JP6591247B2 - プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接装置 - Google Patents

プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマアーク溶接を行うために改良されたプラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接装置に関するものである。
プラズマアーク溶接装置は、プラズマアークの熱を利用して母材を溶接又は切断する装置であって、プラズマアークを点弧させるプラズマトーチを備えている。このようなプラズマアーク溶接装置は、まず起動用電源が動作することによりプラズマトーチ内にパイロットアークと呼ばれる弱いアークを点弧させ、その後主電源が動作することにより母材とプラズマトーチの間にメインアークと呼ばれる強いアークを点弧させて、点弧したメインアークにより母材を溶接又は切断している。このような溶接又は切断の際には、母材の一部がメインアークの高熱により蒸発するため、母材の近傍に母材に係る金属蒸気が生じることになる。
例えば、特許文献1には、アークを点弧させるため電極と、前記電極の外側に空間を介して設けられた第1のプラズマノズルと、前記第1のプラズマノズルの外側に空間を介して設けられた第2のプラズマノズルとからなるプラズマトーチを備えたプラズマアーク溶接装置が開示されている。
この特許文献1において、プラズマアーク溶接装置のメインアークが点弧している状態では、メインアークが大きなアーク圧力を発生させ、発生したメインアークのアーク圧力が母材の近傍の金属蒸気を母材側に押し戻すため、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することを防止している。
特許第3066993号
しかしながら、メインアークが消弧すると、メインアークのアーク圧力が消失するため、残されたパイロットアークの微弱なアーク圧力のみでは母材の近傍に残留する金属蒸気の圧力に抗しきれず、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することがあった。このため、金属蒸気を構成する金属粒子が電極やプラズマノズルの表面に付着して、電極を酸化させたり、プラズマノズルを汚す場合が生じ、プラズマアーク溶接装置の保守・管理の手間が増大するとともに、プラズマアーク溶接装置の製品寿命が短くなるという問題があった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、金属蒸気による電極の酸化やプラズマノズルの汚れを低減することができるプラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接装置を提供することを目的とする。
本発明は、アークを点弧させるための電極と、前記電極の外側に空間を介して配置されたプラズマノズルとを設け、前記プラズマノズルの内側にプラズマガスを供給しながら、前記電極と前記プラズマノズルの間にパイロットアークを点弧させた後、前記電極と母材の間にメインアークを点弧させ、点弧したメインアークにより前記母材を溶接または切断するプラズマアーク溶接方法において、メインアークの消弧後に、前記プラズマノズルの内側に供給するプラズマガスの流量を増加させることにより、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を強めた後、パイロットアークを消弧し、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスを増加させる時間をメインアークの消弧時から2秒〜20秒(但し、2秒を除く)の範囲内とすることを特徴とする。
これによれば、メインアークの消弧後において、プラズマノズルの内側に供給されるプラズマガスの流量を増加させることにより、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を強めることによって、母材の近傍に残留する金属蒸気を母材側に押し戻して、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することを阻止し、金属蒸気による電極の酸化やプラズマノズルの汚れを低減することができる。
また、前記プラズマノズルとして、外側に配置された第1のプラズマノズルと、内側に配置された第2のプラズマノズルとを少なくとも設け、前記第1のプラズマノズルと第2のプラズマノズルとの間に第1のプラズマガスを供給するとともに、前記第2のプラズマノズルと電極の間に第2のプラズマガスを供給し、メインアークの消弧後に、第1のプラズマガスおよび/または第2のプラズマガスの流量を増加させることにより、パイロットアークのアーク圧力を強めてもよい。この場合であっても、メインアークの消弧後において、プラズマノズルの内側に供給されるプラズマガスの流量を増加させることにより、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を強めることによって、母材の近傍に残留する金属蒸気を母材側に押し戻して、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することを阻止し、金属蒸気による電極の酸化やプラズマノズルの汚れを低減することができる。
また、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスの流量を1.5L/min〜3.0L/minの範囲内とするのが好ましい。これによれば、メインアークの消弧後に供給されるプラズマガスの流量が1.5L/min以上であるため、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を確実に強めることができる。また、メインアークの消弧後に供給されるプラズマガスの流量が3.0L/min以下であるため、供給されるプラズマガスの流量が多すぎてパイロットアークが消弧することを防止することができる。
