以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。以下の説明は、入力検出装置として、タッチ検出機能付き液晶表示装置を例として述べるが、これに限定されるものではない。例えば、入力検出装置は、タッチ検出機能付きOLED表示装置でもよいし、表示機能を有していないタッチパネル等であってもよい。
(実施の形態)
実施の形態では、ペンによるタッチと指によるタッチの両方を検出することが可能なタッチ検出機能付き液晶表示装置(以下、表示装置とも称する)が提供される。先ず、表示装置の基本的な構成を説明し、次に、この基本的な構成を基にして、ペンによるタッチを検出する磁界検出(以下、磁界タッチ検出とも称する)および指によるタッチを検出する電界検出(以下、電界タッチ検出とも称する)の原理を説明する。
<表示装置の基本的な構成>
図1は、表示装置の構成を模式的に示す図である。図1において、1は、表示装置を示しており、図1(A)は、表示装置1の平面を示す平面図であり、図1(B)は、表示装置1の断面を示す断面図である。表示装置1は、TFT(Thin Film Transistor)ガラス基板(以下、絶縁性第1基板または単に第1基板とも称する)TGBと、第1基板TGBに積層されたレイヤ(層)、カラーフィルタCFT、CF(Color Filter)ガラス基板(以下、絶縁性第2基板または単に第2基板とも称する)CGBおよび第2基板CGBに積層されたレイヤ(層)を備えている。
図1(A)において、TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されたレイヤによって構成された駆動電極を示している。また、RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1に形成されたレイヤによって構成された検出電極を示している。理解を容易にするために、図1(A)では、第1基板TGBと第2基板CGBとが分離して、描かれているが、実際には、図1(B)に示すように、液晶層を挟んで、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように配置されている。
第1基板TGBの第1主面TSF1と、第2基板CGBの第2主面CSF2との間には、複数のレイヤと、液晶層等が挟まれているが、図1(B)では、第1主面TSF1と第2主面CSF2との間に挟まれた駆動電極TL(0)〜TL(n+2)、液晶層およびカラーフィルタCFTのみが示されている。また、第2基板CGBの第1主面CSF1には、図1(A)に示すように複数の検出電極RL(0)〜RL(p)と偏光板が配置されている。また、図1(B)において、13は検出電極RL(n)に接続された単位検出回路を示している。
本明細書では、表示装置1を、図1(B)に示すように、第2基板CGBおよび第1基板TGBの第1主面CSF1、TSF1側から見たときの状態を、平面視として説明する。第1主面CSF1およびTSF1側から、平面視で見たとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1において、図1(A)に示すように、行方向(横方向)に延在し、列方向(縦方向)に平行に配置されている。また、検出電極RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1において、図1(A)に示すように、列方向(縦方向)に延在し、行方向(横方向)に平行に配置されている。
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)の間には、第2基板CGB、液晶層等が介在している。そのため、駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)は、平面視で見たときには、交差しているが、互いに電気的に分離されている。駆動電極と検出電極との間には、容量が存在するため、図1(B)では、この容量が容量素子として破線で示されている。
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)とは、平面視で見たとき、直交していることが望ましいが、平面視で見たときに、駆動電極と検出電極とは傾きを持って交差していてもよい。そのため、以下の説明で用いる「直交」は「交差」も含むものと理解されるべきである。
<磁界検出の原理>
図2は、磁界検出の原理を示す説明図である。磁界検出の期間は、磁界を発生する磁界発生期間と磁界を検出する磁界検出期間とによって構成される。図2(A)および(C)は、磁界発生期間のときの動作を示しており、図2(B)は、磁界検出期間のときの動作を示している。説明の都合上、図2(A)〜(C)は、図1(A)を90度回転させた状態が示されている。
磁界発生期間においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、所定の駆動電極間の端部が、電気的に接続され、端部が接続された駆動電極に、所定の電圧(例えば接地電圧Vs)と磁界駆動信号が供給される。例えば、図1に示した駆動電極TL(0)およびTL(2)のそれぞれの端部のうち、他方の端部が、図1の右側において電気的に接続される。これにより、互いに平行に配置されている駆動電極TL(0)およびTL(2)が、直列的に接続される。駆動電極TL(0)の一方の端部に、図1の左側において、接地電圧Vsを供給し、駆動電極TL(2)の一方の端部に、図1の左側において、磁界駆動信号を供給する。ここで、磁界駆動信号は、その電圧が周期的に変化する信号である。駆動電極TL(0)およびTL(2)により、この駆動電極により挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界発生コイルが構成され、この磁界発生コイルは、磁界駆動信号の電圧の変化に応じた磁界を、その内側で発生する。
図2(A)において、GX(n−1)は、駆動電極TL(0)、TL(2)によって構成された磁界発生コイルを示し、GX(n)〜GX(n+4)のそれぞれは、磁界発生コイルGX(n−1)と同様に、駆動電極TL(1)、TL(3)〜TL(p)によって構成された磁界発生コイルを示している。
図2(A)において、CおよびL1は、ペンPenに内蔵されている容量素子およびコイルを示している。容量素子CとコイルL1は、共振回路を構成するように、並列接続されている。磁界発生期間において、磁界発生コイルGX(n−1)〜GX(n+3)のそれぞれの一方の端部には、接地電圧Vsが供給される。磁界駆動信号CLKが、磁界発生コイルGX(n)の他方の端部に供給される。これにより、磁界発生コイルGX(n)が、磁界駆動信号CLKの電圧変化に応じた磁界φ1を発生する。ペンPenが、磁界発生コイルGX(n)に近接していれば、磁界発生コイルGX(n)とコイルL1との間は電磁結合され、磁界φ1によってコイルL1に相互誘導による誘起電圧が発生し、容量素子Cが充電される。
次に、図2(B)に示す磁界検出期間に移行する。磁界検出期間においては、検出電極RL(0)〜RL(p)を用いて、磁界の検出が行われる。検出電極RL(0)〜RL(p)は一対の端部を有している。検出電極RL(0)〜RL(p)のうち、所定の検出電極間の他方の端部が、互いに電気的に接続される。例えば、図1に示した検出電極RL(0)とRL(3)のそれぞれの他方の端部が、図1の上側において電気的に接続される。これにより、平行に配置された検出電極RL(0)、RL(3)が直列的に接続される。磁界検出期間においては、検出電極RL(3)の一方の端部に所定の電圧Vsが供給され、検出電極RL(0)の一方の端部が、単位検出回路に接続される。これにより、検出電極RL(0)とRL(3)とによって挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界検出コイルが形成され、この磁界検出コイルによって、ペンPenからの磁界の検出が行われる。
図2(B)において、DY(n−2)は、検出電極RL(0)、RL(3)によって構成された磁界検出コイルを示しており、DY(n−1)〜DY(n+1)は、同様に検出電極RL(2)〜RL(p)によって構成された磁界検出コイルを示している。磁界検出期間のとき、磁界検出コイルDY(n−1)〜DY(n+1)のそれぞれの一方の端部に、所定の電圧Vsが供給され、それぞれの他方の端部における信号Rx(n−2)〜Rx(n+1)が、単位検出回路に供給される。
磁界発生期間において、容量素子Cに充電が行われていれば、磁界検出期間のとき、コイルL1は、容量素子Cに充電されている電荷に従って、共振回路の共振周波数に応じて変化する磁界φ2を発生する。図2(B)では、磁界検出コイルDY(n)の内側に、コイルL1の中心(一点鎖線)が存在している。そのため、磁界検出コイルDY(n)とコイルL1との間で電磁結合が発生し、相互誘導によって、磁界検出コイルDY(n)に誘起電圧が発生する。その結果、磁界検出コイルDY(n)の他方の端部における信号Rx(n)は、容量素子Cに充電されている電荷量に応じて変化することになる。磁界検出コイルDY(n)に接続された単位検出回路は、この信号Rx(n)の変化を検出信号として出力する。これにより、ペンPenが近接(タッチ)しているか否か、および座標を抽出することが可能となる。また、電荷量に応じて検出信号が変化するため、ペンPenとの距離を求めることが可能となる。
図2(C)は、図2(B)に続いて移行した磁界発生期間を示している。図2(A)と異なるのは、磁界発生コイルGX(n+1)に磁界駆動信号CLKが供給されていることである。ペンPenの位置は変化していないため、図2(C)に示した磁界発生期間においては、コイルL1に誘起電圧が発生せず、容量素子Cは充電されない。これにより、図2(C)に続いて移行する磁界検出期間においては、ペンPenが近接していないと検出される。以降、同様にして、ペンPenの検出が行われる。
<電界検出の原理>
図3は、電界検出の原理を示す説明図である。図3(A)において、12−0〜12−pのそれぞれは、電界駆動信号を出力する単位駆動回路を示し、13−0〜13−pのそれぞれは、単位検出回路を示している。また、図3(A)において、実線の○で囲んだパルス信号は、駆動電極TL(2)へ供給される電界駆動信号Tx(2)の波形を示している。外部物体として、指がFGとして示されている。
駆動電極TL(2)に、電界駆動信号Tx(2)が供給されると、図3(B)に示すように、駆動電極TL(2)と、この駆動電極TL(2)と直交する検出電極RL(n)との間で電界が発生する。このとき、指FGが、駆動電極TL(2)の近傍をタッチしていると、指FGと駆動電極TL(2)との間でも電界が発生し、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間で発生している電界が減少する。これにより、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間の電荷量が減少する。その結果、図3(C)に示すように、駆動信号Tx(2)の供給に応答して生じる電荷量は、指FGがタッチしているときは、タッチしていないときに比べてΔQだけ減少する。電荷量の差は、電圧の差として表れ、単位検出回路13−nに供給され、検出信号として出力される。
他の駆動電極についても、同様にして、電界駆動信号を供給することにより、指FGがタッチしているが否かに応じた信号の電圧変化が、検出電極RL(0)〜RL(p)に生じ、検出信号として出力されることになる。これにより、指FGがタッチしているか否か、および座標を抽出することが可能となる。
上記したように、磁界検出の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、選択された駆動電極に磁界駆動信号が供給され、電界検出の際には、選択された駆動電極に電界駆動信号が供給される。一方、表示の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)に、表示駆動信号が供給される。表示駆動信号によって、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、同じ電圧とされるため、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、1個の共通電極と見なすことができる。
<表示装置の全体構成>
図4は、実施の形態に係わる表示装置1の構成を示すブロック図である。図4において、表示装置1は、表示パネル(液晶パネル)、制御装置3、ゲートドライバ4およびタッチ制御装置5を備えている。また、表示装置1は、第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCR、第1選択駆動回路SDL、第2選択駆動回路SDRおよび検出回路DETを備えている。表示パネルは、表示を行う表示領域(表示部)と周辺領域(周辺部)とを備えている。表示と言う観点で見た場合、表示領域はアクティブ領域であり、表示領域を包囲する周辺領域は非アクティブ領域である。図4では、2が、表示領域である。
表示領域2は、複数の画素が行列状に配置された画素配列を有している。画素配列には、複数の信号線、複数の駆動電極、複数の走査線および複数の検出電極が配置されている。図4を参照して述べると、画素配列において、信号線SL(0)〜SL(p)は、縦方向(列方向)に延在し、横方向(行方向)に平行に配置されている。また、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。さらに、走査線は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置され、検出電極RL(0)〜RL(p)は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。この場合、画素は、かかる複数の信号線と複数の走査線とが交差することにより形成される空間に配置されている。表示の期間(以下、表示期間とも称する)においては、信号線と走査線により、画素が選択され、選択された画素には、そのときの信号線の電圧と、駆動電極の電圧が印加され、信号線と駆動電極との間の電圧差に従った表示が行われる。
制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号と入力端子Tiに供給される画像情報とを受け、表示期間のとき、画像情報に従った画像信号を形成し、複数の信号線SL(0)〜SL(p)に供給する。また、制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号とタッチ制御装置5からの制御信号SWとを受け、種々の信号を形成する。図4には、制御装置3により形成される信号のうち、説明に必要な信号のみが、代表として描かれている。制御装置3は、駆動信号TPH、TPLを形成する駆動信号回路6を備える。また制御装置3は同期信号TSHD、制御信号COMFL、電界選択信号MSEL、状態選択信号VSEL1、VSEL2を形成する。また、制御装置3は、シフトクロック信号CK−AR、CK−BR、CK−AL、CK−BLおよびスタート信号ST−AR、ST−BR、ST−AL、ST−BLを形成する。
同期信号TSHDは、表示領域2において表示を行う表示期間とタッチ検出を行う期間(以下、タッチ検出期間とも称する)とを識別する同期信号である。制御装置3は、この同期信号TSHDによって、タッチ制御装置5が、タッチ検出期間の際に動作するように制御する。同期信号TSHD以外の信号については、後の説明で述べるので、ここでは省略する。
ゲートドライバ4は、表示のとき、制御装置3からのタイミング信号に従って走査線信号Vs0〜Vspを形成し、表示領域2内の走査線に供給する。表示期間においては、ハイレベルの走査線信号が供給されている走査線に接続されている画素が選択され、選択された画素は、そのとき信号線SL(0)〜SL(p)に供給されている画像信号に従った表示を行う。
検出回路DETは、磁界タッチ検出および電界タッチ検出の際に、検出電極RL(0)〜RL(p)における信号の変化を検出し、検出信号Rx(0)〜Rx(p)として出力する。
タッチ制御装置5は、検出信号Rx(0)〜Rx(p)を受け、タッチされた位置の座標を抽出し、外部端子Toから出力する。また、タッチ制御装置5は、制御信号SWを出力するとともに、同期信号TSHDを受け、表示制御装置3に同期して動作する。
表示領域2は、画素配列の行に平行した辺2−U、2−Dと、画素配列の列に平行した辺2−R、2−Lを有している。ここで、辺2−Uと辺2−Dは、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の駆動電極と複数の走査線が配置されている。また、辺2−Rと辺2−Lも、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の信号線と複数の検出電極が配置されている。
第1スキャナ回路SCLおよび第1選択駆動回路SDLは、表示領域2の辺2−Lに沿って、複数の駆動電極の一方に端部に近接するように配置されており、第1選択駆動回路SDLは、辺2−Lにおいて、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部に接続されている。同様に、第2スキャナ回路SCRおよび第2選択駆動回路SDRは、表示領域2の辺2−Rに沿って、複数の駆動電極の他方の端部に近接するように配置されており、第2選択駆動回路SDRは、辺2−Rにおいて、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部に接続されている。
