JP6592222B2 - 低温安定性に優れる低熱膨張合金、その製造方法、低熱膨張合金粉末、および積層造形部材 - Google Patents

低温安定性に優れる低熱膨張合金、その製造方法、低熱膨張合金粉末、および積層造形部材 Download PDF

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Description

本発明は、低温安定性に優れる低熱膨張合金、その製造方法、低熱膨張合金粉末、および積層造形部材に関する。
従来、実用的な低熱膨張合金としてスーパーインバー(32%Ni−5%Co−Fe合金)が知られている。スーパーインバー(SI)の室温付近の熱膨張係数は0〜1ppm/℃であり、熱変形による精度低下を抑える目的で精密装置部材に適用される。また、SIのうち熱膨張係数が0.5ppm/℃以下のものは特に高精度が要求される超精密装置部材に適用される。
このような超精密装置部材としては、航空・宇宙機器等の低温域で稼働する部材が存在し、例えば−100℃以下という極低温での使用が要求される場合がある。しかしSIは、マルテンサイト組織が生成する温度であるMs点が0〜−40℃と高く、この温度以下ではマルテンサイト組織を生成して熱膨張係数が急激に増加し、低熱膨張性を失うため、低温では適用することが困難である。すなわち、部材が適用できる低温側の温度はMs点によって決定されるため、Ms点が高いSIは−40℃以下では適用することができず、航空・宇宙機器等の低温域で稼動する部材への適用が制限されている(特許文献1の段落0003、0024)。
一方、低熱膨張合金としてはインバー(36%Ni−Fe合金)も知られている。インバーは、液体窒素温度(−196℃)以下でも組織が変化せず低熱膨張性を保持するため、暴露温度が−40℃より低温となる航空・宇宙機器に適用することができ、暴露温度が−100℃以下の極低温でも適用可能である。しかし、熱膨張係数が1〜2ppm/℃でSIより大きいため熱変形抑制効果が不十分であるという問題がある(特許文献1の段落0024)。
Ms点をより低温側に改善しようとする技術として、特許文献2ではC、Niを標準のSIより増やすことが提案されており、また特許文献3では2.8×Ni+Coを一定量以上含有させること(実質的にはNi量の調整)が提案されている。
しかしSIの開発に関する非特許文献1によれば、SIの最大の特長である1ppm/℃以下という熱膨張係数は限定された化学成分範囲において得られる(ただし、非特許文献1に記載された熱膨張係数の単位は×10−5/℃である)。非特許文献1によれば、上記特許文献2、3のように、限定組成から逸脱したNi、Co組成にしたり、Cを増やしたりした場合、熱膨張係数が急激に増加してしまう。当然ながら0.5ppm/℃以下といった超低熱膨張性は得られなくなる。
実際に、特許文献2の実施例No.31(Fe−32.21Ni−5.22Co−他)の熱膨張係数は0.84ppm/℃であり、0.5ppm/℃以下の熱膨張係数は得られていない。一方、特許文献3の実施例No.1(Fe−33.4Ni−4.8Co−他)は、―80℃でマルテンサイトが生成せず、熱膨張係数は0.43ppm/℃と記載されているが、本発明者が同一組成材の熱膨張係数を測定したところ0.81ppm/℃であり、SI組成と比較してNiが1%以上多いにもかかわらず、熱膨張係数の増加を相殺する特別な対策を行っていないことから、0.5ppm/℃以下の熱膨張係数を安定して得るのは難しいと考えられる。
特開2011−174854号公報 特開昭63−50446号公報 特開2003−221650号公報
Physics and Applications of Invar Alloys P516、P529
以上のように上記特許文献2、3では、SI組成に対し、NiやC等のオーステナイト化効果が大きい元素の含有量を増やしてMs点を改善して低温への適用を可能としているが、SI組成から逸脱するため熱膨張係数の増加を招き、インバーとの性能差が小さくなってしまい、十分な低熱膨張性が得難いという問題があった。また、特許文献2、3では、−100℃以下の極低温での適用は考慮されていない。
本発明は、熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が―100℃以下の低熱膨張合金およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の(1)〜(6)が提供される。
(1)質量%で、
C:0.05%以下、
Si:0.4%以下、
Mn:0.5%以下、
Ni:32.5〜34.5%、
Co:2.0〜4.5%を含有し、
かつNi+0.78Co:35.5〜36.5%であり、
残部がFeおよび不可避不純物からなり、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、低熱膨張合金。
(2)上記(1)に記載の組成を有する低熱膨張合金の粉末を準備する工程と、前記粉末をレーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形する工程と、により、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である低熱膨張合金を得る、低熱膨張合金の製造方法。
