従来、光TDM技術を用いたネットワークとして、例えばPONがブロードバンドアクセス網を構成する一手段として検討又は導入されている。PONは、光ファイバ網の途中に分岐装置(光カプラ)が挿入された、1本の光ファイバが複数の加入者で共有可能な光ネットワークである。
ブロードバンドアクセス網におけるPONでは、局舎に配置されるOLT(Optical Line Terminal)と、ユーザ宅に配置されるONU(Optical Network Unit)とが光ファイバ及び光カプラを介して接続される。通常、1台のOLTに対して複数台のONUが接続され、このOLT−ONU間において、TDM又はTDMA(Time Division Multiple Access)を適用して光の領域でデータの多重分離を行いつつデータを伝送することにより、光ファイバ心線やOLT等のリソースが複数ユーザで共用可能となっている。なお、OLTは局舎側の光回線終端装置であり、ONUは、ユーザ宅側の光回線終端装置としての加入者装置である。
ここで、都市レベルのエリアを対象としたブロードバンドアクセス網としてのメトロリング網を、光TDM技術によって効率の良いP2MP(Point to Multipoint)の上り下り双方のパス(以降、P2MPパスともいう)で実現することが提案されている。P2MPとは、1つのOLTと複数のONUとで通信を行う方式である。1つのOLTから送信した光によるデータを、先頭のONUに接続された光カプラで分離して当該ONUに接続されたコンピュータ等の端末機へ送信すると共に、同光カプラを通過させて隣接するONUへ送信する。この隣接ONUでも同様に光カプラでデータを分離して当該ONU側の端末機へ送信すると共に、通過させて更に隣接ONUへ送信するといった処理を繰り返す通信方式である。
図6は、上述したメトロリング網に代表されるリングトポロジにPONを適用した場合の光集線ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図6に示す光集線ネットワークシステム(システムともいう)10は、代表ノードとしての光伝送装置11と、ノードとしての複数の光伝送装置12,13,14とが、物理的に独立した2本の信号伝送路としての第1光ファイバ(第1光伝送路)16及び第2光ファイバ(第2光伝送路)17によってリング状に接続されている。この2本のリング状の光ファイバ16,17の伝送路によって、何れか一方の伝送路に障害が発生して伝送不能となった場合に、他方の伝送路で伝送が可能な1+1プロテクションの構成となっている。なお、光伝送装置11は代表ノード11とも称し、各光伝送装置12,13,14はノード12,13,14とも称す。
代表ノード11は、複数のIO(入出力処理)部20a〜20nと、OLT21と、光多重分離部23a,23bとを備えて構成されている。OLT21は、SW(スイッチ)部25と、OSU(Optical Subscriber Unit)26a,26bと、DWBA(Dynamic Wavelength and Bandwidth Assignment)機能部27とを備えて構成されている。
ノード12,13,14は何れも同構成であり、ノード12に代表して示すように、光多重分離部31a,31bと、ONU(Optical Network Unit)32a,32bと、SW部33と、複数のIO部34a〜34nとを備えて構成されている。
代表ノード11において、複数のIO部20a〜20nは、代表ノード11の外部の複数のホストコンピュータ(ホストともいう)41a〜41nと1対1で接続され、ホスト41a〜41nと信号送受信を行うSNI−LT(application Server-Network Interface−Line Terminal)である。ノード12においても、上記と同じ複数のIO部34a〜34nに、ノード12の外部の複数のホスト42a〜42nが、1対1で接続されている。他のノード13,14においても、同様に図示せぬIO部にホスト43a〜43n,44a〜44n(図示は1つのみ)が1対1で接続されている。
代表ノード11のIO部20a〜20nは、ホスト41a〜41nから送信されて来たクライアント信号(又はクライアントデータ)を終端してOLT21のSW部25へ送信し、また、SW部25からの信号をクライアント信号としてホスト41a〜41nへ送信する。
SW部25は、通常の電気パケットスイッチであり、L2−SW(レイヤ2スイッチ)と同等なスイッチである。このSW部25は、事前に設定されたMACアドレス(Media Access Control address)とポートとの対応テーブルに従い、MACアドレスによる宛先のホスト(例えば41a)へ、OSU26aからのパケットデータをSW部25及びIO部20aを介して転送する。
OSU26a,26bは、PDS(Passive Double Star)方式の光回線終端装置である。このOSU26a,26bは、ノード12〜14のONU32a,32bからの光バーストデータを受信してSW部25へ出力し、また、SW部25からのパケットデータを受け取り、ONU32a,32bへ光データ送信する。この構成では、OSU26a,26bとONU32a,32b間がPON区間となっている。なお、光データ送信(又は伝送)を、単にデータ送信(又は伝送)ともいう。
DWBA機能部27は、動的波長帯域割当の機能を有する。動的波長帯域割当とは、ノード12〜14のONU32a,32bに対して複数波長を総合した総帯域を効率良く分配すべく、動的な波長切替も考慮しながらトラヒック量に応じて動的に帯域を割り当てることである。
光多重分離部23a,23bは、第1及び第2光ファイバ16,17を介して伝送される光信号としてのデータに対して、多重化、分離、スルー(通過)の何れかの処理を行う。例えば、光多重分離部23aは、OSU26aからのパケットデータを多重化して第1光ファイバ16を介してノード12へ伝送し、また、ノード12〜14からの光バーストデータを分離してOSU26aへ出力する処理を行う。
