以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
実施の形態1
実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100について説明する。図1は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の構成を模式的に示す正面図である。図2は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、紙面水平方向に沿って左から右へ向かう方向をX方向、紙面に対して垂直方向に沿って手前から奥に向かう方向をY方向、紙面鉛直方向に沿って下から上へ向かう方向をZ方向とする。すなわち、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向である。なお、X方向、Y方向及びZ方向の関係は、以下の説明及び以下で参照する図面において同様である。また、X方向を第1の方向、Y方向を第3の方向、Z方向を第2の方向とも称する。
プローブ測定力調整装置100は、基部1、スタイラス支持部2、コラム3A及びコラム3B、永久磁石11及び12、永久磁石21及び22、板バネ31及び32を有する。
スタイラス支持部2は、第2の部材とも称する。永久磁石11及び12は、それぞれ第1の磁性部材及び第2の磁性部材とも称する。永久磁石21及び22は、それぞれ第3の磁性部材及び第4の磁性部材とも称する。板バネ31及び32は、それぞれ第1の平板状弾性部材及び第2の平板状弾性部材とも称する。
基部1は、測定装置(例えば、三次元測定機)に固定される部分である。図1及び2では、図面の簡略化のため、測定装置の詳細については表示を省略している。コラム3A及びコラム3Bは、基部1上にX方向に離隔して、Z(+)側に突き出して配置される。なお、ここでは、基部1とコラム3A及びコラム3Bとを分けて説明したが、基部1とコラム3A及びコラム3Bとは、測定装置(例えば、三次元測定機)に固定される固定部10として一体的に構成されるものとして理解できる。なお、固定部10は、第1の部材とも称する。
板バネ31及び32は、基部1上に平行に配置される。つまり、板バネ31の主面(X−Z平面、すなわちX方向を向く面)と板バネ32の主面(X−Z平面)とは、平行である。また、板バネ31及び32は、板バネ31及び32の主面が基部1の主面(X−Y平面、すなわちX方向を向く面)に対して垂直となるように配置される。
スタイラス支持部2は、板バネ31及び32を介して、基部1と対向配置される。スタイラス支持部2は、板バネ31及び32で支持され、X方向に可動である。つまり、板バネ31のY(+)側の端部はスタイラス支持部2のX(+)側の端部に固定され、Y(−)側の端部は基部1に固定される。板バネ32のY(+)側の端部はスタイラス支持部2のX(−)側の端部に固定され、Y(−)側の端部は基部1に固定される。スタイラス支持部2は、コラム3Aとコラム3Bとに挟まれるように配置される。スタイラス支持部2のX(+)側の端部には永久磁石11が設けられ、X(−)側の端部には永久磁石12が設けられる。
コラム3Aには、永久磁石11と対向するように、永久磁石21が配置される。この際、永久磁石11と永久磁石21とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石11のX(+)側の面がN極、永久磁石11のX(−)側の面がS極となる。永久磁石21のX(+)側の面がN極、永久磁石21のX(−)側の面がS極となる。
コラム3Bには、永久磁石12と対向するように、永久磁石22が配置される。この際、永久磁石12と永久磁石22とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石12のX(+)側の面がS極、永久磁石12のX(−)側の面がN極となる。永久磁石22のX(+)側の面がS極、永久磁石22のX(−)側の面がN極となる。
プローブ測定力調整装置100では、被測定物と接触するプローブが設けられたスタイラス9がスタイラス支持部2に取り付けられる。図3は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100へのスタイラスの取付け例を示す斜視図である。図3では、図面の簡略化のため、コラム3A及び3Bと永久磁石11、12、21及び22を省略している。また、図3では、板バネ31及び32の位置を理解しやすくするため、板バネ31及び32にハッチングを施している。スタイラス9は、Z(+)側に突き出すようにスタイラス支持部2に取り付けられる。
プローブ測定力調整装置100の動作について説明する。プローブ測定力調整装置100では、スタイラス9にX(+)方向の力が加わると、板バネ31及び32が、それぞれ基部1側の固定部を固定端として変形し、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位する。スタイラス9にX(−)方向の力が加わると、板バネ31及び32が、それぞれ基部1側の固定部を固定端として変形し、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位する。これに伴い、スタイラス支持部2には、X方向の変位に応じて板バネ31及び32によるばね力が加わる。図4は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100に作用する力を示すグラフである。図4に示すように、ばね力Fsは、板バネ31及び32のばね定数とスタイラス支持部2のX方向の変位との積で表され、X方向の変位に対して線形に変化する。
また、スタイラス支持部2とコラム3A及び3Bとの間には、永久磁石(永久磁石11、12、21、22)の磁力による引力が生じる。図5は、実施の形態1にかるプローブ測定力調整装置100に作用する磁力を示すグラフである。スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、永久磁石11と永久磁石21とが近づくので、両者間の引力Fm1は強くなる。また、永久磁石12と永久磁石22とは遠ざかるので、両者間の引力Fm2は弱くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(+)方向への磁力Fmが作用する。一方、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、永久磁石11と永久磁石21とは遠ざかるので、両者間の引力Fm1は弱くなる。また、永久磁石12と永久磁石22とは近づくので、両者間の引力Fm2は強くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(−)方向への磁力Fmが作用する。
以上より、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。図6は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100に作用するばね力と磁力との合力を示すグラフである。図6に示すように、プローブ測定力調整装置100では、スタイラス支持部2には、ばね力をキャンセルするように磁力が作用することが理解できる。よって、スタイラス支持部2に実質的に作用する力Faの大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
上述の通り、プローブ測定力調整装置100では、平板状弾性部材(板バネ)と永久磁石とを組み合わせた簡易な構成で、測定力の調整を行う。つまり、測定力の調整のために、アクチュエータなどのアクティブ制御を行う構成を導入する必要がない。したがって、制御に伴い熱やノイズの発生を防止できるので、高精度の測定を行うことができる。
また、上述の永久磁石11、12、21及び22の極性は、例示に過ぎない。例えば、永久磁石11、12、21及び22の極性をそれぞれ入れ換えてもよい。図7は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の変形例であるプローブ測定力調整装置101を示す正面図である。この例では、図7に示すように、永久磁石11のX(+)側の面がS極、永久磁石11のX(−)側の面がN極となる。永久磁石21のX(+)側の面がS極、永久磁石21のX(−)側の面がN極となる。永久磁石12のX(+)側の面がN極、永久磁石12のX(−)側の面がS極となる。永久磁石22のX(+)側の面がN極、永久磁石22のX(−)側の面がS極となる。
さらに、永久磁石11及び21の一方を磁性材料で構成される部材に置換してもよいし、永久磁石12及び22の一方を磁性材料で構成される部材に置換してもよい。図8は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の別の変形例であるプローブ測定力調整装置102を示す正面図である。この例では、図8に示すように、永久磁石21及び22がそれぞれ磁性体41及び42に置換されている。永久磁石11のX(+)側の面がN極、永久磁石11のX(−)側の面がS極であるので、磁性体41のX(+)側の面はN極、磁性体41のX(−)側の面はS極となる。永久磁石12のX(+)側の面がN極、永久磁石12のX(−)側の面がS極であるので、磁性体42のX(+)側の面がN極、磁性体42のX(−)側の面がS極となる。このように、対向する永久磁石の一方を磁性体に置換しても、プローブ測定力調整装置100と同様の作用効果を奏することが理解できる。なお、対向する永久磁石の一方を磁性体に置換する場合、いずれの側の永久磁石を磁性体に置換してもよいし、永久磁石の極性を入れ換えてもよい。さらに、スタイラス支持部2、コラム3A及び3Bの一部を磁性体として用いてもよい。
