JP6608252B2 - パワー半導体モジュールおよび電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体スイッチ素子を用いたパワー半導体モジュールおよびそれを用いた電力変換装置に関する。
パワー半導体モジュールは、電力変換装置のスイッチングを実現する部品であり、その内部にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などの半導体スイッチ素子を実装している。近年の電力変換装置の大電力化に伴い、パワー半導体モジュールは大電流化が進んでいる。一方、歩留まり等の観点から半導体チップの大口径化には限度があるため、モジュールの大電流化は半導体スイッチ素子の多並列化により実現される。
半導体スイッチ素子を多並列化した場合の問題点として、半導体スイッチ素子の特性ばらつき(閾値電圧、ゲート容量、オン抵抗等)や実装位置の違いに起因した熱抵抗の差による、半導体スイッチ素子毎の温度ばらつきがある。
温度の高い半導体スイッチ素子は熱ストレスの増大により素子寿命が低下するため、特性ばらつきの小さい素子を選定し実装する必要があり、歩留り低下の要因となっていた。
これを解決する発明が、特許文献1に記載されている。特許文献1の要約書の解決手段には、「トレンチ構造のゲート電極(17)が埋設された半導体本体(20)を有する半導体装置(100)であって、ゲート電極(17)の半導体本体(20)の表面に露出する端部に接続され、半導体本体(20)の内部で発生した熱をゲート電極(17)を介して吸熱する吸熱部(30)が設けられていることを特徴とする。」と記載されている。特許文献1の明細書の段落0090には、「ゲート電極17を複数備え、各ゲート電極17の半導体本体部20の表面に露出する端部は、各ゲート電極17を介して伝わる熱を均一化して伝達する伝熱層23を介してペルチェ素子30の吸熱面部31に接続されているので、各ゲート電極17の端部から伝熱層23に伝えられた局所的な熱が伝熱層23を伝わる間に均熱化され、ペルチェ素子30の吸熱面部31には平均化された状態で熱が伝わる。」と記載されている。
特開2015−128082号公報
従来技術では、半導体スイッチ素子毎の温度上昇を検出し、特定の半導体スイッチ素子を効率的に冷却することで、発熱および温度上昇を抑制可能である。しかしながら、吸熱部(この場合はペルチェ素子)の駆動には駆動用電源が必要であり、また特定の半導体スイッチ素子の温度上昇を検知するには温度あるいは電流センサを実装する必要があるため、装置全体としては大型化するという課題があった。
そこで、本発明は、特別な外部制御を追加することなく多並列接続された半導体スイッチ素子間の温度ばらつきを緩和可能なパワー半導体モジュール、およびそれを用いた電力変換装置を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明のパワー半導体モジュールは、一のゲート端子に接続され、第1、第2端子間の導通と非導通とを切り替えるように並列接続される複数のスイッチ素子と、各前記スイッチ素子のゲート電極と前記一のゲート端子との間にそれぞれ接続される複数の熱電変換素子とを備え、各前記熱電変換素子は、ゼーベック効果を有する異種金属、または、P型または/およびN型半導体で形成されることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、特別な外部制御を追加することなく多並列接続された半導体スイッチ素子間の温度ばらつきを緩和可能なパワー半導体モジュール、およびそれを用いた電力変換装置を提供可能となる。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールの回路図である。 熱電変換素子の温度特性の一例である。 比較例のパワー半導体モジュールの各部に流れる電流を示す波形図である。 比較例のパワー半導体モジュールの温度分布を示すグラフである。 比較例の各スイッチ素子の特性変化の一例である。 第1の実施形態のパワー半導体モジュールの電流波形を示す図である。 第1の実施形態のパワー半導体モジュールの温度分布を示すグラフである。 第1の実施形態の各スイッチ素子の特性変化の一例である。 第1の実施形態のパワー半導体モジュールの実装を示す平面図と断面図である。 第1の実施形態のパワー半導体モジュールの実装を示す斜視図である。 第2の実施形態のパワー半導体モジュールの実装を示す斜視図である。 第3の実施形態のパワー半導体モジュールの実装を示す斜視図である。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の回路構成図を示す図であり、パワー半導体モジュール1は、パワー半導体モジュール1のドレイン端子103、ソース端子104、ゲート端子102、ソースセンス端子101と電気的に接続した2個のスイッチ素子11,21、ゲート駆動のための正負の電圧を出力するゲート駆動電源40,41と、ゲート駆動部30,31と、各スイッチ素子11,21とゲート駆動部30,31と電気的に接続する熱電変換素子12,22から構成する。各スイッチ素子11,21は、N型MOSFETである。
