JP6595239B2 - 建築土木構造物及び橋梁 - Google Patents
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Description
前記桁材は、ロ字状断面を呈する複数のFRP形材を上下複数段に積み重ね、互いに重なり合うFRP形材の外面同士を接着固定し、且つ最下段のFRP形材の下面に炭素繊維強化プラスチックからなる補強材を接着して形成され、
前記床スラブ材は、その上下面間にリブで仕切られた中空部が並設されたFRP形材により形成されており、
前記桁材を構成するFRP形材の中空部の軸方向に対して前記床スラブ材を構成するFRP形材の中空部の軸方向が略直交するように床スラブ材が向けられて桁材の上端に設置され、且つ両部材が固着手段により一体に固着された構成を有することを特徴とする。
桁材と床スラブ材を剛結する固着手段としては、例えばL字アングル材を用い、桁材と床スラブ材の交差部に添えたL字形アングル材を床スラブ材の下面と桁材の側面にリベットで留め付けて両部材を一体に固着することができる。
床スラブ材を構成するFRP形材は、その上下面間に配された複数の垂直なリブで内部が複数の中空部で仕切られた床パネル状のものを用いことができる。床スラブ材は、桁材上で複数枚の前記FRP形材を、互いに側端部同士を継ぎ合わせて並設することで、所定の床面積のものに構成することができる。
桁材と床スラブ材を構成するFRP形材は、ともに樹脂にガラス繊維を含ませた複合材料(GFRP)製のものを用いることが好ましい。
一方、上方からの加重を受けて桁材の下面には引張り方向の力が作用するため、桁材の下面に弾性率が高いピッチ系炭素繊維を含有する補強材が接着一体化してあることが好ましい。
例えば、炭素繊維と樹脂とを複合化する方法として、細かく切断した繊維をプラスチック中に均一に混入させる方法や、繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法などを挙げることができる。より具体的には、プラスチック中に炭素繊維を含浸させた薄いシート状の含浸体からなるプリプレグを作製しておき、このプリプレグを積層して加熱溶融一体化しなる構成の樹脂複合材を挙げることができる。
前記炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系)、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、或いはポリビニルアルコール系炭素繊維などの前駆体繊維を用いることができる。中でも、上方からの荷重を受けたときに発生する応力を低減して部材のたわみが小さく抑えられるようにするために、引張弾性率が高いピッチ系炭素繊維が好ましい。
また、マトリックス樹脂としては、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、メラミン、マレイミド、ポリイミド等の重合・硬化型やポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポミアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂のうちの一種類、或いはこれらのうちの二種類以上の混合樹脂を用いることができる。
また、桁材の上面に補強材を設ける場合も、前記と同様に、炭素繊維又はアラミド繊維と樹脂とを複合化する方法により形成された補強材を用い、これを桁材の上面に重ねて接着一体化することができる。中でも、上方から荷重を受けたときに圧縮応力を低減できるため、圧縮強度が高いアクリルニトリル重合体或いはその共重合体から得られるポリアクリロニトリル系炭素繊維(「PAN系炭素繊維」)が好ましい。
桁材の表面に重ね合せた補強材の接着や薄肉の補強材同士の接着は、例えばエポキシ樹脂系の接着剤を用いて行うことができる。
また、床スラブ材の上面に重量物が載ることで床スラブ材に作用する支圧荷重により床スラブ材が変形したり破損したりすることを防ぐため、床スラブ材の大きな支圧荷重が作用する部分、例えば複数の桁材で床スラブ材が支持されている場合の桁材と桁材の間のなどに沿って、床スラブ材をその中空部内に圧縮抵抗材を充填して補強することが好ましい。
桁材と床スラブ材の中空部内への圧縮抵抗材の充填は、必要とされる補強度合いに応じ、中空部の両端部間に亘る全体に充填したり、中空部の一側の端部や両端部など中空部内に部分的に充填されるようにしたりしてもよい。
桁材と床スラブ材を補強するための圧縮抵抗材としては、モルタル、好ましくは無収縮モルタルの使用が好適である。
例えば、床スラブ材の両端部とその間を複数本の桁材で支持して、拡幅歩道橋や跨線橋などの橋梁を構成することができる。
また、本発明によれば、高剛性の構造物を専用の加熱成形金型を使用することなく、標準品として量産されるFRP形材を組み合わせて所望の大きさ及び形態に形成することができるので、設計の自由度が増し、構造物全体の施工コストを低廉に抑えることが可能である。
また、床スラブ材3の上面に重量物が載ることで床スラブ材3に作用する支圧荷重による変形を防止するため、局所的に大きな支圧荷重がかかる部位のFRP形材31を、その中空部31d内全体に圧縮抵抗材5を充填して補強してもよい。
Claims (7)
- 躯体上に設置される桁材で床スラブ材を支持する建築土木構造物において、
前記桁材は、ロ字状断面を呈する複数のFRP形材を上下複数段に積み重ね、互いに重なり合うFRP形材の外面同士を接着固定し、且つ最下段のFRP形材の下面に炭素繊維強化プラスチックからなる補強材を接着して形成され、
前記床スラブ材は、その上下面間に複数のリブが垂直に配置されて内部が複数の中空部に仕切られた中空なFRP形材により形成されており、
前記桁材を構成するFRP形材の中空部の軸方向に対して前記床スラブ材を構成するFRP形材の中空部の軸方向が略直交するように床スラブ材が向けられて桁材の上端に設置され、且つ両部材が固着手段により一体に固着され、
前記桁材の前記躯体の支持部に重なる部分が、当該桁材を構成する各段のFRP形材の中空部内に圧縮抵抗材が充填されて補強された構成を有することを特徴とすることを特徴とする建築土木構造物。 - 桁材と床スラブ材の交差部に添えたL字形アングル材を床スラブ材の下面と桁材の側面にリベットで留め付けて両部材が固着された構成を有する請求項1に記載の建築土木構造物。
- 桁材を構成するFRP形材の中空部内の全体又は中空部内に部分的に補強用の圧縮抵抗材が充填された構成を有する請求項1又は2に記載の建築土木構造物。
- 床スラブ材を構成するFRP形材の中空部内の全体又は中空部内に部分的に補強用の圧縮抵抗材が充填された構成を有する請求項1から3の何れかに記載の建築土木構造物。
- 圧縮抵抗材はモルタルであることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の建築土木構造物。
- 互いに間隔を空けて配置された複数の桁材で床スラブ材が支持された構成を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の建築土木構造物。
- 請求項1〜6の何れかに記載の建築土木構造物を用いて構成された橋梁。
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