第1スキャナ回路SCLは、一対のスキャナ回路SCAL、SCBLを有し、第1選択駆動回路SDLは、第1選択回路SELLと第1駆動回路DRVLを有している。同様に、第2スキャナ回路SCRは、一対のスキャナ回路SCAR、SCBRを有し、第2選択駆動回路SDRは、第2選択回路SELRと第2駆動回路DRVRを有している。
第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCR、第1選択駆動回路SDLおよび第2選択駆動回路SDRは、磁界タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、所望の駆動電極を選択し、選択した駆動電極に磁界駆動信号を供給し、電界タッチ検出のときにも、所望の駆動電極を選択し、選択した駆動電極に電界駆動信号を供給する。そのため、磁界タッチ検出および電界タッチ検出の際には、第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCR、第1選択駆動回路SDLおよび第2選択駆動回路SDRによって、駆動電極を駆動する駆動回路が構成されていると見なすことができる。
図4において、TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれは、信号配線を示している。信号配線TPLLおよびTSVLは、表示領域2の辺2−Lに沿って延在しており、第1駆動回路DRVLを貫通している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRは、表示領域2の辺2−Rに沿って延在しており、第2駆動電極DRVRを貫通している。図4を参照にして述べると、信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRのそれぞれは、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれが延在する横方向と交差する縦方向に延在している。
第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCR、第1選択駆動回路SDLおよび第2選択駆動回路SDRについては、後で図を用いて詳しく説明するが、第1選択駆動回路SDLを構成する第1駆動回路DRVLは、第1選択回路SELLに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、第1選択回路SELLからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLLまたはTSVLに電気的に接続する。同様に、第2選択駆動回路SDRを構成する第2駆動回路DRVRは、第2選択回路SELRに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、第2選択回路SELRからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLRまたはTSVRに電気的に接続する。
制御装置3に備えられた駆動信号回路6によって形成された駆動信号TPLおよびTSVが、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給される。後で詳しく説明するが、磁界タッチ検出のときには、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TPLおよびTSVが、第1駆動回路DRVLおよび第2駆動回路DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、磁界が発生する。また、電界タッチ検出の際には、信号配線TSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TSVが、第1駆動回路DRVLおよび第2駆動回路DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、電界が発生する。また、信号配線TPLLは第1信号配線、信号配線TSVRは第2信号配線、信号配線TSVLは第3信号配線、信号配線TPLRは第4信号配線とも称する場合がある。
<表示装置1のモジュール構成>
図5は、表示装置1を実装したモジュール500の全体構成を示す模式的な平面図である。模式的ではあるが、図5は、実際の配置に合わせて描かれている。同図において、501は、図1で示した第1基板TGBの領域を示し、502は、第1基板TGBと第2基板CGBとが積層された領域を示している。モジュール500において、第1基板TGBは、領域501と502において一体となっている。また、領域502では、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように、第1基板TGBに第2基板CGBが搭載されている。図5において、500−U、500−Dは、モジュール500の短辺を示しており、500−L、500−Rは、モジュール500の長辺を示している。
領域502であって、表示領域2の辺2−Lとモジュール500の長辺500−Lとの間の領域には、図4で示したゲートドライバ4、第1スキャナ回路SCLおよび第1選択駆動回路SDLが配置されている。表示領域2の辺2−Rとモジュール500の長辺500−Rとの間の領域には、図4で示した第2スキャナ回路SCRおよび第2選択駆動回路SDRが配置されている。表示領域2の辺2−Dとモジュール500の短辺500−Dとの間の領域には、図4で示した検出回路DETおよび制御装置3が配置されている。検出回路DETは、領域501の第1基板TGBの第1主面TSF1に形成された配線および部品により構成されている。平面視で見たとき、検出回路DETを覆うように、制御装置3が、第1基板TGBに実装されている。また、第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCRおよび第1選択駆動回路SDL、第2選択駆動回路SDRを構成する配線および部品も、領域502における第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されている。
図4において説明した検出信号Rx(0)〜Rx(p)は、フレキシブルケーブルFB1内の配線を介して、タッチ制御装置5に供給される。領域501には、フレキシブルケーブルFB2が接続されており、このフレキシブルケーブルFB2に設けられたコネクタCNを介して、タッチ制御装置5と制御装置3との間で信号の送受信が行われる。
表示領域2には、既に述べたように、複数の画素が行列状に配列された画素配列を有しており、画素配列の行に沿って配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)および走査線と、画素配列の列に沿って配置された複数の信号線SL(0)〜SL(p)と複数の検出電極RL(0)〜RL(p)とを備えている。図5には、例として、2個の駆動電極TL(n)、TL(m)と2個の信号線SL(k)、SL(n)と3個の検出電極RL(n−2)〜RL(n)が示されている。図5では、横方向が、画素配列の行方向であり、縦方向が、画素配列の列方向である。そのため、例示した駆動電極TL(n),TL(m)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。また、例示した信号線SL(k)、SL(n)は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置され、例示した検出電極RL(n−2)〜RL(n)のそれぞれは、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。なお、図5では走査線は、省略されているが、走査線は、例示した駆動電極TL(n)、TL(m)と平行して、延在している。
また、図5には、画素配列が、破線PDMとして示されており、画素配列PDMに配置されている複数の画素のうち、表示領域2の4個の角に配置されている画素と、例示した駆動電極および信号線との交差部に配置された画素が、Pixとして示されている。画素Pixのそれぞれは、図示していないが、走査線信号(例えば、図4のVs0)によってスイッチ制御されるスイッチと、このスイッチに接続された画素電極とを備えている。表示期間では、走査線信号Vs0によってスイッチがオン状態にされると、画素電極は、スイッチを介して信号線に接続される。表示期間のときには、信号線を介して画素電極に供給された画像信号と駆動電極との間の電位差に従って、液晶層が変化し、表示が行われる。
図4に示した信号配線TPLLおよびTSVLのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Lと表示領域2の辺2−Lとの間の領域において、縦方向(画素配列の列方向)に延在している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Rと表示領域2の辺2−Rとの間の領域において、縦方向(画素配列の方向:第1方向)に延在している。駆動電極TL(0)〜TL(p)の延在方向、すなわち、横方向を第2方向として見た場合、この第2方向と直交(交差を含む)する第1方向に、信号線SL(0)〜SL(p)、検出電極RL(0)〜RL(p)および信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRが延在することになる。このとき、省略されている走査線は、第2方向に沿って延在していることになる。
図4では、制御装置3に備えられた駆動信号回路6が、駆動信号TPLおよびTSVを形成する例を示したが、これに限定されず、他の回路ブロック等によって形成してもよい。他の回路ブロックで形成する場合、例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、第1基板TGBの第1主面TSF1において、フレキシブルケーブルFB2内の配線に接続され、フレキシブルケーブルFB上、あるいは任意の場所に配置された他の回路ブロックに接続される。図5において、制御装置3に示した破線は、他の回路ブロックによって、駆動信号TPL、TSVを形成する場合を示している。すなわち、他の回路ブロック(駆動信号回路)によって形成された駆動信号を伝達する信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRにおいて、制御装置3により覆われている部分が、破線として示されている。
図5に示すように、制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2は、表示領域2の辺2−Dおよびモジュール500の辺500−D側に配置されている。そのため、表示領域2の辺2−Dおよびモジュール500の辺500−D側から、駆動信号TPLおよびTSVが、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRへ供給されることになる。この場合、駆動信号が供給される信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRの端部は、表示領域2の辺2−Dおよびモジュール500の辺500−D側に配置されていることになる。従って、平面視で見たとき、図4および図5では、駆動電極TL(p)が、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRの端部に最も近接して配置されており、駆動電極TL(0)が、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRの端部から最も離れて配置されていることになる。すなわち、駆動電極TL(p)からTL(0)に向けて、駆動電極は、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRの端部から離れた位置(領域)に配置されていることになる。
<磁界発生期間の概要>
駆動電極を用いて磁界検出を行う場合の原理を、図2で説明した。理解を容易にするために、図2では、駆動電極間を電気的に接続することにより、磁界発生コイルを構成する例を示した。本発明者は、駆動電極間を電気的に接続せずに、磁界を発生する構成を考え、表示装置1に適用している。表示装置1のより具体的な説明をする前に、本発明者が考えた磁界発生を、説明しておく。
図6は、磁界発生期間の動作を説明するための平面図である。図6において、TL(n−4)〜TL(n+5)は、駆動電極を示している。駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、平面視で見たとき、互いに平行に配置されており、それぞれの駆動電極が、一対の端部n1、n2を備えている。ここで、駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、それぞれの一方の端部n1が、表示領域2の辺2−Lに沿い、それぞれの他方の端部n2が、表示領域2の辺2−Rに沿うように配置されている。
ここでは、駆動電極TL(n)の領域において、ペンPen(図2)がタッチしているか否かを検出する磁界タッチ検出の期間(以下、磁界タッチ検出期間とも称する)を例にして説明する。この磁界タッチ検出期間において、磁界発生期間のとき、図6(A)に示す駆動状態と図6(B)に示す駆動状態が、1回または複数回路発生するように、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)およびTL(n+1)〜TL(n+3)が駆動される。
磁界発生期間のとき、磁界を発生する駆動電極TL(n)の領域を、その間に挟むように配置された一対の駆動電極が選択され、選択された一対の駆動電極において流れる電流の方向が反対になるように、駆動電極が駆動される。図6においては、隣り合った3個の駆動電極が、束とされ、束の駆動電極(以下、束駆動電極とも称する)が、対を構成する駆動電極として用いられる。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)が束とされ、束駆動電極が構成され、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)が束とされ、束駆動電極が構成されている。
図6(A)では、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に、接地電圧のような第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に、第1電圧Vsよりも絶対値の大きな第2電圧Vdが供給される。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)のそれぞれにおいて、他方の端部n2から一方の端部n1へ向かう方向の電流I1が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)によって構成された束駆動電極は、図6(A)に破線で示す方向の磁界φ11を発生することになる。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)では、その一方の端部n1に、第2電圧Vdが供給され、その他方の端部n2に、第1電圧Vsが供給される。これにより、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)のそれぞれにおいて、一方の端部n1から他方の端部n2へ向かう方向の電流I2が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)によって構成された束駆動電極は、図6(A)に破線で示す方向の磁界φ12を発生することになる。
それぞれの束駆動電極が発生した磁界φ11、φ12の方向は、電流I1と電流I2の方向が反対のため、反対となり、駆動電極TL(n)の領域においては重畳されることになり、この駆動電極TL(n)の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。
図6(B)では、束駆動電極に供給される電圧が、図6(A)とは反対となるようにする。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に第2電圧Vdが供給され、その他方の端部n2に第1電圧Vsが供給される。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)の一方の端部n1に第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に第2電圧Vdが供給される。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)を流れる電流の方向が、図6(A)のときの電流の方向とは反転し、電流I2となる。これにより、発生する磁界の方向も反転し、破線で示す方向の磁界φ12が発生する。同様に、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)を流れる電流の方向が反転し、磁界の方向も反転して、破線で示す磁界φ11となる。その結果、駆動電極TL(n)の領域において、磁界φ11とφ12とが重畳され、強い磁界が発生することになる。
