[ロングタームエボリューション(LTE)]
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化あるいは発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速下りリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンスト上りリンク(高速上りリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
しかしながら、より長期的には、さらに増加しつつあるユーザの需要に備え、新たな無線アクセス技術に対する競争力を備える必要がある。この課題に対応するべく、3GPPは、研究項目としてEvolved UTRAおよびUTRANに着手しており、これらの研究項目は、サービスのプロビジョニングおよびコスト削減の観点でさらに大きな前進を実現するための手段を研究することを目指している。この目標の基礎として、3GPPは、ロング・ターム・エボリューション(LTE)と称される新たな移動通信システムの一連の目標および要件を決定した。LTEは、今後の10年間にわたり、データおよびメディアの高速転送ならびに大容量の音声サポートに関する加入者およびネットワーク事業者のニーズを満足するように設計されている。
[LTEアーキテクチャ]
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示しており、図2は、E−UTRANのアーキテクチャをさらに詳しく示している。
E−UTRANは、eNodeBから構成されており、eNodeBは、ユーザ機器(UE)に向かうE−UTRAのユーザ・プレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端させる。eNodeB(eNB)は、物理層(PHY)、メディア・アクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層、およびパケット・データ制御プロトコル(PDCP)層(ユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含んでいる)をホストする。eNodeBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNodeBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、ネゴシエーションされた上りリンクのサービス品質(QoS)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザ・プレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号、下りリンク/上りリンクのユーザ・プレーン・パケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。eNodeBは、X2インターフェースによって互いに接続されている。
さらに、eNodeBは、S1インターフェースによってEPC(Evolved Packet Core)に接続されており、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)に接続されており、S1−Uによってサービング・ゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インターフェースは、MME/サービング・ゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。
SGWは、ユーザデータパケットのルーティングおよび転送を行う一方で、eNodeB間のハンドオーバ時にユーザ・プレーンのモビリティアンカ(mobility anchor)としての役割と、LTEとそれ以外の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカとしての役割も果たす(S4インターフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、そのユーザ機器への下りリンクデータが到着したとき下りリンクデータ経路を終端させ、ページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えば、IPベアラ・サービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザ・トラフィックの複製を実行する。
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドル・モードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラの有効化/無効化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コア・ネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証を確認し、ユーザ機器のローミング制限を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティ・キーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセス・ネットワークと2G/3Gのアクセス・ネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インターフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインターフェースを終端させる。
移動ノード(MN、またはユーザ機器(UE)とも称される)と無線アクセスとの間の制御シグナリングは、無線リソース制御(RRC)メッセージによって行われる。RRCプロトコルは、レイヤ3に設けられており、UEに固有のシグナリング、アイドル・モードのUEのページング、およびシステム情報のブロードキャストのための機能を提供する。さらに、RRC層は、上位層(例えば、NAS)の制御情報の正確な送信を保証するための再送信機能をサポートする。
図3は、例示的なLTEシステムのUEとMMEとの間の制御プレーンのプロトコル・スタックを示す。レイヤ2は、メディア・アクセス制御(MAC)と、無線リンク制御(RLC)と、パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)とに分けることができ、RLCサブレイヤおよびPDCPサブレイヤは、ネットワーク側のeNodeBにおいて終端される。NAS層は、UEおよびMMEにおいて終端される。RLC層がUEとeNodeBとの間の制御プレーンで提供するサービスは、シグナリング無線ベアラ(SRB)と称される。ユーザ・プレーンにおいては、RLC層によってUEとeNodeBとの間で提供されるサービスは、無線ベアラ(RB)またはデータ無線ベアラ(DRB)と称される。
とりわけ、上位層、すなわち非アクセス層(NAS)のメッセージは、ユーザ機器とeNodeBとの間のRRCメッセージによって(例えば、RRC直接情報転送(RRC Direct Information Transfer)メッセージを用いて)搬送される。非アクセス層は、UEとコア・ネットワーク(CN)との間で実行される機能層であり、RRCの上位に位置する。さらに、NASは、回線交換される音声およびデータに関する呼制御(CC)と、パケット交換されるデータに関するセッション管理(SM)と、移動管理(MM)と、パケット交換ドメインおよび回線交換ドメインのショート・メッセージ・サービス(SMS)とを目的とするプロトコルの機能グループである。NAS層が生成する制御メッセージは、NASメッセージと称される。例えば、そのようなメッセージは、移動管理、セッション管理、SMS転送、および呼管理を制御するために使用される。NASメッセージは、NASの転送をサポートするための機能およびプロトコルを含むアクセス層の層(レイヤ3−2−1、RRC、PDCP、RLC、MAC、PHY)を通じて透過的に転送される。
アクセス層は、アクセス技術に固有のプロトコルの機能グループ、この場合、RRC、PDCP、RLC、MAC、およびPHYである。アクセス層は、無線に関連する情報の転送をサポートするためのプロトコルと、UEとアクセス・ネットワークとの間の無線リソースの使用を調整するためのプロトコルと、アクセス・ネットワークによって提供されるリソースに対するサービング・ネットワーク(serving network)からのアクセスをサポートするプロトコルとを含む。アクセス層は、サービス・アクセス・ポイント(SAP)を通じて非アクセス層(CNに関連するシグナリングおよびサービス)にサービスを提供し、すなわち、UEとコア・ネットワークとの間のアクセス・リンクを提供し、このアクセス・リンクは、1つまたは複数の独立しており同時に存在できるUE−コア・ネットワーク無線アクセス・ベアラ・サービスと、UEおよびコア・ネットワークの上位層エンティティ間のただ1つのシグナリング接続とから構成される。
例えば、データを送信しなければならないときに、サービス要求手順によって、非アクセス層シグナリング接続がユーザ機器とMMEとの間で確立された後、ユーザ機器およびMMEは、CONNECTED状態となる。IDLE状態からCONNECTED状態への遷移を開始する最初の上りリンクの非アクセス層メッセージとしては、アタッチ要求、トラッキング・エリア更新要求、サービス要求(もしくは拡張サービス要求)、またはデタッチ要求がある。最初の非アクセス層メッセージを送信するために、ユーザ機器は、まず初めに、無線インターフェース(Uuインターフェース)を介してeNodeBへの無線リソース制御(RRC)接続を確立する。RRC接続を確立する間に、ユーザ機器とeNodeBとが同期され、非アクセス層メッセージを転送するために使用可能なシグナリング無線ベアラ(SRB)が確立される。これについては、後ほど図5を参照しながらより詳細に説明する。
図4は、UEと、eNodeBと、サービング・ゲートウェイと、PDNゲートウェイとの間のE−UTRANのユーザ・プレーンのプロトコル・スタックを開示している。プロトコル・スタックは、ネットワーク側のeNodeBにおいて終端されるPDCP(パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル)サブレイヤと、RLC(無線リンク制御)サブレイヤと、MAC(メディア・アクセス制御)サブレイヤとから構成されている。UEに関するIPパケットは、EPCに固有のプロトコルでカプセル化され、PDN−GWと、UEに送信するためのeNodeBとの間でトンネリングされる。
[EPS移動および接続管理状態]
移動端末(またはユーザ機器、UE)がネットワークにアタッチされるとき、UEは、いわゆるREGISTERED状態になり、すなわち、ネットワークおよびUEにおいて、EPS移動管理(EMM:EPS Mobility Management)コンテキストが確立されており、デフォルトのEPSベアラ・コンテキストが有効化されている。UEが移動通信ネットワークに対してREGISTERED状態である(登録されている)とき、UEは、2つの異なる接続管理状態、すなわち、IDLE状態およびCONNECTED状態になり得る。UEがオフにされているか、またはUEが移動通信ネットワークにアタッチされていないとき、UEは、DEREGISTERED状態である。DEREGISTERED状態においては、EMMコンテキストが存在せず、MMEがUEの位置を把握しておらず、したがって、MMEはUEに到達することができない。
送信するデータがなく、無線リソースが解放されているが、UEが有効なIP構成を引き続き保持しているとき、UEはIDLE状態にある。IDLE状態のUEは、eNBとの無線の関連付け(すなわち、無線リソース接続、RRC)がなく、したがって、いかなるシグナリング無線ベアラもデータ無線ベアラも存在しない。さらに、UEとネットワークとの間の(例えば、MMEへの)非アクセス層(NAS)シグナリング接続が存在せず、eNBとSGWとの間のS1−U接続も存在しない。
UEがCONNECTED状態にあり、UEが、特定の期間、データを送信/受信していないことをネットワーク(通常はeNB)が検出したとき、ネットワーク(通常はeNB)は、無線リソースおよびS1接続を解放すると判断する。その結果、UEは、CONNECTED状態からIDLE状態に遷移する。さらに、MMEは、UEについてのそのMMEの内部状態をIDLEに変更し、eNBへのS1−U接続を解放するようにSGWに通知する。
上りリンクまたは下りリンク・データまたはシグナリング(例えば、アクティブ・フラグ(active flag)を伴うTAU手順によるNASシグナリング)をUEとネットワークとの間で交換する必要があるとき、UEおよびMMEは、CONNECTED状態になることとなる。アクティブ・フラグを伴わないTAU手順の場合は、UEが、CONNECTED状態にならずに単一のNASメッセージの送信と受信とをそれぞれ行うことがあり得る。CONNECTED状態に遷移するために、UE、まず初めに、Uuインターフェースを介してeNBへの無線リソース制御(RRC)接続を確立する必要がある。RRC接続を確立する間に、UEとeNBとが同期され、NASメッセージならびに上りリンク・データおよび下りリンク・データを転送するために使用可能なシグナリング無線ベアラ(SRB)およびデータ無線ベアラ(DRB)が確立される。
上述のIDLE状態およびCONNECTED状態は、NAS層状態図に関連している。一方、AS層においても、IDLE状態およびCONNECTED状態が定義されている。ASのIDLE状態およびCONNECTED状態は、NASのIDLE状態およびCONNECTED状態と似ているものの、完全には一致しておらず、すなわち、RRC接続が確立される場合、ASの状態はCONNECTEDになり、そうではなく、RRC接続が解放される場合、ASの状態はIDLEになる。ASの状態がCONNECTEDであるとき、NASの状態も必ずCONNECTEDであるとは限らない(例えば、アクティブ・フラグを伴わないTAU手順の場合)。RRC接続の確立、ひいては、AS CONNECTED状態への遷移は、UEのみが「RRCConnectionRequest」メッセージを送信することができるときに、UEによって開始される。UEは、上りリンク・データもしくは上りリンク・シグナリングが利用可能になるか、または下りリンク・データもしくは下りリンク・シグナリングを受信するためにネットワークからページングされるかのどちらかの理由でRRC接続の確立を開始する。以下に、これら2つの場合について詳細を示す。
− UEは、送信すべき上りリンク・データまたは上りリンクESM NASシグナリングを有する場合、NASサービス要求手順(技術規格TS23.401に記載されており、この技術規格TS23.401は参照により本明細書に援用される)を開始する。UEは、サービス要求メッセージを生成し、対応するRRC接続を確立するようにASをトリガする。「RRCConnectionRequest」メッセージでeNBに送信されるRRC確立理由は、「mo−Data」(移動体発信データ(mobile originated-data)(UEが上りリンク・データを送信したいことを意味する))または「mo−Signaling」(移動体発信シグナリング(mobile originated-signalling)(UEが上りリンク・シグナリングを送信したいことを意味する))に設定される。
− ネットワークは、UEへの下りリンク・データまたは下りリンクNASシグナリングを有する場合、ページング手順(技術仕様TS36.413およびTS36.331に記載されており、これらの技術規格TS36.413およびTS36.331は参照により本明細書に援用される)を開始する。UEは、ページングを受信するとき、MMEへのサービス要求メッセージを生成することによりNASサービス要求手順を開始する。サービス要求メッセージは、eNBとのRRC接続を確立するようにAS層をトリガする。RRC確立理由は、移動体終端(Mobile Terminated)アクセスを意味する「mt−Access」に設定され、すなわち、移動体終端通信が設定されることとなる。
LTE/SAEのNAS移動管理(MM)およびセッション管理(SM)シグナリングは、通常、EMM(EPS MM)およびESM(EPS SM)シグナリングと称される。対照的に、UTRAN/UMTSでは、UEとSGSNとの間のNASシグナリングは、GPRS移動管理(GMM)およびGPRSセッション管理(GSM(登録商標))シグナリングと称される。本発明の一部の態様では、SAE/LTEシステムとUTRAN/UMTSシステムとの間の違いに注意することが重要であるので、GMM/GSM(登録商標)に対するEMM/ESMの用語を導入する。ページング・メッセージ内の「PS」(パケット交換ドメイン)または「CS」(パケット交換ドメイン)の指示に応じて、UEは、NAS接続を確立するために、サービス要求メッセージか、または拡張サービス要求メッセージかのどちらかを送信し得る。以下に、技術仕様TS24.301の8.2.15章による拡張サービス要求メッセージのフォーマットおよび内容を示す。
[RRC]
RRCプロトコルは、NAS情報の転送をサポートする。加えて、RRC_IDLE状態のUEに関して、RRCは、呼の到着をネットワークから通知することをサポートする。RRC接続制御は、ページング、最初のセキュリティの有効化、シグナリング無線ベアラの確立、およびユーザ・データを搬送する無線ベアラ(データ無線ベアラ)の確立を含む、RRC接続の確立、修正、および解放に関するすべての手順を包含する。
個別RRCメッセージは、シグナリング無線ベアラを介して転送され、これらのシグナリング無線ベアラは、PDCP層およびRLC層を介して論理チャネル(共通制御チャネル(CCCH)(接続の確立中の場合)か、または個別制御チャネル(DCCH)(RRC_CONNECTED状態の場合)かのどちらか)にマッピングされる。システム情報およびページング・メッセージは、論理チャネルであるブロードキャスト制御チャネル(BCCH)およびページング制御チャネル(PCCH)にそれぞれ直接マッピングされる。
SRB1とSRB2との主な違いは、eNBにおける優先処理にあり、すなわち、SRB2を介して送信されたRRCメッセージの方が、SRB1を介して送信されたRRCメッセージよりも優先度が低い。通常、NASトランスポート・メッセージはSRB2を介して(上りリンク/下りリンク情報転送メッセージとして)搬送されるが、最初のNASメッセージ、例えば、サービス要求については、SRB1を介して搬送されるRRCメッセージにピギーバックされ得る。SRB1を介したRRCメッセージがRRC層の制御情報を含む一方、SRB2を介したRRCメッセージはNASメッセージに関するトランスポート・メッセージのようなものであることに留意されたい。
SRB0は、CCCHを使用するRRCメッセージのために使用され、SRB1は、DCCHを使用するRRCメッセージ用であり、SRB2は、NAS個別情報(NAS dedicated information)のみを含む、DCCHを使用する(優先度の低い)RRCメッセージ用である。SRB2が確立される前は、SRB1が、NAS個別情報のみを含むRRCメッセージのためにやはり使用される。加えて、SRB1は、NAS個別情報のみを含む優先度の高いRRCメッセージのために使用される。
DCCHを使用するすべてのRRCメッセージは、(セキュリティが有効化された後は)PDCP層によって完全性を保護され、暗号化される。CCCHを使用するRRCメッセージは、完全性を保護されない。
図5は、最初のセキュリティの有効化も含めて、シグナリング無線ベアラSRB0、1、および2のRRC接続確立手順を示すシグナリング図である。RRC接続の確立は、SRB1を確立し、最初の上りリンクNASメッセージを転送することを含む。このNASメッセージが、S1接続の確立をトリガし、通常は、このS1接続の確立によって、E−UTRANがASセキュリティを有効化し、SRB2と、(デフォルトの個別EPSベアラおよび任意の個別EPSベアラに対応する)1つまたは複数のDRBとを確立する後続のステップを引き起こす。
特に、UEの上位層(例えば、NAS)が、(例えば、ページングに応答して)接続の確立をトリガする。UEは、アクセスが禁じられているか否かを調べる。禁じられていない場合、UEの下位層がランダム・アクセス手順を実行し、UEがタイマ(T300として知られている)を開始し、RRCConnectionRequestメッセージを送信する。このメッセージは、初期ID(S−TMSIまたは乱数)および確立理由を含む。
E−UTRANは、接続を受け入れる場合、SRB1を含む初期無線リソース構成を含むRRCConnectionSetupメッセージを返す。それぞれの個々のパラメータをシグナリングする代わりに、E−UTRANは、デフォルト構成、すなわち、パラメータ値がRRCの仕様で規定されている構成を提供するようにUEに命じることができる。
UEは、RRCConnectionSetupCompleteメッセージを返し、NASメッセージと、(ネットワーク共有をサポートするために使用される)選択されたPLMNの識別子と、上位層が提供する場合には、登録されたMMEの識別子とを含める。最後の2つのパラメータに基づいて、eNodeBは、そのeNodeBがS1接続を確立すべきコア・ネットワーク・ノードを決定する。NASサービス要求または拡張サービス要求メッセージが、RRCConnectionSetupCompleteメッセージに含められる。
eNodeBとMMEとの間の初期コンテキスト設定手順は、E−RABコンテキスト、セキュリティ・キー、ハンドオーバ制限リスト、UE無線機能(UE Radio capability)、およびUEセキュリティ機能(UE Security Capabilities)などを含む必要とされる全体的な初期UEコンテキストを確立することを目的としている。この手順は、UEに関連するシグナリングを使用する。
E−UTRANは、完全性の保護と暗号化とを有効化するためのSecurityModeCommandメッセージを送信する。このメッセージは、完全性を保護されているが、暗号化はされておらず、どのアルゴリズムが使用されることになるのかを示す。
UEは、SecurityModeCommandメッセージの完全性の保護を検証し、この検証が成功する場合、すべての後続のメッセージに完全性の保護と暗号化とを適用するように下位層を構成する(例外として、暗号化は、応答メッセージ、すなわち、SecurityModeComplete(または、SecurityModeFailure)メッセージには適用されない)。
E−UTRANは、SRB2および1つまたは複数のDRBを確立するために使用される無線リソース構成を含むRRCConnectionReconfigurationメッセージを送信する。さらに、このメッセージは、ピギーバックされるNASメッセージまたは測定の構成などの情報を含む可能性がある。E−UTRANは、SecurityModeCompleteメッセージを受信する前にRRCConnectionReconfigurationメッセージを送信する可能性がある。この場合、E−UTRANは、一方の(または両方の)手順が失敗するとき、接続を解放するべきである。
最後に、UEは、RRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージを返す。
図5は、RRCConnectionSetupCompleteメッセージおよびS1−APメッセージを使用する、MMEに送信されるNASサービス要求またはNAS拡張サービス要求メッセージの送信も開示する。ユーザ機器は、技術仕様TS24.301の5.6.1節に記載のタイマT3417またはT3417extを開始する。ユーザ機器は、それに応じてアクセス層から指示が受信されるときに、これらのタイマT3417またはT3417extを停止する。例えば、ユーザ機器は、タイマT3417を停止するための、ユーザ・プレーンに関するベアラの確立の指示をアクセス層から受信することになる。タイマT3417extを停止するために、ユーザ機器は、アクセス層からシステム変更の指示を受信することになる。
[ページング]
E−UTRANからページング・メッセージを受信するために、アイドル・モードのUEは、ページングを指示するために使用されるRNTI(radio network temporary identity:無線ネットワーク一時ID)値、すなわち、P−RNTIに関してPDCCHチャネルを監視する。UEは、特定のUEに固有の機会にのみPDCCHチャネルを監視する必要がある。それ以外のときは、UEは、DRX(間欠受信)を適用することができ、つまり、UEは、バッテリーの電力を節約するためにそのUEの受信機をオフにすることができる。
アイドル・モードのUEへの接続を再確立するために、MMEは、UEが位置すると予想されるトラッキング・エリアに基づいて、関連するeNodeBにページング要求を配信する。ページング要求メッセージを受信するとき、eNodeBは、そのメッセージで与えられたトラッキング・エリアのうちの1つに含まれるセルの無線インターフェースを介して呼び出しを送信する。通常、UEは、そのUEのSAW−一時移動体加入者ID(S−TMSI:SAW-Temporary Mobile Subscriber Identity)を用いてページングされる。
MMEからeNodeBに送信されるページング要求メッセージは、技術仕様TS36.413の9.1.6章(これは参照により本明細書に援用される)において以下のように定義されている。
eNodeBからユーザ機器に送信されるページング・メッセージは、技術仕様36.331(これは参照により本明細書に援用される)で定義されている。
[ショート・メッセージ・サービス(SMS)]
ショート・メッセージ・サービス(SMS)は、GSM(登録商標)の標準化が開始された際は、ユーザ機器の構成と、(例えば、新しい価格または新しい料金プランを知らせる)情報サービスとのためにネットワーク事業者からUEにショート・メッセージを送信するためのメカニズムとなることを目的としていた。後に、ショート・メッセージ・サービスは、蓄積交換型のサービスであるので、ユーザ間のメッセージ(移動体間のテキスト・メッセージ)を搬送するように規定された。最大のSMSのサイズは、当時存在していたシグナリング・フォーマットに合わせるために140バイトまで、または7ビット文字で160文字までと規定されている。より大きな内容は、連結されたSMSで送信可能であり、連結されたSMSにおいては、それぞれのSMSが、セグメンテーション情報を含むユーザ・データ・ヘッダ(UDH)で始まる。UDHはペイロードの一部であるため、セグメントごとに利用可能な文字数はより少なく、7ビット符号化に関して153文字である(160文字ではない)。
図12Aは、移動体通信ネットワークでSMSを転送するためのアーキテクチャを示す。簡単にするために、SM−SC、SMS−GMSC、およびSMS−IWMSCは同じ筐体に実装される可能性があり、SM−SCと称される可能性がある。SMサービスは、回線交換サービスであると考えられ、したがって、SMSは、SM−SCから、回線交換ドメインの移動通信交換局(MSC:Mobile Switching Center)に届けられる。
2種類のSMS、すなわち、移動体発信型(MO、ユーザからネットワークに上りリンクで送信される)と、移動体終端型(MT、ネットワークからユーザに下りリンクで送信される)とが規定されている。
SMS通信のプロトコル階層モデルが、図13に示されており、以降で説明される。この図で使用されている略語「SM」は、「ショート・メッセージ」を意味する。
図13は、主に、MME/SGSNにおいてSMSをネイティブでサポートするためのプロトコル・スタックを開示していることに留意されたい。言い換えると、「SMSオーバーSGs(SMS over SGs)」を用いたSMS通信のプロトコル階層モデルは示されておらず、図13のプロトコル階層モデルとは異なる。
図13において、図示されたSM−SCノードは、図12Aおよび12Bに既に示されたように、機能エンティティであるSMSゲートウェイMSC(SMS−GMSC)およびSMS網間接続MSC(SMS−IWMSC:SMS Interworking MSC)を実装し得る。SMS−GMSCは、例えば、MT−SMSのためにサービングMSC/SGSNに接続するために使用され、すなわち、SMS−GMSCが、MSC/SGSNへのMT TPDUを含むMAPメッセージを送信する(そのようなMAPメッセージは、TPDUを搬送するMAP_MT_FORWARD_SHORT_MESSAGE、または略して「mt−ForwardSM(TPDU)」と称される)。SMS−IWMSCは、例えば、MO−SMSのためにサービングMSC/SGSNに接続するために使用され、すなわち、サービングMSC/SGSNが、SMS−IWMSCへのMO TPDUを含むMAPメッセージ(TPDUを搬送するMAP_MO_FORWARD_SHORT_MESSAGE、または略して「mo−ForwardSM(TPDU)」)を送信する。
図13に示されたSMSプロトコル・エンティティ(例えば、SMRエンティティおよびSMCエンティティ)の実装は、例であることに留意されたい。3GPP以外の将来の1つのシステムまたは複数のシステムにおいては、SMSの機能エンティティの実装は、図示されたSMSの機能エンティティとは異なり、物理ノードで行われる可能性がある。
MT−SMSに関して言えば、SM−SCは、ショート・メッセージ転送層(SM−TL)において送信のためのMT−SMSを準備する。SM−TLメッセージ(TPDU:Transfer Packet Data Unit、転送パケット・データ単位)が、ショート・メッセージ中継層(SM−RL)のショート・メッセージ中継(SMR)エンティティで受信される。SM−RL層のパケット・データ単位(PDU)は、RPDU(中継層PDU)と称される。MT−SMS自体は、RP−DATA RPDUにカプセル化され、対応するACK(acknowledgement)またはエラー・メッセージは、RP−ACKまたはRP−ERRORと称される。結果として、3種類のRPDUが存在することとなる。
SM−TPプロトコルおよびSM−RPプロトコルは、ネットワーク側のSM−SCおよびMSC/MMEとUEとで対応するように実装される。したがって、中継プロトコルを実装するSMRエンティティは、MSC/MMEおよびUEで実装され、それらの間でRPDUを交換する。
回線交換ドメインでのSMSの典型的な送信の場合、SM−SCは、通常、MAP/SS7シグナリングによってMSCに接続され、MSCはSGSN/MMEに接続される。後で説明するように、将来は、さらに、または代替的に、UEがパケット交換ドメインにのみアタッチされるときのSMSの送信のために、SM−SCとSGSN/MMEとの間に直接的なインターフェースが設けられることになる。SS7シグナリングは、SM−SCとSGSN/MMEとの間でTPDUを搬送するために使用されるMAPプロトコルの一部である。実際は、SS7シグナリングは、SM−SCと移動通信交換局(MSC)との間で使用される。SM−SCとSGSNまたはMMEとの間の直接的なインターフェースを介したシグナリングは、MAP/SS7シグナリングか、またはDIAMETERのようなIPに固有のプロトコルかのどちらかに基づく可能性がある。
例えば、MAPプロトコルまたはDIAMETERプロトコルでカプセル化されたTPDUがサービングMSC/SGSN/MMEに到着するとき、TPDUは、MSC/SGSN/MMEの内部でSMRエンティティに転送され、さらには、接続管理(CM)サブレイヤにおいてUEおよびSGSN/MMEで終端されるショート・メッセージ制御プロトコル(SM−CP)の一部であるSMCエンティティに転送される。このサブレイヤのプロトコル・エンティティは、SMC(ショート・メッセージ制御)エンティティと称される。このサブレイヤで交換されるPDUは、CPDUと称され、CP−DATA、CP−ACK、およびCP−ERRORのうちの1つである可能性がある。CP−DATA PDUは、SMRエンティティで生成されたRPDUを搬送する。CMサブレイヤは、NAS層の一部であると見なされ得る。CMサブレイヤは、NAS移動管理(MM)サブレイヤのサービスを使用する。3GPP移動通信システムに応じて、MMサブレイヤは、GMM(GPRS MM)またはEMM(EPS MM)と称される。図14は、CPDUおよびRPDUの交換に関する、UEとSM−SCとの間の移動体発信(MO)SMSの例示的なシグナリング・フローを示している。UEは、初め、IDLEモードであるものとする。UEのSMRエンティティがRP−DATA RPDUを生成するとき、SMRエンティティは、SGSN/MMEへのCMシグナリング(すなわち、NAS)接続を確立するようにSMCエンティティをトリガする。
UEとMMEとの間のNAS MM接続、およびUEとeNBとの間のRRC接続を確立するために、UEは、NASサービス要求メッセージをMMEに送信する。さらに、UEのNAS層が、RRC接続を確立するようにRRC層に要求する。RRC接続が確立され、サービス要求が送信された後、通常、(1つまたは複数の)データ無線ベアラが確立され、RRC層が、NAS MM接続が確立されていることをNAS層に示す。その後、NAS MM層が、確立されたNAS MM接続についてSMCエンティティに通知し、SMCエンティティが、CPDUを送受信することができる。
NASシグナリング接続が確立された後、SMCエンティティは、RP−DATAを含むCPDU CP−DATAをSGSN/MMEのSMCエンティティに送信する。SMCエンティティは、RP−DATAをSMRエンティティに転送し、SMRエンティティは、そのRP−DATAをTPDUにカプセル化する。内部転送の後、SGSN/MMEのMAPエンティティが、TPDUでカプセル化されたRP−DATAをmo−ForwardSM(TPDU)としてSM−SCのMAPエンティティに転送する。
SGSN/MMEのSMCエンティティは、CP−ACKメッセージによってCP−DATAの受信に肯定応答(acknowledge)する。SGSN/MMEのSMCエンティティがSMRエンティティからRPDU(例えば、RP−ACK)を受信するとき、SMCエンティティは、RPDUを含むCP−DATA CPDUを生成し、そのCP−DATA CPDUをUEのSMCエンティティに送信する。(UEとMMEとの両方の)SMRエンティティがもはや送信すべきRPDUを持たないとき、SMRエンティティは、解放要求(Rel Req)を送信することによって、CMシグナリング接続がもはや必要ないことをSMCエンティティに通知する。言い換えると、CM接続の解放(結果としてNAS MM接続を解放し得る)は、SM−RLによって制御される(ただし、エラー状態の場合は例外である)。
より詳細に言えば、MME/SGSNのSMCエンティティが、SMRエンティティからのRel Reqと、UEからの最後のCP−ACKとを両方とも受信するとき、SMCエンティティは、NAS MM接続の解放を開始するようにMMエンティティをトリガする。そのために、MME/SGSNのMMエンティティは、eNBにUEコンテキスト解放命令を送信する。その結果、MMEのMMエンティティが、そのUEに関してIDLE状態に遷移する(ただし、そのUEに関するEMMおよびESMコンテキストは維持する)。一方で、eNBは、UEコンテキストを削除し、UEに「RRC接続解放」メッセージを送信する。このメッセージを受信した後、UEのRRC層は、RRC接続が解放されたことをNAS層に示し、NAS層は、IDLE状態に遷移する。
図15に示すように、同様のシグナリング手順が、移動体終端(MT)SMSに関して実行される。この場合、最初のMT−SMSが、SM−SCからUEに転送されるTPDUにカプセル化される。TPDUを搬送するmt−FSMがSGSN/MMEに到着するとき、メッセージは、内部で処理され、SMRエンティティおよびSMCエンティティに転送され、SMCエンティティが、NAS MMシグナリング接続の確立をトリガする。上記目的のために、SGSN/MMEが、UEをページングし、UEは、サービス要求メッセージによって応答してサービス要求手順を開始する。NAS MM接続が確立されると、SGSN/MMEのSMCエンティティが、SMR層のRP−DATAを含むCP−DATA CPDUをUEに送信することができる。UEのSMCエンティティは、CP−DATAメッセージを処理し、RP−DATAをSMRエンティティに転送する。そして、SMCエンティティが、対応するCP−ACKメッセージをSGSN/MMEに送信する。
UEのSMRエンティティが、RP−ACKメッセージを下層のSMCエンティティに送信し、すると今度は、SMCエンティティが、RP−ACKをCP−DATA CPDUに入れ、そのCP−DATA CPDUをSGSN/MMEのSMCエンティティに送信する。UEおよび/またはMMEのSMRエンティティは、送信すべきRPDUをもはや持たないとき、そのSMRエンティティに対応するSMCエンティティに解放要求メッセージを送信して、CM接続がもはや必要ないことをそのSMCエンティティに知らせる。
図16は、MO SMSおよびMT SMSに関する図14および図15のシグナリング図をより包括的に示す。特に、上部に、MO SMSに関するシグナリング手順を示し、下部に、MT SMSに関するシグナリング手順を示す。
[パケット交換ドメインにおけるSMS送信]
ほとんどの場合、音声サービスおよびIPサービスを使用する現在のUEは、回線交換サービスとパケット交換サービスとの両方のために移動通信ネットワークにアタッチされる。移動通信ネットワーク(例えば、UTRAN)は、回線交換サービスおよびパケット交換サービスを同時にサポートすることができ、したがって、移動ノードは、やはり、回線交換サービスとパケット交換サービスとのどちらかまたは両方のためにUTRANにアタッチする可能性がある。E−UTRANは、特に、パケット交換サービスのみをサポートするように設計されており、したがって、E−UTRAN内のUEは、回線交換サービスにアタッチすることができない。それにもかかわらず、LTEネットワーク内のUEについても、以下に説明するように、SMSの配信が可能である。
3GPPの用語では、UEが「EPS/IMSIアタッチされる(EPS/IMSI attached)」(LTE/SAEシステムの用語として使用される)、または「GPRS/IMSIアタッチされる(GPRS/IMSI attached)」(GSM(登録商標)/UMTSシステムの用語として使用される)と言われる。用語IMSIは、CSサービスに関連し、用語EPSおよびGPRSは、PSサービスに関連する。概して、CSサービスのために使用されるネットワーク・ノードまたはエンティティと、それらに対応するインターフェースとは、CSドメインに属すると言われ、それに応じて、PSサービスのために使用されるネットワーク・ノードまたはエンティティと、それらに対応するインターフェースとは、PSドメインに属すると言われる。
図12Bは、例示的なシステム・アーキテクチャと、SMS送信に関与するエンティティ間のインターフェースとを開示しており、図12Bに示されたアーキテクチャの方が、図12Aのアーキテクチャよりも新しい。UEがLTEアクセスによってMMEに接続されるとき、SM−SCとMMEとの間でSGdインターフェース(SM−SCとSGSNとの間の既存のインターフェースGdに倣ってSGdと呼ばれる)を介してSMSを直接転送することを可能にする機能である「ネイティブSMS−in−MME(native SMS-in-MME)」が指定されることになる。SM−SCとMMEとの間のSGdインターフェースを設定することは既に合意されているが、そのようなインターフェースは、現在、最終的に規格で定義されていない唯一のインターフェースであり、そのため、名称「SGd」は、図12Bにおいて引用符付きで示してあり、SMS−SCとMMEとの間のインターフェースは、規格によって異なる名称が与えられる可能性がある。
SMSの送信は、UEがGERAN(2Gとも称される)またはUTRAN(3Gとも称される)を介してSGSNに登録されるとき、2つの異なる方法、通常は、PSドメイン(すなわち、Gdインターフェースを介したSMS)か、CSドメイン(すなわち、DインターフェースおよびMSCエンティティを介したSMS)かのどちらかで実行され得る。図25〜28は、CSドメインおよび/またはPSドメインを含む、SMS配信のためのあり得るさまざまな経路を大まかに示す。図27および28は、UEがGERANおよびUTRANを介してSGSNに登録される特定の場合を示す。
PSドメインのSMS(SMSオーバーGdインターフェース(SMS over Gd interface)とも称される):SGSNが、Gdインターフェースを介してSMS−SCとSGSNとの間でネイティブのSMS送信が可能となるように、SM−RPプロトコルおよびSM−CPプロトコルのSMSプロトコル・スタックを実装する。この文脈においては、ネイティブのSMS送信とは、UEがアタッチされているサービング・ノードが、RP−DATA PDUおよびCP−DATA PDUを形成するためのSMSプロトコルであるSM−RPおよびSM−CPをサポートすることを意味する。それに対応して、SMS−SCは、SM−TPプロトコルを使用してGdインターフェースを介してSGSNにSMSを送信し、すると今度は、SGSNが、SM−CPプロトコルおよびSM−RPプロトコルを用いてGbまたはIupsインターフェースを介してそれぞれGERANまたはUTRANアクセスのUEにSMSを転送することができる。これが、図27に示されており、「ネイティブSMS−in−SGSN(native-SMS-in-SGSN)」配信と称される可能性がある。さらに、図27は、SMS−SCからMT SMSを受信したときに、UEがSGSNによってどのようにページングされるかを破線で示している。
移動ノードがLTEネットワーク内にあるとき、SMSは、「新たな」SGdインターフェースを介してSMS−SCとMMEとの間で送信され、SM−CPプロトコルおよびSM−RPプロトコルを用いてS1インターフェースを介してMMEからUEに送信され得る。これが、図26に示されており、「ネイティブSMS−in−MME」配信と称される可能性がある。さらに、図26は、MMEでSMS−SCからMT SMSを受信したときに、UEがMMEによってどのようにページングされるかを破線で示している。
その結果、SMSは、図26および27においてはPSドメインのエンティティのみを使用してコア・ネットワーク内で配信されており、CSドメインは使用されていない。そのような場合、UEはMSISDN番号を持っている必要がないことに留意されたい。したがって、MO SMSおよびMT SMSは、MSISDN識別子が存在することなしにコア・ネットワーク内でルーティング(および場合によっては格納)可能であり、その代わりに、別のUE識別子、例えばIMSIが使用され得る。
最近の3GPPの活動で、SGSNが、NAS GMM受容メッセージで「SMSサポート(SMS supported)」フラグを送信することによって「PSのみ(PS only)」のSMSをサポートすることをUEに通知することが規定された。これは主にMO SMSの送信に関して実行され、UEは、MO SMSがSGSNサービング・ノードを介して送信され得る(すなわち、SMS送信のためにMSCに接続する必要がない)ことが分かっている。さらに、SGSNからのこのNAS GMMの「SMSサポート」の指示は、MT SMSがSGSNからUEに直接送信され得ることをUEに示す。さらに、PSドメインのサービスのみを受け、NASをベースとするSMSに対応したUEは、アタッチ/RAU複合(combined Attach/RAU)手順の間に、SGSNに「SMSのみ(SMS-only)」と通知することに留意されたい。
