JP6593395B2 - 蓄圧器用ライナー、蓄圧器、複合容器蓄圧器、および蓄圧器用ライナーの製造方法 - Google Patents

蓄圧器用ライナー、蓄圧器、複合容器蓄圧器、および蓄圧器用ライナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蓄圧器用ライナーに関し、特に、高圧水素を貯蔵することに適した蓄圧器用ライナーに関する。また、本発明は、前記蓄圧器用ライナーを用いた蓄圧器および複合容器蓄圧器、ならびに前記蓄圧器用ライナーの製造方法に関する。
水素を燃料として用いる燃料電池自動車は、二酸化炭素(CO2)を排出せず、エネルギー効率にも優れることから、CO2排出問題とエネルギー問題を解決し得る自動車として期待されている。この燃料電池自動車を普及させるためには、燃料電池自動車に水素を供給するための水素ステーションにおいて、35MPa以上、特に70MPa程度以上の高圧の水素を安全に貯蔵することができる強度と耐久性に優れた容器(蓄圧器)が必要であり、その開発が進められている。
軽量化が求められる車載用の蓄圧器としては、アルミニウムや樹脂などの軽量な材料からなるライナーを、炭素繊維強化樹脂(CFRP)で被覆したものが提案されている。例えば、特許文献1には、疲労特性に優れたAl−Mg−Si系合金からなるライナーが記載されている。
一方、水素ステーションで使用する蓄圧器の場合、車載用蓄圧器の場合ほど軽量化を行う必要がないため、全体が鋼材で形成された蓄圧器(例えば、特許文献2)や、Cr−Mo鋼製のライナーを炭素繊維またはガラス繊維で被覆した蓄圧器(例えば、特許文献3)が提案されている。
しかし、Cr−Mo鋼をはじめとする低合金鋼は水素により脆化することが知られている。そのため、35MPa以上といった高い圧力で用いられる高圧水素蓄圧器用の材料は、水素による材質劣化の少ないアルミニウム合金やSUS316等のステンレス鋼に限定されている。
しかし、ステンレス鋼は強度が低いため、例えば、水素圧を70MPaまで高める場合、貯蔵容器の肉厚が極めて厚くなり、容器重量が増大する。そのため、貯蔵容器の大きさが制限され、容器内に貯蔵する水素量が少なくなるだけでなく、素材コストが大きくなり過ぎて経済性に劣るという問題がある。
そこで、高圧水素貯蔵容器用材料として、オーステナイト系ステンレス鋼に代えて、素材コストのより低い低合金鋼を適用するために多くの研究がなされている。
例えば、特許文献4では高圧水素ガス環境用低合金鋼が提案されている。前記高圧水素ガス環境用低合金鋼では、微細なV−Mo系炭化物をトラップサイトとして作用させることにより、脆化の原因となる拡散性水素を非拡散性水素とし、脆化を抑制している。
また、特許文献5では、耐高圧水素環境脆化特性に優れた低合金高強度鋼が提案されている。前記低合金高強度鋼では、Cr−Mo鋼の調質(焼入れ焼戻し)処理において比較的高い温度で焼戻し処理をすることで引張強さを900〜950MPaの極めて狭い範囲に制御している。
特開2009−024225号公報 特開2010−037655号公報 特開2009−293799号公報 特開2009−074122号公報 特開2009−046737号公報
特許文献4、5に記載されているような高強度鋼は焼入れ処理を行って製造されるため、その金属組織や機械的特性は焼入れ条件、特に冷却速度に大きく依存する。しかし、焼入れ時の冷却速度は鋼材の肉厚方向における位置によって異なり、肉厚中心部では冷却速度が最も遅くなる。そのため、蓄圧器用ライナーのように厚みが大きい場合、特に、肉厚が30mm以上の場合では、表層と内部で金属組織が実質的に異なる。しかし、特許文献4、5に記載されているような従来技術では、金属組織が水素脆化に及ぼす影響が明確化されておらず、上記のように肉厚が厚い場合における金属組織の制御についても注意が払われていない。
また、高圧水素環境下で使用する水素用蓄圧器では、繰り返し水素の充填を行うことによって、容器に繰り返し応力がかかる。そのため、水素環境下における疲労試験において材質劣化が少なく、材料の安全性を確保できることが望ましいが、上記したような従来技術においては疲労限界について考慮されておらず、長期間の使用で容器が破壊する懸念がある。
本発明は、上記の現状に鑑み発明されたもので、70MPa以上といった高圧の水素を貯蔵する蓄圧器への使用に適した、水素環境下での材質劣化の少ない組織を有し、かつ高い疲労限を有する蓄圧器用ライナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、高圧水素の鋼中への侵入挙動、および鋼材の延性低下現象と鋼材の微視的な組織形態との関係を詳細に調査し、以下の知見を得た。
(1)ライナーの肉厚が30mm以上の場合、金属組織は肉厚方向における位置によって実質的に異なり、焼入れ時の冷却速度に依存して、マルテンサイト組織、ベイナイト組織、フェライトとパーライトの混合組織となる。
(2)同一引張強さを有する試験片の水素環境下疲労試験において、焼戻しマルテンサイト組織およびベイナイト組織は優れた疲労限界応力を示すが、フェライトとパーライトの混合組織の疲労限界応力はマルテンサイト組織およびベイナイト組織よりも劣っている。
本発明は、上記知見をもとに更に検討を加えてなされたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
