<第1実施例>
以下、図面を適宜参照して、この発明の第1実施例の用紙搬送装置を適用した画像読取部14およびそれを備える画像形成装置10について説明する。図1は、用紙搬送装置の一例である原稿送り装置22を備える画像形成装置10の外観を示す図解図である。また、図2は、原稿送り装置22の外観構成を斜め上方から見た斜視図である。図3は、画像読取部14および原稿送り装置22の縦断面を概略的に示す断面図である。
図1‐図3を参照して、この発明が適用され得る画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有するフルカラー複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、この発明が適用できる画像形成装置は上記の機能の少なくとも1つを有するものでよく、実施例に限定されるものではない。
画像形成装置10は、本体12および本体12の上方に配置される画像読取部14を含む。画像読取部14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。
この原稿押えカバー18には、原稿トレイ20に載置された原稿Gを、画像読取ガラスを配置した読取位置P1(図3)に対して1枚ずつ自動的に給紙する用紙搬送装置の一例であるADF(原稿送り装置)22が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部(図示せず)が設けられる。
図3に示すように、画像読取部14には、たとえば主走査方向(図1および図3の紙面に直交する方向)に配列された複数のLEDを含み、副走査方向(図1および図3の紙面に平行な方向Y1、Y2)に移動可能な光源ユニット24、光源ユニット24の移動速度の1/2の移動速度で、副走査方向に移動可能なミラーユニット26、結像レンズおよびラインセンサ等を備える撮像部28が設けられる。画像読取部14は、原稿表面を光源ユニット24によって露光し、原稿表面から反射した反射光をミラーユニット26によって撮像部28の結像レンズ(図示せず)に導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサ(図示せず)の受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等を用いる。
画像読取部14では、原稿移動方式による読取時には、光源ユニット24を読取位置P1に停止させた状態で、原稿送り装置22により副走査方向に搬送される原稿Gを光源ユニット24の出射光で照射する。固定読取方式では、光源ユニット24およびミラーユニット26を副走査方向に移動させることによって、原稿載置台16に載置されている原稿を照射する。
図3に詳細に示すように、原稿送り装置22について詳細に説明する。原稿送り装置22は、原稿Gが載置される原稿トレイ20と、原稿Gが排出される排出トレイ30と、原稿トレイ20に載置される原稿Gを読取位置P1へ搬送するための搬送路32と、読取位置P1に搬送された原稿Gを排出トレイ30へ搬送するための搬送路34と、読取位置P1を通過した原稿Gを搬送路32へと戻すための搬送路36とを含む。
原稿トレイ20には、原稿Gがフェイスアップで載置されている。原稿トレイ20は、読取位置P1に対して一方方向(副操作方向下流側)Y1側に配置されている。なお、読取位置P1は、原稿読取ガラス38を介して光源ユニット24から光が照射される位置である。
原稿トレイ20の近傍には、ピックアップローラ40が設けられている。ピックアップローラ40は、原稿トレイ20に載置された原稿Gを上から順に原稿送り装置22の内部に取り込む。
ピックアップローラ40の近傍には、捌きローラ42および分離ローラ44が設けられている。捌きローラ42および分離ローラ44は、複数の原稿Gが重なった状態で搬送路32へ搬送されること(重送)を防止するために設けられている。
排出トレイ30は、原稿トレイ20の下方に配置され、原稿Gがフェイスダウンで排出される。また、排出トレイ30は、読取位置P1に対して一方方向Y1側に配置されている。すなわち、排出トレイ30および原稿トレイ20は、副走査方向において、読取位置P1に対して同じ側に配置されている。
搬送路32および搬送路34は、正面から見てU字状に形成されている。具体的には、搬送路32は、読取位置P1に対する一方方向Y1側から他方方向(副走査方向上流側)Y2側まで延び、読取位置P1に対する他方方向Y2側から読取位置P1まで延びるように形成されている。すなわち、搬送路32は、読取位置P1の上方を跨ぎ、読取位置P1へ向けて折り返すように形成されている。
