JP6597858B1 - ディスプレイ用ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】ディスプレイ用ガラスにおいて端面の割れの如き不具合の発生を抑制する。【解決手段】4辺を有する平面視で矩形状のディスプレイ用ガラスであって、4辺の各々が、交わる他の辺に対して90度の方向に対し、+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わり、4辺の各々における端面の端面強度が100MPa以上であり、少なくとも1辺の長さが2500mm以上であり、5000mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用ガラスおよびディスプレイ用ガラスの製造方法に関する。
FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、特に液晶用ガラスに用いられるガラス板の製造方法として、特許文献1等に開示されたフロート法と称される製法が知られている。このフロート法は、溶融錫浴内の錫上に溶融ガラスを流し込み、溶融ガラスを錫上で広げてガラスリボンをつくり、最終的に所定の板厚を有する帯状板ガラスに成形する製法である。溶融錫浴で成形された帯状板ガラスは、溶融錫浴の下流側に設置された徐冷部に引き出され、ここで所定の温度まで冷却された後、ローラコンベア等の搬送手段により切折装置に連続搬送されて所望サイズのガラス板に切折される。切折されたガラス板は、ローラコンベアによって所定の収容部に搬送され、ここでパレット等に一枚ずつ収容され、製品として又は中間製品として採板される。
特許文献2は、帯状板ガラスの正確な切折のため、所定の搬送量検出装置を用いて帯状板ガラスの搬送量を検出する技術を開示している。この搬送量検出装置は、帯状板ガラスに当接して回転する第1ロールと、第1ロールに当接して回転する第2ロールとを備え、第2ロールの熱膨張率が、第1ロールのシートの熱膨張率より低くなっている。
特許文献3は、ガラス板を切断線に沿って切断する切断装置を開示している。この切断装置は、ローラ表面に第1の突起を備えた切断用ローラを回転させ、切断線の下方のガラス板の下面を第1の突起によって突き上げる。さらに切断用ローラの第1の突起の回転方向上流側表面に、第2の突起が設けられている。
特開平8−277131号公報 特開2012−12123号公報 特許第5605726号
上述した様な従来の技術は、製造時における加工精度の向上や破損の防止等を目的としており、製造されたガラス、特に薄いディスプレイ用ガラスの取扱いにおける懸念事項について検討したものではない。例えば、端面の面取り加工を施していないディスプレイ用ガラスは、端面に所定量の凹凸が存在しており、端面強度も十分なものではない。このため、ディスプレイ用ガラスは運搬時等において端面に割れ等の不具合が発生することがあり、そのような不具合に対する対策は未だ十分ではない。
本発明は、端面の割れの如き不具合の発生を抑制可能なディスプレイ用ガラスを提供する。
本発明は、4辺を有する平面視で矩形状のディスプレイ用ガラスであって、4辺の各々が、交わる他の辺に対して90度の方向に対し、+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わり、4辺の各々における端面の端面強度が100MPa以上であり、少なくとも1辺の長さが2500mm以上であり、5000mm以下である。
本発明のディスプレイ用ガラスにおいて、例えば、前記端面の表面における最高点と最低点の距離である最大高さが100μm以内である。
本発明のディスプレイ用ガラスにおいて、例えば、前記端面が、平面視における第1の主面及び第2の主面に対して90度の方向に対し+5度〜−5度の範囲内で交わる。
本発明のディスプレイ用ガラスにおいて、例えば、当該ディスプレイ用ガラスの厚さは、0.05mm〜1mmの範囲である。
本発明によれば、ディスプレイ用ガラスにおいて端面の割れの如き不具合の発生を抑制可能である。
図1は本発明の一実施形態に係るディスプレイ用ガラスの平面図である。 図2は辺の直進性を示す概念図である。 図3はディスプレイ用ガラスの端面付近における拡大断面図を示し、(a)は理想の状態の端面、(b)は斜めにずれた状態の端面、(c)は端面の角度を規定した図である。 図4は端面の最大高さを示す概念図である。 図5はディスプレイ用ガラスの製造装置の全体図である。 図6はディスプレイ用ガラスの両側縁部(耳部)の図およびそれを撮影する撮像装置の概念図である。 図7は図6のP−P線における断面図である。 図8は切線加工装置の全体図である。 図9(a)は切線加工装置におけるカッターホイールの拡大図、図9(b)は切線に対する灯油の供給領域を示す概念図である。 図10は切断装置(ガラス折り装置)の概念図である。 図11はローラコンベアを支持する支持部材の正面図である。 図12は図11を横方向から見たローラコンベアと支持部材の接触部分の側面拡大図であり、(a)は基本形態、(b)は応用形態である。 図13はディスプレイ用ガラスを収納した状態の板状体梱包箱を示す図であって、(a)は全体の断面図および支持部の拡大図、(b)は支持部の変形例の拡大図である。 図14は係止部の台座への固定方法を示す図であり、(a)は固定溝に固定ピンの軸部を挿入する状態、(b)は係止部を水平方向にスライドさせる状態、(c)は係止部が台座に固定された状態を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明に係るディスプレイ用ガラスおよびディスプレイ用ガラスの製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るディスプレイ用ガラスの平面図である。ディスプレイ用ガラス110は、平面視で矩形状(正方形又は長方形)を呈しており、第1辺101、第2辺102、第3辺103、第4辺104を含む4つの辺を有している。平面視においてディスプレイ用ガラス110の全体形状をなす第1の主面121及び当該第1の主面121に対向する第2の主面122が、4つの辺に囲まれており、第1の主面121または第2の主面122が、ディスプレイ用ガラス110の表面または裏面を構成する。