なお、本実施の形態及び以降の実施の形態では、永久磁石と磁性材料からなる部材(磁性体)とを、磁性部材とも称するものとする。
実施の形態2
実施の形態2にかかるプローブ測定力調整装置200について説明する。図9は、実施の形態2にかかるプローブ測定力調整装置200の構成を模式的に示す斜視図である。図10は、実施の形態2にかかるプローブ測定力調整装置200の構成を模式的に示す正面図である。プローブ測定力調整装置200は、基部1、スタイラス支持部4、コラム5、永久磁石13及び14、永久磁石23及び24、板バネ31及び32を有する。
永久磁石13及び14は、それぞれ第1の磁性部材及び第2の磁性部材に対応する。永久磁石23及び24は、それぞれ第3の磁性部材及び第4の磁性部材に対応する。スタイラス支持部4は、第2の部材に対応する。基部1及びコラム5は1つの固定部を構成し、当該固定部は第1の部材に対応する。
基部1は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。コラム5は、基部1上にZ(+)側に突き出して配置される。
板バネ31及び32は、実施の形態と同様に、基部1上に平行に配置される。つまり、板バネ31の主面(X−Z平面)と板バネ32の主面(X−Z平面)とは、平行である。また、板バネ31及び32は、板バネ31及び32の主面が基部1の主面(X−Y平面)に対して垂直となるように配置される。
スタイラス支持部4は、板バネ31及び32を介して、基部1と対向配置される。但し、スタイラス支持部4は、コラム5を覆うように設けられており、板バネ31及び32はそれぞれスタイラス支持部4のX方向の端部に接合される。換言すれば、板バネ31及び32は、コラム5を挟んで対向配置される。
コラム5上部のX(+)側の面には永久磁石23が配置され、X(−)側の面には永久磁石24が配置される。また、スタイラス支持部4には、永久磁石23と対向する位置に永久磁石13が配置され、永久磁石24と対向する位置に永久磁石14が配置される。この際、永久磁石13と永久磁石23とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石13のX(+)側の面がN極、永久磁石13のX(−)側の面がS極となる。永久磁石23のX(+)側の面がN極、永久磁石23のX(−)側の面がS極となる。永久磁石14と永久磁石24とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石14のX(+)側の面がS極、永久磁石14のX(−)側の面がN極となる。永久磁石24のX(+)側の面がS極、永久磁石24のX(−)側の面がN極となる。
以上、プローブ測定力調整装置200では、スタイラス支持部4がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部4にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部4がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部4にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。つまり、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100と同様に、ばね力をキャンセルするように磁力が作用する。よって、スタイラス支持部2に実質的に作用する力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、実施の形態1と同様に、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態3
実施の形態3にかかるプローブ測定力調整装置300について説明する。図11は、実施の形態3にかかるプローブ測定力調整装置300の構成を模式的に示す上面図である。プローブ測定力調整装置300は、基部1、スタイラス支持部2、コラム6A〜6D、永久磁石15A、15B、16A及び16B、永久磁石25A〜25D、永久磁石26A−26D、板バネ31及び32を有する。
基部1は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。コラム6A−6Dは、それぞれスタイラス支持部2の四隅の外側の基部1上に、Z(+)側に突き出して配置される。
永久磁石15A及び15Bは、第1の磁性部材に対応する。永久磁石16A及び16Bは、第2の磁性部材に対応する。永久磁石25A〜25Dは、第3の磁性部材に対応する。永久磁石26A〜26Dは、第4の磁性部材に対応する。基部1及びコラム6A〜6Dは1つの固定部を構成し、当該固定部は第1の部材に対応する。
板バネ31及び32の配置については、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100と同様であるので、説明を省略する。
スタイラス支持部2のY(+)側の面のX(+)側端部には、永久磁石15Aが配置される。スタイラス支持部2のY(−)側の面のX(+)側端部には、永久磁石15Bが配置される。スタイラス支持部2のY(+)側の面のX(−)側端部には、永久磁石16Aが配置される。スタイラス支持部2のY(−)側の面のX(−)側端部には、永久磁石16Bが配置される。
コラム6AのY(−)側の面には、永久磁石25Aと永久磁石25Bとが、X方向に離隔して、永久磁石15Aに対して磁力による引力が作用するように配置される。この例では、永久磁石15AのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。永久磁石25AのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。永久磁石25BのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。
コラム6BのY(+)側の面には、永久磁石25Cと永久磁石25Dとが、X方向に離隔して、永久磁石15Bに対して磁力による引力が作用するように配置される。この例では、永久磁石15BのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。永久磁石25CのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。永久磁石25DのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。
コラム6CのY(−)側の面には、永久磁石26Aと永久磁石26Bとが、X方向に離隔して、永久磁石16Aに対して磁力による引力が作用するように配置される。この例では、永久磁石16AのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。永久磁石26AのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。永久磁石26BのY(+)側の面がN極、Y(−)側の面がS極となる。
コラム6DのY(+)側の面には、永久磁石26Cと永久磁石26Dとが、X方向に離隔して、永久磁石16Bに対して磁力による引力が作用するように配置される。この例では、永久磁石16BのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。永久磁石26CのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。永久磁石26DのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。
プローブ測定力調整装置300では、プローブ測定力調整装置100と同様に、被測定物と接触するプローブが設けられたスタイラス9(不図示)が、Z(+)側に突き出すようにスタイラス支持部2に取り付けられる。プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス9にX(+)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(+)方向に変位し、スタイラス9にX(−)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(−)方向に変位する。これに伴い、スタイラス支持部2には、プローブ測定力調整装置100と同様に、X方向の変位に応じて板バネ31及び32によるばね力が加わる。
また、スタイラス支持部2とコラム6A、6B、6C及び6Dとの間には、永久磁石(永久磁石15A、15B、16A、16B、25A−25D及び26A−26D)の磁力による引力が生じる。
スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、永久磁石15Aと永久磁石25Aとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石15Aと永久磁石25Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石15Bと永久磁石25Cとが重なる部分の面積が大きくなるで、両者間の引力は強くなる。永久磁石15Bと永久磁石25Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石16Aと永久磁石26Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石16Aと永久磁石26Aとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石16Bと永久磁石26Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石16Bと永久磁石26Cとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(+)方向への磁力が作用する。
一方、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、永久磁石15Aと永久磁石25Aとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石15Aと永久磁石25Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石15Bと永久磁石25Cとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石15Bと永久磁石25Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石16Aと永久磁石26Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石16Aと永久磁石26Aとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石16Bと永久磁石26Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石16Bと永久磁石26Cとが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(−)方向への磁力が作用する。
以上より、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。すなわち、プローブ測定力調整装置300では、スタイラス支持部2には、ばね力をキャンセルするように磁力が作用することが理解できる。よって、プローブ測定力調整装置300によれば、プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス支持部2に実質的に作用する力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態4
実施の形態4にかかるプローブ測定力調整装置400について説明する。図12は、実施の形態4にかかるプローブ測定力調整装置400の構成を模式的に示す正面図である。プローブ測定力調整装置400は、基部1、スタイラス支持部2、コラム7A及びコラム7B、永久磁石17及び18、永久磁石27A及び27B、永久磁石28A及び28B、板バネ31及び32を有する。
基部1、スタイラス支持部2、板バネ31及び32は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
永久磁石17は、第1の磁性部材に対応する。永久磁石18は、第2の磁性部材に対応する。永久磁石27A及び27Bは、第3の磁性部材に対応する。永久磁石28A及び28Bは、第4の磁性部材に対応する。基部1、コラム7A及び7Bは1つの固定部を構成し、当該固定部は第1の部材に対応する。
コラム7A及びコラム7Bは、基部1上にX方向に離隔して、Z(+)側に突き出して配置される。
スタイラス支持部2のX(+)側の端部には永久磁石17が設けられ、X(−)側の端部には永久磁石18が設けられる。
コラム7Aには、永久磁石17の上方のY(+)側の面に永久磁石27Aが配置され、永久磁石17の下方のY(−)側の面に永久磁石27Bが配置される。永久磁石17及び永久磁石27Aは、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。永久磁石17及び永久磁石27Bは、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石17のY(+)側の面がS極、永久磁石17のY(−)側の面がN極となる。永久磁石27AのY(+)側の面がS極、永久磁石27AのY(−)側の面がN極となる。永久磁石27BのY(+)側の面がS極、永久磁石27BのY(−)側の面がN極となる。
コラム7Bには、永久磁石18の上方のY(+)側の面に永久磁石28Aが配置され、永久磁石18の下方のY(−)側の面に永久磁石28Bが配置される。この際、永久磁石18及び永久磁石28Aは、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。永久磁石18及び永久磁石28Bは、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石18のY(+)側の面がS極、永久磁石18のY(−)側の面がN極となる。永久磁石28AのY(+)側の面がS極、永久磁石28AのY(−)側の面がN極となる。永久磁石28BのY(+)側の面がS極、永久磁石28BのY(−)側の面がN極となる。
プローブ測定力調整装置400では、プローブ測定力調整装置100と同様に、被測定物と接触するプローブが設けられたスタイラス9(不図示)が、Z(+)側に突き出すようにスタイラス支持部2に取り付けられる。プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス9にX(+)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(+)方向に変位し、スタイラス9にX(−)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(−)方向に変位する。これに伴い、スタイラス支持部2には、プローブ測定力調整装置100と同様に、X方向の変位に応じて板バネ31及び32によるばね力が加わる。
また、スタイラス支持部2とコラム7A及び7Bとの間には、永久磁石(永久磁石17、18、27A、27B、28A及び28B)の磁力による引力が生じる。
スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、永久磁石17のS極と永久磁石27AのN極とが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石17のN極と永久磁石27BのS極とが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石18のS極と永久磁石28AのN極とが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石18のN極と永久磁石28BのS極とが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(+)方向への磁力が作用する。
一方、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、永久磁石17のS極と永久磁石27AのN極とが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石17のN極と永久磁石27BのS極とが重なる部分の面積が小さくなるので、両者間の引力は弱くなる。永久磁石18のS極と永久磁石28AのN極とが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。永久磁石18のN極と永久磁石28BのS極とが重なる部分の面積が大きくなるので、両者間の引力は強くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(−)方向への磁力が作用する。
以上より、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。すなわち、プローブ測定力調整装置400では、スタイラス支持部2には、ばね力をキャンセルするように磁力が作用することが理解できる。よって、プローブ測定力調整装置400によれば、プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス支持部2に実質的に作用する力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態5
