JP2018068808A - 気管用チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】患者に負担をかけずに気管内の痰等を吸引して除去できる気管用チューブを提供する。【解決手段】気管内の肺側に配置される先端部、先端部の反対側に設けられる基端部、および、基端部から先端部にかけて貫通する気道確保用ルーメンが設けられた管腔体を有する気管用チューブであって、管腔体の先端部の外周に配置される、気体の導入および排出によって膨張および収縮するカフを有し、管腔体は、壁内に、気道確保用ルーメンに沿って形成され、先端部の外壁面の、カフよりも基端部側に開口する吸引ルーメンを有し、さらに、吸引ルーメンの先端部側の端部の壁面の少なくとも一部には撥水性皮膜が設けられ、吸引ルーメンの撥水性皮膜より基端部側の壁面の少なくとも一部には親水性皮膜が設けられる、ことにより課題を解決する。【選択図】図3

Description

本発明は、気管切開チューブおよび気管内チューブなどの気管用チューブに関する。
自発呼吸が困難な患者や、自力で痰の排出が困難な患者に対し、呼吸や痰の排出等を行うための気道を確保する方法としては、例えば、気管挿管、気管切開、輪状甲状膜切開および輪状甲状膜穿刺等の方法が知られている。
気管挿管とは、口または鼻から咽頭を経由して気管に気管用チューブを挿入する方法である。気管切開(外科的気管切開)とは、気管内挿管が長期にわたっている場合や気管挿管ができない場合に対応する方法で、気管とその上部の皮膚を切開してその部分から気管に気管切開チューブと呼ばれる気管用チューブを挿入する方法である。輪状甲状膜切開とは、緊急に気道確保が必要な場合に対応する方法で、輪状甲状膜(輪状甲状靭帯)を切開して気管カニューレを挿入する方法である。さらに、輪状甲状膜穿刺とは、輪状甲状膜を穿刺して気管カニューレを挿入する方法である。
医療従事者は、このような気管用チューブ(気管カニューレ)に人工呼吸器を接続して患者の呼吸を維持したり、気管用チューブに吸引カテーテルを挿入して、貯留した痰等の異物を吸引除去したりしている。
このような気管用チューブでは、患者の負担を低減するために、各種の提案が行われている。
例えば、特許文献1には、気管用チューブを気管の所定位置に固定するためのカフを有する気管用チューブ(気管カニューレ)において、気道確保用ルーメン(呼吸路)とは別に、チューブ壁内に痰を吸引するための吸引路が設けられ、吸引路が、チューブ壁面のカフよりも先端側に開口する気管用チューブが記載されている。
特許文献1の気管用チューブは、このような構成を有することにより、痰の発生後、早期に痰を吸引することを可能にし、さらに、気道確保用ルーメンの中に入り込んだ痰の吸引も可能にしている。
また、特許文献2には、特許文献1と同様に、気道確保用ルーメンとは別にチューブ壁内に痰を吸引するための吸引路を設けた気管用チューブ(気管チューブ)において、吸引路が、気管用チューブの内壁面のみに開口する気管用チューブが記載されている。
特許文献2の気管用チューブは、このような構成を有することにより、気管粘膜が痰の吸引口に吸引され続けることによる粘膜の損傷を防止している。
国際公開第2006/035769号 特開2011−156246号公報
特許文献1および特許文献2の気管用チューブによれば、迅速な痰の吸引や、気管粘膜の損傷を防止することで、気管用チューブを装着する患者の負担を軽減できる。
しかしながら、気管用チューブを装着された患者の負担は、少ない方が好ましく、より好適に気管に発生した痰を吸引できる気管用チューブの出現が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、気管に発生した痰を、より好適に吸引できる気管用チューブ提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、下記構成を採用することによって、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明の気管用チューブは、気管内の肺側に配置される先端部、先端部の反対側に設けられる基端部、および、基端部から先端部にかけて貫通する気道確保用ルーメンが設けられた管腔体を有する気管用チューブであって、
管腔体の先端部の外周に配置される、気体の導入および排出によって膨張および収縮するカフを有し、
管腔体は、壁内に、気道確保用ルーメンに沿って形成され、先端部の外壁面の、カフよりも基端部側に開口する吸引ルーメンを有し、
さらに、吸引ルーメンの先端部側の端部の壁面の少なくとも一部には撥水性皮膜が設けられ、吸引ルーメンの撥水性皮膜より基端部側の壁面の少なくとも一部には親水性皮膜が設けられる気管用チューブを提供する。
このような本発明の気管用チューブにおいて、親水性皮膜が、下記式(1)で表される繰り返し単位(A)および下記式(2)で表される繰り返し単位(B)を有し、かつ、全繰り返し単位に対する繰り返し単位(A)の含有量が0.6〜7モル%である共重合体Aを含むのが好ましい。
ただし、式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、Zは酸素原子または−NH−であり、R12は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R15は、炭素原子数1〜6のアルキレン基である。
式(2)中、R21は、水素原子またはメチル基であり、R22は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R23は、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
また、親水性皮膜が、潤滑性を発現する部位と架橋性を有する部位とを有する重合体Bを架橋させてなるものであるのが好ましい。
また、潤滑性を発現する部位が、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する部位であるのが好ましい。
また、架橋性を有する部位が、エポキシ基を有する部位であるのが好ましい。
また、気管用チューブは、気管切開チューブとして好適に用いられる。
また、気管用チューブは、複管式気管切開チューブとして好適に用いられる。
また、気管用チューブは、気管内チューブとして好適に用いられる。
また、気管用チューブは、輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を介して気管に挿入可能な気管カニューレとして好適に用いられる。
また、気管用チューブは、輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレとして好適に用いられる。
また、気管用チューブは、小気管切開チューブとして好適に用いられる。
本発明によれば、痰の吸引を好適に行える気管用チューブを提供できる。
本発明の気管用チューブである気管切開チューブの一例を患者に装着した状態を概念的に示す図である。 図1に示す気管切開チューブの要部を概念的に示す断面図である。 図1に示す気管切開チューブの先端部を概念的に示す断面図である。 (A)および(B)は、本発明の気管切開チューブの一例の管腔体の断面を概念的に示す図である。 (A)および(B)は、親水性皮膜Aの水層の一例を模式的に示す断面図である。 (A)および(B)は、親水性皮膜Bの水層の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の気管用チューブについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
なお、本発明において、「痰」とは、粘液の一種で、気管等の粘膜から分泌されるスライミーな性質を示す粘性流体であって、程度の差はあるものの、曳糸性(突っ込んだ棒を引き上げたときに、糸を引く性質)および粘弾性(ゴムのように、一部をつかんで持ち上げると伸びて、離すと元の形状に戻り、一定以上伸ばすと切れる性質)を有するものである。痰の主成分としては、水とムチン等の糖タンパク質とが挙げられる。
図1に本発明の気管用チューブを気管切開チューブに利用した一例を、患者に装着した状態を概念的に示す。また、図2に、図1に示す気管切開チューブの断面図を概念的に示す。
図1および図2に示す気管切開チューブ10は、患者の呼吸管理を行なうための器具であり、気管を切開して形成された切開孔から気管Bに直接挿入された状態で使用される。
気管切開チューブ10は、気管切開チューブ10の主要部を構成する管腔体12と、管腔体12を患者に対して固定するための固定部14とを備える。
管腔体12は、両端が開口し、かつ、長さ方向に沿って均一な外径および内径を有する円筒状のものであり、患者に装着した際に気管B内の肺側となる先端部16、先端部16の反対側の基端部18、および、先端部16と基端部との間の湾曲部17を有する。但し、先端部16側の端部は、図2および後述する図3に示すように、外径が、端部に向かって、順次、縮径する、テーパ状(テーパ部16a)になっている。
湾曲部17は先端部16の中心軸と基端部18の中心軸とが角度θで交差するように湾曲している。図2Aにおいて、管腔体12は略L字状に形成されている。つまり、角度θは約90°である。
また、管腔体12は、患者の体位の変化等に合わせて上記θが約90°から約120°までの範囲で変化しうる程度の可撓性を有する。後述する親水性皮膜は、上記θがこの範囲内で変化しても、後述する吸引ルーメンから剥離したり、脱落したりはしない。
前述のように、管腔体12は、円筒状であり、基端部18側の端部から先端部16側の端部まで貫通する、気道確保用ルーメン20を有する。