これにより、駆動電極間を電気的に接続しなくても、所望の駆動電極の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。なお、図6では、第1電圧Vsは、0で示され、第2電圧Vdは、+で示されている。
磁界発生期間において発生した磁界によって、ペンPenの容量素子に電荷が蓄積され、磁界検出期間において、ペンPenが発生する磁界を、磁界検出コイルで検出するのは、先に図2を用いて説明したのと同様である。
<本発明者の検討>
磁界発生期間のとき、図6で説明したように、選択された駆動電極の端部n1、n2に、第1電圧Vsと第2電圧Vdを、交互に供給するよう、図4に示した第1駆動回路DRVLおよび第2駆動回路DRVRは、第1選択回路SELLおよび第2選択回路SELRによって制御されることになる。このとき、制御装置3は、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを、信号配線TPLLおよびTPLRのそれぞれの端部に供給し、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを、信号配線TSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給する。
本発明者は、第1駆動回路DRVLおよび第2駆動回路DRVRの構成として、先ず、図17に示すような構成を検討した。図17は、本発明者が検討した駆動回路の構成を示す平面図である。図17でも、TL(0)〜TL(p)は、表示領域2の辺2−Uと辺2−Dとの間で、縦方向に平行に配置された複数の駆動電極を示している。ここでは、辺2−U側に近接した駆動電極TL(0)〜TL(n)が、図17(A)に示されており、辺2−D側に近接した駆動電極TL(n+1)〜TL(p)が、図17(B)に示されている。図17(A)を図17(B)の上側に配置することにより、駆動電極TL(0)〜TL(p)の平面図が完成する。
また、図17において、TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRは、駆動信号TPLおよびTSVを伝達する信号配線を示している。図17において、nLL、nLR、nVLおよびnVRは、上述した駆動信号回路6に接続されている信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRの端部を示しており、端部nLLおよびnLRに駆動信号TPLが供給され、端部nVLおよびnVRに駆動信号TSVが供給される。そのため、この図では、表示領域2の辺2−L及び辺2−Rに沿って引き回された信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRのうち端部nLL、nLR、nVLおよびnVRが駆動信号回路6に最も近接した場所とみなすことができる。平面視で見たとき、駆動電極TL(p)からTL(0)に向かって、駆動電極は、端部nLL、nLR、nVLおよびnVRから離れて配置されていることになる。
第1駆動回路DRVLは、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された複数の第1スイッチS10Lと、それぞれの一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続された複数の第2スイッチS11Lとを備えている。この場合、対応する第1選択回路SELLからの選択信号によって、第1スイッチS10Lまたは第2スイッチS11Lがオン状態(導通状態)となる。これにより、選択された駆動電極の一方の端部n1に、第1電圧Vsまたは第2電圧Vdを供給することができる。同様に、第2駆動回路DRVRも、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)の他方の端部n2と信号配線TPLRとの間に接続された複数の第1スイッチS10Rと、それぞれの他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に接続された複数の第2スイッチS11Rを備えている。第2駆動回路DRVRを構成する複数の第1スイッチS10Rと第2スイッチS11Rを、対応する第2選択回路SELRからの選択信号によってスイッチング制御することにより、選択された駆動電極の他方の端部n2に第2電圧Vdまたは第1電圧Vsが供給される。
上記した第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rを同じサイズにし、それぞれの駆動電極とそれぞれの信号配線との間を1個のスイッチで接続するようにした。なお、図17では、一部の第1スイッチおよび第2スイッチに対してのみ、符合S10L、S11L、S10R、S11Rが付されている。
図17(A)には、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10R、第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。また、図17(B)には、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10R、第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。
磁界発生期間のとき、制御装置3に備えられる駆動信号回路6は、信号配線TSVL、TSVRの端部nVL、nVRに、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを供給し、信号配線TPLL、TPLRの端部nLL、nLRに、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを供給する。これにより、図17(A)においては、駆動電極TL(1)〜TL(3)のそれぞれに電流I1F(例示TL(2))が流れ、駆動電極TL(5)〜TL(7)のそれぞれに電流I2F(例示TL(6))が流れる。また、図17(B)においては、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)のそれぞれに電流I1N(例示TL(p−6))が流れ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)のそれぞれに電流I2N(例示TL(p−2))が流れる。その結果、図6で説明したように、図17(A)では、駆動電極TL(4)の領域で、強い磁界を発生し、図17(B)では、駆動電極TL(p−4)の領域で、強い磁界が発生する。
図17において、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLR上に示されているRは、それぞれの信号配線に付随する抵抗成分を、分布定数の抵抗として示している。図面が複雑になるのを避けるために、符合Rも、一部の抵抗についてのみ、付されている。
駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生する場合、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)は、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに、平面視において近接しているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rは少なくなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rとほぼ同じ値の電流が、電流I1N、I2Nとして、これらの駆動電極を流れることになる。
これに対して、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、信号配線の端部nLL、nLR、nVL、nVRから、平面視において離れているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rが多くなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rに比べて小さな値の電流が、電流I1F、I2Fとして、これらの駆動電極を流れることになる。
駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)を流れる電流が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)を流れる電流に比べ、小さくなるため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)によって発生する磁界が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)によって発生する磁界に比べて弱くなる。その結果として、駆動電極TL(4)の領域において発生する磁界が、駆動電極TL(p−4)の領域において発生する磁界よりも弱くなる。すなわち、端部nLL、nLR、nVL、nVRから平面視において離れた位置に配置された駆動電極により発生する磁界は、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接した位置に配置された駆動電極により発生する磁界よりも弱くなる。
図18は、磁界発生期間において、駆動電極を流れる電流の値を示す特性図である。図18は、本発明者が測定して、作成した特性図である。図18において、横軸は、駆動電極の位置を示しており、近端は、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極TL(p)を示しており、遠端は、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて配置された駆動電極TL(0)を示している。駆動電極TL(p)からTL(0)の順に、信号配線の端部から離れて配置されている。すなわち遠端は駆動信号回路6から離れており近端は駆動信号回路6に近接している。図18の縦軸は、駆動電極を流れる電流の値を示している。図18から理解されるように、磁界発生期間においては、近端から遠端に向かって、駆動電極を流れる電流の値が小さくなっている。また、本発明者が測定した結果では、近端の駆動電極を流れる電流の値は、遠端の駆動電極を流れる電流に対して、約3倍の値を有している。
駆動電極を流れる電流の値が、近端から遠端に向かって小さくなると、発生する磁界も、近端から遠端に向かって弱くなる。そのため、磁界発生期間において、ペンPenの容量素子に蓄積される電荷量も、タッチしている位置によって異なることになる。その結果、磁界検出期間において、磁界検出コイルにより検出される変化量も変わることになり、検出感度が位置に依存してばらつくことになる。例えば、図4に示したタッチ制御装置5において、受信した検出信号Rx(0)〜Rx(p)を調整することにより、検出感度のバラツキを低減し、位置に対して一定にすることが考えられるが、図18に示すように、駆動電極を流れる電流が3倍も異なると、発生する磁界の変化が大きく、検出感度が一定となるように、調整するのは容易ではない。
<表示装置の構成>
図7および図8は、実施の形態に係わる表示装置1の構成を示す平面図である。図7には、表示領域2の辺2−Lに沿って配置された第1選択駆動回路SDLおよび第1スキャナ回路SCLの構成が示されており、図8には、表示領域2の辺2−Rに沿って配置された第2選択駆動回路SDRおよび第2スキャナ回路SCRの構成が示されている。
図7および図8においては、表示領域2の辺2−Uと辺2−Dとの間に配列された駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、駆動電極TL(0)、TL(n)およびTL(p)のみが例として示されている。ここで、駆動電極TL(p)は、平面視において、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに最も近接して配置された駆動電極を示しており、駆動電極TL(0)は、平面視において、端部nLL、nLR、nVL、nVRから最も離れて配置された駆動電極を示している。また、駆動電極TL(n)は、平面視において、駆動電極TL(0)と駆動電極TL(p)との間に配置された駆動電極を示している。
言い換えると、駆動電極TL(p)は、平面視において、端部nLL、nLR、nVL、nVRの近端付近に配置されている駆動電極の例と見なすことができ、駆動電極TL(0)は、平面視において、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れた遠端付近に配置されている駆動電極の例と見なすことができる。この場合、駆動電極TL(n)は、駆動電極TL(p)とTL(0)との間の中間付近に配置された駆動電極の例と見なすことができる。
ここでは、駆動信号回路6に最も近接した場所として信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRを、基準として、駆動電極の位置を述べているが、端部nLL、nLR、nVL、nVRは、駆動信号回路6が配置された場所、例えば図5に示した制御装置3またはフレキシブルケーブルFB2と見なしてもよい。
第1選択駆動回路SDLは、図4で述べたように、第1選択回路SELLと第1駆動回路DRVLを備えているが、第1選択回路SELLは、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)に対応した複数の第1単位選択回路SEL(0)〜SEL(p)によって構成され、第1駆動回路DRVLは、第1単位選択回路SEL(0)〜SEL(p)にそれぞれ対応した複数の第1単位駆動回路DRL(0)〜DRL(p)によって構成されている。
同様に、第2選択駆動回路SDRを構成する第2選択回路SELRも、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)に対応した複数の第2単位選択回路SER(0)〜SER(p)によって構成されている。また、第2駆動回路DRVRは、それぞれ第2単位選択回路SER(0)〜SER(p)に対応した複数の第2単位駆動回路DRR(0)〜DRR(p)によって構成されている。
図7および図8には、第1選択回路SELLおよび第2選択回路SELRのうち、例示した駆動電極TL(0)、TL(n)およびTL(p)に対応する第1単位選択回路SEL(0)、SEL(n)、SEL(p)および第2単位選択回路SER(0)、SER(n)、SER(p)のみが示されている。同様に、第1駆動回路DRVLおよび第2駆動回路DRVRのうち、駆動電極TL(0)、TL(n)およびTL(p)に対応する第1単位駆動回路DRL(0)、DRL(n)、DRL(p)および第2単位駆動回路DRR(0)、DRR(n)、DRR(p)のみが示されている。また、図7および図8には、第1スキャナ回路SCLおよび第2スキャナ回路SCRから出力される複数の第1選択信号および複数の第2選択信号のうち、駆動電極TL(0)、TL(n)およびTL(p)に対応した第1選択信号と第2選択信号のみが示されている。
なお、駆動電極TL(0)、TL(n)およびTL(p)は、図7および図8において、共通である。そのため、図8を図7の右側に配置することにより、これらの駆動電極に対応する第1選択駆動回路SDL、第2選択駆動回路SDRおよび第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCRが完成することになる。
<<磁界タッチ検出および電界タッチ検出の動作概要>>
後で図9〜図12を用いて、第1スキャナ回路SCL、第2スキャナ回路SCRおよび単位選択回路のそれぞれの構成を説明するので、ここでは、動作概要を述べる。
磁界タッチ検出のとき、第1スキャナ回路SCLおよび第2スキャナ回路SCRが、駆動電極TL(0)〜TL(p)のなかから、磁界を発生する駆動電極を指定する第1選択信号および第2選択信号を出力する。第1選択信号および第2選択信号は、それぞれ複数の選択信号によって構成されているが、図7および図8では、第1選択信号として、選択信号AL(0)、AL(n)、AL(p)と選択信号BL(0)、BL(n)、BL(p)が例示されている。同様に、第2選択信号として、選択信号AR(0)、AR(n)、AR(p)と選択信号BR(0)、BR(n)、BR(p)が例示されている。
磁界タッチ検出のときには、第1スキャナ回路SCLを構成するスキャナ回路SCALと、第2スキャナ回路SCRを構成するスキャナ回路SCBRが対となり、駆動電極TL(0)〜TL(p)のなかから、駆動電極を指定する。同様に、第1スキャナ回路SCLを構成するスキャナ回路SCBLと、第2スキャナ回路SCRを構成するスキャナ回路SCARが対となり、駆動電極TL(0)〜TL(p)のなかから、駆動電極を指定する。これにより、磁界タッチ検出のときには、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、互いに異なった位置(領域)に配置されている複数の駆動電極が指定されることになる。
磁界タッチ検出のとき、複数の第1単位選択回路SEL(0)〜SEL(p)のうち、駆動電極を指定する第1選択信号が供給されている第1単位選択回路(例えば、SEL(n))は、周期的に電圧が変化する第1磁界選択信号SG_L(n)および第2磁界選択信号SH_L(n)を出力する。このとき、それぞれのロウレベルが、時間的に重ならないように、第1磁界選択信号SG_L(n)および第2磁界選択信号SH_L(n)の電圧を変化させる。
