図1を参照すると、本発明の実施の形態による検査ユニット10は、対象物80の対象表面80Sの欠陥を検出するための表面欠陥検査ユニットである。検査ユニット10は、所定の模様を有する画像である投影画像60を対象表面80Sに投影し、対象表面80Sに投影された画像を撮影することによって、対象表面80Sに形成された傷や凹み等の欠陥を検出する。
上述の欠陥検出方法から理解されるように、対象表面80Sは、投影された投影画像60を正反射できる高い光反射率を有していることが好ましい。より具体的には、対象表面80Sは、光沢や艶がある滑らかな面であることが好ましい。好ましい対象表面80Sは、例えば、鏡面や、物品の塗装された表面や、物品のメッキされた表面や、ガラスの表面や、フィルムの面である。検査ユニット10は、このような対象表面80Sに形成された、直径0.1mm程度かつ深さ0.0005mm程度の欠陥を検出できる。但し、本発明は、これに限られず、対象表面80Sの光沢や艶や滑らかさは、欠陥の検出にあたって要求される検出精度に応じていればよい。また、対象物80の素材、サイズ及び形状は、特に限定されない。例えば、対象物80は、不透明な物品であってもよいし、物品内部が透けて見える透明ガラスであってもよい。
本実施の形態における対象物80は、例えば車のドアミラーの樹脂部であり、一般的な机サイズの検査台12の上に載せることができる程度に小さい。また、本実施の形態における検査ユニット10は、全体として検査台12の上に配置されている。但し、本発明は、これに限られず、検査ユニット10の配置や検査ユニット10全体のサイズは、対象物80に合わせて様々に変形可能である。例えば、対象物80は、車のボディのような比較的大きな物品であってもよい。この場合、検査ユニット10は、対象物80の周囲に設けられた壁状の検査設備に組み込まれていてもよい。また、対象表面80Sの複数の部位を同時に検査するために、複数の部位に夫々対応する複数の検査ユニット10が設けられていてもよい。
以下、まず、本実施の形態における検査ユニット10を構成する様々な装置について説明する。
図1及び図2を参照すると、本実施の形態における検査ユニット10は、処理装置20と、制御装置30と、投影装置40と、撮影装置50とを備えている。投影装置40は、投影画像60を投影可能な電子機器であり、撮影装置50は、投影された投影画像60を撮影可能な電子機器である。処理装置20及び制御装置30は、投影装置40及び撮影装置50の夫々を制御可能な電子機器である。
図3を参照すると、本実施の形態における投影画像60は、複数の明部62と、複数の暗部64とから構成されている。明部62及び暗部64は、横方向において交互に配置されている。明部62及び暗部64の夫々は、横方向におけるサイズを一定に保ちつつ、横方向と直交する縦方向に沿って直線状に延びている。本実施の形態において、明部62の横方向におけるサイズである明部幅LWは、全ての明部62において同じであり、暗部64の横方向におけるサイズである暗部幅BWは、全ての暗部64において同じである。即ち、投影画像60は、明部62及び暗部64を横方向において周期的に配置したパターン画像である。但し、後述するように、本発明における投影画像は、本実施の形態の投影画像60に限られず、様々に変形可能である。
図1を図3と併せて参照すると、本実施の形態による投影装置40は、汎用的な照明装置であり、様々な色の光を発光可能な多数の発光素子(図示せず)を備えている。発光素子は、例えば、マイクロLED(light emitting diode)である。発光素子は、二次元的に配列されている。投影装置40は、発光素子の夫々が発光する光の輝度を変えることにより、投影画像60を発光して投影する。投影画像60の明部62は、高輝度の光を発光する発光素子によって形成される。一方、投影画像60の暗部64は、低輝度の光を発光する発光素子によって形成されるか、又は、発光していない発光素子によって形成される。即ち、投影画像60は、1以上の明部62と、明部62よりも低い輝度を有する1以上の暗部64とを含んでいる。
図3及び図4を参照すると、本実施の形態によれば、投影画像60の明部62は、白色であり、暗部64は、黒色である。但し、明部62の輝度が暗部64の輝度よりも高い限り、明部62及び暗部64の色や輝度は、特に限定されない。例えば、明部62の色は、明るいピンクであってもよく、暗部64の色は、暗い赤であってもよい。また、このような投影画像60を投影できる限り、投影装置40の機構は、本実施の形態に限定されない。
図1及び図4を参照すると、投影装置40は、発光面の位置や向きを調整可能である。投影装置40は、対象表面80S全体に投影画像60を投影できるように配置されている。投影画像60は、対象表面80Sに対して斜め上から投影され、これにより、対象表面80S上及びその周辺に投影画像60Pが形成される。投影画像60Pにおける明部62及び暗部64の夫々の幅は、例えば数mm程度である。
図4を参照すると、投影画像60の投影方向は、対象物80が置かれた面に対して斜交している。この結果、投影画像60Pの横方向におけるサイズと縦方向におけるサイズとの比率(縦横比)は、投影画像60の縦横比と異なる。また、一般的に、対象表面80Sは、3次元的な形状を有しており、投影画像60Pは、投影画像60と比べて部分的に歪む。但し、本実施の形態において、検査ユニット10の機能を説明する際に、投影画像60と投影画像60Pとの間の差異を考慮する必要はない。換言すれば、本実施の形態における検査ユニット10の機能説明において、投影画像60Pは、投影画像60と一致していると考えてよい。従って、以下、投影画像60Pについては特に触れず、投影画像60を使用して説明する。
図1及び図4を参照すると、投影装置40は、投影画像60を、シフト方向に沿ってシフトするようにして対象表面80Sに投影可能である。詳しくは、本実施の形態において、対象物80は、検査台12上に載せられており、投影装置40に対して静止している。本実施の形態の投影装置40は、発光素子(図示せず)が発光する光の輝度分布をシフト方向に沿ってシフトすることにより、投影画像60を、静止した対象表面80Sに対して相対的に、シフト方向に沿ってシフトするようにして投影できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、対象物80と投影装置40との間の位置関係が変わっても対象表面80S上の全ての位置に投影画像60を投影できるような場合、より具体的には、対象表面80Sが平面状に延びているような場合、対象物80は、投影装置40に対して相対的に、シフト方向に沿って一定速度で移動していてもよい。この場合、投影装置40は、対象表面80Sに対して同じ投影画像60を投影し続けることによって、投影画像60を、移動する対象表面80Sに対して相対的に、シフト方向に沿ってシフトするようにして投影できる。
図1及び図3を参照すると、本実施の形態において、シフト方向は、投影画像60の横方向と一致している。但し、本発明は、これに限られず、シフト方向は、投影画像60の横方向と交差していればよい。即ち、シフト方向は、横方向と斜交していてもよい。シフト方向が横方向と斜交している場合、投影画像60の明部幅LWは、明部62のシフト方向におけるサイズであり、投影画像60の暗部幅BWは、暗部64のシフト方向におけるサイズである。
図1及び図4を参照すると、本実施の形態の撮影装置50は、汎用的なCCD(charge-coupled device)カメラであり、レンズ及び二次元的に配列された多数の受光素子を備えている。即ち、撮影装置50が撮影する撮影画像70は、二次元的に配列された多数の画素(ピクセル)からなるデジタル画像である。本実施の形態による撮影画像70の画素は、0(黒色)から255(白色)までのグレースケール値を採る。換言すれば、撮影装置50は、256階調のグレースケール画像を撮影する。但し、本発明は、これに限られず、撮影装置50は、フルカラーの撮影画像70を撮影してもよい。但し、検査ユニット10は、後述するように、撮影画像70の輝度を参照して欠陥を検出する。従って、短時間で欠陥を検出するという観点から、輝度を簡単に参照可能なグレースケール画像が好ましい。
