以下では、本実施形態のスイッチ装置10について、図1ないし図5を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両30は、図6に基づいて説明する。なお、図中において、同じ部材に対しては、同じ符号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材が複数の要素を兼ねる態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態のスイッチ装置10は、図1ないし図3に示すように、ハウジング1と、固定端子3と、可動接触片4と、回転体5と、可撓性リング6と、カバー2と、を備えている。ハウジング1は、凹部1aを有している。固定端子3は、ハウジング1に固定されている。固定端子3は、固定接点3aを有している。固定接点3aは、凹部1aにおいて、露出している。可動接触片4は、導電性を有している。可動接触片4は、凹部1aに収納されている。可動接触片4は、ハウジング1に対して、回転することができるように構成されている。可動接触片4は、固定接点3aに接触する位置と固定接点3aから離れる位置との間を移動する。
回転体5は、可動接触片4を保持している。回転体5は、可動接触片4を回転させることができるように構成されている。可撓性リング6は、可動接触片4における回転軸10aaの軸周りに沿うように設けられている。回転軸10aaは、図1において、一点鎖線で例示している。カバー2は、凹部1aの開口を塞ぐことができるように構成されている。回転体5は、軸芯部5aと、鍔部5cと、を有している。軸芯部5aは、回転軸10aaの軸方向に沿って設けられている。鍔部5cは、回転軸10aaと交差する外方に向かって、軸芯部5aから突出するように設けられている。凹部1aは、底部1hと、壁部1fと、で構成されている。壁部1fは、底部1hを囲むように設けられている。可撓性リング6は、軸芯部5aと鍔部5cと壁部1fとカバー2とに囲まれる空間に配置されている。可撓性リング6は、壁部1fとカバー2と鍔部5cとに接している。可撓性リング6は、軸芯部5aから離れている。
本実施形態のスイッチ装置10は、可撓性リング6が、壁部1fとカバー2と鍔部5cとに接し、軸芯部5aから離れている構成により、より操作性の良い構成にできる。
以下では、スイッチ装置10のより具体的な構成について説明する。スイッチ装置10は、ハウジング1とカバー2と固定端子3と可動接触片4と回転体5と可撓性リング6に加え、図2に示すハーネス9を備えている。
ハウジング1は、図2及び図3に示すように、ハウジング本体部1bと、導出部1cと、取付部1dと、を備えている。ハウジング本体部1bは、図1に示すように、底部1hと、壁部1fと、を備えている。底部1hは、円板状の外形形状をしている。底部1hは、中央部において、厚み方向に窪んだ段差部1eを有している。壁部1fは、円筒状の外形形状をしている。壁部1fは、底部1hの厚み方向に沿って、底部1hを囲むように設けられている。壁部1fは、厚み方向に窪んだ嵌合溝1gを有している。嵌合溝1gは、壁部1fの内周に沿って、円環状に形成されている。嵌合溝1gは、壁部1fにおける底部1hと反対側に設けられている。底部1hと壁部1fとで囲まれる領域は、凹部1aを構成している。すなわち、ハウジング本体部1bは、有底円筒状の外形形状をしている。ハウジング本体部1bは、凹部1aの内底面1aaで、固定端子3の固定接点3aが露出している。
導出部1cは、円柱状の外形形状をしている。導出部1cは、複数個設けられている。複数の導出部1cの各々は、ハウジング本体部1bの外周から突出するように設けられている。導出部1cは、端面からハウジング本体部1bの凹部1aまで貫通する導出孔を有している。導出部1cは、導出孔を介して、ハウジング本体部1bの内部から外部へ固定端子3を導出させることができるように構成されている。
取付部1dは、ハウジング本体部1bの外周から突出するように設けられている。取付部1dは、正面視において、導出部1cと並んでハウジング本体部1bに設けられている。取付部1dは、厚み方向に貫通する第1挿通孔1daを有している。取付部1dは、第1挿通孔1daに挿通された取付ねじにより、ハウジング1を他の部材に取り付けられるように構成されている。