つまり、スイッチ素子11のドレイン電極はドレイン端子103に電気的に接続され、ソース電極はソース端子104に電気的に接続され、ゲート電極はゲート端子102に電気的に接続される。スイッチ素子21のドレイン電極はドレイン端子103に電気的に接続され、ソース電極はソース端子104に電気的に接続され、ゲート電極はゲート端子102に電気的に接続される。電流Ids1は、スイッチ素子11のドレイン電極からソース電極に流れる。電流Ids2は、スイッチ素子21のドレイン電極からソース電極に流れる。このパワー半導体モジュール1は、スイッチ素子11,21の並列化によって、モジュールの大電流化を実現している。
なお、第1の実施形態のスイッチ素子11,21はMOSFETであるが、これに限られず、IGBTや接合FET(field-effect transistor)であってもよい。
ゲート駆動電源40は、ゲート端子102に正の電圧を印加するものである。ゲート駆動部30がオンし、ゲート駆動部31がオフすることで、ゲート端子102に正の電圧が印加される。
ゲート駆動電源41は、ゲート端子102に負の電圧を印加するものである。ゲート駆動部30がオフし、ゲート駆動部31がオンすることで、ゲート端子102に負の電圧が印加される。
熱電変換素子12,22は、素子表面と裏面との温度差によって出力電圧が変化する素子である。この熱電変換素子12,22は、温度勾配を電圧に変化する素子であれば何れでもよく、1素子であっても複数素子であってもよい。熱電変換素子12,22としては、例えばゼーベック素子やペルチェ素子が考えられ、その構成はP型および/またはN型半導体、あるいはゼーベック効果を有する異種金属あるいはそれらの組み合わせなどが考えられる。
なお、図中に明示はしていないが、パワー半導体モジュール1の構成が、スイッチ素子11,21と並列にダイオード素子を搭載する形態であってもよい。これにより、特性が比較的悪い寄生ダイオードに代えて、特性のよいダイオード素子を用いて消費電流を低減可能である。
また、図1では省略しているが、各スイッチ素子11,21にゲート抵抗を戴置する構成であってもよい。この場合、スイッチ素子11,21の直近に適切な値のゲート抵抗を実装することで、並列実装したスイッチ素子11,21間のスイッチングのタイミングをそろえることができる。
このパワー半導体モジュール1は、例えばインバータやコンバータなどの電力変換装置に組み込んで使用される。
図2は、第1の実施形態で使用する熱電変換素子12,22の温度特性の一例を示すグラフである。グラフの横軸は、熱電変換素子12,22の表面温度に対する裏面の温度差を示している。グラフの縦軸は、裏面電圧に対する表面の電圧を示している。
図2では正の温度係数を有する熱電変換素子12,22の実装を想定した構成を示している。この熱電変換素子12,22の温度特性は負であってもよく、その場合、図1(a)に示す熱電変換素子12,22の極性を逆に(すなわち温度依存性を有する可変電圧の正負を反転)してやればよい。
第1の実施形態の特徴は、並列実装したスイッチ素子11,21のゲート電極が熱電変換素子12,22を介してパワー半導体モジュール1のゲート端子102と電気的に接続することである。すなわち第1の実施形態のパワー半導体モジュール1は、スイッチ素子11,21の特性ばらつきや熱抵抗ばらつきに起因する特定のスイッチ素子11,21の温度上昇を熱電変換素子12,22でゲート電圧値に変換し、ゲート駆動部30,31から印加されるゲート電圧を抑制あるいは増大させ、スイッチ素子11,21間の温度ばらつきを自律的に緩和する。
例えば、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11が、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、パワー半導体モジュール1のターンオン時には、スイッチ素子11が早くターンオンするため、スイッチ素子11に電流が集中する。またパワー半導体モジュール1のターンオフ時には、スイッチ素子11が遅くターンオフするため、スイッチ素子11に電流が集中する。このような駆動のばらつきは電流のばらつきに繋がり、スイッチ素子11,21間での発熱ばらつきに繋がる。
スイッチ素子11に発熱が集中した場合、熱ストレスの増大によりスイッチ素子11が破壊し、パワー半導体モジュール1およびそれを用いた電力変換器の機能が停止する恐れがある。スイッチ素子11,21間の特性ばらつきを抑制するには、スイッチ素子の選別が必要であり、パワー半導体モジュール1のコスト増大や歩留り低下の要因となる。
