JP6606351B2 - 燃料電池スタックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備え、複数の前記発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックの製造方法に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)及び多孔質カーボン(ガス拡散層)を有するアノード電極とカソード電極とを配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セルを構成している。
通常、発電セルを所定の数だけ積層した積層体を備えるとともに、前記積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁プレート及びエンドプレートが配設されて、燃料電池スタックを構成している。この燃料電池スタックは、例えば、燃料電池電気自動車に搭載される車載用燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池スタックでは、外部への放熱により他の発電セルに比べて温度低下が惹起され易い発電セルが存在している。例えば、積層方向端部に配置されている発電セル(以下、端部発電セルともいう)は、この発電セルに隣接するターミナルプレートやエンドプレート等からの放熱が多く、上記の温度低下が顕著になっている。
特に、低温環境下では、放熱量が大きくなり、低温での発電性能及び起動性が低下するおそれがある。また、端部発電セルの面内が放熱により結露すると、凝縮水の発生による発電性能の低下が惹起され、膜劣化等のスタック耐久性の低下が懸念される。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池スタックが知られている。この燃料電池スタックでは、セル積層体の端部に断熱性ダミーセルが配置されている。従って、ダミーセルが高断熱性となり、端部ダミーセルを通しての熱の持ち出しが抑制され、低温からの燃料電池起動性が向上する、としている。
特許第4894311号公報
通常、燃料電池スタックは、高負荷状態で運転が継続されると、すなわち、定格電流で継続運転されると、端部発電セルと接触している端部構成部材が過昇温し易い。このため、端部セパレータやMEA等が熱により損傷するおそれがある。しかしながら、上記の特許文献1では、端部構成部材の過昇温を抑制することができないという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、端部発電セルからの放熱を可及的に抑制するとともに、スタック内部の過昇温を阻止することができ、所望の発電性能を確実に維持することが可能な燃料電池スタックの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池スタックは、電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備えている。複数の発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設され、前記積層体と前記ターミナルプレートとの間に端部構成部材が配置される。
燃料電池スタックの製造方法、氷点下起動時のスタック内部の第1温度ばらつきと、定格電流時の前記スタック内部の第2温度ばらつきとが、同一となるように、端部構成部材の電圧降下の値設定設定工程を備える前記第1温度ばらつきは、前記氷点下起動時に前記積層体の積層方向の中央側に位置する中央側発電セルと前記積層体の積層方向の端部に位置する端部発電セルとの温度差が前記氷点下起動時の所定時間一定となるような値であり、前記第2温度ばらつきは、前記定格電流時の前記中央側発電セルと前記スタック内部のピーク温度との温度差である。
また、前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、少なくとも前記カーボン部材又は前記金属製波板部材の枚数を調整することにより、電圧降下の値設定ることが好ましい。枚数が多い程、電圧降下が大きくなる。
さらに、前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、前記カーボン部材の厚さを調整することにより、電圧降下の値設定ることが好ましい。厚さが厚い程、電圧降下が大きくなる。
さらにまた、前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、前記カーボン部材と前記金属製波板部材との接触面積を調整することにより、電圧降下の値設定ることが好ましい。接触面積が小さい程、電圧降下が大きくなる。
本発明によれば、氷点下起動時のスタック内部の温度ばらつきと、定格電流時の前記スタック内部の温度ばらつきとが、同一となっている。このため、氷点下起動時に、積層体の端部に配置されている端部発電セルからの放熱を可及的に抑制することができ、所望の発電性能を確実に維持することが可能になる。
しかも、定格電流時には、スタック内部が過昇温されることがなく、端部発電セルを構成するMEAや端部セパレータ等が熱により損傷することを可及的に抑制することができる。
これにより、端部発電セルからの放熱を可及的に抑制するとともに、スタック内部の過昇温を阻止することができ、所望の発電性能を確実に維持することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの分解概略斜視図である。 前記燃料電池スタックの、図1中、II−II線断面図である。 前記燃料電池スタックを構成する発電セルの分解斜視説明図である。 氷点下起動時の中央発電セルの温度及び端部発電セルの温度と経過時間との説明図である。 前記燃料電池スタックのI−V特性の説明図である。 定格電流時における前記燃料電池スタックの内部温度の説明図である。 氷点下起動時及び定格電流時の電圧降下量と温度差との関係図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの一端側の断面説明図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が、水平方向(矢印A方向)又は垂直方向(矢印C方向)に積層された積層体12Mを備える。
積層体12Mの積層方向(矢印A方向)一端には、導電性断熱部材(端部構成部材)14a、ターミナルプレート16a、絶縁部材18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体12Mの積層方向他端には、導電性断熱部材(端部構成部材)14b、ターミナルプレート16b、絶縁部材18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される(図1及び図2参照)。