ノード12〜14における光多重分離部31a,31bも、上記同様に多重化、分離、スルーの何れかの処理を行う。例えば、ノード12の光多重分離部31aは、OSU26aからのパケットデータを分離してONU32aへ出力すると共に、同パケットデータをスルーして第1光ファイバ16を介してノード13へ伝送する。また、同光多重分離部31aは、ONU32aからのパケットデータを第2光ファイバ17を介してOSU26aへ伝送し、また、ノード13,14からの光バーストデータをスルーしてOSU26aへ伝送する処理を行う。
ONU32a,32bは、PONに係るデータの送受信を行う。このONU32a,32bは、代表ノード11のOSU26a,26bからの光データを受信してSW部33へ出力し、また、SW部33からのパケットデータを受信して、OSU26a,26bへ光バースト送信する。IO部34a〜34nは、ホスト42a〜42nから送信されて来たクライアント信号を終端してSW部33へ送信し、また、SW部33からの信号をクライアント信号としてホスト42a〜42nへ送信する。
このような構成のシステム10によるメトロリング網においてP2MPを実現する場合、OLT21からONU32a又は32bへ向かう上りパスと、この逆の下りパスとは、波長モード又はTS(time slot)モードでデータ伝送を行うようになっている。波長モードは、ノード12〜14毎に異なる固有の波長を割り当てて、OLT21との間でデータ伝送を行うモードである。TSモードは、ノード12〜14毎に異なるタイムスロットのフレーム信号(PONフレーム#1〜#3)を割り当て、OLT21との間でフレーム信号を時分割多重により伝送するモードである。波長モードとTSモードで物理のトラヒック容量が同一である場合、オーバヘッドが不要となるため、波長モードの方がTSモードよりも外部から入力されるデータを伝送する容量は大きくなる。
また、メトロリング網において、下り伝送では、OLT21からユーザ側のONU32a又は32bに対して、例えば波長モードで映像データ等の大容量のデータを送信する。上り送信では、ユーザ側のONU32a,32bからOLT21に対して、例えば所望チャンネルの映像が見たい等の要求を行う制御信号を送信するので、トラフィックが小容量で済むため、TSモードで行うことができる。
システム10における上記のような上り下り伝送について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、OLT21と各ノード12〜14のONU32a間の上りパス及び下りパスで伝送される信号が割り付けられるPONフレームの構成図である。図8は、OLT21と各ノード12〜14のONU(例えばONU32a)間の上りパス及び下りパスの信号伝送のシーケンス図である。
OLT21と各ノード12〜14のONU32a(各ONU32aともいう)との通信においては、後述する各ONU32aへの入出力タイミング及び伝送帯域を定めるための接続設定の制御処理を行う。このため、OLT21と各ONU32a間では、各ONU32aに係る各制御信号を常時送受信しなければならないので、各々が異なるタイムスロットに配置される各PONフレームに、各制御信号を多重化して送受信する必要がある。
上り信号のPONフレームを図7(a)に符号#1,#2,#3で示す。PONフレーム#1はノード12に割り当てられ、PONフレーム#2はノード13に、PONフレーム#3はノード14に割り当てられる。各PONフレーム#1〜#3のフレーム構成は同じであり、例えば、時刻t1−t1d間に割り当てられるPONフレーム#1は、図7(b)に示す時刻t1−t1a間に、データ送信の先頭を知らせる光プリアンブルが配置され、時刻t1a−t1b間にデータ本体が格納されるPONペイロードが、時刻t1b−t1c間にEOB(End of Block)デリミタが配置されて構成されている。EOBデリミタは、バースト的に伝送されるPONフレームの最後尾を示す。なお、前後のPONフレーム(例えば#1と#2)間には、前後のフレームデータの干渉を防止するガードタイムが介挿される。一方、下り信号のフレーム構成は、図7(b)のEOBデリミタとガードタイムが無く、図7(c)に示すように、光プリアンブルとPONペーロードの繰り返しとなる。
各PONフレーム#1〜#3は、OLT21と各ノード12〜14間でTSモードで送受信される。TSモードの下り伝送では、図6に矢印Y1で示すように、OLT21から送信された各PONフレーム#1〜#3が、先頭のノード12の光多重分離部31aで矢印Y1aで示すように分離されてONU32a側へ送信されると共に、同光多重分離部31aを通過した矢印Y1で示す各PONフレーム#1〜#3が第1光ファイバ16を介してノード13へ伝送される。以降同様に、伝送された各PONフレーム#1〜#3がノード13の光多重分離部31a(図示せず)で矢印Y1bで示すように分離されると共に、同光多重分離部31aを通過した矢印Y1で示す各PONフレーム#1〜#3がノード14へ送信されて矢印Y1cで示すように分離される。各ノード12〜14で分離された各PONフレーム#1〜#3は、ノード12〜14毎にONU32aで自ノード宛てのPONフレーム#1〜#3が取得される。
TSモードの上り伝送では、上記下り伝送とは異なる波長で、各ノード12〜14からの破線矢印Y2a,Y2b,Y2cで示すPONフレーム#1〜#3が、破線矢印Y2で表すように時分割多重されて、第1光ファイバ16を介してOLT21へ伝送される。
次に、OLT21と各ONU32a間で制御信号をPONフレームに多重化して常時送受信する際の動作を図8を参照して説明する。