CSドメインのSMS:概して、CSドメインにおけるSMSの転送は、MSCサーバを用いて実現可能であり、そのとき、MSCサーバは、それぞれUTRANまたはGERANでUEにSMSを送信することができる。これが、図28に示されており、SMSは、CSドメインのみで配信され、したがって、「SMSオーバーCS(SMS-over-CS)」と称される可能性がある。SMS−SCは、MT SMSを受信するとき、そのMT SMSを、Dインターフェースを介してMSCサーバに転送する。UEは、ページングを受信するとき、CSドメインに切り替わることができる(すなわち、UEは、MSCに登録する)。そのとき、MSCサーバは、SMS CP/RPプロトコルによってSMSをUEに直接送信することができる(図28参照)。さらに、図28は、MT SMSがMSCに到着し、UEがSGSNに登録されているときのあり得るページング経路を示す。ページングは、したがって、MSCがページング・メッセージを生成し、UTRANネットワーク内にブロードキャストされるようにそのページング・メッセージをSGSNに転送するように、Gsインターフェースを介して行われ得る。代替的に、MSCが、GERANおよびUTRANで直接ページングを行う可能性がある。SMSの転送が、MSCからSGSNにGsインターフェースを介して行われることはあり得ないことに留意されたい。
PS+CS複合ドメインのSMS:SMSが、MSCサーバを経由し、MAPプロトコルを使用してSGsインターフェースを介してMMEと交換される場合も、MSCサーバ(ひいては回線交換ドメイン)が関与する。この場合、LTEネットワーク内に位置するUEは、SMSを転送するSM−CP PDUをカプセル化するNASプロトコルを使用してS1インターフェースを介してMMEからSMSを受信する。図25は、このSMS配信を示しており、このSMS配信は「SMSオーバーSGs」と称される可能性がある。さらに、図25は、破線によりページングを示しており、SMS−SCからMT SMSを受信すると、MSCは、SGsインターフェースを介してMMEにページングを送信する。すると今度は、MMEが、そのMMEのネットワーク内でUEをページングする。
MMEに登録されたUEに関しては、SGsインターフェースを介したSMSの交換(すなわち、規格のリリース9で規定された、MSCからの「SMSオーバーSGs」)と、(規格のリリース11で規定された、SM−SCから直接の)「ネイティブSMS−in−MME」機能を使用することとの間に違いがないことに留意されたい。
MMEは、SMC機能およびSMR機能を含むSMS手順と、「SMSのみ」の場合の通常のEPS/IMSI複合(combined EPS/IMSI)手順とをサポートすることになる。加えて、MMEは、
・ ブロードキャストされないLAI(ロケーション・エリアID)をUEに提供し(このLAIは、正しくCS+PS複合アタッチされる(combined CS+PS attached)ためにUEで必要とされる)、
・ アタッチ/TAU受容メッセージで、IMSIアタッチが「SMSのみ」のためであることを示し、
・ MMEがMSCとのSGs関連付けを確立することを必要とせずにSMSを転送することができることをHSSに通知する。
PSのみでアタッチされたUEが2G/3G(すなわち、GERAN/UTRAN)アクセスを介してSGSNに接続されているときは、SMS送信に関して以下の規定がある。
・ SGSNとHSS/HLRとの間のインターフェースに関し、
○ PSドメインのNASを介したSMSサービスのサポートは任意であり、HSSへの加入、SGSNのサポート、およびUEの指示に依存する。
○ 加入者データがCSへの加入を含まない場合、HSSは、SGSNに「PSのみ強制実施(PS-only-enforced)」を指示し、SGSNは、GMM複合(combined GMM)手順を実行せず、Gs関連付けを確立しない。
○ HSSがSGSNに「PSのみ有効(PS-only-enabled)」を指示し、SGSNがNASをベースとするSMSをサポートする場合、SGSNは、Gs関連付けを確立しない。
・ SGSNとUEとの間のインターフェースに関し、
○ PSドメインのサービスのみを受けており、NASをベースとするSMSに対応しているUEは、アタッチ/RAU複合手順の間にSGSNに「SMSのみ」と通知する。
○ SGSNは、アタッチ/RAU手順の間にUEに「SMSサポート」と通知する。PSドメインのサービスのみを受けており、NASをベースとするSMSに対応しているUEは、「SMSサポート」を受信するとき、IMSIアタッチ/LAU手順を実行すべきでない。
要約すると、どのエンティティがネイティブのSMS交換機能をサポートするかに関して4つの異なるケースが特定可能であり、異なるノードに実装されたSMS機能と、実際に使用されるネットワーク構成とに依存して、SMSがネットワーク・アーキテクチャの中で送信され得る方法に影響を与える。
「SMS in SGSN」および「SMS in MME」という表現は、SGSNおよびMMEがSM−RPプロトコルおよびSM−CPプロトコルを実装すること、すなわち、SMSのネイティブの送信がサポートされることを意味する。
図25〜28は、どの場合にどのSMSの交換経路を取り得るのかを示すために、異なるケースの印が付されている。例えば、図25による交換経路は、実際にはすべてのケースであり得る。SGSNおよびMMEがSM−CP/RPプロトコルを実装するケースAでは、図25〜28の経路のすべてがあり得る。実際にどの経路が使用されるかは、例えば、ネットワーク構成と、UEの位置とに依存する。より詳細に言えば、HSS/HLRが、SMS配信のためにUEにサービスを提供することになるエンティティ、例えば、MSC、MME、またはSGSNを格納する。それに対応して、SMSがSMS−SCに到着するとき、SMS−SCは、HSS/HLRと通信して、移動ノードのためのSMSサービング・ノードを知る。したがって、UEがLTEネットワーク内にあると仮定して、MMEがネイティブのSMS交換に対応している(すなわち、対応するSM−CP/RPプロトコルを備える)可能性があっても、ネットワーク構成は、HSSがSMS−SCにMSCについて通知するようになっており、この場合、MMEのこのネイティブのSMS機能は活用されず、したがって、SMSは、SGdインターフェースを介してMMEに直接送信されない。その代わりに、SMS−SCは、UEに関連するMSCのアドレスを知り、上述のように(図25参照)、SMSを、さらに転送されるように、Dインターフェースを介してMSCに送信する。
同様に、SGSNがネイティブでSMSを送信することができるにもかかわらず、SMS−SCは、UEがUTRAN内にあるとき、やはり、代わりにMSCサーバを使用するようにHSS/HLRによって命令される可能性がある(図28参照)。
4つのケースとあり得るSMS配信経路とは、以下のようにまとめられる。
ケースA:(LTEまたは2G/3Gで)UEがSGSNまたはMMEに登録されているとき、PSドメインで(MSCの関与なしに)ネイティブのSMS送信が可能である。このケースAでは、UEは、図26および27によれば、SGSNまたはMMEに登録されているとき、SMSをネイティブで送受信することができる。しかし、ネットワーク構成がSMS−SCにCSドメインを関与させるように要求する場合は、図25および図28によるSMS配信の経路もあり得る。
以下の状況においては、問題または不確実性が生じる可能性がある。
1)GERAN/UTRANとLTEとの間のハンドオーバ中。SMS PDUが転送される方法が規定されていない。
2)ISRが有効化されているときは、SM−SCがSMSのルーティングのための単一のエンティティを知る必要がある(SM−SCがHLR/HSSにルーティング情報を問い合わせる)ときにMT SMSのルーティングが明らかにされるべきである。
ケースB:MMEを介したネイティブのSMS送信が可能である。SGSNがネイティブのSMS送信をサポートしないので、図27による経路は取り得ない。その代わりに、UEがUTRANネットワーク内にあるとき、SMSは、図28の経路によって交換される必要がある。それに対応して、このケースBでは、UEがUTRAN内にあるときは、CSドメインを介してのみ、SMSの転送ができる。
ネットワーク事業者がCSドメインのエンティティ、例えばMSCを使用することを避けたい場合、問題または不確実性が生じる可能性がある。UEがGERANアクセスおよびUTRANアクセスを介して接続されているときに、SMS PDUがUEに/UEから配信される方法が明らかでない。ケースC:SGSNを介したネイティブのSMS送信が可能である。MMEが、ネイティブのSMS送信をサポートせず、そのため、ケースCに関しては、図26による経路の交換が不可能である。その代わりに、LTEネットワーク内にあるとき、UEは、MSCサーバが関与する図25の経路によってSMSを受信する必要がある。
ネットワーク事業者がCSドメインのエンティティ、例えばMSCを使用することを避けたい場合、問題または不確実性が生じる可能性がある。UEがLTEアクセスを介して接続されているときに、SMS PDUがUEに/UEから配信される方法が明らかでない。
ケースD:SGSNもMMEもネイティブのSMS機能をサポートしないとき、図26および27による交換は不可能である。それに対応して、MSCサーバが、図25および28に示すように、UEへのSMSの転送に常に関与する。このケースDは、PSドメインにおいていかなるSMS送信もできないので、本出願にとってそれほど重要ではない。
SMSは、上で説明し、図25および28に図示したように、通常、移動通信交換局(MSC)が関与する回線交換サービスであると考えられているにもかかわらず、最近、3GPPの標準化では、PSサービスのみ(PSのみ)に加入および/またはアタッチされているUEのためのSMSの送信を実装することが決定された。
上に示されたように、MSCサーバは、図25および28によるSMS送信に関与する。ケースBの場合、UEがUTRAN内にあるとき、MSCサーバなしにSMSを送信することはできない。それに対応して、ケースCにおいて、UEがLTE内にあるときに、MSCサーバなしにSMSを送信することはやはり不可能である。しかし、このことは、MSCがもはや関与しない、UEのためのPSのみのSMSの交換を実現するという目標に反する。
[アイドル状態シグナリング削減(ISR:Idle state signaling reduction)機能]
3GPPは、LTEアクセスとUTRAN/GERANアクセスとの間のIDLEモードでの移動、すなわち、UEが、サービング・ノードであるMMEとSGSNとの間を移動する場合の最適化を定義した。この最適化は、IDLEモード・シグナリング削減(略してISR)と称されており、UEが異なる無線アクセス技術(RAT)の間を切り替えるときにいかなるシグナリングも開始しなくて済むようにする。以下で、ISR機能の概要を簡単に紹介するが、ISRのより詳細な検討については3GPP TS23.401 v11.1.0の付録Jを参照することができ、この文献は、3GPPのサーバからダウンロード可能であり、参照により本明細書に援用される。
ISRは、一緒に運用されているE−UTRAN(LTE)とGERAN/UTRANとの間でUEが再選択を行うことによって引き起こされるTAU手順およびRAU手順の頻度を少なくすることを目的としている。特に、UEとネットワークとの間の更新シグナリングが削減されるが、ネットワーク内部のシグナリングも削減される。
ISRに固有のノードおよびインターフェース機能にかかるコストを代償として、2G/3GとEPCとの間の依存性が最小化される。ISR機能の裏にある考え方は、UEが、E−UTRANのTAまたはTAのリストに登録されているときに、同時に、UTRAN/GERANのRAに登録され得ることである。UEは、2つの登録を平行して維持し、両方の登録に関する周期タイマを独立して実行する。同様に、ネットワークは、2つの登録を平行して維持し、さらに、UEが登録されているRAとTAとの両方でページングされ得ることを保証する。
ISRのサポートは、GERANおよび/またはUTRANをサポートするE−UTRANのUEには必須であり、ネットワークには任意である。ISRは、UEのためのISRを有効化するために、UEとネットワーク(すなわち、SGSN、MME、サービングGW、およびHSS)との両方に特別な機能を必要とする。ネットワークは、各UEに関して個別にISRの有効化を決定することができる。Gn/Gp SGSNは、ISR機能をサポートしない。
ISRは、S−GWがISRをサポートするものとして、LTEから2G/3Gへのハンドオーバ、または2G/3GからLTEへのハンドオーバの際に有効化される。下りリンク・データがS−GWに到着するとき、S−GWは、サービング・ノードであるSGSNとMMEとの両方に下りリンク・データ通知(DDN:Downlink Data Notification)要求を送信する。
ISRが有効化されているとき、これは、UEがMMEとSGSNとの両方に登録されていることを意味する。SGSNとMMEとの両方が、サービングGWとの制御接続を有する。MMEとSGSNとの両方が、HSSに登録されている。UEは、SGSNからのMMパラメータ(例えば、P−TMSIおよびRA)と、MMEからのMMパラメータ(例えば、GUTIおよび(1つまたは複数の)TA)とを格納し、E−UTRANアクセスおよびGERAN/UTRANアクセスに共通であるセッション管理(ベアラ)コンテキストを格納する。アイドル状態で、UEは、ネットワークとのTAU手順またはRAU手順を実行することをまったく必要とせずに、(登録されたRAおよびTA内で)E−UTRANとGERAN/UTRANとの間の再選択を行うことができる。ISRが有効化されているとき、SGSNおよびMMEは、互いのアドレスを格納する。
1つのCNノード(SGSNか、またはMMEかのどちらか)による暗黙的なデタッチによって、ネットワークのISRが無効化される。ISRは、UEが周期的な更新を遅れずに実行することができないとき、UEにおいて無効化される。
上で説明したように、最近確定した標準化目標は、PSのみの場合の、すなわち、MSCサーバが関与しないSMS配信を可能にすることである。しかし、移動体がIDLE状態であり、ISRを有効化するときのSMS配信は、今のところ正式に定義されていない。ISRが有効化されていると、UEがRAUおよびTAUを行うことを避けるので、HSSは、UEがLTE内にあるのか、またはUTRAN内にあるのかが分からない。結果として、SMS−SCは、HSSから2つのアドレス、すなわち、SGSNおよびMMEのアドレスを取得することとなる。そのとき、SMS−SCは、MT SMSをSGSNおよびMMEにマルチキャストしなければならないが、これは、SMS−SCがSMSを転送する1つの特定の送信先を必要とするため、現在は不可能である。
UEがIDLE状態にあり、ISRを有効化するときにSMSを配信するための手順が必要とされている。
ISRがUEに関して有効化されていないときは、HSSは、UEがどのネットワーク内にあるかを常に正確に知っており、したがって、MMEであろうがSGSNであろうが、対応するサービング・ノードについてSMS−SCに知らせることができる。
[LTEからUTRAN無線アクセスへのハンドオーバ]
不必要なシグナリングを回避するためにISRを使用する、UEがIDLEモードであるときのUEの移動と、それに起因する問題とを上で簡単に説明した。以降で、UEがCONNECTEDモードであるときのUEの移動について説明し、特に、LTEからUTRANへのRAT間ハンドオーバについて説明する。3GPP TS23.401 v11.1.0の5.5.2章は、RAT間ハンドオーバについて極めて詳細に説明しており参照により本明細書に援用され、特に、5.5.2.1章および5.5.2.2章が、E−UTRAN(LTE)とUTRANとの間のRAT間ハンドオーバについて記載している。5.5.2.1章が、もっぱら本出願に関連があり、理解の助けとなる範囲で以下に概要を述べる。
図26は、RAT間ハンドオーバの準備フェーズでネットワークにおいて実行されるメッセージ交換を示しており、TS23.401の図5.5.2.1.2−1に対応している。図26のさまざまなステップは、TS23.401の5.5.2.1.2章で極めて詳細に説明されており、それを以下に再掲する。
1.ハンドオーバ元eNodeBが、ハンドオーバ先アクセス・ネットワークであるUTRAN Iuモード(UTRAN Iu mode)へのRAT間ハンドオーバを開始することを決定する。この時点で、上りリンク・ユーザ・データと下りリンク・ユーザ・データとの両方は、以下、すなわち、UEとハンドオーバ元eNodeBとの間の(1つまたは複数の)ベアラ、ハンドオーバ元eNodeBと、サービングGWと、PDN GWとの間の(1つまたは複数の)GTPトンネルを介して送信される。
UEが実行中の緊急ベアラ・サービスを有する場合、ハンドオーバ元eNodeBは、IMS音声に対応していないUTRANセルへのPSハンドオーバを開始しない。
注1:ハンドオーバの決定に至るプロセスは、本明細書の範囲外である。
2.ハンドオーバ元eNodeBが、ハンドオーバ要請(Handover Required)(S1AP理由(S1AP Cause)、ハンドオーバ先RNC識別子、CSG ID、CSGアクセス・モード、ハンドオーバ元−ハンドオーバ先透過コンテナ(Source to Target Transparent Container))メッセージをハンドオーバ元MMEに送信して、ハンドオーバ先RNC、ハンドオーバ先SGSN、およびサービングGWにおいてリソースを確立するようにCNに要求する。(もしあれば)データ転送の対象となるベアラが、後のステップで、ハンドオーバ先SGSNによって特定される(下のステップ7参照)。ハンドオーバ先セルがCSGセルまたはハイブリッド・セルであるとき、ハンドオーバ元eNodeBは、ハンドオーバ先セルのCSG IDを含めることになる。ハンドオーバ先セルがハイブリッド・セルである場合、CSGアクセス・モードが指示されることになる。
3.ハンドオーバ元MMEが、「ハンドオーバ先RNC識別子」IEから、ハンドオーバの種類がUTRAN IuモードへのIRATハンドオーバであると判定する。ハンドオーバ元MMEは、フォワード再配置要求(Forward Relocation Request)(IMSI、ハンドオーバ先ID、CSG ID、CSGメンバーシップ指示、MMコンテキスト、PDN接続、制御プレーンのためのMMEトンネル・エンドポイント識別子、制御プレーンのためのMMEアドレス、ハンドオーバ元−ハンドオーバ先透過コンテナ、RAN理由(RAN Cause)、MS情報変更報告アクション(MS Info Change Reporting Action)(利用可能な場合)、CSG情報報告アクション(CSG Information Reporting Action)(利用可能な場合)、UEタイム・ゾーン、ISRサポート(ISR Supported)、サービング・ネットワーク)メッセージをハンドオーバ先SGSNに送信することによってハンドオーバ・リソース割り当て手順を開始する。ISRサポートの情報は、ハンドオーバ元MMEおよび関連するサービングGWがUEのISRを有効化することができる場合に示される。ISRが有効化されているとき、このメッセージは、ハンドオーバ先IDによって特定されるハンドオーバ先にサービスを提供しているときにUEのISRを維持するSGSNに送信されるべきである。このメッセージは、ハンドオーバ元システムでアクティブなすべてのPDN接続を含み、各PDN接続に関して、関連するAPN、制御プレーンのためのサービングGWのアドレスおよび上りリンク・トンネル・エンドポイント・パラメータ、ならびにEPSベアラ・コンテキストのリストを含む。RAN理由は、ハンドオーバ元eNodeBから受信されるS1AP理由を示す。ハンドオーバ先MMEがサービング・ネットワークが変更されるか否かを決定するのを支援するために、古いサービング・ネットワークがハンドオーバ先MMEに送信される。
ハンドオーバ元MMEは、ハンドオーバ元eNodeBによってCSG IDが与えられているとき、UEのCSG加入について調べることによってアクセス制御を実行することになる。このCSG IDの加入データが存在しないか、またはCSG加入が失効しており、ハンドオーバ先セルがCSGセルである場合、ハンドオーバ元MMEは、UEが緊急ベアラ・サービスをも持たない限り、適切な理由のハンドオーバを拒否することになる。
ハンドオーバ元MMEは、ハンドオーバ先セルがCSGセルまたはハイブリッド・セルであるとき、フォワード再配置要求にCSG IDを含める。ハンドオーバ先セルがハイブリッド・セルであるとき、または1つもしくは複数の緊急ベアラが存在し、ハンドオーバ先セルがCSGセルである場合、UEがCSGのメンバーであるか否かを示すCSGメンバーシップ指示が、フォワード再配置要求メッセージに含められることになる。
ハンドオーバ先SGSNは、TS23.401の付録Eで定義されているように、EPSベアラをPDPコンテキストに1対1でマッピングし、EPSベアラのEPSベアラQoSパラメータ値をベアラ・コンテキストのリリース99 QoSパラメータ値にマッピングする。
PDPコンテキストの優先順位付けが、ハンドオーバ先コア・ネットワーク・ノード、すなわち、ハンドオーバ先SGSNによって実行される。
MMコンテキストは、TS29.274に記載されているように、セキュリティに関連する情報、例えば、サポートされる暗号化アルゴリズムを含む。セキュリティ・キーの処理については、TS33.401に記載されている。
ハンドオーバ先SGSNは、フォワード再配置要求内のそれぞれのベアラ・コンテキストのAPN制限(APN Restriction)に基づいて最大APN制限(Maximum APN restriction)を決定し、続いて、新しい最大APN制限値を格納することになる。
4.ハンドオーバ先SGSNが、例えば、PLMNの変更が原因でサービングGWが再配置されるべきか否かを判定する。サービングGWが再配置されるべきである場合、ハンドオーバ先SGSNは、「サービングGW選択機能」に関するTS23.401の4.3.8.2項に記載されているように、ハンドオーバ先サービングGWを選択し、ハンドオーバ先サービングGWにPDN接続ごとにセッション生成要求メッセージ(IMSI、制御プレーンのためのSGSNトンネル・エンドポイント識別子、制御プレーンのためのSGSNアドレス、ユーザ・プレーンのための(1つまたは複数の)PDN GWアドレス、ユーザ・プレーンのための(1つまたは複数の)PDN GW UL TEID、制御プレーンのための(1つまたは複数の)PDN GWアドレス、制御プレーンのための(1つまたは複数の)PDN GW TEID、S5/S8上のプロトコル・タイプ、サービング・ネットワーク)を送信する。S5/S8上のプロトコル・タイプが、サービングGWに与えられ、そのプロトコルが、S5/S8インターフェースで使用されなければならない。
ハンドオーバ先SGSNは、指示された順序で(1つまたは複数の)EPSベアラ・コンテキストを確立する。SGSNは、実行フェーズのステップ7で行われるように、確立することができないEPSベアラ・コンテキストを無効化する。
4a.ハンドオーバ先サービングGWが、そのサービングGWのローカル・リソースを割り当て、セッション生成応答(ユーザ・プレーンのための(1つまたは複数の)サービングGWアドレス、ユーザ・プレーンのための(1つまたは複数の)サービングGW UL TEID、制御プレーンのためのサービングGWアドレス、制御プレーンのためのサービングGW TEID)メッセージをハンドオーバ先SGSNに返す。
5.ハンドオーバ先SGSNが、再配置要求メッセージ(UE識別子、理由、CNドメイン・インジケータ、完全性保護情報(すなわち、IKおよび許される完全性保護アルゴリズム)、暗号化情報(すなわち、CKおよび許される暗号化アルゴリズム)、設定されるべきRABのリスト、CSG ID、CSGメンバーシップ指示、ハンドオーバ元RNC−ハンドオーバ先RNC透過コンテナ(Source RNC to Target RNC Transparent Container)、サービス・ハンドオーバ関連情報)を送信することによって、無線ネットワーク・リソース(RAB)を確立するようにハンドオーバ先RNCに要求する。アクセス制限がMMコンテキストに存在する場合、接続モードのUEがアクセス制限によって禁止されたRATにハンドオーバすることをRNCが制限するために、サービス・ハンドオーバ関連情報が、ハンドオーバ先SGSNによって再配置要求メッセージに含められることになる。
確立されることが要求されるそれぞれのRABについて、設定されるべきRABは、RAB ID、RABパラメータ、トランスポート層アドレス、およびIuトランスポート関連付け(Iu Transport Association)などの情報を含む。RAB ID情報要素は、NSAPI値を含み、RABパラメータ情報要素は、QoSプロファイルを与える。トランスポート層アドレスは、ユーザ・プレーンのためのサービングGWアドレス(ダイレクト・トンネル(Direct Tunnel)が使用される場合)またはユーザ・プレーンのためのSGSNアドレス(ダイレクト・トンネルが使用されない場合)であり、Iuトランスポート関連付けは、サービングGWまたはSGSNの上りリンク・トンネル・エンドポイント識別子データにそれぞれ対応する。
暗号化キーおよび完全性保護キーが、新たにAKA(Authentication and Key Agreement:認証および鍵合意)手順を行うことを必要とせずに新しいRAT/モードのハンドオーバ先セルでデータ転送が継続できるようにするために、ハンドオーバ先RNCに送信される。ハンドオーバ先RNCのRRCからUEに(再配置命令メッセージでか、またはハンドオーバ完了メッセージの後でかのどちらかで)送信される必要がある情報が、透過コンテナによってハンドオーバ先RNCからUEに送信されるRRCメッセージに含められることになる。さらなる詳細は、TS33.401に記載されている。
ハンドオーバ先SGSNは、ハンドオーバ元MMEによって与えられるとき、CSG IDおよびCSGメンバーシップ指示をフォワード再配置要求メッセージに含めることになる。
ハンドオーバ先RNCにおいては、無線およびIuユーザ・プレーン・リソースが、受容されたRABのために予約される。理由は、ハンドオーバ元MMEから受信されたRAN理由を示す。ハンドオーバ元RNC−ハンドオーバ先RNC透過コンテナは、ハンドオーバ元eNodeBから受信されたハンドオーバ元−ハンドオーバ先透過コンテナからの値を含む。
ハンドオーバ先セルがCSGセルである場合、ハンドオーバ先RNCは、ハンドオーバ先SGSNによって与えられたCSG IDを検証し、そのCSG IDがハンドオーバ先セルのCSG IDと合致しない場合、適切な理由のハンドオーバを拒否することになる。ハンドオーバ先セルがハイブリッド・モードである場合、ハンドオーバ先RNCは、CSGメンバーシップ指示を使用して、CSGメンバーと非CSGメンバーとに差別化された処理を実行することができる。ハンドオーバ先セルがCSGセルであり、CSGメンバーシップ指示が「非メンバー」である場合、ハンドオーバ先RNCは、緊急ベアラのみを受け入れる。
5a.ハンドオーバ先RNCが、リソースを割り当て、再配置要求ACKメッセージ(ハンドオーバ先RNC−ハンドオーバ元RNC透過コンテナ(Target RNC to Source RNC Transparent Container)、RAB設定リスト、RAB設定失敗リスト)でハンドオーバ先SGSNに適用可能なパラメータを返す。
再配置要求ACKメッセージを送信すると、ハンドオーバ先RNCは、サービングGWから、またはダイレクト・トンネルが使用されない場合はハンドオーバ先SGSNから、受容されたRABの下りリンクGTP PDUを受信するように準備されることになる。
各RAB設定リストは、ユーザ・データのためのハンドオーバ先RNCアドレスであるトランスポート層アドレスと、ユーザ・データのための下りリンク・トンネル・エンドポイント識別子に対応するIuトランスポート関連付けとによって定義される。
RABが確立されなかったどのEPSベアラ・コンテキストも、ハンドオーバ先SGSNおよびUEで維持される。これらのEPSベアラ・コンテキストは、ルーティング・エリア更新(RAU)手順が完了すると、明示的なSM手順を介してハンドオーバ先SGSNによって無効化されることになる。
6.「間接転送(Indirect Forwarding)」およびサービングGWの再配置が適用され、ダイレクト・トンネルが使用される場合、ハンドオーバ先SGSNが、間接データ転送トンネル生成要求メッセージ(DLデータ転送のためのハンドオーバ先RNCアドレスおよび(1つまたは複数の)TEID)をサービングGWに送信する。「間接転送」およびサービングGWの再配置が適用され、ダイレクト・トンネルが使用されない場合は、ハンドオーバ先SGSNが、間接データ転送トンネル生成要求メッセージ(DLデータ転送のためのSGSNアドレスおよび(1つまたは複数の)TEID)をサービングGWに送信する。
間接転送は、UEのためのアンカー・ポイントとして使用されるサービングGWとは異なるサービングGWによって実行され得る。
6a.サービングGWが、間接データ転送トンネル生成応答(理由、データ転送のための(1つまたは複数の)サービングGWアドレスおよび(1つまたは複数の)サービングGW DL TEID)メッセージをハンドオーバ先SGSNに返す。
7.ハンドオーバ先SGSNが、フォワード再配置応答(Forward Relocation Response)メッセージ(理由、制御プレーンのためのSGSNトンネル・エンドポイント識別子、制御プレーンのためのSGSNアドレス、ハンドオーバ先−ハンドオーバ元透過コンテナ(Target to Source Transparent Container)、理由、RAB設定情報、追加RAB設定情報、ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID、サービングGW変更指示)をハンドオーバ元MMEに送信する。サービングGW変更指示は、新しいサービングGWが選択されたことを示す。ハンドオーバ先−ハンドオーバ元透過コンテナは、ハンドオーバ先RNCから受信されたハンドオーバ先RNC−ハンドオーバ元RNC透過コンテナからの値を含む。
IEである「ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID」は、ハンドオーバ先システム内のデータ転送のための送信先トンネリング・エンドポイント(destination tunneling endpoint)を定義し、以下のように設定される。
− 「直接転送」が適用される場合、または「間接転送」が適用され、サービングGWの再配置が適用されず、ダイレクト・トンネルが使用される場合、IEである「ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID」は、ステップ5aで受信されたハンドオーバ先RNCへのアドレスおよびGTP−Uトンネル・エンドポイント・パラメータを含む。
− 「間接転送」およびサービングGWの再配置が適用される場合、IEである「ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID」は、ステップ6で受信されたサービングGWへのアドレスおよびDL GTP−Uトンネル・エンドポイント・パラメータを含む。これは、ダイレクト・トンネルを使用するか否かということと無関係である。
− 「間接転送」が適用され、ダイレクト・トンネルが使用されず、サービングGWの再配置が適用されない場合、IEである「ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID」は、ハンドオーバ先SGSNへのDL GTP−Uトンネル・エンドポイント・パラメータを含む。
8.「間接転送」が適用される場合、ハンドオーバ元MMEは、間接データ転送トンネル生成要求メッセージ((ステップ7で受信された)データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID、(1つまたは複数の)EPSベアラID)を間接転送に使用されるサービングGWに送信する。
間接転送は、UEのためのアンカー・ポイントとして使用されるサービングGWとは異なるサービングGWによって実行され得る。
8a.サービングGWが、間接データ転送トンネル生成応答メッセージ(理由、データ転送のための(1つまたは複数の)サービングGWアドレスおよび(1つまたは複数の)TEID)を送信することによって転送パラメータを返す。サービングGWがデータ転送をサポートしない場合、適切な理由の値が返されることとなり、(1つまたは複数の)サービングGWアドレスおよび(1つまたは複数の)TEIDはメッセージに含められない。
図27は、TS23.401で定義されたE−UTRANからUTRAN IuモードへのRAT間ハンドオーバの実行フェーズを示しており、TS23.401の図5.5.2.1.3−1に対応する。図27のさまざまなステップは、TS23.401の5.5.2.1.3章で極めて詳細に説明されており、以下に再掲される。
ハンドオーバ元eNodeBは、下りリンクおよび上りリンクのユーザ・プレーンのPDUを受信し続ける。
1.ハンドオーバ元MMEが、ハンドオーバ命令メッセージ(ハンドオーバ先−ハンドオーバ元透過コンテナ、解放すべきE−RABリスト、データ転送対象ベアラ・リスト)を送信することによってハンドオーバ元eNodeBに対する準備フェーズを完了する。「データ転送対象ベアラ・リスト」IEがメッセージに含められる可能性があり、このIEは、「直接転送」が適用されるときに準備フェース(準備フェーズのステップ7)でハンドオーバ先側から受信された「ユーザ・トラフィック・データ転送のための(1つまたは複数の)アドレスおよび(1つまたは複数の)TEID」のリストであるか、または「間接転送」が適用されるときに準備フェーズのステップ8aで受信されたパラメータのリストである。
ハンドオーバ元eNodeBは、「データ転送対象ベアラ・リスト」で指定されたベアラのデータ転送を開始する。データ転送は、ハンドオーバ先RNCに直接向けられるか、あるいは、準備フェーズでハンドオーバ元MMEおよび/またはハンドオーバ先SGSNによってサービングGWを経由するように決定されている場合は、サービングGWを経由する可能性がある。
2.ハンドオーバ元eNodeBが、E−UTRANからのHO命令(HO from E-UTRAN Command)メッセージによって、ハンドオーバ先アクセス・ネットワークにハンドオーバするようにUEに命令を与える。このメッセージは、ハンドオーバ先RNCが準備フェーズで設定した無線アスペクト・パラメータ(radio aspect parameter)を含む透過コンテナを含む。このE−UTRANに固有のシグナリングの詳細は、TS36.300に記載されている。
ハンドオーバ命令メッセージを含むE−UTRANからのHO命令メッセージを受信すると、UEは、そのUEのベアラIDをNSAPIとの関係に基づいてそれぞれのRABに関連付けることになり、ユーザ・プレーン・データの上りリンク送信を中断することになる。
3.なし。
4.UEが、ハンドオーバ先UTRAN Iu(3G)システムに移り、ステップ2で配信されたメッセージで与えられたパラメータにしたがってハンドオーバを実行する。この手順は、受信されたRABと、特定のNSAPIに関連する既存のベアラIDとを関連付ける追加機能を用いた、TS43.129 5.2.2.2項のステップ6および8の手順と同じである。
UEは、ハンドオーバ先RNCで無線リソースを割り当てられたNSAPIについてのみユーザ・データの転送を再開することができる。
5.新しいハンドオーバ元RNC−ID+S−RNTIがUEとの間で正常に交換されるとき、ハンドオーバ先RNCは、再配置完了メッセージをハンドオーバ先SGSNに送信することになる。再配置完了手順の目的は、ハンドオーバ先RNCによって、ハンドオーバ元E−UTRANからそのRNCへの再配置の完了を示すことである。再配置完了メッセージを受信した後、ハンドオーバ先SGSNは、ハンドオーバ先RNCからデータを受信するように準備されることになる。ハンドオーバ先SGSNによって受信されたそれぞれの上りリンクN−PDUは、サービングGWに直接転送される。
6.そのとき、ハンドオーバ先SGSNは、UEがハンドオーバ先側に到達したことを知り、フォワード再配置完了通知(Forward Relocation Complete Notification)(ISR有効化(ISR Activated)、サービングGW変更)メッセージを送信することによって、ハンドオーバ元MMEに通知する。指示される場合、ISR有効化は、ハンドオーバ元MMEに、そのハンドオーバ元MMEがUEのコンテキストを維持することになり、ISRを有効化することになることを示し、これは、SGWが変更されないときにのみ起こり得る。さらに、ハンドオーバ元MMEは、この情報に肯定応答する。ハンドオーバ元eNodeBおよびハンドオーバ元サービングGW(サービングGWを再配置する場合)のリソースがいつ解放されることになるかを管理するために、ハンドオーバ元MMEのタイマが開始される。
タイマが切れ、ISR有効化がハンドオーバ先SGSNから指示されない場合、ハンドオーバ元MMEは、UEのすべてのベアラ・リソースを解放する。サービングGW変更が指示され、このタイマが切れる場合、ハンドオーバ元MMEは、セッション削除要求(理由、動作指示(Operation Indication))メッセージをハンドオーバ元サービングGWに送信することによってEPSベアラ・リソースを削除する。動作指示フラグが設定されず、それにより、ハンドオーバ元サービングGWがPDN GWに対する削除手順を開始しないことをハンドオーバ元サービングGWに示す。この手順の前にISRが有効化されていない場合、理由が、ハンドオーバ元SGWがその他の古いCNノードに(1つまたは複数の)ベアラ削除要求メッセージを送信することによってそのCNノードのベアラ・リソースを削除することになることをハンドオーバ元SGWに示す。
フォワード再配置完了ACK(Forward Relocation Complete Acknowledge)メッセージを受信すると、ハンドオーバ先SGSNは、そのハンドオーバ先SGSNが間接転送のためにSGWにリソースを割り当てた場合、タイマを開始する。
7.このとき、ハンドオーバ先SGSNは、今やハンドオーバ先SGSNがUEが確立したすべてのEPSベアラ・コンテキストを担っていることをサービングGW(サービングGWを再配置する場合、これはハンドオーバ先サービングGWである)に通知することによってハンドオーバ手順を完了する。これは、PDN接続ごとにベアラ修正要求メッセージ(制御プレーンのためのSGSNトンネル・エンドポイント識別子、(1つまたは複数の)NSAPI、制御プレーンのためのSGSNアドレス、受容されたEPSベアラのユーザ・トラフィックのための(1つもしくは複数の)SGSNアドレスおよび(1つもしくは複数の)TEID(ダイレクト・トンネルが使用されない場合)、または受容されたEPSベアラのユーザ・トラフィックのための(1つもしくは複数の)RNCアドレスおよび(1つもしくは複数の)TEID(ダイレクト・トンネルが使用される場合)、ならびにRATの種類、ISR有効化)で行われる。PDN GWがUEの位置および/またはユーザのCSG情報(UEコンテキストから判定される)を要求した場合、SGSNは、このメッセージにユーザ位置情報IEおよび/またはユーザCSG情報IEも含める。UEタイム・ゾーンが変わった場合、SGSNは、このメッセージにUEタイム・ゾーンIEを含める。サービングGWが再配置されないが、サービング・ネットワークが変わった場合、またはSGSNが古いMMEから古いサービング・ネットワーク情報をまったく受信しなかった場合、SGSNは、このメッセージに新しいサービング・ネットワークIEを含める。ネットワークを共有するシナリオにおいて、サービング・ネットワークとは、サービング・コア・ネットワークを表す。指示される場合、ISR有効化の情報は、ISRが有効化されることを示し、これは、SGWが変更されないときにのみ起こり得る。ベアラ修正要求がISR有効化を指示せず、SGWが変更されていないとき、SGWは、予約されたSGW上のベアラ・リソースを有するその他のCNノードにベアラ削除要求を送信することによってすべてのISRリソースを削除する。
SGSNは、ベアラ・コンテキスト無効化手順をトリガすることによって、受容されなかったEPSベアラ・コンテキストを解放する。サービングGWは、受容されなかったベアラのDLパケットを受信する場合、そのDLパケットを破棄し、下りリンク・データ通知をSGSNに送信しない。
8.サービングGW(サービングGWを再配置する場合、これはハンドオーバ先サービングGWである)が、PDN接続ごとにベアラ修正要求メッセージを送信することによって、例えば、サービングGWを再配置する場合、例えば、課金に使用できるRATの種類の変更を(1つまたは複数の)PDN GWに知らせることができる。さらに、SGWは、ユーザ位置情報IEおよび/またはUEタイム・ゾーンIEおよび/またはユーザCSG情報IEがステップ7で存在する場合、それらのIEを含める。サービング・ネットワークは、TS23.401の5.5.2.1.2項のステップ7またはステップ4で受信される場合、含められるべきである。サービングGWを再配置する場合、サービングGWは、受容されなかったベアラに関してもS5/S8でDL TEIDを割り当てる。PDN GWは、ベアラ修正応答メッセージで要求に肯定応答しなければならない。サービングGWを再配置する場合、PDN GWは、そのPDN GWのコンテキスト・フィールドを更新し、ベアラ修正応答(課金ID(Charging Id)、MSISDNなど)メッセージをサービングGWに返す。PDN GWがそのPDN GWのUEコンテキストにMSISDNを格納している場合、MSISDNが含められる。
PCCインフラストラクチャが使用されている場合、PDN GWは、例えば、RATの種類の変更についてPCRFに通知する。
9.サービングGW(サービングGWを再配置する場合、これはハンドオーバ先サービングGWである)が、ベアラ修正応答メッセージ(理由、制御プレーンのためのサービングGWトンネル・エンドポイント識別子、制御プレーンのためのサービングGWアドレス、プロトコル構成オプション(Protocol Configuration Options))によってハンドオーバ先SGSNへのユーザ・プレーンの切り替えを承認する。この段階で、ユーザ・プレーンの経路が、UEと、ハンドオーバ先RNCと、ダイレクト・トンネルが使用されない場合はハンドオーバ先SGSNと、サービングGW(サービングGWを再配置する場合、これはハンドオーバ先サービングGWである)と、PDN GWとの間ですべてのEPSベアラ・コンテキストに関して確立される。
サービングGWが変わらない場合、サービングGWは、経路を切り替えた後直ちに、古い経路で1つまたは複数の「エンド・マーカー(end marker)」パケットを送信することになる。
10.UEがそのUEの現在のルーティング・エリアがネットワークに登録されていないと認識するとき、またはUEのTINが「GUTI」を示すとき、ハンドオーバ先SGSNがUEにそのUEが新しいルーティング・エリア内にあることを知らせることによって、UEがルーティング・エリア更新手順を開始する。PMM−CONNECTED状態のUEにルーティング・エリア情報を提供するのは、RAN機能である。
ハンドオーバ先SGSNは、ハンドオーバ・メッセージによって(1つまたは複数の)ベアラ・コンテキストを受信しているので、このUEに関してIRATハンドオーバが実行されたことを知っており、したがって、RAU手順の一部のみを実行し、特に、ハンドオーバ元MMEとハンドオーバ先SGSNとの間のコンテキスト転送手順を省く。
11.ステップ6で開始されたタイマが切れるとき、ハンドオーバ元MMEが、リソース解放メッセージをハンドオーバ元eNodeBに送信する。ハンドオーバ元eNodeBは、そのハンドオーバ元eNodeBのUEに関連するリソースを解放する。
ステップ6で開始されたタイマが切れるとき、ハンドオーバ元MMEがフォワード再配置応答メッセージでサービングGW変更指示を受信した場合、ハンドオーバ元MMEは、セッション削除要求(理由、動作指示)メッセージをハンドオーバ元サービングGWに送信することによってEPSベアラ・リソースを削除する。動作指示フラグが設定されず、それにより、ハンドオーバ元サービングGWがPDN GWに対する削除手順を開始しないことをハンドオーバ元サービングGWに示す。ハンドオーバ元サービングGWは、セッション削除応答(理由)メッセージによって肯定応答する。この手順の前にISRが有効化されていない場合、理由が、ハンドオーバ元SGWがその他の古いCNノードに(1つまたは複数の)ベアラ削除要求メッセージを送信することによってそのCNノードのベアラ・リソースを削除することになることをハンドオーバ元SGWに示す。