一方、発熱が集中しているチップを優先的に冷却することで、熱ストレスの増大によるスイッチ素子の破損を防ぐことは可能である。しかしながら、特定のスイッチ素子の発熱を冷却するには、スイッチ素子近辺あるいは素子毎に温度検出用のセンサ(例えば温度センサ、電流センサ等)を戴置する必要がある。また、狙ったスイッチ素子だけを冷却するための制御システムを別途設ける必要があり、パワー半導体モジュール1あるいはそれを用いた電力変換機ではコストおよびサイズの増大が問題となる。
以下、図3から図5にて、パワー半導体モジュール1に熱電変換素子12,22を設けない比較例の動作を示し、図6から図8に、パワー半導体モジュール1に熱電変換素子12,22を設けた第1の実施形態の動作を示す。
比較例と第1の実施形態のいずれの場合も、パワー半導体モジュール1に並列実装したスイッチ素子11,21間に特性ばらつきがある場合を示している。ここでスイッチ素子11,21間の特性ばらつきとして、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11が、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合を示している。
図3は、比較例のパワー半導体モジュールの各部に流れる電流を示す波形図である。実線は、スイッチ素子11の電流Ids1の波形を示し、破線はスイッチ素子21の電流Ids2の波形を示している。
スイッチ素子11,21間の特性のばらつきに起因し、スイッチングの開始時には、スイッチ素子11が先にターンオンし、スイッチ素子11に電流が集中したのちにスイッチ素子21が遅れてターンオンする。
スイッチング終了時には、スイッチ素子21が先にターンオフし、それ以降、スイッチ素子11に電流が集中したのちにスイッチ素子11が遅れてターンオフする。そのため、スイッチングの開始時と終了時の両方でスイッチ素子11に電流が集中し、スイッチ素子21よりも温度が高くなる。
図4は、比較例のパワー半導体モジュールの温度分布を示すグラフである。縦軸は温度を示し、横軸はパワー半導体モジュールにおける物理的な位置を示している。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11は、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さいので、スイッチ素子11に電流が集中して温度差ΔTpが発生する。
図5は、比較例の各スイッチ素子の特性変化の一例である。なお、このとき比較例のパワー半導体モジュールは、所定周期で繰り返しスイッチングしているものとする。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、ターンオン時にはスイッチ素子11が早くターンオンし、ターンオフ時にはスイッチ素子11が遅くターンオフする。また、スイッチ素子11,21がMOSFETである場合、閾値電圧Vth11,Vth21は負の温度係数を有する、すなわち温度が高くなるほど閾値電圧Vth11,Vth21が低くなる。
このためスイッチ回数の増加とともに、スイッチ素子11は高温となり、高温のスイッチ素子11には更に電流および発熱が集中し、結果的にスイッチ素子11は熱ストレスの増大に伴い破損する。
図6は、第1の実施形態におけるパワー半導体モジュール1の各部に流れる電流を示す波形図である。実線は、スイッチ素子11の電流Ids1の波形を示し、破線はスイッチ素子21の電流Ids2の波形を示している。
第1の実施形態では、比較例と同様に、スイッチ素子11,21間に特性ばらつきが存在する。つまり、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい。しかし、スイッチ素子11の温度上昇により熱電変換素子12に温度勾配が発生し、ゲート端子102からスイッチ素子11のゲート電極に向けて負の電圧を発生する。これにより、スイッチ素子11のゲートに対して負のバイアス電圧を掛けて、ゲートオン電圧が大きくなる。
第1の実施形態のパワー半導体モジュール1では、スイッチ素子21も温度上昇し、熱電変換素子22にも温度勾配が発生するが、熱電変換素子12の温度勾配よりも小さい。よって、熱電変換素子22がゲート端子102からスイッチ素子21のゲート電極に向けて発生する負の電圧は、熱電変換素子12が発生する負の電圧よりも小さい。
これにより、複数のスイッチ素子の閾値電圧のはらつきを抑制することができる。