搬送路34は、読取位置P1から一方方向Y1側へ延びるように形成されている。搬送路36は、搬送路34および搬送路32の間に設けられている。このため、搬送路34の一部と搬送路36と搬送路32の一部とにより、循環経路が形成されている。
具体的には、循環経路は、搬送路32および搬送路36の合流点P2と読取位置P1との間の搬送路32と、読取位置P1と搬送路34および搬送路36の合流点P3との間の搬送路34と、搬送路36とにより構成されている。なお、合流点P3と排出トレイ30との間の搬送路36は、搬送方向に対する原稿Gの先端および後端を切り替えるためのスイッチバック経路として機能する。
搬送路32には、搬送ローラ46aおよび46bと搬送ローラ48aおよび48bとが設けられ、搬送路34には、搬送ローラ50aおよび50bと搬送ローラ52aおよび52bとが設けられている。搬送ローラ46aおよび46b、搬送ローラ48aおよび48bおよび搬送ローラ50aおよび50bは、搬送ローラ52aおよび52bの搬送力よりも強い搬送力を有する。
搬送ローラ46aおよび46bは、合流点P2近傍の下流側に配置されている。搬送ローラ48aおよび48bは、読取位置P1近傍の上流側に配置されている。搬送ローラ50aおよび50bは、読取位置P1と合流点P3との間に配置されており、読取位置P1を通過した原稿Gを搬送ローラ52aおよび52bへ搬送するために設けられている。搬送ローラ52aおよび52bは、合流点P3と排出トレイ30との間に配置されており、排出ローラとして機能する。すなわち、搬送ローラ46aおよび46bと搬送ローラ48aおよび48bと搬送ローラ50aおよび50bとは、循環経路に配置され、搬送ローラ52aおよび52bは、スイッチバック経路に配置されている。
搬送ローラ46a、48a、50aおよび52aは、それぞれ図示しないモータなどの駆動源により回転駆動される駆動ローラであり、搬送ローラ46b、48b、50bおよび52bは、それぞれ、これら駆動ローラ46a、48a、50aおよび52aの回転に従って回転する従動ローラである。また、搬送ローラ52aおよび52bの近傍には、搬送路34から排出トレイ30へ排出される原稿Gに対して腰付けを行う腰付部材54が設けられている。
合流点P3の近傍には、爪部材56が移動可能に設けられている。爪部材56は、自重により搬送路34を塞ぐ位置に配置されている。また、爪部材56は、原稿Gが搬送方向Y3に搬送される際に、原稿Gにより押し上げられることにより、搬送路34を開放するように構成されている。
また、搬送ローラ46aおよび46bの近傍の上流側には、レバー58が回動可能に設けられている。レバー58は、搬送路32および搬送路36を塞ぐ位置に配置されている。また、レバー58は、原稿Gが搬送路32または搬送路36を搬送される際に、原稿Gにより押し上げられるように構成されている。そして、レバー58の近傍には、レバー58が押し上げられたことを検出するセンサ60が設けられている。センサ60は、たとえば、フォトインタラプタであり、原稿Gが搬送ローラ46近傍の上流側に位置しているか否かを制御部62(図1)が判断するために設けられている。
また、搬送ローラ48aおよび48bの近傍の上流側には、レバー64が回動可能に設けられている。レバー64は、搬送路32を塞ぐ位置に配置されている。また、レバー64は、原稿Gが搬送路32を搬送される際に、原稿Gにより押し下げられるように構成されている。そして、レバー64の近傍には、レバー64が押し下げられたことを検出するセンサ66が設けられている。センサ66は、たとえば、フォトインタラプタであり、原稿Gが搬送ローラ48aおよび48bの近傍の上流側に位置しているか否かを制御部62が判断するために設けられている。
上述の搬送路32を封止または覆うことができる開閉カバー68が設けられる。この開閉カバー68は、原稿トレイ20の両側縁に形成されたフレーム20a(図2)による軸支部70によって、回転可能に支持される。軸支部70では、具体的には、開閉カバー68の両側端に突起(図示せず)を形成し、その突起をフレーム20aのそれぞれの内側に形成した凹部(図示せず)で軸支する。したがって、この開閉カバー68は、この軸支部70を中心に矢印A1またはA2の方向に回動する結果、開閉カバー68に対向して設けられた固定カバー72に対して開閉する。固定カバー72は図面では明らかではないが、排出トレイ30を形成するベース74の後端部から立ち上がって設けられ、その上端に上部壁76が形成される。この上部壁76は、ともに垂直またはほぼ垂直な外側面および内側面を含む。また、上部壁76は、固定カバー72の上端に、固定カバー72の厚みより薄い厚みで形成されるので、固定カバー72の上端には、図4で示すような段差部124が形成される。
