JP6611298B2 - 免疫賦活活性を有する核酸誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫賦活活性を有する核酸誘導体に関する。より詳細には、第1の鎖がCpGオリゴヌクレオチドであり、第2の鎖に脂質が結合している二本鎖オリゴヌクレオチドに関する。
感染症や癌領域で利用される医薬品であるワクチンは、抗原に対する特異的な免疫応答を利用している。アジュバントとは、ワクチンの免疫応答の有効性や持続性を高めるために利用される、免疫賦活活性を有する化合物であり、アルミニウム塩、乳化剤、リポソーム等これまで様々な種類のアジュバントが研究開発されている(非特許文献1等)。
アジュバントの一つとして、非メチル化シトシン-グアニンのジヌクレオチド(5’‐CpG−3’)モチーフを含有する一本鎖のオリゴデオキシヌクレオチド(ssCpG ODN)が知られている。ssCpG ODNは、TLR9(Toll−like receptor 9)のリガンドであり、TLR9を介して非常に効率的にTh1免疫や細胞傷害性T細胞(CTL)反応を誘導し、免疫を賦活化する(非特許文献1)。但し、ssCpG ODNを単独で用いるには、生体内での安定性、毒性、体内動態等に課題がある。その課題を解決する手段として、脂質の二重膜で形成されたナノ粒子内にssCpG ODNを封入する方法(非特許文献2)、脂質をssCpG ODNの5’末端に結合する方法(非特許文献3、特許文献1)等が知られている。
また、ssCpG ODNを第1の鎖と第2の鎖としてアニーリングすることにより、二本鎖DNA(dsCpG ODN)として投与するとアジュバントとしての特性が失われることが知られている(非特許文献4)。非特許文献5には、dsCpG ODNのみでは免疫賦活作用を示さないが、リポフェクチン粒子にdsCpG ODNを封入するとCpGモチーフ、GpCモチーフに関わらず、免疫賦活活性を示すことが記載されている。
国際公開第2013/151771号
Trends in immunology, 2009, 30(1), 23−32 Advanced Drug Delivery Review, 2009, 61(3), 233−242 Nature, 2014, 507, 519−522 Eur. J. Immunol., 2003, 33, 1382−1392 BMB reports, 2010, 43(3), 164−169
本発明の目的は、ワクチンのアジュバント及び/又はワクチンそのものとして利用可能な新規の免疫賦活活性を有する核酸誘導体を提供することにある。
非特許文献4及び5には、dsCpG ODNを投与しても免疫賦活活性を示さないことが記載されている。さらに、非特許文献5にはリポフェクチン粒子にdsCpG ODNを封入するとCpGモチーフ(ODN4531)、GpCモチーフ(ODN4531GC)に関わらず、つまり、CG配列とは独立した方法で、IL−8及びHLR−DRA発現を誘導したことが記載されている。dsCpG ODNはssCpG ODNと比較して細胞内でより早く分解されることから、リポフェクチン粒子に封入されたdsCpG ODNが免疫賦活活性を示した理由は、リポフェクチン粒子に封入されることにより、dsCpG ODNが早期の分解から保護されていることかもしれないと記載されている(165頁、右欄、14〜16行目)。
本発明者らは、鋭意研究の結果、第1の鎖がCpGオリゴヌクレオチドであり、第2の鎖が該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、該第2の鎖に脂質が結合している二本鎖オリゴヌクレオチド(本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド)を合成した。該本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドをアジュバントとして癌抗原ペプチドと共に投与することにより、該ワクチンによる抗原特異的CTLの誘導率が向上し、抗腫瘍効果を示すことを見出した(本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドをアジュバントとして利用する場合、「本発明のアジュバント」とも称する)。また、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの中には、単独で強力な抗腫瘍効果を示すもの、つまり癌ワクチンとして利用可能なものが存在することを見出した(本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドをワクチンとして利用する場合、「本発明のワクチン」とも称する)。つまり、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、免疫賦活活性を有する。また、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは代謝安定性及び水溶性がよく、毒性が低く、医薬として使用するために十分安全である。
例えば、第2の鎖がDNAヌクレオチドである本発明のアジュバント、糖の2’位にOMeを有するヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである本発明のアジュバント、又は、糖の2’位にFを有するヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである本発明のアジュバントを癌抗原ペプチドと共に投与すると、ssCpG ODNと比較して、CTL誘導率の上昇や強い抗腫瘍効果を示した(実施例3、結果1−A,B、結果7−A,B、結果9−A,B等)。一方、第2の鎖がRNAオリゴヌクレオチドである脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド(SEQ−40)は抗腫瘍効果を示さなかった(結果7−B)。
14個〜24個の炭素原子を含むアシル鎖を2本含む脂質を第2の鎖の3’末端又は5’末端に結合した本発明のアジュバントを癌抗原ペプチドと共に投与すると、ssCpG ODNと比較して強い抗腫瘍効果を示した(実施例3、結果2−A,B等)。一方、10個の炭素原子を含むアシル鎖を2本含む脂質が第2の鎖の5’末端に結合した二本鎖オリゴヌクレオチド(SEQ−12)を癌抗原ペプチドと共に投与しても、ssCpG ODNと比較して抗腫瘍効果の向上は見られなかった。また、12個〜20個の炭素原子を含むアシル鎖を2本含む脂質を第2の鎖の3’末端又は5’末端に結合し、さらに、もう一方の末端に脂質が結合した本発明のアジュバントを癌抗原ペプチドと共に投与すると、ssCpG ODNと比較してCTL誘導率の上昇や強い抗腫瘍効果を示した(実施例3、結果3−A,B等)。
第2の鎖の長さが第1の鎖(CpGオリゴヌクレオチド)に対して50%〜100%である本発明のアジュバントを癌抗原ペプチドと共に投与すると、ssCpG ODNと比較してCTL誘導率の上昇や強い抗腫瘍効果を示した(実施例3、結果4−A,B、結果5−A、結果8−A,B、結果9−A,B等)。
第2の鎖にオリゴヌクレオチドリンカー(例えば、dGdG、dTdT、dAdA等)を介して脂質が結合している本発明のアジュバントを癌抗原ペプチドと共に投与すると、オリゴヌクレオチドリンカーを介さない本発明のアジュバントと比較して、さらにCTL誘導率の上昇や強い抗腫瘍効果を示した(実施例3、結果8−A,B等)。
また、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、全身毒性がなく、安全性が高いことが示唆された(実施例5)。
さらに、感染症疾患の原因となる緑膿菌由来のPCRVタンパク質と共に免疫した結果、本発明のアジュバントは、感染症ワクチンのアジュバントとしても免疫賦活活性を示した(実施例6)。
また、第2の鎖にオリゴヌクレオチドリンカー(dGdGdGdGdG)を介して脂質が結合している本発明のアジュバント(SEQ−121)を単独で投与すると、ssCpG ODNと比較して、強い抗腫瘍効果を示した(実施例4)。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(A1)第1の鎖が、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖が、該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチド(但し、RNAオリゴヌクレオチドを除く)であり、
第2の鎖の長さが、第1の鎖の長さに対して50%以上の長さであり、
第2の鎖に炭素数12〜30の炭化水素鎖を含む脂質がリンカーを介して結合している二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A2)第2の鎖のオリゴヌクレオチドが、DNAヌクレオシド及び/又はヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである、(A1)に記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A3)ヌクレオシド誘導体が、糖の2’位に置換基を有するヌクレオシド及び/又は糖の4’位と2’位との間に架橋構造を有するヌクレオシドである、(A2)に記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A4)糖の4’位と2’位との間に架橋構造が、4’−(CH)m−O−2’(mは1〜4の整数)である、(A3)記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A5)脂質が、ジアシル脂質である、(A1)〜(A4)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A6)脂質が、第2の鎖の3’末端及び/又は5’末端に結合している、(A1)〜(A5)に記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A7)リンカーが、オリゴヌクレオチドリンカーである、(A1)〜(A6)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A8)該リンカーが、−(dX)u−(ここで、Xはそれぞれ独立して、A、G、C又はTであり、uは1〜8の整数である)である、(A7)記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A9)SEQ−61、SEQ−119、SEQ−121、SEQ−170及びSEQ−192からなる群から選択される、(A1)記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A10)SEQ−59、SEQ−166、SEQ−168、SEQ−216、SEQ−272、SEQ−280、SEQ−290、SEQ−294、SEQ−310、SEQ−373、及びSEQ−384 からなる群から選択される、(A1)記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A11)(A1)〜(A10)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
(A12)抗原をさらに含む、(A11)記載の医薬組成物。
(A13)(A1)〜(A10)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを投与することを特徴とする、癌又は感染性疾患の治療又は予防方法。
(A14)癌又は感染性疾患の治療又は予防剤を製造するための、(A1)〜(A10)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドの利用。
(A15)癌又は感染性疾患を治療又は予防するための、(A1)〜(A10)いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチド。
(A16)抗原が、微生物抗原、自己抗原又は習慣性物質である、(A12)記載の医薬組成物。
(A18)微生物抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原又は寄生生物抗原である、(A16)記載の医薬組成物。
(A18)自己抗原が、癌抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原又はヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である、(A16)記載の医薬組成物。
(A19)習慣性物質が、ニコチン又はコカインである、(A16)記載の医薬組成物。
(A20)被験体における免疫応答を増大させるための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の(A12)、(A16)〜(A19)いずれかに記載の医薬組成物を投与して、該被験体における免疫応答を増大させる工程を含む、方法。
(A21)該免疫応答が、コントロールと比較して、誘導される特異的細胞傷害性T細胞の誘導率の上昇である、(A20)に記載の方法。
(A22)該被験体が、癌又は感染性疾患を有する、(A20)又は(A21)に記載の方法。
また、本発明は、以下も包含する。
(B1)第1の鎖が、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖が、該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖に脂質がリンカーを介して結合している二本鎖オリゴヌクレオチドからなるアジュバント。
(B2)第2の鎖のオリゴヌクレオチドが、DNAヌクレオシド及び/又はヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである、(B1)に記載のアジュバント。
(B3)ヌクレオシド誘導体が、糖の2’位に置換基を有するヌクレオシド及び/又は糖の4’位と2’位との間に架橋構造を有するヌクレオシドである、(B2)に記載のアジュバント。
(B4)該置換基が、OCHである、(B3)記載のアジュバント。
(B5)脂質が、ジアシル脂質である、(B1)〜(B4)いずれかに記載のアジュバント。
(B6)該ジアシル脂質のアシル鎖が、14〜30個の炭素原子を含む、(B5)記載のアジュバント。
(B7)脂質が、第2の鎖の5’末端に結合している、(B5)又は(B6)記載のアジュバント。
(B8)第2の鎖の長さが、第1の鎖の長さに対して50%以上の長さである、(B1)〜(B7)いずれかに記載のアジュバント。
(B9)リンカーが、オリゴヌクレオチドリンカーである、(B1)〜(B9)いずれかに記載のアジュバント。
(B10)該リンカーが、dXdX(ここで、X又はXは、A、G、C又はTである)である、(B9)記載のアジュバント。
(B11)抗原及び(B1)〜(B10)いずれかに記載のアジュバントを含む、ワクチン組成物。
(B12)抗原が、微生物抗原、自己抗原又は習慣性物質である、(B11)記載のワクチン組成物。
(B13)微生物抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原又は寄生生物抗原である、(B12)記載のワクチン組成物。
(B14)自己抗原が、癌抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原又はヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である、(B12)記載のワクチン組成物。
(B15)習慣性物質が、ニコチン又はコカインである、(B12)記載のワクチン組成物。
(B16)被験体における免疫応答を増大させるための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の(B11)〜(B15)いずれかに記載のワクチン組成物を投与して、該被験体における免疫応答を増大させる工程を含む、方法。
(B17)該免疫応答が、コントロールと比較して、誘導される特異的細胞傷害性T細胞の誘導率の上昇である、(B16)に記載の方法。
(B18)該被験体が、癌又は感染性疾患を有する、(B16)又は(B17)に記載の方法。
(B19)癌又は感染性疾患を処置するための方法であって、該方法は、被験体に、有効量の(B11)〜(B14)いずれかに記載のワクチン組成物を投与して、コントロールと比較して、該癌又は感染性疾患の1以上の症状を低減する工程を含む、方法。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、標的抗原に対してより優れた免疫賦活活性を示す。全身毒性も見られなかったことから、ワクチンのアジュバント及び/又はワクチンそのものとして医薬品への応用が期待される。
ssCpG ODN(ODN1826、SEQ−1)、dsCpG ODN(SEQ−4)又は本発明のアジュバント(SEQ−16)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN1826、SEQ−1)又は両末端に脂質を有する本発明のアジュバント(SEQ−46及びSEQ−48)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN1826、SEQ−1)、脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ−2)又は相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバント(SEQ−8及びSEQ−10)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN1826、SEQ−1)、脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ−2)、本発明のアジュバント(SEQ−26)又はモンタナイドを癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN1826、SEQ−1)、脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ−2)又は本発明のアジュバント(SEQ−38)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)、相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバント(SEQ−51及びSEQ−61)又はリンカーを有する本発明のアジュバント(SEQ−63及びSEQ−65)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又は相補鎖の核酸モノマーが2’−OMe―RNAである本発明のアジュバント(SEQ−67及びSEQ−69)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又はオリゴヌクレオチドリンカーを有する本発明のアジュバント(SEQ−119及びSEQ−192)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又はオリゴヌクレオチドリンカーを有する本発明のアジュバント(SEQ−121)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又はオリゴヌクレオチドリンカーを有する本発明のアジュバント(SEQ−152及びSEQ−158)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又は3’末端及び/又は5’末端に脂質が結合している本発明のアジュバント(SEQ−188、SEQ−192及びSEQ−194)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又はオリゴヌクレオチドリンカーを有する本発明のアジュバント(SEQ−164)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又は3’末端のみに脂質を有する本発明のアジュバント(SEQ−170)を癌抗原ペプチド(TRP2ペプチド)と共に投与した際の抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)又は本発明のワクチン(SEQ−121)の癌抗原ペプチド非存在下における抗腫瘍効果 ssCpG ODN(ODN2006、SEQ−49)、本発明のアジュバント(SEQ−61及びSEQ−121)又はFreund’sアジュバント使用時のPCRV抗原ワクチンの皮下投与による抗体価
本明細書において使用される用語は、特に言及する場合を除いて、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。
本発明においては、当該分野で公知の遺伝子操作方法の使用が可能である。例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Forth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2012)、Current Protocols Essential Laboratory Techniques, Current Protocols (2012)に記載された方法等が挙げられる。
以下に本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、又は他の用語と一緒になって使用されている場合も、特に記載の無い限り、同一の意義を有する。
本明細書において「アジュバント」とは、ワクチン抗原の免疫応答の有効性や持続性を高めるために利用される、免疫賦活活性を有する化合物を意味する。
「ヌクレオシド」とは、核酸塩基と糖とがN−グリコシド結合をした化合物を意味する。 「オリゴヌクレオチド」とは、同一又は異なるヌクレオシドがリン酸ジエステル結合などのヌクレオシド間結合で複数個結合したヌクレオチドを意味する。
オリゴヌクレオチドにおける糖と糖の間の結合(ヌクレオシド間結合)は、天然の核酸が有する結合、ホスホジエステル(D−オリゴ)でもよいし、人工的に修飾がなされた結合又はリン原子を有していない結合であってもよい。当該分野で公知の結合であれば、いずれも利用可能である。人工的に修飾がなされた結合としては、ホスホロチオエート(S−オリゴ)、メチルホスホネート(M−オリゴ)、ボラノホスホネート等が挙げられる。また、国際公開第2013/022966号、国際公開第2011/005761号、国際公開第2014/012081号、国際公開第2015/125845号等に記載の結合も利用可能である。リン原子を有していない結合としては、アルキル、非芳香族炭素環式基、ハロアルキル、ハロゲンで置換された非芳香族炭素環式基等から誘導される二価の置換基が挙げられる。例えば、シロキサン、スルフィド、スルホキシド、スルホン、アセチル、ギ酸アセチル、チオギ酸アセチル、メチレンギ酸アセチル、チオギ酸アセチル、アルケニル、スルファマート、メチレンイミノ、メチレンヒドラジノ、スルホナート、スルホンアミド、アミド等から誘導される二価の置換基である。オリゴヌクレオチド中、全て同じ結合でもよいし、異なる結合を含んでいてもよい。
本明細書において、「DNAヌクレオシド」又は「RNAヌクレオシド」とは、天然のDNAヌクレオシド又は天然のRNAヌクレオシドであり、オリゴヌクレオチドを構成する1単位であるヌクレオチドの一部を意味する。「天然のDNAヌクレオシド」とは、以下を意味する。
Figure 0006611298

(式中、BX1は、アデニン、グアニン、シトシン又はチミンである。)
「天然のRNAヌクレオシド」とは、以下を意味する。
Figure 0006611298

(式中、BX2は、アデニン、グアニン、シトシン又はウラシルである。)
「DNAオリゴヌクレオチド」とは、DNAヌクレオシドが複数個結合したオリゴヌクレオチドであり、「RNAオリゴヌクレオチド」とは、RNAヌクレオシドが複数個結合したオリゴヌクレオチドである。
本明細書において、「ヌクレオシド誘導体」とは、DNAヌクレオシド又はRNAヌクレオシドの核酸塩基及び/又は糖部位に人工的な修飾がなされたヌクレオシドを意味する。当該分野で公知のヌクレオシドの修飾であれば、いずれも利用可能である。
核酸塩基の修飾としては、例えば、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、5−プロピニルシトシン等が挙げられる。
糖部位の修飾としては、例えば、糖の2’位の置換が挙げられる。具体的には、2’-F、2’-OCH(2’-OMe)、2’-OCHCHOCH(2’-MOE)等である。
また、例えば、以下の糖の4’位と2’位との間の架橋構造が挙げられる。
4’−(CR)m−O−2’、4’−(CR)m−S−2’、4’−(CR)m−O−C(=O)−2’、4’−(CR)m−NR−O−(CR)m−2’、4’−(CR)m-C(=O)−NR−2’又は4’−(CR)m-C(=O)−NR−Y−2’、4’−(CR)m−SO−NR−2’、又は
Figure 0006611298

であり、
ここで、
は、O、S、NH又はCHであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基、置換若しくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換若しくは非置換の芳香族複素環式基、置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基、置換若しくは非置換の芳香族炭素環アルキル、置換若しくは非置換の非芳香族炭素環アルキル、置換若しくは非置換の芳香族複素環アルキル又は置換若しくは非置換の非芳香族複素環アルキルであり、
はCR又はNであり、
はCR又はNであり、
はCR又はNであり、
、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルアミノ、置換若しくは非置換のアルケニルカルボニルアミノ、置換若しくは非置換のアルキニルカルボニルアミノ、置換若しくは非置換のアルキルカルバモイル、置換若しくは非置換のアルケニルカルバモイル又は置換若しくは非置換のアルキニルカルバモイルであり、
mは、1〜4の整数であり、
は、0〜3の整数であり、
は、0又は1である。
及びRは、好ましくは、水素原子である。
は、好ましくは、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、芳香族炭素環アルキル、非芳香族炭素環アルキル、芳香族複素環アルキル又は非芳香族複素環アルキルであり、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい。
α群は、水酸基、アルキル、アルキルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ又はハロゲンである。
該架橋構造として、好ましくは、4’−(CR)m−O−2’又は4’−(CR)m-C(=O)−NR−2’(AmNA、Bridged nucleic acid)であり、
ここで、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
mは、1〜4の整数であり、
は、0〜2の整数である。
該架橋構造として、特に好ましくは、4’−(CH)m−O−2’(mは1〜4の整数)又は、4’−C(=O)−NR−2’(Rは、水素原子又はアルキルである)である。
4’−(CH)m−O−2’(mは1〜4の整数)の中で、特に好ましくは4’−CH−O−2’(LNA、Locked nucleic acid)である。具体例及びその調製方法は、国際公開第98/39352号、国際公開第2003/068795号、国際公開第2005/021570号等に記載されている。
4’−C(=O)−NR−2’(Rは、水素原子又はアルキルである)の中で、特に好ましくは4’−C(=O)−NCH−2’である。具体例及びその調製方法は、国際公開第2011/052436号に記載されている。
当該分野で公知のヌクレオチドの修飾及び修飾方法については、例えば、以下の特許文献にも開示されている。
国際公開第98/39352号、国際公開第99/014226号、国際公開2000/056748、国際公開第2005/021570号、国際公開第2003/068795号、国際公開第2011/052436号、国際公開第2004/016749号、国際公開第2005/083124号、国際公開2007/143315号、国際公開第2009/071680号、国際公開2014/112463号、国際公開2014/126229号等。
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子、及び塩素原子が好ましい。
「アルキル」とは、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルが挙げられる。
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等を包含する。これらはさらに任意の位置に二重結合を有していてもよい。
「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルが挙げられる。
「芳香族炭素環式基」とは、単環又は2環以上の、環状芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の好ましい態様として、フェニルが挙げられる。
「非芳香族炭素環式基」とは、単環又は2環以上の、環状飽和炭化水素基又は環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。2環以上の非芳香族炭素環式基は、単環又は2環以上の非芳香族炭素環式基に、「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、又はスピロ環を形成する基も包含する。
Figure 0006611298

単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3〜16が好ましく、より好ましくは炭素数3〜12、さらに好ましくは炭素数4〜8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
「芳香族複素環式基」とは、O、S及びNから任意に選択される同一又は異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環又は2環以上の、芳香族環式基を意味する。
2環以上の芳香族複素環式基は、単環又は2環以上の芳香族複素環式基に、「芳香族炭素環式基」及び/又は「非芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
単環の芳香族複素環式基としては、5〜8員が好ましく、より好ましくは5員又は6員である。例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
「非芳香族複素環式基」とは、O、S及びNから任意に選択される同一又は異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環又は2環以上の、環状非芳香族環式基を意味する。
2環以上の非芳香族複素環式基は、単環又は2環以上の非芳香族複素環式基に、「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」及び/又は「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、又はスピロ環を形成する基も包含する。
Figure 0006611298

単環の非芳香族複素環式基としては、3〜8員が好ましく、より好ましくは5員又は6員である。例えば、ジオキサニル、チイラニル、オキシラニル、オキセタニル、オキサチオラニル、アゼチジニル、チアニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキソラニル、ジオキサジニル、アジリジニル、ジオキソリニル、オキセパニル、チオラニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環式基としては、例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル等が挙げられる。
「アルキルオキシ」とは、「アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、へキシルオキシ等が挙げられる。
「アルキルオキシ」の好ましい態様として、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert−ブチルオキシが挙げられる。
「ハロアルキル」とは、1以上の「ハロゲン」が「アルキル」に結合した基を意味する。例えば、モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、モノフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、モノクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,2−ジブロモエチル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル等が挙げられる。
「ハロアルキル」の好ましい態様として、トリフルオロメチル、トリクロロメチルが挙げられる。
「アルキルチオ」とは、「アルキル」が硫黄原子に結合した基を意味する。
「アルキルアミノ」には、モノアルキルアミノとジアルキルアミノが含まれる。
「モノアルキルアミノ」とは、「アルキル」がアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1個と置き換わった基を意味する。例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ等が挙げられる。好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノが挙げられる。
「ジアルキルアミノ」とは、「アルキル」がアミノ基の窒素原子と結合している水素原子2個と置き換わった基を意味する。2個のアルキルは、同一でも異なっていてもよい。例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、N−イソプロピル−N−エチルアミノ等が挙げられる。好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノが挙げられる。
「アルキルカルボニルアミノ」とは、アルキルカルボニルがアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルキルカルボニル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、ジメチルカルボニルアミノ、ジエチルカルボニルアミノ、N,N−ジイソプロピルカルボニルアミノ等が挙げられる。
「アルキルカルボニルアミノ」の好ましい態様としては、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノが挙げられる。
「アルケニルカルボニルアミノ」とは、アルケニルカルボニルがアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルケニルカルボニル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、ビニルカルボニルアミノ、プロペニルカルボニルアミノ等が挙げられる。
「アルキニルカルボニルアミノ」とは、アルキニルカルボニルがアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルキニルカルボニル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、エチニルカルボニルアミノ、プロピニルカルボニルアミノ等が挙げられる。
「アルキルカルバモイル」とは、「アルキル」がカルバモイル基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル等が挙げられる。
「アルケニルカルバモイル」とは、「アルケニル」がカルバモイル基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルケニル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、ビニルカルバモイル、プロペニルカルバモイル等が挙げられる。
「アルキニルカルバモイル」とは、「アルキニル」がカルバモイル基の窒素原子と結合している水素原子1個又は2個と置き換わった基を意味する。2個の場合、それぞれのアルキニル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、エチニルカルバモイル、プロピニルカルバモイル等が挙げられる。
「芳香族炭素環アルキル」、「非芳香族炭素環アルキル」、「芳香族複素環アルキル」、及び「非芳香族複素環アルキル」のアルキル部分も、「アルキル」と同様である。
「芳香族炭素環アルキル」とは、1以上の「芳香族炭素環式基」で置換されているアルキルを意味する。例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル、以下に示される基
Figure 0006611298

