以下では、図1及び図2を用いて、本発明の実施の第一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
図1及び図2に示す電力供給システム1は、工場に設けられ、工場の負荷へ電力を供給するものである。電力供給システム1は、分電盤10、センサ部20、第一のユニット30、トランス40、切替盤50、第二のユニット60、第三のユニット70及びエネルギーマネジメントシステム80等を具備する。
図1に示す分電盤10は、電力の供給元から供給される電力を負荷に分配するものである。分電盤10には、電力の供給元(商用電源90や後述する第一のユニット30等)から、負荷の消費電力に応じた電力が供給される。分電盤10は、漏電遮断器や、配線遮断器、制御ユニット等により構成される。分電盤10内には、負荷と接続された一般回路11が設けられる。一般回路11は、配電線L1を介して商用電源90と接続される。
図1及び図2に示すセンサ部20は、分電盤10内において、配電線L1を流れる電力を検出するものである。センサ部20は、第一のセンサ21、第二のセンサ22、第三のセンサ23及び第四のセンサ24等を具備する。
各センサ21から24は、それぞれ配置箇所の電力を検出するものである。各センサ21から24は、それぞれ配電線L1の中途部(分電盤10内)に配置される。各センサ21から24は、分電盤10内において、配電線L1の商用電源90側から一般回路11側へ向けて、第一のセンサ21・第四のセンサ24・第二のセンサ22・第三のセンサ23の順番に配置される。各センサ21から24は、それぞれ検出結果に関する信号を送信可能に構成される。
図1及び図2に示す第一のユニット30は、負荷への電力の供給元の一つである。第一のユニット30は、第一の太陽光発電装置31、第一の蓄電装置32及び第一のパワコン33等を具備する。
第一の太陽光発電装置31は、太陽光を利用して発電する装置である。第一の太陽光発電装置31は、太陽電池パネル等を具備する。第一の太陽光発電装置31は、前記太陽電池パネルに太陽光が当たることで発電可能に構成される。
第一の蓄電装置32は、電力を充放電可能な装置である。第一の蓄電装置32は、電力を充放電可能な蓄電池や、供給されてくる交流電力を整流して前記蓄電池に充電させる充電器等を具備する。第一の蓄電装置32は、第一の太陽光発電装置31や商用電源90からの電力を充放電可能に構成される。
第一のパワコン33は、電力の入出力を制御するハイブリッドパワーコンディショナーである。第一のパワコン33は、直流電力を所定の電圧に変換するコンバーターや、直流電力を交流電力に変換するインバーター、動作を制御する制御部等を具備する。第一のパワコン33は、異なる二つの配電線を介して第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32とそれぞれ接続される。また、第一のパワコン33は、第一のセンサ21と電気的に接続される。これによって、第一のパワコン33は、第一のセンサ21から送信された信号を受信し、第一のセンサ21の検出結果に関する情報を取得する。また、第一のパワコン33は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて、出力する電力量を調整する負荷追従運転を行うことができる。また、第一のパワコン33は、連系運転及び自立運転を行うことができる。
第一のパワコン33の連系運転とは、通常時(非停電時)に商用電源90と連系して第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32を運転させるものである。こうして、第一のパワコン33は、通常時に商用電源90と連系した状態で、第一の太陽光発電装置31で発電された電力や第一の蓄電装置32から放電された電力を出力したり、第一の太陽光発電装置31で発電された電力や商用電源90からの電力を第一の蓄電装置32へ入力(充電)したりすることができる。
第一のパワコン33の自立運転とは、停電時に商用電源90から独立して第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32を運転させるものである。こうして、第一のパワコン33は、非常時に商用電源90から独立した状態で、第一の太陽光発電装置31で発電された電力や第一の蓄電装置32から放電された電力を出力したり、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を第一の蓄電装置32へ入力(充電)したりすることができる。なお、第一のパワコン33の自立運転において、第一の太陽光発電装置31で発電された電力の出力と入力(充電)とは、同時に行うことができる。
このように構成された第一のユニット30は、配電線L2及び配電線L3を介して分電盤10と接続される。
より詳細には、第一のユニット30において、第一のパワコン33が、配電線L2を介して分電盤10内の配電線L1(第四のセンサ24と後述する切替盤50との間)と接続される。こうして、第一のパワコン33が、配電線L2・L1を介して商用電源90や、分電盤10内の一般回路11(負荷)と接続される。なお、配電線L2は、通常時(すなわち、第一のパワコン33の連系運転時)に使用される配電線である。
また、第一のユニット30において、第一のパワコン33が、配電線L3を介して分電盤10内の切替盤50と接続される。こうして、第一のパワコン33が、配電線L3・L1を介して、分電盤10内の一般回路11(負荷)と接続される。なお、配電線L3は、停電時(すなわち、第一のパワコン33の自立運転時)に使用される配電線である。
図1に示すトランス40は、電力を昇圧するものである。トランス40は、配電線L3の中途部に設けられる。これによって、自立運転時に第一のユニット30から出力された電力を昇圧し、負荷で消費することができる。
図1及び図2に示す切替盤50は、当該切替盤50を介して一般回路11側へと流れる電力の供給元を適宜切り替えるものである。切替盤50は、配電線L1の中途部(分電盤10内における配電線L1・L2の接続部と第二のセンサ22との間)に設けられる。切替盤50には、図示せぬリレーが設けられる。切替盤50は、前記リレーを制御することによって、配電線L1の切替盤50よりも下流側を、配電線L1の切替盤50よりも上流側、又は配電線L3の何れか一方と接続することができる。
こうして、通常時においては、切替盤50によって配電線L1の切替盤50よりも上流側と下流側とが接続される。このように、配電線L1の切替盤50よりも上流側と下流側とが接続されると、一般回路11が配電線L1を介して商用電源90と接続されると共に、配電線L1・L2を介して第一のユニット30と接続される。これにより、切替盤50を介して一般回路11側へと流れる電力の供給元を、商用電源90や第一のユニット30(より詳細には、連系運転時の第一のユニット30)に切り替えることができる。
また、停電時においては、切替盤50によって配電線L1の切替盤50よりも下流側と配電線L3とが接続される。このように、配電線L1の切替盤50よりも下流側と配電線L3とが接続されると、一般回路11が配電線L1・L3を介して第一のユニット30と接続される。これにより、切替盤50を介して一般回路11側へと流れる電力の供給元を、第一のユニット30(より詳細には、自立運転時の第一のユニット30)に切り替えることができる。