実施の形態5にかかるプローブ測定力調整装置500について説明する。図13は、実施の形態5にかかるプローブ測定力調整装置500の構成を模式的に示す上面図である。図14は、実施の形態5にかかるプローブ測定力調整装置500の図13に示したXIV−XIV線における断面図である。図15は、実施の形態5にかかるプローブ測定力調整装置500の図13に示したXV−XV線における断面図である。プローブ測定力調整装置500は、基部1、スタイラス支持部2、コラム8A〜8D、永久磁石41A、41B、42A及び42B、永久磁石51A−51D、永久磁石52A−52D、板バネ31及び32を有する。
基部1、スタイラス支持部2、板バネ31及び32は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。コラム8A−8Dは、それぞれスタイラス支持部2の四隅の外側の基部1上に、Z(+)側に突き出して配置される。
永久磁石41A及び41Bは、第1の磁性部材に対応する。永久磁石42A及び42Bは、第2の磁性部材に対応する。永久磁石51A〜51D及び52A〜52Dは、第3の磁性部材に対応する。永久磁石53A〜53D及び54A〜54Dは、第4の磁性部材に対応する。基部1及びコラム8A〜8Dは1つの固定部を構成し、当該固定部は第1の部材に対応する。
スタイラス支持部2のY(+)側の面のX(+)側端部には、永久磁石41Aが配置される。スタイラス支持部2のY(−)側の面のX(+)側端部には、永久磁石41Bが配置される。スタイラス支持部2のY(+)側の面のX(−)側端部には、永久磁石42Aが配置される。スタイラス支持部2のY(−)側の面のX(−)側端部には、永久磁石42Bが配置される。
コラム8Aには、永久磁石41Aの上方(Y(+)側)、かつ、X(+)側に永久磁石51Aが配置され、X(−)側に永久磁石51Bが配置される。永久磁石41Aの下方(Y(−)側)、かつ、X(+)側に永久磁石51Cが配置され、X(−)側に永久磁石51Dが配置される。この際、永久磁石41A及び永久磁石51A−51Dは、永久磁石41Aと永久磁石51A−51Dとの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石41AのY(+)側の面がS極、永久磁石41AのY(−)側の面がN極となる。永久磁石51A〜51DのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。
コラム8Bには、永久磁石41Bの上方(Y(+)側)、かつ、X(+)側に永久磁石52Aが配置され、X(−)側に永久磁石52Bが配置される。永久磁石41Bの下方(Y(−)側)、かつ、X(+)側に永久磁石52Cが配置され、X(−)側に永久磁石52Dが配置される。この際、永久磁石41B及び永久磁石52A−52Dは、永久磁石41Bと永久磁石52A−52Dとの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石41BのY(+)側の面がS極、永久磁石41BのY(−)側の面がN極となる。永久磁石52A〜52DのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。
コラム8Cには、永久磁石42Aの上方(Y(+)側)、かつ、X(+)側に永久磁石53Aが配置され、X(−)側に永久磁石53Bが配置される。永久磁石42Aの下方(Y(−)側)、かつ、X(+)側に永久磁石53Cが配置され、X(−)側に永久磁石53Dが配置される。この際、永久磁石42A及び永久磁石53A−53Dは、永久磁石42Aと永久磁石53A−53Dとの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石42AのY(+)側の面がS極、永久磁石42AのY(−)側の面がN極となる。永久磁石53A〜53DのY(+)側の面がS極、のY(−)側の面がN極となる。
コラム8Dには、永久磁石42Bの上方(Y(+)側)、かつ、X(+)側に永久磁石54Aが配置され、X(−)側に永久磁石54Bが配置される。永久磁石42Bの下方(Y(−)側)、かつ、X(+)側に永久磁石54Cが配置され、X(−)側に永久磁石54Dが配置される。この際、永久磁石42B及び永久磁石54A−54Dは、永久磁石42Bと永久磁石54A−54Dとの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石42BのY(+)側の面がS極、永久磁石42BのY(−)側の面がN極となる。永久磁石54A〜54DのY(+)側の面がS極、Y(−)側の面がN極となる。
プローブ測定力調整装置500では、プローブ測定力調整装置100と同様に、被測定物と接触するプローブが設けられたスタイラス9(不図示)が、Z(+)側に突き出すようにスタイラス支持部2に取り付けられる。プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス9にX(+)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(+)方向に変位し、スタイラス9にX(−)方向の力が加わるとスタイラス支持部2がX(−)方向に変位する。これに伴い、スタイラス支持部2には、プローブ測定力調整装置100と同様に、X方向の変位に応じて板バネ31及び32によるばね力が加わる。
また、スタイラス支持部2とコラム8A、8B、8C及び8Dとの間には、永久磁石(永久磁石41A、41B、42A、42B、51A−51D、52A−52D、53A−53D及び54A−54D)の磁力による引力が生じる。
スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、永久磁石41Aと永久磁石51A及び51Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石41Aと永久磁石51A及び51Bとの間の引力は強くなる。永久磁石41Aと永久磁石51C及び51Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石41Aと永久磁石51C及び51Dとの間の引力は弱くなる。永久磁石42Aと永久磁石52A及び52Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石42Aと永久磁石52A及び52Bとの間の引力は強くなる。永久磁石42Aと永久磁石52C及び52Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石42Aと永久磁石52C及び52Dとの間の引力は弱くなる。永久磁石43Aと永久磁石53A及び53Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石43Aと永久磁石53A及び53Bとの間の引力は強くなる。永久磁石43Aと永久磁石53C及び53Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石43Aと永久磁石53C及び53Dとの間の引力は弱くなる。永久磁石44Aと永久磁石54A及び54Bとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石44Aと永久磁石54A及び54Bとの間の引力は強くなる。永久磁石44Aと永久磁石54C及び54Dとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石44Aと永久磁石54C及び54Dとの間の引力は弱くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(+)方向への磁力が作用する。
一方、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、永久磁石41Aと永久磁石51A及び51Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石41Aと永久磁石51A及び51Bとの間の引力は弱くなる。永久磁石41Aと永久磁石51C及び51Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石41Aと永久磁石51C及び51Dとの間の引力は強くなる。永久磁石42Aと永久磁石52A及び52Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石42Aと永久磁石52A及び52Bとの間の引力は弱くなる。永久磁石42Aと永久磁石52C及び52Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石42Aと永久磁石52C及び52Dとの間の引力は強くなる。永久磁石43Aと永久磁石53A及び53Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石43Aと永久磁石53A及び53Bとの間の引力は弱くなる。永久磁石43Aと永久磁石53C及び53Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石43Aと永久磁石53C及び53Dとの間の引力は強くなる。永久磁石44Aと永久磁石54A及び54Bとが重なる部分の面積が小さくなるので、永久磁石44Aと永久磁石54A及び54Bとの間の引力は弱くなる。永久磁石44Aと永久磁石54C及び54Dとが重なる部分の面積が大きくなるので、永久磁石44Aと永久磁石54C及び54Dとの間の引力は強くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(−)方向への磁力が作用する。