1.質量%で、
C :0.30〜0.60%、
Si:0.01〜2.0%、
Mn:0.5〜3.0%、
P :0.0005〜0.060%、
S :0.0001〜0.010%、
N :0.0001〜0.010%、および
Al:0.01〜0.08%、を含有し、
残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイト面積分率の合計が70%以上、かつ、フェライト面積分率が30%未満である金属組織を有する鋼材からなり、
長手方向中央部における肉厚が30mm以上である蓄圧器用ライナー。
2.前記成分組成が、質量%で、
Mo:0.005〜2.0%、
Cr:0.005〜3.0%、および
Ni:0.005〜5.0%
からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、上記1に記載の蓄圧器用ライナー。
3.前記成分組成が、質量%で、
B :0.0005〜0.003%、
Cu:1.0%以下、
Ca:0.005%以下、および
V :0.05〜0.35%
からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、上記1または2に記載の蓄圧器用ライナー。
4.前記成分組成が、さらに下記(1)式の関係を満足する、上記1〜3のいずれか一項に記載の複合容器蓄圧器用ライナー。

[Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.15 … (1)
(ただし、(1)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
5.前記成分組成が、さらに下記(2)式の関係を満足する、上記1〜3のいずれか一項に記載の複合容器蓄圧器用ライナー。

[Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.90 … (2)
(ただし、(2)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
6.上記1〜5のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナーを備える蓄圧器。
7.上記1〜5のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナーと、前記蓄圧器用ライナーの外周に炭素繊維強化樹脂を備え、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維およびPITCH系炭素繊維の少なくとも一方である、複合容器蓄圧器。
8.蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
上記1〜3のいずれか一項に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:5.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:1.0℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。
9.蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
上記4に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:3.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:0.5℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。
10.蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
上記5に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:0.2℃/s以上かつ400〜200℃に平均冷却速度:0.01℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。
本発明によれば、高い疲労限を備えた蓄圧器用ライナーを提供することができる。さらに、本発明の蓄圧器用ライナーを用いれば、複合容器蓄圧器を作成する際にはライナーにより多くの荷重を分担させることができるため、CFRPの使用量を低減し、より安価に提供することができ、産業上極めて有用である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。本発明の一実施形態における蓄圧器用ライナーは、長手方向中央部における肉厚が30mm以上であるとともに、上記金属組織を有する鋼材からなる。以下、蓄圧器用ライナーの肉厚と金属組織を上記のように限定する理由を説明する。なお、金属組織に関する「%」表示は、特に断らない限り、蓄圧器用ライナーの肉厚中心位置における面積分率を意味するものとする。
[肉厚]
・長手方向中央部における肉厚:30mm以上
