(第1実施形態)
以下、図1〜図4を参照して、空気供給システムを隊列走行のブレーキシステムに適用した第1実施形態について説明する。ブレーキシステムは、圧縮乾燥空気を駆動源とするブレーキとして、パーキングブレーキ及びサービスブレーキを備えている。隊列を形成する車両は、荷台が一体に設けられたトラック(カーゴ車両)である。
図1を参照して、隊列走行について説明する。隊列走行は、運転者により運転操作される先頭車両100と、無人の後続車両101とによって形成した隊列による走行である。先頭車両100のマスタECU61とその直後の後続車両101のマスタECU61、及び後続車両101のマスタECU61同士とは、無線通信によって各種情報を送受信し、一定の車間距離を維持しながら走行する。ここでは、最後尾の後続車両101のマスタECU61は、先頭車両100のマスタECU61と通信を行なう。有人の先頭車両100は、運転者のブレーキ操作に基づきブレーキを作動し、無人の後続車両101は、直前の車両に追従してブレーキを作動させる。なお、図1では、3台の車両によって隊列を形成したが、2台の車両によって隊列を形成してもよく、4台以上の車両で隊列を形成してもよい。
次に図2を参照して、後続車両101のブレーキシステムの概略構成について説明する。後続車両101は、主ブレーキ回路としてのメインモジュール11と、空気供給システムとしての保安ブレーキモジュール12とを備えている。メインモジュール11は、後続車両101の車輪毎に設けられる。保安ブレーキモジュール12もまた、車輪毎に設けられる。図1では、各車輪のうち、1つの車輪に対して設けられたメインモジュール11及び保安ブレーキモジュール12を図示し、その他の車輪に対して設けられたメインモジュール11及び保安ブレーキモジュール12の図示を省略している。
メインモジュール11は、通常状態に動作するブレーキモジュールであって、保安ブレーキモジュール12は、メインモジュール11が使用できない非常状態において動作するモジュールである。
メインモジュール11の入力ポート13は、ブレーキ用エアタンク15に接続されている。メインモジュール11の出力ポート14は、チャンバ接続路16を介してブレーキチャンバー50に接続されている。ブレーキ用エアタンク15とメインモジュール11との間には、空気を乾燥させるフィルタ17が設けられている。
後続車両101の後輪には、スプリングブレーキチャンバー50が設けられている。スプリングブレーキチャンバー50は、サービスブレーキを制御する第1制御室51と、パーキングブレーキを制御する第2制御室52とを備えている。第1制御室51には、ブレーキ用エアタンク15に貯留された空気が、運転者のブレーキペダルの操作量に応じた量だけ供給される。第1制御室51に空気が供給されると、第1制御室51の空気圧によってプッシュロッド54が車輪側に移動する。そして、プッシュロッド54の先に設けられた楔53が車輪に設けられたブレーキライニングを押し広げると、ブレーキシューとブレーキライニングとの摩擦によりサービスブレーキが作動する。第1制御室51から空気が排出されると、楔53がブレーキライニングから退出して、サービスブレーキが解除される。また、第2制御室52から空気が排出されると、スプリング55が伸張してプッシュロッド54を車輪側に移動させる。そして、スプリング55の付勢力により楔53が車輪に設けられたブレーキライニングを押し広げることで、パーキングブレーキが作動する。さらに、第2制御室52に空気が供給されると、楔53がブレーキライニングから退出して、パーキングブレーキが解除される。
メインモジュール11の出力ポート14は、スプリングブレーキチャンバー50の第1制御室51に接続している。なお、前輪には、第1制御室51、プッシュロッド54及び楔53を備えるサービスブレーキチャンバーが設けられている。サービスブレーキチャンバーは、サービスブレーキのみを作動及び解除する。サービスブレーキチャンバーに接続する保安ブレーキモジュール12は、サービスブレーキチャンバーの第1制御室51に接続される。なお、スプリングブレーキチャンバー50及びサービスブレーキチャンバーを区別しないで説明する場合には、単にブレーキチャンバー50として説明する。
保安ブレーキモジュール12の入力ポート20は、車両のエアサスペンション(懸架装置)に備えられるサスペンション用エアタンク22に接続されている。サスペンション用エアタンク22は、空気供給源として機能する。サスペンション用エアタンク22と入力ポート20との間には、フィルタ17が設けられている。保安ブレーキモジュール12のメイン側ポート21は、メインモジュール11のバックアップバルブ11Aと接続されている。メインモジュール11のバックアップバルブ11Aは、通常状態において閉じ、非常状態において開く。すなわち、保安ブレーキモジュール12は、メインモジュール11を介して、ブレーキチャンバー50の第1制御室51に接続している。
メインモジュール11は、主制御装置としての第1ECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)18、及び当該第1ECU18によって制御される制御弁を備えている。保安ブレーキモジュール12は、制御装置としての第2ECU25、及び当該第2ECU25によって制御される制御弁を備えている。第1ECU18及び第2ECU25は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク60に接続され、各種情報を送受信可能に構成されている。また、車載ネットワーク60には、第1ECU18及び第2ECU25の処理を司るマスタECU61が接続されている。マスタECU61は、第1ECU18及び第2ECU25に対して指令を送信し、第1ECU18及び第2ECU25は、その指令に基づき各種処理を実行する。
