能なレベルに制限するために、反応物から除去されてもよい。
本発明の第5態様では、Al系、Zn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb Cu系、Pt系、W系、Pd系、およびMo系、および/またはPb系、Sb系、Bi系、In系、Cd系、Ga系、Rh系、Ir系、Ru系、Os系、Re系のベース金属またはベース金属合金粉末を生成するためのモジュール装置が提供される。この装置は、
・不活性雰囲気下で固体反応物を保持するための保存容器と、
・粉末供給付属部と、
・粉末ミキサと、
・700℃までの温度で金属粉末および金属塩化物と共に操作することが可能な第1反応容器であって、この容器は、還元性化学物質と、制御粉末と、Al還元剤と、を含む別個の材料の流れを移送し、混合し、撹拌し、反応させるために配置される手段を含み、この反応容器は、還元性化学物質と、制御粉末と、アルミニウムと、の混合物が反応し、ベース金属系の中間体生成物を引き起こすために十分な第1温度まで加熱される反応物のための使用時に配置され、この容器は、反応容器からの化学物質と、必要な場合には、塩化アルミニウムと、の凝縮の原因となる、より低い温度の区間を含み、第1反応容器は、制御粉末として使用するために中間体生成物の少なくとも一部を再利用すると共に、反応物を反応容器の中および外に移動するための装置を備える、第1反応容器と、
・1100℃までの温度で加熱されることが可能な第2高温反応容器であって、中間体粉末生成物がさらに反応し、ベース金属系の固体粉末生成物を形成するために十分な第2温度まで加熱される第1反応容器からの反応物のための使用時に配置される、第2高温反応容器と、
・副生成物回収容器と、
・生成物回収容器と、
を備えてもよい。
典型的には、装置は、必要な操作および生成物の特徴の制限の範囲内に反応物の温度を制御するための加熱/冷却装置を備える。開口部は、不活性ガスおよび反応性ガスの導入のために設けられてもよい。
好ましくは、本発明の第5態様の装置は、本明細書に記載される本発明のいずれの態様の方法を実施することに適している。
本発明の一形態は、ベース金属塩化物とAlとの間の発熱反応を制御するための新規な方法と、低コスト化学物質から出発してベース金属または合金粉末を直接的に生成するためにこの方法を実施するプロセスと、を提供する。本発明は、例えば分離などの、溶融/霧化経路に通常関連する問題を克服し、溶融経路を介しては可能になり得ない品質の合金の生成を可能にする。本発明は、ベース金属Mに関し、ベース金属を引き起こす、Alと、M系およびCl系(MCl)の任意の安定な塩化物との全ての反応は、必要なベース金属合金の処理条件に対応する25℃から1000℃までの全ての処理温度で発熱性である。
最も好ましい実施形態では、この方法は、ベース金属または合金を生成するために、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moのベース金属塩化物を還元するための手順を提供する。同方法は、Alを塩素捕捉剤として使用し、Alと還元性ベース金属塩化物との間の極端な反応性に起因する困難を克服するための安全かつ有効な手段を提供する。同方法は、合金元素系とAl系の添加物とを含むことを可能にする。以下に記載される実施形態は、同方法を実施し、還元反応により放出されるエネルギーに起因する熱の影響を制御するための手順と規則とを論じる。
本発明の方法は、固体ベース金属塩化物と制御粉末とを発熱反応させ、Alを含む化合物を還元することにより、バッチモード、半連続モード、または連続モードで操作されてもよい。好ましくは、反応工程は、先ず、ベース金属塩化物を制御粉末と反応させ、次いで、結果として生じる混合物をAlと反応させることにより行われる。同方法は、反応物間の発熱還元により発生する熱の有効な管理を達成するように設計されたスキームにおいて、制御粉末を含む反応ゾーンに連続して供給される還元性ベース金属塩化物とAl還元剤との別の流れを提供する。
好ましい一実施形態では、この方法は、粉末状の生成物と、気体状塩化アルミニウムを含む副生成物と、を形成するために、少なくとも1つの還元性固体ベース金属塩化物を含む還元性前駆体化学物質の第1流と、制御粉末を含む第2流と、微細な固体粒子状でAl還元剤を含む第3流と、をTからTmaxまでの温度で混合し、反応させる工程を含む。Tは好ましくは、Al還元剤の融点未満であり、Tmaxは400℃から1100℃までである。還元性塩化物とAl還元剤との間の反応は、発熱性であり、同方法は、反応速度を制御し、反応物の温度を1100℃未満、より好ましくは、1000℃未満、さらにより好ましくは、900℃未満に制限する手段を含む。還元性混合物は、周期表からの金属元素、半金属元素、または非金属元素を含む合金添加物のための前駆体化学物質を含んでもよい。
maxは、ベース金属生成物の物理的特徴に依存し、一般的に、その融点により制限される。Tmaxは、400℃から1100℃までであり、好ましくは、出発ベース金属塩化物の昇華/蒸発温度より高いが、好ましくは、ベース金属または合金生成物の融点より低い。
一実施形態では、Tmaxは、1100℃未満である。第2実施形態では、Tmaxは、1000℃未満である。第3実施形態では、Tmaxは、900℃未満である。第4実施形態では、Tmaxは、800℃未満である。第5実施形態では、Tmaxは、700℃未満である。第6実施形態では、Tmaxは、600℃未満である。
Al還元剤の出発時の量は、出発還元性化学物質の量と、最終生成物中のAlの必要な濃度と、に依存する。還元性化学物質に対する出発材料中のAlの量は、好ましくは、全ての還元性前駆体化学物質がその元素ベース金属状態に還元されるために必要な量の80%から5000%までの値に対応する。ベース金属合金生成物中のAlの量は、0.0001重量(wt)%から90重量%までの範囲である。
制御粉末の選択は、合金粉末生成物の必要な特徴に依存する。一般的な合金と化合物との場合、制御粉末は、この反応の前処理された生成物または半処理された生成物でもよく、好ましくは、Al合金と反応する前に出発固体還元性前駆体と混合され、反応させられる。また、制御粉末は、必要なベース金属または合金生成物の1つの構成要素でもよい。
好ましくは、制御粉末中のベース金属種は、出発反応物の75重量%未満、好ましくは、50重量%未満のCl含有量を有する。複合物生成物または多成分生成物の生成のために、制御粉末は、生成物構成要素の1つでもよく、処理されるベース金属種と異なってもよい。
制御粉末に対する出発固体ベース金属塩化物との相対的な量は、ベース金属塩化物とAlとの間の反応のGibbs(ギブス)自由エネルギーと、反応物および制御粉末の熱特性と、を含む因子の組み合わせに依存し、典型的には、重量基準で0.03:1から50:1または0.03:1から100:1の範囲であり、いくつかの高発熱反応では、この比率は、35重量部の制御粉末に対して1重量部の塩化物でもよい。
本アプローチは、他の方法では商業的な量で生成することができなかった他の組成物に加え、多種多様に存在する一般的な合金と組成物との低コストでの生成を可能にする。従来の関連技術と比較して、好ましい形態での本アプローチの利点は、反応メカニズムに対する有効な制御を達成し、出発前駆体材料を還元する反応収率を最大化する能力である。
本アプローチの好ましい形態の特徴は、以下を含む。
1− 還元性ベース金属塩化物とAlとの間の発熱還元反応は、制御された条件下で安全に行われる。
2− 制御粉末は、中間体還元剤として作用し、反応速度を制御することを可能にする。このことは、ベース金属塩化物と制御粉末との間の反応が、発熱エネルギー放出を抑えるために主要な役割を果たす、多成分系と多価ベース金属塩化物とでは特に重要である。
3− ベース金属塩化物の還元の大部分は、600℃未満、しばしば、500℃未満の温度で、還元段階で行われる。本発明の方法の態様では、出発ベース金属塩化物中の少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも60重量%、より好ましくは、少なくとも75重量%の塩素が、還元段階で除去される。
4− この方法は、生成する中間体化合物には依存せず、大部分のベース金属の場合、還元反応が元素種を直接的に引き起こす。
5− 制御粉末は、ヒートシンクとして作用し、出発化学物質間の反応速度を抑え、そのため、発熱エネルギー発生の度合いを減らす。
6− 還元性塩化物と還元性Alとの大部分の反応は、500℃未満の温度で起こり、その際アルミナイドの形成は、起こりにくく、遅く、そのため、還元性Alがさらなる反応のために活性であることを維持することを可能にする。
7− この反応により生成される副生成物の熱い気体は、反応物の顕著な混合の原因となり、反応物間の接触表面の再生と、反応収率の向上と、に役立つ。このことは、反応生成物が反応物の周囲に層を形成するとき、通常は、拡散制御速度から結果として生じる、固体−固体反応での制限を克服することに役立つ。
8− 発熱反応は、合金添加物または合金添加物前駆体を他のベース金属種またはAlと反応させることを伴う反応を含んでもよく、このような発熱反応は、本方法の一部として本明細書に記載される手順と実施形態とを通じて管理され得る。
9− 同方法は、ベース金属を引き起こす純アルミニウムとの単純な化学量論量の還元反応に基づく例を用い、以下の記載で説明される。
ベース金属塩化物とAlとの全体的な反応は、以下の通りである
Cl+x/3 Al=M+x/3 AlCl(g)+ΔG, ΔG<0 (R1)
はベース金属であり、MClは対応する還元性ベース金属塩化物であり、AlCl(g)は気体状塩化アルミニウムであり、ΔGは反応(R1)のためのGibbs自由エネルギーである。Mは、Taなどの純元素、Ni−Cuなどの固溶体、NiAlなどの化合物、または金属マトリックス複合物などの多成分系の形態でもよい。
金属塩化物(および、より一般的には、ハロゲン化物および酸化物)を還元するAlの能力は十分に知られており、酸化物とハロゲン化物とのアルミノテルミット還元は、100年以上前から知られている。Alは、万能な反応物であることが知られており、金属ハロゲン化物を還元するAlの能力は、通常、大学の教科書および基本的な化学論文中に一般的に見出される、単置換反応の一例として引用される(例えば、「Aluminium Alloys − New Trends in Fabrication and Applications」,Ed.Z Ahmad,InTech,2012,DOI:10.5772/52026、およびJena and Brocchi、Min. Proc. Ext. Met. Review vol 16,pp.211−37 1996を参照)。多種多様な金属塩化物をAlと還元することにより、金属合金を生成する初期の試みの例は、米国特許第3252823号と米国特許第5460642号とに見出され得る。Alが関与する他の関連文献も、金属塩化物の還元と金属合金の生成とに関連する多くの初期の開示内に見出され得る(例えば、米国特許第1373038号、米国特許第2791499号、米国特許第2986462号、米国特許第3801307号、米国特許第460462号、米国特許第4191557号)。
遷移金属化合物のアルミノテルミット還元は、前世紀の初期から活発な研究開発分野であった。遷移金属塩化物のアルミノテルミット還元の主な困難は、(i)他の金属と容易に合金化するAlの傾向と、(ii)しばしば、任意のアルミナイド相の形成を伴う制御不可能な処理を引き起こす、大部分の遷移金属塩化物とAlとの発熱反応と、の2つの因子に起因する。これらの困難の解決は金属上の個々の化学的性質に依存し、金属塩化物のアルミノテルミット還元の観点から、遷移金属は3つのカテゴリに分類され得る。
