JP6591989B2 - 金属系粒子集合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体を製造する方法に関する。
金属粒子をナノサイズにまで微細化すると、バルク状態では見られなかった機能を発現するようになることが従来知られており、中でも応用が期待されているのが「局在プラズモン共鳴」である。プラズモンとは、金属ナノ構造体中の自由電子の集団的な振動によって生起する自由電子の粗密波のことである。
近年、上記プラズモンを扱う技術分野は、「プラズモニクス」と呼ばれ大きな注目を集めているとともに活発な研究が行われており、かかる研究は金属ナノ粒子の局在プラズモン共鳴現象を利用した発光素子の発光効率向上や、光電変換素子の変換効率向上を目的とするものを含む。本発明に関連する先行技術文献としては、特開2007−139540号公報(特許文献1)及び非特許文献1〜2を挙げることができる。
特開2007−139540号公報
T. Fukuura and M. Kawasaki, "Long Range Enhancement of Molecular Fluorescence by Closely Packed Submicro-scale Ag Islands", e-Journal of Surface Science and Nanotechnology, 2009, 7, 653 Y. Saito, J. J. Wang, D. N. Batchelder, and D. A. Smith, "Simple Chemical Method for Forming Silver Surfaces with Controlled Grain Sizes for Surface Plasmon Experiments", Langmuir, 2003, 19, 6857
特許文献1には、互いに独立する多数の平板状金属粒子からなる粒子集合体を、局在プラズモン共鳴現象を利用して蛍光増強素子として用いることが開示されている。この粒子集合体は、200〜300℃に加熱された基板に対して、成長速度を低くした(膜堆積速度1〜2nm/分)DCスパッタリングを行うことによって形成される。
非特許文献1は、銀ナノ粒子による局在プラズモン共鳴に関する文献であり、互いに独立する多数の銀ナノ粒子からなる粒子集合体を基板上に形成する方法として、250〜350℃に加熱された基板に対してDCスパッタリングを行う方法や、銀粒子分散液を基板上にスピンコーティングした後、250〜600℃で熱処理(アニール)する方法を開示する。
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1が開示する方法はいずれも、高温熱処理工程を含むことから基板に耐熱性の高いものを用いる必要があり、適用範囲が大幅に制限されるという問題があった。またDCスパッタリング法においては、金属粒子の成長速度を低く保つ必要があり、基板加熱を要することもあって、例えばロールトゥーロール(ロールから繰り出した長尺の基板を搬送しながら粒子集合体の形成処理を行い、処理を終えた基板を順次ロール状に巻き取っていく方法)のような、連続的あるいは大規模工業的な粒子集合体の製造は困難である。スピンコーティング後に熱処理する方法においても同様に、2つの工程を含み、かつ基板加熱を要することから、ロールトゥーロールのような連続的あるいは大規模工業的な粒子集合体の製造は困難である。
上記問題を解決し得る方法として非特許文献2は、いわゆる銀鏡反応を利用して銀粒からなる膜を基板上に形成する方法を提案している。
ところで、本発明者によるこれまでの研究により、金属系粒子集合体の局在プラズモン共鳴が有効に作用し、発光素子の発光増強効果や光電変換素子の変換効率向上効果を効果的に得るうえでの、金属系粒子集合体を構成する金属系粒子の形状及び配置態様の重要性、特に、金属系粒子を互いに離間させながらも密に配置することの重要性が明らかになっている。
しかし、本発明者が非特許文献2に記載の製造方法を追試したところ、最も銀粒子が連続膜を形成しにくいと考えられるSurface D(非特許文献2, p 6858, "Experimental Methods"参照)の場合においても、銀粒子膜には導電性が確認された。
そこで本発明の目的は、発光素子の発光増強や光電変換素子の変換効率向上に有利な形状(金属系粒子自体の形状及び金属系粒子の配置態様)を有する金属系粒子集合体を生産性良く製造するための方法を提供することにある。
本発明は以下の金属系粒子集合体の製造方法を提供する。
[1]30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、隣り合う金属系粒子間の平均距離が1〜150nmの範囲内である金属系粒子集合体の製造方法であって、
前記金属系粒子を構成する金属のカチオンを含む液体に基板を接触させた状態で該カチオンを還元することによって金属系粒子集合体を基板上に形成する工程を含み、
前記液体に基板を接触させてから、該基板上に形成される前記金属の層が導電性を示すまでの時間をTとするとき、前記液体に基板を接触させる時間が0.35T以上T未満である、製造方法。
[2]前記金属系粒子の平均粒径が200〜1600nmの範囲内、平均高さが55〜500nmの範囲内、平均高さに対する平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1〜8の範囲内である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記液体は、前記カチオンを還元可能な還元剤をさらに含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記液体における前記還元剤の濃度が、その飽和濃度の30%以上である、[3]に記載の製造方法。
[5]前記還元剤は、標準酸化還元電位が−0.5V以上である、[3]又は[4]に記載の製造方法。
[6]前記還元剤がグルコースである、[5]に記載の製造方法。
[7]前記金属のカチオンを含む液体における前記カチオンの濃度が0.02mol/L以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記金属が銀である、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、発光素子の発光増強や光電変換素子の変換効率向上に有利な局在プラズモン共鳴を生起するのできる所定の形状(金属系粒子自体の形状及び金属系粒子の配置態様)を有する金属系粒子集合体を生産性良く製造することができる。本発明の製造方法によれば、基板加熱のような高温熱処理工程を不要にすることができ、短時間かつ単一工程での金属系粒子集合体の形成が可能であるため、例えばロールトゥーロールのような連続的又は大規模工業的製造法にも適用することができる。
本発明の製造方法によれば、発光素子〔有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、無機EL素子、無機LED(ライトエミッティングダイオード)素子、量子ドット発光素子等〕の発光効率や光電変換素子〔太陽電池素子等〕の変換効率を従来のプラズモン材料と比較して顕著に向上させ得る光学素子の増強要素(金属系粒子集合体及び金属系粒子集合体積層基板)を提供することができる。