ここでのディスプレイ用ガラス110は、例えば液晶パネルに組み込まれる前の中間製品としてのガラス板に相当し、いわゆる素板と呼ばれる製造物である。ディスプレイ用ガラス110は、最終的な液晶パネルのサイズに合致するように切り出されたものであってもよいし、当該サイズより大きいものであってもよい。ただし、4つの辺に存在する端面の面取り加工や研磨加工は施されていない。
ディスプレイ用ガラス110の厚さは、0.05mm〜1mmの範囲であることが好ましい。厚さがこのような範囲にあることにより、薄型の液晶パネルを容易に製造することができる。しかしながら、このような薄いディスプレイ用ガラスは製造、取り扱いが困難である。例えば製造後、別の場所に移して面取り加工や研磨加工を施す場合、運搬に際して端面に割れ等の不具合が発生しないよう、十分な注意が必要である。しかしながら、そのような懸念事項については、未だ十分な配慮がなされていない。この様な事情に鑑み発明者は鋭意検討し、以下の様な要件を満たしたディスプレイ用ガラスが好ましいことを見出した。
まず、本実施形態のディスプレイ用ガラス110では、4辺の各々がいわゆる所定の直進性を満たしている。直進性とは、所定の1辺が角で交わる他の辺に対して90度の垂直方向に対し、所定の角度の範囲内における勾配をもって延びていることをいう。図2に示すように、勾配角度γは、第3辺103から第1辺101に向かう方向において、第4辺104がディスプレイ用ガラス110の外側へ延びるように傾いた角度に対応し、(+)の角度で表される(図2における第4辺104A)。一方、勾配角度γは、第3辺3から第1辺101に向かう方向において、第4辺104がディスプレイ用ガラス110の内側へ延びるように傾いた角度に対応し、(−)の角度で表される(図2における第4辺104B)。本実施形態のディスプレイ用ガラス110では、1つの辺である第4辺104が、角で交わる他の辺(第3辺103)に対して90度の方向に対し、+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わっている。本実施形態では各辺がこのような直進性(直角度とも呼ばれる)をとることにより、運搬時における端面111の割れ、クラック等の発生が抑制される。尚、本例では、第2辺102と第3辺103のなす角度が90度と仮定し、直角スケール150を用いて直進性を測定している状態を示している。
また、4辺の各々における端面111(図3、図4参照)における強度はJIS R1601:2008またはISO14704:2000に準拠した4点曲げ試験又は3点曲げ試験によって検証され、端面強度として評価される。本実施形態のディスプレイ用ガラス110では、このような規定によって検証された端面強度が、100MPa以上である。従来のガラスの端面強度は100MPaより小さかったが、本実施形態では端面111がこのような十分大きな強度を有することにより、運搬時における割れ、クラック等の発生が抑制される。
できるだけ多くの液晶パネル用のガラスを切り出すため、ディスプレイ用ガラス110の4辺のうち、少なくとも1辺の長さが2500mm以上であり、5000mm以下である。1辺の長さが2800mm以上であることがより好ましい。サイズが大きくなることにより端面111における割れ等の不具合が発生しやすくなるが、本実施形態のディスプレイ用ガラス110ではこのような不具合の発生が抑制される。
本実施形態のディスプレイ用ガラス110は、4辺および4辺における端面111の総てが上記の全ての要件を満たす。このような構成により、端面の不具合を効果的に抑制し得るディスプレイ用ガラス110が提供される。さらに本実施形態のディスプレイ用ガラス110は、以下に説明する要件を満たすことが望ましい。
図3に示す様に、ディスプレイ用ガラス110は4辺の各々において上述した端面111を有している。図3(a)は理想の状態の端面111を示しており、端面111が第1の主面121及び第2の主面122に対して90度の方向で交わっている。しかしながら、端面111がこのような理想の状態で形成されるとは限らず、図3(b)の様に、端面111が斜めにずれた状態で形成されることもある。ここで端面111の斜めにずれた状態は、図3(c)に示す様に、端面111の角度、特に第1の主面121または第2の主面122に対する角度によって規定される。
傾き角度θは、第2の主面122から第1の主面121に向かう方向において、端面111がディスプレイ用ガラス110の外側へ延びるように傾いた角度に対応し、(+)の角度で表される(図3(c)における端面111A)。一方、傾き角度θは、第2の主面122から第1の主面121に向かう方向において、端面111がディスプレイ用ガラス110の内側へ延びるように傾いた角度に対応し、(−)の角度で表される(図3(c)における端面111B)。本実施形態のディスプレイ用ガラス110では、端面111が、第1の主面121または第2の主面122に対して、破線で示す90度の方向に対し+5度〜−5度の範囲内で交わっている。端面111がこのような配置をとることにより、運搬時における端面111の割れ、クラック等の発生が抑制される。