図1及び図2に示す第二のユニット60は、負荷への電力の供給元の一つである。第二のユニット60は、第二の蓄電装置62及び第二のパワコン63等を具備する。
なお、第二の蓄電装置62及び第二のパワコン63の構成(具体的には、それぞれの自身の構成や、互いの関係に関する構成)は、第一の蓄電装置32及び第一のパワコン33の構成と略同様であるため、特に異なる点を中心として説明を行う。
第二のパワコン63は、所定の配線線を介して第二の蓄電装置62と接続される。また、第二のパワコン63は、第二のセンサ22と電気的に接続される。これによって、第二のパワコン63は、第二のセンサ22から送信された信号を受信し、第二のセンサ22の検出結果に関する情報を取得する。また、第二のパワコン63は、第二のセンサ22の検出結果に基づいて、出力する電力量を調整する負荷追従運転を行うことができる。また、第二のパワコン63は、連系運転及び自立運転を行うことができる。なお、第二のパワコン63において連系運転が行われる場合には、後述する擬似連系モードと通常連系モードとの何れか一方のモードが選択される。
こうして、第二のパワコン63は、通常時に商用電源90と連系した状態で、配電線L4を介して第二の蓄電装置62から放電された電力を出力したり、商用電源90や第一のユニット30からの電力を第二の蓄電装置62へ入力(充電)したりすることができる。
また、第二のパワコン63は、非常時に商用電源90から独立した状態で、自立運転時に使用される図示せぬ配電線を介して第二の蓄電装置62から放電された電力を出力することができる。
また、第二のパワコン63は、非常時に商用電源90から独立した状態であって、且つ後述する第一の擬似連系モードが実行された状態で、配電線L4を介して第二の蓄電装置62から放電された電力を出力することができる。
また、第二のパワコン63は、非常時に商用電源90から独立した状態であって、且つ後述する第二の擬似連系モードが実行された状態で、配電線L4を介して第二の蓄電装置62から放電された電力を出力したり、第一のユニット30からの電力を第二の蓄電装置62へ入力(充電)したりすることができる。
このように構成された第二のユニット60は、上述の如く配電線L4を介して分電盤10と接続される。
より詳細には、第二のユニット60において、第二のパワコン63が、配電線L4を介して分電盤10内の配電線L1(第二のセンサ22と第三のセンサ23との間)と接続される。こうして、第二のパワコン63が、配電線L4・L1を介して商用電源90や、分電盤10内の一般回路11(負荷)と接続される。また、第二のパワコン63が、配電線L4・L1・L2(又は、配電線L4・L1・L3)を介して第一のユニット30(より詳細には、第一のパワコン33)と接続される。なお、配電線L4は、通常時(すなわち、第二のパワコン63の連系運転時)に使用される配電線である。
図1及び図2に示す第三のユニット70は、負荷への電力の供給元の一つである。第三のユニット70は、第三の蓄電装置72及び第三のパワコン73等を具備する。
なお、第三の蓄電装置72及び第三のパワコン73の構成(具体的には、それぞれの自身の構成や、互いの関係に関する構成)は、第一の蓄電装置32及び第一のパワコン33の構成と略同様であるため、特に異なる点を中心として説明を行う。
第三のパワコン73は、所定の配線線を介して第三の蓄電装置72と接続される。また、第三のパワコン73は、第三のセンサ23と電気的に接続される。これによって、第三のパワコン73は、第三のセンサ23から送信された信号を受信し、第三のセンサ23の検出結果に関する情報を取得する。また、第三のパワコン73は、第三のセンサ23の検出結果に基づいて、出力する電力量を調整する負荷追従運転を行うことができる。また、第三のパワコン73は、連系運転及び自立運転を行うことができる。なお、第三のパワコン73において連系運転が行われる場合には、後述する擬似連系モードと通常連系モードとの何れか一方のモードが選択される。
こうして、第三のパワコン73は、通常時に商用電源90と連系した状態で、配電線L5を介して第三の蓄電装置72から放電された電力を出力したり、商用電源90や第一のユニット30からの電力を第三の蓄電装置72へ入力(充電)したりすることができる。
また、第三のパワコン73は、非常時に商用電源90から独立した状態で、自立運転時に使用される図示せぬ配電線を介して第三の蓄電装置72から放電された電力を出力することができる。
また、第三のパワコン73は、非常時に商用電源90から独立した状態であって、且つ後述する第一の擬似連系モードが実行された状態で、配電線L5を介して第三の蓄電装置72から放電された電力を出力することができる。
また、第三のパワコン73は、非常時に商用電源90から独立した状態であって、且つ後述する第二の擬似連系モードが実行された状態で、配電線L5を介して第三の蓄電装置72から放電された電力を出力したり、第一のユニット30からの電力を第三の蓄電装置72へ入力(充電)したりすることができる。
このように構成された第三のユニット70は、上述の如く配電線L5を介して分電盤10と接続される。
より詳細には、第三のユニット70において、第三のパワコン73が、配電線L5を介して分電盤10内の配電線L1(第三のセンサ23と一般回路11との間)と接続される。こうして、第三のパワコン73が、配電線L5・L1を介して商用電源90や、分電盤10内の一般回路11(負荷)と接続される。また、第三のパワコン73が、配電線L5・L1・L2(又は、配電線L5・L1・L3)を介して第一のユニット30(より詳細には、第一のパワコン33)と接続される。なお、配電線L5は、通常時(すなわち、第三のパワコン73の連系運転時)に使用される配電線である。
図2に示すエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System、以下では「EMS」と称する)80は、電力供給システム1の動作を管理するものである。EMS80は、RAMやROM等の記憶部や、CPU等の演算処理部、I/O等の入送信装置等により構成される。EMS80は、所定の演算処理や、記憶処理等を行うことができる。EMS80には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
EMS80は、第一のユニット30(より詳細には、第一のパワコン33)と電気的に接続される。EMS80は、所定の信号を第一のユニット30に送信し、当該第一のユニット30の運転(例えば、第一の蓄電装置32の充放電等)を制御することができる。また、EMS80は、第一のユニット30の運転状況に関する信号を受信する。こうして、EMS80は、第一のユニット30の運転状況に関する情報を取得することができる。