以上より、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。すなわち、プローブ測定力調整装置500では、スタイラス支持部2には、ばね力をキャンセルするように磁力が作用することが理解できる。よって、プローブ測定力調整装置500によれば、プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス支持部2に実質的に作用する力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態6
実施の形態6にかかるプローブ測定力調整装置600について説明する。図16は、実施の形態6にかかるプローブ測定力調整装置600の構成を模式的に示す正面図である。プローブ測定力調整装置600は、基部61、スタイラス支持部62、ヒンジ取付け部材64、永久磁石611及び612、永久磁石621及び622、弾性ヒンジ631及び632を有する。
永久磁石611は、第1の磁性部材に対応する。永久磁石612は、第2の磁性部材に対応する。永久磁石621は、第3の磁性部材に対応する。永久磁石622は、第4の磁性部材に対応する。
基部61は、測定装置(例えば、三次元測定機)に固定される部分である。図16では、図面の簡略化のため、測定装置の詳細については表示を省略している。
弾性ヒンジ631及び632は、基部61上にX方向に離隔して平行に配置される。弾性ヒンジ631は、X−Z平面を主面とする2枚の板バネ631A及び631BがX方向に離隔して配置される。弾性ヒンジ632は、X−Z平面を主面とする2枚の板バネ632A及び632BがX方向に離隔して配置される。
弾性ヒンジ631及び632は、それぞれ第1の平板状弾性部材及び第2の平板状弾性部材に対応する。弾性ヒンジ631の板バネ631A及び631Bは、それぞれ第3の平板状弾性部材及び第4の平板状弾性部材に対応する。弾性ヒンジ632の板バネ632A及び632Bは、それぞれ第5の平板状弾性部材及び第6の平板状弾性部材に対応する。
スタイラス支持部62は、基部61に対してZ(+)方向に離隔して対向配置される。基部61とスタイラス支持部62とは、弾性ヒンジ631の板バネ631A及び弾性ヒンジ632の板バネ632Aにより連結される。
スタイラス支持部62は、ヒンジ取付け部材64を挟んで、基部61に対してZ(−)方向に離隔して対向配置される。基部61とヒンジ取付け部材64とは、弾性ヒンジ631の板バネ631B及び弾性ヒンジ632の板バネ632Bにより連結され、X方向に可動である。スタイラス支持部62のX(+)側の端部には永久磁石611が設けられ、X(−)側の端部には永久磁石612が設けられる。
コラム63Aには、永久磁石611と対向するように、永久磁石621が配置される。この際、永久磁石611と永久磁石621とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石611のX(+)側の面がN極、永久磁石611のX(−)側の面がS極となる。永久磁石621のX(+)側の面がN極、永久磁石621のX(−)側の面がS極となる。
コラム63Bには、永久磁石612と対向するように、永久磁石622が配置される。この際、永久磁石612と永久磁石622とは、それぞれ磁極が異なり、それぞれの間に引力が作用するように設けられる。この例では、永久磁石612のX(+)側の面がS極、永久磁石612のX(−)側の面がN極となる。永久磁石622のX(+)側の面がS極、永久磁石622のX(−)側の面がN極となる。
プローブ測定力調整装置600では、被測定物と接触するスタイラスがスタイラス支持部62に取り付けられる。スタイラスは、Z(+)側に突き出すようにスタイラス支持部62に取り付けられる。プローブ測定力調整装置100では、スタイラス9にX(+)方向の力が加わると、弾性ヒンジ631及び弾性ヒンジ632が、それぞれ基部61との接合部を固定端として変形し、スタイラス支持部62がX(+)方向に変位する。スタイラス9にX(−)方向の力が加わると、弾性ヒンジ631及び弾性ヒンジ632が変形し、スタイラス支持部62がX(−)方向に変位する。これに伴い、スタイラス支持部62には、X方向の変位に応じて弾性ヒンジ631及び弾性ヒンジ632によるばね力が加わる。
また、スタイラス支持部62とコラム63A及び63Bとの間には、永久磁石(永久磁石611、612、621、622)の磁力による引力が生じる。スタイラス支持部62がX(+)方向に変位すると、永久磁石611と永久磁石621とが近づくので、両者間の引力は強くなる。また、永久磁石612と永久磁石622とは遠ざかるので、両者間の引力は弱くなる。その結果、スタイラス支持部62には、実質的にX(+)方向への磁力が作用する。一方、スタイラス支持部62がX(−)方向に変位すると、永久磁石611と永久磁石621とは遠ざかるので、両者間の引力は弱くなる。また、永久磁石612と永久磁石622とは近づくので、両者間の引力は強くなる。その結果、スタイラス支持部62には、実質的にX(−)方向への磁力が作用する。
以上より、スタイラス支持部62がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部62にはX(−)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部62がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部62にはX(+)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。よって、プローブ測定力調整装置600では、プローブ測定力調整装置100と同様に、スタイラス支持部62には、ばね力をキャンセルするように磁力が作用することが理解できる。よって、スタイラス支持部62に実質的に作用する力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態7
実施の形態7にかかるプローブ測定力調整装置700について説明する。図17は、実施の形態7にかかるプローブ測定力調整装置700の構成を模式的に示す斜視図である。X軸測定力調整部70及びY軸測定力調整部80を有する。X軸測定力調整部70及びY軸測定力調整部80は、それぞれプローブ測定力調整装置100と同様の構成を有する。X軸測定力調整部70は、第1の測定力調整装置とも称する。Y軸測定力調整部80は、第2の測定力調整装置とも称する。なお、図17では、図面の簡略化のため、コラム及びと永久磁石を省略している。
図18は、実施の形態7にかかるプローブ測定力調整装置700のX軸測定力調整部70及びY軸測定力調整部80を分離した場合を示す斜視図である。Y軸測定力調整部80は、X軸測定力調整部70に対して、Z軸を回転軸として90°回転して配置される。図18では、図面の簡略化のため、コラム及びと永久磁石を省略している。
X軸測定力調整部70は、基部71、支持部72、コラム73A及びコラム73B、永久磁石711及び712、永久磁石721及び722、板バネ731及び732を有する。基部71、支持部72、コラム73A及びコラム73B、永久磁石711及び712、永久磁石721及び722、板バネ731及び732は、それぞれプローブ測定力調整装置100の基部1、スタイラス支持部2、コラム3A及びコラム3B、永久磁石11及び12、永久磁石21及び22、板バネ31及び32に対応する。
X軸測定力調整部70の基部71は、三次元測定機などの測定機本体(不図示)に固定されている。X軸測定力調整部70はプローブ測定力調整装置100と同様の構成を有するので、X軸測定力調整部70の支持部72はX方向に変位することが可能である。
Y軸測定力調整部80は、基部81、支持部82、コラム83A及びコラム83B、永久磁石811及び812、永久磁石821及び822、板バネ831及び832を有する。基部81、支持部82、コラム83A及びコラム83B、永久磁石811及び812、永久磁石821及び822、板バネ831及び832は、それぞれプローブ測定力調整装置100の基部1、スタイラス支持部2、コラム3A及びコラム3B、永久磁石11及び12、永久磁石21及び22、板バネ31及び32に対応する。
Y軸測定力調整部80の基部81は、X軸測定力調整部70の支持部72と連結される。この際、上述したように、Y軸測定力調整部80は、X軸測定力調整部70に対して、Z軸を回転軸として90°回転して配置される。Y軸測定力調整部80はプローブ測定力調整装置100と同様の構成を有するので、Y軸測定力調整部80の支持部82は、基部81に対して、Y方向に変位することが可能である。Y軸測定力調整部80の支持部82には、スタイラス9が取り付けられる。
以上の構成より、Y軸測定力調整部80の支持部82は、X軸測定力調整部70の基部71に対して、X方向及びY方向の2軸方向に変位することができる。
よって、本構成によれば、プローブが2軸方向(X方向及びY方向)に変位した際に、変位により生じるばね力をキャンセルするように2軸方向(X方向及びY方向)に磁力が作用することが理解できる。よって、プローブに実質的に作用する2軸方向(X方向及びY方向)の力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態8