図7は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の温度分布を示すグラフである。縦軸は温度を示し、横軸はパワー半導体モジュール1における位置を示している。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11は、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さいので、スイッチ素子11に電流が集中して温度差ΔTpが発生する。しかし、スイッチ素子11の温度上昇により熱電変換素子12に温度勾配が発生し、スイッチ素子11のゲートオン電圧の低下を補償するので、温度差ΔTpは抑制される。
図8は、第1の実施形態の各スイッチ素子の特性変化の一例である。なお、このとき第1の実施形態のパワー半導体モジュール1は、所定周期で繰り返しスイッチングしているものとする。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、ターンオン時にはスイッチ素子11が早くターンオンし、ターンオフ時にはスイッチ素子11が遅くターンオフする。また、スイッチ素子11,21がMOSFETである場合、閾値電圧Vth11,Vth21は負の温度係数を有する、すなわち温度が高くなるほど閾値電圧Vth11,Vth21が低くなる。
当初、スイッチ回数の増加とともに、スイッチ素子11には電流および発熱が集中する。しかし、スイッチ素子11の温度上昇により熱電変換素子12に温度勾配が発生し、スイッチ素子11のゲートオン電圧の低下を補償する。よって、ターンオン時にはスイッチ素子11のターンオン損失を減らしてスイッチ素子21のターンオン損失を増やし、ターンオフ時にはスイッチ素子11のターンオフ損失を減らしてスイッチ素子21のターンオフ損失を増やす。これにより温度差ΔTpは抑制され、スイッチ素子11の熱ストレスを抑制することができる。すなわち、スイッチ素子11,21間の特性ばらつきに起因する電流ばらつきを低減することで、素子間の温度ばらつきを緩和できる効果がある。
また、各スイッチ素子11,21は、N型MOSFETとして説明したが、P型MOSFETであっても同様に適用可能である。P型MOSFETの閾値電圧は負の値となり、かつ、温度と共に電子の移動度は上がるため、P型MOSFETの閾値電圧の絶対値は温度と共に小さくなる。よってP型MOSFETもN型MOSFETと同様に、発熱と共に特性ばらつきによるターンオン損失とターンオフ損失とが増大するので、熱電変換素子によってP型MOSFETの素子間の温度ばらつきを緩和できる効果がある。
図6ないし図8では、第1の実施形態が、スイッチ素子11,21間の閾値電圧Vth11,Vth21のばらつきに起因した温度ばらつき緩和に与える効果を示したが、その他のスイッチ素子の特性ばらつきおよび実装時のスイッチ素子間の熱抵抗の差に起因する温度ばらつきであっても、第1の実施形態の適用により緩和可能である。
以上のことから、第1の実施形態により、スイッチ素子11,21を多並列実装したパワー半導体モジュール1において、スイッチ素子11,21の駆動電圧をスイッチ素子毎に自律的に調整でき、温度上昇の大きいスイッチ素子11に通流する電流を絞ることで温度上昇が小さい他の並列接続されたスイッチ素子21への電流通電を促し、温度ばらつきを緩和することが可能となる。また、その構成に必要なパワー半導体モジュール1の大型化を必要最小限にすることで、本実施形態は、パワー半導体モジュール1作成時の歩留り向上ならびに該パワー半導体モジュール1を使用した電力変換器の信頼性向上と装置の小型化を両立する効果がある。特に、SiCやGaNやダイヤモンドのようなワイドバンドギャップデバイスで大容量のパワー半導体モジュール1を構成する場合、デバイス歩留りの点から小容量のチップを多並列で実装する必要があるため、本実施形態の効果は大きい。
以上、図1ないし図8を用いて第1の実施形態の回路構成図の形態を説明してきたが、これらは電流容量を満たす数のスイッチ素子を任意の位置に載置でき、パワー半導体モジュール内に任意の数のスイッチ部(スイッチ素子と熱電変換素子の組み合わせ)を搭載した形態であってもよい。また、これらスイッチ部の組み合わせの形態は、モジュール内に2個のスイッチ部を搭載した2in1の形態、ないし6個のスイッチ部を搭載した6in1のどの形態であってもよい。これらのパワー半導体モジュール1の形態は、電力変換器の仕様あるいは載置するチップの仕様あるいはパワー半導体モジュール1の仕様あるいはそれらの組み合わせにより決定する。
図9(a),(b)は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の実装を示す平面図と断面図である。
図9(a)は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の実装を示す平面図てある。この図9では、パワー半導体モジュール1のうち、スイッチ素子11,21が実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
