本発明において、「位置決めリブが貫通孔に対して周方向に位置ズレしている」とは、好ましくは、リールをその中心軸に沿って透視したときに、リールの中心軸から、貫通孔の周方向の中央位置を通って半径方向の外側に向かって延びる直線(本発明では「貫通孔の中央線」という)上に位置決めリブが位置しないことを意味する。更に好ましくは、リールをその中心軸に沿って透視したときに、貫通孔の周方向の両端から前記中央線に平行に外側(中心軸とは反対側)に向かって延びる2直線で挟まれた領域(本発明では「貫通孔に対応する領域」という)内に位置決めリブが位置しないことを意味する。
本発明のテープカートリッジにおいて、前記円筒部の天面には、切り欠きが形成されていないことが好ましい。これにより、切り欠きを形成するための金型の改造が不要である。なお、「切り欠き」とは、ハブ部材を成形したときに天面に形成されるうねり(高低差)より大きな高低差を天面に生じさせるものをいう。
本発明のテープカートリッジにおいて、前記3N個の位置決めリブは、前記中心軸に対して等角度間隔で配置されていてもよい。これにより、特に位置決めリブの数が相対的に少ない場合には、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を更に小さくすることができる。
前記3つの貫通孔に対応する前記円筒部の前記天面上の領域には前記固着部が設けられていないことが好ましい。これにより、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を更に小さく抑えることができる。なお、「貫通孔に対応する円筒部の天面上の領域」とは、リールをその中心軸に沿って透視したときに、天面のうち、貫通孔に対応する領域を意味する。
上記の本発明のテープカートリッジは、前記内底板と前記筐体の上ハーフとの間に、不使用時に前記リールの回転を阻止するリールロック機構を備えてもよい。この場合、前記リールロック機構は、上下動可能且つ回転不能に前記上ハーフに支持されたリール押さえ部材と、前記リール押さえ部材に対して前記内底板に向かう向きの付勢力を印加するバネと、前記リール押さえ部材と前記内底板との間に配置され、且つ、前記リール押さえ部材を前記バネの付勢力に反して上昇させることができるロック解除部材とを含みうる。前記内底板及び前記リール押さえ部材の互いに対向する側の面には、互いに係合することで前記リールの回転を阻止するロック歯がそれぞれ設けられうる。前記ロック解除部材は、下方に向かって突出した3つの操作爪を備えうる。前記3つの操作爪は、前記内底板に設けられた前記3つの貫通孔に挿入されうる。前記内底板に設けられた前記ロック歯は、隣り合う前記3つの貫通孔の間に円弧状に配置されうる。これにより、リールロック機構を備えたテープカートリッジに本発明を適用して、上記の効果を得ることができる。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。以下に示す図において、同一の又は対応する部材には同一の符号をしており、それらについての重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるテープカートリッジ1の概略斜視図である。テープカートリッジ1は、上ハーフ3aと下ハーフ3bとが上下方向に接合された箱状(中空の略直方体形状)の筐体3を備える。
図2は、図1の2−2線を含む面に沿った本発明の一実施形態にかかるテープカートリッジ1の主要部(中央部)の縦断面図である。図3は、リール10及びリールロック機構の分解斜視図である。図2、図3において、一点鎖線10aは、リール10の中心軸である。リール10は中心軸10aのまわりに回転する。以下の説明の便宜のために、中心軸10aの方向を「上下方向」と呼び、中心軸10a方向において上ハーフ3aの側を「上側」、下ハーフ3bの側を「下側」と呼ぶ。但し、この「上」、「下」はテープカートリッジ1の実際の使用状態での上下方向を意味するものではない。また、中心軸10aに直交する直線の方向を「半径方向」と呼び、中心軸10aの周りを回転する方向を「周方向」または「回転方向」と呼ぶ。
筐体3内にはリール10及びリールロック機構が内蔵されている。図3に示されているように、リールロック機構は、リール10の中央の円筒部22内に収納されており、下から上に向かって、ロック解除部材30、リール押さえ部材40、及び、バネ45をこの順に備える。
リール10は、上フランジ11とハブ部材20との2部品で構成される。上フランジ11は、中央に開口12が形成された円板状の部材である。ハブ部材20は、中空円筒形状を有する円筒部22と、円筒部22の下端から外向きに突出する円板状の下フランジ21と、円筒部22の下側の開口を閉じる内底板23とを備え、これらが一部品として一体的に成形されている。上フランジ11と下フランジ21とが対向するように、円筒部22の天面(即ち、上端面)22tに上フランジ11が接合されてハブ部材20と一体化される。記録テープ(例えば磁気テープ、図示せず)は、上フランジ11と下フランジ21との間に、円筒部22の外周面である円筒面上に巻き付けられる。