実施の形態8にかかるプローブ測定力調整装置800について説明する。図19は、実施の形態8にかかるプローブ測定力調整装置800の構成を模式的に示す斜視図である。実施の形態7にかかるプローブ測定力調整装置700に、Z軸測定力調整部90を追加した構成を有する。Z軸測定力調整部90は、プローブ測定力調整装置100と同様の構成を有する。Z軸測定力調整部90は、第3の測定力調整装置とも称する。なお、図19では、図面の簡略化のため、コラム及びと永久磁石を省略している。
図20は、実施の形態8にかかるプローブ測定力調整装置800のX軸測定力調整部70、Y軸測定力調整部80及びZ軸測定力調整部90を分離した場合を示す斜視図である。Z軸測定力調整部90は、X軸測定力調整部70及びY軸測定力調整部80に対して、X軸又はY軸を回転軸として90°回転して配置される。図20では、図面の簡略化のため、コラム及びと永久磁石を省略している。
Z軸測定力調整部90は、基部91、支持部92、コラム93A及びコラム93B、永久磁石911及び912、永久磁石921及び922、板バネ931及び932を有する。基部91、支持部92、コラム93A及びコラム93B、永久磁石911及び912、永久磁石921及び922、板バネ931及び932は、それぞれプローブ測定力調整装置100の基部1、スタイラス支持部2、コラム3A及びコラム3B、永久磁石11及び12、永久磁石21及び22、板バネ31及び32に対応する。
Z軸測定力調整部90の基部91は、Y軸測定力調整部80の支持部82と連結される。この際、上述したように、Z軸測定力調整部90は、X軸測定力調整部70及びY軸測定力調整部80に対して、X軸又はY軸を回転軸として90°回転して配置される。Z軸測定力調整部90はプローブ測定力調整装置100と同様の構成を有するので、Z軸測定力調整部90の支持部92は、基部91に対して、Z方向に変位することが可能である。Z軸測定力調整部90の支持部92には、スタイラス9が取り付けられる。
以上の構成より、Z軸測定力調整部90の支持部92は、X軸測定力調整部70の基部71に対して、X方向、Y方向及びZ方向の3軸方向に変位することができる。
よって、本構成によれば、プローブが3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)に変位した際に、変位により生じるばね力をキャンセルするように3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)に磁力が作用することが理解できる。よって、プローブに実質的に作用する3軸方向X方向、Y方向及びZ方向)の力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
実施の形態9
実施の形態9にかかるプローブ測定力調整装置900について説明する。図21は、実施の形態9にかかるプローブ測定力調整装置900の構成を模式的に示す正面図である。プローブ測定力調整装置900は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の変形例であり、永久磁石11と永久磁石21との間、及び、永久磁石12と永久磁石22との間で、磁力による斥力が作用するものである。
プローブ測定力調整装置900では、図21に示すように、永久磁石11のX(+)側の面がS極、永久磁石11のX(−)側の面がN極となる。永久磁石21のX(+)側の面がN極、永久磁石21のX(−)側の面がS極となる。永久磁石12のX(+)側の面がS極、永久磁石12のX(−)側の面がN極となる。永久磁石22のX(+)側の面がN極、永久磁石22のN(−)側の面がS極となる。
図22は、実施の形態9にかかるプローブ測定力調整装置900に作用するばね力を示すグラフである。図22に示すように、ばね力Fsは、板バネ31及び32のばね定数とスタイラス支持部2の変位の積として求められる。
スタイラス支持部2とコラム3A及び3Bとの間には、永久磁石(永久磁石11、12、21、22)の磁力による斥力が生じる。図23は、実施の形態9にかかるプローブ測定力調整装置900に作用する磁力を示すグラフである。スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、永久磁石11と永久磁石21とが近づくので、両者間の斥力Fm1は強くなる。また、永久磁石12と永久磁石22とは遠ざかるので、両者間の斥力Fm2は弱くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(−)方向への磁力Fmが作用する。一方、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、永久磁石11と永久磁石21とは遠ざかるので、両者間の斥力Fm1は弱くなる。また、永久磁石12と永久磁石22とは近づくので、両者間の斥力Fm2は強くなる。その結果、スタイラス支持部2には、実質的にX(+)方向への磁力Fmが作用する。
以上より、スタイラス支持部2がX(+)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(−)方向のばね力とX(−)方向の磁力が作用する。また、スタイラス支持部2がX(−)方向に変位すると、スタイラス支持部2にはX(+)方向のばね力とX(+)方向の磁力が作用する。図24は、実施の形態9にかかるプローブ測定力調整装置900に作用するばね力と磁力との合力を示すグラフである。図24に示すように、プローブ測定力調整装置900では、スタイラス支持部2には、ばね力と同じ方向に磁力が作用することが理解できる。よって、スタイラス支持部2に実質的に作用する力Faの大きさを増大させることが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を増大させ、測定の応答性を向上させることが可能となる。
実施の形態10
実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000について説明する。本実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置1000は、実施の形態1にかかるプローブ測定力調整装置100の変形例として構成される。図25は、実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000の構成を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態においては、プローブ測定力調整装置1000の基部1A及びスタイラス支持部2Aは、それぞれプローブ測定力調整装置100の基部1及びスタイラス支持部2に対応する。プローブ測定力調整装置1000の板バネ31A及び32Aは、それぞれプローブ測定力調整装置100の板バネ31及び32に対応する。プローブ測定力調整装置1000のスライダSL1及びSL2は、プローブ測定力調整装置100のコラム3A及び3Bに対応する。
また、プローブ測定力調整装置1000は、プローブ測定力調整装置100の永久磁石21及び22を2つに分割した構成を有する。すなわち、プローブ測定力調整装置1000のスライダSL1に取り付けられた永久磁石21A及び21Bは、プローブ測定力調整装置100の永久磁石21に対応する。プローブ測定力調整装置1000のスライダSL2に取り付けられた永久磁石22A及び22Bは、プローブ測定力調整装置100の永久磁石22に対応する。
更に、プローブ測定力調整装置1000では、基部1AにはガイドレールGR1及びGR2が設けられる。スライダSL1はガイドレールGR1に沿ってY方向に移動可能であり、スライダSL2はガイドレールGR2に沿ってY方向に移動可能である。すなわち、スライダSL1及びSL2は、外部のモータなどの駆動機構(不図示)によって力を与えられることで、基部1Aに対してY方向に移動可能である。
プローブ測定力調整装置1000は、スライダSL1及びSL2のY方向の位置に依存して、X方向に対向する永久磁石間の磁力を切り替えることできるように構成される。すなわち、プローブ測定力調整装置1000は、永久磁石11と永久磁石21Aとの間の磁力(磁力M1Aと称する)が永久磁石11と永久磁石21Bとの間の磁力(磁力M1Bと称する)よりも大きくなるよう、かつ、永久磁石12と永久磁石22Aとの間の磁力(磁力M1Cと称する)が永久磁石12と永久磁石22Bとの間の磁力(磁力M1Dと称する)よりも大きくなるように構成される。つまり、永久磁石に挟まれた空間では、Y方向で磁力が2段階に変化することとなる。
但し、プローブ測定力調整装置1000は、永久磁石11と永久磁石21Aとの間の磁力M1Aと、永久磁石12と永久磁石22Aとの間の磁力M1Cとが等しくなるように、かつ、永久磁石11と永久磁石21Bとの間の磁力M1Bと、永久磁石12と永久磁石22Bとの間の磁力M1Dとが等しくなるように設計される。
