JP2016131839A - 気管用チューブ - Google Patents

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秀彬 柴田
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Abstract

【課題】痰が付着しにくい気管用チューブを提供する。【解決手段】気管内の肺側に配置される先端部、および、先端部と反対側に設けられる基端部を有し、かつ、内部に呼吸路が形成されたチューブ体を備える気管用チューブであって、チューブ体の内周面の少なくとも一部に、呼吸路に露出する撥痰性層を有する被膜が配置され、撥痰性層は金属酸化物複合粒子を含有し、金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、金属酸化物粒子の表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層とを含み、金属酸化物複合粒子中のフッ素含有量を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が0.025〜0.180 質量%/(m2・g−1)であることを特徴とする気管用チューブ。【選択図】図1

Description

本発明は気管用チューブに関する。より詳細には、本発明は、気管切開チューブ、気管内チューブ等の気管用チューブに関する。
気道確保を必要とする患者の気道確保を行うための方法としては、口または鼻から咽頭を経由して気管に気管内チューブと呼ばれる気管用チューブを気管に挿入する方法である気管挿管、気管内挿管が長期にわたっている場合や気管挿管ができない場合には、気管とその上部の皮膚を切開してその部分から気管に気管切開チューブと呼ばれる気管用チューブを挿入する方法である気管切開(外科的気管切開)、緊急に気道確保が必要な場合には、輪状甲状膜(輪状甲状靭帯)を切開して気管カニューレを挿入する方法である輪状甲状膜切開、輪状甲状膜を穿刺して気管カニューレを挿入する方法である輪状甲状膜穿刺などが挙げられる。
しかし、気道確保を行うための気管用チューブを気管内に挿入することによって気管が刺激されるため、痰などの分泌物が多量となって、気管用チューブの狭窄・閉塞を引き起こし、呼吸困難・窒息といった事象を発生させるおそれがある。痰は、通常であれば気管の繊毛運動によって排出されるが、気管用チューブには繊毛が無いため、痰が付着しやすい。そのため、気管用チューブ内の痰を定期的に吸引して気管用チューブの狭窄を防止し、閉塞しないようにしなければならない。痰は、主に水分と糖タンパク質(ムチン)で構成されており、粘度は数百〜数十万cP程度と幅広く、粘度が高いほど気管用チューブ内に付着しやすく、除去の際に取り残しの残渣が出やすい。気管用チューブ内に取り残された痰が乾燥して、さらに痰が付着しやすくなることもある。気管用チューブからの痰の除去は、頻繁に行わなくてはならず、しかも極力取り残しが少なくなるように注意深く吸引しなければならないため、看護者・介護者の負担は大きい。このような事情から、痰が付着しにくい気管用チューブが求められている。
例えば、特許文献1には、チューブ内面に、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体および含フッ素・アクリル・ウレタン・シリコーン樹脂の混合物で構成される、湿潤時に表面潤滑性を発現する被膜を形成することにより、痰等の異物が溜まり難くした気管内に挿入可能な気管切開チューブが記載されている。また、特許文献2には、気道チューブの内側(内腔)表面に、酸化金属粒子などの粒子を1層以上堆積して粗面化し、その上にフルオロカーボン重合体などの低表面エネルギー材料(つまり、本質的に疎水性)からなるコーティングを施すことにより超疎水性表面領域を形成することが記載されている。
国際公開第2006/037626号 国際公開第2006/135755号
しかし、本発明者らの検討した限りでは、特許文献1に記載された気管切開チューブおよび特許文献2に記載された気道チューブでは、昨今要求されるレベルでの痰の付着抑制が達成されておらず、改良の余地が残されていることが知見された。
そこで、本発明は、痰が付着しにくい気管用チューブを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、チューブ体の内周面の少なくとも一部に、所定の金属酸化物複合粒子を含む撥痰性層を呼吸路に露出するように配置することにより、所望の効果が得られることを知得し、本発明を完成させた。
つまり、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1)気管内の肺側に配置される先端部、および、先端部と反対側に設けられる基端部を有し、かつ、内部に呼吸路が形成されたチューブ体を備える気管用チューブであって、
チューブ体の内周面の少なくとも一部に、呼吸路に露出する撥痰性層を有する被膜が配置され、
撥痰性層は金属酸化物複合粒子を含有し、
金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、金属酸化物粒子の表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層とを含み、
金属酸化物複合粒子中のフッ素含有量を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が
0.025〜0.180 質量%/(m・g−1
であることを特徴とする気管用チューブ。
(2)金属酸化物複合粒子中の炭素含有量を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が
0.05〜0.400 質量%/(m・g−1
である、(1)に記載の気管用チューブ。
(3)金属酸化物粒子の平均1次粒子径が5〜50nmである、(1)または(2)に記載の気管用チューブ。
(4)金属酸化物粒子が酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化チタン粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(5)被覆層がケイ素成分を含有しない、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(6)撥痰性層が多孔質である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(7)最表面となる撥痰性層表面が金属酸化物複合粒子によって形成された凹凸構造を有する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(8)撥痰性層中における金属酸化物複合粒子の含有量が10〜100質量%である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(9)撥痰性層が接着成分をさらに含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(10)前記先端部と前記基端部との間に位置する湾曲部を有する、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(11)気管切開チューブである、(10)に記載の気管用チューブ。
(12)気管内チューブである、(10)に記載の気管用チューブ。
(13)複管式気管切開チューブである、(10)に記載の気管用チューブ。
(14)複管式気管切開チューブの内管である、(10)に記載の気管用チューブ。
(15)輪状甲状膜の切開孔または穿刺孔を介して気管内に挿入可能な気管カニューレである、(10)に記載の気管用チューブ。
(16)輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレである、(15)に記載の気管用チューブ。
(17)小気管切開チューブである、(15)または(16)に記載の気管用チューブ。
(18)チューブ体が可撓性材料から構成されている、(1)〜(17)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(19)湾曲部が先端部の中心軸と基端部の中心軸が角度θで交差するように湾曲し、角度θを90°〜120°の範囲内で変化させることができる、(10)〜(17)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
(20)チューブ体の中心軸に直交する断面図において、基端部、先端部および湾曲部のそれぞれにおけるチューブ体の中心を通る平面を平面P、平面Pがチューブ体の湾曲部の湾曲の外側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点を交点K、交点Kにおいて平面Pに直交する基準線を基準線S、チューブ体102の内周面に接する接線を接線T、ならびに接線Tが基準線Sとなす角を角φとするとき、角φが30°以上となるチューブ体の内周面上の位置に皮膜が配置されている、(10)〜(17)のいずれか1項に記載の気管用チューブ。ただし、角φは、基準線Sと接線Tとがなす鋭角または直角である。
本発明によれば、痰が付着しにくい気管用チューブを提供することができる。
また、本発明の気管用チューブを使用することにより、気管用チューブに付着した痰を吸引除去する頻度を低減することができるので、患者および介護者の負担を軽減することができる。