開閉カバー68は、上述の搬送路32で原稿が紙詰まりを生じたとき、その原稿を除去するために設けられる。そして、開閉カバー68は、原稿トレイ20側の先端68a(図2)を手で持って引き上げると、軸支部70を軸として、矢印A1の方向に回転され、開閉カバー68が開けられる。このように開閉カバー68を開いた状態では搬送路32が開放されるので、紙詰まりを生じた原稿を除去することができる。
そして、開閉カバー68の先端68aを持って押えると、軸支部70を中心として開閉カバー68が矢印A2の方向に回転し、図2の上述のように開閉カバー68を閉じることができる。開閉カバー68を閉じたとき、開閉カバー68は固定カバー72と協働して、搬送路32等の用紙搬送路を覆うことができる。ただし、搬送路32等の用紙搬送路は、少なくとも開閉カバー68で覆われる構成であってもよい。
本体12には、上で述べた制御部62および画像形成部78が設けられる。制御部62は、図示しないが、CPUおよびメモリ等を備え、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
画像形成部78は、露光ユニット80、現像器82、感光体ドラム84、クリーナユニット86、帯電器88、中間転写ベルトユニット90、転写ローラ(2次転写ローラ)92および定着ユニット94等を備え、給紙カセット96または手差し給紙カセット98から搬送される用紙(記録紙)上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ(図示せず)に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部14で読み取った画像データや外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器82、感光体ドラム84、クリーナユニット86および帯電器88のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。また、感光体ドラム84、クリーナユニット86および帯電器88は、ユニット化(カートリッジ化)されており、これらによってプロセスユニット100が構成される。つまり、画像形成部78には、感光体ドラム84、クリーナユニット86および帯電器88等を備える4つのプロセスユニット100が設けられている。プロセスユニット100のそれぞれは、本体12の前面側から個別に着脱することが可能である。
感光体ドラム84は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器88は、この感光体ドラム84の表面を所定の電位(たとえば、−600V)に帯電させる部材であり、一例としてローラ型の帯電器(帯電ローラ)88が用いられる。
また、露光ユニット80は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム84の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム84の表面に形成する。現像器82は、感光体ドラム84の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット86は、現像および画像転写後における感光体ドラム84の表面に残留したトナーをクリーニングブレード(図示せず)で除去し、除去したトナーを廃トナーボックス(図示せず)に搬送する。
中間転写ベルトユニット90は、中間転写ベルト102、駆動ローラ104、従動ローラ106および4つの中間転写ローラ108等を備え、感光体ドラム84の上方に配置される。中間転写ベルト102は、各感光体ドラム84に接触するように設けられており、中間転写ローラ108を用いて、各感光体ドラム84に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト102に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト102上に多色のトナー像が形成される。