次に、図3を参照して、ブレーキチャンバー50に接続する保安ブレーキモジュール12の概略構成について説明する。保安ブレーキモジュール12は、空気供給システムに相当する。図2には、1つの車輪に対して設けられた保安ブレーキモジュール12を示している。
サスペンション用エアタンク22に接続する第1流路31には、第1制御弁41及び第2制御弁42が設けられている。第1流路31は、第1の供給流路を構成する。また、第1制御弁41は第1の電磁弁に対応し、第2制御弁42は、第3の電磁弁に相当する。第1制御弁41は、ノーマルクローズの電磁弁であって、非通電時に遮断位置となり、通電時に接続位置となる。接続位置では、1次側から2次側、及び2次側から1次側への両方の流れを許容する。第2制御弁42は、ノーマルオープンの電磁弁であって、非通電時に接続位置となり、通電時に遮断位置となる。第2制御弁42は、接続位置で、第1流路31と排出口49とを接続し、1次側から2次側、及び2次側から1次側への両方の流れを許容する。排出口49は、空気を空気供給システムの外部へ排出する。
第1流路31のうち、サスペンション用エアタンク22と第1制御弁41との間には、第2流路32の一方の端部が接続されている。第2流路32は、第2の供給流路を構成する。第2流路32の他方の端部は、ダブルチェックバルブ47に接続されている。ダブルチェックバルブ47は切替部に相当する。第2流路32には、第3制御弁43が設けられている。第3制御弁43は、第2の電磁弁に相当する。
第3制御弁43は、3ポート2位置弁である。サスペンション用エアタンク22側を上流、メイン側ポート21側を下流とするとき、第3制御弁43は、第2流路32の上流側と、第3流路33と、第2流路32の下流側とに接続されている。第3流路33は、第3制御弁43を介して送られた空気を、排出口49から排出する。第3制御弁43は、非通電状態で第2流路32の上流側と下流側とを接続する供給位置となる。また、第3制御弁43は、通電状態で第3流路33と第2流路32の下流とを接続する排気位置となる。
第2流路32の途中には減圧弁46が設けられている。減圧弁46は、第2流路32を流れる空気の圧力を所定圧力以下に減圧する。また、第2流路32の他方の端部に設けられたダブルチェックバルブ47は、第2流路32と、第4流路34と、第5流路35とに接続されている。第4流路34は第1流路31に接続されている。そのため、ダブルチェックバルブ47は、第1流路31及び第2流路32のうち圧力が高い方から第5流路35への空気の流れを許容する。
第5流路35は、方向切換弁45に接続する。方向切換弁45は、方向切換部に相当する。方向切換弁45は、空気圧駆動式の3ポート2位置弁であって、信号入力ポート45Aに対する空気の充填及び排出により駆動される。信号入力ポート45Aは、パーキングブレーキシステム(パーキングブレーキ回路)のパーキングブレーキバルブに接続するパーキングブレーキポートP1に接続されている。パーキングブレーキポートP1には、パーキングブレーキが解除されているときには空気が供給され、パーキングブレーキが作動しているときには空気が排出される。
方向切換弁45は、信号入力ポート45Aに空気圧信号が入力されないとき排気位置となり、空気圧信号が入力されたとき供給位置となる。供給位置では、第5流路35とメイン側ポート21とを接続し、第5流路35と保安ブレーキモジュール12のメイン側ポート21とのうち圧力が高い方から低い方への流れを許容する。排気位置では、第3流路33とメイン側ポート21とを接続し、排出口49から排気する。
メイン側ポート21と方向切換弁45との間には、圧力センサ48が接続されている。圧力センサ48は、メインモジュール11側の圧力を検知して、検知した圧力に応じた信号を第2ECU25に出力する。第2ECU25は、圧力センサ48から入力した信号と、図示しない車速センサから入力した車速、又は図示しない加速度センサから入力した減速度に基づき、メインモジュール11側の圧力と、車速又は減速度との相関性を学習する。
次に図3〜図5を参照して、保安ブレーキモジュール12の動作について説明する。なお、メインモジュール11に異常がない通常状態では、メインモジュール11のバックアップバルブ11Aは閉弁している。
図3に示すように、通常状態において、第1制御弁41、第2制御弁42は非通電状態とされ、第3制御弁43は通電状態とされる。第1制御弁41は遮断位置となる。これにより、第1流路31は遮断される。第3制御弁43は排気位置となるため、第2流路32も遮断される。これにより、サスペンション用エアタンク22から、メインモジュール11を介して、ブレーキチャンバー50に空気が供給されないため、保安ブレーキモジュール12がメインモジュール11の動作に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
保安ブレーキモジュール12は、メインモジュール11に異常が生じたときに実行されるバックアップモードと、強制減圧ブレーキモードとを有している。
図4を参照して、バックアップモードについて説明する。バックアップモードでは保安ブレーキモジュール12は、メインモジュール11に替わりサービスブレーキの作動及び解除を行う。バックアップモードの際、バックアップバルブ11Aは開弁している。
第2ECU25は、マスタECU61から減速指示を入力する。このとき、メインモジュール11のバックアップバルブ11Aは開状態となっている。なお、太い実線は、空気が充填されている状態を示す。
第2ECU25は、マスタECU61の減速指示に基づいて、第1制御弁41〜第3制御弁43を通電状態とする。第1制御弁41は接続位置となり、第2制御弁42は排出口49側を遮断する遮断位置となる。第3制御弁43は、第2流路32の上流側を遮断して、第2流路の下流側と第3流路33とを接続する排気位置となる。これにより、ダブルチェックバルブ47に接続する第4流路34側が、第2流路32側よりも高圧となるため、ダブルチェックバルブ47は、第4流路34から第5流路35への空気の流れを許容する。