例えば、EMS80は、第一のユニット30(第一のパワコン33)からの電力の出力に関する情報を取得する。具体的には、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、第一の蓄電装置32に充電された電力のみの出力であるか否かに関する情報を取得する。また、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、両方からの出力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力及び第一の蓄電装置32に充電された電力の出力)であるか否かに関する情報を取得する。また、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、最大出力(例えば、2000W)であるか否かに関する情報を取得する。
また、EMS80は、第一のユニット30の第一の蓄電装置32が放電不可能であるか(放電可能な程度の電力量が充電されていないか)否かに関する情報を取得する。
EMS80は、第二のユニット60(より詳細には、第二のパワコン63)と電気的に接続される。EMS80は、所定の信号を第二のユニット60に送信し、当該第二のユニット60の運転(例えば、第二の蓄電装置62の充放電等)を制御することができる。EMS80は、第二のユニット60の運転状況に関する信号を受信する。こうして、EMS80は、第二のユニット60の運転状況に関する情報を取得することができる。
例えば、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62の放電が必要となったか(第二の蓄電装置62が満充電になったか)否かに関する情報を取得する。
EMS80は、第三のユニット70(より詳細には、第三のパワコン73)と電気的に接続される。EMS80は、所定の信号を第三のユニット70に送信し、当該第三のユニット70の運転(例えば、第三の蓄電装置72の充放電等)を制御することができる。EMS80は、第三のユニット70の運転状況に関する信号を受信する。こうして、EMS80は、第三のユニット70の運転状況に関する情報を取得することができる。
例えば、EMS80は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72の放電が必要となったか(第三の蓄電装置72が満充電になったか)否かに関する情報を取得する。
また、EMS80は、第四のセンサ24と電気的に接続される。EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に関する信号を受信する。こうして、EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に関する情報を取得する。例えば、EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に基づいて停電の発生や解消に関する情報を取得する。
また、EMS80は、切替盤50と電気的に接続される。EMS80は、切替盤50の動作状況に関する情報を取得する。EMS80は、所定の信号を切替盤50に送信し、当該切替盤50(より詳細には、当該切替盤50に設けられたリレー)を制御することができる。
上述の如く構成された電力供給システム1は、電力の供給態様について異なる複数のモードを有する。前記複数のモードには、通常時に選択される通常モードと、停電時に実行される停電モードとの2種類のモードが含まれる。
以下では、電力供給システム1において、通常モードが実行される場合(すなわち、通常時である場合)の電力の供給態様について説明する。
なお、通常モードが実行される場合(通常時である場合)、切替盤50において配電線L1の上流側と下流側とが接続されている。
通常モードにおいて、商用電源90からの電力は、配電線L1を介して分電盤10(ひいては、一般回路11)に供給される。こうして、商用電源90からの電力は、配電線L1を介して負荷へ供給される。またこの場合、第三のユニット70においては、第三のセンサ23の検出結果に基づいて第三のパワコン73が負荷追従運転を行って、当該第三のパワコン73から電力(第三の蓄電装置72から放電された電力)が出力される。こうして、第三のユニット70(第三のパワコン73)から出力された電力は、配電線L5・L1を介して一般回路11に供給される。なお、第三のユニット70から電力が出力されると、商用電源90から一般回路11へと供給される電力量は減少する。
なお、負荷の消費電力を第三のユニット70からの電力だけで賄えない場合には、不足する分だけの電力が商用電源90から一般回路11へ供給される。すなわち、商用電源90からの電力が、配電線L1を介して負荷へ供給される。またこの場合、第二のユニット60においては、第二のセンサ22の検出結果に基づいて第二のパワコン63が負荷追従運転を行って、当該第二のパワコン63から電力(第二の蓄電装置62から放電された電力)が出力される。こうして、第二のユニット60(第二のパワコン63)から出力された電力は、配電線L4・L1を介して一般回路11に供給される。なお、第二のユニット60から電力が出力されると、商用電源90から一般回路11へと供給される電力量はさらに減少する。
また、負荷の消費電力を第三のユニット70及び第二のユニット60からの電力だけで賄えない場合には、不足する分だけの電力が商用電源90から一般回路11へと供給される。すなわち、商用電源90からの電力が、配電線L1を介して負荷へ供給される。またこの場合、第一のユニット30においては、第一のセンサ21の検出結果に基づいて第一のパワコン33が負荷追従運転を行って、当該第一のパワコン33から電力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力や、第一の蓄電装置32から放電された電力)が出力される。こうして、第一のユニット30(第一のパワコン33)から出力された電力は、配電線L2・L1を介して一般回路11に供給される。なお、第一のユニット30から電力が出力されると、商用電源90から一般回路11へと供給される電力量はさらに減少する。
こうして、通常モードにおいては、負荷の消費電力に対して、第三のユニット70、第二のユニット60、第一のユニット30からの電力を順次出力することができ、ひいては商用電源90から一般回路11(負荷)へと供給される電力量(商用電源90からの買電量)を減少させることができる。
また例えば、第三のユニット70、第二のユニット60、第一のユニット30からの電力を順次出力した状態で、負荷の消費電力に対して第一のユニット30の第一の太陽光発電装置31で発電された電力に余剰が生じる場合には、当該余剰した電力を当該第一のユニット30の第一の蓄電装置32に充電させることができる。また、負荷の消費電力に対して第三のユニット70からの電力だけで賄えている場合(第一のユニット30の第一の太陽光発電装置31で発電された電力に余剰が生じる場合)には、当該余剰した電力を第二のユニット60の第二の蓄電装置62に充電させることができる。これによって、第一のユニット30及び第二のユニット60から出力される電力として、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を第一の蓄電装置32及び第二の蓄電装置62に充電させておくことができ、ひいては商用電源90からの買電量を減少させることができる。