本発明に係る金属系粒子集合体の製造方法の一例を説明するための概略図である。 比較例1で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 比較例1で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(50000倍スケール)である。 実施例1で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例1で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(100000倍スケール)である。 実施例2で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例2で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(50000倍スケール)である。 比較例2で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例3で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例3で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(100000倍スケール)である。 実施例4で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例4で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(100000倍スケール)である。 比較例3で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 実施例4で得られた金属系粒子集合体の吸光スペクトルである。 顕微鏡の対物レンズ(100倍)を用いた吸光スペクトル測定方法を説明する図である。 比較例4で得られた金属系粒子集合体のAFM画像である。 図17(a)は光励起発光素子の発光スペクトルの測定系を示す模式図であり、図17(b)は金属系粒子集合体及び絶縁層を有する光励起発光素子を示す断面模式図である。 実施例5の光励起発光素子及び比較対象の光励起発光素子について検出された発光スペクトルである。
<金属系粒子集合体の製造方法>
本発明は、金属系粒子集合体を製造するための方法に関する。「金属系粒子集合体」とは、複数の金属系粒子(金属系材料からなる粒子)の集合体であって、これら複数の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されているものをいう。本発明の製造方法によれば、発光素子の発光増強や光電変換素子の変換効率向上に有利な所定の形状の金属系粒子集合体、すなわち、30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されており、該金属系粒子が所定範囲内の平均粒子間距離(1〜150nm)を有し、さらに好ましくは該金属系粒子が所定の形状(平均粒径200〜1600nm、平均高さ55〜500nm及びアスペクト比1〜8)を有する金属系粒子集合体を制御良く、また生産性良く製造することができる。金属系粒子の「平均粒子間距離」、「平均粒径」、「平均高さ」及び「アスペクト比」の定義については後述する。
本発明の製造方法は、金属系粒子を構成する金属のカチオン(以下、「金属カチオン」ともいう)を含む液体に基板を接触させた状態で金属カチオンを還元し、これにより上記金属からなる金属系粒子の集合体を基板上に形成する工程を含む。図1に、本発明に係る金属系粒子集合体の製造方法の一例を概略図で示す。
図1に示される例のように、金属カチオンを含む液体20への基板100の接触は、槽10に収容された液体20に基板100を浸漬することによって行うことができる。この浸漬状態で金属カチオンを還元することにより、生じた金属(0価)が粒子状に基板100の表面に堆積し、金属系粒子集合体200が形成される。液体20は、金属カチオンとこれを溶解する溶媒とを含むものである。通常、溶媒は水を含むが、水混和性の有機溶媒(例えば、アルコール類)をさらに含むこともできる。
液体20における金属カチオンの濃度は、上記所定又は好ましい形状(所定の平均粒子間距離及び好ましい金属系粒子形状)を有する金属系粒子集合体200を制御良く形成するために比較的低濃度であることが好ましく、具体的には、0.02mol/L以下であることが好ましく、0.01mol/L以下であることがより好ましい。金属カチオンの濃度が0.02mol/Lを超えると、0価金属の堆積速度が速くなりすぎて金属系粒子集合体200の形状、とりわけ平均粒子間距離の制御が難しくなりやすく、例えば金属系粒子が個々に独立した粒子集合体とはならずに、平坦な連続した金属膜となってしまいやすい。
液体20は、金属カチオンとともに、この金属カチオンを0価金属に還元することができる還元剤を含むことが好ましい。還元剤を含む場合、この還元剤は、好ましくは、基板100を液体20に接触(浸漬)させる直前に液体20に含有される。
還元剤としては、還元力の小さいものを用いることが好ましく、その標準酸化還元電位は、好ましくは−0.5V以上であり、好ましくは−0.45V以上である。ここでいう標準酸化還元電位は、PH7、25℃、標準水素電極を陰極にしたときの値である。用いる還元剤の還元力が高すぎると、0価金属の堆積速度が速くなりすぎて金属系粒子集合体の形状、とりわけ平均粒子間距離の制御が難しくなりやすく、上記と同様、金属系粒子が個々に独立した粒子集合体とはならずに、平坦な連続した金属膜となってしまいやすい。標準酸化還元電位が−0.5V以上である還元剤の具体例を挙げれば、グルコース、アスコルビン酸等である。
一方で、所定又は好ましい形状(所定の平均粒子間距離及び好ましい金属系粒子形状)を有する金属系粒子集合体200を制御良く形成するためには、液体20における還元剤の濃度は比較的高いことが好ましい。還元剤の濃度は、例えばその飽和濃度の30%以上であり、好ましくは40%以上である。ここでいう飽和濃度は、基板100を液体20に接触させる処理を行う温度において液体20に含有される溶媒(金属カチオンを含まないもの)に還元剤を溶解させるときの飽和濃度である。還元剤の濃度が過度に低い場合にも、金属系粒子集合体200の形状制御が難しくなり、金属系粒子が個々に独立した粒子集合体とはならずに、平坦な連続した金属膜となってしまいやすい。
また液体20は、金属カチオンと結合して錯イオンを形成し、金属カチオンを安定化させる錯化剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
金属カチオン及び還元剤を含む液体20に基板100を浸漬して金属系粒子集合体200を基板100上に形成する処理は、基本的には、めっき浴を用いた無電解めっき(化学めっき)と同様にして行うことができる。本発明の製造方法によれば、高温処理を要しないため、基板100として、例えば樹脂基板(樹脂フィルム)等を用いることもできる。樹脂基板の使用は、ロールトゥーロールによる連続的及び大規模工業的な金属系粒子集合体200の製造を可能にする。液体20に基板100を接触(浸漬)させる際の温度は特に制限されず、例えば10〜100℃であり、好ましくは15〜60℃であり、より好ましくは20〜40℃である。
