先ず、本発明の実施形態に係る照明器具100について、図1から図11を用いて説明する。
照明器具100は、例えば、図1に示すように天井面や壁面等などの被固定部Fに固定して使用されるスポットライトである。以下の説明では、照明器具100の上下方向は、照明器具100が天井面に設けられた被固定部Fに固定された状態における上下方向X(図1における上下方向)として説明する。また、照明器具100により光を照らす方向をLとする。また、後述する光源であるLED素子23の光軸L1(図1参照)に対して平行となる方向を光軸方向Yと定義する。また、光軸方向Yに直交する方向を径方向として説明する。また、本実施形態の灯具本体11において、光を出射する方向を前方とし、その反対方向を後方として説明する。また、照明器具100等の断面形状を視た状態を断面視とする。
照明器具100は、図1に示すように、灯具本体11と、ブラケット81と、電源部90(図11参照)を有する取付具91とを主に備える。
灯具本体11は、光源部21、反射部41、放熱部51、外装部61、枠体71を有している。灯具本体11は、照明器具100における発光する部分である。灯具本体11のうち外装部61を除いた部分である光源部21、反射部41、放熱部51、及び枠体71は、照明器具としての使用用途に応じて灯具として用いられるモジュール部分である。
光源部21は、照明器具100の照射面側に向けて光を出射する部分である。光源部21は、レンズ31及び発光素子等を有している。具体的には、光源部21は、発光素子から照射された光をレンズ31により集光させ、狭角配光を主とした光学制御を行う部材である。光源部21は、放熱部51が有する収容部52内の底部に配置される。本実施形態においては、発光素子として、基板22上にLED(Light emitting diode)素子23を備えたCOB型発光モジュールを使用している。LED素子23には、レンズ31が対向して配置されている。詳細は後述するが、LED素子23が発した光は、レンズ31などによって屈折されて任意の方向へ照射される(図1の矢印L参照)。
なお、本実施形態おける発光素子は、LED素子23であるが、EL素子などであっても良く、これに限定するものではない。レンズ31の詳細な構造については後述する。
基板22は、平板状に加工された基板面に、点光源である複数のLEDを有するLED素子23を備えたCOB型発光モジュールである。基板22は、放熱部51が有する収容部52の底部の光源配置部53に当接して配置され、ネジやソケット等の取付部材により取り付けられる。基板22は、電線(図示せず)によって電源部90と電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、光源としてCOB型発光モジュールを用いたが、光源の種類はCOB型発光モジュールに限定されず、例えばLED素子(表面実装タイプのLED素子)や有機EL素子(OLED)などであっても実現可能である。
また、基板22は、熱伝導性シート(図示せず)や放熱グリスを介して放熱部51(光源配置部53)に取り付けてもよく、これにより、光源部21のより高い放熱性を得ることができる。
次に、レンズ31の詳細な構造について図3、図4を用いて説明する。
レンズ31は、LED素子23が発した光(発光光)を配光制御するための光学部材である。レンズ31は、透光性の高い化学的に安定した光学材料(例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート、ガラスなど)を適用して形成されるコリメートレンズである。レンズ31は、図4に示すように、略ハット状であり、凸レンズで構成されるレンズ本体32と、円筒部33と、光拡散部34と、フランジ部35とを有している。レンズ31は、反射部41の後部に取付けられる。