同様に、複数の第2単位選択回路SER(0)〜SER(p)のうち、駆動電極を指定する第2選択信号が供給されている第2単位選択回路(例えば、SER(n))は、周期的に電圧が変化する第1磁界選択信号SG_R(n)および第2磁界選択信号SH_R(n)を出力する。この場合も、それぞれのロウレベルが、時間的に重ならないように、第1磁界選択信号SG_R(n)および第2磁界選択信号SH_R(n)の電圧を変化させる。また、第1磁界選択信号SG_L(n)がロウレベルとなっているときに、第2磁界選択信号SH_R(n)がロウレベルとなり、第2磁界選択信号SH_L(n)がロウレベルとなっているときに、第1磁界選択信号SG_R(n)がロウレベルとなるように、それぞれを変化させる。
第1単位選択回路SEL(n)に対応した第1単位駆動回路DRL(n)は、第1磁界選択信号SG_R(n)がロウレベルとなることにより、対応する駆動電極TL(n)の一方の端部n1を信号配線TPLLに電気的に接続し、第2磁界選択信号SH_L(n)がロウレベルとなることにより、駆動電極TL(n)の一方の端部n1を信号配線TSVLに電気的に接続する。また、第2単位選択回路SER(n)に対応した第2単位駆動回路DRR(n)は、第1磁界選択信号SG_H(n)がロウレベルとなることにより、対応する駆動電極TL(n)の他方の端部n2を信号配線TPLRに電気的に接続し、第2磁界選択信号SH_R(n)がロウレベルとなることにより、駆動電極TL(n)の他方の端部n2を信号配線TSVRに電気的に接続する。
これにより、駆動電極TL(n)の一方の端部n1に、駆動信号TPLが供給されているとき、その他方の端部n2には、駆動信号TSVが供給されることになる。また、駆動電極TL(n)の一方の端部n1に、駆動信号TSVが供給されているとき、その他方の端部n2には、駆動信号TPLが供給されることになる。その結果、図6で説明したように、磁界発生期間において、選択された駆動電極TL(n)には、交互に方向が変化する電流が流れ、磁界が発生する。
駆動電極TL(n)を例にして説明したが、他の駆動電極が第1スキャナ回路SCLおよび第2スキャナ回路SCRによって指定されている場合も同様に、指定された駆動電極において磁界が発生する。
この実施の形態においては、先に述べたように、磁界タッチ検出のとき、スキャナ回路SCAL、SCBR、SCBLおよびSCARによって、複数の駆動電極が指定される。そのため、指定された複数の駆動電極のそれぞれにおいて、磁界が発生することになる。これにより、図6で説明したように、複数の駆動電極の間に挟まれた駆動電極の領域において、磁界の重畳が行われる。また、図6で説明したように、複数の駆動電極によって束駆動電極を構成することが可能となる。
電界タッチ検出のときには、スキャナ回路SCALとスキャナ回路SCARが対とされ、スキャナ回路SCALから出力される第1選択信号と、スキャナ回路SCARから出力される第2選択信号によって、駆動電極TL(0)〜TL(p)から駆動電極が指定される。駆動電極TL(n)が指定されている場合、この駆動電極TL(n)に対応する第1単位選択回路SEL(n)は、スキャナ回路SCALからの第1選択信号に応答して、ハイレベルの第1電界選択信号MG_L(n)と、ロウレベルの第2電界選択信号MH_L(n)を出力する。また、このとき、第1単位選択回路SEL(n)は、ハイレベルの第1磁界選択信号SG_L(n)とロウレベルの第2磁界選択信号SH_L(n)を出力する。同様に、駆動電極TL(n)に対応する第2単位選択回路SER(n)は、スキャナ回路SCARからの第2選択信号に応答して、ハイレベルの第1電界選択信号MG_R(n)と、ロウレベルの第2電界選択信号MH_R(n)を出力するとともに、ハイレベルの第1磁界選択信号SG_R(n)と、ロウレベルの第2磁界選択信号SH_R(n)を出力する。
第1単位駆動回路DRL(n)は、ロウレベルの第2電界選択信号MH_L(n)とロウレベルの第2磁界選択信号SH_L(n)が供給されることにより、駆動電極TL(n)の一方の端部n1を、信号配線TSVLに電気的に接続する。同様に、第2単位駆動回路DRR(n)は、ロウレベルの第2電界選択信号MH_R(n)とロウレベルの第2磁界選択信号SH_R(n)が供給されることにより、駆動電極TL(n)の他方の端部n2を、信号配線TSVRに電気的に接続する。
電界タッチ検出のときに、信号配線TSVL、TSVRに供給される駆動信号TSVは、その電圧が周期的に変化する。そのため、選択された駆動電極TL(n)の両端部n1、n2における電圧は、駆動信号TSVに従って、周期的に変化することになり、駆動電極TL(n)は、駆動信号TSVの変化に従った電界を発生することになる。
電界タッチ検出において、駆動電極TL(n)が選択された場合を説明したが、他の駆動電極が選択された場合も同様である。
<<第1単位駆動回路および第2単位駆動回路の構成>>
次に、図7および図8を用いて、第1単位駆動回路および第2駆動回路の構成を説明する。この実施の形態においては、特に制限されないが、第1単位駆動回路および第2単位駆動回路のそれぞれは、10個のスイッチによって構成されている。また、この実施の形態においては、特に制限されないが、それぞれのスイッチは、Pチャンネル型電界効果型トランジスタ(以下、P型トランジスタとも称する)によって構成されている。
図7に示した第1単位駆動回路DRL(n)を例にして、第1単位駆動回路の構成を説明する。第1単位駆動回路DRL(n)は、信号配線TPLLと駆動電極TL(n)の一方の端部n1との間に、ソース・ドレイン経路が並列的に接続された複数の(この実施形態では5個)のP型トランジスタと、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)の一方の端部n1との間に、ソース・ドレイン経路が並列的に接続された複数の(この実施形態では5個)のP型トランジスタとを備えている。
この実施の形態においては、この10個のP型トランジスタは、2組に分けて制御される。すなわち、電界タッチ検出のときのみ、信号配線TPLL、TSVLと駆動電極TL(n)との間を電気的に接続する電界用のスイッチ組と、磁界タッチ検出及び電界タッチ検出のときに、信号配線TPLL、TSVLと駆動電極TL(n)との間を電気的に接続する磁界用のスイッチ組とに分けられている。第1単位駆動回路DRL(n)の場合、電界用のスイッチ組を構成するP型トランジスタ(以下、電界用トランジスタとも称する)は、符合MGL1、MGL2、MHL1,MHL2の4個であり、磁界用のスイッチ組を構成するP型トランジスタ(以下、磁界用トランジスタとも称する)は、符合SGL1〜SGL3およびSHL1〜SHL3の6個とされている。
磁界用トランジスタSGL1〜SGL3は、信号配線TPLLと駆動電極TL(n)との間に接続され、それぞれのゲートに、対応する第1単位選択回路SEL(n)から第1磁界選択信号SG_L(n)が供給されている。磁界用トランジスタSHL1〜SHL3は、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)との間に接続され、それぞれのゲートに、対応する第1単位選択回路SEL(n)から第2磁界選択信号SH_L(n)が供給されている。一方、第1電界用トランジスタMGL1、MGL2は、信号配線TPLLと駆動電極TL(n)との間に接続され、それぞれのゲートに、第1単位選択回路SEL(n)から第1電界選択信号MG_L(n)が供給されている。また、第2電界用トランジスタMHL1、MHL2は、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)との間に接続され、それぞれのゲートに、第1単位選択回路SEL(n)から第2電界選択信号MH_L(n)が供給されている。
磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)が指定されると、上記したように、第1磁界選択信号SG_L(n)と第2磁界選択信号SH_L(n)とは、交互にスイッチのオン状態を示す値となるように周期的に変化する。これにより、磁界用トランジスタSGL1〜SGL3と、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3は、それぞれがオンになったタイミングで駆動電極TL(n)の一方の端部n1を、信号配線TPLLとTSVLとに交互に電気的に接続し、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLと第2電圧Vdを有する駆動信号TSVが交互に供給する。この間、第1M電界用トランジスタMGL1〜2および第2電界用トランジスタMHL1〜2は、オフ状態となる。
一方、電界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)が指定されると、上記したように、第2磁界選択信号SH_L(n)と第2電界選択信号MH_L(n)とが、ロウレベルとなる。これにより、2個の電界用トランジスタMHL1、MHL2と3個の磁界用トランジスタSHL1〜SHL3がオン状態となる。その結果、これらの5個のP型トランジスタのそれぞれを介して、駆動電極TL(n)の一方の端部n1は、信号配線TSVLに電気的に接続されることになり、電界タッチ検出のときには、周期的に電圧の変化する駆動信号TSVが、駆動電極TL(n)に供給される。
残りの駆動電極のそれぞれに対応した第1単位駆動回路も、例示した第1単位駆動回路DRL(n)と同様に、10個のP型トランジスタを備えているが、磁界用のスイッチ組を構成する磁界用トランジスタと電界用のスイッチ組を構成する電界用トランジスタの個数比が、対応する駆動電極の位置に従って変わっている。すなわち、平面視において、端部nLL、nVLから最も離れて配置された駆動電極TL(0)に接続されている第1単位駆動回路DRL(0)から、最も近接して配置された駆動電極TL(p)に接続されている第1単位駆動回路DRL(p)に向けて、第1単位駆動回路を構成している磁界用のスイッチ組を構成する磁界用トランジスタの個数が少なくなり、反対に電界用のスイッチ組を構成する電界用トランジスタの個数は多くなっている。
図7において、信号配線TSVL、TPLLの端部nVL、nLLの先は図4で示した駆動信号回路6に接続されている。すなわち端部nVL、nLLからの距離は駆動信号回路6からの信号配線TSVL、TPLLの配線距離に相当する。駆動信号回路6から各駆動電極までの、信号配線の配線距離が長い駆動電極ほど、磁界用トランジスタの数が多くなる。また各駆動電極に配置されるP型トランジスタの総数は変わらないので、相対的に電界用トランジスタの数は少なくなる。
中間付近に配置された駆動電極TL(n)と信号配線TPLL、TSVLとの間に接続された第1単位駆動回路DRL(n)では、上記したように、6個の磁界用トランジスタSGL1〜SGL3、SHL1〜SHL3と4個の電界用トランジスタMGL1、MGL2、MHL1、MHL2を有している。これに対して、最も遠端に配置された駆動電極TL(0)と信号配線TPLL、TSVLとの間に接続された第1単位駆動回路DRL(0)では、図7に示すように、10個の磁界用トランジスタSGL1〜SGL5、SHL1〜SHL5と、0個の電界用トランジスタを有している。この場合、磁界用トランジスタSGL1〜SGL5のそれぞれは、そのソース・ドレイン経路が、並列接続となるように、駆動電極TL(0)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に配置されている。また、磁界用トランジスタSHL1〜SHL5のそれぞれは、そのソース・ドレイン経路が、並列接続となるように、駆動電極TL(0)の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に配置されている。磁界用トランジスタSGL1〜SGL5のそれぞれのゲートには、第1単位選択回路SEL(0)から第1磁界選択信号SG_L(0)が供給され、磁界用トランジスタSHL1〜SHL5のそれぞれのゲートには、第2磁界選択信号SH_L(0)が供給されている。
また、最も近端に配置された駆動電極TL(p)と信号配線TPLL、TSVLとの間に接続された第1単位駆動回路DRL(p)では、図7に示すように、2個の磁界用トランジスタSGL1、SHL1と、8個の電界用トランジスタMGL1〜MGL4、MHL1〜MHL4を有している。この場合、磁界用トランジスタSGL1のソース・ドレイン経路が、駆動電極TL(p)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続され、磁界用トランジスタSHL1のソース・ドレイン経路が、駆動電極TL(p)の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続されている。また、電界用トランジスタMGL1〜MGL4は、それぞれのソース・ドレイン経路が、並列的に、駆動電極TL(p)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続されるように配置され、電界用トランジスタMHL1〜MHL4は、それぞれのソース・ドレイン経路が、並列的に、駆動電極TL(p)の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続されるように配置されている。
第1単位駆動回路DRVL(p)における磁界用トランジスタSGL1のゲートには、対応する第1単位選択回路SEL(p)からの第1磁界選択信号SG_L(p)が供給され、磁界用トランジスタSHL1のゲートには、第2磁界選択信号SH_L(p)が供給されている。また、第1単位駆動回路DRVL(p)における電界用トランジスタMGL1〜MGL4のゲートには、対応する第1単位選択回路SEL(p)からの第1電界選択信号MG_L(p)が供給され、電界用トランジスタMHL1〜MHL4のゲートには、第2電界選択信号MH_L(p)が供給されている。
図7には示していないが、平面視において、中間付近に配置されている駆動電極TL(n)と最も遠端に配置されている駆動電極TL(0)との間に配置されている駆動電極(例えば、図6の駆動電極TL(9))に対応する第1単位駆動回路は、10個と6個の間の個数の磁界用トランジスタと、0個と4個の間の個数の電界用トランジスタを備えている。同様に、中間付近に配置されている駆動電極TL(n)と最も近端に配置されている駆動電極TL(p)との間に配置されている駆動電極(例えば、図6の駆動電極TL(p−9))に対応する第1単位駆動回路は、6個と2個の間の個数の磁界用トランジスタと、8個と4個の間の個数の電界用トランジスタを備えている。
なお、隣り合う駆動電極に接続された複数の第1単位駆動回路間では、磁界用トランジスタと電界用トランジスタの個数比は同じであってもよい。また、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のときの、磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタの動作は、先に説明した第1単位駆動回路DRL(n)における磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタの動作と同じである。
第1単位駆動回路DRL(0)〜DRL(p)について説明したが、第2単位駆動回路DRR(0)〜DRR(p)も同様な構成を有している。すなわち、第2単位駆動回路DRR(0)〜DRR(p)のそれぞれも10個のスイッチを有しており、10個のスイッチは、磁界用のスイッチ組と電界用のスイッチ組に分けられている。それぞれの第2単位駆動回路において、磁界用のスイッチ組を構成する磁界用トランジスタと電界用のスイッチ組を構成する電界用トランジスタの個数比は、対応する駆動電極の位置に従って設定されている。
図8に示した例では、駆動電極TL(n)に対応した第2単位駆動回路DRR(n)は、第1単位駆動回路DRL(n)と同様に、6個の磁界用トランジスタSGR1〜SGR3、SHR1〜SHR3と4個の電界用トランジスタMGR1、MGR2、MHR1、MHR2を備えている。ここで、磁界用トランジスタSGR1〜SGR3は、それぞれのソース・ドレイン経路が並列に接続されるように、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TPLRとの間に配置され、磁界用トランジスタSHR1〜SHR3は、それぞれのソース・ドレイン経路が並列に接続されるように、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に配置されている。また、電界用トランジスタMGR1、MGR2は、それぞれのソース・ドレイン経路が、並列に接続されるように、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TPLRとの間に配置され、電界用トランジスタMHR1、MHR2は、それぞれのソース・ドレイン経路が、並列に接続されるように、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に配置されている。
第2単位駆動回路DRR(n)における磁界用トランジスタSGR1〜SGR3のゲートには、対応する第2単位選択回路SER(n)から第1磁界選択信号SG_R(n)が供給され、磁界用トランジスタSHR1〜SHR3のゲートには、第2磁界選択信号SH_R(n)が供給されている。また、電界用トランジスタMGR1、MGR2のゲートには、第2単位選択回路SER(n)から第1電界選択信号MG_R(n)が供給され、電界用トランジスタMHR1、MHR2のゲートには、第2電界選択信号MH_R(n)が供給されている。
