JP6597817B2 - 発光素子モジュール、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

発光素子モジュール、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、発光素子モジュール、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
発光素子を温度調節素子により温度調節する発光素子モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような発光素子モジュールは、発光素子の発光状態を高精度に制御することが必要な機器、例えば、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器に用いられる。
例えば、特許文献1に記載の発光素子モジュールは、ペルチェ素子(温度調節素子)と、ペルチェ素子上に搭載されている半導体レーザー(発光素子)と、を備え、これらがパッケージ内に収納されている。また、特許文献1に記載の発光素子モジュールでは、ペルチェ素子上に絶縁部材が配置されており、発光素子上の電極とパッケージ上の電極とを電気的に接続する配線の途中がその絶縁部材上のパッドに接続されている。これにより、かかる配線をも温度調節し、発光素子を高精度に温度調節することができる。
しかし、特許文献1に記載の発光素子モジュールでは、絶縁部材上の電極とペルチェ素子上の金属層との間に大きな静電容量が生じてしまうため、発光素子の駆動信号として高周波信号を用いた場合に、駆動信号の損失が大きいという問題があった。例えば、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式の原子発振器においては、一般に、高周波信号を駆動信号として用いて、1つの半導体レーザーから波長の異なる2種の光を出射させるため、かかる問題が生じる。
特開2013−162031号公報
本発明の目的は、発光素子の温度変動を低減するとともに、発光素子の駆動信号として高周波信号を用いても、その駆動信号の損失を低減することができる発光素子モジュールを提供すること、また、かかる発光素子モジュールを備える優れた信頼性を有する量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の発光素子モジュールは、温度調節される温度調節面を有する温度調節部と、
前記温度調節面上に配置されている発光素子と、
前記温度調節面上に配置されている金属層と、
前記金属層を介して前記温度調節面上に配置されている中継部材と、
前記中継部材の前記温度調節面と反対側の面上に配置されている配線層と、
前記発光素子と前記配線層とを電気的に接続している素子側配線と、
外部端子と、
前記外部端子と前記配線層とを電気的に接続している端子側配線と、を備え、
前記配線層は、前記金属層と前記配線層とが並ぶ方向から見た平面視において、前記金属層の前記中継部材と重なる領域よりも面積が小さいことを特徴とする。
このような発光素子モジュールによれば、温度調節面により温度調節される中継部材上の配線層が、発光素子と外部端子とを電気的に接続している配線の途中(素子側配線と端子側配線との間)に介在しているため、かかる配線の温度変動が低減され、それに伴って、発光素子の温度変動も低減することができる。
しかも、配線層の面積を中継部材と金属層との重なる領域の面積よりも小さくすることで、配線層と金属層との間の静電容量を小さくし、発光素子に供給する駆動信号として高周波信号を用いても、駆動信号の損失を低減することができる。また、中継部材の実装性を確保することができる。
[適用例2]
本発明の発光素子モジュールでは、前記温度調節部は、ペルチェ素子であり、
前記温度調節面は、前記ペルチェ素子の発熱面または吸熱面であることが好ましい。
これにより、発光素子を好適に温度調節することができる。また、ペルチェ素子は、一般に、発熱面または吸熱面が金属層で構成されており、配線層が設けられた中継部材を発熱面上または吸熱面上に配置すると、発熱面または吸熱面との間で静電容量が生じることとなる。
[適用例3]
本発明の発光素子モジュールでは、前記素子側配線および前記端子側配線のうちの少なくとも一方の配線がワイヤー配線であることが好ましい。
これにより、ワイヤーボンディングにより、配線の形成を比較的容易なものとしながら、配線層の配線との接続に必要な面積を比較的小さくすることができる。そのため、配線層の面積を小さくすることができる。
[適用例4]
本発明の発光素子モジュールでは、前記端子側配線が複数であることが好ましい。
これにより、端子側配線の電気抵抗を小さくし、発光素子に供給する駆動信号の損失を低減することができる。
[適用例5]
本発明の発光素子モジュールでは、前記配線層は、前記素子側配線が接続されている第1端部と、前記端子側配線が接続されている第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部とが並ぶ方向に沿って延びている長手形状をなしていることが好ましい。
これにより、配線層の面積を小さくしつつ、配線層の配線との接続に必要な面積を確保することができる。
[適用例6]
本発明の発光素子モジュールでは、前記第2端部の幅が前記第1端部の幅よりも大きいことが好ましい。
これにより、配線層の面積を小さくしつつ、複数の端子側配線を配線層の第2端部に接続することができる。
[適用例7]
本発明の発光素子モジュールでは、前記配線層は、前記第2端部側から前記第1端部側に向けて、幅が連続的に減少している部分を有していることが好ましい。