スイッチ素子11のゲート電極15からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるゲート端子102の上面に接合される。スイッチ素子11のドレイン電極28からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソースセンス端子101の上面に接合される。スイッチ素子11のドレイン電極28からの4本のボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソース端子104の上面に接合される。
同様に、スイッチ素子21のゲート電極25からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるゲート端子102の上面に接合される。スイッチ素子21のドレイン電極28からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソースセンス端子101の上面に接合される。スイッチ素子21のドレイン電極28からの4本のボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソース端子104の上面に接合される。
図9(b)は、図9(a)に示したスイッチ素子11,21のゲート電極15,25の直下であるIX−IX断面を示している。
スイッチ素子11は、ゲート内部配線13の上に熱電変換素子12が形成され、その上部にゲート電極15が形成されている。
このゲート内部配線13は、P型で構成された半導体基板17上に酸化膜14を挟んで形成されている。ゲート内部配線13の周囲の半導体基板17上には、N型で構成されたソース電極16が配置されている。半導体基板17は、表面導体パターンであるドレイン端子103上に、ドレイン電極18を挟んで形成されている。
スイッチ素子21は、ゲート内部配線23の上に熱電変換素子22が形成され、その上部にゲート電極25が形成されている。熱電変換素子12,22は、例えばP型または/およびN型半導体で構成されるペルチェ素子である。
このゲート内部配線23は、P型で構成された半導体基板27上に酸化膜24を挟んで形成されている。ゲート内部配線23の周囲の半導体基板27上には、N型で構成されたソース電極26が配置されている。半導体基板27は、表面導体パターンであるドレイン端子103上に、ドレイン電極28を挟んで形成されている。
第1の実施形態によれば、熱電変換素子12は、スイッチ素子11の内部に形成されているため、スイッチ素子11にて発熱するドレイン・ソース間に最も近接している。そのため、実装の影響を受けることなく、スイッチ素子11の温度を熱電変換素子12に伝える効果がある。
スイッチ素子11内部に熱電変換素子12を形成しているため、スイッチ素子11のゲート電極15からゲート端子102の表面導体パターンまでの電気的な接続は、ボンディングワイヤ110のみで可能となり、実装面積の低減によりパワー半導体モジュール1を小型化できる効果がある。
これらの効果は、熱電変換素子22についても同様である。
なお図9(a),(b)では、煩雑さを避けるためスイッチ素子11,21において、スイッチ素子毎に実装するゲート抵抗の図示を略している。このゲート抵抗は、ゲート端子102上またはスイッチ素子11のゲート電極15上への実装、あるいはスイッチ素子11,21のゲート電極15内への形成、あるいはその組み合せいずれの形態であってもよい。さらに、図中に明示はしていないが、当該半導体モジュールの構成が、スイッチ素子11,12と並列にダイオード素子を搭載する形態であってもよい。
図10は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の実装構成図の一例を示す斜視図である。
ここでは、パワー半導体モジュール1のうち、スイッチ素子11,21が実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
絶縁基板100上には、右側から順にソースセンス端子101、ゲート端子102、ドレイン端子103、ソース端子104の表面導体パターンが形成されている。このうちドレイン端子103には、スイッチ素子11,21が形成されている。
スイッチ素子11は、最下層から順にドレイン電極18、半導体基板17、ソース電極16が積層している。このソース電極16は、ゲート内部配線13とは酸化膜14で絶縁されている。ゲート電極15とゲート内部配線13との間には、熱電変換素子12が形成されている。つまり、熱電変換素子12は、スイッチ素子11のゲート電極15内に埋設されて形成されている。ゲート電極15とゲート端子102の表面導体パターンとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子11のソース電極16とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。スイッチ素子11のソース電極16とソース端子104との間は、4本のボンディングワイヤ110で接合される。