本実施の形態の撮影装置50は、レンズの位置や向きを調整可能である。撮影装置50は、対象表面80Sがレンズの画角内に収まるように配置されている。換言すれば、本実施の形態における対象表面80Sは、対象物80の表面のうち撮影装置50の画角内に収まる範囲である。上述のように配置された撮影装置50は、投影画像60が投影された対象表面80Sを、撮影画像70として撮影可能である。撮影画像70において、投影画像60の輝度は、対応するグレースケール値に変換される。以下の説明において、撮影画像70の各画素における輝度とは、撮影画像70の各画素におけるグレースケール値を意味する。
図4を参照すると、撮影装置50は、投影画像60の一部を、対象物80が置かれた面に対して斜交する方向に沿って撮影する。従って、一般的に、撮影装置50が撮影した撮影画像70の縦横比は、投影画像60の縦横比と異なり、且つ、撮影画像70は、投影画像60に対して部分的に歪む。即ち、撮影画像70は、投影画像60と完全には一致しない。但し、本実施の形態の検査ユニット10は、撮影画像70が投影画像60と一致していても、投影画像60と比べて異なっていても、欠陥を同様に検出可能である。
図1及び図2を参照すると、本実施の形態による処理装置20は、汎用的なPC(Personal Computer)であり、装置本体22と、記憶装置24と、入力装置26と、表示装置28とを備えている。
装置本体22は、PCの本体であり、CPU(Central Processing Unit)及び主記憶装置を備えている(図示せず)。記憶装置24は、例えば磁気ディスク装置であり、プログラムの実行形式ファイルを含む様々なファイル(図示せず)を記憶できる。記憶装置24は、装置本体22からの指示に従ってファイルの取得、記憶等を行う。特に、装置本体22のCPUは、記憶装置24に記憶された実行形式ファイルを取得して主記憶装置にローディングし、実行形式ファイル内の命令語を実行することで様々な機能を実現する。入力装置26は、例えばキーボードやマウスであり、キーボードから入力された文字やマウスによって指示された位置や範囲を装置本体22に送信する。表示装置28は、例えば液晶ディスプレイであり、装置本体22から送信された文字や画像等を表示する。
処理装置20は、投影装置40及び撮影装置50を制御するためのプログラム(後述)を備えており、投影装置40及び撮影装置50の夫々と通信可能に接続されている。制御装置30は、処理装置20による投影装置40及び撮影装置50の制御を補完するための専用機器であり、処理装置20は、制御装置30を介して投影装置40及び撮影装置50の夫々とケーブル接続されていると共に、撮影装置50と直接的にケーブル接続されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、制御装置30は、処理装置20に組み込まれた制御ボードであってもよい。この場合、処理装置20は、投影装置40及び撮影装置50の夫々と直接的にケーブル接続されていてもよく、無線接続されていてもよい。更に、投影装置40及び撮影装置50は、処理装置20に組み込まれていてもよい。この場合、処理装置20は、投影装置40及び撮影装置50の夫々と内部バスによって接続されていてもよい。
図2及び図4を参照すると、上述のように構成された検査ユニット10は、投影装置40によって対象表面80Sに投影画像60を投影する投影機能(図2の(1)〜(3)参照)と、撮影装置50によって対象表面80Sを撮影し、これにより撮影画像70を取得する撮影機能(図2の(1)、(4)〜(6)参照)とを有している。
詳しくは、本実施の形態の処理装置20は、制御装置30に投影及び撮影指示する(図2の(1)参照)。このとき、処理装置20は、制御装置30に検査パラメータを送信する。検査パラメータは、投影パラメータと撮影パラメータとを含んでいる。投影パラメータは、投影装置40が投影する投影画像60を作成するためのパラメータであり、例えば、明部幅LW(例えば、10ピクセル)、暗部幅BW(例えば、10ピクセル)及び左端の明部62(図3における明部62L)の横方向の開始位置(例えば、0ピクセル位置)である。撮影パラメータは、撮影画像70の明るさを規定するパラメータであり、例えば、撮影装置50の露光時間及び感度である。
本実施の形態の投影機能によれば、制御装置30は、投影パラメータに基づいて投影画像60に対応するデジタル画像を作成する。次に、制御装置30は、投影装置40に投影指示する(図2の(2)参照)。このとき、制御装置30は、投影装置40に、作成したデジタル画像を送信する。投影装置40は、受信したデジタル画像に基づいて投影画像60を発光し、対象表面80Sに投影する(図2の(3)参照)。
本実施の形態の撮影機能によれば、制御装置30は、投影装置40にデジタル画像を送信した後、投影画像60が投影されるまでの所定時間が経過したとき、撮影装置50に撮影指示する(図2の(4)参照)。このとき、制御装置30は、撮影装置50に、処理装置20から受信した撮影パラメータを送信する。撮影装置50は、撮影指示を受信すると、撮影パラメータに従って対象表面80Sを撮影し、これにより撮影画像70を取得する(図2の(5)参照)。次に、撮影装置50は、撮影画像70を処理装置20に送信する(図2の(6)参照)。例えば、処理装置20は、受信した撮影画像70を表示装置28に表示する。
本実施の形態の処理装置20は、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトしつつ、上述の処理(図2の(1)〜(6)参照)を必要な回数だけ行い、これにより2以上の撮影画像70を取得する。詳しくは、処理装置20は、上述の処理(図2の(1)〜(6)参照)を行った後、投影パラメータを変更して、制御装置30に送信する(図2の(1)参照)。このときの投影パラメータは、例えば、明部62Lの開始位置を横方向(シフト方向)にシフトしたものである。この結果、撮影装置50は、シフト方向にシフトした撮影画像70を取得して処理装置20に送信する(図2の(6)参照)。
本実施の形態における検査ユニット10は、上述の機能を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、制御装置30が投影画像60に対応するデジタル画像を作成できる限り、投影パラメータの内容は、特に限定されない。同様に、撮影パラメータの内容は、特に限定されない。また、投影パラメータ及び撮影パラメータを含む検査パラメータは、様々なタイミングで送信できる。例えば、処理装置20は、入力装置26から入力された操作者の指示に基づいて検査パラメータを送信してもよいし、予め定められた所定のタイミングで送信してもよい。また、検査パラメータの値は、送信のたびに操作者が入力装置26によって入力してもよいし、記憶装置24に予め記憶していてもよい。
上述のように、本実施の形態によれば、処理装置20は、制御装置30が作成するデジタル画像に基づく投影画像60を、投影装置40によって投影すると共に、制御装置30を介して、撮影装置50によって撮影画像70を撮影する。但し、以下、説明を簡易にするため、制御装置30及びデジタル画像については特に触れない。
検査ユニット10は、検査処理と、検査準備処理とを実行可能である。詳しくは、処理装置20の記憶装置24には、検査処理を行うための検査処理プログラム202と、検査準備処理を行うための検査準備処理プログラム204とが記憶されている。処理装置20は、例えば入力装置26から入力された指示に応じて、検査処理プログラム202又は検査準備処理プログラム204を主記憶装置(図示せず)にローディングして、CPU(図示せず)によって検査処理又は検査準備処理を実行する。上述のように、検査ユニット10は、コンピュータを、検査ユニット10における処理装置20として機能させるためのプログラム(検査処理プログラム202及び検査準備処理プログラム204)を備えている。これらのプログラムは、例えば、プログラムを記憶したCD−ROM(compact disk read only memory)等の記憶媒体から、記憶装置24にインストールされている。