内底板23の上面には、ロック歯26が形成されている。ロック歯26は、中心軸10aと同軸の円弧に沿って配置されている。
図2に示されているように、内底板23の下面には、中央が開口した円形の金属プレート24が取り付けられている。金属プレート24は、インサート成形によりハブ部材20と一体化されている。内底板23の下面には、金属プレート24を取り囲むように、被駆動歯27が設けられている。被駆動歯27は、リール10と同軸の円弧に沿って配置されている。
内底板23には、内底板23を上下方向に貫通する開口(孔)である3つの貫通孔(出退口)25が形成されている(図2では、1つの貫通孔25のみが示されている)。3つの貫通孔25は、リール10の中心軸10aと同軸の円上に、中心軸10aに対して等角度間隔(即ち、120度間隔)で配置されている。3つの貫通孔25が、内底板23の上面に設けられたロック歯26及び下面に設けられた被駆動歯27を、それぞれ3つに分断している。
下ハーフ3bの中央には円形の開口3cが形成されている。リール10が筐体3内に収納されたとき、開口3c内に、ハブ部材20の内底板23、貫通孔25、及び被駆動歯27と、金属プレート24が露出する。
図3に示されているように、ロック解除部材30は、120度間隔で放射状に延びた3本のアームを備え、全体として三叉形状(略Y字形状)を有している。各アームの先端から操作爪31が下向きに突出している。
リール押さえ部材40は、上側が開口した有底円筒形状を有する。リール押さえ部材40の底板の下面には、リール10のロック歯26とかみ合うロック歯41(図2参照)が円状に配置されている。また、リール押さえ部材40の底板の上面の中央には略十字形状の溝(十字溝)42が形成されている。上ハーフ3aの下面には、十字溝42に嵌入する略十字形状の十字突起3d(図2参照)が立設されている。十字溝42に十字突起3dが嵌入することにより、リール押さえ部材40は、筐体3内において、上下方向には移動可能であるが、回転は不能に上ハーフ3aに支持される。
バネ45は、リール押さえ部材40と上ハーフ3aとの間に配置されて、リール押さえ部材40に対して下向き(内底板23に向かう向き)の付勢力を印加する。
テープカートリッジ1の不使用時には、バネ45の下向きの付勢力によって、リール押さえ部材40は下方に変位し、リール押さえ部材40のロック歯41とリール10のロック歯26とがかみ合う。従って、リール10は回転することができない。また、リール押さえ部材40がロック解除部材30を下方に変位させて、ロック解除部材30の操作爪31がリール10の内底板23の貫通孔25を貫通し、内底板23よりも下側に突出する。
テープカートリッジ1がドライブ装置に装填されると、ドライブ装置の駆動軸50が、図2の矢印Aの向きに下ハーフ3bの開口3c内に挿入される。駆動軸50の上面にはマグネット(図示せず)が設けられており、リール10の下面に取り付けられた金属プレート24が当該マグネットに吸着される。これにより、駆動軸50の上面に形成された駆動歯51がリール10の被駆動歯27とかみ合う。これと同時に、駆動歯51が、リール10の内底板23から突出したロック解除部材30の操作爪31に当接して、ロック解除部材30を上方に押し上げる。これにより、リール押さえ部材40は、バネ45の付勢力に反して上方に変位し、リール押さえ部材40のロック歯41とリール10のロック歯26とのかみ合いが解除される。従って、リール10は回転可能状態となり、駆動軸50により回転される。ロック解除部材30は、リール10とともに回転する。
図2は、ロック解除部材30及びリール押さえ部材40が上方に変位し、リール10が回転可能な状態を示している。但し、理解を容易にするために、実際には開口3c内に挿入されリール10と係合しているはずの駆動軸50を、リール10から下方に離して描いている。
以下に、本実施形態のテープカートリッジ1を構成するリール10を、従来のテープカートリッジに用いられていたリールと比較しながら詳細に説明する。以下に参照する本実施形態のリール10及び従来のリールを示した図において、同一の要素には同一の符号を付しており、それらについての重複する説明を省略する。
図4は、リール10を構成するハブ部材20の斜視図である。円筒部22の内底板23に、3つの貫通孔25(図4では、1つの貫通孔25のみが見える)が、ハブ部材20と同心の円周上に等角度間隔で形成されている。ロック解除部材30の3つの操作爪31が、この3つの貫通孔25にそれぞれ挿入される(図2参照)。円弧状の3つのロック歯26が、内底板23の隣り合う貫通孔25の間の領域に、ハブ部材20と同心の円に沿って設けられている。
図5は、従来のテープカートリッジに内蔵されるリールを構成する上フランジ911を示した斜視図である。上フランジ911には、中央の開口12の周縁に沿って、一方の側(下フランジ21に対向する側)に向かって突出した円環状の嵌合リブ13が形成されている。嵌合リブ13よりも外側(開口12とは反対側)に、8個の溶着リブ14及び8個の位置決めリブ15が上フランジ911と同心の円に沿って交互に配置されている。溶着リブ14及び位置決めリブ15は、いずれも上フランジ911と同心の円弧状である。