カテゴリ1:金属塩化物とAlとの間の反応が発熱性ではない系(すなわち、Sc、Y、Hf)。このカテゴリでは、金属塩化物のアルミノテルミット還元は、国際公開第2014138813号においてScについて開示されているように、平衡を右にシフトすることによってのみ進行し得て、この反応は、平衡からはずれ、金属Sc化合物を生成する反応を行わせるために、減圧下で行われた。同カテゴリでは、最終生成物は、通常、金属アルミナイドである。
カテゴリ2:塩化物が多価であり、反応が部分的にのみ発熱性であり、問題の大部分が、金属とAlとの過剰な親和性に起因するものである系、すなわち、Ti、Zr、Mn。同カテゴリでは、Ti−Cl−Al、Zr−Cl−Al、Mn−Cl−Alといった系の化学は、金属を引き起こす反応が部分的にのみ発熱性である一方、アルミナイドを引き起こす反応が発熱性であるため、全ての他の遷移金属とは異なる。
MnとZrとの場合、Al還元経路は、文献では、大きな関心はもたれていない。対照的に、塩化チタンのアルミノテルミット還元を通じて、TiとTi合金とを生成しようとする広範囲にわたる試みが存在している。Tiの場合、TiClとTiClとを引き起こすTiClのAlとの反応は発熱性であるが、亜塩化チタンのAlとのさらなる反応は550℃未満では吸熱性である。しかしながら、アルミナイドを引き起こすTiClとAlとの間の全ての反応は、発熱性であり、TiとAlの親和性に関しては、アルミナイドの形成が亜塩化チタンの還元よりも熱力学的に起こりやすい。TiCl→TiClの発熱エネルギー放出とTi−Alの親和性との組み合わせは、TiClをTi系金属種へ直接的に還元することが制御不可能な組成と相とを有する生成物を結果として生じることを意味した。Ti−Al親和性の問題から発熱性の問題を切り離すために、反応が2段階に分けられる様々な開示(例えば、米国特許第2745735号、米国特許第8562712号、米国特許第8632724号、米国特許第8821612号、米国特許第8834601号)が存在する。第1段階では、TiClがTiCl(2,3)に還元され、次いで、第2段階では、Tiを生成するために、結果として生じるTiCl(2,3)がAlと吸熱反応させられる。このアプローチは、TiClから亜塩化物への反応の最初の半分を行うためのいくつかの有効な方法が存在するため、TiとAlとの親和性に対する全体的な問題を減らす(例えば、米国特許第3010787号、米国特許第3172865号およびその中の参考文献)。
Al還元経路を通じたTiとTi合金との生成に関するほとんどの開示では、反応条件は、チタンアルミナイドの形成を制御する/最小限にするために、平衡を変えるように整えられた。
一般的に、カテゴリ1,2における金属と合金との生成のためのアルミノテルミットプロセスは、発熱反応を伴う他の金属系には不適切である。
カテゴリ3:この第3カテゴリは、塩化物とAlとの間の全ての反応が発熱性である、遷移金属の残りを含む。ここで、金属塩化物とAlとの間の反応は、通常、発熱による熱放出から結果として生じる反応速度に対する制御消失に起因して、制御不可能な相を引き起こす。
Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、Rh、Ir、Ru、Os、Pb、Sb、Bi、Cd、Ga、Reから成るこの第3カテゴリでは、発熱の影響によるAl微粒子の溶融に起因するアルミナイドの形成は、アルミナイドを引き起こす通常の合金活性よりも支配的である。本願発明者は、発熱エネルギー放出に関連する熱の影響が避けられる場合、最終生成物中のAlの保持が最低限になり得ることを発見している。カテゴリ3における遷移金属の塩化物と、Alと、の間の発熱反応は、顕著な量の気体状副生成物の放射と共に、過剰な熱を発生し得る。そのため、これらは、有害になり得る。例えば、ΔG=−264kJ/mole(200℃)であるFeCl+Al→Fe+AlClの反応は、非常に迅速であり、結果として生じる生成物の温度を2000℃よりも高くし得て、この還元経路が、実行可能な生成コストで適切な材料特性を有するFe系合金粉末の生成には適さなくなる。このような反応を制御することは困難であり、本発明の主な目的は、制御可能でかつ安全な様式で高品質合金粉末の形成を効果的に引き起こす還元反応を有効に行う手順を記載することである。本発明の別の主目的は、ベース金属塩化物とAlとの置換反応を高度に局在化したレベルで制御するための方法を提供することであり、これにより、反応物全体にわたる温度上昇が避けられ、および/または、最小化される。
本開示は、この第3カテゴリを取り扱い、Alと、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、Rh、Ir、Ru、およびOs、および/またはPb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reを含む遷移金属の塩化物と、の間の反応を制御し、同カテゴリにおける金属系の合金と化合物との高品質粉末の生成を可能にするための方法を提供する。本願発明者らの知識によれば、ここに記載される種類の合金粉末を生成する従来技術は、存在しない。
本発明は、ベース金属Mに関し、元素ベース金属を引き起こす、Alと、M系およびCl系の安定な塩化物(MCl1−n)と、の間の全ての反応は、以下のいずれの実施形態によれば、必要なベース金属合金の処理条件に対応する25℃から1000℃までの全ての処理温度で発熱性である。MbCl1−nは、処理中に形成し得る全ての安定な塩化物種を表す。本明細書で以下、この条件は、発熱性基準と表され、本開示の内容の範囲内で定義されるとおりであり、この基準を満たすベース金属のみが含まれる。本願発明者は、この発熱性基準を満たさない材料の使用は、最終生成物中の過剰な量のAlの保持を促進し、ベース金属アルミナイドの形成を促進する傾向があることを発見している。また、この発熱性基準を満たさない金属は、ベース金属塩化物に対する還元剤として作用する傾向があり、結果として最終生成物に高レベルの未反応の塩化物が残る。例えば、ジルコニウムが使用される場合、最終生成物は、残留塩化や残留亜塩化ジルコニウムと共に、高レベルのAlを含有するであろう。
合金生成物の直接的な生成のためにハロゲン化物(例えば塩化物)の混合物を還元しようとする従来の試みでは、この手法は、普及しており、公開文献と特許文献との両方に複数の開示がなされている。例は、文献の中に見出すことができる。例えば、DeKock and Huffman、Met. Trans. B、volume 18B(1987) 511;Cost affordable titanium IV、Imam、Froes and Dring、Trans Tech Publications 2010、米国特許第4902341号、米国特許第4830665号、米国特許第6955703号、米国特許第4687632号、米国特許第6699305号、米国特許第7435282号、米国特許第6902601号。より最近の例は、Alを含む還元性元素を用いた金属ハロゲン化物の還元による、金属粉末の生成のためのプロセスを開示する米国特許出願第20160243622号にある。この開示では、多種多様な遷移金属のハロゲン化物は、還元剤金属(例えば、Al)の撹拌された浴の中で還元され、次いで、結果として生じる粉末は、第2段階で副生成物塩から分離される。
本開示の目的は、還元性化合物の混合物の還元を請求することではないが、この開示の目的は、還元性塩化物の混合物が、Alを用いて安全かつ有効に還元され、制御可能な特徴を有する有用な生成物を引き起こし得る新規な様式を提供することである。
Nieらの米国特許第6902601号では、金属塩化物から出発して金属と合金とを生成するために、Alは、金属塩化物の還元にも使用された。Nieらは、金属系種(金属塩化物および金属)とAlとの間の接触を避け、そのため、通常は、発熱による熱放出に起因する、制御不可能なアルミナイド相の形成を避けるために、Hを中間体として採用した。しかしながら、米国特許第6902601号におけるHの使用は、起こり得る水素化物の形成とHの粉末粒への拡散とに起因して、材料の安全性と品質とを含む様々な態様に関連する制限を有する。本発明は、このプロセスのエネルギー論に関連する問題を解決し、不純物を含むことによる生成物の品質を下げることなく、使用可能なベース金属の範囲を拡張するという点で、米国特許第6902601号におけるアプローチと比べて顕著な改善を提供する。
本願発明者は、ベース金属反応物とAlとへの制御粉末の添加が、反応速度に対する十分な制御を提供すること、および、アルミニウムを用いたベース金属塩化物の還元を安全に、制御された条件下で可能にすること、を確立した。本願発明者は、制御粉末が、いくつかの異なる方法で発熱エネルギー放出の影響を抑えることを発見した。
(i)制御粉末は、反応(R1)が2つの部分に分けられることを可能にする。
Cl+nM=MCl +ΔG,ΔG≦0 (R2)
Cl+x/3 Al=M+x/3 AlCl(g) +ΔG,ΔG<0 (R3)
ここで、ΔG=ΔG+ΔGである。
は制御粉末を表し、ΔGとΔGとはそれぞれ、反応R2とR3とのためのGibbs自由エネルギーである。MはM+nMと等しい合計質量を有するM−Mの組み合わせの生成物の平均組成を表し、nは出発前駆体中のMClに対するMの比率である。MClは、反応(R2)から結果として生じる混合物Mc−Mp−Clの平均組成を表す。Mは、Taなどの純元素、Ni−Cuなどの固溶体、NiAlなどの化合物、または金属マトリックス複合物などの多成分系の形態でもよい。このスキームを、複雑な合金の合成のためのより複雑な系に拡張することは、以下の考察から明らかになるであろう。
還元性ベース金属塩化物と制御粉末との間の中間体反応は、このプロセスの改善された熱管理を可能にし、反応混合物全体に塩素を導入することに役立ち、そのため、反応効率を向上させる。
制御粉末を伴う反応は、還元性ベース金属塩化物MClとの反応と、ベース金属Mとの反応と、Alとの反応と、Al塩化物副生成物との反応と、を含む。
制御粉末が、1つの元素に基づき、ベース金属合金と同じ組成を有する実施形態の場合、MとMClとの間の反応は、塩素交換反応に制限されるであろう。この種の反応は、顕著なエネルギー移動を伴わないが、塩素を運ぶことに役立ち、全体的な反応収率に貢献する。このような場合、制御粉末の役割の大部分は、MClとAlとの間の反応の反応速度を制御することによる。
がMとは異なる実施形態の場合、MとMClとの間の反応は、反応経路と全体的な反応速度とにおいて重要な因子となる。次いで、制御粉末は、還元剤、ヒートシンク、反応速度調整剤として、全面的な役割を果たす。例えば、Ni−Cr制御粉末の存在下、Alを用いたNiClおよびCrClの還元により生成される、NiとCrとを含有する合金の場合、出発前駆体化学物質中のNiClは、塩化クロムを生成するために制御粉末中のCrと反応し、この塩化クロムは、次いで、還元反応を完結させるために、Alと反応させられる。
純Taの生成のための別の例では、亜塩化タンタル(TaCl2−4)を生成するために、出発化学物質中のTaClは、制御粉末中のTaと反応し、この亜塩化タンタル(TaCl2−4)は、その後、還元反応を完結させるために、Alと反応させられる。このように、発熱エネルギー発生の度合いは減少し、還元プロセスに対する向上された制御を可能にする。
とAlとの間の反応の場合、これらの反応がアルミナイドの形成を引き起こし得るが、これらの反応は、全ての還元反応がアルミナイドの形成が起こりにくい600℃未満の低温で行われるため、恐らく二次的に重要である。また、本開示の主題であるベース金属の大部分の場合、ベース金属を引き起こす、アルミナイドを用いたベース金属塩化物の還元は、一般的に、起こりやすい。Mを含む重要な他の反応は、塩化アルミニウムを含む逆反応であり、反応を左にシフト/平衡変化させるMClの形成を引き起こし、そのため、順方向の発熱還元反応の度合いを減らす。