以下、本実施の形態にかかる永久磁石の具体例を説明する。永久磁石11と永久磁石12とは等しい厚み(X方向の厚み)を有し、永久磁石21Aと永久磁石22Aとは等しい厚み(X方向の厚み)を有し、永久磁石11と永久磁石21Aとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Aとの間の間隙はΔX1である。また、永久磁石21Bと永久磁石22Bとは等しい厚み(X方向の厚み)を有し、永久磁石11と永久磁石21Bとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Bとの間の間隙はΔX2である。更に、本実施の形態では、ΔX1がΔX2よりも小さくなるように(ΔX1<ΔX2)、各永久磁石が設計される。
図26は、永久磁石21Aが永久磁石11と対向し、永久磁石22Aが永久磁石12と対向する場合のプローブ測定力調整装置1000を示す斜視図である。図27は、図26のCS1−CS1線におけるプローブ測定力調整装置1000の断面図である。図26に示すように、スライダSL1及びSL2がY(+)方向にスライドすることで、永久磁石21Aが永久磁石11と対向し、永久磁石22Aが永久磁石12と対向する。
この場合、永久磁石11と永久磁石21Aとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Aとの間の間隙はΔX1となる。したがって、対向する永久磁石間には強い磁力が作用する。図28は、実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000に作用するばね力と磁力との合力を示すグラフである。図28に示すように、上述の実施の形態と同様に、スタイラス支持部2には、ばね力Fsをキャンセルするように磁力Fm1が作用することで合力(すなわち、測定力)Fa1が生じる。この場合には、強い磁力Fm1が作用するため、プローブ測定力調整装置1000全体として見た場合のばね定数が低くなる。その結果、プローブの測定力を抑制し、高精度の測定を行うことができる。
図29は、永久磁石21Bが永久磁石11と対向し、永久磁石22Bが永久磁石12と対向する場合のプローブ測定力調整装置1000を示す斜視図である。図30は、図29のCS2−CS2線におけるプローブ測定力調整装置1000の断面を示す図である。図29に示すように、スライダSL1及びSL2がY(−)方向にスライドすることで、永久磁石21Bが永久磁石11と対向し、永久磁石22Bが永久磁石12と対向する。
この場合、永久磁石11と永久磁石21Bとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Bとの間の間隙はΔX2となる。したがって、対向する永久磁石間には、図26及び図27の場合と比べて、弱い磁力が作用する。図31は、実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000に作用するばね力と磁力との合力を示すグラフである。この場合にも、図26及び図27の場合と同様に、スタイラス支持部2には、ばね力Fsをキャンセルするように磁力Fm2が作用して、合力(すなわち、測定力)合力Fa2が生じる。この場合に、作用する磁力Fm2が弱いため、プローブ測定力調整装置1000全体として見た場合のばね定数が高くなる。よって、図31の測定力Fa2は、図28に示す測定力Fa1よりも大きくなる。よって、固有振動数が高くなり、高応答ないしは高速の測定を行う場合に有利である。また、重量や回転モーメントを考慮した場合に高いばね定数が望ましいロングスタイラスを使用する上で、適していると考え得る。
以上、本構成によれば、求められる測定条件に応じて、プローブ測定力調整装置1000全体として見た場合のばね定数を切り替えることが可能である。
また、本構成では、スライダSL1及びSL2をスライドさせる簡単な動作のみで、プローブ測定力調整装置1000のばね定数が可能である。したがって、スライダの移動に要する短い時間の間だけ移動に要するエネルギーを与えればよく、スライダの移動に伴う摩擦熱等の熱の発生も少ない。一般に、プローブを用いた測定においては熱の発生は測定精度を劣化させる原因となる。例えば、いわゆるアクティブ倣いプローブのように測定中に常時プローブ測定力を制御する場合、測定中の制御による熱が常に発生し続けることとなり、測定精度の劣化に繋がってしまう。これに対し、本構成では、例えば測定の開始前などの測定が行われていない状態でスライダを移動させるだけであり、測定中には熱が発生しないので、測定の高精度化を実現することが可能となる。
実施の形態11
実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100について説明する。本実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置1100は、実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000の変形例として構成される。実施の形態10にかかるプローブ測定力調整装置1000はスライダがY方向に移動する構成であったが、本実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置1100はスライダがZ方向に移動する構成である。図32は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100の構成を模式的に示す斜視図である。図33は、図32に示すCS3−CS3線におけるプローブ測定力調整装置1100の断面図である。
プローブ測定力調整装置1100では、プローブ測定力調整装置1000と比較して、Y方向に移動するスライダSL1及びSL2に代えて、Z方向に移動するスライダSL3が設けられる。スライダSL3は、基部1AからZ(+)方向に離隔して設けられたプレートPLを有する。プレートPLには、板バネ31A及び32Aをそれぞれ挿通できるように、Y方向を長手方向とする溝G1及びG2が設けられる。プレートPLのX−Y平面中心には、基部1Aに設けられた穴BHに挿通された駆動軸DAが接合されている。
永久磁石11のX(+)側には、プレートPLからコラムC1がZ(+)方向に立ち上がるように設けられる。コラムC1の永久磁石11に向く側の面(X(−)側の面)には、永久磁石21Aと永久磁石21BとがZ方向に並んで設けられる。この例では、永久磁石21Aは、永久磁石21Bに対してZ(+)側に設けられる。
永久磁石12のX(−)側には、プレートPLからコラムC2がZ(+)方向に立ち上がるように設けられる。コラムC2の永久磁石12に向く側の面(X(+)側の面)には、永久磁石22Aと永久磁石22BとがZ方向に並んで設けられる。この例では、永久磁石22Aは、永久磁石22Bに対してZ(+)側に設けられる。
なお、永久磁石21A、21B、22A及び22Bについては、実施の形態10と同様であるので、説明を省略する。
次いで、プローブ測定力調整装置1100の動作について説明する。図34は、スライダSL3がZ(−)側にスライドしている場合の断面図である。図34に示すように、スライダSL3がZ(−)方向にスライドすることで、永久磁石21Aが永久磁石11と対向し、永久磁石22Aが永久磁石12と対向する。つまり、実施の形態10で説明した図26及び図27における場合と同様に、永久磁石11と永久磁石21Aとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Aとの間の間隙はΔX1となる。したがって、対向する永久磁石間には強い磁力が作用する。
その結果、実施の形態10で説明した図28における場合と同様に、作用する磁力Fm1が強いため、プローブ測定力調整装置1100全体として見た場合のばね定数が低くなる。よって、プローブの測定力を抑制し、高精度の測定を行うことができる。
図35は、スライダSL3がZ(+)側にスライドしている場合の断面図である。図35に示すように、スライダSL3がZ(+)方向にスライドすることで、永久磁石21Bが永久磁石11と対向し、永久磁石22Bが永久磁石12と対向する。つまり、実施の形態10で説明した図29及び図30における場合と同様に、永久磁石11と永久磁石21Bとの間、及び、永久磁石12と永久磁石22Bとの間の間隙はΔX2となる。したがって、対向する永久磁石間には、図34の場合と比べて、弱い磁力Fm2が作用する。
その結果、実施の形態10で説明した図31における場合と同様に、強い磁力Fm2が作用するため、プローブ測定力調整装置1100全体として見た場合のばね定数が高くなる。よって、固有振動数が高くなり、高応答ないしは高速の測定を行う場合に有利である。
以上、本構成によれば、実施の形態10と同様に、求められる測定条件に応じて、プローブ測定力調整装置1100全体として見た場合のばね定数を切り替えることが可能である。また、プローブ測定力調整装置1100では、スライダの駆動力は駆動軸DAに与えるもの1つだけで済むので、プローブ測定力調整装置1000と比べてスライダの駆動に必要な駆動部の構成を簡素化し、測定装置の小型化を実現することができる。
実施の形態12