後続車両101の走行時には、パーキングブレーキが解除されて、パーキングブレーキポートP1から信号入力ポート45Aに空気が供給されるため、方向切換弁45は、供給位置となる。これにより、サスペンション用エアタンク22から第1流路31に供給された空気は、ダブルチェックバルブ47、第5流路35、方向切換弁45を介してメイン側ポート21からメインモジュール11へ供給される。メインモジュール11へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
また、サービスブレーキを解除する場合には、第2ECU25は、第1制御弁41及び第2制御弁42を非通電状態とし、第3制御弁43を通電状態とする。これにより、第1制御弁41は遮断位置となり、第3制御弁43は排気位置となる。その結果、サスペンション用エアタンク22からの空気の供給が停止される。また、ブレーキチャンバー50の空気は、メイン側ポート21、供給位置となった方向切換弁45、ダブルチェックバルブ47、接続位置である第2制御弁42を介して排出口49から排出される。
図5を参照して、強制減圧ブレーキモードについて説明する。強制減圧ブレーキモードは、メインモジュール11及び保安ブレーキモジュール12に異常が生じた場合に、強制的にブレーキをかけて停止するモードである。但し、隊列走行では、車間距離を一定距離に維持しながら走行している。すなわち、先頭車両100が減速すれば、その直後の後続車両101も先頭車両100に追従して減速し、その後続車両101の直後の後続車両101も後続車両101に追従して減速する。そのため、そのうちの一台でも急ブレーキをかけると、その車両に、直後を走行する後続車両101が衝突することとなる。そのため、強制減圧ブレーキモードにおいても前後の車両に衝突せずに減速する必要がある。
強制減圧ブレーキモードでは、第2ECU25は、第1制御弁41〜第3制御弁43を非通電状態とする。第1制御弁41は、遮断位置となる。第2制御弁42は、接続位置となり、第4流路34側を排出口49側と連通する。第3制御弁43は、第2流路32を連通する供給位置となる。これにより、ダブルチェックバルブ47に接続する第2流路32側が、第4流路34側よりも高圧となるため、ダブルチェックバルブ47は、第2流路32から第5流路35への空気の流れを許容する。
パーキングブレーキポートP1から信号入力ポート45Aに空気が供給されることにより、方向切換弁45は、供給位置となる。これにより、サスペンション用エアタンク22から供給された空気は、第2流路32を流れる。第2流路32に設けられた減圧弁46によって所定圧力に減圧される。この所定圧力は、前後の車両に衝突せずに減速するためのブレーキ圧とするための圧力に設定されている。この所定圧力は、隊列を形成する車両のうち先頭車両100を1番目とする順番が大きくなるほど大きくなるように設定される。これにより、先頭車両100が停止したとき、後方の車両から順に停止する。その結果、後続車両101は、直前を走行する車両と直後を走行する車両と衝突せずに停止することができる。
減圧された空気は、ダブルチェックバルブ47、第5流路35、方向切換弁45を介してメインモジュール11へ供給される。メインモジュール11へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)メインモジュール11に異常が生じた場合には、第2ECU25によって空気供給システムを制御することによって、サービスブレーキを作動及び解除することができる。また、第1制御弁41、第3制御弁43及びダブルチェックバルブ47によって、第1流路31を介した空気の供給、第2流路32を介した空気の供給が切り替えられる。第2流路32には減圧弁46が設けられているので、第2流路32を介してブレーキチャンバー50に空気を供給する際はブレーキ圧を低くすることができる。したがって、この場合には急ブレーキを抑制することができる。そのため、隊列を形成して走行する後続車両101においては、減速時に、直前を走行する車両及び直後を走行する車両に衝突することを防ぐことができる。
(2)第2制御弁42によって、ダブルチェックバルブ47における流れの方向が切り替えられる。また、第2制御弁42は第2ECU25によって制御される。このため、第2ECU25の制御により第1流路31を介した空気の供給と、第2流路32を介した空気の供給とを切り替えることができる。
(3)方向切換弁45によって、ブレーキチャンバー50に空気を供給する状態と、ブレーキチャンバーから空気を排出する状態とを切り換えることができる。また、方向切換弁45は、パーキングブレーキシステムの流路に接続するパーキングブレーキポートP1の空気圧によって駆動されるので、パーキングブレーキが作動しているときにはサービスブレーキがかからないようにすることができる。
(第2実施形態)
次に図6〜図9を参照して、空気供給システムを保安ブレーキモジュール12に具体化した第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態にかかる空気供給システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、図面においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
本実施形態では、第1制御弁41、第2制御弁42、第1流路31から分岐する第2流路32に接続する第3制御弁59、第4流路34と第5流路35との間に設けられたダブルチェックバルブ47等は第1実施形態と同様である。なお、第3制御弁59の構成や、その他の部分は第1実施形態と相違する。