レンズ本体32は、光源であるLED素子23に向かって凸状に膨らむ凸レンズである。レンズ本体32は、レンズ31の前面側に位置するレンズの本体部分である。レンズ本体32は、後面側(LED素子23に対向する側)にLED素子23からの発光光が入射する凸曲面形状(LED素子23に向けて膨らむ凸状)の入射底面32aを有するとともに、前面側(出射面側)中央に円形状かつ凹状に形成される出射凹部36及び該出射凹部36の周囲に円環状に形成された平坦状の出射円環面37を有する。レンズ本体32は、入射底面32aに凸曲面形状を有することにより、LED素子23から出射され入射底面32aに入射する光を平行光に変換することができる。出射凹部36は、凸曲面形状(前方に膨らむ凸状)の出射底面36aを有するとともに、該出射底面36aの周縁から前方に延出される出射段差面36bを有する。出射底面36aは、入射底面32aよりも大きい曲率を有する凸曲面である。出射底面36aは、凸曲面を有することにより、レンズ本体32内を通った平行光を僅かに広角配光として出射させることができる。また、出射底面36aの中央部には、円形状の凹部36cを有する。この凹部36cは、レンズ31の製造時にゲートをカットした際に形成されるものであり、他の方法で製造することにより凹部36cが無いレンズ31を製造することができる場合がある。LED素子23は、レンズ31の円筒部33後端に近接して配置され、レンズ本体32の入射底面32aに対面して配置されるとともに、LED素子23の光軸L1がレンズ31の軸線A(図4参照)に対して同軸上に配置される。
なお、本実施形態においては、基板22上にLED素子23が所定の領域を有するように配置されているが、当該領域の略中心を通る軸を光軸L1としている。出射円環面37は、本実施形態では平坦状としているが、曲面であってもよい。出射円環面37を曲面とすることで、入射底面32aに入射しレンズ本体32内を通った光を広角配光として出射させることができる。
円筒部33は、レンズ本体32の外周縁から後方(光軸方向Y)に延出される円筒状の部分である。円筒部33は、内周面側にLED素子23からの発光光が入射する内周入射面33aを有するとともに、外周面側に出射光を出射する外周出射面33bを有する。円筒部33の後端近傍(フランジ部35近傍)には、周方向の複数箇所(本実施形態では略120°間隔で3箇所)に爪状の係止突起33cを有する。該係止突起33cは、反射部41の後端に形成される開口部42に係止可能である。
レンズ31は、LED素子23からの光が入射される入射面と、この入射面に入射された光を出射する出射面とを有する。レンズ31の入射面は、上述したレンズ本体32の後面である入射底面32a及び円筒部33の内周入射面33aから構成される。レンズ31の出射面は、出射凹部36が有する、凹部36cを含む出射底面36a、出射段差面36b、及び出射円環面37と、円筒部33が有する外周出射面33bから構成される。レンズ31の出射面(出光面)の一部には、レンズ31に入射された光を拡散する光拡散部34を有している。
なお、出射段差面36bは、本実施の形態ではレンズ31の出射面に含むこととしているが、本実施の形態に示すレンズの形状においては出射する光量は微小であるため、出射面に含まない場合がある。
また、出射凹部36は、レンズ本体32の厚さを薄くするとともに、入射底面32aの曲率を確保するために設けられている。仮に、本実施の形態に示すレンズ本体32の厚さを維持しながら出射凹部36を省略した場合、レンズ本体32の光軸中心部分が厚くなり、光効率(レンズ入射光に対する出射光の割合)が低下する。光効率の低下を避けるためにレンズ本体32を薄くした場合、入射底面32aの曲率が小さくなってしまい、LED素子23からの光を十分に平行化できない場合がある。そこで本実施の形態では、出射凹部36を設けることにより、レンズ本体32における光軸中心及びその近傍部分を薄くすることができるので光効率の低下を防ぐことができるとともに、入射底面32aの曲率を大きくすることができるのでLED素子23からの光を十分に平行化することができる。なお、必要とする光効率及び平行光を得ることができれば、出射凹部36は省略することができる。
なお、円筒部33は、本発明における支持部の一例である。
光拡散部34は、レンズ31の出射面の一部に光源であるLED素子23からの光を拡散する部分である。すなわち、光拡散部34は、レンズ31の出射面の一部の所定の領域(パターン)に形成され、レンズ31の入射面から入射した光を拡散させてレンズ31の出射面から出射する部分である。具体的には、光拡散部34は、レンズ本体32及び円筒部33に設けられ、当該レンズ本体32の周縁又は近傍に、入射する光を拡散する部分である。本実施形態における光拡散部34は、図4に示すように、出射凹部36の出射底面36a(凹部36cを含まない)、出射円環面37、及び円筒部33が有する外周出射面33bの前端側に形成されている。また、レンズ31に光拡散部34を形成するための条件については後述する。