ハウジング1は、ハウジング本体部1bと導出部1cと取付部1dとが一体的に形成されている。ハウジング1は、電気絶縁性を有する材料で形成されている。ハウジング1は、樹脂材料の成形品により形成されることができる。ハウジング1は、たとえば、インサート成形により、固定端子3と一体的に形成されている。ハウジング1は、たとえば、熱可塑性の樹脂材料により形成されることができる。ハウジング1は、樹脂材料の射出成形により形成されることで、複雑な形状が比較的簡単に形成されることができる。ハウジング1の材料としては、PBT(poly butylene terephthalate)樹脂を用いることができる。ハウジング1は、ガラス繊維を含んだ構成とされてもよい。ハウジング1の材料は、PBT樹脂だけに限られず、たとえば、フェノール樹脂、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂やPP(polypropylene)樹脂などでもよい。
カバー2は、図1乃至図4に示すように、平板部2aと、外枠部2gと、を備えている。平板部2aは、円環板状の外形形状をしている。平板部2aは、ハウジング1における凹部1aの開口を塞ぐように構成されている。平板部2aは、中央部に第1貫通孔2aaを有している。第1貫通孔2aaは、平板部2aの厚み方向に貫通している。外枠部2gは、円環枠状の外形形状をしている。外枠部2gは、平板部2aの外周に沿って設けられている。カバー2は、図2に示すように、背面視において、平板部2aと外枠部2gとに渡って窪んだ凹所2hを有している。凹所2hは、平板部2aの外周に沿って、円環状に形成されている。
カバー2は、平板部2aと外枠部2gとで、全体として円環板状に形成されている。カバー2は、外枠部2gがハウジング1の嵌合溝1gに嵌め合わせられることで、凹部1aの開口を塞ぐようにハウジング1に固定されている。カバー2は、ハウジング1に固定されて、箱体の一部を構成することができる。カバー2は、円環板状だけに限られず、円板状でも矩形平板状でもよい。カバー2は、外枠部2gがハウジング1の嵌合溝1gと嵌め合わせられることで、凹部1aの開口を塞ぐようにハウジング1に固定される構成だけに限られない。カバー2は、レーザ溶着や接着材により、ハウジング1に固定されていてもよい。
カバー2は、電気絶縁性を有する材料で形成されている。カバー2は、樹脂材料の射出成形により、比較的簡単に形成される。カバー2の材料としては、たとえば、PBT樹脂を用いることができる。カバー2は、ガラス繊維を含んだ構成とされていてもよい。カバー2の材料は、PBT樹脂だけに限られず、POM(polyoxymethylene)樹脂、PP樹脂やABS樹脂などを用いてもよい。カバー2は、ハウジング1の材料と同じ材料で形成されていてもよいし、ハウジング1の材料と異なる材料で形成されていてもよい。
固定端子3は、図2に示すように、固定接点3aと、端子部3bとを備えている。端子部3bは、固定接点3aと電気的に接続されている。端子部3bは、導出部1cの導出孔を介して、ハウジング1の外部に露出するように構成されている。スイッチ装置10は、3つの固定端子3を備えている。3つの固定端子3の各々は、ハウジング1において、互いに離れた状態で配置されている。3つの固定端子3は、凹部1aにおいて、各固定端子3それぞれの固定接点3aが内底面1aaから露出している。以下では、3つの固定端子3それぞれの固定接点3aを、第1固定接点3a1、第2固定接点3a2、第3固定接点3a3と称することもある。第1固定接点3a1と第2固定接点3a2と第3固定接点3a3とは、所定の間隔を隔てて並んで設けられている。固定端子3は、ハウジング1に3つ備えた構成だけに限られず、1つ以上備えていればよい。固定接点3aは、回転軸10aaの軸周りに沿って、扇状の外形形状をしている。固定接点3aは、扇状の外形形状だけに限られず、適宜の外形形状に形成されていればよい。
固定端子3は、導電性の高い材料を用いることが好ましい。固定端子3は、たとえば、真鍮を用いることができる。固定端子3の材料は、真鍮だけに限られず、リン青銅、銀メッキを施した銅などの導体が用いられてもよい。固定端子3は、金属平板の打ち抜き加工によって形成することができる。
