JP6598733B2 - てん輪及び時計用調速装置 - Google Patents
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Description
ここで、T:てんぷの振動周期
I:てん輪の慣性モーメント
K:ひげぜんまいのばね定数 である。
すなわち、調速装置の振動周期は、てん輪の回転中心周りの慣性モーメントと、ひげぜんまいのばね定数とに依存して変化する。
これにより、温度上昇すると、てん輪の慣性モーメントが増加し、ひげぜんまいのばね定数が低下するため、調速装置の振動周期は、一般的に低温で短くなり、高温で長くなるという温度特性になっている。
しかしながら、繊維強化プラスチックによっててん輪を形成した場合であっても、単に繊維強化プラスチックを用いただけでは、温度上昇によって生じるてん輪の膨張状態を把握することは難しい。そのため、温度上昇時のてん輪の慣性モーメントを適切に制御することができなかった。
[てん輪及び時計用調速装置の構成]
図1は、実施例1の時計用調速装置を示す斜視図である。図2は、実施例1のてん輪を示す平面図である。以下、図1及び図2に基づき、実施例1のてん輪及び時計用調速装置の構成を説明する。
ここで、アーム部4とリム部5とが結合した状態で、アーム部4の中心Cは、リム部5の中心に一致し、アーム部4は、中心Cからリム部5の直径方向に延びている。つまり、アーム部4の延在方向(軸方向)Aは、リム部5の直径方向と一致している。
また、この錘部6は、一端6a以外は、リム部5に接触していない。そのため、この錘部6は、温度の変化に応じた熱膨張、熱収縮する場合、リム部5と一体にされた一端6aを基準として、リム部5の半径方向の内側に、拘束されずに伸縮する。
ここで、「繊維強化プラスチック」とは、強化繊維に方向性を持たせたまま(長繊維の状態)で作製した織物に、主原料の合成樹脂を含浸させて形成されたプリプレグシートを積層し、合成樹脂の強度を高めたプラスチック複合材料である。繊維に方向性があるため、繊維の配向によって熱膨張率や強度に異方性が出る。つまり、この繊維強化プラスチックは、繊維の方向に沿った方向(平行な方向)には熱膨張率が低く、繊維の方向に直交する方向(垂直な方向)には熱膨張率が高い。そして、この実施例1では、強化繊維が一方向に配向されたユニダイレクショナル材(UD材)を用いている。
また、「一体成形」とは、二次接着や機械的接合を用いないで、部材の接合と同時に製品を一体で成形することであり、アーム部4と、リム部5と、錘部6とを接合すると同時に、各部を形づくることである。ここでは、プリプレグシートを積層して形成したプレート状の繊維強化プラスチックを型によって打ち抜くことで、てん輪2を形成する。
図3は、実施例1のてん輪の常温状態における平面図を示し、図4は、実施例1のてん輪の高温状態における平面図を示す。以下、図3及び図4に基づき、実施例1のてん輪及び時計用調速装置の作用を説明する。
これに対し、このリム部5のうち、錘部6が一体に形成された部分及びその近傍部分(破線βで示す部分)では、半径方向と強化繊維Sの配向方向とのずれが大きい。このため、リム部5のうち、錘部6が一体に形成された部分及びその近傍部分(破線βで示す部分)は、熱膨張率が比較的高いので、中心Cを中心とした半径方向に沿って外側に膨張(拡径)する。これにより、リム部5の錘部6の延在方向Bに沿った方向の直径寸法R3は、常温状態の直径寸法R1よりも長くなる。
この結果、リム部5は、常温から温度が上昇すると、アーム部4の延在方向Aを短軸方向とし、錘部6の延在方向Bを長軸方向とする楕円形状に熱膨張する。
なお、この実施例1では、リム部5が錘部6の延在方向Bを長軸方向とする楕円形状に熱膨張するため、中心Cから錘部6の重心6bまでの半径方向の距離L2は、常温状態での距離L1とほぼ同じである。
しかしながら、実施例1のてん輪2では、上述のように、てん輪2の変形状態を任意に規定することで、温度上昇に伴う慣性モーメントの変化を適切に制御することができる。一方、ひげぜんまいのヤング率(ばね定数)の低下は、実験等により予め把握可能である。そのため、実施例1の時計用調速装置10では、温度上昇時のひげぜんまいのばね定数の低下に基づいて、てん輪2の慣性モーメントの変化を適切に制御することで、時計用調速装置10の振動周期の変化を制御することができ、温度変化による歩度の精度の低下を抑制することができる。
この結果、時計用調速装置10の振動周期の変化を抑えることができ、温度変化による歩度の精度の低下をさらに抑制することができる。
実施例1のてん輪2では、アーム部4の延在方向A及び強化繊維Sの配向方向に対して直交する方向に延在した一対の錘部6を有している。しかしながら、これに限らず、例えば図5に示すてん輪2Aのように、アーム部4と、リム部5とから構成され、錘部を有していないてん輪であってもよい。
この場合であっても、強化繊維Sの配向方向をアーム部4の延在方向Aに対して平行な方向に設定することで、てん輪2の熱膨張の状態を把握することができ、てん輪2の温度上昇時の慣性モーメントの変化を適切に制御することができる。
そのため、例えば、アーム部を三つ以上のアームで構成し、リム部とは別部材によって形成すると共に、三つ以上のアームをてん真3を中心とする放射方向に等角度間隔をあけて延在してもよい。このとき、強化繊維Sの配向方向を、各アームの延在方向に平行な方向に設定することで、アーム部の熱膨張の状態を把握することができる。
このように、温度が下降する場合であっても、てん輪の変形状態を把握することができ、温度下降時のてん輪の慣性モーメントの変化を適切に制御することができる。
1 ひげぜんまい
2 てん輪
3 てん真
4 アーム部
4a 貫通孔
4b,4c アーム
5 リム部
6 錘部
Claims (5)
- てん真と、前記てん真から前記てん真の外側に延びたアーム部と、前記アーム部に支持されて前記てん真を中心とした周方向に沿って円弧状に延びるリム部とを備え、
前記アーム部は、強化繊維を有する繊維強化プラスチックによって形成されると共に、前記強化繊維の配向方向が前記アーム部の延在方向に対して平行な方向に設定されている
ことを特徴とするてん輪。 - 前記リム部に支持されると共に、前記てん真を中心とした半径方向に沿って延びる錘部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のてん輪。 - 前記錘部は、前記繊維強化プラスチックによって形成されると共に、前記錘部の延在方向が、前記アーム部の延在方向及び前記強化繊維の配向方向に対して垂直な方向に設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載のてん輪。 - 前記アーム部と、前記リム部と、前記錘部とが、前記繊維強化プラスチックによって一体成形されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のてん輪。 - ひげぜんまいと、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のてん輪と、を備えた
ことを特徴とする時計用調速装置。
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JP2016109910A JP6598733B2 (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | てん輪及び時計用調速装置 |
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