液体20に基板100を接触(浸漬)させる処理では、得られる金属系粒子集合体200において複数の金属系粒子が互いに離間して配置されるように、接触(浸漬)時間が適切に制御される。具体的には、液体20に基板100を接触させてから、基板100上に形成される金属の層が導電性を示す(複数の金属系粒子が過度に成長して、互いに離間した状態を超え、少なくとも一部分が連続した金属膜となる結果、導電性を示す)までの時間をTとするとき、接触(浸漬)時間は、0.35T以上T未満とされ、0.4以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがより好ましい。当該範囲内において接触(浸漬)時間がTに近いほど、金属系粒子の平均粒径や平均高さは大きくなり、平均粒子間距離は小さくなる傾向にある。
「基板100上に形成される金属の層が導電性を示す」とは、基板100上の金属層にマルチメーター〔テスター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕の一対のテスタープローブを10〜15mm離して接触させたときにレンジ設定「30MΩ」のとき「オーバーロード」と表示されないこと、すなわち30MΩ未満の抵抗値が測定されることを意味する。上記時間Tは、液体20に基板100を接触(浸漬)させる処理を実際に行う前に、予備実験によりあらかじめ求めておくことが好ましい。
液体20に還元剤を含有させることによって金属カチオンを還元する代わりに、あるいはこれと併用して、電解めっき(電気めっき)のように、金属系粒子を構成する金属をアノード、基板100をカソードとし、両極間に電流を印加する電着によって基板100上に金属系粒子集合体200を形成してもよい。ただし、金属系粒子集合体積層基板を光学素子の増強要素として使用する場合には、後述するように、基板100は導電性を有しないことが好ましいところ、非導電性の基板100を用いる場合には、導電性基板を要する電着による金属系粒子集合体200の形成は困難である。
金属系粒子を構成する金属は、ナノ粒子又はその集合体としたときに、吸光光度法による吸光スペクトル測定において紫外〜可視領域に現れるプラズモン共鳴ピーク(以下、「プラズモンピーク」ともいう。)を示す材料であって、かつ、金属カチオンを含む液体20に基板100を接触させた状態で金属カチオンを還元する処理によって金属系粒子を基板100上に堆積させることができるものである。このような金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウムのような貴金属;アルミニウムのような他の金属;該貴金属又は他の金属を含有する合金を挙げることができる。中でも、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属が好ましく、安価で吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)という観点からは銀であることがより好ましい。ただし、金属の種類は、金属系粒子集合体の用途(例えば、金属系粒子集合体を、そのプラズモン共鳴効果を利用して光学素子の増強要素として適用する場合における光学素子の種類等)、及び、増強される光学素子の活性層の吸光スペクトルピーク波長、発光スペクトルピーク波長、反射スペクトルピーク波長等に応じて適切に選択することが好ましい。
基板100を構成する材料は広範な中から選択することができるが、とりわけ金属系粒子集合体積層基板をそのプラズモン共鳴効果を利用して光学素子の増強要素として適用する場合には、非導電性材料からなる基板を用いることが好ましい。これは、基板を介して一部もしくは全ての金属系粒子間で電子の授受が可能であると、プラズモン共鳴効果が低減するためである。非導電性材料としては、ガラス、各種無機絶縁材料(SiO2、ZrO2、マイカ等)、各種樹脂材料等を挙げることができる。金属系粒子集合体200が形成される基板100の表面は、できるだけ平滑であることが好ましい。
また、金属系粒子集合体積層基板を、例えば発光素子の増強要素として適用する場合には、基板表面(金属系粒子集合体200とは反対側の面)からの光取り出しが可能になることから、透光性を有する基板を用いることが好ましく、光学的に透明な基板を用いることがより好ましい。
なお、本発明の製造方法は、後で詳述するように、金属系粒子集合体200の表面に絶縁層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
<金属系粒子集合体>
上述のように本発明の製造方法によれば、所定又は好ましい形状(所定の平均粒子間距離及び好ましい金属系粒子自体の形状)を有する金属系粒子集合体を制御良く、かつ生産性良く製造することができる。従って、本発明は、精密な形状制御によって初めて発現する極めて強いプラズモン共鳴を示す等の特異的な特性を有する金属系粒子集合体の製造方法として有用である。プラズモン材料であるこの金属系粒子集合体は、発光素子や光電変換素子等を含む光学素子の増強要素として好適に適用することができ、適用した発光素子の発光効率や光電変換素子の変換効率を従来と比較して顕著に向上させることができる。
従来のプラズモン材料(金属ナノ粒子又はその集合体)の局在プラズモン共鳴現象を利用した、例えば発光増強においては、局在プラズモン共鳴の作用範囲が金属ナノ粒子表面から10nm以下と極めて狭い範囲内に限定されるという問題があった。これは、金属ナノ粒子と励起される分子との距離を大きくしていくと、局在プラズモン共鳴が有効に影響しなくなることによって発光増強効果は徐々に弱まり、フェルスター機構のエネルギー移動が発現する範囲(1nm〜10nm)を超えると、発光増強効果をほとんど得ることができなかったためである。上記特許文献1に記載の発光増強方法においても、効果的な発光増強効果を得るために有効な金属ナノ粒子と励起される分子との間の距離は10nm以下とされている。
従って、従来の金属ナノ粒子又はその集合体の局在プラズモン共鳴現象を利用した光学素子の増強効果は、局在プラズモン共鳴の作用範囲の制限のために、必ずしも十分満足のいくものではなかった。例えば、光学素子が厚み数十nm又はそれ以上の活性層(例えば発光素子の発光層、光電変換素子の光吸収層)を有している場合には、仮に金属ナノ粒子を活性層に近接、あるいは内在させて配置することができたとしても、局在プラズモン共鳴による直接的な増強効果は、活性層の一部でしか得ることができないため、発光効率や変換効率向上効果は部分的なものであった。
これに対して、本発明の製造方法によって得ることができる金属系粒子集合体は、これを構成する金属系粒子が、一般に発光増強効果が小さくなると考えられている比較的大粒径の粒子であるにもかかわらず(上記特許文献1の段落0010〜0011参照)、特定の平均粒子間距離を有すること、及び好ましくは金属系粒子が特定の形状を有することに起因して、極めて強いプラズモン共鳴を示すとともに、著しく伸長されたプラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)を示す。
本発明の製造方法によって得ることができる所定の形状を有する金属系粒子集合体の有用性は例えば次のとおりである。
(1)極めて強いプラズモン共鳴を示すため、発光素子に適用した場合には、従来のプラズモン材料を用いる場合と比較して、より強い発光増強効果を得ることができ、これにより発光効率を飛躍的に高めることができる。また、光電変換素子に適用した場合には、その変換効率を飛躍的に高めることができる。金属系粒子集合体が示すプラズモン共鳴の強さは、特定波長における個々の金属系粒子が示す局在プラズモン共鳴の単なる総和ではなく、それ以上の強さである。すなわち、好ましくは特定の形状を有する30個以上の金属系粒子が所定の平均粒子間距離で密に配置されることにより、個々の金属系粒子が相互作用して、極めて強いプラズモン共鳴が発現する。これは、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用により発現したものと考えられる。