図8において、OLT21では、各ノード12〜14のONU32a(各ONU32a)への入出力タイミングを定める制御信号としての各ゲート信号G1,G2,G3が、各PONフレーム#1〜#3に割り当てられる。ここでは、ゲート信号G1がPONフレーム#1に割り当てられ、ゲート信号G2がPONフレーム#2に、ゲート信号G3がPONフレーム#3に割り当てられる。この割り当てられた各PONフレーム#1〜#3は、例えば時刻taにおいて、前述したP2MP方式で各ONU32aへTSモードにて送信される。
この送信された各PONフレーム#1〜#3は、ノード12〜14毎の光多重分離部31aで分離されてONU32aで受信される。各ONU32aは、自ノード宛てのPONフレーム#1〜#3のゲート信号G1〜G3から入出力タイミングを検知すると共に、PONフレーム#1〜#3の信号からトラフィック量を検出する。例えば、ノード12のONU32aは、自ノード宛てのPONフレーム#1のゲート信号G1から入出力タイミングを検知すると共に、PONフレーム#1の信号からトラフィック量を検出する。次に、ONU32aは、その検出されたトラフィック量に応じて何bps(ビット)分のデータ送信が可能であるかを要求する制御信号としてのレポート信号R1,R2,R3を送信する。この上り送信は、下り送信と異なる波長でTSモードで行われ、例えば各ノード12〜14のONU32aから時刻tb,tc,tdで行われる。この際、各レポート信号R1〜R3は、異なるPONフレーム#1〜#3に割り当てられる。
各レポート信号R1〜R3を受信したOLT21は、各レポート信号R1〜R3で要求される帯域(1Gbps)のデータを、該当ONU32aに対してどのタイミングで送信するかを許可(送信許可)する情報を含むゲート信号G11〜G13を、時刻tfにて送信する。ゲート信号G11〜G13は、詳細には、送信の周期、帯域、初期位置(初期送信タイミング)を含み、例えば、1Gbpsの帯域のデータを、所定時刻の初期位置から1msの周期で送信可能であるといった送信許可を、各ONU32aへ通知するための制御信号である。各ONU32aは、そのゲート信号G11〜G13による送信許可に応じた帯域のデータを所定周期で送信する。
このように制御信号としてのゲート信号G1〜G3、G11〜G13及びレポート信号R1〜R3の送受信によりノード12〜14毎に入出力タイミング及び伝送帯域が決定される。この決定に応じて、各ONU32aからOLT21への上り方向にクライアントデータD1が送信され、下り方向にクライアントデータD2が送信される。この種の通信を行う従来技術として、特許文献1及び非特許文献1〜4に記載の技術がある。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る光集線ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。但し、図1に示す光集線ネットワークシステム(システム)10Aにおいて、図6に示した従来のシステム10に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1に示す本実施形態のシステム10Aにおいて、従来のシステム10と異なる要素は、OLT21AのOSU26Aa,26Abと、外部の制御端末機(端末機)28が接続されたDWBA機能部27Aと、各ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abとである。
また、システム10Aは、従来のシステム10と同様に、代表ノード11A及び複数のノード12A,13A,14Aが、物理的に独立した2本の信号伝送路としての第1光ファイバ16及び第2光ファイバ17によってリング状に接続されている。このリング状の各光ファイバ16,17によって、互いに異なる方向又は同一方向にデータを伝送可能となっており、前述した1+1プロテクションの構成となっている。但し、システム10において、OLT21Aから各ノード12A〜14Aへ伝送されるデータの伝送方向を下り方向、この逆に、各ノード12A〜14AからOLT21Aへ伝送されるデータの伝送方向を上り方向と定める。また、下り方向のパスを下りパス、上り方向のパスを上りパスという。なお、OLT21Aは制御主体であり、ONU32Aa,Abは制御主体に対する客体である。
本実施形態の特徴を説明する。システム10Aによるメトロリング網においては、前述したP2MP方式によるOLT21Aと、複数ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abとで、上り下りのデータ伝送を行うようになっている。OLT21Aは、複数ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abへ、上りのデータ送信を許可(送信許可)するための接続設定(前述の周期・帯域・初期位置の設定)をTSモードで行う。この接続設定は、OLT21Aから接続設定を行うための送信許可情報を含むゲート信号を各ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abへ送信する。次に、各ONU32Aa,32Abが送信許可情報を保持し、この保持した送信許可情報に基づき行われる接続設定が完了すると、設定完了通知をOLT21Aへ送信する。
OLT21Aは、全てのノード12A〜14AのONU32Aaから設定完了通知を受信した際に、下りパスのデータ伝送(下り伝送)のみをTSモードから波長モードに切り替える処理を行う。ここで、各々のノード12A〜14AのONU32Aa,32Abは、保持した送信許可情報に基づき、所定帯域のデータを、所定時刻の初期位置から所定周期で送信可能であるため、下り伝送が波長モードになっても、TSモードで上り伝送を行うことが可能となっている。このため、下り伝送のみを波長モードとすることが可能となる。この処理により、P2MP方式のシステム10Aにおいて、上り下りのパスの接続設定の制御を行うための小容量のデータ伝送がTSモードで帯域の無駄が生じないように効率良く行われ、また、下りパスの映像配信等の大容量のデータ伝送が、TSモードよりも大容量伝送が可能な波長モードで効率良く行われるようにした。
