JP6606894B2 - エポキシ樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、微細な固体硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物を製造する方法に関する。
固体硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物を、例えば接着剤等のために使用する場合、該接着剤を狭い間隙でも使用できるようにするため、微細な硬化剤をエポキシ樹脂中に良好に分散させることが必要である。
微細な硬化剤を調製する方法としては、乾式粉砕および湿式粉砕が挙げられる。しかし、乾式粉砕では、平均粒子径が1μm未満である固体硬化剤を得ることは困難である。これに対して、湿式粉砕では、平均粒子径が1μm未満である固体硬化剤を調製することができる(例えば、特許文献1)。
特開2005−222037号公報
固体硬化剤の湿式粉砕のための分散媒として有機溶剤を使用すると、固体硬化剤が有機溶剤に溶解して増粘し、湿式粉砕できないことがあった。また、湿式粉砕後に得られた硬化剤分散液から有機溶剤を除去して硬化剤粉末を調製すると、微細な硬化剤は凝集しやすいため、これをエポキシ樹脂に良好に分散させることは困難であった。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、微細な固体硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明者が鋭意検討を重ねた結果、固体硬化剤の湿式粉砕を、分散剤を含む有機溶剤中で行い、得られた硬化剤分散液をエポキシ樹脂と混合することによって、微細な固体硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 分散剤を含む有機溶剤中で固体硬化剤を湿式粉砕し、硬化剤分散液を得る工程、および
得られた硬化剤分散液をエポキシ樹脂と混合し、エポキシ樹脂組成物を得る工程
を含む、エポキシ樹脂組成物の製造方法。
[2] ビーズミルによって湿式粉砕を行う前記[1]に記載の製造方法。
[3] 湿式粉砕によって得られた硬化剤分散液中の固体硬化剤のZ平均粒子径が10〜1,000nmである前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 得られたエポキシ樹脂組成物から有機溶剤の一部または全部を除去する工程をさらに含む前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5] 有機溶剤の除去を減圧下で行う前記[4]に記載の製造方法。
[6] 得られたエポキシ樹脂組成物に機械的せん断をかけて混練する工程をさらに含む前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7] 固体硬化剤が、潜在性硬化剤である前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8] 潜在性硬化剤が、アミン系潜在性硬化剤、ウレア化合物、ジシアンジアミドおよびヒドラジド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[7]に記載の製造方法。
[9] 潜在性硬化剤が、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤およびイミダゾール−アダクト潜在性硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[7]または[8]に記載の製造方法。
[10] 有機溶剤が、炭化水素系溶剤およびエステル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]〜[9]のいずれか一つに記載の製造方法。
[11] 分散剤が、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤およびウレタン系分散剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12] 分散剤が、(i)1分子あたり2〜1,800個の第1級および/または第2級アミノ基を有するポリアミンと(ii)ポリエステルとの反応により生成したポリエステル変性ポリアミンである前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の製造方法。
[13] 得られたエポキシ樹脂組成物に、エポキシ樹脂を混合する工程をさらに含む前記[1]〜[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14] 前記[1]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法によって得られたエポキシ樹脂組成物。
[15] 固体硬化剤が分散しているエポキシ樹脂組成物であって、マイクロスライドグラスに厚さ16μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマイクロスライドグラスの周囲から4mmの幅でスペーサーとして挟み込み、マイクロスライドグラスの中心部に前記エポキシ樹脂組成物を10mg置き、その上にカバーグラスを被せた後、100gの分銅を置いて試料を作製し、前記試料を光学顕微鏡により40倍の倍率で観察した際の90μm×90μmの視野に存在する長径5μm以上の固形物の個数が50以下であるエポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、微細な固体硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物を得ることができる。本発明によって得られた、固体硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物を、さらなる別のエポキシ樹脂の硬化剤として使用することができる。