また、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスを増加させる時間をメインアークの消弧時から2秒〜20秒の範囲内とするのが好ましい。これによれば、プラズマガスの流量を増加させる時間が2秒間以上であるため、母材の近傍に残留する金属蒸気を母材側に押し戻して、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することを十分に阻止することができる。また、プラズマガスの流量を増加させる時間が20秒間以下であるため、次の母材の溶接または切断を速やかに実行することができるとともに、プラズマガスの供給量を効率的に節約することができる。
さらに、本発明に係るプラズマアーク溶接装置は、上記のプラズマアーク溶接方法に用いられることを特徴とする。
本発明によれば、メインアークの消弧後において、プラズマノズルの内側に供給されるプラズマガスの流量を増加させることにより、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を強めることによって、母材の近傍に残留する金属蒸気を母材側に押し戻して、金属蒸気がプラズマノズルの内部に侵入することを阻止し、金属蒸気による電極の酸化やプラズマノズルの汚れを低減することができる。
このため、プラズマアーク溶接装置の保守・管理の手間が低減するとともに、プラズマアーク溶接装置の製品寿命が増大し、プラズマアーク溶接装置の保守・管理に掛かるコストを大きく低減することが可能となる。
第1の実施形態に係るプラズマアーク溶接装置のプラズマトーチを示す断面図である。 図1のプラズマアーク溶接装置のタイミングチャートである。 第2の実施形態に係るプラズマアーク溶接装置のプラズマトーチを示す断面図である。 図3のプラズマアーク溶接装置の効果を示す写真である。
<第1の実施形態>
次に、本発明に係るプラズマアーク溶接装置(以下、本装置1という)の第1の実施形態について図1〜図2を参照しつつ説明する。
本装置1は、図1に示すように、アークを点弧させるプラズマトーチ10と、プラズマトーチ10にプラズマガスを供給するプラズマガス供給部20と、プラズマトーチ10にシールドガスを供給するシールドガス供給部30とを備えている。
なお、本装置1により溶接または切断される母材Mは、鉄、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、その他の合金からなる金属板、あるいはメッキ付きの金属板などであって、図示略の電源に接続されている。
前記プラズマトーチ10は、プラズマトーチ10の軸線方向に延びる電極11と、電極11の基端部を支持する電極支持部12と、電極11の径方向外側に空間131を介して配置されたプラズマノズルとしてのアノードチップノズル(ATH)13と、アノードチップノズル13の径方向外側に空間141を介して配置されたシールドノズル14とを備えている。
前記電極11は、電圧が印加されるタングステン電極であり、図示略の電源にパイロットアークスイッチを介して接続されている。このため、図2に示すように、電源のパイロットアークスイッチをON状態にすると、パイロットアーク点弧時(t0)からパイロットアーク消弧時(t4)の間(t0〜t4)において、電極11とアノードチップノズル13との間に電圧が印加し、電極11(先端部11a)とアノードチップノズル13(先端部13a)の間にパイロットアークが点弧する。
また、前記電極11は、図示略の電源にメインアークスイッチを介して接続されている。このため、図2に示すように、電源のメインアークスイッチをON状態にすると、メインアーク点弧時(t1)からメインアーク消弧時(t2)の間(t1〜t2)において、電極11と母材Mとの間に電圧が印加し、電極11とアノードチップノズル13の間のパイロットアークが電極11(先端部11a)と母材Mの間に移るようにしてメインアークが点弧する。
前記電極支持部12は、電極11の周面を支持して、電極11を図示略のトーチ本体に固定している絶縁性部材である。これにより、プラズマトーチ10内における電極11の位置ずれを防止し、また電極11とアノードチップノズル13の間や、電極11と母材Mの間以外の箇所でアーク電圧が印加することを防止している。
前記アノードチップノズル13は、電極11の周囲を囲む略円筒状の導電性部材であって、電極11との間に所定の空間131が設けられており、後述するように該空間131にプラズマガスが供給される。
また、前記アノードチップノズル13は、電極11と同じ図示略の電源に接続され、上述したように、図2に示すように、電源のパイロットアークスイッチをON状態にすると、パイロットアーク点弧時(t0)からパイロットアーク消弧時(t4)の間(t0〜t4)において、電極11との間で電圧が印加して、パイロットアークが点弧する。
また、前記アノードチップノズル13は、先端部13aおいて側壁が軸方向に傾斜した絞りが設けられている。このため、メインアーク点弧時(t1)からメインアーク消弧時(t2)の間(t1〜t2)において、アノードチップノズル13の先端部13aからプラズマガスが母材Mの溶接または切断箇所に向けて集中的に吹き出されるため、電極11と母材Mとの間で点弧したメインアークを母材Mの溶接または切断の箇所に集中させることができる。
前記シールドノズル14は、アノードチップノズル13の周囲を囲む略円筒状部材であって、アノードチップノズル13との間に所定の空間141が設けられており、後述するように該空間141にシールドガスが供給される。
また、前記シールドノズル14は、先端部14aおいて側壁が軸方向に傾斜した絞りが設けられている。このため、シールドノズル14の先端部14aからプラズマガスが母材Mの溶接または切断箇所に向けて吹き出されるため、母材Mの溶接または切断の箇所をシールドガスの雰囲気により保護することができる。
前記プラズマガス供給部20は、電極11とアノードチップノズル13の間に設けられる空間131に所定流量のアルゴン(Ar)からなるプラズマガスを供給する。
