JP6602586B2 - 素材シートおよび包装用容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器等の熱成形に使用するための素材シート、および、その素材シートを用いて製造した包装用容器に関するものである。
包装用容器、とりわけ食品用包装容器には、耐熱性や透明性といった一般的特性の他に、水蒸気バリア性が要求されることがある。水蒸気バリア性とは、具体的には、水分の多い食品(例えば梅干し)を長期保管しても水分が飛ばない(即ち失われにくい)といった特性である。ところで、生分解性樹脂であるポリ乳酸(PLA)は、廃棄後の環境負荷が少ないため、包装用容器の構成材料として汎用されている。但しポリ乳酸は、他の脂肪族ポリエステルと比べて融点が高いもののガラス転移温度(Tg)が低いため、Tg以上の温度領域において耐熱性が不足することがある。また、ポリ乳酸は、ポリオレフィンに代表される包装用熱可塑性樹脂フィルムと比較して、水蒸気バリア性が劣っていることが知られており、特に水分の多い食品の長期保管が求められる商品への利用が困難であった。このため、ポリ乳酸と他の合成樹脂とをブレンドすることによる様々な改質策が提案されている。
特許文献1は、ポリ乳酸とポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)とのブレンド樹脂における両者の相溶性を向上させることによって、耐熱性、透明性、成形性、耐久性を改善したポリ乳酸含有樹脂組成物、及びその成形体を開示する(同文献の要約参照)。特許文献1によると、ポリ乳酸に重量平均分子量が2万〜30万のPMMAを配合することで、両樹脂の相溶性が顕著に向上し、結果として耐熱性がポリ乳酸樹脂と比べて向上した樹脂組成物が得られるとのことである(同文献の段落0013,0014,0023参照)。但し、特許文献1は、水蒸気バリア性に関して何ら言及するものではない。
特許文献2は、アクリル系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを配合して二軸方向に延伸したフィルムによって、耐熱性、ヒートシール性、静音性、及び、「金属または無機酸化物からなる蒸着層を付与した際のガスバリア性」に優れたフィルムを提供することを目的とする(同文献の要約参照)。なお、特許文献2では「・・・積層フィルムにガスバリア性を付与するため、A層の表面に、金属または無機酸化物からなる蒸着層を含むことができる。」(段落0030参照)としており、「アルミニウム金属を加熱蒸発し、A層上に蒸着層を形成し、蒸着フィルムとした」(段落0059参照)ところの実施例1〜7を例示する。そして、A層とは「アクリル系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂とを含む」ものであり(要約、請求項1参照)、A層と蒸着層との関係について、同文献の段落0016は、
「また、A層に含有するポリ乳酸系樹脂は、非晶性ポリ乳酸系樹脂である。非晶性ポリ乳酸系樹脂を使用することで、A層の表層に金属または、無機酸化物からなる蒸着層を付与し、蒸着加工された蒸着フィルムとした際には、蒸着層とA層との間に望ましい高密着強度が達成できる。この高密着強度により、蒸着層が金属化後のプロセスにおいてロールや冷却ドラムなどの加工器具との接触・摩擦を受けた際においても、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチ)の数が減少し、ガスバリア性の改良に特に効果がある。・・・」
と説明している。
特開2005−171204号公報 特開2012−192636号公報
日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス Vol.51,No.6」(2000年6月発行)、第119〜127頁の連載記事『プラスチック材料の各動特性の試験法と評価結果<5>』参照
しかしながら、特許文献1はそもそも、ポリ乳酸を主体としたシート素材の水蒸気バリア性について何ら言及していない。また、特許文献1は広範な用途の成形体(同文献の段落0032,0033参照)に使用可能な樹脂組成物の提供を意図するものであるため、ポリ乳酸は主として結晶性タイプを想定しているものと思われる。
特許文献2の二軸延伸フィルムでは、上述のように、ガスバリア性を担保するのは「金属または無機酸化物からなる蒸着層」であり、実施例1〜7で例示されているものはアルミニウム金属の蒸着層である。つまり特許文献2の技術によれば、ガスバリア性を確保したい場合には、二軸延伸フィルムの表面にアルミニウム等の金属層が形成されることになるので、フィルム外観の透明性は犠牲にせざるを得ない。換言すれば、特許文献2の技術は、ポリ乳酸主体のフィルムにおいてフィルム自体の透明性とガスバリア性とを両立させるものとは言えない。
