以下に、本発明の実施の形態にかかる情報技術活用評価装置、情報技術活用評価システムおよび情報技術活用評価方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる情報技術活用評価装置は、被管理工程の管理におけるITの活用度を評価する。以下の説明にて、情報技術活用評価装置をIT活用評価装置と称する。IT活用評価装置による評価の対象である被管理工程の例の1つは、製造業における製造工程を含むサプライチェーンである。サプライチェーンでは、生産性の改善のための工程管理が実施される。実施の形態1にかかるIT活用評価装置は、サプライチェーン全体の工程管理におけるITの活用度を評価する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかるIT活用評価装置100の機能構成を示すブロック図である。IT活用評価装置100は、IT活用評価方法を実行するためのプログラムであるIT活用評価プログラムがインストールされたコンピュータである。図1に示す各機能部は、ハードウェアであるコンピュータでのIT活用評価プログラムの実行により実現される。
IT活用評価装置100は、IT活用評価装置100全体を制御する機能部である制御部10を備える。制御部10は、テンプレートを作成する機能部であるテンプレート作成部15を備える。テンプレートには、IT活用の評価において使用される情報が入力される。IT活用評価装置100は、第1の到達レベル判定部である自動化判定部16と、第2の到達レベル判定部である規模判定部17と、目標レベル判定部18と、を備える。
自動化判定部16は、単位工程の集合を含む被管理工程の管理について、ITの活用による自動化の進捗である第1の評価要素の現状を評価することにより第1の評価要素の現状の到達レベルである第1の到達レベルを判定する機能部である。自動化判定部16は、テンプレートに入力された情報を基に、第1の到達レベルを判定する。
規模判定部17は、被管理工程において管理にITが活用されている単位工程の集合の規模である第2の評価要素の現状を評価することにより第2の評価要素の現状の到達レベルである第2の到達レベルを判定する機能部である。規模判定部17は、テンプレートに入力された情報を基に、第2の到達レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第1の到達レベルと第2の到達レベルとを用いて、目標に推奨する到達レベルである目標レベルを判定する機能部である。
IT活用評価装置100は、情報を記憶する機能部である記憶部11を備える。記憶部11は、テンプレートを格納する機能部であるテンプレート格納部19と、各種データを格納する機能部であるデータ格納部20とを有する。データ格納部20は、過去に判定された到達レベルの履歴を示すレベル履歴データを格納するレベル履歴格納部21を有する。レベル履歴格納部21の詳細については後述する。
IT活用評価装置100は、IT活用評価装置100の外部の装置との通信を行う機能部である通信部12と、情報を入力する機能部である入力部13と、情報を提示する機能部である提示部14とを有する。提示部14は、目標レベル判定部18による目標レベルの判定結果を提示する。また、提示部14は、自動化判定部16による判定結果と規模判定部17による判定結果とを提示する。
図2は、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。IT活用評価装置100は、各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)31と、データ格納領域を含むRAM(Random Access Memory)32と、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)33と、外部記憶装置34とを備える。IT活用評価装置100は、IT活用評価装置100の外部の装置との接続インタフェースである通信インタフェース(Interface,I/F)35と、ユーザによる操作にしたがって情報を入力する入力デバイス36と、画面にて情報を表示する出力デバイスであるディスプレイ37とを備える。図2に示すIT活用評価装置100の各部は、バス38を介して相互に接続されている。
CPU31は、ROM33および外部記憶装置34に記憶されているプログラムを実行する。図1に示す制御部10の機能は、CPU31を使用して実現される。外部記憶装置34は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)である。外部記憶装置34には、IT活用評価プログラムと、テンプレートの内容と、到達レベルの履歴とを記憶する。図1に示す記憶部11の機能は、外部記憶装置34を使用して実現される。ROM33には、IT活用評価装置100であるコンピュータの基本となる制御のためのプログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)あるいはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)が記憶されている。なお、IT活用評価プログラムは、ROM33に記憶されても良い。
ROM33および外部記憶装置34に記憶されているプログラムは、RAM32にロードされる。CPU31は、RAM32にてIT活用評価プログラムを展開して各種処理を実行する。入力デバイス36は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。図1に示す入力部13の機能は、入力デバイス36を使用して実現される。ディスプレイ37の1つの例は、液晶パネルを備える液晶ディスプレイである。図1に示す提示部14の機能は、ディスプレイ37を使用して実現される。図1に示す通信部12の機能は、通信I/F35を使用して実現される。
IT活用評価プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能とされた記憶媒体に記憶されたものであっても良い。IT活用評価装置100は、記憶媒体に記憶されたIT活用評価プログラムを外部記憶装置34へ格納しても良い。記憶媒体は、フレキシブルディスクである可搬型記憶媒体、あるいは半導体メモリであるフラッシュメモリであっても良い。IT活用評価プログラムは、他のコンピュータあるいはサーバ装置から通信ネットワークを介してIT活用評価装置100へインストールされても良い。
次に、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100による評価の対象であるサプライチェーンについて説明する。図3は、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100による評価の対象であるサプライチェーン40の構成例を示すブロック図である。実施の形態1において、サプライチェーン40は、材料および部品の調達から製品の販売までの、製品の生産における全体的な作業の連鎖とする。図3には、サプライチェーン40における各作業の拠点を示している。
サプライチェーン40には、製品の材料を出荷する材料メーカ42による作業と、製品の部品を出荷する部品メーカ43による作業と、製品を製造する工場41による作業と、製品を流通させる物流部門47による作業と、製品を販売する販売部門48による作業とが含まれる。工場41による作業には、材料と部品とを調達する調達部門44による作業と、製造工程を担うショップ45A,45B,45Cによる作業と、製品を保管する製品保管部門46による作業とが含まれる。IT活用評価装置100は、工場41に設置されている。実施の形態1において、ユーザとは、IT活用評価装置100によるIT活用度の評価を実行する者とする。なお、IT活用評価装置100は、工場41以外の場所に設置されても良い。
調達部門44には、複数の材料メーカ42からの材料と、複数の部品メーカ43からの部品とが納入される。調達部門44は、調達された材料と部品とを工場41にて保管する。保管された材料と部品とは、ショップ45A,45B,45Cへ供給される。ショップ45A,45B,45Cの各々は、共通の製造特性を有するラインの集合体である。例を挙げると、ショップ45Aは、ワークの加工を行うラインの集合体である。ショップ45Bは、加工されたワークの組み立てを行うラインの集合体である。ショップ45Cは、組み立てられた製品の検査を行うラインの集合体である。製品保管部門46は、ショップ45Cでの作業を経た製品を工場41にて保管する。物流部門47は、工場41から販売部門48の拠点へ製品を搬送する。販売部門48は、納入された製品を販売する。なお、工場41におけるショップの数は任意であって、3つに限られないものとする。
図4は、図3に示すサプライチェーン40に含まれる拠点であるショップ45A,45B,45Cの構成例を示すブロック図である。ショップ45Aは、m個のラインを含む。「LA1」、「LA2」、・・・「LAm」は、ショップ45Aに含まれる各ラインの名称とする。m個のラインは、いずれもワークの加工を行う点において共通する製造特性を有している。ライン「LA1」は、2つの単位工程の配列である。単位工程は、指示あるいは計画にしたがった設備の稼動による作業を含む。単位工程には、作業者による手作業が含まれても良い。「PA1−1」および「PA1−2」は、ライン「LA1」に含まれる各単位工程の名称とする。ライン「LA2」、・・・「LAm」も、ライン「LA1」と同様に、2つの単位工程の配列である。
ショップ45Bは、n個のラインを含む。「LB1」、「LB2」、・・・「LBn」は、ショップ45Bに含まれる各ラインの名称とする。n個のラインは、いずれも加工されたワークの組み立てを行う点において共通する製造特性を有している。ライン「LB1」は、3つの単位工程の配列である。「PB1−1」、「PB1−2」および「PB1−3」は、ライン「LB1」に含まれる各単位工程の名称とする。ライン「LB2」、・・・「LBn」も、ライン「LB1」と同様に、3つの単位工程の配列である。
ショップ45Cは、j個のラインを含む。「LC1」、「LC2」、・・・「LCj」は、ショップ45Cに含まれる各ラインの名称とする。j個のラインは、いずれも組み立てられた製品の検査を行う点において共通する製造特性を有している。ライン「LC1」は、2つの単位工程の配列である。「PC1−1」および「PC1−2」は、ライン「LC1」に含まれる各単位工程の名称とする。ライン「LC2」、・・・「LCj」も、ライン「LC1」と同様に、2つの単位工程の配列である。
ショップ45A,45B,45Cと同様に、工場内の拠点である調達部門44および製品保管部門46も、単位工程の配列であるラインを含む。また、工場外の拠点である材料メーカ42、部品メーカ43、物流部門47および販売部門48も、単位工程の配列であるラインを含む。ラインは、単位工程の配列によって構成される第1の集合とする。ショップ45A,45B,45Cと工場内外の各拠点とは、第1の集合の集合体である第2の集合とする。以下の説明では、ショップ45A,45B,45Cと工場内外の各拠点とを、単に「ショップ」と称することがある。以下の説明にて、「ショップ」には、ショップ45A,45B,45Cと、工場内外の拠点である調達部門44、製品保管部門46、材料メーカ42、部品メーカ43、物流部門47および販売部門48とが含まれる場合があるものとする。
サプライチェーン40は、第2の集合の集合体である第3の集合とする。サプライチェーン40における集合の規模は、ライン、ショップ、およびサプライチェーン40の順に、段階的に大きくなるものとする。なお、ショップの各ラインは、同じ数の単位工程を含むもの限られない。ショップのラインには、他のラインとは単位工程の数が異なるラインが含まれていても良い。また、ラインは、複数の単位工程を含むものに限られず、1つの単位工程からなるものであっても良い。ショップは、複数のラインを含むものに限られず、1つのラインからなるものであっても良い。
次に、第1の評価要素である自動化の進捗と、第2の評価要素である規模とについて説明する。図5は、図1に示すIT活用評価装置100によって評価される第1の評価要素と第2の評価要素とについて説明する図である。