図6に示すように、ダブルチェックバルブ47は、第4流路34、第9流路73、及び第5流路35に接続され、第4流路34、及び第9流路73のうち圧力が高い方から第5流路35への空気の流れを許容する。
第9流路73には、第1空気式制御弁75及び第2空気式制御弁76が設けられている。第1空気式制御弁75及び第2空気式制御弁76は、開閉部に相当する。第1空気式制御弁75は、空気圧によって制御される制御弁であって、信号入力ポート75Aに空気圧信号が入力していない状態では第9流路73を連通する接続位置となり、信号入力ポート75Aに空気圧信号が入力した状態では第9流路73を遮断する遮断位置となる。また、第2空気式制御弁76は、空気圧によって制御される信号入力ポート76Aに空気圧信号が入力していない状態では第9流路73を遮断する遮断位置となり、信号入力ポート75Aに空気圧信号が入力した状態では第9流路73を連通する接続位置となる。
また、第9流路73の端部には、ブレーキバルブ58が接続されている。ブレーキバルブ58は、メインモジュール11や保安ブレーキモジュール12に異常が生じた場合に、メンテナンス作業を行なう作業者又は先頭車両100の運転者等によって操作されるブレーキペダル58Aを備えている。ブレーキペダル58Aが操作されていない場合には、第9流路73に空気は供給されない。ブレーキペダル58Aが操作されると、ブレーキバルブ58から第9流路73に空気が供給される。また、ブレーキバルブ58は、第9流路73から供給された空気を排出することができる。
第3制御弁59は、3ポート2位置弁であって、第2流路32、第3流路33、及び第6流路70〜第8流路72の分岐部に接続されている。第3制御弁59は、非通電状態で、第3流路33と、第6流路70〜第8流路72の分岐部とを接続する排気位置となる。また、第3制御弁59は、通電状態で、第2流路32と第6流路70〜第8流路72の分岐部とを接続する供給位置となる。
第6流路70の途中には減圧弁46が設けられ、減圧弁46の下流側にはチェックバルブ70Aが設けられている。第6流路70は、第3制御弁59を介して供給された空気を減圧して第9流路73に供給する。チェックバルブ70Aは、減圧弁46側から第9流路73側へ向かう方向の流れのみを許容する。第7流路71は、第1空気式制御弁75の信号入力ポート75Aに接続されている。第8流路72は、第2空気式制御弁76の信号入力ポート76Aに接続されている。第8流路72の途中にはチェックバルブ72Aが設けられている。チェックバルブ72Aは、第3制御弁59側から第2空気式制御弁76へ向かう方向の流れのみを許容する。
次に図6〜図9を参照して、保安ブレーキモジュール12の動作について説明する。なお、メインモジュール11に異常がない通常状態では、バックアップバルブ11Aは閉弁している。
図6に示すように、通常状態において、第1制御弁41、第2制御弁42、及び第3制御弁59は非通電状態とされる。第1制御弁41は遮断位置となるため、第1流路31は遮断される。第3制御弁59は排気位置となるため、第2流路32も遮断される。これにより、サスペンション用エアタンク22から、メインモジュール11を介して、ブレーキチャンバー50に空気が供給されない。
図7を参照して、メインモジュール11に異常が生じたときに実行されるバックアップモードについて説明する。なお、バックアップモードは、パーキングブレーキが解除されているときに実行される。
第2ECU25は、第1制御弁41〜第3制御弁59を通電状態とする。第1制御弁41は接続位置となり、第2制御弁42は排出口49側を遮断する遮断位置となる。第3制御弁59は、第2流路32の上流側を遮断して、第6流路70〜第8流路72の分岐部と第3流路33とを接続する排気位置となる。これにより、第1空気式制御弁75は接続位置となり、第2空気式制御弁76は遮断位置となるため、第9流路73が遮断される。また、ダブルチェックバルブ47に接続する第4流路34側が、第9流路73側よりも高圧となるため、ダブルチェックバルブ47は、第4流路34から第5流路35への空気の流れを許容する。
その結果、サスペンション用エアタンク22から第1流路31に供給された空気は、第4流路34、ダブルチェックバルブ47、第5流路35を介してメインモジュール11へ供給される。メインモジュール11へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
図8を参照して、強制減圧ブレーキモードについて説明する。強制減圧ブレーキモードでは、第2ECU25は、第1制御弁41,第2制御弁42を非通電状態とし、第3制御弁43を通電状態とする。第1制御弁41は、遮断位置となり、第1流路31を遮断する。第3制御弁59は、供給位置となり、第2流路32、及び第6流路70〜第8流路72の分岐部とを接続する。これにより、第6流路70に供給された空気は、減圧されて第9流路73に供給される。このとき、ダブルチェックバルブ47に接続する第6流路70側が、第4流路34側よりも高圧となるため、ダブルチェックバルブ47は、第6流路70から第5流路35への空気の流れを許容する。
その結果、サスペンション用エアタンク22から供給された空気は、第2流路32、及び第3制御弁59を介して、第6流路70に供給される。第6流路70に供給された空気は、減圧弁46によって所定圧力に減圧される。この所定圧力は、前後の車両に衝突せずに減速するためのブレーキ圧とするための圧力に設定されている。減圧された空気は、ダブルチェックバルブ47、第5流路35を介してメインモジュール11へ供給される。メインモジュール11へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
