(ロボット制御システムの構成)
本発明のロボット制御システムの実施形態を説明する。先ず、ロボット制御システムの概要について説明する。
図1に示すように、ロボット制御システムのロボット制御装置RCは、ロボットRの動作及びロボットRへの電力供給を制御するものであり、コンピュータや各種のモジュール等が内蔵されている。ロボット制御装置RCの筐体の外面には、無線アクセスポイント装置APが固定されている。無線アクセスポイント装置APは、ロボット制御装置RCに対して有線で接続され、ロボット制御装置RCとの間で有線通信により信号を入出力する。ロボット制御装置RCには、ロボットRへの電力供給を制御するための信号を出力する操作ボックスOPが有線で接続されている。ロボット制御装置RCには、有線でロボットRが接続されている。ロボットRは、例えばサーボモータによって駆動される複数のアームを有し、その先端のアームに溶接トーチが搭載された多関節型の溶接ロボットである。そして、ロボットRは、ロボット制御装置RCからの信号によってアーム等の動作が制御される。
図1に示すように、ロボット制御装置RCには、ロボットRを操作してロボットRへの教示内容を入力するための有線ティーチペンダントTP1が有線で接続されている。有線ティーチペンダントTP1は、ディスプレイ、入力装置(キーボード)等が一体化されたコンピュータ端末として構成されている。また、有線ティーチペンダントTP1にはイネーブルスイッチが搭載されている。イネーブルスイッチは、いわゆるデッドマンスイッチであり、操作者が所定の操作を行っている場合にイネーブル信号を出力する。有線ティーチペンダントTP1は、ロボット制御装置RCに対して着脱可能に構成されていて、有線ティーチペンダントTP1がロボット制御装置RCに接続された場合には、有線での通信の接続が確立する。
図1に示すように、ロボット制御システムは、ロボットRを操作してロボットRへの教示内容を入力するための無線ティーチペンダントTP2を含んで構成されている。無線ティーチペンダントTP2は、ディスプレイ、入力装置(キーボード)等が一体化されたコンピュータ端末として構成されている。また、無線ティーチペンダントTP2には、アンテナ及び通信モジュール等が内蔵され、無線アクセスポイント装置APに対して無線通信で信号を送受信する。無線ティーチペンダントTP2にはイネーブルスイッチが搭載されている。イネーブルスイッチは、いわゆるデッドマンスイッチであり、操作者が所定の操作を行っている場合にイネーブル信号を出力する。なお、無線ティーチペンダントTP2は、無線アクセスポイント装置APと無線通信可能な可搬式操作装置に該当する。
次に、ロボット制御システムを構成する各装置をより具体的に説明する。
図2に示すように、ロボット制御装置RCには、電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチ11が設けられている。電源スイッチ11が操作されることにより、ロボット制御装置RC、操作ボックスOP及び無線アクセスポイント装置APの電源のオン/オフが切り換えられる。ロボット制御装置RCには、ロボットRの制御処理や通信処理等を担うロボット制御部12が設けられている。ロボット制御部12は、各種のプロブラムを実行する中央演算装置12a(CPU)、各プログラムの実行に際してデータが一時的に格納される揮発性のRAM12b、処理に必要なアプリケーションや各種のデータ等が格納される不揮発性の記憶部12cなどを有するコンピュータとして構成されている。また、ロボット制御部12の記憶部12cには、ロボットRを動作させるための教示プログラムが記憶されている。
図2に示すように、ロボット制御装置RCには、時間を計測するためのタイマ13が設けられている。タイマ13は、ロボット制御部12からの指令に基づいてカウント値をカウントアップする。また、タイマ13は、ロボット制御部12からの指令に基づいてカウントアップしたカウント値をクリアして初期値に戻す。
図2に示すように、ロボット制御装置RCには、ロボットRのサーボモータに電力を供給するためのサーボアンプ14が設けられている。サーボアンプ14は、ロボット制御部12によって指示されるロボットRのアームの姿勢等に応じた電力を、ロボットRのサーボモータに供給する。つまり、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、サーボアンプ14を制御することにより、ロボットRの動作を制御する。
図2に示すように、ロボット制御装置RCの通信制御部15は、ロボット制御部12に接続されている。通信制御部15は、有線ティーチペンダントTP1及び無線ティーチペンダントTP2のいずれかに対して、通信の接続を確立する。そして、通信制御部15は、通信の接続を確立した有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2からの制御信号をロボット制御部12に出力して、当該ティーチペンダントの操作に基づくロボットRの制御を可能とする。通信制御部15には、無線アクセスポイント装置APが有線で接続されている。
無線アクセスポイント装置APには、電波を送受信するためのアンテナ、そのアンテナによる電波の送受信を制御する通信モジュール等が内蔵され、無線LAN規格(IEEE801.11規格)における2.4GHz帯又は5GHz帯の周波数帯域を利用して無線通信を行う。本実施形態では、5GHz帯の周波数帯域を利用するものとする。無線アクセスポイント装置APは、ロボット制御装置RCの通信制御部15から出力される信号を無線通信で無線ティーチペンダントTP2に送信する。また、無線アクセスポイント装置APは、無線ティーチペンダントTP2から無線通信で受信した信号を通信制御部15に出力し、通信制御部15はその制御信号をロボット制御部12に出力する。
無線アクセスポイント装置APには、5GHz帯の周波数帯域に用意されている計19の通信チャネルのうちのいずれかが、初期通信チャネルとして予め設定されている。無線アクセスポイント装置APは、電源オフ状態から起動した際には、初期通信チャネルにおいて、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続を確立する。なお、無線アクセスポイント装置APの初期通信チャネルは、例えば、ロボット制御システムを新たに工場等に設置する際に設定されるものである。また、無線アクセスポイント装置APは、気象レーダ等の干渉波に応じて無線通信の通信チャネルを変更するチャネル変更機能としてのDFS機能を有する。なお、気象レーダ等の干渉波は、ロボット制御装置RCからの信号に拠るものでないため、システム外からの外部信号に相当する。無線アクセスポイント装置APは、DFS機能を実行して通信チャネルを初期通信チャネルから他の通信チャネルに変更した場合には、その旨を示すチャネル変更情報Si1をロボット制御装置RCに出力する。また、無線アクセスポイント装置APは、ロボット制御装置RCからチャネル再設定信号としての再起動信号Si2が入力されると再起動を行う。なお、再起動を行った場合、無線アクセスポイント装置APの通信チャネルは、再起動直前に設定されていた通信チャネルに拘わらず、初期通信チャネルに設定される。
