JP6596250B2 - 液滴製造装置 - Google Patents
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このような方法を実現する装置として、例えば特許文献1に開示されている「滴下装置」がある。この滴下装置は、「液滴を滴下する滴下ノズルと、前記滴下ノズルに振動を加える加振器と、前記滴下ノズルに対して、実質的に無脈動で液体を供給する送液手段とを備えてなることを特徴とする」ものである(特許文献1の請求項1参照)。
このような方法の場合も、上記の特許文献1と同様に滴下ノズルに振動を与えて液滴を強制的に製造するのが一般的である。
そして、製造された液滴を固体化する方法としては、液滴を例えば液体窒素等の低温液体中に滴下させて急速冷却する方法を検討している。
しかしながら、温風をノズルに吹きかける方法では、原料液の球体が十分に成長する前に落下してしまうという問題があるし、赤外線等により加熱する方法では、ノズルのみをピンポイントで加熱することは難しいという問題がある。
その結果、図6に示すように、ノズル3の先端部に原料液Lの球体をゆっくりと成長させた場合において、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離が近いと、装置の微小な振動や、静電気などの原因により、加熱部4の最下部が原料液Lで濡れてしまい、最適な大きさの液滴を安定して滴下できないということが判明した。
そこで、発明者はノズル3の先端部に加熱部4を接触させるとしても、ノズル3の先端部と加熱部4の配置には満たすべき位置関係があると考え、さらに検討を加えることで本発明を完成させたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記原料液が流通し、先端部から鉛直下方に前記原料液を液滴として自然落下させるノズルと、
伝熱材からなる管体を有し、該管体の内部を熱媒体が流通する加熱部であって、前記管体が前記ノズルに接触して前記ノズル内を流通する原料液を加熱する加熱部とを備え、
前記ノズルの先端部と前記加熱部の最下部との距離が、前記ノズルの内径若しくは前記液滴の長径のいずれか大きい方の値の0.5倍以上1.0倍以下に設定されていることを特徴とするものである。
各構成を詳細に説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、各構成要素の特徴を分かり易くするために、便宜上、特徴となる部位を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ノズル3は、原料液Lが流通し、先端部から鉛直下方に原料液Lを液滴として自然落下させるものである。
ノズル3は、加振器などによって振動が与えられ、原料液Lを強制的に液滴として吐出するものとは違い、非常に高い精度で調整された微量の原料液Lが定量供給されることで、ノズル3の先端部に原料液Lの球体をゆっくりと成長させ、球体に作用する重力がノズル3側へ作用する引っ張り張力を上回ることで自然に滴下させるものである。
なお、ノズル3に原料液Lを定量供給する原料液供給装置8(図2参照)の一例については後述する。
ノズル3の材質としては、SUS304を用いることができるが、これに限定されるものではなく、原料液Lと反応せず、かつ、ノズル3の周囲環境に適したもの、さらに衛生的に問題のない材質であれば材質は問わない。
加熱部4は、ノズル3に接触してノズル3内を流通する原料液Lを加熱するものである。
本実施の形態の加熱部4は、伝熱材からなる矩形の管体からなり、内部に熱媒体6としての温風が流通している。
加熱部4の材質にはSUS304を用いることができるが、これに限定されるものではなく、原料液Lや熱媒体6と反応せずかつ、ノズル3の周囲環境に適したもの、さらに衛生的に問題のない材質であれば材質は問わない。
一般的に、食品や医薬品の製造装置は、衛生面から毎日分解して洗浄できることが求められる。よって、液滴製造装置1を食品の製造装置の一部として用いる場合、加熱部4としては、異物などが溜まりにくいシンプルな形状のものが好ましい。
この点、本実施形態の加熱部4は、矩形状の管体を用いて内部を流通する熱媒体6の熱をノズル3に伝えるものであり、シンプルな形状であり、洗浄にも支障がない。
また、本実施形態では、熱媒体6として温風を用いているが、これは、食品や医薬品の製造工場においては、温風を供給する配管が張り巡らされていることが多く、温風を得やすいためである。
もっとも、熱媒体6としては、温風に限定されるものではなく、温水など他のものであってもよい。
加熱部4の最下部の位置をこのように設定することで、原料液Lが加熱部4を濡らすことがない。この点は、後述する実施例で実証している。
