JP6598801B2 - 気管用チューブ - Google Patents

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Description

本発明は気管用チューブに関する。より詳細には、本発明は、気管切開チューブ、気管内チューブ等の気管用チューブに関する。
気道確保を必要とする患者の気道確保を行うための方法としては、口または鼻から咽頭を経由して気管に気管内チューブと呼ばれる気管用チューブを気管に挿入する方法である気管挿管、気管内挿管が長期にわたっている場合や気管挿管ができない場合には、気管とその上部の皮膚を切開してその部分から気管に気管切開チューブと呼ばれる気管用チューブを挿入する方法である気管切開(外科的気管切開)、緊急に気道確保が必要な場合には、輪状甲状膜(輪状甲状靭帯)を切開して気管カニューレを挿入する方法である輪状甲状膜切開、輪状甲状膜を穿刺して気管カニューレを挿入する方法である輪状甲状膜穿刺などが挙げられる。
しかし、気管用チューブを気管内に挿入することによって気管が刺激されるため、痰などの分泌物が多量となって、気管用チューブの狭窄・閉塞を引き起こし、呼吸困難・窒息といった事象を発生させるおそれがある。痰は、通常であれば気管の繊毛運動によって排出されるが、気管用チューブには繊毛が無いため、痰が付着しやすい。そのため、気管用チューブ内の痰を定期的に吸引して気管用チューブの狭窄を防止し、閉塞しないようにしなければならない。痰は、主に水分と糖タンパク質(ムチン)で構成されており、粘度は数百〜数十万cP程度と幅広く、粘度が高いほど気管用チューブ内に付着しやすく、除去の際に取り残しの残渣が出やすい。気管用チューブ内に取り残された痰が乾燥して、さらに痰が付着しやすくなることもある。気管用チューブからの痰の除去は、頻繁に行わなくてはならず、しかも極力取り残しが少なくなるように注意深く吸引しなければならないため、看護者・介護者の負担は大きい。
そのため、痰が付着しにくい気管用チューブが求められている。
例えば、特許文献1には、チューブ内面に、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体および含フッ素・アクリル・ウレタン・シリコーン樹脂の混合物で構成される、湿潤時に表面潤滑性を発現する被膜を形成することにより、痰等の異物が溜まり難くした気管切開チューブが記載されている。また、特許文献2には、気道チューブの内側(内腔)表面に、酸化金属粒子などの粒子を1層以上堆積して粗面化し、その上にフルオロカーボン重合体などの低表面エネルギー材料(つまり、本質的に疎水性)からなるコーティングを施すことにより超疎水性表面領域を形成することが記載されている。
国際公開第2006/037626号 国際公開第2006/135755号
しかし、本発明者らの検討した限りでは、特許文献1および2に記載された気管(気道)チューブでは、昨今要求されるレベルでの痰の付着抑制が達成されておらず、改良の余地が残されていることが知見された。
そこで、本発明は、痰が付着しにくい気管用チューブを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、気管用チューブにおいて、チューブ体の呼吸路を形成する内面の少なくとも一部にマイクロ構造領域が設けられ、マイクロ構造領域は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有すると、痰が付着しにくい気管用チューブを提供することができることを知得し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1)気管内の肺側に設けられた先端部、先端部と反対側に設けられた基端部、および、基端部から先端部にかけて貫通する呼吸路を有するチューブ体を備える、気管用チューブにおいて、
チューブ体の呼吸路を形成する内面の少なくとも一部にマイクロ構造領域が設けられ、
マイクロ構造領域は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する、気管用チューブ。
(2)マイクロ構造領域には、押出成型、射出成型、切削加工、レーザー加工、芯棒を用いた表面加工、粒子コーティング、ナノインプリント、溶剤処理、プラズマスパッタ、ナノワイヤ配列の堆積およびこれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて形成されたマイクロ特徴部が配置されている、(1)に記載の気管用チューブ。
(3)マイクロ構造領域には、少なくとも一部分が屈曲、湾曲、圧縮、伸長、膨張および/または歪曲した形状である可撓性を有する基板であって、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する基板が、マイクロ構造表面を呼吸路に露出するようにチューブ体の呼吸路を形成する内面に配置されている、(1)に記載の気管用チューブ。
(4)マイクロ構造表面が撥痰性表面である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(5)マイクロ特徴部の寸法が、10nm〜1000μmの範囲から選択される、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(6)マイクロ特徴部間のピッチが、10nm〜1000μmの範囲から選択される、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(7)複数のマイクロ特徴部が、第1組の寸法を有する第1組のマイクロ特徴部、および第2組の寸法を有する第2組のマイクロ特徴部を備え、第1組の寸法が第2組の寸法とは異なる、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(8)第1組の寸法が10nm〜1μmの範囲から選択され、第2組の寸法が1μm〜100μmの範囲から選択される、(7)に記載の気管用チューブ。
(9)複数のマイクロ特徴部上に被覆をさらに備える、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(10)被覆が1〜100nmの範囲から選択されるサイズを有する粒子を含む、(9)に記載の気管用チューブ。
(11)チューブ体が、先端部と基端部との間に、湾曲部を有する、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(12)気管切開チューブである、(11)に記載の気管用チューブ。
(13)気管内チューブである、(11)に記載の気管用チューブ。
(14)複管式気管切開チューブである、(11)に記載の気管用チューブ。
(15)複管式気管切開チューブの内管である、(11)に記載の気管用チューブ。
(16)輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を介して気管に挿入可能な気管カニューレである、(11)に記載の気管用チューブ。
(17)輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレである、(16)に記載の気管用チューブ。
(18)小気管切開チューブである、(16)または(17)に記載の気管用チューブ。
(19)湾曲部が先端部の中心軸と基端部の中心軸とがなす角を±45°の範囲内で変化させることができる、(11)〜(18)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(20)チューブ体の中心軸に直交する断面図において、基端部、先端部および湾曲部のそれぞれにおけるチューブ体の中心を通る平面を平面P、平面Pがチューブ体の湾曲部の湾曲の外側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点を交点B、交点Bにおいて平面Pに直交する基準線を基準線S、チューブ体102の内周面に接する接線を接線T、ならびに接線Tが基準線Sとなす角を角φとするとき、角φが30°以上となるチューブ体の内周面上の位置に皮膜が配置されている、(11)〜(19)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。ただし、角φは、基準線Sと接線Tとがなす鋭角または直角である。
本発明によれば、痰が付着しにくい気管用チューブを提供することができる。
また、本発明の気管用チューブを使用することにより、気管用チューブに付着した痰を吸引除去する頻度を低減することができるので、患者および介護者の負担を軽減することができる。
図1は、基板および複数のマイクロ特徴部を備えた、例示的なマイクロ構造表面を示す図である。 図2は、撥痰性表面を作る例示的な方法の実施形態のフローダイヤグラムを示す図である。 図3は、本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブを患者に装着した状態を示す図である。 図4(A)は、図3に示す本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図4(B)は、図4(A)に示すA−A線に沿って切断した断面図である。図4(C)は、マイクロ構造領域の一部拡大断面図である。図4(D)は、本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブの内部に付着した痰を吸引する状態を示す断面図である。図4(E)は、マイクロ構造領域の他の実施形態の一部拡大断面図である。 図5(A)は、本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。図5(B)および図5(C)は、図5(A)に示すB−B線に沿って切断した断面図である。 図6(A)は、本発明の第2の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図6(B)は、図6(A)に示すC−C線に沿って切断した断面図である。図6(C)は、第2の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。 図7(A)は、本発明の第3の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図7(B)は、図7(A)に示すD−D線に沿って切断した断面図である。図7(C)は、第3の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。 図8(A)は、本発明の第4の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図8(B)は、図8(A)に示すE−E線に沿って切断した断面図である。 図9は、本発明の第5の実施形態にかかる気管内チューブを患者に装着した状態を示す図である。 図10(A)は、本発明の第5の実施形態にかかる気管内チューブの構成例を示す斜視図である。図10(B)は、図10(A)に示すF−F線に沿って切断した断面図である。 図11は、本発明の第6の実施形態にかかる気管カニューレを患者に装着した状態を示す図である。 図12は、本発明の第7の実施形態にかかる気管カニューレを患者に装着した状態を示す図である。 図13は、ハスの葉の表面の走査型電子顕微鏡画像である(Barthlott, W. and Neinhuism, C.、1997年4月、「The purity of sacred lotus or escape from contamination in biological surfaces」、Planta、第202巻、第1号、p.1〜8、doi:10.1007/s004250050096W.)