(3)エネルギー密度350J/mm以上で溶融、凝固させる、(2)に記載の低熱膨張合金の製造方法。
(4)請求項1に記載の組成を有する低熱膨張合金粉末であって、レーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形することにより、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、低熱膨張合金が製造される、低熱膨張合金粉末。
(5)上記(1)に記載の低熱膨張合金で構成された、積層造形部材。
(6)上記(1)に記載の組成を有する低熱膨張合金の粉末を、レーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形してなり、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、積層造形部材。
本発明によれば、熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下の低熱膨張合金およびその製造方法が提供される。本発明による合金によって、従来適用が制限されていた、航空・宇宙分野を始めとする低温域で稼働する各種精密装置部材への適用が可能となり、当該分野における高精度化に大きく貢献する。
本発明の実施例に用いたアトマイズ装置を示す概念図である。 比較例に用いた鋳型を示す図である。 図1のアトマイズ装置により得られた球状粉末を示す光学顕微鏡写真である。 エネルギー密度とDASとの関係を示す図である。 DASと冷却速度との関係を示す図である。 エネルギー密度と冷却速度との関係を示す図である。 実施例の本発明合金No.7および比較合金No.17(純銅鋳型)におけるDAS測定に用いた光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
上記特許文献3に記載されるように、Fe-Ni-Co系低熱膨張合金のMs点を決定する最大の要因はNiの含有量であるが、それを事実上支配するのはNi負偏析部である。すなわち、Niの負偏析部はオーステナイト相が不安定になり、その部分のMs点が平均組成の合金より高温側に変化するため、Ni負偏析部が優先的にマルテンサイトを生成する。
Niの偏析軽減は均質化熱処理によって可能であるが、Niの拡散速度は非常に小さく、顕著な効果を得るためには高温・長時間を要するため実用的ではない。
このように一旦生成した偏析を軽減することは困難であるため、凝固過程で偏析の生成を抑えることを考え、凝固時の冷却速度を制御して低熱膨張合金のNi偏析を軽減し、Ms点を低温側に移動させることに想到した。
一般にインゴット鋳造や連続鋳造においては、凝固速度を大きくすると凝固組織が小さくなり、偏析傾向が軽減するが、鋳造と比較して相対的に冷却速度、凝固速度が大きい溶接の場合、凝固組織が小さくなっても偏析傾向が強くなる場合が多い。これは合金の成分偏析が固相中の溶質の拡散挙動に支配され、その挙動が単純ではないことに起因する。
溶接より大きな冷却速度域において低熱膨張合金の偏析やMs点がどのように挙動するかについては知られていない。そこで溶接より大きな冷却速度域における低熱膨張合金の凝固組織とMs点の関係を調べる試験を行った。
その結果、低熱膨張合金の凝固時の冷却速度を制御して組織を一定以下の大きさにすれば、Ms点を所望の低温域に移動させることができるという知見を得た。また、Ms点に加え、熱膨張係数も、冷却速度を大きくして凝固組織を小さくすると低減するという知見を得た。
これらの知見により、SIと同等の低熱膨張性と、従来のSIでは得られなかった低温安定性の両立を図れることに想到した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明の限定理由について、化学成分、凝固組織および製造条件に分けて説明する。
なお、以下の説明において、特に断わらない限り成分における%表示は質量%、αは10〜40℃の平均熱膨張係数である。
[化学成分]
C:0.05%以下
Cは低熱膨張合金のαを著しく増加させる元素であり、Cは低いことが望ましい。従来合金のSIでは0.02%以下のCとする例が多いが、後述する製造条件によれば0.05%までのCを許容することができる。しかし、それを超えて含有すると、後述する製造条件によってもαが0±0.5ppm/℃の範囲を超えるため、C含有量を0.05%以下とする。
Si:0.4%以下
Siは合金中の酸素を低減する目的で添加する元素である。しかし、その含有量が0.4%超ではCと同様にαの増加が無視できなくなる。したがって、Si含有量を0.4%以下とする。
Mn:0.5%以下
MnはSiと同様に脱酸に有効な元素であるが、その含有量が0.5%を超えるとαの増加が大きくなる。したがって、Mn含有量を0.5%以下とする。
Ni:32.5〜34.5%
Niは合金の基本的なαを決定する元素である。αを0±0.5ppm/℃の範囲にするためには、Co量に応じて後述の範囲に調整する必要がある。またNiは本発明の低熱膨張合金のMs点を決定する上で最も重要な元素である。Niが32.5%未満、または34.5%超では、Co量に応じた範囲および後述する製造条件によってもαが0±0.5ppm/℃の範囲でかつ、Ms点を−100℃以下にすることは困難である。したがって、Niの含有量を32.5〜34.5%の範囲とする。