駆動信号回路6から最も遠端に配置された駆動電極TL(0)に対応する第2単位駆動回路DRR(0)は、第1単位駆動回路DRL(0)と同様に、駆動電極TL(0)の他方の端部n2と信号配線TPLR、TSVRとの間に並列接続された10個の磁界用トランジスタSGR1〜SGR5、SHR1〜SHR5を備えている。これらの磁界用トランジスタのゲートには、対応する第2単位選択回路SER(0)からの第1磁界選択信号SG_R(0)、第2磁界選択信号SH_R(0)が供給されている。
駆動信号回路6から最も近端に配置された駆動電極TL(p)に対応する第2単位駆動回路DRR(p)は、第1単位駆動回路DRL(p)と同様に、駆動電極TL(p)の他方の端部n2と信号配線TPLR、TSVRとの間に並列接続された2個の磁界用トランジスタSGR1、SHR1と、8個の電界用トランジスタMGR1〜MGR4、MHR1〜MHR4を備えている。これらの磁界用トランジスタのゲートには、対応する第2単位選択回路SER(p)からの第1磁界選択信号SG_R(p)、第2磁界選択信号SH_R(p)が供給されている。また、電界用トランジスタMGR1〜MGR4、MHR1〜MHR4のゲートには、第2単位選択回路SER(p)から第1電界選択信号MG_R(p)、第2電界選択信号MH_R(p)が供給されている。
残りの駆動電極に対応した第2単位駆動回路も、同様になっており、第2単位駆動回路DRR(0)から第2単位駆動回路DRR(p)に向けて、磁界用トランジスタの個数が少なくなり、電界用トランジスタの個数は多くなるようにされている。
磁界タッチ検出および電界タッチ検出のときの第2単位駆動回路DRR(0)〜DRR(p)の動作は、第1単位駆動回路DRL(0)〜DRL(p)と同じである。例えば、磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)が指定されていると、第2単位選択回路SER(n)が、第1磁界選択信号SG_R(n)と第2磁界選択信号SH_R(n)を周期的に変化させる。このとき、第1単位選択回路SEL(n)からロウレベルの第1磁界選択信号SG_L(n)(または、第2磁界選択信号SH_L(n))が出力されていれば、第2単位選択回路SER(n)は、ロウレベルの第2磁界選択信号SH_R(n)(または、第1磁界選択信号SG_R(n))を出力する。これにより、駆動電極TL(n)の他方の端部n2も、3個の磁界用トランジスタのそれぞれを介して、信号配線TSVRまたはTPLRに電気的に接続される。その結果、駆動電極TL(n)を電流が流れ、磁界が発生することになる。
また、電界タッチ検出のときには、第2単位選択回路SER(n)が、第2磁界選択信号SH_R(n)と第2電界選択信号MH_R(n)をロウレベルにするため、5個のP型トランジスタのそれぞれを介して、駆動電極TL(n)の他方の端部n2は、信号配線TSVRに電気的に接続されることになる。その結果、電界タッチ検出のときには、駆動電極TL(n)の他方の端部n2にも、周期的に変化する駆動信号TSVが供給され、駆動信号TSVの変化に従った電界が発生する。
磁界タッチ検出および電界タッチ検出において、他の駆動電極が指定された場合の第2単位駆動回路の動作は、上記した第2単位駆動回路DRR(n)と同じであるため、説明は省略する。
このように、各駆動電極に配置する磁界用トランジスタの個数を変化させることで、駆動信号回路6から駆動電極までの信号配線の配線距離の差による表示領域内での磁界発生強度の不均一性を改善することができる。すなわち、駆動信号回路6からの配線距離が長く、信号配線に多くの抵抗がかかった状態で駆動信号を供給される駆動電極には、並列に接続される磁界用トランジスタの数を増やし、駆動信号回路6からの配線距離が短い駆動電極には、並列的に接続される磁界用トランジスタの数を減らすようにすることで、信号供給源である駆動信号回路6からの距離に関わらず各駆動電極により発生する磁界の強度の均一化をはかり、タッチの検出感度を一定にすることができる。一方、各駆動電極に配置する磁界用トランジスタと電界用トランジスタの数は同一とし、電界発生時には磁界用トランジスタと電界用トランジスタの両方を作動させることにより、各駆動電極で発生する電界の強度の均一化も行うことができる。
本明細書においては、信号配線TSVLを第1信号配線と称し、信号配線TPLLを第2信号配線と称し、信号配線TSVRを第3信号配線と称し、信号配線TPLRを第4信号配線と称する場合もある。また、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と第1信号配線TSVLとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタは、第1スイッチとも称し、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と第2信号配線TPLLとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタは、第2スイッチとも称する場合がある。同様に、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と第3信号配線TSVRとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタは、第3スイッチとも称し、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と第4信号配線TPLRとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタは、第4スイッチとも称する場合がある。
駆動電極TL(n)を例にして述べると、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3および電界用トランジスタMHL1、MHL2は、第1スイッチとも称し、磁界用トランジスタSGL1〜SGL3および電界用トランジスタMGL1、MGL2は、第2スイッチとも称する。また、磁界用トランジスタSHR1〜SHR3および電界用トランジスタMHR1、MHR2は、第3スイッチとも称し、磁界用トランジスタSGR1〜SGR3および電界用トランジスタMGR1、MGR2は、第4スイッチとも称する。
また、電界用トランジスタは、第1接続スイッチとも称し、磁界用トランジスタは、第2接続スイッチとも称する場合がある。
<<第1スキャナ回路および第2スキャナ回路の構成>>
図9は、実施の形態に係わる第1スキャナ回路SCLおよび第2スキャナ回路SCRの構成を示すブロック図である。図9(A)は、第1スキャナ回路SCLを構成するスキャナ回路SCALの構成を示すブロック図であり、図9(B)は、第1スキャナ回路SCLを構成するスキャナ回路SCBLの構成を示すブロック図である。
第2スキャナ回路SCRを構成するスキャナ回路SCARは、スキャナ回路SCALと同じ構成を有し、第2スキャナ回路SCRを構成するスキャナ回路SCBRは、スキャナ回路SCBLと同じ構成を有している。図9(A)において、()内の符合は、スキャナ回路SCARの構成を示している。同様に、図9(B)において、()内の符合は、スキャナ回路SCBRの構成を示している。
スキャナ回路SCALは、特に制限されないが、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに1対1で対応した複数のシフト段FAL(0)〜FAL(p)を備えている。それぞれのシフト段は、シリーズに接続され、シフトレジスタSFALを構成している。シフトレジスタSFALの初段に相当するシフト段FAL(0)には、制御装置3からスタート信号ST−ALか供給される。シフト段FAL(0)〜FAL(p)のそれぞれは、制御装置3から出力されているシフトクロック信号CK−ALが変化することにより、前段からのスタート信号を取り込み、保持して、ロジック回路LG1へ供給する。これにより、シフト段FAL(0)に取り込まれたスタート信号ST−ALは、シフトクロック信号CK−ALが変化するたびに、順次シフトして、移動する。
ロジック回路LG1は、制御装置3から出力されている電界選択信号MSELと、それぞれのシフト段からのスタート信号を受けて、第1選択信号AL(0)、XAL(0)、AML(0)、XAML(0)〜AL(p)、XAL(p)、AML(p)、XAML(p)を形成する。
スキャナ回路SCARも、スキャナ回路SCALと同様に、複数のシフト段FAR(0)〜FAR(p)と、ロジック回路LG1を備えている。シフト段FAR(0)〜FAR(p)によって構成されたシフトレジスタSFARの初段に相当するシフト段FAR(0)に供給されたスタート信号ST−ARは、シフトクロック信号CK−ARが変化するたびに、シフトして移動する。また、スキャナ回路SCAR内のロジック回路LG1も、それぞれのシフト段からのスタート信号と、電界選択信号MSELとを受けて、第1選択信号AR(0)、XAR(0)、AMR(0)、XAMR(0)〜AR(p)、XAR(p)、AMR(p)、XAMR(p)を形成する。
スキャナ回路SCBLは、スキャナ回路SCALと同様に、複数のシフト段FBL(0)〜FBL(p)と、ロジック回路LG2を備えている。シフト段FBL(0)〜FBL(p)は、シリーズに接続され、シフトレジスタSFBLを構成している。シフトレジスタSFBLの初段に相当するシフト段FBL(0)には、スタート信号ST−BLが供給され、シフトクロック信号CK−BLが変化することにより、スタート信号ST−BLは、シフトレジスタFBLに取り込まれ、順次移動する。ロジック回路LG2は、それぞれのシフト段FBL(0)〜FBL(p)からのスタート信号を受けて、第2選択信号BL(0)、XBL(0)、BML(0)、XBML(0)〜BL(p)、XBL(p)、BML(p)、XBML(p)を形成する。
スキャナ回路SCBRは、スキャナ回路SCBLと同様に、シフトレジスタSFBRを構成する複数のシフト段FBR(0)〜FBR(p)と、ロジック回路LG2を備えている。シフトレジスタSFBRの初段に供給されたスタート信号ST−BRが、シフトクロック信号CK−BRが変化するたびに、移動する。ロジック回路LG2は、それぞれのシフト段からのスタート信号を受け、第2選択信号BR(0)、XBR(0)、BMR(0)、XBMR(0)〜BR(p)、XBR(p)、BMR(p)、XBMR(p)を形成する。
この実施の形態においては、シフトレジスタSFAL、SFBL、SFARおよびSFBRは、互いに同期して動作するように、シフトクロック信号CK−AL、CK−BL、CK−ARおよびCK−BRは同期して、同じ周波数にされている。また、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、駆動電極を指定する選択情報として、ハイレベルのスタート信号が用いられ、駆動電極の非選択を指定する非選択情報として、ロウレベルのスタート信号が用いられる。
例えば、シフトレジスタSFALの初段にハイレベルのスタート信号ST−ALを供給し、シフトクロック信号CK−ALを変化させると、ハイレベルのスタート信号が、シフト段FAL(0)に取り込まれ、出力される。これにより、シフト段FAL(0)に対応した駆動電極TL(0)の選択が指定されることになる。ハイレベルのスタート信号ST−ALを供給したあと、ロウレベルのスタート信号ST−ALをフト段FAL(0)に供給し、シフトクロック信号CK−ALを変化させると、先に取り込まれたハイレベルのスタート信号は、次段のシフト段FAL(1)に取り込まれ、出力される。これにより、シフト段FAL(1)に対応した駆動電極TL(1)の選択が指定されることになる。このとき、シフト段FAL(0)は、ロウレベルのスタート信号ST−ALを取り込み、出力するため、駆動電極TL(0)は非選択が指定されることになる。このようにして、ハイレベルのスタート信号をシフトレジスタSFALの初段に供給し、シフトクロック信号CK−ALを変化させることにより、駆動電極の選択を順次指定することが可能となる。また、ハイレベルのスタート信号ST−ALを連続的に、シフトレジスタSFALの初段に供給することにより、隣り合った複数の駆動電極を指定することが可能となる。
シフトレジスタSFALを例にして説明したが、シフトレジスタSFBL、SFARおよびSFBRについても同様である。
図7および図8で説明したように、磁界タッチ検出のとき、この実施の形態においては、スキャナ回路SCALとSCBRが対となり、スキャナ回路SCBLとSCARが対となる。磁界タッチ検出のときには、対となるスキャナ回路SCALとSCBRによって、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、磁界を発生する1個あるいは複数の駆動電極が指定され、対となるスキャナ回路SCBLとSCARによって、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、磁界を発生する1個あるいは複数の駆動電極が指定される。スキャナ回路SCAL、SCBL、SCARおよびSCBRによる駆動電極の指定は、シフトレジスタSFAL、SFBL、SFARおよびSFBRからのスタート信号に基づいて行われる。
例えば、同じタイミングで、ハイレベルのスタート信号ST−ALとハイレベルのスタート信号ST−BRを、シフトレジスタSFALとシフトレジスタSFBRに供給する。シフトクロック信号CK−ALおよびCK−BRを変化させることにより、ハイレベルのスタート信号は、シフトレジスタSFALおよびSFBRを移動する。このとき、シフトレジスタSFALとSFBRは、同じ駆動電極を指定することになる。同様に、同じタイミングで、ハイレベルのスタート信号ST−ARとハイレベルのスタート信号ST−BLを、シフトレジスタSFARとシフトレジスタSFBLに供給する。シフトクロック信号CK−ARおよびCK−BLを変化させることにより、ハイレベルのスタート信号は、シフトレジスタSFARおよびSFBLを移動する。このとき、シフトレジスタSFARとSFBLは、同じ駆動電極を指定することになる。これにより、対となるスキャナ回路によって、同じ駆動電極を指定することが可能となる。
また、シフトクロック信号CK−AL、CK−BL、CK−ARおよびCK−BRが同期して、同じ周波数になっているため、例えば、ハイレベルのスタート信号ST−ARおよびST−BLをシフトレジスタに供給するタイミングを、ハイレベルのスタート信号ST−ALおよびST−BRをシフトレジスタに供給するタイミングに比べて遅くすることにより、スキャナ回路SCALとSCBRによって指定される駆動電極と、スキャナ回路SCARとSCBLによって指定される駆動電極との間に、非選択の駆動電極が挟まれるようにすることができる。これにより、図6で説明したように、非選択の駆動電極の領域において磁界が重畳されるようにすることができる。また、この場合、連続してハイレベルのスタート信号が取り込まれるようにすることにより、図6で説明したように、束駆動電極で磁界が発生するようにすることができる。
電界タッチ検出のときには、磁界タッチ検出と異なり、スキャナ回路SCALとSCARが対とされ、電界を発生する駆動電極を指定する。この場合には、ハイレベルのスタート信号ST−ALおよびST−ARが、同じタイミングで、シフトレジスタSFALおよびSFARの初段に供給される。シフトクロック信号CK−ALおよびCK−ARが変化することにより、ハイレベルのスタート信号が、シフトレジスタSFALおよびSFARを移動する。これにより、電界タッチ検出のときには、シフトレジスタSFALおよびSFARの両方が、同じ駆動電極を指定することになり、スキャナ回路SCALとSCARが、同じ駆動電極を指定することが可能となる。
図10は、実施の形態に係わるスキャナ回路が有するロジック回路LG1およびLG2の構成を示すブロック図である。図10(A)は、ロジック回路LG1の構成を示しており、図10(B)は、ロジック回路LG2の構成を示している。
ロジック回路LG1は、シフト段(FAL(0)〜FAL(p)およびFAR(0)〜FAR(p))のそれぞれに1対1で対応した複数の単位ロジック回路LG1Uを備えている。単位ロジック回路LG1Uの構成は、互いに同じであるため、図10(A)には、シフト段FAL(n)に対応した単位ロジック回路LG1Uの構成が示されている。
単位ロジック回路LG1Uは、アンド回路ANDとインバータ回路IV1、IV2を有している。シフト段FAL(n)からのスタート信号は、第1選択信号AL(n)として出力される。また、第1選択信号AL(n)は、インバータ回路IV1によって位相反転され、第1選択信号XAL(n)として出力される。第1選択信号AL(n)と、電界選択信号MSELとがアンド回路ANDに入力され、アンド回路ANDの出力が、第1選択信号AML(n)として出力され、第1選択信号AML(n)を、インバータ回路IV2で位相反転して得られた信号が、第1選択信号XAML(n)として出力される。
本明細書においては、位相反転された信号は、基の信号に、符合Xを付けることによって、区別している。また、説明の都合上、第1選択信号XAL(n)は、第1反転選択信号XAL(n)とも称する。同様に、第1選択信号XAML(n)は、第1反転選択信号XAML(n)とも称する。
