以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
この発明の一実施形態に係る移動体情報伝送システムは、例えば、競艇場において、モータボート(以下、ボートと称する)から、撮像部としてのカメラにより撮像して得られた映像情報と、センサ部としてのGPS(Global Positioning System)センサにより測定して得られた移動体のGPS用アンテナ報とを無線変調波上で多重化して無線送信する。競艇場には複数のアンテナが分散配置されており、上記無線送信信号を上記複数のアンテナで受信して無線受信装置に伝送する。無線受信装置は、上記複数のアンテナから伝送された無線変調信号をダイバーシチ合成した後、この合成された無線変調信号から上記映像情報とGPS用アンテナ報とを分離し、分離された映像情報とGPS用アンテナ報を復号した後、ボート番号またはその操縦者名等の付加情報と共に表示装置の表示画面に一覧表示する。
(構成)
(1)移動体情報伝送システム
図1は、この発明の一実施形態に係る移動体情報伝送システムの全体構成を示す図である。
図1において、エリアAは競艇場の競争エリア(競争水面)を示している。このエリアAにおいて、複数のボートBが決められたコースを周回走行する。なお、図1では簡単のためボートを1台のみ示している。
ボートBには、無線送信装置2が搭載されている。無線送信装置2は、撮像部としてのカメラCと、無線送信部Dと、映像伝送用アンテナE1と、制御用アンテナF1と、GPS用アンテナGとを備えている。映像伝送用アンテナE1は送信のみ、制御用アンテナF1は送受信、GPS用アンテナGは受信のみにそれぞれ対応する。なお、カメラCおよび各アンテナE1,F1,Gは、必ずしも無線送信装置2内に備える必要はなく、装置外に設けてもよい。
カメラCは、船体に設置された小型のオンボードカメラである。カメラCは、例えばボートBの進行方向を撮影する。カメラCは、撮影により得られた映像信号を無線送信部Dへ出力する。
GPS用アンテナGは、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をそれぞれ受信し、受信された各GPS信号を無線送信部Dに入力する。
無線送信部Dは、カメラCから出力された映像信号をTS(Transport Stream)パケット化する。また、GPS用アンテナGにより受信された各GPS信号をもとに、緯度経度により表されるボートBのGPS用アンテナ報を求め、このGPS用アンテナ報のシリアル信号をパケット化する。そして、上記映像信号のTSパケット(映像パケット)およびGPS用アンテナ報のパケット(GPS用アンテナ報パケット)を用いて、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により所定周波数のサブキャリアをディジタル変調し、上記映像パケットおよびGPS用アンテナ報パケットが多重化されたOFDM変調波信号を生成する。無線送信部Dは、上記生成されたOFDM変調波信号を増幅した後、映像用アンテナE1から電波として送出する。なお、無線送信部Dの詳細な構成は後述する。
無線受信システム1は、複数台(図1では4台)の映像用アンテナE2a〜E2dと、これらの映像用アンテナE2a〜E2dにそれぞれ接続される複数のE/O変換部11a〜11dと、O/E変換部12a〜12dと、光ファイバケーブル13a〜13dと、無線受信部14と、表示処理部15と、制御用アンテナF2と、制御無線部16と、制御部17と、記憶部18と、表示デバイス19とを備えている。上記映像用アンテナE2a〜E2dは受信のみ、制御用アンテナF2は送受信にそれぞれ対応する。
無線受信システム1を構成する上記各構成要素のうち、O/E変換部12a〜12d、無線受信部14、表示処理部15、制御用アンテナF2、制御無線部16、制御部17および記憶部18は、無線受信装置3を構成する。なお、O/E変換部12a〜12dは必ずしも無線受信装置3内に設ける必要はなく、無線受信装置3外に配置することも可能である。
複数台の映像用アンテナE2a〜E2dおよびE/O変換部11a〜11dは、競艇場の競争エリアAの周囲の異なる複数の位置に分散配置してある。E/O変換部11a,11b,11c,11dのそれぞれと、O/E変換部12a,12b,12c,12dのそれぞれとの間は、光ファイバケーブル13a,13b,13c,13dのそれぞれにより接続されている。O/E変換部12a〜12dはいずれも無線受信部14に接続されている。なお、上記光ファイバケーブル13a,13b,13c,13dは等長であることが望ましいが、必ずしも等長である必要はない。
映像用アンテナE2a〜E2dはいずれも指向性アンテナにより構成され、ボートBの映像用アンテナE1から無線送信された電波を受信できるように、競争エリアAの方向に指向性を形成するように配置される。
E/O変換部11a,11b,11c,11dのそれぞれは、映像用アンテナE2a,E2b,E2c,E2dのそれぞれにより受信されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号を電気信号から光信号に変換する。そして、変換された光信号をそれぞれ光ファイバケーブル13a,13b,13c,13dへ送信する。
光ファイバケーブル13a,13b,13c,13dは、それぞれE/O変換部11a,11b,11c,11dから出力された光信号をO/E変換部12a,12b,12c,12dへ伝送する。
O/E変換部12a,12b,12c,12dのそれぞれは、光ファイバケーブル13a,13b,13c,13dのそれぞれを介して伝送された光信号を電気信号に変換し、さらに増幅した後、無線受信部14へ出力する。
映像用アンテナE2a、E/O変換部11a、光ファイバケーブル13aおよびO/E変換部12aによりブランチ10aが構成される。同様に、映像用アンテナE2b、E/O変換部11b、光ファイバケーブル13bおよびO/E変換部12bによりブランチ10bが、映像用アンテナE2c、E/O変換部11c、光ファイバケーブル13cおよびO/E変換部12cによりブランチ10cが、また映像用アンテナE2d、E/O変換部11d、光ファイバケーブル13dおよびO/E変換部12dによりブランチ10dがそれぞれ構成される。すなわち、一実施形態のシステムは、受信系において4個のブランチ10a〜10dを備える。