気管切開チューブ10は、先端部16に、気管切開チューブ10の先端部16を気管Bの所定位置に固定するためのカフ(カフバルーン)24を有する。
カフ24は、気管切開チューブ10に設けられる公知のもので、空気の導入および排出によって、膨らませたり萎ませたりすることができる。なお、図示は省略するが、気管切開チューブ10において、管腔体12には、カフ24に空気を導入および排出するための、カフ24に連通するチューブが設けられる。
管腔体12およびカフ24は、気管切開チューブ(気管用チューブ)で利用されている各種の材料で形成すればよい。一例として、シリコーン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
この場合、管腔体12の気道確保用ルーメン20を形成する内面も、上記合成樹脂により形成される。管腔体12とカフ24とは、同じ材料で形成されても、異なる材料で形成されてもよい。
図1および図2に示されるように、気管切開チューブ10は、仰向けに寝ている(仰臥位)の患者に対して、気管Bの管壁と気管Bの上部の皮膚Sとを切開することで形成された気管切開孔から、管腔体12の先端部16が気管B内に挿入される。
このとき、管腔体12の先端部16は、カフ24を膨らませることで、気管Bの管壁を構成する粘膜(皮膚側気管粘膜Ba、体内側気管粘膜Bb)から所定の間隔を隔てるように、肺側に向けて気管B内に配置され、固定される。
また、管腔体12の基端部18は、気管切開孔から体外に露出しており、この基端部18に、人工呼吸器(図示せず)が取り付けられている。
人工呼吸器が作動することで、気道確保用ルーメン20内に呼気および吸気(呼吸気)が通る。これにより、患者の呼吸を持続させ、呼吸管理を行なっている。その結果、呼吸に必要な酸素の通り道である気道が閉塞することを防止することができ、患者の呼吸管理を行なうことができる。
固定部14は、管腔体12の基端部18に取り付けられている。固定部14は、管腔体12を患者に装着した際に、皮膚Sに当接することで、先端部16を気管B内の適切な位置に固定するものであり、固定板30と、接着部32とを有している。
固定板30は、平板状の部材で、中央部に、固定板30を貫通する収納孔34が形成されている。そして、固定板30の表面には、接着部32が取り付けられ、固定板30の裏面は、患者の皮膚Sに当接される。
接着部32は、管腔体12を固定部14に接着するもので、中央に略円形の貫通孔36が形成されたリング形状を有している。接着部32の貫通孔36は、固定板30の収納孔34と連通しており、貫通孔36の大きさは、管腔体12の外径に合わせて設定される。
このような固定板30の収納孔34および接着部32の貫通孔36に、管腔体12が貫通され、例えば、接着剤により固定される。
図3に先端部16側の先端部近傍を概念的に示す。
前述のように、管腔体12の先端部16側の端部は、外径が、端部に向かって、順次、縮径するテーパ状のテーパ部16aとなっている。
図2および図3に示すように、管腔体12の壁内には、気道確保用ルーメン20に沿って、第1吸引ルーメン40、第2吸引ルーメン42、第3吸引ルーメン46および第4吸引ルーメン48が形成される。第1吸引ルーメン40、第2吸引ルーメン42、第3吸引ルーメン46および第4吸引ルーメン48は、好ましくは、気道確保用ルーメン20と平行(略平行)に設けられる。
第1吸引ルーメン40は、先端部16側の端部のテーパ部16aに開口する(開口40a)。第2吸引ルーメン42は、先端部16側の端部の端面に開口する(開口42a)。第3吸引ルーメン46は、先端部16側の端部近傍において気道確保用ルーメン20の壁面(管腔体12の内壁面)に開口する(開口46a)。さらに、第4吸引ルーメン48は、本発明の特徴的な部位で、先端部16のカフ24よりも、若干、基端部18側の管腔体12の外壁面に開口する(開口48a)。
各吸引ルーメンは、それぞれの開口から接着部32までは、気道確保用ルーメン20に沿って形成される。各吸引ルーメンは、気道確保用ルーメン20の長手方向の接着部32に対応する位置において、管腔体12の外壁面に向かって屈曲し、接着部32を貫通して、接着部32の外壁面に開口する。
また、第1吸引ルーメン40の接着部32外壁面の開口には吸引用チューブ40tが接続される。第2吸引ルーメン42の接着部32外壁面の開口には吸引用チューブ42tが接続される。第3吸引ルーメン46の接着部32外壁面の開口には吸引用チューブ46tが接続される。さらに、第4吸引ルーメン48の接着部32外壁面の開口には吸引用チューブ48tが接続される。なお、吸引用チューブは、図1においては省略している。
従って、各吸引ルーメンに接続される吸引用チューブから吸引を行うことで、各吸引ルーメンの開口から、先端部16側の端部近傍の痰を吸引して除去できる。
具体的には、第1吸引ルーメン40に接続される吸引用チューブ40tから吸引を行うことにより、テーパ部16aに形成された開口40aから、先端部16側の端部近傍の気管粘膜に付着した痰を吸引して除去できる。
第2吸引ルーメン42に接続される吸引用チューブ42tから吸引を行うことにより、先端部16側の端部の端面に形成された開口42aから、先端部16側の端部の近傍の痰や、先端部16側の端部の端面に付着した痰を吸引して除去できる。
第3吸引ルーメン46に接続される吸引用チューブ46tから吸引を行うことにより、先端部16側の端部近傍の気道確保用ルーメン20の壁面に付着した痰を吸引して除去できる。
さらに、第4吸引ルーメン48に接続される吸引用チューブ48tから吸引を行うことにより、患者の誤嚥物等を吸引して除去できる。
すなわち、気管切開チューブ10よれば、気管切開チューブ10の先端部16側の端部近傍に付着した痰や、患者の誤嚥物など、吸引カテーテルでは吸引しにくい痰や異物を、患者に負担を与えることなく吸引して除去できる。
なお、図2および図3では、吸引ルーメンの構成を明確に示すため、4つの吸引ルーメンを円筒状の管腔体12の直径上に示したが、各吸引ルーメンは、実際には、管腔体12の周方向の異なる位置に形成される。
気管切開チューブ10では、管腔体12は、外径はより細く、かつ、内腔すなわち気道確保用ルーメン20はより太いのが好ましい。すなわち、管腔体12を形成する壁の厚さすなわち管腔体12の管肉厚は、薄い方が好ましい。従って、通常、4つの吸引ルーメンは、図4(A)の管腔体12の断面図(図2のA−A線断面)に概念的に示すように、円筒状の管腔体12の周方向の異なる位置に形成される。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、例えば、図4(B)の管腔体12の断面図(図2のA−A線断面)に概念的に示すように、2つの吸引ルーメンを管腔体12の直径上に形成して、他の2つの吸引ルーメンを円筒状の管腔体12の周方向の異なる位置に形成してもよい。あるいは、管腔体12の壁の厚さすなわち管腔体12の管肉厚が十分である場合には、図2および図3に示すように、4つの吸引ルーメンを管腔体12の直径上に設けてもよい。
ここで、本発明の気管切開チューブ(気管用チューブ)では、吸引ルーメンの先端部16側の端部(端部および端部の近傍)の壁面には、撥水性皮膜が形成される。また、吸引ルーメンの壁面の撥水性皮膜よりも基端部18側には、親水性皮膜が形成される。なお、以下の説明では、吸引ルーメンの『先端部16側の端部』を単に『先端部』とも言う。
撥水性皮膜は、吸引ルーメンの先端部の壁面の少なくとも一部に形成すればよいが、好ましくは、吸引ルーメンの先端部の壁面全面に形成する。また、親水性皮膜も、吸引ルーメンの壁面の撥水性皮膜よりも基端部18側の少なくとも一部に形成すればよいが、好ましくは、吸引ルーメンの撥水性皮膜より基端部18側の壁面全面に形成する。
具体的には、図3に概念的に示すように、第1吸引ルーメン40の先端部の壁面には、撥水性皮膜40bが形成される。また、第1吸引ルーメン40の撥水性皮膜40bより基端部18側の壁面には、撥水性皮膜40bの基端部18側の端部から接着部32まで、親水性皮膜40cが形成される。
第2吸引ルーメン42の先端部の壁面には、撥水性皮膜42bが形成される。また、第2吸引ルーメン42の撥水性皮膜42bより基端部18側の壁面には、撥水性皮膜42bの基端部18側の端部から接着部32まで、親水性皮膜42cが形成される。
第3吸引ルーメン46の先端部の壁面には、撥水性皮膜46bが形成される。また、第3吸引ルーメン46の撥水性皮膜46bより基端部18側の壁面には、撥水性皮膜46bの基端部18側の端部から接着部32まで、親水性皮膜46cが形成される。
さらに、第4吸引ルーメン48の先端部の壁面には、撥水性皮膜48bが形成される。また、第4吸引ルーメン48の撥水性皮膜48bより基端部18側の壁面には、撥水性皮膜48bの基端部18側の端部から接着部32まで、親水性皮膜48cが形成される。
なお、本発明において、撥水性とは、水を撥ねる性質であり、撥水性皮膜とは、傾斜角を30°とし、其処に水滴を100μLずつ滴下した際に、水滴が転がる表面をいう。
より好ましくは、撥水性皮膜は撥痰性を有する。撥痰性とは、痰を撥ねる性質を言う。具体的には、撥水性皮膜(撥痰性皮膜)は、傾斜角を30°とし、そこに痰を100μLずつ滴下した際に、痰が転がる表面であるのが好ましい。
本発明の気管切開チューブ10(気管用チューブ)は、第4吸引ルーメン48が、好ましくは全ての吸引ルーメンが、このような撥水性皮膜および親水性皮膜を有することにより、先端部の撥水性皮膜によって、吸引ルーメンの開口近傍の痰や異物を容易に吸引ルーメン内に取り込むことができると共に、親水性皮膜によって、吸引ルーメン内を部分的に痰で満たしたような状態にできるので、十分な吸引力で痰を吸引して、吸引ルーメンから排出できる。
また、後述するが、吸引ルーメンが親水性皮膜(水層)を有することで、痰が吸引ルーメン内に付着して、吸引ルーメンを閉塞することも防止できる。