同様にスイッチ素子21は、最下層から順にドレイン電極28、半導体基板27、ソース電極26が積層している。このソース電極26は、ゲート内部配線23とは酸化膜24で絶縁されている。ゲート電極25とゲート内部配線23との間には、熱電変換素子22が形成されている。つまり、熱電変換素子22は、スイッチ素子21のゲート電極25内に埋設されて形成されている。ゲート電極25とゲート端子102の表面導体パターンとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子21のソース電極26とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。スイッチ素子21のソース電極26とソース端子104との間は、4本のボンディングワイヤ110で接合される。
図11は、第2の実施形態のパワー半導体モジュール1Aの実装構成図の一例を示す斜視図である。
ここでは、パワー半導体モジュール1Aのうち、スイッチ素子11A,21Aが実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。熱電変換素子12Aは、スイッチ素子11Aのゲート電極15上に戴置されて実装される。熱電変換素子12Aとゲート端子102の表面導体パターンとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子11Aのドレイン電極18とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。
同様に熱電変換素子22Aは、スイッチ素子21Aのゲート電極25上に戴置されて実装される。熱電変換素子22Aとゲート端子102の表面導体パターンの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子21Aのドレイン電極28とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。
第2の実施形態によれば、実装する熱電変換素子が外付けとなるため、そのパラメータを細かく設計することができ、より確実な温度ばらつき緩和の効果がある。
なお第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、パワー半導体モジュール1内に実装するゲート抵抗は、ゲート電極15を構成する表面導体パターン上またはスイッチ素子11A,21Aのゲート電極15上への実装、あるいはスイッチ素子11A,21Aのゲート電極15内への形成、あるいはその組み合せいずれの形態であってもよい。また、スイッチ素子と並列にダイオード素子を搭載する形態であってもよい。
図12は、第3の実施形態のパワー半導体モジュール1Bの実装構成図の一例を示す。
ここでは、パワー半導体モジュール1Bのうち、スイッチ素子11B,21Bが実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
熱電変換素子12Bは、ゲート端子102の表面導体パターン上に実装される。スイッチ素子11Bのゲート電極15と熱電変換素子12Bとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。同様に熱電変換素子22Bは、ゲート端子102の表面導体パターン上に実装される。スイッチ素子21Bのゲート電極15と熱電変換素子22Bとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。
その際、スイッチ素子11Bと熱電変換素子12Bとの間の距離は、スイッチ素子11Bと熱電変換素子22Bとの間の距離より近接している。かつ、スイッチ素子21Bと熱電変換素子22Bとの間の距離は、スイッチ素子21Bと熱電変換素子12Bとの間の距離より近接している。これにより、各熱電変換素子12B,22Bは、それぞれに接続されたスイッチ素子11B,21Bの発熱に応じた熱勾配を受けることができる。
第3の実施形態によれば、スイッチ素子のゲート電極のサイズによらず必要な定格の熱電変換素子を実装することができ、小口径半導体チップのようにゲート電極の非常に小さいスイッチ素子を多並列実装する場合においても、素子特性ばらつき等に起因する温度ばらつきを緩和できるので、パワー半導体モジュールの歩留り向上の効果がある。