以下、検査処理について、処理装置20を処理の主体として説明する。但し、以下の説明は、検査ユニット10を処理の主体としても成立する。
図5及び図6を図2と併せて参照すると、処理装置20は、例えば、表示装置28に表示した「検査開始」のボタン(図示せず)が入力装置26によってクリックされると、検査処理を開始する。処理装置20は、検査処理を開始すると、まず、投影画像60を、投影装置40によって対象表面80Sに投影する(S0510)。次に、処理装置20は、撮影装置50によって対象表面80Sを撮影して撮影画像70を所得する(S0512)。この結果、例えば、第1撮影画像(撮影画像)702が取得される。
次に、処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みか否か判定する(S0514)。例えば、処理装置20は、表示装置28に撮影画像70を表示し、入力装置26を使用して指定された範囲により、撮影画像70において対象表面80Sが占める領域を取得する。処理装置20は、取得した領域全体に明部62及び暗部64を投影済みか否か判定する。処理装置20は、対象表面80Sに明部62又は暗部64を未投影の位置がある場合(S0514でNOの場合)、投影画像60を、シフト方向にシフトする。例えば、処理装置20は、投影画像60を、明部幅LW及び暗部幅BW以下のピクセル数だけシフト方向にシフトして、投影装置40によって対象表面80Sに再び投影する(S0510)。
処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みである場合(S0514でYESの場合)、取得した複数の撮影画像70からMAX画像70X及びMIN画像70Nを作成する(S0520)。例えば、図6に示した撮影画像70は、第1撮影画像702に加えて、第2撮影画像(撮影画像)704及び第3撮影画像(撮影画像)706を含んでいる。この場合、撮影画像702,704,706の3枚の撮影画像70から、MAX画像70X及びMIN画像70Nが作成される。MAX画像70Xは、各位置における輝度として、取得した複数の撮影画像70における同じ位置の最大輝度を設定した画像である。MIN画像70Nは、各位置における輝度として、取得した複数の撮影画像70における同じ位置の最小輝度を設定した画像である。
次に、処理装置20は、MAX画像70X及びMIN画像70NからSSMM(slit shift min max)画像70Sを作成し(S0522)、作成したSSMM画像70Sから欠陥を検出する(S0524)。SSMM画像70Sは、各位置における輝度として、MAX画像70Xにおける同じ位置の輝度とMIN画像70Nにおける同じ位置の輝度との差分(絶対値)を設定した画像である。
欠陥が形成された部位等の対象表面80Sにおける凹凸は、SSMM画像70Sにおいて強調表示される。例えば、ブツ及びヘコミのような凹凸がある欠陥が形成された欠陥部82は、MAX画像70X及びMIN画像70Nの両方で同程度の輝度(グレー)になる。鋭利なキズによる欠陥が形成された欠陥部84は、MAX画像70X及びMIN画像70Nの両方で高輝度(白色に近い色)になる。ゴミやホコリによる欠陥が形成された欠陥部86は、MAX画像70X及びMIN画像70Nの両方で低輝度(黒色に近い色)になる。一方、欠陥が形成されていない部位は、MAX画像70Xにおいて高輝度(白色に近い色)になり、MIN画像70Nにおいて低輝度(黒色に近い色)になる。
以上の説明から理解されるように、SSMM画像70Sにおいて、様々な種類の欠陥に対応する部位の輝度は、0に近くなり、欠陥がない部位の輝度は、255に近くなる。従って、SSMM画像70Sにおいて、輝度が所定値(例えば、128)よりも低い部位を検出することで、欠陥を検出できる。
次に、処理装置20は、検出した欠陥を表示装置28に表示する。例えば、処理装置20は、図7に示した画面を表示する。図7の表示画面によれば、欠陥部82,84,86に付与した番号(欠陥番号)、SSMM画像70Sの左端を基準として欠陥部82,84,86の重心の横方向におけるピクセル位置(横位置)、SSMM画像70Sの下端を基準として欠陥部82,84,86の重心の縦方向におけるピクセル位置(縦位置)及び欠陥部82,84,86がSSMM画像70Sに占めるピクセル数(サイズ)が表示される。但し、撮影画像70を表示装置28に表示したとき、操作者が対象表面80Sの欠陥を特定できる限り、表示画面は、どのような画面であってもよい。
図3を参照すると、横方向(シフト方向)に沿って延びる仮想直線60Lを投影画像60に引いたとき、横方向と直交する縦方向における仮想直線60Lの位置に拘わらず、仮想直線60Lは、明部62及び暗部64を交互に通過する。図4を参照すると、明部62及び暗部64が上述のように配置されているため、検査ユニット10は、検査処理において、投影装置40によって、投影画像60をシフト方向に沿って1回以上シフトするようにして対象表面80Sに投影することにより、対象表面80Sにおける全ての位置に明部62及び暗部64を投影できる。また、検査ユニット10は、検査処理において、投影画像60をシフトする度に、撮影装置50によって対象表面80Sを撮影することで、対象表面80Sにおける全ての位置について明部62が投影された際の画像と、暗部64が投影された際の画像とを取得でき、取得した画像により欠陥を検出できる。
以上に説明した検査処理は、以下に説明するように様々に変形可能である。
図3、図8及び図9を参照すると、投影画像60の明部62及び暗部64は、対象表面80Sにおける全ての位置に明部62及び暗部64を投影できる限り、どのように配置されていてもよい。例えば、投影画像60に代えて、投影画像60A、60B、60C、60Dの夫々を使用可能である。
図8(A)を参照すると、投影画像60Aは、1つの明部62と、1つの暗部64とを有している。図8(B)を参照すると、投影画像60Bにおいて、複数の明部62の明部幅LW1,LW2,LW3は、互いに異なっており、複数の暗部64の暗部幅BW1,BW2は、互いに異なっている。図9(A)を参照すると、投影画像60Cは、投影画像60(図3参照)と同様に、明部62及び暗部64を横方向において周期的に配置したパターン画像である。但し、投影画像60Cにおいて、明部62及び暗部64の夫々は、縦方向に沿ってジグザグに延びている。図9(B)を参照すると、投影画像60Dには、1つの明部62を背景として、円形状を有する複数の暗部64が横方向及び縦方向において周期的に配置されている。投影画像60Dにおいて、暗部幅BWは、暗部64の直径であり、明部幅LWは、縦方向において同じ位置にあり且つ横方向(シフト方向)において隣り合う2つの暗部64の間の横方向における距離(最短距離)である。
図8及び図9を参照すると、いずれの変形例においても、投影画像60A、60B、60C、60Dに横方向(シフト方向)に沿って延びる仮想直線60Lを引いたとき、横方向と直交する縦方向における仮想直線60Lの位置に拘わらず、仮想直線60Lは、明部62及び暗部64を交互に通過する。このような明部62及び暗部64の配置によれば、投影画像60A、60B、60C、60Dをシフト方向に沿って1回以上シフトするようにして対象表面80S(図4参照)に投影することにより、対象表面80Sにおける全ての位置に明部62及び暗部64を投影可能である。