なお、本発明において、撥水性皮膜を形成する吸引ルーメンの先端部16側の端部(端部および端部の近傍)、すなわち、撥水性皮膜を形成する吸引ルーメンの先端部とは、吸引ルーメンの先端部16側の開口から、基端部18側に1〜20mmまでの領域の間で選択される、いずれかの領域を示す。従って、本発明において、撥水性皮膜を形成する吸引ルーメンの先端部は、吸引ルーメンの先端部16側の開口から基端部18側に3mmまでの領域、吸引ルーメンの先端部16側の開口から基端部18側に18mmまでの領域など、吸引ルーメンの先端部16側の開口から、基端部18側に1〜20mmまでの領域の間で、適宜、設定すればよい。
また、本発明において、吸引ルーメンの先端部は、好ましくは、吸引ルーメンの先端部16側の開口から、基端部18側に1〜10mmまでの領域の間で選択される、いずれかの領域である。
また、開口40aのように、吸引ルーメンがテーパ状の位置に開口する場合には、撥水性皮膜を形成する吸引ルーメンの先端部は、吸引ルーメンの先端部16側の開口の先端部側の位置から、開口の基端部18に最も近い位置を基点とする基端部18側に1〜20mmまでの領域の間で選択される、いずれかの領域を示す。すなわち、図3においては、第1吸引ルーメン40の開口40aの図中下側の位置から、第1吸引ルーメン40の開口40aの図中上側の位置を基点とする基端部18側に1〜20mmまでの領域の間で選択される、いずれかの領域を、撥水性皮膜を形成する第1吸引ルーメン40の先端部とする。
また、第4吸引ルーメン48の開口48aは、先端部16の外壁面のカフ24よりも基端部側に配置されていればよいが、カフ24近傍に配置されるのが好ましい。具体的には、開口48aとカフ24との間隙は0〜10mmであるのが好ましく、0〜5mmであるのがより好ましい。
本発明において、撥水性皮膜40b、42b、46bおよび48bには、特に限定はなく、フッ素系樹脂の皮膜や、シリコーン系樹脂の皮膜など、公知の撥水性の皮膜(撥水性コート層)が、各種、利用可能である。
好ましい撥水性皮膜として、金属酸化物粒子と、その表面に形成されたフッ素系樹脂とからなる金属酸化物複合粒子を有する撥水性皮膜が例示される。
金属酸化物粒子は、金属酸化物複合粒子のコアとなり得るものであれば特に限定されず、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛等の粒子(粉末)の少なくとも1種を用いることができる。本発明では、金属酸化物粒子としては、酸化ケイ素(シリカ)粒子、酸化チタン(チタニア)粒子および酸化アルミニウム(アルミナ)粒子からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、酸化ケイ素(シリカ)粒子がより好ましい。
また、粒子の形状は特に限定されず、例えば、球形状、回転楕円体状、円柱状、棒状、板状等の種々の形状であってもよい。
また、金属酸化物粒子の平均1次粒子径は特に限定されないが、5〜50nmであるのが好ましく、7〜30nmであるのがより好ましい。金属酸化物粒子の平均1次粒子径がこの範囲内であると、より優れた撥痰性を得ることができる。
金属酸化物粒子は、公知または市販のものを使用することができる。
酸化ケイ素粒子としては、例えば、AEROSIL(R) 200(平均1次粒子径:約12nm)、AEROSIL(R) 200FAD(平均1次粒子径:約12nm)、AEROSIL(R) 130(平均1次粒子径:約16nm)、AEROSIL(R) 300(平均1次粒子径:約7nm)、AEROSIL(R) 50(平均1次粒子径:約30nm)、AEROSIL(R) 380(平均1次粒子径:約7nm)(以上、日本アエロジル社製)等の商品名で販売されているヒュームドシリカ製品などが挙げられる。
また、酸化チタン粒子としては、例えば、AEROXIDE(R) TiO2 T805(平均1次粒子径:約21nm)(エボニックデグサ社製)等の商品名で販売されているヒュームドチタニア製品などが挙げられる。
また、酸化アルミニウム粒子としては、例えば、AEROXIDE(R) Alu C 805(エボニックデグサ社製)等の商品名で販売されているヒュームドアルミナ製品などが挙げられる。
この撥水性皮膜を構成する金属酸化物複合粒子は、フッ素系樹脂を含む。フッ素系樹脂を使用することによって、金属酸化物粒子(特に、酸化ケイ素粒子)との親和性に優れるがゆえに比較的密着性の高い強固な被覆層を金属酸化物粒子表面上に形成できると共に、高い撥水性(撥痰性)をも発現させることができる。
フッ素系樹脂は、金属酸化物複合粒子の被覆層となり得るものであれば特に限定されず、例えば、含フッ素アクリル系樹脂、含フッ素ウレタン系樹脂、含フッ素アクリルウレタン系樹脂等が挙げられる。
含フッ素アクリル系樹脂は特に限定されるものではないが、フルオロアルキル(メタ)アクリレートのホモ重合体またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートをモノマーとして含む共重合体が好ましく、フルオロアルキルメタクリレートをモノマーとして含む共重合体(ポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂)がより好ましい。
なお、本発明の気管切開チューブ10においては、金属酸化物粒子を用いずに、これらの樹脂のみで、撥水性皮膜を形成してもよい。
ポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂は、公知または市販のものを使用することができる。市販品としては、例えば、CHEMINOX FAMAC−6(ユニマテック社製)、Zonyl TH Fluoromonomer コード421480(シグマアルドリッチ社製)、SCFC−65530−66−7(Maya High Purity Chem社製)、FC07−04〜10(フルオリ社製)、CBINDEX:58(ウィルシャイア・ケミカル社製)、アサヒガードAG−E530、アサヒガードAG−E060(以上、旭硝子社製)、TEMAc−N(トップ フルオロケム社製)、Zonyl 7950(シグマ−RBI社製)、6100840〜6100842(Weibo Chemcal社製)、CB INDEX:75(ABCR社製)などが挙げられる。
これらの中でも、より優れた撥水性を達成できるという点より、例えば、ポリフルオロオクチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートが共重合したコポリマーをポリフルオロアルキルメタクリル酸樹脂として好適に採用することができる。これらも上記のような市販品を用いることができる。
金属酸化物複合粒子の作製方法は特に限定されず、金属酸化物の粒子(粉末)に対して被覆材としてフッ素系樹脂を用い、公知の塗布方法、造粒方法等に従って被覆層を形成すればよい。
フッ素系樹脂としてポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂を用いる場合であれば、例えば、液状のポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗工液を金属酸化物の粒子に塗布する工程(被覆工程)と熱処理により塗工液から溶媒を除去する工程(熱処理工程)とを含む製造方法によって金属酸化物複合粒子を好適に調製することができる。
塗工液に使用する溶媒は特に制限されず、水のほか、アルコール、トルエン等の有機溶剤を使用することができるが、本発明ではトルエンを用いることが好ましい。すなわち、塗工液としてポリフルオロアルキルメタクリレート樹脂がトルエンに溶解および/または分散した塗工液を使用することが好ましい。
金属酸化物粒子の表面に塗工液を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法に従えばよく、例えば、スプレー法、浸漬法、攪拌造粒法等のいずれも適用することができる。特に、本発明では、均一性等に優れるという点でスプレー法による塗布が特に好ましい。
塗工液を塗布した後、熱処理により溶媒を除去することによって金属酸化物複合粒子を得ることができる。
また、熱処理の際の雰囲気は特に限定されないが、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス(非酸化性)雰囲気が好ましい。
このような金属酸化物複合粒子を含む撥水性皮膜の形成方法は特に限定されず、公知の方法等も適用することができる。
一例として、本発明では、金属酸化物複合粒子を含む分散液を吸引ルーメンの先端部の壁面に塗布する工程を含む方法によって、撥水性皮膜を形成すればよい。すなわち、吸引ルーメンの先端部壁面に分散液を湿式で塗布した後に、溶媒を除去することによって吸引ルーメンの先端部壁面に撥水性皮膜を形成できる。
分散液で使用される溶媒は、特に限定されず、例えば水のほか、アルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA(イソプロピルアルコール)、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等を挙げることができる。溶媒として、水またはアルコールを使用することで、環境への負荷を低く抑えることができる。
また、分散液中には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の接着剤(接着性樹脂)を含有させてもよい。
分散液を吸引ルーメンの先端部壁面に塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、気管切開チューブ10の先端部を、分散液に浸漬し、必要に応じて吸引することによって、吸引ルーメンの先端部の壁面に分散液を塗布すればよい。