本発明の製造方法の一態様を示すフロー図である。
1.硬化剤分散液の製造
(1)固体硬化剤
本発明で使用する固体硬化剤とは、大気圧下の25℃の条件で固体状である硬化剤を意味する。固体硬化剤に特に限定は無く、エポキシ樹脂組成物の分野で公知のものを使用することができる。固体硬化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
固体硬化剤は、好ましくは潜在性硬化剤である。ここで、潜在性硬化剤とは、大気圧下の25℃の条件で固体であり、加熱によりエポキシ樹脂と反応する硬化剤を意味する。潜在性硬化剤としては、エポキシ樹脂組成物の分野で公知のものを使用することができる。潜在性固体硬化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
潜在性硬化剤としては、アミン系潜在性硬化剤(例えば、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤、イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤)、ウレア化合物、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物等が挙げられる。これらはいずれも1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、アミン系潜在性硬化剤、ウレア化合物、ジシアンジアミドが好ましく、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤、イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤、ウレア化合物、ジシアンジアミドがより好ましく、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤、イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤がさらに好ましい。
本発明で使用し得るアミン系潜在性硬化剤は、3級アミノ基を含有する化合物またはイミダゾール構造を有する化合物とエポキシ化合物とを反応して得られる化合物である。さらにそれらのアミン系潜在性硬化剤の粒子をイソシアネート化合物や酸性化合物等で表面処理してもよい。
3級アミノ基を含有する化合物としては、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−β−ヒドロキシエチルホルモリン、2−ジメチルアミノエタンチオール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジメチル−N’−フェニルウレア、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、N,N−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等が好適に挙げられる。
本発明で使用し得る3級アミン−アダクト潜在性硬化剤の製造原料として用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノールと、またはグリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル;4,4’−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン化合物;さらには、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン等の多官能性エポキシ化合物;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の単官能性エポキシ化合物等が好適に挙げられる。ただし、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
3級アミン−アダクト潜在性硬化剤を製造する際に、第3成分として、分子内に活性水素を2個以上有する活性水素化合物を添加することができる。前記活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂等の多価フェノール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸等の多価カルボン酸類、1,2−ジメルカプトエタン、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−3−フェノキシ−2−プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等が好適に挙げられる。
また、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤は、さらに表面を処理されていてもよく、該表面処理には、イソシアネート化合物、酸性化合物を用いるのがより好ましい。前記表面処理剤として用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;前記多官能イソシアネート化合物と、活性水素化合物との反応によって得られる、末端イソシアネート基含有化合物;等が好適に挙げられる。前記末端イソシアネート基含有化合物としては、トルイレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加反応物、トルイレンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加反応物等が好適に挙げられる。