12.間接転送が使用された場合、ステップ6で開始されたハンドオーバ元MMEのタイマが切れると、間接転送のために使用された一時リソースを解放するために間接データ転送トンネル削除要求メッセージをSGWに送信するようにハンドオーバ元MMEがトリガされる。
13.間接転送が使用され、サービングGWが再配置されている場合、ステップ6で開始されたハンドオーバ先SGSNのタイマが切れると、間接転送のために使用された一時リソースを解放するために間接データ転送トンネル削除要求メッセージをハンドオーバ先SGWに送信するようにハンドオーバ先SGSNがトリガされる。
以上、E−UTRAN(LTE)からUTRANへのRAT間ハンドオーバのためのハンドオーバ手順を説明した。ここで、UEがCONNECTEDモードであり、現在SMSを受信しているシナリオを考えると、UEがLTEからUTRANへのハンドオーバを実行するとき、SMSがハンドオーバ後にどのようにしてさらに交換されるかが明らかでない。
より詳細に言えば、図26による経路が現在使用されていると考えると、SGSNへのUEのハンドオーバ後、PSのみの配信が保証される(図28による経路が不可能である)とした場合、SMSがどのようにして交換され得るかが今のところ定義されていない。同様に、図27による経路が現在使用されていると考えると、PSのみの配信が保証される(図25による経路が不可能である)とした場合、SMSがどのようにして交換され得るかが今のところ定義されていない。
さらに、LTEシステムでは、たとえそれが使用されず、SMS送信だけがMMEとUEとの間でNASシグナリング接続を介して行われるとしても、少なくともデフォルトのベアラが確立され、有効化される。UTRANの場合はそうではなく、シグナリングはデータ接続(データ・ベアラ)とは独立して単独で確立可能であり、すなわち、データ接続はUTRANにおいては必須ではない。しかし、この場合、E−UTRANからUTRANにハンドオーバするとき、E−UTRANで有効化されたデフォルトのベアラは、必要とされておらず、必須ではないとしても、UTRANの対応するPDN接続に自動的にマッピングされる。この問題はリリース11にのみ存在するのではなく、3GPP規格のリリース8および9でも既に存在し、特に、1)SGsインターフェースを介してSMS送信を行う場合、および2)SGsを介したSMS送信中にCSフォールバックする場合(TS23.272、8.2.5d節も参照)に存在することにも留意されたい。
本出願は、これらの問題に対する解決策を提供する。
[マシン・ツー・マシン]
現在の移動通信ネットワークは、ヒューマン・ツー・ヒューマン通信に最適化されて設計されており、3GPPによればMTC(マシン型通信)とも称されるM2M(Machine−2−Macnine)用途にはそれほど最適化されていない。
M2M通信は、人間が対話することを必ずしも必要としないエンティティ間のデータ通信の形態と見なすことができる。M2M通信は、新しいまたは異なる市場シナリオと、少ないコストおよび労力と、潜在的に極めて多くなり得る通信端末と、おおかた非常に少ない端末ごとのトラフィックとを伴うので、現在の通信モデルとは異なる。
MTCの応用の一部として、例えば、以下のものが挙げられる。
・ セキュリティ(例えば、警報システム、固定回線(landline)のバックアップ、アクセス制御、車/運転者のセキュリティ)
・ 追跡および記録(Tracking & Tracing)(例えば、フリート管理、注文管理、走行距離に応じた課金(Pay as you drive)、道路通行料徴収(Road Tolling)、交通情報)
・ 支払い(販売時点情報管理、自動販売機、ロイヤルティ・コンセプト(Loyalty Concept)、ゲーム機)
・ 健康(生命徴候の監視、遠隔診断、ウェブ・アクセス遠隔医療ポイント(Web Access Telemedicine point))
・ 遠隔保守/制御(センサー、照明、ポンプ、バルブ、エレベーター制御)
・ 計測(例えば、電気、ガス、水道、暖房、グリッド制御)
M2M通信に関する研究項目(3GPP TR22.868)は、2007年に終了した。リリース10以降、3GPPは、この研究項目から得られたネットワークの改善の成果を仕様策定フェーズへと進めようとしており、MTCのシナリオおよび応用をサポートするためにアーキテクチャへの影響およびセキュリティの観点での対応を行っている。したがって、3GPPは、大規模なマシン型通信グループを処理することによる影響および負担を減らすこと、デバイスのバッテリー電力使用に与える影響を最小化するためにネットワークの動作を最適化すること、事業者がマシン型通信の要件に合わせて作られたサービスを提供することを可能にすることによって新たなマシン型通信の応用を促進すること、またはマシン型通信サービスを提供するときのネットワーク事業者の運用コストを引き下げることなどのさまざまな目標および目的のもと、マシン型通信のためのネットワークの改善(NIMTC:Network Improvements for Machine-Type Communication)に関する作業項目を定義した。
MTCは、通常のヒューマン・ツー・ヒューマン通信とは異なるいくつかの特質がある。3GPPは、ネットワークの動作を最適化するためにこれらの特質を特定しようとしている。これらの特質は、「MTC機能(MTC feature)」と称され、技術規格TS22.368で説明されており、この技術規格TS22.368は、http://www.3gpp.orgから入手可能であり、参照により本明細書に援用される。例えば、上述のMTC機能のうちの1つは、「小データ送信」である可能性があり、これは、MTCデバイスが少量のデータを送信または受信することを意味する。少量のデータとは、データが、データ接続を確立するために必要な交換されるシグナリングのサイズよりも小さいかまたはそれと同程度であることを意味する。「小データ」の厳密な定義は、3GPPによる標準化の第1段階の課題であり、UEの加入の一部であるか、またはネットワーク事業者のポリシーによる可能性がある。さらに、MTCデバイスは、少量のデータを送信する前に、ネットワークにアタッチされるか、またはネットワークからデタッチされる可能性がある。
「小データ送信」のために加入または構成されるUEの要件は、ネットワークに与える影響(例えば、シグナリングのオーバーヘッド、ネットワーク・リソース、再割り当てのための遅延)を最小限にしながら少量のデータを送信することである。小データは、上りリンクおよび下りリンクで効率的に送信されることになる。
小データ送信を最適化するために可能ないくつかの解決策があり得る。
− 小データが、通常のショート・メッセージ・サービス(SMS)にカプセル化される可能性がある。UEがパケット交換(PS)EPSネットワークにアタッチされているとき、SMSを送信する3つの主要なメカニズムがある。
・ SMSオーバー回線交換フォールバック(CSFB)(SMS over Circuit Switched Fall-back (CSFB))メカニズム。CSFBメカニズムは、3GPP TS23.272に説明されている。下りリンクのSMSが存在するとき、UEは、回線交換(CS)ドメインに、すなわち、GERANアクセス・システムか、またはUTRANアクセス・システムかのどちらかにアタッチするためにネットワークからページングされる。MTCデバイスは高価な移動体デバイスではないことが期待されるので、1つの無線アクセス技術のみを実装しており、したがって、CSドメインとPSドメインとの切り替えができないものと予想される。さらに、多くのMTCデバイスはPSのみに対応しており、したがってCSFBは可能な通常の解決策とはならないと予想される。
・ SMSオーバーIPマルチメディア・サブシステム(IMS)(SMS over IP Multimedia Subsystem (IMS))メカニズム。主として、IMSシステムは、セッション開始プロトコル(SIP)およびセッション記述プロトコル(SDP)を使用してIP上で音声およびその他のリアル・タイム・サービスを転送するために設計されている。上述のように、MTCデバイスは、低コストのデバイスであることが期待されており、IMSクライアントを実装することは高価過ぎる可能性がある。したがって、SMSオーバーIMSによる解決策は、常に望ましい解決策ではない可能性がある。
・ SMSオーバーSGsメカニズム。SGsは、移動通信交換局(MSC)とMMEとの間のインターフェースである。MSCは、無線システムと固定ネットワークとの間のインターフェースを構成する。MSCは、移動局へのおよび移動局からのCSサービスを処理するためのすべての必要な機能を実行する。これが図6に示されており、以下でより詳細に説明される。
− 小データが、SMS−o−SGsメカニズムと同様に、NASトランスポート・メッセージでカプセル化される。SMS−o−SGsとの違いは、小データが、何らかの方法でMMEにルーティングされる小さなIPパケットであり、そして、MMEがIPパケットをNASパケットでカプセル化することである。
図6は、SMS−o−SGsメカニズムを用いたSMSの転送を示すシグナリング図である。UEは、ESPサービス、および「SMSのみ」の機能のために構成されていると仮定する。「SMSのみ」とは、SMS(回線交換サービスと見なされる)が、SMS−o−SGsメカニズムを用いてLTEアクセス・システムを介して転送されることを意味する。この目的のために、UEとネットワークとが、アタッチ手順の間に、SMSの転送にかかわるそれらUEとネットワークとの機能を交換する。UEとネットワークとの両方がSMS−o−SGsを実装しており、このメカニズムを使用することで合意する場合、MMEにおけるUEのステータスが、PSサービスおよび「SMSのみ」のためのアタッチ状態となる。したがって、下りリンクSMSがMMEに到着すると、MMEは、上述のように「PS」識別子を用いてUEをページングする。
さらに、UEがIDLEモードであり、したがって、データを受信または送信するために構成されたいかなる無線リソースも持たないと仮定する。
ステップ(1)において、小データのSMSがMMEに到着するとき、下りリンク・データが受信されるべきであることをUEに知らせるために、UEにページング・メッセージが送信される。ページング・メッセージは、「PS」、すなわちパケット交換に設定されたコア・ネットワーク・ドメイン・インジケータを含む可能性があり、つまり、ユーザ機器は、LTEアクセス技術によってEPSシステムへの接続を確立するようにトリガされる。
ステップ(2)において、ユーザ機器は、サービス要求メッセージで応答し、タイマT3417を開始し、データ無線ベアラ(DRB)の確立を待つ。サービス要求メッセージは、EPS移動管理メッセージの1つであり、サービス要求手順を開始する。サービス要求手順は、上りリンク・ユーザ・データまたはシグナリングが送信されるべきときに、EMMモードをEMM−IDLEモードからEMM−CONNECTEDモードに遷移させ、無線ベアラおよびS1ベアラを確立することを目的とする。この手順の別の目的は、MO/MT(移動体終端)回線交換フォールバック手順を呼び出すことである。
この手順は、例えば、ネットワークが保留中の下りリンク・シグナリングを有するとき、UEが保留中の上りリンク・シグナリングを有するとき、または−UEもしくはネットワークが保留中のユーザ・データを有し、UEがEMM−IDLEモードであるときに使用される。サービス要求手順はUEによって開始されるが、EMM−IDLEモードにおけるシグナリングまたはユーザ・データの下りリンクの転送に関しては、ページング手順を用いてネットワークによってトリガが与えられる。
サービス要求メッセージに対して、UEは特定のACKを受信しない。したがって、ACKは、無線ベアラの確立によってなされる。タイマT3417は、無線インターフェース上のデータ無線ベアラ(DRB)が確立されているというアクセス層(AS)による指示をUEが得るときに終了される。タイマT3417のデフォルト値は、6sである。UEが、タイマT3417が切れる前にASから指示を受信しない場合、ユーザ機器は、ServiceRequestメッセージをMMEに再送信する。
MMEがUEからServiceRequestメッセージを受信した後、ステップ(3)において、MMEが、UEとeNBとの間のデータ無線ベアラを設定するようにeNBをトリガする(ステップ3.2参照)。特に、MMEは、無線ベアラ(SRBおよびDRB)を設定し、無線インターフェース上のセキュリティ保護を確立し、S1−Uベアラの確立およびその他の機能のためにUEのコンテキストを構成するために、eNBに対するS1−AP「初期コンテキスト設定」手順をトリガする。さらに、1つまたは複数のデータ無線ベアラの構成情報を含むRRCConnectionReconfigurationメッセージがeNBからUEに送信される。ユーザ機器は、指示通りにデータ無線ベアラを構成した後、RRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージによって応答する。
しかし、ユーザ機器とeNodeBとの間で確立された(1つまたは複数の)データ無線ベアラは、小データを送信するために使用されない。その代わりに、小データは、NASプロトコル・メッセージを用いてMMEからUEに送信される(NASがUEおよびMMEで終端されることを示す図3参照)。ステップ(4)において、SMSは、下りリンクNASトランスポート・メッセージでカプセル化される。NASの交換全般と、特にNASの転送とは、UEがCONNECTEDモードであるときに実行され、したがって、SRBだけでなく対応する(1つまたは複数の)DRBも確立される。同様に、eNBとS−GWとの間のS1−Uベアラも、確立される。
以上のことから分かるように、小データを送信する可能な解決策は、MMEとユーザ機器との間でNASプロトコル・メッセージを使用することである。しかしながら、この従来技術の解決策には問題が伴う。
1つの問題は、小データがNASメッセージを用いて送信されるにもかかわらず、ユーザ機器とeNodeBとの間でデータ無線ベアラが確立されることである。その理由は、ステップ(2)で送信されるNASサービス要求メッセージが、ステップ3.1および3.2によるデータ無線ベアラの確立をトリガするからである。概して、EPSベアラを構築/維持するためのシグナリングのオーバーヘッドが小データの中身のサイズに対して大きいので、EPSベアラを用いて小データを送信することは効率的でないことに留意されたい。さらに、データ無線ベアラが小データの転送にすら使用されないときは、シグナリングが無駄になる。
EPSベアラ(すなわち、DRBおよびS1−Uベアラ)を確立することと、後でそれらのベアラを解放することとは、関与しているノード間のシグナリングの交換を費やし、さらにそれらのノード自体の中でのシグナリングの処理を費やすこととなる。したがって、UEがRRC接続を確立し、IDLE状態からCONNECTED状態に遷移するときに、EPSベアラの確立を避けることが望ましい。
UMTSシステムでは、ユーザ機器がネットワークにアタッチされるとき、UEおよびコア・ネットワーク(SGSN)で制御プレーンのためのコンテキストのみが確立されることに留意されたい。IDLE状態のUEがCONNECTED状態に遷移するとき、初めに、制御プレーンの接続のみが確立され、UEはデータ・ベアラの確立のためのPDPコンテキストの有効化を後で開始する。反対に、EPSシステムでは、UEがネットワークにアタッチするとき、少なくとも1つのデフォルトのEPSデータ・ベアラが確立される。したがって、ユーザ機器がIDLE状態からCONNECTED状態に遷移するとき、(ユーザ・プレーンの)EPSベアラが、制御プレーンの接続と平行して確立される。したがって、本発明が対象とする具体的な問題は、EPSシステムにアタッチされたユーザ機器がIDLE状態からCONNECTED状態に遷移し、既にデフォルトのEPSベアラ・コンテキストを有するが、制御上の小データだけが送信されるべきであるときに、ユーザ・プレーンのベアラの確立をどのようにして回避するのかということである。
小データを送信する別のあり得る方法は、図14〜16で説明したSMS手順を使用することである。それに対応して、SMSは、UEに、またはUEから、RP−DATA RPDUとして送信される。小データが140バイトよりも大きい場合、小データは、複数のセグメント、すなわちSMSで構成された連結されたSMSで送信され得る。
図14〜16によるSMS転送のために確立された無線リソースの解放は、以下で説明するように、最も有利ではない可能性がある。
通常、データ送信に関して、eNBは、非アクティブ時間の後、すなわち、特定の時間の間、無線インターフェース上の非パケット送信が実行されたとき、UEとeNBとの間で確立されたRRC接続の解放を開始する。eNBは、S1−APシグナリングをMMEに送信して無線リソースの解放を要求する。次に、MMEが、UEに固有のコンテキストを削除するようにeNBに命令し、その結果、RRC接続が解放される。
UEの下位層(すなわち、アクセス層)がRRC接続の解放を指示するとき、UEは、NASシグナリング接続も解放する。
上述のRRC接続の解放は、UEとMMEとの両方のNAS層におけるCONNECTED状態からIDLE状態への遷移も意味することに留意されたい。
UEとMMEとの間のNAS MMシグナリング接続を解放するためのシグナリング手順が、ネットワーク、すなわちMMEによって開始される。
SMS送信に関して、現在の3GPPの仕様は、NAS移動管理接続を解放するための手順を記載している。NAS移動管理接続の解放の1つのそのような例が、移動体終端SMSを想定して以下に与えられる。MT SMSに関して、UEのSMCエンティティは、以下の状態、すなわち、MT−Idle、MT−CO−Ack待ち(MT-Wait for CO-Ack)、およびMT−MM−接続確立(MT-MM-connection established)を有する。UEのSMCエンティティは、以下の場合のいくつかにおいて、NAS接続を解放するようにNAS移動管理層をトリガする。
− 「MT−MM−接続確立」状態のSMCエンティティがSM−RL層(SMRエンティティ)からCM接続解放要求メッセージを受信するとき。例えば、SM−RL層からのCM接続解放要求は、SMRエンティティがMT SMSの受信に肯定応答するためにRP−ACKを送信するときにSMCエンティティに指示される可能性がある。
− SMCエンティティがMT−Idle状態になるとき。
− 例えばSM−RL層でエラーが発生するとき。例えば、これは、中継層がMT SMSに関するRP−ACKを送信する指示を転送層から受信しないときに起こり得る。
MMEのSMCエンティティがSM−SCからCP−Ackおよび解放要求指示を受信するとき、NAS無線リソース解放手順が開始される。小データを正常に送信した後は、無線リソースを速やかに解放することが、無線アクセス・ネットワークの容量を節約するために有利である。
しかしながら、すぐに解放することが、常に有益であるとは限らない可能性がある。例えば、すぐに解放してしまうと、例えば、UEがSMSに応答してデータを送信しなければならないときに、無線接続を立て続けに再確立することにつながる可能性がある。例えば、MT SMSは、MTCアプリケーションが何らかの動作、特にデータ報告(1つもしくは複数のMO SMSである可能性がある)の送信、またはMTCサーバへのデータ接続(すなわち、EPSベアラ)の確立を行うためのトリガとして使用される可能性がある。こうした場合などに、上述のNAS MM接続の終了が適用される場合、UEは、接続が解放された後すぐに、MO SMSを送信するために、またはデータ・ベアラを確立するために、RRC接続を再び開始する必要がある。別の言い方をすれば、NAS MM接続と、さらにRRC接続とは、早く解放され過ぎる可能性がある。
したがって、現状の技術の上述の問題に鑑みて、本発明の1つの目的は、小データのみを交換する移動ノードのための通信システムにおける改良されたハンドオーバ手順を提供することである。
本発明の1つの態様は、小データの配信がパケット交換ドメインのみを使用して実行されるとき、特に、小データの送信中にアクセス・システム間のハンドオーバが起こる場合に、E−UTRANとUTRANとの間のハンドオーバをどのようにしてサポートすべきかという問題に関する。この問題は、背景技術の節の「LTEからUTRAN無線アクセスへのハンドオーバ」の章で説明している。
この態様によれば、最適化されたハンドオーバが、小データ(例えば、SMS)の送信の実行中にE−UTRANからUTRANへのRAT間で移動ノードに対して実行される。背景技術の節で説明したように、シグナリング接続のみがE−UTRANで実際に使用されているとき、この種のハンドオーバで問題が起こり、E−UTRANでデータ接続が使用されていないにもかかわらず、対応するデータ接続がハンドオーバ中にUTRANでやはり確立される。UTRANでのこの不必要なデータ接続と、関連するリソースの無駄とを避けるために、本発明のこの態様は、ハンドオーバ元ネットワークのE−UTRANにおいて、ハンドオーバ先ネットワークのUTRANでデータ接続が確立されるか否かを調べる。
概要を述べると、UTRANでデータ接続が確立されると判定された場合にのみ、LTEネットワークのデータ接続に対応するデータ接続が、(LTEのシグナリング接続に対応するシグナリング接続に加えて)ハンドオーバ中にUTRANで確立される。そうではなく、UTRANでデータ接続が確立されないと判定された場合、UTRANでデータ接続は確立されず、LTEのシグナリング接続に対応するシグナリング接続のみがUTRANで確立される。
本発明のこの態様のさらなる詳細を、以下で説明する。
UTRANでデータ接続を確立すべきか否かに関するチェックは、さまざまな方法で実行され得る。例えば、ハンドオーバ元E−UTRANのデータ接続がデータ交換のために使用されているか否かが、調べられる可能性がある。これは、UE、サービング・ゲートウェイ、またはeNBに格納されたデータ交換の統計に基づいて行われる可能性がある。例えば、データ統計は、例えば、SMS送信の開始後にS1−Uベアラを介して交換されたユーザ・データの量に関連する可能性がある。
追加的または代替的に、その他のパラメータが、調べるために考慮される可能性がある。例えば、SMSの送信が始まる前にUEがCONNECTED状態であったとき、そのことは、過去にデータ・ベアラを介してデータ交換が実行され、今、または将来再び実行されることを示していると考えられる。したがって、UTRANでデータ接続が必要とされる可能性があり、したがって、ハンドオーバ中に確立される。
E−UTRANの各データ・ベアラは、優先度の値を割り振られる。デフォルト・ベアラのこの優先度の値も、UTRANでデータ接続を確立すべきか否かの判定で考慮される可能性があり、例えば、優先度の値が高い(すなわち、事前に定義された閾値を超えている)とき、UTRANでデータ接続が確立されると判定される可能性がある。好ましくは、これは、データ接続がE−UTRANで現在使用されているか否かとは無関係に判定され得る。
さらなるオプションによれば、UEが現在受信しているSMSに応答してデータ送信を開始するか否かが考慮される可能性がある。より詳細に言えば、MT SMSがデバイスをトリガするために使用される場合、その時点でE−UTRANにおいてデータ・ベアラを介してデータ交換が実行されていないとしてもUTRANでデータ接続が確立される。
UTRANでデータ接続を確立するか否かに関するこのチェックは、エンティティ、好ましくは、E−UTRANで実行される小データの交換に関与しているエンティティによって実行される可能性がある。これは、以下、すなわち、MME、eNodeB、およびUEのうちの1つ、またはこれらの組み合わせである可能性がある。
上で説明したように、判定は、さまざまなパラメータおよびデータに基づく可能性がある。判定に必要なデータおよび/またはパラメータは、そのデータおよび/またはパラメータを格納するエンティティから実際に判断を行うエンティティに交換される。例えば、MMEがUTRANでデータ接続を確立すべきか否かを判断しようとしていると仮定すると、MMEは、UEか、サービング・ゲートウェイか、またはeNBかのいずれかからのデータ統計を要求することができる。
いずれの場合も、E−UTRANのデータ接続に対応するUTRANのデータ接続を確立すべきか否かに関する判断を行うエンティティは、上で説明した判定に必要な情報を与えられる。
データ接続が確立されると仮定すると、ハンドオーバは、UEおよびSGSNでPDPコンテキストを有効化することを含め、通常通りに実行される。
本出願にとってより興味深いのは、データ接続が確立されない場合である。この場合、ハンドオーバは、ハンドオーバ先ネットワークであるUTRANでシグナリング接続が確立されるが、対応するデータ接続は避けられるように実行される。これを実現するために、UTRANのデータ接続に関連するSGSNおよびUEのベアラ・コンテキストが、「保存(preserved)」状態に設定される。用語「保存」は、PDPコンテキストがネットワークおよびUEに格納されるが、有効化されず、すなわち使用されないことを意味し、さらに、SGSNは、サービング・ゲートウェイに連絡して、「保存」状態であってもS4関連付けを確立する可能性があるが、無線アクセス・ベアラはUTRANの無線アクセス・ネットワークで確立されない。それに対応して、ハンドオーバ中に、ハンドオーバ元MMEが、UTRANのデータ接続を設定しないが、対応するPDPコンテキストは保存状態で維持するようにSGSNおよびUEに命令する。例えば、MMEは、各データ接続とその接続の状態とについてSGSNおよびUEに知らせる可能性があり、この場合、MMEは、E−UTRANのデフォルト・ベアラとそのデフォルト・ベアラの状態が「保存」であることとについてSGSNおよびUEに知らせる。
あるいは、ハンドオーバ中のMMEからUEへの通信で、上で説明した状態情報は、UEに明示的に送信される必要がない。UEは、(ハンドオーバの前のステップで)SGSNによって確立された対応するデータ・ベアラに関する情報を受信しない(すなわち、RAB IDを受信しない)場合、UTRANでシグナリング接続のみが確立されるべきであると推測することができる。
本発明は、移動通信システムで第1のネットワークから第2のネットワークへの移動ノードのハンドオーバを実行する方法を提供する。移動ノードは、パケット交換サービスおよび小データを受信するために第1のネットワークにアタッチされている。第1のネットワークで確立されたシグナリング接続が、小データを交換するために移動ノードによって使用され、データ接続が、移動ノードのために第1のネットワークで確立されている。第1のネットワークから第2のネットワークへの移動ノードのハンドオーバは、移動ノードをパケット交換サービスおよび小データのために第2のネットワークにアタッチするために開始される。移動ノードと第1のネットワークとの間の小データの交換に関与するノードが、データ接続に対応する第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されるべきであるか否かを判定する。第1のネットワークのシグナリング接続に対応する、第2のネットワークの第2のシグナリング接続が、確立される。判定するステップの結果に応じて、第1のネットワークのデータ接続に対応する、第2のネットワークの第2のデータ接続が、確立されるか、または確立されない。そして、第1のネットワークから第2のネットワークへの移動ノードの開始されたハンドオーバが、完了する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、対応する第2のデータ接続を確立しないと判定された場合、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続は、ハンドオーバ中に確立されない。対応する第2のデータ接続を確立すると判定された場合、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続が、ハンドオーバ中に確立される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、第1のネットワークは、E−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)であり、前記第2のネットワークは、UTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)またはGERAN(GMS EDGE Radio Access Network)である。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、ハンドオーバを完了させた後に小データが交換される、第1のネットワークの移動管理エンティティと第2のネットワークのサービングGPRSサポート・ノードとの間の転送接続が、確立される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、判定が、第1のネットワークのデータ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されているか否かを判定する。データ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されていない場合、対応する第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されない。データ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されている場合、対応する第2のデータ接続が第2のネットワークで確立される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、判定が、第1のネットワークのデータ接続で移動ノードによって交換されるユーザ・データについてのデータ統計に基づいて実行される。好ましくは、判定は、第1のネットワークの移動管理エンティティで実行され、データ統計は、第1のネットワークのコア・ネットワーク・ノードかまたは無線アクセス・ノードかのどちらかから移動管理エンティティによって取得される。好ましくは、判定するステップは、第1のネットワークの無線アクセス・ノードで実行される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、このステップは、
データ接続に割り振られた優先度の値に関する情報、
移動ノードに送信される小データが、データ接続を使用してユーザ・データを送信することによって応答するように移動ノードをトリガするか否かに関する情報、
移動管理エンティティが小データを小データ・プロトコル(small data protocol)を使用して送信しているか、それとも非小データ・プロトコル(non-small data protocol)を使用して送信しているかに関する情報、
移動ノードからの、データ接続が移動ノードによって必要とされているか否かの指示、
のうちの少なくとも1つを考慮する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、データ接続に関する状態情報が、判定の結果に基づいて生成される。好ましくは、第1の状態が、対応する第2のデータ接続が確立されないことを示し、第2の状態が、対応する第2のデータ接続が確立されることを示す。データ接続に関する生成された状態情報は、ハンドオーバ中に、第1のネットワークの移動管理エンティティから第2のネットワークのサービングGPRSサポート・ノードに送信される。第2のネットワークのサービングGPRSサポート・ノードは、第1のネットワークのデータ接続に関する受信された状態情報に応じて、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続を確立するか、または確立しない。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、サービングGPRSサポート・ノードが、第1のネットワークの移動管理エンティティから、第1のネットワークのデータ接続に関するコンテキスト情報を受信する。サービングGPRSサポート・ノードは、移動管理エンティティからのデータ接続に関する受信されたコンテキスト情報に基づいて第2のコンテキスト情報を生成する。有利なことに、サービングGPRSサポート・ノードとコア・ネットワークのサービング・ゲートウェイとの間の関連付けが、第2のコンテキスト情報に基づいて確立される。第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されない場合、サービングGPRSサポート・ノードは、第2のコンテキスト情報を格納するが、第2のネットワークの第2のデータ接続は確立しない。第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されるべきである場合、サービングGPRSサポート・ノードは、第2のコンテキスト情報を格納し、生成された第2のコンテキスト情報に基づいて第2のネットワークの第2のデータ接続を確立する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、データ接続に関する生成された状態情報が、ハンドオーバ中に、第1のネットワークの移動管理エンティティから移動ノードに送信される。移動ノードは、第1のネットワークのデータ接続に関する受信された状態情報に応じて、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続を確立するか、または確立しない。あるいは、移動ノードは、移動管理エンティティからハンドオーバ命令を受信し、受信されたハンドオーバ命令中で特定の情報が欠けているか否かに応じて、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続を確立するか、もしくは確立しない。この特定の情報は、通常、ハンドオーバ先無線ネットワークでのデータ・ベアラの確立中にハンドオーバ先RNCによって生成された(1つまたは複数の)RAB IDである。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、移動ノードが、第1のネットワークのデータ接続に関するコンテキスト情報を格納する。移動ノードは、データ接続に関する格納されたコンテキスト情報に基づいて、第2のデータ接続に関する第2のコンテキスト情報を生成する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、ハンドオーバは、第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されない場合であっても正常に完了する。
さらに、本発明は、移動管理エンティティによってサービスを提供される第1のネットワークから第2のネットワークへの移動ノードのハンドオーバ手順に関与する移動管理エンティティを提供する。移動ノードは、パケット交換サービスおよび小データを受信するために第1のネットワークにアタッチされている。第1のネットワークで確立されたシグナリング接続が、小データを交換するために移動ノードによって使用され、データ接続が、移動ノードのために第1のネットワークで確立されている。ハンドオーバは、移動ノードをパケット交換サービスおよび小データのために第2のネットワークにアタッチするために実行される。移動管理エンティティのプロセッサが、ハンドオーバが実行されるときに、データ接続に対応する第2のデータ接続が第2のネットワークで確立されるべきか否かを判定する。移動管理エンティティの送信機が、第1のネットワークのシグナリング接続に対応する、第2のネットワークの第2のシグナリング接続を確立するように第2のネットワークおよび移動ノードに命令する。さらに、送信機は、判定の結果に応じて、第1のネットワークのデータ接続に対応する、第2のネットワークの第2のデータ接続を確立するか、または確立しないように第2のネットワークおよび移動ノードに命令する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサ、送信機、および受信機が、移動管理エンティティと第2のネットワークのサービングGPRSサポート・ノードとの間の転送接続を確立する。送信機は、ハンドオーバが完了した後、小データをサービングGPRSサポート・ノードに転送する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、第1のネットワークのデータ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されているか否かを判定することによって判定を実行する。データ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されていない場合、送信機が、第2のネットワークの第2のデータ接続を確立しないように命令し、データ接続が移動ノードによってユーザ・データの交換のために使用されている場合、送信機が、第2のネットワークの対応する第2のデータ接続を確立するように命令する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、第1のネットワークのデータ接続で移動ノードによって交換されるユーザ・データについてのデータ統計に基づいて判定を実行し、受信機が、第1のネットワークのコア・ネットワーク・ノードかまたは無線アクセス・ノードかのどちらかからデータ統計を受信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、
データ接続に割り振られた優先度の値に関する情報、
移動ノードに送信される小データが、データ接続を使用してユーザ・データを送信することによって応答するように移動ノードをトリガするか否かに関する情報、
移動管理エンティティが小データを小データ・プロトコルを使用して送信しているか、それとも非小データ・プロトコルを使用して送信しているかに関する情報、
移動ノードからの、データ接続が移動ノードによって必要とされているか否かの指示、
のうちの少なくとも1つに基づいて判定を実行する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、判定の結果に基づいて、データ接続に関する状態情報を生成する。好ましくは、第1の状態が、対応する第2のデータ接続が確立されないことを示し、第2の状態が、第2のデータ接続が確立されることを示す。送信機が、データ接続に関する生成された状態情報を第2のネットワークのサービングGPRSサポート・ノードにさらに送信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機が、データ接続に関する生成された状態情報をハンドオーバ中に移動ノードにさらに送信する。
改良されたハンドオーバの上述の態様にいくらか関連する1つのさらなる態様は、移動ノードが、ハンドオーバ先アクセスで第2のデータ接続を確立するか否かに関するハンドオーバ元ネットワークでの判定を支援することである。特に、移動ノードは、その移動ノードがユーザ・データの交換のためにデータ接続を使用するか否かを知っている。MO SMSデータのみが上りリンクで送信されるべきである場合、またはMT SMSがデバイスをトリガするために使用されない(移動ノードがMT SMSに応答して上りリンク・ユーザ・データを送信しない)場合、移動ノードは、この事実を示すためにMMEまたはeNBに指示を送信することができる。したがって、移動ノードからこの指示を受信するeNBまたはMMEは、その指示から、移動ノードの観点から見てシグナリング接続のみが必要であると推測することができる。この推測は、(上述の態様で説明した)E−UTRANからUTRANへのハンドオーバが実行され、eNBまたはMMEが、E−UTRANのデータ接続に対応するハンドオーバ先ネットワーク(UTRAN)のデータ接続を確立するか否かを判定する必要があるときに役立つ可能性がある。
eNBまたはMMEへのこの指示は、例えば、移動ノードがMO SMSの送信が原因でIDLEからCONNECTEDに移行するときに送信される可能性があり、この場合、データ接続は必要なく、UTRANへのハンドオーバが実行されるとき、UTRANのデータ接続は確立されない。
あるいは、eNBまたはMMEへの指示は、移動ノードが、eNodeBに定期的に送信する測定から、ハンドオーバがまもなく行われることを認識するときにも送信される可能性がある。特に、移動ノードは、RAT間の測定から、別のRATからの信号がハンドオーバの状態を満たしていると推測することができる。したがって、UEは、eNodeBがこのより良いRATへのRAT間ハンドオーバを開始する可能性があると予想することができる。特に、移動ノードが現在E−UTRANにアタッチされており、他方のRATが(データ接続が必須ではない)UTRANである場合、移動ノードは、測定情報に加えて、SMS/シグナリングのみが移動ノードによって使用されていることを(MMEに)示すことができる。
本発明の1つのさらなる態様は、PSのみの配信が保証され、移動ノードがISRを使用している、すなわち、SGSNおよびMMEに同時にアタッチされているが、移動ノードがどちらのネットワーク(SGSNのUTRANかまたはMMEのE−UTRANかのどちらか)にいるかをネットワークが正確に知らない特定のネットワークのシナリオに関する。このシナリオと、結果として生じる問題とは、背景技術の節のISRを説明する章で検討した。
説明しやすくするために、以下では、小データがショート・メッセージ、SMSを用いてカプセル化される、すなわち転送されると仮定するが、これは、さらに説明するように、常にそうである訳ではないに違いない。この態様の以下の原理は、SMSのみに限定されると見なされず、小データの交換のその他の方法にも当てはまる可能性がある。
本発明のこの態様によれば、デフォルトSMSサービング・ノードが、ISRが有効化される場合に移動ノードにSMSを配信するために定義される。概して、デフォルトSMSサービング・ノードは、MMEかまたはSGSNかのどちらかである可能性があり、デフォルトSMSサービング・ノードに関する情報はネットワークに格納されており、したがって、SMSが到着したとき、さらなる配信のためにSMSがどのサービング・ノードに送信されるべきかがすぐに分かる。デフォルトSMSサービング・ノードがどれだけ厳密に定義されるかは、例えば、ネットワークの構成による。例えば、デフォルトSMSサービング・ノードはUEに固有であり、すなわち、各UEに対して異なるデフォルトSMSサービング・ノードがHSSで指定される可能性がある。代替的に、またはそれと組み合わせて、デフォルトSMSサービング・ノードは、UEに固有ではなく(UEに固有であるのみでなく)、地理的地域にやはり依存する。さらに、ノード(SGSNおよびMME)のネイティブのSMS機能が、デフォルトSMSサービング・ノードを指定するために考慮される。ネイティブのSMSをサポートするサービング・ノードのみが、UEおよび/または地域のためのデフォルトSMSサービング・ノードとして指定され得る。
上で説明したSMS配信のためのMMEとSGSNとの間のページングおよびSMS転送を可能にするために、MMEとMSCサーバとの間のSGsインターフェースに似た関連付けが確立されるべきである。これは、ISRモードの有効化の一部である可能性がある。特に、ISRモードの有効化中に、MMEおよびSGSNは、互いのことを知り、したがって、MMコンテキストおよびSMコンテキストがSGSNとMMEとの両方で確立されるS3関連付けを確立する。しかし、S3関連付けは、SGsに似たページングの交換およびSMSデータの送信を可能にするように拡張される可能性がある。
上記の内容を考慮して、以下で説明する本発明のこの態様は、UEがIDLEであり、ISRを有効化しているときに、パケット交換ドメインのみでSMSを配信することを可能にする。概して、デフォルトSMSサービング・ノードが、移動ノードに宛てたSMSを受信し、そのデフォルトSMSサービング・ノード自体のネットワークのページング・メカニズムを開始し、さらに、その他のネットワークにブロードキャストされるべきページング・メッセージを生成し、これは、ページング・メッセージをその他のノードに転送することを含む。UEがどこにあるかに応じて、デフォルトSMSサービング・ノードが、SMSをUEに直接転送することができるか、またはその他のノードが、初めに、デフォルトSMSサービング・ノードからSMSを取得し、次に、取得されたSMSをその他のノードのネットワーク内のUEに転送するかのどちらかである。