図6Aは、溶着リブ14及びその周辺部分の拡大断面図である。図6Bは、位置決めリブ15及びその周辺部分の拡大断面図である。図6A及び図6Bは、上フランジ911に垂直であり且つ半径方向に沿った断面図である。図6Aに示されているように、溶着リブ14は先端が尖った略楔状の断面形状を有している。一方、図6Bに示されているように、位置決めリブ15は、溶着リブ14に比べて比較的大きな面積を有する平坦な頂面を有している。上フランジ911からの突出高さは、嵌合リブ13が最も高く、次いで溶着リブ14が高く、位置決めリブ15が最も低い。
図5に示した従来の上フランジ911は、図4に示したハブ部材20と接合されて、従来のリールとなる。上フランジ911とハブ部材20とは超音波溶着法を用いて接合される。その方法は、概略以下の通りである。ハブ部材20の円筒部22内に、上フランジ911の嵌合リブ13を嵌入させる。上フランジ911の溶着リブ14の先端が、円筒部22の天面22tに当接する。この状態で、上フランジ911とハブ部材20とを上下方向に圧縮しながら超音波を印加する。円筒部の天面22tに接触している溶着リブ14(図6A参照)が超音波振動により溶融し、これにともない、上フランジ911がハブ部材20に徐々に接近する。しばらくすると、位置決めリブ15(図6B参照)が円筒部22の天面22tに当接する。位置決めリブ15の平坦な頂面は天面22tに大きな面積で接触するので、位置決めリブ15は溶融しない。従って、位置決めリブ15が天面22tに当接した時点で、溶着リブ14の溶融が停止され、且つ、ハブ部材20に対して上フランジ911が上下方向に位置決めされる。その後、超音波の印加を停止する。溶融した溶着リブ14は、ハブ部材20と上フランジ911とを固着させる固着部となる。
図7は、従来のリールを構成するハブ部材20及び上フランジ911の互いに対向する面を示した平面図である。説明の便宜のため、図7の左側に示したハブ部材20の平面図において、3つの貫通孔25を区別するために、符号「25」に添え字「a」、「b」、「c」が付してある。一点鎖線70は、中心軸10aから略矩形の貫通孔25a,25b,25cのそれぞれの周方向の中央位置を通り、半径方向の外側(中心軸10aとは反対側)に向かって延びる直線(以下、「貫通孔の中央線70」という)である。貫通孔25a,25b,25cの周方向の両端から外側(中心軸10aとは反対側)に向かって、中央線70に平行に延びる2直線で挟まれた帯状の領域を、「貫通孔に対応する領域71」と呼ぶ。3本の中央線70は、120度間隔で中心軸10aから放射状に延びる。
図7の右側に示した上フランジ911を反転させて、左側に示したハブ部材20に重ね合わせ、上フランジ911とバブ部材20とを接合する。図7の右側の上フランジ911を示した図において、破線の矩形25a’,25b’,25c’は、上フランジ911をハブ部材20に重ね合わせたときの上フランジ911に対する貫通孔25a,25b,25cの位置を示している。即ち、ハブ部材20と上フランジ911とを超音波溶着法により接合し一体化させる際には、貫通孔25a,25b,25cが矩形25a’,25b’,25c’の位置にそれぞれ対向するように、上フランジ911をハブ部材20に対して中心軸10a周りに位置合わせして重ね合わせる。このとき、ハブ部材20の貫通孔25a,25b,25cに基づいて上記のように定義される中央線70及び領域71を、図7の右側の上フランジ911を示した図に併せて示している。
ハブ部材20には、3つの貫通孔25が中心軸10aに対して等角度間隔で配置されているのに対して、従来の上フランジ911には、8個の溶着リブ14及び8個の位置決めリブ15がそれぞれ中心軸10aに対して等角度間隔で配置されている。従って、図7に示すように、貫通孔25aに対応する領域71上に溶着リブ14を配置すると、貫通孔25b,25cに対応する領域71上には、溶着リブ14及び位置決めリブ15が配置される。
図8は、本発明の一実施形態のリール10を構成するハブ部材20及び上フランジ11の互いに対向する面を、図7と同様に示した平面図である。本実施形態の上フランジ11は、溶着リブ14及び位置決めリブ15の数及び配置に関して、図7に示した従来の上フランジ911と異なる。本実施形態では、嵌合リブ13よりも外側(開口12とは反対側)に、9個の溶着リブ14及び9個の位置決めリブ15が上フランジ11と同心の円に沿って交互に配置されている。溶着リブ14及び位置決めリブ15は、いずれも上フランジ11と同心の円弧状である。溶着リブ14及び位置決めリブ15の断面形状は、図6A及び図6Bで説明した、従来の上フランジ911に設けられたものと同じである。図7で説明した従来のリールと同様に、貫通孔25a,25b,25cが矩形25a’,25b’,25c’の位置にそれぞれ対向するように、上フランジ11をハブ部材20に対して中心軸10a周りに位置合わせして重ね合わせて、ハブ部材20と上フランジ11とを超音波溶着法により接合し一体化させる。上フランジ11には9個の溶着リブ14及び9個の位置決めリブ15がそれぞれ中心軸10aに対して等角度間隔で配置されている。従って、図8に示すように、貫通孔25aに対応する領域71上に溶着リブ14を配置すると、貫通孔25b,25cに対応する領域71上にも溶着リブ14が配置される。