また、駆動ローラ104の近傍には、転写ローラ92が配置されており、中間転写ベルト102と転写ローラ92との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト102に形成されたトナー像が用紙に転写される。
定着ユニット94は、ヒートローラ110および加圧ローラ112を備え、転写ローラ92の上方に配置される。ヒートローラ110は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ110と加圧ローラ112との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
このような複合機本体12内には、給紙カセット96または手差し給紙カセット98に載置された用紙をレジストローラ114、転写ローラ92および定着ユニット94を経由させて排紙トレイに送るための第1用紙搬送路S1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット94を通過した後の用紙を、転写ローラ92の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に戻すための第2用紙搬送路S2が形成される。この第1用紙搬送路S1および第2用紙搬送路S2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ116が適宜設けられる。
複合機本体12において片面印刷を行う際には、給紙カセット96または手差し給紙カセット98に載置された用紙がピックアップローラ118によって1枚ずつ第1用紙搬送路S1に導かれ、搬送ローラ116によってレジストローラ114まで搬送される。そして、レジストローラ114によって、用紙の先端と中間転写ベルト102上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ92に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット94を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ(排紙ローラ)116を経て排紙トレイ(図示せず)上に用紙が排出される。
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット94を通過した用紙の後端部が排紙トレイの近傍の排紙ローラ116まで到達したとき、この排紙ローラ116を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路S2に導かれる。第2用紙搬送路S2に導かれた用紙は、搬送ローラ116によって第2用紙搬送路S2を搬送されて、レジストローラ114の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ92および定着ユニット94を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
このような画像形成装置10において、原稿送り装置22の開閉カバー68と固定カバー72の上端の上部壁76との間には、図3で示すような間隙が形成される。つまり、開閉カバー68を開閉するとき、開閉カバー68の下端の変位軌跡と上部壁76とが干渉しないように、開閉カバー68は、それの下端が固定カバー72すなわち上部壁76と間隔を隔てるように、配置される。そのため、原稿が搬送路32等を通って搬送されるときに発生する音が、その隙間から外部へ漏れることがある。
そこで、この第1実施例では、原稿が搬送路32等を通って搬送されるときに発生する音が、原稿送り装置22の開閉カバー68と固定カバー72の上端の上部壁76との間の隙間から外部に音が漏れるのを防止するようにしてある。
図4は開閉カバー68を閉じた状態の原稿送り装置22の縦断面の一部を拡大した拡大図である。図5は開閉カバー68を開いた状態の原稿送り装置22の縦断面の一部を拡大した拡大図である。
図4および図5に示すように、この第1実施例では、開閉カバー68の下端内側すなわち取付け部128の内面128aのうちの下端面1280に「モルト」と呼ばれる発泡合成樹脂たとえばポリウレタンフォームからなる弾性柱状部材122が、たとえば接着等の方法で固着される。第1筐体として機能する固定カバー72には、上部壁76を形成する段差部124上にたとえばPET(ホリエチレンテレフタレート)のような合成樹脂からなる可撓性シート状部材126の下端が、たとえば接着等の方法で固着される。したがって、可撓性シート状部材126の外側面の下部は上部壁76の内側面に接触した状態となるが、このとき、可撓性シート状部材126の外側面の下部は上部壁76の内側面に固着されてもよい。可撓性シート状部材126の上端は自由端であり、可撓性シート状部材126の上部は上部壁76の上端より、第2筐体として機能する開閉カバー68に向かう方向(上方)に突出する。