可動接触片4は、図2に示すように、基板4aと、延設部4bと、を備えている。基板4aは、枠状の外形形状をしている。基板4aは、厚み方向に貫通する第2貫通孔4aaを有している。第2貫通孔4aaは、基板4aの中央部に形成されている。第2貫通孔4aaは、切欠部4abを有している。切欠部4abは、基板4aの内側縁の一部を切り欠くように形成されている。延設部4bは、基板4aの外側縁に沿って、円弧状の外形形状をしている。延設部4bは、厚み方向に貫通する第3挿通孔4baを有している。延設部4bは、1の基板4aに対し、たとえば、3つ設けられている。3つの延設部4bは、基板4aの中心を回転中心とする仮想円の外周に沿って所定間隔で設けられている。延設部4bには、周方向に沿ったスリット4caが形成されている。延設部4bは、一対の接触片4cを備えている。一対の接触片4cは、スリット4caにより分離されている。接触片4cは、先端に向かうに従って、ハウジング1の凹部1aの内底面1aaに向かうように傾斜している。接触片4cは、先端に可動接点4cbを有している。可動接点4cbは、固定接点3aと接触できるように構成されている。可動接触片4は、固定接点3aを覆うように、ハウジング1の凹部1aに収納される。可動接触片4は、固定接点3aに対向して配置される。可動接触片4は、可動接点4cbと、固定接点3aとが対向して配置された場合、固定接点3aに向かって力が働くように弾性を有している。可動接触片4は、固定接点3aに接触して電気的な接続が可能な位置と、固定接点3aから離れて電気的に絶縁された位置との間で移動できるように構成されている。
スイッチ装置10は、可動接触片4の回転方向において、固定接点3aと可動接点4cbとが接触する位置で、固定端子3と可動接触片4とが電気的に接続されて導通状態となる。スイッチ装置10は、可動接触片4の回転方向において、固定接点3aと可動接点4cbとが離れた位置で、固定端子3と可動接触片4とが電気的に絶縁状態となる。本実施形態のスイッチ装置10では、可動接触片4を介して、2つの固定端子3が導通するように構成されている。可動接触片4は、複数の可動接点4cbそれぞれが同時に複数の固定接点3aと接触する構成とされてもよいし、1つの可動接点4cbが1つの固定接点3aとだけ接触する構成とされてもよい。スイッチ装置10は、可動接触片4の回転に応じて、固定端子3と可動接触片4とを導通状態及び固定端子3と可動接触片4とを絶縁状態にすることができる。本実施形態のスイッチ装置10は、可動接触片4が所定の回転位置で、可動接触片4を介して、3つの固定端子3のうち、いずれか2つの固定端子3同士を、電気的に導通状態にさせることができるように構成されている。
可動接触片4は、回転体5に固定されている。可動接触片4は、回転体5の回転に伴って、底部1hと平行な平面において回転自在となるように設けられている。可動接触片4は、回転体5と一緒に回転し、可動接点4cbが凹部1aの内底面1aaに沿って摺動する。
可動接触片4は、リン青銅で形成されている。可動接触片4の材料は、リン青銅だけに限られない。可動接触片4の材料は、真鍮、又は銀メッキを施した銅などを用いることができる。可動接触片4は、打ち抜き加工と、折り曲げ加工とを、金属平板に施すことによって形成されている。
回転体5は、図1及び図5に示すように、軸芯部5aと鍔部5cに加え、軸部5hを備えている。回転体5は、回転軸10aaの軸周りに回転できるように形成されている。軸芯部5aは、円柱状の外形形状をしている。軸芯部5aは、突起部位5bを備えている。突起部位5bは、軸芯部5aの長手方向に沿って、軸芯部5aから突出している。突起部位5bは、軸芯部5aを介して、鍔部5cと反対側に設けられている。突起部位5bは、角柱状の外形形状をしている。突起部位5bは、カバー2の第1貫通孔2aaから突出できるように構成されている。軸芯部5aは、カバー2の第1貫通孔2aaに一部を挿通した状態で、第1貫通孔2aaに沿って回転可能な大きさに形成されている。
鍔部5cは、軸芯部5aから外方に向かって突出するように構成されている。鍔部5cは、円環板状の外形形状をしている。鍔部5cは、外形が軸芯部5aの外形よりも大きく形成されている。鍔部5cは、凹部1aに収納できるように構成されている。鍔部5cは、カバー2の第1貫通孔2aaよりも大きく形成されている。鍔部5cは、カバー2により覆われる。鍔部5cは、可動接触片4を保持する。
鍔部5cは、図1及び図2に示すように、溝部5gを備えている。溝部5gは、鍔部5cにおける軸芯部5a側の第1面5caに形成されている。溝部5gは、鍔部5cの厚み方向に沿って、窪んだ形状をしている。溝部5gは、軸芯部5aの周りに沿って、円環状に設けられている。溝部5gは、回転軸10aaに沿った断面視において、C字状の外形形状に形成されている。溝部5gは、回転軸10aaに沿った断面視において、C字状の外形形状だけに限られず、V字状やU字状であってもよい。溝部5gは、可撓性リング6の位置合わせに利用することができる。鍔部5cは、図1で示すように、内周側よりも外周側の厚みRが小さくなるように形成されている。鍔部5cは、厚みRが外周に向かって小さくしていることで、第1面5caにおいて、傾斜面が形成されている。傾斜面は、溝部5gの外周側に設けられている。