ロボット制御装置RCのロボット制御部12には、無線アクセスポイント装置APがDFS機能を実行した際に無線アクセスポイント装置APに対する再起動信号Si2の出力を許可する許可状態、又は再起動信号Si2の出力を禁止する禁止状態のいずれかが設定可能である。ロボット制御部12が許可状態にある場合にはロボット制御部12の記憶部12cには再起動許可情報が記憶され、禁止状態にある場合にはロボット制御部12の記憶部12cには再起動禁止情報が記憶されている。ロボット制御部12を許可状態にするか禁止状態にするかは、有線ティーチペンダントTP1や無線ティーチペンダントTP2を操作することにより切り換え可能になっている。
図2に示すように、操作ボックスOPには、ロボットRを「運転準備待ち状態」から「運転準備状態」へと遷移させるための運転準備スイッチ21が設けられている。ロボット制御装置RCがいずれかのティーチペンダントに対して通信の接続が確立している状態では、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されると、操作ボックスOPは、ロボット制御装置RCのロボット制御部12に対して運転準備信号を出力する。操作ボックスOPには、ロボットRを非常停止させるための非常停止スイッチ22が設けられている。操作ボックスOPの非常停止スイッチ22が操作されると、操作ボックスOPは、ロボット制御装置RCのロボット制御部12に対して非常停止信号を出力する。また、図示は省略するが、操作ボックスOPには、教示プログラムの再生を開始するための再生開始ボタン及び再生を停止するための再生停止ボタンが設けられている。
(ロボットの状態遷移処理)
次に、ロボットRの状態遷移に関するロボット制御装置RCの処理について、図3に従って説明する。
ロボットRの操作者がロボット制御装置RCの電源スイッチ11を操作して、ロボット制御装置RCの電源がオフからオンにされると、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS1に移行する。
ステップS1では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、ティーチペンダントとの通信の接続が確立したか否かを判断する。具体的には、ロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1が接続されているかを判断し、接続されている場合には有線ティーチペンダントTP1に対して有線での通信の接続が確立されていると判断する。また、有線ティーチペンダントTP1が接続されていない場合には、無線アクセスポイント装置APと無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立されているか否かを判断する。いずれのティーチペンダントに対しても通信の接続が確立されていない場合には(ステップS1においてNO)、ロボット制御部12は引き続きティーチペンダントとの間で通信の接続が確立されるのを待つ。一方、いずれかのティーチペンダントとの間で通信の接続が確立された場合(ステップS1においてYES)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS2に移行する。
ステップS2では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を「運転準備待ち状態」に遷移させる。「運転準備待ち状態」は、ロボット制御装置RCのサーボアンプ14からロボットRへの電力の供給が禁止された状態である。したがって、「運転準備待ち状態」は、有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2を操作してもロボットRを操作できない状態である。ロボット制御装置RCの処理は、その後、ステップS3に移行する。
ステップS3では、ロボット制御部12は、再生開始信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、ロボットRの操作者が操作ボックスOPの再生開始ボタンを操作すると、再生開始信号がロボット制御装置RCへ入力される。再生開始信号が入力された場合には(ステップS3においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS4に移行する。
ステップS4では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を「再生状態」に遷移させる。この「再生状態」においては、サーボアンプ14からロボットRのサーボモータへの電力供給が行われ、ロボットRは、過去に教示された教示内容を再生する。また、この実施形態では、ロボットRは、教示内容の再生を繰り返し行う。なお、「再生状態」においては、有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2を操作して、ロボットRのアーム等を任意に操作することはできない。ロボットRが「再生状態」に遷移すると、ロボット制御装置RCの処理はステップS5に移行する。
ステップS5では、ロボット制御部12は、再生停止信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、ロボットRの操作者が操作ボックスOPの再生停止ボタンを操作すると、ロボットRに再生動作を停止させる旨を示す再生停止信号がロボット制御装置RCに入力される。再生停止信号が入力された場合には(ステップS5においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS6に移行する。
ステップS6では、ロボット制御部12は、ロボットRの停止処理を行う。この停止処理では、ロボットRの状態、教示内容を再生した際の電力消費量、ロボットRが教示内容を何回繰り返し動作したかといったパラメータを記憶部12cに記憶させる。その上で、サーボアンプ14からロボットRへの電力供給を停止させて、ロボットRを停止させる。その後、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS2に戻り、ロボットRの状態は運転準備待ち状態へ遷移される。
ロボット制御装置RCのステップS5の処理において、再生停止信号が入力されていないと判断された場合(ステップS5においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS7に移行する。ステップS7では、ロボット制御部12は、非常停止信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、何らかの理由でロボットRの動作を即座に停止させる必要がある場合には、操作者は、操作ボックスOPの非常停止スイッチ22を操作する。非常停止スイッチ22が操作されると操作ボックスOPは非常停止信号をロボット制御装置RCに出力する。この非常停止信号が入力されない場合(ステップS7においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS5に戻り、再生停止信号の入力を待つ。非常停止信号が入力された場合(ステップS7においてYES)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS8に移行する。