出射凹部36の出射底面36a(凹部36cを含まない)及び出射円環面37に形成される光拡散部34は、図4に示すように、多数のディンプル(凹部)を略格子状に規則的に形成された、放射状のディンプル(dimple)形状を有している。円筒部33が有する外周出射面33bに形成される光拡散部34は、周方向に沿って形成される微細な線状の凹凸を外周出射面33bの表面に複数形成したものであり、図4に示すように、バッフル形状を有している。詳細は後述するが、光拡散部34をレンズ31の出射面における所定領域に形成することによって、レンズ31によって配光されたLED素子23からの光を拡散させるので、配光に伴う照射面の光ズレ(色相分離)や照度ムラを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、レンズ31の軸線Aに交差する光拡散部34(出射底面36a(凹部36cを含まない)及び出射円環面37)がディンプル形状で加工され、レンズ31の軸線Aと略平行に配置される光拡散部34(円筒部33が有する外周出射面33b)がバッフル形状で加工されるが、このような加工形状に限定されない。例えば、円筒部33が有する外周出射面33bもディンプル形状で加工してもよい。また、光拡散部34は、ディンプル形状に限らず、粗面化加工(例えば、シボ加工)により微細な凹凸を表面に形成したものであってもよい。また、光拡散部34は、ディンプル形状に加えて粗面化加工されたものであってもよい。また、出射底面36aおよび出射円環面37は、互いに異なるディンプル形状及び/または粗面化加工を施してもよい。例えば、出射底面36aにディンプル形状を設け、出射円環面37にディンプル形状及び粗面化加工を設ける構成としてもよい。また、光拡散部34は、複数のプリズムを有する形状であってもよい。また、光拡散部34は、透光性または光拡散性を有する塗料(例えば白色塗料)を塗布したり、光拡散膜を形成したり、透光性または光拡散性を有するフィルムを貼り付けたりする構成であってもよい。また、出射底面36aに形成される光拡散処理は、省略することができる。
フランジ部35は、円筒部33の後端周縁から径方向外側に突出する部分である。フランジ部35は、レンズ31を反射部41の後端に取り付けた際に反射部41の後端に設けられるレンズ支持部44に当接してレンズ31を位置決めする部分である。
反射部41は、径方向においてレンズ31が中心に配置され、前方に向かって椀状に開いた形状の光源用リフレクタである。反射部41は、LED素子23を実装した基板22の前方に配置され、LED素子23からの発光光を反射する部分である。反射部41は、図3に示すように、開口部42、断面視略ハ字状の周壁部43、レンズ支持部44及び被保持部45を有している。反射部41は、中央部において円形状の開口部42が形成され、該開口部42の周囲に円環状のレンズ支持部44が連設される。反射部41の周壁部43は、該レンズ支持部44の周縁から延設されるとともに前方に行くに従って広がる放物面状に形成される。周壁部43の内周面は、LED素子23から発光される光を表面にて反射する反射面となっている。反射部41は、樹脂素材や金属素材等を用いて形成されている。反射部41は、その断面形状において前面側及び後面側が開口形成されている。レンズ支持部44は、周壁部43の後端に設けられ、レンズ31のフランジ部35を支持する部分である。レンズ支持部44(開口部42)は、円筒部33が有する係止突起33cが係止される部分であり、レンズ31を開口部42に挿通することで複数の係止突起33cが開口部42の前端周囲に係止されることで、レンズ31が反射部41の中央に固定されて位置決めされる。反射部41が有する被保持部45は、断面L字状であり、反射部41の前端周囲に亘って形成されている。被保持部45の後端部は、反射部41を収容部52に収容した際に、放熱部51の前端に当接して係止される部分である。被保持部45の前端部は、枠体71を放熱部51に螺合して取り付ける際に、枠体71の当接部72に当接して係止される部分である。反射部41は、被保持部45の後端を放熱部51の前端に当接することで位置決めされるとともに、この状態で枠体71を放熱部51に螺合して取り付けることで、被保持部45が放熱部51の前端と枠体71の当接部72との間で挟持される。このように反射部41を灯具本体11に取り付けるため、反射部41を固定するための固定部材が不要となる。