また、非特許文献1では、各種ポリマーの水蒸気透過度が第123頁の表3に記載されており、各種ポリマーの25℃,90%RH,厚さ25μmの条件での水蒸気透過度の比較が示されている。ポリオレフィンとして例えばポリプロピレンの水蒸気透過度は1.6g/m・24hと示されていて、非常に小さいグループに属しているが、ポリメチルメタクリレートの水蒸気透過度は41g/m・24hと示されていて、非常に大きいグループに属している。換言すれば、むしろ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、各種ポリマーの中でも水蒸気バリア性が優れていない素材として認識されていた。
本発明の目的は、ポリ乳酸(PLA)を含有する食品用の包装用容器形成用の素材シートであって、耐熱性、透明性および水蒸気バリア性をバランス良く兼ね備えた素材シートを提供することにある。また、そのような素材シートを用いて形成される食品用の包装用容器を提供することにある。
本発明は、食品用の包装用容器の熱成形に用いられる素材シート、及び、その素材シートを熱成形した食品用の包装用容器である。そして、本発明に係る素材シートは、非晶性ポリ乳酸に、メタクリル酸メチル(MMA)を主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーを配合してなる非晶性樹脂組成物からなると共に、この非晶性樹脂組成物のうちのメタクリル系ポリマーの含有量が25〜65重量%であり、当該素材シートの厚さが0.15〜1.00mmであり、JIS−K7129に準拠した測定法による水蒸気透過度が24g/m・day未満である、ことを特徴とするものである。
本発明の構成、作用および効果、並びに、本発明の更に好ましい態様や追加的構成要素については、後記「発明を実施するため形態」欄で詳しく説明する。本発明によれば、概ね次のような効果が得られる。
本発明によれば、ポリ乳酸を含有する素材シート、及び、その素材シートを熱成形した食品用の包装用容器を、耐熱性、透明性および水蒸気バリア性をバランス良く兼ね備えたものとすることができる。
[用語]
この明細書においては、次の用語を次のような意味で用いる。
「シート」とは厚さが0.1mm以上の膜状物をいい、これに対し「フィルム」とは厚さが0.1mm未満の膜状物をいう。また「容器」という場合、容器の本体のみならず、容器本体に被せられる容器の蓋体も含まれ、また容器本体にフィルム状の蓋体をトップシールした容器も含まれ得る。
以下、本発明の好ましい実施態様や追加的構成要素について説明する。
[非晶性樹脂組成物]
本発明の素材シートは、非晶性ポリ乳酸に、メタクリル酸メチル(MMA)を主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーを配合してなる非晶性樹脂組成物から構成される。
本発明で使用可能な非晶性ポリ乳酸としては、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリDL−乳酸、又は、このポリDL−乳酸とポリL−乳酸との混合物があげられる。なお、ポリ乳酸(全体)中のD体含有率は3モル%以上であることが好ましい。D体含有率が3モル%未満(例えば1〜2モル%)であると、ポリ乳酸自体の結晶性が高まり、非晶性が失われるからである。
ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は、5万〜25万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは16万〜20万である。ポリ乳酸のMwが5万未満であると、溶融粘度が低くなりすぎてシート化することが却って困難になり、且つ素材シートが機械的特性に劣るものになる。他方、ポリ乳酸のMwが25万を超えると、溶融粘度が高くなりすぎて溶融押出成形によるシート化が困難になる。