一般にプラズモン材料は、吸光光度法で吸光スペクトルを測定したとき、紫外〜可視領域におけるピークとしてプラズモンピークが観測され、このプラズモンピークの極大波長における吸光度値の大小から、そのプラズモン材料のプラズモン共鳴の強さを略式に評価することができるが、ガラス基板上に形成された本発明に係る金属系粒子集合体は、吸光スペクトルを測定したとき、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が0.4以上、さらには0.7以上、なおさらには0.9以上となり得る。
金属系粒子集合体の吸光スペクトルは、ガラス基板上に形成したものを測定サンプルとして、吸光光度法によって測定することができる。具体的には、吸光スペクトルは、金属系粒子集合体が積層されたガラス基板の裏面側(金属系粒子集合体とは反対側)であって、基板面に垂直な方向から紫外〜可視光領域の入射光を照射し、金属系粒子集合体側に透過した全方向における透過光の強度Iと、該測定サンプルの基板と同じ厚み及び材質の基板であって、金属系粒子集合体が積層されていない基板の面に垂直な方向から先と同じ入射光を照射し、入射面の反対側から透過した全方向における透過光の強度I0を、それぞれ積分球分光光度計を用いて測定することにより得られる。このとき、吸光スペクトルの縦軸である吸光度は、下記式:
吸光度=−log10(I/I0
で表される。吸光スペクトルは、一般の分光光度計を用いて測定することができる。
また、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長やその吸光度を測定するにあたっては、対物レンズと分光光度計を用い、測定視野を絞って吸光スペクトル測定を行ってもよい。
(2)プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)を著しく伸長することができる。このような伸長作用もまた、好ましくは特定の形状を有する30個以上の金属系粒子を所定の平均粒子間距離で密に配置したことによって生じた金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用により発現したものと考えられる。本発明に係る金属系粒子集合体によれば、従来では概ねフェルスター距離の範囲内(約10nm以下)に限定されていたプラズモン共鳴の作用範囲を、例えば数百nm程度まで伸長することができる。
プラズモン共鳴の作用範囲の伸長は、発光素子や光電変換素子等の光学素子の増強に極めて有利である。すなわち、この作用範囲の大幅な伸長によって、活性層が数十nm又はそれ以上の厚みを有する場合であっても、活性層の全体を増強させることが可能になり、これにより光学素子の増強効果(発光効率や変換効率等)を著しく向上させることができる。
また、従来のプラズモン材料においては、プラズモン材料を活性層との距離がフェルスター距離の範囲内となるように配置する必要があったが、本発明に係る金属系粒子集合体によれば、活性層から、例えば10nm、さらには数十nm(例えば20nm)、なおさらには数百nm離れた位置に配置してもプラズモン共鳴による増強効果を得ることができる。このことは、例えば発光素子であれば、発光層からかなり離れた光取り出し面近傍に金属系粒子集合体を配置することが可能になることを意味しており、これにより、金属系粒子集合体から発せられる光が、光取り出し面に到達するまでの間に通過する各種発光素子構成層の界面で全反射されることを抑制できるため、光取り出し効率を向上させることができる。
このように本発明に係る金属系粒子集合体は、それ単独では双極子型の局在プラズモンが可視光領域で生起し難い金属系粒子を用いるにもかかわらず、このような金属系粒子の所定数以上を、所定の平均粒子間距離で密に配置することにより、当該金属系粒子が内包する極めて多数の表面自由電子を有効にプラズモンとして励起することができ、著しく強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の著しい伸長の実現を可能にしたものである。
また、本発明に係る金属系粒子集合体は、次のような有利な効果を奏し得る。
(3)可視光領域における吸光スペクトルにおいて、金属系粒子の平均粒径及び平均粒子間距離に依存して、プラズモンピークの極大波長が特異なシフトを示し得る。具体的には、平均粒子間距離を一定にして金属系粒子の平均粒径を大きくするに従い、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長が短波長側にシフト(ブルーシフト)する。同様に、金属系粒子が比較的大型である場合において、金属系粒子の平均粒径を一定にして平均粒子間距離を小さくするに従い(金属系粒子をより密に配置すると)、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長が短波長側にシフトする。この特異な現象は、プラズモン材料に関して一般的に認められているミー散乱理論〔この理論に従えば、粒径が大きくなるとプラズモンピークの極大波長は長波長側にシフト(レッドシフト)する。〕に反するものである。
上記のような特異なブルーシフトもまた、本発明に係る金属系粒子集合体が金属系粒子を所定の平均粒子間距離で密に配置した構造を有しており、及び好ましくは金属系粒子が特定の形状を有していることに伴い、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用が生じていることによるものと考えられる。金属系粒子集合体(ガラス基板上に積層した状態)は、金属系粒子の形状や平均粒子間距離に応じて、吸光光度法によって測定される可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるプラズモンピークが、例えば350〜550nmの波長領域に極大波長を示し得る。また、金属系粒子集合体は、金属系粒子が十分に長い粒子間距離(例えば1μm)を置いて配置される場合と比較して、典型的には30〜500nm程度(例えば30〜250nm)のブルーシフトを生じ得る。
このような、従来のものと比べてプラズモンピークの極大波長がブルーシフトしている金属系粒子集合体は、例えば次の点で極めて有利である。すなわち、高い発光効率を示す青色(もしくはその近傍波長領域、以下同様。)発光材料(特に青色燐光材料)の実現が強く求められている一方で、十分実用に耐える材料の開発が現状では困難であるところ、例えば青色の波長領域にプラズモンピークを有する金属系粒子集合体を増強要素として発光素子に適用することにより、比較的発光効率の低い青色発光材料を用いる場合であっても、その発光効率を十分な程度にまで増強させることができる。また、光電変換素子に適用した場合には、例えば共鳴波長をブルーシフトさせることによって活性層自体では利用できなかった波長領域を有効利用できるようになり、変換効率を向上させ得る。
次に、金属系粒子集合体の具体的構成についてより詳細に説明する。
金属系粒子の平均粒径は、好ましくは200〜1600nmの範囲内であり、上記(1)〜(3)の効果を効果的に得るために、より好ましくは200〜1200nm、さらに好ましくは250〜500nm、特に好ましくは300〜500nmの範囲内である。金属系粒子の平均粒径は、金属系粒子集合体を増強要素として適用する光学素子の種類や金属系粒子を構成する金属の種類に応じて適切に選択されることが好ましい。