図1に示すOLT21AのOSU26Aa,26Abは、各ノード12A〜14AのONU32Aa,Abからの光バーストデータを受信してSW部25へ出力し、また、SW部25からのパケットデータを受け取り、各ONU32Aa,Abへ光データ送信する。この構成では、OLT21AのOSU26Aa,26Abと各ONU32Aa,Ab間がPON区間となっている。
OSU26Aa,26Abは、図2に示すように同構成である。このため、基本的には一方のOSU26Aaを代表して説明を行う。OSU26Aaは、ポート1a,1bを介してSW部25に接続されたクライアントPHY部(符号化/復号化、等を行うレイヤ1の処理機能部)51と、クラシファイア部52と、バッファ部としてのキュー部52a,52bと、キュー読出部53,54と、キューモニタ部55と、パケットモニタ部56と、通知信号作成部57a,57bと、モニタ信号作成指示設定部58と、データMUX(マルチプレクサ)部59と、PONPHY・λPHY切替部60と、OAM(Operations, Administration, Maintenance)機能部60aと、制御情報管理部61と、送信部62と、受信部63とを備えて構成されている。データMUX部は、単にMUX部とも称し、PONPHY・λPHY切替部は、単に切替部とも称す。
図2には、OLT21A内のDWBA機能部27Aの構成も示す。DWBA機能部27Aは、制御端末機28が接続される制御IF(インタフェース)部64と、演算結果通知部65と、ONU設定完了通知管理部66と、DBA(dynamic bandwidth allocation:動的帯域割当)演算部67と、DWA(Dynamic Wavelength Allocation:動的波長割当)演算部68と、トラフィック情報保持部69とを備えて構成されている。
図1に示すONU32Aa,32Abは、図3に示すように同構成である。このため、基本的には一方のONU32Aaを代表して説明を行う。ONU32Aaは、ポート2a,2bを介してSW部33に接続されたクライアントPHY部(符号化/復号化、等を行うレイヤ1の処理機能部)71と、クラシファイア部72と、バッファ部としてのキュー部72a,72bと、キュー読出部73,74と、キューモニタ部75と、パケットモニタ部76と、通知信号作成部77a,77bと、モニタ信号作成指示設定部78と、データMUX部79と、PONPHY・λPHY切替部80と、OAM機能部80aと、送信許可記憶部(記憶部ともいう)80bと、送信指示情報キュー部81と、送信部82と、受信部83とを備えて構成されている。
図2において、OAM機能部60aは、ネットワークの運用・管理・保守を行うための機能であり、イーサネット(登録商標)の場合は、Ethernet OAM情報(OAMフレーム)を経路に流すことにより取得したネットワークの性能情報から遅延を検出し、この検出された遅延をDWBA機能部27Aへ伝える。但し、その性能情報は、ITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)により国際勧告「Y.1731」として標準化されている。OAM機能部60aは、その標準化された中のパフォーマンスメジャメント等の性能情報をそのまま用いて、各経路の遅延時間を定期的に測定している。この遅延時間は、例えば1秒、2秒、3秒のように実測でき、DWBA機能部27Aが、その実測値の中で遅延時間が少ない順番に経路を選択する。
又は、DWBA機能部27Aは、システム10におけるネットワーク内のOLT21A及び各ONU32Aa,32Abに配備されたバッファ部{キュー部52a,52b(図2)及びキュー部72a,72b(図3)}のバッファ情報(キュー情報)を把握し、バッファ長(キュー長)が短い経路を検知する。言い換えればバッファ量が少なく、低負荷な経路を検知する。
PONにおいては、OSU26Aaのバッファ部としてのキュー部52a,52bは、下り方向のデータをバッファリングする。また、OSU26Aaは、キュー部52a,52bに溜まった情報量(データ量)をONU32Aa(図1)へ送信可能となっている。なお、バッファ部がバッファ量をDWBA機能部27Aへ送信する。
このため、DWBA機能部27Aは、経路毎の各バッファ部にどれ位の情報量が溜まっているかを検出し、言い換えれば、経路毎のバッファ量に応じた遅延量を検出して、低負荷な経路を検知できる。
クライアントPHY部51は、ポート1a,1bを介してホスト41a(図1)との間で送受信されるデータの符号化及び復号化等を行うレイヤ1の処理機能部である。
クラシファイア部52は、ホスト41aから受信した下りのデータをキュー部52aに格納する。この格納されるデータは、キューモニタ部55でその格納量(又は残キュー量)等が監視されると共に、キュー読出部53で読み出され、MUX部59へ入力される。
MUX部59は、その入力される通常のデータと、後述の通知信号作成部57a,57bで作成された通知信号である上りキュー情報、下りキュー情報、遅延情報、並びに、OAM機能部60aからのOAM関連情報を多重化する。この多重化されたデータ信号は、切替部60を介して送信部62から光多重分離部23a,23bを介して各ノード12A〜14AのONU32Aa,32Ab(図1)へ送信される下りデータとなる。
この下りデータとしては、制御情報管理部61の制御によって下り送信されるゲート信号も含まれる。ゲート信号は、各ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abに対してどのタイミングで送信するかを許可する送信許可情報を含む。この送信許可情報は、TSモードで送信され、各ONU32Aa,32Abに対する送信信号の周期、帯域、初期位置を表す。送信許可情報は、例えば、1Gbpsの帯域のデータを、所定時刻の初期位置から1msの周期で送信可能であるといった送信許可を、各ONU32Aa,32Abへ通知するための制御信号である。