MMEがこの特定の移動ノードに関する小データ配信のためのデフォルトSMSサービング・ノードとして構成されると仮定すると、ネットワーク(すなわち、SMS−SC)は、デフォルトSMSサービング・ノードであるMMEにSMSを振り向ける。MMEは、SGdインターフェースを介してSMS−SCからSMSを受信し、そのMME自体のLTEネットワーク内でUEをページングする。さらに、MMEは、UTRANでブロードキャストするためのページング・メッセージを生成し、このページング・メッセージをSGSNに転送し、すると今度は、SGSNが、ページング・メッセージをUTRAN内でブロードキャストする。このページング・メッセージは、UEがPSドメインでのSMS送信のためにページングされることを示すこともできる。
UEは、UEがどこにあるかに応じて、UTRANかまたはE−UTRANかのどちらかで受信されたページングに応答する。それに対応して、UEはCONNECTEDモードに遷移し、ISRが無効化される。UEは、そのUEの位置に応じてSGSNかまたはMMEかのどちらかにアタッチする。
UEは、E−UTRAN内にある場合、E−UTRANでのMMEのページングに応答する。次いで、MMEは、SM−CP/RPプロトコルを用いてUEにSMSを直接送信することができる。
UEがUTRAN内にある場合、UEがSGSNのページングに応答し、SGSNが、UEがUTRAN内にあり、SGSNによってサービスを提供されていることをMMEに知らせる。さらに、ページング・メッセージがPSドメインを介したSMS送信に関するページングについての指示を含むとき、シグナリング接続のみがUTRANで確立される可能性がある。それに応答して、MMEは、SMSをS3インターフェースを介してSGSNに転送し、すると今度は、SGSNが、シグナリング接続を介してNASプロトコル(NASコンテナ)を使用してUTRAN内のUEにSMSを転送することができる。
反対に、SGSNがデフォルトSMSサービング・ノードとして定義される場合、SGSNが、SMS−SCからのMT SMSの受信に応答して、そのSGSN自体のネットワーク内でUEをページングし、E−UTRANでのページングのためのページング・メッセージを生成する。生成されたページング・メッセージは、S3インターフェースを介してMMEに転送され、すると今度は、MMEが、そのMMEのE−UTRANネットワークでそのページング・メッセージをブロードキャストする。
UEがUTRAN内にある場合、UEがSGSNのページングに応答し、SGSNが、SGSNで終端されるSM−CP/RPプロトコルを使用してUEにSMSを直接送信することができる。UEがE−UTRANにある場合、UEがMMEのページングに応答し、MMEが、UEがMMEのE−UTRAN内にあることをSGSNにしかるべく通知する。SGSNは、S3インターフェースを介してMMEにSMSを転送し、MMEは、透過NASコンテナでSMSをカプセル化することができ、次いで、カプセル化されたNASコンテナを、NASプロトコルを用いてそのMMEのネットワーク内のUEに送信する。
この態様の代替は、UEが非デフォルトSMSサービング・ノードのネットワークにアタッチせず(UEが、現在、そのネットワーク内にいるとしても)、その代わりに、可能であれば、UEが、デフォルトSMSサービング・ノードのネットワークへのRAT間再選択を実行することである。特に、MMEが、SMSを受信し、そのMME自体のネットワークと、非デフォルトSMSサービング・ノードであるSGSNのネットワークとでページングを開始するデフォルトSMSサービング・ノードであると仮定する。UEは、UTRAN内にあり、したがって、SGSNからのページングを受信する場合、SGSNにアタッチせず、MMEにアタッチすることができるようにRAT間再選択を実行する。したがって、UEは、MMEからSMSを直接受信することができる。それに対応して、SGSNがデフォルトSMSサービング・ノードであり、UEがMMEのE−UTRANにある場合に同じことが適用される。
本発明のさらなる目的は、通信システムで無線リソースを解放する改良された方法を提供することである。
本発明の別の態様によれば、無線リソースの解放が、移動ノードによって制御され、無線リソースが確かにもはや必要ないときにのみ無線リソースが解放されることを保証するために延期される。これにより、無線リソースが早く解放され過ぎ、その結果、無線リソースがそれらが解放された後すぐに再確立される必要があるという問題を回避する。
本発明の主な原理を説明するために以下のシナリオを仮定する。移動ノードが、アイドル・モードであり、ショート・メッセージ、すなわちSMSをまもなく受信または送信しようとしている。SMSは、移動ノード(MTCデバイス)のMTCアプリケーションに宛てた小データ、または移動ノード(MTCデバイス)のMTCアプリケーションから発信された小データを含む可能性がある。
本発明の第1の包括的な実施形態が、以下で与えられる。
より詳細に言えば、移動ノードが着信データ・トラフィックを監視する。移動ノードは、SMS、または移動ノードがコア・ネットワークに前に送信したSMSに対するACKを受信するとき、タイマを開始する。タイマの目的は、特定の時間、無線リソースの解放を延期することである。タイマは、移動ノードからの/移動ノードへのまもなく行われるさらなる上りリンク/下りリンクの送信などのさまざまなイベントによって中止される可能性がある。あるいは、受信されたSMSがユーザ・データの送信のためのユーザ・プレーンのデータ・ベアラの確立をトリガする場合、タイマはやはり中止される。概して、初めにタイマを開始したデータ交換に引き続いて無線リソースが使用されることになることが明らかである場合、タイマは移動ノードによって中止されるか、または開始すらされないと言うことができる。
そのようなイベントが起こらない場合、すなわち、無線リソースが近い将来に使用されることが明らかでない場合、タイマがやがて切れ、コア・ネットワーク、特に、移動ノードを担当し、無線リソース解放手順を開始する役割を担う移動管理エンティティへの無線リソース解放指示の送信をトリガする。
無線リソース解放指示は、さまざまな方法で移動管理エンティティに送信され得る。例えば、無線リソース解放指示は、別個のメッセージで送信される可能性があり、または受信されたショート・メッセージのACKなどの、移動管理エンティティにかねてから送信されるべきであるメッセージに含められる可能性がある。この指示自体は、アイドル状態に変わるための指示、または移動ノードの上りリンク・バッファがゼロであることを示す指示などの任意の適切なフォーマットである可能性がある。
移動ノードの無線リソース解放タイマの具体的な時間は実装により、例えば、数百または数千ミリ秒の範囲内である可能性がある。
本発明は、通信システムで無線リソースの解放を制御するための方法であって、ユーザ機器が、無線リソースを用いてショート・メッセージ・サービスのショート・メッセージを受信および/または送信することができる、方法を提供する。ユーザ機器において、下りリンク・ショート・メッセージ、またはユーザ機器によって前に送信された上りリンク・ショート・メッセージに対するACKの受信を判定するために、着信データが監視される。下りリンク・ショート・メッセージ、または上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信が判定されたとき、無線リソース解放タイマが開始される。上りリンク・データがユーザ機器からコア・ネットワークに送信されるべきである場合、無線リソース解放タイマが停止される。無線リソース解放タイマが切れるとき、コア・ネットワークが、ユーザ機器のための無線リソースを解放するように命令される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、下りリンク・ショート・メッセージ、もしくは上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信に加えて、または下りリンク・ショート・メッセージ、もしくは上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信の代わりに、ユーザ機器の上位層が無線リソースの解放を指示するときに無線リソース解放タイマが開始される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、さらなる上りリンク・ショート・メッセージがユーザ機器からコア・ネットワークに送信されるべきである場合、またはユーザ・プレーンの無線リソースが確立されるべきである場合、無線リソース解放タイマが停止される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、無線リソースを解放するようにコア・ネットワークに命令するステップが、
アイドル指示を含む解放メッセージを、ユーザ機器を担当する移動管理エンティティに送信するステップ、または
ユーザ機器の上りリンク転送バッファがゼロであることについての情報を含む解放メッセージを、ユーザ機器を担当する移動管理エンティティに送信するステップを含む。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、解放メッセージが、受信されたショート・メッセージのACKをさらに含む。あるいは、解放メッセージは、受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKである。あるいは、解放メッセージが、受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKを含まないとき、無線リソース解放タイマが切れる前に、受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKが、別個のメッセージで移動管理エンティティに送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、ユーザ機器で受信された下りリンク・ショート・メッセージに対するACKがコア・ネットワークでユーザ機器から受信されることを期待する最大時間の前に無線リソース解放タイマが切れる。加えて、または代替として、無線リソース解放タイマは、eNodeBの非アクティブ・タイマの前に切れる。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、ユーザ機器を担当する移動管理エンティティが、上位層からの、無線リソースを解放する命令に応答して、eNodeBおよびユーザ機器との無線リソース解放手順を開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、移動管理エンティティが、ショート・メッセージの上位層エンティティからのリソース解放指示にだけ応答して無線リソース解放手順を開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、無線リソース解放タイマが、一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージの一部ではない下りリンク・ショート・メッセージ、または一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージのうちの最後の下りリンク・ショート・メッセージである下りリンク・ショート・メッセージに対してのみ開始される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、ユーザ機器が、受信された下りリンク・ショート・メッセージのヘッダ情報を処理して、受信された下りリンク・ショート・メッセージが一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージの一部であるか否か、または一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージのうちの最後の下りリンク・ショート・メッセージであるか否かを判定する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの上位層アプリケーションが、コア・ネットワークとデータを交換する。この場合、無線リソースを解放するようにコア・ネットワークに命令するステップが、少なくとも1つの上位層アプリケーションがデータ交換の終了を示すときにも実行される。
本発明は、通信システムで無線リソースの解放を制御するためのユーザ機器であって、無線リソースを用いてショート・メッセージ・サービスのショート・メッセージを受信および/または送信することができる、ユーザ機器を提供する。ユーザ機器の受信機およびプロセッサが、下りリンク・ショート・メッセージ、またはユーザ機器によって前に送信された上りリンク・ショート・メッセージに対するACKの受信を判定するために着信データを監視する。プロセッサは、下りリンク・ショート・メッセージ、または上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信を判定するとき、無線リソース解放タイマを開始する。プロセッサは、上りリンク・データがユーザ機器からコア・ネットワークに送信されるべきである場合、無線リソース解放タイマを停止する。プロセッサおよび送信機は、無線リソース解放タイマが切れるとき、ユーザ機器のための無線リソースを解放するようにコア・ネットワークに命令する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、下りリンク・ショート・メッセージ、もしくは上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信に加えて、または下りリンク・ショート・メッセージ、もしくは上りリンク・ショート・メッセージのACKの受信の代わりに、プロセッサが、ユーザ機器の上位層が無線リソースの解放を指示するときに無線リソース解放タイマを開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、さらなる上りリンク・ショート・メッセージがユーザ機器からコア・ネットワークに送信されるべきである場合、またはユーザ・プレーンの無線リソースが確立されるべきである場合、無線リソース解放タイマを停止する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機が、アイドル指示を含む解放メッセージを、ユーザ機器を担当する移動管理エンティティに送信すること、受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKとして解放メッセージを送信すること、または、ユーザ機器の上りリンク転送バッファがゼロであることについての情報を含む解放メッセージを、ユーザ機器を担当する移動管理エンティティに送信することによって、ユーザ機器のための無線リソースを解放するようにコア・ネットワークに命令する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、解放メッセージが受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKを含まないとき、プロセッサおよび送信機が、無線リソース解放タイマが切れる前に、受信された下りリンク・ショート・メッセージのACKを別個のメッセージで移動管理エンティティに送信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、ユーザ機器で受信されたショート・メッセージに対するACKがコア・ネットワークでユーザ機器から受信されることを期待する最大時間の前に切れるように無線リソース解放タイマを設定する。加えて、または代替として、プロセッサは、eNodeBの非アクティブ・タイマの前に切れるように無線リソース解放タイマを設定する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサ、受信機、および送信機が、コア・ネットワーク対する、ユーザ機器のための無線リソースを解放する命令に応答して移動管理エンティティによって開始される無線リソース解放手順に関与する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、好ましくは受信された下りリンク・ショート・メッセージのヘッダ情報を処理することによって、一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージの一部ではないと判定されたショート・メッセージ、または一連の連結された下りリンク・ショート・メッセージのうちの最後の下りリンク・ショート・メッセージであると判定されたショート・メッセージに対してのみ無線リソース解放タイマを開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの上位層アプリケーションが、コア・ネットワークとデータを交換する。この場合、プロセッサが、少なくとも1つの上位層アプリケーションがデータ交換の終了を示すときに、無線リソースを解放するようにコア・ネットワークに命令する。
本発明は、通信システムで無線リソースの解放を制御するための移動管理エンティティであって、ユーザ機器が、無線リソースを用いてショート・メッセージ・サービスのショート・メッセージを受信および/または送信することができる、移動管理エンティティをさらに提供する。移動管理エンティティのプロセッサおよび送信機が、上位層からの、ユーザ機器のための無線リソースを解放する命令と、ユーザ機器からの指示とに応答して、ユーザ機器のための無線リソースを解放するための、eNodeBおよびユーザ機器との無線リソース解放手順を開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機が、ショート・メッセージの上位層エンティティからのリソース解放指示と、ユーザ機器からのアイドル指示とにだけ応答して、無線リソース解放手順を開始する。
本発明は、通信システムで無線リソースの解放を制御するための移動管理エンティティであって、ユーザ機器が、無線リソースを用いてショート・メッセージ・サービスのショート・メッセージを受信および/または送信することができる、移動管理エンティティをさらに提供する。受信機がショート・メッセージ・サービス・センター(short message service center)からリソース解放指示を受信するときに、移動管理エンティティのプロセッサが無線リソース解放タイマを開始する。プロセッサは、ユーザ機器のために上りリンク・データまたは下りリンク・データが送信されるべきである場合、無線リソース解放タイマを停止する。プロセッサは、無線リソース解放タイマが切れるとき、ユーザ機器のための無線リソースを解放する内部命令を生成する。プロセッサおよび送信機は、生成された内部命令に応答して、ユーザ機器のための無線リソースを解放するための、eNodeBおよびユーザ機器との無線リソース解放手順を開始する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機がユーザ・プレーンの無線リソースの確立に関連するユーザ機器からのメッセージを受信するとき、プロセッサが無線リソース解放タイマを停止する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機が下りリンク・ショート・メッセージに肯定応答するためのユーザ機器からのACKメッセージを受信するときにのみ、プロセッサが無線リソース解放タイマを開始する。
本発明のさらなる目的は、小データをユーザ機器に送信する改良された方法を提供することである。
これは、小データがユーザ機器に関して保留されるべきであるときに、ユーザ・プレーンではなく、制御プレーンの接続のみを確立するようにユーザ機器をトリガすることによって解決される。
これらの原理は、IDLEモードまたはDEREGISTEREDモードであるユーザ機器に適用され得る。ユーザ機器がIDLEモードであるとき、ユーザ機器は、コア・ネットワークとのいかなる制御プレーンまたはユーザ・プレーンの接続性(connectivity)も持たないが、コア・ネットワークは、ユーザ機器の位置、ベアラなどに関する情報を含むUEコンテキストを格納している。ユーザ機器がDEREGISTEREDモードであるとき、ユーザ機器は、コア・ネットワークとのいかなる制御プレーンまたはユーザ・プレーンの接続性も持たず、さらに、コア・ネットワークは、通常、ID、およびユーザ機器がいる可能性があるおおよその位置以外にユーザ機器からのいかなるコンテキストも格納していない。
ユーザ機器がIDLEモードまたはDEREGISTEREDであると仮定する。コア・ネットワークが、ユーザ機器に宛てた小データを受信する。しかし、ユーザ機器がコア・ネットワークに接続されていないので、小データはユーザ機器に転送できない。それに対応して、ユーザ機器は、小データを受信するためにコア・ネットワークに接続するようにコア・ネットワークによってトリガされる必要がある。ユーザ機器に宛てたデータが小データのみであるので、小データは、制御プレーンのみを用いて、すなわち、ユーザ・プレーンを使用せずに送信されるべきである。
それに対応して、ユーザ機器に送信されるトリガ・メッセージが、ユーザ機器がコア・ネットワークとの制御プレーンの接続性のみを確立すべきであることをユーザ機器に知らせるための指示を含む。トリガ・メッセージと、含まれる制御プレーンのみの指示とにしたがって、ユーザ機器は、制御プレーンのベアラの確立を開始することができる。そして、確立された制御プレーンの接続性、すなわち、制御プレーンのベアラが、ユーザ機器に小データを与えるためにコア・ネットワークによって使用され得る。
ユーザ機器がIDLEモードである場合、上述のトリガ・メッセージはコア・ネットワークから送信されるページング・メッセージであり、このページング・メッセージは、ユーザ機器が制御プレーンのみの接続性を確立するべきであるか、または制御プレーンの接続とユーザ・プレーンの接続との両方を確立すべきであるかを判別するためのフラグなどの指示によって拡張される。
ユーザ機器が、例えば、下りリンクで受信された小データに応答して上りリンク・データを送信すべきである場合、上りリンク・データが十分に小さいならば、ユーザ機器は、制御プレーンのベアラを使用して、すなわち、この目的でユーザ・プレーンのユーザ・データ・ベアラを確立することを必要とせずに上りリンク・データをやはり送信することができる。
ユーザ機器がコア・ネットワークにアタッチされていない(DEREGISTERED)か、またはIDLEモードであるかのどちらかであるとき、通常、制御ネットワークの1つのエンティティがユーザ機器をトリガする役割を担う。以下で接続性関連ネットワーク・エンティティ(connectivity-related network entity)とも称されるこのエンティティは、通常、コア・ネットワークの移動管理エンティティ(MME)である。MMEは、(1つまたは複数の)ユーザ機器をページングするためにeNodeBにページング要求メッセージを送信する。さらに、MMEは、ユーザ機器が基地局(eNodeB)にアタッチするように、ユーザ機器がDEREGISTEREDであるときにユーザ機器をトリガするためのエンティティである可能性がある。
小データは、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される可能性があり、そのとき、接続性関連ネットワーク・エンティティは、小データの宛先であるユーザ機器を特定する。次いで、接続性関連ネットワーク・エンティティは、小データを受信するためにIDLE/DEREGISTEREDモードからCONNECTEDモードに遷移するように対応するユーザ機器をトリガする(例えば、ページングする)。この場合、小データは、SMSによって回線交換ネットワークから受信されるか、またはPDNゲートウェイおよびサービング・ゲートウェイからパケット交換回線を介して受信されるかのどちらかである可能性がある。
あるいは、接続性関連ネットワーク・エンティティは、小データ自体は受信せず、小データに関連する別のトリガ・メッセージまたは指示を受信する可能性がある。例えば、小データがパケット交換ネットワークを介して受信され、PDNゲートウェイからサービング・ゲートウェイに転送される場合、サービング・ゲートウェイが、小データを小データとして特定することができ、したがって、制御プレーンの接続性に関してのみユーザ機器をトリガ/ページングするように接続性関連ネットワーク・エンティティ(例えば、MME)をトリガすることができる。
第1の態様の手順によってもたらされる利点は、ネットワークから下りリンクの小データを受信するために制御プレーンの接続性のみが必要であることをユーザ機器がトリガ・メッセージから知るので、データ・ベアラ、すなわちユーザ・プレーンが確立されないことである。
さらなる態様によれば、小データの上で説明した送信は、ユーザ機器から送信されるべき上りリンク・データをさらに考慮するために変更される。例えば、ユーザ機器が受信する小データに応答して、または単純に、ユーザ機器がネットワークにアタッチする次の機会に送信されるべき上りリンク・データがユーザ機器で保留中であるために、ユーザ機器が上りリンク・データをコア・ネットワークに送信する必要があると想定され得る。
それに対応して、ユーザ機器は、下りリンクの小データを受信するためにネットワークに接続するようにコア・ネットワークからトリガ・メッセージを受信する場合、ネットワークに送信されるべき保留中の上りリンク・データが存在するか否かを判定する。さらに、ユーザ機器は、小データに応答して上りリンク・データがネットワーク送信されるべきか否かを判定する。特に、ユーザ機器は、小データを受信しない(しかし、指示を含むトリガ・メッセージだけ受信する)が、以前の統計から、またはアプリケーションの構成に応じて、上りリンク・データが送信されるべきか否かを推定することができ、送信されるべきである場合、どれぐらいの量の上りリンク・データが送信されるべきか、およびどれぐらい頻繁に上りリンク・データが送信されるべきか(周期)などの上りリンク・データのさらなる詳細をさらに決定することができる。
その決定された情報に基づいて、ユーザ機器は、コア・ネットワークへの上りリンク・データを送信するのにも制御プレーンの接続性で十分であるか否かを判断することができる。ユーザ機器は、制御プレーンのシグナリングが上りリンク・データの送信をサポートするのに十分であると判断する場合、制御プレーンの接続性の確立だけを開始し、制御プレーンの接続性を確立した後、制御プレーンのみを使用して、すなわち、ユーザ・プレーンの接続を使用せずに上りリンク・データを送信する。さらに、ユーザ機器は、制御プレーンを確立するためのメッセージのうちの1つで、制御プレーンのみの接続性で十分であるという指示を送信することができる。このようにして、接続性関連ネットワーク・エンティティは、ユーザ機器がユーザ・プレーンなしで制御プレーンのみを確立したいことをやはり知ることができる。
しかし、ユーザ機器が、制御プレーンが保留中のまたは推定された将来の上りリンク・データを送信するのに十分でないと判定する場合、制御プレーンの接続性およびユーザ・プレーンの接続性が確立されるべきである。したがって、ユーザ機器は、制御プレーンを確立するためのメッセージのうちの1つで、ユーザ・プレーンの接続性が望ましい/必要であるという指示を送信することができる。
ゆえに、接続性関連ネットワーク・エンティティは、制御プレーンのシグナリング・ベアラのみでなく、ユーザ・プレーンのデータ・ベアラも確立する。
あるいは、ユーザ・プレーンが必要か否かをユーザ機器で判定する代わりに、ユーザ機器は、制御プレーンを確立するためのメッセージのうちの1つに、保留中のまたは推定された将来の上りリンク・データに関する情報を含めることもできる。この場合、接続性関連ネットワーク・エンティティが、その情報を受信し、その接続性関連ネットワーク・エンティティ自体で、ユーザ機器からの上りリンク・データの送信を可能にするためにユーザ・プレーンの接続性も必要であるか否かを決定することができる。接続性関連ネットワーク・エンティティは、受信された情報に基づいてその接続性関連ネットワーク・エンティティの判断を行うことができ、さらに、任意で、上りリンク・データを処理するための接続性関連ネットワーク・エンティティにおけるあり得る制限などのさらなるパラメータを考慮する可能性もある。より詳細に言えば、上りリンク・データが制御プレーンのシグナリングを使用して送信されるとき、上りリンク・データは、基地局を介して接続性関連ネットワーク・エンティティに送信される。接続性関連ネットワーク・エンティティの負荷または構成(例えば、最大上りリンク・データなど)に応じて、接続性関連ネットワーク・エンティティは、制御プレーンを介した上りリンク・データの送信を行うかまたは行わないと決定する可能性がある。
何らかの方法で、制御プレーンの接続性およびユーザ・プレーンの接続性が、ユーザ機器とネットワークとの間で確立される。したがって、下りリンク・データおよび上りリンク・データは、確立されたユーザ・プレーンの接続を介して送信され得る。
さらなる態様によれば、ユーザ機器が、ユーザ・プレーンの接続を確立するか否かの決定を、そのような決定が行われていない場合にやはり行うことができるように、上で説明した手順が拡張される。特に、ユーザ機器が、トリガ・メッセージを受信したときに、ユーザ・プレーンを確立すると決定せず、接続性関連ネットワーク・エンティティも、ユーザ・プレーンを確立すると決定しなかったと仮定すると、ユーザ機器は、下りリンクの小データを受信したときに、上りリンク・データを送信するためにユーザ・プレーンの接続が必要か否かを再び判断する可能性がある。
これは、(受信される下りリンクの小データに応答する)あり得る将来の上りリンク・データに関する推定が不正確であり、より多くの上りリンク・データが送信される場合に特に有利である。制御プレーンは既に確立されており、下りリンクの小データが、接続性関連ネットワーク・エンティティからユーザ機器に送信される。小データを受信すると、ユーザ機器は、今、および近い将来、ネットワークに送信されるべき上りリンク・データを正確に判定することができる。したがって、ユーザ機器は、上りリンク・データに関する新しい情報に基づいて、ユーザ・プレーンの接続が必要か否かを再び判断することができる。
ユーザ機器による判定は、例えば、接続性関連ネットワーク・エンティティでの処理に関連するさらなる情報にも基づく可能性がある。特に、前に説明したように、制限パラメータまたは構成パラメータも、上りリンク・データが制御プレーンを介して送信され得るか、またはユーザ・プレーンを介して送信され得るかを判定するために考慮され得る。接続性関連ネットワーク・エンティティは、そのような制限情報を決定することができ、制御プレーン確立手順中にその情報をユーザ機器に送信することができる。
したがって、ユーザ機器は、接続性関連ネットワーク・エンティティが制御プレーンでその量の上りリンク・データを処理することができるか否かを判定するために、「正確な」上りリンク・データを、接続性関連ネットワーク・エンティティからの情報と照らし合わせることができる。
ユーザ・プレーンの接続が必要ない場合、ユーザ機器は、単に、制御プレーンのシグナリングを用いた上りリンク・データの送信に進む。一方、ユーザ機器は、上りリンク・データがユーザ・プレーンで送信されるべきであると判断する場合、ユーザ・プレーンの接続の確立をトリガする。ユーザ・プレーンの接続性を持った後、上りリンク・データおよびあり得るさらなる下りリンクの小データが、ユーザ・プレーンの接続を介して送信される。
要約すると、さまざまな態様によれば、下りリンクの小データの送信が、初め、制御プレーンのシグナリングによって計画される。しかし、制御プレーンを確立する途中と、さらに確立した後とに、(例えば、ユーザ機器から送信されるべき上りリンク・データを考慮して)ユーザ・プレーンも送信されるべきであるか否かを(接続性関連ネットワーク・エンティティか、またはユーザ機器かのどちらかで)決定することができる。この目的のために、さまざまな情報が、この決定を行うためにユーザ機器と接続性関連ネットワーク・エンティティとの間で交換される。
本発明をより深く理解するための例によれば、基地局を含む移動通信ネットワークに加入しているユーザ機器に下りリンクの小データ・パケットを送信するための方法が提供される。ユーザ機器は、制御プレーンのみを介した移動通信ネットワークとの接続性を確立するように、接続性関連ネットワーク・エンティティによってトリガされる。トリガするステップに応答して、ユーザ機器および接続性関連ネットワーク・エンティティは、ユーザ機器に関する制御プレーンの接続性を確立する。下りリンクの小データ・パケットは、確立された制御プレーンの接続性を使用してユーザ機器に送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器がIDLE状態であるとき、トリガするステップが、制御プレーンのみの指示(control-plane-only indication)を含むページング・メッセージをユーザ機器に送信するステップを含む。この場合、接続性関連ネットワーク・エンティティは、ユーザ機器の移動管理エンティティである。あるいは、ユーザ機器がDEREGISTERED状態であるとき、トリガするステップは、制御プレーンのみの指示を含むデバイス・トリガ・メッセージをユーザ機器に送信するステップを含む。この場合、接続性関連ネットワーク・エンティティは、移動管理エンティティである。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、下りリンクの小データ・パケットが、制御プレーンの非アクセス層メッセージを使用してユーザ機器に送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、下りリンクの小データ・パケットが、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信され、シグナリング・メッセージを使用して接続性関連ネットワーク・エンティティから基地局に送信され、RRC、無線リソース制御メッセージを使用して基地局からユーザ機器に送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、接続性関連ネットワーク・エンティティが、接続性を確立した時点、および/または接続性関連ネットワーク・エンティティがユーザ機器をトリガするためのトリガを受信するインターフェースに基づいて、制御プレーンの接続性に関してのみユーザ機器をトリガすることを決定する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器および接続性関連ネットワーク・エンティティが、ユーザ・プレーンの接続性および制御プレーンの接続性の確立に関連するコンテキスト情報を格納する。しかしながら、接続性関連ネットワーク・エンティティは、制御プレーンの接続性のみを確立することを決定する。さらに、接続性関連ネットワーク・エンティティは、制御プレーンのみが確立されることを保証する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、下りリンクの小データ・パケットが接続性関連ネットワーク・エンティティによって受信される場合、接続性関連ネットワーク・エンティティによってトリガするステップが、下りリンクの小データ・パケットを受信することによってトリガされる。下りリンクの小データ・パケットがゲートウェイによって受信される場合、接続性関連ネットワーク・エンティティによってトリガするステップが、ゲートウェイから接続開始メッセージを受信することによってトリガされ、接続開始メッセージが下りリンクの小データ・パケットに関する情報を含む。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、下りリンクの小データ・パケットがゲートウェイによって受信される場合、下りリンクの小データ・パケットが、制御プレーンのシグナリングを使用してゲートウェイから接続性関連ネットワーク・エンティティに送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、トリガするステップに応答して制御プレーンの接続性の確立を開始するときに、ユーザ機器が制御プレーン確立タイマを開始する。制御プレーン確立タイマは、移動通信ネットワークとの制御プレーンの接続性を確立したときに停止される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、トリガするステップに応答して、ユーザ機器が、下りリンクの小データ・パケットに応答して送信されるべき上りリンク・データの特徴を推定する。ユーザ機器は、上りリンク・データの推定された特徴を接続性関連ネットワーク・エンティティに送信する。接続性関連ネットワーク・エンティティは、上りリンク・データの受信された特徴に基づいて、データ・ベアラを確立すべきか否かについて決定する。接続性関連ネットワーク・エンティティがデータ・ベアラを確立すると決定した場合、下りリンクの小データ・パケットは、確立されたデータ・ベアラを使用してユーザ機器に送信される。上りリンク・データも、確立されたデータ・ベアラを使用してユーザ機器から送信される。接続性関連ネットワーク・エンティティがデータ・ベアラを確立しないと決定した場合、下りリンクの小データ・パケットは、確立された制御プレーンの接続性を使用してユーザ機器に送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、接続性関連ネットワーク・エンティティによる決定が、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される上りリンク・データの処理に関連する制限パラメータにさらに基づく。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、接続性関連ネットワーク・エンティティが、データ・ベアラを確立しないと決定した場合、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される上りリンク・データの処理に関連する制限パラメータを決定する。接続性関連ネットワーク・エンティティは、決定された制限パラメータをユーザ機器に送信する。ユーザ機器は、受信された下りリンクの小データ・パケットに基づいて、送信されるべき上りリンク・データを決定する。ユーザ機器は、受信された制限パラメータに応じて、かつ決定された送信されるべき上りリンク・データに基づいて、上りリンク・データを送信するためにデータ・ベアラを確立すべきか否かについて判定する。そのとき、ユーザ機器がデータ・ベアラを確立すると決定した場合、上りリンク・データが、確立されたデータ・ベアラを使用して送信され、下りリンクの小データ・パケットが、確立されたデータ・ベアラを使用して送信される。ユーザ機器がデータ・ベアラを確立しないと決定した場合、上りリンク・データが、確立された制御プレーンの接続性を使用して送信される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、上りリンク・データの特徴が、上りリンク・データの量および/もしくは周期性に関する情報、ならびに/または上りリンク・データが小さいのか、もしくは大きいのかについての指示を含む。
下りリンクの小データ・パケットを受信するためのユーザ機器であって、基地局を含む移動通信ネットワークに加入している、ユーザ機器が提供される。ユーザ機器の受信機が、制御プレーンのみを介した移動通信ネットワークとの接続性を確立するための、接続性関連ネットワーク・エンティティからのトリガ・メッセージを受信する。ユーザ機器のプロセッサ、ユーザ機器の送信機、および受信機が、トリガ・メッセージに応答して、接続性関連ネットワーク・エンティティとの制御プレーンの接続性を確立する。受信機は、確立された制御プレーンの接続性を用いて下りリンクの小データ・パケットを受信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器がIDLE状態であるとき、受信機が、ページング・メッセージをトリガ・メッセージとして受信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、受信機が、RRC、無線リソース制御メッセージを使用して基地局から下りリンクの小データ・パケットを受信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、プロセッサが、制御プレーンの接続性の確立を開始するときに、制御プレーン確立タイマを開始する。そして、プロセッサは、移動通信ネットワークとの制御プレーンの接続性を確立したときに制御プレーン確立タイマを停止する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器のプロセッサが、トリガ・メッセージの受信に応答して、下りリンクの小データ・パケットに応答して送信されるべき上りリンク・データの特徴を推定する。接続性関連ネットワーク・エンティティが上りリンク・データの送信された特徴に基づいてデータ・ベアラを確立すべきか否かについて決定するように、送信機が、上りリンク・データの推定された特徴を接続性関連ネットワーク・エンティティに送信する。接続性関連ネットワーク・エンティティがデータ・ベアラを確立すると決定した場合、受信機、送信機、およびプロセッサが、データ・ベアラを確立する。受信機は、確立されたデータ・ベアラを用いて下りリンクの小データ・パケットを受信する。送信機は、確立されたデータ・ベアラを使用して上りリンク・データを送信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、接続性関連ネットワーク・エンティティがデータ・ベアラを確立しないと決定した場合、受信機が、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される上りリンク・データの処理に関連する制限パラメータを接続性関連ネットワーク・エンティティから受信する。プロセッサが、受信された下りリンクの小データ・パケットに基づいて、送信されるべき上りリンク・データを決定する。プロセッサは、受信された制限パラメータに応じて、かつ決定された送信されるべき上りリンク・データに基づいて、上りリンク・データを送信するためにデータ・ベアラを確立すべきか否かを判断する。プロセッサがデータ・ベアラを確立すると決定した場合、送信機、受信機、プロセッサが、データ・ベアラを確立する。送信機は、確立されたデータ・ベアラを使用して上りリンク・データを送信し、受信機は、確立されたデータ・ベアラを使用して下りリンクの小データ・パケットを受信する。