図1(A)は、本発明の撥痰性層に用いられる金属酸化物複合粒子の模式図である。図1(B)は本発明の撥痰性層の断面を表す模式図である。 図2は、本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブを患者に装着した状態を示す図である。 図3(A)は、図2に示す本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図3(B)は、図3(A)に示すA−A線に沿って切断した断面図である。図3(C)は、被膜の一部拡大断面図である。図3(D)は、本発明の第1の実施形態にかかる気管切開チューブの内部に付着した痰を吸引する状態を示す断面図である。図3(E)は被膜の他の実施形態の一部拡大断面図である。 図4(A)は、第1の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。図4(B)および図4(C)は、図4(A)に示すB−B線に沿って切断した断面図である。 図5(A)は、本発明の第2の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図5(B)は、図5(A)に示すC−C線に沿って切断した断面図である。図5(C)は、第2の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。 図6(A)は、本発明の第3の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図6(B)は、図6(A)に示すD−D線に沿って切断した断面図である。図6(C)は、第3の実施形態にかかる気管切開チューブの変形例を示す断面図である。 図7(A)は、本発明の第4の実施形態にかかる気管切開チューブの要部を示す断面図である。図7(B)は、図7(A)に示すE−E線に沿って切断した断面図である。 図8は、本発明の第5の実施形態にかかる気管内チューブを患者に装着した状態を示す図である。 図9(A)は、図8に示す本発明の第5の実施形態にかかる気管内チューブの構成例を示す斜視図である。図9(B)は、図9(A)に示すF−F線に沿って切断した断面図である。 図10は、本発明の第6の実施形態にかかる気管カニューレを患者に装着した状態を示す図である。 図11は、本発明の第7の実施形態にかかる気管カニューレを患者に装着した状態を示す図である。
[用語の定義]
本発明における「痰」および「撥痰性」の定義について説明する。
痰とは、粘液の一種で、気管等の粘膜から分泌されるスライミーな性質を示す粘性流体であって、程度の差はあるものの、曳糸性(突っ込んだ棒を引き上げたときに、糸を引く性質)および粘弾性(ゴムのように、一部をつかんで持ち上げると伸びて、離すと元の形状に戻り、一定以上伸ばすと切れる性質)を有するものである。痰の主成分としては、水とムチン等の糖タンパク質とが挙げられる。
撥痰性とは、痰を撥ねる性質をいう。痰を撥ねる結果、気管用チューブ内面に痰が付着しにくくなる。また、痰の糸曳き性を抑制することができる。また、撥痰性表面とは、傾斜角を30°とし、そこに痰を100μLずつ滴下した際に、痰が転がる表面をいう。
本発明の気管用チューブは、気管内の肺側に配置される先端部、先端部と反対側に設けられる基端部、および、先端部と基端部との間に位置する湾曲部を有し、かつ、内部に呼吸路が形成されたチューブ体を備える気管用チューブであって、チューブ体の内周面の少なくとも一部に、呼吸路に露出する撥痰性層を有する被膜が配置され、撥痰性層は金属酸化物複合粒子を含有し、金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、金属酸化物粒子の表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層とを含み、金属酸化物複合粒子中のフッ素含有量を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が0.025〜0.180〔質量%/(m・g−1)〕であることを特徴とする気管用チューブである。
以下では、本発明の気管用チューブについて、まず、撥痰性層およびその形成方法について説明し、次いで、本発明の気管用チューブの実施形態である気管切開チューブおよび気管内チューブについて説明する。
[撥痰性層]
撥痰性層は、金属酸化物複合粒子を含有する。金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、その表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被膜層とを含み、金属酸化物複合粒子のフッ素含有量を当該金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が0.025〜0.180〔質量%/(m・g−1)〕である。
図1(A)には、金属酸化物複合粒子の模式図を示す。図1(A)に示すように、金属酸化物複合粒子11は、コアとなる金属酸化物粒子13とその表面に形成された被覆層12を含むものである。コアとなる金属酸化物粒子13は、複数の金属酸化物粒子(一次粒子)が三次元的に連なる凝集体構造(凝集体多孔質構造)を形成している。被覆層12はその凝集体構造の内部および外殻に形成される。図1(A)では、この凝集体構造を模式図的に球形に示し、被覆層12を外郭のみに示している。図1(B)には、金属酸化物複合粒子11を含む撥痰性層21の模式図を示す。撥痰性層21は、被コーティング材料22の被コーティング面に形成されており、金属酸化物複合粒子11とその粒子間に形成される空隙23とを含んでいる。撥痰性層21の表面24は、複数の金属酸化物複合粒子11による凹凸構造(凹凸表面)を形成していることが望ましい。すなわち、より高い撥痰性を得る上で、本発明の撥痰性層では表面に金属酸化物粒子による凹凸構造を有することが好ましい。
このように、金属酸化物複合粒子11の表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層12と凹凸表面24とが相互に作用することによって、高い撥痰性が発揮される。また、本発明の撥痰性層は、その中に含まれる金属酸化物複合粒子のいずれもが所定量のフッ素系樹脂を含む被覆層12に覆われているので、撥痰性層の全面にわたって均質な撥痰性を得ることができる。すなわち、個々の金属酸化物複合粒子は、高い撥痰性を発現するのに十分な量の被覆層12を有しているので、撥痰性層の全体にわたってムラなく高い撥痰性が発揮される結果、均質な撥痰性を被コーティング材料22に付与することができる。
本発明の撥痰性層においては、撥痰性層の最外面に付着しようとする物質(特に、痰、気道分泌液などの粘液)があっても、その撥痰性によって当該物質が撥ねられる結果、撥痰性層21に当該物質が付着することを防止することができる。
1.被コーティング材料
本発明の撥痰性層を形成する対象(すなわち、撥痰性を付与する対象)となる被コーティング材料は、本発明の気管用チューブに含まれるチューブ体が挙げられる。また、チューブ体以外の本発明の気管用チューブの構成要素も被コーティング材料としてよく、例えば、チューブ本体に取り付けられたチューブの内周面、外周面、チューブ本体の壁内に長さ方向に設置された吸引ルーメン等の痰と接触する可能性があるものが挙げられる。
2.撥痰性層
本発明の撥痰性層は、金属酸化物複合粒子を含む。撥痰性層中における金属酸化物複合粒子の含有量は、特に限定されず、所望の撥痰性に応じて適宜設定することができるが、10〜100質量%の範囲内で設定することが好ましく、30〜100質量%の範囲内で設定することがより好ましい。本発明の撥痰性層は、金属酸化物複合粒子の含有量を100質量%に近づければそれだけ高い撥痰性を得ることができる。
また、被コーティング面に対する撥痰性層の付与量(乾燥後質量)は、特に限定されず、所望の撥痰性、金属酸化物複合粒子の含有量等に応じて適宜設定することができるが、0.01〜30g/mの範囲内で設定することが好ましく、0.1〜30g/mの範囲内で設定することがより好ましい。
(2.1)金属酸化物複合粒子とその調製
(2.1.1)金属酸化物複合粒子
金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、その表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層と、を含む。
金属酸化物粒子は、金属酸化物複合粒子のコアとなり得るものであれば特に限定されず、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛等の粒子(粉末)の少なくとも1種を用いることができる。本発明では、金属酸化物粒子としては、酸化ケイ素(シリカ)粒子、酸化チタン(チタニア)粒子および酸化アルミニウム(アルミナ)粒子からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、酸化ケイ素(シリカ)粒子がより好ましい。
また、粒子の形状は特に限定されず、例えば、球形状、回転楕円体状、円柱状、棒状、板状等の種々の形状であってもよい。
また、金属酸化物粒子の平均1次粒子径は特に限定されないが、5〜50nmの範囲内であることが好ましく、7〜30nmの範囲内であることがより好ましい。金属酸化物粒子の平均1次粒子径がこの範囲内であると、より優れた撥痰性を得ることができる。
なお、本発明における金属酸化物粒子の平均1次粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて実施することができる。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を平均1次粒子径とする。
金属酸化物粒子は、公知または市販のものを使用することができる。
酸化ケイ素粒子としては、例えば、AEROSIL(R) 200(平均1次粒子径:約12nm)、AEROSIL(R) 200FAD(平均1次粒子径:約12nm)、AEROSIL(R) 130(平均1次粒子径:約16nm)、AEROSIL(R) 300(平均1次粒子径:約7nm)、AEROSIL(R) 50(平均1次粒子径:約30nm)、AEROSIL(R) 380(平均1次粒子径:約7nm)(以上、日本アエロジル社製)等の商品名で販売されているヒュームドシリカ製品などが挙げられる。
また、酸化チタン粒子としては、例えば、AEROXIDE(R) TiO T805(平均1次粒子径:約21nm)(エボニックデグサ社製)等の商品名で販売されているヒュームドチタニア製品などが挙げられる。
また、酸化アルミニウム粒子としては、例えば、AEROXIDE(R) Alu C 805(エボニックデグサ社製)等の商品名で販売されているヒュームドアルミナ製品などが挙げられる。
被覆層は、フッ素系樹脂を含む。フッ素系樹脂を使用することによって、金属酸化物粒子(特に、酸化ケイ素粒子)との親和性に優れるがゆえに比較的密着性の高い強固な被覆層を金属酸化物粒子表面上に形成できるとともに、高い撥痰性をも発現させることができる。