なお、これらの図4および図5では明確には見えないが、この弾性柱状部材122および可撓性シート状部材126は、それぞれ、たとえば図2に示すような幅(用紙搬送方向に垂直な方向における長さ)を有する開閉カバー68の全幅に亘って設けられている。
また、可撓性シート状部材126の下端を段差部124にたとえば接着等の方法で固着するが、その際、可撓性シート状部材126の厚みが小さいので十分な接着面積を確保できない可能性があるので、そのときには、可撓性シート状部材126の下端をたとえば「L」字状に折り曲げ、折り曲げた部分に接着剤を塗布する等の工夫をすればよい。
図5に示すように、開閉カバー68を矢印A1の方向に開いたときには、たとえば搬送ローラ46aなどが取り付けられている取付け部128もこの開閉カバー68と一体的に変位する。したがって、搬送路32が開放され、たとえばこの搬送路32で紙詰まりを生じている原稿を除去することができる。この状態では、取付け部128の内面128aのうちの当接面(当接部)1282が、可撓性シート状部材126の上端部分(先端部分)に当接する。また、取付け部128の内面128aのうち、当接面1282以外の面(部分)は、開閉カバー68が開閉されたとしても、可撓性シート状部材126の先端に当接(接触)することはない。ただし、当接面(当接部)1282は、下端面1280に接続される面(部分)であり、開閉カバー68を閉じた状態で上下方向に広がる。したがって、開閉カバー68が開かれた状態では、上部壁76の上端から開閉カバー68の方(上方)に突出している可撓性シート状部材126の上端(先端)部分を外方に少し湾曲させるが、可撓性シート状部材126は可撓性を有し、かつ上部壁76の上端が開閉カバー68の開放時のストッパになって開閉カバー68が図5の位置よりさらに開けられることはないため、可撓性シート状部材126が折れ曲がってしまうことはない。
つまり、開閉カバー68を矢印A1の方向に開けたとき、可撓性シート状部材126が取付け部128の湾曲(屈曲)した内面128aに沿って曲がるが、開閉カバー68は原稿の紙詰まりを直すために開けるのであり、開いている時間は短い。したがって、可撓性シート状部材126に塑性変形が起きてしまうことはない。
また、開閉カバー68の当接面1282は、可撓性シート状部材126の上端部分(先端部分)のシート面から当たる。したがって、可撓性シート状部材126の先端から当接面1282に当たる場合とは異なり、可撓性シート状部材126の先端が当接面1282を擦ることがないため、異音が発生することはほとんどない。
さらに、図4からも分かるように、可撓性シート状部材126が撓んでいるときに、その下端部分は上部壁76側に押圧される。このため、上部壁76の外側面に接触した状態となるように固定カバー72に接着する場合よりも、可撓性シート状部材126が上部壁76から剥がれ難くすることができる。
なお、可撓性シート状部材126を上部壁76の外側面に接触した状態となるように固定カバー72に接着した場合には、可撓性シート状部材126が撓んでいるときに、その下端部分は上部壁76とは反対側に押圧されることになる。このため、可撓性シート状部材126は上部壁76から剥がれ易い。
そして、開閉カバー68を矢印A2の方向に閉じると、図4に示すように、弾性柱状部材122が、可撓性シート状部材126の上部壁76よりも上方に突出した部分を外側面から矢印A2の方向へ押して圧接する。つまり、弾性柱状部材122は上述のようにたとえばポリウレタンフォームであり、少なくとも表面は弾性を有している。可撓性シート状部材126は上述のようにPETであり、全体としては、表面に直交する方向に可撓性(弾性)があるものの、その表面自体は硬質である。したがって、弾性柱状部材122の表面が可撓性シート状部材126の硬質の外側面によって弾性変形し、この弾性変形の反力によって可撓性シート状部材126を強く押す。他方、可撓性シート状部材126も撓み(弾性変形し)、その反力で弾性柱状部材122を外側へ押し返す。つまり、可撓性シート状部材126は、撓んだ状態で、その上部壁76よりも上方に突出した部分で弾性柱状部材122を押し付ける。このように、弾性柱状部材122も可撓性シート状部材126も互いに相手に対して反力を与えるので、両者はしっかり圧接(密着ないし密接)された状態になる。したがって、開閉カバー68と固定カバー72(の上部壁76)との間の隙間が塞がれる。