鍔部5cは、図1及び図5に示すように、突出ピン5eと、ストッパー5fと、を備えている。突出ピン5eは、鍔部5cの厚み方向に沿って、軸芯部5aと反対側に突出するように設けられている。鍔部5cは、外周に沿って、所定の間隔で突出ピン5eを3つ備えている。突出ピン5eは、可動接触片4の延設部4bに形成された第3挿通孔4baの内形よりも若干小さく形成されている。突出ピン5eは、第3挿通孔4baに挿通される。ストッパー5fは、鍔部5cの厚み方向に沿って、軸芯部5aと反対側に突出するように設けられている。ストッパー5fは、突出ピン5eに近接して設けられている。ストッパー5fは、矩形状の外形形状をしている。
軸部5hは、軸芯部5aの長手方向に沿って、鍔部5cを介して軸芯部5aと反対側に設けられている。軸部5hは、先端に孔部5daが形成されている。軸部5hは、内部が空洞な円筒状の外形形状をしている。空洞は、軸芯部5aの内部に延びるように形成されている。軸部5hは、外形が軸芯部5aの外形よりも小さく形成されている。
軸部5hは、ハウジング1の凹部1aに設けられた段差部1eと、嵌め合すことができるように構成されている。軸部5hは、回転軸10aaの軸周りの回転を、段差部1eで案内されるように構成されている。言い換えれば、段差部1eは、軸部5hの軸受を構成している。軸部5hは、可動接触片4の基板4aに設けた第2貫通孔4aaと嵌め合すことができるように構成されている。
回転体5は、軸部5hの内部が空洞に形成されているので、軸部5hの内部に空洞がない構成と比較して軽量化されているので、回転モーメントを小さくすることができる。
軸部5hは、環状の外周から外方に向かって突出する凸部5jを備えている。回転体5は、可動接触片4の切欠部4abと、凸部5jとを嵌め合わすことで、可動接触片4と回転体5との位置合わせを正確に行えるように構成されている。
回転体5は、可動接触片4の端縁4daをストッパー5fに当たるように構成されている。回転体5は、突出ピン5eが第3挿通孔4baに挿通され、可動接触片4の端縁4daとストッパー5fとが合わさった状態で、突出ピン5eの先端が溶融されている。回転体5は、突出ピン5eの先端を溶融させて潰すことにより、可動接触片4が回転体5に支持され固定されている。
回転体5は、電気絶縁性を有する材料で形成されていることが好ましい。回転体5は、たとえば、POM樹脂を用いることができる。回転体5の材料は、POM樹脂だけに限られず、PP樹脂などの樹脂材料であってもよい。回転体5は、樹脂材料の射出成形により形成されることができる。スイッチ装置10は、カバー2から突出する突起部位5bを回転させるような力が掛かると、回転させる力に応じて、回転体5の回転動作ができるように形成されている。本実施形態のスイッチ装置10では、たとえば、回転体5を所定の回転範囲で回転させるレバーを備えた構成とすることができる。レバーは、回転体5の突起部位5bと嵌め合わせられて、回転体5に連結される。レバーは、回転体5の外周に向かって突出するように構成することができる。レバーは、レバーが回転すると、ハウジング1に対し回転体5を回転させることができる。
可撓性リング6は、輪状の外形形状をしている。可撓性リング6は、回転体5の軸芯部5aに挿通され、ハウジング本体部1bの壁部1fと、カバー2の平板部2aと、回転体5における軸芯部5aと、回転体5における鍔部5cとで囲まれる空間に配置される。可撓性リング6は、固定接点3aや可動接触片4が配置され、ハウジング1の凹部1aと回転体5とで囲まれる領域への水分の浸入や塵芥などの侵入を抑制することができる。以下では、固定接点3aや可動接触片4が配置され、ハウジング1の凹部1aと回転体5とで囲まれる領域を接点空間とも称する。可撓性リング6は、シール材としての機能を果たすことができる。本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、径方向断面がX字形状のXリングを用いている。