ステップS8では、ロボット制御部12は、ロボットRを非常停止させる。この非常停止においては、ロボット制御部12は、各種のパラメータ等の記憶処理を行うと共にサーボアンプ14からロボットRへの電力供給を停止する。したがって、ロボットRの動作は即座に停止することになる。ロボットRが非常停止すると、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS2に戻り、ロボットRの状態は運転準備待ち状態へ遷移される。
一方、ロボット制御装置RCのステップS3の処理において、再生開始信号が入力されていないと判断された場合(ステップS3においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS9に移行する。ステップS9では、ロボット制御部12は、運転準備信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、ロボットRの操作者は、ロボットRに動作を教示させたい場合には、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21を操作する。運転準備スイッチ21が操作されると操作ボックスOPは運転準備信号をロボット制御装置RCに出力する。この運転準備信号が入力されない場合(ステップS9においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS3に戻る。運転準備信号が入力された場合(ステップS9においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS10に移行する。
ステップS10では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を「運転準備状態」へと遷移させる。「運転準備状態」は、ロボットRの動作準備が整い、ロボット制御装置RCのサーボアンプ14からの電力供給が許容された状態である。ロボットRの状態が「運転準備状態」に遷移すると、ロボット制御装置RCの処理はステップS11に移行する。
ステップS11では、ロボット制御部12は、イネーブル信号の入力があるか否かを判断する。具体的には、ロボットRが「運転準備状態」にある場合、ロボット制御装置RCにおいては通信の接続が確立されている有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2からのイネーブル信号の入力を受け付けている。そして、操作者がロボットRの教示内容を入力する場合には、ティーチペンダントのイネーブルスイッチに所定の操作を行う。すると、ティーチペンダントからイネーブル信号が送信される。このイネーブル信号が入力された場合(ステップS11においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS12に移行する。
ステップS12では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を「サーボアンプON状態」へ遷移させる。また、ステップS12、後述するステップS13及びステップS14を経て既に「サーボアンプON状態」にある場合には、その「サーボアンプON状態」を維持する。「サーボアンプON状態」は、ロボット制御装置RCのサーボアンプ14がオンされ、通信の接続が確立されている有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2から送信される情報に基づいて、ロボットRが操作可能な操作可能状態である。また、この「サーボアンプON状態」では、ロボットRを操作してロボットRの動作を教示することができる。教示された教示内容は、ロボット制御部12の記憶部12cに教示プログラムとして記憶される。なお、イネーブル信号の入力が途切れた場合には、ロボットRの状態は「サーボアンプON状態」から「運転準備状態」へと遷移する。すなわち、イネーブル信号の入力の有無によってロボットRの状態は、「サーボアンプON状態」と「運転準備状態」との間で相互に切り換わる。ロボット制御装置RCの処理は、ロボットRの状態が「サーボアンプON状態」に遷移すると、ステップS13に移行する。
ステップS13では、ロボット制御部12は、運転終了信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、操作者は、ロボットRに対する教示が終了した場合には、通信の接続が確立されている有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2を操作して、その旨を入力する。すると、ティーチペンダントから運転終了信号が出力される。この運転終了信号が入力された場合(ステップS13においてYES)、ロボット制御部12は、「サーボアンプON状態」で教示された教示内容を記憶部12cに教示プログラムとして記憶する等の必要な処理を行う。その後、ロボット制御装置RCの処理はステップS2に移行し、ロボットRは「運転準備待ち状態」へと遷移される。
一方、ステップS11においてイネーブル信号が入力されていないと判断された場合(ステップS11においてNO)、及びステップS13において運転終了信号が入力されていないと判断された場合(ステップS13においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS14に移行する。ステップS14では、ロボット制御部12は、非常停止信号が入力されたか否かを判断する。非常停止信号が入力されていない場合には(ステップS14においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS11に戻り、イネーブル信号の入力を待つ。非常停止信号が入力された場合には(ステップS14においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS15に移行する。
ステップS15では、ロボット制御部12は、即座にサーボアンプ14からロボットRへの電力供給を停止することにより、ロボットRを非常停止させる。ロボットRが非常停止すると、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS2に戻り、ロボットRの状態は運転準備待ち状態へ遷移される。
(DFS機能の実行に伴う無線アクセスポイント装置の再起動処理)
次に、DFS機能の実行に伴って無線アクセスポイント装置APが再起動される処理について、図4及び図5に従って説明する。
図4に示すように、無線アクセスポイント装置APは、電源がONにされるとステップS21の処理を行う。ステップS21では、気象レーダの干渉波が検出されたか否かを判断する。気象レーダの干渉波が検出されなかった場合(ステップS21においてNO)、引き続き気象レーダの干渉波の検出を行う。気象レーダの干渉波が検出された場合(ステップS21においてYES)、無線アクセスポイント装置APの処理はステップS22に移行する。
ステップS22では、無線アクセスポイント装置APは、検出された気象レーダの干渉波が、当該無線アクセスポイント装置APが使用中の通信チャネルか否か、すなわち初期通信チャネルか否かを判断する。初期通信チャネルでない場合(ステップS22においてNO)、無線アクセスポイント装置APの処理は、ステップS21に戻り、引き続き気象レーダの干渉波の検出を行う。初期通信チャネルである場合(ステップS22においてYES)、無線アクセスポイント装置APの処理はステップS23に移行する。