サプライチェーン40においては、単位工程ごとにおける設備の状態、設備の稼動実績、または作業者の作業実績を把握して、生産計画と生産実績とのかい離の判断と、かい離の是正措置とが行われることがある。また、製品の品質の向上と、生産性の向上と、製品の納期への対応力の強化とのために作業内容の改善が行われることがある。効率良く高い成果を得るためには、ITの活用により、稼動実績および作業実績の把握のための情報収集から作業内容の改善までの工程管理の自動化が推進されることが有効となる。そこで、実施の形態1では、単位工程の管理における自動化の進捗を、第1の評価要素としている。
サプライチェーン40では、全ての単位工程へのITの導入を一括して行うことが困難である場合が多い。一般に、サプライチェーン40においては、単位工程へのITの導入が部分的に進められていくこととなる。工程管理におけるITの活用は、工場41の製造工程のみならず、材料および部品の調達および保管、製品の保管、搬送および販売へも拡大されることが有効となる。ITが活用される規模の拡大により、販売予測に基づいた生産計画の最適化、材料および部品の納入計画の最適化、棚卸残高の最小化のための在庫計画において、効率良く高い効果を得ることが可能となる。そこで、実施の形態1では、単位工程の管理にITが活用されている集合の規模を、第2の評価要素としている。なお、実施の形態1では、ITの導入は、サプライチェーン40のうち、IT活用評価装置100が設置されている工場41から進められていくものとする。工場41内のショップへのITの導入が進められてから、工場41外のショップへのITの導入が進められる。
IT活用評価装置100では、第1の評価要素の到達レベルの基準である4つのレベルが定義されている。4つのレベルのうち最小のレベルであるレベル「1」は、工程管理に使用されるデータの収集および蓄積を自動で行い得るレベルとする。レベル「1」の1段階上のレベルであるレベル「2」は、レベル「1」に加えて、収集あるいは蓄積されたデータの表示のために、データの可視化を自動で行い得るレベルとする。レベル「2」の1段階上のレベルであるレベル「3」は、レベル「2」に加えて、データの分析と、分析による診断とを自動で行い得るレベルとする。レベル「4」は、レベル「3」の1段階上のレベルであって、4つのレベルのうち最大のレベルである。レベル「4」は、診断結果にしたがった単位工程の制御を自動で行い得るレベルとする。
なお、「自動で行い得る」とは、原則として、目的とする動作に手作業の介在が不要であることを指すものとするが、動作の一部に手作業が含まれても良いものとする。例を挙げると、自動化済みの作業に、作業者による手動入力が含まれても良い。到達レベルの基準であるレベルは4つである場合に限られないものとする。基準であるレベルの数は任意であるものとする。また、自動化の各レベルについての定義の内容は、上記の内容に限られず、適宜変更しても良い。定義の内容は、IT活用評価装置100にあらかじめ設定されたものとする。定義の内容は、ユーザによって設定されても良い。
サプライチェーン40には、管理機能にITを活用し得ない単位工程が含まれていることがある。管理機能にITを活用し得ない単位工程の例としては、官能検査が挙げられる。IT活用評価装置100は、ITの導入の対象外である単位工程を除外して、サプライチェーン40における第1の評価要素の到達レベルおよび第2の評価要素の到達レベルを判定しても良い。図5に示す例では、ハッチングを付した2つのライン「LA1」および「LC2」の各単位工程における管理機能が、ITの導入の対象外とされている。ショップ45A,45B,45Cのうち、「LA1」および「LC2」以外のラインの各管理工程がITの導入の対象とされる。IT活用評価装置100は、ライン「LA1」および「LC2」を除外して、第1の評価要素の到達レベルおよび第2の評価要素の到達レベルを判定しても良い。
IT活用評価装置100では、第2の評価要素の到達レベルの基準である4つのレベルが定義されている。4つのレベルのうち最小のレベルであるレベル「1」は、ITが導入されている単位工程が工場41内に1つ以上存在していることを表す。例を挙げると、図5に示すいずれの単位工程にもITが導入されていない状態から、1つの単位工程「PB2−2」にITが導入されたことで、レベル「1」の条件が満たされる。
レベル「1」の1段階上のレベルであるレベル「2」は、全ての単位工程にITが導入されているラインが工場41内に1つ以上存在していることを表す。例を挙げると、ライン「LB2」の単位工程「PB2−2」にITが導入されている状態から、ライン「LB2」の2つの単位工程「PB2−1」、「PB2−3」にITが導入されたことで、レベル「2」の条件が満たされる。
レベル「2」の1段階上のレベルであるレベル「3」は、IT導入の対象外である単位工程を含むラインを除いて、工場41内の全てのラインにITが導入されていることを表す。レベル「4」は、レベル「3」の1段階上のレベルであって、4つのレベルのうち最大のレベルである。レベル「4」は、IT導入の対象外である単位工程を含むラインを除いて、サプライチェーン40の全てのラインにITが導入されていることを表す。このように、4つのレベルの定義の内容は、単位工程へのITの導入の状況を表す。
規模レベル「1」、「2」、あるいは「3」から、レベルを1段階向上させるとした場合に、ITの導入に多大な工数および労力を要することとなる。また、ITの導入が少しずつ進められている状況において、段階ごとのレベルの定義を満足しないために評価が一向に変わらないとした場合、ITの導入の現状が評価に表れていないこととなり、正当かつ有用な評価が行えていないこととなる。そこで、IT活用評価装置100は、定義による段階的なレベルの中間となる到達レベルを判定可能とすることで、ITの導入の現状を評価に反映可能とする。
また、工場41内でのITの導入には、ITの導入が完了しているラインを含むショップの中での導入のケースと、ITの導入が完了しているラインを含まないショップへの新規の導入のケースとがある。かかる2つのケースを比較した場合に、新規の導入である後者のケースのほうが、前者のケースよりも達成が困難という事情がある。そこで、IT活用評価装置100は、このような新規の導入が達成された場合に、その他の場合よりも到達レベルが高くなるようなレベルの判定を可能とすることで、ITの導入が困難である度合いに見合う評価を可能とする。
図6は、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100の動作手順を示すフローチャートである。図6に示す手順のうち、ステップS1からS3は、評価のための手順より前に実行されるテンプレートの準備のための手順である。ステップS1では、図1に示す入力部13は、被管理工程であるサプライチェーン40の構成の内容を入力する。図1に示す提示部14は、入力フォーマットを表示する。ユーザによる手動入力によって入力フォーマットへデータが入力されることにより、サプライチェーン40の構成の内容が入力される。
図7は、図3に示すサプライチェーン40の構成の内容についての入力例を示す図である。図7に示す入力フォーマット50には、ショップ名が入力される欄と、ライン名が入力される欄と、外部フラグが入力される欄とが設けられている。ショップ名は、サプライチェーン40に含まれる各ショップの名称である。「ショップA」は、図3に示すショップ45Aの名称とする。「ショップB」は、ショップ45Bの名称とする。「ショップC」は、ショップ45Cの名称とする。「物流」は、物流部門47の名称とする。入力フォーマット50には、「ショップA」、「ショップB」、「ショップC」および「物流」の各ショップ名が入力されている。
「ショップA」に対応するライン名の欄には、ショップ45Aの各ラインの名称「LA1」、「LA2」・・・が入力される。「ショップB」に対応するライン名の欄には、ショップ45Bの各ラインの名称「LB1」、「LB2」・・・が入力される。「ショップC」に対応するライン名の欄には、ショップ45Cの各ラインの名称「LC1」、「LC2」・・・が入力される。「物流」に対応するライン名の欄には、物流部門47の各ラインの名称「LL01」、「LL02」・・・が入力される。
外部フラグは、各ラインが工場41内のラインか工場41外のラインかを示すフラグである。図7に示す例では、フラグ「0」は、工場41内を表す。フラグ「1」は、工場41外を表す。「ショップA」、「ショップB」および「ショップC」の各ラインに対応するフラグの欄には、「0」が入力される。「物流」の各ラインに対応するフラグの欄には、「1」が入力される。なお、ステップS1では、ラインに含まれる単位工程についての情報は入力されない。
ステップS2において、IT活用評価装置100は、図1に示すテンプレート作成部15にてテンプレートを作成する。テンプレート作成部15は、ステップS1にて入力されたデータを基に、テンプレートを作成する。テンプレートの作成が完了すると、ステップS3において、IT活用評価装置100は、作成されたテンプレートをテンプレート格納部19へ格納する。
図8は、図1に示すIT活用評価装置100が有するテンプレート作成部15によって作成されたテンプレート51の例を示す図である。図8には、ショップ45Aのライン「LA1」についてのテンプレート51の一部を示している。テンプレート作成部15は、ステップS1にて入力されたデータを基に、サプライチェーン40に含まれる全てのラインについて、ラインごとのテンプレート51を作成する。
テンプレート51には、ショップ名とライン名とが記載された欄と、管理機能の名称が記載された欄と、管理機能ごとの項目の内容が記載された欄と、項目ごとに設定されている自動化レベルが記載された欄と、対象数が入力される欄と該当数が入力される欄とが設けられている。管理機能は、ITが活用される工程管理の機能とする。「FA」は、管理機能の1つである設備稼動管理を表す名称とする。「FB」は、管理機能の1つである品質管理を表す名称とする。管理機能には、設備稼動管理および品質管理以外に、工程管理に含まれ得るその他の管理機能が含まれても良い。管理機能には、出来高管理が含まれても良い。
項目には、単位工程の管理における自動化の状況を確認するための事項が設問形式で設定されている。テンプレート51に含まれている各項目には、番号が付されている。図8に示すテンプレート51では、管理機能「FA」に対応する複数の項目が設定されている。このうち、「No.1」の項目「ワークごとの加工開始時刻を電子化しているか」は、設備稼動管理に使用される加工開始時刻のデータの収集および蓄積の自動化についての確認事項である。また、「No.6」の項目「サイクルタイムを可視化しているか」は、設備稼動管理に使用されるサイクルタイムのデータの可視化の自動化についての確認事項である。管理機能「FA」以外の管理機能についても、自動化に関する項目が設定されている。
自動化レベルは、項目に示された自動化の内容が、上記の第1の評価要素の到達レベルの基準である4つのレベルのいずれに該当するかを示したものである。「No.1」の項目については、ワークごとの加工開始時刻の電子化は、上記のレベル「1」の定義であるデータの収集および蓄積を自動で行うことに該当するため、「No.1」の自動化レベルは「1」となる。「No.6」の項目については、サイクルタイムの可視化は、上記のレベル「2」の定義であるデータの可視化を自動で行うことに該当するため、「No.6」の自動化レベルは「2」となる。その他の項目についても同様にして、自動化レベルが付与される。
テンプレート作成部15は、ラインが属しているショップに関わらず、全てのラインについて共通のテンプレート51を作成する。テンプレート51の素材となる管理機能、項目および自動化レベルのデータは、あらかじめテンプレート格納部19に格納されている。なお、項目ごとの自動化レベルは、ユーザにより設定可能であっても良い。
対象数は、ラインに含まれる単位工程のうち、ITの導入の対象となる単位工程の数を表す。該当数は、既にITが導入されている単位工程の数を表す。対象数と該当数とは、ITの活用の現状を示す情報である。テンプレート51には、対象数が入力される欄と該当数が入力される欄とが項目ごとに設けられている。
ステップS1からS3の手順によるテンプレート51の準備が完了した後に、IT活用評価装置100は、ステップS4以降の手順による評価を実行する。評価を実行する際に、図1に示す制御部10は、テンプレート格納部19からテンプレート51を読み出す。ステップS4では、図1に示す提示部14は、読み出されたテンプレート51を表示する。ステップS5では、図1に示す入力部13は、IT導入の対象数とIT導入の該当数とをテンプレートへ入力する。対象数と該当数とは、ユーザによる手動入力によって、テンプレートへ入力される。