本願発明者は、制御粉末が、前述の発熱反応に関連する問題を克服することに役立つ不活性な熱吸収剤として作用することを発見した。例えば、反応R1の場合、Al還元剤と反応する前に、出発塩化物粉末MClをベース金属Mの前処理された粉末と混合させることは、熱暴走の影響とそれに関連する全ての問題とを制御することに役立つ。制御粉末は、質量単位あたりのエネルギー密度を減らすように作用し、そのため、反応により発生する発熱エネルギーが、反応生成物から成るより多くの負荷に分布されるため、発熱による熱に起因する温度上昇を制限する。
反応物の材料の流れは、別個に供給され、反応ゾーンの内側でのみ接触させられる。前述の3つの流れの混合速度は、反応速度を決定する追加の制御メカニズムである。
発熱エネルギー放出の度合いを減らすことに役立ち、反応物にとってより有効な外部冷却を可能にする他のメカニズムは、以下を含む。
a.MbClとAlとの間の減らされた直接的な接触表面積に起因する、反応速度の減少。
b.MとAlClとの間の逆反応に起因する、平衡の左へのシフト。本発明の方法の場合、平衡条件は起こりやすく、還元段階では、塩化アルミニウムを含む反応物は、好ましくは、平衡条件を最適化するために、反応ゾーンに保持され(または反応ゾーンに戻され)、平衡生成物を得る方向に反応を動かす。ここで考慮される全てのベース金属について、同反応は非常に起こりやすく、平衡からはずれた反応を積極的に行わせることは、このプロセスの結果を妨害し、発熱による熱発生速度を上げ得る。
制御粉末は、Al還元剤との発熱反応を含み、この反応からの推進力を、反応物の効果的な混合に変換するように作用し、そのため、反応収率の向上を可能にする。本開示の主題となる大部分のベース金属塩化物の場合、制御粉末の量は、還元性化学物質の量の数倍である。還元性反応物が、制御粉末の微細な空洞内に局在化するため、この反応により放出されたエネルギーを吸収するためのより有効な方法が結果として生じる。また、この反応により発生する副生成物の熱い気体は、反応する材料の混合を顕著に促進し得る。
制御粉末は、好ましくは、ベース金属系の最終反応生成物または中間体反応生成物から作製される。前処理された粉末または合金は、好ましくは、出発ベース金属塩化物よりも低いCl含有量を有する。好ましくは、ベース金属塩化物粉末および制御粉末とAl還元剤粉末との混合は、反応物間の反応性を向上し、反応速度と結果として生じる発熱による熱とに対する外部制御を達成するために、制御可能な方法で行われる。全ての条件下で、制御粉末のベース金属塩化物またはAlとの反応性は、ベース金属塩化物とAlとの間の反応性より低い。
本発明のさらなる態様の例は、以下の記載と図面と特許請求の範囲とから明らかであろう。
単なる例として、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を以下に説明することで、本発明の特徴と利点とが明らかになるであろう。
図1:ベース金属の融点と比較した、発熱反応により放出されるエネルギーの結果として生じる温度上昇。Fe−2は、FeClから出発することを示し、Fe−3は、FeClから出発することを示す。
図2:発熱エネルギーに起因する温度上昇を200℃までに制限するために必要な制御粉末(ベース金属粉末)の最大量。
図3:25℃での反応物が、400℃の反応温度で制御粉末と共に反応ゾーンに供給されたと仮定した場合の発熱エネルギーに起因する温度上昇を200℃までに制限するために必要な制御粉末(ベース金属粉末)の量。
図4:本方法の基本的な処理工程を示す一般的なブロック図。
図5:本方法の一般的な一実施形態を示す一般的なブロック図。
図6:揮発性塩化物前駆体(例えばTaCl)を処理する工程を含む、本方法の一実施形態を示す一般的なブロック図。
図7:連続モードでプロセスを行うための反応器の模式図。
図8:Ni粉末生成物のサンプルのXRDトレース。
図9:Fe粉末生成物のサンプルのXRDトレース。
図10:SS316粉末生成物のサンプルのXRDトレース。
図11:Inconel(登録商標) 718粉末生成物のサンプルのXRDトレース。
図12:Co超合金MAR−M−509のサンプルのXRDトレース。
図13:Ta粉末のサンプルのXRDトレース。
図14:FeNiCoAlTaBのサンプルのXRDトレース。
図15:高エントロピー合金(AlCoCrCuFeNi)粉末生成物のサンプルのXRDトレース。
図16:Al3CoのサンプルのXRDトレース。
図17:NaOHで洗浄した後のサンプルAl3CoのXRDトレース。
表1:ベース金属に対応する熱力学データ
Figure 0006611967
表1は、好ましいベース金属(列1)のリストを、対応する融点および沸点(それぞれ列2および列3)と、(R1)に従った400℃における1mоleのベース金属塩化物とAlとの反応の好ましい出発化学物質(列4)および対応するGibbs自由エネルギー(ΔG)(列5)と、ΔGに起因する温度上昇の大きさ(列6)と、推定される制御粉末(列7)と、温度上昇を200℃までに制限するために必要な出発ベース金属塩化物1kgあたりの制御粉末の量(列8)と、共に表す。
全ての好ましい出発塩化物について、ΔGは負であり、このことは、(R1)についてのAlとのこれらの反応が発熱性であり、発熱エネルギー放出に起因する温度のおおよその上昇ΔTを示す列6の結果について、生成物および周囲の反応物の過剰な温度上昇を結果として生じ得ることを示していることが表1から明らかであろう。ΔTは、以下の式を解くことにより概算されている。
Figure 0006611967
式中、Tは閾値反応温度であり、Cp−bはベース金属の比熱であり、Mは出発ベース金属塩化物MCl1moleあたりの生成物Mの質量であり、MAlCl3とCp−AlCl3とはそれぞれ、MCl1moleあたりの結果として生じる塩化アルミニウム副生成物の質量と比熱とである。表1の結果について、発熱エネルギー放出が反応R1に従って1工程で起こり、結果として生じる熱が、結果として生じる生成物(M)と副生成物AlClとにより完全に吸収されると仮定される。そのため、この計算は、制御粉末が熱吸収剤としてのみ作用する極端な場合を表す。多価ベース金属塩化物と多成分生成物との場合、制御粉末と塩化物との間の化学反応に起因する、この反応を2工程に分ける効果は支配的になり得て、次いで、このプロセスに関連する熱負荷が減少する。
表1における計算された温度上昇は、図1において、対応するベース金属の融点と比較される。予想される温度上昇の大部分が190℃より高く、Znの場合を除き、この増加は、ベース金属の融点に匹敵するか、またはそれより高く、全て、対応する塩化物の昇華温度より高いと見られる。そのため、この反応が迅速である場合、結果として生じる条件は、反応容器に影響を与える可能性があり、この条件を過剰な熱放出および過熱された気体状副生成物と合わせると、有害な挙動を結果的に生じ得る。
表1におけるデータは、前駆体塩化物のAlとの反応により発生する熱がAl還元剤を溶融し得ることを示す。この溶融が起きる場合、この溶融は、任意のアルミナイド相の大きな粒子の生成の原因となり、出発化学物質の還元を遅くさせるか、またはさらに抑えられるであろう。そのため、高含有量のアルミニウムと、不均一な組成と、を有する合金が生成されるであろう。そのため、本発明の好ましい形態の目的は、最終生成物中のAlの量を制御し、10重量%未満、好ましくは、0%Alまで下がった制御可能なAl含有量を有する合金の生成を可能にするためのメカニズムを提供することでもある。
ベース金属塩化物1kgあたりに必要な制御粉末(表1の結果の場合、ベース金属粉末)の質量は、結果として生じる生成物の温度上昇を特定の所定の値未満に制限するための要求に基づいて、決定される。表1の列8は、反応生成物の温度上昇分を、列4においてベース金属塩化物を伴う反応について外部から設定された温度より高く、200℃未満までに制限するために必要なベース金属粉末の最大量を列挙している。表1の結果の場合、反応物と制御粉末とは、全て、400℃であると仮定される閾値反応温度まで、外部から加熱されると仮定される。列8の結果は、M(制御粉末の質量)についての式2を解くことにより得られる。
Figure 0006611967
ここで、ΔT=200℃である。
表1の列8のデータは、ΔT=200℃の場合について図2にプロットされる。制御粉末の必要な量は、SnCl1kgあたり〜1kgのSn粉末から、WCl1kgあたり20kgを超えるWまでの範囲であると見られ得る。表1と図1と図2とのデータは、生成される発熱エネルギーが、任意の他の効果に起因する熱損失なく、完全に反応物により吸収され、全ての反応物と制御粉末とが反応温度まで外部から加熱されると仮定している。このように、予想される温度上昇と制御粉末の量との両方の概算値は、完全バッチモードの処理のための上限値を表す。
本開示のいくつかの実施形態によれば、室温(25℃)の反応物は、反応温度で制御粉末を含有する反応ゾーンに徐々に供給される。そのため、反応物は、その反応物温度に達するまでエネルギーを吸収し、発熱エネルギー発生に起因する温度上昇を制限することに貢献するであろう。図3は、完全バッチ操作と、反応物を徐々に供給すること、といった、ここに記載される2つの構成に必要な制御粉末の量を比較する。いくつかの反応物について、室温反応物が顕著な冷却効果を有し得ると見られ得る。
また、反応器の壁を通る伝熱と、反応物と共に導入される希釈剤(例えばAlCl)の加熱/昇華と、などの他の熱損失が存在する。本方法のいくつかの実施形態では、塩化アルミニウムは、反応物と制御粉末と共に導入され、次いで、反応ゾーン中の反応物を冷却することに重要な役割を果たし、温度を制御することに役立ち得る。大部分の実際の条件下で、必要な制御粉末の量は、表1の量の50%未満であると予想されるであろう。前述のとおり、制御粉末の添加は、還元性MClと還元性Alとの間の反応速度を低下させ、伝熱と対流とに起因するより有効な外部冷却と、より高い熱損失と、を可能にする。また、必要な制御粉末の量は、許容される温度範囲内の上昇と共に低下し、許容される最大温度が閾値反応温度より400℃高い場合、表1の必要な制御粉末の量は、50%まで減少されるであろう。
以前の議論から、反応物は、それでも反応物により発生する熱と同等の速度で外部から冷却されなければならないが、ここに記載される手順に従うことは、反応物と容器との温度において緩やかな上昇を伴うのみという穏和な条件で起こるような、プロセスの冷却と、全体的な熱管理と、を可能にする。
本願発明者は、還元性ベース金属塩化物に対する制御粉末の重量比が1に等しい場合、還元性前駆体とAlとの間の反応速度は、4分の1に減少するため、この反応をより長い時間に延長させ、より有効なエネルギー管理を可能にすると推定する。結果として、必要な制御粉末の量は、より少なくなるであろう。
制御粉末の必要な量に影響を与え得る他の因子は、反応の閾値温度(T)と、ベース金属特徴と、ベース金属およびベース金属塩化物の比熱および全エンタルピーと、を含む。制御粉末は、異なる材料の混合物でもよいが、制御粉末と他の反応物との間の反応は、反応系から結果として生じる熱負荷を増やすべきではない。
制御物質の必要な量の正確な決定は、反応容器の物理特性と、反応ゾーンで利用可能な熱損失および冷却メカニズムと、を考慮して、全ての関連する処理条件の分析を必要とする。表1の概算値は助言としてのみ提供され、具体的な実験条件に対する列挙された数の変動は当業者には明らかであろう。
本願発明者は、実際の条件下で、反応物の流れと混合とに対して適切な制御をすると、表1に列挙された制御粉末の量は少なくとも2分の1から5分の1までさらに減少され得る、と概算する。全ての実施形態では、制御粉末の量はM/100からMまででなければならず、Mは式(2)により定義される。