ステップS23では、無線アクセスポイント装置APは、DFS機能を実行して通信チャネルを初期通信チャネルから他の通信チャネルに変更する。その後のステップS24では、無線アクセスポイント装置APは、DFS機能を実行したことにより通信チャネルを変更した旨を示すチャネル変更情報Si1を出力する。チャネル変更情報Si1を出力したあと、無線アクセスポイント装置APの処理は、図5に示すステップS25に移行する。
一方、ロボット制御装置RCは、電源がONにされている間、ステップS30の処理を行う。ステップS30では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立しているか否かを監視する。無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立していない場合(ステップS30においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS33に移行する。無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立している場合(ステップS30においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS31に移行する。
ステップS31では、ロボット制御部12は、既に確立していた無線通信の接続が解除されたことを検出する。具体的には、無線アクセスポイント装置APがステップS23において通信チャネルを変更すると、それまで無線通信の接続が確立されていた無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が解除される。ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、ステップS31において、この無線通信の接続解除を検出する。無線通信の接続解除を検出すると、ロボット制御装置RCの処理はステップS32に移行する。
ステップS32では、ロボット制御部12は、無線通信の接続が解除された直前のロボットRの状態が、「運転準備待ち状態」、「再生状態」、「運転準備状態」及び「サーボアンプON状態」のいずれの状態であるかを確認する。そして、確認したロボットRの状態を、記憶部12cに記憶する。その後、ロボット制御装置RCの処理はステップS33に移行する。
ステップS33では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、チャネル変更情報Si1の入力を受け付けていて、ロボット制御部12に、無線アクセスポイント装置APがステップS24で出力したチャネル変更情報Si1が入力される。また、ロボット制御部12は、そのチャネル変更情報Si1を記憶部12cに記憶する。その後のステップS34では、ロボット制御部12は、タイマ13にカウント値のクリアを指示する。その上で、ロボット制御部12は、タイマ13にカウント値のカウントアップを指示する。カウントアップを指示したあと、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS35に移行する。
ステップS35では、ロボット制御部12は、記憶部12cに再起動禁止情報が記憶されているか否かを判断する。再起動禁止情報が記憶されている場合、すなわち、ロボット制御装置RCが無線アクセスポイント装置APの再起動を禁止する禁止状態にある場合(ステップS35においてYES)、ロボット制御装置RCの処理は終了する。なお、この場合、無線アクセスポイント装置APにおける通信チャネルは、ステップS23で変更した後の通信チャネルが維持されることになる。再起動禁止情報が記憶されていない場合、すなわち、記憶部12cに再起動許可情報が記憶されていてロボット制御装置RCが無線アクセスポイント装置APの再起動を許可する許可状態にある場合(ステップS35においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS36に移行する。
ステップS36では、ロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が確立しているか否かを判断する。具体的には、無線アクセスポイント装置APがステップS23の処理を行って通信チャネルを初期通信チャネルから他の通信チャネルへと変更すると、それまで確立していた無線通信の接続は解除される。この場合であっても、操作者が無線ティーチペンダントTP2を操作することにより、変更後の通信チャネルで無線アクセスポイント装置APとの間で無線通信の接続を確立することは可能である。このように変更後の通信チャネルにおいて無線通信の接続が確立されている場合には(ステップS36においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS37に移行する。
ステップS37では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、DFS機能が実行されたために無線アクセスポイント装置APの通信チャネルを変更した旨を表示するとともに無線アクセスポイント装置APの再起動を行うか否かを問うための選択画像を作成する。そして、ロボット制御装置RCは、無線アクセスポイント装置APを介して無線ティーチペンダントTP2に選択画像を送信して、無線ティーチペンダントTP2に選択画像を表示させる。その後、ロボット制御装置RCの処理は、図5に示すステップS38に移行する。
図5に示すように、ステップS38では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2において再起動が選択されたか否かを判断する。具体的には、操作者が無線ティーチペンダントTP2に表示された選択画像に従って再起動する旨の入力を行うと、無線ティーチペンダントTP2は再起動する旨を示す選択信号Si3を送信する。なお、無線アクセスポイント装置APが再起動した場合、通信チャネルは変更前の初期通信チャネルに設定される。したがって、再起動する旨を示す選択信号Si3は、DFS機能の実行前の通信チャネルに設定する旨を示す選択信号Si3である。再起動する旨を示す選択信号Si3が無線アクセスポイント装置APを介して受信された場合(ステップS38においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS39に移行する。
ステップS39では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線アクセスポイント装置APに再起動を指示する再起動信号Si2を出力する。その後、ロボット制御装置RCの一連の処理は終了する。
ロボット制御装置RCのステップS38の処理において再起動する旨を示す選択信号Si3が入力されない場合(ステップS38においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS44に移行する。ステップS44では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、チャネル変更情報Si1が入力されてから一定時間(例えば、数分)が経過したか否かを判断する。具体的には、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に一定時間が経過したと判断し、所定値未満である場合には未だ一定時間が経過していないと判断する。一定時間が経過していない場合(ステップS44においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は図4に示すステップS36の処理に戻る。一定時間が経過した場合(ステップS44においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS45に移行する。