金属系粒子の平均粒径とは、二次元的に金属系粒子が配置された金属系粒子集合体の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、各粒子像内に無作為に接線径を5本引き(ただし、接線径となる直線はいずれも粒子像内部のみを通ることができ、このうち1本は粒子内部のみ通り、最も長く引ける直線であるものとする)、その平均値(以下、この平均値を接線径平均値ともいう。)を各粒子の粒径としたときの、選択した10個の粒径の平均値である。接線径とは、粒子の輪郭(投影像)をこれに接する2本の平行線で挟んだときの間隔(日刊工業新聞社 「粒子計測技術」,1994,第5頁)を結ぶ垂線と定義する。
平均粒径の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM−5500」を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1〜1280から10個の乱数(x1、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9、x10)、1〜960から10個の乱数(y1、y2、y3、y4、y5、y6、y7、y8、y9、y10)をそれぞれ得る。得られた各10個の乱数から10組の乱数組み合わせ(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)、(x5,y5)、(x6,y6)、(x7,y7)、(x8,y8)、(x9,y9)及び(x10,y10)を得る。1〜1280から発生させた乱数の数値をx座標、1〜960から発生させた乱数の数値をy座標として、10組の座標点(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)、(x5,y5)、(x6,y6)、(x7,y7)、(x8,y8)、(x9,y9)及び(x10,y10)を得る。そして、当該座標点を含む合計10個の粒子像のそれぞれについて上記の接線径平均値を得、次いで当該10個の接線径平均値の平均値として平均粒径を得る。10組の乱数組み合わせである10個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、10個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子の平均高さは、好ましくは55〜500nmの範囲内であり、上記(1)〜(3)の効果を効果的に得るために、より好ましくは55〜300nm、さらに好ましくは70〜150nmの範囲内である。金属系粒子の平均高さとは、金属系粒子集合体のAFM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、これら10個の粒子の高さを測定したときの、10個の測定値の平均値である。
金属系粒子のアスペクト比は、好ましくは1〜8の範囲内であり、この範囲内で金属系粒子集合体を増強要素として適用する光学素子の種類に応じて適切に選択することが好ましい。例えば発光素子の増強要素として用いる場合には、金属系粒子は扁平形状を有することが好ましい傾向にあり、この場合、より高い増強効果を得るために、アスペクト比は2〜8であることがより好ましく、2.5〜8であることがさらに好ましい。一方、光電変換素子の増強要素として用いる場合、より高い増強効果を得るためには、金属系粒子は真球状に近いほど好ましい傾向にある。金属系粒子のアスペクト比は、上記平均高さに対する上記平均粒径の比(平均粒径/平均高さ)で定義される。
金属系粒子は、効果の高いプラズモンを励起する観点から、その表面が滑らかな曲面からなることが好ましいが、表面に微小な凹凸(粗さ)を幾分含んでいてもよく、このような意味において金属系粒子は不定形であってもよい。
金属系粒子集合体の面内におけるプラズモン共鳴の強さの均一性に鑑み、金属系粒子間のサイズのバラツキはできるだけ小さいことが好ましい。ただし、粒径に多少バラツキが生じたとしても、大型粒子間の距離が大きくなることは好ましくなく、その間を小型の粒子が埋めることで大型粒子間の相互作用を発現しやすくすることが好ましい。
金属系粒子集合体において金属系粒子は、その隣り合う金属系粒子との平均距離(平均粒子間距離)が1〜150nmの範囲内となるように配置される。このように金属系粒子を密に配置することにより、著しく強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の著しい伸長、さらには上記(3)の効果を実現することができる。平均粒子間距離は、上記(1)〜(3)の効果を効果的に得るために、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜20nmの範囲内である。平均粒子間距離が1nm未満であると、粒子間でデクスター機構に基づく電子移動が生じ、局在プラズモンの失活の点で不利となる。金属系粒子が互いに離間して配置されている本発明に係る金属系粒子集合体は、上述の方法に従って測定を行ったとき、導電性を示さない(すなわち、上記測定条件にて抵抗値が30MΩ以上である結果、「オーバーロード」と表示される。)。
平均粒子間距離とは、二次元的に金属系粒子が配置された金属系粒子集合体の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を30個選択し、選択したそれぞれの粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求めたときの、これら30個の粒子の粒子間距離の平均値である。隣り合う粒子との粒子間距離とは、すべての隣り合う粒子との距離(表面同士間の距離である)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。
平均粒子間距離の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM−5500」を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1〜1280から30個の乱数(x1〜x30)、1〜960から30個の乱数(y1〜y30)をそれぞれ得る。得られた各30個の乱数から30組の乱数組み合わせ(x1,y1)から(x30,y30)を得る。1〜1280から発生させた乱数の数値をx座標、1〜960から発生させた乱数の数値をy座標として、30組の座標点(x1,y1)〜(x30,y30)を得る。そして、当該座標点を含む合計30個の粒子像のそれぞれについて、当該粒子と隣り合う粒子との粒子間距離を得、次いで当該30個の隣り合う粒子との粒子間距離の平均値として平均粒子間距離を得る。30組の乱数組み合わせである30個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、30個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子集合体に含まれる金属系粒子の数は30個以上であり、好ましくは50個以上である。金属系粒子を30個以上含む粒子集合体を形成することにより、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用によって極めて強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長が発現する。
