JP6592100B2 - 高感染価かつ高純度のパルボウイルスの生産方法 - Google Patents
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Description
[1]
高感染価かつ高純度のパルボウイルスの生産方法であって、
(a)宿主細胞がパルボウイルスに感染した際の培養基材の細胞密度の24時間毎の経時変化を、感染時細胞密度(A)毎に事前に別途算出しておく工程と、
(b)工程(a)において事前に算出した細胞密度の経時変化から、
(b1)感染から、細胞密度の経時変化のピーク時までの時間(Tmax)と、
(b2)Tmaxにおける細胞密度(Bmax)とAが以下の式(1)を満たすA1と、
(b3)そのようなA1のうち最大の感染時細胞密度(Amax)と、
(b4)以下の式(2)を満たすA2と、
を決定する工程と、
Bmax/A1 >1.2 式(1)
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
(c)工程(b)の(b4)で決定したA2の感染時細胞密度の宿主細胞と血清培地とを含む前記培養基材に、パルボウイルスのシードウイルスを感染多重性(MOI)が0.001〜0.1となるように接種する工程と、
(d)工程(c)で得られた宿主細胞とパルボウイルスとを含む培養物を、工程(b)の(b1)で決定したTmax以上Tmax+48時間未満の時間培養する工程と、
(e)工程(d)の培養上清を無血清培地に交換し、12時間以上培養する工程と、
(f)工程(e)の培養により得られるパルボウイルスを含む培養上清を回収する工程と、
を含み、前記工程(b)において、式(1)を満たすAが存在しない場合、別の感染時細胞密度Aを採用して工程(a)及び工程(b)を再度実施する、方法。
[2]
前記宿主細胞が、接着依存性細胞である、[1]に記載の方法。
[3]
前記パルボウイルスが、ブタパルボウイルス(PPV)、イヌパルボウイルス(CPV)、マウス微小ウイルス(MVM)、ラットウイルス(RV)、H−1ウイルス(H−1)、ネコパルボウイルス(FPV)、ガチョウパルボウイルス(GPV)、又はウシパルボウイルス(BPV)である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
前記工程(e)が、培養上清を無血清培地に交換し、24時間以上培養する工程である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記工程(b)が、BmaxとAが以下の式(1’):
Bmax/A1' ≧ 2.0 式(1’)
を満たすようなA1'を算出する工程を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記工程(d)及び(e)における培養が、33℃以上39℃以下の温度で実施される、[1]〜[5]のいずれかに記載のパルボウイルスの生産方法。
[7]
前記工程(d)及び(e)において、前記宿主細胞と前記パルボウイルスが同時進行で増殖する、[1]〜[6]のいずれかに記載のパルボウイルスの生産方法。
[8]
前記工程(f)が、前記培養上清に含まれる遊離の宿主細胞と宿主細胞の破片とを除去する工程を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]
前記除去工程が、孔径0.2μm〜0.45μmの膜濾過を用いて行われる、[8]に記載の方法。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載の方法によって得られる、109TCID50/mL以上の感染価のパルボウイルス。
[11]
パルボウイルスの感染価が109TCID50/mL以上であり、かつ、前記パルボウイルスの感染価(TCID50/mL)と不純物蛋白質濃度(ng/mL)との比が5000:1超である、非濃縮の細胞培養上清由来のパルボウイルス。
(a)宿主細胞がパルボウイルスに感染した際の培養基材の細胞密度の24時間毎の経時変化を、感染時細胞密度(A)毎に事前に別途算出しておく工程と、
(b)工程(a)において事前に算出した細胞密度の経時変化から、
(b1)感染から、細胞密度の経時変化のピーク時までの時間(Tmax)と、
(b2)Tmaxにおける細胞密度(Bmax)とAが以下の式(1)を満たすA1と、
(b3)そのようなA1のうち最大の感染時細胞密度(Amax)と、
(b4)以下の式(2)を満たすA2と、
を決定する工程と、
Bmax/A1 >1.2 式(1)
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
(c)工程(b)の(b4)で決定したA2の感染時細胞密度の宿主細胞と血清培地とを含む前記培養基材に、パルボウイルスのシードウイルスを感染多重性(MOI)が0.001〜0.1となるように接種する工程と、
(d)工程(c)で得られた宿主細胞とパルボウイルスとを含む培養物を、工程(b)の(b1)で決定したTmax以上Tmax+48時間未満の時間培養する工程と、