可撓性リング6は、第1突部6aと、第2突部6bと、第3突部6cと、第4突部6dと、を備えている。可撓性リング6は、第1突部6aと、第2突部6bと、第3突部6cと、第4突部6dと、径方向断面がX字形状の外形形状に形成されている。可撓性リング6は、外方に向かって、第1突部6aと、第2突部6bとが突出している。可撓性リング6は、内方に向かって、第3突部6cと、第4突部6dとが突出している。可撓性リング6は、厚み方向に沿って、第1突部6aと、第2突部6bとが並ぶように設けられている。可撓性リング6は、厚み方向に沿って、第3突部6cと、第4突部6dとが並ぶように設けられている。可撓性リング6は、第1突部6aと第3突部6cとで、第1窪部6aaを形成している。可撓性リング6は、第2突部6bと、第4突部6dと、で第2窪部6abを形成している。可撓性リング6は、厚み方向に沿って、第1窪部6aaと、第2窪部6abとが対向するように設けられている。
可撓性リング6では、第1突部6aは、壁部1fと接する。第2突部6bは、壁部1fと接する。第2突部6bは、凹所2hによりカバー2と接しないように構成されている。第3突部6cは、鍔部5cの溝部5gと接触している。可撓性リング6では、第3突部6cは、軸芯部5aと接していない。第3突部6cと軸芯部5aとは、距離Hで離れている。第4突部6dは、カバー2の平板部2aと接している。第4突部6dは、軸芯部5aと接していない。第4突部6dと軸芯部5aとは、距離Hで離れている。第3突部6c及び第4突部6dから軸芯部5aまでの距離Hは、図1に例示している。距離Hは、可撓性リング6の成形精度、回転体5の成形精度等に応じて適宜に設定することができる。
可撓性リング6は、径方向断面がX字形状のXリングだけに限られない。可撓性リング6は、たとえば、径方向断面がO字形状のOリングを用いることもできる。
可撓性リング6は、ニトリルゴムが用いられている。可撓性リング6の材料としては、ニトリルゴムだけに限られず、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムなどを用いてもよい。可撓性リング6は、ハウジング1の壁部1fに押し当てられて変形している。スイッチ装置10は、回転体5が回転する場合、可撓性リング6が壁部1fに押し当てられているので、可撓性リング6が回転体5と一緒に回転し難いように構成されている。
スイッチ装置10は、ハーネス9と電気的に接続されている。ハーネス9は、電線9aと、固定部材9bと、を備えている。電線9aは、固定端子3と電気的に接続されている。電線9aは、たとえば、半田付け等によって、ハウジング1の導出部1cから露出した端子部3bに固定されている。固定部材9bは、円筒状の外形形状をしている。固定部材9bは、電線9aをハウジング1に固定することができるように構成されている。固定部材9bは、たとえば、熱可塑性樹脂により形成させることができる。
以下では、本実施形態のスイッチ装置10を比較例のスイッチ装置と比較して、操作性が良いことを説明する。比較例のスイッチ装置では、可撓性リングは、ハウジングの壁部と、カバーと、回転体における鍔部及び軸芯部とにそれぞれ接するように構成されている。比較例のスイッチ装置は、可撓性リングが壁部とカバーと鍔部と軸芯部にそれぞれ接する以外、本実施形態のスイッチ装置10と同様の構成に形成されている。
ところで、比較例のスイッチ装置では、回転体を回転させるため、ハウジングとカバーとの間、カバーと回転体との間の隙間を詰めることができない。比較例のスイッチ装置では、ハウジングとカバーとの間及びカバーと回転体との間が、ハウジングの内部への水等の進入経路となる。
比較例のスイッチ装置では、可撓性リングは、第1突部が鍔部と壁部との両方に接している。可撓性リングは、第2突部がカバーと壁部との両方に接している。可撓性リングは、第3突部が鍔部と軸芯部との両方に接している。可撓性リングは、第4突部がカバーと軸芯部との両方に接している。
比較例のスイッチ装置では、第1突部及び第2突部が壁部を押圧し、第3突部及び第4突部が軸芯部を押圧することで、回転軸に対して垂直な可撓性リングの径方向への密閉を行うことができる。以下では、可撓性リングの径方向をラジアル方向とも称する。比較例のスイッチ装置では、可撓性リングがラジアル方向への密閉を行うことで、ハウジングとカバーとの間及びカバーと回転体との間から進入した水等が、接点空間に進入することを防止している。
しかしながら、比較例のスイッチ装置では、壁部と軸芯部それぞれに接するように可撓性リングが設けられているので、回転体を回転させるトルクを低減させることが難しい。