また例えば、所定のタイミング(例えば、工場の消費電力が少ない深夜の時間帯)に、深夜料金が適用された比較的安価な商用電源90からの電力を、第一のユニット30、第二のユニット60及び第三のユニット70から出力させる電力として、第一の蓄電装置32、第二の蓄電装置62及び第三の蓄電装置72にそれぞれ充電させておくことができる。こうして、これらの蓄電装置32・62・72に充電させた電力を(深夜料金が適用されない)昼間の時間帯に放電させることにより、比較的高価な商用電源90からの電力の買電量を減少させることができる。
以下では、図3のフローチャート、及び図4から図7を用いて、電力供給システム1において、停電モードが実行される場合(すなわち、停電時である場合)の電力の供給態様について説明する。
なお、図3のフローチャートにおいては、説明の便宜上、蓄電装置を「Lib」と記載し、太陽光発電装置を「PV」と記載している。
まず、通常時(通常モード)において、EMS80は、第四のセンサ24から送信された信号を受信し、第四のセンサ24の検出結果に関する情報を取得している。こうして、EMS80は、配電線L1を流れる商用電源90からの電力に関する情報(すなわち、停電の非発生に関する情報)を取得している。
そして、停電が発生すると、第四のセンサ24において商用電源90からの電力の検出が途絶える。こうして、EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に基づいて、停電の発生に関する情報を取得する(ステップS11)。
また、EMS80は、停電の発生に関する情報を取得すると、切替盤50を制御し、配電線L1の切替盤50よりも下流側と配電線L3とを接続させる。これによって、EMS80は、切替盤50を介して一般回路11側へと流れる電力の供給元を、商用電源90及び第一のユニット30(より詳細には、連系運転時の第一のユニット30)から、第一のユニット30(より詳細には、自立運転時の第一のユニット30)に切り替える。
また、停電が発生すると、第一のユニット30の第一のパワコン33は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて、停電の発生に関する情報を取得する。第一のパワコン33は、停電の発生に関する情報を取得すると、連系運転を終了すると共に所定の期間経過後に自立運転を開始する(ステップS12)。こうして、自立運転が開始されると、図4に示すように、第一のユニット30(第一のパワコン33)から出力された電力は、配電線L3・L1を介して分電盤10内の一般回路11に供給される。
また、停電が発生すると、各ユニット60・70の各パワコン63・73は、各センサ22・23の検出結果に基づいて、停電の発生に関する情報をそれぞれ取得する。各パワコン63・73は、停電の発生に関する情報を取得すると、連系運転を終了する。
なお、自立運転によって第一のパワコン33から出力された電力が、配電線L3・L1を介して分電盤10内の一般回路11に供給された場合、切替盤50よりも下流側の配電線L1に当該電力が流れることとなる。このように配電線L1に電力が流れると、各ユニット60・70の各パワコン63・73は、各センサ22・23の検出結果に基づいて、実際には停電時であるにもかかわらず、停電の解消に関する情報を取得する。こうして、停電の解消に関する情報を取得すると、各パワコン63・73は、連系運転を開始する。
これによって、各パワコン63・73は、自立運転時の第一のユニット30を商用電源90であると見なして、擬似的に商用電源90と連系した状態となる。すなわち、各パワコン63・73は、各センサ22・23の検出結果に基づいて負荷追従運転をそれぞれ行う。こうして、図5に示すように、第三のユニット70(第三のパワコン73)から出力された電力は、配電線L5・L1を介して一般回路11に供給される。また、第二のユニット60(第二のパワコン63)から出力された電力は、配電線L4・L1を介して一般回路11に供給される。
ステップS13において、EMS80は、各パワコン63・73が擬似的に商用電源90と連系した状態となると、各パワコン63・73を制御し、各蓄電装置62・72の放電のみを行わせる(充電を禁止する)。具体的には、例えば停電が発生したのが、(比較的安価な商用電源90からの電力を各蓄電装置62・72にそれぞれ充電させる)深夜の時間帯であっても、各蓄電装置62・72の充電を行わない。
なお以下では、各パワコン63・73において、停電時に各蓄電装置62・72の充電が禁止された連系運転を行うモードを「第一の擬似連系モード」と称する。また後述するように、各パワコン63・73において、停電時に各蓄電装置62・72の充電が禁止されない(許可された)連系運転を行うモードを「第二の擬似連系モード」と称する。
これに対して、各パワコン63・73において、通常時に各蓄電装置62・72の充電が禁止されない(許可された)連系運転を行うモードを「通常連系モード」と称する。
なお、配電線L1を流れる電力が一旦途絶えた後に再度流れる場合、(停電が解消されたことによる)商用電源90からの電力か、又は(停電が継続していることによる)自立運転時の第一のユニット30からの電力かを、各センサ22・23の検出結果に基づいて各パワコン63・73が判断することができない。しかしながら、EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に基づいて停電の発生に関する情報を取得し、停電の解消や継続を適切に判断したうえで、各パワコン63・73を(第一又は第二)擬似連系モード、又は連系モードとすることができる。
このように、各パワコン63・73が擬似的に商用電源90と連系した状態となると、EMS80によって当該各パワコン63・73が第一の擬似連系モードとなる。これによって、停電時に第一のユニット30の第一のパワコン33が自立運転を行った場合、当該第一のユニット30から出力された電力を、その他のユニット(第二のユニット60や第三のユニット70)に奪われることなく、一般回路11に供給することができる。すなわち、停電時に負荷へ供給される電力量が減少してしまう事態を回避することができる。
また、各パワコン63・73が擬似的に商用電源90と連系した状態となると、通常モードが実行される場合と同様に、負荷の消費電力に対して、第三のユニット70、第二のユニット60、第一のユニット30からの電力を順次出力することができる。
ステップS14において、EMS80は、第四のセンサ24の検出結果に基づいて停電が解消された(停電復帰した)か否かを判定する。
こうして、EMS80は、停電が解消されたと判定した場合(ステップS14で「YES」)には、電力の供給態様に関するモードを停電モードから通常モードへと切り替える(ステップS15)。具体的には、EMS80は、切替盤50を制御し、配電線L1の切替盤50よりも上流側と下流側とを接続させる。これによって、EMS80は、切替盤50を介して一般回路11側へと流れる電力の供給元を、第一のユニット30(より詳細には、自立運転時の第一のユニット30)から、商用電源90及び第一のユニット30(より詳細には、連系運転時の第一のユニット30)に切り替える。