(e)工程(d)の培養上清を無血清培地に交換し、12時間以上培養する工程と、
(f)工程(e)の培養により得られるパルボウイルスを含む培養上清を回収する工程と、
を含み、前記工程(b)において、式(1)を満たすAが存在しない場合、別の感染時細胞密度Aを採用して工程(a)及び工程(b)を再度実施する、方法に関する。
なお、宿主細胞は、継代培養によって増殖させることができる。
一態様において、例えば、宿主細胞のコンフルエント状態の細胞密度(以下Cとする)を基準として、C〜C/100程度、例えば、C、C/3、C/10、C/30及びC/100程度をAとして選定することができる。
(b1)パルボウイルスに感染した宿主細胞は、感染後一定期間中は増殖するが、ピークに達した後はウイルスによる感作により死滅していくため、まず、感染から細胞密度の経時変化のピーク時までの時間(Tmax)を決定する。
Bmax/A1 > 1.2 式(1)
パルボウイルス特有の増殖機構では、ウイルスと宿主細胞とが同時増殖するため、感染時細胞数(A)からピーク時のTmaxまでに細胞が1.2超、例えば1.5倍以上、好ましくは1.75以上、より好ましくは2.0倍以上に増殖するような感染時細胞数A1が適切であると考えられる。これは理論に束縛されるものではないが、Aが大きすぎる場合、コンフルエント状態の細胞数に近くなるため宿主細胞自体が増殖することができずBmax/Aが小さくなる傾向にあり、一細胞あたりのウイルス生産量が下がるためであると考えられる。
(b4)このAmaxから、以下の式(2)を満たすA2を決定する。
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
Aが小さすぎる場合、ピーク時の細胞密度(Bmax)は培養基材の制限を受けることがないためBmax/Aは高い値で一定となり一細胞あたりのウイルス生産量は頭打ちとなる。一方でウイルス濃度は宿主細胞の数に依存するため、Aが小さくなるほどウイルス濃度は低くなる傾向にあると考えられる。
そのため適切な感染時の細胞数Aは、工程(a)において選定したいくつかのAのうち、Bmax/Aが式(1)を満たすA1中で最大のA(Amax)であると考えられる。さらに、このAmaxから感染時細胞密度を1/10程度下げても高感染価かつ高純度のパルボウイルスを回収することができると考えられる。これは、理論に束縛されるものではないが、AがAmaxから多少減少してもAの減少に対応して一細胞あたりのウイルス生産量が上がるため、最終的に得られるパルボウイルス濃度が変わらないからであると考えられる。
不純物蛋白質濃度の測定は、当業者に公知の手法を用いて行うことができ、例えば、後述の実施例に示す通り、市販のプロテインアッセイ試薬等を用いてBCA法により行うことができる。
本実施形態において、濃縮とは、濃縮前と比較して濃縮後のウイルス濃度が増加すること、すなわち感染価が増加することを指す。一態様において、本実施形態のパルボウイルスは、このような濃縮を経ずに培養上清から得られた、濃縮に伴う不純物の濃縮のない高純度のパルボウイルスである。
具体的には、濃縮操作としては、セシウム密度勾配超遠心、スクロース密度勾配遠心等の密度勾配遠心;超遠心分離;陽イオン交換カラムクロマトグラフィ;限外ろ過;タンジェンシャルフローろ過;化学誘導性沈殿;ウイルス吸着型クロマトグラフィ;ポリマー誘導性凝集;膜吸着等が挙げられる。
濃縮以外の操作としては、超遠心分離ではない遠心分離(10,000xg以下かつ100,000xg・h以下の遠心分離)、除菌膜濾過等が挙げられ、より具体的には後述の実施例における精製操作が挙げられる。
ブタパルボウイルス(PPV)の宿主細胞としてPK−15細胞(ATCCから購入、カタログ番号CCL−33、パルボウイルス感受性の接着依存性細胞)を用い、これをダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地、ライフテクノロジー社製、製造番号11965−092)に10%牛胎児血清を添加した培地(以下、「血清培地」と呼ぶ。後述の実施例でも同様。)で、37℃、5%CO2環境下にて、75cm2底面積、容量15mLの組織培養用フラスコ(以下、「フラスコ」と呼ぶ。後述の実施例でも同様。)を用いて継代培養した。
各細胞密度の条件につき3フラスコずつ分注した。次いで、当該各フラスコにPPVをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後24時間、48時間及び72時間培養した時点でフラスコ底面にある細胞を回収し、細胞密度(B)を算出した。
細胞数の算出は以下のようにして行った。まず細胞基材に接着した細胞に、少量のトリプシンなどの蛋白質分解酵素やEDTAなどのキレート剤又はその混合液を加えて宿主細胞を培養容器から剥がした。剥がれた細胞溶液を血清を含む培地で希釈し細胞剥離作用を抑えた後、血球計算盤などに希釈後の溶液を注入し、顕微鏡下、で細胞数を計測した。
また、試験したAの範囲では、感染時細胞密度が高いほど感染後の細胞増殖速度が低くなる傾向がみられたが、一方で、感染時細胞密度が低ければ低いほど感染後の細胞増殖速度が高くなるわけではなかった。