ここで、各ONU32Aa,32Abは、そのゲート信号の送信許可に応じて送信信号の周期、帯域、初期位置を自ONU32Aa,32Abに設定し、これを設定完了通知情報として送信許可記憶部80b(図3)に保持する。更にその保持した設定完了通知情報を前述したPONフレームに格納し、所定周期でOLT21AのOSU26Aa,26Abへ送信するようになっている。
一方、OSU26Aa,26Abにおいて、ONU32Aa,32Abからの設定完了通知情報を含むPONフレームデータは、光多重分離部23a,23bを介して受信部63で受信され、切替部60へ入力される。
切替部60は、入力された設定完了通知情報を制御情報管理部61へ出力し、制御情報管理部61は、設定完了通知情報をDWBA機能部27AのONU設定完了通知管理部(通知管理部ともいう)66へ通知する。通知管理部66は、設定完了通知情報を保持する。また、通知管理部66は、全てのノード12A〜14AのONU32Aa,32Abから設定完了通知情報の通知を受けると、この全通知を受けたことを制御情報管理部61へ通知する。全通知を受けた制御情報管理部61は、切替部60に上り下り伝送をTSモードから波長モードに切り替える切替指示を行う。切替部60は、その切替指示に応じて、上り下り伝送をTSモードから波長モードに切り替える。
また、切替部60は、入力データからOAMフレームを分離してOAM機能部60aへ出力する。OAM機能部60aは、そのOAMフレームからOLT21Aとの間の伝送路の遅延を検出し、この検出された遅延情報をMUX部59へ出力して、最終的にDWBA機能部27A(図1)へ伝える。
更に、切替部60で分離された上りデータは、キュー部52bに格納された後、キュー読出部54で読み出されてクライアントPHY部51からSW部33を介して、最終的にホスト(例えば図1の42a)へ出力される。この際、キュー部52bに格納された上りデータは、パケットモニタ部56で監視される。そのモニタ部56は、キュー部52bに格納された上りデータのキュー状態を監視し、下りの平均キュー長(バッファ長)、最大キュー長(最大バッファ長)、パケット処理遅延情報、キュー溢れ量等を、モニタ信号作成指示設定部58の指示に応じて取得し、これを通知信号作成部57bへ入力する。
通知信号作成部57bは、そのパケットモニタ部56からの入力情報を制御情報管理部61へ入力する。また、通知信号作成部57aは、前述したキューモニタ部55からの残キュー量等の入力情報を制御情報管理部61へ入力する。
制御情報管理部61は、キューモニタ部55でモニタされたキュー部52aの残キュー量から空帯域量を算出し、この算出された空帯域量が予め定められた閾値未満となった場合に、下りパスにおいて帯域溢れが発生していると判定し、閾値以上の場合に、帯域溢れが発生していないと判定する。制御情報管理部61は、その判定により、下りパスにおいて帯域溢れが発生していない空帯域量であれば、波長モードからTSモードに切り替える切替指示を切替部60に行う。一方、制御情報管理部61は、下りパスに帯域溢れが発生している空帯域量であれば、待機し、帯域溢れが発生しなくなる空帯域量となった時に、波長モードからTSモードに切り替える切替指示を切替部60に行う。切替部60は、その切替指示に応じて、上り下り伝送を波長モードからTSモードに切り替える。
また、制御情報管理部61は、波長モードへの切替後に、1つのノード(例えば12A)からでも設定完了通知が上がってこない状態を検出すると、切替部60に波長モードからTSモードに切り替える切替指示を行う。設定完了通知が上がってこない状態とは、該当ノード12AのONU(例えば32Aa)の故障等によって設定完了通知情報が送信されて来ない状態である。この未送信状態は、ONU32Aaが交換や増設される場合も該当する。
ONU32Aaを交換又は増設する場合は、保守者が、制御端末機28から上記接続設定の制御を行う。制御端末機28は、DWBA機能部27Aに制御IF64を介して接続されている。これは、保守者が、制御端末機28において上記帯域溢れが発生していない状態を確認してTSモードに切り替える命令設定の操作を行い、更に、交換又は増設対象のONU32Aaに対して固有の接続設定を行うための送信許可情報が、該当ONU32Aaへ送信されるようにする命令設定の操作を行う。この操作入力に応じて、制御情報管理部61が下り伝送をTSモードに切り替える制御を切替部60に対して行う。更に、制御情報管理部61は、そのTSモードへの切替後に、該当ONU32Aaに対する固有の送信許可情報を含むゲート信号を当該ONU32Aaへ送信すると共に、他の全てのONU32Aaへこれまでと同じ送信許可情報を含むゲート信号を送信する制御を行う。
演算結果通知部65は、各ノード12A〜14AのONU32Aa,32Abに送信許可を行う場合に、各ONU32Aa,32Abに対する帯域の割当指示を、制御情報管理部61に行う。制御情報管理部61は、割り当てた帯域と、割当先のONU32Aa,32Abとを対応付けて保持する。
この他、DWBA機能部27Aは、一般的なOLT−ONU間の通信においては、DBA演算部67の動的帯域割当処理により、効率的な通信を行うために、各ONU32Aa,32Abに動的に帯域を割り当てる。また、DWA演算部68の動的波長割当処理により、波長モードでの下り伝送時に各動的に波長を割り当てる。トラフィック情報保持部69は、上り下りの伝送時のトラフィック情報を保持する。