これに対し本実施形態のスイッチ装置10は、第1突部6aと第2突部6bとがラジアル方向でハウジング1を押圧している。スイッチ装置10は、可撓性リング6がラジアル方向へハウジング1を押圧することで、ハウジング1とカバー2との間から内部に進入する水等が、接点空間に進入することを防止することができる。
本実施形態のスイッチ装置10は、第3突部6cと第4突部6dとが回転軸10aaの軸方向に沿った方向でカバー2及び鍔部5cを押圧している。以下では、可撓性リング6の回転軸10aaの軸方向に沿った方向をスラスト方向とも称する。スイッチ装置10は、可撓性リング6がスラスト方向でカバー2及び鍔部5cを押圧することで、カバー2と回転体5との間から内部に進入する水等が、接点空間に進入することを防止することができる。スイッチ装置10は、可撓性リング6と軸芯部5aとが接していなくとも、可撓性リング6がスラスト方向でカバー2と鍔部5cとの押圧を行っているので、カバー2と回転体5との間から内部に進入する水等が、接点空間に進入することを防止することができる。
言い換えれば、本実施形態のスイッチ装置10は、可撓性リング6の内側をラジアル方向で密閉し、可撓性リング6の外側をラジアル方向で密閉するように、ラジアル方向とスラスト方向とで可撓性リング6を機能分離している。
さらに、可撓性リング6は、製造時にバリが生ずるおそれもある。本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、バリを軸芯部5aとの間に配置すれば、バリを利用して、回転体5との距離Hを確保するのに利用することができる。本実施形態のスイッチ装置10は、回転体5の軸芯部5aと可撓性リング6とが離れており、回転体5の成形精度が低くとも、可撓性リング6がカバー2と鍔部5cとをスラスト方向で押圧しているので、水等が接点空間へ進入することを防止することができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、鍔部5cは、回転軸10aaに沿った断面視において、可撓性リング6と接する第1面5caに傾斜面を有している。傾斜面は、外方に向かうにつれて、鍔部5cの厚みが薄くなるように傾斜していることが好ましい。
本実施形態のスイッチ装置10は、鍔部5cが第1面5caに傾斜面を有し、傾斜面が外方に向かうにつれて、鍔部5cの厚みが薄くなるように傾斜する構成で、可撓性リング6を壁部1fに向かうように配置させることができる。スイッチ装置10は、可撓性リング6を壁部1fに向かうように配置させることで、壁部1fへ押圧する力を高めることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、第1突部6aが壁部1fと接している。第1突部6aは、第1面5caに傾斜面が設けられていることで、鍔部5cを押圧する力が抑制される。第1突部6aは、鍔部5cの傾斜面と接していてもよいし、接していなくともよい。可撓性リング6は、第1突部6aが鍔部5cへ押圧する力が抑制されることで、回転体のトルクを低下させて、操作性を良くすることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、鍔部5cは、可撓性リング6と接する第1面5caに環状の溝部5gを有している。回転軸10aaの軸方向に沿った断面視における可撓性リング6と鍔部5cとの接点は、回転軸10aaの軸方向から見て、溝部5gと重なっていることが好ましい。
本実施形態のスイッチ装置10では、鍔部5cが溝部5gを有し、可撓性リング6と鍔部5cとの接点が溝部5gと重なってことにより、可撓性リング6の位置合わせに利用することができる。本実施形態のスイッチ装置10では、溝部5gは、グリス溜まりを形成することができる。グリス溜まりは、可撓性リング6と回転体5との接触抵抗を低減させる潤滑剤を溜めることができるように構成されている。スイッチ装置10では、可撓性リング6と回転体5との接触抵抗を低減させることで、回転体5のトルクを低下させて、操作性を良くすることができる。グリス溜まりは、回転体5と可撓性リング6との間で潤滑剤を給脂し、長期間に渡って回転体5と可撓性リング6との間の潤滑性が低下することを抑制することができる。潤滑剤は、溝部5gの全周に渡って設けることができる。スイッチ装置10は、溝部5gを備えることで、溝部5gを備えていない構成と比較して、可撓性リング6と回転体5との接触抵抗を低減させる潤滑剤の量を減らすこともできる。