なお、反射部41の形状は、図1等に示すような円形形状に限らず、四角形等の多角形でもよい。また、図3において、反射部41に径方向に描かれている複数の横線は、断面を示すハッチングではなく、内面に形成されている線状屈曲加工を示す線である。すなわち、反射部41は、光軸L1を中心とした同心円状に複数の線状屈曲加工が形成されている。また、反射部41の線状屈曲加工は、図3等に示す同心円状に限らず、反射部41の内面の母線に沿う方向に形成された線状屈曲加工、同心円状及び母線に沿う方向に形成された線状屈曲加工、同心円及び母線に交差する線状屈曲加工であってもよい。また、反射部41は、内面に複数の突起を設けた構成であってもよい。その突起は、複数の平面を有することが好ましく、それにより光をより拡散しやすくなる。
放熱部51は、光源部21の熱を空気中へ発散させる部分である。具体的に説明すると、放熱部51は、光源部21のLED素子23や基板22の熱を空気中へ発散させるヒートシンクである。放熱部51は、熱伝導性の高いアルミニウム合金で形成されている。放熱部51は、強度や耐久性、コストなどを考慮してアルミニウム合金で形成することが好ましい。但し、熱伝導性の高い他の材料を用いて形成する構成としても良い。以下に、放熱部51の詳細な構造について説明する。
放熱部51には、光源部21及び反射部41を放熱部51の前端側から収容する容器状の収容部(ケース部)52を有している。収容部52の容積は、反射部41を収容可能な容積を有している。収容部52の底部(放熱部51の光軸方向Yにおける端部から深い位置)には、LED素子23を有する基板22(本実施形態では、COB型発光モジュール)を配置するための平坦状の光源配置部53が設けられている(図3参照)。放熱部51の内側形状は、LED素子23を有する基板22を配置するとともに、LED素子23から出射する光を反射させる反射部41を収容する収容部52としての役割を有する。収容部52の前端の内径は、反射部41の前端の被保持部45の外径よりも小さく、収容部52に反射部41を収容した際に、反射部41の被保持部45の後端部は収容部52の前端に係止されるので、放熱部51に対して反射部41を位置決めすることができる。このように、LED素子23を有する基板22、レンズ31などから構成される光源部21及び反射部41は、放熱部51の光軸方向Yにおける一端部に取り付けられることとなる。
更に、放熱部51には、複数の放熱フィン56が設けられている。複数の放熱フィン56は、光軸方向Yに対して平行に設けられた支持壁(図示せず)の両面(裏表両方)に形成されている。放熱フィン56は、互いに所定の間隔をあけて形成されているので外気に触れる面積が大きく、該放熱フィン56まで伝達した熱を効率よく空気中へ発散できる。つまり、放熱フィン56は、LED素子23や基板22の熱を効率よく空気中へ発散できるのである。また、それぞれの放熱フィン56は、その長手方向が光軸方向Yに対して平行に形成される。
なお,本実施形態の灯具本体11は、放熱部51を備える構成としているが、特に、限定するものではなく、放熱部51を備えない構成としてもよい。例えば、放熱部51に代えて電源ユニットを備える構成としてもよい。
外装部61は、放熱部51の一部を覆う部材である。外装部61は、外部から加わる衝撃に対して放熱部51を保護する。外装部61は、放熱部51の少なくとも一部を覆うので、放熱部51の放熱フィン56の隙間に埃などの異物が付着することを低減できる。本実施形態において、外装部61は、光軸方向Yにおける断面の母線が凸状の曲線となっている。従って、外装部61の外側形状は、母線を回転させることによって得られる、いわゆる砲弾型である。
なお、外装部61の形状は、砲弾型に限らず、円筒型、円錐型、角柱型であってもよい。また、外装部61の端部と側部には、貫通孔61ha・61hbが設けられている(図3参照)。以下に、外装部61の詳細な構造については説明する。