等が挙げられる。
「芳香族炭素環アルキル」の好ましい態様としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルが挙げられる。
「非芳香族炭素環アルキル」とは、1以上の「非芳香族炭素環式基」で置換されているアルキルを意味する。また、「非芳香族炭素環アルキル」は、アルキル部分が「芳香族炭素環式基」で置換されている「非芳香族炭素環アルキル」も包含する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロへキシルメチル、以下に示される基
Figure 0006611298

等が挙げられる。
「芳香族複素環アルキル」とは、1以上の「芳香族複素環式基」で置換されているアルキルを意味する。また、「芳香族複素環アルキル」は、アルキル部分が「芳香族炭素環式基」及び/又は「非芳香族炭素環式基」で置換されている「芳香族複素環アルキル」も包含する。例えば、ピリジルメチル、フラニルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、ベンゾチオフェニルメチル、オキサゾリルメチル、イソキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、イソチアゾリルメチル、ピラゾリルメチル、イソピラゾリルメチル、ピロリジニルメチル、ベンズオキサゾリルメチル、以下に示される基
Figure 0006611298

等が挙げられる。
「非芳香族複素環アルキル」とは、1以上の「非芳香族複素環式基」で置換されているアルキルを意味する。また、「非芳香族複素環アルキル」は、アルキル部分が「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」及び/又は「芳香族複素環式基」で置換されている「非芳香族複素環アルキル」も包含する。例えば、テトラヒドロピラニルメチル、モルホリニルエチル、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、以下に示される基
Figure 0006611298

等が挙げられる。
「置換若しくは非置換のアルキル」、「置換若しくは非置換のアルケニル」、「置換若しくは非置換のアルキニル」、「置換若しくは非置換のアルキルオキシ」、「置換若しくは非置換のアルキルカルボニルアミノ」、「置換若しくは非置換のアルケニルカルボニルアミノ」、「置換若しくは非置換のアルキニルカルボニルアミノ」、「置換若しくは非置換のアルキルカルバモイル」、「置換若しくは非置換のアルケニルカルバモイル」又は「置換若しくは非置換のアルキニルカルバモイル」の置換基としては、次の置換基が挙げられる。任意の位置の炭素原子が次の置換基から選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、トリアルキルシリル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、モノアルキルカルボニルアミノ、ジアルキルカルボニルアミノ、モノアルキルスルホニルアミノ、ジアルキルスルホニルアミノ、アルキルイミノ、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アルキルカルボニルイミノ、アルケニルカルボニルイミノ、アルキニルカルボニルイミノ、アルキルオキシイミノ、アルケニルオキシイミノ、アルキニルオキシイミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルスルファニル、アルケニルスルファニル、アルキニルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、モノアルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイル、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、芳香族炭素環オキシ、非芳香族炭素環オキシ、芳香族複素環オキシ、非芳香族複素環オキシ、芳香族炭素環カルボニル、非芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環カルボニル、芳香族炭素環オキシカルボニル、非芳香族炭素環オキシカルボニル、芳香族複素環オキシカルボニル、非芳香族複素環オキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルオキシ、非芳香族炭素環アルキルオキシ、芳香族複素環アルキルオキシ、非芳香族複素環アルキルオキシ、芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルアミノ、非芳香族炭素環アルキルアミノ、芳香族複素環アルキルアミノ、非芳香族複素環アルキルアミノ、芳香族炭素環スルファニル、非芳香族炭素環スルファニル、芳香族複素環スルファニル、非芳香族複素環スルファニル、非芳香族炭素環スルホニル、芳香族炭素環スルホニル、芳香族複素環スルホニル、及び非芳香族複素環スルホニル。なお、上記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい。
「置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基」、「置換若しくは非置換の非芳香族炭素環式基」、「置換若しくは非置換の芳香族複素環式基」、及び「置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基」の「芳香族炭素環」、「非芳香族炭素環」、「芳香族複素環」及び
「非芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基が挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基から選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、トリアルキルシリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、モノアルキルカルボニルアミノ、ジアルキルカルボニルアミノ、モノアルキルスルホニルアミノ、ジアルキルスルホニルアミノ、アルキルイミノ、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アルキルカルボニルイミノ、アルケニルカルボニルイミノ、アルキニルカルボニルイミノ、アルキルオキシイミノ、アルケニルオキシイミノ、アルキニルオキシイミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルスルファニル、アルケニルスルファニル、アルキニルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、モノアルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイル、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、芳香族炭素環オキシ、非芳香族炭素環オキシ、芳香族複素環オキシ、非芳香族複素環オキシ、芳香族炭素環カルボニル、非芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環カルボニル、芳香族炭素環オキシカルボニル、非芳香族炭素環オキシカルボニル、芳香族複素環オキシカルボニル、非芳香族複素環オキシカルボニル、芳香族炭素環アルキル、非芳香族炭素環アルキル、芳香族複素環アルキル、非芳香族複素環アルキル、芳香族炭素環アルキルオキシ、非芳香族炭素環アルキルオキシ、芳香族複素環アルキルオキシ、非芳香族複素環アルキルオキシ、芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、非芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、芳香族複素環アルキルオキシアルキル、非芳香族複素環アルキルオキシアルキル、芳香族炭素環アルキルアミノ、非芳香族炭素環アルキルアミノ、芳香族複素環アルキルアミノ、非芳香族複素環アルキルアミノ、芳香族炭素環スルファニル、非芳香族炭素環スルファニル、芳香族複素環スルファニル、非芳香族複素環スルファニル、非芳香族炭素環スルホニル、芳香族炭素環スルホニル、芳香族複素環スルホニル、及び非芳香族複素環スルホニル。なお、上記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい。
また、「置換若しくは非置換の非芳香族炭素環式基」及び「置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基」は「オキソ」で置換されていてもよい。この場合、以下のように炭素原子上の2個の水素原子が置換されている基を意味する。
Figure 0006611298
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは
第1の鎖が、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖が、該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖に脂質がリンカーを介して結合している二本鎖オリゴヌクレオチド
からなる。
より、好ましくは、
第1の鎖が、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドであり、
第2の鎖が、該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチド(但し、RNAオリゴヌクレオチドを除く)であり、
第2の鎖の長さが、第1の鎖の長さに対して50%以上の長さであり、
第2の鎖に炭素数12〜30の炭化水素鎖を含む脂質がリンカーを介して結合している二本鎖オリゴヌクレオチド
である。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第1の鎖は、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドである。
「CpGオリゴヌクレオチド(CpG ODN)」とは、非メチル化シトシン-グアニンのジヌクレオチド(5’‐CpG−3’)モチーフ(CpGモチーフ)を含有する一本鎖のオリゴヌクレオチドであり、TLR9を介して獲得免疫反応を誘導することから、ワクチンアジュバントとして使用可能であることが知られている(Nat Rev Drug Discov,2006,5,471−484、Expert Rev Vaccines.,2011,10(4),499-511)。本発明に使用されるCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのCpGモチーフを含み、複数のCpGモチーフを含んでいてもよい。
本発明に使用されるCpGオリゴヌクレオチドの長さは、8〜50塩基である。例えば、8〜50塩基、8〜40塩基、8〜30塩基、10〜25塩基、15〜25塩基、18塩基〜25塩基等である。
「CpGオリゴヌクレオチド」としては、当該分野で免疫賦活活性が知られている公知のCpGオリゴヌクレオチドであれば、特に限定されない。例えば、国際公開第2006/065751号、国際公開第2007/092315号、国際公開第2008/068638号、国際公開2010/067262号、国際公開第2010/125480号、国際公開第2014/047588号、国際公開第2014/134698号、国際公開第2015/041318号、米国特許出願公開第2011/0300163号明細書等に合成法とCpGオリゴヌクレオチドが挙げられる。これらのCpGオリゴヌクレオチドは上記文献に記載の方法を参照して合成可能である。
CpGオリゴヌクレオチドは、配列、二次構造及びヒト末梢血単核細胞(PBMC)に対する影響に基づいて、クラスA、クラスB、クラスC、クラスP、クラスSに分類される(Advanced drug delivery reviews, 2009, 61(3),195−204)。
クラスA:ODN1585、ODN2216、ODN2336等;
クラスB:ODNBW006、ODN D−SL01、ODN1668(国際公開第2005/063264号)、OND1826(国際公開第2007/030580号)、OND2006(CpG7909、PF−3512676)(国際公開第98/18810号)、ODN2007、ODN684等;
クラスC:ODN D−SL03、ODN 2395、ODN M362等が挙げられる。これらは、研究用試薬としてInvivoGen社から購入することもできる。また、その他、
CpG−28(国際公開第2000/056342号)、
CpG−685(GNKG−168)(Blood, 2010, 115(24), 5041)
CpG−ODN C274(PLoS ONE, 2013, 8(4), e62373)
KSK−13(KSK−CpG)(米国特許第7408050号明細書)
CpG ODN 10104(CpG−10104)(Drug Data Rep, 2006, 28(3), 258)
CpG ODN−1585(国際公開第2001/022990号)
ODN−5890(国際公開第2006/080946号)
1018−ISS(国際公開第2008/073661号)
EMD−1201081(HYB−2055、IMO−2055)(国際公開第2005/009355号)
D35−CpG、K3−CpG(ジーンデザイン社)
等が挙げられる。本発明にはいずれのクラスのCpGオリゴヌクレオチドであっても利用可能であるが、好ましくは、クラスAのCpGオリゴヌクレオチド(例えば、ODN2216、ODN2336、D35−CpG等)又はクラスBのCpGオリゴヌクレオチド(例えば、ODN1826、ODN2006、CpG−28、1018−ISS、IMO2055、K3−CpG、ODN684、D−LS01等)又はクラスCのCpGオリゴヌクレオチド(例えば、D−LS03、ODN2395、ODN M362)である。特に好ましくは、ODN1826、ODN2006である。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第2の鎖は、第1の鎖であるCpGオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチド(但し、RNAオリゴヌクレオチドを除く)である。
好ましくは、第2の鎖は、ストリンジェントな条件で第1の鎖であるCpGオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチドである。
第2の鎖のオリゴヌクレオチドは、CpGオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできる限り、ハイブリダイズする部位において、1又は数個のミスマッチが存在するものも含まれる。
例えば、ハイブリダイズする部位が、第1の鎖のCpGオリゴヌクレオチドの相補配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、もっとも好ましくは95%以上の相同性を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。ここで、相同性は、例えば、Altschulら(The Journal of Molecular Biology,215,403−410(1990).)の開発したアルゴリズムを使用した検索プログラムBLASTを用いることにより、スコアで類似度が示される。
「ストリンジェントな条件」とは、ある塩基配列が特定配列とハイブリット(いわゆる特異的ハイブリット)を形成し、同等の機能を有しない塩基配列は該特定配列とハイブリット(いわゆる非特異的ハイブリット)を形成しない条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション反応及び洗浄時の温度や、ハイブリダイゼーション反応液及び洗浄液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。具体的には、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)又は6×SSPE(3M NaCl,0.2M NaHPO,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、さらに42℃で0.5×SSCにより洗浄する条件が、本発明のストリンジェントな条件の1例として挙げられるが、これに限定されるものではない。ハイブリダイゼーション方法としては、当該分野において周知慣用な手法、例えば、サザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることができる。具体的には、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley−Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A Practical Approach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
「1又は数個のミスマッチ」とは、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1又は2個のミスマッチを意味している。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第2の鎖の長さは、8〜60塩基である。例えば、8〜60塩基、8〜50塩基、8〜40塩基、8〜30塩基、10〜25塩基、15〜25塩基である。第2の鎖の長さは、第1の鎖であるCpGオリゴヌクレオチドと同じ長さであってもよいし、CpGオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする限りにおいて、CpGオリゴヌクレオチドの長さより1又は数個の塩基の分短くてもよい。また、CpGオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする部位の片側又は両側に1又は数個の塩基が付加することにより、第2の鎖の長さはCpGオリゴヌクレオチドの長さより長くてもよい。
「1又は数個の塩基」とは、1〜10個、1〜5個、1〜3個又は1若しくは2個の塩基を意味している。
第2の鎖の好ましい長さは第1の鎖のCpGオリゴヌクレオチドの長さに依存する。例えば、第1の鎖の長さに対して50%以上の長さ、60%以上の長さ、70%以上の長さ、50〜100%の長さ、60〜100%の長さ、70〜100%の長さである。特に好ましくは第1の鎖の長さに対して50〜100%の長さである。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第2の鎖のオリゴヌクレオチドは、DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシド及びヌクレオシド誘導体からなる群から選ばれるヌクレオシドが結合したオリゴヌクレオチドである。全てのヌクレオシドが同じ種類でもよいし、2種以上のヌクレオシドを含んでいてもよい。但し、全てのヌクレオシドがRNAヌクレオシドであるRNAオリゴヌクレオチドを除く。第2の鎖に含まれるヌクレオシドとして、好ましくは、DNAヌクレオシド及び/又はヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである。全てのヌクレオシドがDNAヌクレオシドであってもよいし、全てのヌクレオシドがヌクレオシド誘導体であってもよいし、両方を含んでいてもよい。
DNAヌクレオシド及びヌクレオシド誘導体を含む場合、例えば、中心領域と該中心領域の両側の末端領域を含み、両側の末端領域に少なくとも1つのヌクレオシド誘導体を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。具体的には、5’末端領域及び/又は3’末端領域に、ヌクレオシド誘導体を1以上、好ましくは、1〜5、さらに好ましくは、2〜3含有する。一方の末端領域内の修飾の種類、数、位置は他方の末端領域における修飾の種類、数、位置と同じであっても異なっていてもよい。他の態様として、ランダムにヌクレオシド誘導体を含むオリゴヌクレオチドも挙げられる。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第2の鎖中のヌクレオシド誘導体としては、上記に例示した通り、当該分野で公知のヌクレオシドの修飾であれば、いずれも利用可能である。
好ましくは、糖の2’位に置換基を有するヌクレオシド及び/又は糖の4’位と2’位との間に架橋構造を有するヌクレオシドである。
糖の2’位の置換基として好ましくは、F、OCH又はOCHCHOCHである。特に、OCHが好ましい。
糖の4’位と2’位との間の架橋構造として好ましくは、4’−(CH)m−O−2’(mは1〜4の整数)、4’−C(=O)−NR−2’(Rは、水素原子又はアルキルである)である。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの第2の鎖のオリゴヌクレオチドにおいてヌクレオシド間結合としては、上記に例示した通り、当該分野で公知のヌクレオシド間結合であればいずれも利用可能である。全てのヌクレオシド間結合が同じ種類でもよいし、2種以上の結合を含んでいてもよい。好ましくは、D−オリゴ及び/又はS−オリゴである。
D−オリゴ及びS−オリゴのように、2種以上のヌクレオシド間結合を含む場合、例えば、中心領域と該中心領域の両側の末端領域を含み、両側の末端領域に少なくとも1つの非天然のヌクレオシド間結合(例えば、S−オリゴ)を含み、中心領域に天然のヌクレオシド間結合(つまり、D−オリゴ)を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。例えば、5’末端領域及び/又は3’末端領域に、非天然のヌクレオシド間結合を1以上、好ましくは、1〜5、さらに好ましくは、2〜3含有する。一方の末端領域内の修飾の種類、数、位置は他方の末端領域における修飾の種類、数、位置と同じであっても異なっていてもよい。他の態様として、ランダムに非天然のヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドも挙げられる。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド中の第1の鎖のCpGオリゴヌクレオチド及び第2の鎖のオリゴヌクレオチドは、当該分野の常法によって合成することができ、例えば、市販の核酸自動合成装置(例えば、AppliedBiosystems社製、(株)大日本精機製等)によって容易に合成することができる。合成法はホスホロアミダイトを用いた固相合成法、ハイドロジェンホスホネートを用いた固相合成法等がある。例えば、下記実施例1、Tetrahedron Letters 22, 1859−1862 (1981)等に開示されている。
合成された第1の鎖及び第2の鎖は公知の方法でハイブリダイズさせることにより二本鎖オリゴヌクレオチドを形成する。例えば、下記実施例1、国際公開第2013/089283号の実施例1等に開示されている。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、第2の鎖に脂質がリンカーを介して結合している。
「脂質」とは、疎水性の化合物であり、公知の脂質であれば特に限定されず、直鎖状、分枝状又は環式であってもよい。例えば、8〜30個の炭素の脂肪族鎖を有する脂肪酸(例えば、ファルネソール)、ジアシル脂質、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイド酸(例えば、胆汁酸)、リピドA、トコフェロール又はこれらの組み合わせが挙げられる。脂肪族鎖を有する脂肪酸としては、直鎖状の不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸、分枝状の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びに脂肪酸誘導体(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸チオエステル等)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に利用される脂質として好ましくは、炭化水素鎖を含む脂質である。好ましくは、炭化水素鎖を1本又は2本含む脂質等が挙げられる。本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、特に好ましくは、ジアシル脂質を有する。脂質が2カ所以上に結合している場合、1つの脂質がジアシル脂質であれば、他方の脂質はジアシル脂質以外の脂質であってもよい。
「ジアシル脂質」は、リン酸脂質、糖脂質、スフィンゴ脂質又はこれらの組み合わせであり、炭化水素鎖を2本含む。好ましくは、下記(a)又は(f)で表される基である。
脂質中の炭化水素鎖は、それぞれ、約8〜30個の炭素原子を含み、飽和、不飽和、又はこれらの組み合わせであり、分岐していてもよい。1本鎖の脂質の場合、好ましい鎖長は、炭素原子数が8〜30個、より好ましくは8〜20個である。2本鎖の脂質の場合、好ましい鎖長は炭素原子数が10〜30個、より好ましくは12〜30個、さらに好ましくは14〜24個である。2本鎖の脂質の場合、2本の鎖は長さが同じであっても異なっていてもよい。脂質中の鎖は、エステル結合、アミド結合、チオエステル結合又はこれらの組み合わせ等を介して、リン酸、糖等を含む部位(オリゴヌクレオチドと結合する部位)に結合する。
なお、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは第2の鎖に炭素数12〜30の炭化水素鎖を含む脂質を有する。脂質が2カ所以上に結合している場合、1つの脂質が炭素数12〜30の炭化水素鎖を含む脂質であれば、他方の脂質に含まれる炭化水素鎖の炭素数は、12より少なくてもよい。
「脂質」として、具体的には、例えば、以下が挙げられる。
Figure 0006611298

(式中、p及びqはそれぞれ独立して6〜28の整数であり、好ましくはそれぞれ独立して8〜28であり、より好ましくはそれぞれ独立して10〜28であり、さらに好ましくはそれぞれ独立して10〜18である。)
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドにおいて、脂質は第2の鎖のいずれに結合していてもよい。3’末端、5’末端又は第2の鎖中に結合し得る。
脂質が第2の鎖の5’末端に結合する場合、例えば、以下のように結合し得る。
Figure 0006611298

(式中、Bは、第2の3’末端の塩基であり、Yは、O又はSであり、p又はqは、それぞれ独立して6〜28の整数であり、好ましくはそれぞれ独立して10〜18である。)
脂質が第2の鎖の3’末端に結合する場合、例えば、以下のように結合し得る。
Figure 0006611298

(式中、Bは、第2の5’末端の塩基であり、Yは、O又はSであり、p又はqは、それぞれ独立して6〜28の整数であり、好ましくはそれぞれ独立して10〜18である。)
脂質が第2の鎖中に結合する場合、例えば、以下のように結合し得る。
Figure 0006611298

あるいは、
Figure 0006611298

(式中、B及びBは第2の鎖中隣接する塩基であり、Y又はYは、それぞれ独立してO又はSであり、p又はqは、それぞれ独立して6〜28の整数であり、好ましくはそれぞれ独立して10〜18である。)
また、脂質は第2の鎖の1又は2か所に結合していることが好ましい。好ましくは、3’末端及び/又は5’末端に脂質が結合する。より好ましくは、5’末端に脂質が結合する。
脂質の具体例と調製方法は、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。例えば、下記実施例1、特許文献1等にも開示されている。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドにおいて脂質はリンカーを介して第2の鎖に結合している。「リンカー」としては、当該分野で用いられるリンカーであれば、いずれでも利用可能である。例えば、極性型リンカー、アルキレンリンカー、エチレングリコールリンカー、エチレンジアミンリンカー等が挙げられる。脂質がリン酸脂質である場合、第2の鎖の酸素原子と脂質のリン原子との間が4〜26原子であるリンカーである。具体例として、オリゴヌクレオチドリンカー又は以下に記載のリンカーが挙げられる。
Figure 0006611298
(式中、Y’はO又はSであり、r又はsは、それぞれ独立して1〜10の整数であり、好ましくはそれぞれ独立して1〜5であり、より好ましくはそれぞれ独立して1〜3である。tは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3、より好ましくは2又は3である。)
リンカーは、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。オリゴヌクレオチドリンカーに関しては、上記に例示したオリゴヌクレオチドの合成方法と同様の方法で合成することができる。
リンカーとして好ましくは、オリゴヌクレオチドリンカーである。オリゴヌクレオチドリンカーの長さは、2〜10塩基、2〜5塩基、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基である。例えば、以下に記載のリンカーが挙げられる。
Figure 0006611298