ライナーの長手方向中央部は、水素を充填した際にもっとも高い応力がかかる位置であり、破断しやすい部分である。長手方向中央部における肉厚が30mm未満であると、ライナーに十分な荷重を分担させることが困難である。さらに複合容器用蓄圧器用ライナーとして用いる場合には、ライナーに十分な荷重を分担させることができない場合には、破断を防止するためにはCFRPの量を増やす必要があり、したがって複合容器蓄圧器のコストを低減することが困難となる。そのため、ライナーの長手方向中央部における肉厚を30mm以上とする。長手方向中央部における肉厚は36mm以上とすることが好ましく、40mm以上とすることがより好ましい。一方、肉厚が厚すぎると蓄圧時にライナー外側の応力が高くなりすぎ、またライナーの組織を所望のものとするために必要な合金添加量が増加してコストアップの要因となる。そのため、長手方向中央部における肉厚は80mm以下とすることが好ましく、60mm以下とすることがより好ましい。
[金属組織]
焼戻しマルテンサイト+ベイナイト:70%以上
焼戻しマルテンサイト組織およびベイナイト組織は疲労特性に優れるため、本発明の蓄圧器用ライナーにおいては、肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積分率の合計を70%以上とする。一方、前記焼戻しマルテンサイトとベイナイトの合計面積分率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
フェライト:30%未満
フェライトの面積分率が増大すると、水素環境中の疲労特性が低下する。そのため、フェライトの面積分率は少ないほど好ましい。しかし、フェライト面積分率が30%未満であれば、組織の影響はそれほど大きくないため、本発明の蓄圧器用ライナーにおいては、肉厚中心位置におけるフェライトの面積分率を30%未満とする。なお、焼入れ時の冷却速度は肉厚中心に近いほど遅くなり、フェライト組織は冷却速度が遅い場合に出現する。そのため肉厚中心位置におけるフェライト組織の面積分率が30%未満であれば、肉厚全域に渡ってフェライトの面積分率が30%未満であるといえる。一方、ライナーの金属組織に占めるフェライトの面積分率の下限は特に規定されないが、低いほど好ましく、0%であってもよい。
[成分組成]
本発明においては、さらに、蓄圧器用ライナーが所定の成分組成を有する鋼材からなる必要がある。そこで、次に、本発明における成分組成の限定理由を説明する。なお、成分組成に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.30〜0.60%
Cは、ライナーの強度を上昇させるために必要な元素である。本発明では、ライナーの強度を高めるために、C含有量を0.30%以上とする。C含有量は、0.33%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.60%を超えると、ライナー製造時に焼入れを行った場合に焼き割れが生じることがあるため、C含有量を0.60%以下とする。C含有量は0.50%以下とすることが好ましく、0.45%以下とすることがより好ましい。
Si:0.01〜2.0%
Siは、固溶強化により強度向上および疲労限の向上に寄与する元素である。Si含有量が0.01%以上であれば前記効果が得られる。そのため、Si含有量を0.01%以上とする。Si含有量は0.10%以上とすることが好ましく、0.15%以上とすることがより好ましい。一方、Si含有量が2.0%を超えると効果が飽和し、さらに鋼材の表面性状が劣化するとともに、圧延性も低下する。そのため、Si含有量は2.0%以下とする。Si含有量は1.0%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、固溶強化および焼き入れ性の向上により強度向上に寄与するとともに、疲労限を向上させる機能を有する元素である。前記効果を得るために、Mn含有量を0.5%以上とする。Mn含有量は0.6%以上とすることが好ましい。一方、Mn含有量が3.0%を超えると効果が飽和し、さらに製造時に圧延を行うことが困難となる。また、Mnが過剰であると、オーステナイトが残留し、疲労特性が劣化する。よって、Mn含有量は3.0%以下とする。Mn含有量は2.0%以下とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましく、1.0%以下とすることがさらに好ましい。
P:0.0005〜0.060%
Pは、不可避不純物であり、材料の強度には大きな影響を及ぼさないが、靭性を劣化させる元素でもある。P含有量が0.060%を超えると、靭性の劣化が顕著となるため、P含有量は0.060%以下とする。P含有量は0.040%以下とすることが好ましく、0.025%以下とすることがより好ましく、0.010%以下とすることがさらに好ましい。一方、P含有量を0.0005%未満とするような過度のP低減は製鋼工程における製造コストの増加を伴う。よって、P含有量は0.0005%以上とする。
S:0.0001〜0.010%、
Sは不可避不純物であり、介在物MnSを形成して靭性を低下させる。これらの影響は、S含有量が0.010%以下であれば問題とならない。よって、S含有量は0.010%以下とする。S含有量は0.0030%以下とすることが好ましい。一方、S含有量を0.0001%未満とするような過度の低減は製鋼工程における脱硫コストの増加を伴う。よって、S含有量は0.0001%以上とする。