また、DWBA機能部27Aは、図1に示すように、IF(図示せず)を介してSW部25と接続されており、SW部25と制御信号を遣り取りして連携を取り、各ノード12A〜14AのOSU26Aa,26Ab間のデータ伝送を制御する。この制御では、OLT21A−各ONU32Aa,32Ab間通信だけではなく、各ONU32Aa,32Ab間通信にも、通信量を一定の水準に抑えるシェーピングの制御や、データ伝送をあるパスに集中させる制御等が可能となる。
図3において、ONU32Aa,32Abは、上り方向のデータをバッファリング(保持)するバッファ部(キュー部72a,72b)に溜まった情報量(データ量)をOLT21A(図1)のDWBA機能部27Aへ送信可能となっている。
クライアントPHY部71は、ポート2a,2bを介してホスト42a(図1)との間で送受信されるデータの符号化及び復号化等を行うレイヤ1の処理機能部である。
クラシファイア部72は、ホスト42aから受信したデータがOLT折返対象の信号か否かを識別により判定し、OLT折返対象の信号、OLT折返対象でない信号毎にキュー部72aの所定格納部に格納する。この格納されるデータは、キューモニタ部75でその格納量等が監視されると共に、キュー読出部73で読み出され、MUX部79へ入力される。
MUX部79は、その入力される通常のデータと、後述の通知信号作成部77a,77bで作成された通知信号である上りキュー情報、下りキュー情報、遅延情報、並びに、前述したOAM機能部60a(図2)と同基本機能のOAM機能部80a(図3)からのOAM関連情報を多重化する。この多重化されたデータ信号は、切替部80を介して送信部82から光多重分離部31a又は31bを介してOLT21A(図1)へ送信される上りデータとなる。
一方、OLT21Aからのゲート信号等を含む下りデータは、光多重分離部31a,31bを介して受信部83で受信され、切替部80へ入力される。切替部80は、入力データからOAMフレームを分離してOAM機能部80aへ出力する。OAM機能部80aは、そのOAMフレームからOLT21Aとの間の伝送路の遅延を検出し、この検出された遅延情報をMUX部79へ出力して、最終的にDWBA機能部27A(図1)へ伝える。
また、切替部80は、OLT21Aからの下り信号に含まれる波長モード又はTSモードへの切替信号が受信部83から入力された際に、同様のモードに切り替える。例えば、OLT21Aが下りパスのみを波長モードに切り替えた際の切替信号が切替部80に入力された場合、切替部80は、下りパスのみを波長モードに切り替える。また、切替部80は、OLT21Aからの下りパスをTSモードに切り替えた際の切替信号が入力された場合、下りパスをTSモードに切り替える。
切替部80は、OLT21Aからの下り信号としての送信許可情報を含むゲート信号が受信部83から入力された際に、その送信許可情報を送信許可記憶部80bに記憶し、この記憶した送信許可情報を送信指示情報キュー部81へ出力する。
送信指示情報キュー部81は、送信許可情報の接続設定内容である周期・帯域・初期位置に従ってOLT21Aとの接続設定を行い、この設定完了後に、設定完了通知をその設定された周期(所定の周期)毎に、TSモードでOLT21Aへ送信する。例えば、送信許可情報の周期が1ms、帯域が1Gbps、初期位置が時刻t10であるすると、キュー部81からOLT21Aへの送信は、1Gbpsの帯域のデータを、時刻t10の初期位置から1msの周期で送信可能となる。
この際、各ノード12A〜14AのONU32Aaからの一定周期で送信される設定完了通知のデータは、前述した各々が異なるタイムスロットに配置されるPONフレーム#1〜#3に多重化される。例えば、ノード12AのONU32Aaからの設定完了通知がPONフレーム#1に多重化され、ノード13AのONU32Aaからの設定完了通知がPONフレーム#3に、ノード14AのONU32Aaからの設定完了通知がPONフレーム#3に多重化される。
また、切替部80は、当該切替部80に入力される送受信制御信号を送信指示情報キュー部81へ出力する。送信指示情報キュー部81は、その送受信制御信号に応じてキュー読出部73での読み出し、並びに、送信部82でのデータ送信を指示する。
更に、切替部80では下りデータが分離され、この分離された下りデータは、キュー部72bに格納された後、キュー読出部74で読み出されてクライアントPHY部71からSW部33を介して、最終的にホスト(例えば図1の42a)へ出力される。この際、キュー部72bに格納された下りデータは、パケットモニタ部76で監視される。そのモニタ部76は、キュー部72bに格納された下りデータのキュー状態を監視し、下りの平均キュー長(バッファ長)、最大キュー長(最大バッファ長)、パケット処理遅延情報、キュー溢れ量等を、モニタ信号作成指示設定部78の指示に応じて取得し、これを通知信号作成部77bへ入力する。
通知信号作成部77bは、そのパケットモニタ部76からの入力情報及びモニタ信号作成指示設定部78の指示情報に応じて通知信号を作成してMUX部79へ入力する。通知信号作成部77aは、前述したキューモニタ部75からの入力情報及びモニタ信号作成指示設定部78からの指示情報に応じて通知信号を作成してMUX部79へ入力する。
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の光集線ネットワークシステム10Aの上り下りパスにおける信号伝送の動作を、図4及び図5のシーケンス図を参照して説明する。
但し、図1に示すOLT21Aと各ノード12A〜14AのONU32Aa間のTSモードの下り伝送では、矢印Y1で示すように、OLT21から送信された各ゲート信号G1〜G3が多重化された各PONフレーム#1〜#3が、先頭のノード12Aの光多重分離部31aで矢印Y11aで示すように分離されてONU32Aa側へ送信される。これと共に、同光多重分離部31aを通過した矢印Y11で示す各PONフレーム#1〜#3が第1光ファイバ16を介してノード13Aへ伝送される。以降同様に、伝送された各PONフレーム#1〜#3がノード13Aの光多重分離部31a(図示せず)で矢印Y11bで示すように分離されると共に、同光多重分離部31aを通過した矢印Y11で示す各PONフレーム#1〜#3がノード14Aへ送信されて矢印Y11cで示すように分離される。各ノード12A〜14Aで分離された各PONフレーム#1〜#3は、ノード12A〜14A毎にONU32Aaで自ノード宛てのPONフレーム#1〜#3が取得される。