。 図14は表面上の液滴の接触角の変化を示す、マイクロ加工技法によって粗面仕上げされた表面を示す図である。図14(A)は粗面仕上げ前の表面の接触角θを表し、図14(B)は粗面仕上げ後の表面の接触角θを表す。 図15はウェンゼル状態またはカシー−バクスター状態にある表面上の液滴を示す図である。図15(A)はウェンゼル状態にある表面上の液滴を表し、図15(B)はカシー−バクスター状態にある表面上の液滴を表す。 図16は、凸形に湾曲したマイクロ構造表面および凸形に湾曲したマイクロ構造表面上の液滴を示す図である。図16(A)は凸形に湾曲したマイクロ構造表面を表し、図16(B)は凸形に湾曲したマイクロ構造表面およびその上の液滴を表す。 図17は、凹形に湾曲したマイクロ構造表面および凹形に湾曲したマイクロ構造表面上の液滴を示す図である。図17(A)は凹形に湾曲したマイクロ構造表面を表し、図17(B)は凹形に湾曲したマイクロ構造表面およびその上の液滴を表す。 図18は非マイクロ構造表面上およびマイクロ構造表面上の液滴を示す図である。図18(A)は非マイクロ構造表面上の液滴を表す図であり、液滴に対する表面の接触角はθである。図18(B)はウェンゼル状態にあるマイクロ構造表面上の液滴を表す図であり、液滴に対する表面の接触角はθ である。図18(C)はカシー−バクスター状態にあるマイクロ構造表面上の液滴を表す図であり、液滴に対する表面の接触角はθCB である。 図19は、凸形表面および凹形表面に関するマイクロ特徴部のピッチの変化を示す図である。図19(A)はマイクロ構造表面が正の曲率で湾曲するときであり、マイクロ特徴部の間隔(ピッチ)が広くなることを表す。図19(B)はマイクロ構造表面が負の曲率で湾曲するときであり、マイクロ特徴部の間隔(ピッチ)が狭くなることを表す。 図20は、シリコーンマイクロ柱のピッチの変化を示す図である。図20(A)は、平坦(Flat)なポリジメチルシロキサン(PDMS)表面およびその上にピッチ24.4μmで配置されたPDMSマイクロ柱を表す。図20(B)は、曲率+0.11/mmで湾曲したPDMS表面およびその上に湾曲方向のピッチ26.2μmで配置されたPDMSマイクロ柱を表す。湾曲方向のピッチは24.4μmから26.2μmに広くなった(予測=25.5μm)。図20(C)は、曲率−0.22/mmで湾曲したPDMS表面およびその上に湾曲方向のピッチ20.7μmで配置されたPDMSマイクロ柱を表す。湾曲方向のピッチは24.4μmから20.7μmに狭くなった(予測=22.1μm)。 図21は、様々なマイクロ特徴部の高さに関して表面上のカシー−バクスター状態の液滴の臨界曲率に対するピッチを示すモデルを提示する図である。 図22は、湾曲した撥痰性・超疎水性表面の曲率(Curvature,1/mm)と、水滴(Water)または重量で40/60のグリセリン/水の混合物の液滴(Glyc/wat)に対する撥痰性・超疎水性表面の接触角(Contact Angle,度)の予測値(Predicted)または実測値(Expt)との関係をプロットしたグラフである。 図23は、様々なマイクロ構造の高さを有するマイクロ構造PDMS表面上において、滑りを引き起こす傾斜角度(Slide Angle,度)を示すデータを、湾曲の曲率(Curvature,1/mm)の関数として提示する図である。図23(A)は水(Water)に関するグラフであり、図23(B)は重量で40/60のグリセリン/水の混合物(40/60 Glycerol/Water)に関するグラフである。 図24は、元の接触角θが100°の液滴の場合の、直径5μm、ピッチ8μmの柱に関するモデリング結果を示すグラフである。 図25は、カシー−バクスター状態とウェンゼル状態との間の移行に関するモデリング結果を示すグラフである。
[用語の定義]
本明細書で使用する用語および語句は、当技術分野で認められた意味を有し、これは、標準的な文書、雑誌参考文献および当業者に知られた文脈を参照することで理解できる。本発明の文脈において特定の使用を明確にするために以下の定義を提示する。
「痰」は、粘液の一種で、気管等の粘膜から分泌されるスライミーな性質を示す粘性流体であって、程度の差はあるものの、曳糸性(突っ込んだ棒を引き上げたときに、糸を引く性質)および粘弾性(ゴムのように、一部をつかんで持ち上げると伸びて、離すと元の形状に戻り、一定以上伸ばすと切れる性質)を有するものである。痰の主成分としては、水とムチン等の糖タンパク質とが挙げられる。
「撥痰性」は、痰を撥ねる性質をいう。痰を撥ねる結果、気管用チューブ内部(チューブ体の内周面)に痰が付着しにくくなる。また、痰の糸曳き性を抑制することができる。また、撥痰性表面とは、傾斜角を30°とし、そこに痰を100μLずつ滴下した際に、痰が移動する表面をいう。
「超疎水性」は、液体、例えば水が、材料の表面をあまり濡らさない材料特性を指す。特定の実施形態では、超疎水性は、液体接触角が120°を超える、例えば130°を超える、140°を超える、150°を超える、160°を超える、または170°を超える材料特性を指す。
「独立型」は、別の物品に、例えば、表面または基板に取り付けられていない物品を指す。特定の実施形態では、独立型のフィルムは、複数の層、例えば、屈曲性ポリマー層および接着層を含む。
「単体」、「単一部材」および「モノリシック」は、同一材料の単一の部材からなる物品または要素を指す。
「マイクロ特徴部」および「マイクロ構造」は、平均の幅、深さ、長さおよび/または厚さが、100μm以下、または、10nm〜100μmの範囲から選択される、物品表面上の特徴部を指す。
「予め選択したパターン」は、整理、デザイン、または設計された物品の構成を指す。例えば、予め選択したパターンのマイクロ構造は、順序つき配列のマイクロ特徴部を指すことができる。一実施形態では、予め選択したパターンは、ランダムおよび/または統計的なパターンではない。
「ピッチ」は物品間の間隔を指す。ピッチは、複数の物品間の平均間隔、物品の中心間および/または縁部間の間隔、ならびに/あるいは物品の特定部分、例えば、物品の先端、点、および/または端部の間の間隔を指すことができる。
「濡れ性」は、液体に対する表面の親和性を指す。「親水性」は、液体に対する表面の引力の程度を指す。「疎水性」は、液体に対する表面の斥力の程度を指す。いくつかの実施形態では、表面の濡れ性、親水性、および/または疎水性は、表面上の液体接触角を基準として言及される。用語「濡れ性」、「親水性」、および「液体親和性」は、本明細書では互いに同義で用いられて、90°未満の液体と表面との接触角を指す。用語「非濡れ性」、「疎水性」、および「液体非親和性」は、本明細書では互いに同義で用いられて、90°超の液体と表面との接触角を指す。いくつかの実施形態の場合には、表面の親和性は、様々な液体ごとに異なり、これらの実施形態では、基準とする液体に応じて表面を同時に液体非親和性および液体親和性にすることができる。
「接触角」は、液体と気体との境界面が固体と接する角度を指す。
「可撓性」は、変形したときに、例えば、物品が破断、破損、または非弾性的な変形を特徴とする損傷をしないように、可逆的に変形する物品の能力を指す。
[気管用チューブ]
本発明の気管用チューブは、気管内の肺側に設けられた先端部、先端部と反対側に設けられた基端部、および、基端部から先端部にかけて貫通する呼吸路を有する材料からなるチューブ体を備える、気管用チューブにおいて、チューブ体の呼吸路を形成する内面の少なくとも一部にマイクロ構造領域が設けられ、マイクロ構造領域は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有することを特徴とする。
〈マイクロ構造領域〉
マイクロ構造領域は、本発明の気管用チューブが備えるチューブ体の呼吸路を形成する内面の少なくとも一部に設けられる。さらに、マイクロ構造領域は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する。
本発明の気管用チューブにおいて、マイクロ構造領域は、チューブ体の呼吸路を形成する内面の少なくとも一部に設けられていればよいが、本発明の気管用チューブのあらゆる表面に設けられていてもよい。特に、マイクロ構造領域は、本発明の気管用チューブの、痰と接触しやすい表面に設けられていることが好ましい。
また、マイクロ構造領域には、複数のマイクロ特徴部が直接配置されていてもよいし、可撓性を有する基板であって、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する基板が当該マイクロ構造表面と反対側の面を当該マイクロ構造領域に向けて積層されていてもよい。
〈マイクロ構造表面〉
以下、マイクロ構造表面およびマイクロ特徴部について詳細に説明する。
図1に、マイクロ構造表面の例示的な一実施形態を示す。図1に示したマイクロ構造表面10は、基板(基材)11の表面上にマイクロ特徴部12が配置されている。この実施形態のマイクロ特徴部12は、直径13を有する円形の断面形状を有する。また、図1に示したマイクロ構造表面10において、マイクロ特徴部12の中心間のピッチ14およびマイクロ特徴部12の高さ15も示す。
マイクロ構造表面の少なくとも一部分は、湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形した形状であってもよい。湾曲および/または屈曲したマイクロ構造表面の少なくとも一部分の曲率半径は、特に限定されないが、1mm〜1,000mの範囲内から選択されることが好ましい。圧縮したマイクロ構造表面の少なくとも一部分は、元のサイズの1%〜100%のレベルにまで圧縮したものであることが好ましい。伸長または膨張したマイクロ構造表面の少なくとも一部分は、元のサイズの100%〜500%のレベルにまで膨張または伸長したものであることが好ましい。歪曲したマイクロ構造表面の少なくとも一部分の歪みレベルは、−99%〜500%の範囲から選択されることが好ましい。
マイクロ構造表面は、湾曲面、例えば、物品または構造の輪郭に適合する可撓性を有するものであってもよい。例えば、マイクロ特徴部が配置された、可撓性を有する基板(基材)の表面は、湾曲面、例えば、1つまたは複数の凹形および/または凸形の領域を有する表面であってもよい。また、例えば、可撓性を有するマイクロ構造表面を有する基板(基材)のマイクロ特徴部および任意選択で接着層を有する表面の反対側に位置する表面は、湾曲面、例えば、1つまたは複数の凹形および/または凸形の領域を有する表面であってもよい。可撓性を有する基板(基材)は、事実上平面であってもよい。さらに、可撓性を有する基板(基材)は、事実上平面の領域と湾曲領域との組み合わせを有する表面を含んでもよい。マイクロ構造表面は、折り目、畳み目、または別法で非弾性的に変形した領域を含んでもよく、それらの領域は、マイクロ構造表面が、角を有する物品に適合するか、または変形した形状を採り入れることができるように構成されている。
マイクロ特徴部および基板(基材)は、単一部材、例えば、基板(基材)と一体の構成要素としてマイクロ特徴部を有するモノリシック構造から構成されてもよい。例えば、マイクロ特徴部が基板(基材)自体の一部として一体形成され、基板(基材)の表面から延在し、任意選択で基板(基材)と同じ組成を有する、マイクロ構造表面を有する可撓性フィルム、またはマイクロ構造表面を有する可撓性基材であってもよい。マイクロ特徴部および基板(基材)は、気管用チューブの構成部材と一体の構成要素として構成されてもよい。
マイクロ特徴部の寸法は、10nm〜1000μmの範囲から選択されることが好ましい。マイクロ特徴部の長さ、高さ、直径、および/または幅は、好ましくは10nm〜1000μmの範囲から選択され、より好ましくは10nm〜100μmの範囲から選択される。マイクロ特徴部間のピッチは、好ましくは10nm〜1000μmの範囲から選択され、より好ましくは1μm〜1000μmの範囲から選択され、さらに好ましくは10μm〜1000μmの範囲から選択される。