以上のように構成された本実施形態のリール10の作用を、従来のリールと比較しながら説明する。
図9Aは、図4に示したハブ部材20の天面22tの高さ(中心軸10a方向の位置)の周方向の変化を測定した結果を示した図である。天面22tの高さの測定は、内底板23の下面に設けた被駆動歯27(図2参照)上に設けた架空の基準平面から円筒部22の天面22tまでの高さ(中心軸10a方向の距離)を、真円度測定機「Mitutoyo製Roundtest RA-2100」を用いて全周にわたって測定することで行った。図9Aの横軸は中心軸10a周りの角度を示し、これは、図9Bに示すように、貫通孔25a(図7、図8参照)の中央線70の位置を0度として定義される。図9Aに示されているように、天面22tの高さは、3つの貫通孔25の中央線70(図7、図8参照)が通る0°,120°,240°の位置で最も高く(以下これを「ピーク」という)、0°,120°,240°の近傍領域(これを「ピーク近傍領域」という)では、ピークから周方向に離れるにしたがって徐々に低下し、当該ピーク近傍領域の外側の領域では、ほぼ一定である。
このように、天面22tが、3つの貫通孔25が配置される0°,120°,240°の位置でピークを示し、ピーク近傍領域外で略平坦面であるうねり形状を有する理由は、以下のように考えられる。
ハブ部材20は、一般に、樹脂材料を用いた射出成形により、下フランジ21、円筒部22、及び内底板23が一体的に成形される。金型内に樹脂材料を注入するゲートは、内底板23の中央(中心軸10aの位置)に、内底板23の下面側に設けられる。射出成形において金型内に注入された樹脂材料の冷却・固化は一様ではなく、一般に、厚肉部やゲートの近傍部分は一番最後に冷却・固化される。相対的に遅く冷却・固化する部分は、それより先に既に冷却・固化した部分を引き込みながら(即ち、体積収縮しながら)冷却・固化する。このため、ゲートが設けられた内底板23の中央部分は、冷却・固化する際に、それより先に冷却・固化した円筒部22の樹脂を内底板23の中央に向かって引き込む。このとき、内底板23に設けられた貫通孔25はこの樹脂の引き込みを遮断する。この結果、図9Aに示したように、天面22tは、貫通孔25の中央線70が通る0°,120°,240°の位置でピークを有するうねり形状を有するのである。
図10Aは、図7に示した従来の上フランジ911とハブ部材20との溶着開始直前の、溶着リブ14及び位置決めリブ15と天面22tのうねり形状との周方向の位置関係を概念的に示した展開図である。図10Aでは、リブ14,15及び天面22tのうねり形状が誇張されている。図10Aの横軸の中心軸10a周りの角度は、図10Bに示す通りである。図7で説明したように、従来のリールでは、ハブ部材20に設けられた貫通孔25aの中央線70(角度が0度の位置)上に溶着リブ14の周方向の中央が位置するように上フランジ911がハブ部材20上に重ね合わされる。このとき、貫通孔25b,25cの中央線70(角度が120度、240度の位置)上には、溶着リブ14と位置決めリブ15との境界部分が位置する。従って、図10Aから理解できるように、8個の溶着リブ14のうち、1つの溶着リブ14は天面22tの0度の位置にあるピークに当接する。他の2つの溶着リブ14は天面22tの120度及び240度のピーク近傍領域に近接又は当接する。残りの5つの溶着リブ14は、天面22tから上方に離間している。この状態で、上下方向の圧縮力を印加しながら、超音波溶着が開始される。最初に、天面22tのピーク又はピーク近傍領域に当接する3つの溶着リブ14が溶融し始める。超音波溶着が進行するにしたがって、他の溶着リブ14も天面22tに当接し、順次溶融する。溶着リブ14が溶融するのにともない上フランジ911が徐々に下降する。図10Bから容易に理解できるように、8個の位置決めリブ15のうち、120度及び240度に位置するピークから周方向に最も近い2つの位置決めリブ15b,15cは天面22tまでの上下方向距離が最も小さい。従って、最初に、これら2つの位置決めリブ15b,15cが天面22tに当接する。上述したように、位置決めリブ15は天面22tに当接しても溶融することはない。従って、位置決めリブ15b,15cの近傍では溶着リブ14の溶融が停止される。一方、この段階では、位置決めリブ15b,15c以外の位置決めリブ15は天面22tにまだ当接していない。8個の位置決めリブ15の全てが天面22tに当接するまで超音波溶着が継続される。超音波溶着後、溶融した溶着リブ14は、ハブ部材20と上フランジ911とを固着させる固着部となる。