なお、停電が解消すると、第一のユニット30の第一のパワコン33は、第一のセンサ21の検出結果に基づいて、停電の解消に関する情報を取得する。第一のパワコン33は、停電の解消に関する情報を取得すると、自立運転を終了すると共に所定の期間経過後に連系運転を開始する。こうして、連系運転が開始されると、第一のユニット30(第一のパワコン33)から出力された電力は、配電線L2・L1を介して、(停電が解消された)商用電源90からの電力と共に分電盤10内の一般回路11に供給される。
また、連系運転によって第一のパワコン33から出力された電力が一般回路11に供給された場合、擬似的に商用電源90と連系した状態から実際に連系した状態となるため、各パワコン63・73における擬似的に商用電源90と連系した状態が解消される。このような場合、EMS80は、各パワコン63・73を、第一の擬似連系モードから通常連系モードに切り替える。これによって、各パワコン63・73は、通常時において各蓄電装置62・72の充電が禁止されずに連系運転を行うことができる。こうして、各パワコン33・63・73の連系運転が開始されると、停電モードが実行される場合の電力の供給態様は一旦終了される。
これに対して、EMS80は、停電が解消されていないと判定した場合(ステップS14で「NO」)には、ステップS16の処理を行う。
ステップS16において、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33から所定の信号を受信することにより、第一の蓄電装置32が空であるか(放電可能な程度の電力量が充電されていないか)否かを判定する。
こうして、EMS80は、第一の蓄電装置32が空である(放電可能な程度の電力量が充電されていない)と判定した場合(ステップS16で「YES」)には、第一のユニット30の第一のパワコン33の自立運転を停止させる(ステップS17)。こうして、第一のパワコン33の自立運転を停止されると、停電モードが実行される場合の電力の供給態様は一旦終了される。
これに対して、EMS80は、第一の蓄電装置32が空ではない(放電可能な程度の電力量が充電されている)と判定した場合(ステップS16で「NO」)には、ステップS18の処理を行う。
ステップS18において、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、第一の蓄電装置32に充電された電力のみの出力であるか否かを判定する。
こうして、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、第一の蓄電装置32に充電された電力のみの出力であると判定した場合(ステップS18で「YES」)には、再びステップS14の処理を行う。なお、このように判定される場合とは、第一のユニット30において、第一の太陽光発電装置31で発電が行われていない場合や、第一の太陽光発電装置31で発電された電力が第一の蓄電装置32に充電されるため、出力されていない場合である。
これに対して、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、第一の蓄電装置32に充電された電力のみの出力ではないと判定した場合(ステップS18で「NO」)には、ステップS19の処理を行う。なお、このように判定される場合とは、第一のユニット30において、第一の蓄電装置32に充電された電力だけでなく、第一の太陽光発電装置31で発電された電力が出力されている場合である。
ステップS19において、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、両方からの出力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力及び第一の蓄電装置32に充電された電力の出力)であるか否かを判定する。
こうして、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、両方からの出力であると判定した場合(ステップS19で「YES」)には、再びステップS14の処理を行う。
これに対して、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が、第一の太陽光発電装置31及び第一の蓄電装置32のうち、両方からの出力ではないと判定した場合(ステップS19で「NO」)には、ステップS20の処理を行う。なお、このように判定される場合とは、第一のユニット30において、第一の太陽光発電装置31で発電された電力のみが出力されている場合である。
ステップS20において、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33を制御し、当該第一のパワコン33からの出力を継続しながら、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を第一の蓄電装置32に充電させる。EMS80は、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を第一の蓄電装置32に充電させると、ステップS21の処理を行う。
ステップS21において、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が最大出力(例えば、2000W)であるか否かを判定する。
こうして、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が最大出力ではないと判定した場合(ステップS21で「NO」)には、ステップS22の処理を行う。なお、このように判定される場合、負荷の消費電力に対して、各ユニット30・60・70から出力された電力に不足が生じていない(すなわち、余剰した電力が生じている)と想定される。このような状態においては、第一のユニット30からの電力を各ユニット60・70の蓄電装置62・72に充電させた場合であっても、負荷の消費電力に対して不足する電力が生じない場合がある。したがって、このように判定される場合、EMS80は、第一のユニット30からの電力を各ユニット60・70の蓄電装置62・72に充電させるような制御を行う。
これに対して、EMS80は、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が最大出力であると判定した場合(ステップS21で「YES」)には、再びステップS14の処理を行う。なお、このように判定される場合、負荷の消費電力に対して、各ユニット30・60・70から出力された電力に不足が生じていると想定される。このような状態においては、第一のユニット30からの電力を各ユニット60・70の蓄電装置62・72に充電させると、充電させるユニットからの電力の出力が停止されるため、負荷の消費電力に対して不足する電力が増加することとなって望ましくない。したがって、このように判定される場合、EMS80は、第一のユニット30からの電力を各ユニット60・70の蓄電装置62・72に充電させないような制御を行う。