分散液を吸引ルーメンの先端部壁面に塗布した後、分散液を乾燥することで、撥水性皮膜を形成する。
乾燥は自然乾燥および加熱乾燥のいずれであってもよい。なお、分散液を加熱乾燥する場合には、加熱温度や加熱乾燥時間は、気管切開チューブ10に悪影響を与えないように設定する。
撥水性皮膜としては、これ以外にも、特開2016−131831号公報、特開2016−131893号公報、国際公開第2013/146377号、国際公開第2016/052336号、国際公開第2016/052340号、国際公開第2016/052350号公報および国際公開第2016/117462号等に記載される撥水性皮膜(撥痰性層)も好適に利用可能である。
なお、撥水性皮膜40b、42b、46bおよび48bは、同じ皮膜でも、互いに異なる皮膜でもよい。
本発明において、親水性皮膜40c、42c、46cおよび48cにも、特に限定はなく、親水性を有する公知の皮膜が、各種、利用可能である。
親水性皮膜としては、具体的には、以下に示す親水性皮膜Aおよび親水性皮膜Bが好適に例示される。なお、本発明の気管切開チューブ(気管用チューブ)は、気道確保用ルーメン20の壁面にも、親水性皮膜Aまたは親水性皮膜Bが形成されるのが好ましい。
以下の説明では、親水性皮膜Aを詳述した後、次いで、親水性皮膜Bを詳述する。
<親水性皮膜A>
親水性皮膜Aは、以下に説明する共重合体Aを少なくとも含む親水性皮膜である。
親水性皮膜Aにおける共重合体Aの含有量は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
<<共重合体A>>
共重合体Aは、下記の式(1)で表される繰り返し単位(A)および下記の式(2)で表される繰り返し単位(B)を有し、かつ、全繰り返し単位に対する繰り返し単位(A)の含有量が0.6〜7モル%である共重合体である。
ただし、式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、Zは酸素原子または−NH−であり、R12は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R15は、炭素原子数1〜6のアルキレン基である。
式(2)中、R21は、水素原子またはメチル基であり、R22は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R23は、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
共重合体Aの末端は特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。共重合体Aは、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
共重合体Aの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000であり、より好ましくは50,000〜500,000である。
なお、「重量平均分子量」は、標準物質としてポリスチレン、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC(Gel Permeation Chromatography))によって測定した値を採用するものとする。
以下、共重合体Aの各構成単位(繰り返し単位)について説明する。
(繰り返し単位(A))
共重合体Aは、式(1)で示される繰り返し単位(A)を必須に含む。
式(1)中、R11は水素原子またはメチル基であり、メチル基が好ましい。
式(1)中、Zは酸素原子または−NH−である。耐久性の観点からは、Zが−NH−であるのが好ましい。Zが−NH−である場合、式(1)中において、アミド構造を構成する。そのため、Zが酸素原子である場合(すなわち、式(1)においてエステル構造を構成する場合)よりも耐加水分解性に優れ、長期間にわたって生体成分と接触する用途に適している。
式(1)中、R12は、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であるのが好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基であるのがより好ましく、エチレン基、トリメチレン基であるのが更に好ましい。
式(1)中、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるのが好ましく、炭素原子数1または2のアルキル基(メチル基、エチル基)であるのがより好ましく、メチル基であるのが更に好ましい。
式(1)中、R15は、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキレン基であり、具体的には、R12の説明で例示したものと同様の基が挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であるのが好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基であるのがより好ましく、トリメチレン基であるのが更に好ましい。
以上より、繰り返し単位(A)について、式(1)中、R11はメチル基であり、Zは酸素原子または−NH−であり、R12は炭素原子数1〜4のアルキレン基であり、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素原子数1または2のアルキル基であり、R15は炭素原子数1〜4のアルキレン基であるのが好ましい。さらに、式(1)中、R11はメチル基であり、R12は炭素原子数2または3のアルキレン基であり、Zは酸素原子または−NH−であり、R13およびR14は炭素原子数1のアルキル基(メチル基)であり、R15は炭素原子数3のアルキレン基であるのが更に好ましい。
共重合体Aは、繰り返し単位(A)を形成するモノマー(以下、「モノマーa」とも言う)と、以下に詳述する繰り返し単位(B)を形成するモノマー(以下、「モノマーb」とも言う)との重合反応によって得ることができる。
モノマーaとしては、たとえば、Zが酸素原子の場合、または、Zが−NH−の場合として、以下の化合物を用いることができる。下記のモノマーは、1種単独で、または2種以上が混合して用いられてもよい。また、Zが酸素原子である化合物と、Zが−NH−である化合物の両方を混合して用いてもよい。
Zが酸素原子である場合、モノマーaとしては、たとえば、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル}ジメチル−(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル}ジエチル−(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル}ジエチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピル}ジメチル−(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピル}ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピル}ジエチル−(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピル}ジエチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられるが、好ましくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシドである。
また、Zが−NH−である場合、モノマーaとしては、たとえば、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、[3−(アクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル}ジメチル(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル}ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル}ジエチル(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{2−[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル}ジエチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル}ジメチル(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル}ジエチル(2−スルホエチル)アンモニウムヒドロキシド、{3−[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル}ジエチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられるが、好ましくは[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシドである。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」および/または「メタクリル」を示すものであり、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」および/または「メタクリロイル」を示すものであり、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」および/または「メタクリレート」を示すものである。