図4は端面111の表面の拡大図を示す。端面111の表面は凹凸形状をなすが、本実施形態のディスプレイ用ガラス110では端面111の表面における最高点と最低点の距離である最大高さΔzが100μm以内に抑えられている。従来のガラスの端面はΔz>100μmであったが、本実施形態では端面111がこのような粗さの少ない表面形状をとることにより、運搬時における端面111の割れ、クラック等の発生が抑制される。
本実施形態のディスプレイ用ガラス110は、4辺および4辺における端面111の総てが上記の全ての要件を満たすことが望ましい。このような構成により、端面の不具合を効果的に抑制し得るディスプレイ用ガラス110が提供される。
次に、実施形態のディスプレイ用ガラス110の製造方法を説明する。図5はディスプレイ用ガラス110を製造する製造装置を示す。
図示するように、製造装置は、ガラス原料を溶融し、溶融したガラスを清澄するガラス溶融槽51と、溶融ガラスを溶融金属錫等の溶融金属層52の上に流し出し、浮かべながら進行させることで一定の幅と厚みの平坦な帯状ガラス(ガラスリボン)に成形するフロート浴53と、フロート浴53から搬出された帯状ガラスGを徐冷し、帯状ガラスGの内部に歪が発生することを可及的に少なくする第1の徐冷室55と第2の徐冷室56とを有する徐冷炉57と、徐冷炉57から搬出された帯状ガラスGを所定の寸法に切断する切断ステージ58と、切断された板ガラスとして製造される図1のディスプレイ用ガラス110を分別し箱詰め等が行なわれる採板ステージ59と、を備えている。なお、帯状ガラスGは実線で示しているので、図5のフロート浴中において溶融金属層52の上に間隔をおいて図の右方向の矢印Aの方向に流れているように表わされているが、実際は、帯状ガラスGが溶融金属面と接して流れている。
この例においては、ガラス溶融槽51とフロート浴53と徐冷炉57とが、外気に対し囲い構造となっている一つの建屋(以下第1の建屋60という)内に設置されており、切断ステージ58と採板ステージ59も囲い構造となっている一つの建屋(以下第2の建屋61という)内に設置されている。ただし、どの部分がどの建屋に配置されるか等の製造装置の具体的な設計は特に限定されない。
採板ステージ59にて箱詰め、またはコンテナに積み込まれたディスプレイ用ガラス110は、一般的に別の場所に運搬され、端面111の面取り加工、研磨加工等が施され、液晶パネルに組み立てられる。
図6は、フロート浴53と第2の建屋61の内部における製造工程を示す概念図であり、図7は図6のP−P線における断面図である。ガラス溶融槽51からフロート浴53内に流出した溶融状態の帯状ガラスGを、フロート浴53内の溶融金属層(溶融スズ等)52上において流動させて板状の帯状ガラスGに成形する。溶融した帯状ガラスGは、A方向(搬送方向)に流動しながら徐々に冷却され固くなり、板状の帯状ガラスGとなる。帯状ガラスGは、下流域において溶融金属層52から引き上げられ、ローラコンベア12の回転により下流の徐冷炉57、切断ステージ58に搬送される。
フロート浴53は、溶融金属層52上の溶融した帯状ガラスGに対して幅方向に張力を加えるトップロール40を備える。トップロール40の作用により、帯状ガラスGは必要な幅、厚さを持つように加工される。トップロール40は、図6に示すように、対で用いられ、溶融金属層52上の溶融状態の帯状ガラスGの両側縁部を押さえ、帯状ガラスGに対して幅方向に張力を加える。複数対のトップロール40が、帯状ガラスGの流動方向に沿って間隔をおいて配設される。
トップロール40は、帯状ガラスGと接触する回転部材を先端部に有する。回転部材が回転することによって、帯状ガラスGが所定方向に送り出される。複数対のトップロール40によって張力が加えられる間に、帯状ガラスGは所定方向に流動しながら、徐々に冷却され固くなる。
トップロール40による引張作用により、帯状ガラスGの幅方向(図6のY方向)の両側縁部Fには、肉厚の両側縁部(いわゆる耳部)Fが形成され、両側縁部Fの表面には所定の筋状の模様が徐冷の過程で自然に形成される。両側縁部Fは更に下流のいずれかの位置、タイミングで除去される。
帯状ガラスGは、ローラコンベア12によって更に下流に搬送されて徐冷炉57を通過し、第2の建屋61の切断ステージ58に搬送され、切断ステージ58における所定の位置に配置された切線加工装置により切断される。図8は切断ステージ58に設けられた切線加工装置80の概要を示す斜視図である。切線加工装置80は、第1の建屋60からローラコンベア12によって連続的に搬送されてくる帯状ガラスGに縦切線、及び横切線を加工する、いわゆる異サイズ切りと称される切線加工方法に対応した切線加工装置であり、少なくとも後述する図6、図7の撮像装置71、72よりも下流側に設けられる。ただし切線加工装置10は異サイズ切りに限定されるものではない。
切線加工装置80は、帯状ガラスGの搬送方向上流側に設置された縦切線加工機14と、その下流側に設置された横切線加工機16とから構成される。この縦切線加工機14によって帯状ガラスGの搬送方向に平行な縦切線(図6のX方向)が帯状ガラスGに加工され、その下流側で横切線加工機16により帯状ガラスの搬送方向に直交する横切線(図6のY方向)が帯状ガラスGに加工される。