図8に示すテンプレート51において、「No.1」の項目の対象数の欄には、ラインLA1の単位工程のうち、ワークごとの加工開始時刻の電子化の対象とされる単位工程の数が入力される。「No.1」の項目の該当数の欄には、ラインLA1の単位工程のうち、ワークごとの加工開始時刻の電子化が既に行われている単位工程の数が入力される。その他の項目についても同様に、対象数と該当数とが入力される。該当数と対象数との比は、項目ごとにおける自動化の進捗を表す。IT活用評価装置100は、ITの導入の対象外である単位工程の数が対象数から除外されることにより、項目ごとにおける実情に即した自動化の進捗を基に、到達レベルを判定することができる。
図8に示す例において、「物流」に含まれるラインでは、「No.1」の項目を満たすべきとされる単位工程は含まれないとする。当該ラインについてのテンプレート51では「No.1」の項目における対象数に「0」が入力されることで、「No.1」の項目についての評価の対象から当該ラインが除外される。IT活用評価装置100は、評価の対象が含まれない単位工程についてのデータを除外したうえでの到達レベルを判定可能とする。これにより、ラインにおける自動化の進捗の評価が、実情に即さない低い評価のままとなる事態を回避できる。
ステップS6にて、図1に示す自動化判定部16は、テンプレート51へ入力された対象数および該当数のデータに基づいて、サプライチェーン40全体について、ITの活用による自動化進捗の到達レベルを判定する。自動化判定部16は、自動化の進捗の度合いを、自動化の進捗である第1の評価要素の到達レベルへと定量化する。ステップS6にて、図1に示す規模判定部17は、テンプレート51へ入力された対象数および該当数のデータに基づいて、サプライチェーン40全体において、管理にITが活用されている単位工程の集合の規模の到達レベルを判定する。規模判定部17は、ITが活用されている集合の規模を、規模である第2の評価要素の到達レベルへと定量化する。ステップS7にて、提示部14は、ステップS6における自動化進捗の到達レベルと規模の到達レベルとの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図6に示す動作を終了する。
次に、自動化判定部16による第1の評価要素の到達レベルの判定について説明する。図9は、図1に示すIT活用評価装置100が有する自動化判定部16による第1の評価要素の到達レベルの判定について説明する図である。自動化判定部16は、図8に示すテンプレート51に入力された情報を基に、管理機能ごとの第1の評価要素の到達レベルを判定する。図9には、サプライチェーン40内の各ラインのうち「ショップA」と「ショップB」との各ラインについて、図8に示す管理機能「FA」の項目のうち自動化レベルが「1」の項目と、当該項目の対象数および該当数とを示している。図9に示すデータでは、管理機能ごとに、図8に示す項目と同じ各項目に番号が付される。管理機能「FA」の各項目には、「A1」、「A2」・・・といった番号が付される。
自動化判定部16は、管理機能別、および項目に設定された自動化レベル別に、第1の評価要素の到達レベルを算出する。自動化判定部16は、次の式(1)により、自動化レベル「1」の項目についての第1の評価要素の到達レベルY1を算出する。なお、式(1)において、NF1は、管理機能別の項目のうち自動化レベルが「1」である項目の数とする。NA1は、当該自動化レベルが「1」である項目のうち、1以上の該当数を含む項目の数とする。
Y1=NA1/NF1 ・・・(1)
図9に示すデータにおいて、管理機能「FA」の項目のうち自動化レベル「1」の項目は、「No.A1」から「No.A5」までの5個であるとする。この場合、NF1=5である。かかる5個の項目のうち1以上の該当数を含む項目は「No.A1」から「No.A4」までの4個であるから、NA1=4である。したがって、式(1)により、Y1=4/5=0.8と算出される。
自動化判定部16は、次の式(2)から(4)により、自動化レベル「2」、「3」および「4」の項目についての各到達レベルY2,Y3,Y4を算出する。式(2)において、NF2は、管理機能別の項目のうち自動化レベルが「2」である項目の数とする。NA2は、当該自動化レベルが「2」である項目のうち、1以上の該当数を含む項目の数とする。式(3)において、NF3は、管理機能別の項目のうち自動化レベルが「3」である項目の数とする。NA3は、当該自動化レベルが「3」である項目のうち、1以上の該当数を含む項目の数とする。式(4)において、NF4は、管理機能別の項目のうち自動化レベルが「4」である項目の数とする。NA4は、当該自動化レベルが「4」である項目のうち、1以上の該当数を含む項目の数とする。
Y2=(NA2/NF2)+1 ・・・(2)
Y3=(NA3/NF3)+2 ・・・(3)
Y4=(NA4/NF4)+3 ・・・(4)
自動化判定部16は、管理機能「FA」以外の管理機能についても、管理機能「FA」の場合と同様に、項目に設定された自動化レベル別に、第1の評価要素の到達レベルを算出する。
次に、規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの判定について説明する。図10は、図1に示すIT活用評価装置100が有する規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの判定について説明する図である。規模判定部17は、図8に示すテンプレート51に入力された情報を基に、管理機能ごとの第2の評価要素の到達レベルを判定する。図10には、サプライチェーン40内の各ラインのうち「ショップA」、「ショップB」および「物流」の各ラインについて、図8に示す管理機能「FB」の項目のうち自動化レベルが「1」の項目と、当該項目の対象数および該当数とを示している。図10に示すデータでは、管理機能ごとに、図8に示す項目と同じ項目に番号が付される。管理機能「FB」の各項目には、「B1」、「B2」・・・といった番号が付される。
規模判定部17は、管理機能別、および項目に設定された自動化レベル別に、第2の評価要素の到達レベルを算出する。規模判定部17は、ラインごとのテンプレート51のデータを基に、項目ごとの到達レベルXB1、XB2・・・を算出する。規模判定部17は、項目ごとの到達レベルXB1、XB2・・・を平均することで、自動化レベル「1」の項目についての第2の評価要素の到達レベルX1を算出する。
図11および図12は、図1に示す規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの算出の手順を示すフローチャートである。ステップS11では、規模判定部17は、工場41の全ラインについてのテンプレート51を参照して、工場41の全ラインで該当数が0か否かを判定する。工場41の全ラインで該当数が0である場合(ステップS11,Yes)、規模判定部17は、ステップS13において、第2の評価要素の到達レベルX=0を算出する。
図10に示すデータにおいて、「No.B1」の項目では、「ショップA」と「ショップB」のラインを含む工場41内の全ラインで該当数が0であるとする。ステップS11の条件を満足するため、規模判定部17は、ステップS13において、「No.B1」の項目についての第2の評価要素の到達レベルX=XB1について、XB1=0を算出する。
工場41のラインに、該当数が0以外のラインが含まれる場合(ステップS11,No)、規模判定部17は、ステップS12において、該当数が対象数と同じであるラインが工場41にあるか否かを判定する。該当数が対象数と同じであるラインが工場41にない場合(ステップS12,No)、規模判定部17は、ステップS14において、工場41の1つのラインで該当数が1、かつその他のラインで該当数が0であるか否かを判定する。1つのラインで該当数が1であり、かつその他のラインで該当数が0である場合(ステップS14,Yes)、規模判定部17は、ステップS16において、到達レベルX=1を算出する。
図10に示すデータにおいて、「No.B2」の項目では、1つのラインLA1で該当数が1であり、かつその他のラインで該当数が0であるとする。ステップS12の条件を満足せず、かつステップS14の条件を満足することから、規模判定部17は、ステップS16において、「No.B2」の項目についての到達レベルX=XB2について、XB2=1を算出する。
1つのラインで該当数が1であり、かつその他のラインで該当数が0であるという条件を満足しない場合(ステップS14,No)、規模判定部17は、ステップS15において、1<X<2を満足するXを算出する。規模判定部17は、ステップS15において、次の式(5)により第2の評価要素の到達レベルXを算出する。なお、式(5)において、NBAは、工場41内の対象数の合計とする。NBLIは、工場41内のラインの数とする。NBBは、工場41内の該当数の合計とする。式(5)において、Xは、NBA−NBLI+1を底とするNBBの対数である。規模判定部17は、ステップS15において、次の式(5)以外の式により第2の評価要素の到達レベルXを算出しても良い。
X=log[NBA−NBLI+1]NBB ・・・(5)
図10に示すデータにおいて、「No.B3」と「No.B4」の項目は、ステップS12の条件もステップS14の条件も満足していないとする。規模判定部17は、ステップS15において、「No.B3」と「No.B4」の項目について、1<X<2を満足する到達レベルX=XB3および到達レベルX=XB4を算出する。
該当数が対象数と同じであるラインが工場41にある場合(ステップS12,Yes)、規模判定部17は、ステップS17において、該当数が対象数と同じであるラインが、工場41の各ショップにあるか否かを判定する。該当数が対象数と同じであるラインを含まないショップが工場41にある場合(ステップS17,No)、規模判定部17は、ステップS18にて、工場41の1つのラインを除いて全てのラインで該当数が0であるか否かを判断する。
1つのラインを除いて全てのラインで該当数が0である場合(ステップS18,Yes)、規模判定部17は、ステップS20において、到達レベルX=2を算出する。図10に示すデータにおいて、「No.B5」の項目では、ステップS17の条件を満足せず、かつステップS18の条件を満足する。規模判定部17は、ステップS20において、「No.B5」の項目の到達レベルX=XB5について、XB5=2を算出する。1つのラインを除いて全てのラインで該当数が0であるという条件を満足しない場合(ステップS18,No)、規模判定部17は、ステップS19において、2<X<Zを満足するXを算出する。Zは、2<Z<3を満足する任意の値とする。実施の形態1では、Z=2.6とする。
規模判定部17は、ステップS19において、次の式(6)により第2の評価要素の到達レベルXを算出する。なお、式(6)において、NBLIは、工場41内のラインの数とする。NBSIは、工場41内のショップの数とする。NBBLIは、工場41内のラインのうち該当数が対象数と同じであるラインの数とする。規模判定部17は、ステップS19において式(6)以外の式により第2の評価要素の到達レベルXを算出しても良い。
X=2+(Z−2)log[NBLI−NBSI+1]NBBLI ・・・(6)
図10に示すデータにおいて、「No.B6」と「No.B7」の項目は、ステップS17の条件もステップS18の条件も満足していないとする。規模判定部17は、ステップS19において、「No.B6」と「No.B7」の項目について、2<X<Zを満足する到達レベルX=XB6および到達レベルX=XB7を算出する。
該当数が対象数と同じであるラインが、工場41の各ショップにある場合(ステップS17,Yes)、規模判定部17は、ステップS21にて、工場41の全ラインで該当数が対象数と同じであるか否かを判定する。該当数が対象数と同じではないラインが工場41に含まれている場合(ステップS21,No)、規模判定部17は、ステップS22へ手順を進める。ステップS22では、規模判定部17は、該当数が対象数と同じである1つのラインが工場41の各ショップにあって、かつ工場41のその他のラインで該当数が0であるか否かを判定する。
ステップS22の条件を満足する場合(ステップS22,Yes)、規模判定部17は、ステップS24において、到達レベルX=Zを算出する。「No.B8」の項目では、ステップS21の条件を満足せず、かつステップS22の条件を満足する。規模判定部17は、ステップS24において、「No.B8」の項目の到達レベルX=XB8について、XB8=Zを算出する。「No.B8」の項目と、「No.B6」および「No.B7」の各項目とを比較すると、「No.B8」の項目では、「ショップB」での最初のライン「LB1」にてIT導入の対象とされる全ての単位工程でのIT導入が完了している。規模判定部17は、「No.B8」の項目については、ITの導入が完了しているラインが「ショップB」に存在している点で、「No.B6」および「No.B7」の項目よりもITの活用度が高いものと判断する。