無線受信部14は、上記O/E変換部12a,12b,12c,12dから入力されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号を、ボートBと同数の復調部に分配した後、各復調部にて、ボートBの各々に対応する各チャネルch1〜ch4の周波数に応じて復調する。そして、チャネルch1〜ch4ごとに復調信号から映像パケットとGPS用アンテナ報パケットとを分離し、この分離された各チャネルch1〜ch4の映像パケットおよびGPS用アンテナ報パケットを表示処理部15に入力する。
表示処理部15は、上記各チャネルch1〜ch4ごとに、映像パケットおよびGPS用アンテナ報パケットをそれぞれ復号して映像信号およびGPS用アンテナ報信号を再生し、これらの映像信号およびGPS用アンテナ報信号を所定の表示レイアウトに編集して表示データを生成し、表示デバイス19に表示させる。無線受信部14および表示処理部15の詳細な構成については後述する。
制御部17は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有し、無線受信装置3の全般的な制御を担う。制御部17は、無線受信部14、表示処理部15、制御無線部16および記憶部18にバスまたは信号線を介して接続されている。また、制御部17には、例えば場内のコントロールセンタ等に設置されたコントロール端末(図示省略)から、種々のコマンドが入力されてもよい。コマンドは、コントロール端末と制御部17とを信号線で接続して制御部17に入力されるようにしてもよいし、コントロール端末に接続された無線機から無線送信して制御無線部16を介して制御部17に入力されるように構成してもよい。
制御無線部16は、制御用アンテナF2に接続され、ボートBの制御用アンテナF1を介して無線送信部Dとの間で無線通信を行う。制御無線部16は、例えば、制御部17から出力された制御信号(命令)を無線送信部Dに向けて送出することで、無線送信部Dの無線出力のON/OFF、および周波数の設定等を遠隔制御する。また、各ボートBにそれぞれ搭載された無線送信部Dが使用するチャネルを例えば時分割で管理する。これにより、各ボートBの無線送信部Dから送信される無線変調波信号を混信せずに無線受信装置3で受信させることができる。この制御信号用に使用される周波数帯域は映像信号用に使用されるチャネルの帯域とは異なるため、制御信号と映像信号とは混信しない。
記憶部18は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のメインメモリと、EEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)等の補助記憶デバイスとを含む。ROMには、制御部17のプロセッサに制御処理を実行させるためのプログラム等が記憶されている。RAMおよび補助記憶デバイスには制御部17の指示により種々のデータが書き込まれ、また、RAMおよび補助記憶デバイスから種々のデータが読み出される。
(2)無線送信装置2
(2−1)無線送信装置2の全体構成
図2は、無線送信装置2の無線送信部Dの構成を示すブロック図である。
無線送信部Dは、エンコーダ20と、変調部21と、GPS無線部22と、制御部23と、送信電力増幅器(アンプ)24と、制御無線部25とを備えている。エンコーダ20はカメラCに接続され、GPS無線部22はGPS用アンテナGに接続され、アンプ24は映像用アンテナE1に接続され、制御無線部25は制御用アンテナF1に接続される。
制御無線部25は、無線受信装置3の制御無線部16との間で無線通信を行う。制御無線部25は、制御用アンテナF1により受信された、制御無線部16からの命令を制御部23に入力する。また制御無線部25は、制御無線部16から入力された命令を正しく受信した場合には、制御無線部16に応答メッセージ(受信応答)を送信する。
制御部23は、エンコーダ20、変調部21、GPS無線部22および制御無線部25に接続されている。制御部23には、無線受信装置3の制御部17から送信された命令が、制御無線部16、制御用アンテナF2、制御用アンテナF1および制御無線部25を介して入力される。制御部23は、この命令に従い、エンコーダ20の伝送レートおよびエンコード方式等の設定、並びに変調部21の誤り訂正符号化方式、時間インターリーブの深さ、および周波数チャネル等の設定、GPS無線部22のシリアル通信の伝送レートの設定(GPS用アンテナ報の出力間隔や出力形式等により伝送レートは決定される)を行う。
また制御部23は、変調部21に対して、GPS無線部22のシリアル通信の伝送レート(例えば、19200bpsや38400bps等)に応じた、GPS用アンテナ報信号の変調のため、パケット構造および誤り訂正符号化方式等の設定を行う。
エンコーダ20は、カメラCから出力される例えばHD−SDI信号等の映像信号を、例えばH.265またはH.264方式により符号化(エンコード)する。そして、符号化された映像信号をTSパケットに変換し、このTSパケット化された映像信号(映像パケット)を変調部21へ出力する。
変調部21は、映像信号符号化部210と、OFDM変調部211と、GPS用アンテナ報信号符号化部212とを備えている。
映像信号符号化部210は、エンコーダ20から出力された、映像パケットに対し誤り訂正符号化を行う。GPS用アンテナ報信号符号化部212は、GPS無線部22から入力されたGPS用アンテナ報信号(シリアル信号)をパケットに変換し、このパケット化されたGPS用アンテナ報信号(GPS用アンテナ報パケット)に対し誤り訂正符号化する。OFDM変調部211は、上記映像信号符号化部210から出力された映像パケットと、上記GPS用アンテナ報信号符号化部212から出力されたGPS用アンテナ報パケットとによりOFDM変調波を変調し、所定周波数のOFDM変調波信号を出力する。つまり、映像パケットおよびGPS用アンテナ報パケットを、同一のOFDM変調波上で多重化する。
なお、上記GPS用アンテナ報信号の代わりに、例えば、温度センサや気圧センサにより測定された温度情報や気圧情報、高度センサにより測定された高度情報、速度センサにより測定された速度情報等を、パケットに変換し、パケット化された信号に対し誤り訂正符号化し、OFDM変調波上で映像パケットと共に多重化して伝送するようにしてもよい。
OFDM変調部211は、上記OFDM変調波信号を送信電力増幅器(アンプ)24へ出力する。アンプ24は、OFDM変調部211から出力されたOFDM変調波信号を既定の送信電力値となるように増幅し、映像用アンテナE1へ出力する。映像用アンテナE1は、上記OFDM変調波信号を無線送信する。
(2−2)変調部21の構成
図3は、上記変調部21が備える映像信号符号化部210、GPS用アンテナ報信号符号化部212およびOFDM変調部211の構成例を示すブロック図である。