これにより、発光素子に供給する高周波の駆動信号が配線層で損失するのを低減することができる。
[適用例8]
本発明の発光素子モジュールでは、前記中継部材は、セラミックス材料を含んでいることが好ましい。
これにより、中継部材の絶縁性を確保することができる。また、中継部材の熱容量を比較的大きくすることができ、その結果、配線層および素子側配線の温度変動を低減することができる。また、熱伝導性に優れたセラミックスを用いることにより、配線層の温度調節を効率的に行うことができる。
[適用例9]
本発明の発光素子モジュールでは、前記配線層は、金を含んで構成されている表層と、前記表層と前記中継部材との間に設けられている下地層と、を有していることが好ましい。
これにより、ワイヤーボンディングにより形成される素子側配線および端子側配線と配線層との密着性、および、配線層と中継部材との密着性を優れたものとすることができる。
[適用例10]
本発明の発光素子モジュールでは、前記下地層は、前記中継部材上に、チタンを含んで構成されている第1層と、パラジウムを含んで構成されている第2層とがこの順で積層されて構成されていることが好ましい。
これにより、配線層と中継部材との密着性を優れたものとすることができる。
[適用例11]
本発明の発光素子モジュールでは、前記温度調節面上に配置されている温度検出素子と、
金属層を介して前記温度調節面上に配置されている温度検出素子用中継部材と、
前記温度検出素子用中継部材の前記温度調節面と反対側の面上に配置されている温度検出素子用配線層と、
前記温度検出素子と前記温度検出素子用配線層とを電気的に接続している温度検出素子側配線と、
温度検出素子用外部端子と、
前記温度検出素子用外部端子と前記温度検出素子用配線層とを電気的に接続している温度検出素子用端子側配線と、
を備えていることが好ましい。
これにより、温度調節面により温度調節される温度検出素子用中継部材上の温度検出素子用配線層が、温度検出素子と温度検出素子用外部端子とを電気的に接続している配線の途中に介在しているため、かかる配線の温度変動が低減され、それに伴って、温度検出素子の温度変動も低減することができる。
[適用例12]
本発明の量子干渉装置は、本発明の発光素子モジュールを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する量子干渉装置を提供することができる。
[適用例13]
本発明の原子発振器は、本発明の発光素子モジュールを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する原子発振器を提供することができる。
[適用例14]
本発明の電子機器は、本発明の発光素子モジュールを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例15]
本発明の移動体は、本発明の発光素子モジュールを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器が備える光出射部(発光素子モジュール)の斜視図である。 図4に示す光出射部の断面図である。 図4に示す光出射部の平面図である。 図4に示す光出射部が備える中継部材の断面図である。 (a)は、図7に示す中継部材の裏面図、(b)は、図7に示す中継部材の表面図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。
以下、本発明の発光素子モジュール、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。また、図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。また、図3は、光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、図1に示すように、ガスセル2と、光出射部3(発光素子モジュール)と、光学部品41、42、43、44と、光検出部5と、ヒーター6と、温度センサー7と、磁場発生部8と、制御部10とを備える。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光出射部3がガスセル2に向けて励起光LLを出射し、ガスセル2を透過した励起光LLを光検出部5が検出する。
ガスセル2内には、ガス状のアルカリ金属(金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
光出射部3から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1、2を含んでおり、この2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光出射部3が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部5の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、長期的に安定な周波数特性を有する発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次説明する。
[ガスセル]
ガスセル2内には、ガス状のアルカリ金属が封入されている。また、ガスセル2内には、緩衝ガスがアルカリ金属ガスとともに封入されている。また、ガスセル2内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されている。
例えば、ガスセル2は、図示しないが、柱状の貫通孔を有する本体部と、その貫通孔の両開口を封鎖する1対の窓部とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間が形成されている。