なお、EMS80の処理は、ステップS21から再びステップS14へと移行した後、ステップS16・S18・S19・S20へと移行する場合が想定される。このような場合には、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を、第一の蓄電装置32に充電させるため、EMS80は、第三のユニット70から出力される電力を増加するような制御を行うことができる。すなわち、第三のユニット70から出力される電力が増加すると、負荷の消費電力のうち第一のユニット30からの電力によって賄われる割合を減少させることができる。これによって、第一のユニット30から出力される電力を減少させ、第一の太陽光発電装置31で発電された電力によって第一の蓄電装置32に充電させる電力を増加させることができる。
また、ステップS22以降においては、停電時であるが、各ユニット60・70の蓄電装置62・72を、第一のユニット30から出力された電力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力)を用いて充電させる処理が行われる。そこで、EMS80は、各パワコン63・73において、停電時に各蓄電装置62・72の充電が禁止されない(許可された)連系運転を行うために、第一の擬似連系モードから第二の擬似連系モードへとモードを切り替える。
ステップS22において、EMS80は、第二のユニット60の第二のパワコン63から所定の信号を受信することにより、当該第二のユニット60の第二の蓄電装置62が充電可能であるか否かを判定する。なお、第二のユニット60の第二の蓄電装置62が充電可能であるか否かの判定は、EMS80が取得した情報(具体的には、第二の蓄電装置62が満充電であるかや、負荷の消費電力が各ユニット30・70から出力される電力によって賄えるか等の情報)に基づいて行われる。
こうして、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62が充電可能であると判定した場合(ステップS22で「YES」)には、ステップS23の処理を行う。
これに対して、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62が充電可能ではないと判定した場合(ステップS22で「NO」)には、ステップS25の処理を行う。
ステップS25において、EMS80は、第三のユニット70の第三のパワコン73から所定の信号を受信することにより、当該第三のユニット70の第三の蓄電装置72が充電可能であるか否かを判定する。なお、第三のユニット70の第三の蓄電装置72が充電可能であるか否かの判定は、EMS80が取得した情報(具体的には、第三の蓄電装置72が満充電であるかや、負荷の消費電力が各ユニット30・60から出力される電力によって賄えるか等の情報)に基づいて行われる。
こうして、EMS80は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72が充電可能であると判定した場合(ステップS25で「YES」)には、ステップS26の処理を行う。
これに対して、EMS80は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72が充電可能ではないと判定した場合(ステップS25で「NO」)には、再びステップS14の処理を行う。
ステップS22から移行したステップS23において、図6に示すように、EMS80は、第一のユニット30から出力された電力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力)を用いて、第二のユニット60の第二の蓄電装置62を充電させる。具体的には、EMS80は、各ユニット30・70から出力される電力量を調整することにより、第二のユニット60の第二の蓄電装置62に充電させる電力量を調整する。
例えば、EMS80は、第二のユニット60の第二のパワコン63に対して第二の蓄電装置62が所定の電力量を充電するように指示を出す。これによって、第二のユニット60から出力される電力量が0となるため、EMS80は、負荷の消費電力に対して不足する分を各ユニット30・70からの電力で賄うよう、当該各ユニット30・70に対して出力する電力量を増加するように指示を出す。なお、第二のユニット60の第二の蓄電装置62で充電される電力量が、第一のユニット30から出力される電力量と同一である場合には、負荷の消費電力は、第三のユニット70から出力される電力によって賄われる。
このように、ステップS23においては、第二の擬似連系モードが実行されて停電時に第二のユニット60の第二の蓄電装置62の充電が行われるが、各ユニット30・70から出力される電力量を調整することにより、負荷へ供給させる電力量が減少してしまう事態を回避するとができる。
ステップS24において、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62の放電が必要となったか否かを判定する。
こうして、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62の放電が必要となったと判定した場合(ステップS24で「YES」)には、再びステップS13の処理を行う。すなわち、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62が満充電となった場合には、当該第二の蓄電装置62に充電された電力を放電させることで、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を無駄にせず、効率よく利用している。なおこの場合、EMS80は、各パワコン63・73において、停電時に各蓄電装置62・72の充電が禁止された連系運転を行うために、第二の擬似連系モードから第一の擬似連系モードへとモードを切り替える。
これに対して、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62の放電が必要となっていないと判定した場合(ステップS24で「NO」)には、再びステップS23の処理を行う。
ステップS25から移行したステップS26において、図7に示すように、EMS80は、第一のユニット30から出力された電力(第一の太陽光発電装置31で発電された電力)を用いて、第三のユニット70の第三の蓄電装置72を充電させる。具体的には、EMS80は、各ユニット30・60から出力される電力量を調整することにより、第三のユニット70の第三の蓄電装置72に充電させる電力量を調整する。
例えば、EMS80は、第三のユニット70の第三のパワコン73に対して第三の蓄電装置72が所定の電力量を充電するように指示を出す。これによって、第三のユニット70から出力される電力量が0となるため、EMS80は、負荷の消費電力に対して不足する分を各ユニット30・60からの電力で賄うよう、当該各ユニット30・60に対して出力する電力量を増加するように指示を出す。なお、第三のユニット70の第三の蓄電装置72で充電される電力量が、第一のユニット30から出力される電力量と同一である場合には、負荷の消費電力は、第二のユニット60から出力される電力によって賄われる。
このように、ステップS26においては、第二の擬似連系モードが実行されて停電時に第三のユニット70の第三の蓄電装置72の充電が行われるが、各ユニット30・60から出力される電力量を調整することにより、負荷へ供給させる電力量が減少してしまう事態を回避するとができる。