映像信号符号化部210は、TSパケット構造部120と、エネルギ拡散部121と、外符号誤り訂正符号化部122と、バイトインターリーブ部123と、内符号誤り訂正符号化部124と、ビットインターリーブ部125と、映像信号キャリア変調部126と、周波数インターリーブ部127と、時間インターリーブ部128と、パイロット・TMCCキャリア変調部129とを備えている。
TSパケット構造部120は、エンコーダ20から出力された映像の符号化データを、例えば188バイトのTSパケット構造として出力する。エネルギ拡散部121は、上記TSパケット構造部120から出力された映像パケットを、例えば任意のPN符号によりランダマイズする。外符号誤り訂正符号化部122は、上記エネルギ拡散部121から出力された映像パケットを、例えばリードソロモン符号等のブロック符号により誤り訂正符号化する。
バイトインターリーブ部123は、上記外符号誤り訂正符号化部122から出力された映像パケットを、バイト単位で並べ替える。内符号誤り訂正符号化部124は、上記バイトインターリーブ部123から出力された映像パケットを、例えば畳込み符号により誤り訂正符号化する。ビットインターリーブ部125は、上記内符号誤り訂正符号化部124から出力された映像パケットを、ビット単位で並べ替える。
映像信号キャリア変調部126は、例えば16QAMや64QAM等の変調方式を使用して、上記ビットインターリーブ部125から出力された映像パケットのデータによりサブキャリアを変調する。周波数インターリーブ部127は、上記映像信号キャリア変調部126から出力されたサブキャリア変調信号を、周波数軸方向に並べ替える。時間インターリーブ部128は、上記周波数インターリーブ部127から出力されたサブキャリア変調信号を時間軸方向に並べ替え、OFDM変調部211へ出力する。
パイロット・TMCCキャリア変調部129は、パイロットおよびTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control:伝送多重制御信号)キャリアを生成し、OFDM変調部211へ出力する。
GPS用アンテナ報信号符号化部212は、シリアル信号インタフェース部1210と、パケット構造部1211と、誤り訂正符号化部1212と、GPS用アンテナ報信号キャリア変調部1213とを備えている。
シリアル信号インタフェース部1210は、GPS無線部22から出力されたGPS用アンテナ報信号を、シリアル通信インタフェースを使用してシリアル信号として読み込んで一旦バッファに保存する。パケット構造部1211は、上記シリアル信号インタフェース部1210のバッファからGPS用アンテナ報のシリアル信号を読み込んでパケットに変換する。
なお、パケット構造部1211は、入力されるシリアル信号の無い場合でも、OFDM変調波信号を変調するタイミングでパケット化を行う。すなわち、OFDM変調波信号を変調するタイミングでシリアル信号が受信されていない場合にはデータ部がNULLとなるため、実際のデータの(0)との区別がつかない。そこで、データの有無を判別するために、パケットのヘッダ部に有効データ数を記録して伝送し、無線受信装置3で復号するときにヘッダ部とデータ部を読み取ることでシリアル信号を再現することを可能にする。
誤り訂正符号化部1212は、上記GPS用アンテナ報パケットを、例えばリードソロモン符号等のブロック符号により誤り訂正符号化する。GPS用アンテナ報信号キャリア変調部1213は、例えばBPSK等の変調方式を使用して、上記誤り訂正符号化部1212から出力されたGPS用アンテナ報パケットによりOFDMシンボルのサブキャリアを変調する。そして、変調されたOFDMシンボルのサブキャリアをOFDM変調部211へ出力する。
OFDM変調部211は、OFDMマッピング部1214と、逆高速フーリエ変換(IFFT)部1215と、ガードインターバル付加部1216と、直交変調部1217とを備えている。
OFDMマッピング部1214は、映像信号符号化部210および位置情報信号符号化部212からそれぞれ出力された映像のOFDMサブキャリアおよび位置情報のサブキャリアを、OFDMマッピングする。すなわち、映像パケットのデータと位置情報パケットのデータとを同一のOFDM変調波上に多重化する。
IFFT部1215は、上記OFDMマッピング部1214から出力されたOFDM変調波信号を時間軸の信号に変換する。ガードインターバル付加部1216は、上記IFFT部1215から出力されたOFDM変調波信号の前部もしくは後部に、OFDMシンボル同期のため、もしくは干渉波による影響を低減するための、ガードインターバルを付加する。
直交変調部1217は、上記ガードインターバル付加部1216から出力されたOFDM時間軸信号に対し、直交変調(フィルタ処理および周波数変換)を行い、これらの処理が行われたOFDM変調波信号をアンプ24に出力する。
(3)無線受信装置3
(3−1)無線受信装置3の全体構成
図4は、無線受信装置3の全体構成を示すブロック図である。
無線受信装置3は、その主要構成要素として、無線受信部14と、表示処理部15とを備える。無線受信部14は、O/E変換部12a〜12dと同数の分配器30(30a〜30d)と、ボートB(もしくは分配器30a〜30dの分配数)と同数の復調部31(31a〜31d)を備えている。
分配器30a〜30dのそれぞれは、入力された信号を複数に分配して出力する一般的な分配器からなり、上記分配数に対応する数(ここでは4個)の出力端子を有している。
分配器30a〜30dのそれぞれは、O/E変換部12a〜12dのそれぞれから出力されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号(映像用アンテナE2a〜E2dで受信されたOFDM変調波信号)を、ボートBと同数の、OFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号(ここではsp1〜sp4)に分配し、分配したOFDM変調波信号(分配器出力sp1〜sp4とも云う)を復調部31a〜31dへ出力する。
復調部31a〜31dのそれぞれは、OFDM復調部310a〜310dと、ダイバーシチ合成部311と、映像信号復号部312と、位置情報復号部313とを備えている。なお、各復調部31a〜31dの構成は同一なので、図4では復調部31aの構成のみを示している。