フッ素系樹脂は、金属酸化物複合粒子の被覆層となり得るものであれば特に限定されず、例えば、含フッ素アクリル系樹脂、含フッ素ウレタン系樹脂、含フッ素アクリルウレタン系樹脂等が挙げられる。
含フッ素アクリル系樹脂は特に限定されるものではないが、フルオロアルキル(メタ)アクリレートのホモ重合体またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートをモノマーとして含む共重合体が好ましく、フルオロアルキルメタクリレートをモノマーとして含む共重合体(ポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂)がより好ましい。
ポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂は、公知または市販のものを使用することができる。市販品としては、例えば、CHEMINOX FAMAC−6(ユニマテック社製)、Zonyl TH Fluoromonomer コード421480(シグマアルドリッチ社製)、SCFC−65530−66−7(Maya High Purity Chem社製)、FC07−04〜10」(フルオリ社製)、CBINDEX:58(ウィルシャイア・ケミカル社製)、アサヒガードAG−E530、アサヒガードAG−E060(以上、旭硝子社製)、TEMAc−N(トップ フルオロケム社製)、Zonyl 7950(シグマ−RBI社製)、6100840〜6100842(Weibo Chemcal社製)、CB INDEX:75(ABCR社製)などが挙げられる。
これらの中でも、より優れた撥痰性を達成できるという点より、例えば、ポリフルオロオクチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートが共重合したコポリマーをポリフルオロアルキルメタクリル酸樹脂として好適に採用することができる。これらも上記のような市販品を用いることができる。
炭素含有量およびフッ素含有量は、金属酸化物複合粒子において被覆の程度を示す指標となるものであり、その数値が大きいほど被覆量が多いことを示す。所定の被覆量(炭素含有量およびフッ素含有量、特に、フッ素含有量)に設定することによって、金属酸化物粒子の表面への良好な密着性と、優れた撥痰性とを達成することができる。
金属酸化物複合粒子におけるフッ素含有量(質量%)を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積(m/g)で除した値(以下、この値を「A値」という場合がある。)は0.025〜0.180であり、好ましくは0.030〜0.175である。フッ素含有量(質量%)を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積(m/g)で除した値が0.025を下回ると所望の撥痰性が得られなくなり、0.180を超えると金属酸化物複合粒子の製造そのものが困難となる。
また、金属酸化物複合粒子における炭素含有量(質量%)を金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積(m/g)で除した値(以下、この値を「B値」という場合がある。)は0.05〜0.400であり、好ましくは0.06〜0.390である。炭素含有量(質量%)を金属酸化物粒子の単位面積あたりの表面積(m/g)で除した値が0.05を下回ると所望の撥痰性が得られにくくなることがあり、0.400を超えると金属酸化物複合粒子を製造しにくくなることがある。
従って、本発明では、優れた撥痰性を達成するためにA値を所定の範囲内に設定し、さらにはより優れた撥痰性を実現するためにはB値も所定の範囲内に設定することが望ましい。
なお、本発明における金属酸化物複合粒子中の炭素含有量の測定は、測定対象試料を酸素雰囲気中、800℃以上に加熱して表面疎水基が含有する炭素をCOに転じ、微量炭素分析装置により測定対象試料の表面に存在する炭素含有量を算出するという方法に従って実施する。
また、本発明における金属酸化物複合粒子中のフッ素含有量は、測定対象試料を1000℃の環状炉で焼成し、生成するガスを水蒸気蒸留で回収し、その回収液をイオンクロマトグラフにてフッ素イオンとして検出し、定量する。
また、単位質量あたりの表面積(m/g)(比表面積)は、Macsorb(マウンテック製)を用いてBET1点法により求める。吸着ガスは、窒素30体積%・ヘリウム70体積%のガスを用いる。試料の前処理として、100℃で10分間、吸着ガスの流通を行う。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求める。求めた試料の表面積を試料の質量で除して比表面積を算出する。
(2.1.2)金属酸化物複合粒子の調製
金属酸化物複合粒子の調製方法は特に限定されず、金属酸化物の粒子(粉末)に対して被覆材としてフッ素系樹脂を用い、公知のコーティング方法、造粒方法等に従って被覆層を形成すればよい。
フッ素系樹脂としてポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂を用いる場合であれば、例えば、液状のポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗工液を金属酸化物の粒子にコーティングする工程(被覆工程)と熱処理により塗工液から溶媒を除去する工程(熱処理工程)とを含む製造方法によって金属酸化物複合粒子を好適に調製することができる。
この製造方法では、ポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂として常温(25℃)および常圧(100kPa)下で液状のものを好適に用いることができる。このようなポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂としては、例示した市販品を使用することもできる。
塗工液に使用する溶媒は特に制限されず、水のほか、アルコール、トルエン等の有機溶剤を使用することができるが、本発明ではトルエンを用いることが好ましい。すなわち、塗工液としてポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂がトルエンに溶解および/または分散した塗工液を使用することが好ましい。
上記の塗工液中におけるポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂の含有量は特に制限されないが、10〜80質量%の範囲内に設定することが好ましく、15〜70質量%の範囲内に設定することがより好ましく、20〜60質量%の範囲内に設定することがさらに好ましい。
金属酸化物粒子の表面に塗工液をコーティングする方法は特に限定されず、公知の方法に従えばよく、例えば、スプレー法、浸漬法、攪拌造粒法等のいずれも適用することができる。特に、本発明では、均一性等に優れるという点でスプレー法によるコーティングが特に好ましい。
塗工液をコーティングした後、熱処理により溶媒を除去することによって金属酸化物複合粒子を得ることができる。熱処理の際の温度は特に限定されないが、150〜250℃の範囲内に設定することが好ましく、180〜200℃の範囲内に設定することがより好ましい。また、熱処理の際の雰囲気は特に限定されないが、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス(非酸化性)雰囲気が好ましい。
被覆工程および熱処理工程からなる一連の工程は、必要に応じて、さらに1回以上繰り返してもよい。被覆工程および熱処理工程からなる一連の工程を繰り返すことにより、被覆量の制御を好適に行うことが可能となる。
(2.2)金属酸化物複合粒子以外の成分
本発明の撥痰性層では、金属酸化物複合粒子のほか、本発明の効果を妨げない範囲内において他の成分が含まれていてもよい。金属酸化物複合粒子以外の成分としては、例えば、接着剤(接着性樹脂等)、着色剤、分散剤、沈降防止剤、粘度調整剤、印刷保護剤等を挙げることができる。
特に、撥痰性層の気管用チューブへの密着強度、金属酸化物複合粒子どうしの接着強度等をより高めるために接着剤(接着成分)を含有させることが有効である。この場合に使用できる接着剤は特に限定されず、公知または市販の接着剤を使用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の接着剤(殊に、接着性樹脂)等を挙げることができる。接着性樹脂として、より具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、これらのブレンド樹脂、これらを構成するモノマーの組合せを含む共重合体、変性樹脂等を接着性樹脂として用いることができる。
接着性樹脂を使用する場合は、例えば、「3.撥痰性層の形成方法」(後記)において、接着性樹脂の粒子(粉末)を金属酸化物複合粒子とともに分散させた分散液によりチューブ体表面に塗工した後、「3.撥痰性層の形成方法」(後記)における熱処理工程において接着性樹脂を溶融させることによってチューブ体表面との接着性により優れた撥痰性層を形成することができる。接着剤を使用する場合の撥痰性層中の接着剤の含有量は特に限定されないが、撥痰性層中20〜80質量%の範囲内となるように設定することが好ましい。
3.撥痰性層の形成方法
本発明の撥痰性層の形成方法は特に限定されず、公知の方法等も適用することができる。特に、本発明では、金属酸化物複合粒子を含む分散液を被コーティング面にコーティングする工程を含む方法によって撥痰性層を好適に形成することができる。すなわち、湿式でコーティングした後に溶媒を除去することによって被コーティング面に撥痰性層を形成することができる。
上記分散液で使用される溶媒は、特に限定されず、例えば水のほか、アルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等を挙げることができる。溶媒として、水またはアルコールを使用することで、環境への負荷を低く抑えることができる。
有機溶媒に対する金属酸化物複合粒子の分散量は特に限定されず、例えば、被コーティング材料、撥痰性の程度等に応じて通常20〜50g/L(リットル)程度の範囲内で適宜決定することができる。