制御粉末は、反応器の構成に応じて、いくつかの方法で添加され得る。一実施形態では、制御剤は、Al還元剤と反応する前に、出発ベース金属塩化物と混合される。別の実施形態では、制御剤は、出発ベース金属塩化物と反応する前に、Al還元剤と混合される。第3実施形態では、制御剤と、還元性ベース金属塩化物と、Al還元剤とは、反応ゾーンに別個に供給され、反応ゾーンで混合され、反応させられる。適切な配置の選択は、制御剤と還元性塩化物と還元性Alとの間の相対的な反応性に依存する。好ましい実施形態では、制御粉末は、ベース金属塩化物とAl合金との間の反応の完全に処理された生成物または半処理された生成物である。別の好ましい実施形態では、制御粉末は、ベース金属合金生成物であり、インサイチュ(in-situ)で生成される。
本願発明者は、制御剤が添加されない場合、反応により生成される熱い副生成物が、迅速な気体移動を伴う圧力の顕著な増加の原因になり得て、反応物を反応ゾーンから吹き出し得ることを発見している。制御粉末が反応物との低い反応性を有し、反応物よりも大量に存在する場合、反応物は、制御粉末マトリックス内の局在化された小さな部位に分布され、それぞれの部位は制御粉末により囲まれる。反応が起こると、局在化された反応部位外の加速された気体状副生成物は、周囲の制御粉末と衝突し、その運動エネルギーを粉末に移動させ、反応物本体全体の顕著な混合の原因となる。本発明者は、還元性塩化物と還元性Al粉末との間の混合が非常に制限されている場合であっても、反応効率は、副生成物気体の微細な流れにより発生する自己混合により顕著に向上されることを発見した。後述のとおり、本発明の主題である大部分のベース金属とベース金属塩化物について、発熱エネルギー放出により発生する反応生成物の温度上昇は、閾値反応温度Tより高く、200℃を超える。そのため、局在化した反応部位で結果として生じる局所的な圧力は、1.01atmより大きく、恐らく1.1より高いであろう。これは、100m/秒を超える速さに達する速度を有する、反応物本体中の速い局在化されたガス流(短時間の爆発)を発生させ、反応物本体内の顕著な混合を誘発し、反応により放出された発熱エネルギーを、局所的な反応部位およびすぐそばの周囲の制御粉末から移動させることに重要な役割を果たす。
本願発明者は、純Al粉末(平均粒径Rを有する)と、[MCl]/[Al]比=aと、[M]/[MCl]比=bと、反応物充填密度D(反応物はM、MCl、Alである)と、を用いたとき、ベース金属塩化物とAlとの間の迅速な反応に起因する圧力の局所的な上昇は、以下のように表され得ることを発見した。
Figure 0006611967
ここで、Nはアボガドロ数であり、NArは反応温度でのArの数密度であり、ΔNAlは反応したAlの量(1cmあたりの原子数)である。本発明者は、利用可能な1000個のAlのうち、1個が反応する場合であっても(ΔNAl/NAl=0.001)、結果として生じる局所的な圧力上昇は、0.25atmまでになり得ることを発見した。ΔNAl/NAl=1%の場合、ΔPは2.5atmにまでなり、局在化された圧力は3.5atmに達し得る。
制御粉末に対する固体ベース金属塩化物の重量比は、発熱エネルギー放出から結果として生じ得る生成物の許容される温度上昇に基づいて、決定されてもよい。発熱反応により発生する熱は、反応ゾーン中の生成物の温度をベース金属の融点より高い温度まで上昇させないことが好ましい。発熱反応により発生する熱は、反応ゾーン中の生成物の温度をAl還元剤の融点より高い温度まで上昇させないことが好ましい。
一実施形態では、ベース金属塩化物とAlとの反応により発生する発熱による熱からの結果的な温度上昇は、600℃未満に制限される。
別の実施形態では、ベース金属塩化物とAlとの反応により発生する発熱による熱からの結果的な温度上昇は、400℃未満に制限される。
第3実施形態では、ベース金属塩化物とAlとの反応により発生する発熱による熱からの結果的な温度上昇は、200℃未満に制限される。
好ましい実施形態では、本発明は、粉末状のベース金属合金の生成のための方法を提供する。同方法は、
・少なくとも1つの固体ベース材料塩化物と、任意で合金添加物の前駆体材料と、を含む所定量の前駆体化学物質の混合物からの材料の第1流(流れ1)を調製する工程と、
・主にAl還元剤を含有し、任意で合金添加物の前駆体材料を含む材料の流れ(流れ2)を調製する工程と、
・制御粉末(流れ3)を調製する工程であって、制御剤は、好ましくは、必須ではないが、出発ベース金属塩化物のベース金属である工程と、
・還元段階:所定量の流れ1と流れ2とを、所定量の流れ3を含む第1反応ゾーンに供給する工程と、であって、
・流れ1中の化学物質の少なくとも一部を還元し、中間体生成物を生成するために、結果として生じる混合物を、TからTまでの外から設定された温度で処理し、この処理工程は、混合し、撹拌し、加熱することを含み、Tは、25℃より高く、好ましくは、160℃より高く、より好ましくは、200℃より高く、Tは、1000℃未満であり、好ましくは、660℃未満であり、より好ましくは、600℃未満であり、さらにより好ましくは、500℃未満であり、
・反応ゾーンは、反応により発生した熱を除去し、全体的な反応物の温度を温度Tに制限するための使用において配置され、Tは、好ましくは、Al還元剤の融点未満であり(純Alの場合、Tは660℃未満である)、
・第1反応ゾーンから蒸発した材料は、より低温の他のどこかで凝縮され、再利用され、
・混合と供給との速度を制御するために、追加の制御メカニズムのための手段が提供され、
・還元段階からの固体中間体生成物は、未反応の残留ベース金属塩化物と、残留還元性Alと、固体AlClと、を含んでもよく、
・制御粉末中のベース金属種は、出発ベース金属前駆体の75重量%未満、好ましくは、50重量%未満であるCl含有量を有し、
・任意で、還元段階を通じて、中間体生成物の全てまたは一部を制御粉末として再利用する工程と、
・精製段階:還元段階からの中間体生成物を精製し、還元反応を完結させ、固体反応物混合物中の未反応の材料を蒸発および/または昇華させるために、還元段階からの固体生成物を第2反応ゾーンにおいてTからTmaxまでの温度で処理する工程であって、Tは、好ましくは、200℃より高く、Tmaxは、好ましくは、1100℃未満であり、反応物から副生成物を連続的に除去し、高温ゾーンから蒸発した還元性化学物質を回収および再利用し、最終生成物の粒径と凝集度とを制御するために、Tmaxと滞留時間とを調整する、工程と、
・未反応の残留材料からベース金属合金粉末を分離させ、後処理を行う工程と、
を含み、
・還元性Alと、M系およびCl系の安定な塩化物種(MCl1−n)との間の全ての反応は、25℃からTmaxまでの全ての処理温度で発熱性である。
還元段階における最大設定温度Tは、前駆体材料とAl還元剤との間の反応の速度論的障壁と、Al合金粉末の純度および粒径などの反応物の特徴と、を含む因子により決定される。Tは、好ましくは、Alの融点より低く、より好ましくは、600℃未満である。単なる具体例としてのみ、ニッケルがベース金属であり、NiClが還元性ベース金属塩化物である場合、段階1の最大設定温度は、500℃未満であろう。
精製段階における最大設定温度Tmaxは、固体生成物中に残る任意の残留する未反応化学物質を蒸発させる要求に加え、最終生成物の形態および組成を含む因子により決定される。好ましくは、Tmaxは、処理されるベース金属塩化物の最も高い昇華/蒸発温度よりわずかに高い温度に設定される。ニッケルがベース金属であり、NiClが還元性ベース金属塩化物である場合、Tmaxは、900℃未満である。
好ましい一実施形態では、Al還元剤は、純Alである。別の実施形態では、Al還元剤は、他の元素と合金を生成する純Alである。Al還元剤は、好ましくは、微粒子状の粉末またはフレークである。
好ましい一実施形態では、塩化アルミニウムは、ベース金属塩化物の10重量%から500重量%までの重量に対応するAl−AlCl混合物を形成するために、Alと混合される。AlClを含むことは、Al−AlClがベース金属塩化物と混合されるときに、Alをさらに均一に希釈し、広げ、塩化物との接触表面積が大きくなることに役立ち、それにより、反応効率を高める。また、AlClは、還元段階における反応物に対する冷却剤として作用し得る。
一実施形態では、還元段階からの副生成物は、気体状副生成物と共に逃げた任意のベース金属化合物と共に回収され、還元段階における処理のために戻される。この実施形態の一変形例では、再利用プロセスは、連続的に行われる。別の変形例では、回収された材料は、還元段階の終了時に得られた生成物と混合され、次いで、結果として生じる混合物は、前述のとおり、還元段階を通じて再処理される。さらに別の変形例では、還元段階からの中間体生成物の一部は、制御粉末として使用される。この変形例の一形態では、中間体生成物は、AlClを含む。
全ての好ましい実施形態では、還元性固体前駆体は、ベース金属の金属ハロゲン化物(好ましくは、塩化物)または金属ハロゲン化物の混合物である。好ましい出発塩化物の例は、ZnCl、VCl(2,3)、CrCl(2,3)、CoCl、SnCl、AgCl、TaCl(4,5)、NiCl、FeCl(2,3)、NbCl、CuCl(1,2)、PtCl(4,3,2)、WCl(4,5,6)、PdCl、MoClを含み、それぞれ、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moのベース金属に対応している。固体ベース金属塩化物は、好ましくは、微細に分割された粒子状粉末の形態であり、その還元は、微粒子状のZn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb系、Cu系、Pt系、W系、Pd系、Mo系の制御粉末と、これも微粒子状の固体Al合金との反応により行われる。好ましい実施形態では、固体ベース金属塩化物は、100ミクロン未満の平均粒径を有し、好ましくは、微粒子状の形態の粉末状またはフレーク状である。
一実施形態では、組成物を均質化するために、ベース金属塩化物は、混合/粉砕される。
一実施形態では、ベース金属塩化物は、AlClと混合される。混合は、同時粉砕により行われてもよい。
一実施形態では、ベース金属塩化物−AlCl系の少なくとも1つの共晶相を生成するために、ベース金属塩化物は、AlClと混合される。混合は、同時粉砕により行われてもよい。
一実施形態では、反応物マトリックス中のベース金属塩化物の希釈度を上げるために、ベース金属塩化物は、AlClと混合される。混合は、同時粉砕により行われてもよい。
合金添加物は、反応物の流れ中の前駆体化学物質を通じて、または必要な場合には、固体ベース金属塩化物およびAl還元剤との適合性に応じて、別個の追加の流れを通じて含まれてもよい。合金添加物は、O、N、S、P、C、B、Si、Mn、Al、Ti、Zr、Hfなどの周期表からの1つ以上の元素に基づく化合物または化合物の混合物または元素でもよい。合金添加物の添加は、様々な手段により、還元段階または精製段階の間のプロセス中の様々な時点で行われ得る。好ましくは、添加物前駆体は、ハロゲン化物の形態である。
発熱性基準を満たさない合金添加物は、困難性を示し得るし、特殊な手順を適切に組み込むことを必要とする場合がある。例えば、Ti、Mn、Zrなどの添加物は、ベース金属塩化物の還元剤として作用し、最終生成物を分解し、Ti塩化物とMn塩化物とZr塩化物との不純物と共に、過剰なレベルのAlの保持を引き起こし得る。Ti系、Mn系、Zr系の合金添加物は、Alが最終生成物組成物の一部として許容され得る場合にのみ含まれてもよく、次いで、TiClとMnClとZrClとの損失に対応する分離されたアルミナイド相の生成を防ぎ、最終生成物中の未反応塩化物の存在を最小限にするために、特に注意を払う必要がある。