具体的に説明すると、前記プラズマガス供給部20は、パイロットアーク点弧時(t0)からメインアーク消弧時(t2)の間(t0〜t2)において、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量Aのプラズマガスを供給管21を介して供給する。
また、前記プラズマガス供給部20は、メインアーク消弧時(t2)から所定時間(t2〜t3)において、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量B(>流量A)のプラズマガスを供給する。このように、前記プラズマガス供給部20は、メインアークの消弧後に、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に供給されるプラズマガスの流量Bをメインアークの消弧前のプラズマガスの流量Aより増加させることにより、電極11とアノードチップノズル13の間のパイロットアークのアーク圧力を強める。
なお、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、該プラズマガスの流量Bを1.5L/min〜3.0L/minの範囲内とするのが好ましい。これによれば、メインアークの消弧後に供給されるプラズマガスの流量Bが1.5L/min以上であるため、アノードチップノズル13の内側のパイロットアークのアーク圧力を確実に強めることができる。また、メインアークの消弧後に供給されるプラズマガスの流量Bが3.0L/min以下であるため、供給されるプラズマガスの流量Bが多すぎてパイロットアークが消弧することを防止することができる。
また、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、該プラズマガスを増加させる時間(t2〜t3)をメインアークの消弧時(t2)から2秒〜20秒の範囲内とするのが好ましい。これによれば、プラズマガスの流量を増加させる時間(t2〜t3)が2秒間以上であるため、母材Mの近傍に残留する金属蒸気を母材M側に押し戻して、金属蒸気がアノードチップノズル13の内部に侵入することを十分に阻止することができる。また、プラズマガスの流量を増加させる時間(t2〜t3)が20秒間以下であるため、次の母材Mの溶接または切断を速やかに実行することができるとともに、プラズマガスの供給量を効率的に節約することができる。
また、前記プラズマガス供給部20は、メインアーク消弧時(t2)から所定時間(t2〜t3)経過後、パイロットアーク消弧時(t4)までの間(t3〜t4)において、再び、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量Aのプラズマガスを供給して、ブラズマガスの流量を減少させる。
前記シールドガス供給部30は、母材Mの溶接または切断の際に、アノードチップノズル13とシールドノズル14の間に設けられる空間141にアルゴン(Ar)からなるシールドガスを供給管31を介して供給する。
本装置1の動作について図1および図2を参照して説明する。
まず、パイロットアーク点弧時(t0)において、前記プラズマガス供給部20は、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量Aのプラズマガスを供給する。また、それと同時に、パイロットアークスイッチをON状態にすると、電極11とアノードチップノズル13の間に電圧が印加し、電極11とアノードチップノズル13の間にパイロットアークが点弧する。
次に、メインアーク点弧時(t1)において、メインアークスイッチをON状態にすると、電極11と母材Mの間に電圧が印加して、電極11とアノードチップノズル13の間のパイロットアークが電極11と母材Mの間に移るようにしてメインアークが点弧し、該メインアークにより母材Mを溶接または切断する。このとき、前記プラズマガス供給部20は、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量Aのプラズマガスを引き続き供給する。
このように、前記プラズマガス供給部20は、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131にプラズマガスの流量Aを供給するのみだが、メインアークが点弧している状態では、メインアークが大きなアーク圧力を発生させ、発生したメインアークのアーク圧力が母材Mの近傍に発生する金属蒸気を母材M側に押し戻すため、金属蒸気がアノードチップノズル13の内部に侵入することを阻止している。
次に、メインアーク消弧時(t2)において、メインアークスイッチをOFF状態にすると、電極11と母材Mの間に電圧が印加しなくなり、電極11と母材Mの間のメインアークが消弧する。このとき、電極11とアノードチップノズル14の間の電圧は維持されており、電極11とアノードチップノズル14の間のパイロットアークは点弧している。また、それと同時に、前記プラズマガス供給部20は、メインアーク消弧時(t2)の所定時間(t2〜t3)において、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量B(>流量A)のプラズマガスを供給する。
このように、前記プラズマガス供給部20は、メインアークの消弧後に、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に供給されるプラズマガスの流量Bをメインアークの消弧前のプラズマガスの流量Aより増加させることにより、電極11とアノードチップノズル13の間のパイロットアークのアーク圧力を強める。これによって、母材Mの近傍に残留する金属蒸気を母材M側に押し戻して、金属蒸気がアノードチップノズル13の内部に侵入することを阻止し、金属蒸気による電極11の酸化やアノードチップノズル13の汚れを低減することができる。
