JP6610597B2 - 鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、比較的強度の低い鋼板に対しても、部品の一体化や意匠性の向上のため、より複雑な成形を可能とする必要がある。
以上のように、更なるプレス成形性の向上が必要である。
[1]鋼板の表面に酸化物層を有し、前記酸化物層は、平均厚さが20nm以上であり、前記酸化物層中には、Znを30mg/m2以上、Sを1.0mg/m2以上、平均粒子径が5.0μm以下であるポリエチレン粒子を50mg/m2以上1000mg/m2以下含有することを特徴とする鋼板。
[2]前記酸化物層には、硫酸基及び水酸基が存在することを特徴とする上記[1]に記載の鋼板。
[3]前記酸化物層中に、さらに、Pを0.2mg/m2以上10mg/m2以下含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の鋼板。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼板を製造する方法であり、鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上およびポリエチレン粒子を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させることを特徴とする鋼板の製造方法。
[5]前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20℃〜80℃であることを特徴とする上記[4]に記載の鋼板の製造方法。
[6]前記酸性溶液との接触時間は3秒以上500秒以下であることを特徴とする上記[4]または[5]に記載の鋼板の製造方法。
[7]酸性溶液に接触後、Pイオンを0.01g/L以上含有する溶液に鋼板を接触させることを特徴とする上記[4]〜[6]のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
鋼板と金型等との摩擦係数が顕著に低下する。このため、プレス成形時の面圧が上昇する高強度鋼板において、プレス成形時の割れ危険部位での摺動抵抗が小さく、面圧が高く型カジリの発生が想定される部位において優れたプレス成形性を有する鋼板が得られる。また溶接、脱脂、化成処理、塗装工程などの後工程を阻害することもない。また、複雑な成形を施される比較的強度の低い鋼板に対して、安定的に優れたプレス成形性を有することになる。
また、フッ素樹脂を含有しないため、溶接時にも有害ヒューム発生の懸念がない。
酸化物層中のZn含有量、S含有量については、20質量%塩酸+インヒビター溶液で酸化物層を溶解した液を中和し、ICPでZn、Sの濃度を測定し、測定した値を単位面積あたりの含有量に換算することで求めることができる。
鋼板の表面に、平均厚さが20nm以上であり、Znを30mg/m2以上、Sを1.0mg/m2以上、平均粒子径が5.0μm以下であるポリエチレン粒子を50mg/m2以上1000mg/m2以下含有する酸化物層を形成する。
例えば、鋼板を、硫酸イオン、Znイオン、ポリエチレン粒子を含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う方法が挙げられる。なお、必要に応じて、水洗後に乾燥を行ってもよい。具体的には、鋼板を、硫酸イオン:3g/L以上、Znイオン:3g/L以上およびポリエチレン粒子:0.1g/L以上含有する酸性溶液と接触させた後、水洗を行う。平均粒子径が5.0μm以下であるポリエチレン粒子を用いるにあたって、ポリエチレン粒子の製造方法は特に限定しない。平均粒子径が5.0μm以下のポリエチレン製品を用いることもできる。
上記形成メカニズムの観点から、鋼板を接触させる溶液中の硫酸イオンは3g/L以上、Znイオンは3g/L以上、ポリエチレン粒子は0.1g/L以上含有することが好ましい。硫酸イオンおよびZnイオンがそれぞれ3g/L未満の場合、析出速度が遅く、十分な厚さの酸化物層形成が困難となる場合がある。ポリエチレン粒子が0.1g/L未満の場合、酸化物層に取り込まれる量が少なくなる可能性がある。一方、硫酸イオンが170g/L以上、Znイオンが120g/L以上、ポリエチレン粒子が50g/L以上となると、それ以上の析出速度の増加は期待できない。そのため、コストとの兼ね合いから、硫酸イオンは170g/L未満、Znイオンは120g/L未満、ポリエチレン粒子は50g/L未満であることが好ましい。
20質量%塩酸+インヒビター溶液で酸化物層を溶解した液を中和し、ICP発光分析装置を用いてZn、S、Pの濃度を測定した。測定した値を単位面積あたりの含有量に換算し、その値を含有量とした。
走査型電子顕微鏡を用いて、加速電圧5kV、作動距離8.5mm、倍率5000倍でランダムに抽出した5視野を観察し、ポリエチレン粒子の平均粒子径、個数を求めた。観察視野中の単位面積当たりのポリエチレン粒子の合計体積を求め、密度と掛け合わせることで含有量を算出し、5視野の平均値を求めてポリエチレン粒子の含有量とした。
鋼板に形成された酸化物層の厚みの測定には蛍光X線分析装置を使用した。測定時の管球の電圧および電流は30kVおよび100mAとし、分光結晶はTAPに設定してO−Kα線を検出した。O−Kα線の測定に際しては、そのピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、O−Kα線の正味の強度が算出できるようにした。なお、ピーク位置およびバックグラウンド位置での積分時間は、それぞれ20秒とした。