ただ、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cの上限値としては、ノズル3の内径A若しくは液滴の長径Bのいずれか大きい方の値の1.0倍以下とすることが好ましい。
ノズル3の先端部から加熱部4を離すことで加熱部4が原料液Lで濡れるのを防止することはできるが、加熱部4を離し過ぎるとノズル3の先端部において原料液Lが徐々に凍結若しくは再固体化することがある(図4参照)。
そこで、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cには上限値を設けることが好ましく、後述する実施例において検証したところ、上記の範囲が好ましいことが判明した。
上記のように、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cの下限値及び上限値は、実施例で後述するように、液滴製造テストを繰り返し行い、液滴を安定して製造できる好ましい条件として設定したものである。
例えば、ノズル3の外径が2.0mm(内径A:1.4mm)において、液滴の長径Bが1.4mm以下の液滴を製造する場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cはノズル3の内径A(1.4mm)を基準とし、その0.5倍〜1.0倍、すなわち0.7〜1.4mmで調整することになる。
また、ノズル3の外径が2mm(内径A:1.4mm)において、液滴の長径Bが1.4mm以上の液滴を製造する場合、例えば液滴の長径Bが4.0mmの場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cは、液滴の長径B(4.0mm)を基準として、その0.5倍〜1.0倍、すなわち2.0〜4.0mmで調整することになる。
さらに、ノズル3の外径が4.0mm(内径A:2.0mm)において、液滴の長径Bが2.0mm以上の液滴を製造する場合、例えば液滴の長径Bが5.0mmの場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cは液滴の長径B(5.0mm)を基準として、その0.5倍〜1.0倍、すなわち2.5〜5.0mmで調整することになる。
また、図5に示すように、複数のノズル3を直線状に並べて配置し、これらのノズル3に一つの加熱部4を接触させるようにしてもよい。
原料液供給装置は、ノズル3に原料液Lの流量を非常に高い精度で調整して供給するものであり、原料液Lを貯留する原料タンク5と、一端側が原料タンク5に、他端側がノズル3に接続されて、原料液Lが流通してノズル3に供給される供給配管7と、供給配管7に設けられて、原料タンク5からノズル3へ供給される原料液Lを一定流量に調整する一定流量調整部10を有している。以下、原料液供給装置を構成する各部分を詳細に説明する。
原料タンク5は、ノズル3に供給する原料液Lを貯留するものである。
原料タンク5の材質にはSUS304を用いることができるが、これに限定されるものではなく、原料液Lと反応しないものであれば材質は問わない。
供給配管7は、一端側が原料タンク5、他端側がノズル3に接続されて、原料タンク5に貯留された原料液Lを流通させてノズル3に供給するものである。
供給配管7の材質としては、SUS304を用いることができるが、これに限定されるものではなく、原料液Lと反応しない材質であれば良い。
一定流量調整部10は、供給配管7に設けられ、ノズル3に供給される原料液Lを一定の流量に調整するものであり、図2に示すように、原料液Lが流通する供給配管7を所定の流路断面積に縮小させる流路縮小部11と、流路縮小部11と原料タンク5との間に設けられ、流路縮小部11の上流側における前記原料液Lの圧力p1を調整する圧力調整部13とで構成されている。
流路縮小部11は、供給配管7に設けられ、原料液Lが流通する供給配管7の流路を所定の流路断面積に一度縮小させ、その後拡大することによって、流路縮小部11の下流側における原料液Lの圧力p2を低下させ、流路縮小部11の上流側と下流側に圧力差Δp(=p1―p2)を生じさせるものである。
コントロール弁はその開度によって開口部の断面積(流路断面積)が変わるため、原料液Lをノズル3に供給して液滴を製造している最中においても流量を変更することができるが、コントロール弁の開口部の断面積が微妙に変化して、流量が変動しやすい。
そのため、液滴製造中に流量を変更する必要がない場合においては、流路断面積が一定に固定されているオリフィスを用いる方がより好ましい。
圧力調整部13は、流路縮小部11より上流(原料タンク5側)に設けられ、流路縮小部11の上流側における原料液Lの圧力p1を調整するものである。
圧力調整部13の一例としては、図2に示すように、ホッパ15と、液面計17と、弁制御部19及び自動開閉弁21から構成されたものがある。