燃料電池スタック10は、例えば、長方形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持される。なお、燃料電池スタック10は、例えば、矢印A方向に延在する複数のタイロッド(図示せず)により一体的に締め付け保持されてもよい。
発電セル12は、図2及び図3に示すように、第1金属セパレータ22、第1電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)(MEA)24a、第2金属セパレータ26、第2電解質膜・電極構造体(MEA)24b及び第3金属セパレータ28を設ける。第1金属セパレータ22、第2金属セパレータ26及び第3金属セパレータ28は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の縦長形状の断面凹凸に成形された金属板により構成されるが、カーボンセパレータを用いてもよい。なお、発電セルは、MEAを第1セパレータと第2セパレータとの間に挟持して構成してもよい。
図2に示すように、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜30を備える。固体高分子電解質膜30は、アノード電極32及びカソード電極34により挟持される。アノード電極32は、カソード電極34よりも小さな平面寸法を有する段差MEAを構成しているが、これとは逆に、前記カソード電極34よりも大きな平面寸法を有することもできる。
アノード電極32及びカソード電極34は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜30の両面に形成される。
図3に示すように、発電セル12の長辺方向(矢印C方向)の上端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔36a及び燃料ガス入口連通孔38aが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔36aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。燃料ガス入口連通孔38aは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給する。
発電セル12の長辺方向(矢印C方向)の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出する燃料ガス出口連通孔38b及び酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔36bが設けられる。なお、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを入れ替えて構成してもよい。
発電セル12の短辺方向(矢印B方向)の両端縁部上部側には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給する一対の冷却媒体入口連通孔40aが設けられる。発電セル12の短辺方向の両端縁部下部側には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を排出する一対の冷却媒体出口連通孔40bが設けられる。
第1金属セパレータ22の第1電解質膜・電極構造体24aに向かう面22aには、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第1燃料ガス流路42が形成される。
燃料ガス入口連通孔38aと第1燃料ガス流路42とは、複数の入口連結流路43aを介して連通する一方、燃料ガス出口連通孔38bと前記第1燃料ガス流路42とは、複数の出口連結流路43bを介して連通する。入口連結流路43aは、蓋体45aにより覆われるとともに、出口連結流路43bは、蓋体45bにより覆われる。第1金属セパレータ22の面22bには、一対の冷却媒体入口連通孔40aと一対の冷却媒体出口連通孔40bとを連通する冷却媒体流路44の一部が形成される。
第2金属セパレータ26の第1電解質膜・電極構造体24aに向かう面26aには、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第1酸化剤ガス流路46が形成される。
第2金属セパレータ26の第2電解質膜・電極構造体24bに向かう面26bには、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第2燃料ガス流路48が形成される。燃料ガス入口連通孔38aと第2燃料ガス流路48とは、複数の入口連結流路47aを介して連通する一方、燃料ガス出口連通孔38bと前記第2燃料ガス流路48とは、複数の出口連結流路47bを介して連通する。入口連結流路47aは、蓋体49aにより覆われるとともに、出口連結流路47bは、蓋体49bにより覆われる。
第3金属セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体24bに向かう面28aには、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第2酸化剤ガス流路50が形成される。第3金属セパレータ28の面28bには、冷却媒体流路44の一部が形成される。
第1金属セパレータ22の面22a、22bには、この第1金属セパレータ22の外周端縁部を周回して第1シール部材52が一体成形される。第2金属セパレータ26の面26a、26bには、この第2金属セパレータ26の外周端縁部を周回して第2シール部材54が一体成形される。第3金属セパレータ28の面28a、28bには、この第3金属セパレータ28の外周端縁部を周回して第3シール部材56が一体成形される。
第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56には、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図1に示すように、ターミナルプレート16a、16bは、長方形を有し、後述する絶縁部材18a、18bの凹部62a、62bに収容可能な外径寸法に設定される。ターミナルプレート16a、16bの面内中央から離間した位置(面内中央でもよい)には、積層方向外方に延在する端子部58a、58bが設けられる。