図9を参照して、強制減圧ブレーキを実行した後、走行を再開するための再走行モードについて説明する。再走行モードでは、第2ECU25は、強制減圧ブレーキを実行した後に第1制御弁41及び第2制御弁42を非通電状態に維持し、第3制御弁59を非通電状態とする。第3制御弁59は、排気位置となり、第6流路70〜第8流路72に充填された空気を、第3流路33を介して排出口49から排出する。このとき、第8流路72にはチェックバルブ72Aが設けられているので、チェックバルブ72Aよりも第3制御弁59側の空気が排出され、チェックバルブ72Aと第2空気式制御弁76との間の流路においては空気が充填された状態となる。これにより、第1空気式制御弁75は接続位置に変更され、第2空気式制御弁76は接続位置に維持される。そのため、第9流路73は、ブレーキバルブ58と第5流路35とがダブルチェックバルブ47を介して連通された状態となる。
また、第6流路70においても、チェックバルブ70Aよりも第3制御弁59側の空気が排出され、チェックバルブ72Aとダブルチェックバルブ47との間の流路においては空気が充填された状態となる。したがって、第4流路34側よりも第6流路70側の圧力が高いため、ダブルチェックバルブ47は、第5流路35から第9流路73への空気の流れを許容する状態となる。その結果、ブレーキチャンバー50の第1制御室51に充填された空気が、メイン側ポート21、第5流路35、及び第9流路73を介して、ブレーキバルブ58から排出される。これにより、後続車両101は、整備所又はサービスエリア等の待避所まで移動可能となる。
さらに、サービスブレーキを作動させる際には、運転者がブレーキペダル58Aを操作することによって、ブレーキバルブ58から供給された空気が、第9流路73、ダブルチェックバルブ47、第5流路35に供給される。これにより、メイン側ポート21を介してブレーキチャンバー50の第1制御室51に空気が供給されてサービスブレーキが作動する。
以上説明したように、本実施形態によれば、上記の(1)及び(2)に記載の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
(4)第1空気式制御弁75及び第2空気式制御弁76が開状態となることにより、ブレーキチャンバー50からブレーキバルブ58に空気が排出されるので、強制的にサービスブレーキをかけた場合でも、サービスブレーキを解除することができる。
(第3実施形態)
次に図10〜図15を参照して、空気供給システムを保安ブレーキモジュール12に具体化した第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態にかかる空気供給システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、図面においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
本実施形態は、第1制御弁41、第2制御弁42、第1流路31から分岐する第2流路32に接続する第3制御弁43、第4流路34と第5流路35との間に設けられたダブルチェックバルブ47、方向切換弁45等は第1実施形態と同様である。なお、第2制御弁42と方向切換弁45との間に設けられた弁装置や、第3制御弁43と方向切換弁45との間に設けられた弁装置等、その他の部分は第1実施形態と相違する。
方向切換弁45は、第12流路82を介して排出口49に接続されている。また、第1流路31のうち、第2制御弁42よりも下流には、第3空気式制御弁77が設けられている。第3空気式制御弁77は、信号入力ポート77Aに空気圧信号を入力していない状態で第1流路31を遮断する遮断位置となり、信号入力ポート77Aに空気圧信号を入力した状態で第1流路31を連通する接続位置となる。
第3空気式制御弁77の下流には、ダブルチェックバルブ80が設けられている。ダブルチェックバルブ80は、第1流路31、第9流路73、第11流路81と接続され、第1流路31、及び第9流路73のうち圧力が高い方から第11流路81への空気の流れを許容する。第11流路81は、方向切換弁45に接続されている。第3空気式制御弁77の信号入力ポート77Aは、バイパス流路85を介して、第9流路73であってダブルチェックバルブ80の下流側に接続されている。第9流路73の途中には、チェックバルブ85Aが設けられている。チェックバルブ85Aは、第9流路73側から信号入力ポート77Aへの空気の流れのみを許容する。
ブレーキバルブ58に接続する第9流路73には、第2空気式制御弁76が設けられている。第2の開閉弁としての第2空気式制御弁76は、第2実施形態と同様である。すなわち、第2空気式制御弁76は、空気圧によって制御される信号入力ポート76Aに空気圧信号を入力していない状態では第9流路73を遮断する遮断位置となり、信号入力ポート76Aに空気圧信号を入力した状態では第9流路73を連通する接続位置となる。
第1の開閉弁としての第4空気式制御弁87の信号入力ポート87Aと、第2空気式制御弁76の信号入力ポート76Aとは、ポート接続流路としての第14流路84によって接続されている。また、第14流路84は、第6流路70にバイパス流路86によって接続されている。バイパス流路86には、チェックバルブ86Aと手動式の開閉弁86Bとが設けられている。バイパス流路86において第6流路70を上流側、第14流路84を下流側とするとき、開閉弁86Bは上流側に配置され、チェックバルブ86Aは下流側に配置される。チェックバルブ86Aは、上流側から下流側に向かう方向の流れのみを許容する。