このように、従来の上フランジ911を用いた場合には、図10Aに示す超音波溶着を開始する直前において、天面22tの3つのピークに溶着リブ14を同様に当接させることができない。従って、超音波溶着開始時に上フランジ911に傾きが生じてしまう。更に、位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔が、位置決めリブ15ごとに大きく異なる。このため、超音波溶着の過程において、8個の位置決めリブ15のうちの一部が天面22tに当接しても、他の位置決めリブ15はまだ天面22tに当接していないという事態が起こる。全ての位置決めリブ15が天面22tに当接するまでの過程で、上フランジ911に傾きや反りが生じる。位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔の、位置決めリブ15間での差が大きいほど、上フランジ911に生じる傾きや反りが大きくなる。これらの結果、超音波溶着後の上フランジ911に傾きや反りが生じ、これが、リールを回転させたときに上フランジ911の外周部の上下方向の振れ幅を増大させてしまうのである。
図11Aは、図8に示した本発明に係る上フランジ11とハブ部材20との溶着開始直前の、溶着リブ14及び位置決めリブ15と天面22tのうねり形状との周方向の位置関係を概念的に示した展開図である。図11Aにおいても、リブ14,15及び天面22tのうねり形状が誇張されている。図11Aの横軸の中心軸10a周りの角度は、図11Bに示す通りである。図8で説明したように、本実施形態では、ハブ部材20に設けられた3つの貫通孔25a,25b,25cのそれぞれの中央線70(角度が0度、120度、240度)上に溶着リブ14の中央が位置するように上フランジ11がハブ部材20上に重ね合わされる。従って、図11Aに示すように、9個の溶着リブ14のうち、2つおきに配された3つの溶着リブ14が、天面22tの0度、120度、240度に位置する3つのピークにそれぞれ当接する。この状態で、上下方向の圧縮力を印加しながら、超音波溶着が開始される。最初に、3つピークに当接する3つの溶着リブ14が溶融し始め、次いで、残りの溶着リブ14が溶融する。溶着リブ14が溶融するのにともない上フランジ911が徐々に下降する。図10Aに示した従来の上フランジ911を用いた場合と異なり、本実施形態では、9個の位置決めリブ15のいずれもが、天面22tのピーク及びピーク近傍領域以外の、略平坦な領域に対向している。従って、9個の位置決めリブ15はほぼ同時に天面22tに当接する。全ての位置決めリブ15が天面22tに当接した時点で超音波溶着は終了する。超音波溶着後、溶融した溶着リブ14は、ハブ部材20と上フランジ11とを固着させる固着部となる。固着部は、天面22tの略平坦な領域に形成される。
このように、本実施形態では、図11Aに示す超音波溶着を開始する直前において、天面22tのうねり形状の3つのピークに溶着リブ14がそれぞれ当接し、且つ、位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔が、全ての位置決めリブ15についてほぼ同じである。このため、超音波溶着の過程において、全ての位置決めリブ15がほぼ同時に天面22tに当接する。従って、従来の上フランジ911を用いた場合(図10A参照)と異なり、本実施形態では、超音波溶着後の上フランジ11に傾きや反りが生じにくく、リールを回転させたときに上フランジ11の外周部の上下方向の振れ幅を小さく抑えることができる。
なお、図11Aとは異なり、上フランジ11の9個の位置決めリブ15のうちの3つが天面22tに現れる3つのピークに対向するように、フランジ11をハブ部材20上に載置して超音波溶着すれば、当該3つの位置決めリブ15をほぼ同時に3つのピークに当接させることができる可能性がある。しかしながら、3つのピークに3つの位置決めリブ15が当接した時点で、残りの6個の位置決めリブ15は天面22tから上方に離間している。超音波溶着では上フランジ11は天面22tに向かって押圧されるので、当該6個の位置決めリブ15も天面22tに当接するまで超音波溶着は継続され、この過程で上フランジ11に反りが生じる。このため、図11Aの場合に比べて超音波溶着後の上フランジ11の反りが大きくなり、その結果、リールを回転させたときに上フランジ11の外周部の上下方向の振れ幅が大きくなってしまう。