この実施の形態においては、制御装置3は、電界タッチ検出のとき、電界選択信号MSELをハイレベルにし、磁界タッチ検出のときに、電界選択信号MSELをロウレベルにする。磁界タッチ検出および電界タッチ検出のときに、シフトレジスタSFALのシフト段FAL(n)が、ハイレベルのスタート信号を出力していると、すなわち駆動電極TL(n)の選択を指定していると、このシフト段FAL(n)に対応する単位ロジック回路LG1Uは、第1選択信号AL(n)をハイレベルにし、第1反転選択信号XAL(n)をロウレベルにする。このとき、電界タッチ検出であれば、アンド回路ANDが、ハイレベルの第1選択信号AL(n)を伝達するため、第1選択信号AML(n)もハイレベルとなり、第1反転選択信号XAML(n)はロウレベルとなる。これに対して、このときが、磁界タッチ検出であれば、第1選択信号AL(n)の論理値とは無関係に、第1選択信号AML(n)はロウレベルとなり、第1反転選択信号XAML(n)はハイレベルとなる。
また、シフトレジスタSFALのシフト段FAL(n)が、ロウレベルのスタート信号を出力している場合、すなわち駆動電極TL(n)の非選択を指定している場合、第1選択信号AL(n)およびAML(n)はロウレベルとなり、第1反転選択信号XAL(n)およびXAML(n)はハイレベルとなる。
ロジック回路LG2も、シフト段(FBL(0)〜FBL(p)およびFBR(0)〜FBR(p))のそれぞれに1対1で対応した複数の単位ロジック回路LG2Uを備えている。単位ロジック回路LG2Uの構成も、互いに同じであるため、図10(B)には、シフト段FBL(n)に対応した単位ロジック回路LG2Uの構成が示されている。
単位ロジック回路LG2Uは、インバータ回路IV3を備えており、対応するシフト段FBL(n)からのスタート信号を、第1選択信号BL(n)として出力する。また、単位ロジック回路LG2Uは、第1選択信号BL(n)をインバータ回路IV3で位相反転し、第1反転選択信号XBL(n)として出力する。そのため、対応するシフト段FBL(n)から、駆動電極TL(n)の選択を指定するハイレベルのスタート信号が出力されているときに、単位ロジック回路LG2Uは、ハイレベルの第1選択信号BL(n)とロウレベルの第1反転選択信号XBL(n)を出力することになる。一方、シフト段FBL(n)から、駆動電極TL(n)の非選択を指定するロウレベルのスタート信号が出力されているときに、単位ロジック回路LG2Uは、ロウレベルの第1選択信号BL(n)とハイレベルの第1反転選択信号XBL(n)を出力することになる。
後で図11を用いて説明するが、上記した第1選択信号AML(n)および第1反転選択信号XAML(n)は、上記した第1電界選択信号および第2電界選択信号を形成するのに用いられる。そのため、以下では、第1選択信号AML(n)は、電界用選択信号AML(n)とも称し、第1反転選択信号XAML(n)は、電界用反転選択信号XAML(n)とも称する。また、上記した第1選択信号AL(n)および第1反転選択信号XAL(n)は、上記した第1磁界選択信号および第2磁界選択信号を形成するのに用いられる。そのため、以下では、第1選択信号AL(n)は、磁界用選択信号AL(n)とも称し、第1反転選択信号XAL(n)は、磁界用反転選択信号XAL(n)とも称する。
<<第1選択回路および第2選択回路>>
図11および図12は、実施の形態に係わる第1選択回路SELLおよび第2選択回路SELRの構成を示す回路図である。既に述べたように、第1選択回路SELLは、複数の第1単位選択回路SEL(0)〜SEL(p)によって構成され、第2選択回路SELRは、複数の第2単位選択回路SER(0)〜SER(p)によって構成されている。
第1単位選択回路SEL(0)〜SEL(p)は、図9(A)に示したシフト段FAL(0)〜FAL(p)と、図9(B)に示したシフト段FBL(0)〜FBL(p)に対応している。例えば、第1単位選択回路SEL(n)は、シフト段FAL(n)とシフト段FBL(n)に対応し、シフト段FAL(n)に対応した単位ロジック回路LG1Uを介して、シフト段FAL(n)に結合され、さらにシフト段FBL(n)に対応した単位ロジック回路LG2Uを介して、シフト段FBL(n)に結合されている。また、第2単位選択回路SER(0)〜SER(p)は、図9(A)に示したシフト段FAR(0)〜FAR(p)と、図9(B)に示したシフト段FBR(0)〜FBR(p)に対応している。第2単位選択回路SER(n)を例にして述べると、この第2単位選択回路SER(n)は、シフト段FAR(n)とシフト段FBR(n)に対応し、シフト段FAR(n)に対応した単位ロジック回路LG1Uを介して、シフト段FAR(n)に結合され、さらにシフト段FBR(n)に対応した単位ロジック回路LG2Uを介して、シフト段FBR(n)に結合されている。残りの第1単位選択回路および第2単位選択回路についても、同様に単位ロジック回路LG1U、LG2Uを介して、対応するシフト段に結合されている。
複数の第1単位選択回路は互いに同じ構成を有しているため、図11には、駆動電極TL(n)に対応した第1単位選択回路SEL(n)の構成が示されている。また、複数の第2単位選択回路は互いに同じ構成を有しているため、図12には、駆動電極TL(n)に対応した第2単位選択回路SER(n)の構成が示されている。また、説明の都合上、図11には、第1単位選択回路SEL(n)に対応した第1単位駆動回路DRL(n)の構成も示され、図12には、第2単位選択回路SER(n)に対応した第2単位駆動回路DRR(n)の構成も示されている。
次に、図11に示した第1単位選択回路SEL(n)を例にして、第1単位選択回路の構成を説明する。なお、第1単位駆動回路DRL(n)については、図7で説明しているので、詳しい説明は省略する。
第1単位選択回路SEL(n)は、特に制限されないが、第1磁界選択信号SG_L(n)および第2磁界選択信号SH_L(n)を形成する磁界選択信号形成部と、第1電界選択信号MG_L(n)および第2電界選択信号MH_L(n)を形成する電界選択信号形成部とを備えている。ここで、磁界選択信号形成部は、シフト段FAL(n)に対応する単位ロジック回路LG1Uから出力される磁界選択信号AL(n)および反転磁界選択信号XAL(n)とシフト段FBL(n)に対応する単位ロジック回路LG2Uから出力される磁界選択信号BL(n)および反転磁界選択信号XBL(n)に基づいて、第1磁界選択信号SG_L(n)および第2磁界選択信号SH_L(n)を形成する。一方、電界選択信号形成部は、シフト段FAL(n)に対応する単位ロジック回路LG1Uから出力される電界選択信号AML(n)および反転電界選択信号XAML(n)に基づいて、第1電界選択信号MG_L(n)および第2電界選択信号MH_L(n)を形成する。
上記した磁界選択信号形成部は、Nチャンネル型電界効果トランジスタ(以下、N型トランジスタとも称する)N1〜N8、P型トランジスタP1〜P6およびインバータ回路IV4〜IV6を有している。また、電界選択信号形成部は、N型トランジスタN10〜N12、P型トランジスタP10、P11およびインバータ回路IV7〜IV9を有している。
先ず、磁界選択信号形成部について説明する。N型トランジスタN1とP型トランジスタP1とは、それぞれのソース・ドレイン経路が並列になるように並列接続され、転送スイッチTF1を構成している。N型トランジスタN2〜N6とP型トランジスタP2〜P6も、N型トランジスタN1とP型トランジスタP1と同様に、それぞれのソース・ドレイン経路が並列となるように並列接続され、転送スイッチTF2〜TF6を構成している。
転送スイッチTF1、TF2を構成するN型トランジスタN1、N2のゲートには、磁界選択信号AL(n)が供給され、P型トランジスタP1、P2のゲートには、反転磁界選択信号XAL(n)が供給されている。また、転送スイッチTF3、TF4を構成するN型トランジスタN3、N4のゲートには、磁界選択信号BL(n)が供給され、P型トランジスタP3、P4のゲートには、反転磁界選択信号XBL(n)が供給されている。
転送スイッチTF1の出力とTF3の出力は共通に、インバータ回路IV4の入力に接続されており、転送スイッチTF1の入力には、制御装置3によって形成された状態選択信号VSEL1が供給され、転送スイッチTF2の入力には、制御装置3によって形成された状態選択信号VSEL2が供給されている。この実施の形態において、制御装置3は、磁界タッチ検出のとき、状態選択信号VSEL1の電圧とVSEL2の電圧を周期的に変化させる。この場合、状態選択信号VSEL1の電圧とVSEL2の電圧が、相補的になるように変化させる。すなわち、状態選択信号VSEL1がハイレベル(またはロウレベル)のとき、状態選択信号VSEL2はロウレベル(またはハイレベル)となるように変化させる。
磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)の選択を指定する場合、磁界選択信号AL(n)またはBL(n)がハイレベルとなる。そのため、磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)が指定されていると、転送スイッチTF1またはTF2がオン状態となり、状態選択信号VSEL1またはVSEL2が、インバータ回路IV4に供給されることになる。このインバータ回路IV4の出力が、第2磁界選択信号SH_L(n)となる。そのため、磁界タッチ検出のとき、駆動電極TL(n)が指定されると、状態選択信号VSEL1またはVSEL2の電圧変化を、インバータ回路IV4で反転して形成された信号が、第2磁界選択信号SH_L(n)として出力されることになる。
また、転送スイッチTF2の出力と転送スイッチTF4の出力が、共通にインバータ回路IV5の入力に接続されている。また、転送スイッチTF2の入力には、状態選択信号VSEL2が供給され、転送スイッチTF4の入力には、状態選択信号VSEL1が供給されている。磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)の選択が指定されると、転送スイッチTF2またはTF4がオン状態となる。これにより、インバータ回路IV5の入力には、状態選択信号VSEL2またはVSEL1が供給されることになる。供給されている状態選択信号VSEL2またはVSEL1は、インバータ回路IV5によって反転され、反転により得られた信号が、第1磁界選択信号SG_L(n)として、インバータ回路IV5から出力されることになる。
すなわち、磁界タッチ検出のときに、スキャナ回路ACALで駆動電極TL(n)の選択が指定されると、状態選択信号VSEL1が反転された信号が、第2磁界選択信号SH_L(n)として出力され、状態選択信号VSEL2が反転された信号が、第1磁界選択信号SG_L(n)として出力されることになる。これに対して、磁界タッチ検出のときに、スキャナ回路ACBLで駆動電極TL(n)の選択が指定されると、状態選択信号VSEL2が反転された信号が、第2磁界選択信号SH_L(n)として出力され、状態選択信号VSEL1が反転された信号が、第1磁界選択信号SG_L(n)として出力されることになる。
状態選択信号VSEL1の電圧とVSEL2の電圧は、相補的に変化するため、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3と磁界用トランジスタSGL1〜SGL2とが、交互にオン状態(導通状態)となる。その結果、駆動電極TL(n)は、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3または磁界用トランジスタSGL1〜SGL3を介して、電気的に信号配線TSVLまたはTPLLに接続されることになる。
N型トランジスタN7とN8は、それぞれのソース・ドレイン経路が、インバータ回路IV4の入力と所定の電圧VGLOとの間で直列となるように、接続されている。ここで、所定の電圧VGLOは、論理値のロウレベルに相当する電圧である。また、N型トランジスタN7のゲートには、反転磁界選択信号XAL(n)が供給され、N型トランジスタN8のゲートには、反転磁界選択信号XBL(n)が供給されている。スキャナ回路SCALおよびSCBLが、駆動電極TL(n)の非選択を指定するとき、磁界選択信号AL(n)およびBL(n)は、ロウレベルとなる。言い換えるならば、反転磁界選択信号XAL(n)およびXBL(n)はハイレベルとなる。そのため、磁界タッチ検出のとき、駆動電極TL(n)の非選択が指定されると、N型トランジスタN7およびN8がオン状態となる。これにより、インバータ回路IV4の入力には、ロウレベルに相当する所定の電圧VGLOが供給され、第2磁界選択信号SH_L(n)はハイレベルとなる。その結果、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3は、駆動電極TL(n)が非選択のとき、オフ状態となる。
転送スイッチTF5の入力には、制御信号COMFLが供給され、転送スイッチTF5の出力は、転送スイッチTF6の入力に接続され、転送スイッチTF6の出力はインバータ回路IV6の入力に接続されている。また、インバータ回路IV6の出力は、インバータ回路IV5の入力接続されている。
制御装置3は、磁界タッチ検出のとき、制御信号COMFLをハイレベルにし、表示のときと電界タッチ検出のときに、制御信号COMFLをロウレベルにする。転送スイッチTF5を構成するN型トランジスタN5のゲートには、反転磁界選択信号XAL(n)が供給され、P型トランジスタP5のゲートには、磁界選択信号AL(n)が供給されている。また、転送スイッチTF6を構成するN型トランジスタN6のゲートには、反転磁界選択信号XBL(n)が供給され、P型トランジスタP6のゲートには、磁界選択信号BL(n)が供給されている。
そのため、転送スイッチTF5は、スキャナ回路SCALが、駆動電極TL(n)の非選択を指定しているときにオン状態となる。また、転送スイッチTF6は、スキャナ回路SCBLが、駆動電極TL(n)の非選択を指定しているときにオン状態となる。その結果、磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)の非選択が指定されている場合、制御信号COMFLが、転送スイッチTF5およびTF6を介して、インバータ回路IV6の入力に供給されることになる。磁界タッチ検出のとき、制御信号COMFLはハイレベルとなるため、インバータ回路IV6はロウレベルを出力し、インバータ回路IV5は、ハイレベルの第1磁界選択信号SG_L(n)を出力することになる。これにより、磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)の非選択が指定されていると、磁界用トランジスタSGL1〜SGL3もオフ状態となる。
次に、電界選択信号形成部について説明する。N型トランジスタN10、N11およびP型トランジスタP10、P11は、N型トランジスタN1およびP型トランジスタP1と同様に、それぞれのソース・ドレイン経路が並列となるように並列接続され、転送スイッチTF10、TF11を構成している。転送スイッチTF10を構成するN型トランジスタN10のゲートには、電界選択信号AML(n)が供給され、P型トランジスタP10のゲートには、反転電界選択信号XAML(n)が供給されている。また、転送スイッチTF11を構成するN型トランジスタN11のゲートには、反転電界選択信号XAML(n)が供給され、P型トランジスタP11のゲートには、電界選択信号AML(n)が供給されている。
転送スイッチTF10の入力には、状態選択信号VSEL1が供給され、その出力は、インバータ回路IN7の入力に接続されている。このインバータ回路IV7の入力と所定の電圧VGLOとの間には、そのソース・ドレイン経路が直列となるよう、N型トランジスタN12が接続されており、このN型トランジスタN12のゲートには、反転電界選択信号XAML(n)が供給されている。このインバータ回路IV7の出力が、第2電界選択信号MH_L(n)として、電界用トランジスタMHL1、MHL2のゲートに供給されている。
転送スイッチTF11の入力には、制御信号COMFLが供給され、その出力は、直列接続されたインバータ回路IV8、IV9の初段のインバータ回路IV8の入力に接続されている。直列接続されたインバータ回路の後段のインバータ回路IV9からの出力が、第1電界選択信号MG_L(n)として、電界用トランジスタMGL1、MGL2のゲートに供給されている。
磁界タッチ検出のときには、図10で説明したように、電界選択信号MSELがロウレベルとなるため、電界選択信号AML(n)はロウレベルとなり、反転電界選択信号XAML(n)はハイレベルとなる。これにより、転送スイッチTF10はオフ状態となり、N型トランジスタN12はオン状態となる。その結果、インバータ回路IV7の入力には、N型トランジスタN12を介して、論理値のロウレベルに相当する所定の電圧VGLOが供給され、インバータ回路IV7は、ハイレベルの第2電界選択信号MH_L(n)を出力し、電界用トランジスタMHL1、MHL2はオフ状態となる。このとき、転送スイッチTF11はオン状態となり、この転送スイッチTF11を介して、ハイレベルの制御信号COMFLがインバータ回路IV8の入力に供給される。その結果、インバータ回路IV9は、ハイレベルの第1電界選択信号MG_L(n)を出力し、電界用トランジスタMGL1、MGL2はオフ状態となる。
すなわち、磁界タッチ検出のときには、選択および非選択の指示とは無関係に、第1電界選択信号MG_L(n)および第2電界選択信号MH_L(n)は、ともにハイレベルとなり、電界用トランジスタMGL1、MGL2、MHL1およびMHL2はオフ状態となる。