OFDM復調部310a〜310dは、それぞれの分配器出力sp1〜sp4に対応付けて設けられている。OFDM復調部310aには、分配器30a〜30dから出力される分配器出力sp1のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号が入力される。同様に、OFDM復調部310bには各分配器30a〜30dから出力される分配器出力sp2のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号が、OFDM復調部310cには各分配器30a〜30dから出力される分配器出力sp3のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号が、OFDM復調部310dには各分配器30a〜30dから出力される分配器出力sp4のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号が、それぞれ入力される。
OFDM復調部310a〜310dはそれぞれ、分配器30a〜30dからの分配器出力sp1に対して、チャネルch1の復調をする。すなわち、各分配器30a〜30dから出力される分配器出力sp1のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号のうち、制御部17より指示された周波数チャネル(ここではチャネルch1)のOFDM変調波信号に対してOFDM復調を行う。その際、OFDM復調部310a〜310dは、OFDM変調波信号に対してシンボル同期を行う。これにより、OFDM変調波信号のシンボルを取り出すタイミングを検出することができる。さらにOFDM復調部310a〜310dは、ベースバンド帯域におけるスペクトル信号(サブキャリアが配置された周波数信号)への変換を行う。
同様に、復調部31bの各OFDM復調部は、分配器30a〜30dのそれぞれの分配器出力sp2に対して、チャネルch2の復調をする。復調部31cの各OFDM復調部は、分配器30a〜30dのそれぞれの分配器出力sp3に対して、チャネルch3の復調をする。復調部31dの各OFDM復調部は、分配器30a〜30dのそれぞれの分配器出力sp4に対して、チャネルch4の復調をする。
ダイバーシチ合成部311は、上記OFDM復調部310a〜310dから出力されたベースバンドのOFDM復調信号を最大比合成し、1つのOFDM合成信号を生成する。そして、ダイバーシチ合成部311は、OFDM合成信号を映像信号復号部312および位置情報復号部313へ出力する。
映像信号復号部312は、上記OFDM合成信号に対しデマッピング処理を行い、これにより映像パケットを分離抽出する。そして、この映像パケットに対しデインターリーブ、誤り訂正復号およびTSパケット化等の処理を順次行い、これにより得られた映像信号ch1を表示処理部15へ出力する。なお、上記デマッピングする際のディジタル変調の多値数および誤り訂正復号方式は、変調側に合わせるべく制御部17から指示される。
位置情報復号部313は、上記ダイバーシチ合成回路311から出力されたOFDM合成信号に対しデマッピング処理を行い、これにより位置情報パケットを分離抽出する。そして、この位置情報パケットに対し、誤り訂正復号およびシリアル信号化等の処理を順次行い、これにより得られた位置情報信号ch1を表示処理部15に出力する。
すなわち、復調部31aは、チャネルch1の復調をするため、映像信号復号部312の出力を映像信号ch1、位置情報信号復号部313の出力を位置情報信号ch1とする。同様に、復調部31bは、チャネルch2の復調をするため、出力を映像信号ch2、位置情報信号ch2とする。復調部31cは、チャネルch3の復調をするため、出力を映像信号ch3、位置情報信号ch3とする。復調部31dは、チャネルch4の復調をするため、出力を映像信号ch4、位置情報信号ch4とする。これらのチャネルは、ボートBに対応する各チャネルch1〜ch4に対応する。
表示処理部15は、上記復調部31a〜31dに対応して設けられた複数のデコーダ32a〜32dと、キャプチャボード33と、位置情報信号マルチプレクサ34と、画面編集部35と、操作部36とを備えている。
デコーダ32a〜32dはそれぞれ、復調部31a〜31dの映像信号復号部312から出力された映像信号ch1〜ch4のパケットをH.265またはH.264方式等で復号化する。そして、デコーダ32a〜32dは、復号された映像信号をキャプチャボード33の映像信号マルチプレクサ330へ出力する。
映像信号マルチプレクサ330は、デコーダ32a〜32dから出力された映像信号をそれぞれ受け取り、画面編集部35に上記各映像信号を出力する。位置情報信号マルチプレクサ34は、復調部31a〜31dの位置情報復号部313からそれぞれ出力された位置情報信号ch1〜ch4をそれぞれ受け取り、画面編集部35に各位置情報信号を出力する。
画面編集部35は、操作部36において入力される指示情報に従い、表示デバイス19の表示画面上に情報を表示するための表示レイアウトを決定する。この表示レイアウトは、例えば、映像表示エリアと、地図・軌跡表示エリアと、凡例・数値表示エリアとを有する。
映像表示エリアは、映像をチャネルch1〜ch4別に、つまりボートB別に表示する複数のチャネルエリアを含む。地図・軌跡表示エリアは、各ボートBの移動軌跡を競艇場内の地図上にマッピングして表示するために用いられる。凡例・数値表示エリアは、ボート番号または操縦者名等の付加情報をテキスト表示するために使用される。
なお、表示レイアウトは、映像表示エリアだけを備えるものであってもよく、また各表示エリアの配置位置やサイズ等は、操作部36において入力される指示情報に従い変更可能である。
画面編集部35は、上記映像信号マルチプレクサ330から出力される各ボートBの映像信号を、上記映像表示エリアの対応するチャネルエリアに表示するように、表示データを編集する機能を有する。
また画面編集部35は、上記位置情報信号マルチプレクサ34から出力される各ボートBの位置情報をもとにボートBの移動軌跡を示す情報を生成する。そして、当該移動軌跡を示す情報を上記地図・軌跡表示エリアに表示させるために、上記移動軌跡を示す情報を競艇場内の地図上にマッピングした表示データを編集する機能を有する。
さらに画面編集部35は、例えば、操作部36により入力されるボート番号または操縦者名等のテキストデータを、付加情報として上記凡例・数値表示エリアに表示させるべく、上記表示データを編集する機能を有する。付加情報としては、他に、移動体に搭載された温度センサや気圧センサにより測定された温度情報や気圧情報、高度センサにより測定された高度情報、速度センサにより測定された速度情報等を含めることができる。
なお、画面編集部35の各処理機能は、無線受信装置3内に設けず、無線受信装置3とは別に配置される、例えば汎用パーソナルコンピュータに設けるようにしてもよい。この場合、操作部36は上記パーソナルコンピュータに附属するマウスやキーボード等の入力デバイスを用いることができる。