次に、前記プラズマガス供給部20は、メインアーク消弧時(t2)から所定時間(t2〜t3)経過後、再び、電極11とアノードチップノズル13の間の空間131に流量Aのプラズマガスを供給して、プラズマガスの流量を減少させる。この段階に至っては、母材Mの近傍に残留する金属蒸気はほとんど消滅しているため、プラズマガスの流量を減少させても、金属蒸気がアーノルドノズル13の内部に入ることはない。
最後に、パイロットアーク消弧時(t4)において、パイロットアークスイッチをOFF状態にすると、電極11とアノードチップノズル13の間に電圧が印加しなくなり、電極11とアノードチップノズル13の間のパイロットアークが消弧する。
なお、本実施形態では、メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスの流量を1.5L/min〜3.0L/minの範囲内とする場合について説明したが、プラズマガスの総流量を1.5L/min〜3.0L/minの範囲外の流量としてもよい。ただ、好ましくは、プラズガスの流量を0.5L/min〜5.0L/minの範囲内とするのがよい。
また、メインアークの消弧後にプラズマガスの総流量を増加させるに際して、プラズマガスを増加させる時間(t2〜t3)をメインアークの消弧時(t2)から2秒〜20秒の範囲内とする場合について説明したが、2秒〜20秒の範囲外の時間としてもよい。ただ、好ましくは、プラズマガスを増加させる時間を0.5秒〜60秒とするのがよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係るプラズマアーク溶接装置の第2の実施形態について図2〜図4を参照しつつ説明する。なお、以下では上記の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略することとする。
本実施形態の前記プラズマノズル13は、図3に示すように、外側に配置された第1のプラズマノズルとしてのアノードチップノズル(ATH)13と、内側に配置された第2のプラズマノズルとしてのカソードスリーブチップノズル(CTH)15とからなる。
また、前記プラズマガス供給部20は、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間に設けられた空間131に第1のプラズマガスを供給管21aを介して供給する第1のプラズマガス供給部20aと、カソードスリーブチップノズル15と電極11の間に設けられた空間151に第2のプラズマガス(一般にセンターガスとも呼ばれる)を供給管21bを介して供給する第2のプラズマガス供給部20bとからなる。
本装置1’の動作について図2および図3を参照して説明する。
まず、パイロットアーク点弧時(t0)において、前記プラズマガス供給部20(20a、20b)は、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131と、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151に総流量Aのプラズマガスを供給する。また、それと同時に、パイロットアークスイッチをON状態にすると、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間に電圧が印加し、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間にパイロットアークが点弧する。
次に、メインアーク点弧時(t1)において、メインアークスイッチをON状態にすると、カソードスリーブチップノズル15とアノードチップノズル13の間に電圧が印加して、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間のパイロットアークを移すようにしてアノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間にパイロットアークを点弧する。そして、電極11と母材Mの間に電圧が印加して、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間のパイロットアークを移すようにして電極11と母材Mとの間にメインアークを点弧する。また、前記プラズマガス供給部20(20a、20b)は、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131と、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151に総流量Aのプラズマガスを引き続き供給する。
次に、メインアーク消弧時(t2)において、メインアークスイッチをOFF状態にすると、電極11と母材Mの間に電圧が印加しなくなり、電極11と母材Mの間のメインアークが消弧する。このとき、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間の電圧は維持されており、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間のパイロットアークは点弧している。また、それと同時に、前記プラズマガス供給部20は、メインアーク消弧時(t2)の所定時間(t2〜t3)において、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131と、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151に総流量B(>総流量A)のプラズマガスを供給する。
このように、前記プラズマガス供給部20は、メインアークの消弧後に、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131と、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151の総流量Bをメインアークの消弧前のプラズマガスの総流量Aより増加させることにより、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間のパイロットアークのアーク圧力を強める。これによって、母材Mの近傍に残留する金属蒸気を母材M側に押し戻して、金属蒸気がアノードチップノズル13やカソードスリーブチップノズル15の内部に侵入することを阻止し、金属蒸気による電極11の酸化やアノードチップノズル13やカソードスリーブチップノズル15の汚れを低減することができる。