図4を参照すると、投影画像60のシフト方法は、対象表面80Sにおける全ての位置に明部62及び暗部64を投影できる限り、特に限定されない。例えば、投影画像60は、シフト方向に沿って同じ向きに2回以上シフトしてもよい。一方、投影画像60は、シフト方向に沿って一方の向きにシフトした後に逆向きにシフトするといったように、シフト方向において交互にシフトしてもよい。また、投影画像60は、対象表面80Sにおける全ての位置に対して、明部62及び暗部64を1回だけ投影してもよいし、2回以上投影してもよい。但し、投影画像60の投影に必要な時間を短縮するという観点から、投影画像60の明部62及び暗部64を、シフト方向に沿って同じ向きに同じピクセル数ずつ1回以上シフトし、これにより、対象表面80Sにおける全ての位置に対して、明部62及び暗部64を、最小回数だけ投影することが好ましい。
本実施の形態によれば、欠陥は、SSMM画像70Sを直接的に参照して検出される。但し、本発明は、これに限られず、欠陥は、SSMM画像70Sを間接的に参照して検出してもよい。例えば、SSMM画像70Sを2値化した2値化画像(図示せず)を作成し、2値化画像を参照して欠陥を検出してもよい。また、SSMM画像70Sに対してメディアンフィルタ等のフィルタをかけ、得られた画像を使用して欠陥を検出してもよい。
以上の説明から理解できるように、本実施の形態の検査処理によれば、明部幅LW及び暗部幅BWは、対象表面80Sの面積や検出したい欠陥の面積を除き、特に制約なく設定できるはずである。しかしながら、実際に検査処理を行うと、明部幅LW及び暗部幅BWの間の比率である明暗比率(暗部幅BW:明部幅LW)が、欠陥の検出精度に大きな影響を与える。即ち、対象表面80Sの状態に応じて明暗比率を変える必要がある。例えば、対象表面80Sの色が黒色である場合に所定の明暗比率によって欠陥を十分に検出できたとしても、対象表面80Sの色が白色である場合に同じ明暗比率によっては欠陥を十分に検出できない。この理由は、次のように考察される。
図10を参照すると、実際には、暗部64の輝度は、明部62に隣接する部位から2つの明部62の中間に位置する部位(中間部)まで、徐々に低下する。このため、明部幅LWに比べて暗部幅BWが大きい場合(図10の右側のグラフ参照)、暗部64の中間部の輝度は低下し易い一方、明部幅LWに比べて暗部幅BWが小さい場合(図10の左側のグラフ参照)、暗部64の中間部の輝度は低下し難い。即ち、明暗比率が小さい場合、明部62の輝度と暗部64の輝度との差(コントラスト)が低下し、SSMM画像70S(図6参照)は、全体として暗い画像になる。この結果、SSMM画像70Sにおいて、欠陥が形成された部位の輝度と、欠陥が形成されていない部位の輝度との差が小さくなり、これにより欠陥の検出精度が低下する。
上述の考察によれば、暗部幅BWは、明部幅LWと比べてより大きい方が好ましい。しかしながら、暗部幅BWが大きすぎる場合、緩やかな凹凸による欠陥を検出し難くなる。即ち、明暗比率は、単に大きければよいのではなく、明暗比率の適切な値が存在する。本願発明者は、以上の知見に基づいて明暗比率を様々に変更して実験を行った。この結果、本願発明者は、明部幅LWを、一定値(例えば、10ピクセル)に固定して暗部幅BWを変更することで、様々な対象表面80S(図6参照)の様々な欠陥を精度よく検出できることを見出した。詳しくは、図11を参照すると、一定の明部幅LWPを使用しつつ対象表面80Sの状態に応じて暗部幅BWを調整することで、適切な明暗比率が得られることを見出した。更に、対象表面80Sの所定位置88(例えば、対象表面80Sの1点)に対して明部62及び暗部64を投影して撮影することで、所定位置88の撮影結果に基づいて適切な暗部幅BWが得られることを見出した。
本願発明者は、以上のような考察及び実験によって、適切な暗部幅BWを得るための検査準備処理を見出した。以下、検査準備処理について、処理装置20を処理の主体として説明する。但し、以下の説明は、検査ユニット10を処理の主体としても成立する。
図12を図11と併せて参照すると、処理装置20は、例えば、表示装置28に表示した「自動調整」のボタンが入力装置26によってクリックされると、検査準備処理を開始する。処理装置20は、検査準備処理を開始すると、まず、注視点(所定位置78)を取得する(S1210)。
所定位置78は、撮影画像70上の位置であり、投影画像60の所定位置88に対応している。詳しくは、処理装置20は、例えば、投影画像60が投影された対象表面80Sを撮影装置50によって撮影し、取得した撮影画像70を表示装置28に表示する。処理装置20は、操作者が入力装置26を使用して指定した位置を所定位置78として取得する。所定位置78は、例えば、撮影画像70の左下を基準とする横方向及び縦方向の位置(ピクセル値)である。所定位置78は、1ピクセルの点であってもよいし、複数ピクセルからなる領域であってもよい。例えば、所定位置78は、指定された1ピクセルの点を中心とする半径数ピクセルの円内に位置する複数ピクセルを含んでいてもよい。
本実施の形態の処理装置20は、上述のようにして所定位置78を取得できる。但し、本発明は、これに限られず、処理装置20は、操作者による直接的な指定によらず、所定位置78を取得してもよい。例えば、処理装置20は、入力装置26から入力された範囲指定により、撮影画像70において対象表面80Sが占める領域を取得してもよい。この場合、処理装置20は、取得した領域の横方向及び縦方向における中間位置を所定位置78としてもよい。また、処理装置20は、入力装置26からの入力によらず、撮影画像70全体の横方向及び縦方向における中間位置を所定位置78としてもよい。
次に、処理装置20は、L個(Lは1以上の整数)の所定の明部幅LWPのうちの1つを取得する(S1212)。明部幅LWPは、例えば、10ピクセルである。明部幅LWPは、例えば、過去の検査実績に基づいた値を記憶装置24の明部幅ファイル242に予め記憶しておいてもよい。この場合、Lは、明部幅ファイル242に記憶された明部幅LWPの数である。一方、明部幅LWPは、例えば、操作者が指定してもよい。この場合、Lは、操作者が指定した明部幅LWPの数である。次に、処理装置20は、撮影準備処理及び投影準備処理を行う(S1214)。詳しくは、処理装置20は、所定位置78に対して、明部幅LWPを有する投影画像60を、暗部幅BWを変更しつつ投影し、露光時間や感度を変更しつつ撮影することで、明部幅LWPに対応する適切な暗部幅BWD、露光時間及び感度を含む検査パラメータを取得する(S1214)。
次に、処理装置20は、上述の検査パラメータ取得処理(S1212〜S1214の処理)をL回実行済みか否か判定する(S1216)。処理装置20は、検査パラメータ取得処理をL回実行していない場合(S1216でNOの場合)、L個の明部幅LWPのうちの次の1つを取得する(S1212)。以上の説明から理解されるように、処理装置20は、検査パラメータ取得処理を実行する度に、1セットの検査パラメータを取得する。
処理装置20は、検査パラメータ取得処理(S1212〜S1214の処理)をL回実行済みである場合(S1216でYESの場合)、取得したLセットの検査パラメータを、検査パラメータによる撮影画像70と夫々対応付けて、選択画面を作成する(S1220)。次に、処理装置20は、作成した選択画面を表示装置28に表示して、検査パラメータの選択を促す(S1222)。選択画面の一例を図13に示す。操作者は、例えば、入力装置26を使用して、より好ましい撮影画像70が表示されている検査パラメータの選択ボタンをクリックし、次に選択終了ボタンをクリックすることで、撮影画像70に対応する検査パラメータを選択できる。一方、操作者は、例えば、選択ボタンをクリックせずに選択終了ボタンをクリックすることで、検査パラメータを選択しないことができる。
次に、処理装置20は、操作者が検査パラメータを選択したか否か判定する(S1224)。処理装置20は、操作者が検査パラメータを選択しなかった場合(S1224でNOの場合)、検査準備処理を終了する。一方、処理装置20は、操作者が検査パラメータを選択した場合(S1224でYESの場合)、操作者が選択した検査パラメータを記憶装置24の検査パラメータファイル246に記憶する(S1226)。次に、処理装置20は、検査処理を実行するか否かを選択するための画面(図示せず)を、表示装置28に表示し、操作者の選択を待つ(S1230)。処理装置20は、操作者が検査処理を実行しないことを選択した場合(S1230でNOの場合)、検査準備処理を終了する。