なお、P含有量とS含有量の合計は、靭性の高位安定化のため、0.02%以下とすることがさらに好ましい。
N:0.0001〜0.010%
鋼材の疲労特性に及ぼすNの影響は小さく、N含有量が0.010%以下であれば本発明の効果を損なわない。よって、N含有量は0.010%以下とする。N含有量は0.004%以下とすることが好ましい。一方、靭性向上の観点からはN含有量が少ないことが望ましいが、過度の低減は製鋼上のコストを増大させるので、N含有量は0.0001%以上とする。
Al:0.01〜0.08%
Alは、製鋼工程において脱酸剤として有効な元素である。その効果を得るため、Al含有量は0.01%以上とする。Al含有量は0.02%以上とすることが好ましい。一方、Al含有量が0.08%を超えると清浄度の低下により延性を低下させるため、0.08%以下とする。Al含有量は0.06%以下とすることが好ましい。
本発明の一実施形態における複合容器蓄圧器用ライナーは、以上の成分に加え、残部のFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼材からなる。
また、上記成分組成は、上記元素に加え、Mo:0.005〜2.0%、Cr:0.005〜3.0%、およびNi:0.005〜5.0%からなる群より選択される1または2以上をさらに含有することもできる。
Mo:0.005〜2.0%
Moは焼き入れ性を向上させる元素であり、ライナーの強度上昇に寄与する。また、焼入れ性が向上する結果、肉厚が30mm以上であるような、冷却速度が遅い部分が生じやすいライナーにおいても、疲労限や疲労限度比等の特性を向上させることができる。さらに、Moは、固溶強化によって疲労強度の上昇にも寄与する。前記効果を得るために、Moを添加する場合には、含有量を0.005%以上とする。Mo含有量は0.1%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が2.0%を超えると、効果が飽和し、コストアップの要因となるため、Mo含有量は2.0%以下とする。Mo含有量は1.0%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。
Cr:0.005〜3.0%
Crは焼き入れ性を向上させる元素であり、ライナーの強度上昇に寄与する。また、焼入れ性が向上する結果、肉厚が30mm以上であるような、冷却速度が遅い部分が生じやすいライナーにおいても、疲労限や疲労限度比等の特性を向上させることができる。前記効果を得るために、Crを添加する場合には、含有量を0.005%以上とする。Cr含有量は0.5%以上とすることが好ましい。一方、Cr含有量が3.0%を超えると効果が飽和し、コストアップの要因となるため、Cr含有量は3.0%以下とする。Cr含有量は2.0%以下とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましい。
Ni:0.005〜5.0%
Niは、焼き入れ性を向上させる元素であり、ライナーの強度上昇に寄与する。また、焼入れ性が向上する結果、肉厚が30mm以上であるような、冷却速度が遅い部分が生じやすいライナーにおいても、疲労限や疲労限度比等の特性を向上させることができる。前記効果を得るために、Niを添加する場合には、その含有量を0.005%以上とする。Ni含有量は0.5%以上とすることが好ましい。一方、Ni含有量が5.0%を超えると効果が減少し、コストアップの要因となるため、Ni含有量は5.0%以下とする。Ni含有量は2.0%以下とすることが好ましい。
また、上記成分組成は、B:0.0005〜0.003%、Cu:1.0%以下、Ca:0.005%以下、およびV:0.05〜0.35%からなる群より選択される1または2以上をさらに含有することもできる。
B:0.0005〜0.003%
Bは焼入れ性を高め、強度上昇に極めて有用な元素である。その効果を得るためには、0.0005%以上の添加が必要であるが、0.003%を超えて添加してもその効果は飽和する。そのため、Bを添加する場合、含有量を0.0005〜0.003%とする。
Cu:1.0%以下
Cuは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、1.0%を超えて添加すると加工による形成時の表面割れを生じる。したがって、Cuを添加する場合、含有量を1.0%以下とする。
Ca:0.005%以下
Caは硫黄化物系介在物の形態を制御し、延性改善に有効な元素であるが、0.005%を超えて添加してもその効果は飽和し、むしろ清浄度の低下により靭性が低下する。したがってCaを添加する場合、含有量を0.005%以下とする。
V:0.05〜0.35%
Vは、Cr、Moなど他の元素と組み合わせて使用されることで硬度、強度(降伏点、引張強さ)の改善に有効な元素であるが、V含有量が0.05%未満ではその効果が得られない。一方、0.35%を超えて添加すると炭化物が粗大化して鋼が脆化することがある。そのため、Vを添加する場合、含有量を0.05〜0.35%の範囲に限定した。
また、本発明の一実施形態における蓄圧器用ライナーは、質量%で、
C :0.30〜0.60%、
Si:0.01〜2.0%、
Mn:0.5〜3.0%、
P :0.0005〜0.060%、
S :0.0001〜0.010%、