金属系粒子集合体を増強要素として光学素子に適用する場合、光学素子の一般的な素子面積に照らせば、金属系粒子集合体に含まれる金属系粒子の数は、例えば300個以上、さらには17500個以上となり得る。金属系粒子集合体における金属系粒子の数密度は、7個/μm2以上であることが好ましく、15個/μm2以上であることがより好ましい。
上述のように、本発明の製造方法が金属系粒子集合体を形成する工程の後に絶縁層形成工程を含み、金属系粒子集合体の薄膜上に、各金属系粒子の表面を覆う絶縁層を形成してもよい。このような絶縁層は、金属系粒子集合体の非導電性を担保するうえで好ましいだけでなく、金属系粒子集合体を光学素子に適用する場合にも好ましい。すなわち、電気エネルギー駆動の発光素子や光電変換素子等の光学素子では、これを構成する各層に電流が流れるが、金属系粒子集合体に電流が流れてしまうと、プラズモン共鳴による増強効果が十分に得られないおそれがある。金属系粒子集合体をキャップする絶縁層を設けることにより、光学素子に適用した場合においても金属系粒子集合体と、これに隣接する光学素子の構成層との間の電気的絶縁を図ることができるため、金属系粒子集合体を構成する金属系粒子に電流が注入されることを防止することができる。
絶縁層を構成する材料としては、良好な絶縁性を有するものであれば特に制限されず、例えば、スピンオングラス(SOG;例えば有機シロキサン材料を含有するもの)のほか、SiO2やSi34等を用いることができる。絶縁層の厚みは、所望の絶縁性が確保される限り特に制限はないが、後述するように光学素子に適用したときの活性層(例えば発光素子の発光層や光電変換素子の光吸収層)と金属系粒子集合体との距離は近いほど好ましいことから、所望の絶縁性が確保される範囲で薄いほどよい。
本発明に係る金属系粒子集合体は、これを製造する際に用いる基板と一体化した状態で、各種光学素子に組み込むことができる。
上述のように、本発明に係る金属系粒子集合体は、極めて強いプラズモン共鳴を示し、さらにはプラズモン共鳴の作用範囲が著しく伸長されているため、例えば、10nm以上、さらには20nm以上、なおさらにはそれ以上の厚みを有する活性層の全体を増強させることが可能である。また、例えば10nm、さらには数十nm(例えば20nm)、なおさらには数百nm以上離れた位置に配置された活性層をも、極めて効果的に増強することができる。
なお、プラズモンによる増強効果は、その性質上、活性層と金属系粒子集合体との距離が大きくなるほど小さくなる傾向にあることから、当該距離は小さいほど好ましい。活性層と金属系粒子集合体との距離は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。
活性層が示す発光波長(例えば発光素子の場合)又は吸収波長(例えば光電変換素子の場合)の極大波長は、金属系粒子集合体のプラズモンピークの極大波長と一致するか又は近いことが好ましい。これにより、プラズモン共鳴による増強効果をより効果的に高めることができる。金属系粒子集合体のプラズモンピークの極大波長は、これを構成する金属系粒子の金属種、平均粒径、平均高さ、アスペクト比及び/又は平均粒子間距離の調整により制御可能である。
上記発光層は、例えば、1)色素分子を平面状に配置した単分子膜からなるもの、2)マトリックス中に色素分子をドープしてなるもの、3)発光性低分子からなるもの、4)発光性高分子からなるもの、等であることができる。
1)の発光層は、色素分子含有液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。色素分子の具体例は、Exciton社から販売されているローダミン101、ローダミン110、ローダミン560、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン640、ローダミン700等のローダミン系色素、Exciton社から販売されているクマリン503等のクマリン系色素を含む。
2)の発光層は、色素分子及びマトリックス材料を含有する液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。マトリックス材料としては、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルのような透明高分子を用いることができる。色素分子の具体例は1)の発光層と同様であることができる。
3)の発光層は、スピンコート法、蒸着法をはじめとするドライ又はウェット成膜法によって得ることができる。発光性低分子の具体例は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体〔トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体;Alq3〕、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体〔BeBq〕を含む。
4)の発光層は、スピンコート法等、発光性高分子含有液を用いたウェット成膜法によって得ることができる。発光性高分子の具体例は、F8BT〔ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール)〕、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェンのようなπ共役系高分子を含む。
本発明に係る金属系粒子集合体及び金属系粒子集合体積層基板は、分析用途や色材用途としても使用することが可能である。分析用途としては、表面増強ラマン散乱を利用した表面増強ラマン分光法への適用が挙げられる。色材用途としては、各種物品(自動車や陶磁器等)への色彩付与材としての用途を挙げることができる。また、カラーフィルターとして用いれば、顔料や色素では実現困難な演色が可能となる。カラーフィルターとしては、例えば特定波長の光のみを透過したり、特定波長の光を遮断したりするフィルターが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜2、比較例1〜2>
(1)金属系粒子集合体の作製
0.012mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液120mLに0.05mol/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液4.8mLを滴下した後、攪拌した。水酸化カリウム水溶液の添加により溶液は無色透明から褐色に変色した。この溶液に、11.4mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。次いで、この溶液に0.35mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が褐色になったところで滴下を止めた。さらに、この溶液に3.5mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。得られた溶液を銀イオン液A1とする。
1.9mol/Lのグルコース水溶液40mLとメタノール20mLを混合し、還元液Bを得た。次に、銀イオン液A1と還元液Bを混合して混合液を得、これを直ちに無アルカリガラス基板4枚を収容した水槽に注いで、混合液への基板(無アルカリガラス基板)の浸漬を開始し、以後、下記の所定時間まで浸漬状態で静置した。混合液の調製及び混合液への浸漬は25℃の環境下で行い、浸漬処理(金属系粒子集合体形成処理)中の混合液の温度も約25℃であった。4枚の基板は、互いに重ならないように、それらの主面の一方(金属系粒子集合体が形成される面とは反対側の面)が水槽の底面に接するように配置した。