(繰り返し単位(B))
共重合体Aは、式(2)で示される繰り返し単位(B)を必須に含む。
式(2)中、R21は水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。
式(2)中、R22は、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であるのが好ましく、メチレン基、エチレン基であるのがより好ましく、エチレン基であるのが更に好ましい。
式(2)中、R23は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるのが好ましく、炭素原子数1または2のアルキル基(メチル基、エチル基)であるのがより好ましく、メチル基であるのが更に好ましい。
以上より、繰り返し単位(B)について、式(2)中、R21は、水素原子またはメチル基であり、R22は、炭素原子数1〜3のアルキレン基であり、R23は、炭素原子数1または2のアルキル基であるのが好ましい。さらに、式(2)中、R21は、水素原子またはメチル基であり、R22は、炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基)であり、R23は、炭素原子数1のアルキル基(メチル基)であるのがより好ましい。
繰り返し単位(B)を構成するモノマーbとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸プロポキシメチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸プロポキシブチル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシブチル等が挙げられる。
モノマーbとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルであり、入手が容易であるという観点から、より好ましくは、アクリル酸メトキシエチル(MEA)である。
上記モノマーは、1種単独で、または2種以上が混合して用いられてもよい。
(各繰り返し単位の含有量)
共重合体Aは、共重合体Aの全構成単位(100モル%)中、繰り返し単位(A)を、0.6〜7モル%含む。繰り返し単位(A)は、全構成単位中、0.8〜6モル%であるのが好ましく、0.9〜4.7モル%であるのがより好ましく、1〜4モル%であるのが更に好ましい。
共重合体Aの全構成単位中、繰り返し単位(B)は、例えば60モル%以上含まれていると好ましく、80モル%以上含まれているとより好ましく、90モル%以上含まれていると更に好ましく、93モル%以上含まれていると特に好ましい。一方、その上限は、上記繰り返し単位(A)との関係から、99.4モル%である。
共重合体Aは、上記繰り返し単位(A)および(B)以外の構成単位を含んでいてもよいが、上記繰り返し単位(A)および(B)のみから構成されていると好ましい。すなわち、共重合体Aにおいて、繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)の合計量が100モル%であると好ましい。
共重合体Aにおける各繰り返し単位の含有量(割合)は、NMR(nuclear magnetic resonance)法により決定された値を採用するものとする(後述する重合体Bにおいても同様)。
例えば、繰り返し単位(A)、および繰り返し単位(B)で構成される共重合体Aの場合、繰り返し単位(A)および(B)において、それぞれ特徴的な構造である、窒素原子上のアルキレン基(すなわち、R15)と、アルコキシ基(すなわち、−OR23)の1H−NMRの積分値を求め、当該積分値の比率に基づいて、共重合体Aにおける繰り返し単位(A)、と繰り返し単位(B)との割合を解析できる。また、1H−NMRの測定において、ピークが重なる場合は、13C−NMRを用いて算出することができる。
(他の繰り返し単位)
前述のように、共重合体Aは、繰り返し単位(A)および(B)のみからなると好ましいが、その他の繰り返し単位を含んでいてもよい。すなわち、共重合体Aは、モノマーa、モノマーb、および、これらと共重合可能な他のモノマー(以下、単に「他のモノマー」とも称する。)に由来する構成単位(繰り返し単位)を含んでいてもよい。
モノマーaおよびモノマーbと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート、ジアミノメチル(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアミノブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、N−ビニルアセトアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等がある。
共重合体Aの全構成単位中、上記他のモノマーに由来する繰り返し単位の割合は特に制限されないが、例えば、0モル%を超えて39モル%未満であり、好ましくは0モル%を超えて33モル%未満であり、より好ましくは0モル%を超えて9モル%未満であり、特に好ましくは、0モル%を超えて3モル%未満である。
(共重合体Aの製造方法)
共重合体Aにおける繰り返し単位(A)、繰り返し単位(B)、または他のモノマーに由来する繰り返し単位の割合は、重合の際に用いるモノマーの割合を変更することで、任意に調整できる。より詳細には、重合の際、用いる全モノマーの総モル数に対して、繰り返し単位(A)を構成するためのモノマーaを、0.6〜7モル%の割合で添加すればよい。さらにこのとき、繰り返し単位(B)を構成するためのモノマーbを、用いる全モノマーの総モル数に対して93〜99.4モル%の割合で添加するのが好ましい。基本的には、モノマーa、モノマーb、および任意で添加される他のモノマーの共重合により得られた共重合体Aについて、分子量分画等を行なわない場合、共重合に用いたモノマーの仕込み比率が、得られる共重合体A中の各繰り返し単位の含有量となる。
共重合体Aの製造方法は特に制限されない。例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の重合方法が採用でき、好ましくは製造が容易なラジカル重合を使用する。
また、共重合体Aの製造方法として、放射線や紫外線によるプラズマ重合などを採用し、共重合体Aを含む親水性皮膜Aを、気管用チューブの管腔体の気道確保用ルーメンを形成する内面に形成してもよい。
モノマーの重合方法は、通常、繰り返し単位(A)に対応するモノマーaの一種または二種以上と、繰り返し単位(B)に対応する上記モノマーbの一種または二種以上と、必要であれば他のモノマーとを重合溶媒中で重合開始剤と共に撹拌・加熱することにより共重合させる方法が使用される。
重合温度は、分子量の制御の点から、30〜100℃とするのが好ましい。重合反応は通常30分〜24時間行なわれる。
重合溶媒としては、水; メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類; エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類; 等の水性溶媒が好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、またはプロパノールである。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒中のモノマー濃度(固形分濃度)は、反応溶液全体に対して、通常10〜90質量%であり、好ましくは15〜80質量%である。なお、重合溶媒に対するモノマー濃度は、モノマーa、およびモノマーb、並びに任意に含まれるこれらと共重合可能な他のモノマー(以下、「モノマーa、およびモノマーb、並びに任意に含まれるこれらと共重合可能な他のモノマー」を、「重合モノマー」とも称する。)の総重量の濃度を指す。
重合モノマーを添加した重合溶媒は、重合開始剤の添加前に、脱気処理を行なってもよい。
共重合体Aの製造には、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。
重合開始剤の配合量は、共重合体Aの製造に用いる全モノマー(1モル)に対して、例えば0.0001〜1モルである。
さらに、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、およびその他の添加剤を、重合の際に適宜使用してもよい。
重合反応を行なう雰囲気は特に制限されるものではなく、大気雰囲気下、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等で行なうこともできる。また、重合反応中は、反応液を攪拌しても良い。
重合後の共重合体Aは、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することができる。
精製後の共重合体Aは、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、または加熱乾燥等、任意の方法によって乾燥することもできるが、重合体の物性に与える影響が小さいという観点から、凍結乾燥または減圧乾燥が好ましい。
<<親水性皮膜Aの形成>>