N :0.0001〜0.010%、
Al:0.01〜0.08%、
任意に、Mo:0.005〜2.0%、Cr:0.005〜3.0%、およびNi:0.005〜5.0%からなる群より選択される1または2以上、
任意に、B:0.0005〜0.003%、Cu:1.0%以下、Ca:0.005%以下、およびV:0.05〜0.35%からなる群より選択される1または2以上、ならびに
残部のFeおよび不可避不純物、からなる成分組成を有することができる。
上記成分組成は、さらに下記(1)式の関係を満たすことが好ましい。上記成分組成を、(1)式の関係を満足するものとすることにより、鋼の焼入れ性が向上し、ライナーの製造時に焼入れを行う場合に、より容易に所望の特性を得ることができる。
[Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.15 … (1)
(ただし、(1)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
さらに、上記成分組成を下記(2)式の関係を満足するものとすれば、焼入れ性が一層向上し、ライナーの製造時に焼入れを行う場合に、極めて容易に所望の特性を得ることができる。
[Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.90 … (2)
(ただし、(2)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
なお、上記式(1)および(2)の説明における「当該元素が含有されていない場合」には、該元素が実質的に含有されていない場合、例えば、該元素が不可避不純物として含有されているが、その含有量が測定限界以下である場合が包含される。
[機械的特性]
本発明の複合容器蓄圧器用ライナーにおいては、引張強さは特に限定されないが、引張強さが低い場合にはライナー肉厚が増大しコスト増大につながるため、引張強さを750MPa以上とすることが好ましく、800MPa以上とすることがより好ましく、850MPa以上とすることがさらに好ましい。一方、前記引張強さの上限は特に限定されないが、ライナーの靭性確保の観点からは、前記引張強さを1200MPa以下とすることが好ましく、1150MPa以下とすることがより好ましい。
さらに、本発明の蓄圧器用ライナーは、疲労限を340MPa以上とすることが好ましく、400MPa以上とすることがより好ましい。一方、疲労限は高いほどよいが、通常は600MPa以下である。疲労限は、引張強さの0.4〜0.5倍であるため、上述の疲労限を確保するためには引張強さ800MPa以上が必要である。ここで、前記疲労限は、肉厚中心深さでの領域における値とし、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
そして、ライナーの疲労特性としては、相対的な疲労強度の指標である(疲労限/引張強さ)の値が大きい方が好ましく、具体的には、(疲労限/引張強さ)の値が0.45以上であることが好ましい。一方、(疲労限/引張強さ)は大きい方がよいため、上限は特に限定されないが、通常は0.60以下である。なお、前記(疲労限/引張強さ)の算出に用いる疲労限の値としては、上述した、ライナーの肉厚中心深さでの領域における疲労限を用いる。また、前記(疲労限/引張強さ)の算出に用いる引張強さの値としては、上述した肉厚中心部における引張強さを用いる。
[蓄圧器]
上記蓄圧器用ライナーを用いて、蓄圧器を製造することができる。ここで「蓄圧器」とは、前記蓄圧器ラーナーの周囲に炭素繊維強化樹脂などを被覆して製作される「複合容器蓄圧器」だけでなく、炭素繊維強化樹脂などの被覆を備えない(複合容器ではない)「蓄圧器」も包含するものとする。後者の場合、蓄圧器用ライナーを加工して蓄圧器とすればよい。
[複合容器蓄圧器]
上記蓄圧器用ライナーの外周に被覆を設けることで、複合容器蓄圧器とすることができる。前記被覆としては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いることが好ましい。また、前記炭素繊維としては、PAN系炭素繊維およびPITCH系炭素繊維の少なくとも一方を用いることが好ましい。
[製造方法]
次に、本発明の一実施形態における複合容器蓄圧器用ライナーの製造方法について説明する。
本発明の複合容器蓄圧器用ライナーは、上述した成分組成を有する鋼管に対して、次の(1)および(2)の工程を順次施すことによって製造することができる。
(1)焼入れ工程、および
(2)焼戻し工程。
以下、各工程について説明する。なお、以下の説明における温度は、特に断らない限り、鋼管の長手方向中央部における、肉厚中心部における温度を意味する。
[焼入れ工程]
焼入れ工程においては、上述した成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央部の肉厚中心の部分で800〜400℃における平均冷却速度:5.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:1.0℃/s以上の条件で冷却する。前記鋼管としては、鍛接鋼管、電気抵抗溶接鋼管などの溶接鋼管や、継目無鋼管など、任意のものを用いることができるが、継目無鋼管を使用することが好ましい。また、任意に、前記鋼管に対して加工を施すこともできる。前記加工は焼入れ前に行ってもよいし、焼入れ、焼戻し後に行うこともできる。以下、焼入れ工程における条件の限定理由について説明する。