この第1実施例によれば、開閉カバー68と固定カバー72(の上部壁76)との間の隙間が塞がれるので、開閉カバー68の内部で発生した音が外部へ漏れるのを防止することができる。
また、この第1実施例によれば、開閉カバー68が開閉されるとき、可撓性シート状部材126が開閉カバー68に接触することが無いので、それらが接触することによる異音の発生を防止することができる。
さらに、この第1実施例によれば、可撓性シート状部材126を上部壁76の内側面に接触した状態となるとなるように固定カバー72に接着するので、上部壁76の外側面に接触した状態となるように固定カバー72に接着する場合よりも、可撓性シート状部材126が上部壁76から剥がれ難くすることができる。
なお、この第1実施例では、弾性柱状部材122は、その全体を発泡性樹脂で形成しているので、表面だけでなく、内部も弾性を有するが、少なくとも表面に弾性があれば、可撓性シート状部材126の硬質表面へ良好に圧接され得る。弾性柱状部材122の少なくとも表面において弾性による反発力が生じるからである。このことは、後の第2実施例および第3実施例についても同様である。
<第2実施例>
第2実施例の原稿送り装置22を適用した画像形成装置10では、弾性柱状部材122の形状を変更した以外は第1実施例と同じであるため、異なる点についてのみ説明することとし、重複する内容については省略する。
図4および図5に示したように、第1実施例では、弾性柱状部材122は断面がほぼ正方形の四角柱であったので、可撓性シート状部材126との接触は主としてその角部で行われた。そのため、弾性柱状部材122と可撓性シート状部材126との接触面積が小さい。
そこで、この第2実施例では、弾性柱状部材122と可撓性シート状部材126との接触面積を大きくして、開閉カバー68の内部で発生した音が外部へ漏れるのがより一層防止するようにしてある。
図6は第2実施例の原稿送り装置22の縦断面の一部を拡大した拡大図である。ただし、図6では、開閉カバー68を閉じた状態の原稿送り装置22の一部が示される。
図6に示すように、第2実施例では、弾性柱状部材122に傾斜面122aが形成される。そのため、第2実施例では、傾斜面122a全体が可撓性シート状部材126の硬質表面と接触するので、弾性柱状部材122と可撓性シート状部材126の密着状態が安定的に維持される。
この第2実施例によれば、第1実施例と同様の効果を有するとともに、弾性柱状部材122と可撓性シート状部材126の密着状態が安定的に維持されるので、開閉カバー68の内部で発生した音が外部へ漏れるのがより一層防止することができる。
なお、図6では明確ではないが、弾性柱状部材122および可撓性シート状部材126は、それぞれ、第1実施例と同じように、たとえば図2に示すような幅を有する開閉カバー68の全幅に亘って設けられている。
また、第2実施例では、弾性柱状部材122の一部に傾斜面122aを形成するようにしたが、弾性柱状部材122の形状は限定されるべきではない。たとえば、第2実施例と同様の位置に傾斜面122aを有していれば、弾性柱状部材122の形状は、断面が三角形または五角形などの任意の多角形でもよいし、円形または半円形などでもよい。
<第3実施例>
第3実施例の原稿送り装置22を適用した画像形成装置10では、弾性柱状部材122および可撓性シート状部材126を設ける位置を変更した以外は第1実施例と同じであるため、異なる点についてのみ説明することとし、重複する内容については省略する。
図7は第3実施例の原稿送り装置22の縦断面の一部を拡大した拡大図である。図8は図7に示す原稿送り装置22において開閉カバー68を開いた状態の図解図である。
簡単に説明すると、図4および図5に示したように、第1実施例では、開閉カバー68に弾性柱状部材122を設け、固定カバー72に可撓性シート状部材126を設けたが、図7および図8に示すこの第3実施例の原稿送り装置22のように、逆でもよい。
すなわち、第3実施例では、固定カバー72の上部壁76の内側に、弾性柱状部材122がたとえば接着等の方法で固着され、開閉カバー68の内側であり、取付け部128の下端面1280に、自由端が固定カバー72に向かうように可撓性シート状部材126がたとえば接着等の方法で固着される。このとき、弾性柱状部材122の上部が上部壁76から上方に突出するように設けられる。