縦切線加工機14は、帯状ガラスGの幅方向に設置された複数台のカッターホイール18、18・・・を備えている。これらのカッターホイール18、18・・・は、ローラコンベア12によって搬送中の帯状ガラスGに対し、周知の進退移動手段によって進退移動され、進出移動されることにより帯状ガラスGに所定の押圧力で押圧される。これによって、帯状ガラスGの搬送方向に平行な縦切線が帯状ガラスGに加工される。
カッターホイール18は、送り手段22を介して梁部(ガイドフレーム)26に所定の間隔をもって取り付けられている。この梁部26は、ローラコンベア12に跨設されるとともに帯状ガラスGの搬送方向に直交する方向に設置されている。また、送り手段22は、梁部26の水平な方向に長細く形成された二つのスリット28に移動可能に固定された固定部30と一端が固定部30に接続され、他端にカッターホイール18が設けられた支持部材46を有する。また送り手段22の固定部30に接続されるボールねじ装置が中空の梁部26内に設けられ、このボールねじ装置が駆動されることにより、梁部26に形成された水平なスリット28内において、固定部30が移動し、連動して支持部材46、カッターホイール18がスライド移動する。これによって、帯状ガラスGの搬送方向に直交する方向のカッターホイール18の位置が調整される。
一方、横切線加工機16は、一枚のカッターホイール20を備えており、このカッターホイール20が帯状ガラスGの搬送速度に同期して帯状ガラスGの搬送方向に対して斜め方向のZ方向に斜行移動されることにより、帯状ガラスGの搬送方向に直交する方向の横切線が帯状ガラスGに加工される。
カッターホイール20を斜行移動させる図示せぬモータは、帯状ガラスGの搬送速度に同期してその斜行移動速度が制御装置によってモーション制御されており、これによって、帯状ガラスGの搬送方向に直交する方向の横切線が帯状ガラスGに加工される。また、カッターホイール20は、エアシリンダ、サーボモーター等のアクチュエータによって帯状ガラスGに対し上下移動自在に設けられている。このアクチュエータによってカッターホイール20は、良好な切込み深さの横切線を加工するために、切線加工開始点の所定量手前位置において予め下降が開始される。この後、カッターホイール20はモータの駆動力により、ガイドフレーム21に沿って帯状ガラスG上を斜行移動される。これによって、横切線が加工される。この後、カッターホイール20は、切線加工終了点を所定量通過後にアクチュエータによって帯状ガラスGから上昇移動され、その後、元の切線待機位置にモータによって復帰移動される。
上述したように、切断ステージ58において帯状ガラスGには縦切線および横切線の加工が施され、更に下流に設けられた切断装置(図10参照)によって、図1に示したディスプレイ用ガラス110のサイズに切り出される。ディスプレイ用ガラス110を正確なサイズをもって切り出すためには、縦切線および横切線を正確な位置に加工する必要がある。帯状ガラスGはローラコンベア12の回転により常に搬送方向(A方向)に移動しているため、搬送方向に切線、すなわち横切線を入れるタイミングは重要であり、搬送方向における帯状ガラスGの移動速度を正確に把握し、正確なタイミングで横切線を入れる必要がある。
特許文献2等に記載された従来の技術においては、帯状ガラスに当接して回転する所定のロールの如き部材を用いてA方向における移動速度を把握していた。しかしながら、どのようなロールを用いても熱膨張等の要因によりロールは変形するため、正確な移動速度の検出を維持することは困難であった。
そこで本実施形態のディスプレイ用ガラスの製造方法、製造装置においては、図6、図7に示したいずれかのタイミングで切除される両側縁部Fを用いて、帯状ガラスGの移動速度を検出する。両側縁部Fの表面に形成される筋状の模様は常に変動し、完全に同じ模様が2箇所以上の位置において形成されることはない。そこで、図6、図7に示すようにこの模様を撮像可能な少なくとも2台の撮像装置71、72が第2の建屋61の内部に設けられる。図示せぬコンピュータは上流側の第1の撮像装置71が撮像した画像を取りこんで保持する。さらにコンピュータは下流側の第2の撮像装置72が撮像した画像を取りこんで保持し、所定のレートで二つの画像を比較して二つの画像が一致するか否かを比較する。二つの画像が一致した場合、それぞれの撮像のタイミングと第1の撮像装置71および第2の撮像装置72の距離から、コンピュータは帯状ガラスGの移動速度を演算することができる。
演算した移動速度に基づいて、コンピュータは、撮像装置71、72よりも下流に存在する切線加工装置80の横切線加工機16による切断のタイミングを決定し、切線加工装置80に適切なタイミングの駆動信号を送信することができる。この結果、横切線加工機16は正確な帯状ガラスGの長手方向(図6のX方向)の位置で横切線を入れることができる。尚、撮像装置71、72による撮像の位置は特に限定されるものではなく、徐冷炉57の内部でも行うことが可能であるが、少なくとも切断ステージ58による両側縁部Fの切除の位置(図示せず)や、切線加工装置80の位置より上流側の位置において実施される。
図9(a)は横切線加工機16のカッターホイール20または縦切線加工機14のカッターホイール18の拡大正面図を示す。本実施形態では、切断前の帯状ガラスGの表面とカッターホイールの間の角度φが90度±1度以内に制御される。このような制御により、切線L(横切線または縦切線)を帯状ガラスGの表面に対し垂直に近い角度で形成することができ、ディスプレイ用ガラス110の端面111を適切に形成することができる。角度φは、製造装置の運転開始前に調整されるが、運転中に角度をモニタし自動で制御しても良い。