・ 加熱温度:Ac3点以上950℃以下
焼入れ工程における加熱温度がAc3点未満であると、焼入れ後のライナー中にフェライトが残存し、ライナーの強度および疲労限が低下する。そのため、加熱温度はAc3点以上とする。一方、前記加熱温度が950℃より高いと、オーステナイト結晶粒が粗大化し、熱処理後の材料の衝撃吸収エネルギー値や靱性の低下を引き起こす。そのため、前記加熱温度を950℃以下とする。
・ 保持時間:10分以上
前記加熱温度に保持される時間(保持時間)が10分未満であると、焼入れ後のライナー中にフェライトが残存し、ライナーの強度および疲労限が低下する。そのため、前記保持時間を10分以上とする。前記保持時間は、60分以上とすることが好ましく、100分以上とすることがより好ましい。一方、保持時間の上限は特に限定されないが、製造効率の観点からは600分以下とすることが好ましく、400分以下とすることがより好ましく、200分以下とすることがさらに好ましい。
上記の通り加熱と保持を行った後、冷却を行う。冷却方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、冷却速度を大きくとるためには、水冷や油冷など、液体を冷媒として用いる冷却方法を用いることが好ましい。また、ライナー全体における冷却速度の差を緩和し、均一に焼入れを行うために、鋼管の、内面と外面の両側から冷却することが好ましい。
・ 800〜400℃における平均冷却速度:5.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:1.0℃/s以上
冷却を行う際、800〜400℃における平均冷却速度が5.0℃/s未満であると、上部ベイナイトやフェライト等が生成し、疲労限が低下する。そのため、本発明においては、肉厚中心部分での800〜400℃における平均冷却速度を5.0℃/s以上とする。前記平均冷却速度は10℃/s以上とすることが好ましい。さらに400〜200℃における平均冷却速度が1.0℃/s未満であると、ライナー強度が低下し疲労限応力が低下する。そのため、本発明においては400〜200℃における平均冷却速度:1.0℃/s以上とする。
ただし、上述したように、鋼の成分組成が(1)式の関係を満足する場合には、肉厚中心部分での800〜400℃における平均冷却速度:3.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:0.5℃/s以上の条件とすれば所望の組織を得ることができる。また、上述したように、鋼の成分組成が(2)式の関係を満足する場合には、800〜400℃における平均冷却速度:0.2℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:0.01℃/s以上の条件とすれば所望の組織を得ることができる。
なお、ここで前記平均冷却速度は、鋼管の長手方向中央における値とする。長手方向中央における温度に基づいて冷却速度を限定するのは、ライナーの長手中央部が一般的に高圧水素環境下での疲労の起点となるためである。
また、前記冷却は、出炉後、できるかぎり速やかに開始することが好ましい。これは脱炭層の形成を抑制するためである。表面に脱炭層が形成されると材料表面が軟化し、特に疲労特性については鋼表面の硬さに大きく影響を受けるため材料本来の性能が発現されない。そのため、脱炭層は加工により取り除く必要がある。しかし、加工により脱炭層を取り除くことでライナーの肉厚は減少するため、ライナーで負担できる荷重も少なくなる。そのため、出炉後、速やかに冷却を開始することによって、材料が大気中で高温である時間を少なくすることが好ましい。形成される脱炭層の厚さは3mm以下とすることが好ましく、1mm以下とすることがより好ましい。
[焼戻し工程]
次に、焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻しを行う。焼戻しを行うことによりマルテンサイト中の固溶炭素と転位を低減し、引張強さ等、疲労限以外の高圧水素環境下で必要な特性を調整することができる。以下、焼戻し条件の限定理由を説明する。
・ 再加熱温度:450℃以上750℃以下
焼戻しの際の再加熱温度が450℃未満であると、引張強さが過大となり、一方、750℃を超えるとフェライトが生成してしまう。そのため、再加熱温度は450℃以上750℃以下とする。再加熱温度は600℃以上700℃以下とすることが好ましい。
・ 保持時間:10分以上
前記再加熱温度で保持される時間(保持時間)が10分未満であると、固溶炭素と転位を十分に低減することができない。そのため、保持時間を10分以上とする。保持時間は、60分以上とすることが好ましく、120分以上とすることがより好ましい。保持時間の上限は特に限定されないが、600分を超えると効果が飽和し、コストアップとなるため、保持時間は600分以下とすることが好ましく、400分以下とすることがより好ましく、300分以下とすることがさらに好ましい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