前記表面処理剤として用いられる酸性化合物としては、気体、液体の無機酸または有機酸が好適に挙げられる。前記酸性化合物としては、例えば、炭酸ガス、亜硫酸ガス、硫酸、塩酸、しゅう酸、リン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、アジピン酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、セバシン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ほう酸、タンニン酸、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、フェノール、ピロガロール、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂等が好適に挙げられる。
3級アミン−アダクト潜在性硬化剤は、前記3級アミノ基を含有する化合物とエポキシ化合物と、必要に応じて活性水素化合物との各成分を混合し、室温(25℃)から200℃の温度範囲において反応させた後、固化、粉砕する方法や、前記各成分を混合したものを、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させ、脱溶媒後、固形分を粉砕する方法等により、容易に調製することができる。更に、前記反応物の表面処理は、メチルエチルケトン、トルエン等の溶媒中、若しくは無溶媒で、前記のイソシアネート化合物や酸性化合物と接触させることによって行うことができる。
イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤は、上記3級アミン−アダクト潜在性硬化剤の「3級アミノ基を含有する化合物」の代わりに、「イミダゾール化合物」を使用したものである。
イミダゾール化合物は、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイ
ミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、1
−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(
2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロ
キシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒド
ロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ
−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン等が挙げられる。
固形硬化剤は適宜商業的に入手可能である。アミン系潜在性硬化剤としては、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤(例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアMY−24、アミキュアMY−25、アミキュアMY−H、アミキュアMY−24J、アミキュアMY−HK−1;株式会社ADEKA製のEH4380S、EH3616S、EH5001P、EH4357S、EH3615S等)、ジシアンジアミド変性ポリアミン(例えば、株式会社ADEKA製のEH3842等)、イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤(例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアPN−23、アミキュアPN−23J、アミキュアPN−31、アミキュアPN−31J、アミキュアPN−40、アミキュアPN−40J、アミキュアPN−50、アミキュアPN−H、株式会社ADEKA製のアデカハードナーEH3293S、アデカハードナーEH3366S、アデカハードナーEH4346S、エアープロダクツジャパン株式会社製のサンマイドLH210等)、尿素結合含有変性ポリアミン(例えば、株式会社T&K TOKA製のフジキュアーFXE1000、フジキュアーFXR1110、フジキュアーFXR1121、フジキュアーFXR1081等)、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン(例えば、株式会社ADEKA製のEH4353S)、尿素結合およびイミダゾール基含有変性ポリアミン(例えば、株式会社T&K TOKA製のFXR1110、FXR1121)、イミダゾール化合物(例えば、四国化成工業株式会社製キュアゾール2MZ−A、キュアゾール2MA−OK、キュアゾール2PHZ、キュアゾール2P4MHZ等)等が挙げられる。
ウレア化合物としては、芳香族ジメチルウレア(例えば、サンアプロ株式会社製のU−CAT3512T、Evonik製DYHARD UR200、UR300、UR500)、脂肪族ジメチルウレア(例えば、サンアプロ株式会社製のU−CAT3513N)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等のウレア類等が挙げられる。
ヒドラジド化合物としては、例えば、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、ナフタレン−2,6−ジカルボヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド等が挙げられる。また、ヒドラジド化合物の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアVDH、アミキュアUDH等が挙げられる。
固体硬化剤を充分に粉砕するために、固体硬化剤の使用量は、有機溶剤100重量部に対して、好ましくは1〜90重量部、より好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。
(2)分散剤
本発明は、有機溶剤(分散媒)中の固体分散剤の湿式粉砕の際に、分散液の増粘等を防止するために、分散剤を使用することを特徴とする。分散剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。分散剤としては、例えば、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤およびウレタン系分散剤等が挙げられる。これらはいずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、ポリエステル系分散剤が好ましい。