第3制御弁43には、第6流路70が接続され、第6流路70の途中には減圧弁46が設けられている。第3制御弁43と減圧弁46との間には、第4空気式制御弁87が設けられている。第4空気式制御弁87は、空気圧によって制御される2位置弁であって、信号入力ポート87Aに空気圧信号を入力しない状態では、第6流路70を連通する接続位置となる。また、信号入力ポート87Aに空気圧信号を入力した状態では、第6流路70を遮断する遮断位置となる。
第6流路70の端部であって、第3制御弁43と接続された端部と反対側の端部には、ダブルチェックバルブ47が接続されている。ダブルチェックバルブ47は、第4流路34、第6流路70及び第5流路35に接続されている。
次に図10〜図15を参照して、保安ブレーキモジュール12の動作について説明する。なお、メインモジュール11に異常がない通常状態では、バックアップバルブ11Aは閉弁しているものとする。
図10に示すように、通常状態では、第1制御弁41〜第2制御弁42は非通電状態となり、第3制御弁43は通電状態とされる。第1制御弁41は遮断位置となり、第1流路31は遮断される。第2制御弁42は接続位置となり、第3制御弁43は排気位置となる。このため、第2流路32も遮断される。これにより、サスペンション用エアタンク22から、メインモジュール11を介して、ブレーキチャンバー50に空気が供給されない。
図11を参照して、メインモジュール11に異常が生じたときに実行されるバックアップモードについて説明する。なお、バックアップモードは、パーキングブレーキが解除されているときに実行される。
第2ECU25は、マスタECU61から減速指示を入力し、第1制御弁41〜第3制御弁43を通電状態とする。第1制御弁41は接続位置となり、第2制御弁42は排出口49側を遮断する遮断位置となる。第3制御弁43は、第2流路32の上流側を遮断して、第6流路70と第3流路33を接続する排気位置となる。これにより、第1流路31及び第4流路34に空気が充填されるため、ダブルチェックバルブ47では、第6流路70側よりも第4流路34側が高圧となり、第4流路34から第5流路35への空気の流れが許容される。また、ブレーキバルブ58からは空気が供給されないため、ダブルチェックバルブ80では、第9流路73側よりも第5流路35側が高圧となり、第5流路35から第11流路81への空気の流れが許容される。
走行時等のパーキングブレーキが解除された状態では、パーキングブレーキポートP1から方向切換弁45の信号入力ポート45Aに空気が供給され、方向切換弁45は、供給位置となる。ダブルチェックバルブ80側から供給された空気は、第11流路81、方向切換弁45を介してメインモジュール11側へ供給される。メインモジュール11側へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
図12を参照して、強制減圧ブレーキモードについて説明する。強制減圧ブレーキモードでは、第2ECU25は、第1制御弁41〜第3制御弁43を非通電状態とする。第1制御弁41は、遮断位置となり、第1流路31を遮断する。第2制御弁42は、接続位置となり、第4流路34に充填された空気を排気する。第3制御弁43は、供給位置となり、第2流路32、及び第6流路70とを接続する。これにより、第4流路34側よりも第6流路70側の圧力が高くなるため、ダブルチェックバルブ47は、第6流路70から第5流路35への空気の流れを許容する。なお、第6流路70に供給された空気は、減圧弁46によって減圧されて第5流路35に供給される。
また、ブレーキバルブ58からは空気が供給されないため、ダブルチェックバルブ80では、第9流路73側よりも第5流路35側が高圧となり、第5流路35から第11流路81への空気の流れが許容される。また、パーキングブレーキポートP1から方向切換弁45の信号入力ポート45Aに空気が供給されることにより、方向切換弁45は、供給位置となる。ダブルチェックバルブ80側から供給された空気は、第11流路81、方向切換弁45を介してメインモジュール11側へ供給される。メインモジュール11側へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、ブレーキ圧が低下したサービスブレーキが作動する。
図13〜図15を参照して、強制減圧ブレーキが作動した後に、走行を再開するための再走行モードについて説明する。
図13に示すように、再走行モードでは、第2ECU25は、強制減圧ブレーキを実行した後に第1制御弁41〜第3制御弁43を非通電状態に維持する。また、メンテナンス作業を行なう作業者、又は先頭車両100の運転者等による手動の操作によって、手動式の開閉弁86Bを開状態とする。これにより、バイパス流路86を介して、第6流路70及び第14流路84が連通され、空気が充填された第6流路70から第4流路34に空気が供給される。その結果、第4空気式制御弁87の信号入力ポート87Aに空気圧信号が入力されて、第4空気式制御弁87が遮断位置となる。また、第2空気式制御弁76の信号入力ポート76Aに空気圧信号が入力されて、第2空気式制御弁76が接続位置となる。
また、パーキングブレーキシステムが動作することにより、パーキングブレーキポートP1から空気が排出されるので、方向切換弁45は排気位置となる。これにより、第11流路81を遮断するとともに、ブレーキチャンバー50からメインモジュール11を介して空気を排出して、サービスブレーキを解除することができる。
図14に示すように、次に作業者又は運転者による操作によって、手動式の開閉弁86Bを閉状態とし、ブレーキペダル58Aを一回踏む。これにより、ブレーキバルブ58から供給された空気が、接続位置の第2空気式制御弁76を通過して、バイパス流路85に供給され、第3空気式制御弁77の信号入力ポート77Aに充填される。そのため、第3空気式制御弁77が接続位置となり、ダブルチェックバルブ80と第3空気式制御弁77との間に充填された空気が排出口49から排出される。これにより、ダブルチェックバルブ80において、第9流路73側から第11流路81への空気の流れが許容される。