ステップS45では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線アクセスポイント装置APに再起動を指示する再起動信号Si2を出力する。その後、ロボット制御装置RCの一連の処理は終了する。
一方、図4に示すロボット制御装置RCのステップS36の処理において、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が確立されていないと判断された場合(ステップS36においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、図5に示すステップS40に移行する。
ステップS40では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1との間で有線通信の接続が確立しているか否かを判断する。具体的には、無線アクセスポイント装置APがステップS23の処理を行って通信チャネルを初期通信チャネルから他の通信チャネルへと変更すると、それまで確立していた無線通信の接続は解除される。このとき、既に有線ティーチペンダントTP1とロボット制御装置RCとの間で有線通信の接続が確立していることもある。また、無線ティーチペンダントTP2の無線通信の接続が解除されたことに伴って、操作者が有線ティーチペンダントTP1をロボット制御装置RCに接続して、有線通信の接続を確立することもある。このように有線ティーチペンダントTP1との間で有線通信の接続が確立している場合には(ステップS40においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS41に移行する。
ステップS41では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、DFS機能が実行されたために無線アクセスポイント装置APの通信チャネルを変更した旨を表示するとともに無線アクセスポイント装置APの再起動を行うか否かを問うための選択画像を作成する。選択画像としては、例えば、ステップS37で無線ティーチペンダントTP2に表示させる画像と同一のものが使用できる。ロボット制御装置RCは、作成した選択画像を有線ティーチペンダントTP1に出力して、有線ティーチペンダントTP1に選択画像を表示させる。その後、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS42に移行する。
ステップS42では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1において再起動が選択されたか否かを判断する。具体的には、操作者が有線ティーチペンダントTP1に表示された選択画像に従って再起動する旨の入力を行うと、有線ティーチペンダントTP1は再起動する旨を示す選択信号Si3を出力する。再起動する旨を示す選択信号Si3が入力された場合(ステップS42においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS43に移行する。
ステップS43では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線アクセスポイント装置APに再起動を指示する再起動信号Si2を出力する。その後、ロボット制御装置RCの一連の処理は終了する。
一方、ロボット制御装置RCのステップS40の処理において有線ティーチペンダントTP1との間で有線通信の接続が確立していないと判断した場合(ステップS40においてNO)、及びステップS42の処理において再起動する旨を示す選択信号Si3が入力されていないと判断した場合(ステップS42においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS44に移行する。ステップS44の処理については、上述したとおりである。
ところで、無線アクセスポイント装置APの処理は、図4に示すステップS24の処理を行った後、図5に示すステップS25に移行している。ステップS25では、無線アクセスポイント装置APは、再起動信号Si2が入力されたか否かを判断する。ロボット制御装置RCのステップS39の処理、ステップS43の処理、又はステップS45の処理でロボット制御装置RCが再起動信号Si2を出力し、その再起動信号Si2が無線アクセスポイント装置APに入力された場合(ステップS25においてYES)、無線アクセスポイント装置APの処理はステップS26に移行する。
ステップS26では、無線アクセスポイント装置APは再起動を行う。そして、その後のステップS27では、無線アクセスポイント装置APは、再起動直前に設定されていた通信チャネルに拘らず、通信チャネルを初期通信チャネルに設定する。したがって、無線アクセスポイント装置APの通信チャネルは、図4に示すステップS23で変更された後、ステップS27で元の初期通信チャネルに戻されることになる。通信チャネルが初期通信チャネルに設定されると、無線アクセスポイント装置APの処理は終了する。
一方、無線アクセスポイント装置APのステップS25の処理において、再起動信号Si2が入力されていないと判断された場合(ステップS25においてNO)、無線アクセスポイント装置APの処理は、ステップS28に移行する。ステップS28では、無線アクセスポイント装置APは、図4に示すステップS23で変更した変更後の通信チャネルを維持する。その後、所定の時間(例えば数分)が経過すると、無線アクセスポイント装置APの一連の処理は終了する。
以上のように、この実施形態では、ロボット制御装置RCが無線アクセスポイント装置APの再起動を許可する許可状態にあり、且つ、ロボット制御装置RCから再起動信号Si2が入力された場合に、無線アクセスポイント装置APが再起動されて通信チャネルが初期通信チャネルに戻される。また、操作者が、有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2において無線アクセスポイント装置APの再起動を選択しなくとも、一定時間が経過した場合には、無線アクセスポイント装置APが再起動されて通信チャネルが初期通信チャネルに戻される。
(DFS機能の実行に伴うロボットの停止処理)
次に、DFS機能の実行に伴ってロボットRを停止させる処理について、図6に従って説明する。なお、以下の説明では、無線アクセスポイント装置APが図4に示すステップS21〜ステップS24の処理を終了しているものとする。また、DFS機能が実行される直前において無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立されていて(図4に示すステップS30においてYES)、ロボット制御装置RCが、その後のステップS31〜ステップS34の処理を終了しているものとする。また、以下、説明する処理は、図4に示すロボット制御装置RCのステップS35以降の処理と並行して行われるものである。