(式中、B及びBは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、5−メチルシトシン(5−Me−C)、チミン(T)又はウラシル(U)である。Y’はそれぞれ独立してO又はSである。Z又はZは、それぞれ独立してH又はOHであり、好ましくはHである。)
オリゴヌクレオチドリンカーとして、例えば、DNAリンカー、つまり、−(dX)u−(ここで、Xはそれぞれ独立して、A、G、C又はTであり、uは1〜8の整数である)が挙げられる。具体的には、dG、dGdG、dGdGdGdG、dGdGdGdGdG、dT、dTdT、dTdTdTdT、dTdTdTdTdT等が挙げられる。特に好ましくは、dGdG、dGdGdGdGdG又はdTdTである。DNAリンカー中のヌクレオシド間結合としては、ホスホロチオエート結合が好ましい。
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの脂質が結合していない3’末端若しくは5’末端又はリンカーはさらに修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチドの追跡を可能にするため、オリゴヌクレオチドの薬物動態又は薬力学を改善するため、あるいはオリゴヌクレオチドの安定性又は結合親和性を向上させるために、当該分野で公知の修飾基を利用することができる。例えば、水酸基の保護基、レポーター分子、コレステロール、リン脂質、色素、蛍光分子等が挙げられる。
また、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの脂質が結合していない3’末端又は5’末端はリン酸エステル部分を含んでいてもよい。「リン酸エステル部分」とは、リン酸エステル並びに修飾リン酸エステルが含まれる、末端リン酸基を意味する。リン酸エステル部分は、いずれの末端に位置してもよいが、5’−末端ヌクレオシドであることが好ましい。具体的には、式:−O−P(=O)(OH)OHで示される基又はその修飾基である。つまり、O及びOHの1以上が、H、O、OR’、S、N(R’)(ここでR’は、H、アミノ保護基又は置換若しくは非置換のアルキルである)又はアルキルで置換されていてもよい。5’又は3’末端は、それぞれ独立して置換又は非置換の1〜3のリン酸エステル部分を含んでいてもよい。
本発明は、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド(本発明のワクチン又は本発明のアジュバント)を含む、医薬組成物(本発明の医薬組成物)又はワクチン組成物(本発明のワクチン組成物)を包含する。
また、本発明は、抗原及び本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド(本発明のアジュバント)を含む、医薬組成物又はワクチン組成物も包含する。
「抗原」は、免疫応答を誘発することができる分子である。そのような分子としては、例えば、細胞、細胞抽出物、タンパク質、組換えタンパク質、精製タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖コンジュゲート、ペプチド、非ペプチドの多糖模倣物、プラスミドDNAがコードする他の分子、ハプテン、低分子、脂質、糖脂質、炭水化物、死滅させた全病原体、ウイルス、ウイルス抽出物、弱毒化生ウイルス、ウイルスベクター、弱毒化生細菌、細菌ベクター、寄生生物等の多細胞生物体、アレルゲン等が挙げられるが、これらに限定されない。
抗原は、単一の抗原として提供され得るか、又は組み合わせて提供され得る。抗原は、ポリペプチド又はオリゴヌクレオチドの複雑な混合物として提供され得る。
抗原には、微生物抗原、自己抗原及び習慣性物質が包含されるが、これらに限定されない。
「微生物抗原」とは、微生物の抗原を意味する。微生物としては、細菌、ウイルス、寄生生物、真菌等が挙げられるが、これらに限定されない。
「細菌」は、ヒ卜、愛玩動物、家畜等に対して疾患を引き起こす原因となる細菌であれば特に限定されない。具体的には、レンサ球菌(溶連菌、肺炎球菌等)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSΑ等)、表皮ブドウ球菌、腸球菌、リステリア属に属する菌、髄膜炎球菌、淋菌、病原性大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス菌、百日咳菌、緑膿菌、セラチア菌、シ卜ロバクター菌、アシネ卜バクター菌、エンテロバクター菌、マイコプラズマ菌、クロス卜リジウム菌、結核菌、コレラ菌、ペスト菌、ジフテリア菌、赤痢菌、炭疽菌、卜レポネーマ菌、破傷風菌、らい菌、レジオネラ菌、レプ卜スピラ菌、ボレリア菌、フランシセラ菌、コクシエラ菌、リケッチア菌、クラミジア菌、鼻疽菌、ピロリ菌等が挙げられる。
「ウイルス」は、ヒ卜、愛玩動物、家畜等に対して疾患を引き起こす原因となるウイルスであれば特に限定されない。例えば、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)パピロマウイルス、肝炎ウイルス(Α型、Β型、C型、D型、Ε型、F型、G型、ΤΤ型等)、ライノウイルス、天然痘ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、サッポロウイルス、ムンプスウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、HIV−1、HIV−2等のヒト免疫不全ウイルス、狂犬病ウイルス、Τリンパ好性ウイルス、黄熱病ウイルス、サイ卜メガロウイルス、SARS−CoV、MERS−CoV等のコロナウイルス、エボラウイルス、ポリオーマウイルス、JCウイルス、ΒΚウイルス、単純ヘルペスウイルス1(HSV1)、単純ヘルペスウイルス2(HSV2)等のヘルペスウイルス、リンホクリプ卜ウイルス、ロゼオロウイルス、日本脳炎ウイルス、コクサッキーウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、コロナウイルス、パルボウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス、マールブルグウイルス、ハンタウイルス、ラッサウイルス、チクングニアウイルス、ハンターンウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ボルナウイルス、リフトバレー熱ウイルス、卜ゴ卜ウイルス、ドーリウイルス、口蹄疫ウイルス、ニューキャッスルウイルス、牛丘疹性口炎ウイルス、牛疫ウイルス、豚水胞病ウイルス、カリシウイルス、卜ロウイルス、アフリカ馬疫ウイルス、アルテリウイルス、羊痘ウイルス、カプリポックスウイルス、羊随伴型悪性カタル熱ウイルス、ウイルス性出血性敗血症ウイルス、水胞性口炎ウイルス等が挙げられる。
「寄生生物」は、ヒ卜、愛玩動物、家畜等に対して疾患を引き起こす原因となる寄生生物であれば特に限定されない。例えば、アメーバ赤痢、マラリア、トキソプラズマ、リーシュマニア、クリプトスポリジウム、トリパノソーマ、エキノコックス、日本住血吸虫、フィラリア、回虫、広節裂頭条虫等が挙げられる。
「真菌」は、ヒ卜、愛玩動物、家畜等に対して疾患を引き起こす原因となる真菌であれば特に限定されない。具体的には、アスペルギルス菌、カンジダ菌、クリブ卜コッカス菌、白癬菌症、ヒス卜プラズマ菌、ニューモシスチス菌等が挙げられる。
「自己抗原」とは、癌抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原、ヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原等を意味する。
「癌抗原」としては、癌細胞において特異的に発現する抗原であり、タンパク質、ペプチド等が挙げられ、それらを含む融合ペプチドも包含する。例えば、国際公開第2006/090810号、国際公開第2007/145318号、国際公開第2008/047473号、国際公開第2008/102557号、国際公開第2009/025117号、国際公開第2009/025196号、国際公開第2009/1539992号、国際公開第2010/013485号、国際公開第2010/021112号、国際公開第2010/073551号、国際公開第2010/095428号、国際公開第2010/131452号、国際公開第2010/137295号、国際公開第2011/067920号、国際公開第2011/074236号、国際公開第2011/089921号、国際公開第2011/111392号、国際公開第2012/053200号、国際公開第2012/053206号、国際公開第2012/169200号、国際公開第2013/024582号、国際公開第2013/061594号、国際公開第2014/041784号、国際公開第2014/087626号等に記載のペプチド等が挙げられる。
「アルツハイマー病と関連がある抗原」としては、タウ、β−アミロイド等が挙げられる。
「ヒト抗体に対する抗原」としては、IgEが挙げられる。
「習慣性物質」とは、ニコチン、コカイン等を意味する。ニコチン抗原としては、例えば、担体(例えば、ジフテリア毒素)にコンジュゲートさせたニコチンハプテン等が挙げられる。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの効果を損なわない範囲に限って、公知のアジュバントをさらに含んでいてもよい。例えば、コレラ毒素、サルモネラ毒素、ミョウバン、TLR9ではないToll様受容体(TLR)に対するアゴニストである。TLRに対するアゴニストとしては、例えば、安定化ポリI:C等のTLR3に対するアゴニスト;リポ多糖(LPS)の誘導体(例えば、MPL若しくはGLA)等のTLR4に対するアゴニスト;フラジェリン等のTLR5に対するアゴニスト;TLR7に対するアゴニスト;TLR8に対するアゴニスト等が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム等のアルミニウム塩、免疫賦活複合体(ISCOM)、水中油型若しくは油中水型の乳剤、リポソーム、ナノ粒子若しくはマイクロ粒子等の送達系等が挙げられる。
例えば下記実施例に記載の通り、癌抗原を含む本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、下記いずれか、あるいは全ての優れた特徴を有している。
a)1%以上のCTL誘導率を示す。
b)腫瘍生着阻害を示す。
c)腫瘍退縮効果を示す。
d)高いバイオアベイラビリティー、適度なクリアランス等良好な薬物動態を示す。特に、高いリンパ移行性を示す。
e)代謝安定性が高い。
f)サイトカイン放出症候群が起きない。
g)局所刺激性が軽い。
h)変異原性を有さない。
i)心血管系のリスクが低い。
j)急性毒性のリスクが低い。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物の投与方法及び製剤は、当該分野で公知の投与方法及び製剤であれば、いずれも利用可能である。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、局所的あるいは全身的な治療のいずれが望まれるのか、又は治療すべき領域に応じて、様々な方法により投与することができる。投与方法としては、例えば、局所的(点眼、膣内、直腸内、鼻腔内、経皮を含む)、経口的、又は、非経口的であってもよい。非経口的投与としては、静脈内注射若しくは点滴、皮下、腹腔内若しくは筋肉内注入、吸引若しくは吸入による肺投与、硬膜下腔内投与、脳室内投与等が挙げられる。好ましくは、静脈内注射又は皮下投与である。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を局所投与する場合、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴下剤、坐剤、噴霧剤、液剤、散剤等の製剤を用いることができる。
経口投与用組成物としては、散剤、顆粒剤、水若しくは非水性媒体に溶解させた懸濁液又は溶液、カプセル、粉末剤、錠剤等が挙げられる。
非経口、硬膜下腔、又は、脳室内投与用組成物としては、バッファー、希釈剤及びその他の適当な添加剤を含む無菌水溶液等が挙げられる。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合して得ることができる。注射剤の場合には適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすればよい。
賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム又は結晶セルロース等が挙げられる。
結合剤としてはメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末又はラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウム又はマクロゴール等が挙げられる。坐剤の基剤としてはカカオ脂、マクロゴール又はメチルセルロース等を用いることができる。
また、液剤又は乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加しても良い。経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えても良い。
投与は、治療される病態の重度と反応度に依存し、治療コースは、数日から数ヶ月、あるいは、治癒が実現されるまで、又は、病状の減退が達成されるまで持続する。最適投与スケジュールは、生体における医薬組成物又はワクチン組成物蓄積の測定から計算が可能である。当該分野の当業者であれば、最適用量、投与法、及び、繰り返し頻度を定めることができる。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物における本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの含有割合は、特に限定はされないが、通常は医薬組成物又はワクチン組成物100重量%に対して、0.01重量%〜99.99重量%程度である。
また、抗原を含む場合、該抗原と本発明のアジュバン卜の割合は、抗原1重量部に対して、アジュバン卜は、通常10重量部〜1000重量部程度である。
医薬組成物又はワクチン組成物の投与量は、所望する免疫賦活化の程度や、投与対象の年齢、性別等によって区々であるため、適宜設定すればよく、特に限定はされないが、例えば、1日に0.001〜10mg/kg体重が挙げられる。
また、所望する医薬組成物又はワクチン組成物が発揮する効果の程度、投与対象の年齢、性別等に従って、同一の被験体に対して本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を複数回投与してもよく、例えば、2回〜4回程度を上限とすればよい。なお、同一の被験体に対して本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を複数回投与する際には、その間隔を適宜設けてもよく、例えば、14日〜30日程度とすればよい。
本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、1種以上のさらなる薬剤と組み合わせて投与してもよい。該薬剤は、治療される疾患の治療剤として、当該分野で知られている治療剤を用いることができる。例えば、疾患が癌である場合、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、化学療法薬と共に投与可能である。疾患が細菌感染である場合、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、抗生物質と共投与可能である。本発明の医薬組成物又はワクチン組成物と同時に投与してもよいし、別々に投与してもよい。また、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物と該治療剤は、それぞれ異なる製剤として投与してもよいし、該医薬組成物又はワクチン組成物と該治療剤を含有する単一製剤として投与してもよい。さらに、疾患が癌の場合、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物の投与は、当該分野で知られている外科的治療と組み合わせてもよい。
また、本発明は、被験体における免疫応答を増大させるための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を投与して、該被験体における免疫応答を増大させる工程を含む、方法を包含する。「免疫応答」としては、コントロールと比較して、誘導される特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導率の上昇が挙げられる。特異的なCTL誘導率の測定方法は、例えば、下記実施例3、国際公開第2013/024582号等に開示されている。
さらに、本発明は、癌又は感染性疾患を処置するための方法であって、該方法は、被験体に、有効量の本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を投与して、コントロールと比較して、該癌又は感染性疾患の1以上の症状を低減する工程を含む、方法を包含する。
「被験体」とは、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物を使用する処置の標的である任意の個体をいう。例えば、ヒト、実験動物(例えば、マウス、ラット等)、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、フェレット、トリ等)、家畜(ウシ、プタ、ニワ卜リ、ヤギ、ダチョウ、ヒツジ、ウマ等)等の哺乳動物が挙げられる。
「有効量」とは、免疫応答を誘導若しくは増強するために、又はそうでなければ所望の薬理学的及び/若しくは生理学的効果を提供するために、処置されている障害、疾患、若しくは状態に対する処置を提供するために十分な投与量を意味する。正確な投与量は、被験体依存性の変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、疾患、疾患のステージ、及び行われている処置のような種々の要因に従って変動する。
「癌」としては、ヒ卜、愛玩動物、家畜等が罹患する癌であれば特に限定されない。例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、脳腫瘍、乳癌、子宮体癌、子宮頸癌、卵巣癌、食道癌、びまん型胃癌等の胃癌、虫垂癌、大腸癌、肝癌、肝細胞癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、副腎癌、消化管間質腫瘍、中皮腫、頭頸部癌、喉頭癌、口腔癌、歯肉癌、舌癌、頬粘膜癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、前頭洞癌、篩骨洞癌、蝶型骨洞癌、甲状腺癌、腎臓癌、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)等の肺癌、骨肉腫、前立腺癌、精巣腫瘍、膀胱癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、肛門癌、軟骨肉腫、滑膜肉腫、子宮内膜症、軟部組織腫瘍、骨芽細胞腫等が挙げられる。
「感染性疾患」としては、急性若しくは慢性の感染症疾患であり、特に、ウイルス性の感染症疾患を意味する。例えば、局所若しくは全身のウイルス感染症(HIV等による免疫不全、HPV等によるパピローマ、HSV等によるヘルペス、脳炎、ヒトインフルエンザウイルスA等によるインフルエンザ、ヒトライノウイルス等による風邪といったウイルス感染等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、本明細書中で用いる略語は以下の意味を表す。
Ac:アセチル
CPG:コントロールドポーラーガラス
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMTr:ジメトキシトリチル
DMT−MM:4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
Et:エチル
Fmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
HBTU:O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート
Me:メチル
MMTr:4−メトキシフェニルジフェニルメチル
MMTrCl:4−メトキシトリチルクロリド
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
TBS:tert-ブチルジメチルシリル
TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
以下に本発明の実施例及び参考例並びに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例で得られた化合物のNMR分析は300MHz、400MHzで行い、CDOD、CDCl、DMSO−d6を用いて測定した。
UPLC分析は以下の条件を用いた。
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジエント:3.5分間で5%−100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18(1.7μm、i.d.2.1x50mm)(Waters)
流速:0.8 mL/分
PDA検出波長:254nm(検出範囲210−500nm)
実施例1 本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの合成
A) 脂質の合成
1−1)4−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
1−1−1)化合物3−6の合成
工程1
化合物2−6(3.20g、22.2mmol、東京化成工業株式会社)をTHF−DMF(5:1、60mL)に溶解し、DIEA(4.84mL、27.7mmol)、HBTU(8.84g、23.3mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。化合物1(2.2g、24.41mmol)のDMF溶液(5mL)を10分間かけて滴下し、3時間撹拌した。反応液量を減圧により半分程度に濃縮し、水(100mL)中へ滴下してから、10分間撹拌した。生じた固体を、ろ取した。固体を水(50mL)及びアセトニトリル(150mL)で洗浄して、白色固体として化合物3−6(3.2g、9.34mmol)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 6.45 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.39 (1H, s), 3.78-3.73 (1H, m), 3.33 (4H, t, J = 5.6 Hz), 2.22 (4H, t, J = 7.7 Hz), 1.67 (4H, dt, J = 31.0, 14.1 Hz), 1.30-1.27 (16H, m), 0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).
1−1−2)化合物4−8の合成
工程1
化合物2−8(7.65g、44.40mmol、和光純薬工業株式会社)をDMF(50.0mL)、ジクロロメタン溶液(100.0mL)に溶解し、DIEA(8.72mL、66.6mmol)、HBTU(18.52g、48.8mmol)を加え、室温で激しく30分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(2.0g、22.2mmol)を加えて、3時間激しく撹拌した。反応液に飽和重そう水(20mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(100mL)、アセトニトリル(100mL)で洗浄後、乾燥し、白色固体として化合物3−8(6.6g、16.6mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.29 (brs, 2H), 4.12 (s, 1H), 3.76 (dd, 1H, J = 4.5, 4.5 Hz), 3.42-3.35 (m, 2H), 3.31-3.25 (m, 2H), 2.22 (t, 4H, J = 7.5 Hz), 1.65-1.60 (m, 4H), 1.29-1.26 (m, 24H), 0.88 (t, 6H, J = 6.5 Hz).
ESI-MS(m/z) : 340 (M+1).

工程2
化合物3−8(2.88g、7.22mmol)をジクロロメタン(60mL)に懸濁し、DIEA(5.30mL、30.3mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(3.23mL、14.5mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、反応溶液を分液漏斗へ移し、ジクロロメタン(80mL)で希釈した有機層を飽和重そう水(20mL)で二回、水(20mL)で二回、食塩水(20mL)で一回洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた褐色オイルである化合物4−8(2.88g、4.81mmol)を粗生成物として得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−3)化合物4−10の合成
工程1
化合物2−10(9.78g、48.8mmol、東京化成工業株式会社)をDMF(150mL)、ジクロロメタン溶液(75mL)に溶解し、DIEA(12.79mL、73.2mmol)、HBTU(20.37g、53.7mmol)を加え、室温で激しく45分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(2.2g、24.41mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、80℃に昇温しさらに4時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(200mL)と水(50mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(200mL)、アセトニトリル(400mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−10(9.95g、21.88mmol)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 6.25 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.07 (1H, s), 3.75 (1H, s), 3.44-3.38 (2H, m), 3.29-3.23 (2H, m), 2.22 (4H, t, J = 7.6 Hz), 1.67-1.59 (4H, m), 1.30-1.25 (64H, m), 0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物3−10(230mg、0.506mmol)をジクロロメタン(11mL)に懸濁し、DIEA(0.353mL、2.023mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.226mL、1.012mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、反応溶液を分液漏斗へ移し、有機層を飽和重そう水(10mL)で2回、水(10mL)で5回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。褐色オイルである化合物4−10(365mg)を粗生成物として得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−4)化合物4−12の合成
工程1
化合物2−12(5.07g、22.19mmol、東京化成工業株式会社)をDMF(51.8mL)、ジクロロメタン溶液(28.6mL)に溶解し、DIEA(5.81mL、33.3mmol)、HBTU(9.26g、24.4mmol)を加え、室温で激しく30分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(1.0g、11.1mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、40℃に昇温しさらに2時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(10mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(50mL)、アセトニトリル(50mL)、ジクロロメタン(50mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−12(4.8g、9.4mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.20 (brs, 2H), 3.96 (d, 1H, J = 4.0 Hz, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.40 (dd, 2H, J=4.0, 12.0 Hz), 3.25 (dd, 2H, J = 4.0, 12.0 Hz), 2.22 (t, 4H, J = 12.0 Hz, 2H), 1.62 (d, 4H, J = 8.0 Hz), 1.29-1.25 (m, 40H), 0.90-0.86 (m, 6H)
ESI-MS(m/z) : 512 (M+1).

工程2
化合物3−12(5.10g、9.98mmol)をジクロロメタン(257mL)に懸濁し、DIEA(6.97mL、39.9mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(4.46mL、20.0mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、反応溶液を分液漏斗へ移し、有機層を飽和重そう水(100mL)で二回、水(100mL)で二回、食塩水(100mL)で一回洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。褐色オイルである化合物4−12(4.80g、6.75mmol)を粗生成物として得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−5)化合物4−14の合成
化合物2−14(12.52g、48.8mmol、東京化成工業株式会社)をDMF(150mL)、ジクロロメタン溶液(75mL)に溶解し、DIEA(12.79mL、73.2mmol)、HBTU(20.37g、53.7mmol)を加え、室温で激しく2時間半撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(2.2g、24.41mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、80℃に昇温しさらに5時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(800mL)と水(50mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(500mL)、アセトニトリル(300mL)、ジクロロメタン(100mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−14(10.9g、19.23mmol)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 6.21 (2H, s), 3.97 (1H, d, J = 4.0 Hz), 3.77-3.74 (1H, m), 3.45-3.38 (2H, m), 3.28-3.22 (2H, m), 2.22 (4H, t, J = 7.6 Hz), 1.65-1.61 (4H, m), 1.29-1.25 (48H, m), 0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物3−14(1.00g、1.76mmol)をジクロロメタン(50mL)に懸濁し、DIEA(0.924mL、5.29mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.870mL、3.53mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、反応溶液をジクロロメタン(50mL)で希釈後、分液漏斗へ移し、有機層を飽和重そう水(100mL)で二回、水(100mL)で二回、食塩水(100mL)で一回洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた白色アモルファスである化合物4−14(1.00g、1.30mmol)を粗生成物として得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−6)化合物4−16の合成
非特許文献3に記載の方法に従って、化合物2−16より化合物3−16を合成し、続けて化合物4−16の合成を行った。
化合物3−16:1H-NMR(CDCl3)δ:6.20 (brs, 2H), 3.95 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 3.40 (m, 2H), 3.25 (m, 2H), 2.24 (m, 4H), 1.68-1.20 (m, 60H), 0.88 (t, 6H, J=8.0 Hz)
化合物4−16:31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−7)化合物4−18の合成
工程1
化合物2−18(13.9g、44.4mmol、東京化成工業株式会社)をDMF(207mL)、ジクロロメタン溶液(214mL)に溶解し、DIEA(16.3mL、93mmol)、HBTU(18.5g、48.8mmol)を加え、室温で激しく30分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(2.0g、22.2mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、40℃に昇温しさらに2時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(10mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(100mL)、アセトニトリル(100mL)、ジクロロメタン(100mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−18(10.0g、14.7mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.20 (brs, 2H), 3.96 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.42 (m, 2H), 3.23 (m, 2H), 2.22 (m, 4H), 1.68-1.20 (m, 68H), 0.88 (m, 6H)

工程2
化合物3−18(3.8g、5.60mmol)をジクロロメタン(230mL)に懸濁し、DIEA(5.86mL、33.6mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(3.74mL、16.79mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、反応溶液を分液漏斗へ移し、有機層を飽和重そう水(100mL)で2回、水(50mL)で1回、食塩水(50mL)で1回洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にアセトニトリルを加えた後に、白色固体をろ取した。得られた固体を飽和重そう水、水、アセトニトリルで洗浄後、白色固体として化合物4−18(4.13g、4.70mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−8)化合物4−20の合成
工程1
化合物2−20(10.2g、30.0mmol、東京化成工業株式会社)をDMF(250mL)、ジクロロメタン溶液(250mL)に溶解し、DIEA(7.86mL、45mmol)、HBTU(12.52g、33.0mmol)を加え、室温で激しく30分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(1.35g、15.0mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、40℃に昇温しさらに2時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(50mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(50mL)、アセトニトリル(50mL)、ジクロロメタン(50mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−20(7.20g、9.79mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.18 (brs, 2H), 3.75 (m, 1H), 3.41 (m, 2H), 3.27 (m, 2H), 2.22 (m, 4H), 1.58-1.25 (m, 76H), 0.89-0.86 (m, 6H)

工程2
化合物3−20(1.0g、1.36mmol)をクロロホルム(50mL)に懸濁し、DIEA(0.713mL、4.08mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.607mL、2.72mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、激しく撹拌下のアセトニトリル(300mL)に対して、反応溶液を滴下した。析出した固体をろ取し、固体を飽和重そう水(20mL)で二回、水(20mL)で二回、アセトニトリル(20mL)で二回洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥し、白色固体である化合物4−20(843mg、0.901mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−1−9)化合物4−22の合成
工程1
化合物2−22(8.79g、23.8mmol、和光純薬工業株式会社)をDMF(250mL)、ジクロロメタン溶液(250mL)に溶解し、DIEA(6.25mL、35.8mmol)、HBTU(9.95g、26.2mmol)を加え、室温で激しく30分間撹拌した。得られた白濁溶液に対して、室温で化合物1(1.07g、11.9mmol)を加えて激しく撹拌した。その後、40℃に昇温しさらに2時間撹拌した。反応液に飽和重そう水(50mL)を加え反応を停止した後に、白色固体をろ取した。得られた固体を水(50mL)、アセトニトリル(50mL)、ジクロロメタン(50mL)で洗浄後、白色固体として化合物3−22(8.10g、8.17mmol)を得た。1H-NMR(CDCl3)δ:6.06 (brs, 2H), 3.73 (m, 1H), 3.36 (dd, 2H, J = 6.0, 14.4 Hz), 3.22 (dd, 2H, J = 5.2, 14.4 Hz), 2.17 (m, 4H), 1.61 (m, 4H), 1.59-1.24 (m, 80H), 0.87-0.84 (m, 6H)

工程2
化合物3−22(1.0g、1.36mmol)をクロロホルム(50mL)に懸濁し、DIEA(0.713mL、4.08mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.607mL、2.72mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温へ放冷後、激しく撹拌下のアセトニトリル(300mL)に対して、反応溶液を滴下した。析出した固体をろ取し、固体を飽和重そう水(20mL)で二回、水(20mL)で二回、アセトニトリル(20mL)で二回洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥し、白色固体である化合物4−22(814mg、0.821mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:148.2 (s)
1−2)4−n,oの合成
Figure 0006611298

(式中、n又はoは6〜28の整数である。)
1−2−1)化合物4−8,18の合成
工程1
化合物2−8をDMF、ジクロロメタン溶液に溶解し、DIEA、HBTUを加え、室温で撹拌する。得られる白濁溶液に対して、室温で化合物1を加えて、撹拌する。反応容器に対して別途調製した化合物2−18の活性化溶液[化合物2−18をDMF、ジクロロメタン溶液に溶解し、DIEA、HBTUを加え、室温で撹拌する]を加えて室温で撹拌後、40℃に昇温しさらに撹拌する。反応液に飽和重そう水を加え反応を停止させ、固体をろ取する。得られる固体を水、アセトニトリル、ジクロロメタンで洗浄後、化合物6−8,18を得る。