ポリエステル系分散剤としては、(i)1分子あたり2〜1800個(好ましくは5〜1000個、より好ましくは10〜350個)の第1級および/または第2級アミノ基を有するポリアミンと(ii)ポリエステルとの反応により生成したポリエステル変性ポリアミンが好ましい。ここでポリアミンは、アミノ基が少なくとも二つ以上結合した脂肪族炭化水素の総称であり、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン等の直鎖ポリアミンや、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン等の環状ポリアミン、ポリ(低級アルキレンイミン)(但し、前記低級アルキレンは2〜4個の炭素原子を有する)、ポリアリルアミン等が挙げられる。なかでも(ポリ低級アルキレンイミン)およびポリアリルアミンが好ましい。
好ましくは、ポリアミンは、下記式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリエチレンイミンおよび、式(2)で表される繰り返し単位を含有するポリアリルアミンから選ばれる。
ポリエステルは特に限定されないが、遊離カルボキシ基を有する、下記式(3)または(4)で表されるポリエステルの1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
(式中、Rは炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐のアルキレン基を表し、aは2〜100の整数を表す。)
(式中Rは、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、フェニレン基または−CH=CH−を表し、Rは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、またはポリアルキレングリコールから2つの水酸基を除いた基を表し、bは2〜100の整数を表す。但し、前記直鎖状または分岐のアルキレン基の鎖中にエーテル結合を有していてもよい。)
ポリエステル変性ポリアミンを生成させるためのポリエステルの使用量は、ポリアミン1重量部に対して、好ましくは2〜50重量部、より好ましくは5〜30重量部である。
ポリエステル系分散剤の市販品としては、例えば、日本ルブリゾ−ル社製のソルスパース11200、12000、13240、13940、17000、18000、20000、24000、26000、28000等、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB817、アジスパーPB822、アジスパーPB821、アジスパーPB880、アジスパーPB882、アジスパーPB881等が挙げられる。また、ポリエステル系分散剤は、市販の材料を使用して合成したものを使用してもよい。
アクリル系分散剤としては、ビックケミー(BYK)社製のDisperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324等が挙げられる。
ウレタン系分散剤としては、ビックケミー(BYK)社製のDisperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182;ルーブリゾール社製のソルスパース76500;等が挙げられる。
硬化剤分散液の増粘を防止し、固体硬化剤を充分に粉砕するために、分散剤の使用量は、固体硬化剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。
(3)有機溶剤
本発明では、固体硬化剤の湿式粉砕のための分散媒として、有機溶剤を使用する。有機溶剤としては、分散剤を使用することによって得られる分散液が増粘せずに固体硬化剤を湿式粉砕することができ、且つ湿式粉砕後に混合するエポキシ樹脂に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定無く使用することができる。有機溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
得られる硬化剤分散液とエポキシ樹脂とを良好に混合するため、および必要に応じて行われる有機溶剤の除去を容易にするため、有機溶剤は、炭化水素系溶剤およびエステル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。炭化水素系溶剤およびエステル系溶剤は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;脂環式炭化水素が挙げられる。これらの中で、脂肪族炭化水素が好ましく、シクロヘキサンがより好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸アルキルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの中で、酢酸アルキルエステルが好ましく、酢酸ブチルがより好ましい。
(4)湿式粉砕
湿式粉砕に使用する機器としては、例えば、ビーズミル、アトライタ等の公知の機器を使用することができる。中でも、ビーズミルを使用することが好ましい。
固体硬化剤を充分微細に粉砕できる限り、ビーズミルの使用条件に特に限定は無い。ビーズの材質としては、例えばジルコニア、アルミナ、ガラス、スチール等が挙げられる。ビーズ径は、例えば0.1〜5mm程度である。ビーズミルの回転軸の回転数は、例えば10〜10000rpm程度である。固体分散液をビーズミルの粉砕室に供給する流量は、例えば0.1〜10,000kg/時間程度である。ビーズミルによる湿式粉砕では、固体分散液の温度上昇を抑えるために、チラー水で冷却しながら行うことが好ましい。チラー水温度は、例えば0〜40℃程度である。