本体部を構成する材料としては、特に限定されず、金属材料、樹脂材料、ガラス材料、シリコン材料、水晶等が挙げられるが、加工性や窓部との接合の観点から、ガラス材料、シリコン材料を用いるのが好ましい。
このような本体部には、窓部が気密的に接合されている。これにより、ガスセル2の内部空間を気密空間とすることができる。
本体部と窓部との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、窓部を構成する材料としては、前述したような励起光LLに対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、シリコン材料、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
[光出射部]
光出射部3(発光素子モジュール)は、ガスセル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部3は、励起光LLとして、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
共鳴光1は、ガスセル2内のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。一方、共鳴光2は、ガスセル2内のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。
この光出射部3は、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等の発光素子を含んで構成され、モジュール化されている。なお、光出射部3の構成については、後に詳述する。
[光学部品]
複数の光学部品41、42、43、44は、それぞれ、前述した光出射部3とガスセル2との間における励起光LLの光路上に設けられている。
ここで、光出射部3側からガスセル2側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43、光学部品44の順に配置されている。
光学部品41は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル2へ照射することができる。
また、光学部品41は、励起光LLを平行光とする機能を有する。これにより、励起光LLがガスセル2の内壁で反射するのを簡単かつ確実に防止することができる。そのため、ガスセル2内での励起光の共鳴を好適に生じさせ、その結果、原子発振器1の発振特性を高めることができる。
光学部品42は、偏光板である。これにより、光出射部3からの励起光LLの偏光を所定方向に調整することができる。
光学部品43は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル2に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部3の出力が大きい場合でも、ガスセル2に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品42を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品43により調整する。
光学部品44は、λ/4波長板である。これにより、光出射部3からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
後述するように磁場発生部8の磁場によりガスセル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、後述するように磁場発生部8の磁場によりガスセル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
[光検出部]
光検出部5は、ガスセル2内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部5としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター6(加熱部)は、前述したガスセル2(より具体的にはガスセル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル2中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。
このヒーター6は、通電(直流)により発熱するものであり、例えば、発熱抵抗体を含んでいる。
また、ヒーター6は、ガスセル2を加熱することができるものであれば、ガスセル2に対して非接触であってもよく、この場合、熱伝導性に優れた部材(例えば金属で構成された部材)を介してガスセル2に接続するように配置される。また、ヒーター6に代えて、または、ヒーター6と併用して、ペルチェ素子を用いて、ガスセル2を加熱してもよい。
[温度センサー]
温度センサー7は、ヒーター6またはガスセル2の温度を検出するものである。そして、この温度センサー7の検出結果に基づいて、前述したヒーター6の発熱量が制御される。これにより、ガスセル2内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
この温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター6上であってもよいし、ガスセル2の外表面上であってもよい。
温度センサー7としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
[磁場発生部]