外装部61には、図5に示すように、二つのボルト取付部64が設けられている。二つのボルト取付部64は、ネジ孔であり、上下方向Xに対して垂直となる方向、即ち、水平方向に設けられている。これは、光軸方向Yに対して垂直となる方向でもある。このため、外装部61を挟み込むように形成されているブラケット81は、二つのボルト55によって外装部61が有するボルト取付部64に取り付けられることとなる。なお、ブラケット81は、スプリングワッシャを介して取り付けられるため、灯具本体11(光源部21、反射部41、放熱部51、外装部61及び枠体71から成るモジュール)を回動させてもボルト55は緩みにくい。
上述したように、外装部61は、いわゆる砲弾型形状である。外装部61は、その内部が空洞になっているため、放熱部51を覆うことができる。なお、外装部61は、放熱部51の外径寸法(光軸方向Yに直交する方向の外径寸法)が最大となっている部分に接触した状態で、二つのボルト65によって放熱部51の後端近傍に固定される。外装部61が取り付けられた際には、該外装部61と放熱フィン56との間に所定の隙間が設けられる。
更に、上述したように、外装部61には、貫通孔61ha・61hbが設けられている。貫通孔61haは、外装部61の端部(光源部21に対して反対側となる端部)に設けられている。貫通孔61haの形状は、光軸方向Yに対して斜めに切断した際の切り口に類似している。
一方、貫通孔61hbは、外装部61の側部(光軸方向Yを上下方向Xに対して垂直とした際に上側となる側部)に設けられている。貫通孔61hbの形状は、光軸方向Yに対して垂直となる方向を下弦とした略円弧状となっている。放熱フィン56の一部は、それぞれの貫通孔61ha・61hbから視認できる。
枠体71は、放熱部51の前部に取付けられる略円筒状の部分である。枠体71の内周面には、前後方向の中途部に径方向内側に突出して形成される当接部72を有している。当接部72は、反射部41が有する被保持部45に当接して保持する部分である。枠体71は、前端側に灯具本体11の出射口として円形状の出射口73を有している。枠体71は、反射部41が収容部52に収容された状態で、放熱部51の前部に螺合されることで、放熱部51に取り付けられる。枠体71は、放熱部51に取り付けられると、放熱部51の外周面と外装部61の外周面とが略面一となる。
ブラケット81は、光を照らす方向Lを変更自在に、灯具本体11を支持できる部材である。ブラケット81は、外装部61にボルト55によって取り付けられている。このため、ブラケット81は、ボルト55を中心として回動自在となっている。換言すると、光源部21、反射部41、放熱部51、外装部61及び枠体71から成るモジュールは、ボルト55を中心として矢印Pに示す方向へ回動自在となっている。なお、照明器具100では、上下方向Xに対して平行となる方向から垂直となる方向へ光を照らす方向Lを変更できる(図6の矢印P参照:0度から90度の範囲で変更できる)。また、ブラケット81は、支持具82を中心として矢印Rに示す方向へ回転自在となっている。換言すると、光源部21、反射部41、放熱部51、外装部61及び枠体71から成るモジュールは、支持具82を中心として回転自在となっている。つまり、照明器具100では、光を照らす方向Lを回転させることができる(図6の矢印R参照:0度から360度の範囲で変更できる)。
なお、ブラケット81は、放熱部51のみまたは外装部61のみに、ボルト55によって取り付ける構成としてもよい。
次に、本実施形態に係る照明器具100の配光について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係るレンズ31の光拡散部34の機能を説明するための図である。LED素子23からの光は実際には3次元方向に照射されるが、図7では2次元方向のみの配光を示している。また、本実施形態では、光拡散部34の機能について特に説明するため、反射部41による反射光についての説明は省略している。