共重合体Aを含む親水性皮膜Aを形成する方法としては、例えば、共重合体Aを得るためのモノマーを含有する重合溶媒を、吸引ルーメンの壁面に塗布して、プラズマ重合を行なう方法; 共重合体Aを含有する塗布剤Aを用いて得る方法; 等が挙げられる。これらのうち、製造の容易さの観点から、後者の方法、すなわち、塗布剤Aを用いて親水性皮膜Aを得る方法が好ましい。
塗布剤Aを用いて親水性皮膜Aを得る場合、具体的には、共重合体Aを含有する塗布剤Aを、吸引ルーメンの壁面に公知の方法により塗布し、その後、乾燥させることによって、親水性皮膜Aを形成する。乾燥温度は、適宜選択され、例えば15〜50℃である。乾燥の際の雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気または窒素ガスもしくはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気が挙げられる。
塗布剤Aは、好ましくは、共重合体Aを溶媒に溶解させた塗布剤である。塗布剤Aに用いる溶媒としては、共重合体Aを溶解できるものであれば特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒; 水; クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン、ベンゼンなどの非プロトン供与性の有機溶媒; 等が例示できる。これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
塗布剤Aに含まれる共重合体Aの量は、任意に設定でき、共重合体Aを飽和量まで溶解させた溶液として用いることもできるが、例えば、塗布剤A全体に対して0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜50質量%がより好ましい。
なお、塗布剤Aは、更に、任意で、架橋剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤等、他の成分を含んでもよい。
<<親水性皮膜Aの厚さ>>
親水性皮膜Aの厚さは、適宜、設定すればよく、特に限定されないが、例えば1〜1000nmの範囲内で形成される。
<親水性皮膜B>
親水性皮膜Bは、以下に説明する重合体Bを架橋させてなる親水性皮膜である。
親水性皮膜Bにおける重合体Bの含有量は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
<<重合体B>>
重合体Bは、潤滑性を発現する部位と、架橋性を有する部位とを有する重合体である。重合体Bの態様としては、共重合体またはマクロモノマーなどの態様が挙げられる。
重合体Bの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000であり、より好ましくは50,000〜500,000である。
潤滑性を発現する部位としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、糖、リン脂質を側鎖に有する単量体、無水マレイン酸などに由来する部位が挙げられ、なかでも、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する部位であることが好ましい。なお、(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
架橋性を有する部位としては、特に限定されず、例えば、加熱処理または触媒などにより架橋する架橋性基を有する部位が挙げられ、その具体例としては、エポキシ基を有する部位、(メタ)アクリロイル基を有する部位などが挙げられる。なお、エポキシ基を有する部位としては、グリシジル(メタ)アクリレートに由来する部位が挙げられ、その具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレートの重合体であるポリグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合体Bが、潤滑性を発現する部位と架橋性を有する部位とを有する共重合体である場合、そのモル比は、1:5〜10が好ましく、1:6〜9がより好ましい。
このような共重合体である重合体Bとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートの重合体であるポリグリシジル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体とを重合させてなる共重合体(ブロック共重合体)が挙げられる。重合条件は、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中において、65〜85℃の温度下で、15〜20時間程度反応させる。
マクロモノマーである重合体Bとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートとジメチル(メタ)アクリルアミドとのマクロモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸・ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体とのマクロモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸・(メタ)アクリルアミド共重合体とのマクロモノマー;等が挙げられる。
このようなマクロモノマーの具体例としては、以下のポリマー(2)が挙げられる。
まず、ジメチルアクリルアミド10gと、連鎖移動剤としてヨード酢酸1gと、開始剤としてt−ブチルパ−オクトエイト0.05gとを、減圧下で80℃、8時間反応させて、ポリマー(1)を得る。得られたポリマー(1)5gと、グリシジルメタクリレート1gとをベンゼン90gに溶解し、少量のハイドロキノンの存在下で、窒素雰囲気中60℃、8時間反応させる。反応生成物を、貧溶媒としてジエチルエーテルを、良溶媒としてテトラヒドロフランを用いて精製して、ポリマー(2)を得る。
<<親水性皮膜Bの形成>>
重合体Bを架橋させてなる親水性皮膜Bを形成する方法としては、例えば、重合体Bを含有する塗布剤Bを用いて得る方法が挙げられる。この場合、より具体的には、重合体Bを含有する塗布剤Bを、吸引ルーメンの壁面に公知の方法により塗布し、その後、加熱等することによって、重合体Bを架橋させて、親水性皮膜Bを形成する。
加熱する場合、加熱条件は特に限定されないが、例えば、50℃超80℃以下の温度下で、5〜20時間程度、加熱させる。
塗布剤Bに用いる溶媒としては、重合体Bを溶解できれば特に制限されず、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム等が挙げられる。
塗布剤Bに含まれる重合体Bの量は、任意に設定でき、例えば、塗布剤B全体に対して、例えば、0.01〜50質量%であり、0.1〜25質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
塗布剤Bには、ピリジンまたはアゾビスイソブチロニトリルなどの公知の触媒を、架橋性を有する部位に応じて適宜選択して配合することが好ましい。
触媒の配合量は、特に限定されないが、1質量部の重合体Bに対して、例えば、0.001〜1質量部の範囲であり、0.005〜0.5質量部の範囲が好ましい。
<<親水性皮膜Bの厚さ>>
親水性皮膜Bの厚さは、適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば1〜1000nmの範囲内で形成される。
[水層]
このような親水性皮膜Aおよび親水性皮膜Bは、呼吸気中の水分、あるいはさらに痰中の水分によって、表面に水層を保持する。親水性皮膜Aおよび親水性皮膜Bが、このような水層を有することにより、気管切開チューブ10は、吸引ルーメン内に吸い取った痰を、吸引ルーメンから好適に吸引して除去できる。
<ポリマー中の水>
PMEA(ポリアクリル酸2−メトキシエチル)などのポリマーは、水を取り込み、保持する。ポリマーに保持された水は、例えばコップの中の水(バルク水:0℃で凍る)とは異なる性質を有する。
このようなポリマー中の水(水和水)は、示差走査熱量計(DSC)測定の結果、凍らない水(不凍水)と、凍る水(凍結可能水)とに分類される。不凍水は、マイナス100℃に冷却しても凍らない水(ポリマーと強固な相互作用を有する水)である。凍結可能水は、0℃付近で凍る水(自由水:ポリマーとの相互作用が非常に小さい)と、マイナス数十度で凍る水(中間水:ポリマーと中程度の相互作用がある水)と2つに分類される(例えば、『M. Tanaka; A. Mochizuki, Effect of water structure on blood compatibility - thermal analysis of water in poly(meth)acrylate, J. Biomed. Mat. Res. Part A 68A(4), 684-695 (2004)』を参照)。
例えばPMEAに水が吸着する過程を、時間分解赤外分光(in situ ATR−IR)法により観測すると、不凍水、中間水および自由水が、それぞれ異なる吸着時間で観測される。具体的には、吸着初期には不凍水がカルボニル基と水素結合し、吸着中期には中間水が側鎖末端メトキシ基と相互作用し、吸着後期にはバルク水と類似した水素結合構造を持つ自由水が結合することが観測される。
<親水性皮膜Aの水層>
呼吸気を接触させた状態の親水性皮膜Aからは、不凍水および中間水の存在が確認される。また、呼吸気の存在下で痰を接触させた状態の親水性皮膜Aからは不凍水、中間水および自由水の存在が確認される。