図6に示すように、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS34の処理が終了するとステップS51に移行する。ステップS51では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、無線通信の接続解除の直前のロボットRの状態を確認する。具体的には、ロボット制御部12は、ステップS32で記憶部12cに記憶したロボットRの状態が、「運転準備待ち状態」、「再生状態」、「運転準備状態」及び「サーボアンプON状態」のいずれの状態であるかを確認する。記憶部12cに記憶されたロボットRの状態が「運転準備状態」又は「サーボアンプON状態」である場合には(ステップS51においてYES)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS52に移行する。ステップS52では、ロボット制御部12は、ロボットRを非常停止させる。この非常停止の処理は、図3に示すステップS15の処理と同様である。その後、ロボット制御装置RCの処理は、図3に示すステップS2に移行し、ロボットRの状態が運転準備待ち状態に遷移される。
ロボット制御装置RCのステップS51の処理において、記憶部12cに記憶されたロボットRの状態が「運転準備状態」及び「サーボアンプON状態」のいずれでもない場合(ステップS51においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS53に移行する。ステップS53では、ロボット制御部12は、記憶部12cに記憶されたロボットRの状態が「再生状態」であるか否かを判断する。記憶部12cに記憶されたロボットRの状態が「再生状態」でない場合、すなわち「運転準備待ち状態」である場合には(ステップS53においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は終了する。記憶部12cに記憶されたロボットRの状態が「再生状態」である場合(ステップS53においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS54に移行する。ステップS54では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を「再生状態」のまま維持して、「再生状態」を継続させる。その後、ロボット制御装置RCの処理は終了する。
以上のように、この実施形態では、無線アクセスポイント装置APが通信チャネルを変更したことに伴って無線通信の接続が解除された場合、接続解除の直前のロボットRの状態が「運転準備状態」又は「サーボアンプON状態」である場合には、ロボットRが非常停止される。その一方で、接続解除の直前のロボットRの状態が「再生状態」である場合には、無線アクセスポイント装置APが通信チャネルを変更してもロボットRが非常停止されることはなく、ロボットRの「再生状態」が継続される。
(DFS機能の実行に伴う無線アクセスポイント装置APの再起動処理の作用)
次に、DFS機能を実行したことに伴って無線アクセスポイント装置APを再起動した場合の作用の例を説明する。
例えば、ロボット制御システム[A]とロボット制御システム[B]が存在し、互いが通信範囲内に設置されているものとする。そして、図8(a)に示すように、ロボット制御システム[A]には初期通信チャネルとして56ch(5280MHz)が設定され、ロボット制御システム[B]には初期通信チャネルとして64ch(5320MHz)が設定されている。この状態では、ロボット制御システム[A]及び[B]の通信チャネルが離れているため、混信等が生じる可能性は低い。
この状態で、5280MHz前後の気象レーダの干渉波がロボット制御システム[A]の無線アクセスポイント装置APに受信されると、DFS機能が実行されて通信チャネルが初期通信チャネルである56chから他のチャネルに変更される。このとき、図8(b)に示すように、変更後の通信チャネルが60ch(5300MHz)であると、ロボット制御システム[B]の初期通信チャネルである64chに近づいてしまうため、混信等が生じるおそれが増大する。さらに、この状態で5300MHz前後の気象レーダの干渉波がロボット制御システム[A]の無線アクセスポイント装置APに受信されると、再びDFS機能が実行される。そして、図8(c)に示すように、ロボット制御システム[A]の通信チャネルが64chに変更される事がある。この場合、ロボット制御システム[A]の通信チャネルが、ロボット制御システム[B]の初期通信チャネルである64chに一致するため、両ロボット制御システムの間で混信が生じる可能性は相応に高くなる。従来のロボット制御システムの技術では、無線通信の接続が解除された原因がDFS機能に依るものであることを特定することが難しく、また、無線アクセスポイント装置APの通信チャネルを、適切に元の初期通信チャネルに戻すことができない。
この点、上記の実施形態のロボット制御装置においては、図8(d)に示すように、仮にロボット制御システム[A]においてDFS機能が実行されて、通信チャネルが初期通信チャネルである56chから60chに変更されても、無線アクセスポイント装置APが再起動されることにより通信チャネルが初期通信チャネルである56chに戻される。したがって、DFS機能が実行されることに伴って混信等の発生可能性が高まることは抑制できる。また、DFS機能が実行されて通信チャネルが初期通信チャネルから変更されると、その旨を示すチャネル変更情報Si1が無線アクセスポイント装置APから出力されてロボット制御装置RCにおけるロボット制御部12の記憶部12cに記憶される。したがって、このロボット制御部12の記憶部12cに記憶されているチャネル変更情報Si1を確認することにより、無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が解除された原因が、DFS機能の実行に伴うものであることが判断できる。
(ロボット制御システムの特徴及び効果)
上記のロボット制御システムによれば、以下の特徴及び効果がある。
(1)上記実施形態では、無線アクセスポイント装置APがDFS機能を実行して通信チャネルを変更した場合には、その旨を示すチャネル変更情報Si1を出力する。また、ロボット制御装置RCはそのチャネル変更情報Si1を記憶する。したがって、無線アクセスポイント装置APと無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が解除された際に、ロボット制御装置RCに記憶されているチャネル変更情報Si1を確認することができる。そして、チャネル変更情報Si1を確認すれば、DFS機能の実行に伴って無線通信の接続が解除されたことを確認でき、DFS機能の実行以外の理由で無線通信の接続が解除された場合と区別できる。
(2)上記実施形態では、ロボット制御装置RCは、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときのロボットRの状態が、ティーチペンダントからの情報に基づき操作可能な「サーボアンプON状態」であった場合、チャネル変更情報Si1が入力されたときにロボットRを非常停止する。したがって、無線通信の接続が解除されて無線ティーチペンダントTP2でロボットRが操作不能であるにも拘らず、ロボットRが動作し得る「サーボアンプON状態」が維持されることがない。