Ti、Mn、Zr、Alといった添加物を含む合金組成物を生成するための方法の一実施形態では、先ず、Ti、Mn、Zrの塩化物は、還元剤と部分的または完全に反応させられ、次いで、結果として生じる生成物は、十分に混合され、他の反応物と共に700℃より高い温度で処理される。
一実施形態では、還元段階は、バッチモードで操作される。別の実施形態では、還元段階は、連続モードまたは半連続モードで操作される。
還元段階が、バッチモード、連続モード、または半連続モードで操作される一実施形態では、還元段階からの中間体生成物は、制御粉末として使用される。この実施形態の一形態では、制御粉末は、インサイチュで生成される。さらに別の形態では、最終生成物は、制御粉末として使用される。
一実施形態では、還元段階からの中間体生成物は、還元段階の操作が完了するまで、精製段階に移送されない。別の実施形態では、還元段階からの中間体生成物は、精製段階に連続的に移送される。
15重量%より高いAl含有量を有する合金粉末の生成のための一実施形態では、還元段階は、好ましくは、Al還元剤が、ベース金属塩化物を、過剰なAlを含まないその純元素状ベース金属へと還元するために必要な速度に対応する速度で供給されるモードで操作され、次いで、ベース金属塩化物の合計量が分配された後、残りのAl合金粉末は、結果として生じる還元段階反応物の温度が660℃未満になるような速度で供給される。
一実施形態では、出発前駆体材料が、還元段階の反応温度よりも低い沸点/昇華温度を有し、本方法は、還元段階における内部再利用工程を含み、還元段階の反応器は、反応ゾーンから放出する反応物を凝縮し、回収し、これを再利用のために戻すために、使用時に配置される。この実施形態の一形態では、凝縮され、反応ゾーンに戻される材料は、塩化アルミニウムを含み得る。次いで、還元段階の生成物は、前述または後述の態様と実施形態とのいずれかにかかる精製段階を通じて処理される。
一実施形態では、精製段階は、バッチモードで操作される。一実施形態では、精製段階は、連続モードで操作される。
一実施形態では、還元性化学物質に対するAlの比率は、化学量論比より小さく、そのため、出発材料に過剰な還元性化学物質が存在するであろう。過剰な還元性化学物質は、精製段階の処理中に蒸発させられ、次いで、回収され、再利用される。
一実施形態では、精製段階を通じてTmaxまでの温度で処理された未反応の前駆体材料は、蒸発させられ、より低い温度の領域で凝縮され、次いで、前述のとおり、還元段階または精製段階のいずれかを通じて連続的に再利用される。この実施形態の一形態では、再利用は、連続形態で行われる。
全ての好ましい実施形態では、反応により生成される気体状塩化アルミニウム副生成物の過熱に起因して、起こり得る圧力の蓄積と共に、大量の熱の発生を引き起こす固有の反応が存在し得るため、反応物は、事前には混合されない。
いずれかの実施形態では、本方法は、出発物質の前駆体材料として使用される固体金属亜塩化物を形成するための前処理工程を含んでもよい。
出発塩化物が液体または気体である場合、本方法は、より低い価数の塩化物を生成するために、第1塩化物を還元するための第1工程を含んでもよい。例えば、Snがベース金属であり、SnClが好ましい出発化学物質である場合、本方法は、SnClをSnClに還元する第1工程を含む。この工程は、アルカリ金属を用いた還元、高温で水素を用いた還元を含む、様々な経路を用いて行い得る。
好ましくは、この第1還元工程は、以下に従って、Alを用いた還元を用いて行われる。
Cl(l,g)+(x−z)/3 Al→MCl(s)+(x−z)/3 AlCl (R4)
次いで、結果として生じる固体MCl(s)は、前述のとおり、固体前駆体材料として使用される残留Alを含んでもよい。MCl(l,g)は液体/気体の塩化物であり、MCl(s)は固体塩化物である。
好ましい一実施形態では、第1出発塩化物は、還元段階における閾値反応温度に匹敵するか、またはこれより低い沸点/昇華温度を有し、次いで、本方法は、出発前駆体材料として使用される固体金属亜塩化物を形成するための前処理工程を含んでもよい。Fe系、Ta系、Mo系、Nb系、W系、V系の合金を生成するための実施形態の一形態では、先ず、FeCl、TaCl(4または5)、MoCl、NbCl、WCl(4,6)、VCl(3,4)を含む出発前駆体材料が、前述と後述との実施形態のいずれかを含む利用可能な技術により、亜塩化物(すなわち、FeCl、TaCl(2,3,4)、MoCl(2,3)、NbCl(2,3)、WCl(2,3,4)、VCl(2,3))を含む混合物を生成するために、還元され、次いで、結果として生じる混合物が、前述と後述との実施形態のいずれかにより、ベース金属またはベース金属合金に還元される。
好ましい実施形態では、本方法は、固体反応物と最終生成物とから離れる方向に気体を流すことにより、気体状副生成物を反応ゾーンから離れるように連続的に移動させる工程を含む。一形態では、気体は、不活性ガスでもよい(例えば、ArまたはHe)。他の形態では、気体は、前駆体材料または固体反応物と部分的または完全に反応し得る反応性構成要素を含んでもよい(例えば、OおよびN)。
一実施形態では、粉末生成物は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moの炭化物系、ケイ化物系、ホウ化物系、酸化物系、または窒化物系である。粉末生成物は、前述と後述との実施形態のいずれかに従って、金属塩化物を、C、Si、B、O、またはNを含む合金添加物で処理することにより生成される。
好ましい実施形態では、塩化アルミニウム副生成物は、より低い温度で、反応器の一部で凝縮され、別個に回収される。
いずれかの実施形態では、本方法は、0.0001atmから2atmまでの圧力で行われてもよい。
全ての実施形態では、生成物は、ベース金属合金または化合物で構成される粉末であり、周期表からの任意の数の不活性ではない元素系の任意の数の合金添加物を含んでもよい。
本方法の全ての形態と実施形態とでは、方法の最終生成物は、アルミニウム残留物を含んでもよい。
全ての実施形態では、本方法は、任意の未反応の残留前駆体材料と未反応のアルミニウムとから最終生成物を分離させる工程を含んでもよい。同方法は、最終生成物を洗浄し、乾燥させる工程も含んでもよい。
一実施形態では、塩化アルミニウム副生成物は、ベース金属塩化物と酸化アルミニウムとを生成するために、温度TCl−Oでベース金属酸化物と反応させられる。
およびAlCl→MClおよびAl (Ro1)
ここで、Mはベース金属酸化物であり、MClはベース金属塩化物である。次いで、MClは、反応生成物の残りから分離され、本明細書に記載される実施形態と態様とのいずれかに従って、出発ベース金属塩化物として再利用される。
Cl−Oは、ベース金属酸化物に依存し、室温から800℃より高い温度までの範囲でもよい。この実施形態の一形態では、TCl−Oは、200℃未満である。別の形態では、TCl−Oは、200℃より高い。別の形態では、TCl−Oは、500℃より高い。別の形態では、TCl−Oは、800℃より高い。
一実施形態では、反応Ro1は、不活性雰囲気下で行われる。別の実施形態では、Ro1は、ClガスまたはHClの存在下で行われる。
図4は、本発明の主な処理工程を示すブロック図である。
第1工程では、制御粉末(1)は、(3)において、ベース金属塩化物(2)と混合され、反応させられる。次いで、結果として生じる混合物は、工程(5)において、Al(4)と反応させられる。工程(3)と工程(5)とを合わせて還元段階(6)を形成する。結果として生じる生成物の一部は(1)を通じて再利用され(7)、残りは(8)において、精製のために移動させられる。生成物は、(9)において放出される。最終生成物の一部は、任意で、(1)を通じて、制御粉末として再利用されてもよい(10)。精製段階(8)からの副生成物(11)は、任意で、ベース金属塩化物(13)を生成するために、(12)においてベース金属酸化物と反応させられてもよく、次いで、ベース金属塩化物(13)は、(2)を通じて再利用されてもよい(14)。工程(12)からの最終的な副生成物は、酸化アルミニウム(15)であろう。
図5は、ベース金属合金の生成に好ましい一実施形態の処理工程を示す模式図である。
第1工程(1)では、Alを希釈し、処理中により均質な分布を作り出すことに役立つために、Al還元剤は、AlClと混合される。他の合金添加物は、必要とされる場合には、添加され、Al−AlClと混合されてもよい。制御粉末(2)とベース金属塩化物(3)とは、プレミキサにおいて、不活性ガス下、制御された条件で、他の適合する合金添加物と共に、好ましくは、連続的に混合され(4)、流れ1(5)を引き起こす。Al還元剤は、流れ2(9)を形成するために、適切な場合(8)、他の前駆体と混合される(6−7)。残りの合金添加物前駆体(10)は、1つ以上の追加の流れ3−n(11)の中で調製される。流れ1(5)と流れ2(9)と流れ3−n(11)とは、160℃から600℃までの温度で、還元段階で徐々に反応させられる(12)。還元段階は、還元段階の反応ゾーン(12A)から逃げる材料(12B)が凝縮され、再利用される内部再利用工程(12A)を含んでもよい。還元段階の終わりの段階における材料は、制御粉末として使用されるために、(2)を通じて再利用されてもよい(12C)。塩化アルミニウムを含む、還元段階から結果として生じる副生成物(13)は、任意で、反応ゾーンから除去されてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、副生成物は、(12A)または(12C)を通じて再利用される。還元段階は、バッチモードまたは連続モードで操作されてもよい。
還元段階での処理終了時に、次いで、材料は、反応を完結させ、残留する未反応化学物質(15)を蒸発/除去するために、精製段階(14)を通じて、200℃から1000℃までの温度で処理される。未反応化学物質(15)は、還元段階または精製段階を通じて再利用されてもよい(16)。精製段階からの副生成物(13)は、固体反応物から連続的に除去される。高温処理サイクルの終了時に、生成物は、後処理または保存(18)のために放出される(17)。生成物(17)の一部は、制御粉末(2)として使用されるために、(17A)を通じて再利用されてもよい。混合と前駆体材料の調製とを含む全ての処理工程は、好ましくは、不活性雰囲気下で行われ、処理サイクルの終わりの段階において残留気体は、残留廃棄物(20)を除去するために、スクラバ(19)を介して処理される。一実施形態では、残りの塩化アルミニウム副生成物(21)は、ベース金属塩化物と酸化アルミニウムとを含む反応生成物を生成するために、ベース金属酸化物(22)と反応させられる。次いで、得られた生成物は、塩素化反応(Ro1)(24)の他の副生成物からベース金属塩化物(24)を分離させるために、(23)において処理される。次いで、結果として生じるベース金属塩化物(24)は、抜き取られ(25)、または(3)を通じて再利用され得る。
連続モードにおける本方法の一実施形態では、TaCl、NbCl、MoCl、WCl、FeCl、VCl、SnClなどの低い沸点/昇華温度を有する塩化物が使用される場合、還元段階の反応器から蒸発させられる材料は、専用の容器内で別個に、または反応器の外側の塩化アルミニウムなどの他の反応副生成物と共に凝縮され、次いで、反応器の入口の1つを通じて、同じ処理サイクル中に反応器に再び供給される。凝縮物の供給速度は、反応器の過積載を避けるために、制御される。本方法の第2実施形態では、回収された凝縮物は、還元段階を通じて再利用され、この再利用プロセスは、複数回行われてもよく、または全ての出発ベース金属塩化物が還元されるまで行われてもよい。この実施形態では、再利用は、回収された塩化アルミニウム副生成物中のベース金属塩化物の濃度が最小限になるために、数回行われてもよく、または連続的に行われてもよい。この実施形態のある変形例では、凝縮物は、制御粉末として使用される。