また、「(2.2)金属酸化物複合粒子以外の成分」(前記)で示したように、分散液中には接着剤(殊に、接着性樹脂)を含有させることもできる。より具体的には、接着成分の粒子を分散液中に分散させることができる。接着成分としては「(2.2)金属酸化物複合粒子以外の成分」(前記)で示したものを使用することができる。その他にも、「(2.2)金属酸化物複合粒子以外の成分」(前記)で示した他の成分を分散液中に含有させることも可能である。
分散液を被コーティング材料の被コーティング面にコーティングする方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、浸漬コーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコートコーティング、コンマコーター、パートコート、刷毛塗り等の公知の方法をいずれも採用することができる。
分散液をコーティングする場合の塗布量は特に限定されず、撥痰性層が乾燥した後の金属酸化物複合粒子の単位面積あたりの質量を0.01〜30g/mの範囲内に設定することが好ましく、0.1〜30g/mの範囲内に設定することがより好ましい。従って、例えば、50〜600mg/mの範囲内、特には200〜500mg/mの範囲内となるように調節することも可能である。
分散液を被コーティング材料の被コーティング面にコーティングした後、乾燥工程を実施する。乾燥は自然乾燥または加熱乾燥のいずれであってもよい。加熱乾燥する場合の温度は特に限定されないが、通常200℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃〜70℃の範囲内で加熱すればよい。加熱乾燥する場合の時間は気管内チューブに熱による変形などの悪影響を与えない範囲であれば特に限定されない。
また、本発明では、分散液を被コーティング材料の被コーティング面にコーティングした後、乾燥工程の後または乾燥工程に代えて熱処理工程を実施することもできる。特に、分散液に接着成分として接着性樹脂が含まれる場合、被コーティング材料の被コーティング面上の撥痰性層を熱処理することによって、接着性樹脂を溶融させて撥痰性層を被コーティング材料の被コーティング面に強固に固定することができる。これによって、剥離・脱落がより生じにくい撥痰性層を形成することが可能となる。熱処理の際の温度は、被コーティング材料の構成材料、使用する接着性樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常は50℃〜250℃、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは150℃〜250℃の範囲内とすればよい。また、熱処理の時間は気管内チューブに熱による変形などの悪影響を与えない範囲であれば特に限定されない。熱処理の雰囲気は限定されないが、通常は大気中または酸化性雰囲気中とすればよい。
4.撥痰性層の性状
本発明の撥痰性層は、金属酸化物複合粒子を含むものであるが、撥痰性層表面が金属酸化物複合粒子による凹凸構造(近似的なフラクタル構造)を有していることが好ましい。より具体的には、複数の金属酸化物複合粒子が連なることによって形成された空隙と粒子本体により形成される表面を有することが望ましい。これにより、金属酸化物複合粒子が所定の被覆層を有すると相まって、より優れた撥痰性を発揮することが可能となる。すなわち、凹凸構造の表面が前記被覆層により実質的に構成される結果、より優れた撥痰性を発揮することができる。この場合、凹凸構造の形成に寄与する粒子としては、本発明の効果を妨げない範囲において、金属酸化物複合粒子以外のものが含まれていてもよい。なお、撥痰性層表面の凹凸構造は、走査型電子顕微鏡で観察することができる。
撥痰性層の厚みは特に限定されないが、通常、0.5〜30μmの範囲内に設定することが好ましい。
<第1の実施形態>
まず、本発明の気管用チューブの第1の実施形態について、図2および図3を参照して、説明する。図2および図3に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図2に示す気管切開チューブ101は、患者の呼吸管理を行うための器具であり、気管を切開して形成された切開口から気管7に直接挿入された状態で使用される。気管切開チューブ101は、気管切開チューブ101の主要部を構成するチューブ体102と、チューブ体102を患者に対して固定するための固定部127とから構成される。図3(A)および図3(B)に示すように、チューブ体102の内周面上には被膜150が配置されており、図3(C)に示すように被膜150は、チューブ体102の内周面上に配置された撥痰性層154からなる。撥痰性層154の定義は、上述した撥痰性層21と同義である。また、撥痰性層154は、多孔質層を形成していることが好ましい。
以下、気管切開チューブ101を構成する各部材について詳述する。
チューブ体102は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体102の内部には、チューブ体102の長さ方向に沿って呼気が通る空間である呼吸路102aが形成されている。チューブ体102は、先端部122と、先端部122と反対側に配置される基端部121と、基端部121と先端部122との間に位置する湾曲部123を有する。湾曲部123は先端部122の中心軸と基端部121の中心軸が角度θで交差するように湾曲しており、この第1の実施形態では、チューブ体102は略L字状に形成される。つまり、角度θは約90°である。
なお、チューブ体102は、患者の体位の変化等に合わせて上記θが約90°から約120°までの範囲で変化しうる程度の可撓性を有する。上記θがこの範囲内で変化しても、撥痰性層154は、剥離したり、脱落したりはしない。
チューブ体102の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を挙げることができる。
図3(A)に示されるように、仰向けに寝ている(仰臥位)の患者に対して、気管7の管壁と気管7の上部の皮膚5を切開することで形成された気管切開口からチューブ体102の先端部122が気管7内に挿入される。このとき、チューブ体102の先端部122は、気管7の管壁を構成する粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)から所定の間隔を隔てるように、肺側に向けて気管7内に配置される。
また、チューブ体102の基端部121は、気管切開口から体外に露出しており、この基端部121に、人工呼吸器(図示せず)が取り付けられている。人工呼吸器が作動することで、呼吸路102a内に呼気が通る。これにより、患者の呼吸を持続させ、呼吸管理を行っている。その結果、呼吸に必要な酸素の通り道である気道が閉塞することを防止することができ、患者の呼吸管理を行うことができる。
固定部127は、チューブ体102の基端部121に取り付けられている。固定部127は、チューブ体102を患者に装着した際に、皮膚5に当接することで、先端部122を気管7内の適切な位置に固定するものであり、固定板128と、接着部129とを有している。
固定板128は、平板状の部材で、中央部に、固定板128を貫通する収納孔131が形成されている。そして、固定板128の表面には、接着部129が取り付けられ、固定板128の裏面は、患者の皮膚5に当接される。
接着部129は、チューブ体102を固定部127に接着するもので、中央に略円形の貫通孔130が形成されたリング形状を有している。接着部129の貫通孔130は、固定板128の収納孔131と連通しており、貫通孔130の大きさは、チューブ体102の外径に合わせて設定される。
このような固定板128の収納孔131および接着部129の貫通孔130に、チューブ体102が貫通され、例えば、接着剤により固定される。
本実施形態では、チューブ体102を接着部129に固定する方法として、接着剤による固定を例に挙げたが、例えば、溶着による固定など各種の固定方法を採用することができる。
被膜150は、撥痰性層154からなり、チューブ体102の全内周面上に配置されている。
撥痰性層154は、チューブ体102の内周面上に配置される被膜150の表面側(最内側)に位置し、呼吸路102aに面(露出)する層であり、チューブ体102内部に痰が堆積するのを防止する。つまり、呼吸路102aが閉塞しないように機能する。
被膜150において撥痰性層154は最表面で、呼吸路102aに露出するように形成される。これにより、気管チューブ101において、優れた撥痰性が発揮される。
撥痰性層154の付着量(単位面積あたりの乾燥質量)は特に限定されないが、0.01〜30g/mの範囲内で設定することが好ましく、0.1〜30g/mの範囲内で設定することがより好ましい。上記範囲内に設定することによって、より優れた撥痰性を長期にわたって得ることができるうえ、撥痰性層154の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。例えば、撥痰性層154の付着量(単位面積あたりの乾燥質量)を0.01〜10g/mの範囲内、または0.2〜1.5g/mの範囲、または0.2〜1g/mの範囲に設定することができる。
また、撥痰性層154の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜2.5μmの範囲内であることがより好ましい。このようなポーラスな層状態で付着することにより、層に空気を多く含むことができ、より優れた撥痰性を発揮することができる。
また、撥痰性層154の表面は、金属酸化物複合粒子が連なって形成された凹凸構造を有していることが望ましい。これにより、より優れた撥痰性を達成することができる。
撥痰性層154は、チューブ体102の全面(チューブ体内周面と反対側の面の全面)に形成されていてもよいし、一部の面に形成されていてもよいが、痰がより付着しにくくなることから、全面に形成することが好ましい。
また、被膜は、撥痰性層154の接着性を上げるため、チューブ体102の内周面上に配置された接着層152を有していてもよい。