磁場発生部8は、ガスセル2内のアルカリ金属の縮退した複数のエネルギー準位をゼーマン分裂させる磁場を発生させる機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
この磁場発生部8は、例えば、ガスセル2を挟むように配置されたヘルムホルツコイル、または、ガスセル2を覆うように配置されたソレノイドコイルで構成されている。これにより、ガスセル2内に一方向の均一な磁場を生じさせることができる。
また、磁場発生部8が発生する磁場は、定磁場(直流磁場)であるが、交流磁場が重畳されていてもよい。
[制御部]
制御部10は、光出射部3、ヒーター6および磁場発生部8をそれぞれ制御する機能を有する。
この制御部10は、光出射部3の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部12と、ガスセル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部11と、磁場発生部8からの磁場を制御する磁場制御部13とを有する。
励起光制御部12は、前述した光検出部5の検出結果に基づいて、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部12は、周波数差(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。
ここで、励起光制御部12は、図示しないが、電圧制御型水晶発振器(発振回路)を備えており、その電圧制御型水晶発振器の発振周波数を光検出部5の検知結果に基づいて同期・調整しながら、その電圧制御型水晶発振器の出力信号を原子発振器1の出力信号として出力する。
また、励起光制御部12は、図示しないが、この電圧制御型水晶発振器からの出力信号を周波数逓倍する逓倍器を備えており、この逓倍器により逓倍された信号(高周波信号)を直流バイアス電流に重畳して駆動信号として光出射部3に入力する。これにより、光検出部5でEIT信号が検出されるように電圧制御型水晶発振器を制御することで、電圧制御型水晶発振器から所望の周波数の信号が出力されることとなる。この逓倍器の逓倍率は、例えば、原子発振器1からの出力信号の所望の周波数をfとしたとき、ω0/(2×f)である。これにより、電圧制御型水晶発振器の発振周波数がfであるとき、逓倍器からの信号を用いて半導体レーザー等の発光素子を変調して、周波数差(ω1−ω2)がω0となる2つの光を出射させることができる。
また、温度制御部11は、温度センサー7の検出結果に基づいて、ヒーター6への通電を制御する。これにより、ガスセル2を所望の温度範囲内(例えば70℃程度)に維持することができる。
また、磁場制御部13は、磁場発生部8が発生する磁場が一定となるように、磁場発生部8への通電を制御する。
このような制御部10は、例えば、基板上に実装されたICチップに設けられている。
以上、原子発振器1の全体構成を簡単に説明したが、この原子発振器1において、光出射部3が有する発光素子は、発光状態の変動を低減する目的で、高精度に温度調節する必要がある。また、前述したように、光出射部3が有する発光素子の駆動信号として高周波信号を用いるが、その駆動信号の損失を小さくすることも必要である。
そこで、光出射部3は、発光素子を高精度に温度調節するとともに、発光素子の駆動信号の損失を低減する構成を有している。以下、光出射部3について、詳述する。
(光出射部(発光素子モジュール)の詳細な説明)
図4は、図1に示す原子発振器が備える光出射部(発光素子モジュール)の斜視図、図5は、図4に示す光出射部の断面図、図6は、図4に示す光出射部の平面図である。また、図7は、図4に示す光出射部が備える中継部材の断面図、図8(a)は、図7に示す中継部材の裏面図、図8(b)は、図7に示す中継部材の表面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図5中の上側を「上」、下側を「下」という。
光出射部3は、図4に示すように、パッケージ31と、このパッケージ31に収納されている温度調節素子32(温度調節部)、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36と、を有している。
図5に示すように、パッケージ31は、上面に開放する凹部3111を有するベース311と、凹部3111の開口を塞ぐリッド313とを有している。これにより、リッド313により塞がれた凹部3111の内側が温度調節素子32、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36を収納する収納空間Sとして機能する。この収納空間Sは、減圧(真空)状態であることが好ましい。これにより、パッケージ31の外部の温度変化がパッケージ31内の発光素子33や温度検出素子34等に与える影響を低減し、パッケージ31内の発光素子33や温度検出素子34等の温度変動を低減することができる。なお、パッケージ31内は、減圧状態でなくともよく、また、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
ベース311の構成材料としては、特に限定されないが、絶縁性を有し、かつ、収納空間Sを気密空間とするのに適した材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物系セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物系セラミックス、炭化珪素等の炭化物系セラミックス等の各種セラミックスなどを用いることができる。なお、ベース311の構成材料としてリッド313と同様の金属材料を用いることもできる。