本実施の形態において、処理装置20は、操作者が検査処理を実行することを選択した場合(S1230でYESの場合)、操作者が選択した検査パラメータのうちのいずれかを使用して、前述した検査処理(図5参照)を行う。例えば、検査準備処理において操作者が1つの検査パラメータを選択した場合(S1224)、検査処理における検査パラメータとして、操作者が選択した検査パラメータを使用すればよい。一方、操作者が2以上の検査パラメータを選択した場合、検査処理において使用すべき検査パラメータの選択を、操作者に促してもよい。
本実施の形態において、検査処理は、検査準備処理に続いて実行される。但し、本発明は、これに限られない。例えば、検査処理と検査準備処理とは互いに独立した処理であってもよい。この場合、処理装置20は、操作者の選択を待つ(S1230)ことなく検査準備処理を終了してもよい。また、処理装置20は、検査処理(図5参照)において、処理を開始した際に、記憶装置24の検査パラメータファイル246のうちのいずれかの検査パラメータを操作者に選択させてもよい。この場合、操作者は、処理装置20と通信可能に接続された操作機器(図示せず)を使用して検査パラメータを選択してもよい。より具体的には、検査ユニット10が工場内に設置されている場合、工場の設備管理機器は、ベルトコンベア(図示せず)によって検査ユニット10まで搬送された対象物80の塗装色等の特徴に応じて、検査パラメータを切り替えてもよい。
以下、検査準備処理(図12参照)における、撮影準備処理及び投影準備処理(S1214)について更に詳細に説明する。
図14を図11と併せて参照すると、処理装置20は、投影準備処理(S1412)の前に、撮影準備第1処理(S1410)を行う。撮影準備第1処理は、撮影画像70全体の明るさを調整する処理である。詳しくは、処理装置20は、撮影装置50に撮影指示する際、撮影装置50における明るさを規定する撮影パラメータを指定して、撮影画像70全体の明るさを調整できる。処理装置20は、撮影準備第1処理において、撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第1処理を行い、撮影パラメータの仮設定値を取得する(S1410)。後述するように、処理装置20は、このようにして取得した仮設定値を使用して投影準備処理を行う。
前述したように、本実施の形態の撮影パラメータは、撮影装置50の受光素子(図示せず)の露光時間及び感度である。本実施の形態において、露光時間は、1000μsから15000μsまでの範囲の複数段階の時間によって指定可能である。一方、感度は、−6.0dBから+18dBまでの範囲の複数段階のアナログゲインによって指定可能である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、露光時間及び感度の設定可能範囲や段階数は、特に限定されない。また、撮影パラメータは、露光時間及び感度に限定されない。例えば、撮影パラメータは、露光時間及び感度に加えて、撮影装置50のレンズ(図示せず)の絞りを含んでいてもよい。
本実施の形態において、処理装置20は、露光時間及び感度の夫々について、撮影準備第1処理(S1410)を行う。例えば、処理装置20は、露光時間について撮影準備第1処理(S1410)を行って露光時間の仮設定値を取得し、その後、感度について撮影準備第1処理(S1410)を行って感度の仮設定値を取得する。
図15を図11と併せて参照すると、処理装置20は、撮影準備第1処理(図14のS1410)の撮影パラメータ調整第1処理(撮影パラメータ調整処理)の夫々において、投影装置40によって、所定位置78に対応する所定位置88に対して、明部62及び暗部64の夫々を1回以上投影し、撮影装置50によって、所定位置88を撮影する(S1510)。詳しくは、対象表面80Sに対して、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトしつつ投影し、投影画像60をシフトする度に対象表面80Sを撮影して撮影画像70を取得することで、対象表面80S上の所定位置88の位置に拘わらず、所定位置88に明部62が投影された際の撮影画像70と、所定位置88に暗部64が投影された際の撮影画像70とを取得できる。即ち、2以上の撮影画像70を撮影できる。
上述の処理(S1510)において、投影画像60の明部幅LWは、前述したように、例えば明部幅ファイル242に記憶された明部幅LWPとすればよい。一方、投影画像60の暗部幅BWは、明部幅LWP以上のサイズ(例えば、10ピクセル)とすればよい。また、露光時間の仮設定値を取得しようとしている場合、撮影装置50の感度は、標準的な感度(例えば、アナログゲイン0dB)を使用すればよい。一方、感度の仮設定値を取得しようとしている場合、撮影装置50の露光時間は、取得済みの露光時間の仮設定値を使用すればよい。
次に、処理装置20は、撮影装置50が撮影した2以上の撮影画像70によって、所定位置78における輝度の最大値である最大輝度を取得する(S1512)。このとき、2以上の撮影画像70からMAX画像70X(図6参照)を作成することで、所定位置78の最大輝度を取得できる。所定位置78が複数ピクセルからなる場合、例えば、複数ピクセルにおける輝度の単純平均値を、所定位置78における輝度とすればよい。
処理装置20は、上述の撮影パラメータ調整処理(S1510、S1512)を、撮影装置50の撮影パラメータを変更しつつ、必要な回数(N回)だけ繰り返し、取得したN個の最大輝度に基づいて、撮影パラメータとして設定すべき値(設定候補値)を取得する(S1514)。
例えば、処理装置20は、露光時間の仮設定値を取得しようとしている場合、露光時間を最小値から最大値まで1段階ずつ変更しつつ、撮影パラメータ調整処理(S1510、S1512)を繰り返してもよい。同様に、感度の仮設定値を取得しようとしている場合、アナログゲインを最小値から最大値まで1段階ずつ変更しつつ、撮影パラメータ調整処理を繰り返してもよい。この処理によれば、取得した最大輝度のうちの最も高い値が得られたときの撮影パラメータを、設定候補値とすればよい。
一方、処理時間を短縮するために、最大輝度の目標値(目標輝度)と、許容誤差とを予め設定してもよい。目標輝度は、撮影画像70のノイズを低減でき、明部62及び暗部64を明瞭に識別できる程度の輝度である。目標輝度は、例えば、160〜230程度とすればよい。許容誤差は、測定誤差よりも大きな値とすればよく、例えば、5〜15程度とすればよい。この場合、処理装置20は、撮影パラメータ調整処理(S1510、S1512)において、取得した最大輝度が目標輝度に対して許容誤差の範囲内であれば、このときの撮影パラメータを、設定候補値とすればよい。この処理によれば、1回目の撮影パラメータ調整処理において、設定候補値が得られることがある。従って、撮影パラメータ調整処理は、1回以上繰り返せばよい。
図14を図11と併せて参照すると、上述したように、処理装置20は、撮影準備第1処理(S1410)において、撮影パラメータ調整第1処理によって取得した1以上の最大輝度に基づいて、撮影パラメータの仮設定値を取得できる。このとき、まず、露光時間の仮設定値を取得し、次に、露光時間の仮設定値を使用することで感度の仮設定値を取得してもよい。但し、本発明は、これに限られない。例えば、露光時間の仮設定値と、感度の仮設定値との取得順番は、逆であってもよい。露光時間の仮設定値及び感度の仮設定値の両方を、1回の撮影準備第1処理で同時に取得してもよい。また、感度の仮設定値及び露光時間の仮設定値に加えて更に別の撮影パラメータ(例えば、絞りの仮設定値)を取得してもよい。
次に、処理装置20は、投影準備処理(S1412)を行う。投影準備処理は、撮影画像70全体のコントラストを調整する処理である。処理装置20は、投影準備処理において、撮影準備第1処理(S1410)によって取得した撮影パラメータの仮設定値を使用して、暗部幅BWを変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、検査処理における暗部幅BWDを取得する。