また、図9(a)に示すようにカッターホイール20またはカッターホイール18は横切線または縦切線を形成しつつ、隣接して設けられた図示せぬ油供給装置から灯油のような油を継続的に供給する。灯油は切線の形成と同時にカッターホイールを滑らかに走らせ、切線からのカレットの飛散を防止する。油供給装置は、図9(b)に示す様に、切線Lに対して±0.5mm〜±1mm以内の幅の領域(0.5mm≦D≦1mm、0.5mm≦D≦1mm)に油を供給するように油の供給量を制御する。このような制御により、切線Lを円滑に形成することができる。
図10は、図8の切線加工装置80の下流側に配置された切断装置(ガラス折り装置)90の概略図である。切断装置90は、切断用ローラ91と、押えローラ92とを備えており、ここで示された装置は、横切線に沿って帯状ガラスGを追って切断し、ディスプレイ用ガラス110を切り出す装置である。切断用ローラ91は、切線L(横切線)が到来したタイミングで、矢印Bで示す様に上昇して帯状ガラスGの下表面に当接する。一方、押えローラ92は、切線L(横切線または縦切線)が到来したタイミングで、矢印Cで示す様に下降して帯状ガラスGの上表面に当接する。切断用ローラ91と押えローラ92が上下の逆方向から帯状ガラスGを抑え込むことにより、切線Lにそって帯状ガラスGを切断することができる。
したがって、切断用ローラ91の上昇および押えローラ92の下降のタイミング、特に切断用ローラ91の上昇のタイミングが重要事項である。本実施形態ではこのタイミングを制御し、切断用ローラ91が切線Lに対して搬送方向における±0.5mm〜±1mmの領域Wにおいて、帯状ガラスGの表面に接するようなタイミングで切断用ローラを上昇させる。これにより、切線Lを円滑に形成し、ディスプレイ用ガラス110の端面111を適切に形成することができる。例えば切線L(横切線)を撮像する二つの撮像装置を切線加工装置80と切断装置90の間に配置し、それぞれの撮像のタイミングと距離から、コンピュータは帯状ガラスGの移動速度、特に切線Lの移動速度を演算することができる。演算した移動速度に基づいて、コンピュータは、切断用ローラ91の上昇のタイミングを決定し、切断装置90に適切なタイミングの駆動信号を送信することができる。
図11は、ローラコンベア12の中央領域を支持する支持部材を示す。ローラコンベア12は所定の長さを有しており、所定の剛性が確保された材料で作成しても撓みが発生し、帯状ガラスGひいてはディスプレイ用ガラス110の品質に影響を与え得る。そこで本実施形態では、ローラコンベア12の中央領域を支持する支持部材43を適宜配置し、ローラコンベア12の撓みを抑制している。これにより、帯状ガラスG、ディスプレイ用ガラス110の品質の安定化を図ることができる。
図11に示す様に、支持部材43は、支持棒41とローラ42とを備え、ローラコンベア12の長手方向中央部には、ローラコンベア12の表面が陥没して凹部12aが形成されるとともに縮径部12bが形成されている。支持棒41の一端は地面Lに固定され、ローラ42は支持棒41の他端に回転可能に配置されている。
図12(a)は図11を横方向から見たローラコンベア12と支持部材43の接触部分の側面拡大図であり、支持部材43のローラ42がローラコンベア12の縮径部12bに回転可能な状態で接するとともに、縮径部12bを下方から支持している。よって、支持部材43はローラコンベア12の撓みを抑制し、帯状ガラスGひいてはディスプレイ用ガラス110の品質に悪影響が及ぶのを防止し得る。図12(b)は図12(a)の応用形態であり、複数のローラ42(本例では二つ)により、縮径部12bを下方から支持してもよく、安定性が向上する。また、支持部材43はローラコンベア12の長手方向に沿って複数設けてもよい。
図13は、複数枚の積層されたディスプレイ用ガラス110を梱包する板状体梱包箱301の概略図であり、図13(a)は全体の断面図および支持部の拡大図を示す。板状体梱包箱301は、図5に示した製造装置における採板ステージ59やその他のステージにおいて用意され、製造されたディスプレイ用ガラス110が載置される。
本実施形態の板状体梱包箱301(以下、単に「梱包箱301」ともいう)は、複数枚(例えば120枚)のディスプレイ用ガラス110を略水平に積層した状態で収納する。梱包箱内への平積みにあたっては、ディスプレイ用ガラス110同士が直接接触することを避けるために、板状体間に薄い合紙を挟んだ状態で積層されることが好ましい。梱包箱301は、台座302と、この台座上に設置された上蓋303と、台座の側面に配設された係止部304により構成される。梱包箱301は、収納されるディスプレイ用ガラス110の形状に合わせて平面視が矩形であることが好ましい。
本実施形態の台座302の1の側面には、底桟306が設けられる。台座302にディスプレイ用ガラス110を積載する際には一般的には台座302を斜めに傾けた状態でディスプレイ用ガラス110を積載するが、その際底桟306が設けられた面が下になるように台座302を傾ける。底桟306は、矩形板状の部材で、積載するディスプレイ用ガラス110の底辺部を支持する。ディスプレイ用ガラス110の安定性を確保する観点から、底桟306は台座の1の側面に複数設けることが好ましく、例えば台座302の1の側面に2つの底桟306が設けられる。