複数のマイクロ特徴部は、複数様式の分布の物理的寸法、例えば、2様式の分布の高さ、および/または2様式の分布の直径、および/または2様式の分布のマイクロ構造ピッチを有していてもよい。例えば、複数のマイクロ特徴部は、第1組の寸法を有する第1組のマイクロ特徴部、および第2組の寸法を有する第2組のマイクロ特徴部を備えていてもよい。また、第1組の寸法と第2組の寸法は異なってもよい。第1組の寸法は、10nm〜10μmの範囲から選択されることが好ましく、第2組の寸法は、10μm〜1000μmの範囲から選択されることが好ましい。
マイクロ特徴部は、任意の断面形状、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、矩形、多角形、星形、六角形、文字形、数字形、数学記号形などであってよく、また、これらの任意の組み合わせを含む断面形状を有していてもよい。ここで、断面形状は、可撓性を有する基板(基材)の平面に平行な平面におけるマイクロ構造の断面の形状を指す。
マイクロ構造表面は、予め選択したパターンを有するマイクロ特徴部を備えてもよい。予め選択したパターンは、マイクロ特徴部の規則的な配列であってもよい。また、予め選択したパターンは、マイクロ特徴部が第1のピッチを有するいくつかの領域と、マイクロ特徴部が第2のピッチ、例えば第1のピッチよりも大きいピッチを有する、いくつかの領域とを含んでもよい。
予め選択したパターンのマイクロ特徴部が、マイクロ特徴部が第1の断面形状を有する領域と、マイクロ特徴部が第2の断面形状、例えば、第1の断面形状とは異なる断面形状を有する領域とを含んでもよい。予め選択したパターンのマイクロ特徴部が、マイクロ特徴部が複数の断面形状および/またはサイズを有する領域を含んでもよい。予め選択したパターンのマイクロ特徴部が、2以上の配列の、2以上の断面形状および/またはサイズのマイクロ特徴部を指してもよい。2以上の配列を、並列に、すなわち、2つの配列が重ならないように配置することができる。別の特定の実施形態では、2以上の配列が重なるように配置することができ、2以上の断面形状および/またはサイズを有するマイクロ特徴部が、重なった配列内に点在する。
予め選択したパターンのマイクロ特徴部が、複数の寸法のマイクロ特徴部、例えば、2様式または複数様式の寸法の分布を含んでもよい。例えば、予め選択したパターンのマイクロ特徴部が、10nm〜1μmから選択される寸法を有する第1グループのマイクロ特徴部と、1μm〜100μmから選択される寸法を有する第2グループのマイクロ特徴部とを含んでもよい。また、マイクロ特徴部のサイズ、形状、および配置は、マイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの正確さおよび/または精密度で予め選択されてもよい。
マイクロ特徴部は、1〜100nmの範囲から選択される寸法を有する粒子を含んでもよい。可撓性を有する基板(基材)および/またはマイクロ特徴部の表面に、被覆、例えば、1〜100nmの範囲から選択される寸法を有する粒子を含む被覆が設けられてもよい。これらの粒子は、nmスケールの追加のレベルの粗さを、可撓性を有する基板(基材)の表面にもたらし、表面の撥痰性、疎水性を上昇させ、および/または表面エネルギーを変更する。
予め選択したパターンのマイクロ特徴部は、表面に特定の物理的特性を与えるように設計されてもよい。例えば、順序つき配列のマイクロ特徴部は、物品の表面に撥痰性、超疎水性を与えることができる。予め選択したパターンのマイクロ特徴部によって調整し与えることができる物理的特性は、特に限定されないが、例えば、撥痰性;疎水性;親水性;自浄能力;流体抵抗係数および/または空気抵抗係数;視覚的効果、例えばプリズム効果、特定の色、および方向依存の色の変化;触覚効果;把持力;表面摩擦係数などが挙げられる。
マイクロ構造表面の撥痰性、疎水性、濡れ性、および/または親水性は制御可能である。例えば、基板(基材)を湾曲、屈曲、膨張、または縮小することによって可撓性を有する基板(基材)が変形するにつれて、表面の撥痰性、疎水性、濡れ性、および/または親水性が変化する。別の実施形態の場合には、可撓性を有する基板(基材)が変形するときに、表面の撥痰性、疎水性、濡れ性、および/または親水性は一定のままである。さらには、可撓性を有する基板(基材)が変形するときに、表面の撥痰性、疎水性、濡れ性、および/または親水性は、表面の一部については一定のままであり、表面の他の部分については表面の濡れ性は変化することもある。表面の水滴の接触角は、可撓性を有する基板(基材)が変形するにつれて変化することもあれば、一定のままであることもある。
マイクロ構造表面上の水滴の接触角は、好ましくは120°を超え、より好ましくは130°、140°、150°、160°、または170°を超える。
マイクロ構造表面は、ポリマーを含んでもよい。ポリマーは、特に限定されるわけではないが、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリラート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリアクリラート、ポリアリレート、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー、フルオロポリマー、生分解性ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニル、ポリオレフィン、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム、これらのうち2種類以上の組合せなどが挙げられる。
マイクロ構造表面は、金属を含んでもよい。金属としては、モールド成形可能、キャスト成形可能、エンボス加工可能、および/またはスタンピング可能な任意の金属もしくは合金を含む。また、金属は、特に限定されるわけではないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ビスマス、ビスマス合金、スズ、スズ合金、鉛、鉛合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、インジウム、インジウム合金、金、金合金、銀、銀合金、銅、銅合金、真鍮、ニッケル、ニッケル合金、白金、白金合金、パラジウム、パラジウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金などが挙げられる。
マイクロ構造表面は、動物および/または植物から由来した工業材料、例えば、炭水化物、セルロース、リグニン、糖、蛋白質、繊維、バイオポリマー、および/または澱粉を含む材料を含んでもよい。植物由来および/または動物由来の工業用材料としては、限定するわけではないが、例えば、紙;厚紙;テキスタイル、例えば、ウール、リネン、綿、または皮;バイオプラスチック;固体バイオ燃料またはバイオマス、例えば、おが屑、小麦粉、または木炭;ならびに建設材料、例えば、木材、ファイバボード、リノリウム、コルク、竹、硬材などが挙げられる。
マイクロ構造表面は複合材料を含んでもよい。例えば、マイクロ構造表面は、異なる2以上の材料、層、および/または構成要素を含むことができる。
マイクロ構造表面は、複数のマイクロ特徴部上にそれらを覆う被覆を備えていてもよい。被覆としては、特に限定するわけではないが、例えば、フッ素化ポリマー、フッ素化炭化水素、シラン、チオール、これらのうちの2種類以上の組合せなどが挙げられる。マイクロ構造表面は、表面処理が施されてもよい。表面処理の方法としては、特に限定するわけではないが、硬化、蒸解、アニーリング、化学処理、化学被覆、塗装、被覆、プラズマ処理、これらのうち2種類以上の組合せなどが挙げられる。
〈マイクロ構造表面の作製方法〉
図2に、マイクロ構造表面を作製するための例示的な一実施形態を示す。
図2に示すフローダイヤグラムは、感光性ポリマーまたは光もしくは粒子に敏感なレジスト22を上部に備えた基板(基材)21で開始する。ステンシルマスク23を通してレジスト22に光24を当てることによって、そのレジストにマイクロ特徴部25を形成することができる。他の実施形態では、これらのマイクロ特徴部またはナノ特徴部を形成するために、他の種類の電磁波、エネルギービーム、または粒子が使用される。
この段階では、形成されたマイクロ特徴部25の凹所26を有するレジスト22をモールド型として使用する。基板(基材)21を(例えば、化学エッチングで)処理して、マイクロ特徴部25を修正することもできる。いくつかの実施形態の場合には、その表面を薬剤で被覆して、後続のモールド成形ステップを容易にするかまたは改善する。
未硬化のポリマー27をマイクロ特徴部25にモールド成形し、熱、時間、紫外線、または他の硬化法によって硬化させる。硬化したポリマー28を基板(基材)−レジストモールド型から取り外すときに、そのモールド型による特徴部が、硬化したポリマー28に転写される。
マイクロ構造表面のマイクロ特徴部は、リソグラフィパターニングされたモールド型から複製されて作製されてもよい。マイクロ特徴部は、リソグラフィパターニングされたモールド型から直接複製されてもよいし(第1の世代の複製)、リソグラフィパターニングされたモールド型から複製されたマイクロ特徴部を有するモールド型から複製されてもよい(第2の世代の複製)。さらには、マイクロ特徴部は、リソグラフィパターニングされたマスタの特徴部を複製した第3のまたは後続の世代であってもよい。
マイクロ構造表面を物品の表面に作製する方法の一例を説明するが、マイクロ構造表面を物品の表面に作製する方法はこの方法に限定されず、種々の方法を用いることが可能である。この方法は、物品を用意するステップと、表面に複数のマイクロ特徴部が配置され、その反対側の表面に接着層が配置された、可撓性を有する基板(基材)を備えるマイクロ構造表面を用意するステップと、マイクロ構造表面を物品の表面に付着させるステップとを含む。可撓性を有する基板(基材)としては、ポリマー基板(基材)が好ましい。ポリマーとしては上述したものを好適に使用しうる。
〈マイクロ構造表面の撥痰性・超疎水性等の制御方法〉
複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を備える表面の、撥痰性、超疎水性および/または濡れ性を制御する方法を説明する。この方法は、(i)複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を用意するステップと、(ii)可撓性を有する基板(基材)を変形し、それにより、表面の撥痰性、超疎水性および/または濡れ性を制御するステップとを含む。可撓性を有する基板(基材)を変形するステップは、可撓性を有する基板(基材)を湾曲、可撓性を有する基板(基材)を屈曲、可撓性を有する基板(基材)を膨張、可撓性を有する基板(基材)を伸長、および/または可撓性を有する基板(基材)を圧縮することによって実現することができる。一実施形態では、可撓性を有する基板(基材)を変形するステップは、マイクロ特徴部の少なくとも一部分の間のピッチを、例えば、10nm〜1000μmの範囲から選択される値だけ、任意選択で、100nm〜100μmの範囲から選択される値だけ増減することによって、選択的に変更する。
マイクロ構造表面の撥痰性および超疎水性を制御する方法を説明する。この方法は、マイクロ構造表面を用意するステップと、そのマイクロ構造表面を変形し、それにより、表面の撥痰性および超疎水性を制御するステップとを含む。この方法では、マイクロ構造表面は、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を備える。可撓性を有する基板(基材)はポリマーおよび/または金属を含んでもよい。