表示デバイス19としては、例えば、競艇場の多数の観客が一度に視認できるような大画面のモニタ装置が用いられる。画面編集部35と表示デバイス19との間は映像用の信号ケーブルにより接続される。画面編集部35は、表示データを、表示デバイス19のインタフェースに適合する形式(例えば、HD−SDI信号や3G−SDI信号、HDMI(登録商標)信号等)により出力する。
(3−2)復調部31a〜31dの構成例
図5は、復調部31aの構成例を示すブロック図である。なお、復調部31b〜31dの構成は復調部31aと同一なので、ここでは復調部31aについてのみ説明し、復調部31b〜31dの説明は省略する。
OFDM復調部310a〜310dは、直交復調部130と、OFDMシンボル同期部131と、ガードインターバル除去部132と、高速フーリエ変換(FFT)部133と、等化部134とを備えている。
直交復調部130は、分配器30a〜30dの分配器出力sp1から出力されるOFDM変調信号に対し、それぞれ直交復調(周波数変換およびフィルタ処理)を順次行って、ベースバンドのOFDM信号を出力する。OFDMシンボル同期部131は、上記直交復調部130から出力されたベースバンドのOFDM信号から有効シンボル位置を特定し、ガードインターバル除去部132に通知する。ガードインターバル除去部132は、上記通知に従い、上記OFDM信号から有効シンボルのみを抽出する。FFT部133は、上記OFDM信号を時間軸から周波数軸の信号に変換する。等化部134は、上記OFDM周波数信号に対し、伝送路で受けた振幅・周波数歪みを推定して補償する処理を行う。
ダイバーシチ合成部311は、信号合成部135と、OFDMデマッピング部136とを備える。信号合成部135は、OFDM復調部310a〜310dからそれぞれ出力されるOFDM周波数信号に対し、信号間の遅延差をバッファ回路を用いて補償してタイミングを揃えた後、最大比合成する。
OFDMデマッピング部136は、上記信号合成部135から出力されたOFDM合成信号から、映像信号用のキャリアと、位置情報信号用のキャリアと、パイロットおよびTMCC等の制御用キャリアとを分離する。そして、映像信号用のキャリアおよび制御用キャリアを映像信号復号部312に、また位置情報信号用のキャリアを位置情報復号部313にそれぞれ出力する。
映像信号復号部312は、時間デインターリーブ部137と、周波数デインターリーブ部138と、映像信号キャリア復調部139と、ビットデインターリーブ部1310と、内符号を用いた誤り訂正復号部1311と、バイトデインターリーブ部1312と、外符号を用いた誤り訂正復号部1313と、エネルギ逆拡散部1314と、TSパケット構造部1315と、TMCCキャリア復調部1316とを備えている。
時間デインターリーブ部137は、ダイバーシチ合成部311から出力された映像信号用のキャリアについて、無線送信側の時間インターリーブ部128により行われた並べ替えとは逆の時間軸上の並べ替え処理を行い、時間軸方向の位置を元に戻す。周波数デインターリーブ部138は、上記時間デインターリーブされた後の映像信号用のキャリアについて、無線送信側の周波数インターリーブ部127による並べ替えとは逆の周波数軸上の並べ替え処理を行い、周波数軸方向の位置を元に戻す。
映像信号キャリア復調部139は、上記映像信号用のキャリアにおいて変調された16QAMや64QAMのシンボルをビット列(1/0)に変換する。ビットデインターリーブ部1310は、上記映像信号キャリア復調部139から出力された映像パケットについて、ビット単位で、無線送信側のビットインターリーブ部125による並べ替えとは逆の並べ替え処理を行い、ビットの配置位置を元に戻す。
内符号を用いた誤り訂正復号部1311は、上記ビットデインターリーブされた後の映像パケットに対し、例えばビタビ復号により誤り訂正復号する。バイトデインターリーブ部1312は、上記誤り訂正復号された映像パケットについて、バイト単位で、無線送信側のバイトインターリーブ部123による並べ替えとは逆の並べ替えを行い、バイトの配列を元に戻す。
外符号を用いた誤り訂正復号部1313は、上記バイトデインターリーブされた後の映像パケットに対し、例えばリードソロモン符号を用いた誤り訂正復号処理を行う。エネルギ逆拡散部1314は、上記外符号を用いて誤り訂正復号された後の映像パケットに対し、変調側と同じPN符号でデランダマイズ処理する。TSパケット構造部1315は、エネルギ逆拡散された後の映像パケットをTSパケット化し、これにより生成されたTSパケットをデコーダ32aへ出力する。
TMCCキャリア復調部1316は、TMCCキャリアを復調する。
位置情報復号部313は、位置情報信号キャリア復調部1317と、誤り訂正復号部1318と、パケット構造部1319と、シリアル信号インタフェース部1320とを備えている。
位置情報信号キャリア復調部1317は、上記OFDMデマッピング部136から出力された位置情報信号のキャリアにおいて、サブキャリア変調されたBPSK等のシンボルをビット列(1/0)に変換する。
誤り訂正復号部1318は、上記復調された位置情報パケットに対し、例えばリードソロモン符号等のブロック符号を用いた誤り訂正復号を行う。パケット構造部1319は、上記誤り訂正復号された位置情報パケットのヘッダ部より、シリアル信号の復号対象となるパケットを抽出する。シリアル信号インタフェース部1320は、上記抽出された位置情報パケットをシリアル信号に変換し、当該シリアル信号を位置情報信号マルチプレクサ34へ出力する。
(動作)
次に、以上のように構成された移動体情報伝送システムの動作を説明する。
なお、ここでは競艇場において4台のボートBが走行する場合を例にとって説明するが、各ボートBに搭載されている無線送信装置2の動作は同一のため、無線送信装置2の動作は1台のボートBについてのみ説明する。また、各ボートBの無線送信装置2が使用するOFDM変調波の周波数や変調方式、誤り訂正方式、使用チャネル等については、無線受信装置3の制御部17から指示(命令)されているものとして説明を行う。
(1)ボート側の無線送信装置2の動作
ボートBが走行を開始すると、その走行方向の映像がカメラCにより撮影され、この撮影により得られた映像信号が無線送信部Dに入力される。無線送信部Dでは、上記映像信号が、先ずエンコーダ20において例えばH.265またはH.264方式により符号化され、さらにTSパケット化された後、変調部21に入力される。変調部21では、上記映像のTSパケットに対し図3に示す各部により無線送信するための符号化が行われる。