ホッパ15の材質にはSUS304を用いることができるが、これに限定されるものではなく、原料液Lと反応しないものであれば材質は問わない。
自動開閉弁21としては、ボール弁を用いることができるが、これに限定されることはなく、原料タンク5からホッパ15への原料液Lの供給と遮断を切り替え可能な構造の弁であれば、玉形弁等を用いても良い。
さらに、上記構成の液滴製造装置1は、圧力調整部13により制御するホッパ15内における原料液Lの液面高さを変更することにより、ノズル3に供給する原料液Lの流量を変更することができる。
そして、一度、液滴の滴下に適した状態から外れて連続流になると、変質した原料液Lが流路縮小部11を通過してノズル3から排出されたとしても、液滴が滴下するのに適した状態に自発的に戻ることはほとんど見られない。
リセット弁23は、流路縮小部11と圧力調整部13との間の供給配管7に設けられて、供給配管7の流路を閉開するものであり、ノズル3からの原料液Lが液滴状態から連続流となった場合に、リセット弁23により供給配管7の流路を一旦閉じ、原料液Lの状態を静置した後、再び開くことによって、液滴の製造を再開することができる機能を有する。
ノズル3への原料液Lの供給中は、ホッパ15において原料液Lが所定の液面高さを保つように液面計17、弁制御部19、自動開閉弁21を用いて次のように自動的に制御する。
そして、自動開閉弁21においては、弁制御部19から出力された「閉」信号に基づいて弁が閉じられ、原料タンク5からホッパ15への原料液Lの供給が停止する。
そのため、流路縮小部11の上流側と下流側における圧力差Δp(=p1−p2)は所定の値に保たれることになる。
このとき、ノズル3の先端部には加熱部4が接触しており、かつノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが所定の範囲に設定されているので、原料液Lの成長過程で原料液Lの球体が加熱部4を濡らすことがなく適切な大きさまで成長する。また、ノズル3の周囲環境が原料液Lを凍結又は再固体化するものであっても、ノズル3の先端部が加熱部4によって暖められているので、原料液Lがノズル3内またはノズル3の外で凍結又は再固体化することもない。
このように、非常に高い精度で一定流量に調整された原料液Lをノズル3に供給し、かつ加熱部4を設けることによって、液滴を安定かつ継続して製造することが可能となる。
上述したように、製造した液滴を凍結させる場合、ノズル3の先端以外は低温対策を施すものの、長時間周囲環境が低温となることによって原料液Lが徐々に冷却されて、変質した原料液Lが発生してしまう。この変質した原料液Lが流路縮小部11やノズル3に悪影響を及ぼした後、ノズル3から排出される。その直後、液滴状態から連続流と変化してしまう。
一旦、連続流となってしまうと、液滴の製造に適した条件を満たした状態にほとんど戻らない。
また、本発明における原料液Lは、水、飲料、乳製品、水溶液、有機溶液、コロイド溶液等の液状物質を対象としており、その種類に関して特に制限はない。
原料液Lである水の温度は7℃、熱媒体6である温風の温度は70℃とした。液体窒素が満たされた容器は、ノズル3の下方6cmとし、ノズル3の雰囲気の温度は約4℃とした。
さらに、ノズル3の内径Aを2.0mmとし、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cを上記と同様に0.0mm〜7.0mmの範囲で変更し、かつ液滴の長径Bについても上記と同様に1.0mm〜5.0mmの範囲で変更した。
ノズル3の内径Aを1.4mmとした場合の結果を表1に、ノズル3の内径Aを2.0mmとした場合の結果を表2にそれぞれ示す。
・液滴の長径Bが1.0mmの場合
この場合は、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜0.5mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが1.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが1.5mm〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが1.0mmの場合、ノズル内径A(1.4mm)の方が大きく、「安定」となった距離C=1.0mmは、ノズル内径A(1.4mm)の0.5〜1.0倍、すなわちほぼ0.7〜1.4mmの範囲となっている。
