JP6611643B2 - 中空管の作製方法 - Google Patents
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Description
電動オイルポンプは、コントロールバルブの下部に固定されたサブストレーナを介して、オイルパン内のオイルを吸引し、加圧したオイルを、摩擦締結要素などに供給するようになっている。
この樹脂製の中空管は、例えば特許文献1に開示された中空体成型装置を用いて作製される。
そのため、中空管の湾曲部の領域における厚さの差を抑制することが求められている。
長手方向の途中位置に湾曲部を有する樹脂製の中空管を、前記中空管に対応するキャビティを備えた金型内に溶融樹脂を射出したのち、フローティングコアを、前記溶融樹脂が充填された前記キャビティ内を移動させることにより作製する中空管の作製方法において、
前記中空管の前記湾曲部では、当該湾曲部の湾曲方向における内側となる領域の外周にリブが設けられており、
前記溶融樹脂が充填された前記キャビティ内の前記湾曲部となる領域において、前記湾曲方向における内側となる領域の前記リブの部分を含む表面積と、外側となる領域の表面積とが同じになるように設定した。
これにより、フローティングコアが、湾曲部となる領域の湾曲方向における内側と外側の略中間を通って移動するので、作製した樹脂製の中空管の湾曲部での厚さの差を好適に抑制できる。
なお、図1の(a)では、変速機ケース1とオイルパン2を断面で示している。
図2は、サブストレーナ5を説明する図であり、(a)は、コントロールバルブ3の下部に固定されたサブストレーナ5の断面図であり、(b)は、(a)における領域Aの拡大図であり、(c)は、(b)におけるB−B断面図であって、サブストレーナ5のみを示した図である。
オイルストレーナ4は、オイルの吸入口41を、オイルパン2内のオイルOL内に位置させて設けられており、メカオイルポンプ(図示せず)が駆動されると、オイルパン2内のオイルが、吸入口41からオイルストレーナ4内に吸入されたのち、メカオイルポンプ側に供給されるようになっている。
図2の(a)に示すように、サブストレーナ5は、長手方向の途中位置に複数の湾曲部を有する樹脂製の中空管であり、長手方向の全長に亘って略同じ外径で形成された筒状の基部50を有している。
この基部50は、長手方向の一端が、オイルOLの吸入部51、他端が、コントロールバルブ3の下部に開口する連絡孔31(図2の(b)参照)との連結部52となっている。
そして、サブストレーナ5の長手方向の途中位置には、ブラケット6が複数設けられており、サブストレーナ5は、ブラケット6を貫通したボルトBにより、コントロールバルブ3の下面の近傍に固定されている。
そのため、電動オイルポンプ(図示せず)が駆動されると、オイルパン2内のオイルOLが、湾曲部511の開口53aから基部50の中空部53内に吸引されて、中空部53内を連結部52側に移動するようになっている。
このリブ54は、湾曲部522の内側領域522Aを、サブストレーナ5の長手方向(オイルOLの通流方向)に横断して(跨いで)設けられており、湾曲部522を挟んで一方側に位置する基部50から、他方側に位置する接続部521までの範囲に、サブストレーナ5の長手方向に所定長さLで設けられている。
そのため、湾曲部522を湾曲方向の内側(内側領域522A側)から見た側面視において、基部50から接続部521までの範囲であって、湾曲部522の湾曲方向の内側に位置する領域の外周では、板状のリブ54が、サブストレーナ5の長手方向に沿って直線状に延びている。
この平坦面54aは、接続部521と嵌入部523との境界で、コントロールバルブ3の下面32に対して平行に形成されており、嵌入部523を、コントロールバルブ3の連絡孔31に嵌入した際に、コントロールバルブ3の下面32に当接するようになっている。
よって、リブ54は、サブストレーナ5側の嵌入部523を、コントロールバルブ3側の連絡孔31に嵌入して、サブストレーナ5をコントロールバルブ3に連結する際の位置決めに利用できるようになっている。
図3は、サブストレーナの作製を説明する図である。図3の(a)は、湾曲部522にリブ54を有するサブストレーナ5を作製する場合の金型7内の湾曲部522となる領域周りの状態を説明する図であり、(b)は、湾曲部522にリブ54を有しないサブストレーナ5を作製する場合の金型7内の湾曲部522となる領域周りの状態を説明する図である。図3の(c)は、湾曲部522にリブ54を有するサブストレーナ5を作製する際に使用される金型7のリブ54となる領域周りのキャビティの形状を説明する図であって、(a)におけるA−A断面に相当する図であり、(d)は、湾曲部522にリブ54を有するサブストレーナ5を作製したのちの型開きを説明する図である。
この際に、キャビティC内を移動するフローティングコアFが、キャビティCの中心領域側の溶融樹脂Rを押し出すことで、サブストレーナ5の基部50であって、長手方向の一端から他端まで及ぶ中空部53を有する基部50が作製されるようになっている。
その結果、溶融樹脂Rが充填されたキャビティ内の湾曲部となる領域での溶融樹脂Rの固化速度が、湾曲方向における内側となる領域と、外側となる領域とで異なることが影響していることを見いだした。
そのため、湾曲部522における内側領域522Aの表面積の方が、外側領域522Bの表面積よりも狭くなっている。
そのため、キャビティC内への溶融樹脂Rの射出の完了からの経過時間tが同じであっても、湾曲部522における内側領域522A側に形成される固化範囲Rsと、外側領域522B側に形成される固化範囲Rsの形成範囲が異なってしまう(図3の(b)参照)