工程2
化合物6−8,18をクロロホルムに懸濁し、DIEAを加える。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチルを加え、加熱還流する。室温へ放冷後、撹拌下のアセトニトリルに対して、反応溶液を滴下する。析出した固体をろ取し、固体を飽和重そう水で二回、水で二回、アセトニトリルで二回洗浄する。得られた固体を減圧下で乾燥し、化合物4−8,18を得る。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断する。
2)化合物8−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
2−1)化合物8−6の合成
化合物7−6(1.00g、7.68mmol、東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.13mL、15.4mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(1.71mL、7.68mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応溶液を飽和重そう水により停止し、酢酸エチル(50mL)で二回抽出した。有機層を飽和重そう水(10mL)、水(10mL)で三回、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、その後硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として褐色オイルである化合物8−6(2.60g)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
2−2)化合物8−10の合成
化合物7−10(1.00g、5.37mmol、東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.49mL、10.7mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(1.20mL、5.37mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応溶液を飽和重そう水により停止し、酢酸エチル(50mL)で二回抽出した。有機層を飽和重そう水(10mL)、水(10mL)で三回、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、その後硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として褐色オイルである化合物8−10(2.09g)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
2−3)化合物8−12の合成
化合物7−12(4.29g、20.0mmol、東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(52mL)に溶解し、DIEA(10.5mL、60.0mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(5.36mL、24.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を飽和重そう水(20mL)により停止し、その後混合液を分液漏斗へ移し、有機層を水(100mL)で洗浄した。その後、有機層を飽和重そう水(100mL)、水(100mL)で二回洗浄し、その後硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として褐色オイルである化合物8−12(4.80g、11.6mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.3 (s)
2−4)化合物8−14の合成
化合物7−14(1.00g、4.12mmol、ナカライテスク株式会社)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.14mL、8.25mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.92mL、4.12mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応溶液を飽和重そう水により停止し、酢酸エチル(50mL)で二回抽出した。有機層を飽和重そう水(10mL)、水(10mL)で三回、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、その後硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として褐色オイルである化合物8−14(1.87g)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
2−5)化合物8−16の合成
化合物7−16(5.41g、20.0mmol、東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(52mL)に溶解し、DIEA(10.5mL、60.0mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(4.91mL、22.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を飽和重そう水(20mL)により停止し、その後混合液を分液漏斗へ移し、有機層を水(100mL)で洗浄した。その後、有機層を飽和重そう水(100mL)、水(100mL)で二回洗浄し、その後硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として褐色オイルである化合物8−16(4.60g、9.77mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.3 (s)
2−6)化合物8−18の合成
化合物7−18(2.99g、10.0mmol、東京化成工業株式会社)をクロロホルム(81mL)に溶解し、DIEA(3.67mL、21.0mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(2.34mL、10.5mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をアセトニトリル(50mL)で洗浄した。析出した固体をろ取し、アセトニトリル(50mL)で洗浄した。その後、黄色固体を減圧下で乾燥して化合物8−18(1.22g、2.45mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
2−7)化合物8−20の合成
化合物7−20(3.27g、10.0mmol、東京化成工業株式会社)をクロロホルム(81mL)に溶解し、DIEA(3.67mL、21.0mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(2.34mL、10.5mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をアセトニトリル(50mL)で洗浄した。析出した固体をろ取し、アセトニトリル(50mL)で洗浄した。その後、黄色固体を減圧下で乾燥して化合物8−20(3.19g、6.06mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
2−8)化合物8−22の合成
化合物7−22(3.55g、10.0mmol、東京化成工業株式会社)をクロロホルム(81mL)に溶解し、DIEA(3.67mL、21.0mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(2.34mL、10.5mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をアセトニトリル(50mL)で洗浄した。析出した固体をろ取し、アセトニトリル(50mL)で洗浄した。その後、黄色固体を減圧下で乾燥して化合物8−22(4.97g、8.96mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:147.2 (s)
3)化合物10−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
3−1)化合物10−16の合成
工程1
窒素気流下、化合物7−16(12.1g、44.4mmol)のDMF(104mL)―ジクロロメタン(57.1mL)溶液に、ビス−(p−ニトロフェニル)カーボネート(13.5g、44.4mmol)及びDIEA(11.6mL、66.6mmol)を加えた後、室温下8時間撹拌した。次に、化合物1(2.0g、22.2mmol)を加えて、60℃で2時間、加熱還流した。生じた固体をろ取した後、固体を、ジクロロメタン(100mL)、水(100mL)、アセトニトリル(100mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥し、白色固体である化合物9−16(15.44g、22.6mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:5.20 (brs, 2H), 4.05 (m, 4H), 3.79 (m, 1H), 3.24 (m, 4H), 1.55-1.21 (m, 68H), 0.88 (m, 6H)

工程2
窒素気流下、化合物9−16のジクロロメタン(582mL)懸濁液に、DIEA(15.8mL、90.0mmol)及びN,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(10.1mL、45.2mmol)を加えた後、50℃で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷ました後、有機層を飽和重層水(300mL)で二回、水(300mL)、飽和食塩水(300mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、アセトニトリル(150mL)の中へ滴下することで粉末化させた。生じた固体を減圧下乾燥して、化合物10−16(14.2g、16.1mmol)を得た。
31P-NMR(CDCl3)δ:149.1 (s)
3−2)化合物10−18の合成
工程1
窒素気流下、化合物7−18(4g、13.4mmol)のDMF(60mL)―ジクロロメタン(40mL)溶液に、ビス−(p−ニトロフェニル)カーボネート(4.1g、13.4mmol)及びDIEA(3.5mL、20.1mmol)を加えた後、室温下5時間撹拌した。次に、化合物1(0.6g、6.7mmol)のDMF溶液(5mL)を加えて、終夜撹拌した。生じた固体をろ取した後、固体を、ジクロロメタン、水、アセトニトリルで洗浄した後、減圧下で乾燥し、白色固体として化合物9−18(4.1g、5.55mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:5.20 (brs, 2H), 4.05 (t, 4H, J = 8Hz), 3.79 (s, 1H), 3.32 (m, 2H), 3.23 (m, 2H), 1.25 (s, 72H), 0.88 (t, 6H, J = 8Hz)

工程2
窒素気流下、化合物9−18(1.0g、1.35mmol)のジクロロメタン(60mL)懸濁液に、DIEA(1.2mL、6.8mmol)及びN,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.75mL、3.4mmol)を加えた後、50℃下で1.5時間撹拌した。反応液を室温まで冷ました後、ジクロロメタン(40mL)で希釈して、飽和重層水(40mLx2)、水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン(15mL)に溶解し、アセトニトリル(150mL)の中へ滴下することで粉末化させた。生じた固体を減圧下乾燥して、白色固体として化合物10−18(0.98g、1.04mmol)を得た。
31P-NMR(CDCl3)δ:149.1 (s)
4)化合物15−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
4−1)化合物15−6の合成
工程1及び工程2
化合物11(米国特許出願公開第2014/0142253号明細書参照)(722mg、1.075mmol)のジクロロメタン溶液(5.6mL)にジエチルアミン(1.4mL、13.40mmol)加え、室温で17時間撹拌した。反応液にエタノールを加えて撹拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をエタノールで2回共沸し、化合物12の粗製物を得た。
化合物2−6(239mg、1.505mmol)のエタノール溶液(5.0mL)にDMT−MM(476mg、1.720mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。得られた反応液を、化合物12の粗製物のエタノール溶液(2.5mL)に加え、室温で4時間半撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣に飽和重そう水及び水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(n−へキサン:酢酸エチル=70:30→20:80)で精製し、化合物13−6(320mg、収率52%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42-7.40 (2H, m), 7.32-7.26 (6H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.83 (4H, d, J = 8.8 Hz), 5.37 (1H, s), 3.79 (6H, s), 3.71-3.65 (1H, m), 3.63-3.57 (1H, m), 3.27 (1H, dd, J = 9.2, 4.0 Hz), 3.25-3.15 (2H, m), 3.07 (1H, dd, J = 9.2, 7.2 Hz), 2.45 (1H, t, J = 5.6 Hz), 2.12 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.78 (1H, s), 1.62-1.58 (2H, m), 1.47-1.40 (2H, m), 1.36-1.20 (12H, m), 0.87 (3H, t, J = 6.8 Hz).

工程3
化合物13−6(310mg、0.538mmol)のジクロロメタン溶液(3.0mL)にDMAP(6.6mg、0.054mmol)、DIEA(0.282mL、1.614mmol)と無水コハク酸(81mg、0.807mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物14−6(360mg、収率99%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42-7.40 (2H, m), 7.31-7.25 (6H, m), 7.19 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.82 (4H, d, J = 8.8 Hz), 5.74 (1H, t, J = 5.6 Hz), 4.24 (1H, dd, J = 10.8, 5.2 Hz), 4.12 (1H, dd, J = 10.8, 6.0 Hz), 3.79 (6H, s), 3.52-3.45 (1H, m), 3.24-2.98 (4H, m), 2.90 (1H, q, J = 7.2 Hz), 2.59-2.50 (3H, m), 2.14 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.90-1.85 (1H, m), 1.61-1.58 (2H, m), 1.48-1.18 (14H, m), 0.87 (3H, t, J = 6.8 Hz).

工程4
化合物14−6(216mg、0.320mmol)のアセトニトリル溶液(42mL)にDIEA(0.186mL、1.065mmol)とHBTU(89mg、0.234mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(4.2g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、42mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物14−6の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が53μmol/gの化合物15−6を得た。
4−2)化合物15−10の合成
工程1及び工程2
4−1)の工程1と同様の方法にて化合物12の粗生成物(392mg)を得た。
化合物2−10(155mg、0.772mmol)のエタノール溶液(2.6mL)にDMT−MM(214mg、0.772mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。得られた反応液を、化合物12の粗製物(392mg)のエタノール溶液(1.3mL)に加え、室温で4時間撹拌した。化合物2−10(71mg、0.356mmol)のエタノール溶液(1.3mL)にDMT−MM(99mg、0.356mmol)を加えて室温で15分間撹拌した後、再び反応液へ加え、室温で1時間半撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣に飽和重そう水及び水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(n−へキサン:酢酸エチル=80:20→30:70)で精製し、化合物13−10(165mg、44%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.31-7.26 (6H, m), 7.21 (1H, t, J = 6.6 Hz), 6.83 (4H, d, J = 8.4 Hz), 5.35 (1H, s), 3.79 (6H, s), 3.70-3.57 (2H, m), 3.28-3.16 (3H, m), 3.07 (1H, t, J = 8.0 Hz), 2.43 (1H, s), 2.12 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.78 (1H, s), 1.61-1.58 (2H, m), 1.46-1.39 (2H, m), 1.25 (20H, s), 0.87 (3H, t, J = 6.0 Hz).

工程3
化合物13−10(222mg、0.352mmol)のジクロロメタン溶液(2.2mL)にDMAP(4.3mg、0.035mmol)、DIEA(0.184mL、1.055mmol)と無水コハク酸(53mg、0.528mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物14−10(243mg、94%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, d, J = 6.0 Hz), 7.31-7.26 (6H, m), 7.20 (1H, d, J = 7.2 Hz), 6.82 (4H, d, J = 7.6 Hz), 5.59 (1H, s), 4.29 (1H, d, J = 10.4 Hz), 4.17-4.13 (1H, m), 3.79 (6H, s), 3.23-2.98 (4H, m), 2.58 (4H, s), 2.16 (2H, t, J = 8.0 Hz), 1.90 (1H, s), 1.60 (2H, s), 1.42-1.19 (22H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz).

工程4
化合物14−10(209mg、0.285mmol)のアセトニトリル溶液(38mL)にDIEA(0.166mL、0.950mmol)とHBTU(79mg、0.209mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(3.8g)を加え、23時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、38mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物14−10の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が40μmol/gの化合物15−10を得た。
4−3)化合物15−14の合成
工程1及び工程2
4−1)の工程1と同様の方法にて化合物12の粗生成物(392mg)を得た。
化合物2−14(345mg、1.346mmol)のエタノール溶液(4.0mL)にDMT−MM(372mg、1.346mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。得られた反応液を、化合物12の粗製物のエタノール溶液(2.0mL)に加え、室温で28時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣に飽和重そう水及び水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(n−へキサン:酢酸エチル=70:30→20:80)で精製し、化合物13−14(228mg、収率37%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.40 (2H, d, J = 6.8 Hz), 7.31-7.21 (7H, m), 6.83 (4H, d, J = 6.4 Hz), 5.35 (1H, s), 3.79 (6H, s), 3.67 (1H, s), 3.61 (1H, s), 3.28-3.19 (3H, m), 3.07 (1H, t, J = 7.2 Hz), 2.43 (1H, s), 2.12 (2H, t, J = 6.0 Hz), 1.77 (1H, s), 1.59 (2H, s), 1.43 (2H, s), 1.25 (28H, s), 0.88 (3H, s).

工程3
化合物13−14(224mg、0.326mmol)のジクロロメタン溶液(2.2mL)にDMAP(4.0mg、0.033mmol)、DIEA(0.171mL、0.977mmol)と無水コハク酸(49mg、0.488mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物14−14(163mg、収率64%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.40 (2H, d, J = 6.4 Hz), 7.30-7.26 (6H, m), 7.19 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.81 (4H, d, J = 7.2 Hz), 5.57 (1H, s), 4.29 (1H, d, J = 10.8 Hz), 4.17-4.13 (1H, m), 3.79 (6H, s), 3.23-2.98 (4H, m), 2.58 (4H, s), 2.15 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.90 (1H, s), 1.59 (4H, s), 1.46-1.25 (28H, m), 0.87 (3H, t, J = 5.6 Hz).

工程4
化合物14−14(162mg、0.206mmol)のアセトニトリル溶液(28mL)にDIEA(0.122mL、0.700mmol)とHBTU(58mg、0.154mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(2.8g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、28mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物14−14の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が42μmol/gの化合物15−14を得た。
4−4)化合物15−18の合成
工程1及び工程2
4−1)の工程1と同様の方法にて化合物12の粗生成物(392mg)を得た。
化合物2−18(466mg、1.490mmol)のエタノール溶液(5.0mL)にDMT−MM(471mg、1.702mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。得られた反応液を、化合物12の粗製物のエタノール溶液(2.5mL)に加え、室温で4時間半撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣に飽和重そう水と水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(n−へキサン:酢酸エチル=70:30→20:80)で精製し、化合物13−18(494mg、収率62%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.32-7.26 (6H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.83 (4H, d, J = 8.8 Hz), 5.36 (1H, s), 3.79 (6H, s), 3.70-3.65 (1H, m), 3.63-3.57 (1H, m), 3.27 (1H, dd, J = 9.2, 4.0 Hz), 3.24-3.13 (2H, m), 3.07 (1H, dd, J = 9.2, 7.2 Hz), 2.45 (1H, t, J = 5.6 Hz), 2.12 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.78 (1H, s), 1.63-1.25 (40H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz).

工程3
化合物13−18(352mg、0.473mmol)のジクロロメタン溶液(3.5mL)にDMAP(5.8mg、0.047mmol)、DIEA(0.248mL、1.419mmol)と無水コハク酸(71mg、0.709mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物14−18(225mg、56%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.31-7.26 (6H, m), 7.20 (1H, t, J = 6.4 Hz), 6.82 (4H, d, J = 7.6 Hz), 5.57 (1H, s), 4.30 (1H, dd, J = 10.4, 2.4 Hz), 4.15 (1H, dd, J = 10.4, 6.4 Hz), 3.79 (6H, s), 3.24-2.98 (4H, m), 2.59 (4H, s), 2.16 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.90 (1H, s), 1.59 (4H, s), 1.44-1.21 (36H, m), 0.88 (3H, t, J = 5.6 Hz).

工程4
化合物14−18(223mg、0.264mmol)のアセトニトリル溶液(35mL)にDIEA(0.154mL、0.880mmol)とHBTU(73mg、0.194mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(3.5g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、35mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物14−18の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が56μmol/gの化合物15−18を得た。
5)化合物17の合成
Figure 0006611298

工程1及び工程2
化合物11(米国特許出願公開第2014/0142253号明細書参照、292mg、0.435mmol)のDMF溶液(2.0mL)にイミダゾール(71mg、1.044mmol)とt−ブチルジメチルクロロシラン(79mg、0.522mmol)加え、室温で16時間撹拌した。反応液へ水を加えてシクロペンチルメチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物16の粗製物(352mg)を得た。
化合物16の粗製物(352mg)のジクロロメタン溶液(2.4mL)にジエチルアミン(0.6mL、5.74mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液にエタノールを加えて撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノールで2回共沸し、得られた粗製物をアミノシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム)で精製し、無色油状物質として化合物17(190mg、78%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.45-7.43 (2H, m), 7.32 (4H, d, J = 8.8 Hz), 7.29-7.25 (2H, m), 7.22-7.18 (1H, m), 6.81 (4H, d, J = 8.8 Hz), 3.79 (6H, s), 3.68-3.61 (2H, m), 3.08-3.02 (2H, m), 2.63 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.75-1.69 (1H, m), 1.41-1.30 (6H, m), 1.27-1.15 (2H, m), 0.84 (9H, s), 0.01 (6H, s).
6)化合物22−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
6−1)化合物22−6の合成
工程1
化合物3−6(1.0g、2.92mmol)のTHF(20mL)―クロロホルム(20mL)溶液にDIEA(1.53mL、8.76mmol)、ビス(ニトロフェニル)カーボネート(1.33g、4.38mmol)、DMAP(178mg、1.46mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→20:80)で精製し、化合物18−6(982mg、66%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.32-8.26 (2H, m), 7.42 (2H, dt, J = 9.9, 2.5 Hz), 6.36 (2H, t, J = 6.4 Hz), 4.80 (1H, ddd, J = 10.7, 5.6, 3.3 Hz), 3.65-3.50 (4H, m), 2.26 (4H, t, J = 7.6 Hz), 1.69-1.62 (4H, m), 1.28 (16H, dt, J = 19.1, 4.7 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物17(500mg、0.89mmol)のジクロロメタン溶液(10.0mL)に化合物18−6(450mg、0.89mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、アミノシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=65:35→10:90)で精製し、化合物19−6(625mg、76%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.42 (2H, d, J = 7.4 Hz), 7.31 (4H, t, J = 6.2 Hz), 7.26 (3H, t, J = 3.9 Hz), 7.19 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.82 (4H, t, J = 6.0 Hz), 6.25 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.70 (2H, dd, J = 10.3, 5.3 Hz), 3.79 (6H, d, J = 4.4 Hz), 3.62 (2H, dd, J = 10.1, 5.1 Hz), 3.51 (2H, dd, J = 13.3, 6.4 Hz), 3.32-3.26 (2H, m), 3.08 (4H, dt, J = 20.2, 6.6 Hz), 2.19 (4H, t, J = 7.7 Hz), 1.70 (1H, t, J = 5.7 Hz), 1.61 (8H, t, J = 9.3 Hz), 1.42 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.26 (20H, tt, J = 26.0, 10.5 Hz), 0.88 (6H, dd, J = 12.0, 5.3 Hz), 0.83 (9H, s).

工程3
化合物19−6(625mg、0.67mmol)のTHF溶液(10mL)にTBAF(1M THF溶液、1.34mL、1.34mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、得られた粗製物をジオールシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→10:90)で精製し、化合物20−6(541mg、99%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, t, J = 4.3 Hz), 7.26 (9H, ddt, J = 31.6, 12.0, 4.9 Hz), 6.83 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.38 (2H, q, J = 6.1 Hz), 4.88 (1H, t, J = 5.6 Hz), 4.67 (1H, t, J = 5.0 Hz), 3.79 (6H, t, J = 7.5 Hz), 3.69-3.61 (2H, m), 3.50-3.44 (2H, m), 3.30 (3H, tt, J = 20.6, 6.5 Hz), 3.15-3.06 (3H, m), 2.63 (1H, s), 2.21-2.17 (4H, m), 1.78 (1H, s), 1.62 (4H, t, J = 6.9 Hz), 1.43 (2H, t, J = 5.4 Hz), 1.30 (20H, dt, J = 29.2, 11.0 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.9 Hz).
工程4
化合物20−6(541mg、0.66mmol)の塩化メチレン溶液(2mL)にDIEA(0.35mL、1.98mmol)、DMAP(8.0mg、0.066mmol)、無水コハク酸(132mg、1.32mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=40:1→10:1)で精製し、化合物21−6(591mg、97%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.31-7.25 (8H, m), 7.20 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.82 (4H, d, J = 8.5 Hz), 6.62 (1H, t, J = 6.3 Hz), 6.48 (1H, t, J = 6.5 Hz), 5.91 (1H, t, J = 5.5 Hz), 4.71 (1H, t, J = 5.3 Hz), 4.42 (1H, dd, J = 11.0, 3.2 Hz), 4.14 (1H, dd, J = 10.9, 5.9 Hz), 3.79 (6H, s), 3.40 (4H, tt, J = 20.4, 7.0 Hz), 3.08 (4H, dq, J = 33.3, 8.0 Hz), 2.69-2.49 (4H, m), 2.20 (4H, dd, J = 15.6, 8.2 Hz), 1.95 (1H, s), 1.61 (4H, d, J = 7.0 Hz), 1.27 (22H, d, J = 5.0 Hz), 0.87 (6H, dd, J = 6.8, 5.1 Hz).

工程5
化合物21−6(312mg、0.34mmol)のアセトニトリル/塩化メチレン混合溶液(4:1、25mL)にDIEA(0.30mL、1.70mmol)とHBTU(142mg、0.37mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へHybridCPG amino form 2000Å(Prime Synthesis社)(2.8g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、HybridCPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したHybridCPGにTHF/無水酢酸/ピリジン混液(8:1:1、30mL)を加えて3時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、HybridCPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−6の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が114μmol/gの化合物22−6を得た。
6−2)化合物22−8の合成
工程1
化合物3−8(1g、2.5mmol)のTHF溶液(20mL)及びクロロホルム(20mL)にビス(ニトロフェニル)カーボネート(1.14g、3.76mmol)、DIEA(1.3mL、7.5mmol)、DMAP(0.15g、1.25mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→20:80)で精製し、化合物18−8(1.17g、83%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.27 (2H, dt, J = 9.9, 2.5 Hz), 7.41 (2H, dt, J = 9.9, 2.5 Hz), 6.42 (2H, t, J = 6.5 Hz), 4.81-4.78 (1H, m), 3.65-3.50 (4H, m), 2.26 (4H, t, J = 7.6 Hz), 1.68-1.62 (4H, m), 1.28 (24H, t, J = 9.5 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物17(500mg、0.89mmol)のジクロロメタン溶液(10.0mL)に化合物18−8(500mg、0.89mmol)及びDIEA(0.23mL、1.33mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、アミノシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→10:90)で精製し、化合物19−8(661mg、75%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.42 (2H, d, J = 7.4 Hz), 7.31 (4H, t, J = 6.3 Hz), 7.26 (3H, t, J = 3.9 Hz), 7.19 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.81 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.25 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.70 (2H, q, J = 5.4 Hz), 3.79 (6H, s), 3.63 (2H, t, J = 5.3 Hz), 3.51 (2H, dd, J = 13.1, 6.5 Hz), 3.29 (2H, dd, J = 12.9, 7.0 Hz), 3.08 (4H, dt, J = 20.0, 6.5 Hz), 2.18 (4H, t, J = 7.7 Hz), 1.70 (1H, t, J = 5.8 Hz), 1.62 (6H, d, J = 11.2 Hz), 1.42 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.27 (28H, dt, J = 37.9, 14.6 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz), 0.83 (9H, s).