ステップS22の条件を満足しない場合(ステップS22,No)、規模判定部17は、ステップS23において、Z<X<3を満足するXを算出する。規模判定部17は、ステップS22において、次の式(7)により第2の評価要素の到達レベルXを算出する。なお、式(7)において、NBLIは、工場41内のラインの数とする。NBSIは、工場41内のショップの数とする。NBBLIは、工場41内のラインのうち該当数が対象数と同じであるラインの数とする。規模判定部17は、式(7)以外の式により第2の評価要素の到達レベルXを算出しても良い。
X=Z+(3−Z)log[NBLI−NBSI+1]NBBLI ・・・(7)
図10に示すデータにおいて、「No.B9」の項目は、ステップS21の条件もステップS22の条件も満足していないとする。規模判定部17は、ステップS23において、「No.B9」の項目について、Z<X<3を満足する到達レベルX=XB9を算出する。
工場41の全ラインで該当数が対象数と同じである場合(ステップS21,Yes)、規模判定部17は、ステップS25にて、工場41の外部の全ショップで該当数が0であるか否かを判定する。工場41の外部の全ショップで該当数が0である場合(ステップS25,Yes)、規模判定部17は、ステップS27において、到達レベルX=3を算出する。「No.B10」の項目は、ステップS21の条件も、ステップS25の条件も満足する。規模判定部17は、ステップS27において、「No.B10」の項目の到達レベルX=XB10について、XB10=3を算出する。
工場41の外部のショップに該当数が0ではないショップが含まれている場合(ステップS25,No)、規模判定部17は、ステップS26において、工場41の外部の全ラインで該当数が対象数と同じであるか否かを判定する。工場41の外部の全ラインで該当数が対象数と同じである場合(ステップS26,Yes)、規模判定部17は、ステップS29において、到達レベルX=4を算出する。
「No.B12」の項目は、ステップS25の条件を満足せず、かつステップS26の条件を満足する。規模判定部17は、ステップS29において、「No.B12」の項目の到達レベルX=XB12について、XB12=4を算出する。
工場41の外部のラインに、該当数が対象数と同じではないラインが含まれる場合(ステップS26,No)、規模判定部17は、ステップS28において、3<X<4を満足するXを算出する。規模判定部17は、ステップS28において、次の式(8)により第2の評価要素の到達レベルXを算出する。なお、式(8)において、NBLOは、工場41外のラインの数とする。NBSOは、工場41外のショップの数とする。NBBLOは、工場41外のラインのうち該当数が対象数と同じであるラインの数とする。規模判定部17は、式(8)以外の式により第2の評価要素の到達レベルXを算出しても良い。
X=3+log[NBLO−NBSO+1]NBBLO ・・・(8)
図10に示すデータにおいて、「No.B11」の項目では、ステップS25の条件もステップS26の条件も満足していないとする。規模判定部17は、ステップS28において、「No.B11」の項目について、3<X<4を満足する到達レベルX=XB11を算出する。
規模判定部17は、次の式(9)により項目ごとの到達レベルXB1・・・XB12を平均して、自動化レベル「1」の項目についての第2の評価要素の到達レベルX1を算出する。但し、NNは、自動化レベル「1」の項目の数から、工場41内の全ラインにて該当数が0であった項目の数を差し引いた数とする。図10に示すデータでは、「No.B1」の項目は、工場41内の全ラインで該当数が0である項目に該当する。NNは、「No.B1」から「No.B12」までの項目の数である12から1を差し引いた11となる。
X1=(XB1+XB2+・・・XB12)/NN ・・・(9)
規模判定部17は、自動化レベル「1」の項目についての第2の評価要素の到達レベルX1と同様に、自動化レベル「2」、「3」および「4」の項目についての第2の評価要素の各到達レベルX2,X3,X4を算出する。さらに、規模判定部17は、管理機能「FB」以外の管理機能についても、管理機能「FB」の場合と同様に、項目に設定された自動化レベル別に、第2の評価要素の到達レベルを算出する。
図13は、図1に示す自動化判定部16による第1の評価要素の到達レベルの判定結果と規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの判定結果との例を示す第1の図である。図13に示すY1,Y2,Y3,Y4は、項目ごとに設定された自動化レベル「1」、「2」、「3」、「4」についての、自動化判定部16による第1の評価要素の到達レベルの算出結果を表す。X1,X2,X3,X4は、項目ごとに設定された自動化レベル「1」、「2」、「3」、「4」についての、規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの算出結果を表す。図13では、5つの管理機能「FA」、「FB」、「FC」、「FD」および「FE」についての第2の評価要素の到達レベルX1,X2,X3,X4の算出結果と第1の評価要素の到達レベルY1,Y2,Y3,Y4の算出結果とを示している。
図14は、図1に示す自動化判定部16による第1の評価要素の到達レベルの判定結果と規模判定部17による第2の評価要素の到達レベルの判定結果との例を示す第2の図である。自動化判定部16は、以下の式(10)により、管理機能ごとの第1の評価要素の到達レベルYを算出する。到達レベルYは、管理機能ごとにおける第1の評価要素の到達レベルY1,Y2,Y3,Y4の平均値である。これにより、自動化判定部16は、第1の評価要素の到達レベルについての4つの判定結果を1つに集約させる。
Y=Y1+(Y2−1)+(Y3−2)+(Y4−3) ・・・(10)
規模判定部17は、以下の式(11)により、管理機能ごとの第2の評価要素の到達レベルXを算出する。到達レベルXは、管理機能ごとにおける第2の評価要素の到達レベルX1,X2,X3,X4の平均値である。これにより、規模判定部17は、第2の評価要素の到達レベルについての4つの判定結果を1つに集約させる。図14では、5つの管理機能「FA」、「FB」、「FC」、「FD」および「FE」についての第2の評価要素の到達レベルXの算出結果と第1の評価要素の到達レベルYの算出結果とを示している。
X=(X1+X2+X3+X4)/4 ・・・(11)
図15は、図1に示すIT活用評価装置100が有する提示部14による第1の評価要素の到達レベルと第2の評価要素の到達レベルとの提示例を示す図である。図15に示す例において、提示部14は、第1の評価要素である自動化進捗の到達レベルを縦軸、第2の評価要素である規模の到達レベルを横軸とするマトリクスを表示する。
縦軸の到達レベル「1」、「2」、「3」および「4」は、第1の評価要素の到達レベルの基準である上記のレベル「1」、レベル「2」、レベル「3」およびレベル「4」をそれぞれ表している。横軸の到達レベル「A」、「B」、「C」および「D」は、第2の評価要素の到達レベルの基準である上記のレベル「1」、レベル「2」、レベル「3」およびレベル「4」をそれぞれ表している。
提示部14は、第1の評価要素の到達レベルの判定結果と第2の評価要素の到達レベルの判定結果とを示すポイントをマトリクスに表示する。図15に示す例では、提示部14は、当該ポイントの位置に星形のマークを表示する。これにより、IT活用評価装置100は、第1の評価要素と第2の評価要素との現状における到達レベルをユーザに分かり易く提示することができる。
図15に示す例では、図14に示す5つの管理機能についてのXおよびYの算出結果を1点に集約させて示している。図15に示すポイントは、5つの管理機能におけるXの平均値とYの平均値とを示している。提示部14は、管理機能ごとの判定結果を示すポイントを表示しても良い。また、提示部14は、グラフと併せて、図14に示す判定結果の数値を表示しても良い。提示部14は、複数の工場41での工程管理についての判定結果を提示に含めても良い。これにより、ユーザは、複数の工場41での工程管理におけるITの活用度を比較することができる。
IT活用評価装置100は、ITの活用による自動化の進捗の到達レベルと、ITが活用されている集合の規模の到達レベルとを判定する。IT活用評価装置100は、ITの活用による管理の自動化の進捗状況と、管理にITが使用されている範囲の拡がりとの評価を行うことができる。これにより、IT活用評価装置100は、ITの活用度の有用かつ定量的な評価が可能となる。
次に、目標レベル判定部18による目標レベルの判定について説明する。図1に示す目標レベル判定部18は、第1の到達レベルと第2の到達レベルとを用いて、目標に推奨する到達レベルである目標レベルを判定する。
図1に示すレベル履歴格納部21は、ユーザが使用するIT活用評価装置100である第1の装置において判定された到達レベルの履歴を示すレベル履歴データを格納する。以下の説明にて、IT活用評価装置100において過去に判定された第1の到達レベルと第2の到達レベルとの履歴を示すレベル履歴データを、「自己のレベル履歴データ」と称することがある。
レベル履歴格納部21は、自動化判定部16による判定結果と規模判定部17による判定結果とを蓄積することにより、自己のレベル履歴データを構築する。レベル履歴格納部21は、自己のレベル履歴データ以外に、当該ユーザ以外のユーザが使用するIT活用評価装置である第2の装置によって判定された第1の到達レベルと第2の到達レベルとの履歴を示すレベル履歴データを格納する。このように、レベル履歴格納部21は、第1の装置以外のIT活用評価装置である第2の装置において過去に判定された到達レベルの履歴を示すレベル履歴データを格納する。以下の説明にて、第2の装置において判定された第1の到達レベルと第2の到達レベルとの履歴を示すレベル履歴データを、「他装置のレベル履歴データ」と称することがある。目標レベル判定部18は、レベル履歴格納部21に格納された「他装置のレベル履歴データ」を基に、第1の装置であるIT活用評価装置100についての目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、「他装置のレベル履歴データ」に基づいて目標レベルを判定する以外に、「自己のレベル履歴データ」に基づいて目標レベルを判定しても良い。
図16は、図1に示すIT活用評価装置100である第1の装置と、第2の装置とを示す図である。第2の装置である複数のIT活用評価装置101は、通信ネットワーク110を介してIT活用評価装置100と接続されている。通信ネットワーク110は、広域ネットワークであるインターネットである。IT活用評価装置101は、IT活用評価プログラムがインストールされたコンピュータである。IT活用評価装置101は、IT活用評価装置100と同様の構成を有する。
各IT活用評価装置101では、IT活用評価装置100と同様にレベル履歴データが構築される。サーバ200は、IT活用評価装置100において構築されたレベル履歴データと、各IT活用評価装置101において構築されたレベル履歴データとを保持する。サーバ200は、通信ネットワーク110に接続されている。サーバ200は、保持するレベル履歴データを全てのIT活用評価装置100,101に提供する。図1に示す通信部12は、IT活用評価装置100にて構築された自己のレベル履歴データをサーバ200へ送信する。通信部12は、サーバ200から送信された他装置のレベル履歴データを受信する。
サーバ200は、各IT活用評価装置100,101において構築されたレベル履歴データを保持することによって、各IT活用評価装置100,101のレベル履歴データを管理する。この他、IT活用評価装置100,101の各々が、構築されたレベル履歴データを保持しても良い。各IT活用評価装置100,101のレベル履歴データは、サーバ200によって管理される以外に、IT活用評価装置100,101の各々に分散されて管理されても良い。