また、ベース311は、凹部3111の底面よりも上側に形成されている段差部3112を有している。
この段差部3112には、図6に示すように、温度調節素子32に電気的に接続されている1対の接続電極37a、37bと、発光素子33に電気的に接続されている1対の接続電極38a、38bと、温度検出素子34に電気的に接続されている1対の接続電極39a、39bと、が設けられている。図示しないが、これらの接続電極37a、37b、38a、38b、39a、39b(外部端子)は、それぞれ、貫通電極を介して、ベース311の下面に設けられた外部実装電極に電気的に接続されている。
接続電極37a、37b、38a、38b、39a、39b、外部実装電極および貫通電極の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料を用いることができる。
また、ベース311の上端面には、枠状のメタライズ層312が設けられている。このメタライズ層312は、ろう材との密着性を高めるものである。これにより、ろう材によるベース311とリッド313との接合強度を高めることができる。
メタライズ層312の構成材料としては、ろう材との密着性を高めることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、前述した接続電極37a、37b、38a、38b、39a、39b等の構成材料で挙げたような金属材料を用いることができる。
図5に示すように、リッド313は、平板状をなしている。また、リッド313には、貫通孔3131が形成されている。この貫通孔3131は、励起光LLに対する透過性を有する窓部材3132で封鎖されている。
このようなリッド313は、ろう材を用いてメタライズ層312との溶着によりベース311に接合されている。このろう材としては、特に限定されず、例えば、金ろう、銀ろうなどを用いることができる。
また、リッド313(窓部材3132以外の部分)の構成材料としては、特に限定されないが、金属材料が好適に用いられ、その中でも、ベース311の構成材料と線膨張係数が近似する金属材料を用いることが好ましい。したがって、例えば、ベース311をセラミックス基板とした場合には、リッド313の構成材料としてはコバール等の合金を用いることが好ましい。
また、窓部材3132は、発光素子33から出射される光の光路上に配置されている。本実施形態では、窓部材3132は、板状をなしている。なお、窓部材3132は、板状に限定されず、例えば、レンズとして機能するように、湾曲した面を有していてもよい。
また、窓部材3132の構成材料としては、例えば、ガラス材料を用いることができる。
このようなパッケージ31のベース311の凹部3111の底面には、温度調節素子32が配置されている。温度調節素子32は、ベース311に対して例えば接着剤により固定されている。
温度調節素子32は、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36の温度を調節する機能を有する。
本実施形態では、温度調節素子32は、ペルチェ素子である。この温度調節素子32は、一方が発熱側の面(発熱面)、他方が吸熱側の面(吸熱面)となる1対の面を有している。そして、この1対の面のうちの一方の面(下面)は、パッケージ31のベース311に固定され、他方の面(上面)は、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36が設置される設置面であり、温度調節される「温度調節面」を構成する。これにより、発光素子33を好適に温度調節することができる。
ペルチェ素子である温度調節素子32は、供給される電流の向きを制御することにより、温度調節素子32の設置面を発熱面と吸熱面とで切り換えることができる。そのため、環境温度の範囲が広くても、発光素子33等を所望の温度に温度調節することができる。ここで、温度調節面の温度は、発光素子33の特性に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、30℃程度である。
なお、温度調節素子32は、ペルチェ素子に限定されず、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)であってもよい。
また、温度調節素子32は、1対の端子321を有しており、この1対の端子321は、配線91a、91bを介して、パッケージ31に設けられた接続電極37a、37bに電気的に接続されている。これにより、1対の端子321に電力を供給して、温度調節素子32を駆動することができる。配線91a、91bは、それぞれ、ワイヤー配線(ボンディングワイヤー)である。
また、温度調節素子32は、温度検出素子34の検出温度に基づいて、駆動制御される。
このような温度調節素子32の上面(温度調節面)には、例えばアルミニウム、金、銀等の熱伝導性に優れる金属で構成された金属層323が配置されており、この金属層323の上面には、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36が配置されている。これにより、発光素子33、温度検出素子34および中継部材35、36を温度調節素子32により温度調節することができる。
発光素子33は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザーである。半導体レーザーは、直流バイアス電流に高周波信号を重畳して(変調を掛けて)用いることにより、波長の異なる2種の光を出射させることができる。