ポリマーとしては、限定されるものではないが、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリラート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリアクリラート、ポリアリレート、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー、フルオロポリマー、生分解性ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニル、ポリオレフィン、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム、これらのうちの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
金属は、モールド成形可能、キャスト成形可能、エンボス加工可能、および/またはスタンピング可能な任意の金属または合金であれば、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ビスマス、ビスマス合金、スズ、スズ合金、鉛、鉛合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、インジウム、インジウム合金、金、金合金、銀、銀合金、銅、銅合金、真鍮、ニッケル、ニッケル合金、白金、白金合金、パラジウム、パラジウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金などが挙げられる。
撥痰性および超疎水性以外に、またはそれらに加えて、1つまたは複数の物理的、機械的、または光学的な特性は、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を変形することによって設定、変更、および/または制御される。例えば、光学的な特性、例えば、反射率、反射光もしくは散乱光の波長分布、透過率、伝播光の波長分布、屈折率、またはこれらの任意の組み合わせは、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を湾曲、屈曲、膨張、伸長、および/または縮小することによって制御することができる。また、物理的特性、例えば、空気抵抗または流体抵抗は、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を湾曲、屈曲、膨張、伸長、および/または縮小することによって制御することができる。また、表面の触知の特性、例えば、表面の触知の感覚は、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を湾曲、屈曲、膨張、伸長、および/または縮小することによって制御することができる。
マイクロ構造表面の特性は、基板(基材)を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。マイクロ構造表面の少なくとも一部分の特性は、基板(基材)の少なくとも一部分を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。例えば、表面の空気抵抗および/または流体抵抗は、基板(基材)を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。また、表面の濡れ性は、基板(基材)を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。また、表面の光学的な特性は、基板(基材)を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。例えば、表面のプリズム効果、方向依存の反射率、方向依存の伝播率、反射率、透過率、反射波の波長分布、散乱波の波長分布、伝播波の波長分布、および/または屈折率は、基板(基材)を湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張、歪曲、および/または変形することによって選択的に調節することができる。
マイクロ構造表面の濡れ性を制御する方法を説明する。この方法は、マイクロ構造表面を用意するステップと、そのマイクロ構造表面を変形し、それにより、マイクロ構造表面の濡れ性を制御するステップとを含む。この方法では、マイクロ構造表面は、複数のマイクロ特徴部が設けられた可撓性を有する基板(基材)を備える。可撓性を有する基板(基材)はポリマーを含んでもよい。
ポリマーとしては、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリラート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリアクリラート、ポリアリレートw、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー、フルオロポリマー、生分解性ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニル、ポリオレフィン、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム、これらのうちの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
この方法では、可撓性を有する基板(基材)は変形するので、隣接するマイクロ特徴部間のピッチが変化する。可撓性を有する基板(基材)を変形する方法としては、特に限定されるわけではないが、基板(基材)を伸長すること、湾曲した形状を採り入れるように基板(基材)を強制すること、および基板(基材)を屈曲することを含む。表面の濡れ性は、可撓性を有する基板(基材)を変形するにつれて上昇する場合と、低下する場合と、変化しない場合とがある。
以下では、本発明の気管用チューブの各実施形態を、図面を適宜参照しながら、詳細に説明する。
〈気管用チューブの第1の実施形態〉
まず、本発明の気管用チューブの第1の実施形態について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図3に示す気管切開チューブ101は、患者の呼吸管理を行うための器具であり、気管を切開して形成された切開孔から気管7に直接挿入された状態で使用される。気管切開チューブ101は、気管切開チューブ101の主要部を構成するチューブ体102と、チューブ体102を患者に対して固定するための固定部127とから構成される。
図4(A)および図4(B)に示すように、チューブ体102の呼吸路102aを形成する内面(内周面)上にはマイクロ構造領域150が設けられており、図4(C)および図4(E)に示すように、マイクロ構造領域150は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面151を有する。図4(C)は、チューブ体102の呼吸路102aを形成する内面(内周面)に、直接、マイクロ特徴部が配置されてマイクロ構造表面151が構成されている態様を表す。図4(E)は、チューブ体102の呼吸路102aを形成する内面(内周面)に、基材152および接着層153を介して、マイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面151が構成されている態様を表す。なお、図4(E)では、接着層153を記載しているが、接着層153を含まず、基材152がチューブ体102の呼吸路102aを形成する内面(内周面)に、直接、付着させた態様であってもよい。
マイクロ構造領域150がマイクロ構造表面151を有するようにする方法は、特に限定されず、例えば、図4(C)に示すように、チューブ体102の呼吸路102aを形成する内面に、複数のマイクロ特徴部を形成してマイクロ構造表面151を形成する方法、図4(E)に示すように、基材152上に複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面151を有するフィルム160を、当該マイクロ構造表面が呼吸路102aに露出するように当該呼吸路102aを形成する内面に付着させる方法などが挙げられる。図4(E)にはフィルム160をチューブ体102に付着させるために接着層153を介在させているが、溶着など、接着層153を介在させずフィルム160をチューブ体102に付着させる方法があるので、本発明において接着層153は必須というわけではない。図示しないが、少なくとも一つの面の少なくとも一部に、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する基材を湾曲させて、当該マイクロ構造表面の少なくとも一部が呼吸路に露出するように湾曲させてチューブ体を形成する方法などが挙げられる。
呼吸路を形成する内面に複数のマイクロ特徴部を形成する方法、またはチューブ体を形成するための基材の表面にマイクロ構造部を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、押出成型、射出成型、切削加工、レーザー加工、芯棒を用いた表面加工、粒子コーティング、ナノインプリント、溶剤処理、プラズマスパッタ、ナノワイヤ配列の堆積およびこれらの組合せを用いて行う方法などが挙げられる。
呼吸路を形成する内面にマイクロ構造表面を有するフィルムを付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、接着剤、熱接着剤、光硬化剤、紫外線硬化剤、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着、レーザー溶着およびこれらの組合せを用いて当該内面に付着させる方法などが挙げられる。
以下、気管切開チューブ101を構成する各部材について詳述する。
チューブ体102は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体102の内部には、チューブ体102の長さ方向に沿って呼気が通る空間である呼吸路102aが形成されている。
チューブ体102は、先端部122と、先端部122と反対側に配置される基端部121と、基端部121と先端部122との間に位置する湾曲部123を有する。湾曲部123は先端部122の中心軸と基端部121の中心軸が角度θで交差するように湾曲しており、この第1の実施形態では、チューブ体102は略L字状に形成される。つまり、角度θは約90°である。
なお、チューブ体102は、患者の体位の変化等に合わせて上記θが90°から±約45°の範囲内で変化しうる程度の可撓性を有する。上記θがこの範囲内で変化しても、マイクロ構造領域150は、チューブ体102から剥離したり、脱落したりはしない。
チューブ体102の材質としては、例えば、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
図4(A)に示されるように、仰向けに寝ている(仰臥位)の患者に対して、気管7の管壁と気管7の上部の皮膚5を切開することで形成された気管切開孔からチューブ体102の先端部122が気管7内に挿入される。このとき、チューブ体102の先端部122は、気管7の管壁を構成する粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)から所定の間隔を隔てるように、肺側に向けて気管7内に配置される。