図16を図11と併せて参照すると、処理装置20は、投影準備処理(図14のS1412)の暗部幅調整処理の夫々において、投影装置40によって、所定位置78に対応する所定位置88に対して、明部62及び暗部64の夫々を1回以上投影し、撮影装置50によって、所定位置88を撮影する(S1610)。詳しくは、対象表面80Sに対して、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトしつつ投影し、投影画像60をシフトする度に対象表面80Sを撮影して撮影画像70を取得することで、対象表面80S上の所定位置88の位置に拘わらず、所定位置88に明部62が投影された際の撮影画像70と、所定位置88に暗部64が投影された際の撮影画像70とを撮影できる。即ち、2以上の撮影画像70を撮影できる。
上述の処理(S1610)において、投影画像60の明部幅LWは、撮影準備第1処理(図14のS1410)における明部幅LWPにすればよい。暗部幅BWの初期値(1回目のS1610において使用する値)は、撮影準備第1処理における暗部幅BWにすればよい。また、撮影装置50の露光時間及び感度は、撮影準備第1処理によって取得した露光時間及び感度の仮設定値を使用すればよい。即ち、処理装置20は、投影準備処理において、撮影装置50によって、撮影パラメータの仮設定値を使用して撮影すればよい。
次に、処理装置20は、撮影装置50が撮影した2以上の撮影画像70によって、所定位置78における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得する(S1612)。このとき、2以上の撮影画像70からSSMM画像70S(図6参照)を作成することで、所定位置78のコントラストを取得できる。所定位置78が複数ピクセルからなる場合、所定位置78のコントラストとして、例えば、複数ピクセルにおけるコントラストの単純平均値を使用すればよい。
処理装置20は、上述の暗部幅調整処理(S1610、S1612)を、投影画像60の暗部幅BWを変更しつつ、必要な回数(M回)だけ繰り返し、取得したM個のコントラスに基づいて、検査処理における暗部幅BWDを取得する(S1614)。
例えば、処理装置20は、暗部幅BWを明部幅LWPから投影画像60全体の幅まで1ピクセルずつ変更しつつ、暗部幅調整処理(S1610、S1612)を繰り返してもよい。この処理によれば、取得したコントラスのうちの最も高い値が得られたときの暗部幅BWを、検査処理における暗部幅BWDとすればよい。
一方、処理時間を短縮するために、コントラスの目標値(目標コントラスト)と、許容誤差とを予め設定してもよい。目標コントラスは、SSMM画像70S(図6参照)において欠陥を明瞭に識別できる程度に高いコントラストである。目標コントラストは、例えば、140〜200程度とすればよい。許容誤差は、測定誤差よりも大きな値とすればよく、例えば、5〜15程度とすればよい。この場合、処理装置20は、暗部幅調整処理(S1610、S1612)において、取得したコントラスが目標コントラスに対して許容誤差の範囲内であれば、このときの暗部幅BWを、検査処理における暗部幅BWDとすればよい。この処理によれば、1回目の暗部幅調整処理において、検査処理における暗部幅BWDが得られることがある。従って、暗部幅調整処理は、1回以上繰り返せばよい。
図14を図11と併せて参照すると、上述したように、処理装置20は、投影準備処理(S1412)において、暗部幅調整処理によって取得した1以上のコントラストに基づいて、検査処理における暗部幅BWDを取得できる。
投影準備処理(S1412)は、撮影画像70全体の明るさに影響を与える。このため、処理装置20は、投影準備処理の後に、撮影準備第2処理(S1414)を行い、投影準備処理の影響を受けて変化した撮影画像70全体の明るさを再度調整する。処理装置20は、撮影準備第2処理において、撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第2処理を行い、検査処理における撮影パラメータの設定値を取得する(S1414)。
図15を図11と併せて参照すると、撮影準備第2処理(撮影準備処理)は、前述した撮影準備第1処理と基本的に同じである。即ち、処理装置20は、撮影パラメータ調整第2処理(S1510、S1512)の夫々において、投影装置40によって、所定位置78に対応する所定位置88に対して、明部62及び暗部64の夫々を1回以上投影し(S1510)、撮影装置50が撮影した2以上の撮影画像70によって、所定位置78における輝度の最大値である最大輝度を取得する(S1512)。但し、撮影準備第2処理(S1510)における投影画像60の暗部幅BWは、投影準備処理(図14のS1412)で取得した暗部幅BWDである。また、処理装置20は、撮影パラメータ調整処理によって取得した1以上の最大輝度に基づいて、仮設定値ではなく、検査処理における撮影パラメータの設定値を取得する(S1514)。
図14を図11と併せて参照すると、上述したように、処理装置20は、撮影準備第2処理(S1414)において、撮影パラメータ調整第2処理によって取得した1以上の最大輝度に基づいて、検査処理における撮影パラメータの設定値を取得できる。撮影準備第2処理は、撮影準備第1処理(S1410)と同様に、様々に変形可能である。
上述の撮影準備第1処理(S1410)、投影準備処理(S1412)及び撮影準備第2処理(S1414)は、既に説明した変形に加えて、更に様々に変形可能である。例えば、撮影準備第1処理を終了後、投影準備処理を実行する前に、所定位置78におけるコントラストが、目標コントラストに対して既に許容誤差の範囲内にある場合、投影準備処理及び撮影準備第2処理を実行しなくてもよい。この場合、撮影準備第1処理が投影準備処理としても機能する。また、処理時間を短縮するという観点から、撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理の夫々は、以下のように変形してもよい。
撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理の夫々において取得する必要があるのは、所定位置78の最大輝度であり、最大輝度は、所定位置78に明部62を投影した際の1枚の撮影画像70のみから取得可能である。即ち、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトしつつ撮影するのではなく、所定位置78に明部62が投影されるようにして投影画像60を投影して1回撮影すれば、所定位置78の最大輝度を取得できる。従って、処理装置20は、撮影パラメータ調整第1処理及び撮影パラメータ調整第2処理の夫々において、投影装置40によって、所定位置78に対応する所定位置88に対して、少なくとも明部62を1回以上投影し(図15のS1590)、撮影装置50が撮影した1以上の撮影画像70によって、所定位置78における輝度の最大値である最大輝度を取得してもよい(図15のS1592)。
図11を参照すると、以上に説明したように、本実施の形態による検査ユニット10は、欠陥を検出するための検査処理に加えて、投影準備処理及び撮影準備処理(撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理)を含む検査準備処理を実行できる。検査ユニット10は、この投影準備処理(検査準備処理)において、投影装置40によって、対象表面80Sにおける少なくとも1つの所定位置88に対して、明部62及び暗部64の夫々を1回以上投影し、撮影装置50によって、2以上の撮影画像70を撮影する。この結果、所定位置88について、明部62を投影した際の画像(明るい画像)と、暗部64を投影した際の画像(暗い画像)とが得られる。