また、発光素子33は、図示しない1対の端子を有しており、この1対の端子は、一方の端子が駆動信号用の端子であり、他方の端子が接地用の端子である。駆動信号用の端子は、配線92a(素子側配線)、中継部材35(発光素子用中継部材)に設けられた配線層353、および、配線92b(端子側配線)を介して、パッケージ31に設けられた接続電極38aに電気的に接続されている。一方、接地用の端子は、配線92c、金属層323および配線92dを介して、パッケージ31に設けられた接続電極38bに電気的に接続されている。
配線92a、92b、92c、92dは、それぞれ、ワイヤー配線(ボンディングワイヤー)である。これにより、ワイヤーボンディングにより、配線92a、92b、92c、92dの形成を比較的容易となる。特に、配線層353の配線92a、92bとの接続に必要な面積を比較的小さくすることができる。そのため、配線層353の面積を小さくすることができる。
また、配線92bが複数である。これにより、配線92bの電気抵抗を小さくし、発光素子33に供給する駆動信号の損失を低減することができる。同様の観点から、配線92c、92dもそれぞれ複数である。
このような発光素子33と接続電極38a、38bとの電気的な接続により、発光素子33に電力を供給して駆動することができる。また、発光素子33と接続電極38a、38bとを電気的に接続している配線がその途中で温度調節素子32の温度調節面上またはこれにより温度調節された部材上を経由しているため、配線92a、92b、92c、92dも温度調節素子32により温度調節される。そのため、かかる配線92a、92b、92c、92dの温度変動が低減され、それに伴って、発光素子33の温度変動も低減することができる。
ここで、温度調節素子32の温度調節面により温度調節される中継部材35上の配線層353が、発光素子33と接続電極38aとを電気的に接続している配線の途中(配線92aと配線92bとの間)に介在している。また、温度調節素子32の温度調節面により温度調節される金属層323が、発光素子33と接続電極38bとを電気的に接続している配線の途中(配線92cと配線92dとの間)に介在している。これにより、配線92a、92b、92c、92dが温度調節素子32の温度調節面と熱的に接続されている。
中継部材35は絶縁性を有しており、この中継部材35の下面には、金属層352が配置され、一方、中継部材35の上面(中継部材35の温度調節面と反対側の面)には、配線層353が配置されている。ここで、中継部材35は、絶縁性を有することにより、配線層353が温度調節素子32上の金属層323と短絡するのを防止する機能を有する。
この中継部材35の構成材料としては、絶縁性を有する材料であればよく、特に限定されないが、セラミックス材料を用いることが好ましい。中継部材35がセラミックス材料を含んでいることにより、中継部材35の絶縁性を確保することができる。また、中継部材35の熱容量を比較的大きくすることができ、その結果、配線層353および配線92a、92bの温度変動を低減することができる。また、熱伝導性に優れたセラミックスを用いることにより、配線層353の温度調節を効率的に行うことができる。
金属層352は、接合材354を介して、金属層323に接合されている。接合材354としては、例えば、金ろう、銀ろう等のろう材を用いることができる。
この金属層352は、接合材354との密着性や接合強度を高める機能を有する。本実施形態では、図8(a)に示すように、金属層352は、中継部材35の下面全域にわたって設けられている。これにより、前述した機能が好適に発揮される。なお、前述した機能が必要程度確保できれば、金属層352は、中継部材35の下面の一部にのみ設けられていてもよい。また、配線層353との短絡が生じなければ、金属層352は、中継部材35の側面に設けられている部分を有していてもよい。
一方、配線層353は、配線92aと配線92bとを電気的に接続するものであり、発光素子33と接続電極38aとを電気的に接続する配線の一部を構成している。
ここで、中継部材35を介して対向する金属層352と配線層353との間には、静電容量が生じることとなる。したがって、かかる静電容量が大きいと、発光素子33の駆動信号として高周波信号を用いたとき、その駆動信号の損失が大きくなってしまう。また、前述したように、ペルチェ素子である温度調節素子32は、発熱面または吸熱面が金属層323で構成されており、配線層353が設けられた中継部材35を金属層323上に配置すると、金属層323との間で静電容量が生じることとなる。また、接合材354についても、配線層353との間で静電容量が生じることとなる。
そこで、図8(b)に示すように、配線層353は、中継部材35の上面の一部に形成されている。したがって、配線層353は、金属層352と配線層353とが並ぶ方向から見た平面視(以下、単に「平面視」ともいう)において、金属層323の中継部材35と重なる領域よりも面積が小さい。これにより、配線層353と金属層352との間の静電容量を小さくし、発光素子33に供給する駆動信号として高周波信号を用いても、駆動信号の損失を低減することができる。また、中継部材35の大きさをある程度確保し、その結果、中継部材35の実装性を確保することができる。
また、配線層353は、平面視において、金属層323の中継部材35と重なる領域や、接合材354の中継部材35と重なる領域よりも面積が小さい。したがって、配線層353と金属層323との間や、配線層353と接合材354との間についても、上述した配線層353と金属層352との間と同様に、発光素子33の駆動信号の損失を低減するように構成されている。
また、配線層353は、第1端部3531および第2端部3532を有し、第1端部3531と第2端部3532とが並ぶ方向に沿って延びている長手形状をなしている。そして、第1端部3531には、配線92aが接続され、一方、第2端部3532には、配線92bが接続されている。このよう配線層353によれば、配線層353の面積を小さくしつつ、配線層353の配線92a、92bとの接続に必要な面積を確保することができる。