図15に示すように、その後、パーキングブレーキが解除されることにより、パーキングブレーキポートP1から空気が供給されると、方向切換弁45が供給位置となる。これにより、ブレーキバルブ58からダブルチェックバルブ80、第11流路81及び方向切換弁45を介してメイン側ポート21に空気が供給される。そのため、メインモジュール11側へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキを作動させることができるので、強制減圧ブレーキを作動させた後も、ブレーキペダル58Aの操作によって減速が可能となるので後続車両101を整備所や、サービスエリア等の退避所まで移動させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、上記の(1)〜(3)に記載の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
(5)上記構成によれば、手動操作式の開閉弁86Bを操作することによって、バイパス流路86に空気を充填し、第4空気式制御弁87を開状態とするとともに、第2空気式制御弁76を接続状態とすることができる。このため、強制的にサービスブレーキをかけた場合でも、サービスブレーキを解除することができる。
(第4実施形態)
次に図16〜図19を参照して、空気供給システムを保安ブレーキモジュール12に具体化した第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態にかかる空気供給システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、図面においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
本実施形態は、第1制御弁41、第2制御弁42、第4流路34と第5流路35との間に設けられたダブルチェックバルブ47等は第1実施形態と同様であり、第3制御弁90、第6空気式制御弁91〜第10空気式制御弁95等を備える点で第1実施形態と相違する。
図16に示すように、第2流路32には、第3制御弁90、第6空気式制御弁91、及び第7空気式制御弁92が設けられている。第3制御弁90は、第2ECU25によって制御される電磁弁であって、非通電状態で第2流路32を連通する接続位置となり、通電状態で第2流路32を遮断する遮断位置となる。
第6空気式制御弁91は、空圧信号によって制御される弁であって、信号入力ポート91Aに空気圧信号を入力しない状態では第2流路32を遮断する遮断位置となり、空気圧信号を入力した状態では第2流路32を連通する接続位置となる。信号入力ポート91Aは、パーキングブレーキポートP1に接続する第18流路98に接続する。また、第18流路98のパーキングブレーキポートP1と反対側の端部は、第10空気式制御弁95の信号入力ポート95Aに接続されている。第10空気式制御弁95は、信号入力ポート95Aに空気圧信号を入力していない状態では、第17流路97を、第19流路99を介して排出口49に連通する接続位置となり、信号入力ポート95Aに空気圧信号を入力した状態で第19流路99を遮断する遮断位置となる。
第7空気式制御弁92は、空圧信号によって制御される弁であって、信号入力ポート92Aに空気圧信号を入力しない状態では第2流路32を連通する接続位置となり、空気圧信号を入力した状態では第2流路32を遮断する遮断位置となる。信号入力ポート92Aは、第16流路96に接続し、第16流路96は第9流路73に接続する。第16流路96の途中には、第9流路73側からの空気の流れのみを許容するチェックバルブ96Aが設けられている。
第2流路32は、第6流路70、第7流路71、第8流路72、及び第17流路97に分岐する分岐部に接続する。第6流路70は、第2流路32に接続する端部と反対側の端部において第9流路73に接続する。第7流路71は、第9流路73に設けられた第1空気式制御弁75の信号入力ポート75Aに接続されている。第8流路72は、第9流路73に設けられた第8空気式制御弁93の信号入力ポート93A、第9空気式制御弁94の信号入力ポート94Aに接続される。
第8空気式制御弁93は、信号入力ポート93Aに空気圧信号を入力しない状態で、第9流路73を遮断する遮断位置となり、空気圧信号を入力した状態で、第9流路73を連通する接続位置となる。
第9空気式制御弁94は、信号入力ポート94Aに空気圧信号を入力しない状態で、第9流路73を遮断する遮断位置となり、空気圧信号を入力した状態で、第9流路73を連通する接続位置となる。第17流路97は、第7空気式制御弁92と第10空気式制御弁95とを接続する。
次に図16〜図19を参照して、保安ブレーキモジュール12の動作について説明する。なお、メインモジュール11に異常がない通常状態では、バックアップバルブ11Aは閉弁しているものとする。
図16に示すように、通常状態では、第1制御弁41、第2制御弁42は非通電状態とされ、第3制御弁90は通電状態とされる。第1制御弁41は遮断位置となり、第1流路31は遮断される。第3制御弁90は遮断位置となり、第2流路32を遮断する。これにより、サスペンション用エアタンク22から、メインモジュール11を介して、ブレーキチャンバー50に空気が供給されないため、メインモジュール11の動作に干渉しない。
図17を参照して、メインモジュール11に異常が生じたときに実行されるバックアップモードについて説明する。バックアップモードでは保安ブレーキモジュール12は、メインモジュール11の替りにサービスブレーキを制御する。
第2ECU25は、マスタECU61から減速指示を入力する。このとき、メインモジュール11のバックアップバルブ11Aは開状態となっている。