本発明において非晶性ポリ乳酸と併用される樹脂は、メタクリル酸メチル(MMA)を主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーである。ここで、MMAを主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーとは、「MMAのホモポリマー(単独重合体)であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)」、及び、「モノマーとしてのMMAの一部(モル比率で5モル%以下)をMMA以外の(メタ)アクリル系モノマー(例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル)で置換したMMA主体のコポリマー(共重合体)」をいう。非晶性ポリ乳酸と併用するメタクリル系ポリマーとしては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が最も好ましいが、PMMAと物性的に大差が無ければ、上記のようなMMA主体のコポリマーも使用可能である。
メタクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、2万〜30万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは5万〜25万である。メタクリル系ポリマーのMwが2万未満であると、メタクリル系ポリマーの有する耐熱性や透明性などの特性が活かせない。他方、メタクリル系ポリマーのMwが30万を超えると、ポリ乳酸との相溶性が悪くなる。なお、本発明で使用するメタクリル系ポリマーは概ね非晶性であるため、これを非晶性ポリ乳酸に配合(ブレンド)して得られる(ブレンド型)樹脂組成物も非晶性を呈する。
前記(ブレンド型)非晶性樹脂組成物のうちのメタクリル系ポリマー(好ましくはPMMA)の含有量は、好ましくは25〜65重量%であり、より好ましくは30〜60重量%であり、最も好ましくは40〜60重量%である。メタクリル系ポリマーの含有量が25重量%未満では、水蒸気透過度が24g/m・day以上となり、食品から水分が失われない程度の必要な水蒸気バリア性能を充足しない。他方、メタクリル系ポリマーの含有量が65重量%を超えると、ポリ乳酸の比率が相対的に低くなり、環境に配慮した組成物とは言い難くなるおそれがある。なお、メタクリル系ポリマー(好ましくはPMMA)の含有量が40〜60重量%の範囲において、水蒸気バリア性、並びに、シートを容器化した後の透明性及び耐熱性を最も良好にバランスさせることができる。
前記非晶性樹脂組成物が、衝撃改質剤を更に含有することは好ましい。なぜなら、一般的なポリ乳酸のガラス転移温度(Tg)が約60℃であるのに対し、MMAを主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は100℃又はそれ以上であり、ポリ乳酸とメタクリル系ポリマーとを単にブレンドしただけでは、樹脂が脆くなって耐衝撃性が低下するおそれがあるからである。
衝撃改質剤の種類は特に限定されないが、アクリル系ゴムからなる衝撃改質剤が好ましい。ゴム素材の中でもとりわけアクリル系ゴムは耐候性に優れると共に、上記メタクリル系ポリマーを含むポリマーマトリックス中への混入が容易であるからである。
前記非晶性樹脂組成物のうちの衝撃改質剤の含有量は1〜8重量%であることが好ましい。衝撃改質剤の含有量が1重量%未満では、衝撃改質剤の添加によって耐衝撃性を改善する効果が得られにくくなる。他方、衝撃改質剤の含有量が8重量%を超えると、剛性の低下やコストアップの要因となる他に、耐熱性や透明性にとってマイナス要因となり得る。なお、非晶性樹脂組成物においてメタクリル系ポリマーの配合割合が多くなるにつれて、衝撃改質剤の含有量を多くすることが好ましい。一般にメタクリル系ポリマーの配合割合が多くなるほど、樹脂が脆くなる傾向にあり、この傾向を衝撃改質剤によって緩和するためである。
また必要に応じて、前記非晶性樹脂組成物に対し衝撃改質剤以外の添加剤を追加配合してもよい。衝撃改質剤以外の添加剤としては、防曇剤や加工助剤を例示できる。
[素材シート]
上記のような非晶性樹脂組成物を溶融状態で押出成形することで、本発明の素材シートを得ることができる。押出成形の手法は公知であり、例えばTダイ法があげられる。非晶性樹脂組成物を押出成形する際の素材シートの厚さは、主として、必要とされる水蒸気バリア性やシート容器化後の剛性との兼ね合いで決定されるが、シート厚さの好ましい範囲は、0.15〜1.00mmである。素材シートの厚さが0.15mm未満では、水蒸気バリア性が不足すると共に、シート容器化後の剛性も低下し、容器に要求される基本性能を確保できなくなる。他方、素材シートの厚さが1.00mmを超えると、物性面で過剰品質になるばかりか、重量の増加および製造コストの増大につながり好ましくない。
本発明に従う素材シート(厚さ0.15〜1.00mm)によれば、JIS−K7129に準拠した測定法による水蒸気透過度(又は水蒸気通過率)が24g/m・day未満となり、従来のポリ乳酸のみからなる素材シートに比べて格段に高い水蒸気バリア性を示す(表1及び表2参照)。また、透明性(ヘーズ値)および耐衝撃性(パンクチャー衝撃強度)の点でも、従来例よりも優れた性能を示す(表1及び表2参照)。