実施の形態12にかかるプローブ測定力調整装置1200について説明する。本実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置1200は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100の応用例であり、実施の形態8(図19)にかかるプローブ測定力調整装置800と同様に、3軸それぞれについてプローブ測定力調整部が設けられた構成を有する。図36は、実施の形態12にかかるプローブ測定力調整装置1200の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図36では、説明の簡略化のため、プローブ測定力調整装置1200を測定機本体に取り付けるための機構等については、表示を省略している。
プローブ測定力調整装置1200は、X軸測定力調整部1201、Y軸測定力調整部1202及びZ軸測定力調整部1203を有する。X軸測定力調整部1201、Y軸測定力調整部1202及びZ軸測定力調整部1203は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100の変形例である。なお、X軸測定力調整部1201、Y軸測定力調整部1202及びZ軸測定力調整部1203は、それぞれプローブ測定力調整装置800(図19)のX軸測定力調整部70、Y軸測定力調整部80及びZ軸測定力調整部90に対応する。
この例では、駆動軸DA1によりX軸測定力調整部1201及びY軸測定力調整部1202の磁力を切り替え、かつ、駆動軸DA2によりZ軸測定力調整部1203の磁力を切り替えることができるように構成される。
図37は、図36に示すCS4−CS4線におけるプローブ測定力調整装置1200の断面図である、X軸測定力調整部1201は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100において、駆動軸の接合態様を変更した構成を有する。X軸測定力調整部1201では、駆動軸DA1(プローブ測定力調整装置1100の駆動軸DAに対応)がスタイラス支持部2Aに設けられた穴を貫通して、Z(+)方向に引き出されている。
Y軸測定力調整部1202は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100をZ軸周りに90°回転させ、かつ、駆動軸の接合態様を変更した構成を有する。X軸測定力調整部1201の基部1Aから突き出した駆動軸DA1(プローブ測定力調整装置1100の駆動軸DAに対応)がY軸測定力調整部1202のスタイラス支持部2Aに設けられた穴を貫通して、スライダSL3の接合されている。
以上より、駆動軸DA1を駆動することで、X軸測定力調整部1201及びY軸測定力調整部1202の磁力を、1つの動力源で一括して切り替えることができる。
Z軸測定力調整部1203は、実施の形態11にかかるプローブ測定力調整装置1100をY軸周りに90°回転させた構成を有する。Z軸測定力調整部1203のスライダSL3には、駆動軸DA2(プローブ測定力調整装置1100の駆動軸DAに対応)が接合されている。駆動軸DA2は、駆動軸DA1とは別の動力源で駆動される。
以上、本構成によれば、プローブが3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)に変位した際に、変位により生じるばね力をキャンセルするように3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)に磁力が作用することが理解できる。よって、プローブに実質的に作用する3軸方向X方向、Y方向及びZ方向)の力の大きさを抑制し、力の大きさを平均化することが可能となる。その結果、被測定物に作用する測定力を抑制、平均化することができる。
また、実施の形態10及び11と同様に、永久磁石間に作用する磁力を切り替えることで、プローブの応答性を切り替えることが可能である。更に、3つの軸測定力調整部のうちの2つの磁力の切り替えを、1つの動力源(1本の駆動軸)で行うことができるので、3つの軸測定力調整部のそれぞれに動力源を割り当てる場合と比べて、簡素な構成とすることができる。
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態2〜9にかかるプローブ測定力調整装置についても、第1の磁性部材及び第3の磁性部材の磁極を入れ換え、第2の磁性部材及び第4の磁性部材の磁極を入れ換えてもよい。
実施の形態2〜8にかかるプローブ測定力調整装置についても、第1の磁性部材及び第3の磁性部材の一方を磁性体とし、第2の磁性部材及び第4の磁性部材の一方を磁性体としてもよい。
上述のX軸測定力調整部70、Y軸測定力調整部80及びZ軸測定力調整部90は、プローブ測定力調整装置100以外の上述の実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置と同様の構成としてもよい。また、X軸測定力調整部70、Y軸測定力調整部80及びZ軸測定力調整部90は、上述の実施の形態にかかるプローブ測定力調整装置であるならば、それぞれ同じ、又は異なる構成とすることができる。
上述の実施の形態10及び11では、例えば永久磁石21Aと永久磁石21Bとは、磁束密度が同じであり、かつ、X方向の厚みが異なるものとして説明したが、これは例示に過ぎない。すなわち、スタイラス支持部に取り付けられた永久磁石とスライダに取り付けられた永久磁石との間の磁力を、スライダを移動させることで切り替え可能である限り、永久磁石は他の構成をとることができる。
例えば、永久磁石21Aと永久磁石21Bとは、厚みが同じで、かつ、互いに磁束密度が異なっていてもよい。この場合、磁力を切り替えても対抗する永久磁石間の距離は不変である。よって、この場合、スタイラス支持部が変位できるストロークも不変となる。したがって、永久磁石間の磁力を強くした場合でも、スタイラス支持部の変位ストロークが制限されることを防止できる。
例えば、永久磁石21Aと永久磁石21Bとは、厚み及び磁束密度が同じでもよい。この場合、スライダと永久磁石21A及び永久磁石21Bの一方又は双方との間にスペーサを挿入することで、永久磁石21Aと永久磁石11との間の距離と、永久磁石21Bと永久磁石11との間の距離と、の間に差を設けてもよい。また、永久磁石21A及び永久磁石21Bの一方又は双方をX方向から見た場合にリング形状となる磁石とし、リング形状の中央の穴に鉄などの強磁性の芯材を挿入することで、永久磁石21Aと永久磁石11との間の磁力と、永久磁石21Bと永久磁石11との間の磁力と、の間に差を設けてもよい。
上述の実施の形態10及び11では、例えば永久磁石22Aと永久磁石22Bとは、磁束密度が同じであり、かつ、X方向の厚みが異なるものとして説明したが、上述の永久磁石21A及び21Bと同様に、これは例示に過ぎない。すなわち、スタイラス支持部に取り付けられた永久磁石とスライダに取り付けられた永久磁石との間の磁力を、スライダを移動させることで切り替え可能である限り、永久磁石は他の構成をとることができる。
例えば、永久磁石22Aと永久磁石22Bとは、厚みが同じで、かつ、互いに磁束密度が異なっていてもよい。この場合、磁力を切り替えても対抗する永久磁石間の距離は不変である。よって、この場合、スタイラス支持部が変位できるストロークも不変となる。したがって、永久磁石間の磁力を強くした場合でも、スタイラス支持部の変位ストロークが制限されることを防止できる。
また、永久磁石22Aと永久磁石22Bとは、厚み及び磁束密度が同じでもよい。この場合、スライダと永久磁石22A及び永久磁石22Bの一方又は双方との間にスペーサを挿入することで、永久磁石22Aと永久磁石12との間の距離と、永久磁石22Bと永久磁石12との間の距離と、の間に差を設けてもよい。また、永久磁石22A及び永久磁石22Bの一方又は双方をX方向から見た場合にリング形状となる磁石とし、リング形状の中央の穴に鉄などの強磁性の芯材を挿入することで、永久磁石22Aと永久磁石12との間の磁力と、永久磁石22Bと永久磁石12との間の磁力と、の間に差を設けてもよい。
上述の実施の形態10及び11では、スライダを移動させることで、2つの永久磁石のうちで使用する永久磁石を切り替える例について説明した。しかし、切り替え対象となる永久磁石は3個以上であってもよい。また、上述の実施の形態10及び11では、スライダがY方向又はZ方向に移動する例について説明した。しかし、切り替え対象となる永久磁石が3個以上の場合には、例えばコラムにX軸を回転軸とする回転機構部を設けて、回転機構部の円周に沿って3個以上の永久磁石を配置してもよい。この場合、回転機構部を回転させることで、3個以上の永久磁石のうちのいずれかを、スタイラス支持部に取り付けられた永久磁石と対向させることができる。
上述の実施の形態10及び11では、スライダを移動させることで使用する永久磁石を切り替える例について説明した。しかしながら、同じ永久磁石を用いて、かつ、スライダをX方向に移動させて、スタイラス支持部に取り付けられた永久磁石とスライダに取り付けられた永久磁石との間の距離を変化させることで、スタイラス支持部に取り付けられた永久磁石とスライダに取り付けられた永久磁石との間の磁力を切替えてもよい。また、コラムに取り付けられた永久磁石をX方向に変位させる機構を設けてもよい。このとき、スライダの移動は2段階に限られず、3段階以上としてもよい。
上述の実施の形態10及び11では、スライダを外部のモータなどで駆動する例について説明したが、動力源はモータに限らず、手動でもよいし、また、空気圧、電圧印加で膨張及び収縮する電場応答性ゲルなど、各種の動力源を適用することが可能である。