X線光電子分光装置を用いて、Zn、S、Oの存在形態について分析した。Al Ka モノクロ線源を使用し、Zn LMM、 S 2pに相当するスペクトルのナロー測定を実施した。
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油として、スギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを試料1の表面に塗布して試験を行った。
図2、図3は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ5mm、摺動方向両端の下部は曲率1.0mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。図3に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ59mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ50mmの平面を有する。
摩擦係数測定試験は以下に示す2条件で行った。
[条件1]
図2に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。
[条件2]
図3に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):20cm/minとした。
供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
脱脂性の評価は、脱脂後の水濡れ率で評価を行った。作成した試験片に、スギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを片面1.2g/m2塗油したのち、日本パーカライジング(株)製のFC-E6403のアルカリ脱脂液を用いてサンプルの脱脂を行った。ここで、脱脂時間は120秒とし、脱脂時は脱脂液を直径10cmのプロペラを用いて150rPmの速度で攪拌した。脱脂完了から20秒後の試験片の水濡れ率を測定することで、脱脂性の評価を行った。
成膜処理を行わなかったNo.1は、Zn含有量が10mg/m2未満、S含有量が1.0mg/m2未満、酸化物層の平均厚さが20nm未満であり、十分な酸化物層が形成されておらず、プレス成形性に劣る。
No.10、11は酸性溶液中の硫酸イオンおよびZnイオンが不足している比較例であり、酸化物層の平均厚さが20nm未満であり、十分な酸化物層が形成されておらず、プレス成形性に劣る。
No.18は酸性溶液中のポリエチレン粒子の含有量が不足している比較例であり、プレス成形性に劣る。
No.25は酸性溶液中のポリエチレン粒子の平均粒子径が本発明範囲外の比較例であり、酸化物層に十分な量のポリエチレン粒子が取り込まれておらず、プレス成形性に劣る。
No.2〜9、No.12〜17、No.19〜24、26〜28は発明例である。酸化物層に十分なZn、S、ポリエチレン粒子が含まれ、プレス成形性に優れる。
また、No.26〜28は酸化物層にPを0.2mg/m2以上10mg/m2以下含有する発明例であり、優れたプレス成形性とともに優れた脱脂性を有する。
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
Claims (7)
- 鋼板の表面に酸化物層を有し、
前記酸化物層は、平均厚さが20nm以上200nm以下であり、
前記酸化物層中には、Znを30mg/m2以上1000mg/m 2 以下、Sを1.0mg/m2以上100mg/m 2 以下、平均粒子径が5.0μm以下であるポリエチレン粒子を50mg/m2以上1000mg/m2以下含有することを特徴とする鋼板。 - 前記酸化物層には、硫酸基及び水酸基が存在することを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
- 前記酸化物層中に、さらに、Pを0.2mg/m2以上10mg/m2以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板を製造する方法であり、
鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上およびポリエチレン粒子を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させることを特徴とする鋼板の製造方法。 - 前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20℃〜80℃であることを特徴とする請求項4に記載の鋼板の製造方法。
- 前記酸性溶液との接触時間は3秒以上500秒以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の鋼板の製造方法。
- 酸性溶液に接触後、Pイオンを0.01g/L以上含有する溶液に鋼板を接触させることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
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