[包装用容器]
本発明の素材シートは、公知の熱成形手法を用いて、所望の形態の包装用容器に賦形することができる。熱成形の手法としては、熱盤成形、真空成形、圧空成形または真空圧空成形を例示することができる。ここで、熱盤成形とは、熱板によるシートの片面加熱後、該加熱シートを移動させることなく熱板上方に配置された金型で成形する手法をいう。これに対し、真空成形、圧空成形および真空圧空成形とは、ヒーターゾーン(加熱領域)においてシートの(上下)両面を加熱後、成形ゾーンに該加熱シートを移動させ、成形ゾーンに設けられた金型にシートを付着させて成形する手法をいう。
本発明の包装用容器によれば、ヘーズ値が1.5%以下となると共に、容器スタック時耐熱試験による耐熱温度が55℃以上となって、従来のポリ乳酸のみからなる素材シート由来の容器に比べて格段に優れた透明性(低いヘーズ値)および耐熱温度を示す(表3参照)。なお、「容器スタック時耐熱試験」とは、後記「実施例」欄で詳しく説明するように、容器を複数個スタック(重ね積み)した状態での容器の高温剛性又は高温耐性を評価する試験であり、そこから導かれた「耐熱温度」は、流通過程に置かれた包装用容器の耐熱性能を評価する際の有力な指標となるものである。
本発明の包装用容器は、食品用の包装用容器であることが好ましい。特に本発明は、水分に富んだ食品であって該食品から水分が失われると食味が著しく低下するような食品(例えば梅干し)用の包装用容器に適している。
以下、本発明に従う素材シート及び包装用容器の試作例について説明する。なお、実施例1〜6及び比較例1、2は、素材シート及び包装用容器を用意したが、比較例3〜5は、素材シートのみ用意した。
[実施例及び比較例で使用した材料]
非晶性ポリ乳酸として、米国ネイチャーワークスLLC社製:商品名「ネイチャーワークスポリ乳酸2003D」を使用した。ネイチャーワークスポリ乳酸2003Dは、重量平均分子量(又は単に分子量)が約20万であり、L体含有量が3.7〜4.8モル%、D体含有量が95.2〜96.3モル%であり、概ね非晶性のポリ乳酸である。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)として、三菱レイヨン株式会社製:商品名「アクリペットVH」を使用した。アクリペットVHは、重量平均分子量が約10万であり、ガラス転移温度が約115℃である。
衝撃改質剤として、三菱レイヨン株式会社製:商品名「メタブレンW−600A」を使用した。メタブレンW−600Aは、アクリル系ゴムからなるコアシェル構造型の衝撃改質剤である。
実施例1〜4及び比較例1〜5では、非晶性ポリ乳酸にペレット材料(新材)のみを使用した。実施例5では、実施例3のシートまたは容器成形時に発生した端材(リサイクル材)を、実施例6では、非晶性ポリ乳酸に比較例2のシートまたは容器成形時に発生した端材(リサイクル材)を一部(全体の55重量%またはそれ以下)使用した。ここでの端材(リサイクル材)とは、シート成形時に幅を均一にするため切り取った両端(耳部分)や、容器成形時に容器を刃物で打ち抜いた後のシート(容器と容器の繋ぎ目部分)等をクラッシャー等で細かく裁断した粉砕材、粉砕材を再度シート(押出)成形する際に成形し易くするためにペレット状態に加工した再生ペレット等をいう。
[実施例1]
実施例1では、非晶性ポリ乳酸:35.0重量%、PMMA:60.0重量%、衝撃改質剤:5.0重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、得られた素材シートを用い、真空圧空成形により物性試験用の容器を数百個試作した。容器は、蓋(縦140mm×横140mm×高さ/深さ約30mm×厚さ0.25mm)、蓋と組み合わさる本体(縦140mm×横140mm×高さ/深さ約35mm×厚さ0.25mm)を用意した。
[実施例2]
実施例2では、非晶性ポリ乳酸:45.0重量%、PMMA:50.0重量%、衝撃改質剤:5.0重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。
[実施例3]
実施例3では、非晶性ポリ乳酸:57.5重量%、PMMA:40.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。
[実施例4]
実施例4では、非晶性ポリ乳酸:67.5重量%、PMMA:30.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。