また、台座の302の四隅には、四つの柱307が設置されている。図13の一点破線で囲まれた拡大図に示す様に、柱307の頂部には円錐の頂部が切り落とされた形状であって断面が台形の支持部309が形成されており、支持部309を介して台座302の上に別の台座を載置することが可能である。図13(b)の変形例に示す様に、純粋な円錐に近い形状(先端のみ曲面となっている)を持つ支持部310を用いてもよい。
上蓋3は、下面が開口して、積載されたディスプレイ用ガラス110を上から囲うものであり、図13に示すように最も上に配置された台座302に対し着脱可能である。
収納されるディスプレイ用ガラス110を安定させるために、係止部304は台座302の4つの側面のうち、少なくとも2つの側面に配設されるが、3つの側面に配設されることが好ましい。3つの側面に配設される場合は、先述の底桟306が設けられる側面以外の3つの側面に配設されることが好ましい。また、係止部304は台座302の1つの側面あたり単数配設されても複数配設されてもよく、例えば台座302の1つの側面に1つ配設されても、2つ配設されてもよい。
係止部304はディスプレイ用ガラス110を支持する強度が確保できる材質であればよく、アルミニウム等の非鉄金属や樹脂等の非金属でもよい。形状も特に限定されないが、例えば図13に示すようなL字形とすることができる。
図14は、係止部304の台座302に配設する際の固定構造を示す図である。
本実施形態において、台座302の係止部304が配設される側面には、軸部321及び軸部より径が大きい頭部322からなる固定ピン320が水平方向に少なくとも2以上設けられる。また、係止部304には、固定ピン320を受け入れるための固定溝323が固定ピン320に対応するように水平方向に少なくとも2以上設けられる。固定溝は、係止部304の下端に開放した垂直部324と、垂直部324に連続して形成された2本の水平部325とからなる逆F字状の溝であり、垂直部324、水平部325の幅はいずれも固定ピン320の軸部321の径より大きく、頭部322の径より小さい。本実施形態では2本の水平部325に対応して、固定ピン320が垂直方向にも2本設けられている。
係止部304を台座302に取り付ける際には、まず図14(a)に示すように、固定溝323の垂直部324の下端に固定ピン320の軸部321を挿入し、係止部304を下方向にスライドさせる。その後、固定ピン320の軸部321が固定溝323の垂直部324と水平部325の連結部分に到達したら、図14(b)に示すように係止部304を水平方向にスライドさせて固定ピン320の軸部321を固定溝323の水平部325の末端に到達させることにより、係止部304を台座302に固定することができる。図4(c)は係止部304が台座302に固定された状態を示す図である。
このようにして台座302上に積層されるディスプレイ用ガラス110は、搬送過程において振動しないように、台座302に設けた係止部304により、一定力で台座302に押さえつけられる。その結果、梱包箱搬送時において外側から衝撃が課せられ、搬送に伴って梱包箱自体が振動したとしても、ディスプレイ用ガラス110は安定した状態で保持される。また、平積みされた最後の板状体上には、直接係止部が接触し、瑕、汚れなどが生じないように、樹脂、ダンボール、木材等の板状体(図示せず)が緩衝材として載置されることが好ましい。
<実施例>
以下、本発明の実施例を表1、比較例を表2に示す。下記の表1、表2において、パラメータ1の「直角度」は図2における勾配角度γ、勾配角度γに相当し、パラメータ2の「端面強度」は、4点曲げ試験による、図3、図4の端面の強度に相当し、パラメータ3の「端面の凹凸」は図4の最大高さΔzに相当し、パラメータ4の「端面の角度」は図3(c)における傾き角度θ、傾き角度θに相当する。
製法条件1の「カッターホイールとの間の角度」は、図9(a)のガラスの表面とカッターホイールの角度φに相当し、製法条件2の「折りの方法」において「撮像」は撮像装置を用いた図10の切断用ローラが上昇する制御の方法に相当し、「ロール」は特許文献2で開示されたロールを活用する方法に相当し、製法条件3の「灯油の幅」は、図9(b)の灯油の供給領域D、Dに相当する。
「ガラスへの負荷」は、2500mm×2800mm以上の大きさのガラスを100枚以上積んだコンテナを1時間以上、時速40km〜100kmで走行した場合にガラスにかかる最大負荷を意味する。このような負荷を加えたときに、積載したガラスが一枚も割れなかった場合を〇、一枚でも割れた場合は×で示している。
Figure 0006597858
Figure 0006597858
実施例1のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.1度、端面強度が102MPa、端面の凹凸が5.0μm、端面の角度が0.42度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が90.2度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.8mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例1のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