検査ユニット10は、所定位置88に対応する所定位置78における明るい画像と暗い画像とに基づいて、検査処理における適切な暗部幅BWDを準備できる。例えば、検査ユニット10は、明るい画像の輝度と暗い画像の輝度との差であるコントラストに基づいて、暗部幅BWDを準備できる。即ち、本実施の形態によれば、検査に熟練した者でなくても適切な明暗比率を設定でき、これにより欠陥を精度よく検出可能な検査ユニット10を提供できる。
図11及び図14を参照すると、本実施の形態による検査ユニット10は、前述したように、投影準備処理の前後で撮影準備処理を行う。投影準備処理の前に撮影準備処理を行って撮影装置50の露光時間及び感度を調整することで、投影準備処理において、より適切な暗部幅BWDが得られる。また、投影準備処理の後に撮影準備処理を再度行って撮影装置50の露光時間及び感度を再調整することで、検査処理において、よりコントラストが大きな撮影画像70を取得することができ、これにより、欠陥をより正確に検出できる。但し、本発明は、これに限られず、投影準備処理の前後の撮影準備処理の夫々は、欠陥の検出にあたって要求される検出精度に応じて実行すればよい。
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、以下に説明するように、更に様々に変形可能である。
図11を参照すると、本実施の形態における所定位置88(所定位置78)は、1箇所である。但し、所定位置88(所定位置78)は、2か所以上であってもよい。この場合、所定位置78における輝度として、例えば、2以上の所定位置78における輝度の単純平均値を使用すればよい。また、この場合、所定位置78のうちのいくつかを操作者が指定し、所定位置78のうちの残りのいくつかを処理装置20が設定してもよい。一方、所定位置78の全てを操作者が指定してもよく、所定位置78の全てを処理装置20が設定してもよい。
図3、図8及び図9を参照すると、検査準備処理において、投影画像60に代えて、投影画像60A、60B、60C、60Dのような様々な画像を使用できる。例えば、投影画像60Bのように互いに異なる複数の明部幅LW及び互いに異なる複数の暗部幅BWを有する画像を使用する場合、投影準備処理において、複数の明部幅LWを、夫々、予め用意した複数の明部幅LWPとする一方、複数の暗部幅BWを互いに同じピクセル数や互いに同じ比率で変更すればよい。また、投影画像60Dのように1つの明部62を背景として複数の暗部64によるパターンが形成された画像を使用する場合、投影準備処理において、暗部幅BWを互いに同じピクセル数や互いに同じ比率で変更すればよい。
図11及び図15を参照すると、前述したように、撮影準備処理において、露光時間及び感度を1段階ずつ変更することによって、検査処理における露光時間及び感度を確実に取得できる。一方、この方法によれば、撮影準備処理の処理時間が長くなる。撮影準備処理の処理時間を短縮するという観点から、撮影準備処理を図17に示されるように変形してもよい。以下、図17の撮影準備処理について説明する。
図17を図11と併せて参照すると、まず、処理装置20は、撮影パラメータ(露光時間及び感度)に、予め定めた初期値を設定する(S1710)。露光時間及び感度の初期値は、撮影装置50における標準的な露光時間及び感度であり、撮影装置50によって異なる。露光時間の初期値は、例えば1000μs程度とすればよく、感度の初期値は、例えば0dB程度とすればよい。次に、処理装置20は、投影装置40によって、対象表面80Sに投影画像60を投影し、撮影装置50によって撮影画像70を撮影する(S1712)。投影画像60の明部62は、前述した所定の明部幅LWP(例えば10〜20ピクセル程度の値)を有している。一方、投影画像60の暗部幅BWは、例えば10〜20ピクセル程度とすればよい。
次に、処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みか否か判定する(S1714)。処理装置20は、対象表面80Sに明部62又は暗部64を未投影な位置がある場合(S1714でNOの場合)、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトし(S1716)、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して撮影する(S1712)。
処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みである場合(S1714でYESの場合)、撮影装置50が撮影した2以上の撮影画像70によってMAX画像70X(図6参照)を作成し、これにより所定位置78における輝度の最大値である最大輝度を取得する(S1718)。次に、処理装置20は、最大輝度を初めて取得したか否か(即ち、S1718の処理を行うのが1回目であるか否か)判定する(S1720)。
処理装置20は、最大輝度を初めて取得した場合(S1720でYESの場合)、取得した最大輝度は、予め設定した目標輝度に対して予め設定した許容誤差の範囲内にあるか否か判定する(S1722)。処理装置20は、最大輝度が目標輝度に対して許容誤差の範囲内にある場合(S1722でYESの場合)、処理を終了し、このとき設定していた撮影パラメータを投影準備処理又は検査処理の撮影パラメータとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、最大輝度が目標輝度に対して許容誤差の範囲外である場合(S1722でNOの場合)、最大輝度と目標輝度との差に基づき撮影パラメータを補正する。より具体的には、露光時間を長くするほど最大輝度が高くなり、感度を高くするほど最大輝度が高くなるはずである。そこで、処理装置20は、例えば、以下の撮影パラメータ補正式1又は撮影パラメータ補正式2によって撮影パラメータを補正して、補正後の撮影パラメータを得る。処理装置20は、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して、補正後の撮影パラメータによって撮影する(S1712)。
[撮影パラメータ補正式1]露光時間が設定可能な最大値に達していない場合
補正後の露光時間=補正前の露光時間+(目標輝度−最大輝度)/2×α:但し、α=露光時間の設定可能範囲(14000)/撮影画像70の階調数(256)
補正後の感度=補正前の感度
[撮影パラメータ補正式2]露光時間が設定可能な最大値に達している場合
補正後の露光時間=補正前の露光時間
補正後の感度=補正前の感度+(目標輝度−最大輝度)/2×β:但し、β=アナログゲインの設定可能範囲(24)/撮影画像70の階調数(256)
処理装置20は、2回目以降(i回目)の最大輝度の取得処理(S1718)を行った場合(S1720でNOの場合)、最大輝度を取得したのはN回目であるか否か(即ち、i=Nであるか否か)判定する(S1726)。Nは、予め設定した最大試行回数であり、2以上の整数である。Nを大きくすることで、目標輝度により近い最大輝度が得られる一方、処理時間が長くなる。従って、Nは、欠陥の検出にあたって要求される検出精度と、要求される応答速度とに応じて設定すればよい。例えば、Nは、5〜15程度に設定すればよい。処理装置20は、i≧Nである場合(S1726でYESの場合)、処理を終了し、このとき設定していた撮影パラメータを投影準備処理又は検査処理の撮影パラメータとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、i<Nである場合(S1726でNOの場合)、i回目に取得した最大輝度は、目標輝度に対して許容誤差の範囲内にあるか否か判定する(S1728)。