つまり、図3(E)に示すように、被膜250は、接着層152および撥痰性層154を含み、チューブ体102の全内周面上に配置される形態であってもよい。接着層152は、チューブ体102と撥痰性層154との間に介在し、両者の密着性を向上させる層である。
接着層152の厚みは特に限定されないが、生産性、コスト等の観点より1〜100μm程度とすることが好ましく、3〜50μm程度とすることがさらに好ましい。
接着層152を配置する方法としては、例えば、ドライラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、ヒートラミネート法等の公知の方法が挙げられる。
接着層152としては、公知の材料を採用することができる。例えば、公知のシーラントフィルムのほか、ラッカータイプ接着剤、イージーピール接着剤、ホットメルト接着剤等の接着剤により形成される層を採用することができる。
接着層152の主成分は特に限定されず、前述の接着性樹脂と同様のものを採用することができる。より具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の接着性樹脂のほか、これらのブレンド樹脂、これらを構成するモノマーの組合せを含む共重合体、変性樹脂等を用いることができる。接着層の構成として、単層のシーラントフィルムを使用できるほか、共押出しあるいは押出しラミネートした2層以のシーラントフィルムを使用することもできる。
チューブ体102と撥痰性層154との間には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、必要に応じて、各種の特性(耐水分透過性、耐酸素透過性、遮光性、断熱性、耐衝撃性等)を付与する目的で、例えば、印刷層、印刷保護層、着色層、接着剤層、接着強化層、プライマーコート層、アンカーコート層、防滑剤層、滑剤層、防曇剤層などの層が介在してもよい。
気管用チューブ101は、例えば、次の方法により好適に製造することができる。すなわち、チューブ体102の内周面に接着層152を配置する接着層形成工程を行った後、溶媒中に金属酸化物複合粒子を含む分散液を接着層152の表面に塗布して撥痰性層154を形成する撥痰性層形成工程を行うことにより気管用チューブを製造することができる。
分散液としては、溶媒中に少なくとも金属酸化物複合粒子(粉末)を分散させたものを使用する。この場合の金属酸化物複合粒子は、「(2.1.1)金属酸化物複合粒子」に記載したものを使用することができる。
溶媒としては、特に用いる金属酸化物複合粒子を変質させないものであれば限定されず、例えばアルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等の有機溶剤の中から適宜選択することができる。溶媒に対する金属酸化物複合粒子の分散量は特に限定されず、例えば10〜200g/L程度に設定することができる。従って、例えば10〜100g/Lの範囲内に調節することもできる。
また、本発明では、分散液には、本発明の効果を妨げない範囲内で、必要に応じて他の添加剤を適宜配合することができる。例えば、分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤等を配合することができる。また、前記で述べた通り、撥痰性層の接着力をより高めるために接着剤(特に接着性樹脂)の粉末を上記分散液に分散させることもできる。
分散液を塗布する場合の塗布方法としては、例えば、ディップコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、コンマコーター、パートコート、刷毛塗り等の公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、ロールコーティング等を採用する場合は、少なくとも金属酸化物複合粒子を溶媒に分散させてなる分散液を用いて接着層上に撥痰性層を形成することにより塗布工程を実施することができる。
なお、撥痰性層形成工程の後において、加熱工程に先立って撥痰性層を乾燥する工程を実施しても良い。乾燥方法は、自然乾燥または強制(加熱)乾燥のいずれであってもよい。加熱乾燥する場合の温度は、特に限定されないが、通常は200℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃〜70℃の範囲内とすればよい。加熱乾燥する場合の時間は気管内チューブに熱による変形などの悪影響を与えない範囲であれば特に限定されない。
また、本発明では、分散液を材料表面にコーティングした後、乾燥工程の後または乾燥工程に代えて熱処理工程を実施することもできる。特に、分散液に接着成分として接着性樹脂が含まれる場合、材料表面上の撥痰性層を熱処理することによって、接着性樹脂を溶融させて撥痰性層を材料表面に強固に固定することができる。これによって、剥離・脱落がより生じにくい撥痰性層を形成することが可能となる。熱処理温度は、使用する接着性樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常は50℃〜250℃、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは150℃〜250℃の範囲内とすればよい。また、熱処理の時間は気管内チューブに熱による変形などの悪影響を与えない範囲であれば特に限定されない。熱処理の雰囲気は限定されないが、通常は大気中または酸化性雰囲気中とすればよい。
気管切開チューブ101内の痰を、吸引カテーテルを用いて吸引する場合について、図3(D)を参照して説明する。
図2で示すように、気管切開チューブ101を装着される患者は通常仰向きで寝ているため、痰などの異物は重力方向である背側に溜まりやすい。つまり、図3(D)中の下側に痰が溜まりやすい。
そこで、チューブ体102の基端部121側から吸引カテーテル601をチューブ体102に挿入し、吸引カテーテル601の先端をチューブ体102の内面上に沿わせて先端部122付近まで進めながら、痰Zを吸引する。
なお、第1の実施形態において、撥痰性層154は、チューブ体102の内周面全面に配置されていてもよいし、一部の領域に配置されていてもよい。
また、第1の実施形態において、被膜250のように被膜が接着層152を含む場合、撥痰性層154は、チューブ体102の全内周面上に配置される接着層152の全面に配置されているが、この態様には限定されず、撥痰性層154の配置領域は、接着層152の少なくとも一部の領域に配置されていてもよい。
(変形例)
上述した図1および図2の気管切開チューブ101の形態では、被膜150はチューブ体102の全内周面上に配置されているが、この形態には限定されず、例えば、図4(A)および(B)に示すように、チューブ体102の内周面上の一部のみに配置されていてもよい。
図4(A)、(B)および(C)は第1の実施形態の変形例にかかる気管切開チューブ201を示し、上述した図1に示す第1の実施形態の気管切開チューブ101との相違点は、被膜150の配置位置が挙げられる。なお、図4(B)および(C)は、図4(A)、(B)および(C)に示すB−B線に沿って切断した断面図である。
気管切開チューブ201では、チューブ体102の中心軸に直交する断面図において、基端部121と先端部122と湾曲部123におけるそれぞれのチューブ体102の中心Jを通る平面Pがチューブ体102の湾曲部123の湾曲の外側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点Kと、平面Pがチューブ体102の湾曲部123の湾曲の内側に位置するチューブ壁の内面と交差する交点Lと、交点Kにおいて平面Pに直交する基準線Sと、チューブ体102の内周面に接する接線Tと、接線Tと内周面との接点Mとを想定した場合に、接線Tが基準線Sとなす角φが30°以上となるチューブ体102の内周面上の位置に被膜150が配置されている。なお、角φは、接点Mが交点Kまたは交点Lと一致するとき、すなわち接線Tが基準線Sに一致するときまたは平行であるとき、φ=0°、接点Mが交点Kおよび交点Lのいずれとも一致しないとき、すなわち基準線Sと接線Tとが一致せず、かつ平行でないときは、基準線Sと接線Tとがなす鋭角または直角を意図する。
上記のような位置に被膜150を有する気管切開チューブ201を、図2で示すように仰向けに寝ている患者に挿入した場合、被膜150上に付着した痰は、撥痰性層154の作用(撥痰性)によってチューブ体102内の患者の背中側(図4(B)または図4(C)中の下側)に移動して、溜まりやすい。一般的に、図3(D)で述べた吸引カテーテルの先端部は、チューブ体102の内周面のうち図4(B)または図4(C)での下側の位置には到達しやすいが、図4(B)または図4(C)中の左右側の位置(被膜150が配置される位置)には到達しにくい。そのため、上記のような位置に被膜150が配置されていれば、その上に痰が付着しても吸引カテーテルで吸引できる位置まで痰が移動しやすく、結果としてチューブ体内部の痰の堆積が抑制される。
<第2の実施形態>
本発明の気管用チューブの第2の実施形態について、図5を参照して、説明する。図5に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図5に示す第2の実施形態の気管切開チューブ301と、上述した図3に示す第1の実施形態の気管切開チューブ101との相違点は、主に、気管切開チューブ301がカフ106およびカフ調整部108を有する点が挙げられる。そこで、以下では、主にカフ106およびカフ調整部108など気管切開チューブ101と異なる点について説明し、気管切開チューブ101と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
チューブ体102の先端部122には、カフ106が取り付けられている。カフ106は、チューブ体102における先端部122近傍の外周面を覆うように固定されている。カフ106は、カフ調整部108と接続している。カフ調整部108は、パイロットバルーン126と、カフ106およびパイロットバルーン126を接続する空気注入用チューブ125とにより構成される。
パイロットバルーン126は、略扁平の六角形状の断面を有するように形成される。本例では、パイロットバルーン126の断面形状を六角形として説明するが、これに限定されない。例えば、パイロットバルーン126の断面形状を略四角形や円形などに形成することができ、その他様々な形状に形成してもよい。