すなわち、上記映像のTSパケットは、TSパケット構造部120により188バイトのTSパケットとして同期が取られた後、エネルギ拡散部121においてPN符号によりランダマイズされ、続いて外符号誤り訂正符号化部122により例えばリードソロモン符号等のブロック符号により誤り訂正符号化される。そして、誤り訂正符号化された映像パケットは、バイトインターリーブ部123によりバイト単位で並べ替えられた後、内符号誤り訂正符号化部124において例えば畳込み符号により誤り訂正符号化され、さらにビットインターリーブ部125によりビット単位で並べ替えられた後、映像信号キャリア変調部126に入力される。
映像信号キャリア変調部126では、上記映像パケットのデータにより、例えば16QAMや64QAM等の変調方式を使用してサブキャリアが変調される。そして、この映像パケットのデータにより変調されたOFDMシンボルのサブキャリアは、周波数インターリーブ部127により周波数方向に並べ替えされた後、さらに時間インターリーブ部128により時間方向に並べ替えられ、しかる後OFDM変調部211に入力される。
一方、GPS無線部22では、GPS信号をもとにボートBの位置情報が計算され、この位置情報を表す信号が位置情報信号符号化部212に入力される。位置情報信号符号化部212では、上記位置情報信号がシリアル信号インタフェース部1210によりシリアル信号として読み出され、さらにパケット構造部1211でパケット化された後、誤り訂正符号化部1212において例えばリードソロモン符号等のブロック符号により誤り訂正符号化されて、位置情報信号キャリア変調部1213に入力される。位置情報信号キャリア変調部1213では、上記誤り訂正符号化された位置情報パケットのシリアル信号により、例えばBPSK等の変調方式を使用してOFDMシンボルのサブキャリアが変調される。そして、この変調されたOFDMシンボルのサブキャリアはOFDM変調部211に入力される。
さて、上記映像のOFDMサブキャリアおよび上記位置情報のサブキャリアがOFDM変調部211に入力されると、OFDM変調部211では、先ずOFDMマッピング1214により、上記映像のOFDMサブキャリアおよび位置情報のサブキャリアをOFDMシンボル内のサブキャリアに配置するOFDMマッピングが行われる。すなわち、映像パケットのデータと位置情報パケットのデータは、OFDM変調部211において同一のOFDM変調波上に多重化される。
そして、上記OFDMマッピングされたOFDMサブキャリアは、IFFT部1215によりOFDM時間信号に変換された後、ガードインターバル付加部1216によりガードインターバルを付加され、さらに直交変調部1217において周波数変換、フィルタ処理および直交変調が行われる。この直交変調されたOFDM変調は信号は、アンプ24で所定の送信電力となるように増幅された後、映像用アンテナE1から送信される。
(2)無線受信システム1の動作
上記ボートBの映像用アンテナE1から送信されたOFDM変調波信号は、競艇場の競争エリアAの周囲に分散配置された4台の映像用アンテナE2a〜E2dにより受信される。そして、上記受信されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号は、それぞれE/O変換部11a〜11dにより光信号に変換された後、光ファイバケーブル13a〜13dを介して無線受信装置3に伝送される。
無線受信装置3では、上記伝送されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号の光信号が、O/E変換部12a〜12dにより電気信号に変換された後、分配器30a〜30dにおいて各ボートBに対応するチャネルch1〜ch4と同数(sp1〜sp4)に分配され、分配されたOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号が、それぞれ復調部31a〜31dに入力される。
復調部31a〜31dではそれぞれ、上記入力された、上記映像用アンテナE2a〜E2dに対応する4系統のOFDM変調波の全チャネルを含む周波数帯域信号のうち、チャネルch1〜ch4それぞれのOFDM変調波信号に対して、先ずOFDM復調部310a〜310dにおいて復調され、これによりベースバンドのOFDM復調信号となってダイバーシチ合成部311に入力される。
ダイバーシチ合成部311では、上記4系統のベースバンドOFDM復調信号が、信号間の遅延差が補償された後、信号合成部135により最大比合成されて1系統のOFDM合成信号となる。そして、OFDMデマッピング部136において、上記OFDM合成信号から、映像信号用のキャリアと、位置情報信号用のキャリアと、パイロットおよびTMCC等の制御用キャリアが分離される。このうち、映像信号用のキャリアおよび制御用キャリアは映像信号復号部312に、また位置情報信号用のキャリアは位置情報復号部313にそれぞれ入力される。
映像信号復号部312では、上記映像信号用のキャリアにおいて、先ず時間デインターリーブ部137により時間軸方向のデータの配置位置が復元された後、周波数デインターリーブ部138により周波数軸上の並び位置が復元される。続いて映像信号キャリア復調部139において、上記映像信号用のキャリアの16QAMや64QAMのシンボルがビット列(1/0)に変換される。そして、上記ビット列に変換された映像パケットは、ビットデインターリーブ部1310によりビット位置が復元された後、内符号誤り訂正復号部1311に入力される。
内符号誤り訂正復号部1311では、上記ビットデインターリーブされた後の映像パケットに対し、例えばビタビ復号を用いて誤り訂正復号が行われる。そして、この誤り訂正復号された映像パケットは、バイトデインターリーブ部1312によりバイトの配置が復元された後、外符号誤り訂正復号部1313において、例えばリードソロモン符号を用いた誤り訂正復号が行われる。エネルギ逆拡散部1314では、上記誤り訂正復号された映像パケットに対し、変調側と同じPN符号でデランダマイズ処理が行われる。そして、デランダマイズされた映像パケットは、TSパケット構造部1315によりTSパケット化された後、それぞれ対応するデコーダ32a〜32dに入力される。
デコーダ32a〜32dではそれぞれ、復調部31a〜31dの映像信号復号部312から出力された映像パケットがH.265またはH.264方式により復号され、この復号された映像信号はキャプチャボード33の映像信号マルチプレクサ330を介して画面編集部35に入力される。