工程3
化合物19−8(661mg、0.669mmol)のTHF溶液(10mL)にTBAF(1M THF溶液、1.34mL、1.34mmol)を加え、室温で25時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、ジオールシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→10:90)で精製し、化合物20−8(549mg、94%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, t, J = 4.4 Hz), 7.32-7.19 (9H, m), 6.84 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.35 (2H, q, J = 6.1 Hz), 4.85 (1H, t, J = 5.8 Hz), 4.67 (1H, t, J = 5.1 Hz), 3.79 (6H, s), 3.64 (2H, dd, J = 14.3, 7.4 Hz), 3.47 (2H, dt, J = 14.1, 5.8 Hz), 3.30 (3H, tt, J = 19.5, 6.2 Hz), 3.15-3.06 (3H, m), 2.60 (1H, s), 2.21-2.17 (4H, m), 1.78 (1H, s), 1.62 (4H, s), 1.44 (2H, d, J = 5.1 Hz), 1.27 (28H, dd, J = 11.0, 3.7 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz).
工程4
化合物20−8(549mg、0.63mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)にDMAP(7.7mg、0.063mmol)、無水コハク酸(126mg、1.25mmol)、DIEA(0.32mL、1.88mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1→10:1)で精製し、化合物21−8(582mg、95%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.31-7.25 (8H, m), 7.20 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.82 (4H, d, J = 8.7 Hz), 6.61 (1H, t, J = 6.2 Hz), 6.47 (1H, t, J = 6.4 Hz), 5.91 (1H, t, J = 5.6 Hz), 4.71 (1H, t, J = 5.1 Hz), 4.42 (1H, dd, J = 11.0, 3.2 Hz), 4.14 (1H, dd, J = 10.9, 5.8 Hz), 3.80 (6H, d, J = 6.1 Hz), 3.47-3.33 (4H, m), 3.08 (4H, ddd, J = 33.6, 15.6, 8.5 Hz), 2.69-2.49 (4H, m), 2.20 (4H, dd, J = 15.6, 8.2 Hz), 1.95 (1H, s), 1.55 (4H, dt, J = 34.3, 6.5 Hz), 1.27 (30H, t, J = 7.2 Hz), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程5
化合物21−8(300mg、0.31mmol)のアセトニトリル/塩化メチレン混合溶液(4:1、25mL)にDIEA(0.27mL、1.54mmol)とHBTU(128mg、0.34mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へHybridCPG amino form 2000Å(Prime Synthesis社)(2.5g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、HybridCPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したHybridCPGにTHF/無水酢酸/ピリジン混液(8:1:1、30mL)を加えて3時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、HybridCPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−8の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が107μmol/gの化合物22−8を得た。
6−3)化合物22−10の合成
工程1
化合物3−10(2.0g、3.92mmol)のTHF溶液(50mL)にピリジン(0.379mL、4.70mmol)、クロロぎ酸4−ニトロフェニル(947mg、4.70mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物18−10(1.1g、42%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.28 (2H, d, J = 8.8 Hz) , 7.42 (2H, d, J = 8.8 Hz),6.91 (2H, d, J = 9.1 Hz),4.80 (1H, s),3.57 (4H, m),2.26 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.66 (4H, t, J = 6.9 Hz),1.27 (40H, d, J = 20.2 Hz),0.88 (6H, t, J = 6.7 Hz).

工程2
化合物17(41mg、0.074mmol)のジクロロメタン溶液(5.0mL)に化合物18−10(50mg、0.074mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物19−10(80mg、98%)を黄色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 7.5 Hz),7.31 (7H, t, J = 6.4 Hz),6.81 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.23 (2H, d, J = 5.5 Hz),4.68 (1H, s),3.79 (6H, s),3.63 (2H, t, J = 5.4 Hz),3.52 (2H, t, J = 6.8 Hz),3.28 (2H, t, J = 7.3 Hz),3.11-3.04 (4H, m),2.18 (4H, t, J = 7.5 Hz),1.62 (6H, t, J = 7.2 Hz),1.25 (40H, s),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz),0.84 (9H, s), 0.01 (6H, s)

工程3
化合物19−10(559.2mg、0.535mmol)のTHF溶液(5mL)にトリエチルアミン(4.4mL、7.21mmol)、TBAF(1M THF溶液、0.4mL、0.40mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液をクロロホルム(10mL)で希釈した後に飽和重層水(10mL)で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物20−10(384mg、77%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, t, J = 4.3 Hz),7.31 (7H, d, J = 8.5 Hz),6.84 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.32 (2H, t, J = 6.3 Hz),4.83 (1H, t, J = 6.0 Hz),4.67 (1H, s, J = 5.2 Hz),3.79 (6H, s),3.68-3.63 (2H, m),3.47 (2H, dd, J = 12.9, 6.1 Hz),3.34-3.24 (3H, m),3.10 (3H, dt, J = 17.5, 5.6 Hz),2.59 (1H, s),2.21-2.17 (4H, m),1.71 (1H, m),1.62 (4H, t, J = 7.2 Hz),1.25 (36H, s),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).
工程4
化合物20−10(384mg、0.431mmol)のジクロロメタン溶液(10.1mL)にDMAP(5.04mg、0.041mmol)、無水コハク酸(62.0mg、0.619mmol)を加え、室温で1日間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗製物をジオールシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物21−10(308mg、71%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, t, J = 4.3 Hz),7.31 (6H, d, J = 8.5 Hz),6.84 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.81 (1H, br s),6.61 (1H, br s),5.83 (1H, br s),4.70 (1H, s),4.38 (1H, m),4.13 (1H, d, J = 10.4 Hz),3.79 (6H, s),3.78-3.41 (6H, m),3.05 (6H, m),2.89 (6H, m),2.62-2.55 (6H, m),2.20 (4H, d, J = 7.2 Hz),1.94 (1H, s),1.62 (4H, t, J = 7.2 Hz),1.25 (36H, s),0.88 (6H, t, J = 7.2 Hz).

工程5
化合物21−10(247mg、0.240mmol)のアセトニトリル/ジクロロメタン混合溶液(1:1、20mL)にDIEA(0.168mL、0.982mmol)とHBTU(100mg、0.264mmol)を加え、室温で20分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(2.0g)を加え、12時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをジクロロメタンで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、20mL)を加えて30分間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをジクロロメタンで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−10の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が69μmol/gの化合物22−10を得た。
6−4)化合物22−12の合成
工程1
化合物3−12(2.0g、3.92mmol)のTHF溶液(50mL)にピリジン(0.379mL、4.70mmol)、クロロぎ酸4−ニトロフェニル(947mg、4.70mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物18−12(1.1g、42%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.28 (2H, d, J = 8.8 Hz) , 7.42 (2H, d, J = 8.8 Hz),6.91 (2H, d, J = 9.1 Hz),4.80 (1H, s),3.57 (4H, m),2.26 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.66 (4H, t, J = 6.9 Hz),1.27 (40H, d, J = 20.2 Hz),0.88 (6H, t, J = 6.7 Hz).

工程2
化合物17(41mg、0.074mmol)のジクロロメタン溶液(5.0mL)に化合物18−12(50mg、0.074mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物19−12(80mg、98%)を黄色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 7.5 Hz),7.31 (6H, t, J = 6.4 Hz),6.81 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.23 (2H, d, J = 5.5 Hz),4.68 (1H, s),3.79 (6H, s),3.63 (2H, t, J = 5.4 Hz),3.52 (2H, t, J = 6.8 Hz),3.28 (2H, t, J = 7.3 Hz),3.11-3.04 (4H, m),2.18 (4H, t, J = 7.5 Hz),1.62 (6H, t, J = 7.2 Hz),1.25 (40H, s),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz),0.84 (6H, s), 0.01 (6H, s)

工程3
化合物19−12(90mg、0.082mmol)のTHF溶液(5mL)にトリエチルアミン(1.0mL、7.21mmol)、TBAF(1M THF溶液、0.4mL、0.40mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液をクロロホルム(10mL)で希釈した後に飽和重層水(10mL)で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→95:5)で精製し、化合物20−12(84mg、100%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, t, J = 4.3 Hz),7.31 (6H, d, J = 8.5 Hz),6.84 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.34 (2H, t, J = 6.3 Hz),4.83 (1H, s),4.67 (1H, s),3.79 (6H, s),3.68-3.63 (2H, m),3.47 (2H, dd, J = 12.9, 6.1 Hz),3.34-3.24 (3H, m),3.10 (3H, dt, J = 17.5, 5.6 Hz),2.60 (1H, s),2.21-2.17 (4H, m),1.62 (4H, t, J = 6.9 Hz),1.25 (40H, s),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).
工程4
化合物20−12(60mg、0.061mmol)のピリジン溶液(2mL)にDMAP(0.7mg、0.006mmol)、無水コハク酸(7.3mg、0.073mmol)を加え、室温で4日間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→95:5)で精製し、化合物21−12(56mg、85%)を無色液体物質として得た。
ESI-MS (m/z) : 1085 (M-H).

工程5
化合物21−12(52mg、0.048mmol)のアセトニトリル/クロロホルム混合溶液(1:1、10mL)にDIEA(0.043mL、0.248mmol)とHBTU(31mg、0.083mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(0.5g)を加え、23時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、5mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−12の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が31μmol/gの化合物22−12を得た。
6−5)化合物22−14の合成
工程1
化合物3−14(1.5g、3.92mmol)のTHF溶液(60mL)にピリジン(0.320mL、3.97mmol)、クロロぎ酸4−ニトロフェニル(800mg、3.97mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=66:34→45:55)で精製し、化合物18−14(1.56g、81%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.29 (2H, d, J = 10.0 Hz), 7.43 (2H, d, J = 10.0 Hz), 6.31 (2H, t, J = 6.4 Hz), 4.81-4.76 (1H, m), 3.65-3.58 (2H, m), 3.55-3.48 (2H, m), 2.25 (4H, t, J = 7.6 Hz), 1.67-1.61 (4H, m), 1.25 (48H, s), 0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物17(1.06g、1.88mmol)のジクロロメタン溶液(30mL)に化合物18−14(1.38g、1.88mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=66:34→45:55)で精製し、化合物19−14(1.47g、68%)を白色固体として得た。
ESI-MS (m/z) : 1155 (M-H).

工程3
化合物19−14(1.47g、1.27mmol)のTHF溶液(30mL)にTBAF(1M THF溶液、3.81mL、3.81mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、溶媒を減圧濃縮した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→5:95)で精製し、化合物20−14(1.04g、79%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.32-7.27 (6H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.83 (4H, d, J = 8.8 Hz), 6.37-6.35 (2H, m), 4.86 (1H, t, J = 5.6 Hz), 4.69-4.64 (1H, m), 3.79 (6H, s), 3.69-3.61 (2H, m), 3.50-3.24 (6H, m), 3.15-3.06 (3H, m), 2.61 (1H, s), 2.21-2.17 (4H, m), 1.25 (58H, s), 0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).
工程4
化合物20−14(1.04g、0.998mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)にDMAP(12mg、0.10mmol)、DIEA(0.523mL、2.99mmol)、無水コハク酸(170mg、1.70mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗製物をジオールシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム)で精製し、化合物21−14(1.17g)を白色固体として得た。
ESI-MS (m/z) : 1141 (M-H).

工程5
化合物21−14(585mg、0.512mmol)のアセトニトリル/ジクロロメタン混合溶液(1:1、40mL)にDIEA(0.447mL、2.56mmol)とHBTU(214mg、0.563mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(4.0g)を加え、21時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリル/ジクロロメタン混合溶液(1:1、120mL)、ジエチルエーテル(60mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、40mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジン(40mL)、イソプロパノール(60mL)、ジエチルエーテル(60mL)で洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−14の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が40μmol/gの化合物22−14を得た。
6−6)化合物22−18の合成
工程1
化合物3−18(1.0g、1.47mmol)のTHF溶液(40mL)にピリジン(0.143mL、1.76mmol)、クロロぎ酸4−ニトロフェニル(356mg、1.77mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し母液を減圧留去した後、得られた固体の粗製物を酢酸エチルで洗浄し、化合物18−18(508mg、41%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.29 (2H, d, J = 8.8 Hz),7.43 (2H, d, J = 9.1 Hz),6.29 (2H, s),3.60-3.50 (4H, m),2.25 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.64 (4H, d, J = 6.6 Hz),1.25 (64H, s),0.88 (6H, t, J = 6.4 Hz).

工程2
化合物17(62mg、0.110mmol)のジクロロメタン溶液(4.0mL)に化合物18−18(93mg、0.110mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物19−18(113mg、81%)を黄色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 13.4 Hz),7.31 (7H, d, J = 9.3 Hz),6.81 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.22 (2H, s),4.69 (1H, s),3.78 (6H, s),3.62 (2H, t, J = 5.6 Hz),3.51 (2H, dd, J = 10.9, 6.1 Hz),3.32-3.27 (2H, m),3.11-3.04 (4H, m),
2.17 (4H, t, J = 3.7 Hz),1.62 (6H, dd, J = 10.5, 4.7 Hz),1.25 (64H, s),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz),0.83 (9H, s), 0.01 (6H, s).

工程3
化合物19−18(100mg、0.079mmol)のTHF溶液(4mL)にトリエチルアミン(0.1mL、0.79mmol)、TBAF(1M THF溶液、0.32mL、0.32mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液をクロロホルム(10mL)で希釈した後に飽和重層水(10mL)で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→95:5)で精製し、化合物20−18(90mg、99%)を無色液体物質として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, d, J = 8.6 Hz),7.31 (7H, d, J = 8.8 Hz),6.84 (4H, d, J = 8.6 Hz),6.31 (2H, s),4.81 (1H, s),4.67 (1H, s),3.79 (6H, s),3.71-3.63 (2H, m),3.49 (2H, dd, J = 14.7, 11.1 Hz),3.30 (3H, tt, J = 18.8, 7.4 Hz),3.13-3.07 (3H, m),2.58 (1H, s),2.18 (4H, d, J = 7.6 Hz),1.60 (6H, dd, J = 9.2, 4.4 Hz)1.25 (64H, s),0.88 (6H, t, J = 6.3 Hz).
工程4
化合物20−18(87mg、0.075mmol)のピリジン溶液(2mL)にDMAP(0.9mg、0.007mmol)、無水コハク酸(15.8mg、0.151mmol)を加え、室温で7日間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→95:5)で精製し、化合物21−18(85mg、90%)を無色液体物質として得た。
ESI-MS (m/z) : 1253 (M-H).

工程5
化合物21−18(85mg、0.068mmol)のアセトニトリル/クロロホルム混合溶液(1:1、10mL)にDIEA(0.043mL、0.248mmol)とHBTU(38mg、0.10mmol)を加え、室温で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(0.5g)を加え、室温で23時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回、ジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、5mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをピリジンで2回、イソプロパノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−18の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が15μmol/gの化合物22−18を得た。
6−7)化合物22−20の合成
工程1
化合物3−20(1.0g、1.36mmol)のTHF溶液(35mL)に炭酸ビス(4−ニトロフェニル)(1.241mL、4.08mmol)、DMAP(498mg、4.08mmol)を加え、55℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣に対してアセトニトリル(50mL)を加えて沈殿が生じるまで撹拌した。反応溶液に水(20mL)を加えて激しく撹拌した。生じた固体をでろ取した。得られた固体を水(50mL)、アセトニトリル(50mL)で順に洗浄し、化合物18−20(1.1g、92%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.28 (2H, dd, J = 2.0, 6.8 Hz) , 7.42 (2H, dd, J = 2.4, 7.2 Hz),6.30 (2H, s),4.79 (1H, s),3.61 (2H, m),3.52 (2H, m),2.20 (4H, m),1.66 (4H, m),1.25 (72H, m),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程2
化合物17(219mg、0.388mmol)のTHF溶液(6.5mL)に化合物18−20(350mg、0.388mmol)、DMAP(47.5mg、0.388mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。反応液に10%含水アセトニトリル溶液(70ml)を加えしばらく撹拌した後に、析出した固体をろ取した。化合物19−20(420mg、82%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.43 (2H, d, J = 7.6 Hz),7.31 (7H, m),6.81 (4H, d, J = 8.4 Hz),6.26 (2H, br s),4.73 (1H, br s),4.69 (1H, br s),3.79 (6H, s),3.79 (6H, s),3.63 (2H, m),3.49 (2H, m),3.29 (2H, d, J = 14.0 Hz),3.10-3.06 (4H, m),2.18 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.68 (4H, m),1.42-1.25 (m, 72H),0.88 (6H, t, J = 6.4 Hz),0.83 (s, 9H),0.00 (s, 6H).

工程3
化合物19−20(559mg、0.422mmol)のTHF溶液(5mL)にTBAF(1M THF溶液、0.506mL、0.506mmol)を加え、50℃で5時間撹拌した。反応液を10%含水アセトニトリル溶液(100mL)に滴下し、析出した固体をろ取した。化合物20−20(344mg、67%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, t, J = 4.3 Hz),7.31 (7H, d, J = 8.5 Hz),6.84 (4H, d, J = 8.8 Hz),6.35 (2H, br s),4.85 (1H, s),4.67 (1H, s),3.79 (6H, s),3.68 (2H, m),3.47 (2H, dd, J = 12.9, 6.1 Hz),3.34-3.24 (3H, m),3.10 (3H, dt, J = 17.5, 5.6 Hz),2.60 (1H, s),2.21-2.17 (4H, m),1.62 (4H, m), 1.60-1.45 (m, 4H),1.25-1.01 (72H, m),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).
工程4
化合物20−20(344mg、0.284mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)にDMAP(3.5mg、0.0284mmol)、無水コハク酸(42.6mg、0.426mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を10%含水アセトニトリル溶液(100mL)に滴下し、析出した固体をろ取した。化合物21−20(361mg、97%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 7.6 Hz),7.31-7.26 (7H, m),6.83 (4H, t, J = 8.4 Hz),6.56 (1H, br s),6.40 (1H, br s),5.89 (1H, br s),4.71 (1H, m),4.41 (1H, d, J = 8.0 Hz),4.14 (1H, dd, J = 6.0,11.2 Hz),3.79 (6H, s),3.65 (1H, m), 3.43-3.37 (4H, m),3.05-3.02 (4H, m),2.19-2.17 (4H, m),1.61-1.25 (76H, m),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程5
化合物21−20(190mg、0.145mmol)のアセトニトリル/クロロホルム混合溶液(1:3、10mL)にDIEA(0.127mL、0.725mmol)とHBTU(60.5mg、0.159mmol)を加え、40℃で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(3.0g)を加え、2時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをクロロホルムで3回、エタノール、アセトニトリルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、20mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをクロロホルムで3回、アセトニトリルで3回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−20の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が48μmol/gの化合物22−20を得た。
6−8)化合物22−22の合成
工程1
化合物3−22(2.0g、2.53mmol)のTHF溶液(35mL)に炭酸ビス(4−ニトロフェニル)(1.54g、5.05mmol)、DMAP(618mg、5.05mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣に対してアセトニトリル(100mL)を加えて沈殿が生じるまで撹拌した。反応溶液に水(20mL)を加えて激しく撹拌した。生じた固体をろ取した。得られた固体を水(100mL)、アセトニトリル(100mL)で順に洗浄し、化合物18−22(2.27g、89%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.28 (2H, d, J = 8.8 Hz) , 7.43 (2H, d, J = 8.82 Hz),6.29 (2H, br t, J = 6.4 Hz),4.79 (1H, br s),3.61 (2H, m),3.52 (2H, m),2.25 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.64 (4H, m),1.26 (84H, m),0.88 (6H, t, J = 6.0 Hz)

工程2
化合物17(666mg、1.81mmol)のTHF溶液(10.0mL)にDMAP(144mg、1.81mmol)、化合物18−22(1.13g、1.18mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。反応液をにアセトニトリル(150mL)をゆっくりと加え、生じた沈殿をろ取した。得られた固体をアセトニトリルで3回洗浄し、化合物19−22(1.5g、92%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 6.8 Hz),7.32-7.20 (7H, m),6.81 (4H, d, J = 6.8 Hz),6.26 (2H, br m),4.70 (2H, s),3.63 (2H, m),3.49 (2H, m),3.31 (2H, m),3.09-3.04 (4H, m),2.18 (4H, m),1.60 4H, m),1.25 (84H, m),0.86 (6H, t, J = 6.8 Hz),0.84 (9H, s), 0.01 (6H, s)

工程3
化合物19−22(1.5g、1.07mmol)のTHF溶液(8.9mL)に、TBAF(1M THF溶液、1.64mL、1.69mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。反応液をにアセトニトリル(150mL)をゆっくりと加え、生じた沈殿をろ取した。得られた固体をアセトニトリルで3回洗浄し、化合物20−22(1.2g、87%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 (2H, t, J = 7.2 Hz),7.31-7.21 (7H, m),6.84 (4H, d, J = 8.0 Hz),6.34 (2H, m),4.83 (1H, s),4.67 (1H, s),3.79 (6H, s),3.67 (2H, m),3.46 (2H, m),3.33-3.24 (3H, m),3.10 (3H, m),2.17 (4H, t, J = 7.6 Hz),1.78 (4H, m),1.44-1.25 (84H, m),0.88 (6H, t, J = 6.0 Hz).
工程4
化合物20−22(100mg、0.079mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)にDMAP(1mg、0.008mmol)、無水コハク酸(11.9mg、0.118mmol)を加え、45℃で4時間した。反応液にアセトニトリル(10mL)に滴下し、析出した固体をろ取した。得られた固体をアセトニトリルで3回洗浄し、化合物21−22(361mg、97%)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.42 (2H, d, J = 7.6 Hz),7.31-7.26 (7H, m),6.81 (4H, t, J = 8.8 Hz),6.58 (1H, br m),6.43 (1H, br m),5.88 (1H, br m),4.71 (1H, m),4.40 (1H, d, J = 8.0 Hz),4.14 (1H, dd, J = 6.0,10.8 Hz),3.79 (6H, s),3.65 (1H, m), 3.43-3.37 (4H, m),3.13-3.02 (4H, m),2.63-2.53 (4H, m),2.23-2.18 (4H, dd, J = 7.2, 14.8 Hz),2.00-1.25 (4H, m) 1.25-1.11(84H, m),0.88 (6H, t, J = 6.8 Hz).

工程5
化合物21−22(92mg、0.067mmol)のアセトニトリル/ジクロロメタン/クロロホルム混合溶液(1:2:2、10mL)にDIEA(0.059mL、0.336mmol)とHBTU(28mg、0.074mmol)を加え、40℃で15分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(0.9g)を加え、40℃で3時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをクロロホルム、アセトニトリル、エタノールで各3回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、60mL)を加えて1時間半振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで3回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物21−22の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が47μmol/gの化合物22−22を得た。
8−1)化合物26の合成
Figure 0006611298

窒素気流下、コレステロール(化合物25、1.00g、2.59mmol、和光純薬)のジクロロメタン(10mL)溶液に、DIEA(0.9mL、5.17mmol)を加え、氷冷水で冷却した。N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸メチル(0.86mL、3.85mmol)を加えて氷冷下40分撹拌した。反応液をジクロロメタン酢酸エチル(100mL)で希釈した後に飽和重層水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥してろ過後,減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:20g、n−ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)により精製し、化合物26(1.45g、収率95%)を無色泡状物質として得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
31P-NMR(CDCl3)δ:145.46 (d)
8−2)化合物53の合成
Figure 0006611298

ファルネソール(化合物52、1.0mL、3.99mmol、純正化学株式会社)をジクロロメタン(8.9mL)に溶解し、DIEA(1.53mL、8.78mmol)を加えた。その後室温にて、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸2‐シアノエチル(0.98mL、4.39mmol)を加え、室温で40分間撹拌した。ジクロロメタン(90mL)と飽和重そう水(100mL)を反応溶媒に加えて反応を停止し、その後混合液を分液漏斗へ移し、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。有機層を減圧下で濃縮後、粗生成物として淡黄色オイルである化合物53(1.20g、2.84mmol)を得た。化合物の生成は31P−NMRにより3価のリンが導入されたことをもって判断した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.37 (1H, t, J = 6.6 Hz), 5.10-5.08 (2H, m), 4.19-4.13 (2H, m), 3.90-3.77 (2H, m), 3.66-3.54 (2H, m), 2.64 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.08-1.99 (8H, m), 1.68-1.67 (6H, m), 1.61-1.60 (6H, m), 1.20-1.17 (12H, m).
31P-NMR (CDCl3) δ: 147.92 (1H, s).
9)化合物36-nの合成
Figure 0006611298

Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
9−1)化合物36−16の合成
工程1
Nucleic Acids Reserch,42,8796―8807(2014)に記載の方法に従って、化合物27より2工程で化合物28を合成した。

工程2
化合物28(5.0g、7.79mmol)のDMF溶液(20mL)に室温でイミダゾール(690mg、10.1mmol、1.3eq.)、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.29g、8.57mmol、1.1eq.)を順次加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:120g、n−ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン=90:10:1→65:35:1)により精製し、化合物29(5.50g、収率93%)を無色泡状物質として得た。H−NMRでは1:1のロータマー混合物として観測された。
ESI-MS (m/z) : 778 (M+H).
1H-NMR(CDCl3)δ: 7.68 (d, J=7.5Hz, 1H), 7.62 (d, J=7.5Hz, 1H), 7.58-7.51 (m, 1H), 7.40-7.05 (m, 14H), 6.74-6.63 (m, 5H), 4.61-4.49 (m, 1H), 4.33-4.15 (2m, 1H), 4.12-4.03 (m, 1H), 3.93-3.85 (m, 1H), 3.62 (s, 6H), 3.56 (dd, J=10.7, 5.4Hz, 0.5H), 3.41-3.31 (m, 1H), 3.16 (dd, J=9.0, 4.3Hz, 0.5H), 3.00 (m, 0.5H), 2.90 (m, 0.5H), 2.13-2.02 (m, 1H), 1.97-1.82 (m, 1H), 0.82 (s, 1.5H), 0.81 (s, 3H), 0.779 (s, 3H), 0.787 (s, 1.5H), 0.007 (s, 1.5H), 0.000 (s, 1.5H), -0.015 (s, 1.5H), -0.026 (s, 1.5H).