また、チューブ体102の基端部121は、気管切開孔から体外に露出しており、この基端部121に、人工呼吸器(図示せず)が取り付けられている。人工呼吸器が作動することで、呼吸路102a内に呼気が通る。これにより、患者の呼吸を持続させ、呼吸管理を行っている。その結果、呼吸に必要な酸素の通り道である気道が閉塞することを防止することができ、患者の呼吸管理を行うことができる。
固定部127は、チューブ体102の基端部121に取り付けられている。固定部127は、チューブ体102を患者に装着した際に、皮膚5に当接することで、先端部122を気管7内の適切な位置に固定するものであり、固定板128と、接着部129とを有している。
固定板128は、平板状の部材で、中央部に、固定板128を貫通する収納孔131が形成されている。そして、固定板128の表面には、接着部129が取り付けられ、固定板128の裏面は、患者の皮膚5に当接される。
接着部129は、チューブ体102を固定部127に接着するもので、中央に略円形の貫通孔130が形成されたリング形状を有している。接着部129の貫通孔130は、固定板128の収納孔131と連通しており、貫通孔130の大きさは、チューブ体102の外径に合わせて設定される。
このような固定板128の収納孔131および接着部129の貫通孔130に、チューブ体102が貫通され、例えば、接着剤により固定される。
本実施形態では、チューブ体102を接着部129に固定する方法として、接着剤による固定を例に挙げたが、例えば、溶着による固定など各種の固定方法を採用することができる。
気管切開チューブ101内の痰を、吸引カテーテルを用いて吸引する場合について、図4(D)を参照して説明する。
図3で示すように、気管切開チューブ101を装着される患者は通常仰向きで寝ているため、痰などの異物は重力方向である背側に溜まりやすい。つまり、図4(D)中の下側に痰が溜まりやすい。
そこで、チューブ体102の基端部121側から吸引カテーテル601をチューブ体102に挿入し、吸引カテーテル601の先端をチューブ体102の内面上に沿わせながら先端部122付近まで進めて、痰Zを吸引する。
《変形例》
上述した図3および図4の気管切開チューブ101の形態では、マイクロ構造領域150はチューブ体102の内周面の全周にわたって存在しているが、この形態には限定されず、例えば、図5(A)〜(C)に示すように、チューブ体102の内周面上の一部のみに存在してもよい。
図5(A)〜(C)は第1の実施形態の変形例にかかる気管切開チューブ201を示し、上述した図3および図4に示す第1の実施形態の気管切開チューブ101との相違点は、マイクロ構造領域150の存在する位置が挙げられる。なお、図5(B)および(C)は、図5(A)に示すB−B線に沿って切断した断面図である。
気管切開チューブ201では、チューブ体102の中心軸に直交する断面図において、基端部121と先端部122と湾曲部123におけるそれぞれのチューブ体102の中心Jを通る平面Pがチューブ体102の湾曲部123の湾曲の外側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点Kと、平面Pがチューブ体102の湾曲部123の湾曲の内側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点Lと、交点Kにおいて平面Pに直交する基準線Sと、チューブ体102の内周面に接する接線Tと、接線Tと内周面との接点Mとを想定した場合に、接線Tが基準線Sとなす角φが30°以上となるチューブ体102の内周面上の位置にマイクロ構造領域150が存在している。ただし、角φは、接点Mが交点Lまたは交点Kと一致するとき、すなわち接線Tが基準線Sに一致するときまたは平行であるとき、φ=0°とし、接点Mが交点Kおよび交点Lのいずれとも一致しないとき、すなわち基準線Sと接線Tとが一致せず、平行でもないときは、基準線Sと接線Tとがなす鋭角または直角を意図する。
上記のような位置にマイクロ構造領域150を有する気管切開チューブ201を、図3で示すように仰向けに寝ている患者に挿入した場合、マイクロ構造領域150上に付着した痰は、その作用(撥痰性)によってチューブ体102内の患者の背中側(図5(B)および(C)中の下側)に移動して、溜まりやすい。一般的に、図4(D)で述べた吸引カテーテルの先端部は、チューブ体102の内周面のうち図5(B)および(C)での下側の位置には到達しやすいが、図5(B)および(C)中の左右側の位置(マイクロ構造領域150が配置される位置)には到達しにくい。そのため、上記のような位置にマイクロ構造領域150が配置されていれば、その上に痰が付着しても吸引カテーテルで吸引できる位置まで痰が移動しやすく、結果としてチューブ体内部の痰の堆積が抑制される。
〈気管用チューブの第2の実施形態〉
本発明の気管用チューブの第2の実施形態について、図6を参照して説明する。図6に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図6に示す第2の実施形態の気管切開チューブ301と、上述した図4に示す第1の実施形態の気管切開チューブ101との相違点は、主に、気管切開チューブ301がカフ106およびカフ調整部108を有する点が挙げられる。そこで、以下では、主にカフ106およびカフ調整部108など気管切開チューブ101と異なる点について説明し、気管切開チューブ101と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
チューブ体102の先端部122には、カフ106が取り付けられている。カフ106は、チューブ体102における先端部122近傍の外周面を覆うように固定されている。カフ106は、カフ調整部108と接続している。カフ調整部108は、パイロットバルーン126と、カフ106およびパイロットバルーン126を接続する空気注入用チューブ125とにより構成される。
パイロットバルーン126は、略扁平の六角形状の断面を有するように形成される。本例では、パイロットバルーン126の断面形状を六角形として説明するが、これに限定されない。例えば、パイロットバルーン126の断面形状を略四角形や円形などに形成することができ、その他様々な形状に形成してもよい。
パイロットバルーン126の一端部には空気注入孔126aが設けられ、パイロットバルーン126の他端部には、排出口126bが設けられている。空気注入孔126aには、逆止弁が取り付けられている。そして、空気注入孔126aから空気がパイロットバルーン126および空気注入用チューブ125を介してカフ106に送り込まれる。送り込まれた空気は、逆止弁により、空気注入孔126aから漏れ出なくなる。また、パイロットバルーン126を指で押圧することで、カフ106にかかる圧を触感的に感知することができる。
空気注入用チューブ125は、その一端がパイロットバルーン126に接続され、その他端がカフ106に接続されている。この空気注入用チューブ125はその一旦に形成されたカフ側開口部111を介して、カフ106の内部空間と連通している。
なお、固定板128の中央部には、収納孔231が形成されている。また、接着部129は、略円形の貫通孔130と、外周から貫通孔130に向かって形成された溝部を有している。この貫通孔130は、収納孔231と連通している。収納孔231には、チューブ体102と、空気注入用チューブ125とが貫通する。つまり、空気注入用チューブ125は、接着部129の溝部と固定板128の収納孔131を貫通する。そして、図6(B)に示すように、空気注入用チューブ125は、チューブ体102の湾曲部123における湾曲の内側に沿って配置され、チューブ体102の外周面102cに固定される。
空気注入孔126aからパイロットバルーン126および空気注入用チューブ125を介して送り込まれた空気がカフ106に入ることで、カフ106は膨らみ、気管7の粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)に密着する。これにより、チューブ体102と気管7との間に形成される隙間を塞ぐことができる。
カフ106がチューブ体102と気管7との間に形成される隙間を塞ぐことで、人工呼吸器から送られた酸素が喉頭側に漏れることを防止するとともに、喉頭側から流れてきた唾液等が肺側に入りこむことを防止することができる。
《変形例》
上記図6(B)においては、空気注入用チューブ125がチューブ体102の外周面102cに固定される形態について述べたが、この形態には限定されず、例えば、図6(C)に示すように、空気注入用チューブ125の代わりに、チューブ体302のチューブ壁内に空気注入用ルーメン125aを設けて、パイロットバルーン126からカフ106に空気を送り込んでもよい。
〈気管用チューブの第3の実施形態〉
本発明の気管用チューブの第3の実施形態について、図7を参照して、説明する。図7に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図7に示す第3の実施形態の気管切開チューブ401と、上述した図6に示す第2の実施形態の気管切開チューブ301との相違点は、主に、気管切開チューブ401がカフ側吸引部138を有する点が挙げられる。そこで、以下では、主にカフ側吸引部138など気管切開チューブ301と異なる点について説明し、気管切開チューブ301と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
チューブ体102を挟んで、カフ調整部108と反対側には、カフ側吸引部138が配置されている。カフ側吸引部138は、カフ側吸引コネクタ139と、カフ側吸引チューブ140とから構成される。
なお、固定板128の中央部には、収納孔331が形成されている。カフ側吸引チューブ140は、空気注入用チューブ125と同様に、接着部129の溝部および固定板128の収納孔331を貫通する。そして、図7(B)に示すように、カフ側吸引チューブ140は、チューブ体102の湾曲部123における湾曲の外側に沿って配置され、チューブ体102の外周面102cに固定される。
カフ側吸引チューブ140の一端は、カフ106の近傍にまで延びて開口しており、この開口によりカフ側吸引口140aが形成されている。カフ側吸引チューブ140の他端部には、カフ側吸引コネクタ139が取り付けられている。カフ側吸引コネクタ139には、吸引器(図示せず)が装着される。
喉頭側から流れてきた唾液等は、気管7の粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)を伝い、肺側に流れる。この唾液等は、膨張状態にあるカフ106によって堰き止められ、粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)とカフ106により形成される空間に溜まる。そして、カフ106によって堰き止められた唾液等は、吸引器が作動することで、カフ側吸引部138により、カフ側吸引口140aから吸引される。
なお、カフ側吸引チューブ140の内周面には、上述したマイクロ構造領域150が配置されていてもよい。撥痰性層154を含むマイクロ構造領域150をカフ側吸引チューブ140の内周面上に配置することにより、カフ側吸引チューブ140の内周面に痰が付着するのを防止し、カフ側吸引チューブ140の閉塞の発生を抑制できる。
また、カフ106よりも肺側に付着した痰などの異物を吸引するために、さらに吸引ラインおよび関連する構成を付加してもよい。
《変形例》
上記図7(B)においては、空気注入用チューブ125およびカフ側吸引チューブ140がチューブ体102の外周面102cに固定される形態について述べたが、この形態には限定されず、例えば、図7(C)に示すように、空気注入用チューブ125の代わりにチューブ体402のチューブ壁内に空気注入用ルーメン125bを設けると共に、カフ側吸引チューブ140の代わりにチューブ体402のチューブ壁内にカフ側吸引用ルーメン140bを設けてもよい。