一方、位置情報復号部313では、先ず位置情報信号キャリア復調部1317において、上記OFDMデマッピング部136から出力された位置情報信号のキャリアのシンボルがビット列に変換される。続いて、このビット列に変換された位置情報パケットは、誤り訂正復号部1318により、例えばリードソロモン符号等のブロック符号を用いて誤り訂正復号される。そして、パケット構造部1319により、上記誤り訂正復号された位置情報パケットからシリアル信号の復号対象となるパケットが抽出され、この抽出された位置情報パケットはシリアル信号インタフェース部1320によりシリアル信号に変換される。このシリアル信号は位置情報信号マルチプレクサ34を介して画面編集部35に入力される。
(3)画面編集
画面編集部35は、操作部36により入力されたレイアウト指定情報に従い、表示デバイス19にボートBの映像、位置情報に基づく移動軌跡および付加情報を表示するための表示レイアウトを設定する。そして、画面編集部35は、上記映像信号マルチプレクサ330を介して受け取った各ボート(チャネルch1〜ch4)の映像信号と、位置情報信号マルチプレクサ34を介して受け取った各ボート(チャネルch1〜ch4)の位置情報信号と、操作部36において入力された付加情報を、上記設定された表示レイアウトに従いその各表示エリアに割り当てる処理を行う。
以下のその具体例を示す。
(3−1)映像のみを表示する場合
操作部36により映像のみを表示するレイアウト指定情報が入力された場合、画面編集部35は映像表示エリアのみを有する表示レイアウトを設定する。映像表示エリアには、同時に走行するボートBの数に対応する数の表示エリアが、上記映像表示エリアを領域分割して設定される。図6はその一例を示すもので、この例では表示画面の全域40を使用して4台のボートB(チャネルch1〜ch4)に対応する4個の表示エリア401〜404が設定される。
画面編集部35は、映像信号マルチプレクサ330を介して受け取った各ボート(チャネルch1〜ch4)の映像信号を、上記4個の映像表示エリア401〜404に割り当てた表示データを生成し、この表示データを表示デバイス19へ出力する。この結果、表示デバイス19の表示画面には、上記4台のボートBにおいて撮影された映像が一覧表示される。
(3−2)映像、移動軌跡および付加情報を表示する場合
操作部36により、ボートBの映像、移動軌跡および付加情報を一覧表示するためのレイアウト指定情報が入力された場合、画面編集部35は、映像表示エリアと、地図・軌跡表示エリアと、付加情報表示エリアとしての凡例・数値表示エリアとを有する表示レイアウトを設定する。映像表示エリアには、例えば1レースで走行するボートBの最大数に対応する数の表示エリアが、上記映像表示エリアを均等に領域分割して設定される。図7はその一例を示すもので、この例では8台分のボートに対応する8個の表示エリアを含む映像表示エリア41と、地図・軌跡表示エリア42と、凡例・数値表示エリア43が設定される。
画面編集部35は、映像信号マルチプレクサ330を介して受け取った4台のボート(チャネルch1〜ch4)の映像信号を、上記8個の映像表示エリア41のうちの4個の表示エリアに割り当てる。また、位置情報信号マルチプレクサ34を介して受け取った各ボート(チャネルch1〜ch4)の位置情報信号に基づいて、それぞれ各ボートBの移動軌跡を示す情報を生成する。そして、この移動軌跡を示す情報を、画面編集部35内のメモリに保存されている競艇場の競争エリアAの地図情報上にマッピングすることにより地図・軌跡表示データを生成し、この地図・軌跡表示データを上記地図・軌跡表示エリア42に割り当てる。さらに、操作部36から入力された、例えば各ボートBのボート番号または操縦者名を表すテキストデータを、凡例・数値表示エリア43に割り当てる。
画面編集部35は、上記各々の割り当て処理により生成された画面表示データを表示デバイス19へ出力する。この結果、表示デバイス19の表示画面には、上記4台のボートBにおいて撮影された各映像と、各ボートBの移動軌跡と、各ボートBのボート番号または操縦者名が一覧表示される。
図8は、その表示結果の一例を示すものである。この表示例では、映像表示エリア41のch1〜ch4にそれぞれ4台のボートBの映像が表示される。なお、他の4個の映像表示エリアには何も表示されない(ブラックアウト)。
また、各ボートBの移動軌跡はそれぞれ、現在位置を大きな点で示し、一定の時間間隔で取得された過去の複数の位置を小さい点で示す。過去の複数の位置を示す各点は、取得時刻が古いものほど濃度が薄くなるように設定される。また、4台のボートBの移動軌跡を識別するためにボートごとに異なる表示色を割り当て、上記各移動軌跡に使用する点の表示色を上記各ボートに割り当てた表示色に設定する。なお、付加情報についても、上記各ボートBに割り当てた表示色を用いることで、各ボートBの番号または操縦者名と上記移動軌跡とを対応付けるようにする。
(3−3)移動軌跡において移動方向を表示する場合
各ボートBの移動軌跡においてその移動方向を示すために、ここでは特に図示しないが、各ボートBの移動軌跡においてその移動方向を示すために、例えば現在位置を示す点を三角形のシンボルで表すようにし、このシンボルの向きにより移動方向を示すようにしてもよい。なお、現在位置を示す点として、三角形のシンボル以外に矢印等を用いることもでき、他にも五角形等のボートに似た形状など、移動方向が認識し易い形状を用いることもできる。
(3−4)複数台のボートのうち選択されたボートの映像を表示する場合
操作部36により、複数台のボートのうちの1台を指定する情報が表示対象として入力された場合、画面編集部35は、例えば表示画面の全領域をボート1台分の映像の表示エリアとする表示レイアウトを設定する。
画面編集部35は、操作部36により入力された指示情報に従い、映像信号マルチプレクサ330を制御して、該当するボートに対応する例えばチャネルch1の映像信号のみを取得する。そして、この取得した映像信号を、上記映像表示エリア50に表示させるべく表示データを生成する。この結果、表示デバイス19の表示画面には、上記選択されたボートBで撮影された映像が全表示領域をフルに使用して表示される。
(3−5)複数台のボートのうち選択されたボートの映像を、全ボートBの移動軌跡および付加情報と共に表示する場合
操作部36により、指定したボートBの映像を、全ボートBの移動軌跡および付加情報と共に表示するためのレイアウト指定情報が入力された場合、画面編集部35は、例えば図9に示すように、表示画面の全領域をボート1台分の映像の表示エリア50とし、この映像表示エリア50の一部に、地図・軌跡表示エリア51と、凡例・数値表示エリア52をそれぞれ配置した表示レイアウトを設定する。