絶縁部材18a、18bは、絶縁性材料、例えば、ポリカーボネート(PC)やフェノール樹脂等で形成されている。絶縁部材18aのターミナルプレート16aに対向する面には、中央部に矩形状の凹部62aが設けられる。凹部62aには、ターミナルプレート16aの端子部58aが挿入される孔部64aが連通する。絶縁部材18aには、凹部62aの外方に位置して酸化剤ガス入口連通孔36a、酸化剤ガス出口連通孔36b、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bが形成される。
絶縁部材18bのターミナルプレート16bに対向する面には、中央部に矩形状の凹部62bが設けられる。凹部62bには、ターミナルプレート16bの端子部58bが挿入される孔部64bが連通する。絶縁部材18bには、凹部62bの外方に位置して一対の冷却媒体入口連通孔40a及び一対の冷却媒体出口連通孔40bが形成される。
エンドプレート20aには、酸化剤ガス入口連通孔36a、酸化剤ガス出口連通孔36b、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bが形成される。エンドプレート20bには、一対の冷却媒体入口連通孔40a及び一対の冷却媒体出口連通孔40bが形成される。
図1及び図2に示すように、絶縁部材18bの凹部62bには、ターミナルプレート16b及び導電性断熱部材14bが収容される。導電性断熱部材14bは、後述する電圧降下の値を設定するため、例えば、それぞれ材質の異なる少なくとも1枚のカーボン部材と1枚の金属製波板部材を備える。第1の実施形態では、2枚のカーボン部材66a、66bと1枚のステンレス製波板部材68とを備える。凹部62bには、ターミナルプレート16b側からカーボン部材66a、波板部材68及びカーボン部材66bの順に積層される。
図1に示すように、絶縁部材18aの凹部62aには、ターミナルプレート16a及び導電性断熱部材14aが収容される。導電性断熱部材14aは、上記の導電性断熱部材14bと同様に、2枚のカーボン部材66a、66bと1枚のステンレス製波板部材68とを備えており、その詳細な説明は省略する。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸素含有ガス等の酸化剤ガスは、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔36aに供給される。水素含有ガス等の燃料ガスは、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔38aに供給される。一方、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体は、エンドプレート20bの一対の冷却媒体入口連通孔40aに供給される。
酸化剤ガスは、図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔36aから第2金属セパレータ26の第1酸化剤ガス流路46及び第3金属セパレータ28の第2酸化剤ガス流路50に導入される。酸化剤ガスは、矢印C方向に移動して第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bの各カソード電極34に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aから第1金属セパレータ22の第1燃料ガス流路42及び第2金属セパレータ26の第2燃料ガス流路48に導入される。燃料ガスは、第1燃料ガス流路42及び第2燃料ガス流路48に沿って矢印C方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bの各アノード電極32に供給される。
従って、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bでは、各カソード電極34に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極32に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、カソード電極34に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔36bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極32に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔38bに沿って矢印A方向に排出される。
また、図3に示すように、各冷却媒体入口連通孔40aに供給された冷却媒体は、互いに隣接する第1金属セパレータ22と第3金属セパレータ28との間の冷却媒体流路44に導入される。冷却媒体は、先ず、互いに近接するように、矢印B方向に流通した後矢印C方向(セパレータ長辺方向)に流通して第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bを冷却する。さらに、冷却媒体は、互いに離間するように、矢印B方向に流通して各冷却媒体出口連通孔40bから排出される。
この場合、第1の実施形態では、氷点下起動時のスタック内部の温度ばらつきと、定格電流時の前記スタック内部の温度ばらつきとが、同一となるように、導電性断熱部材14a、14bの電圧降下の値が設定されている。
具体的には、燃料電池スタック10の氷点下起動時(例えば、−20℃〜−30℃程度)には、図4に示すように、中央の発電セル12に比べて、端部発電セル12endの温度が低温になり易い。中央の発電セル12と端部発電セル12endとは、時間の経過に伴って互いに一定の温度差(温度ばらつき)ΔT1を有して昇温されている。従って、端部発電セル12endの発電性能を維持するために、温度差ΔT1を一定の値に保つ必要がある。
一方、燃料電池スタック10では、図5に示すように、I−V(電流電圧)特性を有している。燃料電池スタック10は、電圧が急に降下し始める直前で、高電流が確実に継続される電流、すなわち、定格電流により運転される。その際、図6に示すように、中央側MEA(例えば、第1電解質膜・電極構造体24a)の温度に比べて、端部MEA(端部発電セル12endの第1電解質膜・電極構造体24a)の温度が高くなり易い。
さらに、導電性断熱部材14a、14bの内部では、ピーク温度になり易く、次いで、ターミナルプレート16a、16bまで一気に温度低下が惹起された後、エンドプレート20a、20bに向かって降温されている。