電界タッチ検出においては、既に述べたように、スキャナ回路SCALとSCARによって、駆動電極が指定される。電界タッチ検出のときに、スキャナ回路SCALにより、駆動電極TL(n)の選択が指定されると、図10から理解されるように、磁界選択信号AL(n)だけでなく、電界選択信号AML(n)もハイレベルとなる。電界選択信号AML(n)がハイレベルとなることにより、転送スイッチTF10がオン状態となり、状態選択信号VSEL1が転送スイッチTF10を介して、インバータ回路IV7の入力に供給される。
制御装置3は、磁界タッチ検出のときには、状態選択信号VSEL1、VSEL2を周期的に変化させるが、電界タッチ検出のときには、状態選択信号VSEL2を、接地電圧のような第1電圧Vs(論理値のロウレベルに相当)にし、状態選択信号VSEL1を、第1電圧Vsよりも絶対値が大きな第2電圧Vd(論理値のハイレベルに相当)にする。また、先に述べたように、制御装置3は、電界タッチ検出のとき、駆動信号TSVの電圧を周期的に変化させる。
その結果、電界タッチ検出のときには、ハイレベルの状態選択信号VSEL1が電界用トランジスタMHL1、MHL2のゲートに供給されることになり、駆動電極TL(n)は、電界用トランジスタMHL1、MHL2を介して、信号配線TSVLに電気的に接続される。
また、電界タッチ検出のときに、スキャナ回路SCALが駆動電極TL(n)の選択を指定すると、上記したように、磁界選択信号AL(n)もハイレベルとなる。その結果、上記した転送スイッチTF1、TF2もオン状態となる。この場合、インバータ回路IV5の入力には、転送スイッチTF2を介してロウレベルに相当する第1電圧Vsを有する状態選択信号VSEL2が供給されるため、第1磁界選択信号SG_L(n)はハイレベルとなり、磁界用トランジスタSGL1〜SGL3はオフ状態となる。これに対して、インバータ回路IV4の入力には、転送スイッチTF1を介してハイレベルに相当する第2電圧Vdを有する状態選択信号VSEL1が供給されるため、第2磁界選択信号SH_L(n)はロウレベルとなる。その結果、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)との間に接続された磁界用トランジスタSHL1〜SHL3はオン状態となり、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)とは、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3によっても、電気的に接続されることになる。
このように、電界タッチ検出においては、選択された駆動電極TL(n)と駆動電信号TSVを供給する信号配線TSVLとの間に接続された磁界用トランジスタと電界用トランジスタがともにオン状態となり、電気的に接続されることになる。
なお、電界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)の非選択が指定されている場合には、転送スイッチTF11がオン状態となり、ロウレベルの制御信号COMFLが、転送スイッチTF11を介して、インバータ回路IV8の入力に供給される。これにより、第1電界選択信号MG_L(n)がロウレベルとなり、電界用トランジスタMGL1、MGL2がオン状態となり、駆動電極TL(n)は、所定の第1電圧Vsが供給されている信号配線TPLLに電気的に接続されることになる。また、このとき、磁界選択信号BL(n)もロウレベルとなるようにすることにより、転送スイッチTF5およびTF6がオン状態となり、信号配線TPLLと駆動電極TL(n)との間に接続された磁界用トランジスタSGL1〜SGL3をオン状態にすることができ、これらの磁界用トランジスタによっても、駆動電極TL(n)を信号配線TPLLに電気的に接続することが可能となる。
このようにして、電界タッチ検出のときに、非選択となる駆動電極を、所定の第1電圧Vsに接続することにより、ノイズの発生を低減することが可能となる。
また、磁界タッチ検出のときには、非選択となる駆動電極に接続された磁界用トランジスタSHL1〜SHL3、SGL1〜SGL3および電界用トランジスタMHL1、MHL2、MGL1、MGL2は、上記したように、オフ状態となる。そのため、磁界タッチ検出のときには、非選択となる駆動電極をフローティング状態にすることが可能となり、充放電する寄生容量を低減することが可能となる。
図12に示した第2単位選択回路SER(n)は、図11に示した第1単位選択回路SEL(n)と類似している。相違点は、スキャナ回路SCALの代わりにスキャナ回路SCARから磁界選択信号AR(n)、反転磁界選択信号XAR(n)、電界選択信号AMR(n)および反転電界選択信号XAMT(n)が供給され、スキャナ回路SCBLの代わりにスキャナ回路SCBRから磁界選択信号BR(n)および反転磁界選択信号XBR(n)が供給されていることである。また、第2単位選択回路SER(n)は、第1磁界選択信号SG_L(n)の代わりに第1磁界選択信号SG_R(n)を形成し、第2磁界選択信号SH_L(n)の代わりに第2磁界選択信号SH_R(n)を形成する。さらに、第2単位選択回路SER(n)は、第1電界選択信号MG_L(n)の代わりに第1電界選択信号MG_R(n)を形成し、第2電界選択信号MH_L(n)の代わりに第2電界選択信号MH_R(n)を形成する。第2単位選択回路SER(n)の動作は、第1単位選択回路SEL(n)の動作と同じであるため、説明は省略する。
例えば、磁界タッチ検出のときに、駆動電極TL(n)を、スキャナ回路SCALとスキャナ回路SCBRとによって指定した場合、図11に示した転送スイッチTF1、TF2がオン状態となり、図12に示した転送スイッチTF3、TF4がオン状態となる。このとき、状態選択信号VSEL1がハイレベルであれば、駆動電極TL(n)の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続された磁界用トランジスタSHL1〜SHL3がオン状態になり、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TPLRとの間に接続された磁界用トランジスタSGR1〜SGR3がオン状態となる。これにより、一方の端部n1から他方の端部n2へ向かう方向の電流が流れ、磁界が発生する。一方、状態選択信号VSEL2がハイレベルになれば、駆動電極TL(n)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された磁界用トランジスタSGL1〜SGL3がオン状態になり、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に接続された磁界用トランジスタSHR1〜SHR3がオン状態となる。これにより、他方の端部n2から他方の端部n1へ向かう方向の電流が流れ、磁界が発生することになる。
また、電界タッチ検出のときには、駆動電極TL(n)の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続された磁界発生用トランジスタSHL1〜SHL3および電界用トランジスタMHL1、MHL2がオン状態になる。このとき、駆動電極TL(n)の他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に接続された磁界発生用トランジスタSHR1〜SHR3および電界用トランジスタMHR1、MHR2がオン状態になる。これにより、信号配線TSVL、TSVRに供給される駆動信号TSVの変化に従って、駆動電極TL(n)の発生する電界が変化する。
表示のときには、スキャナ回路SCAL、SCBL、SCARおよびSCBRのそれぞれから出力される磁界選択信号および電界選択信号が、ロウレベルとなるようにする。これにより、反転磁界選択信号および反転電界選択信号は、ハイレベルとなる。また、制御信号COMFLは、先に述べたように、表示のときにはロウレベルにする。これにより、駆動電極と信号配線TPLL、TPLRとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタがオン状態となり、駆動電極と信号配線TPLL、TPLRとが電気的に接続されることになる。このとき、制御装置3は、信号配線TPLL、TPLRに供給される駆動信号TPLを、表示用の駆動信号にする。これにより、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに、表示に適した電圧を供給することが可能となる。
なお、表示のときに、スキャナ回路SCAL、SCBL、SCARおよびSCBRのそれぞれから出力される磁界選択信号および電界選択信号が、ロウレベルにする構成としては、例えば同期信号TSHD(図4)によって、スキャナ回路を制御すればよい。勿論、この構成に限定されるものではない。
<表示装置1の動作>
<<磁界タッチ検出および表示>>
図13は、実施の形態に係わる表示装置1の動作を示す波形図である。同図には、表示と磁界タッチ検出が交互に行われているときの波形図が示されている。図13において、TP(1)〜TP(3)は、磁界タッチ検出期間を示し、DPは、表示期間を示している。ここでは、磁界タッチ検出期間TP(1)において、スキャナ回路SCALが、駆動電極TL(n)を指示し、磁界タッチ検出期間TP(3)において、スキャナ回路SCBLが、駆動電極TL(n)を指示している場合が示されている。磁界タッチ検出期間TP(1)およびTP(3)において、TGDは、磁界発生期間を示し、TDDは、磁界検出期間を示している。
制御装置3は、時刻t1において、制御信号COMFLをハイレベルに変化させて、磁界タッチ検出期間TP(1)を開始する。また、制御装置3は、磁界発生期間TGDにおいて、状態選択信号VSEL1とVSEL2を周期的に変化させる。この場合、状態選択信号VSEL1とVSEL2のハイレベルが重ならないように、変化させる。さらに、制御装置3内の駆動信号回路6は、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVと、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを形成して、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLRのそれぞれの端部nVL、nVR、nLL、nLR(図7、図8)に供給し、制御装置3は、ロウレベルLの電界選択信号MSELを出力する。
スキャナ回路SCALのシフト段FAL(n)が、ハイレベルのスタート信号を出力することにより、磁界選択信号AL(n)が、ロウレベルからハイレベルへ変化する。このとき、スキャナ回路SCBLは、ロウレベルの磁界選択信号BL(n)を出力している。また、電界選択信号MSELがロウレベルであるため、電界選択信号AML(n)はロウレベルとなる。
磁界発生期間TGDにおいて、状態選択信号VSEL1がハイレベルへ変化することにより、第2磁界選択信号SH_L(n)がロウレベルへ変化し、状態選択信号VSEL2がハイレベルへ変化することにより、第1磁界選択信号SG_L(n)がロウレベルへ変化する。これにより、上記したように、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3と磁界用トランジスタSGR1〜SGR3とが、交互にオン状態となる。その結果、駆動電極TLL(n)は、信号配線TSVLとTPLLとに、交互に電気的に接続される。これによって、駆動電極TL(n)に、交互に方向が変化する電流が流れ、磁界が発生する。
磁界タッチ検出期間TP(1)においては、電界選択信号MSELがロウレベルLとなっているため、反転電界選択信号XAML(n)がハイレベルとなり、制御信号COMFLがハイレベルのため、図11で説明したように、第1電界選択信号MG_L(n)および第2電界選択信号MH_L(n)は、ともにハイレベルとなる。これにより、図11に示した電界用トランジスタMGL1、MGL2、MHL1、MHLはオフ状態となる。
このようにして、磁界タッチ検出期間TP(1)の磁界発生期間TGDにおいては、3個の磁界用トランジスタによって、駆動電極TL(n)は、信号配線TSVLまたはTPLLに電気的に接続され、磁界を発生する。
磁界タッチ検出期間TP(1)の磁界検出期間TDDにおいては、図2で説明したように、ペンPenからの磁界が検出電極によって検出される。
表示期間DPにおいては、制御装置3は、制御信号COMFL、状態選択信号VSEL1、VSEL2および電界選択信号MSELをロウレベルにし、駆動信号TPLを表示に適した電圧(図では第1電圧Vs)にする。表示期間DPにおいては、スキャナ回路SCAL、SCBL、SCARおよびSCBRは、駆動電極の選択を指定しないため、磁界選択信号AL(n)およびBL(n)はロウレベルとなる。また、電界選択信号MSELがロウレベルとなるため、電界選択信号AML(n)もロウレベルとなる。
これにより、図11および図12に示した転送スイッチTF5、TF6およびTF11がオン状態となり、第1磁界選択信号SG_L(n)および第1電界選択信号MG_L(n)がロウレベルとなり、駆動電極TL(n)と信号配線TPLL、TPLRとの間に接続された磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタがオン状態となる。その結果、駆動電極TL(n)は、信号配線TPLL、TPLRに電気的に接続され、表示に適した駆動信号TPLが供給されることになる。表示期間においては、画素が有する画素電極に信号線から画像信号が供給され、駆動電極に供給されている駆動信号TPLの電圧と画素電極に供給されている画像信号との電圧差に応じた表示が行われる。
次の磁界タッチ検出期間TP(2)においては、別の駆動電極(例えば、TL(n+1))が磁界を発生し、ペンPenの検出が行われる。この磁界タッチ検出期間TP(2)においては、スキャナ回路SCALおよびSCBLが、駆動電極TL(n)の選択を指定しないため、磁界選択信号AL(n)およびBL(n)はロウレベルとなり、図示しない反転磁界選択信号XAL(n)およびXBL(n)はハイレベルとなる。これにより、図11および図12に示したN型トランジスタN7、N8、N12および転送スイッチTF5、TF6およびTF11がオン状態となる。このとき、所定の電圧VGLOは論理値のロウレベルに相当する電圧(Vs)であり、制御信号COMFLはハイレベルであるため、第1磁界選択信号SG_L(n)、第2磁界選択信号SH_L(n)、第1電界選択信号MG_L(n)および第2電界選択信号MH_L(n)はハイレベルとなり、駆動電極TL(n)は、信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRから分離され、フローティング状態となる。
磁界タッチ検出期間TP(2)のあと、表示期間DPを経過して、磁界タッチ検出期間TP(3)に到達すると、スキャナ回路SCBLが、駆動電極TL(n)の選択を指定する。すなわち、磁界選択信号BL(n)がハイレベルになり、磁界選択信号AL(n)はロウレベルの状態を維持する。これにより、磁界発生期間TGDにおいては、図11に示した転送スイッチTF1、TF2の代わりに転送スイッチTF3、TF4がオン状態となり、状態選択信号VSEL2、VSEL1に従って、第2磁界選択信号SH_L(n)、第1磁界選択信号SG_L(n)が変化し、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3と磁界用トランジスタSGL1〜SGL3とが交互にオン状態となり、駆動電極TL(n)は、信号配線TSVLとTPLLとに交互に電気的に接続されることになる。その他の動作は、磁界タッチ検出期間TP(1)と同じであるため、説明は省略する。
また、図13に示した磁界タッチ検出期間TP(1)においては、スキャナ回路SCBRが、駆動電極TL(n)の選択を指定する。これにより、図12に示した第2単位選択回路SER(n)および第2単位駆動回路DRR(n)は、図13に示した磁界タッチ検出期間TP(3)と同様な動作を行う。また、図13に示した表示期間DPにおいては、図12に示した第2単位選択回路SER(n)および第2単位駆動回路DRR(n)は、図13に示した表示期間DPと同様な動作を行う。さらに、図13に示した磁界タッチ検出期間TP(3)においては、スキャナ回路SCARが、駆動電極TL(n)の選択を指定する。これにより、図12に示した第2単位選択回路SER(n)および第2単位駆動回路DRR(n)は、図13に示した磁界タッチ検出期間TP(1)と同様な動作を行う。
以降、上記した動作が繰り返され、ペンPenの検出と表示が、交互に行われる。
<<電界タッチ検出および表示>>
図14は、実施の形態に係わる表示装置1の動作を示す波形図である。同図には、表示と電界タッチ検出が交互に行われているときの波形図が示されている。図14において、TC(1)〜TC(3)は、電界タッチ検出の期間(以下、電界タッチ検出期間とも称する)を示し、DPは、表示期間を示している。ここでは、電界タッチ検出期間TC(1)において、スキャナ回路SCALが、駆動電極TL(n)を指示している場合が示されている。表示期間DPの動作は、図13で説明しているので、ここでは省略する。
電界タッチ検出期間TC(1)〜TC(3)のとき、制御装置3は、制御信号COMFLをロウレベルにし、これらの電界タッチ検出期間において、電界選択信号MSELがハイレベルとなるよう、電界選択信号MSELの電圧を制御する。また、制御装置3は、電界タッチ検出期間のとき、状態選択信号VSEL1をハイレベルにし、状態選択信号VSEL2をロウレベルLに維持する。さらに、制御装置3内の駆動信号回路6は、電界タッチ検出期間のとき、駆動信号TSVの電圧を周期的に変化させ、駆動信号TPLを第1電圧Vsに維持する。