所望の固体硬化剤の所望の平均粒子径が得られるまで、ビーズミルによる粉砕を繰り返してもよい。湿式粉砕によって得られた硬化剤分散液中の固体硬化剤のZ平均粒子径は、好ましくは10〜1,000nm、より好ましくは50〜900nm、さらに好ましくは100〜800nmである。このZ平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤に粒子を超音波などにより均一に分散させ、粒度分布測定装置(例えばマルバーンインスツルメント社製「ゼータサイザーナノZSP」、大塚電子(株)製「FPAR−1000」等)を用いて、粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径をZ平均粒子径とすることで測定することができる。
2.エポキシ樹脂組成物の製造
(1)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明では、エポキシ樹脂に加え、エポキシ樹脂組成物の分野で使用されているその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、硬化促進剤、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填材、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤、難燃剤等を挙げることができる。これらは、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(2)硬化剤分散液とエポキシ樹脂との混合
硬化剤分散液と、エポキシ樹脂との混合方法に特に限定はなく、公知の機器を使用して行えばよい。
混合によって得られるエポキシ樹脂組成物中の固体硬化剤量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜1,000重量部、より好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは10〜60重量部となるように、硬化剤分散液の使用量を調整することが望ましい。
(3)有機溶剤の除去
上記混合によって得られた有機溶剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、そのまま樹脂ワニスとして使用することができる。また、必要に応じて、有機溶剤の一部または全部を得られたエポキシ樹脂組成物から除去してもよい。
有機溶剤の除去は、エポキシ樹脂と固体硬化剤との反応を防止するために、高温加熱を回避することができる減圧下で行うことが好ましい。有機溶剤除去の際の圧力は、好ましくは0.01〜1000hPaであり、より好ましくは0.01〜500hPaである。有機溶剤除去の際の温度は、好ましくは1〜300℃であり、より好ましくは5〜100℃である。
(4)混練
エポキシ樹脂組成物中の固体硬化剤をより一層良好に分散させるために、上述の方法で得られたエポキシ樹脂組成物(特に、一部または全部の溶剤を除去したエポキシ樹脂組成物)を混練することが好ましい。混練機としてはせん断をかけて行う混練装置、例えば、ロールミル(例えば、3本ロールミル)、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等が挙げられる。これらの中で、粒子の分散能力の高さから、ロールミルが好ましい。エポキシ樹脂と固体硬化剤との反応を防止するために、混練温度は、好ましくは1〜100℃であり、より好ましくは3〜80℃である。
(5)エポキシ樹脂との混合
上述の方法で得られたエポキシ樹脂組成物に、さらにエポキシ樹脂を混合してもよい。このような態様としては、例えば、上述の方法で固体硬化剤の含有量が高いエポキシ樹脂組成物をマスターバッチとして製造し、該マスターバッチとエポキシ樹脂とを混合する態様が挙げられる。この態様で使用するエポキシ樹脂、マスターバッチとエポキシ樹脂との混合、およびその後の混練の説明は、上述したものと同じである。
3.本発明の製造方法の一態様を示すフロー図
本発明の製造方法の一態様を示すフロー図を、図1に記載する。図1に記載するようにして得られたエポキシ樹脂組成物に、さらにエポキシ樹脂を混合してもよい。
4.エポキシ樹脂組成物
本発明は、上述の製造方法によって得られたエポキシ樹脂組成物を提供する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、微細な固体硬化剤が良好に分散しており、狭い間隙にも含浸させることができるため、例えば、接着剤や炭素繊維等との複合材料を製造するために有用である。
本発明のエポキシ樹脂組成物(即ち、固体硬化剤が分散しているエポキシ樹脂組成物)としては、マイクロスライドグラスに厚さ16μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマイクロスライドグラスの周囲から4mmの幅でスペーサーとして挟み込み、マイクロスライドグラスの中心部に前記エポキシ樹脂組成物を10mg置き、その上にカバーグラスを被せた後、100gの分銅を置いて試料を作製し、前記試料を光学顕微鏡により40倍の倍率で観察した際の90μm×90μmの視野に存在する長径5μm以上の固形物の個数が50以下であるエポキシ樹脂組成物が好ましい。
上記のように作製および観察される試料中の長径5μm以上の固形物の個数は、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは0である。
また、上記のように作製および観察される試料中の長径2μm以上の固形物の個数は、好ましくは150以下、より好ましくは120以下、より一層好ましくは100以下、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは60以下である。