図12は、本発明の別の実施形態のリールを構成するハブ部材20及び上フランジ211の互いに対向する面を、図7及び図8と同様に示した平面図である。本実施形態の上フランジ211は、溶着リブ14及び位置決めリブ15の数及び配置に関して、図7に示した上フランジ911及び図8に示した上フランジ11と異なる。本実施形態では、嵌合リブ13よりも外側(開口12とは反対側)に、12個の溶着リブ14及び12個の位置決めリブ15が上フランジ211と同心の円に沿って交互に配置されている。溶着リブ14及び位置決めリブ15は、いずれも上フランジ211と同心の円弧状である。溶着リブ14及び位置決めリブ15の断面形状は、図6A及び図6Bで説明した、従来の上フランジ911に設けられたものと同じである。図7で説明した従来のリールと同様に、貫通孔25a,25b,25cが矩形25a’,25b’,25c’の位置にそれぞれ対向するように、上フランジ211をハブ部材20に対して中心軸10a周りに位置合わせして重ね合わせて、ハブ部材20と上フランジ211とを超音波溶着法により接合し一体化させる。上フランジ211には12個の溶着リブ14及び12個の位置決めリブ15がそれぞれ中心軸10aに対して等角度間隔で配置されている。従って、上フランジ11を用いた場合(図11A参照)と同様に、超音波溶着を開始する直前において、天面22tのうねり形状の3つのピークに溶着リブ14をそれぞれ当接させ、且つ、12個の位置決めリブ15のいずれもを、天面22tのピーク及びピーク近傍領域以外の、略平坦な領域に対向させることができる。このため、上フランジ211を用いた場合にも、超音波溶着後の上フランジ211に傾きや反りが生じにくく、リールを回転させたときに上フランジ211の外周部の上下方向の振れ幅を小さく抑えることができる。
図13Aは、図7に示した従来の上フランジ911とハブ部材20とを超音波溶着したリールの、上フランジ911の振れ幅を測定した結果を示した図である。図13Bは、図12に示した本発明に係る上フランジ211とハブ部材20とを超音波溶着したリールの、上フランジ211の振れ幅を測定した結果を示した図である。振れ幅の測定は、図9Bに示した天面22tの高さの測定と同様に、内底板23の下面に設けた被駆動歯27(図2参照)上に設けた架空の基準平面から上フランジの上面(下フランジ21とは反対側の面)までの高さ(中心軸10a方向の距離)を、真円度測定機「Mitutoyo製Roundtest RA-2100」を用いて全周にわたって測定することで行った。上フランジ911及び上フランジ211の外径はφ96.9mmであり、測定は中心軸10aから48mm離れた地点で行った。横軸の角度が0度の位置は、貫通孔25aの中央線70の位置とした。上フランジの振れ幅(高さの最大値と最小値との差)は、従来の上フランジ911を用いたリールでは0.090mm(図13A)であったのに対して、本発明に係る上フランジ211を用いたリールでは0.059mm(図13B)であった。本発明によれば、リール回転時の上フランジの振れ幅を低減することができることを確認した。
図14は、本発明の更に別の実施形態のリールを構成するハブ部材20及び上フランジ311の互いに対向する面を、図7、図8、図12と同様に示した平面図である。本実施形態の上フランジ311は、溶着リブ14及び位置決めリブ15の数及び配置に関して、図7に示した上フランジ911、図8に示した上フランジ11、図12に示した上フランジ211と異なる。より詳細には、上フランジ311は、図12に示した上フランジ211において、各貫通孔25の中央線70上に配置される溶着リブ14と、各貫通孔25の中央線70から周方向に最も近い2つの位置決めリブ15とを省略したものに相当する。上フランジ311には、9個の溶着リブ14と、6個の位置決めリブ15が形成されている。貫通孔25a,25b,25cが矩形25a’,25b’,25c’の位置にそれぞれ対向するように、上フランジ311をハブ部材20に対して中心軸10a周りに位置合わせして重ね合わせて、ハブ部材20と上フランジ311とを超音波溶着法により接合し一体化させる。
図15Aは、図14に示した本発明に係る上フランジ311とハブ部材20との溶着開始直前の、溶着リブ14及び位置決めリブ15と天面22tのうねり形状との周方向の位置関係を、図10A及び図11Aと同様に概念的に示した展開図である。図15Aの横軸の中心軸10a周りの角度は、図15Bに示す通りである。
上フランジ11,211を用いた場合(図8、図12参照)とは異なり、上フランジ311を用いた場合には、超音波溶着を開始する直前において、天面22tのうねり形状の3つのピークに溶着リブ14は当接しない。上フランジ311に設けられた9個の溶着リブ14の全てを、天面22tのピーク及びピーク近傍領域を除く略平坦な領域に当接させることができる。従って、超音波溶着時には、9個の溶着リブ14の溶融の開始及びその進行をほぼ一致させることができる。これは、超音波溶着の過程で発生する上フランジ311の傾きや反りを小さくするのに有利である。従って、リールを回転させたときに上フランジ311の外周部の上下方向の振れ幅を、上フランジ11,211を用いた場合(図8、図12参照)に比べて更に小さく抑えることができる。