実施例1と同様にしてPK−15細胞を継代培養し、新しいフラスコに、試料1a〜1fと同様の細胞密度の宿主細胞を、10mLの血清培地とともに、各細胞密度の条件につき6フラスコずつ分注した(試料2a〜2f)。次いで、当該各フラスコにPPVをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後、48時間、及び72時間培養した時点で1フラスコずつ培養上清を除去し、フラスコ底面の細胞を、血清を加えていないDMEM培地(以下、「無血清培地」という。)で洗浄したのち、10mLの無血清培地を添加し、さらに培養を行い、24時間後、48時間後、及び72時間後に1フラスコずつ上記無血清培地の培養上清を回収した。回収した無血清培養上清を、3000rpm、20分間遠心し、上清画分を0.45μmフィルター(ミリポア社製Millex−HV)で濾過した。
まず、実施例1から、感染時細胞密度(A)ごとに感染後の細胞密度の24時間毎の経時変化を記録し、それぞれの密度に対応するピーク時(Tmax=本実施例では48時間)の細胞密度(Bmax)を記録し、感染後の細胞増殖速度の目安となるBmax/Aの比を算出したところ、Bmax/Aが少なくとも1.2より大きくなる感染時細胞密度(例えば、1.5以上、好ましくは1.75以上、より好ましくは2.0以上)を採用すると、高感染価かつ高純度のパルボウイルスが得られると考えられた。すなわち、高感染価かつ高純度のパルボウイルスを得るためには、A1とBmaxが以下の式(1)を満たすことが重要であると考えられた。
Bmax/A1 > 1.2 式(1)
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
実施例1と同様にしてPK−15細胞を継代培養し、新しいフラスコに、試料1b〜1eと同様の細胞密度の宿主細胞を、10mLの血清培地とともに、各細胞密度の条件につき3フラスコずつ分注した(試料3b〜3e)。次いで、当該各フラスコにPPVをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後、96時間培養した時点で1フラスコずつ培養上清を除去し、フラスコ底面の細胞を、血清を加えていないDMEM培地(以下、「無血清培地」という。)で洗浄したのち、10mLの無血清培地を添加し、さらに培養を行い、24時間後、48時間後、及び72時間後に1フラスコずつ上記無血清培地の培養上清を回収した。回収した無血清培養上清を、3000rpm、20分間遠心(1710×g、20分=570×g・h)し、上清画分を0.45μmフィルター(ミリポア製)で濾過した。
実施例2と比較例1の結果から、細胞密度の経時変化がピークとなる時点から48時間未満、例えば36時間以内、好ましくは30時間以内、より好ましくは24時間以内の時間培養後、無血清培地交換すると、高純度及び高感染価のパルボウイルスが得られると考えられた。
マウス微小ウイルス(MVM)の宿主細胞としてA9細胞(ATCCから購入、カタログ番号CCL−1.4、パルボウイルス感受性の接着依存性細胞)を用い、これを血清培地で、37℃、5%CO2環境下にて、フラスコを用いて継代培養した。
各細胞密度の条件につき3フラスコずつ分注した。次いで、当該各フラスコにMVMをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後72時間、96時間及び120時間培養した時点でフラスコ底面にある細胞を回収し、細胞密度(B)を算出した。
細胞数の算出は以下のようにして行った。まず細胞基材に接着した細胞に、少量のトリプシンなどの蛋白質分解酵素やEDTAなどのキレート剤またはその混合液を加えて宿主細胞を培養容器から剥がした。剥がれた細胞溶液を血清を含む培地で希釈し細胞剥離作用を抑えた後、血球計算盤などに希釈後の溶液を注入し、顕微鏡下、で細胞数を計測した。
また、試験したAの範囲では、感染時細胞密度が高いほど感染後の細胞増殖速度が低くなる傾向がみられたが、一方で、感染時細胞密度が低ければ低いほど感染後の細胞増殖速度が高くなるわけではなかった。
実施例3と同様にしてA9細胞を継代培養し、新しいフラスコに、試料4a〜4fと同様の細胞密度の宿主細胞を、10mLの血清培地とともに、各細胞密度の条件につき6フラスコずつ分注した(試料5a〜5f)。次いで、当該各フラスコにMVMをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後、96時間、及び120時間培養した時点で1フラスコずつ培養上清を除去し、フラスコ底面の細胞を、無血清培地で洗浄したのち、10mLの無血清培地を添加し、さらに培養を行い、24時間後、48時間後、及び72時間後に1フラスコずつ上記無血清培地の培養上清を回収した。回収した無血清培養上清を、3000rpm、20分間遠心し、上清画分を0.45μmフィルター(ミリポア社製Millex−HV)で濾過した。