(3)加えて、上記実施形態では、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときのロボットRの状態が「運転準備状態」であった場合にも、チャネル変更情報Si1が入力されたときにロボットRを非常停止する。「運転準備状態」は、無線通信の接続が確立されている無線ティーチペンダントTP2のイネーブルスイッチを所定の状態に操作しさえすればロボットRを操作可能な状態であり、操作可能状態に準じた状態であると言える。この「運転準備状態」においてもロボットRを停止することで、無線通信の接続が解除されて無線ティーチペンダントTP2でロボットRが操作不能であるにも拘らず、ロボットRが動作し得る状態が発生することを抑制できる。
(4)上記実施形態では、ロボット制御装置RCは、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときのロボットRの状態が、教示内容を再生する「再生状態」である場合には、チャネル変更情報Si1が入力されても、その「再生状態」を維持する。したがって、DFS機能が実行されることに伴ってロボットRの再生動作が停止し、稼働中の製造ラインが停止してしまうといった事態は避けられる。
(5)上記実施形態では、ロボット制御装置RCは、チャネル変更情報Si1が入力された場合に、無線アクセスポイント装置APの再起動に関する一連の処理を行って、無線アクセスポイント装置APに対して再起動信号Si2を出力する。そして、無線アクセスポイント装置APは再起動信号Si2を受けて再起動し、通信チャネルを初期通信チャネルに設定する。したがって、DFS機能を実行して通信チャネルを変更した結果、他のロボット制御システムで使用されている通信チャネルと混信が生じることを抑制できる。
(6)上記実施形態では、ロボット制御装置RCが、無線アクセスポイント装置APの再起動を禁止する禁止状態である場合には、チャネル変更情報Si1が入力されても、再起動信号Si2を出力しない。したがって、例えば、周辺に他のロボット制御システムが存在せず、DFS機能を実行して通信チャネルを変更しても混信等の問題がない、といった場合には、無線アクセスポイント装置APの再起動を禁止できる。
(7)上記実施形態では、DFS機能を実行することによって変更された通信チャネルで無線アクセスポイント装置APと無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信が確立された場合には、チャネル変更情報Si1が入力され、且つ無線ティーチペンダントTP2から再起動をする旨を示す選択信号Si3がロボット制御装置RCに入力された場合に、再起動信号Si2を出力する。したがって、DFS機能に伴って変更された通信チャネルで無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が確立されているにも拘わらず、操作者の意図に依らずに無線アクセスポイント装置APが再起動されて、再び無線通信の接続が解除されることがない。
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。また、各変更例を適宜組み合わせて適用してもよい。
・ ロボット制御システムの各装置構成は適宜変更できる。例えば、ロボットRは溶接ロボットに限らず、搬送ロボットや工作ロボットであってもよい。また、有線ティーチペンダントTP1を省略したり、操作ボックスOPを省略して運転準備スイッチ21等をロボット制御装置RCに内蔵させたりしてもよい。
・ 上記実施形態では、無線アクセスポイント装置APをロボット制御装置RCの筐体外面に固定したが、この態様に限らず、無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信が良好となる位置に固定すればよい。例えば、ロボットRの近傍に設置してもよいし、ロボットRを囲う安全柵に固定してもよい。
・ 無線ティーチペンダントTP2は、無線アクセスポイント装置APと無線通信可能でロボットRを操作するのに必要な情報が入力できるのであれば、如何なる端末でも採用できる。例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA端末が挙げられる。
・ 無線アクセスポイント装置APの無線通信の方式は無線LAN規格に限らない。また、DFS機能に限らず、無線アクセスポイント装置APが、ロボット制御装置RCに依らない外部からの信号に応じて通信チャネルを変更する機能を有していれば、上記実施形態の一連の技術を適用でき得る。
・ ロボットRの各状態は、例えばロボットRの構成や作業内容などに応じて、適宜変更できる。例えば、「運転準備待ち状態」を省略して、ティーチペンダントとの通信の接続が確立した場合に「運転準備状態」に移行するようにしてもよい。この場合、「運転準備状態」において、再生開始信号の入力があるか否かの判断を行えばよい。また、「運転準備待ち状態」、「再生状態」、「運転準備状態」及び「サーボアンプON状態」に加えて他の状態があってもよい。
・ 無線アクセスポイント装置APにチャネル変更情報Si1を記憶しておき、ロボット制御装置RCが無線アクセスポイント装置APに問い合わせを行った場合に、無線アクセスポイント装置APがチャネル変更情報Si1を送信するようにしてもよい。この変更例の場合、ロボット制御装置RCは、周期的に問い合わせを行うようにしてもよいし、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が解除された場合に問い合わせを行うようにしてもよい。
・ 無線アクセスポイント装置APが出力するチャネル変更情報Si1に、DFS機能を実行することによって通信チャネルを変更した旨の情報以外の情報を含ませてもよい。例えば、DFS機能の実行前後の通信チャネル、DFS機能の実行時間等の情報が挙げられる。
・ ロボット制御装置RCに、複数回分のチャネル変更情報Si1を記憶させておき、これを任意のタイミングで各ティーチペンダントのディスプレイにチャネル変更履歴として表示できるようにしてもよい。
・ ロボット制御装置RCに警告灯や警報器等を設け、チャネル変更情報Si1が入力されたときに、これら警告灯や警報器等で操作者に警告を行ってもよい。
・ ロボット制御装置RCにおけるロボット制御部12の記憶部12cに記憶したチャネル変更情報Si1を他の装置に出力するようにしてもよい。チャネル変更情報Si1の出力先としては、有線ティーチペンダントTP1、複数のロボット制御装置RCを総括制御する上位制御装置など、ロボット制御装置RCに有線で接続されている装置が挙げられる。また、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除された後、再び無線通信の接続が確立されたときに、チャネル変更情報Si1を無線ティーチペンダントTP2に送信するようにしてもよい。
・ DFS機能を実行することによって変更された通信チャネルを、DFS機能の実行前の通信チャネルに戻せる信号であれば、再起動信号Si2に代えて他の信号を採用することもできる。つまり、変更された通信チャネルを元の初期通信チャネルに戻すために無線アクセスポイント装置APの再起動は必須ではない。