以下、合成例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の合成例等によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下に記載の「%」および「部」は、特段の記載が無い限り、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
[合成例等で使用した材料]
キシレン(純正化学株式会社製、純正一級)
12−ヒドロキシステアリン酸(純正化学株式会社製)
テトラブチルチタネート(東京化成工業株式会社製)
グリコール酸(純正化学株式会社製、特級)
ε−カプロラクトン(純正化学株式会社製、特級)
ポリアリルアミン「PAA−01」(ニットーボーメディカル株式会社製、ポリアリルアミン15%水溶液、平均分子量1,600、1分子あたりの第1級および/または第2級アミノ基の数:約53)
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂「JER828EL」(三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq)
潜在性硬化剤「アミキュアMY−24J」(味の素ファインテクノ株式会社製、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤)
潜在性硬化剤「アミキュアMY−24」(味の素ファインテクノ株式会社製、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤)
潜在性硬化剤「アミキュアPN−23」(味の素ファインテクノ株式会社製、イミダゾール−アダクト潜在性硬化剤)
潜在性硬化剤「U−CAT3512T」(サンアプロ株式会社製、芳香族ジメチルウレア化合物)
潜在性硬化剤:ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製ジシアンジアミドをジェットミルによって3μmに粉砕したもの)
炭化水素系溶剤「IPソルベント1016」(出光興産株式会社製、合成イソパラフィン系炭化水素、C6−9イソパラフィン)
炭化水素系溶剤:シクロヘキサン(純正化学株式会社製、純正一級)
エステル系溶剤:酢酸ブチル(純正化学株式会社製、純正一級)
ポリエステル系分散剤「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ株式会社製)
合成例1:ポリエステル系分散剤(「SB003」と称する)の合成
(1)ポリエステルPE−1の合成
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管、水分離器および減圧口を備えた反応フラスコ中に、12−ヒドロキシステアリン酸300.5部、テトラブチルチタネート1.5部を仕込み、窒素気流下、200℃まで4時間かけて昇温した。混合物を、さらに200℃で5時間加熱し、加熱反応中に生じた水を留去し、次いで混合物を室温まで冷却して、反応物(「ポリエステルPE−1」と称する)を得た。ポリエステルPE−1の酸価は47.4mgKOH/g、酸価から計算した分子量は1,180であった。
(2)ポリエステルPE−2の合成 温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管、水分離器および減圧口を備えた反応フラスコ中に、グリコール酸20部、ε−カプロラクトン210部、テトラブチルチタネート1.0部を仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応後、さらに180℃で5時間加熱した。次いで室温まで冷却して、反応物(「ポリエステルPE−2」と称する)を得た。ポリエステルPE−2の酸価は65.5mgKOH/g、酸価から計算した分子量は860であった。
(3)ポリエステル系分散剤SB003の合成
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管および水分離器、減圧口を備えた反応フラスコ内に、キシレン150部、ポリアリルアミン「PAA−01」(133.3部)と、上記(1)で得たポリエステルPE−1(140部)と、上記(2)で得たポリエステルPE−2(191.7部)とを100℃で混合し、キシレンと、反応で発生した水を留去しながら、混合物を160℃で5時間加熱して、反応を行った後、室温まで冷却して、ポリエステル系分散剤SB003を得た。ゲル浸透クロマトグラフ法(装置:Shodex GPC-101、カラム:Shodex LF-G + Shodex KF800RH、昭和電工株式会社製)によって測定したポリエステル系分散剤SB003の重量平均分子量は19,800であった。
調製例1〜7:硬化剤分散液の調製
(1)硬化剤分散液の調製
表1に示す量にて、有機溶剤に分散剤を溶解させた後、そこに硬化剤を添加し、超音波分散機を使用して5分間予備分散を行って、予備分散液を調製した。ビーズミル(ビューラー社製「K8ミル」)の粉砕室に、得られた予備分散液を充填し、さらにジルコニアビーズを粉砕室の有効体積の約60体積%となるように充填し、チラー水で冷却しながら、表1に示す撹拌動力となるように回転軸の回転数を調整しながら、表1に示した条件にて、硬化剤のZ平均粒子径が1μmより小さくなるまで、分散液を粉砕室に繰り返しパスして粉砕を行い、調製例1〜3の硬化剤分散液を得た。
分散剤を使用せずに、表1に示す種類および量の有機溶剤および硬化剤を使用し、調製例1〜3と同様にして、調製例4〜7の予備分散液を調製した。しかし、調製例4〜7の予備分散液は増粘したため、ビーズミルによる湿式粉砕を行うことができなかった。
(2)分散液中の硬化剤のZ平均粒子径の測定
調製例1〜3の硬化剤分散液中の硬化剤のZ平均粒子径を、粒度分布測定装置(マルバーンインスツルメント社製「ゼータサイザーナノZSP」)を用いて測定した。測定のための分散媒溶液として、分散液と同じ有機溶剤および分散剤を使用した。結果を表1に示す。
実施例1〜3:エポキシ樹脂組成物の製造