図8、図12のように位置決めリブ15を中心軸10aに対して等角度間隔で配置した場合において位置決めリブ15の数を増やすと、周方向に隣り合う位置決めリブ15の間隔が狭くなる。このため、天面22tのピークから周方向に近い位置決めリブ15と遠い位置決めリブ15との間で、超音波溶着を開始する直前において、位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔の差が大きくなる可能性がある。これに対して、本実施形態ではピークの近傍に位置決めリブ15が配置されないので、位置決めリブ15の数を確保しながら、超音波溶着を開始する直前において、位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔を、全ての位置決めリブ15についてほぼ同じにすることができる。これは、超音波溶着の過程で発生する上フランジ311の傾きや反りを小さくするのに有利である。従って、リールを回転させたときに上フランジ311の外周部の上下方向の振れ幅を小さく抑えることができる。
なお、位置決めリブ15の数が相対的に少ない場合等では、図8、図12のように位置決めリブ15を中心軸10aに対して等角度間隔で配置することは、等間隔に配置された位置決めリブ15を用いて上フランジを天面22tに対して位置決めすることができるので、超音波溶着の過程で発生する上フランジの傾きや反りを小さくするのに有利である。従って、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を小さく抑えることができる。
図14、図15A、図15Bに示した上フランジ311において、位置決めリブ15の数及び配置が図12に示した上フランジ211と同じであってもよい。あるいは、上フランジ311において、溶着リブ14の数及び配置が図12に示した上フランジ211と同じであってもよい。
以上のように、リール10を構成するハブ部材20には3つの貫通孔25が中心軸10aに対して120度間隔で配置されている。このため、図9で説明したように、天面22tには、各貫通孔25の中央線70上にピークを有するうねり形状が形成される。これに対して、本発明の上フランジには3N個(Nは自然数)の位置決めリブ15が中心軸10aと同軸の円上に離散的に設けられている。3N個の位置決めリブ15は、周方向に位置ズレしたN個の位置決めリブユニットで構成される。各位置決めリブユニットは、中心軸10aに対して120度間隔で配置された3個の位置決めリブで構成される。3N個の位置決めリブ15は、図8、図12に示したように中心軸10aに対して等角度間隔で配置されてもよく、図14に示したように中心軸10aに対して等角度間隔で配置されていなくてもよい。いずれの場合であっても、3N個の位置決めリブ15の全てが3個の貫通孔25に対して周方向に位置ズレした状態で、ハブ部材20と上フランジとが接合される。これにより、リール回転時の上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を小さくすることができる(図13B参照)。
本発明において、貫通孔25に対して位置決めリブ15が「周方向に位置ズレしている」とは、中心軸10aから見た貫通孔25の周方向位置と中心軸10aから見た位置決めリブ15の周方向位置とが一致していないことを意味する。具体的には、貫通孔25の中央線70上に位置決めリブ15が位置しない(図8、図12、図14参照)ことを意味する。これにより、天面22tのピークに位置決めリブ15が当接することを回避することができる。その結果、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を小さくすることができる。
更には、貫通孔25に対応する領域71内に位置決めリブ15が位置しないことが好ましい(図8、図12、図14参照)。図9Aから理解できるように、領域71外では天面22tは高さがほぼ一定の平坦面である。従って、領域71内で位置決めリブ15が天面22tに当接しないように位置決めリブ15を配置することにより、上フランジに設けられた全ての位置決めリブ15を、ピーク近傍領域外の、高さがほぼ一定である平坦面に当接させることができる。その結果、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を更に小さくすることができる。
ハブ部材20の天面22tと上フランジとは、位置決めリブ15とは別個に設けられた溶着リブ14が溶融することによって形成された固着部にて固着される。従って、固着部は、天面22t上の、位置決めリブ15が当接する位置以外の位置に形成される。好ましくは、固着部は、3つの貫通孔25に対応する天面22t上の領域71には設けられていない。即ち、固着部は、好ましくは天面22tのピーク近傍領域外の、高さがほぼ一定である平坦面に設けられる。これにより、図15Aで説明したように、リールを回転させたときに上フランジの外周部の上下方向の振れ幅を更に小さく抑えることができる。
上フランジがハブ部材20に対して周方向にわずかに回転した場合の影響について説明する。
図16Aは、上述した特許文献1に記載された上フランジ811とハブ部材820との溶着開始直前の溶着リブ14及び位置決めリブ15と円筒部22との周方向の位置関係を概念的に示した展開図である。ハブ部材820の円筒部22の天面22tには、高さのピークが現れる0°,120°,240°の位置を含む所定領域に、天面22tのうねり形状に比べてはるかに大きな高低差を生じさせる3つの切り欠き22nが形成されている。上フランジ811には、3つのリブセット16が等角度間隔で設けられている。各リブセット16は、位置決めリブ15とこれを挟む2つの溶着リブ14とで構成される。天面22tの切り欠き22nが形成されていない3つの領域22fに、3つのリブセット16が対向するように、上フランジ811がハブ部材820上に重ね合わされる。この状態で、超音波溶着が行われる。