中央側MEAの温度とピーク温度との間には、温度差(温度ばらつき)ΔT2が発生している。このため、端部発電セル12endの発電性能を維持するために、温度差ΔT2を可及的に小さくする必要がある。なお、温度差ΔT2は、中央側MEAの温度と端部MEAの温度との差であってもよい。
次に、図7には、燃料電池スタック10において、氷点下起動時の温度差ΔT1と導電性断熱部材電圧降下量との関係、及び定格電流時の温度差ΔT2と電圧降下量との関係が示されている。氷点下起動時では、電圧降下量の増加に伴って温度差ΔT1が大きく変動(勾配が急)する一方、定格電流時では、電圧降下量の増加に伴って温度差ΔT2は、前記温度差ΔT1よりも小さな変動量で変動する。
そこで、氷点下起動時の温度差ΔT1と、定格電流時の温度差ΔT2とが、略同一になる導電性断熱部材14a、14bの電圧降下量が設定される。具体的には、導電性断熱部材14a、14bの電圧降下量は、200mV〜225mVの範囲内に設定される。
第1の実施形態では、導電性断熱部材14a、14bは、2枚のカーボン部材66a、66bと1枚のステンレス製波板部材68とを備えることにより、所定の電圧降下量(200mV〜225mV)を得るように構成されている。枚数が多い程、電圧降下が大きくなるからである。このため、氷点下起動時に、積層体12Mの端部に配置されている端部発電セル12endからの放熱を可及的に抑制することができ、所望の発電性能を確実に維持することが可能になる。
しかも、定格電流時には、燃料電池スタック10の内部が過昇温されることがない。従って、端部発電セル12endを構成する第1電解質膜・電極構造体24a(MEA)や第1金属セパレータ22(端部セパレータ)等が熱により損傷することを可及的に抑制することができる。
これにより、端部発電セル12endからの放熱を可及的に抑制するとともに、燃料電池スタック10の内部の過昇温を阻止することが可能になり、所望の発電性能を確実に維持することができるという効果が得られる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック80の一端側の断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
燃料電池スタック80は、導電性断熱部材(端部構成部材)82を備える。導電性断熱部材82は、絶縁部材18bの凹部62bに収容されるとともに、図示しないが、絶縁部材18aの凹部62aにも収容される。
導電性断熱部材82は、1枚のカーボン部材84と1枚のステンレス製波板部材68とを備える。氷点下起動時のスタック内部の温度ばらつきと、定格電流時の前記スタック内部の温度ばらつきとが、同一となるように、導電性断熱部材82の電圧降下の値が設定されている。具体的には、第2の実施形態では、カーボン部材84の厚さtを調整することにより、電圧降下の値(電圧降下量が、200mV〜225mVの範囲内)が設定されている。厚さtが厚くなる程、電圧降下が大きくなるからである。
このように、第2の実施形態では、カーボン部材84の厚さtを調整することにより、電圧降下の値が設定されている。このため、端部発電セル12endからの放熱を可及的に抑制するとともに、燃料電池スタック80の内部の過昇温を阻止することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2の実施形態に代えて、カーボン部材84とステンレス製波板部材68との接触面積を調整することにより、電圧降下の値を設定してもよい(本発明の第3の実施形態)。接触面積が小さくなる程、電圧降下が大きくなるからである。従って、第3の実施形態では、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
10、80…燃料電池スタック 12…発電セル
12end…端部発電セル 12M…積層体
14a、14b、82…導電性断熱部材
18a、18b…絶縁部材 20a、20b…エンドプレート
22、26、28…金属セパレータ 24a、24b…電解質膜・電極構造体
30…固体高分子電解質膜 32…アノード電極
34…カソード電極 36a…酸化剤ガス入口連通孔
36b…酸化剤ガス出口連通孔 38a…燃料ガス入口連通孔
38b…燃料ガス出口連通孔 40a…冷却媒体入口連通孔
40b…冷却媒体出口連通孔 42、48…燃料ガス流路
44…冷却媒体流路 46、50…酸化剤ガス流路
52、54、56…シール部材 62a、62b…凹部
66a、66b、84…カーボン部材 68…波板部材

Claims (4)

  1. 電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備え、複数の前記発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設され、前記積層体と前記ターミナルプレートとの間に端部構成部材が配置される燃料電池スタックの製造方法であって、
    点下起動時のスタック内部の第1温度ばらつきと、定格電流時の前記スタック内部の第2温度ばらつきとが、同一となるように、前記端部構成部材の電圧降下の値設定設定工程を備え、
    前記第1温度ばらつきは、前記氷点下起動時に前記積層体の積層方向の中央側に位置する中央側発電セルと前記積層体の積層方向の端部に位置する端部発電セルとの温度差が前記氷点下起動時の所定時間一定となるような値であり、
    前記第2温度ばらつきは、前記定格電流時の前記中央側発電セルと前記スタック内部のピーク温度との温度差であることを特徴とする燃料電池スタックの製造方法
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックの製造方法において、
    前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、少なくとも前記カーボン部材又は前記金属製波板部材の枚数を調整することにより、前記電圧降下の値設定ることを特徴とする燃料電池スタックの製造方法
  3. 請求項1記載の燃料電池スタックの製造方法において、
    前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、前記カーボン部材の厚さを調整することにより、前記電圧降下の値設定ることを特徴とする燃料電池スタックの製造方法
  4. 請求項1記載の燃料電池スタックの製造方法において、
    前記設定工程では、カーボン部材と金属製波板部材とを積層するとともに、前記カーボン部材と前記金属製波板部材との接触面積を調整することにより、前記電圧降下の値設定ることを特徴とする燃料電池スタックの製造方法
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