画面編集部35は、操作部36により入力された指示情報に従い、映像信号マルチプレクサ330を制御して、該当するボートに対応する例えばチャネルch1の映像信号のみを取得する。そして、この取得した映像信号を、上記映像表示エリア50に割り当てる。
またそれと共に画面編集部35は、上記指示情報に従い位置情報信号マルチプレクサ34から全てのボートBに対応するチャネルch1〜ch4の位置情報を取得する。そして、取得した位置情報をもとに各ボートBの移動軌跡を示す情報を生成し、この移動軌跡を示す情報を、画面編集部35内のメモリに保存されている競艇場の競争エリアAの地図情報上にマッピングすることにより地図・軌跡表示データを生成する。そして、この地図・軌跡表示データを上記地図・軌跡表示エリア51に割り当てる。さらに、操作部36から入力された、全ボートBの番号または操縦者名を表すテキストデータを、凡例・数値表示エリア52に割り当てる。
画面編集部35は、上記各々の割り当て処理により生成された画面表示データを表示デバイス19へ出力する。この結果、表示デバイス19の表示画面には、上記指定された1台のボートにおいて撮影された映像と、全ボートBの移動軌跡と、そのボート番号または操縦者名が一覧表示される。
図10(a)は、上記全ボートBの移動軌跡と、そのボート番号または操縦者名の表示結果の一例を拡大して示したものである。この表示例では、上記指定された1台のボートの移動軌跡を含む全ボートの移動軌跡と、全ボートBのボート名または操縦者名のテキストデータが、それぞれ地図・軌跡表示エリア51および凡例・数値表示エリア52に表示される。なお、移動軌跡およびテキストデータの表示方法については、図8に示したものと同じであるため説明は省略する。
(一実施形態の効果)
以上詳述したように一実施形態では、ボートB等の移動体に搭載された無線送信装置2において、カメラCにより撮影して得られた映像信号と、GPS無線部22により得られた位置情報とを、OFDM変調波信号の位相振幅平面(コンスタレーション)上で多重化することにより、同一のOFDM信号により送信する。一方、無線受信装置3においては、上記無線送信装置2から送信されたOFDM信号を受信・復調および復号する過程で、上記映像信号と位置情報を分離し、この分離された映像信号と、位置情報に基づいて生成される移動軌跡を示す情報とを、1つの表示画面に所定の表示レイアウトに従い割り当てて一覧表示するようにしている。
従って、移動体において得られた映像情報と移動体の位置情報とを、同一のOFDM変調波信号を用いて同時に伝送することが可能となる。また、移動体により撮影された映像と、位置情報に基づく移動軌跡の情報とが、時間的に対応付けられた状態で同一の表示画面に一覧表示されるので、ユーザは移動体の映像と移動軌跡を表す情報とを、表示デバイス19の表示画面において同時に確認することが可能となる。
さらに一実施形態では、操作部36により入力された付加情報、例えばボート番号または操縦者名を表すテキストデータを、表示画面の凡例・数値表示エリアに割り当て、上記映像および移動軌跡と共に一覧表示するようにしている。従って、ユーザは、ボートBの走行中に、当該ボートBにより撮影された映像と、当該ボートBの移動軌跡を、ボート番号または操縦者名と対比しながら見ることができる。
その上、複数の移動体が同時に走行している場合に、これらの移動体の移動軌跡と、ボート番号または操縦者名等の付加情報とを、色分けして表示するようにしているので、ユーザは各移動体の移動軌跡および付加情報を、移動体ごとに明確に識別して確認することができる。
[他の実施形態]
前記一実施形態では、競艇場において競争エリアAを走行するボートBにより撮影される映像を、当該ボートの移動軌跡とボート番号または操縦者名と共に表示画面に一覧表示する場合について述べた。しかし、この発明はそれに限定されるものではなく、例えば移動体としてドローン等の飛行体を想定し、この飛行体により撮影された映像を、当該飛行体の移動軌跡および付加情報と共に表示画面に一覧表示するようにしてもよい。
上記一覧表示を行うために、画面編集部35は、例えば表示画面の全領域を飛行体による映像の表示エリア50とし、この映像表示エリア50の一部に、地図・軌跡表示エリア51と、凡例・数値表示エリア52をそれぞれ配置した表示レイアウトを設定する。
画面編集部35は、飛行体に搭載されたカメラにより撮影された映像信号を映像信号マルチプレクサ330を介して取得する。そして、この取得した映像信号を、上記映像表示エリア50に割り当てる。
またそれと共に画面編集部35は、飛行体に搭載されたセンサ部により測定され送信された飛行体の位置情報と高度情報、および周辺の気温情報を、位置情報信号マルチプレクサ34を介して取得する。そして、取得した位置情報をもとに各ボートBの移動軌跡を示す情報を生成し、この移動軌跡を示す情報を、画面編集部35内のメモリに保存されている飛行エリアの地図情報上にマッピングすることにより地図・軌跡表示データを生成する。そして、この地図・軌跡表示データを上記地図・軌跡表示エリア51に割り当てる。
さらに画面編集部35は、上記位置情報と共に取得された飛行体の高度情報および周辺の気温情報を表す、数値を含むテキストデータを、凡例・数値表示エリア52に割り当てる。
画面編集部35は、上記各々の割り当て処理により生成された画面表示データを表示デバイス19へ出力する。この結果、表示デバイス19の表示画面には、上記飛行体において撮影された映像と、当該飛行体の移動軌跡と、当該飛行体の飛行高度および周囲の気温が一覧表示される。
図10(b)は、上記飛行体による撮影映像と、当該飛行体の移動軌跡と、当該飛行体の飛行高度および周囲の気温等の付加情報のうち、飛行体の移動軌跡と、その飛行高度および周囲の気温等の表示結果の一例を拡大して示したものである。同図に示すように、移動軌跡は、現在位置を大きな点で示し、一定の時間間隔で取得された過去の複数の位置を小さい点で示す。過去の複数の位置を示す各点は、取得時刻が古いものほど濃度が薄くなるように設定される。
その他、移動体の種類と当該移動体に搭載される無線送信装置の構成、無線受信システムとその無線受信装置の構成については、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。また、移動体から無線受信装置へ映像および測定情報を伝送する際の無線変復調方式や符号復号方式についてはどのような方式を採用してもよく、また無線受信装置において生成される表示レイアウトの構成やその設定方法、伝送対象となる測定情報の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。