[実施例5]
実施例5では、非晶性ポリ乳酸:57.5重量%、PMMA:40.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。なお、実施例3の端材(再生ペレットまたは粉砕材等)を一部(全体の55重量%またはそれ以下)使用し、前述の配合(非晶性ポリ乳酸:57.5重量%、PMMA:40.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%)になる様に調整した。
[実施例6]
実施例6では、非晶性ポリ乳酸:57.5重量%、PMMA:40.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。なお、非晶性ポリ乳酸には前述の通り、比較例2の端材(再生ペレットまたは粉砕材等)を一部(全体の55重量%またはそれ以下)使用した。
[比較例1]
比較例1では、非晶性ポリ乳酸(100重量%)のみの非晶性樹脂組成物とした。溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度約200℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。
[比較例2]
比較例2では、非晶性ポリ乳酸:97.5重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度200℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。また、実施例1と同様にして、物性試験用の容器を数百個試作した。
[比較例3]
比較例3では、非晶性ポリ乳酸:77.5重量%、PMMA:20.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。
[比較例4]
比較例4では、非晶性ポリ乳酸:87.5重量%、PMMA:10.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。
[比較例5]
比較例5では、非晶性ポリ乳酸:92.5重量%、PMMA:5.0重量%、衝撃改質剤:2.5重量%を混合・溶融して非晶性樹脂組成物を調製すると共に、溶融状態の非晶性樹脂組成物をTダイ法により押出成形(押出機温度220〜230℃)して素材シート(厚さ0.25mm)を作製した。
実施例1〜6及び比較例1〜5の各素材シート、並びに、実施例1〜6及び比較例1、2の各容器について、性能評価のための試験または測定を行った。各試験または測定の概要を以下に記す。
[水蒸気透過度]
JIS−K7129に準拠した方法により測定した。具体的には、温度40℃、湿度90%RHの条件下で、水蒸気透過率測定装置(米国、MOCON社製:機種名「PERMATRAN−W3/31」を使用して、JIS−K7129(2011)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。測定は素材シートに水蒸気流を当て、その反対側で検出する測定方式で4回測定を行い、その平均値を当該サンプル(素材シート)の水蒸気透過度(g/m・day)とした。
水蒸気透過度は水蒸気バリア性の指標であり、その値が小さいほど水蒸気バリア性が高いと言える。実施例1〜6及び比較例1〜5の素材シートでの測定結果を表1及び表2に示す。
[透明性(ヘーズ値)の測定]
JIS−K7136に準拠した方法により、素材シート及び容器のヘーズ値(Haze,単位:%)を測定した。具体的には、日本電色株式会社製ヘーズメーターNDH−7000SPを使用し、試験片(50mm×50mmの大きさに切り揃えたシート)をヘーズメーターの測定部(試験片の支持部)に挟んで自動計測した。ヘーズ値は透明性の指標であり、その値(%)が小さいほど透明性が高くなる。実施例1〜6及び比較例1〜5の素材シートでの測定結果を表1及び表2に、実施例1〜6及び比較例1、2の容器での測定結果を表3に示す。
[パンクチャー衝撃試験]
JIS−K7211−1に準拠した方法により、素材シートについてパンクチャー衝撃試験を行った。具体的には、試験片として、各シートを縦50mm×横50mmに切り揃えた正方形片を準備すると共に、測定装置として、マイズ試験機株式会社製パンクチャー衝撃(デュポン衝撃)試験機を使用し、次の手順にて試験を行った。
(イ)試験片を、試験片支持台と撃鉄(ストライカ)との間に配置する。
(ロ)ある高さに重りを下支えしていた押さえ棒を引き抜いて、当該高さから重りを撃鉄に向けて落下させる。