この場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜1.0mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが1.5〜3.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが3.5〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが3.0mmの場合、ノズル内径A(1.4mm)より液滴の長径Bの方が大きく、「安定」となった距離C=1.5〜3.0mmは、液滴の長径B(3.0mm)の0.5〜1.0倍、すなわち1.5〜3.0mmとなっている。
この場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜2.0mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが2.5〜5.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが5.5〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが5.0mmの場合、ノズル内径A(1.4mm)より液滴の長径Bの方が大きく、「安定」となった距離C=2.5〜5.0mmは、液滴の長径B(5.0mm)の0.5〜1.0倍、すなわち2.5〜5.0mmとなっている。
・液滴の長径Bが1.0mmの場合
この場合は、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜0.5mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが1.0〜2.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが2.5mm〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが1.0mmの場合、ノズル内径A(2.0mm)の方が大きく、「安定」となった距離C=1.0〜2.0mmは、ノズル内径A(2.0mm)の0.5〜1.0倍、すなわち1.0〜2.0mmとなっている。
この場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜1.0mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが1.5〜3.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが3.5〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが3.0mmの場合、ノズル内径A(2.0mm)より液滴の長径Bの方が大きく、「安定」となった距離C=1.5〜3.0mmは、液滴の長径B(3.0mm)の0.5〜1.0倍、すなわち1.5〜3.0mmとなっている。
この場合、ノズル3の先端部と加熱部4の最下部との距離Cが0.0〜2.0mmでは「加熱部と接触」となり、距離Cが2.5〜5.0mmで「安定」となり、さらに距離Cが5.5〜7.0mmでは「凍結」となった。
液滴の長径Bが5.0mmの場合、ノズル内径A(2.0mm)より液滴の長径Bの方が大きく、「安定」となった距離C=2.5〜5.0mmは、液滴の長径B(5.0mm)の0.5〜1.0倍、すなわち2.5〜5.0mmとなっている。
3 ノズル
4 加熱部
5 原料タンク
6 熱媒体
7 供給配管
10 一定流量調整部
11 流路縮小部
13 圧力調整部
15 ホッパ
17 液面計
19 弁制御部
21 自動開閉弁
23 リセット弁
25 監視部
25a 発信部
25b 受信部
27 リセット弁制御部
A ノズルの内径
B 液滴の長径
C ノズルの先端部と加熱部の最下部との距離
L 原料液
Claims (3)
- 水、飲料、乳製品、水溶液、有機溶液、コロイド溶液を原料液として、該原料液の液滴を凍結させることで固体粒子を作製するに際し、前記原料液を滴下させて液滴を製造する液滴製造装置であって、
前記原料液が流通し、先端部から鉛直下方に前記原料液を液滴として自然落下させるノズルと、
伝熱材からなる管体を有し、該管体の内部を熱媒体が流通する加熱部であって、前記管体が前記ノズルに接触して前記ノズル内を流通する原料液を加熱する加熱部とを備え、
前記ノズルの先端部と前記加熱部の最下部との距離が、前記ノズルの内径若しくは前記液滴の長径のいずれか大きい方の値の0.5倍以上1.0倍以下に設定されていることを特徴とする液滴製造装置。 - 前記ノズルに前記原料液を定量供給する原料液供給装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の液滴製造装置。
- 前記熱媒体は、温風であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴製造装置。
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