図17は、図1に示すIT活用評価装置100が有するレベル履歴格納部21に格納されるレベル履歴データの内容を説明する図である。図17には、自己のレベル履歴データの内容を示している。レベル履歴データには、IT活用評価装置100に与えられたIDが含まれる。項目「ID」における「1001」は、IT活用評価装置100のIDを表す。IDは、IT活用評価装置100と他のIT活用評価装置101との識別に使用される。
項目「到達レベル履歴」には、自己のレベル履歴データが時系列の順に格納される。自動化判定部16は、第1の評価要素の到達レベルが算出されると、算出された到達レベルの値を整数に変換する。規模判定部17は、第2の評価要素の到達レベルが算出されると、算出された到達レベルの値を整数に変換する。自動化判定部16と規模判定部17とは、算出された到達レベルの値のうち小数点以下の位を切り上げることによって、到達レベルの値を整数に変換する。自動化判定部16と規模判定部17とは、小数点以下の位の切り捨て、小数点以下の位の四捨五入、またはその他の手法によって、到達レベルの値を整数に変換しても良い。
自動化判定部16は、第1の到達レベルを、「1」、「2」、「3」および「4」のいずれかに変換する。規模判定部17は、第2の到達レベルを、「1」、「2」、「3」および「4」のいずれかに変換する。規模判定部17は、変換により得られた整数「1」、「2」、「3」および「4」を、さらにアルファベット「A」、「B」、「C」および「D」にそれぞれ変換する。自動化判定部16および規模判定部17による変換によって得られる整数には「0」が含まれても良い。
レベル履歴格納部21は、第1の到達レベルを表す整数と、第2の到達レベルを表すアルファベットとの組み合わせを格納する。このように、レベル履歴格納部21は、第1の到達レベルの判定結果を示す値である整数と、第2の到達レベルの判定結果を示す値であるアルファベットとの組み合わせを蓄積することにより、自己のレベル履歴データを構築する。
項目「到達レベル履歴」における「1A」は、第1の到達レベルの判定結果を示す「1」と第2の到達レベルの判定結果を示す「A」との組み合わせを表す。「1A」の次の「2A」は、第1の到達レベルの判定結果を示す「2」と第2の到達レベルの判定結果を示す「A」との組み合わせである。「2A」は、「1A」の次に得られた判定結果の組み合わせである。「2B」は、「2A」の次に得られた判定結果の組み合わせである。
各IT活用評価装置101も、IT活用評価装置100でのレベル履歴データの構築と同様にして、第1の到達レベルの判定結果と第2の到達レベルの判定結果との組み合わせを含むレベル履歴データを構築する。
図18は、図1に示すIT活用評価装置100による目標レベルの判定および提示のための動作の手順を示すフローチャートである。ステップS31において、目標レベル判定部18は、第1の評価要素の到達レベルである第1の到達レベルを示す値と第2の評価要素の到達レベルである第2の到達レベルを示す値との組み合わせのうち最新の記録である組み合わせを、レベル履歴格納部21から読み出す。このように、目標レベル判定部18は、ステップS31において、自己のレベル履歴データのうち最新の到達レベルの判定結果を参照する。
ステップS31において、目標レベル判定部18は、参照された判定結果である値の組み合わせと同じ組み合わせを含むレベル履歴データを、他装置のレベル履歴データの集合から抽出する。最新の組み合わせが「2B」であった場合、目標レベル判定部18は、他装置のレベル履歴データの集合から、「2B」の組み合わせを含む全てのレベル履歴データを抽出する。
ステップS32において、目標レベル判定部18は、ステップS31において抽出されたレベル履歴データの各々から、ステップS31において参照された組み合わせと同じ組み合わせの次に記録された値の組み合わせを抽出する。ステップS31にて参照された組み合わせが「2B」であった場合、目標レベル判定部18は、抽出されたレベル履歴データの各々から、「2B」の組み合わせの次に記録された組み合わせを抽出する。
抽出されたレベル履歴データのうち、あるIT活用評価装置101のレベル履歴データに「1A」、「2A」、「2B」、「3B」、「3C」および「4C」の各組み合わせの時系列が含まれていた場合、目標レベル判定部18は、当該レベル履歴データからは「2B」の次に記録された「3B」を抽出する。このようにして、目標レベル判定部18は、抽出されたレベル履歴データから、過去に判定された第1の到達レベルの遷移と過去に判定された第2の到達レベルの遷移とを参照する。
ステップS32において、目標レベル判定部18は、ステップS31にて参照された組み合わせと同じ組み合わせがレベル履歴データにおける最新の組み合わせであった場合に、かかる最新の組み合わせを抽出しても良い。IT活用評価装置101のレベル履歴データにおいて「2B」が最新の組み合わせであった場合、目標レベル判定部18は、当該レベル履歴データからは「2B」の組み合わせを抽出しても良い。
ステップS33において、目標レベル判定部18は、ステップS32において抽出された組み合わせの数を値別に集計する。図19は、図1に示すIT活用評価装置100が有する目標レベル判定部18によって抽出された組み合わせの数の集計結果の第1の例を示す図である。図19には、第1の到達レベルを示す値と第2の到達レベルを示す値との組み合わせと、値別に集計された組み合わせの数とを示している。例を挙げると、「3B」の横の欄に示された「450」の値は、ステップS32において各レベル履歴データから抽出された「3B」の組み合わせの数を表している。
各組み合わせの数は、他装置のレベル履歴データの集合において「2B」の組み合わせの次に記録された組み合わせの頻度である度数を表す。図19に示す集計結果によると、「2B」の組み合わせの次に記録された組み合わせの中で最も度数が高い組み合わせは、集計結果における最大値である「500」の組み合わせが抽出された「2C」であることが分かる。また、「2C」に次いで度数が高い組み合わせは、「450」の組み合わせが抽出された「3B」であることが分かる。
なお、図19に示す例によると、「2B」よりも第1の到達レベルと第2の到達レベルとの双方が低下する「1A」と、「2B」よりも第1の到達レベルが低下する「1B」、「1C」および「1D」と、「2B」よりも第2の到達レベルが低下する「2A」、「3A」および「4A」との各組み合わせが、「2B」の組み合わせの次に存在することがある。例を挙げると、サプライチェーン40に新規のラインが追加された場合において、新規のラインがIT未導入であるために、第1の到達レベルと第2の到達レベルとの少なくとも一方が低くなることがあり得る。
ステップS32において、目標レベル判定部18は、ステップS31にて参照された組み合わせと同じ組み合わせがレベル履歴データにおける最新の組み合わせであった場合に、組み合わせの抽出を行わなくても良い。図20は、図1に示す目標レベル判定部18によって抽出された組み合わせの数の集計結果の第2の例を示す図である。図20には、当該最新の組み合わせの抽出を行わなかった場合における集計結果の例を示している。IT活用評価装置101のレベル履歴データにおいて「2B」が最新の組み合わせであった場合に、当該レベル履歴データからの組み合わせの抽出が行われないため、「2B」の横の欄は空欄とされる。
ステップS32において、目標レベル判定部18は、集計された組み合わせの数を正規化しても良い。図21は、図1に示す目標レベル判定部18によって抽出された組み合わせの数の集計結果の第3の例を示す図である。図21には、抽出された組み合わせの数を、10を最大値として正規化した場合における集計結果の例を示している。目標レベル判定部18は、値別に集計された組み合わせの数を、組み合わせの数によって示される度数にしたがって1から10の整数に置き換える。
ステップS34において、目標レベル判定部18は、ステップS33における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。実施の形態1では、目標レベル判定部18は、度数が最大であった組み合わせを、目標レベルと判定する。図19、図20および図21に示す集計結果が得られた場合に、目標レベル判定部18は、度数が最も高かった組み合わせである「2C」を、現状の到達レベルである「2B」の次に目指すべき目標レベルと判定する。目標レベル判定部18は、ステップS33での集計結果を基にステップS34での目標レベルの判定を行うことで、複数のユーザから集められた他装置のレベル履歴データの集合を用いた統計処理によって目標レベルを判定する。このようにして、目標レベル判定部18は、抽出されたレベル履歴データから、過去に判定された第1の到達レベルの遷移と過去に判定された第2の到達レベルの遷移とを参照することによって、目標レベルを判定する。
ステップS35において、提示部14は、ステップS34における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図18に示す動作を終了する。なお、ステップS31における第1の到達レベルと第2の到達レベルとは、現在の到達レベルである場合のみならず、レベル履歴データに記録されている過去の到達レベルであっても良い。実施の形態1において「現状」とは、現在の状況のみならず過去の状況が含まれる場合があるものとする。
図22は、図1に示す提示部14による目標レベルの提示の第1の例を示す図である。図22に示す例において、提示部14は、第1の評価要素である自動化進捗の到達レベルを縦軸、第2の評価要素である規模の到達レベルを横軸とするマトリクスを表示する。提示部14は、各組み合わせを表すマスを二次元方向へ配列して、各組み合わせを表示する。提示部14は、第1の評価要素の現状の到達レベルである第1の到達レベルと第2の評価要素の現状の到達レベルである第2の到達レベルとを示すポイントをマトリクスに表示する。
提示部14は、現状における到達レベルを表すマスから目標レベルを表すマスを指す矢印によって表すことにより、目標レベルを提示する。図22に示す例では、提示部14は、「2B」のマスから「2C」のマスを指す矢印によって、目標レベルが「2C」であることを表す。これにより、IT活用評価装置100は、第1の評価要素と第2の評価要素との現状から目指すべき目標レベルをユーザに分かり易く提示することができる。
上記のステップS34において、目標レベル判定部18は、複数の目標レベルを判定しても良い。目標レベル判定部18は、度数が最も高かった組み合わせと、当該組み合わせに次いで度数が高かった組み合わせとの2つを目標レベルとする判定を行っても良い。目標レベル判定部18は、最も推奨されると判定された第1の目標レベルである「2C」と、第1の目標レベルに次いで推奨されると判定された第2の目標レベルである「3B」とを判定する。図22には、第1の目標レベルと第2の目標レベルとが判定された場合における目標レベルの提示の例を示している。
図22に示す例では、提示部14は、「2B」のマスから「3B」のマスを指す矢印を、「2B」のマスから「2C」のマスを指す矢印よりも短くすることで、第1の目標レベルである「2C」と第2の目標レベルである「3B」とを提示する。これにより、提示部14は、第1の評価要素と第2の評価要素との現状から目指すべき第1候補である第1の目標レベルと第2候補である第2の目標レベルとをユーザに分かり易く提示することができる。
図22に示す例では、提示部14は、組み合わせを示す各マスを色分けして表示する。提示部14は、度数が高かった組み合わせを示すマスほど目立たせるように各マスを色分けすることにより、目標レベルを目立たせる。これにより、提示部14は、目標レベルをユーザに分かり易く提示することができる。
図22に示す例では、提示部14は、組み合わせを示す各マスに、正規化された集計結果を表す値を付加している。これにより、提示部14は、目標レベルと併せて、集計結果を分かり易く提示することができる。提示部14は、正規化された集計結果に代えて、正規化されていない集計結果の値を付加しても良い。この場合も、提示部14は、目標レベルと併せて、集計結果を分かり易く提示することができる。
図23は、図1に示す提示部14による目標レベルの提示の第2の例を示す図である。図23に示す例において、提示部14は、各組み合わせを表すマスを一次元方向へ配列して、各組み合わせを表示する。提示部14は、度数が最も高かった組み合わせを示すマスを最上に配置して、その他の組み合わせを示すマスを度数が降順となるようにして配置する。提示部14は、現状における第1の評価要素および第2の評価要素の到達レベルを示すポイントを、当該到達レベルの組み合わせを示すマスの横に表示する。これにより、提示部14は、目標レベルをユーザに分かり易く提示することができる。提示部14は、第1の評価要素と第2の評価要素との現状から目指すべきとされる目標レベルの推奨順を、ユーザに分かり易く提示することができる。