工程3
化合物29(2.63g、3.48mmol)のDMF溶液(10ml)にピペリジン(0.379ml、3.83mmol、1.1eq.)を加え、室温で2時間撹拌した後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。メタノール(10ml)を加え、生じた析出物をろ別した後、ろ液を濃縮することにより、化合物30(2.20g)の粗生成物を得た。
ESI-MS (m/z) : 524 (M+H). HPLC Peak RT = 3.29 min.

工程4
化合物30(2.20g、粗製)のジクロロメタン溶液(15ml)に室温でトリエチルアミン(3.65ml、36.9mmol)、アセトキシアセチルクロリド(3.65ml、36.9mmol)を順次加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、化合物31の粗生成物を得た。
ESI-MS (m/z) : 634 (M+H). HPLC Peak RT = 3.40 min.

工程5
工程4で得られた化合物31をメタノール(10ml)に溶解した後、28%ナトリウムメトキシド‐メタノール溶液(0.60ml)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:80g、n−ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン=80:20:1→65:35:1)により精製し、化合物32(1.45g、化合物30からの収率71%)を無色泡状物質として得た。H−NMRでは78:22のロータマー混合物として観測された。
ESI-MS (m/z) : 592 (M+H). HPLC Peak RT = 3.36 min.
1H-NMR(CDCl3)δ: (Major) 7.39-7.32 (m, 2H), 7.32-7.18 (m, 7H), 6.86-6.79 (m, 4H), 4.73 (m, 1H), 4.35 (m, 1H), 4.06 (dd, J=15.1, 4.4Hz, 1H), 3.98 (dd, J=15.1, 4.4Hz, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.57 (dd, J=10.0, 4.0Hz, 1H), 3.52 (dd, J=10.0, 6.0Hz, 1H), 3.47 (dd, J=4.4, 4.4Hz, 1H), 3.13 (dd, J=10.0, 2.5Hz, 1H), 3.08 (dd, J=10.0, 5.0Hz, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.93 (ddd, J=13.0, 8.8, 6.0Hz, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.07 (s, 3H). (Minor) 7.39-7.32 (m, 2H), 7.32-7.18 (m, 7H), 6.86-6.79 (m, 4H), 4.54 (m, 1H), 4.06-3.98 (m, 1H), 3.92 (dd, J=14.6, 4.3Hz, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.68 (dd, J=12.0, 4.0Hz, 1H), 3.62-3.42 (m, 2H), 3.16-3.02 (m, 2H), 2.11 (ddd, J=13.0, 5.8, 4.0Hz, 1H), 2.02 (m, 1H), 0.86 (s, 9H), 0.051 (s, 3H), 0.049 (s, 3H).
工程6
1−1−6)と同様に合成した化合物3−16(2.00g、3.21mmol)のジクロロメタン(60ml)懸濁溶液にDIEA(3.36mL、19.3mmol、4.0eq.)を加えた溶液を、N,N‐ジイソプロピルアミドクロリド亜りん酸メチル(2.54g、12.8mmol、2.0eq.)のジクロロメタン(10ml)溶液に加え、45℃で10分間撹拌した。
室温へ放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に空けて、クロロホルムにて抽出した後、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。撹拌しながら、得られた残渣にアセトニトリル(20ml)を加えて、白色の目的物を析出させた後、ろ取することにより、化合物33−16(2.36g、収率94%)を白色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.39 (t, J = 5.5 Hz, 1H, -NH), 6.18 (t, J = 5.5 Hz, 1H, -NH),3.95 (m, 0.5H), 3.67-3.51 (m, 4.5H), 3.42 (s, 1.5H), 3.39 (s, 1.5H), 3.19-3.11 (m, 1H), 3.05-2.97 (m, 1H), 2.30-2.15 (m, 4H), 1.70-1.57 (m, 4H), 1.36-1.23 (m, 56H), 1.23-1.14 (m, 12H), 0.88 (t, J=6.5Hz, 6H). 31P-NMR(CDCl3)δ: 149.06

工程7
化合物32(700mg、1.18mmol)と化合物33−16(1.87g、2.37mmol、2.0eq.)が溶解したジクロロメタン(14ml)溶液に1H-テトラゾール(124mg、1.77mmol、1.5eq.)を加え、室温で2時間撹拌した後、0.5M DDTT溶液([(ジメチルアミノ−メチリデン)アミノ]−3H−1,2,4−ジチアザオリン−3−チオン、4.73ml、3−ピコリン:アセトニトリル=1:1に溶解)を加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:45g、n−ヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン=75:25:1→50:50:1)により精製し、化合物34−16(1.19g、収率79%)を無色泡状物質として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.40-7.11 (m, 9H), 6.87-6.78 (m, 4H), 4.94-4.84 (m, 1H), 4.82-4.72 (m, 1H), 4.58-4.43 (m, 2H), 4.38-4.31 (m, 1H), 3.86-3.53 (m, 4H), 3.80 (s, 3H), 3.79 (s, 6H), 3.33-2.99 (m, 4H), 2.30-1.88 (m, 6H), 1.65-1.55 (m, 4H), 1.35-1.20 (m, 56H), 0.91-0.84 (m, 15H), 0.08 (s, 3H), 0.01 (s, 3H).

工程8
化合物34−16(1.02g、0.780mmol)のTHF溶液(10ml)に室温で1mol/l テトラブチルアンモニウムフロリド−THF溶液(0.937ml、1.2eq.)を加え、室温で1時間撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:30g、クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=97.5:2.5:1→90:10:1)により精製し、化合物35−16(608mg、収率65%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.40-7.17 (m, 9H), 6.91 (m, 1H, -NH), 6.88-6.78 (m, 5H),5.00-4.35 (m, 5H), 3.85-3.44 (m, 4H), 3.79 (s, 3H), 3.78 (s, 6H), 3.35-3.06 (m, 4H), 2.31-2.09 (m, 5H), 2.06-1.94 (m, 1H), 1.68-1.52 (m, 4H), 1.36-1.18 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H).

工程9
化合物35−16(210mg、0.176mmol)のジクロロメタン溶液(3ml)に室温でトリエチルアミン(0.073ml、0.528mmol、3.0eq.)、無水コハク酸(35mg、0.352mmol、2.0eq.)、DMAP(4mg、0.033 mmol)を順次加え、室温で12時間撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:24g、クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=100:0:1→95:5:1)により精製し、化合物36−16(172mg、収率76%)を無色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.38-7.32 (m, 2H), 7.38-7.32 (m, 7H), 6.90-6.76 (m, 4H), 5.42 (br.s, 1H), 5.04-4.39 (m, 4H), 3.87-3.55 (m, 4H), 3.79 (s, 3H), 3.78 (s, 6H), 3.31-3.07 (m, 4H), 2.65-2.43 (m, 4H), 2.38-2.28 (m, 1H), 2.28-2.08 (m, 5H), 1.67-1.53 (m, 4H), 1.35-1.19 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.5Hz, 6H).
10)化合物46−nの合成
Figure 0006611298

Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
10−1)化合物46−16の合成
工程1
Nucleic Acids Reserch,42,8796―8807(2014)に記載の方法に従って、化合物28より化合物37を合成した。

工程2
化合物37(3.00g、7.15mmol)のジクロロメタン溶液(15ml)に室温でトリエチルアミン(1.98ml、14.3mmol、2.0eq.)、無水コハク酸(751mg、7.51mmol、1.05eq.)を加え、室温で1時間撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:120g、クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=95:5:1→75:25:1)により精製し、化合物38(3.37g、収率91%)を無色粉末として得た。H−NMRでは63:37のロータマー混合物として観測された。
ESI-MS (m/z) : 530 (M+H). HPLC Peak RT = 1.86 min.
1H-NMR(CDCl3)δ:(Major) 7.39-7.33 (m, 2H), 7.30-7.22 (m, 6H), 7.22-7.16 (m, 1H), 6.85-6.77 (m, 4H), 4.50 (br.s, 1H), 4.41 (m, 1H), 3.88 (d, J=11.0Hz, 1H), 3.775 (s, 6H), 3.65 (dd, J=11.0, 4.0Hz, 1H), 3.43 (dd, J=9.2, 4.5Hz, 1H),3.14 (dd, J=9.2, 2.7Hz, 1H), 2.85-1.97 (m, 6H). (Minor) 7.39-7.33 (m, 2H), 7.30-7.22 (m, 6H), 7.22-7.16 (m, 1H), 6.85-6.77 (m, 4H), 4.41 (m, 1H), 4.31 (br.s, 1H), 4.11 (d, J=12.3Hz, 1H), 3.783 (s, 6H), 3.25 (dd, J=12.3, 3.5Hz, 1H), 3.18 (dd, J=9.5, 4.8Hz, 1H),3.10 (dd, J=9.5, 4.8Hz, 1H), 2.85-1.97 (m, 6H).

工程3
Journal of Medicinal Chemistry,48,7781(2005)に記載の方法に従って、化合物1より化合物39を合成した。

工程4
化合物39(3.00g、7.15mmol)のTHF−水(9:1)の混合溶液(30ml)に室温でトリフェニルホスフィン(1.98ml、14.3mmol、2.0eq.)を加え、室温で1時間撹拌した後、70℃に昇温し、4時間撹拌した。室温へ放冷後、反応液を減圧下濃縮することにより、化合物40の粗生成物をを無色油状物として得た。

工程5
化合物40(7.15mmol)のジクロロメタン溶液(30ml)に室温でトリエチルアミン(2.10ml、15.1mmol、1.2eq.)、Fmoc−Cl(3.59g、13.9mmol、1.1eq.)を加え、室温で1時間撹拌した後、反応液をクロロホルムで希釈し、飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をn−ヘキサン及び少量のクロロホルムにて洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:120g、n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25→0:100)により精製し、化合物41(4.18g、化合物39からの収率65%)を無色泡状物質として得た。
ESI-MS (m/z) : 512 (M+H). HPLC Peak RT = 2.71 min.
1H-NMR(CDCl3)δ:7.80 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.60 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.40 (dd, J=7.5, 7.5Hz, 2H), 7.30 (dd, J=7.5, 7.5Hz, 2H), 6.02 (br.s, 1H), 5.21 (br.s, 2H), 4.46-4.27 (m, 2H), 4.21 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.45-3.29 (m, 2H), 3.27-3.13 (m, 2H), 1.46 (s, 18H).
工程6
化合物41(3.00g、7.15mmol)にTFA(30ml)を加え、室温で1時間撹拌した後、減圧下濃縮することにより、化合物42の粗生成物を得た。
ESI-MS (m/z) : 312 (M+H). HPLC Peak RT = 1.00 min.

工程7
化合物42のジクロロメタン溶液(10ml)に室温でトリエチルアミン(1.17ml、8.44mmol、6.0eq.)、ステアロイルクロリド(938mg、3.10mmol、2.2eq.)を加え、室温で1時間撹拌した。生じた白色の析出物をろ取した後、少量のクロロホルム、水、n−ヘキサンにて洗浄、減圧下乾燥することにより、化合物43−16(888mg、化合物40からの収率75%)を無色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.76 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.60 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.34 (d, J=7.5, 7.5Hz, 2H), 7.31 (d, J=7.5, 7.5Hz, 2H), 6.51 (br.s, 2H), 6.39 (br.s, 1H), 4.39-4.26 (m, 2H), 4.21 (m, 1H), 3.68-3.54 (m, 2H), 3.26-3.07 (m, 2H), 2.29-2.18 (m, 4H), 1.70-1.58 (m, 4H), 1.37-1.17 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H).

工程8
化合物43−16(860mg、1.02mmol)のDMF溶液(5ml)にピペリジン(0.111ml、1.12mmol、1.1eq.)を加え、80℃で1.5時間撹拌した。室温にて2時間静置した後、生じた析出物をろ取し、n−ヘキサンにて洗浄、減圧下乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:24g、クロロホルム:メタノール=98:2→75:25)により精製し、化合物44−16(198mg、収率31%)を無色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.34 (br.s, 2H), 3.48-3.36 (m, 2H), 3.06-2.98 (m, 2H), 2.99 (s, 1H), 2.25-2.18 (m, 4H), 1.70-1.58 (m, 4H), 1.37-1.18 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H).

工程9
工程2で得られた化合物38(134mg、0.257mmol)のDMF溶液(2mL)に室温でDIEA(225μl、1.29mmol)、HBTU(127mg、0.334mmol)を加え、室温で10分間撹拌した後、45℃で化合物44−16(218mg、17.1mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)に加え、45℃で30分間撹拌した。反応液を飽和食塩水にて洗浄、次いで硫酸マグネシウム乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、80℃でn−ヘキサンを加えて、目的物を析出させ、ろ取することで化合物45−16(244mg、収率85%)を無色固体として得た。H−NMRでは63:37のロータマー混合物として観測された。
1H-NMR(CDCl3)δ:(Major) 7.35-7.32 (m, 2H), 7.31-7.16 (m, 7H), 6.85-6.77 (m, 4H), 6.46 (br.s, 1H, -NH), 4.38 (br.s, 1H), 3.781 (s, 6H), 3.72-3.58 (m, 2H), 3.51-3.36 (m, 2H), 3.28-3.08 (m, 3H), 2.78-2.60 (m, 2H), 2.48-1.98 (m, 7H), 1.64-1.56 (m, 4H), 1.35-1.19 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H). (Minor) 7.35-7.32 (m, 2H), 7.31-7.16 (m, 7H), 6.85-6.77 (m, 4H), 6.46 (br.s, 1H, -NH), 4.53 (br.s, 1H), 3.783 (s, 6H), 3.72-3.58 (m, 2H), 3.51-3.36 (m, 2H), 3.28-3.08 (m, 3H), 2.48-1.98 (m, 7H), 1.64-1.56 (m, 4H), 1.35-1.19 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H).

工程10
化合物45−16(340mg、0.303mmol)のジクロロメタン溶液(3ml)に室温でトリエチルアミン(0.237ml、1.71mmol、5.6eq.)、無水コハク酸(85mg、0.844mmol、2.8eq.)、DMAP(4mg)を順次加え、45℃で2時間撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:12g、クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=100:0:1→80:20:1)により精製した後、n−ヘキサンで洗浄することで化合物46−16(246mg、収率66%)を無色固体として得た。H−NMRでは77:23のロータマー混合物として観測された。
1H-NMR(CDCl3)δ:(Major) 7.38-7.31 (m, 2H), 7.31-7.12 (m, 6H), 7.17-7.11 (m, 1H), 7.00 (br.s, 1H), 6.85-6.77 (m, 4H), 6.74 (br.s, 1H, -NH), 5.33 (br.s, 1H), 4.34 (br.s, 1H), 3.90-3.74 (m, 2H), 3.788 (s, 6H), 3.64-3.37 (m, 2H), 3.35-3.11 (m, 2H), 3.11-2.92 (m, 2H), 2.68-2.07 (m, 11H), 1.68-1.51 (m, 4H), 1.37-1.16 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.6Hz, 6H). (Minor) 7.38-7.31 (m, 2H), 7.31-7.12 (m, 6H), 7.17-7.11 (m, 1H), 7.00 (br.s, 1H), 6.85-6.77 (m, 4H), 6.74 (br.s, 1H, -NH), 5.20 (br.s, 1H), 4.17 (br.s, 1H), 3.90-3.74 (m, 2H), 3.678 (s, 6H), 3.64-3.37 (m, 2H), 3.35-3.11 (m, 2H), 3.11-2.92 (m, 2H), 2.68-2.07 (m, 11H), 1.68-1.51 (m, 4H), 1.37-1.16 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.6Hz, 6H).
11)化合物49−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
11−1)化合物49−16の合成
工程1
9−1)に記載の化合物34−16の合成と同様の手法により、化合物47−16を、無色泡状物質として得た(収率78%)。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.34 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.31-7.21 (m, 6H), 7.18 (m, 1H), 6.87-6.79 (m, 4H), 3.78 (s, 6H), 2.25-2.02 (m, 5H), 1.94-1.84 (m, 1H), 1.64-1.49 (m, 4H), 1.33-1.16 (m, 56H), 0.88 (t, J=7.0Hz, 6H), 0.87 (s, 9H), 0.06 (s, 6H).

工程2
9−1)に記載の化合物35−16の合成と同様の手法により、化合物48−16を無色泡状物質として得た(収率61%)。
ESI-MS (m/z) : 1177 (M+). HPLC Peak RT = 3.64 min.
1H-NMR(CDCl3)δ:7.35 (d, J=7.8Hz, 2H), 7.31-7.16 (m, 7H), 6.87-6.78 (m, 4H), 4.98-4.49 (m, 3H), 4.48-4.31 (m, 2H), 3.91-3.44 (m, 5H), 3.78 (s, 6H), 3.37-3.08 (m, 4H), 2.27-2.11 (m, 5H), 2.08-1.94 (m, 1H), 1.66-1.52 (m, 4H), 1.34-1.21 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.7Hz, 6H).

工程3
化合物48−16(624mg、0.529mmol)のジクロロメタン溶液(5ml)に室温でトリエチルアミン(0.330ml、2.39mmol、4.5eq.)、無水コハク酸(106mg、0.159mmol、3.0eq.)、DMAP(13mg、10.6μmol、0.2eq.)を順次加え、室温で12時間撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:24g、クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=97.5:2.5:1→80:20:1)により精製し、化合物49−16(482mg、収率71%)を無色固体として得た。
なお、化合物49−16は2種の異性体の混ざりであるが、一部については、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離し、各種機器データを測定した。

化合物49−16の異性体1 (クロロホルム:メタノール=5:1の溶媒で展開したTLCでRf値が大きい異性体) : H−NMRでは65:35のロータマー混合物として観測された。
ESI-MS (m/z) : 1277 (M+). HPLC Peak RT = 3.72 min.
1H-NMR(CDCl3)δ:(Major) 7.34 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.31-7.14 (m, 7H), 6.83 (d, J=8.3Hz, 4H), 5.45 (br.s, 1H), 4.75 (dd, J=14.1, 8.3Hz, 1H), 4.55-4.38 (m, 2H), 4.33 (m, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.72-3.48 (m, 4H), 3.44-3.08 (m, 4H), 2.70-2.44 (m, 4H), 2.38-2.14 (m, 6H), 1.68-1.51 (m, 4H), 1.34-1.21 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.7Hz, 6H). (Minor) 7.34 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.31-7.14 (m, 7H), 6.83 (d, J=8.3Hz, 4H), 5.20 (br.s, 1H), 4.84 (m, 1H), 4.55-4.38 (m, 2H), 4.33 (m, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.72-3.48 (m, 4H), 3.44-3.08 (m, 4H), 2.70-2.44 (m, 4H), 2.38-2.14 (m, 6H), 1.68-1.51 (m, 4H), 1.34-1.21 (m, 56H), 0.88 (t, J=6.7Hz, 6H). 31P-NMR(CDCl3)δ: 58.1

化合物49−16の異性体2 (クロロホルム:メタノール=5:1の溶媒で展開したTLCでRf値が小さい異性体)
ESI-MS (m/z) : 1277 (M+). HPLC Peak RT = 3.72 min.
1H-NMR(CDCl3)δ:7.83 (br.s, 1H), 7.37-7.10 (m, 9H), 6.74 (d, J=8.6Hz, 4H), 5.30 (br.s, 1H), 4.62 (dd, J=14.0, 9.2Hz, 1H), 4.42-4.33 (m, 2H), 4.30 (dd, J=14.0, 9.2Hz, 1H), 3.71 (s, 6H), 2.63-2.34 (m, 4H),2.31-2.21 (m, 1H), 2.16-2.03 (m, 5H), 1.59-1.42 (m, 4H), 1.24-1.09 (m, 56H), 0.81 (t, J=6.7Hz, 6H). 31P-NMR(CDCl3)δ: 57.3
12)化合物50−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
12−1)化合物50−16の合成
4)の固相樹脂への担持反応と同様の条件に、9−1)で得られた化合物36−16を付すことで化合物50−16を得た。化合物36−16の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が32umol/gの化合物50−16を得た。
なお、同様の方法により、化合物49−nを固相樹脂へ担持させることができる。
13)化合物51−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
13−1)化合物51−16の合成
4)の固相樹脂への担持反応と同様の条件に、10−1)で得られた化合物46−16を付すことで化合物51−16を得た。化合物46−16の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が33umol/gの化合物51−16を得た。
14)化合物55の合成
Figure 0006611298

4)の固相樹脂への担持反応と同様の条件に、米国特許出願公開第2008/0085869号明細書に記載されている化合物54を付すことで化合物55を得た。化合物54の担持量はDMTrカチオンの比色定量により算出し、担持量が90umol/gの化合物55を得た。
15)化合物63−nの合成
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
15−1)化合物63−18の合成
工程1
化合物57(Sigma−Aldrich、0.517g、0.952mmol)のDMF溶液(4.9mL)にDIEA(0.447mL、3.46mmol)とHBTU(349mg、1.04mmol)を加えて、室温で30分間撹拌した。その後、化合物17(0.488g、0.865mmol)のDMF溶液を加えて一晩撹拌した。ヘキサン/酢酸エチル=1:1(2x50mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で分液抽出操作をした後に有機層を合わせて飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後にロータリーエバポレータ―で減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→70:30)で精製し、化合物58(0.837g、85%)を無色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.75 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.60 (2H, d, J = 7.4 Hz), 7.42-7.38 (4H, m), 7.32-7.28 (7H, m), 7.24 (1H, s), 7.18 (1H, t, J = 7.3 Hz), 6.81 (4H, d, J = 8.9 Hz), 6.49 (1H, s), 6.08 (1H, s), 5.56 (1H, s), 4.39 (2H, d, J = 6.9 Hz), 4.21 (1H, t, J = 6.7 Hz), 3.79 (6H, s), 3.63-3.52 (15H, m), 3.34-3.28 (4H, m), 3.14 (2H, dd, J = 13.9, 6.4 Hz), 3.03 (2H, d, J = 5.6 Hz), 1.80-1.65 (5H, m), 1.63 (4H, s), 1.43-1.36 (2H, m), 1.31-1.26 (2H, m), 1.18-1.12 (2H, m), 0.84 (9H, s), 0.01 (6H, s).

工程2
化合物58(800mg、0.735mmol)のDMF溶液(8mL)にピペリジン(80uL)を加えて室温で2時間撹拌した。ヘキサン/酢酸エチル=1:4と水で分液抽出を行い、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。ろ過の後にロータリーエバポレータ―で減圧濃縮した。アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→97:3)で精製し、化合物59(0.178g、0.205mmol)を無色オイル状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.37 (8H, dt, J = 50.4, 5.2 Hz), 7.26-7.18 (2H, m), 6.89 (1H, s), 6.82 (4H, t, J = 5.9 Hz), 6.25 (1H, t, J = 5.1 Hz), 3.81 (6H, s), 3.66-3.53 (15H, m), 3.35 (2H, q, J = 6.0 Hz), 3.16 (2H, dd, J = 13.9, 6.5 Hz), 3.04 (2H, d, J = 5.5 Hz), 2.80 (2H, t, J = 6.7 Hz), 1.80-1.17 (17H, m), 0.85 (9H, s), 0.03-0.01 (6H, m).

工程3
化合物3−18(140mg、0.205mmol)とDMAP(63mg、0.514mmol)をフラスコ内で細かく砕いた後にTHF溶液(1.8mL)とした。ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート(156mg、0.514mmol)を加えて55℃で30分間撹拌した。室温まで冷却したのちに、THFを減圧留去し、再度アセトニトリル(10mL)に懸濁した。加熱してほぼ溶液化したのちに、室温まで冷却したところで固体が析出したので、超音波破砕を加えて析出を促進した。析出した固体をろ取し、アセトニトリル(10mL)、水(10mL)、アセトニトリル(10mL)の順に洗浄を行い、最後に真空下で乾燥することで化合物18−18(196mg、0.232mmol)を淡黄色固体として得た。化合物18−18(196mg)をTHF(1.8mL)に溶解し、化合物59(178mg、0.205mmol)とDMAP(25mg、0.205mmol)を加えて55℃で2時間撹拌した。室温まで冷却すると固体が析出したので、アセトニトリル(18mL)を加えて加熱及び超音波破砕を行い、最後に水(1.8mL)を加えて桐山ろ過によって目的化合物60−18(251mg、0.160mmol)を淡黄色固体として得た。
工程4
化合物60−18(246mg、0.157mmol)のTHF溶液(4.9mL)を氷冷し、TBAF溶液(1M THF溶液、495uL、0.495mmol)を加え、室温まで昇温しながら30分間撹拌した。溶媒を減圧留去したのちに、得られた粗製物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみ)で精製し、化合物61−18(192mg、0.132mmol)を無色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41 (2H, d, J = 7.3 Hz), 7.30 (5H, dd, J = 8.9, 2.1 Hz), 7.21 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.83 (5H, d, J = 8.7 Hz), 6.76 (1H, t, J = 6.2 Hz), 6.44 (1H, t, J = 6.6 Hz), 5.63 (1H, t, J = 5.7 Hz), 4.72-4.66 (1H, m), 3.79 (6H, s), 3.76-3.74 (1H, m), 3.64-3.48 (17H, m), 3.39-3.14 (6H, m), 3.06 (2H, dd, J = 9.0, 7.6 Hz), 2.76 (1H, t, J = 5.8 Hz), 2.50-2.46 (6H, m), 2.19 (6H, t, J = 7.6 Hz), 1.79-1.73 (7H, m), 1.49-1.42 (6H, m), 1.24 (68H, d, J = 11.8 Hz), 0.89-0.87 (6H, t, J = 6.3 Hz).