本実施形態のスイッチ装置10では、鍔部5cは、可撓性リング6と接する第1面5caに環状の溝部5gを有している。傾斜面は、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、溝部5gの外周に配置されていることが好ましい。
本実施形態のスイッチ装置10では、傾斜面は、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、溝部5gの外周に配置されていることで、可撓性リング6のスラスト方向に力が掛かることを抑制することができる。スイッチ装置10では、傾斜面により、可撓性リング6のスラスト方向に力が掛かることを抑制できるので、第1突部6aと第2突部6bとが所定の圧力で壁部1fへ接することができ、より密閉性能の安定性を高めることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、X字形状をしている。可撓性リング6は、壁部1fと2点で接していることが好ましい。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、X字形状をし、壁部1fと2点で接していることにより、より密閉性能の向上を図ることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、カバー2は、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、厚み方向に窪んだ凹所2hを有している。可撓性リング6は、回転軸10aaの軸方向から見て、凹所2hと重なっている重複部位が、カバー2と接していないことが好ましい。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6は、回転軸10aaの軸方向から見て、凹所2hと重なっている重複部位が、カバー2と接していない構成で、回転体5のトルクをより小さくすることができる。本実施形態のスイッチ装置10では、凹所2hにより、可撓性リング6がカバー2を押圧する力が加えられていないので、可撓性リング6の変形を抑制することができる。
以下では、スイッチ装置10の組立工程について、簡単に説明する。
スイッチ装置10の組立工程では、固定接点3aが凹部1aで露出するように、固定端子3が一体的に形成されたハウジング1を予め準備する。組立工程では、可動接触片4が固定された回転体5の軸部5hを、ハウジング1の段差部1eに挿入させる。組立工程では、潤滑剤が塗布された溝部5g上に重ねるように、可撓性リング6を回転体5の鍔部5cに載せ置く。組立工程では、ハウジング1の凹部1aに回転体5や可撓性リング6を配置した状態において、ハウジング1の開口を塞ぐようにカバー2が被せられる。組立工程では、ハウジング1とカバー2との間に所定の圧力をかけて、カバー2の外枠部2gをハウジング1の嵌合溝1gに嵌め合わせることにより、カバー2をハウジング1に固定させる。
続いて、組立工程では、半田付け等によって、ハウジング1の導出部1cから露出した端子部3bに電線9aを電気的に接続させた後、電線9aを覆うように、固定部材9bを形成することで、スイッチ装置10を形成することができる。
本実施形態のスイッチ装置10は、たとえば、図6に示すように、車両30たる自動車のスライドドア32の開閉位置を検知するスイッチ装置10に用いることができる。本実施形態に係る車両30は、スイッチ装置10と、車体30aと、を有している。車体30aは、上述のスイッチ装置10を備えていることが好ましい。
スイッチ装置10は、たとえば、スライドドア32の内部に組み込まれ、スライドドア32を半ドア状態にすると、自動的にスライドドア32を全閉にするためのクローザーシステム31に組み込んだ構成とすることができる。クローザーシステム31は、スイッチ装置10と、モータと、モータの駆動を制御する制御部と、を備えている。駆動部は、適宜のプログラムで駆動するマイクロコンピュータを備えた構成とされている。クローザーシステム31は、スイッチ装置10がスライドドア32の開閉位置に応じた回転体5の回転角度を検知することができるように構成されている。クローザーシステム31は、スイッチ装置10の回転角度に応じた信号を、マイクロコンピュータで信号処理する。クローザーシステム31は、マイクロコンピュータで信号処理された結果、スライドドア32が半ドア状態にあると判別した場合、マイクロコンピュータからの電気信号でモータを動かす。クローザーシステム31は、マイクロコンピュータからの電気信号でモータを動かして、スライドドア32を全閉状態にできるようにスライドする。スイッチ装置10は、スライドドア32に用いられる構成だけに限られず、バックドアやトランクパネルに用いられてもよい。