親水性皮膜Aにおける不凍水、中間水および自由水の相対的な量比を、下記の表1に示す。表1中、「+」の数が多いほど、水の量が多いことを示す。なお、表1中の「−」は、水(ここでは、自由水)が存在しないことを示している。呼吸気における痰の存在の有無によって、中間水および自由水の量が異なり、呼吸気に痰が存在することによって、中間水および自由水が増している。
本明細書においては、親水性皮膜Aから少なくとも不凍水および中間水の存在が確認される場合、親水性皮膜Aに水層が保持されているものとする。
このため、呼吸気中の水分に由来する水層が親水性皮膜Aに保持されている。また、呼吸気に痰が存在する場合には、痰中の水分および呼吸気中の水分に由来する水層が親水性皮膜Aに保持される。
このような水層が親水性皮膜Aに形成されることによって、痰が、親水性皮膜A上に付着せず、呼吸気の流れに応じて移動したり、吸引によって容易に除去されたりする。
ポリマーとの相互作用の強弱の観点から、不凍水からなる水層は親水性皮膜Aに相対的に強く固定された「強固定層」、中間水からなる水層は親水性皮膜Aに相対的に中程度に固定された「中固定層」、自由水からなる水層は親水性皮膜Aに相対的に弱く固定された「弱固定層」と定義することができる。
例えば、呼吸気が痰を含まない場合には、図5(A)に概念的に示すように、親水性皮膜A(図5(A)中、符号52で示す)上に、強固定層Wおよび中固定層W2が、この順に形成されるのが好ましい。図5(A)においては、符号52で示す親水性皮膜Aの滑らかな表面上に強固定層W1が存在し、強固定層W1の上に中固定層W2が存在しており、中固定層W2の上に水層は存在せず、中固定層W2は強固定層W1より相対的に厚い。
また、呼吸気が痰を含む場合には、図5(B)に概念的に示すように、親水性皮膜A(図5(B)中、符号52で示す)上に、強固定層W1、中固定層W2および弱固定層W3が、この順に形成されるのが好ましい。図5(B)においては、親水性皮膜A(符号52)の滑らかな表面上に強固定層W1が存在し、強固定層W1の上に中固定層W2が存在し、更に、中固定層W2の上に弱固定層W3が存在しており、弱固定層W3の上に水層は存在せず、強固定層W1および弱固定層W3の厚さは同等で、中固定層W2は強固定層W1および弱固定層W3より相対的に厚い。
これにより、強固定層W1が、中固定層W2、または、中固定層W2および弱固定層W3によって保護され、保護された強固定層W1によって、親水性皮膜Aに痰が付着することが抑制される。
<親水性皮膜Bの水層>
呼吸気を接触させた状態の親水性皮膜Bからは、不凍水および自由水の存在が確認される。同様に、痰を含む呼吸気を接触させた状態の親水性皮膜Bからは、不凍水および自由水の存在が確認される。
親水性皮膜Bにおける不凍水、中間水および自由水の相対的な量比を、下記の表2に示す。表2中、「+」の数が多いほど、水の量が多いことを示す。なお、表2中の「−」は、水(ここでは、中間水)が存在しないことを示している。呼吸気が痰を含む場合には、痰を含まない場合に比して、自由水が増している。
本明細書においては、親水性皮膜Bから少なくとも不凍水および自由水の存在が確認される場合、親水性皮膜Bに水層が保持されているものとする。
このため、呼吸気中の水分に由来する水層が親水性皮膜Bに保持されている。また、呼吸気に痰が存在する場合には、痰中の水分および呼吸気中の水分に由来する水層が親水性皮膜Bに保持される。
このような水層が親水性皮膜Bに形成されることによって、後掲の試験例2において説明するように、模擬痰が、親水性皮膜B上に付着せず、呼吸気の流れに応じて移動したり、吸引によって容易に除去されたりする。
ポリマーとの相互作用の強弱の観点から、不凍水からなる水層は親水性皮膜Bに相対的に強く固定された「強固定層」、中間水からなる水層は親水性皮膜Bに相対的に中程度に固定された「中固定層」、自由水からなる水層は親水性皮膜Bに相対的に弱く固定された「弱固定層」と定義することができる。
例えば、呼吸気が痰を含まない場合には、図5(A)に概念的に示すように、親水性皮膜B(図5(A)中、符号54で示す)上に、強固定層W1および弱固定層W3が、この順に形成されるのが好ましい。図5(A)においては、符号52で示す親水性皮膜Aの滑らかな表面上に強固定層W1が存在し、強固定層W1の上に弱固定層W3が存在しており、弱固定層W3の上に水層は存在せず、弱固定層W3は強固定層W1より相対的に薄い。
同様に、呼吸気が痰を含む場合には、図5(B)に概念的に示すように、親水性皮膜B(図5(B)中、符号52で示す)上に、強固定層W1および弱固定層W3が、この順に形成されるのが好ましい。図5(B)においては、符号52で示す親水性皮膜Aの滑らかな表面上に強固定層W1が存在し、強固定層W1の上に弱固定層W3が存在しており、弱固定層W3の上に水層は存在せず、強固定層W1および弱固定層W3の厚さは同等である。
これにより、強固定層W1が弱固定層W3によって保護され、保護された強固定層W1によって、親水性皮膜Bに痰が付着することが抑制される。
なお、本発明の気管切開チューブ10において、親水性皮膜は、これに限定はされず、その他の、湿潤時に表面潤滑性を発現する被膜、例えば、国際公開第2006/037626号に記載の公知の親水性皮膜が、各種、利用可能である。
また、親水性皮膜40c、42c、46cおよび48cは、同じ皮膜でも、互いに異なる皮膜でもよい。
本発明の気管切開チューブ10から、気管B内の痰を取り除く場合には、一般的な気管切開チューブと同様、吸引カテーテルを気管切開チューブ10の気道確保用ルーメン20から気管B内に吸引カテーテルを挿入して、吸引カテーテルによって、気管B内の痰を吸引して除去すればよい。
ここで、本発明の気管切開チューブ10は、第4吸引ルーメン48を有する。従って、吸引用チューブ48tから第4吸引ルーメン48内を吸引することで、気管切開チューブ10の外壁面のカフ近傍に付着した誤嚥物等も、好適に吸引して除去できる。
さらに、本発明の気管切開チューブ10は、第4吸引ルーメン48のみならず、第1吸引ルーメン40〜第3吸引ルーメン46を有するので、吸引カテーテル601では吸引して除去しにくい、気管切開チューブ10の先端部16側の端部近傍に付着した痰等も、容易に吸引して除去できる。
図示例の気管切開チューブ10は、管腔体12の先端部16側の端部に形成されたテーパ部16aに開口する第1吸引ルーメン40、先端部16側の先端面に開口する第2吸引ルーメン42、先端部16側の端部近傍の気道確保用ルーメン20の壁面に開口する第3吸引ルーメン46、および、カフ24より基端部18側で管腔体12の外壁面に開口する第4吸引ルーメン48の、4つの吸引ルーメンを有する。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、管腔体12の外壁面に開口する第4吸引ルーメン48を有するものであれば、各種の構成が利用可能である。
すなわち、本発明の気管切開チューブ10(本発明の気管用チューブ)は、第4吸引ルーメン48のみを有する構成、第4吸引ルーメン48と第1吸引ルーメン40とを有する構成、第4吸引ルーメン48と第2吸引ルーメン42とを有する構成、第4吸引ルーメン48と第3吸引ルーメン46とを有する構成、第1吸引ルーメン40と第2吸引ルーメン42と第3吸引ルーメン46とを有する構成、第1吸引ルーメン40と第3吸引ルーメン46と第4吸引ルーメン48とを有する構成等、第4吸引ルーメン48を有するものであれば、各種の構成が利用可能である。
さらに、本発明の気管切開チューブは、テーパ部16aに開口する第4吸引ルーメン48を有するものであれば、第1吸引ルーメン40〜第4吸引ルーメン48とは異なる位置に開口する吸引ルーメンを有してもよい。
また、本発明の気管用チューブは、図示例のような気管切開チューブにも限定はされない。
すなわち、本発明の気管用チューブは、例えば、国際公開第2016/052340号の図6〜図10に図示されている複管式気管切開チューブ、気管内チューブ、輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を介して気管に挿入可能な気管カニューレ、および、輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレ、小気管切開チューブ等、公知の各種の気管用チューブに利用可能である。
[実施例1]
<撥水性皮膜の形成>
(1)金属酸化物複合粒子の調製
平均1次粒子径12nmおよびBET比表面積200m2/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 200」日本アエロジル社製)100gを反応槽に入れ、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら表面処理剤500gをスプレーし、次いで200℃で30分間攪拌した後、冷却した。これにより、表面改質シリカ微粒子(金属酸化物複合微粒子)の粉末を得た。
上記の処理剤として、ポリフルオロオクチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートのコポリマーの水分散液(固形分濃度:20質量%)を処理剤として用いた。
(2)分散液の調製
表面改質シリカ微粒子30質量部と市販の熱接着剤(ポリプロピレン系熱接着剤分散液100質量部(固形分18質量%、以下同じ))とを有機溶剤(トルエン)200質量部に添加・混合することにより分散液を調製した。
(3)撥水性皮膜の形成
先端部16の外壁面の、カフよりも基端部側に開口する第4吸引ルーメン48および吸引用チューブ48tを有する気管切開チューブを用意した。
この気管切開チューブの気道確保用ルーメン20の先端部16側の開口を閉塞して、気管切開チューブの先端部16側の先端を分散液に浸漬した。続いて、180℃のオーブン中で15秒間加熱することにより、第4吸引ルーメン48の先端部の壁面0〜5mmの領域(開口48aからの距離)に、撥水性皮膜48bを形成した。