浸漬開始から15分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、比較例1の金属系粒子集合体(金属系粒子集合体積層基板)を得た。
浸漬開始から30分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、実施例1の金属系粒子集合体を得た。
浸漬開始から45分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、実施例2の金属系粒子集合体を得た。
浸漬開始から60分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、比較例2の金属系粒子集合体を得た。混合液に基板を接触させてから、基板上に形成される金属の層が導電性を示すまでの時間Tは、45分より長く60分以下であった。
(2)金属系粒子集合体の物性測定
図2、図4、図6、図8に、それぞれ比較例1、実施例1、実施例2、比較例2で得られた金属系粒子集合体のAFM画像を示す。AFM画像撮影にはキーエンス社製「VN−8010」を用いた(以下同じ)。これらのAFM画像の画像サイズは5μm×5μmである(以下のAFM画像においても同じ)。AFM画像から、金属系粒子集合体を構成する銀粒子の「平均高さ」を求めた。
図3、図5、図7に、それぞれ比較例1、実施例1、実施例2で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像を示す。図3及び図7は50000倍スケールの拡大像であり、図5は100000倍スケールの拡大像である。SEM画像から、上記の測定方法に従って、銀粒子の「平均粒径」及び「平均粒子間距離」を求め、得られた平均粒径及び上記の平均高さから「アスペクト比」(平均粒径/平均高さ)を算出した。
また、テスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕を用いた上述の方法により、金属系粒子集合体の導電性の有無を確認した。上述の測定条件にて抵抗値が30MΩ以上である結果、「オーバーロード」と表示される場合を導電性「無」、「オーバーロード」と表示されずに30MΩ未満の抵抗値が測定される場合を導電性「有」とした。以上の測定結果を、基板の浸漬条件と併せて表1に示す。なお、表1において(他の表においても同じ)、還元剤及び銀イオンの濃度は、銀イオン液A1と還元液Bを混合して得られた混合液中の濃度である。25℃におけるグルコースの水への飽和濃度は約48重量%である。グルコースのPH7、25℃、標準水素電極を陰極にしたときでの標準酸化還元電位は−0.428Vである。なお、比較例2についてSEM画像及びAFM画像を確認したところ、互いに離間した金属系粒子の集合体ではなく、連続膜となっていたため、平均粒径、平均高さ、アスペクト比及び平均粒子間距離を求めることはできなかった。
さらに、比較例1、実施例1、実施例2、比較例2の金属系粒子集合体又は連続膜(基板に積層された状態)のそれぞれについて、顕微鏡の対物レンズ(100倍)を用いた測定法により、吸光スペクトル測定を行った。具体的には、図15を参照して、金属系粒子集合体積層基板500の基板100側(金属系粒子集合体200とは反対側)であって、基板面に垂直な方向から可視光領域の入射光を照射した。そして、金属系粒子集合体200側に透過し、かつ100倍の対物レンズ600に到達した透過光を対物レンズ600で集光し、この集光光を分光光度計700によって検出して吸光スペクトルを得た。分光光度計700には大塚電子社製の紫外可視分光光度計「MCPD−3000」を、対物レンズ600にはNikon社製の「BD Plan 100/0.80 ELWD」を用いた。この吸光スペクトル測定によって得られた可視光領域において最も長波長側にある吸光ピークの極大波長、及び極大波長における吸光度を表1に併せて示す。
<実施例3〜4、比較例3>
(1)金属系粒子集合体の作製
0.047mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液120mLに0.05mol/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液4.8mLを滴下した後、攪拌した。水酸化カリウム水溶液の添加により溶液は無色透明から褐色に変色した。この溶液に、11.4mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。次いで、この溶液に0.35mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が褐色になったところで滴下を止めた。さらに、この溶液に3.5mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。得られた溶液を銀イオン液A2とする。
1.9mol/Lのグルコース水溶液40mLとメタノール20mLを混合し、還元液Bを得た。次に、銀イオン液A2と還元液Bを混合して混合液を得、これを直ちに無アルカリガラス基板3枚を収容した水槽に注いで、混合液への基板(無アルカリガラス基板)の浸漬を開始し、以後、下記の所定時間まで浸漬状態で静置した。混合液の調製及び混合液への浸漬は25℃の環境下で行い、浸漬処理(金属系粒子集合体形成処理)中の混合液の温度も約25℃であった。3枚の基板は、互いに重ならないように、それらの主面の一方(金属系粒子集合体が形成される面とは反対側の面)が水槽の底面に接するように配置した。
浸漬開始から15分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、実施例3の金属系粒子集合体(金属系粒子集合体積層基板)を得た。
浸漬開始から40分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、実施例4の金属系粒子集合体を得た。
浸漬開始から45分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、比較例3の金属系粒子集合体を得た。混合液に基板を接触させてから、基板上に形成される金属の層が導電性を示すまでの時間Tは、40分より長く45分以下であった。
(2)金属系粒子集合体の物性測定
図9、図11、図13に、それぞれ実施例3、実施例4、比較例3で得られた金属系粒子集合体のAFM画像を示す。AFM画像から、金属系粒子集合体を構成する銀粒子の「平均高さ」を求めた。
図10、図12に、それぞれ実施例3、実施例4で得られた金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像を示す。いずれも100000倍スケールの拡大像である。SEM画像から、上記の測定方法に従って、銀粒子の「平均粒径」及び「平均粒子間距離」を求め、得られた平均粒径及び上記の平均高さから「アスペクト比」(平均粒径/平均高さ)を算出した。
また、テスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕を用いた上述の方法により、金属系粒子集合体の導電性の有無を確認した。以上の測定結果を、基板の浸漬条件と併せて表2に示す。なお、比較例3についてSEM画像及びAFM画像を確認したところ、互いに離間した金属系粒子の集合体ではなく、連続膜となっていたため、平均粒径、平均高さ、アスペクト比及び平均粒子間距離を求めることはできなかった。