次に、前記プラズマガス供給部20(20a、20b)は、メインアーク消弧時(t2)から所定時間(t2〜t3)経過後、再び、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131と、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151に総流量Aのプラズマガスを供給して、プラズマガスの流量を減少させる。
最後に、パイロットアーク消弧時(t4)において、パイロットアークスイッチをOFF状態にすると、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間に電圧が印加しなくなり、電極11とカソードスリーブチップノズル15の間のパイロットアークが消弧する。
なお、本実施形態では、メインアーク消弧後において、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131に供給する第1のプラズマガスと、カソードスリーブチップノズル15と電極11の間の空間151に供給する第2のプラズマガスの総流量を増加させるものとしたが、いずれか一方のプラズマガスのみの流量を増加させてもよい。
(実施例)
本実施例では、以下のような溶接条件において、メインアーク消弧後に、アノードチップノズル13とカソードスリーブチップノズル15の間の空間131に供給する第1のプラズマガスと、カソードスリーブチップノズル15と電極11との間の空間151に供給する第2のプラズマガスの総流量Bを2.0L/minとし、プラズマガスの総流量Bを増加させる時間(t2〜t3)をメインアーク消弧時から5秒とした。
・第1のプラズマガス流量:アルゴン 0.3L/min
・第2のプラズマガス流量:アルゴン 0.2L/min
・シールドガス流量:アルゴン 15L/min
・メインアーク電流:160A
・溶接速度:30−100cm/min
・母材:亜鉛めっき鋼板
図4は、上段に溶接前におけるアノードチップノズル13、カソードスリーブチップノズル15、電極11の状態を示し、中段に溶接後(従来方法)におけるアノードチップノズル13、カソードスリーブチップノズル15、電極11の状態を示し、下段に溶接後(新発明)におけるアノードチップノズル13、カソードスリーブチップノズル15、電極11の状態を示す。
従来の溶接方法では、図4の中段に示すように、電極11の酸化や、アノードチップノズル13およびカソードスリーブチップノズル15の汚れが目立った状態となっている。これに対し、本発明の溶接方法では、図4の下段に示すように、電極11の酸化や、アノードチップノズル13およびカソードスリーブチップノズル15の汚れが低減していることが確認できる。
なお、上記各実施形態では、前記プラズマノズルが一ないし二重の場合について説明したが、3重以上の構成であってもよい。
また、前記電極11が、タングステン電極である場合について説明したが、その他の材料からなる電極であってもよい。
また、プラズマガスが、アルゴン(Ar)からなるプラズマガスである場合について説明したが、アルゴン(Ar)以外のプラズマガスであってもよい。また、シールドガスも、同様にアルゴン(Ar)以外の不活性ガスであってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1…プラズマアーク溶接装置
10…プラズマトーチ
11…電極
12…電極支持部
13…プラズマノズル
14…シールドノズル
20…プラズマガス供給部
30…シールドガス供給部
M…母材

Claims (4)

  1. アークを点弧させるための電極と、前記電極の外側に空間を介して配置されたプラズマノズルとを設け、
    前記プラズマノズルの内側にプラズマガスを供給しながら、前記電極と前記プラズマノズルの間にパイロットアークを点弧させた後、前記電極と母材の間にメインアークを点弧させ、点弧したメインアークにより前記母材を溶接または切断するプラズマアーク溶接方法において、
    メインアークの消弧後に、前記プラズマノズルの内側に供給するプラズマガスの流量を増加させることにより、プラズマノズルの内側のパイロットアークのアーク圧力を強めた後、パイロットアークを消弧し、
    メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスを増加させる時間をメインアークの消弧時から2秒〜20秒(但し、2秒を除く)の範囲内とすることを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  2. 前記プラズマノズルとして、外側に配置された第1のプラズマノズルと、内側に配置された第2のプラズマノズルとを少なくとも設け、
    前記第1のプラズマノズルと第2のプラズマノズルとの間に第1のプラズマガスを供給するとともに、前記第2のプラズマノズルと電極の間に第2のプラズマガスを供給し、
    メインアークの消弧後に、第1のプラズマガスおよび/または第2のプラズマガスの流量を増加させることにより、パイロットアークのアーク圧力を強める請求項1に記載のプラズマアーク溶接方法。
  3. メインアークの消弧後にプラズマガスの流量を増加させるに際して、プラズマガスの流量を1.5L/min〜3.0L/minの範囲内とする請求項1または請求項2に記載のプラズマアーク溶接方法。
  4. 請求項1から請求項のいずれかに記載のプラズマアーク溶接方法に用いられることを特徴とするプラズマアーク溶接装置。
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