また、第2端部3532の幅W2が第1端部3531の幅W1よりも大きい。これにより、配線層353の面積を小さくしつつ、複数の配線92bを配線層353の第2端部3532に接続することができる。
また、配線層353は、第1端部3531と第2端部3532との間に、第2端部3532側から第1端部3531側に向けて、幅が連続的に減少している部分3533を有している。これにより、発光素子33に供給する高周波の駆動信号が配線層353で損失するのを低減することができる。
また、配線層353は、その長さが同方向における中継部材35の上面の長さよりも短くなっている。そのため、配線層353の縁部は、中継部材35の上面の縁部から離間している。これにより、配線層353を中継部材35から剥がれ難くすることができる。また、配線層353の温度変動や温度分布の不均一化を低減することもできる。
このような配線層353や金属層352の構成材料としては、前述した接続電極37a、37b、38a、38b、39a、39bと同様の材料を用いることができるが、配線層353は、金を含んで構成された表層と、その表層と中継部材35との間に設けられている下地層と、を有していることが好ましい。これにより、ワイヤーボンディングにより形成される配線92a、92bと配線層353との密着性、および、配線層353と中継部材35との密着性を優れたものとすることができる。
ここで、配線層353に用いる下地層は、中継部材35上に、チタンを含んで構成されている第1層と、パラジウムを含んで構成されている第2層とがこの順で積層されて構成されていることが好ましい。これにより、配線層353と中継部材35との密着性を優れたものとすることができる。
一方、温度検出素子34は、温度調節素子32または発光素子33の温度を検出する機能を有する。この温度検出素子34としては、特に限定されないが、例えば、サーミスタを、熱電対等を用いることができる。
また、温度検出素子34は、図示しない1対の端子を有しており、この1対の端子は、一方の端子が検出信号用の端子であり、他方の端子が接地用の端子である。検出信号用の端子は、配線93a(温度検出素子用素子側配線)、中継部材36(温度検出素子用中継部材)に設けられた配線層(図示せず)、および、配線93b(温度検出素子用端子側配線)を介して、パッケージ31に設けられた接続電極39aに電気的に接続されている。一方、接地用の端子は、配線93c、金属層323および配線93dを介して、パッケージ31に設けられた接続電極39bに電気的に接続されている。
配線93a、93b、93c、93dは、それぞれ、ワイヤー配線(ボンディングワイヤー)である。
このような温度検出素子34と接続電極39a、39bとの電気的接続により、温度検出素子34と接続電極39a、39bとを電気的に接続している配線がその途中で温度調節素子32の温度調節面上またはこれにより温度調節された部材上を経由しているため、配線93a、93b、93c、93dも温度調節素子32により温度調節される。そのため、かかる配線93a、93b、93c、93dの温度変動が低減され、それに伴って、温度検出素子34の温度変動も低減することができる。すなわち、温度検出素子34が接続電極39a、39bからの熱の影響を受け難くすることができる。そのため、温度検出素子34の検出精度を高めることができ、その結果、発光素子33の温度を高精度に制御することができる。
中継部材36は、前述した中継部材35と同様に構成することができる。ただし、温度検出素子34には高周波信号を用いないため、中継部材36の上面に設ける配線層は、中継部材36の上面の全域にわたって設けられていてよい。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。このような電子機器は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図9は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図9に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
図10は、本発明の移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
このような移動体によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の原子発振器を備える電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子モジュール、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果を利用してセシウム等を共鳴遷移させる量子干渉装置を本発明の量子干渉装置の例として説明したが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用してルビジウム等を共鳴遷移させる二重共鳴装置にも適用可能である。
また、前述した実施形態では、本発明の発光素子モジュールを量子干渉装置または原子発振器に用いた場合を例に説明したが、これに限定されず、高周波信号により駆動する発光素子を用いるあらゆるデバイスに用いることができる。