パイロットバルーン126の一端部には空気注入孔126aが設けられ、パイロットバルーン126の他端部には、排出口126bが設けられている。空気注入孔126aには、逆止弁が取り付けられている。そして、空気注入孔126aから空気がパイロットバルーン126および空気注入用チューブ125を介してカフ106に送り込まれる。送り込まれた空気は、逆止弁により、空気注入孔126aから漏れ出なくなる。また、パイロットバルーン126を指で押圧することで、カフ106にかかる圧を触感的に感知することができる。
空気注入用チューブ125は、その一端がパイロットバルーン126に接続され、その他端がカフ106に接続されている。この空気注入用チューブ125はその一端に形成されたカフ側開口部111を介して、カフ106の内部空間と連通している。
なお、固定板128の中央部には、収納孔231が形成されている。また、接着部129は、略円形の貫通孔130と、外周から貫通孔130に向かって形成された溝部を有している。この貫通孔130は、収納孔231と連通している。収納孔231には、チューブ体102と、空気注入用チューブ125とが貫通する。つまり、空気注入用チューブ125は、接着部129の溝部と固定板128の収納孔131を貫通する。そして、図4(B)または図4(C)に示すように、空気注入用チューブ125は、チューブ体102の湾曲部123における湾曲の内側に沿って配置され、チューブ体102の外周面102cに固定される。
空気注入孔126aからパイロットバルーン126および空気注入用チューブ125を介して送り込まれた空気がカフ106に入ることで、カフ106は膨らみ、気管7の粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)に密着する。これにより、チューブ体102と気管7との間に形成される隙間を塞ぐことができる。
カフ106がチューブ体102と気管7との間に形成される隙間を塞ぐことで、人工呼吸器から送られた酸素が喉頭側に漏れることを防止するとともに、喉頭側から流れてきた唾液等が肺側に入りこむことを防止することができる。
(変形例)
上記図5(B)においては、空気注入用チューブ125がチューブ体102の外周面102cに固定される形態について述べたが、この形態には限定されず、例えば、図5(C)に示すように、空気注入用チューブ125の代わりに、チューブ体302のチューブ壁内に空気注入用ルーメン125aを設けて、パイロットバルーン126からカフ106に空気を送り込んでもよい。
<第3の実施形態>
本発明の気管用チューブの第3の実施形態について、図6を参照して、説明する。図6に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブである。
図6に示す第3の実施形態の気管切開チューブ401と、上述した図5に示す第2の実施形態の気管切開チューブ301との相違点は、主に、気管切開チューブ401がカフ側吸引部138を有する点が挙げられる。そこで、以下では、主にカフ側吸引部138など気管切開チューブ301と異なる点について説明し、気管切開チューブ301と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
チューブ体102を挟んで、カフ調整部108と反対側には、カフ側吸引部138が配置されている。カフ側吸引部138は、カフ側吸引コネクタ139と、カフ側吸引チューブ140とから構成される。
なお、固定板128の中央部には、収納孔331が形成されている。カフ側吸引チューブ140は、空気注入用チューブ125と同様に、接着部129の溝部および固定板128の収納孔331を貫通する。そして、図5(B)に示すように、カフ側吸引チューブ140は、チューブ体102の湾曲部123における湾曲の外側に沿って配置され、チューブ体102の外周面102cに固定される。
カフ側吸引チューブ140の一端は、カフ106の近傍にまで延びて開口しており、この開口によりカフ側吸引口140aが形成されている。カフ側吸引チューブ140の他端部には、カフ側吸引コネクタ139が取り付けられている。カフ側吸引コネクタ139には、吸引器(図示せず)が装着される。
喉頭側から流れてきた唾液等は、気管7の粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)を伝い、肺側に流れる。この唾液等は、膨張状態にあるカフ106によって堰き止められ、粘膜(皮膚側気管粘膜7a、体内側気管粘膜7b)とカフ106により形成される空間に溜まる。そして、カフ106によって堰き止められた唾液等は、吸引器が作動することで、カフ側吸引部138により、カフ側吸引口140aから吸引される。
なお、カフ側吸引チューブ140の内周面には、上述した被膜150が配置されていてもよい。撥痰性層154を含む被膜150をカフ側吸引チューブ140の内周面上に配置することにより、カフ側吸引チューブ140の内周面に痰が付着するのを防止し、カフ側吸引チューブ140の閉塞の発生を抑制できる。
また、カフ106よりも肺側に付着した痰などの異物を吸引するために、さらに吸引ラインおよび関連する構成を付加してもよい。
(変形例)
上記図6(B)においては、空気注入用チューブ125およびカフ側吸引チューブ140がチューブ体102の外周面102cに固定される形態について述べたが、この形態には限定されず、例えば、図6(C)に示すように、空気注入用チューブ125の代わりにチューブ体402のチューブ壁内に空気注入用ルーメン125bを設けると共に、カフ側吸引チューブ140の代わりにチューブ体402のチューブ壁内にカフ側吸引用ルーメン140bを設けてもよい。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について、図7を参照して説明する。図7に示す気管用チューブは、いわゆる気管切開チューブであるが、複管式気管切開チューブまたは内筒付き気管切開チューブなどと呼ばれ、気管切開術後の気道確保目的に使用する気管切開チューブ本体と、チューブ内の分泌物除去および内腔の開存性を高めるために使用するインナーカニューラを組み合わせたものであり、インナーカニューラ(以下「内筒」という場合がある。)を気管切開チューブ本体(以下「外筒」という場合がある。)に挿入して使用する。
以下、複管式気管切開チューブ701を構成する各部材について詳述する。
内筒701aを構成するチューブ体102は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体102の内部には、チューブ体102の長さ方向に沿って呼気が通る空間である呼吸路102aが形成されている。チューブ体102は、先端部122と、先端部122と反対側に配置される基端部121とを有し、所望により、基端部121と先端部122との間に位置する湾曲部123を有していてもよい。チューブ体102は可撓性を有する材料で構成され、チューブ体702に沿って変形することが好ましい。
チューブ体102が湾曲部123を有する場合は、先端部122の中心軸と基端部121の中心軸が角度θで交差するように湾曲し、チューブ体102は略L字状に形成されてもよい。図7(A)に示すチューブ体102においては、角度θは約90°である。
チューブ体102の材質の材質としては、例えば、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
外筒701bを構成するチューブ体702は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する筒形状に形成される。チューブ体702の内部には、チューブ体702の長さ方向に沿ってインナーカニューラ(内筒)を挿入するための空間である内筒挿入用ルーメン702aが形成されている。チューブ体702は、先端部722と、先端部722と反対側に配置される基端部721と、基端部721と先端部722との間に位置する湾曲部723を有する。湾曲部723は先端部722の中心軸と基端部721の中心軸が角度θで交差するように湾曲しており、この第4の実施形態では、チューブ体702は略L字状に形成される。つまり、角度θは約90°である。
なお、チューブ体702は、患者の体位の変化等に合わせて上記θが約90°から約120°までの範囲で変化しうる程度の可撓性を有する。
チューブ体702の材質としては、例えば、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
なお、チューブ体702の内管挿入用ルーメンを形成する内面には被膜150と同様の構成を備える被膜が配置されていてもよい。
また、チューブ体702の基端部721は、気管切開孔から体外に露出しており、この基端部721に、人工呼吸器(図示せず)が取り付けられている。人工呼吸器が作動することで、内筒の呼吸路102a内に呼気が通る。これにより、患者の呼吸を持続させ、呼吸管理を行っている。その結果、呼吸に必要な酸素の通り道である気道が閉塞することを防止することができ、患者の呼吸管理を行うことができる。
固定部727は、チューブ体702の基端部721に取り付けられている。固定部727は、チューブ体702を患者に装着した際に、皮膚5に当接することで、先端部722を気管7内の適切な位置に固定するものであり、固定板728と、接着部729とを有している。
固定板728は、平板状の部材で、中央部に、固定板728を貫通する収納孔731が形成されている。そして、固定板728の表面には、接着部729が取り付けられ、固定板728の裏面は、患者の皮膚5に当接される。
接着部729は、チューブ体702を固定部727に接着するもので、中央に略円形の貫通孔730が形成されたリング形状を有している。接着部729の貫通孔730は、固定板728の収納孔731と連通しており、貫通孔730の大きさは、チューブ体702の外径に合わせて設定される。
このような固定板728の収納孔731および接着部729の貫通孔730に、チューブ体702が貫通され、例えば、接着剤により固定される。
本実施形態では、チューブ体702を接着部729に固定する方法として、接着剤による固定を例に挙げたが、例えば、溶着による固定など各種の固定方法を採用することができる。