そのため、フローティングコアFが、固化の遅い内側の領域を通過して、湾曲部となる領域の中央を通過しなくなるので、最終的に作製されたサブストレーナ5では、湾曲部522における内側領域522Aの厚みの方が、外側領域522Bよりも薄くなってしまう。
そして、サブストレーナ5の長手方向におけるリブ54の長さL(図3の(a)参照)と、リブ54の厚みW1(図3の(d)参照)とが、キャビティC内の湾曲部522となる領域において、湾曲方向における内側になる内側領域522Aのリブ54の部分を含む表面積と、外側になる外側領域522Bの表面積とが同じになるように設定されている。
(1)長手方向の途中位置に湾曲部522を有する樹脂製の基部50を備えるサブストレーナ5(中空管)を、サブストレーナ5の外形に対応するキャビティCを備えた金型7内に溶融樹脂Rを射出したのち、キャビティCにおける最終的にサブストレーナ5となる領域の一端から他端までフローティングコアFを移動させることにより作製するサブストレーナ5の作製方法において、
サブストレーナ5の湾曲部522では、当該湾曲部522の湾曲方向における内側となる内側領域522Aの外周にリブ54が設けられており、
溶融樹脂Rが充填されたキャビティC内の湾曲部522となる領域において、湾曲方向における内側となる内側領域522Aのリブ54の部分を含む表面積と、外側となる外側領域522Bの表面積とが同じになるように設定した。
これにより、フローティングコアFが、湾曲部522となる領域の湾曲方向における内側と外側の略中間を通って移動するので、作製したサブストレーナ5における中空状の基部50では、湾曲部522における内側の領域と外側の領域で、厚みに差が生じることを好適に抑制される。
また、湾曲方向における内側(内側領域522A側)から見た湾曲部522の幅方向の中央にリブ54が設けられているので、リブ54を設けるために、金型7の型分割面Ln(図3の(c)参照)を大きく変更することなく、型分割面Lnにリブ54となる領域Cbを設けるだけで、湾曲部522にリブ54を有する樹脂製のサブストレーナ5を作製できる。
また、可動型71と可動型72との対向面に形成される凹部71a、72aを大きく変更することなく、可動型71と可動型72とを接合した金型7内のキャビティCに、リブ54となる領域Cbを簡単に作成することが可能になる。
リブ54の嵌入部523側には、嵌入部523が連絡孔31に所定量嵌入された時点でコントロールバルブ3の連絡孔31の周縁(下面32)に当接する平坦面54a(当接部)が設けられている構成とした。
また、リブ54に設けた平坦面54aが、嵌入部523の連絡孔31への嵌入長を決めるストッパとして機能するので、コントロールバルブ3とサブストレーナ5との位置決めを適切に行うことができる。
サブストレーナ5におけるリブを設ける位置は、この態様に限定されるものではなく、他の湾曲部に設けても良い。
例えば、オイルOLの吸入部51を構成している湾曲部511に設けた構成としても良い(図2の(a)、仮想線、符号51A参照)。
この場合には、湾曲部511の湾曲方向の内側の外周に、長手方向に沿ってリブ51Aが設けられることになるので、オイルOLの吸入部51周りが、自動変速機を搭載した車両の振動などにより破断することを好適に防止できることになる。
2 オイルパン
3 コントロールバルブ
31 連絡路
32 下面
4 オイルストレーナ
5 サブストレーナ
50 基部
51 吸入部
510 直線部
511 湾曲部
52 連結部
521 接続部
522 湾曲部
522A 内側領域
522B 外側領域
523 嵌入部
53 中空部
53a 開口
54 リブ
54a 平坦面
7 金型
71 可動型
72 可動型
6 ブラケット
B ボルト
C キャビティ
F フローティングコア
Ln 型分割面
OL オイル(フルード)
R 溶融樹脂
Rs 固化範囲
S シールリング(Oリング)
Claims (5)
- 長手方向の途中位置に湾曲部を有する樹脂製の中空管を、前記中空管に対応するキャビティを備えた金型内に溶融樹脂を射出したのち、フローティングコアを、前記溶融樹脂が充填された前記キャビティ内を移動させることにより作製する中空管の作製方法において、
前記中空管の前記湾曲部では、当該湾曲部の湾曲方向における内側となる領域の外周にリブが設けられており、
前記溶融樹脂が充填された前記キャビティ内の前記湾曲部となる領域において、前記湾曲方向における内側となる領域の前記リブの部分を含む表面積と、外側となる領域の表面積とが同じになるように設定したことを特徴とする中空管の作製方法。 - 前記リブは、前記湾曲部の前記湾曲方向における内側から見て、前記湾曲部の幅方向の厚みよりも薄い板状を成しており、前記湾曲部の幅方向の中央部に前記長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空管の作製方法。
- 前記中空管において前記リブは、前記湾曲部を前記長手方向における一方側から他方側に跨いて設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中空管の作製方法。
- 前記長手方向における前記湾曲部を挟んだ一方側には、相手側部材の嵌合孔に嵌入される嵌入部が設けられており、
前記リブの前記嵌入部側には、前記嵌入部が前記嵌合孔に所定量嵌入された時点で、前記相手側部材に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の中空管の作製方法。 - 前記中空管は、車両用の自動変速機のコントロールバルブの下部に固定されるサブストレーナであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の中空管の作製方法。
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