〈気管用チューブの第4の実施形態〉
本発明の第4の実施形態について、図8を参照して説明する。図8に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブであるが、複管式気管切開チューブまたは内筒付き気管切開チューブなどと呼ばれ、気管切開術後の気道確保目的に使用する気管切開チューブ本体と、チューブ内の分泌物除去および内腔の開存性を高めるために使用するインナーカニューラを組み合わせたものであり、インナーカニューラ(以下「内筒」という場合がある。)を気管切開チューブ本体(以下「外筒」という場合がある。)に挿入して使用する。
以下、複管式気管切開チューブ701を構成する各部材について詳述する。
内筒701aを構成するチューブ体102は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体102の内部には、チューブ体102の長さ方向に沿って呼気が通る空間である呼吸路102aが形成されている。
チューブ体102は、先端部122と、先端部122と反対側に配置される基端部121とを有し、所望により、基端部121と先端部122との間に位置する湾曲部123を有していてもよい。
チューブ体102は可撓性を有する材料で構成され、チューブ体702に沿って変形することが好ましい。
チューブ体102が湾曲部123を有する場合は、先端部122の中心軸と基端部121の中心軸が角度θで交差するように湾曲し、チューブ体102は略L字状に形成されてもよい。図8(A)に示すチューブ体102においては、角度θは約90°である。
チューブ体102の材質としては、例えば、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
外筒701bを構成するチューブ体702は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体702の内部には、チューブ体702の長さ方向に沿ってインナーカニューラ(内筒)を挿入するための空間である内筒挿入用ルーメン702aが形成されている。
チューブ体702は、先端部722と、先端部722と反対側に配置される基端部721と、基端部721と先端部722との間に位置する湾曲部723を有する。湾曲部723は先端部722の中心軸と基端部721の中心軸が角度θで交差するように湾曲しており、この第4の実施形態では、チューブ体702は略L字状に形成される。つまり、角度θは約90°である。
なお、チューブ体702は、患者の体位の変化等に合わせて上記θが約90°から±約45°までの範囲内で変化しうる程度の可撓性を有する。
チューブ体702の材質としては、例えば、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
なお、チューブ体702の内管挿入用ルーメンを形成する内面にはマイクロ構造領域150と同様の構成を備えるマイクロ構造領域が配置されていてもよい。
また、チューブ体702の基端部721は、気管切開孔から体外に露出しており、この基端部721に、人工呼吸器(図示せず)が取り付けられている。人工呼吸器が作動することで、内筒の呼吸路102a内に呼気が通る。これにより、患者の呼吸を持続させ、呼吸管理を行っている。その結果、呼吸に必要な酸素の通り道である気道が閉塞することを防止することができ、患者の呼吸管理を行うことができる。
固定部727は、チューブ体702の基端部721に取り付けられている。固定部727は、チューブ体702を患者に装着した際に、皮膚5に当接することで、先端部722を気管7内の適切な位置に固定するものであり、固定板728と、接着部729とを有している。
固定板728は、平板状の部材で、中央部に、固定板728を貫通する収納孔731が形成されている。そして、固定板728の表面には、接着部729が取り付けられ、固定板728の裏面は、患者の皮膚5に当接される。
接着部729は、チューブ体702を固定部727に接着するもので、中央に略円形の貫通孔730が形成されたリング形状を有している。接着部729の貫通孔730は、固定板728の収納孔731と連通しており、貫通孔730の大きさは、チューブ体702の外径に合わせて設定される。
このような固定板728の収納孔731および接着部729の貫通孔730に、チューブ体702が貫通され、例えば、接着剤により固定される。
本実施形態では、チューブ体702を接着部729に固定する方法として、接着剤による固定を例に挙げたが、例えば、溶着による固定など各種の固定方法を採用することができる。
内筒を構成するチューブ体102の呼吸路102aを構成する内面に設置されたマイクロ構造領域150については、本発明の第1の実施形態において説明したとおりである。
以上では、本発明の複管式気管切開チューブの一形態について説明したが、本発明の第2の実施態様、第3の実施態様と同様に、カフおよびカフ調整部、吸引ラインならびに関連する構成を付加する等の変形が可能である。
〈気管用チューブの第5の実施形態〉
本発明の気管用チューブの第5の実施形態について、図9および図10を参照して、説明する。図9および図10に示す気管用チューブは、いわゆる気管内チューブである。
図9および図10に示す気管内チューブ501は、患者の呼吸管理を行うための器具であり、患者の口から気管7に挿入される。気管内チューブ501は、チューブ体202と、カフ206と、空気注入用チューブ225とから構成される。
図10(B)に示すように、チューブ体202の内周面には、全周にわたって上述したマイクロ構造領域150が配置されている。マイクロ構造領域150の形態は上述の通りであり、説明を省略する。
気管内チューブ501は、チューブ体202と、このチューブ体202の長手方向に沿って設けられ、チューブ体202の少なくとも先端部222付近まで延長された空気注入用ルーメン225bと、チューブ体202の先端部付近に、チューブ体202の外周面を囲むように設けられ、空気注入用ルーメン225bの一端と連通する膨張収縮可能なカフ206と、空気注入用ルーメン225bの他端と連通し、カフ206が膨張しているかどうかを確認するパイロットバルーン226とを有している。
チューブ体202は、両端が開口した筒状に形成される。チューブ体202は、先端部222と、先端部222と反対側に設けられる基端部221と、基端部221と先端部222との間に位置する湾曲部223を有する。
チューブ体202は、可撓性を有する材料で構成されており、麻酔ガス、酸素ガス等を導入するための先端部222から基端部221まで貫通した呼吸路202aを有している。チューブ体202の先端部222は、体内への挿入を容易なものとするために、滑らかなベベル状に形成されている。また、基端部221には、呼吸回路に接続するためのコネクタ212が取り付けられている。
チューブ体202を形成するチューブ壁には、図10(B)に示すように、呼吸路202aより細い空気注入用ルーメン225bが、チューブ体202の長手方向に沿って設けられている。この空気注入用ルーメン225bは、後述するカフ206内に空気を送り込むためのインフレーション用のルーメンである。
また、この空気注入用ルーメン225bは、カフ206内のチューブ体202のチューブ壁の外面に形成されたカフ側開口部225aを介して、カフ206の内部空間と連通している。
また、空気注入用ルーメン225bは、図10(A)に示すように、基端部221付近の位置において、チューブ体202のチューブ壁外面に形成された切欠部207を介して空気注入用チューブ225と連通している。
空気注入用チューブ225と空気注入用ルーメン225bとの接続は、例えば、予め加熱したマンドレルを空気注入用ルーメン225b内に挿入し、このマンドレルの抜去と同時に空気注入用チューブ225を空気注入用ルーメン225b内に挿入し、溶剤または接着剤を用いて固着する方法などにより行なわれる。
チューブ体202の先端部付近には、その外周面を環状に囲むようにして、膨張収縮可能なカフ206が設けられている。
このカフ206は、予めチューブ体202の外径よりも大きな内径を有する筒形状に成形された膜を空気注入用ルーメン225bのカフ側開口部225aを覆うようにしてチューブ体202の外周にかぶせ、その両端をチューブ体202の外周面に対し、接着剤、溶剤により接着するか、または熱、高周波等により融着することにより、気密的に固着して取り付けられる。
また、空気注入用チューブ225の後端部には、カフ206の膨張・収縮の程度を認識するための膨張収縮可能なパイロットバルーン226が、空気注入用チューブ225と連通するように設置されている。
さらに、パイロットバルーン226の後端側には、パイロットバルーン226内への気体の流入は許容するが、膨張したパイロットバルーン226からの気体の流出は阻止する機能を有する逆止弁226aが設置されている。この逆止弁226aにシリンジ等を接続して空気のような気体を圧入すると、その気体は、パイロットバルーン226、空気注入用チューブ225内、空気注入用ルーメン225bおよびカフ側開口部225aを介してカフ206内に送り込まれ、カフ206が膨張する。
以上では、本発明の気管内チューブの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、吸引ラインおよび関連する構成を付加する等の変形が可能である。
〈気管用チューブの第6の実施形態〉
本発明の気管用チューブの第6の実施形態について、図11を参照して、説明する。図11に示す気管用チューブは、小気管切開チューブ、経皮的気管穿刺チューブ、輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ、輪状甲状膜切開用気管カニューレなどとも呼ばれるものである。
図11に示す気管カニューレ801は、緊急に呼吸管理を必要とする患者の呼吸管理を行うための器具であり、患者の輪状甲状膜に穿刺して気管7に挿入される。気管カニューレ801は、チューブ体102と、固定部127とから構成される。気管カニューレ801のチューブ体102は、挿入した内針とセットにして輪状甲状膜を穿刺することから、外針ともいわれる。
気管カニューレ801は、内針(図示せず)が挿入されるチューブ体102と、チューブ体の基端部に備えられ、チューブ体102を皮膚に固定する固定部127とを備えている。チューブ体102は合成樹脂製であり、先端部に内針の軸方向に対して15°以下の角度をなすように湾曲している湾曲部を備えている。
気管カニューレ801のチューブ体102の呼吸路を形成する内面(内周面)には、全周にわたって上述したマイクロ構造領域150(図示せず)が配置されている。マイクロ構造領域150(図示せず)の形態は上述のとおりであり、説明を省略する。
気管カニューレ801を使用するときには、チューブ体102に金属製の内針(図示せず)を挿入した状態で、輪状軟骨と甲状軟骨との間の輪状甲状膜(輪状甲状靭帯部)に穿刺する。次いで、内針(図示せず)を抜去して、チューブ体102のみを気管内に留置する。そして、固定部127に設けられた紐通し孔(図示せず)に挿通した綿テープ等(図示せず)を頸部に固縛することにより、気管カニューレ801を固定する。
以上では、本発明の小気管切開チューブの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、種々の変形が可能である。
〈気管用チューブの第7の実施形態〉
本発明の気管用チューブの第7の実施形態について、図12を参照して説明する。図12に示す気管用チューブは、輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ、輪状甲状膜切開用気管カニューレなどとも呼ばれるものである。