内筒を構成するチューブ体102の呼吸路102を構成する内面に設置された被膜150については、本発明の第1の実施形態において説明したとおりである。
以上では、本発明の複管式気管切開チューブの一形態について説明したが、本発明の第2の実施態様、第3の実施態様と同様に、カフおよびカフ調整部、吸引ラインならびに関連する構成を付加する等の変形が可能である。
<第5の実施形態>
本発明の気管用チューブの第5の実施形態について、図8および図9を参照して、説明する。図8および図9に示す気管用チューブは、いわゆる気管内チューブである。
図8および図9に示す気管内チューブ501は、患者の呼吸管理を行うための器具であり、患者の口から気管7に挿入される。気管内チューブ501は、チューブ体202と、カフ206と、空気注入用チューブ225とから構成される。
図9(B)に示すように、チューブ体202の内周面には、全周にわたって上述した被膜150が配置されている。被膜150の形態は上述の通りであり、説明を省略する。
気管内チューブ501は、チューブ体202と、このチューブ体202の長手方向に沿って設けられ、チューブ体202の少なくとも先端部222付近まで延長された空気注入用ルーメン225bと、チューブ体202の先端部付近に、チューブ体202の外周面を囲むように設けられ、空気注入用ルーメン225bの一端と連通する膨張収縮可能なカフ206と、空気注入用ルーメン225bの他端と連通し、カフ206が膨張しているかどうかを確認するパイロットバルーン226とを有している。
チューブ体202は、両端が開口した筒状に形成される。チューブ体202は、先端部222と、先端部222と反対側に設けられる基端部221と、基端部221と先端部222との間に位置する湾曲部223を有する。
チューブ体202は、可撓性を有する材料で構成されており、麻酔ガス、酸素ガス等を導入するための先端部222から基端部221まで貫通した呼吸路202aを有している。チューブ体202の先端部222は、体内への挿入を容易なものとするために、滑らかなベベル状に形成されている。また、基端部221には、呼吸回路に接続するためのコネクタ212が取り付けられている。
チューブ体202を形成するチューブ壁には、図9(B)に示すように、呼吸路202aより細い空気注入用ルーメン225bが、チューブ体202の長手方向に沿って設けられている。この空気注入用ルーメン225bは、後述するカフ206内に空気を送り込むためのインフレーション用のルーメンである。また、この空気注入用ルーメン225bは、カフ206内のチューブ体202のチューブ壁の外面に形成されたカフ側開口部225aを介して、カフ206の内部空間と連通している。
また、空気注入用ルーメン225bは、図9(A)に示すように、基端部221付近の位置において、チューブ体202のチューブ壁外面に形成された切欠部207を介して空気注入用チューブ225と連通している。
空気注入用チューブ225と空気注入用ルーメン225bとの接続は、例えば、予め加熱したマンドレルを空気注入用ルーメン225b内に挿入し、このマンドレルの抜去と同時に空気注入用チューブ225を空気注入用ルーメン225b内に挿入し、溶剤または接着剤を用いて固着する方法などにより行なわれる。
チューブ体202の先端部付近には、その外周面を環状に囲むようにして、膨張収縮可能なカフ206が設けられている。
このカフ206は、予めチューブ体202の外径よりも大きな内径を有する筒形状に成形された膜を空気注入用ルーメン225bのカフ側開口部225aを覆うようにしてチューブ体202の外周にかぶせ、その両端をチューブ体202の外周面に対し、接着剤、溶剤により接着するか、または熱、高周波等により融着することにより、気密的に固着して取り付けられる。
また、空気注入用チューブ225の後端部には、カフ206の膨張・収縮の程度を認識するための膨張収縮可能なパイロットバルーン226が、空気注入用チューブ225と連通するように設置されている。
さらに、パイロットバルーン226の後端側には、パイロットバルーン226内への気体の流入は許容するが、膨張したパイロットバルーン226からの気体の流出は阻止する機能を有する逆止弁226aが設置されている。この逆止弁226aにシリンジ等を接続して空気のような気体を圧入すると、その気体は、パイロットバルーン226、空気注入用チューブ225内、空気注入用ルーメン225bおよびカフ側開口部225aを介してカフ206内に送り込まれ、カフ206が膨張する。
以上では、本発明の気管内チューブの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、吸引ラインおよび関連する構成を付加する等の変形が可能である。
<第6の実施形態>
本発明の気管用チューブの第6の実施形態について、図10を参照して、説明する。図10に示す気管用チューブは、小気管切開チューブ、経皮的気管穿刺チューブ、輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ、輪状甲状膜切開用気管カニューレなどとも呼ばれるものである。以下では、輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレという場合がある。
図10に示す気管カニューレ801は、緊急に呼吸管理を必要とする患者の呼吸管理を行うための器具であり、患者の輪状甲状膜に穿刺して気管7に挿入される。気管カニューレ801は、チューブ体102と、固定部127とから構成される。気管カニューレ801のチューブ体102は、挿入した内針とセットにして輪状甲状膜を穿刺することから、外針ともいわれる。
気管カニューレ801は、内針(図示せず)が挿入されるチューブ体102と、チューブ体の基端部に備えられ、チューブ体102を皮膚に固定する固定部127とを備えている。チューブ体102は合成樹脂製であり、先端部に内針の軸方向に対して15°以下の角度をなすように湾曲している湾曲部を備えている。
気管カニューレ801のチューブ体102の内周面には、全周にわたって上述した被膜150(図示せず)が配置されている。被膜150(図示せず)の形態は上述のとおりであり、説明を省略する。
気管カニューレ801を使用するときには、チューブ体102に金属製の内針(図示せず)を挿入した状態で、輪状軟骨と甲状軟骨との間の輪状甲状膜(輪状甲状靭帯部)に穿刺する。次いで、内針(図示せず)を抜去して、チューブ体102のみを気管内に留置する。そして、固定部127に設けられた紐通し孔(図示せず)に挿通した綿テープ等(図示せず)を頸部に固縛することにより、気管カニューレ801を固定する。
以上では、本発明の輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、種々の変形が可能である。
<第7の実施形態>
本発明の気管用チューブの第7の実施形態について、図11を参照して説明する。図11に示す気管用チューブは、輪状甲状膜穿刺用気管カニューレ、輪状甲状膜切開用気管カニューレなどとも呼ばれるものである。以下では輪状甲状膜の穿刺孔から挿入可能な気管カニューレという場合がある。
図11に示す気管カニューレ901は、気管もしくは気管支の内部に貯留した分泌液の吸引除去を目的として、首部前面から気管の内部へ通じる吸引通路を確保するために使用する気管分泌物吸引、または緊急時の救急蘇生を目的として、首部前面から気管の内部へ通じる呼吸気道を確保するために使用する緊急気道確保のために使用する器具であり、患者の輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を通じて気管7に挿入される。気管カニューレ901は、チューブ体102と固定部127(特に、フランジ部ともいう。)とから構成される。
気管カニューレ901は、イントロデューサ(図示せず)が挿入されるチューブ体102と、チューブ体の基部に備えられ、チューブ体102を皮膚に固定する固定部127(フランジ)とを備えている。チューブ体102は合成樹脂製であり、基端部から先端部にかけて湾曲する湾曲部を備えている。
気管カニューレ901のチューブ体102の内周面には、全周にわたって上述した被膜150(図示せず)が配置されている。被膜150(図示せず)の形態は上述のとおりであり、説明を省略する。
気管カニューレ901は、例えば、セルジンガー法を用いて気管7に導入したガイドワイヤ(図示せず))を介してダイレータ(図示せず)による拡張操作で輪状甲状膜の穿刺孔を拡張し、輪状甲状膜の拡張した穿刺孔から、イントロデューサ(図示せず)を挿入したチューブ体102を気管7に挿入し、イントロデューサを抜去して気管カニューレ901を気管内に留置することができるが、輪状甲状膜を切開して、切開孔からイントロデューサ―を挿入したチューブ体102を気管7に挿入し、イントロデューサを抜去して気管カニューレ901を気管内に留置してもよい。気管カニューレ901の留置後は、気管カニューレ901を介して、サクションカテーテル(図示せず)を使用した通常の気管内の吸引や酸素または空気の送気を行うことができる。
以上では、本発明の輪状甲状膜の穿刺孔から挿入可能な気管カニューレの一形態について説明したが、本発明の気管切開チューブと同様に、種々の変形が可能である。
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。
ただし、本発明の範囲は実施例に限定されない。
[実施例1]
(1)金属酸化物複合粒子の調製
平均1次粒子径12nmおよびBET比表面積200m/gの気相法シリカ)粉末(製品名「AEROSIL 200」日本アエロジル(株)製)100gを反応槽に入れ、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら市販の表面処理剤500gをスプレーし、次いで200℃で30分間攪拌した後、冷却した。このように表面改質シリカ微粒子(金属酸化物複合微粒子)の粉末を得た。上記の処理剤として、ポリフルオロオクチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートのコポリマーの水分散液(固形分濃度:20質量%)を処理剤として用いた。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
(2)分散液の調製