基地局を含む移動通信ネットワークに加入しているユーザ機器に下りリンクの小データ・パケットを送信するための接続性関連ネットワーク・エンティティが、提供される。送信機が、制御プレーンのみを介した移動通信ネットワークとの接続性を確立するための、ユーザ機器へのトリガ・メッセージを送信する。プロセッサ、受信機、および送信機が、ユーザ機器に関する制御プレーンの接続性を確立する。送信機は、確立された制御プレーンの接続性を使用してユーザ機器に下りリンクの小データ・パケットを送信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器がIDLE状態であるとき、送信機が、制御プレーンのみの指示を含むページング・メッセージをトリガ・メッセージとして送信する。この場合、接続性関連ネットワーク・エンティティは、ユーザ機器の移動管理エンティティである。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、送信機が、制御プレーンの非アクセス層メッセージを使用して下りリンクの小データ・パケットを送信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、ユーザ機器および接続性関連ネットワーク・エンティティが、ユーザ・プレーンの接続性および制御プレーンの接続性の確立に関連するコンテキスト情報を格納する。接続性関連ネットワーク・エンティティのプロセッサが、制御プレーンの接続性のみを確立すると判断し、後で、確立中に、制御プレーンのみが確立されることが保証される。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、プロセッサが、接続性を確立した時点、および/または受信機がユーザ機器をトリガするためのトリガを受信するインターフェースに基づいて、制御プレーンの接続性に関してのみユーザ機器をトリガすることを決定する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、下りリンクの小データ・パケットが接続性関連ネットワーク・エンティティによって受信される場合、トリガ・メッセージの送信が、受信機が下りリンクの小データ・パケットを受信することによってトリガされる。あるいは、下りリンクの小データ・パケットが移動通信ネットワークのゲートウェイによって受信される場合、トリガ・メッセージの送信が、受信機がゲートウェイから接続開始メッセージを受信することによってトリガされ、接続開始メッセージが下りリンクの小データ・パケットに関する情報を含む。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、受信機が、下りリンクの小データ・パケットに応答してユーザ機器によって送信されるべき上りリンク・データの特徴をユーザ機器から受信する。プロセッサが、上りリンク・データの受信された特徴に基づいて、データ・ベアラを確立すべきか否かについて決定する。プロセッサがデータ・ベアラを確立すると決定した場合、受信機、プロセッサ、および送信機が、データ・ベアラを確立する。送信機は、確立されたデータ・ベアラを使用してユーザ機器に下りリンクの小データ・パケットを送信する。受信機は、確立されたデータ・ベアラを使用して上りリンク・データを受信する。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、決定が、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される上りリンク・データの処理に関連する制限パラメータにさらに基づく。
上記の内容に対して追加的または代替的に使用され得る有利な例によれば、プロセッサが、データ・ベアラを確立しないと決定した場合、接続性関連ネットワーク・エンティティで受信される上りリンク・データの処理に関連する制限パラメータを決定する。送信機が、ユーザ機器が上りリンク・データを送信するためにデータ・ベアラを確立すべきか否かについて決定するために、決定された制限パラメータをユーザ機器に送信する。ユーザ機器がデータ・ベアラを確立すると決定した場合、受信機が、確立されたデータ・ベアラを使用して上りリンク・データを受信し、送信機が、確立されたデータ・ベアラを使用して下りリンクの小データ・パケットをユーザ機器に送信する。
以下、本発明を、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
[定義]
以下で、本明細書で頻繁に使用されるいくつかの用語を定義する。
「移動ノード」は、通信ネットワーク内の物理的なエンティティである。1つのノードは、いくつかの機能エンティティを有する可能性がある。機能エンティティとは、所定の一式の機能を実装し、および/または所定の一式の機能をノードもしくはネットワークのその他の機能エンティティに提供するソフトウェア・モジュールまたはハードウェア・モジュールを指す。ノードは、ノードが通信することができる通信設備または媒体にノードをアタッチする1つまたは複数のインターフェースを有する可能性がある。同様に、ネットワーク・エンティティは、そのネットワーク・エンティティがその他の機能エンティティまたは通信相手のノードと通信することができる通信設備または媒体に機能エンティティをアタッチする論理インターフェースを有する可能性がある。
「MTCデバイス」は、移動ノードと一緒に配置される可能性があり、または移動ノードと一緒に配置されない可能性がある、通信ネットワーク内の機能エンティティと理解され得る。MTCデバイスは、マシン型通信の要件に合わせて適合または最適化される。
「小データ」は、小さなIPパケット(例えば、最大1000バイトまで)、SMS、または何らかのその他のアプリケーションに固有のデータである可能性があるデータの小さなチャンクと理解され得る。「小データ」という用語は現在の標準化で既に使用されているが、その正確な意味は決められていない。必ずではないがよくある解釈は、そのデータがSMSに収まるほど十分に小さいことである。それに対応して、小データは、SMSのペイロードである140バイト未満である可能性がある。したがって、本発明においては、小データは、SMSであるとも理解され得る。しかし、上で説明したように、この点に関しては、標準化によって近い将来に決定されるであろう。そのとき、本発明と本発明の実施形態とは、決定された小データに対して適用され得る。
「加入した」という用語は、ユーザ機器がネットワーク・リソースの利用を申し込んでいるときに、ネットワークが、少なくとも、ユーザ機器がネットワークにアタッチするのをサポートするために十分な情報を知っていることであると理解され得る。特に、これは、IMSIなどのユーザ機器のID、ユーザ機器がネットワーク内でどのリソースを利用することを許されているかの情報、ユーザの機能についての情報である可能性がある。さらに、ユーザ機器を効率的に「探索」することを可能にするために、ネットワークは、ユーザ機器のおおよその位置を知っている可能性がある。ユーザ機器がIDLEモードである場合、ネットワークは、ユーザ機器をページングすることができるように、IMSI、(1つまたは複数の)あり得るトラッキング・エリア、ベアラ・コンテキスト(EPS、SRB)を含むコンテキスト・データをコア・ネットワークに格納している。
一部の実施形態は、「データ・ベアラ(またはデータ接続)」と制御プレーンの接続性(すなわち、シグナリング接続/ベアラ)とを区別する。基本的に、データ・ベアラは、ユーザ・プレーンに関連付けられ、ユーザ・プレーンの一部をなし、ユーザ・データを転送するために確立され、概してユーザ機器とネットワークとの間で制御シグナリングを転送する制御プレーンおよび「シグナリング・ベアラ」とは対照的である。
実施形態の一部で使用される用語「アタッチ」または「アタッチされた」は、ユーザ機器がデータを送受信するためにネットワークに登録されることと理解され得る。「アタッチされた」状態では、ネットワークが、少なくともおおよそ、ユーザ機器の位置を知っており、したがって、着信データ(移動体終端データ)がユーザ機器に到達できる。
用語「ハンドオーバ」は、主としてCONNECTEDモードでの移動に関連して使用され、上りリンク・データまたは下りリンク・データがハンドオーバ元のポイント(BS、NodeB、eNodeB、またはアクセス・ネットワークそのもの)からハンドオーバ先のポイント(BS、NodeB、eNodeB、またはアクセス・ネットワークそのもの)に転送またはリダイレクトされることも意味する。
以下で、いくつかの例を詳細に説明する。これらの説明は、本発明を限定するものと理解されるべきでなく、本発明をより深く理解するための本発明の実施形態の単なる例として理解されるべきである。当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明の基本原理が、異なるシナリオに、本明細書において明確に説明されていない方法で適用され得ることが分かるに違いない。
一例によれば、従来技術の問題の一部が、小データがユーザ機器に関して保留されるべきであるときに、ユーザ・プレーンではなく、制御プレーンの接続のみを確立するようにユーザ機器をトリガすることによって解決される。図7および8を参照して詳細な説明を行う。
図7は、コア・ネットワーク、すなわちコア・ネットワーク・エンティティがユーザ機器宛ての小データを受信すると仮定した基本的な例を開示している。ユーザ機器は、ネットワークにアタッチされておらず、すなわち、登録解除状態またはアイドル状態であり、いずれにせよ、小データを受信するためのネットワークとの接続を持たない。下りリンク・データが保留中であるときにネットワークに接続するようにユーザ機器をトリガする役割を担うコア・ネットワーク・エンティティ(以降、接続性関連ネットワーク・エンティティと表記される)が、ユーザ機器がいる無線セルのeNodeBを介してユーザ機器をトリガする。下りリンク・データが小さいので、接続性関連ネットワーク・エンティティは、制御プレーンに関してのみユーザ機器をトリガすることを決定する。それに対応して、トリガ・メッセージは、制御プレーンの接続性のみを確立し、予測するようにユーザ機器に命令するフラグなどの適切な指示を含む。ユーザ機器および接続性関連ネットワーク・エンティティは、下りリンクの小データが送信され得る、ユーザ機器と接続性関連ネットワーク・エンティティとの間の制御プレーンの接続を確立する。
制御プレーンのみを使用する利点は、とりわけ、シグナリング、遅延、およびトラフィック全体が削減でき、ネットワークのリソースが節約でき、UEの処理能力を小さくできることである。小データによって消費されるバイト数は、通常、ユーザ・プレーンを確立するシグナリングによって消費されるバイト数よりもずっと少ないので、多数のUEが「小データ」向けに構成されている場合、ネットワークのトラフィック全体が大幅に削減でき、これは、特にマシン型デバイスの場合に当てはまりやすい。さらに、制御プレーンのシグナリングのみを使用するので、UEは、CONNECTED状態に遷移する必要がなく、したがって、無線測定報告と、eNodeBレベルの移動と、結果としてUEの電力とが節約できる。
上で説明したように、接続性関連ネットワーク・エンティティは、小データを受信するときに、制御プレーンに関してのみユーザ機器をページングすることを決定する。換言すると、接続性関連ネットワーク・エンティティは、受信されたデータが「小データ」であるか否かを判定し、それに対応して、制御プレーンのみの指示をしながら、または制御プレーンのみの指示をせずにユーザ機器をページングする。その他の実施形態においては、制御プレーンのみに関してページングを行うという決定は、受信されたデータが小さいか否かだけに依存するのではなく、時間帯、データが受信されたインターフェースなどの観点にさらに依存する可能性があり、または小データに加えて特別な指示が受信される場合にだけ行われる可能性がある。それらの観点に基づいて、接続性関連ネットワーク・エンティティは、さらなるデータが送信されるか否か、または一部のネットワーク・エンティティに対する負荷が限界に達し、したがって、ユーザ・プレーンを使用することが好ましいか否か、を判定することができる可能性がある。
別の観点は、ユーザ機器がIDLEモードであるときに格納したコンテキストに関連する。特に、ユーザ機器がCONNECTEDモードからIDLEモードに変わるとき、ネットワーク(例えば、MME)およびユーザ機器は、データ・ベアラおよびユーザ・プレーンに関連するコンテキストを含むユーザ機器コンテキストを格納する。従来技術においては、ユーザ機器がネットワークによってページングされるとき、コンテキストが利用できるすべてのベアラ、すなわち、制御プレーンの接続およびユーザ・プレーンの接続が確立される。
この例によれば、ユーザ機器が、制御プレーンに関してのみページングされる。したがって、ネットワークおよび/またはユーザ機器が利用可能なユーザ・プレーンのベアラ・コンテキストを持っていたとしても、制御プレーンの接続のみが確立される。コンテキストが利用できるユーザ・プレーンのそれらのデータ・ベアラは、確立されない。
図8は、図7の上で説明した例に基づいているが、LTEの特定のシステムでこれらの原理を実装する。
図8の例では、以下のことを仮定する。ユーザ機器がIDLEモードであり、小データが、背景技術の節で説明したSMS−o−SGsメカニズムを用いてMMEで受信される。ユーザ機器および/またはネットワークが、特別な機能である「小データ送信」、すなわち、小データ・パケットの特別な処理をするように構成されているとさらに仮定する。「小データ」機能は、背景技術の節で説明したMTCデバイス用に定義されている。以下の説明では、ユーザ機器とだけ述べるが、ユーザ機器とはMTCデバイスのことも指す可能性があると留意すべきである。
「小データ」機能により、ネットワークおよびユーザ機器は、(1つまたは複数の)ユーザ・プレーンの接続を確立することを避けるために、可能であれば、ユーザ・プレーンではなく制御プレーンを介して小データが転送されるべきであることを知る。例えば、ネットワークで、「小データ」機能が構成され、加入データベースに格納され得る。アタッチ手順の間に、MMEが、加入者データベースから構成された機能を取得する。「小データ」機能は、UEにおいていくつかの方法で構成され得る。例えば、「小データ」機能は、USIM(Universal Subscriber Identity Module:汎用加入者識別モジュール)カードに予め構成される可能性があり、またはOMA−DM(Open Mobile Alliance Device Management:オープン・モバイル・アライアンス・デバイス管理)もしくはOTA(Over the Air:オーバー・ザ・エア)デバイス管理プロトコルによって構成される可能性があり、またはアタッチ手順中にMMEによって構成される可能性がある。アタッチ手順中のユーザ機器とMMEとの間のいわゆる「機能交換(capabilities exchange)」は、3GPPをベースとする移動通信ネットワークでは当たり前のメカニズムである。
「小データ」の厳密な意味は、今のところ、標準化で厳密に定義されていない。よくある解釈は、データが、例えば、1つのSMSに収まるほど小さいということである。これは、SMSのペイロードが140バイトであるので、およそ140バイトの情報を意味する。この目的では、小データの厳密なサイズは重要ではない。「小データ」という表記は、小さなIPパケット、SMS、または何らかのその他のアプリケーションに固有のデータである可能性があるデータの小さなチャンクを意味する。したがって、「小データ」送信は、下りリンクおよび上りリンクで、MMEとUEとの間のSMS送信を行う場合を含む。
この手順に関与するコア・ネットワークのエンティティは、MMEおよびサービング・ゲートウェイであると想定される。さらに、小データは、回線交換ネットワークからMSCを介して受信され得る。将来的に、その他のまたは追加のエンティティが、MTC機能のために定義される可能性がある。その場合、この例が、それらのその他のエンティティにも適用できる。
ユーザ機器はIDLEモードであり、したがって、ユーザ機器はネットワークにアタッチされているが、制御プレーンの接続もユーザ・プレーンの接続も確立されていない。MMEは、UEコンテキストを格納しており、格納されたトラッキング・エリアまたはルーティング・エリアに基づいて、ユーザ機器がどこにいるはずであるか、すなわち、どの(1つまたは複数の)eModeBがユーザ機器に到達するためにページングされるべきであるかを判定することができる。さらに、MMEは、下りリンク・データが小データであると判定し、ユーザ機器が「小データ」機能に属することを知っている。したがって、制御プレーンの接続のみが、下りリンクの小データを送信するために使用されるべきである。
図8から分かるように、MMEは、制御プレーンに関してのみユーザ機器をページングする。あるいは、MMEは、小データに関して、すなわち、小データ機能により、ユーザ機器によって受信されるべきデータが小データであるという指示を含めてユーザ機器をページングし、ユーザ機器は、構成から、小データが制御プレーンのシグナリングを介して受信されるべきであることを知る。
シグナリング・メッセージでの追加的なオーバーヘッドが少ない指示の1つのあり得る実装は、単一のフラグである可能性がある。例えば、フラグが「0」に設定されているとき、ページングは通常通りである(すなわち、通常の制御プレーンおよびユーザ・プレーンの接続/ベアラが確立されることになる)。フラグが「1」に設定されているとき、ページングは、制御プレーンの接続のみに関するものであり、すなわち、ユーザ・プレーンの接続/ベアラは確立されない。MMEからeNodeBに送信されるページング要求メッセージが、対応するビット・フィールドによって拡張される可能性がある。eNodeBは、ユーザ機器に関するページング機会を計算し、適切なタイム・スロットで無線インターフェースを介してユーザ機器にページング・メッセージを送信する。eNodeBからUEに送信されるページング・メッセージも、制御プレーンの確立のみ(または小データ)を指示するための対応するビット・フィールドを含む。
ユーザ機器は、ページング・メッセージを受信し、制御プレーンのみが確立されるべきであると判定する。したがって、ユーザ機器は、RACH手順を開始してネットワークとの同期をとる。それ以降のシグナリングは、図5に関連して既に説明したシグナリングと同様である。シグナリング無線ベアラSRB0、1、および2が、連続的に確立される。
RRCConnectionSetupCompleteメッセージで、MMEとのNAS接続の確立をトリガするために、ページングに応答してNAS ServiceRequestメッセージが送信される。ユーザ機器は、サービス要求メッセージ(SR)または拡張サービス要求メッセージ(ESR)を送信するとき、通常、背景技術の節で説明したタイマT3417またはT3417extを開始する。しかし、ユーザ・プレーンをまったく確立せずに、制御プレーンの接続性のみが確立されるので、ユーザ機器のタイマの処理が、あらゆるエラーの場合を避けるために適合される可能性がある。ユーザ機器がタイマT3417を開始し、ユーザ・プレーンの接続が確立されない場合、タイマT3417が切れ、ユーザ機器がエラーを検出し、NASサービス要求メッセージを再送信する。
有利な例によれば、新たなタイマが導入される可能性があり、または既存のタイマ、例えばT3417が適合される可能性がある。T34sd(「sd」は小データ(small data)を意味する)と表記される新たなタイマが、ユーザ機器がRRCConnectionSetupCompleteメッセージでNASサービス要求または拡張サービス要求メッセージを送信するときに開始される。タイマT34sdは、いくつかのオプションによって停止され得る。例えば、ユーザ機器は、NAS下りリンク・トランスポート・メッセージ、またはそれに対応して下りリンクの「小データ」が受信されるときに、タイマT34sdを停止する(すなわち、クリアまたは終了する)可能性がある。別のオプションによれば、ユーザ機器は、SRB2ベアラの確立が正常に完了するとき、すなわち、RRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージを送信するときに、タイマT34sdを停止する可能性がある。さらに別のオプションは、下りリンクの有効な(すなわち、正しく完全性を保護され、および/または暗号化された)NASメッセージが受信されるときに、タイマT34sdを終了することである。
初期コンテキスト設定手順が、制御プレーンの確立を進め、必要なUEコンテキストを確立するためにMMEとeNodeBとの間で実行される。MMEが、S1−AP「初期コンテキスト設定要求」メッセージを生成し、eNodeBに送信する。しかし、図5にしたがった通常の手順と異なり、MMEは、ユーザ・プレーンの確立を避けるために、E−RABコンテキストを初期コンテキスト設定メッセージに含めない。したがって、MMEは、主に、セキュリティに関連するコンテキストを初期コンテキスト設定要求メッセージに含め、その結果、eNodeBが、SRB1およびSRB2無線ベアラを確立することができる。
MMEおよびeNodeBがS1−AP初期コンテキスト設定手順を実行した後、または実行している間に、eNodeBは、Uuインターフェースを介してRRCConnectionReconfiguration手順を開始してSRB1を完了し、SRB2無線ベアラを確立する。主として、eNodeBは、SRB1およびSRB2を介して送信されるRRCメッセージが完全性を保護され、暗号化されるので、この手順を完了するためにセキュリティ・コンテキストを必要とする。RRC接続再構成手順は、RRC接続を修正すること、すなわち、無線ベアラを確立/修正/解放することを目的とする。したがって、通常、RRC接続再構成手順が、SRB2と、さらにはユーザ・プレーンのデータ無線ベアラとを確立するために実行される。しかし、制御プレーンの接続のみ、すなわち、eNodeBとユーザ機器との間のシグナリング無線ベアラのみが確立されるべきであるので、RRC接続再構成手順は、SRB2を確立するためにのみ使用される。
したがって、シグナリング無線ベアラSRB0、1、および2が、確立される。eNodeBとMMEとの間のS1−AP接続も、制御プレーンの一部である。MMEは、ユーザ機器へのNASトランスポート・メッセージの送信を開始することができる。MMEは、小データを含むNAS下りリンク・トランスポート・メッセージを生成し、そのNAS下りリンク・トランスポート・メッセージは、S1−APインターフェースおよびRRCインターフェースを介してユーザ機器に転送される。eNodeBは、NAS下りリンク・トランスポート・メッセージを受信するとき、そのメッセージをユーザ機器へのRRC下りリンク情報転送メッセージで透過的にカプセル化する。したがって、ユーザ機器は、制御プレーンのみを使用して下りリンクの小データを受信する。
制御プレーンを介して小データを搬送するための1つのあり得る手段は、上で説明したように、MMEとユーザ機器との間のNASプロトコルである。この点での1つの代替的な手段は、MMEとユーザ機器との間でホップ・バイ・ホップ送信を用いて小データを転送することである可能性がある。この目的で、小データは、MMEとeNodeBとの間はS1−APプロトコルでカプセル化され、UEとeNBとの間はRRCプロトコルでカプセル化される。最も適切なメッセージは、RRC上りリンク/下りリンク情報転送メッセージである。
別の有利な例によれば、MMEが、シグナリング目的の(例えば、ESMおよびEMMシグナリングの)NASメッセージと、データ転送目的の(例えば、上りリンクおよび下りリンク・データ転送の)のNASメッセージとの優先度を区別するために、NASトランスポート・メッセージの優先度を示す可能性がある。MMEは、eNodeBへのS1−AP「初期コンテキスト設定要求」メッセージか、またはNASメッセージ自体かのどちらかでそれらの異なる優先度を示すことができ、その結果、eNodeBが、異なる優先度を有する、小データを含むNASメッセージを処理することができる。NASメッセージ自体に優先度を含めることの不利な点は、eNodeBが、そのNASメッセージを無線リンクを介してRRCメッセージで送信する前にNASメッセージを調べるべきであるということである。
あるいは、MMEは、NASメッセージ(すなわち、小データ)を搬送する各S1−AP NASデータ・トランスポート・メッセージで比較的低い優先度を示すことができ、その結果、eNodeBが、NASメッセージを詳細に調べることなく優先度を認識することができる。
図8では、MMEが、小データを受信するときに、制御プレーンのみの指示をしながらユーザ機器をページングすることを決定すると仮定した。しかし、制御プレーンのみの指示をしながらページングするか否かのMMEでの決定は、さらに複雑になり得る。「小」データに関してユーザ機器をページングするべきか、または「通常」データに関してユーザ機器をページングするべきかのMMEによる決定は、決定を行う時点、すなわち、時間帯も考慮するように拡張され得る。例えば、ある期間内、例えば、1:00〜2:00は、ユーザ機器とMTCサーバとが「小データ」を交換することができるが、この時間以外は、通常データのみが交換可能である。あるいは、ある時間内は、制御プレーンが「小データ」のために使用できるが、その他の時間には、制御プレーンは「小データ」のために使用できない。複数の期間、例えば、1:00〜1:30、15:00〜15:30が存在し得る。
MMEがページング・メッセージで「小データ」の指示を使用すべきか否かを決定するためのその他の代替的方法は、MMEが下りリンク・データ自体を受信するか否か(例えば、SMSの場合)、またはMMEが下りリンク・データ通知(DDN)によってトリガされるか否かを考慮する。例えば、MMEがUプレーンのデータ・パケットを受信する場合、MMEはCプレーンの接続性のみを開始する。そうではなく、MMEが、例えばS−GWからDDNの指示を受信する場合、MMEは、通常データのための通常のページングを開始する。
代替的に、MMEは、ユーザ・プレーンのエンティティ(例えば、サービング・ゲートウェイ)による指示(もしくは小データ)、または別の特別なエンティティからの指示(もしくは小データ)を受信するか否かも決定で考慮する可能性がある。例えば、データ通知がサービング・ゲートウェイから受信される場合、「通常の」、すなわち、制御プレーンおよびユーザ・プレーンのページングが使用される。しかし、小データが特別なMTCゲートウェイから到着する場合は、MMEは、小データ用の、すなわち、制御プレーンのみのページングを開始する。
以上、IDLEモードのユーザ機器の場合について説明した。しかし、上記の原理は、ネットワークから登録解除されているユーザ機器にも拡張され得る。3GPPでは、これは、ユーザ機器がオフライン状態であり、オフライン状態はデタッチされた状態または登録解除された状態と等価であるので、オフライン小データ送信(offline small data transmission)として知られている。この場合、デタッチされたユーザ機器が、ネットワークにアタッチするようにトリガされる。したがって、対応するトリガ・メッセージが、MMEからeNodeBを介してユーザ機器に送信される。送信は、さまざまな方法で実行され得る。
・ トリガ・メッセージのブロードキャスト:UEおよびネットワークが、特定のブロードキャスト・リソースを使用するように構成され、トリガ・メッセージがブロードキャストされる。
・ トリガ・メッセージとしてのページング:UEおよびネットワークが、IDLE状態のUEのために使用されるページング・メカニズムと同じページング・メカニズムか、またはデタッチされた/オフラインのUEのための拡張されたページング・メカニズムかのどちらかを適用する。ページング・メカニズムの1つの望ましい最適化方法は、DRXサイクル、すなわち、ページングが発生する時間間隔を伸ばすことである。現在、ページングDRXサイクルは、最大で約5秒である可能性があるが、登録解除されたUEのページングのための最適化された値は、分単位または時間単位の値になる可能性がある。
いずれにせよ、トリガ・メッセージは、一意のUE IDを含み得る。上述の例のページング・メッセージと同様に、トリガ・メッセージは、ネットワークが制御プレーンの接続性のみを確立したいという、ユーザ機器への指示を含む。そのとき、アタッチ手順の間に、ユーザ機器は、デフォルトのEPSデータ・ベアラが確立されないことを知り、例えば、タイマT3417またはT3417extではなくタイマT34sdを開始する。
アタッチ手順に関するいくつかの最適化も導入される可能性があり、例えば、ユーザ機器は、アクセス・ポイント名(APN)を送信しないか、またはPDNゲートウェイとプロトコル構成オプション(PCO)を交換しないか、またはPDNタイプ(すなわち、IPv4もしくはIPv6)を指示しない。しかし、ほとんどの最適化は、ネットワーク側で実現される。MMEは、EPSベアラ・コンテキストを有するとしてもEPSベアラを確立する必要がない。したがって、MMEからSGW、さらにはPGWへのシグナリング、ならびにPCCエンティティへのシグナリングが、回避され得る。
ユーザ機器がCプレーンの接続性のためにネットワークにアタッチする場合、小データが制御プレーン(NASプロトコル)を介して送信された後、アタッチを終了することが望ましい可能性がある。その理由は、データ・ベアラがないためにユーザ機器が「通常の」上りリンク・データを送信することができず、ユーザ機器がIP構成を持たず、したがって割り振られたPGWが存在しないために「通常の」下りリンク・データが受信できないからである。
図8に関連して説明したように制御プレーンの接続性を確立し、下りリンクで小データを送信するための残りの手順は、同じままである。
上の説明では、小データがMMEに到着し、したがって、ユーザ機器がネットワークにアタッチするようにページングまたはトリガをトリガすると仮定する。例えば、小データは、回線交換ネットワークから、特に、SMSオーバーSGsが実装されているときにMSCから受信される可能性がある。しかし、将来、小データは、ユーザ機器がアタッチされるPDN−GWにおいてIPパケットとして受信される可能性もある。この場合、PDNゲートウェイが、下りリンクの小データをサービング・ゲートウェイに転送する。ユーザ機器がIDLE状態であるか、または登録解除されているので、ユーザ機器のeNodeBへのいかなるS1−Uベアラも存在せず、下りリンクの小データはさらに転送できない。したがって、サービング・ゲートウェイは、ユーザ機器をページング/トリガするようにMMEをトリガする。
サービング・ゲートウェイは、下りリンク・データが「小データ」であると判定することができ、したがって、MMEへの下りデータ通知(Down Data Notification)メッセージに対応する指示を含める。追加的にまたは代替的に、サービング・ゲートウェイは、下りデータ通知メッセージで小データのサイズを示す可能性がある。次いで、MMEが、ネットワークにアタッチするようにユーザ機器をトリガ(ページング)し、例えば、GTP−Cプロトコルを用いて制御プレーンでS11インターフェースを介してMMEにデータを転送するようにサービング・ゲートウェイに要求する必要がある。
代替的に、サービング・ゲートウェイは、下りリンク・データが小データであると判定することができ、例えば、下りデータ通知メッセージでMMEに下りリンク・データを転送する。あるいは、小データを転送するために、サービング・ゲートウェイとMMEとの間で別のメッセージが使用される可能性がある。それにより、MMEは、小データのサイズに基づいて、上述のように、制御プレーンのみの指示をしながらユーザ機器をページングすべきか、または制御プレーンのみの指示をせずにユーザ機器をページングすべきかを判定することができる。
[さらなる例]
上で説明した手順は、ユーザ機器およびMMEのどちらか一方または両方が、下りリンクの小データによってトリガされる制御プレーンの接続の確立に加えて、ユーザ・プレーンの接続を確立することを決定することが可能であるように拡張され得る。
別の言い方をすれば、さらなる例は、データ送信(上りリンクおよび下りリンク)が制御プレーンのみで実行されるべきか、またはユーザ・プレーンで実行されるべきかをユーザ機器とMMEとの間でネゴシエーションすることを可能にする。以下でより詳細に説明するように、この「ネゴシエーション」は、基本的に、決定にかかわる情報を交換することからなり、NASプロトコルを介して実行され得る。
ネゴシエーションされる情報は、主として、制御プレーンで許可されるべき上りリンクおよび下りリンクのデータおよび/またはリソースの制限を表す。別の言い方をすれば、新しい情報要素が、制御プレーンのメッセージに含められ得るデータのデータ・サイズおよびデータの時間の制限(例えば、周期性または所与の期間内)を記述する。ユーザ機器は、「小データ」送信MTC機能のために加入または構成される。したがって、下りリンクで送信されるデータは、ユーザ・プレーンが必要ないほど小さいと見なされる。ユーザ機器とMMEとの間のネゴシエーションは、いつ小データが本当に「小さい」と見なされるのかについて柔軟な構成を可能にする。
ネゴシエーションは、制御プレーンの負荷および/またはMMEの負荷に依存する可能性がある。例えば、MMEの負荷がかなり高い場合、制御プレーンを介して大量のデータを送信することは望ましくない可能性があり、データはユーザ・プレーンを介して送信されるべきであり、したがって、MMEを通過しない。それとは対照的に、MMEの負荷が少ない場合、MMEは、制御プレーンを介したより多くの量のデータの送信に関与することができる。
さらに、別のシナリオは、UE(MTCデバイス)がさまざまな移動通信ネットワークにアタッチすることができ、各ネットワークが「小データ」機能に関して異なる構成を持つことができることである可能性がある。1つのネットワークにおいて、小データは100バイトまでに制限される可能性があり、別のネットワークでは、小データは500または1000バイトまでに制限される可能性がある。
したがって、MMEおよびユーザ機器のどちらか一方または両方がユーザ・プレーンの接続も確立して下りリンク・データおよび上りリンク・データを送信/受信する方がよいのか否かについて決定することを可能にすることに関連して、小データ送信にネゴシエーションを導入することが有利である。
図9は、ユーザ機器およびMMEが手順の仮定でユーザ・プレーンの接続性について決定することができるそのような手順を開示する。図から明らかなように、ページングを受信すると、UEは、保留中の上りリンク・データを判定し、および/またはそのUEがページングされた原因の下りリンク・データに応答して送信されるべき将来の上りリンク・データを推定する。ユーザ機器は、制御プレーンの確立を開始する。保留中の上りリンク・データに関する対応する情報が、接続性関連ネットワーク・エンティティに送信され、次いで、接続性関連ネットワーク・エンティティが、受信された保留中の上りリンク・データの情報を考慮してユーザ・プレーンの接続が必要か否かを決定することができる。MMEは、MMEで制御プレーンを介して受信された上りリンク・データを処理することに関する特定の制限も考慮する可能性がある。
MMEがユーザ・プレーンでデータ・ベアラを確立しようと決定した場合、下りリンク・データおよび上りリンク・データが、(1つまたは複数の)ユーザ・プレーンの接続を使用してユーザ機器とネットワークとの間で交換され得る。
MMEがユーザ・プレーンでデータ・ベアラを確立しないと決定した場合、制御プレーンの接続のみが確立され、下りリンクの小データは制御プレーンのシグナリングを使用してユーザ機器に送信される。有利なことに、ユーザの確立を決定するために接続性関連ネットワーク・エンティティによって使用される制限パラメータが、制御プレーンの接続を使用してユーザ機器にも送信され得る。ユーザ機器は、下りリンクの小データを受信するとき、上りリンク・データの正確な量および周期性を判定することができ、ユーザ・プレーンの接続性が上りリンク・データを送信するために必要となるか否かを判断することができる。さらに、ユーザ機器は、制限パラメータを与えられる場合、判定された上りリンク・データを、MMEによって決定された制限と比較することができ、したがって、上りリンク・データを送信するためにユーザ・プレーンを使用するか否かを決定することができる。
ユーザ機器は、ユーザ・プレーンの接続を確立すると決定した場合、ユーザ・プレーンの接続を開始し、完了する。その後、下りリンク・データおよび上りリンク・データが、確立されたユーザ・プレーンの接続性を使用してネットワークとユーザ機器との間で交換され得る。
図10は、MMEがユーザ機器が送信する必要がある上りリンク・データを考慮してユーザ・プレーンの接続性を確立することを決定することができる1つの例を開示する。例示を目的として、図10の例に関して、ここまでと同じ仮定がなされる。例えば、ユーザ機器はネットワークにアタッチされているが、IDLEモードである。それに対応して、MMEおよびユーザ機器は、UEコンテキストを格納しており、UEコンテキストは、ユーザ・プレーンのデータ無線ベアラおよびS1−Uベアラに関する情報も含む。小データは、MMEによって、例えば、MSCからのSMS(SMS−o−SGs)として受信される。
MMEでデータを受信すると、MMEは、ページングが「小データ」機能を対象としており、すなわち、ユーザ機器に小データを送信するのに制御プレーンだけで十分であるという指示を含めてユーザ機器をページングする。換言すれば、MMEは、ユーザ・プレーンのデータ無線ベアラおよびS1−Uベアラに関するコンテキスト情報を格納しているにもかかわらず、制御プレーンの接続だけを確立すると決定する。通常、従来技術では、MMEは、コンテキスト情報を有しているすべての接続、すなわち、ユーザ・プレーンの接続および制御プレーンの接続を確立する。
それに対応して、ページングに応答して、ユーザ機器は、図8に関して既に説明したのと同じ方法(RACH、UL許可、RRCConnectionRequest、RRCConnectionSetup)で制御プレーンの接続の確立を開始する。
しかし、図10による例では、ユーザ機器が、送信すべき保留中の上りリンク・データが存在するか否かをさらに判定する。より具体的には、ユーザ機器が、下りリンク・データを受信するときに確立されている接続を介して上りリンク・データを送信するように、ページングされるまで上りリンク・データ(周期的な測定結果など)を蓄積するように構成される可能性がある。
追加的にまたは代替的に、ユーザ機器は、ページングされた原因の下りリンクの小データに応答して上りリンク・データを送信することが必要となるか否かを推定する。より詳細には、以前の統計に基づいて、またはユーザ機器の小データ・アプリケーションの実装に基づいて、ユーザ機器は、あり得る将来の上りリンク・データの量を推定/判定することができる可能性がある。
例えば、ユーザ機器は、下りリンクで小データを受信するときに、通常、10バイトのデータを送信するということを知っている。あるいは、ユーザ機器は、下りリンクの小データに応じて、あるときは10バイトを送信し、またあるときは500バイトを送信する。これは、小データがMTCサーバからの要求であるときに当てはまる可能性がある。また、下りリンクの小データが、周期的な報告を送信するようにユーザ機器をトリガすることができる可能性がある。
それに対応して、そのような上りリンク・データの統計がユーザ機器で利用できる場合、ユーザ機器は、この情報のすべてまたは一部をMMEに送信することになる。一例において、ユーザ機器は、この上りリンク・データの統計を、拡張サービス要求の特別な情報要素(ULデータ情報と表記される)に含めることができる。背景技術の節で示されたように、NAS ESRは、4バイトの任意のEPSベアラ・コンテキスト・ステータス・フィールドを含む。各バイトが、データ量、周期性、上りリンク・データ・レート、QoSパラメータ、データ送信の総継続時間などの1つの情報を符号化するために使用され得る。さらに、新しい情報要素が、上りリンク・データの統計を送信する目的で導入される可能性がある。
NAS ESRは、eNodeBとMMEとの間でS1−APインターフェースを介して上りリンク・データ情報と一緒に送信される。MMEは、ユーザ機器からNAS拡張サービス要求を受信するとき、含まれる上りリンク・データの統計から、上りリンク・データを送信するためにユーザ・プレーンの接続が必要となるか否かを判定することができる。
データ送信のためにユーザ・プレーンの接続を確立するか否かに関するMMEの決定は、MMEに関連する制限パラメータにさらに基づく可能性がある。より詳細に言えば、MMEは、上りリンクおよび下りリンクの制御プレーンを介したデータ転送に関する制限を判定することができる。例えば、制限は、上りリンクで送信される最大の絶対的なデータ・サイズ(例えば、500バイト)、および/または最大の上りリンク・データ・レート(例えば、100キロバイト/秒)、および/または最大のNASメッセージ・サイズ(例えば、100バイト)、および/または最大のNASメッセージ・レート(例えば、1秒あたり5メッセージ)、および/またはQoSパラメータ、および/または送信の継続時間、または何らかのその他の制限パラメータを含み得る。
この情報は、制御プレーンのシグナリングが上りリンク・データの送信を満足するか否か、または上りリンク・データを送信するためにユーザ・プレーンの接続性を確立することが有利であるか否かを判定するために、上りリンク・データの統計に関連して使用される可能性がある。
MMEがユーザ・プレーンの接続が不要であると決定した場合、図10に示された後続の手順は、図8の手順と同じである。要するに、制御プレーンの接続のみが確立され、例えば、初期コンテキスト設定要求メッセージが、ユーザ・プレーンの確立を避けるためにE−RABコンテキストを含まない。下りリンクの小データは、NASシグナリング、またはMMEとeNodeBとの間のS1−AP、およびeNodeBとユーザ機器との間のRRCシグナリングなどの制御プレーンのシグナリングを使用してMMEからUEに送信される。
MMEは、例えば、NAS ESRメッセージでユーザ機器によって報告された上りリンク・データが制御プレーンを介したデータ転送の制限を超えているため、またはMMEが現在過負荷状態である可能性があるために、ユーザ・プレーンの接続が確立されるべきであると決定する。したがって、MMEは、S1−AP初期コンテキスト設定手順を開始するが、図8とは対照的に、データ無線ベアラおよびユーザ・プレーンの確立のためにE−RABコンテキストを含める。eNodeBは、InitialContextSetupRequestメッセージを受信するとき、E−RABコンテキストにしたがってSRB2およびDRBベアラを確立するためのRRCConnectionReconfiguration手順を開始する。
RRCConnectionReconfiguration手順の後、ユーザ機器は、ユーザ・プレーンが確立されていることと、ユーザ機器がNAS ESRメッセージが送信されたときに開始された新しいタイマT34sdを終了させる必要があることとを検出する。換言すれば、タイマT34sdを終了する原因は、データ無線ベアラが確立されるときであり、これは、事実上、T3417タイマの終了と同じ原因である。
データ無線ベアラを確立した(すなわち、PDCPエンティティ、RLCエンティティのDTCH論理チャネルを確立した)後、ユーザ機器は、対応するEPSベアラを有効化し、つまり、上りリンク・データが、例えばIPパケットで準備され、ユーザ・プレーンを介して送信される。したがって、ユーザ・プレーンのベアラを確立することにより、図10に示すように、下りリンクの小データと上りリンク・データとが転送できるようになる。上りリンク・データは、ユーザ機器からeNodeBへのデータ無線ベアラと、eNodeBとサービング・ゲートウェイとの間のS1−Uベアラとを用いて送信される。上りリンクでは、サービング・ゲートウェイが、上りリンク・データを受信し、その上りリンク・データをMME(またはPDN−GW)に転送する。そして、MME(またはPDN−GW)が、さらにMTCサーバに向かうデータを、例えば、移動通信ネットワーク内に配置されたMTCゲートウェイを介して転送する。
下りリンクの小データを送信することに関して、図10の例示的なシナリオでは、下りリンクの小データがMMEで(例えば、SMS−o−SGsを通じて)受信されると仮定していることに留意されたい。下りリンクの小データがMMEで利用可能であり、ユーザ・プレーンを使用してユーザ機器に送信されるべきであるとき、少なくとも以下の2つの可能性がある。
図10に示すように、MMEが、下りリンクの小データをサービング・ゲートウェイに転送し、したがって、サービング・ゲートウェイが、そのデータをS1−Uベアラを介してeNodeBに送信することができる。この状況で、サービング・ゲートウェイとユーザ機器との間のデータ転送が、ユーザ・プレーンのベアラを介して実行される。
あるいは、上記を最適化する1つの方法は、MMEがS1−APプロトコルでeNodeBにデータを転送することができるようにすることである。これは、S1−APプロトコルが制御プレーンのシグナリング用に定義されており、データ用に定義されていないので、標準的な挙動では現在利用できない。しかし、このオプションは、リソースと、サービング・ゲートウェイを介したシグナリングとを節約する機会を提供する。さらに、データが小さいので、そのデータをS1−APプロトコルで搬送することが許容可能である可能性がある。この目的で、S1−APを介したデータ転送のために導入された新しいメッセージが存在する可能性があり、一方、上りリンク/下りリンクNASトランスポート・メッセージのような既存のメッセージも使用され得る。この場合、eNodeBは、S1−APメッセージからデータを抽出し、そのデータをeNodeBとユーザ機器との間でデータ無線ベアラにより転送するように修正される必要がある。