図16Aは、円筒部22に対してリブセット16(溶着リブ14及び位置決めリブ15)が周方向に正しく位置決めされた理想的な状態を示している。円筒部22に対して上フランジ811が図16Aの状態から周方向に移動することなく上フランジ811が天面22tに固着されることが好ましい。しかしながら、実際には、ハブ部材820に対する上フランジ811の位置合わせ誤差や、超音波溶着時の超音波振動などによって、図16Bに示すようにハブ部材820に対して上フランジ811が矢印Aの向きにわずかに回転(周方向に位置ズレ)することがある。図16Bを図16Aと比較すれば容易に理解できるように、図16Bでは上フランジ811が回転することにより、溶着リブ14の一部が領域22fからはみ出して切り欠き22nに対向している。溶着リブ14の領域22fからはみ出した部分は、超音波溶着時に溶融されることはない。従って、溶着リブ14が溶融することによって形成される、天面22tと上フランジ811とを固着させるための固着部の合計面積は、図16Bは図16Aに比べて小さくなる。このため、特許文献1では、上フランジ811がハブ部材820に対してわずかに回転すると、上フランジ811とハブ部材820との接合強度が低下してしまう。
図17Aは、本発明の図8に示した上フランジ11とハブ部材20との溶着開始直前の溶着リブ14及び位置決めリブ15と天面22tのうねり形状との周方向の位置関係を概念的に示した展開図である。図17Aは、図11Aに示したものと同じである。
図17Bは、図17Aの理想的な状態から、ハブ部材20に対して上フランジ11が矢印Aの向きにわずかに回転(周方向に位置ズレ)した状態を示している。図17Aから図17Bへの上フランジ11の回転量は、図16Aから図16Bへの上フランジ811の回転量と同じである。本実施形態では、ハブ部材20の天面22tに、図16A及び図16Bに示された切り欠き22nは形成されていない。従って、図17Bでも、図17Aと同様に、超音波溶着により9個の溶着リブ14の全てを天面22tに当接させて溶融させることができる。従って、溶着リブ14が溶融することによって形成される、天面22tと上フランジ11とを固着させるための固着部の合計面積は、図17Bは図17Aと実質的に同じである。このため、上フランジ11がハブ部材20に対してわずかに回転したとしても、上フランジ11とハブ部材20との接合強度の低下はほとんどない。
なお、位置決めリブ15と天面22tとの間の上下方向の間隔において、9個の位置決めリブ15間での差(バラツキ)は、図17Bの場合は、図17Aの場合に比べてわずかに大きくなる可能性がある。従って、超音波溶着して得たリールを回転させたときに上フランジ11の外周部の上下方向の振れ幅は、図17Bでは、図17Aに比べて大きくなる可能性がある。しかしながら、この振れ幅の増大は、例えば位置決めリブ15の数や位置を変更する(例えば周方向に隣り合う位置決めリブ15間の周方向の間隔を拡大する)等により回避することが可能である。
本発明では円筒部22の天面22tには切り欠き22nを形成する必要がない。このため、切り欠き22nを形成するためにハブ部材成形用の金型の改造が不要である。
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明はこれらの実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
上記の実施形態では、円筒部22の天面22tと上フランジとを固着させる固着部が、上フランジに設けた溶着リブ14が超音波振動で溶融されることにより形成される場合を説明したが、本発明の固着部はこれに限定されない。例えば、超音波溶着法以外の方法(例えば、接着剤を用いた方法)で固着部が形成されてもよい。
上フランジに設けられる位置決めリブ15の数及び配置、天面22tと上フランジとを固着させる固着部の数及び配置は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
下フランジの内底板に設けられる貫通孔25の平面視形状は、上記の実施形態では略矩形であったが、本発明はこれに限定されず、円形、楕円形など任意の形状であってもよい。
テープカートリッジの不使用時にリールの回転を阻止するリールロック機構は、上記の実施形態に示したものに限定されず、任意の構成を用いうる。
上記の実施形態に示したテープカートリッジは、筐体内に1つのリールのみが収納された1リールタイプであったが、2つのリールが収納された複リールタイプであってもよい。
請求項に記載した本発明の範囲内において、公知のテープカートリッジの構成を適宜選択して本発明のテープカートリッジに組み合わせることができる。