まず、実施例3から、感染時細胞密度(A)ごとに感染後の細胞密度の24時間毎の経時変化を記録し、それぞれの密度に対応するピーク時(Tmax=本実施例では96時間)の細胞密度(Bmax)を記録し、感染後の細胞増殖速度の目安となるBmax/Aの比を算出したところ、Bmax/Aが少なくとも1.2より大きくなる感染時細胞密度(例えば、1.5以上、好ましくは1.75以上、より好ましくは2.0以上)を採用すると、高感染価かつ高純度のパルボウイルスが得られると考えられた。すなわち、高感染価かつ高純度のパルボウイルスを得るためには、A1とBmaxが以下の式(1)を満たすことが重要であると考えられた。
Bmax/A1 > 1.2 式(1)
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
実施例3と同様にしてA9細胞を継代培養し、新しいフラスコに、試料4b〜4eと同様の細胞密度の宿主細胞を、10mLの血清培地とともに、各細胞密度の条件につき3フラスコずつ分注した(試料6b〜6e)。次いで、当該各フラスコにMVMをMOI=0.01となるよう接種し、37℃、5%CO2環境下にて培養した。感染開始後、144時間培養した時点で1フラスコずつ培養上清を除去し、フラスコ底面の細胞を、無血清培地で洗浄したのち、10mLの無血清培地を添加し、さらに培養を行い、24時間後、48時間後、及び72時間後に1フラスコずつ上記無血清培地の培養上清を回収した。回収した無血清培養上清を、3000rpm、20分間遠心(1710×g、20分=570×g・h)し、上清画分を0.45μmフィルター(ミリポア製)で濾過した。
実施例4と比較例2の結果から、細胞密度の経時変化がピークとなる時点から48時間未満、例えば36時間以内、好ましくは30時間以内、より好ましくは24時間以内の時間培養後、無血清培地交換すると、高純度及び高感染価のパルボウイルスが得られると考えられた。
Claims (9)
- 高感染価かつ高純度のパルボウイルスの生産方法であって、
(a)宿主細胞がパルボウイルスに感染した際の培養基材の細胞密度の24時間毎の経時変化を、感染時細胞密度(A)毎に事前に別途算出しておく工程と、
(b)工程(a)において事前に算出した細胞密度の経時変化から、
(b1)感染から、細胞密度の経時変化のピーク時までの時間(Tmax)と、
(b2)Tmaxにおける細胞密度(Bmax)とAが以下の式(1)を満たすA1と、
(b3)そのようなA1のうち最大の感染時細胞密度(Amax)と、
(b4)以下の式(2)を満たすA2と、
を決定する工程と、
Bmax/A1 >1.2 式(1)
Amax ≧ A2 ≧ Amax/10 式(2)
(c)工程(b)の(b4)で決定したA2の感染時細胞密度の宿主細胞と血清培地とを含む前記培養基材に、パルボウイルスのシードウイルスを感染多重性(MOI)が0.001〜0.1となるように接種する工程と、
(d)工程(c)で得られた宿主細胞とパルボウイルスとを含む培養物を、工程(b)の(b1)で決定したTmax以上Tmax+48時間未満の時間培養する工程と、
(e)工程(d)の培養上清を無血清培地に交換し、12時間以上培養する工程と、
(f)工程(e)の培養により得られるパルボウイルスを含む培養上清を回収する工程と、
を含み、前記工程(b)において、式(1)を満たすAが存在しない場合、別の感染時細胞密度Aを採用して工程(a)及び工程(b)を再度実施する、方法。 - 前記宿主細胞が、接着依存性細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記パルボウイルスが、ブタパルボウイルス(PPV)、イヌパルボウイルス(CPV)、マウス微小ウイルス(MVM)、ラットウイルス(RV)、H−1ウイルス(H−1)、ネコパルボウイルス(FPV)、ガチョウパルボウイルス(GPV)、又はウシパルボウイルス(BPV)である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記工程(e)が、培養上清を無血清培地に交換し、24時間以上培養する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(b)が、BmaxとAが以下の式(1’):
Bmax/A1' ≧ 2.0 式(1’)
を満たすようなA1'を算出する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
。 - 前記工程(d)及び(e)における培養が、33℃以上39℃以下の温度で実施される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(d)及び(e)において、前記宿主細胞と前記パルボウイルスが同時進行で増殖する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(f)が、前記培養上清に含まれる遊離の宿主細胞と宿主細胞の破片とを除去する工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記除去工程が、孔径0.2μm〜0.45μmの膜濾過を用いて行われる、請求項8に記載の方法。
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