(実施形態2)
図7に示す実施形態2のスイッチ装置10は、図1に示す実施形態1の可撓性リング6における凹所2hと傾斜面と溝部5gとを備えておらず、第2窪部6abに接する弧状部2eを有するカバー2を備えた点が主として相違する。なお、実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態のスイッチ装置10では、図7に示すように、実施形態1と同様、可撓性リング6は、軸芯部5aと鍔部5cと壁部1fとカバー2とに囲まれる空間に配置されている。可撓性リング6は、壁部1fとカバー2と鍔部5cとに接している。可撓性リング6は、軸芯部5aから離れている。
本実施形態のスイッチ装置10は、可撓性リング6が軸芯部5aと接している構成と比較して、操作性の良い構成とすることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、さらに、カバー2は、背面側において、円弧状に突出する複数個の弧状部2eを備えている。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6が、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、X字形状の外形形状をしている場合、図7に示すように、カバー2は、第2窪部6abと、弧状部2eとの位置が合うように配置されている。弧状部2eは、可撓性リング6の第2窪部6abと嵌め合わせることができるように構成されている。
本実施形態のスイッチ装置10は、弧状部2eを利用して、可撓性リング6の位置決め精度を高め、可撓性リング6が軸芯部5aと接していない場合でも、密閉機能の低下を抑制することができる。
本実施形態のスイッチ装置10は、実施形態1と同様に、車両30のスライドドア32に装着されたクローザーシステム31に搭載することができる。車両30は、スイッチ装置10によりスライドドア32の開閉位置を検出することができる。
(実施形態3)
図8に示す実施形態3のスイッチ装置10は、図7に示す実施形態2の構成に加え、鍔部5cに環状部5kを備えた点が主として相違する。なお、実施形態2と同様の構成には、同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態のスイッチ装置10では、図8に示すように、実施形態2と同様、可撓性リング6は、軸芯部5aと鍔部5cと壁部1fとカバー2とに囲まれる空間に配置されている。可撓性リング6は、壁部1fとカバー2と鍔部5cとに接している。可撓性リング6は、軸芯部5aから離れている。
本実施形態のスイッチ装置10は、可撓性リング6が軸芯部5aと接している構成と比較して、操作性の良い構成とすることができる。
本実施形態のスイッチ装置10では、可撓性リング6が、回転軸10aaの軸方向に沿った断面視において、X字形状の外形形状をしている場合、図8に示すように、回転体5は、第1窪部6aaと、環状部5kとの位置が合うように配置されている。環状部5kは、第1窪部6aaと嵌め合わせることができるように、環状に突出するように構成されている。カバー2は、第2窪部6abと、弧状部2eとの位置が合うように配置されている。弧状部2eは、第2窪部6abと嵌め合わせることができるように構成されている。
本実施形態のスイッチ装置10は、弧状部2eと環状部5kとを利用して、可撓性リング6の位置決め精度を高め、可撓性リング6が軸芯部5aと接していない場合でも、密閉機能の低下を抑制することができる。スイッチ装置10では、環状部5kを回転体5に備える代わりに、円弧状に突出する複数個の弧状部を備えた構成であってもよい。スイッチ装置10では、弧状部2eをカバー2に備える代わりに、環状に突出する環状部を備えた構成であってもよい。
本実施形態のスイッチ装置10は、実施形態1と同様に、車両30のスライドドア32に装着されたクローザーシステム31に搭載することができる。車両30は、スイッチ装置10によりスライドドア32の開閉位置を検出することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲で、種々変更することができる。