Co:2.0〜4.5%
CoはNiとともにαを決定する重要な元素であり、しかもNi単独添加の場合より小さなαを得るためには不可欠な元素である。しかし、2.0%未満、または4.5%超では後述のNi量とCo量を調整してもαが0±0.5ppm/℃の範囲を超える。したがって、Coの含有量を2.0〜4.5%の範囲とする。
Ni+0.78Co:35.5〜36.5%
Fe−Ni−Co合金は、前記のNi量、Co量の範囲でかつ、Ni+0.78×Coで表されるNi当量(Nieq.)が一定範囲において顕著な低熱膨張性が得られる。Ni当量は、35.5%未満でも、36.5%超でも、αが0±0.5ppm/℃の範囲の低熱膨張性が得られなくなる。したがって、Ni当量であるNi+0.78Coを35.5〜36.5%の範囲とする。
本発明において、C、Si、Mn、Ni、Co以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
[凝固組織]
上記組成範囲の合金は、凝固時の冷却速度を大きくして凝固組織を微細化すると、Niのミクロ偏析が軽減され、Ms点を低温側に移動することができるとともに、αを小さくすることができる。
αを0±0.5ppm/℃の範囲でかつ、Ms点を−100℃より低温にするためには、上記組成範囲の合金のデンドライト2次アーム(DAS)間隔を5μm以下にすることが必要である。
[製造方法]
本発明の低熱膨張合金の製造方法は、DASが5μm以下の凝固組織が得られる溶融・凝固条件を実現できれば、いずれの方法も適用可能である。
たとえば、前記組成範囲の合金粉末を準備し、その粉末を、レーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形することにより、DASが5μm以下の低熱膨張合金が製造される。また、このように積層造形することにより、任意の形状の積層造形部材とすることができる。
積層造形における合金の凝固時の冷却速度は合金粉末の溶接部におけるエネルギー密度によって決定される。利用するエネルギー源の様式に応じて、下記式に基づいてパラメータを調整してエネルギー密度:E(J/mm3)を変化させることができる。
E=P/(V×S×T)
P:ビーム出力(W)、V:スキャン速度(mm/sec.)、S:走査ピッチ(mm)、T:積層厚さ(mm)
エネルギー密度が350J/mm3未満では、凝固した合金の密度が同一組成鋳造材の密度の99.0%未満となって機械的性質への影響が無視できなくなる。したがって、合金の溶融、凝固時のエネルギー密度を350J/mm3以上とすることが好ましい。
一方、後掲の図5に示すように、従来の鋳造プロセスの中では、最も冷却速度が大きいダイカストによってもDASを5μm以下とするには冷却速度が不十分であり、また、本発明に係る高融点の鉄系合金の鋳造が可能である銅合金型においてはDASを5μm以下にすることは到底できず、所期の特性を得ることは不可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す化学成分および組成の合金について、積層造形、ならびに、砂型および純銅型への鋳造を行い試料を作製した。
積層造形の試料は、表1に示す化学組成の合金を高周波誘導炉で溶解し、図1に示すアトマイズ装置を用いて、溶融した金属を滴下し、ノズルから不活性ガス(本例では窒素ガス)を噴霧することで液滴に分断するとともに急速凝固させて球状粉末を得た。その後、ふるい分けして図3に示す粒径10〜45μmの造形用粉末を得た。レーザー式積層造形装置を用いて、エネルギー密度を変化させて造形用粉末を溶融、凝固することにより行い、φ10×L100の試料を作製した。
鋳造の試料は、高周波誘導炉で溶解した合金溶湯約100gを、鋳込み温度1550℃で図2に示す砂型と純銅型に鋳造し、鋳型底の先端部から採取した。
図4に積層造形時のエネルギー密度とDAS(デンドライト2次アーム間隔)の関係を示す。また、図5は本発明試料の光学顕微鏡組織観察によって実測したDASと、以下の文献1に記載のDASと冷却速度の関係の外挿線から、試料の冷却速度を推定するもので、以下の文献2〜4の情報から得られた各種鋳型の冷却速度も併記した。
R=(DAS/709)1/-0.386 ・・・(1)
R:冷却速度(℃/min.)、DAS:デンドライト2次アーム間隔(μm)
文献1:「鋳鋼の生産技術」P378、素形材センタ―
文献2:「鋳物」、第63巻(1991)第11号、P915
文献3:「鋳造工学」、第68巻(1996)第12号、P1076
文献4:「素形材」、Vol.54(2013)No.1、P13
図6は図4と図5の関係から、エネルギー密度と冷却速度の関係を推定するものである。
試料は875℃に加熱後水冷の熱処理を施した後、φ6×12mmの熱膨張試験片に機械加工しαをレーザー干渉式熱膨張計によって測定した。
また、Ms点は熱膨張試験片をクライオスタット付き熱膨張計にセットし、液体窒素により3℃/min.で冷却しながら熱膨張を測定し、熱膨張曲線が急激に変化した温度から求めた。