第2ECU25は、減速指示に基づいて、第1制御弁41、第2制御弁42及び第3制御弁90を通電状態とする。第1制御弁41は接続位置となり、第2制御弁42は排出口49側を遮断する遮断位置となる。第3制御弁90は、第2流路32を遮断する遮断位置となる。これにより、ダブルチェックバルブ47に接続する第4流路34側が、第6流路70側よりも高圧となるため、ダブルチェックバルブ47は、第4流路34から第5流路35への空気の流れを許容する。
その結果、サスペンション用エアタンク22から第1流路31に供給された空気は、第4流路34、ダブルチェックバルブ47、第5流路35を介してメインモジュール11側へ供給される。メインモジュール11側へ供給された空気は、バックアップバルブ11Aを介して、ブレーキチャンバー50へ送られる。これにより、サービスブレーキが作動する。
また、サービスブレーキを解除する場合には、第2ECU25は、第1制御弁41〜第3制御弁90を非通電状態とする。これにより、第1制御弁41は遮断位置となり、サスペンション用エアタンク22からの空気の供給が停止される。第2制御弁42は接続位置となる。これにより、ブレーキチャンバー50の空気が、メイン側ポート21、第4流路34、及び第2制御弁42を介して排出口49から排出される。
図18を参照して、強制減圧ブレーキモードについて説明する。強制減圧ブレーキモードでは、第2ECU25は、第1制御弁41、第2制御弁42及び第3制御弁90を非通電状態とする。第1制御弁41は、遮断位置となり、第1流路31は遮断される。第2制御弁42は、接続位置となり、第4流路34側を排出口49側と連通する。第3制御弁90は、第2流路32を連通する接続位置となる。強制減圧ブレーキがかかる前、すなわち走行中には、パーキングブレーキポートP1に空気が供給されるため、第6空気式制御弁91の信号入力ポート91Aには空気圧信号が入力される。これにより、第6空気式制御弁91は、接続位置となる。
また、第7空気式制御弁92も接続位置に維持される。これにより、サスペンション用エアタンク22の空気が、第2流路32を介して、第6流路70、第7流路71、第8流路72、及び第17流路97に供給される。第7流路71に空気が供給されることにより、第1空気式制御弁75は遮断位置となる。また、第10空気式制御弁95は、遮断位置となるため、第17流路97を介してサスペンション用エアタンク22の空気が排出されることを防ぐことができる。これにより、サスペンション用エアタンク22の空気は、第2流路32、第6流路70、メイン側ポート21を介してブレーキチャンバー50に供給され、サービスブレーキが作動する。また、第6流路70を介して供給された空気は減圧弁46により減圧されているため、ブレーキ圧を低くすることができる。
図19を参照して、強制減圧ブレーキが作動した後に、走行を再開するための再走行モードについて説明する。
走行を再開するときは、ブレーキバルブ58のブレーキペダル58Aを1回踏む等の操作により、パーキングブレーキを作動させる。これにより、パーキングブレーキポートP1には空気が供給されない状態となるため、第6空気式制御弁91は遮断位置となる。その結果、第2流路32は、遮断される。
また、第8流路72のうちチェックバルブ72Aの下流には、空気が充填されているため、第8空気式制御弁93及び第9空気式制御弁94は、それぞれ接続位置となる。これにより、第9流路73及び第5流路35は、ダブルチェックバルブ47を介して接続される。したがって、ブレーキチャンバー50から排出されメイン側ポート21から供給された空気は、第5流路35、ダブルチェックバルブ47を介して、ブレーキバルブ58から排出される。さらにパーキングブレーキシステムでパーキングブレーキを解除すると、後続車両101が、走行可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、上記の(1),(2)に記載の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
(5)上記構成によれば、強制減圧ブレーキモードの際にブレーキバルブ58とブレーキチャンバー50側とを接続する第8空気式制御弁93及び第9空気式制御弁94は開状態となる。第8空気式制御弁93及び第9空気式制御弁94の信号入力ポート93A,94Aに接続する第7流路71に、信号入力ポート93A,94Aに空気を充填した状態を維持するチェックバルブ72Aを設けたので、ブレーキバルブ58とブレーキチャンバー50側とを接続した状態を維持し、ブレーキチャンバー50側からブレーキバルブ58側に空気を排出することができる。このため、サービスブレーキを解除することができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記各実施形態では、保安ブレーキモジュール12の空気供給源をサスペンション用エアタンク22とし、メインモジュール11の空気供給源をブレーキ用エアタンク15として、空気供給源を異ならせた。しかしながら、保安ブレーキモジュール12の空気供給源とメインモジュール11の空気供給源とを同じとしてもよい。
・上記各実施形態では、空気供給システムを、後続車両101のブレーキシステムを構成するものとして説明したが、先頭車両100に搭載されていてもよい。
・上記各実施形態では、空気供給システムを、隊列走行を行う車両のブレーキシステムを構成するものとして説明したが、隊列走行を行わない車両のシステムとしてもよい。
・上記各実施形態では、空気供給システムは、荷台を備えるカーゴ車両に搭載されるものとして説明した。これ以外の態様として、空気供給システムは、乗用車、トラクタにトレーラを連結した連結車両、鉄道車両など、他の車両に搭載されてもよい。