さらに、小データは、PDN−GWおよびサービング・ゲートウェイを介して受信される可能性があり、その場合、サービング・ゲートウェイがデータを既に有しており、そのデータをMMEに転送する代わりに、小データが利用可能であることをMMEに通知することができる。この場合、MMEがユーザ・プレーンの接続を確立することを決定したならば、サービング・ゲートウェイは、S1−Uデータ・ベアラを使用してeNodeBに下りリンクの小データを送信するようにMMEによってトリガされることのみを必要とする。
別の例によれば、ユーザ機器が、上りリンク・データを送信するためにユーザ・プレーンを確立すべきか否かについて決定することができるようにする。特に、下りリンクの小データに応答して転送されるべきであり得る将来の上りリンク・データに関して初めにユーザ機器によってなされた推定が誤っている場合、MMEの決定も誤りである可能性がある。下りリンクの小データは、MTCサーバに大量のデータを送信するようにユーザ機器(MTCデバイス)に命令する、MTCサーバからの要求であると想定され得る。ユーザ機器は、上りリンク・データがほんのわずかな量であると推定した可能性があり、上りリンク・データの実際の量は、大幅に多い。この場合、MMEの決定は(小さ過ぎる)推定された上りリンク・データに基づいているので、MMEは、ユーザ・プレーンを確立しないと決定する。しかし、ユーザ機器からMTCサーバに送信されるべき実際の上りリンク・データを考慮すると、ユーザ・プレーンが確立されるべきである。したがって、ユーザ機器が、下りリンクで小データを受信した後、ユーザ・プレーンの接続を確立すべきか否かについて再度決定することができれば有利である。そのとき初めて、ユーザ機器は、上りリンクで送信されるべき上りリンク・データの正確な量を判定することができる。
図11は、ユーザ機器と、eNodeBと、MMEと、サービング・ゲートウェイとの間で交換されるメッセージを示すシグナリング図である。図11に示す例は、手順の初めに関しては図10の例と同様である。特に、ユーザ機器が、小データがMMEでMSCから受信されるときにMMEによってページングされる。ユーザ機器は、上りリンク・データ情報と一緒にNAS拡張サービス要求を送信することを含め、制御プレーンの確立を開始する。この例では、MMEが、報告された上りリンク・データを考慮して、および/またはこの点でのMMEの制限を考慮して、ユーザ・プレーンが必要ないと判断するものと仮定する。それに対応して、MMEは、データ無線ベアラの確立を避けるためにE−RABコンテキストを要求メッセージに含めずに初期コンテキスト設定手順を開始する。その初期コンテキスト設定手順にしたがって、RRCConnectionReconfiguration手順が、eNodeBおよびユーザ機器によって実行される。
SRB0、1、および2を確立した後、下りリンクの小データが、制御プレーン、すなわち、NASシグナリングまたはS1−APおよびRRCを用いてユーザ機器に送信される。MMEによって決定された制限パラメータも、例えば、下りリンクの小データと同じようにしてユーザ機器に送信される。MMEは、下りリンクNASトランスポート・メッセージを使用してユーザ機器に制限パラメータを送信することができる。代替的に、MMEは、別のNASメッセージに制限パラメータを含め、ユーザ機器に知らせることができる。eNodeBは、下りリンクNASトランスポート・メッセージを受信するとき、そのメッセージをユーザ機器へのRRC下りリンク情報転送メッセージで透過的にカプセル化する。
ユーザ機器は、MMEの制限パラメータと一緒に下りリンクの小データを受信する。ユーザ機器は、下りリンクの小データを処理して、ネットワークに送信されるべき厳密な上りリンク・データを判定する。そのとき、ユーザ機器は、その厳密な上りリンク・データに基づいて、ユーザ・プレーンの接続性を確立すべきか否かについて決定するさらなる機会を有する。例えば、上りリンク・データは、何らかの測定または結果の所与の期間内の定期的な報告である可能性がある。UEは、特定の測定結果を10秒ごとに報告し、その報告の継続時間は、例えば20分である。そのとき、結果として生じる上りリンク・データ全体が、MMEの制限パラメータによって指示された制御プレーンを介したデータ転送の制限を超えている可能性がある。
それに対応して、ユーザ機器は、ユーザ・プレーンの接続を確立することを決定することができ、したがって、NASセッション管理メッセージ(PDN接続性要求)をMMEに送信して、既存の休止状態のEPSベアラを有効化するか、または新しいEPSベアラを確立する。MMEでユーザ機器のEPSベアラの要求を受信すると、MMEはコア・ネットワークでEPSベアラを確立する(図11のS1−Uベアラの確立を参照)ようにトリガされる。
さらに、MMEは、データ無線ベアラを確立するためにeNodeBとユーザ機器との間の無線接続を再構成する必要がある。この目的で、MMEは、eNodeBとユーザ機器との間のE−RABの有効化のためにeNodeBのコンテキストを更新するS1−AP手順を実行する。ユーザ・プレーンでのEPSベアラの確立が完了した後、MMEは、サービング・ゲートウェイへの下りリンク・データの転送を開始することができ、次いで、サービング・ゲートウェイから、下りリンクの小データがユーザ・プレーンを介してユーザ機器に送信される。
上りリンク・データも、ユーザ・プレーンのデータ無線ベアラおよびS1−Uベアラを使用してユーザ機器からサービング・ゲートウェイに送信され、それから、MMEに直接送信されるか、またはMMEを通らずにPDN−GWに送信される可能性がある。
ユーザ機器がユーザ・プレーンを確立しないと決定した場合、上りリンク・データおよび下りリンク・データは、上述の例に関して既に説明したように、制御プレーンの接続を使用して送信される。
上記の例を最適化する1つの方法は、ユーザ・プレーンでデータ無線ベアラが確立される前に上りリンク・データを送信することに関連する。特に、ユーザ機器がユーザ・プレーンを確立することを決定し、したがって、ユーザ・プレーンの確立を開始すると仮定する。ユーザ機器は、ユーザ・プレーンの接続が確立されるまで、制御プレーンを使用してeNodeBおよびMMEへの上りリンク・データの送信を開始することができる。これは、データ送信の遅延を短縮する。例えば、ユーザ機器は、制御プレーンの接続を用いて、第1の上りリンクの測定結果を送信することができる。次いで、第2の上りリンクの測定結果が、そうこうしているうちに確立されたユーザ・プレーンを使用して送信され得る。
基本的に、制御プレーンを使用して初めに送信される下りリンク・データに同じことが適用され得るが、ユーザ・プレーンの接続が確立されると、さらなる下りリンクの小データは、やはり、制御プレーンではなくユーザ・プレーンを介して交換され得る。
別の例によれば、ユーザ機器は、上で仮定したように上りリンク・データの統計を推定することができない可能性がある。その理由は、さまざまである可能性があり、例えば、MTCサーバとユーザ機器との間の要求/応答の交換が対話的であるために上りリンク・データが変わること、またはユーザ機器が上りリンク・データを推定する機能を実装しないことである可能性がある。
そのような場合、ユーザ機器とeNodeBとの間のRRC接続(ひいてはCONNECTED状態)が、eNodeBがIDLEモードへの遷移をトリガするまで存在し続ける。ユーザ機器はIDLEモードへの遷移をトリガできないことに留意されたい。IDLEモードは、eNodeBによってのみトリガされる。さらに、上りリンク・データの終了後直ちにRRC接続が解放され、ユーザ機器がIDLEに遷移する場合、リソース(ユーザ機器、eNodeB、およびMMEにおける処理)が節約され得る。
そのような場合、ユーザ機器が上りリンク・データがいつ終わるのかを知っており、IDLEモードへの遷移をトリガすることができるという別の仮定がなされ得る。あり得る解決策は、ユーザ機器がネットワーク(例えば、MME)に上りリンク・データが終わることを通知することができることである可能性がある。例えば、ユーザ機器が、NASプロトコルでMMEにある種の「上りリンク・データ終了」指示を明示的にシグナリングする可能性がある。そのとき、MMEは、技術仕様TS36.413に記載されている「UEコンテキスト解放」手順を開始する。
[さらなる代替的な例]
さらに、上記の例はすべて、小データ送信を受信し、ネットワークにアタッチするようにユーザ機器をトリガ/ページングすることによってMMEが手順を開始する場合に関する。しかし、ユーザ機器が、上りリンクの小データを送信する必要があり、NASシグナリング接続の確立を開始することもあり得る。その目的で、ユーザ機器は、RRC接続の確立を開始する。ユーザ機器は、上りリンクで小データを送信するためにさまざまなオプションを使用することができる。
第1のオプションによれば、ユーザ機器は、NAS拡張サービス要求メッセージで上りリンクの小データをカプセル化する。新しい情報要素が、これに関連して提供され得る。これは、無線リンクの暗号化が行われず、NAS ESRメッセージが暗号化されない可能性があるので、セキュリティが重要でないデータに適用され得る。
第2のオプションによれば、ユーザ機器は、送信される小データに対する必要なセキュリティを保証するために、MMEへの上りリンクNASトランスポート・メッセージで上りリンクの小データをカプセル化することができる。NASシグナリング接続の後の上りリンクNASトランスポート・メッセージが確立され、無線リンクを介して、RRC上りリンク(下りリンク)情報転送メッセージが使用される。
第2のオプションが使用されるとき、ユーザ機器は、NASシグナリング接続を確立するために、最初に、MMEにNASサービス要求を送信する。ユーザ機器が「小データ」送信MTC機能用に構成されており(またはユーザ機器が未処理の上りリンク・データがその機能に属することを知っており)、小データが制御プレーンを介して送信されるべきであるので、ユーザ機器は、NASを介した所望の転送をMMEに指示することができる。その目的のために、ユーザ機器は、NASメッセージ、例えば、特別なフラグを有するサービス要求か、または新しいフラグもしくは情報要素を有する拡張サービス要求かのどちらかを送信する。サービス要求は拡張の余地が限られているので、拡張サービス要求を送信することが好ましい。
ユーザ機器が上りリンクの小データに関する特別な指示を有するNAS (E)SRを送信するとき、ユーザ機器は、従来技術のタイマT3417またはT3417extの代わりに特別なタイマT34sdを開始する。MMEは、対応するS1−AP手順を使用してシグナリング無線ベアラのみを確立するようにeNodeBをトリガする。
さらに、有利な例によれば、ユーザ機器が、MMEに上りリンク・データ情報を示すことができ、これは、上りリンク・データのサイズが一定ではなく変化する場合に役立つ可能性がある。さらに、そのとき、MMEは、上りリンク・データ転送のために制御プレーンが好ましいか、またはユーザ・プレーンが好ましいかを判定する機会を持つ。
代替的な解決策によれば、1つのあり得る最適化の方法は、「非常に小さなデータ」を転送するためにページング手順(ユーザ機器がIDLEモードであるとき)またはいわゆる「デバイス・トリガ(Device Trigger)」手順(ユーザ機器がDEREGISTEREDモードであるとき)を使用することである。
下りリンクの小データが非常に小さい(例えば、数ビットまたはバイト)と仮定すると、小データは、ページング・メッセージまたはデバイス・トリガ・メッセージでカプセル化され得る。この最適化でセキュリティの要件(完全性保護および任意で暗号化)を保証する1つのあり得る方法は、MTCアプリケーション・レベルのセキュリティを使用することである。
[無線リソース解放の制御]
本発明は、解放されるべき特定の無線リソースを使用してコア・ネットワークとSMS(例えば、MTC小データを有する)を交換している移動ノードに関連する無線リソースの解放を制御するための改良された方法を提供する。
より詳細に言えば、小データを含むショート・メッセージを受信および/または送信するためには、初めに、無線リソースが確立される。そのとき、これらの確立された無線リソースが早く解放され過ぎることを避けるために、本発明は、コア・ネットワークの移動管理エンティティへの無線解放命令を移動ノードによって遅らせることを提案する。この目的のために、移動ノードにタイマが実装される。そのタイマが切れると、移動ノードが、リソース解放指示をコア・ネットワークのMMEに送信して、移動ノードの観点から、無線リソースが解放され得ることを示す。移動ノードからのこの指示は、従来技術の指示として使用されるCP−Ackメッセージとは異なる。
図17および18に関連して、本発明のさまざまな実施形態を、以降で、より詳細に説明する。これに関して、図17は、MMEからUEに移動体終端SMS(MT SMS)を送信するための移動ノードと、eNBと、MMEとの間のメッセージ交換を示すシグナリング図である。例示のみを目的として、SMSを送信するためのMMEとSM−SCとの間のリンク(すなわち、mo/mt−FSM[TPDU])は、これらの図から省略するが、図14および15にそれぞれ対応する。
UEがIDLEモードであると改定されるので、MMEは、MT SMSの送信のための無線リソースを確立するために、最初にUEをページングする必要がある。それに対応して、UEは、ページングに応答してMMEにサービス要求メッセージを送り返す。それに応じて、eNBのUEコンテキストを含む無線リソースが確立される。通常、LTEにおいては、正常なサービス要求手順の後、SRB1、SRB2、および(1つまたは複数の)DRBが確立されている。しかし、上述のように、MMEがSMS(または小データ)転送のためにUEをページングするときにSRB1およびSRB2のみが設定される最適化されたメカニズムがあり得る。MMEがeNBのセキュリティ・コンテキストを設定せず、したがって、SRB1およびSRB2(デフォルトで暗号化される)が確立できないが、「安全でない」RRC転送だけが利用可能であるさらに別の有利なメカニズムがあり得る。そのような場合、MMEからeNBにプッシュされるUEに固有のコンテキストが存在せず、したがって、UEとeNBとの間のRRCメッセージは暗号化されず、または別の言い方をすれば、UEとeNBとの間で明示的に確立された無線ベアラは存在しない。
必要な無線リソース(暗号化されるか、または上述のように暗号化されないかのどちらか)が確立されると、MT SMSが、MMEからUEにさらに送信される。UEが、SMSを受信し、そのSMSの内容を処理する。初めに、例示のみを目的として、SMSが、UEのMTCアプリケーションが上りリンクSMS(移動体発信)を用いて、またはIPプロトコルなどのその他のプロトコルを用いて上りリンクでデータを送信するためのトリガを含むと仮定する。
従来技術のシステムにおいて、無線リソースの解放は、MO SMSの送信の場合は、UEからCP−Ackメッセージを受信し、上位層SM−RLのSMRエンティティからRel−Reqメッセージを受信することによって、またはMT SMSの送信の場合は、上位層SM−RLのSMRエンティティからRel−Reqメッセージを受信することによってMMEでトリガされる。したがって、MTCトリガに応答してUEによってまもなく上りリンク送信が行われるにもかかわらず、無線リソースが解放され、結局、その後すぐに、上りリンク・データを送信するための別のサービス要求手順を通じて再確立されることになる。
それとは対照的に、本発明は、これらの状況を考慮に入れることを可能にする。説明する解決策においては、MMEが、UEから無線リソース解放の明示的な要求か、または前に送信した下りリンク・データに対する通常のACKである可能性がある暗黙的な要求の指示かのどちらかを受信した後、無線リソースの解放を開始する。この目的のために、UEが、着信データを監視し、MT SMSを検出したときに、無線リソースの解放を制御するためのタイマを開始する。タイマの長さは実装により、前もって設定されるか、UEに固有であるか、事前に構成されるか、またはNASシグナリングによって構成されるかのいずれかである可能性がある。長さは、数百または数千ミリ秒の範囲内である可能性がある。
タイマは、既に確立されている無線リソースが使用されることになり、まだ解放されるべきでないことが明らかであるイベントが起こると中止されるように構成される。例えば、上りリンク・データがUEから送信されるべきであり、そのデータがMO SMSであれ、ユーザ・データであれ、そのデータのためにデータ・ベアラが最初に確立されるべきであるとき。UEの無線リソース解放タイマに関するさらなるあり得る中止イベントは、本発明のさらなる有利な実施形態に関連して後で説明される。
タイマが開始された後、UEは、何らかのデータが上りリンクで送信されるべきであるか否かを定期的に調べる。SMSが(SMSかまたは異なる方法かのどちらかによる)上りリンク・データの送信のトリガを含むと仮定するとき、UEは、タイマを中止し、したがって、無線リソースの解放に進まない(図17に図示せず)。その代わりに、UEは、無線リソースを再確立することを必要とせずに、例えばMO SMSで上りリンク・データをSM−SCに送信する。
しかし、上りリンク・データが送信される予定がない場合、タイマは停止されず、ついには切れ、少なくとも移動ノードの観点から見て、無線リソースが近い将来使用されるか否か明らかでなく、確かに無線リソースが解放され得ることを示す。
UEが無線リソースの解放についてMMEにどのようにして知らせることができるかに関して、さまざまな代替的方法が存在する。図17に示された代替的方法1は、以下の通りである。無線リソース解放タイマとは無関係に、おそらく無線リソース解放タイマが切れる前に、UEが、MT SMSの受信に対して肯定応答する。これは、CP−Ackおよび(CP−Data CPDU内の)RP−Ackの送信を含み得る。図17から明らかなように、今度は、MMEが、CP−Ackによって、CP−Data内にカプセル化されて送信されたRP−Ackに対して肯定応答する。タイマが切れると、UEの無線リソースを解放する意図を示す指示が、UEからMMEに別途送信される。
この指示は、その範囲を一切限定することなく、参照しやすくするために、図17においては「アイドル指示」と称される。実際、この指示自体は、後で説明するように、さまざまな種類である可能性がある。
明らかなように、図17の代替的方法1においては、アイドル指示は、別個のメッセージで送信される。したがって、UEによって前に送信されるCP−AckもRP−Ackも、遅らされない。これは、アイドル指示が、例えば、追加の情報要素としてRP−Ackと一緒にCP−Data CPDUに含められる代替的方法2においては異なる。その目的のために、CP−Data CPDUの送信が、アイドル指示をピギーバックするためにこのメッセージを再利用するために、無線リソース解放タイマが切れるまで遅らされる。ピギーバックすることの利点は、明示的なNASメッセージが生成されず、UEからMMEに送信されないことである。タイマが何らかの理由で停止される場合、遅らされたRP−Ackメッセージが、アイドル指示を伴わずにMMEに送信される。
図示されていないさらに別の代替的方法3は、アイドル指示を送信する代わりに、RP−Ackメッセージを搬送するCP−Dataメッセージの送信を遅らせることに関連する。最大の遅延は、12秒未満、すなわち、RP−Ackの受信に関するSMRエンティティの再送信タイマの最大時間未満である可能性がある。MMEのSMRエンティティは、RP−Ackを受信しない間は、NAS接続を解放するためのRel−Req指示をMMEのSMCエンティティに送信しない。そのような場合、ネットワークにおけるNAS接続の解放が遅らされ、明示的な「アイドル指示」を送信する場合と同じ結果となる。別の言い方をすれば、この代替的方法3は、いかなるプロトコルの変更も必要とせず、UEの内部処理だけが、上りリンクのRP−Ackメッセージを遅らせるように(MT SMSの場合)変更される。
これらの代替的方法のうち、最後のもの以外では(代替的方法1および2 − 明示的、一方、代替的方法3 − 暗黙的)、MMEは、アイドル指示を受信し、したがって、MT SMSを送信するために前に確立された無線リソースを解放するように移動ノードが指示していることを知ることになる。従来技術の手順および現在の標準的な手順と比較して、CP−Ackは、無線リソースの解放でもはや考慮されず(代替的方法1および2の場合)、その代わりに、本発明によるアイドル指示が、MMEによる無線リソースの解放をトリガする。
説明したように、MMEによって解放指示を検出し、処理すると、MMEは、図14に関連して既に詳細に説明した通常の無線リソース解放手順を開始する。特に、MMEは、eNBにS1−AP UEコンテキスト解放命令メッセージを送信し、そのメッセージに応答して、eNBが、UEコンテキストを削除し、UEにRRC解放要求メッセージを送信する。UEは、RRC接続が解放されたことをNAS層に通知し、NAS層は、IDLE状態に遷移する。
eNBがUEに固有のコンテキストを持たず、すなわち、RRCメッセージの暗号化が無線リンクで行われない1つの特定の場合、MMEが、UEの無線の状態および無線識別子(radio identifier)を解放するようにeNBに要求する。この解放の結果、eNBからUEに「RRC接続解放」メッセージが送信される可能性がある。
無線リソースの解放の上述の処理および制御によってもたらされる利点は、無線リソースの早期の解放が回避され得ることである。それに対応して、無線リソースの再確立が回避され得る。例えば、MT SMSが、MTCアプリケーションが上りリンク・データを送信するためのトリガの指示を含むとき、通常の無線リソース解放手順は、上りリンク・データがすぐ後に送信されるべきであるとしても、無線リソースを解放する(CP−ACKとSMRエンティティからの解放要求とを受信したときにMMEによって開始される)(またはSMRエンティティからの解放要求だけを受信することによる)。それとは対照的に、本発明は、無線リソースの解放に関してこのイベントを考慮に入れ、無線リソースが近い将来、例えば、上りリンク・データの送信のために使用されることになることが明らかである場合はタイマを中止する。
上で説明した原理は、図18を参照して詳細に説明するように、移動体発信SMS(MO SMS)が送信されるシナリオに同じように当てはまる。
UEは、SMS内で上りリンク・データ(例えば、小データ)を送信したい場合、MMEとのサービス要求手順を開始する。対応する無線リソースが確立されると、MO SMSがMMEに送信される。この特定のシナリオにおいて、これは、RP−Data RPDU内で行われ、RP−Data RPDUは、さらにCP−Data CPDU内にカプセル化される。RP−Dataは、MMEによって、例えば、mo−FSMメッセージを用いてMAC/SS7シグナリングを通じてSM−SCに転送され、RP−Dataを含むCP−Data CPDUに対するACKがUEに送られる(CP−Ackを参照)。そして今度は、SMRエンティティが、RP−AckをSMCエンティティに送信することによって、SMS(RP−Data)の正常な受信に対して肯定応答する。MMEは、RP−AckをCP−Data CPDU内にカプセル化する。
UEは、MO SMSに対するACKが受信されるか否か、すなわち、RP−Ackメッセージが受信されるか否かを判定するために着信データを監視する。RP−Ackを受信すると、図17の実施形態でMT SMSを受信するのと同様に、UEで無線リソース解放タイマが開始される。
UEは、UEでさらなるイベント、特に、何らかの上りリンク・データの送信がまもなく行われるか否か、例えば、連結されたMO SMSの場合の第2のMO SMSを監視する。そのような場合、タイマが中止され、換言すれば、タイマが、リソース解放指示を送信することなく停止される。しかし、タイマは、中止/停止されない場合、やがて切れ、リソース解放指示がMMEに送信される。アイドル指示自体は、さまざまな形態をとる可能性があり、それらの形態の一部が、後でより詳細に説明される。
図18は、MMEへのアイドル指示の送信をどのように実行すべきかに関して2つの代替的方法を示している。「アイドル指示」と称されるリソース解放指示は、MMEへの別個の(NAS)メッセージで送信されるか、または別のメッセージの一部として、例えば、情報要素としてCP−Ackとともに送信されるかのいずれかである。図18の代替的方法2においては、タイマが停止されるとき、CP−Ackは、アイドル指示なしでMMEに送信される。MMEは、MMEでの無線リソース解放手順をトリガするこのアイドル指示を受信し、処理する。それに対応して、MMEは、UEコンテキスト解放命令をeNBに送信し、そして今度は、eNBが、RRC解放要求メッセージをUEに送信する。こうして、無線リソースが解放される。
図18に示されていない1つのさらなる変形形態では、UEが、無線リソースの解放を要求するためのアイドル指示によるMMEに対する明示的な通知を行わず、その代わりに、MMEに上りリンクのCP−Ackメッセージを送信するのを遅らせる。したがって、CP−Ackメッセージは、MMEへの暗黙的な遅延指示として働く。
これによってもたらされる利点は、いくつかの連結されていないMO SMSが送信される場合に、タイマが間に合うように中止されるので、無線リソースが早く解放され過ぎないことである。従来技術では、SM−SCが、さらなるMO SMSを受信すると予想しないので、MMEに解放要求メッセージを送信し、したがって、最初のMO SMSに関するCP−Ackと相まって、MMEが、認識していないまもなく行われるさらなるMO SMSの送信があるにもかかわらず、リソース解放手順を開始する。
[本発明の変形形態および有利な実施形態]
図19は、図17および18を参照して示された実施形態と比較した、本発明の代替的なまたは追加的な実施形態を開示する。本発明の代替的な実施形態によれば、タイマの開始が、もはや、MT SMS、またはMO SMSに対するACKの受信のみによってトリガされない。その代わりに、上位層からの解放要求指示が、無線リソース解放タイマを開始するためのトリガ・イベントとして追加的または代替的に使用される。より詳細に言えば、UEの上位層が、受信されたSMSの内容を処理することができ、したがって、リソースがさらに使用されるべきか否かを判断することができる。例えば、上位層は、受信されたMT SMSがMO SMSの送信、または任意のその他の種類のIP接続の確立もしくは上りリンクのIPの送信をトリガするか否かと、さらには送信が実行される時間とを知っている場合、UEのNAS層に解放要求を示さない。そのような場合、UEは、無線リソース解放タイマを開始する必要がない。一方、SMSアプリケーションは、その他の(おそらくはMTC)アプリケーションのトリガについて知らない場合、UEのNAS層に解放要求を示す可能性があるが、UEは、以下で説明するように、上位層からの解放要求に基づいて無線リソース解放タイマを開始する。UEが上位層から解放要求を受信した後に無線リソース解放タイマを開始するか否かは、1)UEの内部構成の問題、または2)UEの内部の判断機能、または3)UEとMMEとの間、もしくはUEとその他のコア・ネットワーク・エンティティとの間のネゴシエーションに基づく可能性がある。
タイマの同様のトリガは、MO SMSのシナリオに適用可能であり、すなわち、さらにまたは代替的に、上位層の解放要求指示が、無線リソース解放タイマのトリガとして使用され得る。
図14および15に示された、UE内でSMRエンティティからSMCエンティティに送信される解放要求メッセージが、この目的のために使用され得る。MO SMSの場合、MO SMSの送信に対するRP−Ackの受信が、解放要求メッセージを送信するように上位層をトリガするが、上位層からのさらなる上りリンクの送信が近い将来実行される予定がないことが前提となる(図14参照)。MT SMSの場合、解放要求の送信は、上位層の上りリンクの送信が近いうちに行われない場合に限り、CP−Data CPDUでのRP−Ackの送信に対するCP−Ackを受信するときにUE内でトリガされる(図15参照)。
MT SMSの場合、UEでの解放要求指示がRP−Ackメッセージを送信した後にのみ生成されるので、タイマが開始した後の残りの手順が変わる。それに対応して、無線リソース解放タイマが切れた後に送信されるべき無線リソース解放指示(アイドル指示)は、別のメッセージで送信できず、例えば、NASメッセージで別途送信される。図19は、これを示している。MMEは、アイドル指示を受信し、したがって、上で説明した無線リソース解放手順を開始する。
図20は、タイマのための解放要求トリガを用いたMO SMSに関する本発明の実施形態を示している。この場合の手順は、図18の手順と非常によく似ている。無線リソース解放タイマの開始イベントを変更すること以外、タイマが切れたときにアイドル指示を送信することは変わらない。特に、アイドル指示は、CP−Ackメッセージ内で、または別の、例えばNASメッセージで送信され得る。
タイマの開始イベントとして上位層の解放要求指示を使用することは、特定のシナリオで有利である可能性がある。MT SMSが、UE(すなわち、UEのMTCアプリケーション)が特定の時間遅延でMTCサーバにステータス報告を送信するためのトリガ命令を含む場合、図17による本発明の実施形態は最適でない。この場合、タイマは、(MT SMSが受信されるので)開始されるが、(上りリンク・データが送信されるべきでないので)中止されない。下位層は、時間遅延のある、上位層でまもなく行われるデータ送信を認識せず、上位層、すなわちSMSの実際の中身を処理する層だけが、時間遅延を認識する。その結果、無線リソースが、上りリンク・データの送信がまもなく行われるとしても解放される。短い時間遅延の後、上りリンク・データが送信される必要があり、サービス要求手順が、無線リソースを再び確立するために実行される必要がある。
図19による実施形態では、タイマ開始イベントとして解放要求指示を使用することにより、無線リソースのこの早期の解放が避けられる。解放要求指示は、タイマを開始するために下位層に送信されない。したがって、タイマは開始されず、切れてリソースの解放をトリガすることがない。
解放要求指示がタイマ開始イベントとして使用される別のシナリオは、連結されたMT SMSに関する。連結されたMT SMSの場合、SM−SCが、UEに複数のSMSセグメントを送信する。基本的に、連結されたSMSの第1のSMSセグメントに対するACKがSM−SCに送られた後、SM−SCは、第2のSMSセグメントを送信する。図17の実施形態によれば、それぞれの受信されるSMSセグメントがタイマをトリガし、タイマの継続時間が新しいSMSセグメントを受信するための時間よりも短い場合、無線リソースが毎回解放される。連結されたSMSに関しては、無線リソースの解放が回避されるべきである。さらに、アイドル指示を送信するために代替的方法2が使用される場合、RP−Ackは、常に遅らされるが、連結されたSMSの次のSMSセグメントを送信するためにSM−SCによって必要とされるので、連結されたSMSの送信手順に遅延がもたらされる。さらに別の不利な点は、MT SMSセグメントが受信されるたびに解放タイマが開始されるので、UEの処理が増えることである可能性がある。
例えば、図17の代替的方法1を使用することによって遅延が避けられる可能性があるが、解放タイマの値が短過ぎる場合、図17に関連して説明したように、この実施形態に関しても、無線リソースの解放がやはり起こる。上位層(例えば、SMRエンティティまたは転送層)は連結されたSMSについて認識しているため、上位層からの解放要求指示をタイマ開始イベントとして使用することによって、最後のSMSセグメントが受信された後にのみNAS層に解放要求指示が送信されるので、無線リソースの不必要な解放が避けられる。さらに、解放タイマが各SMSセグメントが受信された後に開始されないので、UEの処理が簡素化される。
上で説明したように、連結されたMT SMSを使用すると、上述の実施形態の無線の解放の制御に問題が生じる可能性がある。この問題を軽減することを可能にする有利な実施形態を、以下に示す。UEでMT SMSが受信されるたびに無線リソース解放タイマを開始する代わりに、タイマは、SMSが連結されたSMSの一部ではないとき、またはSMSが連結されたMT SMSの最後のRPDUセグメントであるときに限り開始される。この目的のために、UEは、RP−Data、すなわちSMSを分析することになり、特に、そのSMSに関するそのSMSのユーザ・データのヘッダ部は、このSMSが連結されたSMSの一部であるという指示を含むはずであり、連結されたSMSを構成するSMSの総数と、連結されたSMSのシーケンス中での、たった今受信されたSMSの特定の番号とに関する情報をさらに含む。したがって、UEは、必要な情報を知り、連結されていないSMSと、一連の連結されたSMSのうちの最後のSMSセグメントである連結されたSMSのセグメントとに対してのみタイマを開始することができる。
本発明の上述の実施形態のさらなる適合および/または代替的方法は、MMEでリソース解放手順を開始するときに、ネットワークのSMRエンティティによって送信される解放要求指示を含めることに関する。図17〜20による実施形態において、SMRエンティティは、SMRエンティティがRP−Ack(MT SMSがSM−SCによって正常に送信されたことを意味する)を受信すると、またはSM−SCがmo−FSM ACK(MO SMSがSM−SCで正常に受信されたことを意味する)を送信すると、SMCエンティティにRel−Req指示を送信する。これは、さらなる下りリンクのMT SMSがSM−SCによって送信される予定がないと想定している。
本発明のこの有利な実施形態によれば、無線リソースの解放の開始が、UEから受信されるリソース解放指示(「アイドル指示」)だけでなく、SMRエンティティからの解放要求指示にも依存する。言い換えると、両方のインジケータがMMEで受信されるときにのみ、UEコンテキスト解放命令をeNBに送信することによってリソース解放手順が開始される。
これは、上で説明した実施形態に勝る特定の利点を有する可能性がある。例えば、さらなるMT SMSがSM−SCによって送信されるべきである場合、これは、上述の実施形態のすべてで考慮されない。この実施形態では、MMEが、リソース解放手順を開始するためのSMRエンティティからのRel−Req指示を待ち、さらなる下りリンク・データ、すなわちMT SMSまたはTPDUがUEに送信される予定が確かにない場合にのみRel−ReqがSMRエンティティによって送信されるので、いくつかの連結された、または連結されていないMT SMSが送信されるときに、早期の無線の解放が回避できる。通常、ショート・メッセージ転送層(SM TL)は、TPDUで、送信すべきさらなるメッセージが存在するか否かの指示を提供し、この指示は、主に、連結されたSMSの場合に使用されることに留意されたい。したがって、SMRエンティティは、この情報を解析し、送信を待っているさらなるTPDUが存在するか否かを知ることができる。
UEからMMEへの「アイドル指示」の送信は、上で説明した本発明のすべての実施形態の一部である。用語「アイドル指示」は、主として参照しやすくするために使用されており、この機能の範囲をそれが名付けられた通りに限定すると誤解するべきでない。アイドル指示が実際にどのように実装され得るかを、以下で詳細に説明する。概して、UEからMMEへのこの指示は、MMEに、UEの観点から見て無線リソースがもはや必要なく、解放されることを知らせる。
アイドル指示は、例えば、IDLE状態に変わる明示的な指示、もしくはNAS接続を解放する明示的な指示である可能性があり、または上りリンクNAS転送バッファがゼロであることについての指示からなる可能性がある。したがって、アイドル指示は、0または1に設定されるフラグに過ぎない可能性があり、このフラグから、MMEは、リソースの解放がUEによって命じられているか否かを推測することができる。上で説明したように、MMEは、「アイドル指示」を命令として解釈し、無線リソースの解放を直ちに開始する可能性があり、または(SMSの上位層を代表する)SMRエンティティからの解放要求指示などの第2のイベントを待つ可能性がある。アイドル指示の今説明した実装のそれぞれは、本発明の上で説明した実施形態に適合性があることにさらに留意されたい。
上述の実施形態に関して、例えば、MT SMS内のMTCトリガに応答してUEから上りリンク・データが送信されるべきである場合に無線リソース解放タイマが中止/停止されることを上で説明した。本発明のさらなる実施形態によれば、タイマの中止イベントは以下の通りである。
1つの中止イベントは、MT SMSが受信された結果としてMO SMSが送信されることである可能性がある。無線リソース解放タイマが動いている(例えば、無線リソース解放タイマが、MT SMSを正常に受信した後、開始された)場合、解放タイマは、上位層(例えば、SMRエンティティ)がMO SMSが送信されるべきであることを示すときに停止/中止される。MO SMSは、上りリンクでのRP−Dataの送信を引き起こし、したがって、上りリンクのRP−Data RPDUの送信が、無線リソース解放タイマの終了イベントとして使用され得る。
タイマのさらなる中止イベントは、ユーザ・プレーンのデータ・ベアラが確立されることである可能性がある。例えば、受信されたMT SMSが、MTCサーバとUEとの間でユーザ・データを交換するためのデータ・ベアラを確立するためのMTCトリガ指示を含む可能性がある。それに対応して、UEは、これに関連してデータ・ベアラの確立を開始する。上りリンク・データの送信はすぐには起こらない可能性があるが、無線リソースを維持し、したがってそれらのリソースの解放を避けることがやはり有利である。この目的のために、タイマは、UEがデータ・ベアラの確立を検出する場合にも中止されることになる。
無線リソース解放タイマの長さは実装により、概して、(例えば、通信履歴に基づいて)UEで内部的に決定され得るか、またはネットワークによって事前に構成され得るかのどちらかである。無線リソース解放タイマの長さがネットワークによって事前に構成される場合、タイマの長さの構成は、UEの加入データの一部であり、および/または500msもしくは1sなどのハードコードされたデフォルト値である可能性がある。代替的に、タイマの値は、アタッチ手順中にMMEからUEに告知される可能性がある。
さらに、無線リソース解放タイマの実際の値は、本発明にさらなる利点をもたらすいくつかの制約を有する可能性がある。「アイドル指示」が、例えば、RP−Ack RPDUを搬送するCP−Data CPDUで送信され得る(ピギーバックされ得る)とき、タイマの値は、UEとSM−SCとの間のRPプロトコル層の再送信タイマ未満となる。詳細に言えば、図17の代替的方法2においては、RP−Ackが(アイドル指示を含めるために)無線リソース解放タイマが切れるまで延期されるので、MMEは、RP−Data(すなわち、MT SMS)が肯定応答されるのを待っているSMRエンティティにRP−Ackを間に合うように転送することができない。対応する再送信タイマが切れる前にSMRエンティティでRP−Ackを受信しないか、またはSM−SCでmt−FSM−Ackを受信しないと、SMRエンティティまたはSM−SCは、MT SMSを再送信する可能性がある。この状況は、無線リソース解放タイマをSMRエンティティまたはSM−SCの再送信タイマよりも短く設定することによって回避され得る。SMSセグメントの送信の信頼性、すなわち再送信メカニズムはSM−RL層で保証されると想定でき、したがって、SMRエンティティは、RP−Ackが時間通りに到着しない場合に再送信タイマを実施する。
さらに、本発明の別の有利な実施形態によれば、無線リソース解放タイマは、MMEにRRC接続の解放をトリガする役割を負うeNBの非アクティブ・タイマよりも短くなる。より詳細に言えば、eNBは、UEのために構成された非アクティブ・タイマを有し、UEと相互にやりとりされるデータを監視する。特定の時間、データがUEによって送信または受信されず、すなわちUEが非アクティブであり、対応する非アクティブ・タイマが切れる場合、eNBは、MMEのリソース解放手順をトリガし、対応する要求をMMEに送信する。これは、遅らされたRP−Ackが送信される前にリソースの解放をトリガし、したがって、ただRP−Ackを送信するために無線リソースを再確立することにつながる。この状況を避けるために、UEの無線リソース解放タイマの値は、eNBの非アクティブ・タイマよりも小さく設定される可能性がある。
3GPPの標準化で現在検討されているのは、CP Ackを廃止する案についてである。言い換えると、RP層の肯定応答手順が十分に堅牢であると考えられるので、CP層のCP−Ackを使用しないことが提案されている。MMEによって制御されるリソース解放のための現在のメカニズムは(SMRエンティティからの解放要求メッセージと一緒に)最後のCP−Ackを受信することに基づくので、CP−Ackを廃するこの提案を採用すると、標準的なリソース解放手順と、特にその手順のトリガとを適合させることが必要となる。もしも実際にこれが規格で採用されたとしても、CP−Ackを使用しない上述の実施形態は引き続き使用可能であり、したがって、リソース解放手順がCP−Ackを使用せずに機能し得る方法の1つのオプションとなり得る。例えば、アイドル指示がCP−Ackメッセージとともに送信される本発明の上述の実施形態は、不可能になる(例えば、図18、Alt2参照)。しかし、残りの実施形態は、CP−Ackの使用が将来の規格で廃止されるとしても実現可能である。
本発明の別の有利な実施形態は、UEからMMEへのアイドル指示を使用する別の方法を提案する。本発明の上述の実施形態は、無線リソース解放タイマがSMSの受信/送信イベントによって開始される一方、無線リソース解放タイマが切れたときにアイドル指示を送信することを提案している。しかし、UEが、例えば、SMSの送信と平行してEPSデータ・ベアラを介してIPパケットを交換するデータ・アプリケーションを有する場合、無線リソース解放指示は、SMSの送信のみに基づいて送信されない。タイマのトリガに加えて、またはタイマのトリガの代替として、アイドル指示は、特定のデータ・アプリケーションがUEのNAS層にデータ交換の終了について通知するときに、UEによってMMEにやはり送信され得る。したがって、NAS MM層が、(1つまたは複数の)EPSデータ・ベアラ、すなわちUプレーンの接続がもはや必要ないことを認識することができる。よって、UEは、アイドル指示をMMEに送信し、すると今度は、MMEが、それに応答して、eNBとの無線リソース解放手順を開始する。アイドル指示は、NASメッセージ、例えば、上りリンクNASトランスポート・メッセージに含められ得る。デフォルトのEPSデータ・ベアラが解放されず、CプレーンおよびUプレーンの無線リソースだけが解放されることに留意されたい。
複数のアプリケーションがデータを交換する場合、UEは、無線リソースを解放するためにMMEに「アイドル指示」を送信することを決定する前に、すべてのアクティブなアプリケーションが上で説明したように「データ交換の終了」を示したことを確かめるべきである。
要約すると、アイドル指示は、無線リソース解放タイマが切れるときだけでなく、データ交換が終了することに関する特定の指示が上位層(例えば、アプリケーション層)から受信されるときにも生成され、UEからMMEに送信される。本発明のこの実施形態によってもたらされる利点は、アイドル指示が、無線リソース解放タイマを使用するときよりも早くトリガされ、したがって、無線リソースがより早く、ただし早過ぎず解放されることである。さらに、eNBの非アクティブ・タイマと比べても、無線リソースはより早く解放される。
上述の本発明のさまざまな実施形態を実装するためには、UEとMMEとの両方が、この点で、標準的な手順と比較して適合されるべきである。両方のエンティティは、NAS層でアイドル指示を受信し、処理することができるべきである。アイドル指示は、CMサブレイヤか、またはNAS MMサブレイヤかのどちらかで処理され得ることにさらに留意されたい(図13参照)。さらに、NAS層プロトコルのうちの1つ、すなわち、SM−CP(ショート・メッセージ制御プロトコル)か、またはNAS MMプロトコルかのどちらかに対する変更が必要である。下りリンクの小データがMT SMSに含まれる場合、あり得るオプションは、接続管理(CM)サブレイヤでアイドル指示を実装することである。説明した解決策はCMサブレイヤが実装されないその他の小データ・アプリケーションに適用可能であるので、アイドル指示は、NAS MMプロトコルで送信され得る。