ステップS27において、EMS80は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72の放電が必要となったか否かを判定する。
こうして、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62の放電が必要となったと判定した場合(ステップS24で「YES」)には、再びステップS13の処理を行う。すなわち、EMS80は、第二のユニット60の第二の蓄電装置62が満充電となった場合には、当該第二の蓄電装置62に充電された電力を放電させることで、第一の太陽光発電装置31で発電された電力を無駄にせず、効率よく利用している。なおこの場合、EMS80は、各パワコン63・73において、停電時に各蓄電装置62・72の充電が禁止された連系運転を行うために、第二の擬似連系モードから第一の擬似連系モードへとモードを切り替える。
これに対して、EMS80は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72の放電が必要となっていないと判定した場合(ステップS27で「NO」)には、再びステップS26の処理を行う。
以上の如く、第一実施形態に係る電力供給システム1は、
商用電源90からの電力を負荷へ供給可能な分電盤10と、
太陽光(自然エネルギー)を利用して発電可能な第一の太陽光発電装置31(発電装置)、前記第一の太陽光発電装置31(発電装置)及び前記商用電源90からの電力を充放電可能な第一の蓄電装置32、及び前記第一の蓄電装置32の充放電を制御する第一のパワコン33(第一のパワーコンディショナー)を含み、前記商用電源90と連系して前記分電盤10へ電力を供給する連系運転と、前記商用電源90から独立して前記分電盤10へ電力を供給する自立運転と、を行うことができる第一のユニット30と、
前記負荷へと供給される電力の供給元を、前記商用電源90又は前記第一のユニット30に切り替える切替盤50と、
前記自立運転時に前記第一のユニット30から前記分電盤10に供給された電力の電圧を昇圧するトランス40と、
前記商用電源90からの電力を充放電可能な第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72、及び前記第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72の充放電を制御する第二のパワコン63・第三のパワコン73(第二のパワーコンディショナー)を含み、前記切替盤50よりも前記負荷側に配置されて前記分電盤10へ電力を供給する第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)と、
前記商用電源90の停電を検知可能な第四のセンサ24(停電検知部)と、
前記第四のセンサ24(停電検知部)の検知結果を取得可能であって、前記第一のユニット30の前記第一のパワコン33(第一のパワーコンディショナー)を制御して前記第一の蓄電装置32の充放電を行わせると共に、前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)の前記第二のパワコン63・第三のパワコン73(第二のパワーコンディショナー)を制御して前記第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72の充放電を行わせるEMS80(制御部)と、
を具備し、
前記EMS80(制御部)は、前記第四のセンサ24(停電検知部)が前記商用電源90の停電を検知すると、前記第一のユニット30の状態に応じて、前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)の前記第二のパワコン63・第三のパワコン73(第二のパワーコンディショナー)を制御する停電モード(第一の擬似連系モード及び第二の擬似連系モード)を実行するものである。
このような構成により、停電時において、第一の擬似連系モードが実行される場合には、各蓄電装置62・72の充電が禁止された連系運転が行われる。また、停電時において、第二の擬似連系モードが実行される場合には、第二のユニット60の第二の蓄電装置62(又は、第三のユニット70の第三の蓄電装置72)の充電が行われるが、各ユニット30・70(又は、各ユニット30・60)から出力される電力量を調整することにより、負荷へ供給させる電力量が減少してしまう事態を回避することができる。
また、前記停電モード(第一の擬似連系モード及び第二の擬似連系モード)が実行されると、
前記第一のユニット30・第二のユニット60・第三のユニット70(第一及び前記第二のユニット)のうち、前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)から優先して放電が行われるものである。
このような構成により、複数のユニットから適切な順番で負荷へと電力を供給することができる。
具体的には、前記第一のユニット30・第二のユニット60・第三のユニット70のうち、第一のユニット30から優先して放電が行われた場合には、第二のユニット60・第三のユニット70は適切に負荷追従運転を行うことができない。これに対して、前記第一のユニット30・第二のユニット60・第三のユニット70のうち、第二のユニット60・第三のユニット70から優先して放電が行われた場合には、当該第二のユニット60・第三のユニット70は適切に負荷追従運転を行うことができる。こうして、複数のユニットから適切な順番で負荷へと電力を供給することができる。
また、前記停電モード(第一の擬似連系モード及び第二の擬似連系モード)が実行されると、
前記EMS80(制御部)は、
前記第一の蓄電装置32が満充電であって、且つ前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)の前記第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72が充電可能である場合に、
前記第一のユニット30の前記第一の太陽光発電装置31(発電装置)で発電された電力を前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)の前記第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72に充電させるものである。
このような構成により、第一の太陽光発電装置31(発電装置)で発電された電力を無駄にすることなく有効に利用することができる。
また、前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)は、
前記商用電源90と前記負荷とを結ぶ配電線L1(電路)に複数配置され、
前記EMS80(制御部)は、
前記第一のユニット30の前記第一の太陽光発電装置31(発電装置)で発電された電力を前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)の前記第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72に充電させる場合に、
複数の前記第二のユニット60・第三のユニット70(第二のユニット)のうち、前記第一のユニット30側に配置されたユニットから優先して充電を行わせるものである。