図23に示す例においても、提示部14は、図22に示す例と同様に、組み合わせを示す各マスを色分けして表示する。これにより、提示部14は、目標レベルをユーザに分かり易く提示することができる。図23に示す例においても、提示部14は、図22に示す例と同様に、組み合わせを示す各マスに、正規化された集計結果を表す値を付加している。これにより、提示部14は、目標レベルと併せて、集計結果を分かり易く提示することができる。提示部14は、正規化された集計結果に代えて、正規化されていない集計結果の値を付加しても良い。
実施の形態1によると、IT活用評価装置100は、第1の到達レベルと第2の到達レベルとを用いて目標に推奨する到達レベルである目標レベルを判定する目標レベル判定部18を有する。目標レベル判定部18は、第1の到達レベルと第2の到達レベルとの最新の判定結果を示す値の組み合わせと同じ組み合わせがレベル履歴データに記録されているIT活用評価装置101について、当該同じ組み合わせの次に記録された到達レベルのうち最も度数が高い到達レベルを、目標レベルと判定する。ユーザは、目標レベル判定部18による他装置のレベル履歴データの統計処理の結果から、複数のユーザにおけるITの導入の傾向に基づくITの導入計画を立案することができる。これにより、IT活用評価装置100は、ITの活用についての現状を基に将来の目標とするレベルに関する指針を得ることができるという効果を奏する。
図24は、実施の形態1の変形例1にかかるIT活用評価装置100が有するデータ格納部20を示すブロック図である。変形例1において、データ格納部20は、レベル履歴格納部21とプロファイル格納部22とを有する。プロファイル格納部22は、第1の装置であるIT活用評価装置100のプロファイルを示す第1のプロファイルデータと、第2の装置であるIT活用評価装置101のプロファイルを示す第2のプロファイルデータとを格納する。プロファイルは、ユーザの属性を定義可能とする情報とする。
目標レベル判定部18は、第1のプロファイルデータの内容と共通する内容を含む第2のプロファイルデータとの対応付けを有するレベル履歴データを、レベル履歴格納部21に格納されたレベル履歴データの集合から抽出する。目標レベル判定部18は、抽出されたレベル履歴データのうち現状の到達レベルの組み合わせと同じ値の組み合わせを含むレベル履歴データを基に目標レベルを判定する。以下の説明にて、第1のプロファイルデータを「自己のプロファイルデータ」、第2のプロファイルデータを「他装置のプロファイルデータ」と称することがある。
図25は、図24に示すデータ格納部20が有するプロファイル格納部22に格納されるプロファイルデータの内容を説明する図である。図25には、自己のプロファイルデータの内容を示している。プロファイルデータには、IT活用評価装置100に与えられたIDが含まれる。項目「ID」における「1001」は、IT活用評価装置100のIDを表す。
プロファイルデータには、サプライチェーン40が属する業種の内容と、サプライチェーン40の管理におけるユーザの役割の内容と、生産性の改善においてユーザが所望する方向性の内容とが含まれる。項目「業種」における「自動車」は、サプライチェーン40が属する業種が自動車の生産業であることを表す。項目「役割」における「保全者」は、サプライチェーン40の管理におけるユーザが、サプライチェーン40の保全者であることを表す。項目「改善の方向性」における「品質重視」は、生産性の改善において品質の重視をユーザが所望していることを表す。プロファイルデータの「業種」、「役割」および「改善の方向性」の各内容は、ユーザによって入力される。IT活用評価装置101は、IT活用評価装置100と同様に、プロファイルデータを保持する。プロファイルデータの項目には、「業種」、「役割」および「改善の方向性」の各項目以外に、ユーザの属性を定義可能な項目が含まれても良い。
図16に示すサーバ200は、IT活用評価装置100のプロファイルデータと各IT活用評価装置101のプロファイルデータとを保持する。サーバ200は、保持するプロファイルデータを全てのIT活用評価装置100,101に提供する。図1に示す通信部12は、自己のプロファイルデータをサーバ200へ送信する。通信部12は、サーバ200から送信された他装置のプロファイルデータを受信する。
図26は、実施の形態1の変形例1にかかるIT活用評価装置100による目標レベルの判定および提示のための動作の手順を示すフローチャートである。ステップS41において、目標レベル判定部18は、プロファイル格納部22に格納されているプロファイルデータを参照し、他装置のプロファイルデータの集合から、自己のプロファイルデータと共通の内容を含むプロファイルデータを抽出する。
目標レベル判定部18は、プロファイルデータにおける項目の1つに着目して、当該項目に共通する内容が含まれるプロファイルデータを抽出する。例を挙げると、目標レベル判定部18は、「業種」の項目に着目して、「自動車」を含む他装置のプロファイルデータを抽出する。目標レベル判定部18は、2以上の項目に共通する内容が含まれるプロファイルデータを抽出しても良い。目標レベル判定部18は、自己のプロファイルデータに含まれる内容と関連性が高いと判断された内容を含む他装置のプロファイルデータを抽出しても良い。目標レベル判定部18は、同じ内容を含むプロファイルデータのみならず、関連性が高いと判断された内容を含むプロファイルデータを抽出しても良い。関連性が高いか否かの判断基準は、ユーザによって設定されても良い。
ステップS42において、目標レベル判定部18は、ステップS41において抽出されたプロファイルデータとの対応付けを有するレベル履歴データを、他装置のレベル履歴データの集合から抽出する。対応付けを有するレベル履歴データとは、プロファイルデータに含まれるIDと同じIDが付与されているレベル履歴データとする。
ステップS43において、目標レベル判定部18は、自己のレベル履歴データのうち最新の到達レベルの判定結果を参照する。目標レベル判定部18は、参照された判定結果である値の組み合わせと同じ組み合わせを含むレベル履歴データを、ステップS42にて抽出されたレベル履歴データの中から抽出する。ステップS44において、目標レベル判定部18は、ステップS43において抽出されたレベル履歴データの各々から、ステップS43において参照された組み合わせと同じ組み合わせの次に記録された値の組み合わせを抽出する。
ステップS45において、目標レベル判定部18は、ステップS44において抽出された組み合わせの数を値別に集計する。ステップS46において、目標レベル判定部18は、ステップS45における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。ステップS47において、提示部14は、ステップS46における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図26に示す動作を終了する。
実施の形態1の変形例1によると、IT活用評価装置100は、自己のプロファイルデータの内容と共通の内容を含むプロファイルデータに対応付けられたレベル履歴データを、目標レベル判定部18によって抽出する。ユーザは、自己と共通する属性を持つ他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して、ITの導入計画を立案することができる。
図27は、実施の形態1の変形例2にかかるIT活用評価装置100が有するデータ格納部20を示すブロック図である。変形例2において、データ格納部20は、レベル履歴格納部21と操作履歴格納部23とを有する。操作履歴格納部23は、第1の装置であるIT活用評価装置100による操作の履歴を示す第1の操作履歴データと、第2の装置であるIT活用評価装置101による操作の履歴を示す第2の操作履歴データとを格納する。
変形例2では、操作履歴データには、IT活用評価プログラムであるアプリケーションの起動および終了の履歴を示すデータと、アプリケーションの機能によって表示される特定の画面の閲覧の履歴を示すデータとが含まれる。
目標レベル判定部18は、第1の操作履歴データの内容と共通する内容を含む第2の操作履歴データとの対応付けを有するレベル履歴データを、レベル履歴格納部21に格納されたレベル履歴データの集合から抽出する。目標レベル判定部18は、抽出されたレベル履歴データのうち現状の到達レベルの組み合わせと同じ値の組み合わせを含むレベル履歴データを基に目標レベルを判定する。以下の説明にて、第1の操作履歴データを「自己の操作履歴データ」、第2の操作履歴データを「他装置の操作履歴データ」と称することがある。
図28は、図27に示すデータ格納部20が有する操作履歴格納部23に格納される操作履歴データの内容を説明する図である。図28には、自己の操作履歴データの内容を示している。操作履歴データには、IT活用評価装置100に与えられたIDが含まれる。項目「ID」における「1001」は、IT活用評価装置100のIDを表す。
項目「操作履歴」における「01/10 08:00 アプリケーション起動」は、1月10日の8時0分にアプリケーションが起動されたことを表す。項目「操作履歴」における「01/10 08:10 ページA(タグa、タグb)閲覧」は、1月10日の8時10分に、特定の画面であるページAのうちタグaによって指定される画面とタグbによって指定される画面とが閲覧されたことを表す。IT活用評価装置101は、IT活用評価装置100と同様に、操作履歴データを保持する。操作履歴データには、アプリケーションの起動および終了と特定の画面の閲覧と以外に、アプリケーションの機能によるその他の操作についての履歴を示すデータが含まれても良い。
図16に示すサーバ200は、IT活用評価装置100の操作履歴データと各IT活用評価装置101の操作履歴データとを保持する。サーバ200は、保持する操作履歴データを全てのIT活用評価装置100,101に提供する。図1に示す通信部12は、自己の操作履歴データをサーバ200へ送信する。通信部12は、サーバ200から送信された他装置の操作履歴データを受信する。
図29は、実施の形態1の変形例2にかかるIT活用評価装置100による目標レベルの判定および提示のための動作の手順を示すフローチャートである。ステップS51において、目標レベル判定部18は、操作履歴格納部23に格納されている操作履歴データを参照し、他装置の操作履歴データの集合から、自己の操作履歴データと共通の内容を含む操作履歴データを抽出する。
目標レベル判定部18は、操作履歴データに記録されている操作の1つに着目して、自己の操作履歴データにおける当該操作と共通の操作が記録されている他装置の操作履歴データを抽出する。目標レベル判定部18は、自己の操作履歴データにおける当該操作の日時から一定の期間内に当該操作と同じ操作が行われたことが記録されている他装置の操作履歴データを抽出しても良い。例を挙げると、目標レベル判定部18は、アプリケーションの起動に着目して、自己の操作履歴データにおけるアプリケーションの起動から1週間以内におけるアプリケーションの起動が行われたことが記録されている他装置の操作履歴データを抽出する。目標レベル判定部18は、ページAのうちタグaによって指定される画面とタグbによって指定される画面との閲覧に着目して、「ページA(タグa、タグb)閲覧」の文字列を含む他装置の操作履歴データを抽出しても良い。目標レベル判定部18は、2以上の共通する操作の記録が含まれるプロファイルデータを抽出しても良い。着目する操作は、ユーザによって設定されても良い。
ステップS52において、目標レベル判定部18は、ステップS51において抽出された操作履歴データとの対応付けを有するレベル履歴データを、他装置のレベル履歴データの集合から抽出する。対応付けを有するレベル履歴データとは、操作履歴データに含まれるIDと同じIDが付与されているレベル履歴データとする。