TSモードの上り伝送では、上記下り伝送とは異なる波長で、各ノード12A〜14Aからの破線矢印Y2a,Y2b,Y2cで示すPONフレーム#1〜#3が、破線矢印Y2で表すように時分割多重されて、第1光ファイバ16を介してOLT21へ伝送される。
波長モードでの波長パスによる下り伝送は、図1に矢印Y11で示すように、映像信号等の大容量のデータが、先頭のノード12Aの光多重分離部31aで矢印Y11aで示すように分離されてONU32Aa側へ送信されると共に、同光多重分離部31aを通過して第1光ファイバ16を介してノード13Aへ伝送される。以降同様に、伝送された大容量のデータがノード13Aの光多重分離部31a(図示せず)で矢印Y11bで示すように分離されると共に、通過してノード14Aへ送信されて矢印Y11cで示すように分離される。
図4に示すように、まず、OLT21Aが、各ノード12A〜14AのONU32Aa(各ONU32Aaともいう)に対して、上りのデータの送信許可を行うための接続設定をTSモードで行う。この場合、OLT21Aは、時刻t11において、各ONU32Aaに対して送信許可情報を含むゲート信号G11〜G13をPONフレーム#1〜#3に多重化して下り送信する。各PONフレーム#1〜#3は、各ノード12A〜14Aの光多重分離部31aで分離されて自ノードのONU32Aaで受信される。
各ONU32Aaは、ゲート信号G1〜G3の送信許可情報を送信許可記憶部80b(図3)に保持し、送信指示情報キュー部81へ出力する。キュー部81は、その送信許可情報に基づき、例えば周期が1ms、帯域が1Gbps、初期位置がノード12Aでは時刻t14a、ノード13Aでは時刻t14b、ノード14Aでは時刻t14cと接続設定を行う。各ONU32Aaのキュー部81は、その接続設定が完了すると、個別の時刻t12a,t12b,t12cにおいて、設定完了通知をOLT21Aへ送信する。この送信は、PONフレーム#1〜#3に設定完了通知が多重化されて行われる。
OLT21Aは、全てのノード12A〜14AのONU32Aaから設定完了通知を受信すると、時刻t13において、下り伝送のみをTSモードから波長モードに切り替える。この切り替えは、OLT21Aに備えられるOSU26Aa内の制御情報管理部61(図2)の制御に応じてPONPHY・λPHY切替部60(図2)で行われる。また、波長モードに切り替えたことを示す切替情報は、各ONU32Aaへ送信され、各ONU32Aaが切替情報に応じて下り伝送のみを波長モードに切り替える。これによって、波長モードでの波長パスP1で、下り方向に映像信号等の大容量のデータが伝送される。この伝送されたデータは、先頭のノード12Aからノード13A,14Aと順番に光多重分離部31aで分離されて自ノードのONU32Aaで受信される。
この波長モードでの下り伝送時に、各ONU32Aaからは、上記接続設定時の各初期位置である時刻t14a,t14b,t14cにおいて、PONフレーム#1〜#3に多重化された設定完了通知が、TSモードでOLT21Aへ送信される。以降、時刻t15a,t15b,t15cでも示すように、1ms周期毎に送信される。
このような下り伝送が波長モードで行われ、一定周期の設定完了通知の上り伝送がTSモードで行われている際に、ノード12AのONU32Aaに何らかの故障が生じ、図5に示す時刻t21aにおいて、設定完了通知が×印で示すようにOLT21Aへ送信されなかったとする。この場合、OLT21Aの制御情報管理部61(図2)では、全てのノード12A〜14Aからの設定完了通知が検出されないので、切替部60(図2)に対して波長モードからTSモードへの切替指示を行う。この指示により、時刻t22において、切替部60により下り伝送がTSモードに切り替えられる。この切り替えは各ONU32Aaへも通知されて各ONU32Aaにて下り伝送がTSモードに切り替えられる。また、故障したONU32Aaは、新規のONU32Aaと交換又は故障が修理されて復旧したとする。この交換又は復旧は、OLT21Aでされる。
交換又は復旧後、OLT21Aは、時刻t23において、新規ONU32Aaを含む各ONU32Aaに対して、送信許可情報を含む各ゲート信号をPONフレーム#1〜#3に多重化して下り送信する。PONフレーム#1〜#3は、各ノード12A〜14Aの光多重分離部31aで分離されて自ノードのONU32Aaで受信される。この際、新規ONU32Aaでも受信される。各ONU32Aaは、ゲート信号の送信許可情報を保持し、上述同様に周期・帯域・初期位置の接続設定を行い、接続設定完了後に、時刻t24a,t24b,t24cにおいて、各設定完了通知をOLT21Aへ送信する。
OLT21Aは、全てのノード12A〜14Aの新規ONU32Aaを含むONU32Aaから設定完了通知を受信すると、時刻t25において、下り伝送のみをTSモードから波長モードに切り替える。これによって、波長モードでの波長パスP1で、下り方向に映像信号等の大容量のデータが伝送される。以降、時刻t26a,t26b,t26cでも示すように、各設定完了通知が1ms周期毎に送信される。
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態の特徴及びその効果を、図1を主に参照して説明する。