さらに、実施例3及び実施例4の金属系粒子集合体(基板に積層された状態)については、顕微鏡の対物レンズ(100倍)を用いた測定法により、吸光スペクトル測定を行った。この吸光スペクトル測定によって得られた可視光領域において最も長波長側にある吸光ピークの極大波長、及び極大波長における吸光度を表2に併せて示す。また、実施例4について得られた吸光スペクトルを図14に示す。
<比較例4>
(1)金属系粒子集合体の作製
0.094mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液120mLに0.05mol/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液4.8mLを滴下した後、攪拌した。水酸化カリウム水溶液の添加により溶液は無色透明から褐色に変色した。この溶液に、11.4mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。次いで、この溶液に0.35mol/Lの硝酸銀(AgNO3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が褐色になったところで滴下を止めた。さらに、この溶液に3.5mol/Lのアンモニア(NH3)水溶液を500μLずつ滴下、攪拌し、溶液が無色透明になったところで滴下を止めた。得られた溶液を銀イオン液A3とする。
1.9mol/Lのグルコース水溶液40mLとメタノール20mLを混合し、還元液Bを得た。次に、銀イオン液A3と還元液Bを混合して混合液を得、これを直ちに無アルカリガラス基板1枚を収容した水槽に注いで、混合液への基板(無アルカリガラス基板)の浸漬を開始し、以後、下記の所定時間まで浸漬状態で静置した。混合液の調製及び混合液への浸漬は25℃の環境下で行い、浸漬処理(金属系粒子集合体形成処理)中の混合液の温度も約25℃であった。基板は、その主面の一方(金属系粒子集合体が形成される面とは反対側の面)が水槽の底面に接するように配置した。
浸漬開始から15分後に1枚の基板を水槽から引き上げ、50体積%のアセトン水溶液で基板を洗浄して、比較例4の金属系粒子集合体(金属系粒子集合体積層基板)を得た。混合液に基板を接触させてから、基板上に形成される金属の層が導電性を示すまでの時間Tは、15分であった。
(2)金属系粒子集合体の物性測定
図16に、比較例4で得られた金属系粒子集合体のAFM画像を示す。また、テスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕を用いた上述の方法により、金属系粒子集合体の導電性の有無を確認した。測定結果を、基板の浸漬条件と併せて表2に示す。SEM画像及びAFM画像を確認したところ、互いに離間した金属系粒子の集合体ではなく、連続膜となっていたため、平均粒径、平均高さ、アスペクト比及び平均粒子間距離を求めることはできなかった。
<実施例5:光励起発光素子の作製及び発光増強の評価>
実施例4と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.7mm厚のソーダガラス基板上に実施例4の金属系粒子集合体を形成した。その後直ちに、SOG(スピンオングラス)溶液を金属系粒子集合体上にスピンコートして、平均厚み30nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。「平均厚み」とは、金属系粒子集合体上に形成するときと同じ条件で(同じ面積に、同じ組成の塗布液を同じ塗布量で)、ソーダガラス基板上に直接スピンコートしたときの、任意の5点における厚みの平均値である。
次に、絶縁層上に真空蒸着によって、平均厚み80nmのAlq3発光層を形成して、光励起発光素子を得た。
また、比較対象として、金属系粒子集合体を形成しないこと以外は上記と同様にして光励起発光素子を作製した。
実施例5の光励起発光素子及び比較対象の光励起発光素子のそれぞれについて、次のようにして発光増強の程度を評価した。光励起発光素子の発光スペクトルの測定系を示す図17(a)及び光励起発光素子の断面模式図である図17(b)を参照して、光励起発光素子1の発光層2側に、発光層2の表面に対して垂直な方向から励起光3を照射することにより光励起発光素子1を発光させた。励起光源4にはUV−LED(サウスウォーカー社製 UV−LED375−nano、励起光波長375nm)を用い、励起光源4からの発光をレンズ5で集光して励起光3とし、これを照射した。励起光3の光軸に対して40°の方向に放射される光励起発光素子1からの発光6をレンズ7で集光し、励起光の波長の光をカットする波長カットフィルタ8(シグマ光機社製 SCF−50S−44Y)を通して、分光測定器9(大塚電子社製 MCPD−3000)により検出した。図17(b)は、ソーダガラスからなる基板100上に、金属系粒子集合体200、絶縁層300、発光層2をこの順に備える光励起発光素子1を示す断面模式図である。
実施例5の光励起発光素子及び比較対象の光励起発光素子について検出された発光スペクトルを図18に示す。検出された発光スペクトルについて発光波長領域における積分値を求めた。実施例5の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較対象の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値(発光増強倍率)を求めたところ、8.6倍であり、発光層の厚みが大きいにもかかわらず、顕著な発光増強効果が認められた。
1 光励起発光素子、2 発光層、3 励起光、4 励起光源、5,7 レンズ、6 光励起発光素子からの発光、8 波長カットフィルタ、9 分光測定器、10 槽、20 金属カチオンを含む液体、100 基板、200 金属系粒子集合体、300 絶縁層、500 金属系粒子集合体積層基板、600 対物レンズ、700 分光光度計。

Claims (4)

  1. 30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、前記金属系粒子の平均粒径が200〜1600nmの範囲内であり、平均高さが55〜500nmの範囲内であり、平均高さに対する平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1〜8の範囲内であり、隣り合う金属系粒子間の平均距離が1〜150nmの範囲内である金属系粒子集合体の製造方法であって、
    前記金属系粒子を構成する金属のカチオンと該カチオンを還元可能な還元剤とを含む液体に基板を接触させた状態で該カチオンを還元することによって金属系粒子集合体を基板上に形成する工程を含み、
    前記液体における前記カチオンの濃度が0.02mol/L以下であり、前記液体における前記還元剤の濃度が、その飽和濃度の30%以上であり、
    前記液体に基板を接触させてから、該基板上に形成される前記金属の層が導電性を示すまでの時間をTとするとき、前記液体に基板を接触させる時間が0.35T以上T未満である、製造方法。
  2. 前記還元剤は、標準酸化還元電位が−0.5V以上である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記還元剤がグルコースである、請求項に記載の製造方法。
  4. 前記金属が銀である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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