図12に示す気管カニューレ901は、気管もしくは気管支の内部に貯留した分泌液の吸引除去を目的として、首部前面から気管の内部へ通じる吸引通路を確保するために使用する気管分泌物吸引、または緊急時の救急蘇生を目的として、首部前面から気管の内部へ通じる呼吸気道を確保するために使用する緊急気道確保のために使用する器具であり、患者の輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を通じて気管7に挿入される。気管カニューレ901は、チューブ体102と固定部127(特に、フランジ部ともいう。)とから構成される。
気管カニューレ901は、イントロデューサ(図示せず)が挿入されるチューブ体102と、チューブ体の基部に備えられ、チューブ体102を皮膚に固定する固定部127(フランジ)とを備えている。チューブ体102は合成樹脂製であり、基端部から先端部にかけて湾曲する湾曲部を備えている。
輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ901のチューブ体102の呼吸路を形成する内面(内周面)には、全周にわたって上述したマイクロ構造領域150(図示せず)が配置されている。マイクロ構造領域150(図示せず)の形態は上述のとおりであり、説明を省略する。
気管カニューレ901は、例えば、セルジンガー法を用いて気管7に導入したガイドワイヤ(図示せず))を介してダイレータ(図示せず)による拡張操作で輪状甲状膜の穿刺孔を拡張し、輪状甲状膜の拡張した穿刺孔から、イントロデューサ(図示せず)を挿入したチューブ体102を気管7に挿入し、イントロデューサを抜去して気管カニューレ901を気管内に留置することができるが、輪状甲状膜を切開して、切開孔からイントロデューサ―を挿入したチューブ体102を気管7に挿入し、イントロデューサを抜去して気管カニューレ901を気管内に留置してもよい。気管カニューレ901の留置後は、気管カニューレ901を介して、サクションカテーテル(図示せず)を使用した通常の気管内の吸引や酸素または空気の送気を行うことができる。
以上では、本発明の輪状甲状膜穿刺用気管カニューレの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、種々の変形が可能である。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに理解することができる。
〈可撓性を有するマイクロ構造およびナノ構造の撥痰性・超疎水性表面〉
この実施例では、マイクロ加工およびナノ加工によって撥痰性・超疎水性が与えられた、可撓性を有する表面を説明する。用語、撥痰性は表面が痰をはじく性質を指し、超疎水性は、表面が極端に水をはじく性質を指す。一部の研究は湾曲していないマイクロ構造の撥痰性・超疎水性表面を示し、他の研究は読者に剛性のある湾曲したマイクロ構造の撥痰性・超疎水性表面の作製法を教示してきたが、湾曲を伴う可撓性とマイクロ構造の撥痰性・超疎水性表面とを組み合わせた研究はない。
表面の粗さにより、その表面が液体と相互作用する方式が変わる。
図13に、マイクロスケールおよびナノスケールの粗さを用いて植物表面の水滴の形状および挙動を変更する、ハス植物の表面の顕微鏡写真の画像を示す(Barthlott, W. and Neinhuism, C.、「The purity of sacred lotus or escape from contamination in biological surfaces」、Planta、1997年4月、第202巻、第1号、p.1〜8、doi:10.1007/s004250050096W)。ハスの葉の表面はマイクロスケールおよびナノスケールの粗さにより、表面上の水滴の形状および挙動を変更する。水とこれらの表面との間の摩擦が大幅に低下し、水滴が簡単に表面から転がり落ちる。このため、ハス植物の表面は、水滴が表面をあまり濡らさず表面上を簡単に転がり落ちる超疎水性を呈する。
図14は、標準的なマイクロ加工技法により、マイクロスケールおよびナノスケール表面を粗面仕上げすることができることを示す。表面の粗さにより、その表面が液体と相互作用する方式が変化する。マイクロ加工ツールは、マイクロスケールおよびナノスケールの表面を粗面仕上げして、ハス植物と同様にして疎水性を高めることができ、さらには撥痰性を高めることもできる。疎水性表面は、元の接触角θが90°を超える表面である。表面が疎水性の場合は、粗面仕上げされた表面の新規の接触角θが90°を超える。図14に示すように、粗面仕上げ前の表面31と液滴32との接触角はθであるが(図14(A))、マイクロ加工ツールにより粗面仕上げした、粗面仕上げ後の表面33と液滴34との接触角はθ(>θ)に変化する(図14(B))。
図15に、マイクロ/ナノ構造の表面に可能な異なる2つの湿潤状態、すなわちウェンゼル状態(図15(A))およびカシー−バクスター状態(図15(B))を示す。ウェンゼル状態(図15(A))およびカシー−バクスター状態(図15(B))が両方とも、マイクロ/ナノ構造の表面に関して可能である。ウェンゼル状態(図15(A))では、表面41と液体42とは、谷およびピークの両方で密接している。カシー−バクスター状態(図15(B))では、表面43と液体44とは、ピークでしか接触せず、液体44と表面43の谷との間にエアポケット45が残る。液滴は、ウェンゼル表面よりも小さい力しか必要としないカシー−バクスター表面上を滑る。
元の接触角θおよび表面幾何形状が分かっている場合は、マイクロ/ナノ構造の表面に関してθおよび湿潤状態を予測することができる。
下記ウェンゼル式を利用して、マイクロ構造またはナノ構造の表面上の液滴の新規の接触角θを予測することができる。
cosθ=r・cosθ
ここで、rは実表面積の投影表面積に対する比率である(r=実表面積/東映表面積)。
また、下記カシー−バクスター式を利用してθを予測することもできる。
cosθ=φ(cosθ+1)−1
ここで、φは液滴がカシー−バクスター状態にあるときに水が接触する面積の分数、すなわち、接触面積中の点接触面積の割合である(φ<1)。
液体がウェンゼル状態にあるか、またはカシー−バクスター状態にあるかを判定するには、θをウェンゼル法で計算し、次いで、カシー−バクスター法で計算することができる。異なる2つの方法により、異なる2つの予測接触角が得られる。計算した接触角のうちの最小の接触角が最も有望である。その接触角がウェンゼル式を用いて計算されている場合は、液滴はウェンゼル状態にある可能性が高い。その接触角がカシー−バクスター式を用いて計算されている場合は、液滴はカシー−バクスター状態にある可能性が高い。
図16は、可撓性を有するマイクロ構造表面を凸形に湾曲することができることを示す。図16(A)に、凸形に湾曲したマイクロ構造表面51を示し、図16(B)に、凸形に湾曲したマイクロ構造表面51に液滴52を加えたとき、超疎水性を維持すること、さらには撥痰性を維持することを示す。マイクロ構造表面の超疎水性は、凸形に湾曲したときに湿潤状態およびθを変更することができる。その理由は、マイクロ構造の上部が互いに遠くに移動すると、マイクロ特徴部の有効ピッチが大きくなり、有効φが小さくなるからである。有効φが小さくなると、θを大きくすることができ、さらに、マイクロ構造表面が湾曲していないときよりもウェンゼル状態である可能性が高くなる。
図17は、可撓性を有するマイクロ構造材料を凹形に湾曲することができることを示す。図17(A)に、凹形に湾曲したマイクロ構造表面53を示し、図17(B)に、凹形に湾曲したマイクロ構造表面53に液滴54を加えたとき、超疎水性を維持すること、さらには撥痰性を維持することを示す。マイクロ構造表面の超疎水性は、凹形に湾曲したときに湿潤状態およびθを変更することができる。その理由は、マイクロ構造の上部が互いに近くに移動すると、マイクロ特徴部の有効ピッチが小さくなり、有効φが大きくなるからである。有効φが大きくなると、θを小さくすることができ、さらに、マイクロ構造表面が湾曲していないときよりもカシー−バクスター状態である可能性が高くなる。
〈可撓性を有するシリコーン製マイクロ構造表面の撥痰性・超疎水性に湾曲が及ぼす影響〉
撥痰性・超疎水性は、腐食を抑制し、流体の流れを制御し、表面の抵抗を低減することができる。表面のマイクロ構造は、液滴と表面との相互作用を調節することによって表面の撥痰性・疎水性を制御することができる。マイクロ構造の撥痰性・疎水性表面について公開された調査は、ほぼ排他的に平坦な表面に限られているが、多くの撥痰性・超疎水性の用途では、湾曲面上にマイクロ構造を作製する能力が必要とされている。ポリマーのマイクロ加工は、マイクロ構造の撥痰性・超疎水性表面を作るための高価でない手法を提供し、ポリマーのコンプライアンスにより、湾曲したマイクロ構造の撥痰性・疎水性表面が可能になる。この実施例は、可撓性を有するマイクロ構造ポリマーの湾曲が撥痰性・疎水性に影響を及ぼす状態を説明する。
図18に、ウェンゼル状態、またはカシー−バクスター状態において、接触角θの液滴が撥痰性・疎水性表面と相互作用できる状態を示す。図18(A)は、固体表面61に着座し、気体63に囲繞された液滴62が固有の接触角θを形成することを示す。図18(B)は、固体表面64が粗面であり、気体63に囲繞された液滴65が固体表面64の隆起と臨界接触している場合は、液滴65はウェンゼル状態にあることを示す。この場合の接触角はθ である。図18(C)は、固体表面66が粗面であり、気体63に囲繞された液滴67が固体表面66の隆起の上部に着座している場合は、液滴67と固体表面66との間にはエアポケット68が存在し、液滴67はカシー−バクスター状態にあることを示す。この場合の接触角はθCB である。液滴が大幅に移動できるのでカシー−バクスター状態を実現することが望ましい。マイクロ構造表面上のマイクロ特徴部のサイズ、形状、およびピッチは、いずれの状態でも表面上の液滴の状態に影響を及ぼす。
ポリマーの湾曲により、マイクロ特徴部のピッチを変更して、撥痰性・疎水性に影響を与えることができる。
図19に、マイクロ構造表面を湾曲することにより、マイクロ構造表面の幾何形状が変化し、マイクロ構造表面と液滴との相互作用が変化する。図19(A)に示すように、正の曲率で湾曲したマイクロ構造表面71では、湾曲する前に比べてマイクロ特徴部72のピッチ73が広がり、液滴はより少ないマイクロ特徴部と相互作用する。また、図19(B)に示すように、負の曲率で湾曲したマイクロ構造表面74では、湾曲する前に比べてマイクロ特徴部75のピッチ76が狭くなり、液滴は、より多くのマイクロ特徴部75と相互作用する。θCB はφの関数であり、φはピッチの関数であり、ピッチは曲率の関数である。したがって、θCB は曲率の関数である。他の疎水性の特性、例えば、必要な滑り力も、曲率の関数である。したがって、曲率は、疎水性の特性に、例えば液滴の滑りに影響を及ぼす。
図20は、曲率の関数としてのPDMS(ポリジメチルシロキサン)マイクロ柱のピッチの変化を示す図である。図20(A)は、PDMSマイクロ柱のピッチが24.4μmの平坦なマイクロ構造表面81を示す。図20(B)は、正の曲率(+0.11/mm)で湾曲した外面および負の曲率(−0.22/mm)で湾曲した内面を有する湾曲部材84ならびに正の曲率で湾曲したマイクロ構造表面82を示す。正の曲率で湾曲したマイクロ構造表面82では、平坦なマイクロ構造表面81に比べて、PDMSマイクロ柱のピッチが24.4μmから26.2μm(予測=25.5μm)に広くなった。図20(C)は、正の曲率(+0.11/mm)で湾曲した外面および負の曲率(−0.22/mm)で湾曲した内面を有する湾曲部材84ならびに負の曲率で湾曲したマイクロ構造表面83を示す。負の曲率で湾曲したマイクロ構造表面83では、平坦なマイクロ構造表面81に比べて、PDMSマイクロ柱のピッチが24.4μmから20.7μm(予測=22.1μm)に狭くなった。