工程5
化合物61−18(191mg、0.131mmol)のジクロロメタン溶液(1.9mL)にDIEA(0.069mL、0.393mmol)、DMAP(1.6mg、0.013mmol)と無水コハク酸(20mg、0.197mmol)を加えて3時間還流しながら撹拌した。溶媒を減圧留去し、ジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみ)で精製して化合物62−18(201mg、0.129mmol)を無色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.42 (2H, d, J = 7.4 Hz), 7.30 (5H, d, J = 8.7 Hz), 7.19 (1H, t, J = 7.2 Hz), 6.81 (5H, d, J = 8.7 Hz), 6.74 (1H, t, J = 5.8 Hz), 6.26 (1H, t, J = 5.9 Hz), 5.55 (1H, t, J = 5.9 Hz), 4.72-4.67 (1H, m), 3.79 (6H, s), 3.58-3.49 (17H, m), 3.32-3.27 (6H, m), 3.14 (2H, q, J = 6.5 Hz), 3.04 (2H, d, J = 5.4 Hz), 2.49-2.46 (4H, m), 2.20 (5H, t, J = 7.5 Hz), 1.76-1.72 (4H, m), 1.65-1.62 (10H, m), 1.42-1.41 (3H, m), 1.25 (68H, s), 0.88 (6H, t, J = 6.6 Hz).

工程6
化合物62−18(153mg、0.098mmol)をアセトニトリル/ジクロロメタン混合溶液(1:1、10mL)とし、DIEA(0.067mL、0.392mmol)とHBTU(41mg、0.108mmol)を加え、室温で20分間振とう撹拌した。反応液へNative Amino lcaa CPG 1000Å(ChemGenes社)(1.0g)を加え、24時間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで2回、ジクロロメタンで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥したCPGにCapA(PROLIGO社、L840045−06)とCapB(PROLIGO社、L850045−06)の混合液(1:1、20mL)を加えて30分間振とう撹拌した。反応液をろ過後、CPGをアセトニトリルで2回、ジクロロメタンで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧乾燥した。化合物62−18の担持量はDMTrカチオンの比色により算出し、担持量が56umol/gの化合物63−18を得た。
B) オリゴヌクレオチドの合成
本明細書の実施例に利用したオリゴヌクレオチドはAKTA Oligopilot10(GE Healthcare)、NS−8−I(大日本精機)、NS−8−II(大日本精機)を用いて、ホスホロアミダイト法により合成した。モノマーは上記アミダイト合成で得られたアミダイトを用いて、0.1Mアセトニトリル溶液に調製した。カップリング時間は32秒〜10分間とし、1つのモノマーの縮合に8〜10当量のアミダイト体を用いた。PO酸化には0.02M Oxidizer(Sigma―Aldrich)、ヨウ素/ピリジン/水/=12.7/9/1(w/v/v)を使用し、PS酸化には50mM DDTT((ジメチルアミノ−メチリデン)アミノ−3H−1,2,4−ジチアゾリン−3−チオン)のアセトニトリル/3−ピコリン1/1(v/v)、1/4(v/v)、アセトニトリル/ピリジン1/4(v/v)溶液を用いた。活性化剤はETT activator(5−エチルチオ)−1H−テトラゾール)(Sigma―Aldrich)、キャッピング試薬はCapA、CapB(Sigma―Aldrich)を使用した。脱トリチル化試薬はDeb(3w/v%TCA CHCl solution)(和光純薬)、Deb(3w/v% Dichloroacetin acid、Toluene Solution)を使用した。
なお、SEQ−321、SEQ−323、SEQ−340、SEQ−343、SEQ−346、SEQ−349、SEQ−352、SEQ−355、SEQ−358は、ジーンデザイン社に化合物22−18を供与し、核酸合成及びオリゴヌクレオチドの精製を委託することで得た。SEQ−316の合成に用いるDMT−ブタンジオール ホスホロアミダイトに関してはChemGene社より購入した。
C) 脂質結合オリゴヌクレオチドの合成
1)合成アミダイト体からの合成
Biotage社製マイクロウェーブチューブ(2−5ml、10−20ml)に撹拌子、Molecular Sieves 4A 1/16、上記A)で合成した合成アミダイト(例えば、化合物4−n、化合物4−n,o、化合物8−n、化合物10−n等。オリゴヌクレオチドの10〜100等量)を入れ、クロロホルム(安定化剤として2−メチル−2−ブテン添加)で0.2Mに調製した。5時間乾燥後、オリゴヌクレオチドが結合した固相(CPG樹脂、ポリスチレン樹脂)、0.25M ETT activator(5−エチルチオ)−1H−テトラゾール)ジクロロメタン溶液(クロロホルムと同量)を加え密閉し、40℃で10分〜1時間加熱した。室温へ放冷後、反応溶液をクロロホルムで2倍希釈し、樹脂をろ取した。得られた樹脂をNS−8−I(大日本精機)、NS−8−II(大日本精機)上でPS酸化した。その後乾燥した樹脂を下記の脱保護条件I、IIに付し、望みの脂質結合オリゴヌクレオチドを合成した。
2)脂質を担持した樹脂からの合成
上記A)で合成した脂質を担持した樹脂(例えば、化合物15−n、化合物22−n、化合物50−n、化合物51−n、化合物55、化合物63−n等)を用いて、上記B)と同様の方法で望みの脂質結合オリゴヌクレオチドを合成した。
D)脱保護
1) 樹脂からの切り出し、塩基及びリン酸の脱保護
DNAオリゴヌクレオチドの切り出しは28%アンモニア水(SEQ−1、3又は49)又は28%アンモニア水/EtOH4/1(v/v)(SEQ−1、3及び49以外の実施例記載の一本鎖オリゴヌクレオチド)を用いて、室温下で1時間、55℃で5時間振とうした。1μmol合成の際は、アンモニア溶液を1ml用い、5μmol又は10μmol合成の際は、5ml、10mlそれぞれ用いて切り出し反応を行った。樹脂を50%エタノール水で洗浄後、ろ過液を減圧下で1〜5mL程度まで濃縮した。
なおRNAを含む配列の場合は、得られた溶液を凍結乾燥し、白色粉末を得た後に、別途下記の2’−TBS基の脱保護反応を行った。
2)2’−TBS基の脱保護
得られた白色粉末に、N−メチルピロリドン/トリエチルアミン/3−フッ化水素トリエチルアミン=6/1/2(v/v)を加えて65℃下で1.5時間撹拌した。反応液に同量のエトキシトリメチルシランを加えて室温下で10分間激しく撹拌すると沈殿物が得られた。2500xg(2分間)にて遠心分離後、有機溶媒層を注意深く除去した。得られた沈殿物にジエチルエーテルを加えて激しく撹拌後、同様に遠心分離を行い有機溶媒を除去して、粗RNA体(白色固体)を得た。
E)精製
SEQ−1、3又は49等脂質リガンドを導入していないオリゴヌクレオチドは条件1の逆相HPLCで精製を行った。

逆相HPLCの条件
条件1
移動相 A液:100mM TEAA(triethylammoniumacetate pH7.0)水溶液あるいは100mM AcONa水溶液(pH5.4)
B液:アセトニトリル
B濃度グラジエント:10−30%
(条件1−1)
Column:Hydrosphere C18(YMC社製)100x20mmI.D.、S−5 μm、12 nm
流速:10mL/min
カラム温度:室温
検出UV:260nm

(条件1−2)
Column:Hydrosphere C18(YMC社製)150x10mmI.D.、S−5 μm、12 nm
流速:4mL/min
カラム温度:室温
検出UV:260nm

脂質リガンドを導入した一本鎖オリゴヌクレオチド(SEQ−1、3及び49以外の実施例記載の一本鎖オリゴヌクレオチド)は条件2の逆相HPLCで精製を行った。
条件2
逆相HPLCの条件
化合物の脂溶性に応じ、開始時のB濃度を20%〜50%まで調節した
移動相 A液:100mM TEAA(triethylammoniumacetate pH7.0)水溶液あるいは100mM AcONa水溶液(pH5.4)
B液:アセトニトリル
B濃度グラジエント:20−80%(L4−8、L4−10を有する化合物)、30−60(LToc、Lcholを有する化合物)、30−80%(L4−12、L4−14、L4−16、L4−18、M22−12、M51−16を有する化合物)、40−80%(L4−20、L4−22を有する化合物)、50−80%(M22−18を有する化合物)
(条件2−1)
Column:YMC−Pack C4(YMC社製)100x20mmI.D.、S−5 μm、12 nm
流速:10mL/min
カラム温度:室温
検出UV:260nm

(条件2−2)
Column:YMC−Pack C4(YMC社製)150x10mmI.D.、S−5 μm、12 nm
流速:4mL/min
カラム温度:室温
検出UV:260nm
F)精製オリゴヌクレオチドの脱塩及び凍結乾燥
得られたオリゴヌクレオチドはVivaSpin20(MWCO 3000)(Sartorius社製)、アミコンウルトラ(Amicon Ultra)−4 遠心式フィルターユニット−3Kを用いて、限外濾過を繰り返すことでフラクションに含まれる塩成分を除去した。その後、凍結乾燥にて目的とするオリゴヌクレオチドを粉末として得た。なお、TEAA溶媒を用いて精製したオリゴヌクレオチドに対しては100mM酢酸ナトリウム水溶液(20mL)で塩フォームの変換を行った後に脱塩操作を行った。
G)オリゴヌクレオチドの純度分析
得られたオリゴヌクレオチドは、UPLC/MS測定による実測分子量が理論分子量と一致することで、目的の配列が合成できていることを確認した。
条件1(SEQ−1、3又は49)
Xevo G2 Tof System(Waters社製)
Column:Aquity OST C18(2.1x50mm)(Waters社製)
移動相 A液:200mM 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール/8mMトリエチルアミン
B液:メタノール
B濃度グラジエント:10−30%(10min)
温度:50℃
流速:0.2mL/min

条件2(SEQ−1、3及び49以外の実施例記載の一本鎖オリゴヌクレオチド)
Xevo G2 Tof System(Waters社製)
Column:ACQUITY UPLC Protain BEH C4 Column、300Å、1.7μm、2.1mm×100mm、1/pkg(Waters社製)
移動相 A液:200mM 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール/8mMトリエチルアミン
B液:メタノール
B濃度グラジエント:10−95%(10min)
温度:50℃
流速:0.2mL/min
結果を表1〜3に示す。
Figure 0006611298
Figure 0006611298
Figure 0006611298
I)二本鎖オリゴヌクレオチドの調製
本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは以下のようにして調製した。各オリゴヌクレオチドの100μM水溶液を等モル量混合した後、その後75℃下で5分間加温後、室温まで自然冷却させることで二本鎖核酸を得た。二本鎖形成の確認は、サイズ排除クロマトグラフィーにより実施した。
Column:YMC−PAC Diol−120(4.6x300mm)(YMC社製)
移動相:40%アセトニトリル含有1xPBS溶液
流速0.5mL/min
温度:室温
合成したオリゴヌクレオチドを表4〜27に示す。
Figure 0006611298
Figure 0006611298
Figure 0006611298
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Figure 0006611298
Figure 0006611298
Figure 0006611298
表4〜27において、n(小文字)はDNA、nOMeは2’−OMe−RNA、N(大文字)はRNA、Nは2’−deoxy−2’−F−RNA、NLNAはLNA、5mCは5−メチルシトシンを示す。^は−P(S)OH−を、記号がない場合は―P(O)OH−を意味する。
Figure 0006611298

Lはオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドリンカーも含み得る)の5’末端に導入した化合物を意味し、オリゴヌクレオチドの5’末端の水酸基に対して各化合物が表記の結合で共有結合していることを示す。Mはオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドリンカーも含み得る)の3’末端に導入した化合物を意味し、オリゴヌクレオチドの3’末端の水酸基に対して各化合物が表記の結合で共有結合していることを示す。なお、Lx−nにおいて、は二本鎖を示す化合物4−n若しくは化合物10−n、又は一本鎖を示す化合物8−nの構造に準ずる数字であり、は炭素鎖に応じた6〜28の整数である。Mx−nにおいて、は二本鎖を示す化合物22−n、化合物49−n、若しくは化合物51−nあるいは一本鎖を示す化合物15−nの構造に準ずる数字であり、は炭素鎖に応じた6〜28の整数である。
具体的には、Lx−nは、以下で示される基である。
Figure 0006611298


(式中、nは6〜28の整数である。)
なお、L4−nは上記A)の1−1)で合成した化合物4-nから誘導される基である。L8−nは上記A)の2)で合成した化合物8-nから誘導される基である。L10−nは上記A)の3)で合成した化合物10−nから誘導される基である。
表中のLchol又はLTOCは、それぞれ以下で示される基である。
Figure 0006611298
なお、Lcholは上記A)の8−1)で合成した化合物26から誘導される基である。LTocはリンクテクノロジーズ社から購入した化合物5’−Tocopherol−CE−Phosphoramiditeから誘導される基である。
表中のLfarlは、以下で示される基である。
Figure 0006611298

farlは上記A)の8−2)で合成した化合物53から誘導される基である。
x−nは、以下で示される基である。
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
なお、M15−nは上記A)の4)で合成した化合物15-nから誘導される基、M22−nは上記A)の6)で合成した化合物22-nから誘導される基、M49−nは上記A)の11)で合成した化合物49-nから誘導される基、M51−nは上記A)の13)で合成した化合物51-nから誘導される基である。
表中のMcholは、以下で示される基である。
Figure 0006611298

cholは、上記A)の14)で合成した化合物55から誘導される基である。
表中のMTEG−nは、以下で示される基である。
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
TEG−nは、上記A)の15)で合成した化合物63−nから誘導される基である。
表中のK22−nは、以下で示される基である。
Figure 0006611298

(式中、nは6〜28の整数である。)
22−nは、上記A)の6)で合成した化合物22−nから誘導される基である。
なお、S−155、S−184及びS−186には、下記リンカー(表中の^Bu^Bu^)を利用した。
Figure 0006611298
実施例2 レポーターアッセイによる本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの活性評価
(材料及び方法)
レポーターアッセイに用いたHEK−BlueTM hTLR9 cells(invivogen)はHEK293細胞にヒトTLR9遺伝子とNF−kB・AP−1結合領域配列に分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子を結合したレポーター遺伝子が導入され、それぞれが安定して発現する細胞である。アルカリフォスファターゼに対する基質を含むHEK−BlueTM Detection (Invitrogen)に懸濁した本細胞3.6×10細胞を96ウェルプレートに播種し、3nM〜30μMの本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチド、既知のCpGオリゴヌクレオチド(ODN2006、SEQ−49)、特許文献1の設計に基づくアジュバント、つまり、脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ―142、143又は144)を添加した。37℃、5%CO インキュベーター内で16時間培養後、発色した培養上清を用いて620nmの吸光度を測定した。得られた値はTIBCO Spotfireソフトウェアにより解析し、それぞれのオリゴヌクレオチドの50%活性化濃度(EC50)を算出した。
(結果)
ssCpG ODNを第1の鎖と第2の鎖としてアニーリングすることにより、二本鎖DNA(dsCpG ODN)として投与するとアジュバントとしての特性が失われることが知られている(非特許文献4)ことはすでに述べたとおりである。当該二重鎖核酸アジュバント設計がTLR9アゴニストとして活性を示すかを検討するために、レポーターアッセイによる二本鎖オリゴヌクレオチドの活性評価を行った。
表28及び表29に示されるようにssCpG ODNであるODN2006(SEQ−49)はTLR9アゴニストとして活性を示し、そのEC50値は約467nM(試験1、表28)、約245nM(試験2、表29)であった。これに対してCpGオリゴヌクレオチドとしてODN2006を含む本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドの活性評価を行ったところ、数十〜千数百nM範囲でTLR9アゴニスト活性を示した。表28及び表29に記載の本発明のアジュバントの多くはODN2006と比較して活性向上の傾向にあった。また、SEQ−57、SEQ−59、SEQ−61、SEQ−63、SEQ−65、SEQ−111、SEQ−117、SEQ−135、SEQ−146、SEQ−226、SEQ−282、SEQ−284、SEQ−294、SEQ−324、SEQ−361、SEQ−363の16配列に関してもODN2006と比較して、若干活性低下の傾向ではあるがその差は3倍程度のとどまったため、いずれの本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドもTLR9アゴニストとして活性を示すことが明らかとなった。
また特許文献1記載のSEQ−2の修飾様式をヒト型のCpGオリゴヌクレオチド配列であるODN2006に適用した場合、TLR9アゴニストとして活性を示すか検討するため、同様に活性評価を行った(SEQ−141、142又は143)。SEQ−142、143又は144は、測定した濃度域においてTLR9の活性化を誘導することができず、EC50値の算出が不可能であった(表28中のn.d.)。このことから特許文献1記載の設計(脂質リガンドを導入したssCpG ODN)は該実施例に示されるようにODN1826(マウス型)において活性を示すが、ODN2006(ヒト型)では活性を示さず、ワクチンのアジュバント及び/又はワクチンそのものとして利用できない設計であることが示唆された。
それに対し、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、ODN1826だけでなく、ODN2006においても活性を示すことから、CpGオリゴヌクレオチドの配列に関わらずワクチンのアジュバント及び/又はワクチンそのものとして利用可能であることが示唆された。
試験1
Figure 0006611298
試験2
Figure 0006611298
表30に示されるようにODN2006以外のCpGオリゴヌクレオチドを用いた場合でも、本発明のアジュバントの多くはssCpG ODNと比較して活性向上の傾向が見られた。いずれの本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドもTLR9アゴニストとして活性を示すことが明らかとなった。
Figure 0006611298
実施例3 本発明のアジュバントのIn vivo評価
A)CTL誘導活性の評価
(動物)
C57BL/6JJclマウス(6〜8週齢)を日本クレアから導入した。

(ワクチン1の成分)
・OVA257−264ペプチド(SIINFEKL、配列番号:22):SIGMAが合成し、逆相HPLCにより精製したものを購入した。
・本発明のアジュバント又は既知のCpG ODN

(ワクチン2の成分)
・TRP2180−188ペプチド(CSVYDFFVWL、配列番号:23):SIGMAが合成し、逆相HPLCにより精製したものを購入した。
・本発明のアジュバント又は既知のCpG ODN

(ワクチン3の成分)
・OVA257−264ペプチド又はTRP2180−188ペプチド
・Monitanide ISA51(SEPPIC社)
(ワクチン1調製)
マウスに7日ごとの2回のワクチン接種により特異免疫の成立を行った。それぞれのワクチンは100μgのOVAペプチドと1.57又は4.71nmolの本発明のアジュバント又は既知のCpG ODNを1×PBS中に溶解したものである。作成したワクチン100μLをマウス側腹部に皮下投与した。

(ワクチン2調製)
マウスに7日ごとの2回のワクチン接種により特異免疫の成立を行った。それぞれのワクチンは100μgのTRP2ペプチドと1.57又は4.71nmolの本発明のアジュバント又は既知のCpG ODNを1×PBS中に溶解したものである。作成したワクチン100μLをマウス側腹部に皮下投与した。

(ワクチン3調製)
2mg/mlにPBSで調整したTRP2ペプチドと1:1の割合でMontanide(上記ワクチン成分3)を注射筒とポンピングコネクターを用いて混和してエマルションを作成した。作成されたワクチンエマルション100μLをマウス側腹部に7日ごとに2回皮下投与した。
(テトラマー染色)
2回目のワクチン接種から7日後に採血を行い、赤血球をBD Pharm Lyse (BD pharmingen社)により除去し、次にFACS緩衝液(1%ウシ胎仔血清、2mM EDTA含有PBS)に懸濁し、抗マウスCD16/32モノクローナル抗体(BioXcell社)を添加し、30分、4℃におくことによりFcレセプターのブロッキングを行った。次にワクチン抗原に対応したPE標識H−2Kbテトラマー(T−Select H−2Kb OVA Tetramer−SIINFEKL 又は T−Select H−2Kb TRP−2 Tetramer−SVYDFFVWL;いずれも医学生物学研究所より購入)とAlexa647標識抗CD8抗体(医学生物学研究所)を添加し、45分室温におくことにより染色を行った。次にDAPI(Invitrogen)を用いて染色し、FACS緩衝液により2回洗浄した。FACS緩衝液に再懸濁し、FACS verseフローサイトメーター(BD bioscience社)とFACSuiteソフトウェア(BD bioscience社)を用いて解析した。解析はDAPIの陰性画分をゲーティングしたのち、前方散乱と側方散乱を指標により白血球画分を規定した。白血球画分の内、Alexa647−CD8・PE−H−2Kb Tetramerの両陽性細胞をCTLと規定して、白血球中におけるCTLの割合で評価した。

CTL誘導率の指標の算出法
実験ごとに各群の平均CTL誘導率を算出後、対照化合物であるssCpG ODN、ODN1826(SEQ−1)及びODN2006(SEQ−49)のCTL誘導率の平均値に対する比を算出した。
ODN1826を含むアジュバントの場合
(アジュバント群のCTL誘導率の平均)/(ODN1826群のCTL誘導率の平均)=平均値に対する比

ODN2006を含むアジュバントの場合
(アジュバント群のCTL誘導率の平均)/(ODN2006群のCTL誘導率の平均)=平均値に対する比

ssCpG ODNのCTL誘導率を1とした場合の各アジュバントのCTL誘導率を示すため、数値が大きくなるほどCTL誘導率が高いことを示す。
B) 本発明のアジュバントを用いたTRP2ペプチドワクチンの抗腫瘍効果の評価
TRP2ペプチドワクチンによる免疫成立後、TRP2蛋白を発現するマウスメラノーマであるB16F10細胞(ATTC社)を皮下移植することにより抗腫瘍効果の評価を行った。実施例3A)と同様の手法により7日ごと2回のワクチン投与により免疫が成立したマウスの末梢血中テトラマー陽性率を観察した翌日にB16F10細胞(1×10細胞/マウス)を右側肩部に皮下移植した。生着した腫瘍の長径と短径を2〜3日おきに測定し、
(長径×短径)/2
の計算式により腫瘍の体積を算出した。

抗腫瘍効果の指標の算出法
ODN1826を含むアジュバントの場合
100−(アジュバント群の平均腫瘍サイズ)/(ODN1826群の平均腫瘍サイズ)

ODN2006を含むアジュバントの場合
100−(アジュバント群の平均腫瘍サイズ)/(ODN2006群の平均腫瘍サイズ)