このような構成により、複数のユニットから出力が行われる場合に当該出力が阻害されるのを回避することができる。
具体的には、例えば第二のユニット60・第三のユニット70からの出力で負荷の消費電力を賄っている場合に、第三のユニット70(負荷側に配置されたユニット)を優先して充電を行わせると、第二のユニット60(第一のユニット30側に配置されたユニット)からの出力が阻害されてしまう。これに対して、第二のユニット60(第一のユニット30側に配置されたユニット)から優先して充電を行わせることによって、前記出力が阻害されるのを回避することができる。
また、前記商用電源90の停電が解消された場合、
前記EMS80(制御部)は、前記停電モードを終了し、
前記第一のユニット30は、前記連系運転を行うものである。
このような構成により、通常時に適切に負荷へと電力を供給することができる。
なお、EMS80は、ステップS21において、第一のユニット30の第一のパワコン33からの出力が最大出力であるか否かを判定するため、当該第一のユニット30よりも負荷側に配置される各ユニット60・70に対して各蓄電装置62・72の放電のみを行うモードや、逆潮流を行わないモードを行わせることができる。すなわち、EMS80は、各ユニット60・70から出力される電力量や、各ユニット60・70に入力される電力量を調整することにより、停電時において所望の電力の供給態様とすることができる。
なお、本実施形態に係る第一の太陽光発電装置31は、本発明に係る発電装置の一実施形態である。
また、本実施形態に係る第二のユニット60・第三のユニット70は、本発明に係る第二のユニットの一実施形態である。
また、本実施形態に係る第二の蓄電装置62・第三の蓄電装置72は、本発明に係る第二の蓄電装置の一実施形態である。
また、本実施形態に係る第二のパワコン63・第三のパワコン73は、本発明に係る第二のパワコンの一実施形態である。
また、本実施形態に係るEMS80は、本発明に係る制御部の一実施形態である。
また、本実施形態に係る第一の擬似連系モード・第二の擬似連系モードは、本発明に係る停電モードの一実施形態である。
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、電力供給システム1の適用対象は、本実施形態のように、工場に限定されるものでない。すなわち、電力供給システム1は、工場以外の場所にも適用可能である。具体的には、事業所や集合住宅等に適用することができる。
また、本実施形態に係るEMS80は、例えば図示せぬホームサーバや、第一のパワコン33の制御部、第一の蓄電装置32の制御部、(電力供給システム1の適用対象が住宅である場合に)住宅に設けられたHEMS等により構成されてもよい。
また、本実施形態に係るEMS80は、第四のセンサ24の検出結果に基づいて停電の発生に関する情報を取得するものであったが、例えば第一のセンサ21の検出結果に基づいたり、図示せぬ他のセンサの検出結果やセンサ以外の他の機器が有する情報に基づいて停電の発生に関する情報を取得してもよい。
なお、本実施形態においては、第四のセンサ24は、配電線L1・L2の接続部よりも上流側に配置される。これによって、第四のセンサ24は、(複数個所の電力ではなく)1箇所の電力を検出することによりに、停電の発生に関する情報を取得することができる。すなわち、本実施形態においては、停電の発生に関する情報を取得するのに複数のセンサを設ける必要がないため、コスト削減を図ることができる。
また、本実施形態に係る第一の太陽光発電装置31は、自然エネルギーとして太陽光を利用するものとしたが、水力、風力、潮力等を利用してもよい。
また、本実施形態に係る切替盤50は、EMS80によって制御されたが、例えば第一のユニット30の第一のパワコン33等の他の制御部(機器)によって制御されてもよい。
また、本実施形態に係る第二のユニット60・第三のユニット70(すなわち、最も上流側(商用電源90側)に配置された第一のユニット30以外のユニット)は、2つだけでなく、3つや、4つ以上設けられてもよい。
また、本実施形態に係る第二のユニット60・第三のユニット70(すなわち、最も上流側(商用電源90側)に配置された第一のユニット30以外のユニット)は、自然エネルギーを利用して発電可能な発電装置が設けられてもよい。なお以下では、このような構成を有する電力供給システム(第二実施形態に係る電力供給システム100)について、図8を用いて説明を行う。
図8に示す第二実施形態に係る電力供給システム100の構成において、第一実施形態に係る電力供給システム1の構成と異なる点は、第二実施形態に係る第二のユニット160及び第三のユニット170が、第一実施形態に係る第二のユニット60及び第三のユニット70と異なって太陽光発電装置を具備する点である。
第二のユニット160は、負荷への電力の供給元の一つである。第二のユニット160は、第二の太陽光発電装置61、第二の蓄電装置62及び第二のパワコン63等を具備する。第二の太陽光発電装置61は、太陽光を利用して発電する装置である。第二のパワコン63は、異なる二つの配電線を介して第二の太陽光発電装置61及び第二の蓄電装置62とそれぞれ接続される。なお、第二のユニット160の構成(動き方)は、第一実施形態に係る第一のユニット30と略同様である。
第三のユニット170は、負荷への電力の供給元の一つである。第三のユニット170は、第三の太陽光発電装置71、第三の蓄電装置72及び第三のパワコン73等を具備する。第三の太陽光発電装置71は、太陽光を利用して発電する装置である。第三のパワコン73は、異なる二つの配電線を介して第三の太陽光発電装置71及び第三の蓄電装置72とそれぞれ接続される。なお、第三のユニット170の構成(動き方)は、第一実施形態に係る第一のユニット30と略同様である。
このような構成により、停電モードが実行される場合(すなわち、停電時である場合)の電力の供給態様において、停電時に負荷へ供給される電力量が減少してしまう事態をより確実に回避することができる。
具体的には、第二の太陽光発電装置61及び第三の太陽光発電装置71で発電された電力を、停電時に使用することができるため、例えば第一のユニット30からの出力だけで負荷の消費電力に不足が生じる場合であっても、不足する分だけの電力を第二の太陽光発電装置61及び第三の太陽光発電装置71(又は、第二の太陽光発電装置61及び第三の太陽光発電装置71からの電力を充電した第二の蓄電装置62及び第三の蓄電装置72)から負荷へと供給することができる。
また、例えば負荷の消費電力に対して第三のユニット170からの電力だけで賄えている場合であって、且つ余剰した電力が生じた場合には、配電線L1を商用電源90側へ流れた電力を、EMS80によって第二のユニット160の第二の蓄電装置62を充電させることで、逆潮流を防止することもできる。また、同様に、例えば負荷の消費電力に対して第二のユニット160及び第三のユニット170からの電力だけで賄えている場合であって、且つ余剰した電力が生じた場合には、配電線L1を商用電源90側へ流れた電力を、EMS80によって第一のユニット30の第一の蓄電装置32を充電させることで、逆潮流を防止することもできる。