なお本実施形態においても、第1、第2の実施形態と同様に、パワー半導体モジュール1内に実装するゲート抵抗は、ゲートの表面導体パターン上またはスイッチ素子11,21のゲート電極15,25上への実装、あるいはスイッチ素子11,21のゲート電極15,25内への形成、あるいはその組み合せいずれの形態であってもよい。また、パワー半導体モジュール1Bは、スイッチ素子と並列にダイオード素子を搭載する形態であってもよい。
本発明による効果を、以下に示す。
(1) パワー半導体モジュール内に多並列接続されたスイッチ素子の駆動において、温度上昇したスイッチ素子のターンオンを遅く、ターンオフを速くしている。これによりスイッチ素子間の電流ばらつき、すなわちターンオン・ターンオフ時のスイッチング損失のばらつきを低減し、素子間の温度ばらつきを緩和でき、パワー半導体モジュールの高信頼化・長寿命化に寄与することができる。
(2) スイッチ素子の特性ばらつきの許容値を拡大でき、パワー半導体モジュールの歩留まり向上に寄与する。
(3) スイッチ素子毎にゲート電圧を自律的に調整することにより、冷却/駆動に必要な新たな外部制御装置を設けることなく、温度上昇したスイッチ素子の温度を低減でき、パワー半導体モジュールおよびそれを使用した電力変換器のサイズを変更することなく上記の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) 各スイッチ素子における発熱を熱電変換素子にて良好に検知するために、この熱電変換素子の上面に排熱手段を設けてもよい。排熱手段とは、例えば排熱用の銅製パイプや、排熱フィンなどである。
(b) 各スイッチ素子における発熱を熱電変換素子にて良好に検知するため、この熱電変換素子の上面に冷却手段を設けてもよい。冷却手段とは、例えば冷媒を用いた冷凍サイクルや、ペルチェ素子などである。
(c) 上記実施形態のボンディングワイヤ110は、ワイヤボンドだけでなく、リボンボンドやフリップチップ実装によってもよい。
1,1A,1B パワー半導体モジュール
11,11A,11B スイッチ素子
12 熱電変換素子
12A,12B 熱電変換素子
13 ゲート内部配線
14 酸化膜
15 ゲート電極
16 ソース電極
17 半導体基板
18 ドレイン電極
21,21A,21B スイッチ素子
22,22A,22B 熱電変換素子
23 ゲート内部配線
24 酸化膜
25 ゲート電極
26 ソース電極
27 半導体基板
28 ドレイン電極
30,31 ゲート駆動部
40,41 ゲート駆動電源
100 絶縁基板
110 ボンディングワイヤ
101 ソースセンス端子
102 ゲート端子
103 ドレイン端子
104 ソース端子

Claims (7)

  1. 一のゲート端子に接続され、第1、第2端子間の導通と非導通とを切り替えるように並列接続される複数のスイッチ素子と、
    各前記スイッチ素子のゲート電極と前記一のゲート端子との間にそれぞれ接続される複数の熱電変換素子と、
    を備え
    各前記熱電変換素子は、ゼーベック効果を有する異種金属、または、P型または/およびN型半導体で形成される、
    ことを特徴とするパワー半導体モジュール。
  2. 各前記熱電変換素子は、前記スイッチ素子のゲート電極部に埋設されている、
    ことを特徴とする請求項に記載のパワー半導体モジュール。
  3. 各前記熱電変換素子は、前記スイッチ素子のゲート電極上に戴置されている、
    ことを特徴とする請求項に記載のパワー半導体モジュール。
  4. 前記熱電変換素子は、前記一のゲート端子と電気的に接続された回路上に戴置された構成であって、
    前記複数のスイッチ素子は、第1のスイッチ素子と、当該第1のスイッチ素子に隣接して並列に実装された第2のスイッチ素子とを含み、
    前記熱電変換素子は、前記第1のスイッチ素子のゲート電極に接続される第1の熱電変換素子と、前記第2のスイッチ素子のゲート電極に接続される第2の熱電変換素子とを含み、
    前記第1のスイッチ素子と前記第1の熱電変換素子との距離は、前記第1のスイッチ素子と前記第2の熱電変換素子との距離よりも近接し、
    前記第2のスイッチ素子と第2の熱電変換素子との距離は、前記第2のスイッチ素子と前記第1の熱電変換素子との距離よりも近接している、
    ことを特徴とする請求項に記載のパワー半導体モジュール。
  5. 各前記スイッチ素子は、ワイドバンドギャップ半導体で構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール。
  6. 各前記スイッチ素子を構成するワイドバンドギャップ半導体は、SiC、GaN、ダイヤモンドのいずれかである、
    ことを特徴とする請求項に記載のパワー半導体モジュール。
  7. 請求項1ないし請求項のうちいずれか1項に記載のパワー半導体モジュールを備える、
    ことを特徴とする電力変換装置。
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