(ハ)重りの種類および重りの高さを種々変更して、試験片が「割れる」/「割れない」の境目を探す。例えば各回の試験片の破損状況を見ながら、重りの落下高さを上げ下げする。
(ニ)上記(ロ)及び(ハ)の手順を20回繰り返し、得られた測定結果とJIS規定の計算式に基づいてパンクチャー衝撃強度値(50%衝撃破壊エネルギー、単位:J)を求めた。
得られた値は耐衝撃強度の指標であり、その値が大きいほど耐衝撃性が高いと言える。実施例1〜6及び比較例1、2の素材シートでの試験結果を表1及び表2に示す。
[耐熱温度の評価(容器スタック時耐熱試験)]
実施例1〜6及び比較例1、2において試作した物性試験用の容器について、組み合わされる蓋(縦140mm×横140mm×高さ/深さ約30mm×厚さ0.25mm)と本体(縦140mm×横140mm×高さ/深さ約35mm×厚さ0.25mm)を用意する。嵌合方式は内嵌合および/または外嵌合のどちらでも良い。蓋(または本体)容器50個をスタック(重ね積み)した容器タワー(容器の塔)を所定温度に設定したデジタル温度指示調節器(ダバイエスペック社製:機種名「PMS−B」)内で24時間保管する。設定温度:50℃、53℃、55℃、57℃、60℃の各々で試験を行い、スタックした容器のうち最も下段の容器について加熱前の蓋(または本体)との嵌合可否を確認する。嵌合が可能であればその試験温度での耐熱性が有ると判断し、最高の温度を容器の「耐熱温度」とする。嵌合が不可能であればその試験温度での耐熱性が無いと判断する。実施例1〜6及び比較例1、2の容器での試験結果を表3に示す。
なお、この「容器スタック時耐熱試験」は、容器を複数個スタックした状態での容器の高温剛性又は高温耐性を評価するものである。一般的な食品用包装容器では、この試験で60℃の耐熱温度があれば十分とされているので、60℃を超える温度での試験は行っていない。
Figure 0006602586
Figure 0006602586
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[結果の考察]
表1及び表2からわかるように、実施例1〜6の素材シートは、比較例1〜5の素材シートに比べて高い水蒸気バリア性(低い水蒸気透過度)を示した。非晶性樹脂組成物の組成と水蒸気透過度との関係については、全ての実施例及び比較例を通じて、PMMAの含有量が多くなるほど、水蒸気透過度が小さくなる傾向が見られた。
表3からわかるように、実施例1〜6の容器は、比較例1、2の容器に比べて高い透明性(低いヘーズ値)および高い耐熱温度を示した。
総じて、PMMA含有量が40〜60重量%の事例(実施例1,2,3,5,6)で、水蒸気透過度、容器化後の透明性及び耐熱温度が共に優れた結果となった。加えて、非晶性ポリ乳酸にペレット(新材)のみを使用した場合だけでなく、シートまたは容器成形時に発生した端材(リサイクル材)を使用した場合も同様の物性を有する結果となった。

Claims (4)

  1. 食品用の包装用容器の熱成形に用いられる素材シートであって、
    当該素材シートは、非晶性ポリ乳酸に、メタクリル酸メチル(MMA)を主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーを配合してなる非晶性樹脂組成物からなると共に、この非晶性樹脂組成物のうちのメタクリル系ポリマーの含有量が25〜65重量%であり、
    当該素材シートの厚さが0.15〜1.00mmであり、JIS−K7129に準拠した測定法による水蒸気透過度が24g/m・day未満である、ことを特徴とする素材シート。
  2. 前記MMAを主たる構成単位とするメタクリル系ポリマーは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)であり、前記非晶性樹脂組成物のうちのPMMAの含有量が30〜60重量%である、ことを特徴とする請求項1に記載の素材シート。
  3. 前記非晶性樹脂組成物は、衝撃改質剤を更に含有しており、この非晶性樹脂組成物のうちの衝撃改質剤の含有量が1〜8重量%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の素材シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の素材シートを熱成形してなる食品用の包装用容器であって、
    ヘーズ値が1.5%以下であり、容器スタック時耐熱試験による耐熱温度が55℃以上である、ことを特徴とする食品用の包装用容器。
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