ただし、第3実施例では、取付け部128の下端面1280に下方に突出する突起(凸条)128bが設けられ、可撓性シート状部材126の内側面の上部が突起128bの外側面に接触した状態となる。したがって、可撓性シート状部材126の内側面の上部は突起128bの外側面に固着されてもよい。
また、可撓性シート状部材126を開閉カバー68に固着する際、第1実施例と同様に、たとえば可撓性シート状部材126の上端をたとえば「L」字状に折り曲げ、折り曲げた部分に接着剤を塗布するようにして接着面積を確保することができる。
なお、図7および図8では明確には見えないが、弾性柱状部材122および可撓性シート状部材126は、それぞれ、第1実施例および第2実施例と同様に、たとえば図2に示すような幅を有する開閉カバー68の全幅に亘って設けられている。
第3実施例において、図7に示すように、開閉カバー68を矢印A2の方向に閉じたとき、可撓性シート状部材126は、この上部壁76を越えた奥部において、弾性柱状部材122の突出部分の表面に接触する。そして、弾性柱状部材122の表面が可撓性シート状部材126の硬質の外側面によって弾性変形し、この弾性変形の反力によって可撓性シート状部材126を強く押す。他方、可撓性シート状部材126も撓み(弾性変形し)、その反力で弾性柱状部材122を外側へ押し返す。つまり、弾性柱状部材122も可撓性シート状部材126も互いに相手に対して反力を与えるので、両者はしっかり圧接(密着ないし密接)された状態になる。
図8に示すように、第3実施例においても、開閉カバー68を矢印A1の方向に開いたときには、取付け部128の内面128aのうちの当接面(当接部)1282が、可撓性シート状部材126の下端部分(先端部分)に当接する。また、取付け部128の内面128aのうち、当接面1282以外の面(部分)は、開閉カバー68が開閉されたとしても、可撓性シート状部材126の先端に当接(接触)することはない。
また、第3実施例においても、開閉カバー68の当接面1282は、可撓性シート状部材126の下端部分(先端部分)のシート面から当たる。したがって、可撓性シート状部材126の先端から当接面1282に当たる場合とは異なり、可撓性シート状部材126の先端が当接面1282を擦ることがないため、異音が発生することはほとんどない。
図7および図8からも分かるように、第3実施例においては、可撓性シート状部材126は、開閉カバー68を矢印A2の方向に閉じたときには、断面がI字状から少し撓んだ(曲がった)状態であり、開閉カバー68を矢印A1の方向に開くに従って、断面が次第にS字状に湾曲される。このとき、可撓性シート状部材126は、その外側面が弾性柱状部材122の内側面に摺動しながら変形する。したがって、第3実施例においては、可撓性シート状部材126は、開閉カバー68の開閉状態に拘わらず、弾性柱状部材122に押し付けられた状態である。
また、図8に示すように、開閉カバー68を矢印A1の方向に開けたとき、弾性柱状部材122は取付け部128の内面128aのうちの当接面1282に押されてつぶれた状態になるが、上述のように開閉カバー68を開けている時間は短いので、弾性柱状部材122に塑性変形が起きてしまうことはない。
第3実施例においても、第1実施例と同様に、開閉カバー68と固定カバー72(の上部壁76)との間の隙間が塞がれるので、開閉カバー68の内部で発生した音が外部へ漏れるのを防止することができる。
また、この第3実施例によれば、第1実施例と同様に、開閉カバー68が開閉されるとき、可撓性シート状部材126が開閉カバー68に接触することが無いので、それらが接触することによる異音の発生を防止することができる。
なお、第2実施例の変形は、第3実施例にも適用可能である。つまり、開閉カバー68を閉じたときに、弾性柱状部材122と可撓性シート状部材126が接触する部分において、弾性柱状部材122に傾斜面122aが形成される。
上述の各実施例では開閉カバー68と固定カバー72を組み合わせたハウジング(音の発生源を内部に含む)を用いたが、一方が固定カバーでなければならないということはなく、ともに開閉または変位するカバーの組み合わせであってもよい。
上述の各実施例では、用紙搬送装置の一例として原稿送り装置22を示したが、この発明は、2つのカバーないし筐体を組み合わせ、その内部で用紙を搬送する任意の形式の用紙搬送装置に適用可能である。
また、各実施例で示した画像形成装置の構成は一例であり、実際の製品の仕様等によって適宜変更可能である。