図7中の点線La、Lbで示すLED素子23周縁部からの光は、枠体71が有する出射口73が光を遮る境界部分となる。ここで、点線Laは図7の断面視において出射口73から最も遠い光源(LED素子23)から出射された光線を示すものである。点線Lbは図7の断面視において出射口73から最も近い光源(LED素子23)から出射された光線を示すものである。例えば、レンズ31において光拡散部34を備えていない場合、LED素子23の周縁部からレンズ31内に入射した光は屈折角やレンズ31内光路長等の光学条件が異なるため、照射面において光ズレ(色相分離)や照度ムラが生じる場合がある。一方、本実施形態に係る光拡散部34を備えたレンズ31の場合、LED素子23の周縁部からレンズ31内に入射した光は、光拡散部34を通過することにより、光散乱を生じさせることで、屈折角やレンズ31内光路長等の光学条件が異なることによる、照射面の光ズレ(色相分離)や照度ムラを低減することができる。すなわち、このような効果を得るためには、図7に示すように、光拡散部34の少なくとも一部が、レンズ31の出射面において光源(LED素子23)と、該光源(LED素子23)の前方に配置される光源(LED素子23)からの光を出射する出射口73とを結ぶ線分La、Lbで区画される領域内に配置されることが好ましい。さらに、当該2つの線分La、Lbを光軸L1周りに回転させることによって得られる空間内に少なくとも光拡散部34を有していることがより好ましい。円筒部33において光拡散部34以外の部分に入射した光は、円筒部33を透過して、反射部41に入射する。
なお、レンズ31の出射面に設ける光拡散部34については、本実施形態に限定するものではない。上述したように光拡散部34の少なくとも一部が線分La、Lbで区画される領域内に含まれていれば、本発明の効果が得られるので、光拡散部34の形成パターンは任意である。
取付具91は、配線ダクト101に取り付け可能(着脱可能)なダクトプラグである。取付具91は、図10、図11に示すように、細長い取付具本体92、該取付具本体92の長手方向一端(図10における左端)側に配置される第1プラグ部93、長方形板状の天板部94、取付具本体92の長手方向他端(図10における右端)側に配置される第2プラグ部95を主に有している。
取付具本体92は、開口端を有する有底箱状であって、内部に電源部90を収容するものである。取付具本体92は、長手方向の一端側に半円筒状に突出するプラグ収容部98を有している。
第1プラグ部93は、配線ダクト101に係脱するプラグ96、該プラグ96を回動操作するためのアーム104を備え、プラグ96の回転軸が取付具91の下方に延びて、その下端に支持具82及びブラケット81を介して灯具本体11が首振り可能に取り付けられている。第1プラグ部93は、取付具本体92の一端側に設けられたプラグ収容部98に取り付けられる。第1プラグ部93は、天板部94の一端にネジ部材により連結可能である。
プラグ96は、配線ダクト101の受け口に挿入される略円柱状の軸体99と、軸体99の下部近傍から互いに反対方向に突出する一対の係合片102とを備える。係合片102は、導電可能な材料で形成され、リード線等を介して電源部90に電気的に接続されている。軸体99を回動させて、係合片102を取付具本体92の長手方向に直交させると、係合片102が配線ダクト101に係合して給電可能になる。係合片102の幅は配線ダクト101の受け口の幅よりもやや小さく形成され、係合片102を取付具本体92の長手方向に向けると、プラグ96が抜け出し可能になる。
アーム104は、プラグ96の軸体99よりも大径の円柱状をなす基部103を有し、この基部103がプラグ96の軸体99と結合される。基部103の上面よりもやや低い位置から側方に突出したアーム104は、取付具本体92の外側まで延出され、その先端に指掛部105が設けられている。
天板部94は、長方形状の金属板であり、背面側に電源部90が取り付けられる。天板部94は、取付具本体92の開口端を閉塞可能な寸法に形成されている。天板部94の一端側は第1プラグ部93をネジ部材により連結可能である。天板部94の他端側は第2プラグ部95をネジ部材により連結可能である。
第2プラグ部95は、取付具本体92の長手方向他端に位置する壁部106に係合可能な係合部材107を有している。第2プラグ部95は、取付具本体92の他端側に取り付けられる。第2プラグ部95は、天板部94の他端にネジ部材により連結可能である。