実施例2のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.13度、端面強度が107MPa、端面の凹凸が−4.0μm、端面の角度が−0.33度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が89.7度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.6mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例2のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
実施例3のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.05度、端面強度が148MPa、端面の凹凸が3.1μm、端面の角度が0.12度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が89.9度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.9mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例3のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
実施例4のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.06度、端面強度が145MPa、端面の凹凸が−4.1μm、端面の角度が−0.11度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が90.1度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.7mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例4のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
実施例5のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.03度、端面強度が186MPa、端面の凹凸が1.8μm、端面の角度が0.04度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が90.0度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.8mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例5のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
実施例6のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.02度、端面強度が210MPa、端面の凹凸が−1.1μm、端面の角度が−0.05度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が90.0度、折りの方法が図10のもの、灯油の幅が0.6mmの製造条件の下で製造されたものである。実施例6のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えても割れたガラスは1枚も発生せず、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
以上のような結果から、ディスプレイ用ガラスの4辺の各々が、交わる他の辺に対して90度の方向に対し+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わり、かつ4辺の各々における端面の端面強度が100MPa以上である場合、優れたディスプレイ用ガラスを得られることが理解される。また、端面の表面における最高点と最低点の距離である最大高さ(端面の凹凸)が100μm以内であり、端面が平面視における第1の主面及び第2の主面に対して90度の方向に対し+5度〜−5度の範囲内で交わる場合、特に優れたディスプレイ用ガラスを得られることが判明した。
一方、比較例1のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.4度、端面強度が80MPa、端面の凹凸が111μm、端面の角度が6.11度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が92.0度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.1mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例1のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
比較例2のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.5度、端面強度が73MPa、端面の凹凸が−123μm、端面の角度が−5.29度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が88.0度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.1mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例2のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