図6は、揮発性塩化物前駆体(例えばTaCl)を処理することを含む本方法の一般的な一実施形態を示す一般的なブロック図を示す。
ここで、還元段階に連結された凝縮器が使用されてもよく、還元段階の反応器内の温度は、600℃未満の温度に設定され、一方、凝縮器の温度は、200℃未満の温度に設定される。反応器から蒸発させられた材料は、純粋な溶融されたTaClとして、またはTaCl−AlClの混合物または溶液として、凝縮ゾーンで凝縮され、次いで、凝縮された材料は反応ゾーンに戻される。この再利用プロセスは、蒸発−凝縮−再利用に起因する反応器内の材料のための冷却メカニズムを提供し、反応容器中の圧力を1大気圧に近い圧力に保持するための自己制御メカニズムを提供する。
一実施形態では、合金生成物は、ニッケル系、コバルト系、または鉄系の超合金である。
一実施形態では、合金生成物は、高エントロピー合金(HEA)であり、ベース金属と、Alと、合金添加物と、を含む群からの少なくとも4つの元素を含み、個々の濃度は、5重量%−50重量%の範囲である。この実施形態の一形態では、構成要素の元素は、等mole濃度である。HEA粉末は、少なくとも2つのベース金属を含まなければならない。
一実施形態では、本方法は、実質的に球状の粒を生成する、例えば、プラズマ処理により、3D印刷における使用に適した粒を生成するために、粉末を後処理する追加の工程を含む。
一実施形態では、合金生成物は、Fe系、Ni系、および/またはCo系の磁気粉末である。この実施形態の一形態では、生成物は、Fe−Al−Ni−Co系であり、この方法の前述または後述の実施形態のいずれかに従って生成されたアルニコ粉末であり、次いで、磁石を製造するために、結果として生じる合金粉末を固め、結果として生じる固めた物品を成形し、次いで、成形した物品を磁化する、追加の工程が存在する。この実施形態に従って生成された粉末は、合金添加物とAlとを含んでもよい。
触媒の製造のための方法の一実施形態では、ベース金属粉末は、本方法のいずれかの実施形態に従って生成され、粉末は、Al系、Zn系、V系、Cr系、Co系、Sn系、Ag系、Ta系、Ni系、Fe系、Nb系、Cu系、Pt系、W系、Pd系、Mo系であり、任意で、合金添加物を含み、次いで、触媒を製造するために、結果として生じるベース金属合金粉末をさらに処理する任意の追加の工程が存在してもよい。この実施形態の一形態では、粉末生成物は、10重量%より多いAl含有量を有し、骨格触媒を製造するために、操作可能な手段により、Alを溶解する追加の工程が存在する。操作可能な手段は、粉末生成物をアルカリ性溶液(例えばNaOH)または酸性溶液(HSO、HFなど)で洗浄することを含む。
最後の実施形態の一変形例では、MbxAlの組成を有する粉末は、前述または後述の実施形態のいずれかに従って生成され、次いで、Alは、調整された穴構造と調整された形態とを有する組成物Mbxを得るために、粉末生成物をアルカリ性溶液(例えばNaOH)または酸性溶液(HSO、HFなど)で洗浄することにより、除去される。xとyとzとは、MとAlとCとのmole数を表す。結果として生じる材料の構造は、Mbx系組成物を有する、層状構造または多孔性構造またはナノ構造化された構造でよい。
一実施形態では、本方法は、粒子粉末上に被膜を形成するために、粉末生成物を反応性物質にさらす、任意の追加の工程を含む。
一般的に、本方法の生成物はスポンジ状構造を有する粉末状であり、5nmから500ミクロンまでの粒径を有する。
第4態様において好ましい一実施形態では、多成分粉末または複合物粉末の生成のための方法が提供される。同方法では、制御粉末は、Alを用いた出発ベース金属塩化物との還元を通じて生成される元素組成物とは実質的に異なる組成を有し、最終生成物は、かなりの量の未反応の制御粉末を含む。制御粉末は、フレーク、微粒子状物または粗粒子状物、および繊維材料のうちの1つまたは混合物でもよい。この実施形態の一形態では、制御粉末は、Alを用いた出発ベース金属塩化物の還元により生成される元素組成物とは異なる組成を有する純金属または合金から成る。以前の実施形態のいずれかについて処理を行うことは、制御粉末が、Alを用いた出発化学物質の還元から結果として生じる合金または化合物により被覆されるか、または囲まれる原因となる。制御粉末は、球状の微粒子状、不規則な形状の微粒子状、フレーク状、または繊維状のうちの1つまたは混合物の形態の微粒子から作製されてもよい。
図5と図6との図を参照すると、還元性材料MbClと、制御粉末Mと、固体Al還元剤とは、反応器に供給され、インサイチュで混合され、160℃から700℃までの温度で加熱される。Mの量がMbClとAlの量とを超えると、先ず、MbClはMと反応する傾向があり、次いで、結果として生じる中間体はAl捕捉剤と反応する。材料が反応するため、材料は、ベース金属合金と未反応の残留材料との中間体生成物を形成する。バッチモード操作での一実施形態では、この中間体生成物は、さらなる反応物が反応器に移されるとき、制御粉末として作用し得る。連続モード操作では、中間体生成物は、制御粉末として、還元段階を通じて連続的または半連続的に再利用されてもよい。操作開始時に使用されるいくつかの初期の制御粉末の投入が必要な場合がある。
全ての実施形態では、不活性ガスは、回収、さらなる処理、および/または再利用のために、気体状塩化物種が様々な処理ゾーンを通り、または外側に向かうことに役立つように、使用されてもよい。全ての実施形態では、未反応のベース金属塩化物は、反応器中、連続的に、またはバッチモードで、より高い温度で処理するために凝縮され、戻されてもよい。
未満の温度での還元段階を通じた反応物の滞留時間は、処理されるベース金属塩化物の閾値反応温度と物理的特徴とを含む因子の組み合わせにより、決定される。好ましくは、可能な場合、Tは、出発ベース金属塩化物の沸点/昇華温度より低い値に設定される。
還元段階からの材料が、精製段階の反応器を通じて進むにつれて、残りの未反応の材料が反応し、Al塩化物副生成物の生成を引き起こす。外部ガス流は、固体反応物の移動に対して反対の方向に、反応物から揮発物質を移動させることに役立つように、使用され得る。外部ガス流は、AlCl副生成物を固体生成物から離し、反応器を出るように移動させ、160℃より低い温度で、専用の回収器においてガス流から取り除く。精製段階における反応器内の反応物は、好ましくは、反応収率を最大化し、ベース金属塩化物の損失を最小限にすることに役立つために、連続的に混合される。精製段階中の反応器内の高温区間に到着した未反応の材料は、蒸発させられ、外部ガス流により、より低温の領域に向かって動かされ、凝縮され、次いで、再利用される。
反応器の精製段階を通る材料の滞留時間は、粉末生成物の凝集度/焼結度に影響を与え、本方法は、所望の粒度分布/形態を得るために、滞留時間を変える工程を含んでもよい。
前述のとおり、還元段階と精製段階との両方における処理温度は、最終生成物の組成と形態とに加え、ベース金属とベース金属塩化物との材料特性により決定される。最低温度の値は、前駆体材料の昇華温度にも依存してもよく、本方法は、以下の実施形態に記載されるような第1還元工程を含んでもよい。しかしながら、精製段階の反応器中の最低温度が、塩化アルミニウムの昇華温度より高いように、ほぼ200℃であることが好ましい。
本発明の別の目的は、様々な実施形態に記載される方法を実施するための反応器を提供することである。反応器は、還元段階と精製段階との反応を実施するための容器から成り、前駆体化学物質および最終生成物と反応することなく、1100℃までの温度に耐え得る任意の材料から作製されてもよい。反応器は、還元性材料の流れと還元性Al合金の流れとの間の密で効率的な接触を提供し得る任意の格納容器と関連する付属部とから成ってもよい。反応器は、還元段階と精製段階とのための2つの別個の容器から成ってもよく、または還元段階と精製段階との両方の反応を取り扱うための使用の際に配置される単一の容器から成ってもよい。還元段階の反応器と精製段階の反応器との両方は、反応物を動かし、混合するためのメカニズムを備えてもよい。好ましい実施形態では、精製段階の反応器は、反応物を移動させ、混合し、加熱し、再利用し、移す手段と、副生成物回収ユニットと、最終生成物回収ユニットと、を有し、1100℃までの温度で操作し得る管状反応器から成る。
好ましい実施形態では、反応容器は、各ゾーンが異なる反応または凝縮機能を提供する、いくつかの別個の加熱ゾーンを備えてもよい。
全ての実施形態では、反応器は、さらに、反応容器全体に配置されるさらなる気体入口と、その付属部と、を備えてもよい。
全ての実施形態では、反応器は、反応器から気体を除去する排気部を備える。
一実施形態では、反応器は、粉末を反応器入口から反応器出口へと移動させ、混合する移動装置を備えてもよい。
図7は、連続モードでプロセスを行うための還元段階と精製段階との両方を含む反応器の構成の一例を示す模式図である。
この基本的な構成のために、いくつかの好ましい連続した実施形態を実行することに適した反応器の重要な機能を示すことを意図したミキサ/反応器のシステムが提供される。還元段階の反応器の主要本体(301)は、1100℃までの温度で、ベース金属と合金添加物とに基づく化学物質を取り扱ことを可能とする材料から作製される円筒形容器である。反応容器(301)は、容器を必要な操作温度に加熱し、冷却する手段を含む。連続プレミキサ(302)は、ベース金属塩化物(305)と、制御粉末(306)と、還元性Al合金粉末(307)と、を混合するために、(304)により外から駆動されるミキサ(303)と共に与えられ、次いで、結果として生じる混合物は、入口(309)を通じて反応器(301)へと供給される。また、反応物を保持し、プレミキサ内に移動させるためのホッパと供給器とが提供されるが、図には示されていない。プレミキサは反応器の操作にとって重要ではなく、供給入口は、反応器本体に直接取り付けられてもよく、または直接取り付けられなくてもよい。ガス入口(310および310A)も反応器の入口に与えられ、流れは固体反応物と同じ方向に強制的に(301)に通される。合金添加物は、プレミキサ(302)に直接的に導入されてもよく、または他の反応物(305)と(307)との構成要素として導入されてもよい。
反応容器(301)の出口で、凝縮器(311)が設けられ、反応容器(301)から逃げる/蒸発させられる気体状種を含む(301)からの材料は、保持容器(312)に移動する前に、凝縮/冷却されてもよい。凝縮器は、室温に保持され、反応物を入口から出口へと運ぶ手段を含む。凝縮器内の気体状種を凝縮するための手段は、流動床、冷却スクラッパ、および/または、混合物を生成するために、(313)に移動する前に気体状塩化物種を凝縮し、他の固体生成物と混合し得る任意の他の手段(314)を含む、従来から知られている任意の技術を含んでもよい。凝縮器の温度は、外部冷却手段(不図示)を用いて制御される。(301)からの不活性ガスは、ポート(315)を通じて出てもよい。混合物(314)の一部は、適切なコンベヤシステム(316)を用いて、プレミキサに戻されるように移動され、制御粉末として使用される。残りの部分は、精製段階の反応器(317)に移される。
ここには示されていない一実施形態では、反応容器(301)は、粉末出口の高さに追加の排気部を備え、この追加の排気部は、反応物が凝縮器(311)に供給される前に、気体状塩化アルミニウムを除去するために、使用され得る。
精製段階において、本明細書に記載される本発明の前述の態様について、いくつかの好ましい実施形態を実行することに適した反応器の重要な機能を示すことのみを意図する、基本的なコンベヤスクリュー構成が提供される。精製反応器の主要本体は、1100℃までの温度で操作可能で、中で処理される材料と反応しない材料から作製される管状主要区間(317)を備える。図7の例について、反応物を(317)を通じて移動させるオーガ(318)が設けられる。区間(317)は、反応器内で使用される気体と、プロセスから結果として生じる任意の気体状副生成物と、を反応器から出すための出口(319)を有する。反応器は、ガス流から出た副生成物を回収するための1つ以上の容器(320)も備える。区間(317)は、(312)からの粉末を反応器に移動させるための手段(321)も含む。