平均冷却速度を決定するエネルギー密度を変化させた際の、αおよびMs点について表1に併記する。
表1の本発明例No.1〜7は、化学成分および組成が本発明の範囲内であり、かつ粉末積層造形により製造されたものであり、いずれも、αが0±0.5ppm/℃の範囲およびMs点が−100℃以下であった。また、エネルギー密度480J/mm3において、No.7はαが0.0ppm/℃であり、また、No.2、3は液体窒素温度(−196℃)でもマルテンサイト変態を起こさなかった。
図7の光学顕微鏡写真からNo.7のDASを実測した結果、1.4μmと5μm以下であった。また、このDASの値から、冷却速度は1.5×105℃/sec.と推定した。
以上の結果から、本発明合金は航空・宇宙分野の厳しい要求にも応えられる特性を持っていることが確認された。
一方、比較例AのNo.11〜17は、それぞれ発明例のNo.1〜7と化学成分および組成は同じであるが、砂型および純銅型に鋳造したものであり、DASが5μmを超えた本発明範囲外のものである。図7の光学顕微鏡写真からNo.17の純銅型に鋳造した場合のDASを実測した結果、56μmであった。また、同様に光学顕微鏡写真から砂型に鋳造した場合のDASを実測した結果、160μmであった。このため、αおよびMs点のいずれかが本発明の範囲外となった。すなわち、No.11〜16では砂型および純銅型に鋳造した場合のいずれも、αが0±0.5ppm/℃の範囲を外れ、また、No.17では砂型および純銅型に鋳造した場合のいずれも、Ms点が−100℃より高温であった。
また比較例BのNo.18〜26は化学成分および組成が本発明範囲外のもので、積層造形、ならびに、砂型および純銅型への鋳造を行い試料を作製したものである。No.18はCが、No.19はSiが、No.20はMnが、No.22はNiおよびNi当量が、No.24はCoおよびNi当量がそれぞれ上限超であったため、製造手法によらず、いずれもαが0±0.5ppm/℃の範囲を外れた値となった。No.23はCoが、No.25はNi当量がそれぞれ下限未満であったため、製造手法によらず、いずれもαが0±0.5ppm/℃の範囲を外れた値となった。No.21はNiおよびNi当量が下限未満であったため、製造手法によらず、αが0±0.5ppm/℃の範囲を外れた値となり、また、砂型および純銅型に鋳造したもの、および粉末積層造形においてエネルギー密度が730J/mmのもののMs点が−100℃より高温であった。比較例BのNo.26は従来合金のSIで、製造手法によらず、Ms点が−100℃より高温であった。
次に、本発明例であるNo.1〜7について、粉末積層造形におけるエネルギー密度が480J/mmの場合と346J/mmの場合とで、比較例No.17の砂型鋳造材に対する密度比を求めた。その結果を表2に示す。表2に示すように、エネルギー密度が480J/mmの場合には、密度比が99.0%以上であったが、エネルギー密度が346J/mmの場合には、密度比が99.0%未満であった。このことから、粉末積層造形におけるエネルギー密度は350J/mm以上が好ましいことが確認された。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.05%以下、
    Si:0.4%以下、
    Mn:0.5%以下、
    Ni:32.5〜34.5%、
    Co:2.0〜4.5%を含有し、
    かつNi+0.78Co:35.5〜36.5%であり、
    残部がFeおよび不可避不純物からなり、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、低熱膨張合金。
  2. 請求項1に記載の組成を有する低熱膨張合金の粉末を準備する工程と、
    前記粉末をレーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形する工程と、
    により、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である低熱膨張合金を得る、低熱膨張合金の製造方法。
  3. エネルギー密度350J/mm以上で溶融、凝固させることを特徴とする請求項2に記載の低熱膨張合金の製造方法。
  4. 請求項1に記載の組成を有する合金粉末であって、レーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形することにより、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、低熱膨張合金が製造される、合金粉末。
  5. 請求項1に記載の低熱膨張合金で構成された、積層造形部材。
  6. 請求項1に記載の組成を有する低熱膨張合金の粉末を、レーザーまたは電子ビームによって、溶融・凝固させて積層造形してなり、デンドライト2次アーム間隔が5μm以下である凝固組織を有し、10〜40℃の平均熱膨張係数が0±0.5ppm/℃の範囲で、かつMs点が−100℃以下である、積層造形部材。
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