・ 上記実施形態では、図5に示すステップS38において、無線アクセスポイント装置APを再起動する旨を示す選択信号Si3を入力されたか否かを判断するようにしたが、無線アクセスポイント装置APを再起動しない旨を示す信号が入力されたか否かを判断するようにしてもよい。この変更例の場合には、再起動しない旨を示す信号が入力されないまま一定時間が経過した場合に、ロボット制御装置RCが無線アクセスポイント装置APに再起動信号Si2を出力するようにすればよい。なお、この点は、図5に示すステップS42の処理においても同様である。
・ 図4に示すステップS36〜図5に示すステップS44の処理を省略してもよい。すなわち、ロボット制御装置RCに再起動許可情報が記憶されていてロボット制御装置RCが許可状態にある場合には、他の条件を要することなく、再起動信号Si2を出力するようにしてもよい。
・ さらに、図4に示すステップS35を省略して、ロボット制御装置RCにチャネル変更情報Si1が入力された場合には、他の条件を要することなく、再起動信号Si2を出力するようにしてもよい。この場合、ロボット制御装置RCにおけるロボット制御部12の記憶部12cに、再起動許可情報又は再起動禁止情報を記憶する必要はない。
・ ロボット制御装置RCの無線アクセスポイント装置APの再起動処理そのものを省略し、ロボット制御装置RCが再起動信号Si2を出力しないようにしてもよい。
・ 上記実施形態では、チャネル変更情報Si1がロボット制御装置RCに入力されたとき、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときのロボットRの状態が「運転準備状態」又は「サーボアンプON状態」である場合にロボットRを非常停止した。これに代えて、ロボットRの状態が「サーボアンプON状態」のときのみロボットRを非常停止するようにしてもよい。また、図6に示すステップS53及びステップS54の処理を省略して、ロボットRが「再生状態」である場合に、他の条件を要することなくロボットRを非常停止するようにしてもよい。
・ 図6に示すロボット制御装置RCに拠るロボットRの停止処理そのものを省略することもできる。この場合、ロボットRの状態は、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときのロボットRの状態が維持されるようにしてもよいし、DFS機能が実行されて無線通信の接続が解除されたときには常にロボットRが非常停止されるようにしてもよい。
・ 図6に示すロボット制御装置RCに拠るロボットRの停止処理において、ロボットRを非常停止するのではなく、図3に示すステップS6の処理のように、ロボット制御部12の記憶部12cに各種のパラメータを記憶させた上でロボットRを停止させてもよい。
・ 上記実施形態のロボットRの停止処理において、有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2が接続されているか否かに応じて、「再生状態」を継続させるか否かを決定するようにしてもよい。以下、このロボットRの停止処理の変更例について、図7にしたがって説明する。
ロボットRの停止処理におけるステップS53の処理において「再生状態」であると判断されると(ステップS53においてYES)、ロボット制御部12は、チャネル変更情報Si1が入力されてから一定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値以下である場合に一定時間内であると判断し、所定値を超えた場合に一定時間が経過したと判断する。一定時間が経過すると、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS56に移行する。
図7に示すように、ステップS56では、ロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が確立しているか否かを判断する。具体的には、図4に示すステップS23の処理によって初期通信チャネルから変更された変更後の通信チャネルで、無線ティーチペンダントTP2との無線通信の接続が確立しているか否かを判断する。なお、この処理は、図4に示すステップS36の処理と同様の処理である。変更後の通信チャネルにおいて無線通信の接続が確立されている場合には(ステップS56においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS57に移行する。ステップS57では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を維持して「再生状態」を継続させる。その後、ロボット制御装置RCの一連の処理は終了する。
ロボット制御装置RCのステップS56の処理において、変更後の通信チャネルにおいて無線通信の接続が確立されていないと判断した場合には(ステップS56においてNO)、ロボット制御装置RCの処理はステップS58に移行する。ステップS58では、ロボット制御装置RCのロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1が接続されているか否かを判断する。なお、この処理は、図5に示すステップS40の処理と同様の処理である。有線ティーチペンダントTP1が接続されている場合には(ステップS58においてYES)、ロボット制御装置RCの処理はステップS59に移行する。ステップS59では、ロボット制御部12は、ロボットRの状態を維持して「再生状態」を継続させる。その後、ロボット制御装置RCの一連の処理は終了する。
ロボット制御装置RCのステップS58の処理において、有線ティーチペンダントTP1が接続されていないと判断した場合には(ステップS58においてNO)、ロボット制御装置RCの処理は、ステップS60に移行する。ステップS60では、ロボット制御部12は、ロボットRを非常停止させる。この非常停止の処理は、図3に示すステップS8の処理と同様である。その後、ロボット制御装置RCの処理は、図3に示すステップS2に移行し、ロボットRの状態が運転準備待ち状態に遷移される。
以上のように、この変更例では、接続解除の直前のロボットRの状態が「再生状態」であっても、一定時間経過後、無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立されてなく、且つ有線ティーチペンダントTP1も接続されていない場合には、ロボットRが非常停止される。
以下の技術思想は、上記実施形態及び変更例から導き出すことができる。
・ ロボットの動作を制御するロボット制御装置に対して有線で接続されるとともに前記ロボットへの教示内容を入力する可搬式操作装置に対して無線通信可能な無線アクセスポイント装置を、無線通信の通信チャネルを変更するチャネル変更部と、前記ロボット制御装置からの信号に依らないシステム外からの外部信号に応じて前記チャネル変更機能を実行した場合にその旨を示すチャネル変更情報を出力する出力部と、として機能させることを特徴とするプログラム。
・ 前記ロボット制御装置は、前記無線アクセスポイント装置が前記外部信号に応じて前記チャネル変更機能を実行するときに、前記ロボットが前記操作可能状態で教示された教示内容を再生する再生状態であったか否かを判断し、前記ロボット制御装置は、再生状態であったと判断した場合には、前記ロボットの再生状態を維持する。