調製例1〜3の硬化剤分散液と、エポキシ樹脂とを、表2に示す量でプラスチック容器に秤り取り、これらを自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製「AR−250あわとり錬太郎」)を用いて室温にて1分間撹拌した。得られたエポキシ樹脂組成物を500mLのナスフラスコに移し替え、ウォーターバスで40〜80℃に加熱しながらロータリーエバポレーターを用いて残留溶剤量が5%以下となるまで脱溶剤を行い、脱溶剤したエポキシ樹脂組成物を3本ロールミルに3回パスして混練して(混練温度25℃)、実施例1〜3のエポキシ樹脂組成物を得た。なお、実施例1のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するアミキュアMY−24Jの量が10部となるように、実施例2のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するU−CAT3512Tの量が10部となるように、実施例3のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するジシアンジアミドの量が30部となるように、成分量を調整した。
実施例4〜6:エポキシ樹脂組成物の製造
実施例1〜3のエポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂とを、表3に示す量でプラスチック容器に秤り取り、これらを真空式自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製「ARV−310あわとり錬太郎」)を用いて室温にて2分間撹拌し、次いで3本ロールミルを3回パスして混練して(混練温度25℃)、実施例4〜6のエポキシ樹脂組成物を得た。なお、実施例4のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するジシアンジアミドの量が10部となるように、実施例5のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するアミキュアMY−24Jの量が5部であり、且つジシアンジアミドの量が8部となるように、実施例6のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100部に対するU−CAT3512Tの量が5部であり、且つジシアンジアミドの量が8部となるように、成分量を調整した。
比較例1〜10:エポキシ樹脂組成物の製造
(1)エポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤分散液を使用せずに、硬化剤とエポキシ樹脂とを直接混合して、エポキシ樹脂組成物を製造した。詳しくは、エポキシ樹脂、硬化剤および分散剤を、表4に示す量でプラスチック容器に秤り取り、これらを真空式自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製「ARV−310あわとり錬太郎」)を用いて室温にて2分間撹拌し、次いで3本ロールミルを3回パスして混練して(混練温度25℃)、エポキシ樹脂組成物を得た。
(2)比較例で使用した硬化剤の平均粒子径の測定
比較例で使用した硬化剤の平均粒子径(体積基準)を、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製SALD−2200)を用いて測定した。分散媒溶液として、アミキュアの測定ではポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリレート溶液を、U−CAT3512Tおよびジシアンジアミドの測定ではポリエステル系分散剤SB003のシクロヘキサン溶液を用いた。表4の各硬化剤の名称の下に、測定した平均粒子径の結果を記載する。
[エポキシ樹脂組成物の特性評価]
(1)エポキシ樹脂組成物中の粒子数の測定
マイクロスライドグラス(松浪硝子工業株式会社製「S7213」)に厚さ16μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを、マイクロスライドグラスの周囲から4mmの幅でスペーサーとして挟み込み、マイクロスライドグラスの中心部に、スパチュラで表5に示すエポキシ樹脂組成物を10mg置き、その上にカバーグラスを被せた後、100gの分銅を置き該組成物をマイクロスライドグラスとカバーグラスの隙間に広げた。カバーグラスの上から観察対象範囲の上部に行き渡るように水滴を被せ、微分干渉顕微鏡(オリンパス株式会社製「BX51WI」、共焦点ユニット:FluoView300、対物レンズ:LUMPlanFL−N−40XW、40倍水浸対物レンズ使用、光源(488nm):MellesGriot社製アルゴンレーザー)を用いて、視野が90×90μmとなるように写真撮影した。得られた写真を二次元画像解析ソフトウエア(三谷商事株式会社製、WinROOF Ver7.0)を用いて、エポキシ樹脂組成物中に存在する粒子の長径を測定し、写真(90×90μm)中の長径が2μm以上の粒子数および長径が5μm以上の粒子数を求めた。結果を表5に示す。
表5に示すように、湿式粉砕により調製した硬化剤分散液を用いて得られた実施例1、2および4のエポキシ樹脂組成物では、硬化剤とエポキシ樹脂とを直接混合して得られた比較例1〜7のエポキシ樹脂組成物と比べて、粗大な硬化剤の数(即ち、長径が2μm以上の粒子数および長径が5μm以上の粒子数)が少なかった。
(2)硬化物の引張せん断接着強さの測定
軟鋼板(JIS G 3141 SPCC−SD,ダル、寸法:100×25×1.6mm)の表面をアセトンで拭き、接着面をベルトサンダーで研磨して、研磨した接着面を再度アセトンで拭いた。軟鋼板の端から12.5mmの幅に、表6に示すエポキシ樹脂組成物を塗布した後、塗布したエポキシ樹脂組成物を挟むようにして軟鋼板を貼り合わせ、張り合わせた2枚の軟鋼板をクリップで固定した。これらをオーブンにて100℃および1時間の条件で加熱して、エポキシ樹脂組成物を硬化させた。得られた試験片(硬化物で接着された軟鋼板)を用いて、硬化物の引張せん断接着強さをテンシロン万能試験機(TOYO BALDWIN社製UTM−5T)で測定した(温度25℃、湿度40%、引張速度5mm/min)。結果を表6に示す。