数値の大きな化合物ほど強い抗腫瘍活性を有することを示す。
(CpGオリゴヌクレオチドとしてODN1826を用いた結果)
結果1−A:本発明のアジュバントと既知アジュバントのCTL誘導率の比較
ODN1826(SEQ―1)及びTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、TRP2特異的なCTLが誘導された。dsCpG ODN(SEQ―4)を用いた場合、TRP2特異的なCTL誘導率はODN1826と比較して、0.46倍に低下した。つまり、二本鎖にすることによって、一本鎖アジュバントと比較してCTL誘導率が低下する結果となった。このことから非特許文献4等に記載の通り、CpGオリゴヌクレオチドを単純に二本鎖にするだけでは免疫賦活活性は低下することが分かった。一方で、本発明のアジュバント、つまり、脂質を結合した二本鎖オリゴヌクレオチドアジュバント(SEQ―16)を用いて免疫したところ、ODN1826と比較して、CTL誘導率が1.46倍に向上した。よって、本発明のアジュバントに、予想もしない活性向上が見られることが分かった。結果を表31に示す。
Figure 0006611298
結果1−B:本発明のアジュバントと既知アジュバントの抗腫瘍効果の比較
ODN1826(SEQ―1)及びTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、B16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果はほとんど見られなかった。また、dsCpG ODN(SEQ―4)を用いた場合にも、B16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果はほとんど見られなかった。一方で、本発明のアジュバント(SEQ―16)を用いた場合、移植後14日目において、ODN1826と比較して43%という強力なB16F10細胞の生着阻害効果及び増殖抑制効果を示した。結果を図1に示す。
結果2-A,B:脂質リガンドの炭素数が異なる本発明のアジュバントのCTL誘導率及び抗腫瘍効果
10個〜20個の炭素原子を含むアシル鎖を2本含む脂質をリガンドとして有する本発明のアジュバントの活性を、OVAペプチドを用いて調べた。SEQ−12(10個の炭素原子)ではCTLの誘導率及び腫瘍の抑制率がODN1826(SEQ−1)と比較して低下することが分かった。一方でSEQ−14(14個の炭素原子)、SEQ−6(18個の炭素原子)、SEQ−16(20個の炭素原子)と鎖長を伸長するにつれてCTL誘導率が向上する傾向が見られた。さらに腫瘍の抑制率においてもSEQ−14においてその腫瘍の増殖を移植後14日目において、ODN1826と比較して94%程度抑制し、SEQ−6及びSEQ−16に至っては移植後14日目においても、腫瘍の増殖を完全に抑制した。結果を表32に示す。
Figure 0006611298
結果3−A:両末端への脂質の導入した本発明のアジュバントのCTL誘導率
20個の炭素原子を含むアシル鎖を2本含む脂質をリガンドとして有するCpGオリゴヌクレオチド3’末端に8個又は12個の炭素原子を含む一本鎖脂質をさらに導入した本発明のアジュバント(SEQ―46及びSEQ―48)の活性を、TRP2ペプチドを用いて調べた。ODN1826(SEQ−1)と比較して、CTLの誘導率が、ともに約2.8倍向上した。結果を表33に示す。
Figure 0006611298
結果3−B:両末端への脂質の導入した本発明のアジュバントの抗癌効果
本発明のアジュバント、SEQ―46又はSEQ―48と、TRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、移植後13日目において、ODN1826(SEQ―1)と比較して、それぞれ52%、43%という強いB16F10細胞の生着阻害効果及び増殖抑制効果を示した。結果を図2に示す。
結果4−A:相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバントのCTL誘導率
二本鎖オリゴヌクレオチドアジュバント設計において、活性本体であるCpGオリゴヌクレオチドをリンパ節で放出する必要がある。二本鎖のかい離の速度はその二本鎖の熱的な安定性に比例しており、二本鎖構造の相補部位が多いほど二本鎖として安定に存在する。そこで、相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバントの活性を、TRP2ペプチドを用いて調べた。ODN1826(20mer)に対し、相補鎖が10mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が50%の長さであるアジュバント(SEQ−8)及び相補鎖が15mer、つまり、75%の長さであるアジュバント(SEQ−10)を用いた。SEQ−8では約1.2倍、SEQ−10では2.5倍と、ともにODN1826(SEQ−1)と比較して優位にCTL誘導を向上させた。結果を表34に示す。
Figure 0006611298
結果4−B:相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバントの抗癌効果
特許文献1記載の脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ―2)とTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、腫瘍抑制率は、移植後12日目において、ODN1826(SEQ―1)と比較して、約3.5%であった。一方で、本発明のアジュバントである、10merの相補鎖を有するSEQ−8は、移植後12日目において、ODN1826と比較して、約50%の腫瘍抑制率を示した。さらに15merの相補鎖を有するSEQ−10は、移植後12日目において、ODN1826と比較して約76%という強力なB16F10細胞の生着阻害効果及び増殖抑制効果を示した。結果を図3に示す。
結果5-A:相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバントのCTL誘導率
ODN1826(20mer)に対し、相補鎖の鎖長が10merから20mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が50〜100%である本発明のアジュバントの活性を、TRP2ペプチドを用いて調べた。相補鎖が14mer(SEQ−28)、15mer(SEQ−26)、17mer(SEQ−22)、19mer(SEQ−18)及び20mer(SEQ−16)のアジュバントは、ODN1826(SEQ−1)と比較してCTL誘導率の向上が見られた。特に、19mer(SEQ−18)、17mer(SEQ−22)及び15mer(SEQ−26)のアジュバントではODN1826(SEQ−1)に対して3倍程度のCTLの誘導が見られた。結果を表35に示す。
Figure 0006611298
結果6−A:モンタナイドとのCTL誘導率の比較
ODN1826(SEQ−1)、脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ―2)、本発明のアジュバント(SEQ−26)、ペプチドワクチンのアジュバントとして臨床治験において多く用いられているアジュバントであるモンタナイドの活性を、TRP2ペプチドを用いて比較した。SEQ−2及びSEQ−26は、ODN1826と比較して高いCTL誘導率を示した。一方でモンタナイドのCTL誘導率はODN1826と比較して7分の1に低下した。結果を表36に示す。
Figure 0006611298
結果6−B:脂質リガンドを導入したssCpG ODNとの抗腫瘍効果の比較
本発明のアジュバント、SEQ―26とTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、移植後12日目において、ODN1826(SEQ―1)と比較して、76.8%非常に強力なB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ―2)の腫瘍抑制率は移植後12日目において、ODN1826と比較して、64.3%であった。つまり、本発明のアジュバントは、SEQ−2のアジュバントより強いB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。一方でモンタナイドをアジュバントとして用いた場合、まったく抗腫瘍活性を示さなかった。結果を図4に示す。
結果7−A:相補鎖の核酸モノマーの種類が異なる本発明のアジュバントのCTL誘導率
相補鎖の核酸モノマーが、RNA、2’−OMe―RNA又は2’−F―RNAである本発明のアジュバントの活性を、TRP2ペプチドを用いて調べた。核酸モノマーが全てRNAであるアジュバント(SEQ−40)や全て2’−F―RNAであるアジュバント(SEQ−42)ではODN1826(SEQ―1)と比較して、大きなCTL誘導率の向上が見られなかった。一方で、2’−OMe―RNAを核酸モノマーとして有するアジュバント(SEQ―38及びSEQ―44)では、それぞれ、ODN1826と比較して、2.9倍、2.4倍のCTL誘導率の向上が見られた。これら結果から、2’−OMe―RNAは本発明のアジュバントの核酸モノマーとしてDNAと同様に有用であることが示された。結果を表37に示す。
Figure 0006611298
結果7−B:相補鎖の核酸モノマーの種類が異なる本発明のアジュバントの抗腫瘍効果
2’−OMe―RNAを核酸モノマーとして有する本発明のアジュバント(SEQ―38)とTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、移植後14日目において、ODN1826(SEQ―1)と比較して、約86.2%という非常に強力なB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。脂質リガンドを導入したssCpG ODN(SEQ―2)の腫瘍抑制率は、移植後14日目において、ODN1826と比較して、約72.6%であった。つまり、本発明のアジュバントは、SEQ−2のアジュバントより強いB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。また、SEQ−38を短鎖化したアジュバント(SEQ−44)や、2’−F―RNAを核酸モノマーとして有するアジュバント(SEQ−42)もB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。一方で、RNAを核酸モノマーとして有するアジュバント(SEQ―40)は、B16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を全く示さなかった。結果を表37及び図5に示す。
(CpGオリゴヌクレオチドとしてODN2006を用いた結果)
結果8−A:相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバント又はリンカーを有する本発明のアジュバントのCTL誘導率
ODN2006(SEQ−49、24mer)及び本発明のアジュバントの活性を、TRP2ペプチドを用いて比較した。相補鎖の鎖長が24mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が100%の長さであるアジュバント(SEQ−51)及び、相補鎖の鎖長が15mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が62.5%の長さであるアジュバント(SEQ−61)を用いた。SEQ−51及びSEQ−61は、ともに、ODN2006と比較して5倍以上の高いCTL誘導を示した。さらに、リンカーとしてdTdTを有するアジュバント(SEQ−63)及びdGdGを有するアジュバント(SEQ−65)を用いた。SEQ−63及びSEQ−65は、ともに、ODN2006と比較して10倍程度の非常に高いCTL誘導を示した。結果を表38に示す。
Figure 0006611298
結果8−B:相補鎖の鎖長が異なる本発明のアジュバント又はリンカーを有する本発明のアジュバントの抗腫瘍効果
ODN2006(SEQ―49)及びTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、B16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果はほとんど見られなかった。一方で、本発明のアジュバントを用いた場合、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が100%の長さであるアジュバント(SEQ−51)では移植後10日目において、ODN2006と比較して、20%のB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果が見られた。また、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が62.5%の長さであるアジュバント(SEQ−61)、リンカーとしてdTdTを有するアジュバント(SEQ−63)及びdGdGを有するアジュバント(SEQ−65)ではいずれも移植後10日目において、ODN2006と比較して、50%程度のB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果が見られた。結果を図6に示す。
結果9−A:相補鎖の核酸モノマーが2’−OMe―RNAである本発明のアジュバントのCTL誘導率
相補鎖の核酸モノマーが2’−OMe―RNAである本発明のアジュバントの活性をTRP2を用いて調べた。相補鎖の鎖長が24mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が100%の長さであるアジュバント(SEQ−67)及び、相補鎖の鎖長が15mer、つまり、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が62.5%の長さであるアジュバント(SEQ−69)を用いた。SEQ−67及びSEQ−69はそれぞれ、ODN2006(SEQ−49)と比較して1.4倍、1.2倍のCTL誘導を示した。結果を表39に示す。
Figure 0006611298
結果9−B:相補鎖の核酸モノマーが2’−OMe―RNAである本発明のアジュバントの抗腫瘍効果
2’−OMe―RNAを核酸モノマーとして有する本発明のアジュバントとTRP2ペプチドを用いてマウスを免疫したところ、CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が100%の長さであるアジュバント(SEQ−67)では移植後10日目においてODN2006(SEQ−49)と比較して、約75%という非常に強力なB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果を示した。CpGオリゴヌクレオチドに対して相補鎖が62.5%の長さであるアジュバント(SEQ−69)においても、移植後10日目においてODN2006と比較して、約20%程度のB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果が見られた。結果を図7に示す。
これらから、ODN2006に対しても、2’−OMe―RNAは本発明のアジュバントの核酸モノマーとしてDNAと同様に有用であることが示された。
同様に、本発明のアジュバントのCTL誘導率又は抗腫瘍効果を測定した。結果を試験別に表40〜68及び図8〜13に示す。なお、これらの試験では、TRP2ペプチドを利用し、本発明のアジュバントの投与量は、4.71nmolである。なお、表中のNTは実験していないことを意味する。
Figure 0006611298
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実施例4
ODN2006(SEQ―49)及びSEQ―121の癌抗原ペプチド非存在下における抗原特異的CTL誘導および抗腫瘍効果を評価した。実施例3のA)及びB)と同様に癌抗原ペプチド非添加のワクチンを投与した場合の効果を検証した。SEQ―49及びSEQ―121においていずれも抗原特異的CTLの値は検出限界以下であった。一方で抗腫瘍効果については、移植後12日目において、ODN2006と比較して、SEQ―121では85.3%のB16F10細胞の生着阻害効果と増殖抑制効果が見られた。この結果からSEQ―121は単剤でも抗腫瘍効果を発揮する治療ワクチンとしての応用が期待される(表69、図14)。
Figure 0006611298
実施例5 本発明のアジュバントの単回刺激性試験
A)単回皮下刺激性試験
単回皮下投与1日及び1、4週後の解剖時の皮膚について、肉眼検査、病理組織学的検査を実施し、本発明化合物の皮下刺激性を評価した。
本発明化合物をラットの肩甲骨間背部中央に皮下投与した。投与1日及び1、4週後の解剖時(イソフルラン麻酔、放血安楽死)に投与部位の皮膚を採取し、肉眼的に観察した後、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。固定された皮膚は常法に従って、切り出し、包埋、薄切を行い、Hematoxylin−eosin(HE)染色切片を作成した。作成されたHE染色切片を病理観察者が光学顕微鏡下で観察し、組織学的所見を記録した。病理所見の変化の強さはMinimal;±、Mild;+、Moderate;2+、Marked;3+の4段階で評価した。なお、グレードをつけることが適切でない所見の場合にはPositiveと記録した。
(結果)
本発明のアジュバントの医薬品としての安全性を検証するために、臨床でアジュバントとして用いられているモンタナイドや公知のアジュバントであるAmph1826(SEQ−2)、ODN2006(SEQ−49)との皮下刺激性を比較した。
モンタナイドはミネラルオイルと界面活性剤からなるアジュバントで水系製剤とのエマルション作製によりペプチドワクチンのアジュバントとして臨床治験などに使用されている。全身性の安全性懸念については非常に高い安全性プロファイルを持つアジュバントであるものの、投与局所におけるエマルション滞留に伴う皮膚硬結の発生が問題点として挙げられている。本試験においては二重鎖オリゴヌクレオチドの投与局所反応に関してモンタナイドとの比較を行い、局所反応が低いアジュバントとなりうるかどうかについて検討した。
モンタナイド、SEQ−2、SEQ−49又は本発明のアジュバント(SEQ−61、SEQ−119、SEQ−121、SEQ−170、SEQ−192、SEQ−216)のラット単回皮下刺激性試験を行った。モンタナイドは、生理食塩液と1:1で乳化したエマルションを1mL/site投与した。SEQ−2、SEQ−49又は本発明のアジュバントはリン酸緩衝生理食塩水に溶解させ、それぞれ4.71、15.7、47.1nmol/1mL/site投与した。
その結果、モンタナイドは、投与1日後、1週間後及び4週間後のいずれにおいても皮下に肉眼的には白色物貯留あるいは白色結節として、組織学的には嚢胞様構造として確認され、吸収/分解/排泄されていないことが明らかとなった。皮下に留まったモンタナイドは投与1日後から投与4週間後まで炎症を惹起し続けており、投与1日後では好中球浸潤及び水腫として、投与1週間後では好中球浸潤、水腫が継続するものの、炎症がやや慢性化し、肉芽腫性炎として認められた。投与4週間後ではモンタナイドを被包化する分厚い線維性被膜が形成され、炎症は投与1週間後と比較してやや軽減していたが、投与4週間後においてもなお、好中球浸潤や水腫が継続する個体も認められた。
SEQ−2は投与1日後及び1週間後において、炎症細胞の浸潤、水腫又は痂皮が見られ、投与4週間後においても、皮膚の炎症が回復せず、単球/マクロファージ系の持続的活性化による肉芽腫性炎が見られた。
SEQ−49及び本発明のアジュバントであるSEQ−61、SEQ−119、SEQ−121、SEQ−170、SEQ−192、SEQ−216は、投与1日後では皮下に好中球浸潤を主体とする急性炎症が認められたが、投与1週間後では皮下から真皮において、リンパ球・マクロファージを主体とする炎症が認められ、投与4週間後では炎症はほぼ収束していた。なおSEQ−119、SEQ−121、SEQ−170については、投与4週間後の皮下刺激性評価を実施していないが、SEQ−119、SEQ−121、SEQ−170及びSEQ−61の投与1日後及び1週間後における皮下刺激性を比較すると、SEQ−61と同等もしくはより軽度であった。このことからSEQ−119、SEQ−121、SEQ−170についても、投与4週間後には炎症がほぼ完全に収束していると考えられた。
表70〜72に投与1日後の結果、表73〜75に投与1週後の結果、表76及び77に投与4週後の結果を示す。なお、表中の注釈は以下の通りである。
1)所見の後の数値は発現例数。
2)所見の後の数値はスコア。スコアは各個体のグレードをMinimal;1、Mild;2、Moderate;3とし、その合計を算出。
以上のことから、本発明のアジュバント及びモンタナイドを比較すると、本発明のアジュバントは皮下に化合物の貯留がないこと(硬結のリスクが低い)、投与1週間後においても壊死や好中球浸潤を伴わないこと、投与4週間後において炎症がほぼ完全に収束していることから、モンタナイドよりも皮下刺激性は軽度であると判断した。また本発明のアジュバント及びAmph1826(SEQ−2)を比較すると、本発明のアジュバントは投与4週間後において炎症がほぼ完全に収束している一方で、SEQ−2は投与4週間後においても皮膚の炎症が回復せず、単球/マクロファージ系の持続的活性化による肉芽腫性炎が見られたことから、本発明のアジュバントは、SEQ−2よりも皮下刺激性は軽度であると判断した。なお本発明のアジュバント及びODN2006(SEQ−49)の皮下刺激性に顕著な差は認められなかった。
Figure 0006611298
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B)単回皮内刺激性試験
単回皮下投与1日及び1、4週後の解剖時の皮膚について、肉眼検査、病理組織学的検査を実施し、本発明のアジュバントの皮内刺激性を評価する。
本発明のアジュバントをラットの背部皮膚に皮下投与する。以降は実施例5のA)と同様に行う。
実施例6 緑膿菌PCRV抗原ワクチン免疫時の本発明アジュバントによる抗体産生誘導能の評価
感染症ワクチンでは、抗原とアジュバントを投与しその免疫動物においてBリンパ球からの抗体産生を促した場合、感染症からの予防及び治療効果が期待できる。そこで、本アジュバントの感染症ワクチンへの応用を期待して、Bリンパ球からの抗体産生を評価した。抗原としては緑膿菌であるPCRV抗原を用いて検討を行った。なお、緑膿菌PCRV抗原にはワクチン効果があることが既に報告されている(Moriyama et al.、Infect. Immun.、 Sep.2001、vol. 69、no. 9、 5908−5910)ことから、アジュバントによる抗体産生誘導の効果はPCRV抗原投与群との比較によって評価した。対照群として、Freund’sアジュバントを用いた。Freund’sアジュバントは、熱殺傷した結核菌をパラフィンオイルとオレイン酸マンニドから成るオイルに混合したアジュバントであり、非臨床において強力な抗体産生を誘導するアジュバントとして知られている。Freund’sアジュバントは、非臨床における効果は強力であるが、副作用の懸念から臨床での使用は禁止されている(The European Agancy for the Evaluation of Medical Products Evaluation of Medicines for Human Use, 25 March 2004、インターネット(URL:http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2009/11/WC500015469.pdf))。
緑膿菌PAO1株由来pcrvヌクレオチド配列(配列番号:48)をpET21aベクターのNdeI−XhoI部位にクローニングし、作製したプラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。pcrV−BL21(DE3)株を500mLのLB/Ampicillin液体培地中に37℃で培養し、OD600が0.5になった時に0.1MのIPTGを200μL加え、リコンビナントPCRVタンパクの発現を誘導した。16℃で18時間培養後、菌体を遠心分離し、0.5%のリゾチーム(シグマ社製)を含む緩衝液A(50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2M NaCl)を15 ml加え、4℃で30分間放置後、超音波処理を行った。12,000rpm、10分間遠心して、可溶性画分を得た。Polyprep column(BIO−RAD社製)に1mLのNi−NTA agarose gel(QIAGEN社製)を加えて10mLの緩衝液Aで平衡化し、可溶性画分をカラムに添加して素通りさせた。20mLの緩衝液A+20mMイミダゾールでカラムを洗浄し、1mLの緩衝液A+250mMイミダゾールで溶出した。AKTA Explorer(GEヘルスケア社製)にSuperdex 200 16/60 GLカラムを接続し、1.5CVの緩衝液Aで平衡化し、イミダゾール溶出画分をゲル濾過精製してリコンビナントPCRVタンパクC末HIS(配列番号:49)を精製した。得られたリコンビナントPCRVタンパクはBCAアッセイキット(PIERCE社製)で濃度測定し、−80℃で保管した。
リコンビナントPCRVタンパク70μgと本発明のアジュバント33nmolを合わせて生理食塩水で0.7mLとし、A/Jマウス雌5週齢(日本SLC社製)5匹ずつに対して試験0日目、7日目、27日目に、免疫原0.1mLを皮内注射した。対照実験として、リコンビナントPCRVタンパクのみを同様の方法で免疫した。Freund’sアジュバントについては、リコンビナントPCRVタンパク100μgを生理食塩水で0.5mLとし、等量のComplete Freund’sアジュバント(Difco社製)でエマルジョンを作製し、試験7日目に0.1mLを皮内注射して初回免疫とした。試験27日目に、Incomplete Freund’sアジュバント(Difco社製)とともに同様の方法で免疫した。試験33日目にマウスから尾静脈からヘパリン採血し、6,000rpmで15分間遠心し、上清を回収して抗血清として−40℃保管した。
抗体価は以下のようにして測定した。リコンビナントPCRVタンパクをPBS(pH7.4)(Invitrogen社製)で1μg/mLとし、Nunc Maxisorp 384 well plate(Thermo社製)に20μL/well加えてプレートシールを貼り、4℃一晩インキュベートした。Washing Buffer(9g/L NaCl、0.5g/L Proclin150、0.1g/L Tween−20)90μL/wellで2回洗浄し、1×Assay Buffer(Invitrogen社製)60μL/well加えてプレートシールを貼り、室温2時間ブロッキングした。液をタッピングして除き、1×Assay Bufferで抗血清を10〜10倍希釈して20μL/well加えてプレートシールを貼り、4℃一晩インキュベートした。Washing Bufferで3回洗浄し、1×Assay BufferでGOAT Anti−mouse IgG Fc−HRP(JacksonImmunoResearch社製)を20,000倍希釈して20μL/well加えてプレートシールを貼り、室温2時間インキュベートした。Washing Bufferで3回洗浄し、TMB substrate(Dako社製)を20μL/well加えて室温30分間インキュベートし、0.5N硫酸(Nacalai社製)を20μL/well加え、プレートリーダーでAbs.450nmを測定した。Abs.450nm=1.0となる希釈率を算出し、抗体価とした。結果を図15に示す。
SEQ−121使用時の抗体価3.0×10が最も高く、つづいてFreund’sジュバント使用時の抗体価2.5×10、SEQ−61使用時の抗体価7.1×10、ODN2006(SEQ−49)使用時の抗体価5.3×10の順であった。PCRVタンパクのみの抗体価は1.3×10であった。この結果から、本発明のアジュバントには、B細胞に対して強い免疫賦活作用があることが示された。特に、SEQ−121使用時の抗体価は、ODN2006よりも高い抗体産生誘導能を示し、Freund’sアジュバント使用時の抗体価とほぼ同等であったことから、感染症ワクチンに用いるアジュバントとして本発明のアジュバントが優れていることが示された。これら結果から本発明のアジュバントの感染症ワクチンへの応用が期待される。
以上の実施例から明らかなように、本発明の脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドは、非常に優れた免疫賦活活性を示す。したがって、特に、ワクチンの効果を増強させるためのアジュバントとして非常に有用である。

Claims (16)

  1. 第1の鎖が、8〜50塩基のCpGオリゴヌクレオチドのみからなり
    第2の鎖が、該第1の鎖にハイブリダイズ可能な配列を含む8〜60塩基のオリゴヌクレオチド(但し、RNAオリゴヌクレオチドを除く)であり、
    第2の鎖の長さが、第1の鎖の長さに対して50%以上の長さであり、
    第2の鎖に炭素数12〜30の炭化水素鎖を含む脂質がリンカーを介して結合している二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  2. 第2の鎖のオリゴヌクレオチドが、DNAヌクレオシド及び/又はヌクレオシド誘導体が結合したオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  3. ヌクレオシド誘導体が、糖の2’位に置換基を有するヌクレオシド及び/又は糖の4’位と2’位との間に架橋構造を有するヌクレオシドである、請求項2に記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  4. 糖の4’位と2’位との間に架橋構造が、4’−(CH)m−O−2’(mは1〜4の整数)である、請求項3記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  5. 脂質が、ジアシル脂質である、請求項1〜4いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  6. ジアシル脂質が、
    Figure 0006611298

    (式中、p及びqはそれぞれ独立して10〜28である。)
    である、請求項5記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  7. 脂質が、第2の鎖の3’末端及び/又は5’末端に結合している、請求項1〜いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  8. リンカーが、オリゴヌクレオチドリンカーである、請求項1〜記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  9. 該リンカーが、−(dX)u−(ここで、Xはそれぞれ独立して、A、G、C又はTであり、uは1〜8の整数である)である、請求項記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  10. 該CpGオリゴヌクレオチドが、配列番号:13記載の配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項1〜9いずれかに記載の二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
  11. 第1の鎖及び第2の鎖からなる二本鎖オリゴヌクレオチドであり、
    第1の鎖が、以下の式で表される鎖であり、
    式:
    Figure 0006611298

    第2の鎖が、以下から選択される一の式で表される鎖である二本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
    式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    、式:
    Figure 0006611298

    又は式:
    Figure 0006611298
  12. 抗原をさらに含む、請求項1〜11いずれかに記載の医薬組成物。
  13. 該抗原が、微生物抗原、自己抗原又は習慣性物質である、請求項12記載の医薬組成物。
  14. 該抗原が、微生物抗原であり、
    該微生物抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原又は寄生生物抗原である、請求項13記載の医薬組成物。
  15. 該抗原が、自己抗原であり、
    該自己抗原が、癌抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原又はヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である、請求項13記載の医薬組成物。
  16. 該抗原が、習慣性物質であり、
    該習慣性物質が、ニコチン又はコカインである、請求項13記載の医薬組成物。
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