このように取付具91を構成することにより、従来は取付具91において配線ダクト101のレールに対向する側のパーツを樹脂成型により一体的な部材としていた。一方、本実施形態では、前方プラグとなる第1プラグ部93、後方プラグとなる第2プラグ部95、電源取付板となる天板部94の3個のパーツで構成した。これにより、ダクトプラグのサイズバリエーションに容易に対応可能である。つまり、サイズバリエーションごとに長さが異なる取付具本体92及び天板部94を用意するだけで、様々なサイズのダクトプラグを構成することができる。また、電源取付板である天板部94が外側に露出しているため、電源部90の放熱性が高まる。
次に、本発明に係る照明器具の別実施形態として埋込型の照明器具200について図8、図9を用いて説明する。
埋込型照明器具200は、取付部としての天井面に形成された丸型の取付穴に埋め込まれて設置されるユニバーサルダウンライトである。以下の説明では、上下方向は、天井面に設置された状態における上下方向として説明する。また、上下方向に直交する方向を径方向として説明する。また、灯具本体111の中心側を内側とし、その反対側を外側とする。また、埋込型照明器具200等の断面形状を視た状態を断面視とする。
なお、埋込型照明器具200の説明において、上述した照明器具100と実質的に同じ機能を有する部分は、図1から図7に示した照明器具100と同じ符号を用いて詳しい説明を省略する場合がある。
埋込型照明器具200は、照明器具100が備える外装部61及び取付具91を有していない点が照明器具100と異なる。また、灯具本体111を内枠161を介して外枠112に回動自在に軸支し、外枠112を介して天井面に形成された丸型の取付穴に埋め込んで取り付ける点が照明器具100と異なる。
埋込型照明器具200は、図8に示すように、灯具本体111と、該灯具本体111に電線を介して電気的に接続される電源部(図示せず)と、取付バネ171を有する外枠112を備える。
灯具本体111は、図8に示すように、光源部21、反射部41、放熱部51、内枠161を有している。内枠161は軸支部75を有しており、該軸支部75により外枠112に回動自在に軸支される。内枠161は、上述した照明器具100が有する枠体71に軸支部75を設けたものである。
内枠161は、灯具本体111を回動自在に軸支するものである。内枠161は、略円筒状の円筒部162を有している。該円筒部162の上端近傍には、図9に示すように、径方向外側に突出する被係止部163が形成されている。
外枠112は、略円筒状であって、天井面の取付穴に取り付けられるとともに、内枠161を軸支することで、灯具本体111が装着される構成となっている。外枠112は、略円筒状の内筒部113と、該内筒部113の下端周縁から径方向外側に突出して形成される第1環状部114と、取付バネ171を支持する複数の取付バネ支持部117とを有している。第1環状部114は、天井面に形成された取付穴の周縁に当接される部分である。第1環状部114の外径は、取付穴の内径よりも大きく形成される。また、内筒部113の外径は、取付穴の内径よりも小さく、内筒部113の内径は、灯具本体111の外径よりも大きく形成されている。
取付バネ171は、灯具本体111を天井面の取付穴に埋め込んで取り付けるための固定手段である。取付バネ171は、外枠112の周方向に配置された複数個(3箇所)の取付バネ支持部117に配設される。取付バネ171は、ステンレス素材等からなる板状金属部材の中途部を複数箇所屈曲及び湾曲させて形成された板バネである。取付バネ171は、図8、図9に示すように、略V字状に形成された板バネである。取付バネ171の基端部171aは、ネジ等の取付部材により取付バネ支持部117に固定されるとともに、自由端部171bが灯具本体111側方に延出されるものである。取付バネ171を屈曲(弾性変形)した状態で埋込型照明器具200を天井面の取付穴に設置した場合、取付バネ171は、取付バネ171が広がろうとする弾性力によって取付穴の周縁を押圧することで第1環状部114との間で天井面を挟持し、埋込型照明器具200を天井面に固定することができる。