比較例3のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.3度、端面強度が85MPa、端面の凹凸が21.2μm、端面の角度が2.52度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が88.2度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.3mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例3のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
比較例4のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.4度、端面強度が88MPa、端面の凹凸が−18.8μm、端面の角度が−3.05度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が91.7度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.2mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例4のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
比較例5のガラスはそのパラメータについて、直角度が0.21度、端面強度が95MPa、端面の凹凸が13.3μm、端面の角度が1.80度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が88.7度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.4mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例5のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
比較例6のガラスはそのパラメータについて、直角度が−0.18度、端面強度が90MPa、端面の凹凸が−9.2μm、端面の角度が−1.30度であった。このガラスは、カッターホイールとの間の角度が91.2度、折りの方法が特許文献2のもの、灯油の幅が0.3mmの製造条件の下で製造されたものである。比較例6のガラス100枚以上に上述の条件下で負荷を与えると、負荷が0〜0.5Gでは割れたガラスは発生しなかったが、負荷が0.5〜10Gでは割れたガラスが発生し、ディスプレイ用ガラスには不向きであることが判明した。
以上のような結果から、ディスプレイ用ガラスの4辺の各々が、交わる他の辺に対して90度の方向に対し+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わらない場合、および/または4辺の各々における端面の端面強度が100MPa以上でない場合、優れたディスプレイ用ガラスを得難いことが理解される。また、端面の表面における最高点と最低点の距離である最大高さ(端面の凹凸)が100μm以内でない場合、および/または端面が平面視における第1の主面及び第2の主面に対して90度の方向に対し+5度〜−5度の範囲内で交わらない場合も、優れたディスプレイ用ガラスを得難いことが判明した。
本発明によれば、運送中等におけるディスプレイ用ガラスの端面における割れ、クラック等の如き不具合の発生を抑制することができる。運送時におけるディスプレイ用ガラスの積み方(縦置き、平積み等)、梱包の態様(合紙、パレット等)は特に限定されない。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
本発明によれば、ディスプレイ用ガラスにおいて端面の割れの如き不具合の発生を抑制することができ、効率的にかつ安価にディスプレイ用ガラスを提供することができる。
12 ローラコンベア
14 縦切線加工機
16 横切線加工機
18 カッターホイール
20 カッターホイール
40 トップロール
43 支持部材
52 溶融金属層
53 フロート浴
60 第1の建屋
61 第2の建屋
71 第1の撮像装置
72 第2の撮像装置
80 切線加工装置
90 切断装置
91 切断用ローラ
92 押えローラ
101 第1辺
102 第2辺
103 第3辺
104 第4辺
110 ディスプレイ用ガラス
111 端面
121 第1の主面
122 第2の主面
G 帯状ガラス

Claims (2)

  1. 4辺を有する平面視で矩形状のディスプレイ用ガラスであって、
    4辺の各々が、交わる他の辺に対して90度の方向に対し、+0.3度〜−0.3度の範囲内で交わり、
    4辺の各々における端面の端面強度が100MPa以上であり、
    前記端面の表面における最高点と最低点の距離である最大高さが100μm以内であり、
    少なくとも1辺の長さが2500mm以上であり、5000mm以下である、
    ディスプレイ用ガラス。但し、厚さが300μm以下であるディスプレイ用ガラスは除く。
  2. 前記端面が、平面視における第1の主面及び第2の主面に対して90度の方向に対し+5度〜−5度の範囲内で交わる請求項に記載のディスプレイ用ガラス。
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