(3)硬化物の破断点応力の測定
表6に示すエポキシ樹脂組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、これらを加熱オーブンにて100℃または120℃および1時間の条件で加熱して、厚さ200μmの硬化物フィルムを得た。得られた硬化物フィルムをダンベル型に打ち抜き、テンシロン万能試験機(TOYO BALDWIN社製RTM−500)を用いて引張試験を行い、その破断点応力を測定した(温度25℃、湿度40%、引張速度5mm/min)。結果を表6に示す。
実施例1と比較例2との対比(硬化剤:アミキュアMY−24J)、および実施例5と比較例9との対比(硬化剤:アミキュアMY−24Jおよびジシアンジアミド)から示されるように、同じ硬化剤を使用しても、微細な硬化剤をエポキシ樹脂中に分散させることによって、得られた硬化物の引張せん断接着強さおよび破断点応力が向上する。
本発明によれば、微細な硬化剤が良好に分散したエポキシ樹脂組成物を製造することができる。そのようなエポキシ樹脂組成物は、狭い間隙にも含浸させることができるため、例えば、接着剤や炭素繊維等との複合材料を製造するために有用である。

Claims (12)

  1. 分散剤を含む有機溶剤中で潜在性硬化剤を湿式粉砕し、硬化剤分散液を得る工程、
    得られた硬化剤分散液をエポキシ樹脂と混合し、エポキシ樹脂組成物を得る工程、および
    得られたエポキシ樹脂組成物に機械的せん断をかけて混練する工程
    を含
    潜在性硬化剤が、アミン系潜在性硬化剤、ウレア化合物、ジシアンジアミドおよびヒドラジド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂組成物の製造方法。
  2. ビーズミルによって湿式粉砕を行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 湿式粉砕によって得られた硬化剤分散液中の潜在性硬化剤のZ平均粒子径が10〜1,000nmである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 得られたエポキシ樹脂組成物から有機溶剤の一部または全部を除去する工程をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 有機溶剤の除去を減圧下で行う請求項4に記載の製造方法。
  6. 潜在性硬化剤が、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤およびイミダゾール−アダクト潜在性硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 有機溶剤が、炭化水素系溶剤およびエステル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 分散剤が、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤およびウレタン系分散剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 分散剤が、(i)1分子あたり2〜1,800個の第1級および/または第2級アミノ基を有するポリアミンと(ii)ポリエステルとの反応により生成したポリエステル変性ポリアミンである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 得られたエポキシ樹脂組成物に、エポキシ樹脂を混合する工程をさらに含む請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 潜在性硬化剤が分散しているエポキシ樹脂組成物であって、
    マイクロスライドグラスに厚さ16μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマイクロスライドグラスの周囲から4mmの幅でスペーサーとして挟み込み、マイクロスライドグラスの中心部に前記エポキシ樹脂組成物を10mg置き、その上にカバーグラスを被せた後、100gの分銅を置いて試料を作製し、前記試料を光学顕微鏡により40倍の倍率で観察した際の90μm×90μmの視野に存在する長径5μm以上の固形物の個数が50以下であり、且つ
    潜在性硬化剤が、3級アミン−アダクト潜在性硬化剤およびイミダゾール−アダクト潜在性硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂組成物。
  12. 潜在性硬化剤および分散剤を含有し、潜在性硬化剤が分散しているエポキシ樹脂組成物であって、
    マイクロスライドグラスに厚さ16μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマイクロスライドグラスの周囲から4mmの幅でスペーサーとして挟み込み、マイクロスライドグラスの中心部に前記エポキシ樹脂組成物を10mg置き、その上にカバーグラスを被せた後、100gの分銅を置いて試料を作製し、前記試料を光学顕微鏡により40倍の倍率で観察した際の90μm×90μmの視野に存在する長径5μm以上の固形物の個数が50以下であり、
    潜在性硬化剤が、アミン系潜在性硬化剤、ウレア化合物、ジシアンジアミドおよびヒドラジド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、且つ
    分散剤が、(i)1分子あたり2〜1,800個の第1級および/または第2級アミノ基を有するポリアミンと(ii)ポリエステルとの反応により生成したポリエステル変性ポリアミンであるエポキシ樹脂組成物。
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