MMEは、NAS MMシグナリング接続がもはや必要ないことを示す(すなわち、UEがMEにアイドル指示を送信する)ためのUEの機能について知っているべきである。一部のUEは本発明のこの機能を実装する可能性があり、その他のUEはこの機能を実装しない可能性がある。したがって、MMEは、無線リソースの解放がどのように制御されるべきか、つまり、標準的な従来技術の手順(MO SMSの場合はCP−AckおよびRel−Req、もしくはMT SMSの場合はRel−Reqのみ)に基づくか、または本発明のさまざまな実施形態のうちの1つにしたがうかを知っている必要がある。この目的のために、UEは、アタッチ手順中にMMEに通知する。例えば、UEは、MMEへの特定の指示(情報要素)をアタッチ要求メッセージに含め、MMEに、特定のUEが本発明による無線リソースの解放のための「アイドル指示」の送信をサポートすることを知らせることができる。
MMEが無線リソースの解放のためのUEの機能についてどのようにして知るかについての別の解決策は、加入データベースにUEの機能を格納することである。その場合、アタッチ手順の間に、MMEは、HSS/HLRからUEの機能の情報(本発明によるアイドル指示のサポート)を取得する。
概して、UEがアイドル指示をサポートすることをMMEが通知される場合、MMEは、SMRエンティティからのRel−Reqおよび/またはUEからのCP−Ackを受信してもNAS MMおよびRRC接続の解放を開始しないが、本発明のさまざまな実施形態のうちの1つにしたがってNAS MMおよびRRC接続の解放を実行する。
ここまでに説明した本発明のすべての実施形態においては、タイマがUEに実装される。本発明のこの無線リソース解放タイマは、以下で説明するように、既にUEに存在するタイマT3440とは異なることに留意されたい。T3440タイマは、UEがアタッチ拒否、デタッチ要求、TAU拒否(特別な拒否理由を伴う)、サービス拒否(特別な拒否理由を伴う)、および/またはTAU受容を取得するときに開始される。T3440タイマが切れるとき、UEは、MMシグナリング接続を暗黙的に解放し、IDLE状態になる(またはIDLE状態のままとなる)。さらに、UEのMMサブレイヤが、RRC層に、RRC接続が必要ないことを示す。いくつかの点で本発明のタイマと明らかに似ているが、さまざまな違いがある。例えば、本発明の無線リソース解放タイマは、SMSまたはSMS−Ackの受信により開始される。さらに、本発明の無線リソース解放タイマの継続時間は、SM−CPプロトコルの手順によって制限され得る。タイマが切れるとき、異なる動作がやはり実行される。したがって、無線リソース解放タイマは異なっており、T3440タイマは、本発明のさまざまな実施形態のいずれを実装する目的にも再利用できない。
本発明の上述の実施形態の変更形態においては、アイドル指示をCP−Ackとして実装することが提案される。換言すれば、従来技術においてリソース解放手順を開始するためのトリガ(のうちの1つ)として知られているCP−Ackメッセージとは異なる明示的なアイドル指示を提供する代わりに、(好ましくはSMRエンティティからの解放要求メッセージと一緒に)解放手順を開始するようにMMEをトリガするために最後のCP−Ackメッセージを維持することが提案される。しかし、本発明のこの実施形態は、本発明の上述の実施形態から既に分かっている無線リソース解放タイマによってCP−Ackメッセージを遅らせることを提案する。
したがって、UEは、タイマを開始し、CP−ACK CPDUをバッファリングし、遅らせ、上りリンク・データが送信されるべきか否か、および/またはデータ・ベアラが確立されるべきか否かを調べる。タイマが切れると、UEは、CP−AckをMMEに転送し、次いで、MMEが、(好ましくはSMRエンティティからの解放要求指示も受信した後)無線リソース解放手順をトリガすることができる。
本発明のさらに別の実施形態は、UEの代わりにMMEに無線リソース解放タイマを実装することに関する。図21は、本発明のこの実施形態を開示しており、特に、MT SMSに関連して例示的な実施形態を示している。当然ながら、MMEにタイマを実装することは、MO SMSのさまざまなシナリオにも等しく適用可能である。
図21の例示的な実施形態においては、タイマは、SMRエンティティから解放要求指示を受信するときに開始される。リソース解放手順を直ちに開始する代わりに、MMEは、リソース解放手順を開始する前に無線リソース解放タイマが切れるのを待つ。
タイマが開始され、MMEは、UEへの/UEからの上りリンクまたは下りリンク・データの送信がまもなく行われるか否かを継続的に調べる。さらに、UEからのデータ・ベアラまたはPDPコンテキストの確立が、無線リソース解放タイマを停止するためのイベントと見なされ得る。そうである場合、タイマが停止され、内部的な「アイドル指示」は生成されず、したがって、SMRエンティティが解放要求を示した可能性があっても、無線リソースの早期の解放が避けられる。一方、そのような下りリンク/上りリンク・データの送信またはベアラの確立が実行される予定がない場合、タイマがやがて切れ、アイドル指示がMMEによって内部で生成される。これは、無線リソース解放手順(すなわち、eNBへのUEコンテキスト解放命令など)をトリガする。
本発明の上述の実施形態の変更形態において、MMEは、SM−SCからの解放要求指示と、UEからの最後のCP−Ackメッセージとの両方が受信されるときにのみ無線リソース解放タイマを開始する。
代替的な実施形態は、MMEがUEに前に転送したMT SMSに関連するUEからのRP−Ackを受信するときにMMEのタイマが開始されることを可能にし、この場合、SMRエンティティからの解放要求指示も受信するときにのみタイマを開始することが好ましい可能性がある。
代替的に、タイマは、上りリンクSMS(すなわち、MO SMS)を受信するときに開始され得る。
UEではなくMMEにタイマを設けることにはいくつかの利点がある。これらの利点の1つは、UEがMMEに明示的な「アイドル指示」を送信する必要がなく、その代わりに、MME自体の内部の指示で十分であり、したがって、無線を介した無線リソースが節約されることである。
MMEにタイマを実装する別の利点は、ネットワークがNAS接続およびRRC接続の継続時間を制御しており、これは一部の事業者が求めていることであるという点である。
図22は、UE、MME、およびSM−SC内のSMSのさまざまなエンティティが見えており、MT SMS(例えば、小データを有する)がSM−SCからUEに送信される本発明の実施形態を開示している。図22のこの特定の実施形態において、無線リソース解放タイマは、MM層がUEのSMCエンティティからCP−Data CPDUでRP−Ackを受信するときに開始される。
代替的に、本発明の上述の実施形態の一部に対応するようにして、タイマは、SMS、すなわち、MT SMSを含むRP−Data RPDUを受信するとき、または上位のアプリケーション層がMM層に指示を与えるときにやはり開始され得る。
本発明の上述の実施形態と同様に、UEは、場合によってはタイマを中止し、それによって早期の無線リソースの解放を避けるために、まもなく行われる上りリンク・データの送信および/またはデータ・ベアラの確立を継続的に調べる。図22の特定の実施形態において、アイドル指示は、RP−Ackを含むCP−Data CPDUで送信される。したがって、タイマが開始された後、CP−Data CPDUは、タイマが中止されるかまたは切れるまで遅らされる。タイマが中止される場合、RP−Ackを含むCP−Data CPDUがMMEに送信される。タイマが切れる場合、RP−Ackを有するCP−Data CPDUは、アイドル指示で(例えば、情報要素として)拡張され、それから、MMEに送信される。
タイマを中止する理由に応じて、UEは、新しいデータ・ベアラの確立、または既存のデータ・ベアラのための無線リソースの有効化(後者は、本発明で上で説明したように、Cプレーンの無線ベアラだけが有効化されており、いかなるDRBも有効化されていないと想定する)を要求するNAS ESMメッセージを送信することができる。
MMEは、RP−Ackを有するCP−Data CPDUを受信し、RP−AckをSM−SCに転送し、リソース解放指示を検出する。任意で、SMCエンティティは、リソース解放手順を開始するためにSMRエンティティからのRel−Req指示を待つ。上で既に説明したように、無線リソースの解放を開始する前にSMRエンティティからのRel−Reqを待つことは、いくつかのMT SMSが連続して送信され、したがって、無線リソースのさまざまな再確立につながる状況を避けるために有利である。
MMEのMM層は、内部的に解放要求指示を通知され、その解放要求指示が、MMEからeNBへのUEコンテキスト解放命令(または無線リソースを解放するためのその他の可能な命令)の送信をトリガする。
図22の実施形態は、さまざまなエンティティの内部構成と、上述の実施形態の機能がどのように実装され得るのかとについてより詳細により詳細な見解を与えているに過ぎないことに留意されたい。結果として、MT SMSのシナリオに関して上で説明した本発明のすべての変更形態および実施形態(図17および19参照)は、図22に示すさまざまなエンティティにも実装可能である。
図23は、UE、MME、およびSM−SCの特定のSMSエンティティが詳細に示されているという点で図22と似ている。しかし、図23は、UEからSM−SCへのMO SMSの送信に関する。本発明のこの特定の実施形態においては、NAS無線リソース解放タイマが、MO SMSの送信に応答してUEで受信されたRP−Ackを検出することによって開始される。やはり、タイマのその他の開始イベントも可能であり、図18および20に関する説明をもう一度参照されたい。
無線リソース解放タイマが切れた後、アイドル指示が、MMEへのNASメッセージで別途送信されるか、またはCP−Ackメッセージとともに送信される。アイドル指示は、(任意でSMRエンティティからのRel−Reqメッセージと一緒に)無線リソース解放手順のトリガとして使用される。図23の実施形態は、さまざまなエンティティの内部構成と、上述の実施形態の機能がどのように実装され得るのかとについてより詳細により詳細な見解を与えているに過ぎないことに留意されたい。結果として、MO SMSのシナリオに関して上で説明した本発明のすべての変更形態および実施形態(図18および20参照)は、図23に示すエンティティにも実装可能である。
図23および24の実施形態においては、タイマと、さらに上りリンク・データを調べるための手順とが、UEのMMエンティティで実装されるものとして説明され、示されている。しかし、本発明の代替的な実施形態においては、タイマ機能と、タイマを停止するための対応する監視メカニズムとは、SMCエンティティでも実装され得る。
図24は、本発明の1つの特定の実施形態で実行されるべきさまざまなステップを示す流れ図である。
図24の流れ図は、MT SMSの場合に関し、UEがCP−Data CPDU内のMT SMS(RP−Data RPDU)を受信することから始まる。この実施形態によれば、MT SMSの受信が、無線リソース解放タイマをトリガする。さらに、この特定の実施形態に関しては、アイドル指示が、MT SMSの正常な受信に対して肯定応答しているRP−Ackメッセージと一緒に送信されると仮定する。この目的のために、RP−Ackを含む上りリンクのCP−Data CPDUがバッファリングされ、無線リソース解放タイマが切れるまでUEのNAS層で遅らされる。
図24ではTDelayと称される無線リソース解放タイマが、それがいつ切れるかを判定するために継続的に調べられる。明示的なアイドル指示は上述のように任意であるので、無線リソース解放タイマが切れる場合(分岐「はい」)、UEは、RP−Ackおよびアイドル指示を有するCP−Data CPDUをMMEに送信する。それに応答して、MMEは、eNBにNAS/RRCの解放を命令する(例えば、UEコンテキスト解放命令を送信する)ことによってeNBとの無線リソース解放手順を開始する。
タイマが切れない間は(分岐「いいえ」)、UEは、UEのNAS層がRP−Data(RP−Ackではない)を含むCP−Data CPDUを受信するか否かをさらに調べる。言い換えると、UEは、上りリンク・データが送信されるべきか否かを調べる。そうである場合(分岐「はい」)、UEは、タイマTDelayを停止し、RP−Ackと、タイマを中止させたRP−Dataとを有するCP−Data CPDUをMMEに送信する。
しかし、MO SMSのための上りリンク・データが検出されない(分岐「いいえ」)が、UEが、UEの上位層の非SMSアプリケーションから上りリンク・データ・ベアラの確立指示(DRBが設定されていない場合)またはデータ・ベアラの利用(DRBが設定されている場合)のトリガを受信する場合(分岐「はい」)、UEは、やはりタイマを停止し、RP−Ackを有するCP−Data CPDUを有するNASメッセージと、対応するNAS (E)SMとをMMEに送信する。
UEとMMEとの両方で無線リソース解放タイマを同時に実行することは、それによってMM接続およびRRC接続の解放の遅延が大きくなり過ぎる可能性があるので望ましくないことに留意されたい。例えば、MMEが、CP−Ack(MO SMSの場合)またはRP−Ackを搬送するCP−Data(MT SMSの場合)(このCP−Dataは、実行中の無線リソース解放タイマによって既に遅らされている)を受信した後、無線リソース解放タイマを開始する場合、NAS MM接続の解放の遅延が長くなり過ぎる。したがって、両方のエンティティで無線リソース解放タイマを同時に有効化することを避けるために、構成か、またはUEとMMEとの間の何らかのネゴシエーションかのどちらかが可能であるべきである。
本発明のさらなる実施形態を、以下で説明する。
下りリンクの小データまたはMT SMSが、eNBにおけるRRC接続の解放をトリガする(ただし、RRCの解放は条件付き(conditional)である可能性がある)ためにも使用される単一の下りリンクNASメッセージでMMEからUEに搬送されるさらに別の実施形態を説明する。
例えば、図8に関連して明らかであるように、MMEがUEをページングした後、UEは、サービス要求メッセージをMMEに送信する。次いで、MMEが、eNBにおけるUEのコンテキストの確立を開始する。
この新しい実施形態は、eNBにおけるUEの確立が任意である可能性があること、すなわち、送信されるべきメッセージが1つ(またはほんのわずか)しかないためにMMEがUEコンテキストの確立を省略する可能性があることに関してこの手順の最適化が行われると想定する。eNBにおけるUEコンテキストの確立を省略すると、無線インターフェースでRRCメッセージの暗号化が行えなくなる。
この場合、UEは、RRC接続を解放するためにeNBにRRC指示を送信する可能性がある。しかし、RRC接続に加えて、UEとMMEとの間にしかるべきNAS接続が存在する可能性がある。NAS暗号化が実施されるが、RRC暗号化は適用されないときに、NAS接続が確立されていると見なせるか否かは定義の問題であることが指摘され得る。ネットワークおよびUEが同期された状態であるために、NAS接続の解放についてもMMEに通知することが望ましい。UEからMMEへのその通知に関して困る事態は、MMEがeNBに「条件付きの」解放を指示した結果、MMEが、無線リソースが維持されるのか、または解放されるのか分からないことであり、これは、言い方を変えれば、MMEが、さらなる下りリンクのNASメッセージが送信され得るか否か分からないことを意味する。
1つのあり得る解決策は、図17〜24の実施形態に関連して上で説明したようにUEからMMEへの「IDLE」指示を適用することである。より詳細に言えば、MMEは、「IDLE」指示(およびSMRエンティティからのRel−req)を受信するときに、無線リソースを解放するために、S1−AP「UEコンテキスト解放」か、または何らかのその他の命令かのどちらかをeNBに送信する。しかし、上述のシナリオでは、eNBにUEコンテキストが存在せず、したがって、UEコンテキスト解放のためのS1−APメッセージは意味をなさない。したがって、単にRRC接続を解放するという新しい意味を実装するために、S1−APメッセージの意味を変更するか、または新しいS1−APメッセージを規定する必要がある可能性がある。一方、UEは、eNBから「RRC接続解放」要求を受信するときに、不正侵入を防止するためにRRCメッセージを検証することができるべきである。
以下で、DL NASメッセージを実現する可能性について説明する。1つの可能性は、DL小データまたはMT SMSを修正されたNASサービス拒否メッセージでカプセル化することである。NASサービス拒否メッセージは、またはDLデータがそのメッセージで搬送されており、NASの拒否が処理エラー(もしくは輻輳)が原因で起こったのではないという新しい拒否理由、または追加のフラグもしくは指示を有する可能性がある。
別の可能性は、DL小データの転送に既存の「下りリンクNASトランスポート」メッセージを使用するが、RRCおよび/またはNAS「接続解放」の要求を含めることである。「接続解放」指示は、さまざまな方法で実装され得る。
・ 「接続解放」指示が、MMEからeNBへのS1−APメッセージにのみ含められる。指示を受信した後、eNBがRRC接続を解放する。
・ 「接続解放」指示が、MMEからeNBへのS1−APメッセージと、MMEからUEへの(小データを搬送する)DL NASメッセージとに含められる。
概して、この実施形態で提案される最適化は、2つの機能、すなわち、a)DL小データを搬送する機能と、2)NAS MM接続およびRRC接続の解放をトリガする機能とを果たすただ1つのNASメッセージがMMEからUEに送信されることである。
上述の解決策の問題は、RRC接続およびNAS MM接続が即座に解放されるために、UEがMMEにいかなる上りリンク・データまたはACKも送信することができないことである。したがって、本発明の別の実施形態は、条件付きのRRC接続の解放を実装することを提案する。
通常、DL NASメッセージを搬送するS1−APメッセージは、UEコンテキストの削除をeNBに示す「UEコンテキスト解放命令」をさらに含む。新しい解決策によれば、DL NASメッセージ(例えば、サービス拒否メッセージ)を搬送するS1−APメッセージは、その代わりに、eNBへの「RRC条件付き解放(RRC conditional release)」命令を含む。この条件付き解放命令は、eNBが、無条件にUEコンテキストを削除するのではなく、UEがその後のUL RRCメッセージで「RRC維持(keep RRC)」を明示的に示さない場合にのみUEコンテキストを削除する(すなわち、RRC接続を解放する)ことを意味する。さらに、MMEは、下りリンクのメッセージがMT SMSの送信の一部としてのRP−Dataであることを知っている場合、少なくとも1つの上りリンクのNAS、すなわち、RP−Ack RPDUを搬送する上りリンクNASメッセージが予想されるべきであることが分かる。したがって、MMEは、単一の下りリンクNASメッセージの送信の後、直ちにRRCを解放することを指示しない。1つの可能性は、MMEが、単一の下りリンクNASメッセージを搬送するS1−APメッセージで、RP−Ack RPDUを搬送するUEからの少なくとも1つの上りリンクRRCメッセージを受信した後、RRC接続が解放されることを示すことである。
指示「RRC維持」の概念は象徴的であり、概して、UEがRRC接続を維持したいことを意味する。「RRC維持」の指示は、例えば、UL RRCメッセージでの明示的なRRC指示として、またはMMEに連続するNASメッセージを送信することによって、またはE−RAB確立手順中にMMEによってトリガされるDRBの確立によって実装され得る。
eNBは、指示「RRC維持」を有するUL RRCメッセージを待つための特定のタイマ(例えば、Tcond_relと称される)を有する可能性がある。eNBのこのタイマの値は、UEごとにMMEからシグナリングされ得るか、もしくはeNBで静的に構成され得るかのどちらかであり、またはタイマの値は、さまざまな条件に基づいてeNBで計算され得る。
eNBは、通常、各UEのIDLEモードへの遷移をトリガするためのさらなるタイマを有し、eNBでネットワーク事業者によって構成されることを留意されたい。UEがそのタイマの継続時間中にいかなるパケットも受信または送信しない場合、eNBは、S1−AP「UEコンテキスト解放要求」メッセージをMMEに送信する。そのとき、MMEは、「UEコンテキスト解放命令」メッセージをeNBに送信することによってRRC接続の解放を開始する。IDLEモードへの遷移のためのeNBで実行されているタイマは、UEのULまたはDLパケットが無線インターフェースを介して送信されるたびに再始動される。
「RRC条件付き解放」手順を実装するためのeNBのタイマ(Tcond_rel)は、IDLEへの遷移のためのタイマとは異なる。1つの違いは、Tcond_relタイマがMMEからのRRC接続解放指示(「UEコンテキスト解放命令」メッセージ)によって開始されることである。さらに、Tcond_relタイマの継続時間は、IDLEへの遷移のためのタイマの継続時間よりも大幅に短い。また、さらなる違いは、Tcond_relタイマがUEからの象徴的な「RRC維持」の指示によって終了されることである。
「RRC維持」の指示は、NAS層で実装される可能性もあり(例えば、「NAS維持(keep NAS)」)、例えば、UEが、UL NASメッセージで、NAS MM接続が解放されるべきでないという指示をMMEに送信する。
上述のこの実施形態においては、RRC接続の確立に関して2つのオプションが可能であり、2つのオプションとは、すなわち、a)UEのコンテキストがeNBにプッシュされること、またはb)(小データもしくはMT SMSを有する)DL NASメッセージが暗号化されないRRC接続を介してUEに送信されることである。UEがメッセージを復号可能であるので、DL NASメッセージ自体が暗号化され得る。
1つの利点は、この最適化によって、規格に現在記載されているIDLEモードへの遷移の明示的なトリガのためのS1−APシグナリングおよびRRCシグナリングが省かれることである。しかし、eNBに対する変更が必要である可能性がある。例えば、eNBは、暗号化されたSRB2ベアラではなく、暗号化されていないSRB1ベアラを介したDL NASメッセージをマッピングすることができるべきである。
DL小データが単一のメッセージである場合、いかなる予想されるULデータもないので、小データを修正されたサービス拒否メッセージに含めることが有益である。しかし、通常、MT SMSが送信される必要があるとき、UEは、少なくともRP−ACKをネットワークに送信しなければならず、この場合、NAS MM接続およびRRC接続は、MT SMSに肯定応答するためにRP−Ackを送信することができるように、DL NASメッセージを送信した後、直ちに解放されない。
一例においては、MMEがサービス拒否メッセージが正常に受信されたというACKを受信する必要がない新しい種類の「信頼できないMT SMS配信サービス」が規定される。それぞれ、SM−SCも、RP−DATA、すなわちMT SMSの配信に対するACKを受信する必要がない。このサブオプションは、無線リンクに問題があり、NASサービス拒否メッセージが誤りなくUEに配信され得ない場合、問題を起こす可能性がある。
別の例においては、MT SMSがデバイス・トリガ・メッセージである(それに応答してULデータが送信されることになることを意味する)場合、その後のUプレーンのベアラの確立、またはMO SMSもしくはUL小データが、デバイス・トリガ・メッセージ、すなわちMT SMSを搬送するDL NASメッセージの配信に対するACKとして使用され得る。このサブオプションの不利な点は、UEが、NASサービス要求メッセージを受信した後にRRC接続およびNAS MM接続の確立を開始する必要があることである。
この実施形態で提案される解決策の全体的に不利な点は、UEが、NAS MM接続を維持したい場合に、MMEおよび/またはeNBに明示的な指示(「RRC維持」)を送信する必要があることである。これは、場合によっては、送信される必要があるさらなるNASメッセージを意味する。
以下の手順は、完全なシグナリング・フローを示している。
・ UEがページングされる(おそらくは、本発明で既に説明したように、MT小データに関する特別な指示を伴う)。
・ UEがMMEにサービス要求を送信する(おそらくは、本発明で既に説明したように、「小データ」の指示を伴う)。
・ MMEが、MT小データを搬送し、eNBおよび/またはUEへの「解放」指示を含むNAS DLメッセージ(修正されたサービス拒否または下りリンクNASトランスポート)をUEに送信する。MMEは、DL小データが単一の下りリンク・メッセージであり、すなわち、連結されたSMSの一部ではないことを知っている場合にこのオプションを使用すると決定することができることに留意されたい。
・ DL NASメッセージを受信し、メッセージの内容を処理した後、UEがULデータを送信する必要がある場合、UEが、以下のようにして処理を進める可能性がある。
・ ULデータがUプレーンのEPSデータ・ベアラを使用することになる場合、UEが、第2のNAS MMサービス要求またはNAS (E)SMメッセージ(例えば、PDN接続性要求)をMMEに送信し、データ・ベアラが必要であることを示す。
・ ULデータが(例えば、MO SMSのために)Cプレーンの接続の利用することになる場合、UEが、ULデータを搬送するUL NASメッセージを送信する。UEは、MME(および場合によってはeNB)に、NAS接続が解放されないことを示す。さらに、UEは、本発明で既に開示されたメカニズムを適用する可能性があり、すなわち、無線リソース解放タイマおよび「アイドル指示」をMMEに適用できる。
・ eNBは、RRC接続を解放しない。
・ UEかまたはMMEかのどちらかが、送信すべきULデータおよびDLデータの量に基づいてNAS MM接続およびRRC接続の終了を判断する(上の内容を参照されたい)。
本発明のさらなる実施形態を、以下で説明する。この発明のさらなる実施形態は、UEが複数のMTCアプリケーションを有し、それらのMTCアプリケーションのうちの少なくとも1つが遅延に寛容であるシナリオを扱う。「遅延に寛容」とは、UEが送信するためのデータを有する可能性があるが、データの送信の遅延が致命的でないことを意味する。送信を遅らせる理由は、無線リソースを節約し、電力消費を抑え、その他のアプリケーションまたはスケジューリングされたTAU手順によってネットワークへの接続がトリガされるときに遅延に寛容なデータを送信するためである。その後、UEは、IDLE状態からACTIVE状態に遷移するときに、遅延に寛容なMTCアプリケーションに関するULデータを送信する可能性がある。
上述のように、UEは、拡張サービス要求でMMEにULデータの統計を送信し、したがって、MMEが、EPSデータ・ベアラの確立が必要か否かを判断することができる。UEは、送信すべき遅延に寛容なMTCアプリケーションからの未処理のULデータを有する場合、拡張サービス要求でこの未処理のデータを示すこともできる。この解決策の1つの問題は、UEからの指示が不明確である可能性があり、MMEの判断が正しくない(例えば、Cプレーン/NASを使用するが、UEが異なるPDN接続にデータを送信する)可能性があることである。したがって、この問題に対処するための解決策が必要である。
本発明のこの実施形態の解決策は、MT小データまたはMT SMSの結果生じたULデータ(例えば、SMS転送)とともに、拡張サービス要求内のUEからのどの特定のデータ・ベアラ(どのPDN接続)がさらに必要かの明示的な指示に基づく。結果的に、MMEは、遅延に寛容なMTCアプリケーションのためのDRBを確立し、NASを介したMT SMS転送(およびその結果行われる可能性があるMO SMS)が平行して実行される。
任意で、UEは、通常のサービス要求(ページングに対する応答としての拡張サービス要求ではない)を送信する可能性があり、後でESM(EPSセッション管理)メッセージを使用することにより、遅延に寛容なMTCアプリケーションのための特定のEPSベアラを有効化することができる。例えば、サービス要求を送信し、いかなるEPSベアラも確立されていないことを意味するDL小データまたはMT SMS(例えば、下りリンクNASトランスポート・メッセージでカプセル化されている)を受信した後、UEは、遅延に寛容なMTCアプリケーションのための所与のAPNへのEPSベアラの確立を明示的に要求するために、ESM PDN接続性要求をMMEに送信することができる。UEが(拡張)サービス要求を送信した後にネットワークがEPSデータ・ベアラを設定することを決定したが、遅延に寛容なMTCアプリケーションが別のEPSベアラを必要とする場合、以下のオプションがあり得る可能性がある。
・ 遅延に寛容なMTCアプリケーションが異なるAPNを必要とする場合、UEが、PDN接続性要求をMMEに送信して、異なるAPNへの新たなPDN接続を確立する。
・ 遅延に寛容なMTCアプリケーションが個別EPSベアラを必要とする場合、UEが、個別EPSベアラの確立をトリガする(ネットワークがそうすると決定した場合)ためにEPSベアラ修正要求を送信する。
[ショート・メッセージ・ハンドオーバ手順]
以下で、移動ノードが無線リソースへの影響を抑えながら無線アクセス技術を変更することを可能にする改良されたハンドオーバ手順に関連する本発明のさまざまな実施形態を説明する。
より具体的には、図31が、本発明のこの実施形態で使用される原理を実装するエンティティ間の高レベルの例示的なシグナリングの交換を示している。例示のみを目的として以下のシナリオが想定される。
移動ノードが、現在、ネットワーク、すなわちSMS−SCとSMSを交換していると仮定する。今のところ、UEはE−UTRAN内にあり、MMEを介し、SGdインターフェースでSMS−SCと直接SMSを交換しているか、またはネイティブでSGsインターフェースを介してMSCサーバとSMSを交換しているかのいずれかであると仮定されるべきである。
UEは、UEとeNBとの間のシグナリング・ベアラ(例えば、SRB0、SRB1、SRB2)と、LTEネットワーク内で確立された少なくとも1つのデフォルト・データ・ベアラ(DRB、データ無線ベアラ)とを常に有しており、任意で、さらなる個別EPSベアラがユーザ・データを送信するために確立される。eNBは、それぞれのアクティブなUEに関して、MMEとの制御プレーンの接続と、SGWとのユーザ・プレーンの接続とを有する。デフォルト・データ・ベアラは、そのデフォルト・データ・ベアラがユーザ・データの送信のために実際に使用されるか否かに関係なく確立される。したがって、小データ(すなわち、シグナリング接続を介する)のみが制御プレーンを介してLTEネットワーク内で移動ノードと交換される場合であっても、デフォルト・データ・ベアラは、移動ノードのためにLTEネットワーク内でやはり確立されており、アクティブである。
ステップ1)
eNBが、SMSの交換が実行中である間に、すなわち、SMSの交換が完了する前に、UEによって報告された測定に応じて移動ノードを(例えば、SGSNによってサービスを提供される)別のハンドオーバ先アクセスにハンドオーバすることを望んでいる。それに対応して、eNBが、これをMMEに示すことによってハンドオーバを開始する。したがって、ステップ1は、UEによって実行され、UEによってeNBに報告される無線の測定も含むと見なされ得る。
ステップ2)
ここで、UTRAN内の対応するデータ接続が確立されるべきか否かを判断する必要がある。図31の例示的な実施形態においては、ハンドオーバ元MMEがこの判断を行うと仮定する。しかし、この判断は、MMEによってのみ実行されるのではなく、UEおよび/またはeNBによっても実行される可能性があり、概して、移動ノードの小データの交換に関与するLTEネットワーク内のエンティティのうちの1つがこの判断を実行すると言うことができる。
さらに、この判断がどのように行われるかは、以降で説明するように、本発明の実施形態ごとにやはり異なる可能性がある。
一実施形態によれば、LTEネットワークのデフォルトのEPSデータ・ベアラがデータ送信のために実際に今現在使用されているか否かが判定される可能性がある。S1−Uの有効化以降、上りリンクまたは下りリンクでいかなるデータも交換されなかった(または単に所与の時間内に交換されなかった)と判定された場合、データ接続はUTRANで不要であると決定され得る。この判定は、このデフォルト・データ・ベアラを介したユーザ・プレーンのデータ交換に関連するUE、サービング・ゲートウェイ、またはeNBからのデータの統計に基づく可能性がある。それに対応して、判断を実行するノード(例えば、MME)は、その他のノード(例えば、UE、サービング・ゲートウェイ、またはeNB)のうちの1つまたは複数から適切な情報を取得する。
特定の実施形態によれば、MMEは、eNBがRAT間ハンドオーバが必要であることをMMEに知らせる(ステップ1)ときにS1−Uの統計をMMEに報告するように、S1−Uベアラの確立中にeNBを構成する可能性もある。それに対応して、ステップ1において、UEは、無線の測定をeNBに報告し、eNBは、RAT間ハンドオーバが必要であると判断するとき、RAT間ハンドオーバを準備するために、例えばS1−APメッセージによってMMEに知らせる。好ましくは、「ハンドオーバ要請」メッセージ(標準的な準備フェーズの図29のステップ2)が、eNBが、サービング・ゲートウェイへのS1−Uベアラを確立した後に上りリンクおよび下りリンクで交換されたデータの統計をMMEに知らせることができるように拡張される可能性がある。
本発明の代替的な実施形態によれば、(eNBの代わりに)UEが、データ交換についてMMEに知らせる。MMEが、(例えば、eNBからMMEで「ハンドオーバ要請」メッセージを受信したときに)データの統計に関してUEに直接問い合わせるか、またはUEが、シグナリング接続を介してSMSを送信するためだけのUプレーンのベアラを確立し、したがって、ネットワークがステップ2)の判定のためにそのような情報を必要とする可能性があることを知っている可能性があるので、明示的な要求なしにMMEに通知する可能性があるかのどちらかである。データの統計の転送のための1つのオプションは、UEからMMEへの別個のNASシグナリング・メッセージを使用することである。別のオプションは、既存のNASメッセージ、例えば、NAS EMM情報メッセージで搬送される新しい情報要素を規定することである。
本発明のさらなる実施形態によれば、データの統計についての多くの情報を送信する代わりに、UEが、ユーザ・プレーンのデータ・ベアラを介したデータ交換が行われたか、または行われているか、または近い将来に行われるかに関する指示を送信する可能性がある。やはり、この指示は、UEからMMEへの別個のNASシグナリング・メッセージで送信されるか、または代替的に、SMSの送信に使用されるNASメッセージに、例えばビット(「アクティブ・ビット(active bit)」)としてピギーバックされる可能性がある。UEは、MMEとのそのような情報の交換を実行するために、この実施形態および上述の実施形態で修正される必要があることに留意されたい。
本発明のさらにその他の実施形態によれば、UTRANでデータ接続を確立すべきか否かについての決定が、上述の実施形態で説明したデータの統計またはUEからの指示を必要とせずに行われ得る。特に、SMSの送信が始まる前、UEがCONNECTED状態であった場合、LTEネットワークのデータ・ベアラが確かに使用されており、したがって、UTRANへのハンドオーバの後にやはり使用される可能性があると想定され得る。各EPSベアラは、例えば、実行中の緊急サービス、MPS(Multimedia Priority Service:マルチメディア優先度サービス)サービス、またはIMSサービスを有するUEに関連するARP値(Access Retention and Priority:アクセス維持および優先度)を割り当てられる。E−UTRANのデフォルト・データ・ベアラに関するこのARP値が高い(すなわち、事前に定義された閾値よりも高い)場合、E−UTRANでそのデータ・ベアラが現在使用されているか否かにかかわらず、対応するデータ接続がUTRANにおいて確立されることになる。また、UEが受信したSMS(デバイスをトリガするために使用されるSMS)に応答してデータを送信するようにトリガされることが分かっているときは、SMSの送信が完了するとUEがデータ送信を開始すると推測され得る。この場合にも、E−UTRANでデータ・ベアラが現在使用されているか否かにかかわらず、データ接続がUTRANにおいて確立されることになる。
以上、データ接続(E−UTRANのデフォルト・データ・ベアラに対応する)が確立されるべきか否かを判定するさまざまな方法を説明した。さらに、(MMEであろうと、UEであろうと、eNBであろうと)どのエンティティが実際に判断を行うかにかかわらず、MMEは、以下のステップ3)にしたがってハンドオーバ手順を継続することになるので、判断の結果を知る必要があり、すなわち、ハンドオーバ手順がやはりハンドオーバ先ネットワーク(UTRAN)でデータ接続を確立するようなものであるか否かを知る必要がある。
さらなるハンドオーバ手順に関して、もっぱら、別途説明されない限り、UTRANのデータ接続を確立しないと決定されたと仮定する。
ステップ3)
図31ではハンドオーバ元MMEと称されるMMEが、ハンドオーバ先SGSNに、移動ノードがそのハンドオーバ先SGSNへのハンドオーバを実行することを知らせ、LTEネットワークのEPSベアラ・コンテキストをSGSNに送信する。EPSベアラ・コンテキストは、ハンドオーバを実行したいUEのためにLTEネットワークで確立されており、アクティブであるデータ・ベアラに関連し、LTEではSRBに関するEPSベアラ・コンテキストは存在しない。
想定される例示的なシナリオにおいては、デフォルト・データ・ベアラのみがLTEネットワークで確立されている(SMSデータ交換のみ)ので、このデフォルト・データ・ベアラに関するEPSベアラ・コンテキストのみが、SGSNに送信される。さらに、MME(または別のノード)がデータ接続が不要であり、UTRANで確立されないと決定したため、MMEは、PDPコンテキスト(LTEのEPSデフォルト・ベアラ・コンテキストに対応する)が「保存」状態に維持されることもSGSNに知らせる。「保存」とは、基本的に、SGSNが、サービング・ゲートウェイ(SGW)に連絡してこのPDPコンテキストのためのS4関連付けまたはトンネルを確立する可能性がある(下のステップ4)参照)が、対応する無線アクセス・ベアラ(RAB)を確立するようにハンドオーバ先アクセス・ネットワーク(すなわち、RNC/BSS)に要求せず、したがって、PDPコンテキストが有効化されない(3GPPの用語を用いて言えば、PDPコンテキストがSGSNおよびコア・ネットワークに「保存」される)ことを意味する。
本発明の一実施形態によれば、これは、EPSベアラがあるべき状態についてSGSNに知らせ、(デフォルト・データ・ベアラの)E−RAB IDを含め、デフォルト・データ・ベアラのこのE−RAB IDに関して状態「保存」を示すことによって、MMEにより開始される。これは、PDPコンテキスト(GERAN/UTRANのRAB)の有効化が不要であることをSGSNに明示的に知らせる。それに対応して、ハンドオーバ元MMEからハンドオーバ先SGSNに送信されるメッセージは、(1つまたは複数の)EPSベアラ・コンテキストだけでなく、各コンテキストの状態も含む。
さらに、MMEは、MMEとUEとの間で実行中のSMSの送信があるので、ハンドオーバ処理の後またはハンドオーバ処理中にSMS PDUが転送されることをSGSNに知らせることができる。これは、ハンドオーバ先アクセス(UTRAN/GERAN)の制御プレーンの接続がSMS送信のために使用されることになるというSGSNへの指示として使用され得る。
ステップ4)
このステップは、SGSNおよびハンドオーバ先ネットワークによって実行される処理を含む。通常通り、EPSコンテキストが、SGSNによってPDPコンテキストにマッピングされ、格納される。さらに、SGSNが(サービングGWへの接続が移動ノードに関して前に既に確立されたか否か、例えば、UEがSGSNに前に既にアタッチされたか、またはISRがUEに関して有効化されたか否かによって)移動ノードに関するコンテキストを前に格納した場合、SGSNは、PDPコンテキストのためのサービング・ゲートウェイとの接続、特にS4関連付けまたはトンネルを確立する必要がある可能性がある。
SGSNは、受信されたEPSベアラ・コンテキストから、マッピングされた各PDPコンテキストに関するPDPコンテキストIDを生成する可能性もあり、PDPコンテキストIDは、以下から明らかなように、さらなるハンドオーバ手順で使用される。
それに対応して、SGSNは、((1つまたは複数の)受信されたEPSベアラ・コンテキストからマッピングされた)PDPコンテキストを格納し、そこでコンテキストを確立し、したがってUTRANネットワークでデータ接続を確立するためにRNC/BSSに連絡しない。
しかし、SGSNは、ハンドオーバ先RNC/BSSに連絡して、未処理のハンドオーバについて知らせ、E−UTRANのシグナリング無線ベアラに対応してハンドオーバ先アクセス・ネットワークのシグナリング無線ベアラを確立する。その目的のために、RNCがハンドオーバ先NBに連絡し、BSSでは、BSC(基地局コントローラ)がBTS(Base Transceiver Station:無線基地局)に連絡して、移動してくるUEに対する準備をする。さらに、RNCまたはBSCとSGSNとの間のIupsまたはGb関連付けが、UEのために確立される。BSSは、BSC(BSCはSGSNに接続するためのPCU、パケット制御ユニットを含み得る)およびBTSを含むことに留意されたい。
要約すると、ステップ4)において、E−UTRANのEPSデフォルト・データ・ベアラのEPSベアラ・コンテキストに関する「保存」状態の情報を提供することによって、SGSNが、無線リソースを無駄にする可能性があるUTRANまたはGERANネットワークの対応するデータ・ベアラを確立することを避け、しかし、制御プレーンの接続のために無線アクセス・エンティティを準備することが実現される。
ステップ5)
このステップは、基本的に、ハンドオーバ先SGSNが、ハンドオーバ情報と、さらにはPDPコンテキストの保存状態についての指示とを正しく受信したことを確認することを明確にするために「HO要求確認(Confirm HO request)」と称される。さらに、SGSNは、UEによって使用されるべき無線に固有の情報を含めて、MMEに応答する。既に説明したように、SGSNは、「保存」PDPコンテキストの確立を確認することができる。さまざまなEPSベアラ・コンテキストがMMEからSGSNに送信されたと仮定すると、PDPコンテキストの一部が(例えば、輻輳のために)SGSNによって確立されない可能性があるので、要求されたPDPコンテキストの確立/保存の結果についてMMEに知らせることが有利である。結果は、例えば、「成功」および「不成功」である可能性がある。また、生成されたPDPコンテキストIDがMMEに送信され、通常は、RAB IDがMMEに送信されるが、ステップ4)で説明したように、いかなるデータ接続(すなわち、RAB)もSGSNで確立されないので、RAB IDは存在しない。
加えて、このステップにおいて、MSCとMMEとの間のSGs関連付けのような関連付けがSGSNとMMEとの間で確立される可能性があり、すなわち、MMEとSGSNとの間のSM−CP PDUの転送(およびページング)を可能にする。
ステップ6、6a)
MMEが、UEに搬送される情報を集め、その情報を、例えば、S1−APメッセージを用いてeNBに送信し、さらにはUEに送信する。送信された情報により、UEは、ハンドオーバ先UTRANネットワーク(すなわち、SGSN)でどのベアラが有効化されたかを知ることができる。概して、UEに送信されるハンドオーバ先RAN情報は、ハンドオーバ先アクセス(すなわち、UTRAN)に関連するパラメータに関する情報を含む。現在の標準化では、これは、ハンドオーバ先アクセスで確立されている(有効化されている)PDPコンテキストのRAB IDを含むが、ベアラ・コンテキストの明示的な状態、すなわち、「保存」、「アクティブ」、または「削除」は送信されない。現時点で、ハンドオーバ先アクセスで確立されていないベアラ・コンテキストは、SGSN/MMEでは削除され、UEに保存されている。