表1に示す成分組成の鋼材からなる蓄圧器用ライナーを製造した。製造手順は次の通りである。まず、表1に示した成分組成のビレットを作製し、前記ビレットを熱間で圧延、拡管して継目無鋼管を得た。前記鋼管の製造は、拡管を820℃以上で終了する条件で行った。得られた鋼管を空冷した後、ライナー形状に成形し、さらに焼入れ、焼戻しを行った。焼入れ、焼戻しの条件を表2に示す。表2に示した焼入れ工程における平均冷却速度は、ライナーの長手方向中央の肉厚中心部に熱電対を埋め込んで測定した。また、焼戻しが終了した後、表面に形成された脱炭層を除去してライナーを得た。脱炭層の厚みは3mm以下であった。得られたライナーのそれぞれについて、金属組織と機械的特性を評価した。評価方法は、以下の通りである。
・ 金属組織
得られたライナーの肉厚中心位置における金属組織を以下のようにして評価した。ライナーの長手方向中央より、肉厚中心位置が観察位置となるように、それぞれ試験片を採取し、採取された試験片の断面を3vol%ナイタール溶液を用いてエッチングした。500〜5000倍間の適切な倍率で走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)(SEM)写真を撮影し、焼戻しマルテンサイト、フェライト、ベイナイト、パーライト、残留オーステナイトを観察した。組織の規定は、焼戻しマルテンサイト、フェライト、ベイナイト、パーライト、残留オーステナイトを目視で判断し、組織分率は、上記したSEM写真を用いて、画像解析(image analysis)により求め、これを各々の相の面積分率とした。面積分率の算出は5視野以上の領域の平均値とした。これらの相以外の部分を硬質な焼き戻しされていないマルテンサイトやオーステナイトとした。
・ 引張強さ(TS)
ライナーから、JIS Z 2201に準じて直径7mmの丸棒試験片を採取し、肉厚中心部における引張強さを測定した。
・ 疲労限
疲労限は、陰極水素チャージ環境下における疲労試験により測定した。肉厚中心部から採取した評価部直径7mmの試験片を、該試験片の軸方向(長さ方向)がライナーの表面と平行となるように採取した。得られた試験片を用い、応力比:−1の条件で、115MPaの高圧水素中で侵入する水素量と同程度の水素が侵入する条件で疲労試験を行った。前記疲労試験において、繰り返し数200万回で試験片が破断しない応力を疲労限とした。試験片に加える応力は、25MPaきざみで変化させた。陰極水素チャージの条件は0.1N NaOH溶液中で100A/m2の電流密度とした。
Figure 0006593395
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得られたライナーの肉厚と、上記測定の結果を表3に示す。この結果より、鋼材の成分組成が同一であっても、金属組織が異なっている場合には、最終的に得られたライナーの疲労特性が大きく異なることが分かる。
金属組織が本発明の条件を満たすライナー(発明例)は、すべて肉厚中心部において340MPa以上の優れた疲労限を有するとともに、相対的な疲労強度の指標である(疲労限/引張強さ)の値が0.45以上と、極めて優れた特性を示した。
また、冷却速度が本発明の条件を満たすライナー(発明例)は、すべて肉厚中心部において800MPa以上の優れた引張特性を示した。
以上述べたように、本発明の条件を満たすライナーは疲労限が高く、したがって水素の充填によって繰り返し応力がかかる条件においても優れた耐久性を有している。よって、本発明の蓄圧器用ライナーは、高圧水素蓄圧器および高圧水素複合容器蓄圧器として極めて優れた特性を備えているといえる。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C :0.30〜0.60%、
    Si:0.01〜2.0%、
    Mn:0.5〜3.0%、
    P :0.0005〜0.060%、
    S :0.0001〜0.010%、
    N :0.0001〜0.010%、および
    Al:0.01〜0.08%、を含有し、
    残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
    肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積分率の合計が70%以上、かつ、肉厚全域におけるフェライト面積分率が30%未満である金属組織を有する鋼材からなる蓄圧器用ライナーであって、
    脱炭層の厚さが3mm以下であり、
    長手方向中央部における肉厚が30mm以上であり、
    肉厚中心部から軸方向が前記蓄圧器用ライナーの表面と平行となるように採取した評価部直径7mmの試験片を用いて、0.1N NaOH溶液中、100A/m の電流密度での陰極水素チャージ環境下において、応力比:−1で疲労試験を行った際の、繰り返し数200万回で試験片が破断しない応力として定義される疲労限が、340MPa以上である、蓄圧器用ライナー。
  2. 前記成分組成が、質量%で、
    Mo:0.005〜2.0%、
    Cr:0.005〜3.0%、および
    Ni:0.005〜5.0%
    からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、請求項1に記載の蓄圧器用ライナー。