電界タッチ検出では、スキャナ回路SCALおよびSCARが、選択する駆動電極を指定する。そのため、スキャナ回路SCBLおよびSCBRは、駆動電極の非選択を示すロウレベルLの磁界選択信号(図14では、BL(n))を出力する。図14では、電界タッチ検出期間TC(1)において、駆動電極TL(n)を選択するために、スキャナ回路SCALが、電界タッチ検出期間TC(1)の間、ハイレベルの磁界選択信号(第1選択信号)AL(n)を出力している。
磁界選択信号AL(n)がハイレベルとなることにより、図11に示した転送スイッチTF1、TF2がオン状態となり、ハイレベルの状態選択信号VSEL1が、転送スイッチTF1を介して、インバータ回路IV4に供給され、ロウレベルの状態選択信号VSEL2が、転送スイッチTF2を介して、インバータ回路IV5に供給されることになる。その結果、第2磁界選択信号SH_L(n)がロウレベルとなり、駆動電極TL(n)と信号配線TSVLとの間に接続された磁界用トランジスタSHL1〜SHL3がオン状態となる。
また、電界タッチ検出期間TC(1)のとき、電界選択信号MSELがハイレベルとなるため、電界選択信号AML(n)がハイレベルとなる。これにより、図11に示した転送スイッチTF10がオン状態となり、ハイレベルの状態選択信号VSEL1が、インバータIV7に供給される。その結果、第2電界選択信号MH_L(n)がロウレベルとなり、駆動電極TL(n)と信号配線TSVLとの間に接続された電界用トランジスタMHL1、MHL2がオン状態となる。
これにより、磁界用トランジスタSHL1〜SHL3と電界用トランジスタMHL1、MHL2とによって、信号配線TSVLと駆動電極TL(n)とが電気的に接続されることになり、駆動電極TL(n)には、周期的に電圧が変化する駆動信号TSVが供給され、駆動信号TSVの電圧変化に従った電界が発生する。
電界タッチ検出期間TC(2)およびTC(3)においては、駆動電極TL(n)は選択されないため、磁界選択信号(第1選択信号)AL(n)もロウレベルとなる。その結果、電界選択信号AML(n)もロウレベルとなり、表示期間DPのときと同じように、第1磁界選択信号SG_L(n)と第1電界選択信号MG_L(n)は、ロウレベルとなり、第2磁界選択信号SH_L(n)と第2電界選択信号MH_L(n)は、ハイレベルとなる。これらの選択信号が、表示期間DPと同じになるため、駆動電極TL(n)は、信号配線TPLLに接続されることになる。
電界タッチ検出期間TC(1)〜TC(3)においては、図2で説明したように、検出電極によって、電界の変化が検出され、指の近接が検出されることになる。以降、同様な電界タッチ検出と表示が交互に行われる。
図12に示した第2単位選択回路SER(n)も、図11に示した第1単位選択回路SEL(n)と同様な動作が行われる。
図7および図8では、説明を容易にするために、1個の駆動電極で磁界を発生する場合を説明した。実際には、図6で説明したように、磁界が重畳される駆動電極を挟むように配置された複数の駆動電極のそれぞれが、図7および図8で説明したように駆動され、磁界を発生する。
この実施の形態においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)と駆動信号を供給する信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRとを電気的に接続するスイッチ(トランジスタ)の個数が、遠端に配置された駆動電極TL(0)を信号配線に電気的に接続するスイッチから、近端に配置された駆動電極TL(p)を信号配線に電気的に接続するスイッチに向けて、少なくなっている。これにより、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの抵抗が近端から遠端に向かって大きくなっても、磁界タッチ検出のときに、遠端に配置された駆動電極を流れる電流と、近端に配置された駆動電極を流れる電流との差を低減することが可能となる。その結果、磁界タッチ検出のときに、ペンPenに蓄積される電荷量が、駆動電極の位置に依存して変化するのを低減することが可能となり、検出感度が位置に依存して変化するのを低減することが可能となる。
また、実施の形態においては、それぞれの駆動電極と信号配線との間に接続されたスイッチが、磁界用のスイッチ組と電界用のスイッチ組によって構成されている。駆動電極の配置に従って、磁界用のスイッチ組を構成する磁界用トランジスタと電界用のスイッチ組を構成する電界用トランジスタの個数比が設定される。すなわち、磁界用トランジスタは、遠端から近端に向けて、個数が少なくなるのに対して、電界用トランジスタは、近端から遠端に向けて個数が少なくなる。磁界タッチ検出のときには、磁界用トランジスタによって、駆動電極と信号配線とが電気的に接続されるため、遠端に配置された駆動電極を流れる電流と近端に配置された駆動電極を流れる電流との差を低減することが可能となる。
一方、電界タッチ検出のときには、磁界用トランジスタと電界用トランジスタの両方によって、駆動電極と信号配線とが電気的に接続される。すなわち、磁界用トランジスタのオン抵抗と電界用トランジスタのオン抵抗が並列的に接続され、これらのトランジスタの合成抵抗によって、駆動電極と信号配線とが電気的に接続されることになる。これにより、電界タッチ検出のときに、駆動電極の位置によって、合成抵抗の値が大きく変わるのを抑制することが可能となる。
駆動電極と信号配線に接続されている駆動用トランジスタのサイズ(例えば、チャンネル長CL)は、駆動電極の長さに比べて、短いため、磁界用トランジスタのオン抵抗と電界用トランジスタのオン抵抗により形成される合成抵抗は、駆動電極の寄生容量に対して、集中定数の抵抗成分と見なすことができる。駆動電極の位置によって、合成抵抗の値が大きく変わるのを抑制することが可能であるため、駆動電極の寄生容量と駆動用トランジスタの合成抵抗の積で表させる時定数が、駆動電極の位置によって大きく変化するのを抑制することが可能となる。その結果、電界タッチ検出のときの駆動信号TSVの電圧変化に応答した駆動電極における電圧変化が、駆動電極の位置によって大きく変わるのを抑制することが可能となり、磁界タッチ検出のときの検出性能が悪化するのを低減することが可能となる。
また、実施の形態においては、表示のときにも、磁界用トランジスタと電界用トランジスタの両方がオン状態となる。これにより、電界タッチ検出のときと同様に、表示のときに、信号配線TPLL、TPLRに供給される駆動信号TPLの電圧変化に応答した駆動電極における電圧変化が、駆動電極の位置によって大きく変わるのを抑制することが可能となり、表示のときの性能が悪化するのを低減することが可能となる。
<変形例>
図15は、図7、図8、図11および図12等で示した磁界用トランジスタおよび電界用トランジスタの構造を示す図である。以下、磁界用トランジスタと電界用トランジスタを、駆動用トランジスタと総称する。図15(A)は、駆動用トランジスタの平面図であり、図15(B)は、駆動用トランジスタの断面図である。
駆動用トランジスタは、図15(B)に示すように、第1基板TGBに形成されたN型の半導体層PSBに形成されたP型半導体領域SE、DEと、ゲート絶縁膜GSOを介してN型の半導体層PSB上に形成されたゲート電極GEを備えている。P型半導体領域SEは、駆動用トランジスタのソースとして機能し、P型半導体領域DEは、駆動用トランジスタのドレインとして機能する。駆動用トランジスタのゲート電極GEに、上記した第1単位選択回路(または第2単位選択回路)からの選択信号が供給され、ソースSE(またはドレインDE)が、信号配線(例えばTPLL)に接続され、ドレインDE(またはソースSE)が、駆動電極の端部n1(またはn2)に接続される。
図15(A)において、A−A’の部分の断面が、先に説明した図15(B)に示した断面を有している。図15(A)において、CLは、ソース領域SEとドレイン領域DEとの間の長さを示すチャンネル長を表し、CWは、ソース領域SEおよびドレイン領域DEの幅を示すチャンネル幅を表している。
図7および図8では、平面視において、駆動電極の配置されている位置とは無関係に、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに接続されている駆動用トランジスタのサイズが、同じにされている。すなわち、近端に配置された駆動電極TL(p)に接続されている駆動用トランジスタ、中間付近に配置された駆動電極TL(n)に接続されている駆動用トランジスタおよび遠端に配置された駆動電極TL(0)に接続されている駆動用トランジスタのそれぞれにおいて、チャンネル幅CWとチャンネル長CLが同じにされている。
変形例においては、平面視において、駆動電極の配置されている位置に従って、駆動電極に接続されている駆動用トランジスタのサイズが変更されている。図16は、変形例に係わる駆動用トランジスタのサイズを説明する図である。ここでは、駆動用トランジスタのサイズは、駆動用トランジスタのチャンネル幅CWを意味している。図16において、「大」、「中」、「小」は、駆動用トランジスタのチャンネル幅CWの大きさを示している。ここで、「中」は、駆動用トランジスタのチャンネル幅CWが、所定の幅CW1を有している場合を示しており、「大」は、駆動用トランジスタのチャンネル幅CWが、所定の幅W1よりも大きいことを示しており、「小」は、駆動用トランジスタのチャンネル幅CWが、所定の幅CW1よりも小さいことを示している。駆動用トランジスタのチャンネル長CLは、接続されている駆動電極の配置とは無関係に同じ長さになっている。
遠端に配置された駆動電極に接続された磁界用トランジスタのサイズは、中間付近に配置されている駆動電極に接続された磁界用トランジスタに比べて、大きくなっている。一方、近端に配置された駆動電極に接続された磁界用トランジスタのサイズは、中間付近に配置された駆動電極に接続されている駆動用トランジスタのサイズよりも小さくなっている。すなわち、遠端から近端に向かって、磁界用トランジスタのサイズ(チャンネル幅CW)が、小さくなっている。
一方、電界用トランジスタにおいては、遠端に配置された駆動電極に接続されている電界用トランジスタのサイズ(チャンネル幅CW)は、中間付近に配置された駆動電極に接続されている電界用トランジスタのサイズに比べて、小さくなっている。また、近端に配置された駆動電極に接続されている電界用トランジスタのサイズは、中間付近に配置された駆動電極に接続されている電界用トランジスタのサイズに比べて大きくなっている。すなわち、遠端から近端に向かって、電界用トランジスタのサイズは、磁界用トランジスタとは反対に、大きくなっている。
最も遠端に配置された駆動電極TL(0)に近接して配置された遠端付近の駆動電極に接続されている第1および第2単位駆動回路を構成する磁界用トランジスタのサイズ(チャンネル幅CW)は、駆動電極TL(n)に接続されている第1および第2単位駆動回路DRL(n)、DRR(n)を構成する磁界用トランジスタのサイズに比べて、大きくされている。また、最も近端に配置された駆動電極TL(p)に近接して配置された近端付近の駆動電極に接続されている第1および第2単位駆動回路を構成する磁界用トランジスタのサイズは、駆動電極TL(n)に接続されている第1および第2単位駆動回路DRL(n)、DRR(n)を構成する磁界用トランジスタのサイズに比べて、小さくされている。
反対に、遠端付近の駆動電極に接続されている第1および第2単位駆動回路を構成する電界用トランジスタのサイズ(チャンネル幅CW)は、駆動電極TL(n)に接続されている第1および第2単位駆動回路DRL(n)、DRR(n)を構成する電界用トランジスタのサイズに比べて、小さくされている。また、近端付近の駆動電極に接続されている第1および第2単位駆動回路を構成する電界用トランジスタのサイズは、駆動電極TL(n)に接続されている第1および第2単位駆動回路DRL(n)、DRR(n)を構成する電界用トランジスタのサイズに比べて、大きくされている。
駆動用トランジスタは、そのゲートに供給される選択信号によってオン状態にされたとき、オン抵抗が、チャンネル幅CWの大きさによって変化する。すなわち、チャンネル幅CWを小さく(狭く)すると、オン抵抗が大きくなり、チャンネル幅Wを大きく(広く)すると、オン抵抗が小さくなる。
これにより、磁界タッチ検出期間において、遠端に配置された駆動電極TL(0)が選択されたときには、中間付近の駆動電極または近端付近の駆動電極が選択されたときに比べて、遠端付近の駆動電極と信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRとの間に接続される合成抵抗をより小さくすることが可能となる。同様に、中間付近に配置された駆動電極TL(n)が、選択されたときには、近端付近の駆動電極が選択されたときに比べて、駆動電極TL(n)と信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRとの間に接続される合成抵抗をより小さくすることが可能となる。すなわち、近端から遠端に向かって、駆動電極と信号配線との間を接続する合成抵抗を、より小さくすることが可能となる。
例えば、図7および図8に示した第1および第2単位駆動回路DRL(p)、DRR(p)においては、磁界用トランジスタのサイズは、小さくされている(第1チャンネル幅)が、電界用トランジスタのサイズは、第1チャンネル幅よりも大きな第2チャネル幅とされている。反対に、遠端に配置された駆動電極に接続された第1および第2単位駆動回路においては、磁界用トランジスタのサイズは、第1チャンネル幅よりも大きな第3チャンネル幅にされ、電界用トランジスタのサイズは、第3チャンネル幅よりも小さな第4チャンネル幅とされている。これにより、電界タッチ検出期間においては、磁界用トランジスタと電界用トランジスタの両方がオン状態となることにより、駆動電極TL(p)と信号配線との間を接続する合成抵抗が、大きくなるのを抑制することが可能となる。
また、電界用トランジスタのサイズを、遠端付近から近端付近に向けて、大きくなるようにすることにより、磁界用トランジスタのサイズが、近端付近から遠端付近に向けて、大きくなるようしておいても、電界タッチ検出のときには、小さなサイズの磁界用トランジスタによるオン抵抗の上昇を、大きなサイズの電界用トランジスタによるオン抵抗の減少により補償し、駆動電極と信号配線とを接続する合成抵抗をほぼ一定に保つことが可能となる。その結果、電界タッチ検出のときに、駆動電極における電圧の変化が、駆動電極の位置によって変わるのを、より低減することが可能となり、検出能力が悪化するのを低減することが可能となる。また、表示期間においても、それぞれの駆動電極と信号配線TPLL、TPLRとの間に電気的に接続される合成抵抗を、ほぼ一定にすることが可能となり、表示のときの駆動電極の電圧の変化が、駆動電極の位置によって変わるのを、より低減することが可能となり、表示のときの性能が悪化するのを低減することが可能となる。
実施の形態においては、磁界タッチ検出のときには、隣り合った駆動電極が束駆動電極とされ、複数の駆動電極によって磁界が発生する。一方、電界タッチ検出のときには、磁界タッチ検出のときに比べて少ない数の駆動電極によって電界が発生する。図6を参照にして述べると、磁界タッチ検出のときには、駆動電極TL(n−4)〜TL(n−1)と、TL(n+1)〜TL(n+5)が束とされ、磁界駆動信号が供給され、これらの駆動電極によって挟まれた駆動電極TL(n)の領域において強い磁界が発生する。これに対して、電界タッチ検出のときには、駆動電極TL(n)に電界駆動信号が供給される。すなわち、磁界タッチ検出のときに、駆動信号によって同時に駆動される駆動電極の個数が、電界タッチ検出のときに、駆動信号によって同時に駆動される駆動電極の個数よりも多くなっている。言い換えるならば、駆動信号が同時に供給される駆動電極の個数が、磁界タッチ検出のときは、電界タッチ検出のときに比べて多くなっている。
これにより、磁界タッチ検出のときには、強い磁界が発生可能であるとともに、例えば磁界タッチ検出のときに磁界を発生する領域(TL(n))と、電界タッチ検出のときに電界を発生する領域(TL(n))の大きさを同じにすることが可能となる。その結果、磁界タッチ検出のときと電界タッチ検出のときとで、タッチ検出が行われる範囲が変化するのを防ぐことが可能となる。さらに、実施の形態によれば、駆動信号回路6と駆動電極との間の距離に依存して、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のときの検出感度が変化するのを抑制することが可能となる。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、縦方向に延在し、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている場合を説明したが、縦方向および横方向は、見る視点により変化する。見る視点を変えて、信号配線および駆動電極の延在方向が変わっても、本発明の範囲に含まれるものである。また、本明細書で用いている「平行」とは、互いに一端から他端に亘るまで交わることなく延在することを意味する。そのため、一方の線(あるいは電極)の一部又は全部が他方の線(あるいは電極)に対して傾いた状態で設けられていたとしても、これらの線が一端から他端まで交わるものでなければ、本明細書においては、この状態も「平行」であるとする。