一実施形態によれば、したがって、ハンドオーバ先RAN情報は、SGSNで確立されたが、「保存」状態に保たれているPDPコンテキストのPDPコンテキストIDを含む可能性がある。任意で、ハンドオーバ先RAN情報は、ステップ3と同様に、ハンドオーバ先アクセスのEPSベアラ・コンテキストのEPSベアラ・コンテキストIDおよび状態を含む可能性がある。
さらなる実施形態によれば、ステップ6、6a)のHO命令メッセージがハンドオーバ先アクセスのPDPコンテキストの(1つまたは複数の)RAB IDを含まない場合、UEは、(1つまたは複数の)RAB IDを欠いたそのメッセージを、E−UTRANのためにUEにEPSコンテキストが格納されているにもかかわらず、そのUEがUTRANでシグナリング・ベアラ/接続のみを確立する必要があり、UTRANのためのEPSコンテキストが、対応するPDPコンテキストにマッピングされ、「保存」状態に維持され、すなわち、ただUEに格納されるだけであり、さらに使用または有効化されることがないものと解釈することができる。別の言い方をすれば、このさらなる実施形態によれば、ベアラ・コンテキストの状態がMMEからUEに報告されるのではなく、ハンドオーバ先アクセスの(1つまたは複数の)確立されたシグナリング・ベアラだけが報告され、その結果、UEは、「示されていない」(欠けている)RAB−IDに関して、E−UTRANアクセスからのEPSベアラを保存状態のPDPコンテキストに設定する。ハンドオーバ先アクセスでシグナリング接続のみが確立される本発明の特定のシナリオにおいては、ハンドオーバ命令メッセージが、ハンドオーバ先NBまたはBTS(任意で、使用されるべきチャネルまたはタイム・スロット、割り振られた一時無線識別子(temporary radio identifier)、およびコア・ネットワーク識別子)についての情報を含むが、確立されたユーザ・プレーンのベアラについての情報は含まない(すなわち、RAB IDは含まない)。後のRAU/TAU手順またはサービス要求手順の間に、ネットワークで維持されているPDPベアラ・コンテキストおよびUEで維持されているPDPベアラ・コンテキストが揃えられる可能性があり、すなわち、その場合、ネットワークで削除された(1つまたは複数の)PDP/ベアラ・コンテキストがUEで削除される。
これに関連して、さらに、現在は、ハンドオーバ先アクセスでいかなるデータ・ベアラも確立できない場合、RAT間ハンドオーバは失敗することが指摘され得る(例えば、TS23.401、5.5.2.1.4節参照)。言うまでもなく、これは、この実施形態においてそれとは異なる処理をされ、RAT間ハンドオーバは、ハンドオーバ先アクセスでいかなるデータ・ベアラも確立されなかったとしても正常に完了する。
MMEは、SGSNで(1つまたは複数の)PDPコンテキストが確立された(1つまたは複数の)EPSベアラ・コンテキストを維持すべきである(すなわち、MMEは、そのEPSベアラ・コンテキストと、サービングGWとの対応するS11接続とを削除しない)。図29では、ステップ5において対応するRAB IDが存在しない場合、EPSベアラがMMEで削除される(さらに、対応するPDPコンテキストがSGSNに格納されない)ので、これは、図29の従来技術とは異なる。
ステップ7)
上のステップ6、6a)に関する説明で既に示唆されたように、UEは、MMEおよびeNBから受信されたハンドオーバ命令を処理する必要がある。これは、UEが、MMEからの明示的または暗黙的な指示(ステップ6、6a参照)にしたがって、保存状態のハンドオーバ先アクセスのためのPDPコンテキストを設定することを含む。
本発明のさらなる実施形態によれば、PDPコンテキストの状態は、「削除」である可能性もあり、その場合、UEは、ハンドオーバ命令メッセージに応答して、アクティブなEPSベアラに関する対応するEPSベアラ・コンテキストを削除する。
より具体的な実施形態によれば、UEは、UTRANでデータ接続を確立すべきか、または確立すべきでないかに関する(すなわち、データ接続の状態に関する)、HO命令メッセージで受信された命令を無視するか、または直ちに上書きする可能性もある。例えば、UEは、ハンドオーバ命令メッセージに応答してベアラ・コンテキストを「保存」状態に設定するが、ハンドオーバ先アクセスでシグナリング接続を確立した後、コンテキストの有効化を直ちに開始すると決定する可能性がある。HO命令メッセージ内のMMEの命令に反するこの処理は、MT SMSがデバイスのトリガのために使用され、すなわち、データ接続を使用して上りリンクでユーザ・データを送信するようにUEをトリガし、したがって、ハンドオーバ先アクセス(GERAN/UTRAN)でデータ接続がやはり確立され、SMSの送信が完了した後に上りリンク・データを送信するために使用される場合に有利である可能性がある。同様に、状態がEPSコンテキストに関して「削除」を示すときに、UEは、EPSベアラ・コンテキストを削除せず、実際には、ハンドオーバ先アクセスでデータ・ベアラの確立を開始する。この目的のために、UEは、例えば、ハンドオーバ先アクセスを介したSGSNへの個別PDPコンテキスト有効化シグナリングによってユーザ・プレーンのベアラの確立を要求する。
ステップ8)
このステップにおいては、UEが、ハンドオーバ先RNC/BSSとのRRC接続の確立を開始することによって、RAT間ハンドオーバのための無線に固有の手順を実行する。これは、ステップ6、6a)のハンドオーバ先RAN情報で示された情報にしたがって、RNC/BSSとのシグナリング無線ベアラを確立することを含む。
ステップ8)の後、UEは、基本的に、SGSNとのシグナリング接続を有し(想定される例示的なシナリオを前提とすると、データ・ベアラ接続は持たない)、SM−CP PDUまたはその他のNASシグナリング・メッセージの交換を継続することができる。
ステップ9、9a)
SMS PDUの交換が、S3インターフェースのSGsに似た関連付けを介してハンドオーバ元MMEおよびハンドオーバ先SGSNによって実行される(ステップ9a参照)。そのとき、SMSは、UTRANでUEに配信され得る。図32は、上述の実施形態によるハンドオーバが実行された後のMT SMSに関するSMS配信経路を示している。
ハンドオーバ手順が正常に完了した後、MMEは、保存状態でSGSNにおいて確立された(1つまたは複数の)ESMベアラ・コンテキストを維持し続け、これは、後でISRを有効化することを可能にするためであることに留意されたい。MMEは、サービング・ゲートウェイからのページング・メッセージを受信することを可能にするため、または(UEがNAS ServiceRequestメッセージを送信するときに)UEを登録することを可能にするために、(1つまたは複数の)保存されたPDPベアラ・コンテキストのためのサービング・ゲートウェイとの関連付けを維持する。このように、SGSNは、NASシグナリングでUEへのISRの指示を設定して、ISRが有効化されることをUEに示すことができる。しかし、ISRがサポートされない場合(これは、例えば、図31のステップ3〜5においてSGSNとMMEとの間でネゴシエーションされ得る)、MMEは、UEに関するセッション管理(SMまたはaka ESM)コンテキストを削除し、移動管理(MMまたはaka EMM)コンテキストのみを維持する可能性がある。
上述の手順は、3GPPによって規定された既存の標準的な手順でも実装され得る。特に、本発明のより詳細な例示的実施形態に関して、上で説明したステップ1〜9)は、図29および30に関連して説明したTS23.401の準備フェーズおよび実行フェーズに実装される。以下で説明するように、本発明の実施形態は、規格で実行されるステップの一部を変更し、および/または規格でまだ定義されていない(例えば、MME、UE、およびSGSNにおける)さらなる処理を追加する。したがって、以下で言及されない図29、30の標準的な手順のステップは、基本的に変わらないと考えられる。
特に、図31のステップ1)は、基本的に、図29の準備フェーズのステップ1)および2)に対応する。図31のステップ2)は、図29の標準的な手順にしたがってMMEにより実行されない新たなステップである。
図31のステップ3)は、図29の準備フェーズのステップ3)に対応し、特に、そのステップ3)で交換されるフォワード再配置要求メッセージに対応する。図31のステップ4によるSGSNの処理は、規格のものとは大部分が異なっているが、図29の準備フェーズのステップ4、4a、5、5a(および6、6a)に関連すると考えられる。
図31のステップ5は、図29のステップ7と比較でき、特に、フォワード再配置応答メッセージと比較され得るが、上で説明したように、さらなる変更を伴う。図31のステップ6)のハンドオーバ命令メッセージは、図30の実行フェーズのステップ1および2のハンドオーバ命令メッセージに対応する。
図31のステップ7)の処理は、標準的なハンドオーバ手順中にUEで必ず実行される処理(規格の文書では正式に定義されていない)と重なるが、上で説明したように、変更をさらに含む。
図31のステップ8)は、上で説明したように変更を伴うが、図30の実行フェーズのステップ4、4aに対応すると考えられる。
[さらなる変形形態]
Uプレーンのベアラがハンドオーバ先アクセスで必要か否かのMMEによる上述の判断に対する代替的方法は、eNBがUプレーンのベアラの必要性を検出し、判断することである。したがって、MMEは、IDLEモードのUEに関するSMSを受信するとき、ページング・メッセージでeNBに、ページングがSMSのみのためのものであることを知らせることができる。eNBは、この情報を格納し、UEがCONNECTEDモードに遷移するときにUPデータの交換の監視を開始することができる。そして、NAS接続を介したSMSの送信中に、eNBが、UEからの測定に基づいて、UEをGERAN/UTRANにハンドオーバすることを決定し、UEがCONNECTEDモードであるので(または代替的に所与の期間)UL/DLデータ・トラフィックの交換が監視されなかったとき、eNBは、ハンドオーバ先RATでデータ無線ベアラを確立しないと決定し、したがって、「ハンドオーバ要請」メッセージの「ハンドオーバ元−ハンドオーバ先透過コンテナ」にSMSのみインジケータ(SMS-only indicator)を含める可能性がある。SMSのみインジケータに基づいて、ハンドオーバ先RNCは、一部またはすべての無線ベアラを確立せず、リソースを節約する命令にしたがう。RNCは、SGSNにその決定について知らせ、SGSNは、確立されなかったベアラを保存状態で維持する。
eNBによってハンドオーバがトリガされるときにGERAN/UTRANアクセスでのUプレーンのベアラの確立を回避するための別の代替的方法は、MMEが、さらに上で言及されたメカニズムのうちの1つによって、Uプレーンが不要であることを認識している場合にハンドオーバを実行せず、GERAN/UTRANへのリダイレクトの指示、およびこれがSMSのみのためのものであるという任意の指示とともにS1−APシグナリング接続を解放することである。この場合、eNBは、ハンドオーバ先GERAN/UTRANネットワークについてのさらなる情報とともにUEへのRRC接続を解放する。UEは、eNBから与えられた情報を用いて新しいGERAN/UTRANセルに移動し、無線シグナリング接続のみを確立し(必要に応じて、RRC確立理由として「シグナリング終端(Terminating Signalling)」または「高優先度シグナリング終端(Terminating High Priority Signalling)」を示し)、ルーティング・エリア更新メッセージをSGSNに送信する。MMEは、S1の解放をトリガするときには、移動手順を迅速にするために既にSGSNにUEコンテキスト情報を転送している可能性があり(さらに任意でUEのリダイレクトを示し)、すなわち、RAUがSGSNで受信されるとき、UEコンテキスト情報は既に利用可能である。
上述の実施形態は、基本的に、MOまたはMT SMSの送信中のハンドオーバに適用可能であり、SMS配信の対応する経路の方向の変化を考慮する。
さらに、上記の内容はもっぱらSMSに関連して説明されたが、実施形態は、例えば、LTEのNASを介してシグナリング接続(Cプレーン)で転送される小さなIPデータにも適用可能であることを繰り返しておく。しかし、SGSNが、UTRAN/GERANでのNAS GMMシグナリングを介した小さなIPデータの転送をサポートする必要がある。したがって、概して、上述の実施形態は、Uプレーンのベアラが使用されないときの、任意の種類のCプレーンの接続のためのMMEからSGSNへのハンドオーバへの応用である。
1つの考慮すべき点は、UEが本発明の実施形態のうちの1つによるRAT間ハンドオーバをサポートするか否かをネットワーク(すなわち、MME)が知っている必要があることである。したがって、MMEに対するアタッチ手順もしくはTAU手順の間、またはそれに対応して、SGSNに対するアタッチ手順およびRAU手順の間に、UEは、そのUEの機能で、この改良されたハンドオーバ手順のサポートを示すことができる。
以下の態様は、移動ノードと、移動ノードが本発明の上述の実施形態による改良されたハンドオーバ手順をどのように支援することができるかとに関連する。上で説明したように、データ接続がUTRANで確立されるべきか否かについて決定するエンティティであるMMEは、さまざまな種類の情報を用いてこの決定を行う。とりわけ、MMEは、(UEの観点から見て)データ接続が実際に必要か(必要となるか)否か、すなわち、RAT間ハンドオーバ中にUTRANでPDPコンテキストを有効化するか否かに関する移動ノードからの指示を使用することができる。ハンドオーバとは無関係に、UEは、データ接続を使用する、または使用することになるか否かを知ることができる。結果として、UEは、そのような指示を含むメッセージをMMEに送信することができる。
例えば、UEがIDLEモードであり、MO SMSが送信されるべきであるとき、UEは、MO SMSがシグナリング無線ベアラのみを必要とし、データ接続は必要としないことを知っている。それに対応して、NASサービス要求手順中に、移動ノードは、特別な「SMS/シグナリング」指示を用いてこの事実についてMMEに知らせることができる。この指示にもかかわらず、LTEにおいては、少なくともデフォルト・データ・ベアラがE−UTRANで必須であるために、MMEがデータ・ベアラを設定する。
同様に、UEは、MT SMSを受信しており、MT SMSがデバイスのトリガのためのものではなく、したがって、そのMT SMSに応答して上りリンク・データ接続がユーザ・データの交換のために使用されないことを知っているとき、この事実をMMEに示すことができる。上述のように、この指示は、MMEに送信される「SMS/シグナリング」指示である可能性がある。この指示をMMEに送信するための1つのあり得る方法は、UEによって開始される既存のNAS EMMメッセージのうちの1つ、例えば、EMM情報メッセージ、またはUEによって開始されるESM情報手順(この手順は、ESM情報手順が現在はネットワークによってのみ開始されるので、修正された手順である)を使用することである。
代替的に、UEは、定期的に近隣のセルおよび/または技術の測定を行い、それらの測定(RAT間の測定を含む)をネットワークに報告する。現在のE−UTRANからの信号がハンドオーバを実行するための閾値未満であり、例えば、より強い信号強度がGERAN/UTRANなどの別のRATから得られると仮定すると、UEは、eNBがおそらくRAT間ハンドオーバを決定する可能性があると推定することができる。したがって、UEは、そのような場合、測定報告に加えて、ハンドオーバ先アクセスで「SMS/シグナリング」のみが必要とされることに関する、MMEに宛てた対応する指示を送信する可能性がある。
本発明の上述の実施形態は、LTEからUTRANネットワークへの、すなわち、MMEからSGSNへのハンドオーバに関する。以下で、UTRANからLTEへのハンドオーバが、本発明のその他の実施形態で使用される原理を考慮してどのように改良され得るかを説明する。それに対応して、UEがPDPコンテキストを有効化せずに(ただし、(1つまたは複数の)これらのPDPコンテキストは保存状態である可能性がある)UTRANにアタッチされており、GERANおよびUTRANでは(LTEとは対照的に)そのような種類のアタッチが可能であると仮定する。
従来技術の現在の規格では、PDPコンテキストを有効化せずにアタッチされたUEに関するGERAN/UTRANからLTEへのハンドオーバ中、LTEアクセスを介したTAU手順は拒否され、UEはアタッチ手順を実行する必要がある。しかし、UEがSGSNを用いた実行中のSMSの送信を有する(さらに、PDPコンテキストは有効化されていない)場合、UEがGERAN/UTRANからE−UTRANへのハンドオーバを実行するとき、SMSの送信は失敗する。これは、MT SMSの送信が失敗すると、後で送信するためにSM−SCがそのSMSを格納することが必要となり、SMSを格納していることを示し、HSS/HLRの特別な「待機」フラグを有効化するためのHSS/HLRへのシグナリングを引き起こすので深刻な問題である。
この問題に対する1つの例示的な解決策が、以下で説明され、GERAN/UTRANからLTEへのハンドオーバ手順がシグナリング接続のためにのみ許されることに関連する。
MMEは、UEのために構成されたSGWおよびPGWが存在しなくても、SGSNからのハンドオーバ要求を受容することを許されるべきである。SGSNは、(1つまたは複数の)保存状態のPDPコンテキストを有する場合、(1つまたは複数の)それらのコンテキストについてMMEに知らせることができ、したがって、MMEが、既に構成されているサービングGWおよびPGWとのS11接続を確立することができる。SGSNは、UEに関するPDPコンテキストを持たない場合、(例えば、SMSまたは小さなIPデータの送信が原因の)シグナリング接続のハンドオーバと、SGSNに格納されているMM(GMM)コンテキストとについてMMEに知らせる。
したがって、ハンドオーバがシグナリング接続のためだけに完了することができ、その結果、SMSの送信が継続することができる。SMSの送信中、1)UEは、デフォルトのPDN接続の確立を実行するようにネットワーク(例えば、MME)によって構成されるか、または2)命令されるかのどちらかである。別の言い方をすれば、UEは、ハンドオーバ元のUTRANのNodeBまたはGERANのBSSからハンドオーバ命令を受信してLTEアクセスへのハンドオーバを実行するとき、LTEアクセスである種の修正されたTAU手順を実行する。修正されたTAU手順とは、UEが、一方で、MMEとのNASシグナリング接続を確立し、他方で、LTEのデフォルトのPDN接続を確立することを意味する。修正されたTAU手順を実行する一例は、UEが、TAU要求を送信した後直ちに(または短時間のうちに)「PDN接続性要求」メッセージを送信することによってPDN接続性手順を実行することである。別のオプションは、TAU要求メッセージに「PDN接続性要求」メッセージを付け足すことであるが、TAU要求メッセージが大きくなり過ぎるという問題が生じる可能性がある。TAU要求メッセージは、迅速な送信を可能にするためにショート・メッセージとして規定されていることに留意されたい。したがって、メッセージを拡張すると、長過ぎると考えられる可能性があるほど送信時間が長くなる可能性がある。
任意で、MMEは、ハンドオーバの初めに開始されるタイマを有する可能性がある。UEが、事前に定義された時間中にデフォルトのPDN接続の確立を実行しない場合、MMEは、デタッチ手順を開始する可能性がある。しかし、MMEは、SMSの送信が正常に完了するまで、デタッチ手順を待つことを考慮する可能性がある。
(シグナリング接続のハンドオーバが原因で、TAU手順中に、またはTAU手順の後、短時間のうちにデフォルトのPDN接続を確立する)上述の実施形態は、UEがPDPコンテキストをまったく持たない、すなわち、UEがGERAN/UTRANにアタッチされただけの場合に実行される可能性がある。しかし、UEは、ハンドオーバ元GERAN/UTRANアクセスに(有効化されていない)PDPコンテキストを有する(つまり、SGSNも保存状態のPDPコンテキストを有する)場合、(TAU手順を実行するか、または実行しない)ハンドオーバを実行することができる。したがって、SGSNが「フォワード再配置要求」手順中にSAEシステムでデフォルトのEPSベアラを確立するために必要な情報をMMEに知らせるので、「PDN接続性要求」手順を実行する必要がない。
別のあり得る解決策は、ハンドオーバ手順の間に、SGSNからシグナリングされたデフォルトの加入APNに基づいて、少なくともデフォルトのPDN接続がMMEにより確立されることである。SGSNは、アタッチ手順中にHLR/HSSから加入情報をダウンロードするときにデフォルトのAPNを知ることができることに留意されたい。この場合、MMEが、SGSNから「フォワード再配置要求」を受信し、PDPコンテキストは確立されていないが、デフォルトのAPNはSGSNからシグナリングされるとき、MMEは、デフォルトのAPNの加入コンテキストにしたがってPDN GWを選択する。さらに、MMEは、サービング・ゲートウェイを選択し、それぞれのEPSベアラを確立する。eNBへの「ハンドオーバ要求」と一緒に、またはeNBへの「ハンドオーバ要求」の前に、MMEは、eNBでのEPSベアラ・コンテキストの設定の確立をトリガする。eNBからMMEへの「ハンドオーバ要求ACK」で、eNBは、確立された無線接続についての情報をUEのための透過コンテナに含める。
この透過コンテナは、eNBからMME、SGSN、ハンドオーバ先RNC/BSCを介してUEに搬送されることに留意されたい。この解決策によれば、UEは、透過コンテナによってデフォルトのEPSベアラについての情報を知らされる。UEがハンドオーバ先LTEアクセスに移るとき、デフォルトのPDN接続(デフォルトのEPSベアラ)がeNBで(すなわち、eNBとサービングGWとの間で)確立されている。
本発明の別の態様は、PSドメインのみが使用される(すなわち、MSCサーバがSMSの配信に関与しない)ことを保証しながら、UEがIDLEモードであり、ISRを有効化する場合に小データをどのようにして送信すべきか、という問題に対処する。やはり、SMSによって現在実施されている小データ送信について考えるが、以下の実施形態はSMSのみに限定されず、それらの実施形態の原理はその他の小データ送信(例えば、小さなIPパケット)に等しく適用可能である。
ISRが構成/有効化されていない(すなわち、UEが、IDLEモードである間にRATを変更するときにSGSNかまたはMMEかのどちらかで常に登録を実行する)場合、HSS/HLRは、いつでも、UEがどこに登録されているかを知っており、要求されたときにSMS−SCにしかるべく知らせることができるので、SMSのルーティングのためのデフォルトSMSサービング・ノードを構成する必要がないことにも留意されたい。
本発明の以下の実施形態による、この問題を解決するための主たる考え方は、(コア・ネットワークの)デフォルトSMSサービング・ノードが、それがMMEであろうと、SGSNであろうと、SMSの送信のために構成されるということである。デフォルトSMSサービング・ノードは、(1つまたは複数の)MT SMSがSMS−SCによって送信されるノードである。デフォルトSMSサービング・ノードを実装することによって、SMS−SCは、ISRがUEに関してアクティブであるときに、LTEまたはGERAN/UTRAN内でUEが現在どこにいるかに関係なくSMSを転送するべき1つの決まったノードをHSS/HLRから常に取得する。
デフォルトSMSサービング・ノードは、MMEかまたはSGSNかのどちらかである。デフォルトSMSサービング・ノードはSMS−SCからSM−CP PDUを直接受信することができなければならないので、(SM−CP/RPプロトコルによる)ネイティブのSMSをサポートするサービング・ノードだけがデフォルトSMSサービング・ノードとして選択され得ることに留意されたい。それに対応して、(背景技術の節で定義された)ケースA(図25〜28および対応する説明も参照)では、MMEかまたはSGSNかのどちらかがデフォルトSMSサービング・ノードとして選択される可能性があり、ケースBでは、MMEだけがデフォルトSMSサービング・ノードである可能性があり、ケースCでは、SGSNだけがデフォルトSMSサービング・ノードである可能性がある。
ケースAにおいて、MMEかまたはSGSNかのどちらかの選択は、ネットワーク事業者による決定に依存する可能性がある。デフォルトSMSサービング・ノードを決定するとき、ネットワーク事業者は、NASを介したSMS PDUの転送をサポートするサービングCNノードの機能を考慮に入れることができる。例えば、MMEとSGSNとの両方がネイティブのSMS送信をサポートする可能性があるが、MMEのみがNASを介したSMS PDUの転送をサポートする可能性がある。そのとき、ネットワーク事業者は、UEがLTEアクセス内にある場合にSMSが送信され得るので、SGSNをデフォルトSMSサービング・ノードとして選択したい可能性がある。対照的に、この例においては、MMEがデフォルトSMSサービング・ノードとして選択され、UEがUTRAN/GERANアクセス内にあるとき、SMSは、SGSNがNASを介したSMS PDUの転送をサポートしないのでSGSNを介して送信できない。
さらに、デフォルトSMSサービング・ノードは、UEに固有である可能性がある。例えば、一部のUEに関してはSGSNが、その他のUEに関してはMMEが、コア・ネットワークのデフォルトSMSサービング・ノードとして構成される。代替的に、デフォルトSMSサービング・ノードの構成は、地理的地域に依存する可能性があり、例えば、MMEによってのみサービスを提供される地域内では、MMEがデフォルトSMSサービング・ノードとして選択される。さらに、MMEがサービスを提供する地域とSGSNがサービスを提供する地域とが重なっている地理的地域では、ネットワーク事業者は、MMEまたはSGSNをSMS送信のためのデフォルト・サービング・ノードとして構成することを選択し得る。
そして、デフォルトSMSサービング・ノードは、ネットワーク、好ましくはHSS/HLRに格納され、MT SMSが到着するときにSMS−SCによって問い合わされる。
図33は、SGSNがデフォルトSMSサービング・ノードとして定義されると想定される本発明の1つの例示的な実施形態を示す。UEはIDLE状態であると仮定する。
ステップ1)
ISRモードが有効化される。本発明の一実施形態において、ISRの有効化は、MSCサーバとMMEとの間のSGs関連付けと同様のMMEとSGSNとの間の関連付けを確立するために使用され得る。既に説明したように、ISRの有効化中に、SGSNおよびMMEは、互いのアドレスを知り、SGSNとMMEとの両方のMMコンテキストおよびSMコンテキストを含むS3関連付けを確立する。しかし、S3関連付けは、SGsに似たページングの交換およびSMS PDUの送信を可能にするように拡張される可能性がある。
特に、(1つまたは複数の)S3インターフェース・プロトコルは、ページング・メッセージを両方向に、すなわち、SGSNからMMEに(SGSNがデフォルトSMSサービング・ノードとして構成される場合)、およびMMEからSGSNに(MMEがデフォルトSMSサービング・ノードとして構成される場合)搬送することを可能にされるべきである。さらに、(1つまたは複数の)S3インターフェース・プロトコルは、SMS PDUを搬送することを可能にされるべきである。非デフォルトSMSサービング・ノードは、UEへのNAS MMシグナリング・メッセージでSMS PDUをカプセル化することができるべきである。任意で、SMS PDUの送信に関する機能が、SGSNとMMEとの間で交換される可能性がある。例えば、非デフォルトSMSサービングCNノードがNAS EMM/GMMメッセージでのSMS PDUのカプセル化をサポートしない場合、UEは、デフォルトSMSサービング・ノードに変わるようにトリガされるべきであり、すなわち、UEは、アクセス・システムを再選択し、デフォルトSMSサービング・ノードにアタッチするようにトリガされる。
ステップ2)
SMS−SCが、MT−SMSを受信し、HSS/HLRから特定のUEに関するSMSサービング・ノードを要求する。デフォルトSMSサービング・ノードとしてのSGSNを格納するHSS/HLRは、MT SMSがHSS/HLRによって特定されたSGSNに転送されるようにしかるべくSMS−SCに情報を与える。
ステップ3、3a)
デフォルトSMSサービング・ノードとしてのSGSNが、MT SMSの受信に応答してページングを開始する。特に、ステップ3、3aにおいて、この例示的な実施形態は、もう一方の送信先アクセス、すなわち、MMEのアクセスにおけるUEに関するページングを開始する。したがって、SGSNは、ページング・メッセージを生成しなければならず、そのページング・メッセージを、S3インターフェースを介し、前に設定されたSGsに似た関連付けを用いてMMEに送信する。そして今度は、MMEが、SGSNから受信されたページング・メッセージを用いてそのMMEのメットワークでページングを実行する。
ステップ4)
さらに、SGSNが、登録されたルーティング・エリア(RA)においてそのSGSN自体のUTRANネットワークでUEに関するページングを行う。
一方のステップ3、3aと、他方のステップ4とは、交換可能であることに留意されたい。デフォルトSMSサービング・ノードが、MT SMSを受信したとき、両方のネットワーク(E−UTRANおよびUTRAN)に対してページングを開始することが有利である。
ステップ3、3a、および4のページングは、概して、ページングがSMSに関連するという特別な指示を含むようなものである可能性がある。
図33は、手順をさらに進める方法に関する3つの選択肢を水平な破線で区切って示している。ページング経路が、図34の破線で示される。第1の選択肢に関しては、UEがE−UTRAN内、すなわち、MMEの下にいると想定される。したがって、UEは、MMEによって送信されたページングを受信する。
ステップ5)
本発明の一実施形態によれば、UEが、常に、UEが現在いるRATのサービング・ノードに登録しようとする。この場合、UEはE−UTRAN内におり、したがって、MMEとのサービス要求手順を実行する。基本的に、これは、MMEにNASサービス要求メッセージを送信することを含む。
ステップ6)
NASサービス要求メッセージを受信した後、MMEは、UEが位置し、MMEにアタッチすることを、デフォルトSMSサービング・ノードとしてのSGSNに知らせる。
ステップ7、7a)
次に、SMS PDUが、S3インターフェースを介してSGSNからMMEに転送される。そのとき、MMEは、透過NAS EMMコンテナでカプセル化された(すなわち、NASを介した)UEへのSMS PDUを配信することができる。ネットワークのSM−CP/RPプロトコルはSGSNで終端され、MMEはこれらのSMS PDUをNAS EMMメッセージでカプセル化する。
図34は、SMSが、MMEによってUEに配信される前にSGSNとMMEとの間で交換される、この選択肢のSMSの経路を例示している。
UEが、現在どこにいるかに無関係にデフォルトSMSサービング・ノードに登録するように強制されるような方法でページングされる代替的な実施形態を、ステップ5’および6’に関連して説明する。
ステップ5’)
したがって、UEがE−UTRANおよびMME(デフォルトSMSサービング・ノードではない)にある場合、MT SMSが配信されるべきであるという特別な指示とともにページングを受信した後、UEは、RAT間の再選択を実行し、次いで、デフォルトSMSサービング・ノードとしてのSGSNに登録する。その目的のために、UEは、初めに、SGSNとのRAU/LAU手順を実行する必要がある可能性がある。その手順の間に、SGSNは、MMEからUEのコンテキスト(MMコンテキストおよびSMコンテキスト)を取得または更新することができる。UEがLTEアクセスでMMEに新たに登録されたので、MM/SMコンテキストに対する変更が行われた可能性がある。SGSNは、SMSの送信のみが行われるべきである場合、UEに関する(1つまたは複数の)PDPコンテキストを必ずしも有効化しない。UEがMMEからのページングを受信するが、(サービス要求手順で)MMEに応答する代わりにSGSNとのRAU/LAU手順を開始するケースは、従来技術とは異なることに留意されたい。
この実施形態の1つの異なる変形形態は、UEが、SGSNへの再選択を開始するために、MMEとの拡張サービス要求(ESR)手順を開始することである。これは、UEが、音声通話のためにMSCにアタッチするためにGERAN/UTRANへの再選択を実行するようにLTEアクセス内でページングされるCSフォールバック(CSFB)のシナリオに似ているが、まったく同一ではない。ここでは、UEは、ESR手順を開始して、SMS送信のためにSGSNにアタッチするためにGERAN/UTRANへの再選択を行う。
ステップ6’)
次いで、SMSが、ネイティブでSGSNからUEに送信され得る。
本発明の代替的な実施形態が、図33のステップ5’’および6’’によって示されている。UEが、UTRAN内でデフォルトSMSサービング・ノードとしてのSGSNの下にあり、したがって、SGSNからページング・メッセージを受信すると想定する(ステップ4参照)。
ステップ5’’)
UEが、ページングに応答して、SGSNとのサービス要求手順を実行し、このサービス要求手順は、NASサービス要求メッセージを送信することを含む。
ステップ6’’)
次いで、SGSNが、そのSGSNのネットワーク内のUEにSMSをSM−CP PDUとして直接送信することができる。SGSNがSM−CP PDUのネイティブの転送を実装し、SM−CP/RPプロトコルを終端するので、SGSNがUEにMT SMSをSM−CP PDUとして送信することが可能である。
図35は基本的に図33に対応しているが、MMEがデフォルトSMSサービング・ノードとして構成されている。図35のステップ1)は、図33のステップ1)と同じである。図35の残りのステップも、図33に関する詳細な説明に鑑みて明白である。
ステップ2)において、MT SMSが、HSS/HLRからデフォルトSMSサービング・ノードであるMMEに関する情報を得たSMS−SCからMMEによって受信される。それに対応して、MT SMSに応答して、MMEは、そのMME自体のネットワークでページングを開始し(ステップ3参照)、さらにその他のネットワーク、すなわちSGSNのUTRANでページングを開始する(ステップ4、4a参照)。MMEからSGSNに送信されるページング・メッセージは、PSドメインを介したSMSの送信を指示する。したがって、SGSNは、PSドメイン・インジケータおよび「シグナリング終端」に設定されたページング理由とともにGERAN/UTRANでページング・メッセージを送信する。
UEは、E−UTRAN内でデフォルトSMSサービング・ノードの下にある場合、NASサービス要求メッセージをMMEに送信し(ステップ5参照)、したがって、MMEが、最終的に、SM−CP PDUをUEに配信することができる。
UEは、UTRAN内にあるとき、NASサービス要求メッセージをSGSNに送信し(ステップ5’参照)、そして今度は、SGSNが、UTRANにアタッチしているUEについてMMEに知らせる(ステップ6’参照)。PSドメインに関するページング内の指示と、場合によってはSMSのみの指示(またはある種の「シグナリング接続」のみ)とによって、シグナリング接続のみがGERAN/UTRANで確立される。したがって、SMSはSM−CP PDUとして、MMEからSGSNにシグナリング接続を介してS3インターフェースで転送され、SGSNからUEに透過NAS GMMコンテナでカプセル化されて転送される可能性がある(ステップ7’、7a’)。
代替的に、RAT間の再選択が、図33のステップ5’に関して既に説明したように実行され得る。
「SMSオーバーSGs」は、SMS送信のための従来技術のメカニズムである(図25参照)。UEは、SMSオーバーSGsを使用するように構成されている場合、GERAN/UTRANアクセスからSGSN/MSCへのRAU/LAU要求メッセージに特別な指示「EPS/IMSI複合アタッチ機能(combined EPS/IMSI attach capability)」を常に含める。UEがSGSNとのRAU/LAU複合(combined RAU/LAU)手順を実行する場合、SGSNが、「EPS/IMSI複合アタッチ機能」が設定されているか否かを調べる。「EPS/IMSI複合アタッチ機能」が設定されている場合、SGSNは、ISRを無効化するか(ISRが既に有効化されていた場合)、またはRAU受容メッセージでISRを示さないことによりISRを有効化しない。別の言い方をすれば、TS23.272の5.5節の従来技術により、ISRは、UEがSMSの送信のためにSMSオーバーSGsを使用するように構成されている場合、有効化されない。
以下で、「SMS in MME」または「SMSオーバーGdインターフェース」の場合にISRが有効化され得るか否かと、どのように有効化され得るかとを検討する(図26、図27参照)。
「SMSオーバーGdインターフェース」がSMSの送信のために使用されるとき、UEは、PSおよびSMSのみでSGSNにアタッチされる。換言すれば、UEは、CS/PS複合アタッチされる(combined CS/PS attached)が、CSサービスはSMSサービスのみである。ISRが有効化される場合、SGSNは、MMEとの関連付けを確立するべきである。特に、MT SMSがSGSNに到着する場合、SGSNは、ページング・メッセージをMMEに転送するべきである。次いで、MMEは、「SMSオーバーSGs」メカニズムの場合と同じ方法でUEをページングするべきであり、UEは、MMEとのサービス要求手順を実行する。SGSNは、SMS PDUをMMEに転送し、MMEは、SMS PDUを、NASを介してUEに転送する。
したがって、ISRを有効化すべきか否かのネットワーク(SGSN、HSS、MME)における判断は、MMEとのEMMシグナリングで「SMSオーバーNAS(SMS over NAS)」をサポートするUEの機能に基づく。ゆえに、アタッチ/RAU複合手順(GMM手順)中のSGSNに対する「SMSのみ」の通常のUEの機能の指示に加えて、UEは、NAS GMMシグナリングでSGSNに、UEがEMMの「SMSオーバーNAS」に対応しているか否かも示す可能性がある。SGSNに対するこの新しい指示は、ISRを有効化すべきか否かを判断するためにネットワークによって考慮され得る。SGSNに対するNAS GMMの指示「SMSのみ」と、指示「SMSオーバーNAS」EMM機能とは、独立した指示であることに留意されたい。
「SMS in MME」がSMSの送信のために使用されるとき、UEは、MMEにPS/CS(EPS/IMSIとも称される)複合アタッチされる。ISRが有効化される場合、MMEは、SGSNとの関連付けを確立するべきである。MT SMSがMMEに到着する場合、MMEは、ページング・メッセージをSGSNに転送するべきである。そして、SGSNが、UTRAN/GERANアクセスでUEをページングするべきであり、この点で2つのオプションがあり得る。
1)SMS PDUが、NAS MMシグナリング(例えば、透過NAS GMMコンテナ)を介してUEとSGSNとの間で送信されるか、または
2)SGSNとのサービス要求手順を実行した後、UEが、「SMS in MME」メカニズムによってSMSを受信するためにMMEにハンドオーバするように命令される。
透過NAS GMMコンテナでのSMS PDUの送信は、現在の規格では利用できない新しい機能であることに留意されたい。さらに、この場合にISRを有効化すべきか否かをネットワーク(主にMME、HSS、およびSGSN)で判断するために、ネットワークは、UEがGMMシグナリングで「SMSオーバーNAS」をサポートするか否かを考慮に入れるべきである。この目的のために、UEが、NAS EMMシグナリングでMMEに、NAS GMMシグナリングが「SMSオーバーNAS」に対応していることを示すことが必要である可能性がある。アタッチ/TAU手順中のMMEに対するNAS EMMの指示「SMSのみ」と、指示「SMSオーバーNAS」GMM機能とは、独立した指示であることに留意されたい。
要約すると、SGSNを介したネイティブのSMS送信(SMSオーバーGdインターフェース)と、MMEを介したネイティブのSMS送信(SMS in MME)とが構成されているときにISRを有効化すべきか否かを判断するためには、それに対応して、ネットワークが、NASシグナリングを介してSMS PDUを搬送するためのGMMおよびEMMシグナリングの機能を知っていることが重要である。SGSN/MMEに対するこれらのUEの指示は、例えば、UEネットワーク機能IE(UE Network Capability IE)(主としてLTEアクセスに関連するコア・ネットワーク・パラメータ用)およびMSネットワーク機能IE(MS Network Capability IE)(主としてUTRAN/GERANアクセスに関連するコア・ネットワーク・パラメータ用)で搬送される可能性がある。UEネットワーク機能IEおよびMSネットワーク機能IEは、通常、アタッチ要求メッセージおよび非周期的なTAU/RAU要求メッセージに挿入される。例えば、SGSNへのGMMシグナリングにおけるEMM機能(「SMSオーバーNAS」)の指示と、それに対応する、MMEへのEMMシグナリングにおけるGMM機能(「SMSオーバーNAS」)の指示とは、UEとSGSN/MMEとの両方の新たな機能であると考えられ、すなわち、今のところ規格で定義されていない。これらの新しい指示は、異なるサービングCNノード(例えば、デフォルトSMSサービング・ノードおよび現在登録されているサービス・ノード)の間でSMS(SMS PDU)を転送する方法を決定するときにも考慮され得る。したがって、これらの新たな機能は、1)ISRモードの有効化と、2)異なるサービングCNノードの間のSMSの転送とについて判断を行うために必要とされる。
上の背景技術の節で与えられた説明は、本明細書に記載の特定の例示的な実施形態をより深く理解することを意図しており、本発明を、移動通信ネットワークのプロセスおよび機能の説明した特定の実装に限定するものと理解されるべきでない。しかしながら、本明細書で提案した改良は、背景技術の節で説明したアーキテクチャ/システムに容易に適用可能であり、本発明の一部の実施形態では、これらのアーキテクチャ/システムの規格および改良された手順を利用する可能性もある。幅広く説明した本発明の精神または範囲を逸脱することなく、特定の実施形態に示された本発明に対して多くの変更および/または修正がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。
本発明の別の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを用いた上述のさまざまな実施形態の実装に関する。本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティング・デバイス(プロセッサ)を用いて実装または実行され得ることが認められる。コンピューティング・デバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、またはその他のプログラマブル・ロジック・デバイスなどである可能性がある。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組み合わせによって実行または具現化される可能性もある。
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、プロセッサにより実行されるか、またはハードウェアで直接実行されるソフトウェア・モジュールによって実装される可能性もある。ソフトウェア・モジュールとハードウェアの実装との組み合わせも、あり得る可能性がある。ソフトウェア・モジュールは、任意の種類のコンピュータ可読ストレージ媒体、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、レジスタ、ハード・ディスク、CD−ROM、DVDなどに格納され得る。