アプリケーションの起動によって表示される画面には、第1の評価要素および第2の評価要素の到達レベルを特定の到達レベルへ到達させた事例と、特定の到達レベルへの到達のために導入されたIT製品の情報とが表示される。ユーザは、所望する到達レベルへの到達のためのITの導入計画を立案する際に、これらの情報を表示させる操作を行う。自己の操作履歴データにおけるアプリケーションの起動の記録から一定期間内におけるアプリケーションの起動の記録が他装置の操作履歴データに含まれている場合、第2の装置のユーザである他のユーザも、第1の装置のユーザと同様に到達レベルの向上を意図していると推測できる。また、特定の到達レベルへの到達に関する画面を表示させる共通の操作が自己の操作履歴データと他装置の操作履歴データとに記録されている場合、他のユーザも当該特定の到達レベルと同じ到達レベルへの到達を意図していたと推測できる。目標レベル判定部18は、自己の操作履歴データと共通の操作が記録されている他装置の操作履歴データを収集する。これにより、目標レベル判定部18は、他のユーザが目指した到達レベルの情報を有しなくても、IT活用評価装置100のユーザと同様に到達レベルの向上を意図した経歴を有する他のユーザによって行われたIT導入の傾向を知ることができる。
ステップS53において、目標レベル判定部18は、自己のレベル履歴データのうち最新の到達レベルの判定結果を参照する。目標レベル判定部は、参照された判定結果である値の組み合わせと同じ組み合わせを含むレベル履歴データを、ステップS52にて抽出されたレベル履歴データの中から抽出する。ステップS54において、目標レベル判定部18は、ステップS53において抽出されたレベル履歴データの各々から、ステップS53において参照された組み合わせと同じ組み合わせの次に記録された値の組み合わせを抽出する。
ステップS55において、目標レベル判定部18は、ステップS54において抽出された組み合わせの数を値別に集計する。ステップS56において、目標レベル判定部18は、ステップS55における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。ステップS57において、提示部14は、ステップS56における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図29に示す動作を終了する。
実施の形態1の変形例2によると、IT活用評価装置100は、自己の操作履歴データの内容と共通の内容を含む操作履歴データに対応付けられたレベル履歴データを、目標レベル判定部18によって抽出する。ユーザは、自己と共通する操作を行った他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して、ITの導入計画を立案することができる。
図30は、実施の形態1の変形例3にかかるIT活用評価装置100による目標レベルの判定および提示のための動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態1の変形例3にかかるIT活用評価装置100のデータ格納部20は、変形例1と同様に、プロファイル格納部22を有する。実施の形態1の変形例3では、目標レベル判定部18は、自己のプロファイルデータと共通する内容が含まれる他装置のプロファイルデータを持つIT活用評価装置101について、上記の集計結果に加重のための値を加算する。
図30に示すステップS31からステップS33の手順は、図18に示すステップS31からステップS33の手順と同じである。ステップS61において、目標レベル判定部18は、自己のプロファイルデータと共通する内容を含むプロファイルデータとの対応付けを有するレベル履歴データから抽出された組み合わせについて、加重のための値を集計結果に加算する。対応付けを有するレベル履歴データとは、プロファイルデータに含まれるIDと同じIDが付与されているレベル履歴データとする。
例を挙げると、目標レベル判定部18は、自己のプロファイルデータと共通する内容を含むプロファイルデータとの対応付けを有するレベル履歴データから抽出された組み合わせについてのカウントを2倍にするための値を集計結果に加算する。目標レベル判定部18は、当該組み合わせについてのカウントを2倍より大きくするための値を集計結果に加算しても良い。目標レベル判定部18は、共通する内容の項目の数が多いほど当該組み合わせについてのカウントの倍率が大きくなるような値を集計結果に加算しても良い。
ステップS62において、目標レベル判定部18は、ステップS33およびステップS61における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。ステップS63において、提示部14は、ステップS62における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図30に示す動作を終了する。
実施の形態1の変形例3によると、IT活用評価装置100は、自己のプロファイルデータと共通の内容を含むプロファイルデータに対応付けられたレベル履歴データから抽出された組み合わせについて、加重のための値を集計結果に加算する。IT活用評価装置100は、ユーザと共通する属性を持つ他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して判定された目標レベルを提示することができる。ユーザは、共通する属性を持つ他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して、ITの導入計画を立案することができる。
変形例3において、IT活用評価装置100は、自己の操作履歴データと共通の内容を含む操作履歴データに対応付けられたレベル履歴データから抽出された組み合わせについて、加重のための値を集計結果に加算しても良い。IT活用評価装置100は、共通する操作を行った他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して判定された目標レベルを提示することができる。ユーザは、自己と共通する共通する操作を行った他のユーザの過去におけるITの導入の傾向を重視して、ITの導入計画を立案することができる。
実施の形態2.
図31は、本発明の実施の形態2にかかるIT活用評価システム300の機能構成を示すブロック図である。IT活用評価システム300では、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100と同様の機能が、IT活用評価システム300を構成するクライアント102とサーバ201とに分離されている。実施の形態2では、実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
クライアント102とサーバ201とは、図16と同様の通信ネットワーク110を介して接続されている。実施の形態2では、通信ネットワーク110の図示を省略している。
クライアント102は、実施の形態1と同様のIT活用評価方法のうちの一部を実行するためのプログラムがインストールされたコンピュータである。サーバ201は、実施の形態1と同様のIT活用評価方法のうちの他の一部を実行するためのプログラムがインストールされたコンピュータである。図31に示すクライアント102の各機能部とサーバ201の各機能部とは、ハードウェアであるコンピュータでの当該プログラムの実行により実現される。
制御部10は、クライアント102全体を制御する機能部である。制御部10は、テンプレート作成部15を有する。記憶部11は、テンプレート格納部19と、各種データを格納する機能部であるデータ格納部60とを有する。データ格納部60は、自己のレベル履歴データを格納する。自己のレベル履歴データは、クライアント102についてサーバ201にて判定された到達レベルの履歴を示すレベル履歴データとする。通信部12は、クライアント102の外部の装置との通信を行う機能部である。クライアント102は、実施の形態1にかかるIT活用評価装置100と同様に、入力部13と提示部14とを備える。
サーバ201は、サーバ201全体を制御する機能部である制御部70と、情報を記憶する機能部である記憶部71と、サーバ201の外部の装置との通信を行う機能部である通信部72とを有する。制御部70は、自動化判定部16と、規模判定部17と、目標レベル判定部18とを有する。記憶部71は、各種データを格納する機能部であるデータ格納部73を有する。データ格納部73は、他装置のレベル履歴データを格納する。他装置のレベル履歴データは、クライアント102以外のクライアントについてサーバ201にて判定された到達レベルの履歴を示すレベル履歴データとする。
クライアント102は、ユーザの工場41に設置されている。実施の形態2において、ユーザとは、IT活用度の評価をサーバ201へ依頼する者とする。なお、クライアント102は、工場41以外の場所に設置されても良い。
通信部12は、図8に示すテンプレート51へ入力された対象数および該当数のデータをサーバ201へ送信する。通信部72は、クライアント102からのデータを受信する。自動化判定部16は、自動化の進捗である第1の評価要素の到達レベルを判定する。規模判定部17は、ITが活用されている集合の規模である第2の評価要素の到達レベルを判定する。通信部72は、自動化判定部16による判定結果と規模判定部17による判定結果とを、クライアント102へ送信する。クライアント102の通信部12は、サーバ201からの判定結果を受信する。データ格納部60は、受信された判定結果を蓄積することにより、自己のレベル履歴データを構築する。通信部12は、構築された自己のレベル履歴データを、サーバ201へ送信する。データ格納部73は、受信されたレベル履歴データを格納する。
自動化判定部16は、クライアント102のみならずクライアント102以外のクライアントについても、第1の評価要素の到達レベルを判定する。サーバ201の規模判定部17は、クライアント102のみならず、クライアント102以外のクライアントについても、第2の評価要素の到達レベルを判定する。サーバ201のデータ格納部73は、クライアント102以外のクライアントについての判定結果を蓄積することにより、他装置のレベル履歴データを構築する。
目標レベル判定部18は、データ格納部73に格納された他装置のレベル履歴データを基に、クライアント102についての目標レベルを判定する。通信部72は、目標レベル判定部18による目標レベルの判定結果をクライアント102へ送信する。提示部14は、受信された目標レベルの判定結果を提示する。
データ格納部73は、実施の形態1の変形例1のデータ格納部20と同様に、他装置のプロファイルデータを格納しても良い。目標レベル判定部18は、自己のプロファイルデータの内容と共通する内容を含む他装置のプロファイルデータとの対応付けを有するレベル履歴データを、データ格納部73に格納されたレベル履歴データの集合から抽出する。
データ格納部73は、実施の形態1の変形例2のデータ格納部20と同様に、他装置の操作履歴データを格納しても良い。目標レベル判定部18は、自己の操作履歴データの内容と共通する内容を含む他装置の操作履歴データとの対応付けを有するレベル履歴データを、データ格納部73に格納されたレベル履歴データの集合から抽出する。
目標レベル判定部18は、実施の形態1の変形例3と同様に、自己のプロファイルデータと共通する内容がプロファイルデータに含まれるクライアントについて、集計結果に加重のための値を加算しても良い。目標レベル判定部18は、自己の操作履歴データと共通する内容が操作履歴データに含まれるクライアントについて、集計結果に加重のための値を加算しても良い。
クライアント102は、スマートフォンまたはタブレット端末といった携帯端末であっても良い。携帯端末には、図31に示すクライアント102が有する各機能部を実現するためのアプリケーションがインストールされる。入力部13の機能と提示部14の機能とは、携帯端末が有するタッチパネルを使用して実現される。IT導入の対象数とIT導入の該当数とは、ユーザによる携帯端末への手動入力によって、テンプレートへ入力される。携帯端末は、入力された情報をサーバ201へ送信する。サーバ201は、第1の到達レベルと第2の到達レベルとの判定結果と目標レベルの判定結果とを携帯端末へ送信する。携帯端末は、受信した判定結果を提示する。
実施の形態2によると、IT活用評価システム300は、第1の評価要素と第2の評価要素とについて、現状の到達レベルから目標に推奨する到達レベルである目標レベルを判定する目標レベル判定部18を有する。現状の到達レベルの組み合わせと同じ組み合わせがレベル履歴データに記録されているクライアント102について、当該同じ組み合わせの次に記録された到達レベルのうち最も度数が高い到達レベルを目標レベルとすることで、ユーザは、過去におけるITの導入の傾向を参考に、ITの導入計画を立案することができる。これにより、IT活用評価システム300は、ITの活用についての現状を基に将来の目標とするレベルに関する指針を得ることができるという効果を奏する。
実施の形態3.