<親水性皮膜Aの形成>
(1)共重合体Aの作製
アクリル酸メトキシエチル(MEA)5g(38.4mmol)と、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド0.55g(1.9mmol)とを、メタノール22gに溶解し、四口フラスコに入れ、50℃でNバブリングを1時間行ない、メタノール溶液1を得た。
次に、メタノール溶液1に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業社製)0.006gをメタノール1mLに溶解したメタノール溶液2を加え、50℃で5時間重合させて重合液を得た。
得られた重合液をジエチルエーテルに滴下し、析出した共重合体A1を回収した。
共重合体A1における繰り返し単位(A)の含有量は、全繰り返し単位に対して、4.7モル%であった。これは仕込み量から計算される含有量と同様の値であった。
(2)塗布剤Aの調製
共重合体A1について、0.5質量%のメタノール溶液を調製し、これを塗布剤A1とした。
(3)親水性皮膜Aの形成
先に第4吸引ルーメン48の先端部の壁面に撥水性皮膜48bを形成した気管切開チューブの先端部16側の先端を、調製した塗布剤A1に浸漬して、吸引用チューブ48tから吸引を行って、第4吸引ルーメン48の壁面に塗布剤A1を塗布した。なお、吸引ルーメンの先端部の壁面に形成された撥水性皮膜48bには、塗布剤A1は付着しなかった。
次いで、室温(25℃)で塗布剤A1を乾燥して、親水性皮膜48cとして親水性皮膜Aを形成した。
これにより、第4吸引ルーメン48の先端部の壁面に撥水性皮膜48bを有し、第4吸引ルーメン48の撥水性皮膜より基端部18側の壁面に親水性皮膜48c(親水性皮膜A)を有する、気管切開チューブを作製した。
<疑似痰の吸引>
模擬痰として、8質量%せんたく糊水溶液(粘度:5000〜10000cP)を調製した。
この模擬痰をガラス板の表面に付着させ、第4吸引ルーメン48の開口48aを接触させた状態で、吸引用チューブ48tから吸引した。その結果、ガラス板の表面に付着した模擬痰を、好適に吸引、除去することができた。
[実施例2]
(1)重合体Bの作製
アジピン酸2塩化物72.3gに、50℃で、トリエチレングリコール29.7gを滴下し、その後、50℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチルエチルケトン4.5gを加えた。これを、水酸化ナトリウム5g、31%過酸化水素6.93g、界面活性剤ジオクチルフォスフェート0.44gおよび水120gからなる溶液に滴下し、−5℃で20分間反応させ、反応生成物を得た。
得られた反応生成物を、水洗およびメタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させることによって、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物を得た。
得られたポリ過酸化物0.5gを開始剤、ベンゼン30gを溶媒として、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5gを、80℃、2時間減圧下で撹拌しながら重合した。重合後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製を行ない、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリグリシジルメタクリレート(PPO−GMA)を得た。
次いで、得られたPPO−GMA1.0gに、ジメチルアクリルアミド9.0gと、溶媒としてジメチルスルホキシド90gとを仕込み、減圧で密閉にした後、80℃に加熱して18時間重合反応を行なった。
重合反応後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製を行ない、分子内にエポキシ基を有するブロックポリマーを得た。得られたブロックポリマーは、NMRおよびIR測定により、分子内にエポキシ基の存在が確認できた。得られたブロックポリマーを、重合体Bとした。
(2)塗布剤Bの調製
重合体B(2質量部)と、触媒としてピリジン(1質量部)とを、1,4−ジオキサンに溶解し、得られた溶液を塗布剤Bとした。
(3)親水性皮膜Bの形成
実施例1と同様の気管切開カテーテルにおいて、第4吸引ルーメン48の先端部側の壁面に実施例1と同様に撥水性皮膜40bを形成した。さらに、撥水性皮膜40bを形成した第4吸引ルーメン48の壁面に、実施例1と同様に塗布剤Bを塗布した。
次いで、60℃で18時間加熱して、親水性皮膜Bを形成した。
これにより、第4吸引ルーメン48の先端部側の壁面に撥水性皮膜48bを有し、第4吸引ルーメン48の撥水性皮膜より基端部18側の壁面に親水性皮膜48c(親水性皮膜B)を有する、気管切開チューブを作製した。
<疑似痰の吸引>
実施例1と同様に、ガラス板の表面に付着した模擬痰を吸引したところ、ガラス板の表面に付着した模擬痰を、好適に吸引、除去することができた。
気管切開チューブ、複管式気管切開チューブ、気管内チューブ、輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を介して気管に挿入可能な気管カニューレ、輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレ、小気管切開チューブ等に好適に利用可能である。
10 気管切開チューブ
12 管腔体
14 固定部
16 先端部
17 湾曲部
18 基端部
20 気道確保用ルーメン
24 カフ
30 固定板
32 接着部
34 収納孔
40 第1吸引ルーメン
40a,42a,46a,48a 開口
40b,42b,46b,48b 撥水性皮膜
40c,42c,46c,48c 親水性皮膜
40t,42t,46t,48t 吸引用チューブ
42 第2吸引ルーメン
46 第3吸引ルーメン
48 第4吸引ルーメン
52 親水性皮膜A
54 親水性皮膜B
B 気管
Ba 皮膚側気管粘膜
Bb 体内側気管粘膜
S 皮膚
1 強固定層
2 中固定層
3 弱固定層

Claims (11)

  1. 気管内の肺側に配置される先端部、前記先端部の反対側に設けられる基端部、および、前記基端部から前記先端部にかけて貫通する気道確保用ルーメンが設けられた管腔体を有する気管用チューブであって、
    前記管腔体の前記先端部の外周に配置される、気体の導入および排出によって膨張および収縮するカフを有し、
    前記管腔体は、壁内に、前記気道確保用ルーメンに沿って形成され、前記先端部の外壁面の、前記カフよりも前記基端部側に開口する吸引ルーメンを有し、
    さらに、前記吸引ルーメンの前記先端部側の端部の壁面の少なくとも一部には撥水性皮膜が設けられ、前記吸引ルーメンの前記撥水性皮膜より前記基端部側の壁面の少なくとも一部には親水性皮膜が設けられることを特徴とする気管用チューブ。
  2. 前記親水性皮膜が、下記式(1)で表される繰り返し単位(A)および下記式(2)で表される繰り返し単位(B)を有し、かつ、全繰り返し単位に対する前記繰り返し単位(A)の含有量が0.6〜7モル%である共重合体Aを含む、請求項1に記載の気管用チューブ。
    ただし、式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、Zは酸素原子または−NH−であり、R12は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R15は、炭素原子数1〜6のアルキレン基である。
    式(2)中、R21は、水素原子またはメチル基であり、R22は、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、R23は、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
  3. 前記親水性皮膜が、潤滑性を発現する部位と架橋性を有する部位とを有する重合体Bを架橋させてなるものである、請求項1に記載の気管用チューブ。
  4. 前記潤滑性を発現する部位が、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する部位である、請求項3に記載の気管用チューブ。
  5. 前記架橋性を有する部位が、エポキシ基を有する部位である、請求項3または4に記載の気管用チューブ。
  6. 気管切開チューブである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  7. 複管式気管切開チューブである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  8. 気管内チューブである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  9. 輪状甲状膜の穿刺孔または切開孔を介して気管に挿入可能な気管カニューレである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  10. 輪状甲状膜に穿刺可能な気管カニューレである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
  11. 小気管切開チューブである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管用チューブ。
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