表面改質シリカ微粒子30質量部と市販の熱接着剤(ポリプロピレン系熱接着剤分散液100質量部(固形分18質量%、以下同じ)とを有機溶剤(トルエン)200質量部に添加・混合することにより分散液を調製した。
(3)撥痰性層の形成
ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリウレタン系ドライラミネート接着剤/アルミニウム箔(20μm)/ポリウレタン系ドライラミネート接着剤/(ポリエチレン/ポリプロピレン)共押し出しフィルムの表面に、バーコーターを用いて「(2)分散液の調製」で準備した分散液を乾燥後塗布量が3g/mとなるように塗布し、続いて、180℃のオーブン中で15秒間加熱することにより、実施例1の試験片を得た。
(4)各種試験
ヒトまたはブタから痰を採取し、痰1〜5に付番し、それぞれの粘度を、E型粘度測定器を用いて測定した。痰の粘度の測定結果を、表2の「粘度」の欄に記載した。
4.1)撥痰性(痰付着抑制能)
試験片1を必要数用意し、30°の傾斜台の上に乗せ、そこに痰サンプル1〜5を100μLずつ滴下した。その際の痰の動きを観察し、次の基準により撥痰性があるかないかの評価をした。結果を表2の「撥痰性」の欄に示す。
滴下した痰が転がった・・・撥痰性「あり(Yes)」
滴下した痰が転がらずに付着した、または濡れ広がって垂れていった・・・撥痰性「なし(No)」
4.2)移動距離
痰を滴下してから30秒間の痰の移動距離を測定した。30秒間で痰が試験片表面から移動して(または、濡れ広がって)落下した場合は、落下するまでの移動距離と時間から、30秒間の移動距離を算出した。結果を表2の「移動距離」の欄に示す。なお、「>2250」は移動距離が測定限界の2250mmに達したことを意味する。
4.3)痰残渣量
試験片のコーティング面に各痰サンプルを100μLずつ滴下した後、その痰を吸引した後の痰の残渣を肉眼で観察し、残渣量の多少を「無し(None)」、「少ない(Low)」、「中程度(Middle)」および「多い(High)」のいずれかで評価した。結果を表2の「痰残渣量」の欄に示す。
4.4)耐変形性
一辺部から対向する他辺部までの長さが約32mmの矩形状の各試験片を用意し、一辺部と他辺部との間が曲率半径5mmで湾曲するように試験片を円弧状に曲げた後、そのコーティング層表面に各痰サンプルを100μLずつ滴下し、試験片を傾けた際の痰の動きを観察し、次の基準により耐変形性があるかないかの評価をした。結果を表2の「耐変形性」の欄に示す。
滴下した痰が傾けた方向に転がった・・・耐変形性「あり(Yes)」
滴下した痰が転がらずに付着した、または濡れ広がって垂れていった・・・、耐変形性「なし(No)」
[実施例2]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、市販の表面処理剤の使用量を500gから300gに変更した点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
作製した試験片を用いて、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表2の「撥痰性」、「移動距離」、「痰残渣量」および「耐変形性」の欄に示す。
[実施例3]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、市販の表面処理剤の使用量を500gから800gに変更した点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
[実施例4]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、金属酸化物粒子として、平均1次粒子径30nm、BET比表面積50m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 50」日本アエロジル(株)製)を用いた点、および市販の表面処理剤の使用量を500gから25gに変更した点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
[実施例5]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、金属酸化物粒子として、平均1次粒子径30nm、BET比表面積50m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 50」日本アエロジル(株)製)を用いた点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
[実施例6]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、金属酸化物粒子として、平均1次粒子径7nm、BET比表面積300m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 300」日本アエロジル(株)製)を用いた点、および市販の表面処理剤の使用量を500gから750gに変更した点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
[比較例1]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、市販の表面処理剤の使用量を500gから20gに変更した点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
[比較例2]
金属酸化物複合粒子の調製の際に、処理剤としてトリフロロプロピルトリメトキシシラン100gを用いた点を除いて、実施例1と同様にして金属酸化物複合粒子を調製して、試験片を作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量およびフッ素含有量を表1に示す。
なお、表1中、「SiO」はシリカを、「mass%」は「質量%」を、それぞれ表す。また、実施例1〜6では、形成された撥痰性層において、疎水性酸化物微粒子が三次元網目状構造からなる多孔質層を形成していた。
これらの結果からも明らかなように、所定の被覆量を有するフッ素系樹脂からなる被覆層により被覆された金属酸化物複合粒子(表面改質シリカ微粒子)を含む実施例の撥痰性層は、比較例に比して優れた撥痰性等を発揮できることがわかる。
5 皮膚
7 気管
7a 皮膚側気管粘膜
7b 体内側気管粘膜
11 金属酸化物複合粒子
12 被覆層
13 金属酸化物粒子
21 撥痰性層
22 被コーティング材料
23 空隙
24 表面
101,201,301,401,501 気管切開チューブ
102,202,302,402,702 チューブ体
102a,202a 呼吸路
102c 外周面
106,206 カフ
108 カフ調整部
111,225a カフ側開口部
121,221,721 基端部
122,202,722 先端部
123,223,723 湾曲部
125,225 空気注入用チューブ
125a,125b,225b 空気注入用ルーメン
126,226 パイロットバルーン
126a 空気注入孔
126b 排出口
127,727 固定部
128,728 固定板
129,729 接着部
130,730 貫通孔
131,231,331,731 収納孔
138 カフ側吸引部
139 カフ側吸引コネクタ
140 カフ側吸引チューブ
140a カフ側吸引口
140b カフ側吸引用ルーメン
150 被膜
152 接着層
154 撥痰性層
207 切欠部
212 コネクタ
226a 逆止弁
250 被膜
501 気管内チューブ
601 吸引カテーテル
701 複管式気管切開チューブ
701a 内筒
701b 外筒
702a 内筒挿入用ルーメン
801,901 気管カニューレ
Z 痰

Claims (9)

  1. 気管内の肺側に配置される先端部、および、前記先端部と反対側に設けられる基端部を有し、かつ、内部に呼吸路が形成されたチューブ体を備える気管用チューブであって、
    前記チューブ体の内周面の少なくとも一部に、前記呼吸路に露出する撥痰性層を有する被膜が配置され、
    前記撥痰性層は金属酸化物複合粒子を含有し、
    前記金属酸化物複合粒子は、金属酸化物粒子と、前記金属酸化物粒子の表面に形成されたフッ素系樹脂を含む被覆層とを含み、
    前記金属酸化物複合粒子中のフッ素含有量を前記金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が
    0.025〜0.180 質量%/(m・g−1
    であることを特徴とする気管用チューブ。
  2. 前記金属酸化物複合粒子中の炭素含有量を前記金属酸化物粒子の単位質量あたりの表面積で除した値が
    0.05〜0.400 質量%/(m・g−1
    である、請求項1に記載の気管用チューブ。
  3. 前記金属酸化物粒子の平均1次粒子径が5〜50nmである、請求項1または2に記載の気管用チューブ。
  4. 前記金属酸化物粒子が酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化チタン粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  5. 前記被覆層がケイ素成分を含有しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  6. 前記撥痰性層が多孔質である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  7. 最表面となる撥痰性層表面が前記金属酸化物複合粒子によって形成された凹凸構造を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  8. 前記撥痰性層中における前記金属酸化物複合粒子の含有量が10〜100質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  9. 前記撥痰性層が接着成分をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
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