また、取付バネ171は、図9に示すように、取付バネ171の端部(本実施形態では上端部)に径方向内側にV字状に突出する係止部である曲げ部172を有している。曲げ部172は、灯具本体111(内枠161)の側部に設けられる曲げ部172の被係止部163に係止可能である。曲げ部172は、被係止部163に係止することで灯具本体111の光軸Y方向の移動を規制することができる。これにより、灯具本体111の光軸Y方向の移動を規制したい場合、灯具移動を規制する部品を別途設けなくてもよいため、部品点数を削減できる。
なお、取付バネの形状、取付位置、本数等については、本実施形態のものに限定されない。
以上説明した本実施形態のレンズ31及びレンズ31を備えた照明器具100では、レンズ31が有する出射面の一部に光源(LED素子23)からの光を拡散する光拡散部34を設ける。これにより、光源から出射された光を略均一に拡散することで、照射面において光ムラ(色相分離)及び照度ムラを低減することができる。
本実施形態では、反射部41の後端側を収容部52内に収容した状態で、反射部41の一端が、収容部52の前端と枠体71の一端とにより挟持される。これにより、反射部41を灯具本体11に固定する固定部品を削減することができる。また、反射部41を備えない照明器具では、レンズを収容部52の前端と枠体71の一端とにより挟持させることもできる。
本実施形態では、灯具本体111が、その外周において灯具本体111がLED素子23の光軸Y方向に移動するのを規制する位置に係止部となる曲げ部172を係止する被係止部163を備える。これにより、灯具移動を規制する部品を別途設けなくてもよいため、部品点数を削減できる。
本実施形態では、天板部94が、両端に前記第1プラグ部93と第2プラグ部95を連結した状態で前記取付具本体92の開口端に取り付けられる。これにより、ダクトプラグのサイズバリエーションに容易に対応可能である。
本実施形態の一態様に係る照明器具は、
レンズを備える照明器具であって、
前記レンズは、
凸レンズで構成され、前方に出射面を有するレンズ本体と、
前記レンズ本体の周縁から後方へ向かって光軸方向へ延出される円筒状の支持部と、を備え、
前記レンズ本体の少なくとも一部と前記支持部の少なくとも一部とに、入射する光を拡散する光拡散部が設けられるものである。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記レンズ本体は、前記出射面側の中央に凹部を有することが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記凹部は、少なくとも底面に、入射する光を拡散する光拡散部が設けられることが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記光拡散部の少なくとも一部は、前記出射面において前記光源と、該光源の前方に配置される前記光源からの光を出射する出射口とを結ぶ線分で区画される領域内に配置されることが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記支持部は、外周面に係止突起を有することが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記支持部は、後端周縁から径方向外側に突出するフランジ部を有することが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具は、
レンズと反射部とを備える照明器具であって、
前記レンズは、
凸レンズで構成され、前方に出射面を有するレンズ本体と、
前記レンズ本体の周縁から後方へ向かって延出される支持部と、を備え、
前記反射部は、径方向において前記レンズが中心に配置され、前方に向かって開いた形状の、光源からの光を反射するものであり、
前記レンズ本体の少なくとも一部と前記支持部の少なくとも一部とに、入射する光を拡散する光拡散部が設けられるものである。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
光源は、前記反射部の後方に配置されることが好ましい。
本実施形態の一態様に係る照明器具において、
前記レンズ本体に設けられる前記光拡散部と、前記支持部に設けられる前記光拡散部とは、同一の形状に加工されていることが好ましい。