処理装置20は、最大輝度が目標輝度に対して許容誤差の範囲内にある場合(S1728でYESの場合)、処理を終了し、このとき設定していた撮影パラメータを投影準備処理又は検査処理の撮影パラメータとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、最大輝度が目標輝度に対して許容誤差の範囲外である場合(S1728でNOの場合)、i回目に取得した最大輝度は、前回(i−1回目)の最大輝度に対して、予め設定した極小値の範囲内にあるか否か(即ち、最大輝度が測定誤差を考慮して実質的に変化しているか否か)判定する(S1730)。極小値は、測定誤差よりも大きな値とすればよく、例えば、2〜8程度とすればよい。処理装置20は、最大輝度が実質的に変化していない場合(S1730でYESの場合)、処理を終了し、前回設定していた撮影パラメータを投影準備処理又は検査処理の撮影パラメータとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、最大輝度が実質的に変化している場合(S1730でNOの場合)、最大輝度、前回(i−1回目)の最大輝度、前回(i−1回目)の撮影パラメータ及び目標輝度に基づき今回(i回目)の撮影パラメータを補正する。より具体的には、処理装置20は、例えば、以下の撮影パラメータ補正式3又は撮影パラメータ補正式4によって今回の撮影パラメータを補正して、補正後(i+1回目)の撮影パラメータを得る。処理装置20は、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して、補正後の撮影パラメータによって撮影する(S1712)。
[撮影パラメータ補正式3]露光時間が設定可能な最大値に達していない場合
補正後の露光時間=前回(i−1回目)の露光時間+(今回の露光時間−前回の露光時間)×{(目標輝度−前回の最大輝度)/(今回の最大輝度−前回の最大輝度)}
補正後の感度=補正前の感度
[撮影パラメータ補正式4]露光時間が設定可能な最大値に達している場合
補正後の露光時間=今回(i回目)の露光時間
補正後の感度=前回(i−1回目)の感度+(今回の感度−前回の感度)×{(目標輝度−前回の最大輝度)/(今回の最大輝度−前回の最大輝度)}
図17の撮影準備処理によれば、処理時間を短縮しつつ、適切な撮影パラメータが得られる。特に、より調整し易い露光時間を優先的に調整しつつ、感度を併せて調整できる。但し、上述した撮影準備処理(特に、撮影パラメータ補正式1〜4)は、例示に過ぎず、撮影準備処理は、最大輝度を目標輝度に近づけるように補正できる限り、様々に変形可能である。
図11及び図16を参照すると、前述したように、投影準備処理において、暗部幅BWを1ピクセルずつ変更することによって、検査処理における暗部幅BWDを確実に取得できる。一方、この方法によれば、投影準備処理の処理時間が長くなる。投影準備処理の処理時間を短縮するという観点から、投影準備処理を図18に示されるように変形してもよい。以下、図18の投影準備処理について説明する。
図18を図11と併せて参照すると、まず、処理装置20は、暗部幅BWに初期値を設定する(S1810)。次に、処理装置20は、投影装置40によって、対象表面80Sに投影画像60を投影し、撮影装置50によって撮影画像70を撮影する(S1812)。投影画像60における明部62は、撮影準備処理と同じ明部幅LWPを有している。投影画像60における暗部幅BWの初期値は、撮影準備処理で使用した暗部幅BWとすればよい。また、撮影装置50の撮影パラメータ(露光時間及び感度)は、撮影準備処理で取得した値とすればよい。
次に、処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みか否か判定する(S1814)。処理装置20は、対象表面80Sに明部62又は暗部64を未投影な位置がある場合(S1814でNOの場合)、投影画像60をシフト方向に沿ってシフトし(S1816)、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して撮影する(S1812)。
処理装置20は、対象表面80Sの全ての位置に明部62及び暗部64を投影済みである場合(S1814でYESの場合)、撮影装置50が撮影した2以上の撮影画像70によってSSMM画像70S(図6参照)を作成し、これにより所定位置78における輝度の最大値と最小値との差であるコントラストを取得する(S1818)。次に、処理装置20は、コントラストを初めて取得したか否か(即ち、S1818の処理を行うのが1回目であるか否か)判定する(S1820)。
処理装置20は、コントラストを初めて取得した場合(S1820でYESの場合)、暗部幅BWに所定の最大値を設定し(S1822)、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して撮影する(S1712)。所定の最大値は、例えば、以下の最大暗部幅算出式によって計算すればよい。
[最大暗部幅算出式]
最大値=明部幅LW×(S1812〜S1816の処理における投影画像60の撮影回数−1)/最大シフト量=例えば、投影画像60の各撮影において明部幅LWの1/2だけ投影画像60をシフトする場合、明部幅LW×(10−1)/2
処理装置20は、2回目以降(i回目)のコントラストの取得処理(S1818)を行った場合(S1820でNOの場合)、コントラストを取得したのはM回目であるか否か(即ち、i=Mであるか否か)判定する(S1824)。Mは、予め設定した最大試行回数であり、2以上の整数である。Mを大きくすることで、欠陥をより検出し易いコントラスが得られる一方、処理時間が長くなる。従って、Mは、欠陥の検出にあたって要求される検出精度と、要求される応答速度とに応じて設定すればよい。例えば、Mは、5〜15程度に設定すればよい。処理装置20は、i≧Mである場合(S1824でYESの場合)、処理を終了し、前回(i−1回目に)設定していた暗部幅BWを検査処理における暗部幅BWDとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、i<Nである場合(S1824でNOの場合)、i回目に取得したコントラスは、目標コントラスに対して許容誤差の範囲内にあるか否か判定する(S1826)。処理装置20は、コントラスが目標コントラスに対して許容誤差の範囲内にある場合(S1826でYESの場合)、処理を終了し、このとき設定していた暗部幅BWを検査処理における暗部幅BWDとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、コントラスが目標コントラスに対して許容誤差の範囲外である場合(S1826でNOの場合)、i回目に取得したコントラスは、前回(i−1回目)のコントラスに対して、予め設定した極小値の範囲内にあるか否か(即ち、コントラスが測定誤差を考慮して実質的に変化しているか否か)判定する(S1828)。極小値は、測定誤差よりも大きな値とすればよく、例えば、2〜8程度とすればよい。処理装置20は、コントラスが実質的に変化していない場合(S1828でYESの場合)、処理を終了し、前回設定していた暗部幅BWを検査処理における暗部幅BWDとして使用する(図14参照)。
処理装置20は、コントラスが実質的に変化している場合(S1828でNOの場合)、暗部幅BWを、コントラストが高くなるように、前回の暗部幅BWとの差の1/2だけ加減する(S1830)。詳しくは、処理装置20は、以下の暗部幅補正式1又は暗部幅補正式2によって今回の暗部幅BWを補正し(S1830)、再び、対象表面80Sに投影画像60を投影して撮影する(S1812)。
[暗部幅補正式1]コントラストが前回に比べて増加した場合
補正後の暗部幅BW=今回の暗部幅BW+(今回の暗部幅BW−前回の暗部幅BW)/2
[暗部幅補正式2]コントラストが前回に比べて減少した場合
補正後の暗部幅BW=今回の暗部幅BW−(今回の暗部幅BW−前回の暗部幅BW)/2
図18に示した投影準備処理によれば、処理時間を短縮しつつ、適切な暗部幅BWDが得られる。但し、上述した投影準備処理(特に、最大暗部幅算出式及び暗部幅補正式1、2)は、例示に過ぎず、投影準備処理は、コントラストを目標コントラストに近づけるように補正できる限り、様々に変形可能である。