図32は、本発明の実施の形態3にかかるIT活用評価装置100による動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態3にかかるIT活用評価装置100において、目標レベル判定部18は、最新の判定結果の組み合わせと同じ値の組み合わせを含む他装置のレベル履歴データから、当該同じ値の組み合わせの次に記録された値の組み合わせである第1の組み合わせと、第1の組み合わせよりも後に記録された値の組み合わせである第2の組み合わせとを抽出する。実施の形態3では、実施の形態1および2と同一の部分には同一の符号を付し、実施の形態1および2とは異なる構成について主に説明する。
図32に示すステップS31は、図18に示すステップS31と同じである。ステップS71において、目標レベル判定部18は、ステップS31において抽出されたレベル履歴データの各々から、ステップS31において参照された組み合わせと同じ組み合わせの次に記録された第1の組み合わせと、第1の組み合わせの次に記録された第2の組み合わせとを抽出する。最新の到達レベルの判定結果である組み合わせが「2B」であって、あるIT活用評価装置101のレベル履歴データに「1A」、「2A」、「2B」、「3B」、「3C」および「4C」の各組み合わせの時系列が含まれていた場合、目標レベル判定部18は、当該レベル履歴データからは「2B」の次に記録された第1の組み合わせである「3B」と、「3B」の次に記録された第2の組み合わせである「3C」とを抽出する。
ステップS72において、目標レベル判定部18は、ステップS71にて抽出された第1の組み合わせの数と、ステップS71にて抽出された第2の組み合わせの数との各々を、値別に集計する。ステップS73では、目標レベル判定部18は、ステップS72における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第1の組み合わせの数の集計結果を基に、現状の到達レベルの次に目指すべき目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第2の組み合わせの数の集計結果を基に、当該目標レベルの次に目指すべき目標レベルを判定する。ステップS74において、提示部14は、ステップS73における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図32に示す動作を終了する。
実施の形態3によると、IT活用評価装置100は、現状の到達レベルからの目標に推奨する到達レベルである目標レベルと、当該目標レベルからの目標に推奨する到達レベルである目標レベルとを得ることができる。
図33は、実施の形態3の変形例1にかかるIT活用評価装置100による動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態3の変形例1では、目標レベル判定部18は、到達レベルの組み合わせを選択する。
図33に示すステップS31は、図18に示すステップS31と同じである。ステップS81において、目標レベル判定部18は、ステップS31において抽出されたレベル履歴データの各々から、ステップS31において参照された組み合わせと同じ組み合わせの次に記録された第1の組み合わせを抽出する。例を挙げると、最新の到達レベルの判定結果である組み合わせが「2B」であって、あるIT活用評価装置101のレベル履歴データに「1A」、「2A」、「2B」、「2C」、「3B」、「3C」および「3D」の各組み合わせの時系列が含まれていた場合、目標レベル判定部18は、当該レベル履歴データからは「2B」の次に記録された第1の組み合わせである「2C」を抽出する。
ステップS82において、目標レベル判定部18は、到達レベルの組み合わせを選択する。目標レベル判定部18は、ユーザによる手入力にしたがって、到達レベルの組み合わせを選択する。ユーザは、ステップS82にて選択される組み合わせとして、任意の組み合わせを指定することができる。
ステップS83において、目標レベル判定部18は、ステップS31にて抽出されたレベル履歴データの中から、第1の組み合わせの次に記録された値の組み合わせが、ステップS82にて選択された組み合わせと同じであるレベル履歴データを抽出する。ステップS82にて選択された組み合わせが「3B」であった場合に、目標レベル判定部18は、上記の「1A」、「2A」、「2B」、「2C」、「3B」、「3C」および「3D」の各組み合わせのように、第1の組み合わせである「2C」の次に「3B」が含まれるレベル履歴データを抽出する。
ステップS84において、目標レベル判定部18は、ステップS83にて抽出されたレベル履歴データの各々から、当該選択された組み合わせと同じ組み合わせの次に記憶された組み合わせである第2の組み合わせを抽出する。目標レベル判定部18は、「1A」、「2A」、「2B」、「3B」、「3C」および「3D」の各組み合わせからは、ステップS82にて選択された組み合わせである「3B」の次に記録された第2の組み合わせである「3C」を抽出する。
ステップS85において、目標レベル判定部18は、ステップS81にて抽出された第1の組み合わせの数と、ステップS84にて抽出された第2の組み合わせの数との各々を、値別に集計する。ステップS86では、目標レベル判定部18は、ステップS85における集計の結果を基に、目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第1の組み合わせの数の集計結果を基に、現状の到達レベルの次に目指すべき目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第2の組み合わせの数の集計結果を基に、当該目標レベルの次の選択された組み合わせの次に目指すべき目標レベルを判定する。ステップS87において、提示部14は、ステップS86における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図33に示す動作を終了する。
実施の形態3の変形例1によると、IT活用評価装置100は、現状の到達レベルからの目標に推奨する到達レベルである目標レベルと、当該目標レベルの次の選択された組み合わせからの目標に推奨する到達レベルである目標レベルとを提示することができる。
図34は、実施の形態3の変形例2にかかるIT活用評価装置100による動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態3の変形例2では、目標レベル判定部18は、度数が最大である第1の組み合わせを含むレベル履歴データの各々から、第2の組み合わせを抽出する。
図34に示すステップS31は、図18に示すステップS31と同じである。図34に示すステップS81は、図33に示すステップS81と同じである。ステップS91において、目標レベル判定部18は、ステップS81において抽出された第1の組み合わせの数を値別に集計する。
ステップS92において、目標レベル判定部18は、ステップS31において抽出されたレベル履歴データの中から、度数が最大である第1の組み合わせを含むレベル履歴データを抽出する。例を挙げると、最新の到達レベルの判定結果である組み合わせが「2B」であって、あるIT活用評価装置101のレベル履歴データに「1A」、「2A」、「2B」、「2C」、「3B」、「3C」および「3D」の各組み合わせの時系列が含まれていた場合、目標レベル判定部18は、ステップS81において、第1の組み合わせである「2C」を抽出する。度数が最大である第1の組み合わせが「2C」であった場合、目標レベル判定部18は、当該時系列を含むレベル履歴データを抽出する。
ステップS93において、目標レベル判定部18は、ステップS92にて抽出されたレベル履歴データの各々から、第1の組み合わせの次に記録された第2の組み合わせを抽出する。目標レベル判定部18は、上記の「1A」、「2A」、「2B」、「2C」、「3B」、「3C」および「3D」の各組み合わせからは、第1の組み合わせである「2C」の次に記録された第2の組み合わせである「3B」を抽出する。ステップS94において、目標レベル判定部18は、ステップS93において抽出された第2の組み合わせの数を値別に集計する。
ステップS95において、目標レベル判定部18は、ステップS91における集計の結果と、ステップS94における集計の結果とを基に、目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第1の組み合わせの数の集計結果を基に、現状の到達レベルの次に目指すべき目標レベルを判定する。目標レベル判定部18は、第2の組み合わせの数の集計結果を基に、当該目標レベルの次に目指すべき目標レベルを判定する。ステップS96において、提示部14は、ステップS95における目標レベルの判定結果を提示する。これにより、IT活用評価装置100は、図34に示す動作を終了する。
図35は、実施の形態3にかかるIT活用評価装置100が有する提示部14による目標レベルの提示の例を示す図である。提示部14は、現状の到達レベルの次に目指すべき目標レベルを、現状における到達レベルを表すマスから目標レベルを表すマスを指す矢印によって表す。提示部14は、当該目標レベルを表すマスからの矢印によって、現状における到達レベルの次の目標レベルのさらに次に目指すべき目標レベルを表す。これにより、提示部14は、現状における到達レベルから推奨される到達レベルの推移を、ユーザに分かり易く提示することができる。
実施の形態3によると、IT活用評価装置100は、レベル履歴データから第1の組み合わせと第2の組み合わせとを抽出することで、現状における到達レベルの次の目標レベルと、当該目標レベルのさらに次の目標レベルとを判定可能とする。IT活用評価装置100は、現状における到達レベルから推奨される到達レベルの推移を得ることができる。これにより、IT活用評価装置100は、ITの活用についての現状を基に将来の目標とするレベルに関する指針を得ることができるという効果を奏する。実施の形態2のサーバ201の目標レベル判定部18は、実施の形態3の目標レベル判定部18と同様に、現状における到達レベルの次の目標レベルと、当該目標レベルのさらに次の目標レベルとを判定しても良い。
実施の形態4.
図36は、本発明の実施の形態4にかかるIT活用評価装置100が有する提示部14によって提示される情報の例を示す図である。実施の形態4において、提示部14は、第1の評価要素および第2の評価要素の到達レベルを目標レベルに到達させるための示唆となる情報を提示する。実施の形態4では、実施の形態1から3と同一の部分には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。
図22に示すように目標レベルを提示する画面において到達レベルを指定する操作があった場合に、提示部14は、指定された到達レベルについての情報を提示する。図36には、到達レベル「3C」についての定義、実現事例および製品の各情報が提示されている例を示している。
実施の形態4によると、IT活用評価装置100は、第1の評価要素および第2の評価要素の到達レベルを目標レベルに到達させるための示唆となる情報を提示する。ユーザは、提示された情報を参考に、ITの導入計画を立案することができる。これにより、IT活用評価装置100は、ITの導入において参考にし得る情報を提示することができるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。