本実施形態のシステム10Aは、外部装置としてのホスト41a〜41nとの間で送受信される信号を終端し、制御主体となる光回線終端装置としてのOLT21Aと、制御主体に対して客体となる光回線終端装置としてのONU32Aa,32Abを有する複数のノード(光伝送装置)とが、少なくとも1本の光伝送路としての光ファイバ16でリング状に接続されている。光ファイバ16を経由して、OLT21Aから前記各ノード12A〜14Aへデータが下り伝送され、前記各ノード12A〜14Aから前記OLT21Aへデータが上り伝送されるようになっている。なお、ONU32Aa,32Abは、ONU32Aaを代表して説明する。
(1)OLT21Aは、次の制御情報管理部61及び切替部60を備え、ONU32Aaは、次の送信許可記憶部80b及び送信指示情報キュー部81を備える構成とした。
即ち、制御情報管理部61は、TSモードにより、上り伝送でデータを送信する際の初期送信タイミング、送信周期及び送信帯域の接続設定を行う送信許可情報を、各ノード12A〜14AのONU32Aaへ送信する。更に、その送信された当該送信許可情報を受信した該当ONU32Aaが接続設定の完了後に送信した設定完了通知を、全てのノード12A〜14Aから受信した際に、下り伝送の送信モードをTSモードから波長モードに切り替える指示を行う。切替部60は、その指示に応じて、下り伝送の送信モードのみをTSモードから波長モードに切り替える。
送信許可記憶部80bは、OLT21Aから受信した送信許可情報を記憶する。送信指示情報キュー部81は、その記憶された送信許可情報に応じて接続設定を行い、この設定完了後に設定完了通知を、TSモードで当該接続設定の内容に従ってOLT21Aへ一定周期で送信する。
この構成によれば、各ノード12A〜14AのONU32Aaは、記憶した送信許可情報に基づき、所定帯域のデータを、所定時刻の初期送信タイミングから所定周期で上り送信可能であるため、下り伝送が波長モードになっても、TSモードで上り伝送を行うことができる。このため、OLT21Aで下り伝送のみを波長モードとすることができる。この処理により、P2MP方式のシステム10Aにおいて、上り下りのパスの接続設定の制御を行うための小容量のデータ伝送がTSモードで帯域の無駄が生じないように効率良く行われる。また、下りパスの映像配信等の大容量のデータ伝送が、TSモードよりも大容量伝送が可能な波長モードで効率良く行われるようになる。
(2)制御情報管理部61は、各ノード12A〜14AのONU32Aaの1つからでも設定完了通知が受信されない場合、下り伝送の送信モードを波長モードからTSモードに切り替える指示を切替部60に行うようにした。
この構成によれば、OLT21Aは、ONU32Aaから設定完了通知が送信されて来ない場合、当該ONU32Aaの故障を検知できる。この際に、下り伝送の送信モードが波長モードに切り替えられるので、その故障が復旧後に、上り下りのTSモードにより、送信許可情報を各ノード12A〜14AのONU32Aaへ送信して接続設定を行うことができる。
(3)制御情報管理部61は、TSモードへの切替指示を行う際に、下り伝送のデータ伝送量が予め定められた閾値以上となる帯域溢れの発生を検出し、当該帯域溢れの発生を未検出状態であればTSモードへの切替指示を行い、帯域溢れの発生を検出状態であれば、この後、帯域溢れの発生を未検出状態となった際に、TSモードへの切替指示を行うようにした。
この構成によれば、TSモードへの切替指示を行う際に、OLT21Aから各ノード12A〜14AのONU32Aaへの下り伝送において、データ伝送量が帯域溢れを起こしていれば、大容量のデータ伝送中なので、波長モードよりも伝送容量が小さいTSモードに切り替えると伝送障害等が生じる。そこで、データ伝送量が帯域溢れを起こさなくなるまで待ってTSモードに切り替えれば、伝送障害等が生じることがなく、適正にTSモードに切り替えることができる。
(4)制御情報管理部61は、設定完了通知が受信できなかったONU32Aaの復旧又は新規ONU32Aaへの交換の検知後に、送信許可情報を当該復旧又は当該交換後のONU32Aaを含む全ノード12A〜14AのONU32Aaへ送信し、この送信後に全ノード12A〜14AのONU32Aaから設定完了通知を受信した際に、下り伝送の送信モードのみをTSモードから波長モードに切り替える指示を行うようにした。
この構成によれば、復旧又は交換後のONU32Aaに対して適正に接続設定を行った後に、その復旧又は交換後のONU32Aaを含む全ノード12A〜14AのONU32Aaに、下り伝送の送信モードのみを波長モードに切り替えることができる。
(5)ONU32Aaの交換又は増設時に、下り伝送のデータ伝送量が予め定められた閾値以上となる帯域溢れが発生していない状態で、下り伝送の送信モードを波長モードからTSモードに切り替える指示の命令設定と、交換又は増設対象のONU32Aaに接続設定を行うための送信許可情報を該当ONU32Aaへ送信する命令設定が行われる端末機28からの各命令が通知されるDWBA機能部27Aを備える。制御情報管理部61は、DWBA機能部27Aから入力される命令の実行により、TSモードにおいて、送信許可情報を交換又は増設後のONU32Aaを含む各ノード12A〜14AのONU32Aaへ送信し、この送信後に全ノード12A〜14AのONU32Aaから設定完了通知を受信した際に、下り伝送の送信モードのみをTSモードから波長モードに切り替える指示を切替部に行うようにした。
この構成によれば、ONU32Aaの交換又は増設時に、人が端末機により、交換又は増設されたONU32Aaに対して適正に接続設定を行い、接続設定後に、下り伝送の送信モードのみを波長モードに切り替えることができる。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。上記実施形態では、OLT21Aと各ノード12A〜14Aとが2本の光ファイバ16,17で接続された1+1プロテクション構成を前提として説明したが、1本の光ファイバ16又は17で接続された構成においても、同様に信号伝送を実施することが可能である。