1‥‥原子発振器 2‥‥ガスセル 3‥‥光出射部 5‥‥光検出部 6‥‥ヒーター 7‥‥温度センサー 8‥‥磁場発生部 10‥‥制御部 11‥‥温度制御部 12‥‥励起光制御部 13‥‥磁場制御部 31‥‥パッケージ 32‥‥温度調節素子 33‥‥発光素子 34‥‥温度検出素子 35‥‥中継部材 36‥‥中継部材 37a‥‥接続電極 37b‥‥接続電極 38a‥‥接続電極 38b‥‥接続電極 39a‥‥接続電極 39b‥‥接続電極 41‥‥光学部品 42‥‥光学部品 43‥‥光学部品 44‥‥光学部品 91a‥‥配線 91b‥‥配線 92a‥‥配線 92b‥‥配線 92c‥‥配線 92d‥‥配線 93a‥‥配線 93b‥‥配線 93c‥‥配線 93d‥‥配線 100‥‥測位システム 200‥‥GPS衛星 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 311‥‥ベース 312‥‥メタライズ層 313‥‥リッド 321‥‥端子 323‥‥金属層 352‥‥金属層 353‥‥配線層 354‥‥接合材 400‥‥GPS受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪 3111‥‥凹部 3112‥‥段差部 3131‥‥貫通孔 3132‥‥窓部材 3531‥‥第1端部 3532‥‥第2端部 3533‥‥部分 LL‥‥励起光 S‥‥収納空間 W1‥‥幅 W2‥‥幅

Claims (15)

  1. 設置面を有する温度調節素子と、
    前記設置面に配置されている金属層と、
    前記金属層に配置されている発光素子と、
    前記金属層に配置されている中継部材と、
    前記中継部材の、前記設置面と対向する面とは反対側の面に配置されている配線層と、
    前記中継部材の、前記設置面と対向する面に配置されている他の金属層と、
    前記金属層と前記他の金属層との間に配置されている接合材と、
    第1の外部端子と、
    前記発光素子と前記配線層とを電気的に接続している素子側配線と、
    前記第1の外部端子と前記配線層とを電気的に接続している端子側配線と、
    第2の外部端子と、
    前記金属層に配置されている温度検出素子と、
    前記温度検出素子と前記金属層とを接続している配線と、
    前記金属層と前記第2の外部端子とを接続している配線と、を備え、
    前記配線層の面積は、前記金属層の前記中継部材と重なる領域の面積よりも小さく、
    前記配線層の面積は、前記他の金属層の前記中継部材と重なる領域の面積よりも小さく、
    前記配線層の面積は、前記接合材の前記中継部材と重なる領域の面積よりも小さい、発光素子モジュール。
  2. 前記温度調節素子は、ペルチェ素子であり、
    前記設置面は、前記ペルチェ素子の発熱面または吸熱面である、請求項1に記載の発光素子モジュール。
  3. 前記素子側配線および前記端子側配線のうちの少なくとも一方がワイヤー配線である、請求項1または2に記載の発光素子モジュール。
  4. 前記端子側配線が複数である、請求項3に記載の発光素子モジュール。
  5. 前記配線層は、前記素子側配線が接続されている第1端部と、前記端子側配線が接続されている第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部とが並ぶ方向が長手方向である長手形状をなしている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光素子モジュール。
  6. 前記第2端部の幅が前記第1端部の幅よりも大きい、請求項5に記載の発光素子モジュール。
  7. 前記配線層は、前記第2端部側から前記第1端部側に向けて、幅が連続的に減少している部分を有している、請求項6に記載の発光素子モジュール。
  8. 前記中継部材は、セラミックス材料を含んでいる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光素子モジュール。
  9. 前記配線層は、金を含んで構成されている表層と、前記表層と前記中継部材との間に設けられている下地層と、を有している、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発光素子モジュール。
  10. 前記下地層は、前記中継部材上に、チタンを含んで構成されている第1層と、パラジウムを含んで構成されている第2層とがこの順で積層されて構成されている、請求項9に記載の発光素子モジュール。
  11. 第3の外部端子と、
    前記金属層に配置されている他の中継部材と、
    前記他の中継部材の、前記設置面と対向する面とは反対側の面に配置されている、前記他の中継部材の配線層と、
    前記温度検出素子と前記他の中継部材の配線層とを電気的に接続している配線と、
    前記第3の外部端子と前記他の中継部材の配線層とを電気的に接続している配線と、
    を備えている、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の発光素子モジュール。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光素子モジュールを備える、量子干渉装置。
  13. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光素子モジュールを備える、原子発振器。
  14. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光素子モジュールを備える、電子機器。
  15. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光素子モジュールを備える、移動体。
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