  3. 前記成分組成が、質量%で、
    B :0.0005〜0.003%、
    Cu:1.0%以下、および
    Ca:0.005%以
    らなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、請求項1または2に記載の蓄圧器用ライナー。
  4. 前記成分組成が、さらに下記(1)式の関係を満足する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナー。

    [Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.15 … (1)
    (ただし、(1)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
  5. 前記成分組成が、さらに下記(2)式の関係を満足する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナー。

    [Mn]+1.30×[Cr]+2.67×[Mo]+0.30×[Ni]≧2.90 … (2)
    (ただし、(2)式における括弧は、括弧内に記した元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合には0とする)
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナーを備える蓄圧器。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄圧器用ライナーと、前記蓄圧器用ライナーの外周に炭素繊維強化樹脂を備え、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維およびPITCH系炭素繊維の少なくとも一方である、複合容器蓄圧器。
  8. 蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:5.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:1.0℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
    前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有し、
    前記蓄圧器用ライナーにおける脱炭層の厚さが3mm以下であり、
    前記蓄圧器用ライナーの長手方向中央部における肉厚が30mm以上であり、肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積分率の合計が70%以上、かつ、肉厚全域におけるフェライト面積分率が30%未満である金属組織を有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。
  9. 蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
    請求項4に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:3.0℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:0.5℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
    前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有し、
    前記蓄圧器用ライナーにおける脱炭層の厚さが3mm以下であり、
    前記蓄圧器用ライナーの長手方向中央部における肉厚が30mm以上であり、肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積分率の合計が70%以上、かつ、肉厚全域におけるフェライト面積分率が30%未満である金属組織を有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。
  10. 蓄圧器用ライナーの製造方法であって、
    請求項5に記載の成分組成を有する鋼管をAc3点以上950℃以下の温度に加熱し、前記温度に10分以上保持した後、長手方向中央の肉厚中心での800〜400℃における平均冷却速度:0.2℃/s以上かつ400〜200℃における平均冷却速度:0.01℃/s以上の条件で冷却する焼入れ工程と、
    前記焼入れ工程後の鋼管を、450℃以上750℃以下の温度に再加熱し、前記温度に10分以上保持する焼戻し工程とを有し、
    前記蓄圧器用ライナーにおける脱炭層の厚さが3mm以下であり、
    前記蓄圧器用ライナーの長手方向中央部における肉厚が30mm以上であり、肉厚中心位置における焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積分率の合計が70%以上、かつ、肉厚全域におけるフェライト面積分率が30%未満である金属組織を有する、蓄圧器用ライナーの製造方法。

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