生成物出口の末端に、不活性ガスと気体状前駆体材料とを導入するために、1つまたは複数の開口部(322)が設けられる。生成物出口開口部(323)と生成物回収容器(324)とも設けられる。
好ましくは、区間(317)と、この区間内に配置される全ての内壁とは、副生成物の沸点または昇華温度より高い温度に保持される。区間(317)は、(321)を通る粉末の投入時に最低温度Tを有し、(325)の段階で温度Tmaxまで上昇し、次いで、粉末生成物出口の段階で室温まで低下する。温度TとTmaxとは、その中で処理される材料に依存する。TとTmaxとは、加熱/冷却手段(不図示)を用いて制御される。Tは、好ましくは、副生成物の昇華温度より高い。Tの最低温度は、好ましくは、ほぼ200℃である。
前述のとおり、Tmaxは、好ましくは、1100℃未満であり、より好ましくは、1000℃未満であり、さらにより好ましくは、900℃未満である。Tmaxでの反応器区間を過ぎると、生成物は、生成物が室温まで冷却されて放出される粉末出口の方に進められる。一例として、塩化ニッケルがAlを用いて還元される条件で、還元段階(301)の最大温度Tは、500℃に設定され、精製段階の最低温度Tは、好ましくは、200℃に設定され、Tmaxは、850℃から950℃までの温度に設定される。
図7の構成は、連続反応器の機能を示すことのみを意図し、不活性雰囲気下で固体反応物を保持するための保存容器と、粉末供給付属部と、粉末ミキサと、を含む、反応器システムの一部を形成するいくつかの付属部は、示されていない。
図7の反応器の構成では、(305)と(306)と(307)とにおける還元性前駆体材料は、連続プレミキサ(302)内に別個に供給され、次いで、反応器(301)に供給され、インサイチュで混合され、160℃から660℃までの温度で加熱される。材料が反応するにつれて、材料は、ベース金属合金と未反応の残留材料との中間体生成物を形成し、次いで、この生成物は、凝縮器(311)を通じて処理される。結果として生じる混合物の一部は、制御粉末として再利用されてプレミキサに戻される。なお、操作開始時に使用される制御粉末の部分的な初期の投入が必要な場合がある。
還元段階からの生成物が反応器区間(317)を通じて進むにつれて、残りの未反応の材料は、反応させられるか、または蒸発させられる。外部ガス流は、固体反応物の移動とは反対の方向に気体開口部(322)を通じて反応器内へと移動させられる。外部ガス流は、副生成物を精製段階の反応器の外へ移動させることに役立つ。区間(317)において反応する材料は、反応物との間の接触表面積を最大化し、未反応の残留反応物の還元反応を促進するために、連続的に混合される。生成物の生成は、先ず、ミクロン未満の寸法を有する小さな粒子状物の形成を通じて進行し、次いで、粒子状物を焼結し、凝集して、大きな粒径を有する生成物を引き起こす。反応器を通る材料の滞留時間はこの凝集/焼結プロセスに影響を与え、本方法は所望の粒度分布と凝集度とを得るために、滞留時間を設定する工程を含む。
好ましい実施形態では、区間(301),(311),(317)の加熱/冷却手段は、反応器内の熱流量を管理し、両方の段階を通じて、しかし、特に還元段階を通じて処理するために必要な温度プロファイルを維持する。表1に見られるように、本開示の主題の全てのベース金属について、前駆体ベース金属塩化物と還元性Al合金との間の反応は、きわめて発熱性である。しかしながら、反応器本体のいくつかの部分は、反応を開始するために十分な閾値温度に達するために、最初に加熱される必要がある場合があるが、次いで、反応器は、閾値温度を維持し、過熱を防ぐために、冷却される必要がある場合がある。
以下の例は、本発明の実施形態にかかるベース金属合金と化合物との調製を示す。
Ms:出発化学物質の質量(mg)
Me:最終生成物中のベース金属元素の質量(mg)
●実施例1:Fe−Al−Cr合金
Figure 0006611967
制御粉末:Fe−Al−Cr合金。
最終生成物の合計:〜825mg。
以下に列挙される実施例において、試験のために以下の方法が使用された。特に述べられていない限り、全ての試験について、4ミクロンの粒径を有するEcka Al粉末が使用される。
a)先ず、均質なベース金属塩化物混合物(Mx1)を生成するために、前駆体ベース金属塩化物は、一緒に十分混合される。
b)ベース金属塩化物混合物と同じ質量を有するAl−AlCl混合物(Mx2)を生成するために、Alは、AlClと混合される。この最後の工程は、(i)還元中に一緒に混合されたときのベース金属塩化物と還元性Alとの間の接触を改善し、(ii)還元段階における冷却剤としてAlClを使用すること、を意図している。
c)100mgのMx1は所定量のMx2と混合され(100 Mx2/Mx1)、結果として生じる混合物はAr下、1atmで石英管に導入される。
d)反応物を十分に混合するために、混合物は、石英管が回転させられている間、500℃で加熱される。制御粉末を含まない第1工程では、反応は、爆発的な様式で起こり、粉末が管の底部から飛び出す原因となる。次いで、Mx1と還元性Alとの間の反応を完結させるために、粉末は、回収され、再び加熱される。この工程からの中間体生成物は、Pd1と表される。
e)副生成物を除去する。
f)Pd1は、所定量のMx1およびMx2と混合される(Pd1>Mx1+Mx2)。Mx1とMx2とは、実験が進行するにつれ、毎サイクル後に増加され、さらなる生成物が生成される。
g)d)に進む。
h)全ての前駆体材料が使用されるまで続ける。
i)次いで、混合物は、100℃ステップで、各ステップ10分間、500℃から1000℃までの温度で加熱される。
j)次いで、粉末は、放出され、洗浄され、乾燥され、分析される。
●実施例2:Ni粉末
Figure 0006611967
制御粉末:Ni。Al粉末は、1.740gのAlClと混合される。
最終生成物の合計:〜2g。
実施例1について前述のとおり、還元プロセスが行われる。結果として生じる粉末は、広い粒度分布を有する、凝集した不規則なスポンジ状の粒から成る。この粉末は、XRDとXRFとICPとを用いて分析された。XRDトレースは図8にあり、純Niと一致するピークを示す。ICP分析は、Al含有量が0.1重量%未満であったことを示唆した。
●実施例3:Fe粉末
Figure 0006611967
制御粉末:Fe。Al粉末は、1.940gのAlClと混合される。
最終生成物の合計:〜1.8g。
実施例1について前述のとおり、還元プロセスが行われる。
粉末は、XRDとXRFとICPとを用いて分析された。XRDトレースは図9にあり、純Feと一致するピークを示す。ICP分析は、Al含有量が0.1重量%未満であったことを示唆した。
●実施例4:SS316
Figure 0006611967
制御粉末:還元段階から半処理された中間体生成物。Al粉末は、9.25gのAlClと混合される。
生成物:〜9.6g。
実施例1について前述のとおり、還元プロセスが行われる。粉末は、不規則な凝集した粒子から成る。XRDトレースは、図10にある。ICPおよびXRF分析は、Alが0.7重量%程度であり、一方、Crがほぼ12.7重量%であり、目標(17重量%)より低いことを示唆する。この相違は、恐らく、不十分な混合および再利用を行わない状態で処理する試験管のバッチ性質から結果として生じる。CrClは、他の塩化物反応物よりも安定であるため、元素Crは、FeClとNiClとMoClとを還元する傾向がある。CrClは、非常に安定であるため、Alとの頑丈な直接接触のみに還元され得る。この問題について、2つの解決策が開発されている。1つ目は、還元/再利用時間を長くし、混合を改善することである。2つ目は、出発前駆体において、より多くの量のCrClを使用することにより、CrClの制限された反応性を補うことである。
●実施例5:INCONEL(登録商標) 718
Figure 0006611967
制御粉末:還元段階から半処理されたINCONEL(登録商標)−AlCl粉末。Ecka Al粉末は、4.434gのAlClと混合される。
生成物:〜4.85g。
実施例1について前述のとおり、還元プロセスが行われる。XRDトレースは、図11にあり、Inconel 718と一致するピークを示す。ICP分析とXRF分析とは、Al含有量が0.4重量%であり、Tiが0.2重量%であり、Mnが0.1重量%であり、Moが3.4重量%であり、Nbが5.6重量%であり、Crが13.6重量%であり、Feが19.4重量%であり、Niが残量であることを示唆している。
●実施例6:MAR−M−509
Figure 0006611967
制御粉末:還元段階から半処理されたMAR−M−509−AlCl。Cは、粉砕されたグラファイトの形状で導入される。1部のグラファイト−9部のAlCl。Alは、Al−AlClとして導入される。1部のAl−3部のAlCl。Al粉末は、4.265gのAlClと混合される。
生成物:〜4.8g。
実施例1について前述のとおり、還元プロセスが行われる。XRDトレースは、図12にあり、合金の既知のパターンと一致する。ICP分析は、Al含有量が500ppm未満であることを示唆する。
●実施例7:TaClからTaの生成
Figure 0006611967
TaCl+1.666Al=Ta+1.666AlCl
Ecka Al(粒径=4ミクロン)は、AlClと混合される(重量比1:2)。合計:3.730g。
TaClの量は、材料の手動での処理に関連する損失を考慮して、化学量論量レベルより5%多い。過剰な塩化タンタルは、精製段階中に除去される。
制御粉末:Ta。
最終生成物の合計:〜4.77g。
還元プロセスは、以下のように進む。
炉は、500℃に設定される。
工程1:100mgのTaClと33mgのAl−AlClとは、石英管に導入される。
工程2:石英管を炉に挿入する。反応が起こるにつれて、塩化アルミニウム副生成物と一部分のTaClとが蒸発し、管の冷温空間に堆積される。
炉から管を取り出す。
副生成物と残留物とをこすり取り、管の底部の反応ゾーンに戻す。
結果として生じる混合物は、次の反応サイクルのための制御粉末として使用される。
工程3:工程TaClより50mg多いTaClと、TaClの3分の1の重量のAl−AlClと、を加える。
管に既に入っている制御粉末と混合する。
工程2に進む。
全てのTaClが使用されるまでプロセスを続ける。
残りのAl−AlClを加え、工程2に進む。
生成物を、回収された副生成物および残留物と混合する。
500℃で10分間加熱する。
副生成物と残留物とを回収する。
生成物を、回収された副生成物および残留物と混合する。
500℃で10分間加熱する。結果として生じる副生成物を回収し、除去する。
500℃から1000℃までの温度で、100℃段階で、各工程で10分間、回転する石英管中で加熱する。
生成物を回収する。洗浄し、乾燥させる。
分析:結果として生じる材料についてのXRD分析は、図13に示され、純Taと一致する。ICP分析は、サンプル中のAl濃度がほぼ530ppmであることを示す。
●実施例8:SMA−FeNiCoAlTaB粉末
Figure 0006611967
ホウ素についての出発前駆体は、B粉末である。Ecka Al(4ミクロン)は、1.555gのAlClと混合される。
プロセスは、実施例1に記載されるとおりに行われる。〜0.92gの粉末が回収される。XRDスペクトルは、図14に示される。ICP分析とXRF分析とは、この組成物が目標に合致することを示す。