カシー−バクスター状態が存在するためには、下記不等式を満足しなければならない。
cosθ<(φ−1)/(r−φ)
ここで、φは柱の頂点の面積の割合であり、rは投影表面積に対する真の表面積の比である。
このとき、ウェンゼル/カシー−バクスター転移の臨界ピッチPcは、
Pc=[A−{h・b・cosθ/(1+cosθ)}]/P
である。ここで、Aはマイクロ特徴部の頂点の面積であり、hはマイクロ特徴部の高さであり、bはマイクロ特徴部の外周であり、Pは平坦な表面上のマイクロ特徴部のピッチである。
厚みtのフィルムが曲率半径Rでフィルムの中立軸に向かって湾曲するとき、湾曲方向における新規のピッチは
α=P(R+t/2+h)・R-1
である。ここで、Pは平坦な表面上のマイクロ特徴部のピッチであり、hはマイクロ特徴部の高さであり、tはフィルムの厚みであり、Rは曲率半径である。
図21に、マイクロ特徴部の高さ(h,μm)のいくつかの値に関して、マイクロ特徴部の直径=25μm、フィルムの厚み=0.7mm、表面の接触角θ=112°のマイクロ構造表面を有するフィルムに対する臨界表面曲率(1/R,1/mm)が平坦な表面上のマイクロ特徴部のピッチ(ピッチOld,mm)と共に変化する状態を示す。
マイクロ構造表面の撥痰性・疎水性に湾曲が影響する状態を実験的に試験するために、直径25μm、高さ70μmの円柱状のマイクロ特徴部がピッチ50μmで配列されたマイクロ構造表面を有する、厚み0.7mmのポリジメチルシロキサン(PDMS)シートを用意した。平坦なPDMSマイクロ構造表面上での、10μLの純水および40/60の質量比で混合したグリセリン/水の混合物の接触角θは、それぞれ、102°および112°であった。平坦なPDMSマイクロ構造表面上での、10μLの水およびグリセリン/水のθCB は、それぞれ、147°および152°であった。
図22に、PDMSは可撓性が高く、撥痰性・超疎水性を維持しながら正または負の曲率に湾曲可能であることを示す。接触角が曲率の関数として変化することも示す。
図23に、マイクロ構造表面を有するPDMSフィルムの上に、体積10μLの水滴または40/60の質量比で混合したグリセリン/水の混合物の液滴を配置し、PDMSフィルムを傾斜させ、水滴または液滴が滑りを引き起こす、滑り角(Slide Angle,θSLIDE)を測定した。湾曲の曲率を様々に変化させ、そのそれぞれについて、θSLIDEを測定し、湾曲の曲率と滑り角度との関係をプロットした。図23(A)は、湾曲の曲率(Curvuture,1/mm)と水の滑り角(Water Slide Angle,度)との関係を、図23(B)は湾曲の曲率(Curvuture,1/mm)と40/60グリセリン/水の滑り角(40/60 Glycerol/Water Slide Angle,度)との関係を、それぞれ示す。θSLIDEは、曲率がさらに正になるにつれて、ほぼ直線的に小さくなる。図21から、液滴は、曲率が実験の最大曲率0.11/mmを十分に超える+1.25/mmに達するまでカシー−バクスター状態のままのはずである。
なお、マイクロ構造表面を有するPDMSフィルムとしては、高さh(μm)、直径r(μm)の円柱状のマイクロ特徴部が、ピッチp(μm)で配置されたマイクロ構造表面を有する、厚みt(mm)のPDMSフィルムを用いた。
h=10μm,r=25μm,p=50μm,t=0.8mm
h=40μm,r=25μm,p=50μm,t=1.1mm
h=70μm,r=25μm,p=50μm,t=1.2mm
図23においては、マイクロ特徴部の高さhによってPDMSフィルムを特定している。
図24に、元の接触角が100°の液滴の場合の直径5μm、8μmピッチの柱に関するモデリング結果を示す。ウェンゼル状態の場合に、新規の接触角θは、柱の高さが高くなるにつれて大きくなる。柱の高さが8〜9μmに達すると、液滴がウェンゼル状態からカシー−バクスター状態に移行する。
図25に、直径25μmのマイクロ柱の場合のカシー−バクスター状態とウェンゼル状態との間の移行についてモデリング結果を示す。ピッチを固定した柱の場合に元の接触角θが大きくなるにつれて、移行に関する臨界高さが小さくなる。元の接触角θを固定した場合にピッチが大きくなるにつれて、移行に関する臨界高さが大きくなる。
湾曲したPDMSマイクロ構造表面の曲率により、所与の体積の液滴と相互作用するマイクロ柱の数が変化する。柱と液滴との間の相互作用を調べるために、融点47℃の市販のCerrolow金属25μLを溶融および堆積させ、高さ70μmのマイクロ柱を、湾曲なし、曲率+0.11/mm、および曲率−0.22/mmの状態で凝固させた。次いで、柱および湾曲により誘導された幾何形状からインプレッションの概算の数について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて液滴を検査した。楕円の接触線の長軸および短軸に沿って柱のインプレッションを数え、楕円の面積の式から液滴と柱との相互作用の概算の数が分かった。
この実施例は、ポリマーからなるマイクロ構造表面の湾曲が撥痰性・疎水性の特性に影響を及ぼすことを示している。ここで示した臨界曲率による制約を用いて、マイクロ構造表面の撥痰性・疎水性の制御のために、湾曲面がマイクロ構造のポリマーで覆われるときにカシー−バクスター状態を維持するマイクロ構造の幾何形状をデザインすることができる。
採用した用語および表現は、説明の用語として用いており、限定するものではなく、また、こうした用語および表現の使用において、提示および記載した特徴またはその一部の等価物を除外するものではなく、特許請求する本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態および任意選択の特徴によって本発明を具体的に開示してきたが、本明細書に開示した概念の修正形態および変更形態を当業者が使用できること、ならびにこうした修正形態および変更形態は、添付の請求の範囲によって定義する本発明の範囲内に包含されると考えられることを理解されたい。
5 皮膚
7 気管
7a 皮膚側気管粘膜
7b 体内側気管粘膜
10 マイクロ構造表面
11 基板(基材)
12 マイクロ特徴部
13 直径
14 ピッチ
15 高さ
21 基板(基材)
22 レジスト
23 ステンシルマスク
24 光
25 マイクロ特徴部
26 凹所
27 未硬化のポリマー
28 硬化したポリマー
31 粗面仕上げ前の表面
32,34 液滴
33 粗面仕上げ後の表面
41,43 表面
42,44 液体
45 エアポケット
51 凸形に湾曲したマイクロ構造表面
52,54 液滴
53 凹形に湾曲したマイクロ構造表面
61,64,66 固体表面
62,65,67 液滴
63 気体
68 エアポケット
71 正の曲率で湾曲したマイクロ構造表面
72,75 マイクロ特徴部
73,76 ピッチ
74 負の曲率で湾曲したマイクロ構造表面
81 平坦なマイクロ構造表面
82 正の曲率で湾曲したマイクロ構造表面
83 負の曲率で湾曲したマイクロ構造表面
84 湾曲部材
101,201,301,401,501 気管切開チューブ
102,202,302,402,702 チューブ体
102a,202a 呼吸路
102c 外周面
104a 吸引ライン
104c 空気注入ライン
106,206 カフ
108 カフ調整部
121,221,721 基端部
122,222,722 先端部
123,223,723 湾曲部
125,225 空気注入用チューブ
111,225a カフ側開口部
125b,225b 空気注入用ルーメン
126,226 パイロットバルーン
126a 空気注入孔
126b 排出口
127,727 固定部
128,728 固定板
129,729 接着部
130,730 貫通孔
131,231,331,731 収納孔
138 カフ側吸引部
139 カフ側吸引コネクタ
140 カフ側吸引チューブ
140a カフ側吸引口
150 マイクロ構造領域
151 マイクロ特徴部
152 基材
153 接着層
160 フィルム
201 気管内チューブ
207 切欠部
212 コネクタ
226a 逆止弁
250 被膜
601 吸引カテーテル
701 複管式気管切開チューブ
701a 内筒
701b 外筒
702a 内筒挿入用ルーメン
801 輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ
901 輪状甲状膜穿刺孔挿入用気管カニューレ
Z 痰

Claims (9)

  1. 気管内の肺側に設けられた先端部、前記先端部と反対側に設けられた基端部、および、前記基端部から前記先端部にかけて貫通する呼吸路を有するチューブ体を備える、気管用チューブにおいて、
    前記チューブ体の前記呼吸路を形成する内面の少なくとも一部にマイクロ構造領域が設けられ、
    前記マイクロ構造領域は、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有し、
    前記マイクロ構造領域には、少なくとも一部分が湾曲、屈曲、圧縮、伸長、膨張および/または歪曲した形状である可撓性を有する基板であって、複数のマイクロ特徴部が配置されたマイクロ構造表面を有する基板が、前記マイクロ構造表面を前記呼吸路に露出するように前記チューブ体の前記呼吸路を形成する内面に配置されている、気管用チューブ。
  2. 前記マイクロ構造領域には、押出成型、射出成型、切削加工、レーザー加工、芯棒を用いた表面加工、粒子コーティング、ナノインプリント、溶剤処理、プラズマスパッタ、ナノワイヤ配列の堆積およびこれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて形成された前記マイクロ特徴部が配置されている、請求項1に記載の気管用チューブ。
  3. 前記マイクロ構造表面が撥痰性表面である、請求項1、または2に記載の気管用チューブ。
  4. 前記マイクロ特徴部の長さ、高さ、直径、および/または幅の寸法が、10nm〜1000μmの範囲から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  5. 前記マイクロ特徴部間のピッチが、10nm〜1000μmの範囲から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  6. 前記複数のマイクロ特徴部が、第1組の寸法を有する第1組のマイクロ特徴部、および第2組の寸法を有する第2組のマイクロ特徴部を備え、前記第1組の寸法が、前記第1組のマイクロ特徴部の高さ、および/または直径、および/またはマイクロ構造ピッチの寸法であり、前記第2組の寸法が、前記第2組のマイクロ特徴部の高さ、および/または直径、および/またはマイクロ構造ピッチの寸法であり、前記第1組の寸法が前記第2組の寸法とは異なる、請求項1〜のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  7. 前記第1組の寸法が10nm〜1μmの範囲から選択され、前記第2組の寸法が1μm〜100μmの範囲から選択される、請求項に記載の気管用チューブ。
  8. 前記複数のマイクロ特徴部上に被覆をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  9. 前記被覆が1〜100nmの範囲から選択されるサイズを有する粒子を含む、請求項に記載の気管用チューブ。
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