●実施例9:AlCoCrCuFeNi HEA粉末
Figure 0006611967
制御粉末:AlCoCrCuFeNi HEA粉末。Ecka Al(粒径=4ミクロン)は、AlClと混合される(重量比1:2)。合計:4.050g。
最終生成物の合計:〜3g。
還元プロセスは、2工程で行われる。
先ず、CoCrCuFeNiにほぼ等しい組成物を得るために、実施例1について記載された手順が、還元段階全体で使用される。
次いで、残りのAlが、実施例1で使用された手順と同じ手順を用いて徐々に加えられる。
次いで残留塩化物を除去し、粉末生成物を粗粒化するために、結果として生じる材料が、精製段階を通じて処理される。
結果として生じる粉末生成物についてのXRDパターンは、図15に示される。
生成物は、XRFとICPとを用いて分析され、その結果は、予想される組成と合致する。
●実施例10:骨格Co触媒
Figure 0006611967
ベース金属塩化物は、2.7gのAlClと混合される。
Ecka Al(4ミクロン)は、AlClと混合される(重量比1:2)。合計:2970mg。
還元プロセスは、2工程で行われる。
先ず、Coにほぼ等しい組成物を得るために、MAR−M−509についての実施例1のために使用された手順が、還元段階全体で使用される。
次いで、残りのAlは、実施例1で使用された手順と同じ手順を用いて徐々に加えられる。
次いで、残留塩化物を除去し、粉末生成物を粗粒化するために、結果として生じる材料が、精製段階を通じて処理される。
結果として生じる粉末生成物のXRDパターンは、図16に示される。
Co−Al粉末の1gサンプルは、60mlのHOおよび10mlのNaOH(50%mol)中で、洗浄される(2時間)。次いで、粉末は、pHが中性になるまで、蒸留水ですすがれる。結果として生じる物質のXRDトレースは、図17にある。なお、結果として生じる骨格構造の非常に微細な構造に起因して、顕著なピークは存在しない。
本発明の方法は、Al、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moの純金属、酸化物、窒化物の化合物を含み、前述の合金添加物を含む、様々な組成の合金と化合物との生成のために使用されてもよい。当業者には明らかであろう、改変と、変更と、生成物と、同生成物の使用とは、本発明の範囲内であると考えられる。
本発明を用いて生成される材料は、従来技術を用いては得られないであろう独特な特徴を有する。本願発明者らの請求項は、これらの明細書において例として提供された実施例に限定されることなく、本発明を用いて作製可能な材料と、その材料の使用と、まで拡張される。具体的特性は、従来の粉末生成技術では得られないナノ構造化された組成物および/または複雑な組成物を生成する能力を含む。
以下に記載される請求項と、前述の実施形態に関する記載と、において、言語または必要な示唆の表現により文脈が必要とするものでない限り、用語「含む(comprise)」(および「含む(include)」)と、その変形である「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)(および「含む(includes)」または「含んでいる(including)」)などは、記載される特徴の存在を明記するための包括的な意味合いで用いられており、本発明の様々な実施形態においてさらなる特徴の存在や、追加を排除するために用いられているのではない。
また、本発明の主旨と範囲とから逸脱することなく、多くの改変がなされ得ることは、本発明の当業者には理解されるであろう。特に、本発明の実施形態の特定の特徴が、さらなる実施形態を形成するために用いられ得ることは明らかであろう。

Claims (16)

  1. Al還元剤を用いた、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、Pb、Sb、Bi、In、Cd、Ga、Rh、Ir、Ru、Os、Reのうち、1つ以上の金属塩化物の制御された発熱還元のための方法であって、
    ・粉末状の金属または粉末状の金属合金生成物と、塩化アルミニウムを含む副生成物と、を形成するために、前記1つ以上の金属塩化物と、制御粉末と、Al還元剤と、の全てを微粒子状で、25℃から最大温度Tmaxまでの温度で接触させる工程と、
    ・前記粉末状の金属合金生成物から前記副生成物を分離させる工程と、
    を含み、
    ・前記制御粉末は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Mo、またはこれらの合金、またはこれらの化合物のうち、1つ以上を含み、還元反応からの発熱による熱放出を制御することにより、反応温度をTmax未満に保つように作用し、
    ・Tmaxは、400℃から1100℃までであり、ベースとなる前記金属または前記金属合金生成物の融点未満であり、
    ・前記還元反応は、前記還元反応により発生する熱が前記反応温度を600℃まで上昇させないように、制御される、
    ことを特徴とする方法。
  2. 第1工程において、前記金属塩化物は、前記制御粉末と混合されて、反応させられる金属塩化物であり、
    次いで、結果として生じる中間体生成物は、Al還元剤粉末と反応させられる、
    請求項1記載の方法。
  3. 発熱反応により発生する熱を吸収し、反応温度の増加をΔT=600℃未満に制限するために十分な量の前記制御粉末が、含まれ、
    前記金属塩化物1kgあたりの前記制御粉末の量は、M/100からMまでであり、
    Figure 0006611967
    式中、Tmin=Tであり、
    前記制御粉末に対する前記金属塩化物重量比は、0.03:1から100:1までである、
    請求項1または2記載の方法。
  4. 前記制御粉末は、
    塩化アルミニウム、
    をさらに含む、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記金属塩化物は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moのうち、1つ以上の塩化物から選択される、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. ・前記1つ以上の金属塩化物と、任意で、合金添加物前駆体と、を含む材料の第1流を調製する工程と、
    ・前記Al還元剤を含む材料の第2流を調製する工程と、
    ・前記制御粉末を含む材料の第3流を調製する工程と、
    ・前記第1流と前記第2流と前記第3流とを反応ゾーンに供給し、25℃からTmaxまでの温度で混合して、反応させる工程と、
    を含み、
    max は、1100℃未満であり、
    ・前記Al還元剤は、Al系純元素、Al系合金、またはAl系化合物の粉末状、フレーク状、または微粒子状であり、
    ・前記ベースとなる前記金属は、Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moのうち、1つ以上であり、
    ・前記合金添加物前駆体のための前駆体材料は、純元素、前記純元素を含有する、塩化物、酸化物、窒化物、および任意の他の化合物または合金または金属間化合物のうち、1つ以上、を含む、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記T max は、1000℃未満である、
    請求項6記載の方法。
  8. ・前記第1流と前記第2流と前記第3流とからの材料を、温度Tから温度Tまで上昇する温度で第1滞留時間、次いで、TからTmaxまでの温度で第2滞留時間、連続的に供給して、混合する工程、
    を含み、
    は、160℃から600℃までであり、
    は、660℃未満であり、
    は、200℃から700℃までであり、
    maxは、1100℃未満であり、
    ・前記第1滞留時間は、実質的に全ての出発ベースとなる前記金属塩化物を、前記出発ベースとなる前記金属塩化物中の塩素の50重量%未満の塩素含有量になるまで還元するために十分な時間である、
    請求項6または7記載の方法。
  9. 前記金属塩化物は、
    ZnCl、VCl(2,3,4)、CrCl(2,3)、CoCl、SnCl(2,4)、AgCl、TaCl(4,5)、NiCl、FeCl(2,3)、NbCl、CuCl(1,2)、PtCl(4,3,2)、WCl(4,5,6)、PdCl、MoClのうち、1つ以上、
    を含み、
    前記金属塩化物と前記Al還元剤との間の反応は、500℃未満の温度で発熱性であり、前記金属塩化物1moleあたり10kJを超えるエネルギー放出を伴う、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記金属塩化物と前記Al還元剤との間の前記反応により生成される気体状副生成物は、前記金属塩化物と前記Al還元剤の追加の混合を誘発する、
    請求項9記載の方法。
  11. 前記制御粉末は、還元段階または精製段階から部分的に処理された材料または完全に処理された材料であり、
    前記制御粉末中の金属種は、前記1つ以上の金属塩化物の75重量%未満であるCl含有量を有する、
    請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記金属種は、前記1つ以上の金属塩化物の50重量%未満であるCl含有量を有する、
    請求項11記載の方法。
  13. 前記金属塩化物は、中間体還元性種を生成するために、塩化物交換反応および/または単置換反応により、前記制御粉末と反応する、
    請求項1記載の方法。
  14. 合金、化合物、または触媒のうち、1つを生成するための請求項1記載の方法であって、
    Zn、V、Cr、Co、Sn、Ag、Ta、Ni、Fe、Nb、Cu、Pt、W、Pd、Moのうち、1つ以上を含有し、10重量%より多いAlを含有する金属合金生成物を生成するために、請求項1記載の方法を実行する工程と、
    アルカリ金属水酸化物または酸に溶解することにより、Alを除去するさらなる第2工程と、
    を含む、
    方法。
  15. 前記金属塩化物は、
    TaCl、NbCl、MoCl、FeCl、WCl(4,5または6)、VCl(3または4)、またはSnCl
    を含み、
    前記方法は、
    TaCl(0,2,3または4)、NbCl(0,2,3または4)、MoCl(0,2,3または4)、FeCl(0または2)、WCl(0,2,3,4または5)、VCl(0,2または3)、またはSnClを含む中間体生成物を生成するために、前記金属塩化物を還元する初期工程、
    を含む、
    請求項1記載の方法。
  16. 前記金属塩化物は、
    TaCl、NbCl、MoCl、FeCl、WCl(4,5または6)、VCl(3または4)、またはSnCl
    を含み、
    前記方法は、
    ・金属または金属合金と、AlまたはAl合金と、金属亜鉛化物と、の混合物を生成するために、反応ゾーン中、600℃未満の温度で、前記金属塩化物を、制御粉末および前記Al還元剤と反応させる工程と、
    ・前記反応ゾーンから蒸発させられた前記金属塩化物を凝縮させ、前記金属塩化物を前記反応ゾーンに戻す工程であって、
    前記凝縮された前記金属塩化物は、固体粉末状または液体状である、
    工程と、
    ・ベースとなる金属合金を生成するために、金属または金属合金と、AlまたはAl合金と、金属亜鉛化物と、を混合した結果物を処理する工程と、
    を含む、
    請求項1記載の方法。
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