実施の形態1.
以下、本実施形態1の白色干渉方式の表面段差測定装置と、その表面段差測定装置を用いた表面段差測定方法の一例として液晶表示装置におけるカラーフィルタの形成されるカラーフィルタ基板(以下、CF基板)120上に設けられた柱状スペーサPSの高さを測定する測定方法について説明を行う。
まず、本実施形態1の表面段差測定装置200の構成について、図1を参照して説明する。なお、本明細書における図は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。また、以降の図においては、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。ここで、被測定物としては、液晶表示装置に用いられるCF基板120であり、測定対象の段差としては、このCF基板120表面に形成される微小形状の突起である柱状スペーサPSとCF基板120表面との間に形成される段差、つまり、CF基板120表面を基準とした微小形状部である柱状スペーサPSの高さである。
表面段差測定装置200は、図1に示す様に、CF基板120を載せるステージSTと、水平に対して45°に傾斜させたハーフミラーHMと、このハーフミラーHMの側方に配置されるハロゲンランプを用いた白色光光源LSと、このハーフミラーHMの上方に配置される結像レンズLZCと、結像レンズLZCの上方に配置されるイメージセンサとしてのCCD素子CCと、切り替え機構(図示省略)を備えてハーフミラーHMの下方において切り替え可能に設けられる2つの干渉計ユニットである低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbとをそれぞれ備えて構成される。なお、ここでは、CCD素子CCの解像度としては、一般的な解像度となる1024×1024のタイプとした。
また、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbについては、図1においては、低倍干渉計ユニットIMUaがハーフミラーHMおよびCCD素子CCの下方に配置されて、低倍干渉計ユニットIMUaを介した光をCCD素子CCが受光する状態を示しているが、図1中に双方向の矢印で示したとおり、高倍干渉計ユニットIMUbがハーフミラーHMおよびCCD素子CCの下方に配置されるように配置を切り替えることができる構成とされている。切り替え機構としては、具体的には、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbを互いに水平方向に並列配置してスライド機構により交換する方法や、光学顕微鏡における対物レンズの倍率切り替えに一般的に採用される回転式の対物レンズの切り替え機構(レボルバ)の様に、両者を互いに点対称に配置して回転機構により交換する方法などが選択できる。
更に、これら低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbの詳細な構成としては、基本的には、両者ともにミロー式干渉計(Mirau interferometer)を用いたものであり、低倍干渉計ユニットIMUaにおいては、ハーフミラーHMおよびCCD素子CCの下方に配置される状態において、ハーフミラーHMの下方に配置される低倍率用の対物レンズLZ1aと、対物レンズLZ1aの下方に水平に配したビームスプリッタBSaおよびこのビームスプリッタBSaと対物レンズLZ1a間に配置した微小な反射ミラーRMaからなる干渉計IMaと、この干渉計IMaを光軸方向に微小移動することで測定光路(測定距離)を可変するピエゾアクチュエータ(図示省略)をそれぞれ備えて構成される。高倍干渉計ユニットIMUbについても、低倍率用の対物レンズLZ1aに換えて高倍率用の対物レンズLZ1bを備える点が異なるが、他の構成は低倍干渉計ユニットIMUaと同様の構成であるビームスプリッタBSbおよび微小な反射ミラーRMbからなる干渉計IMbを備えて構成される。
また、表面段差測定装置200は、以上説明を行った白色光光源LS、CCD素子CC、低倍干渉計ユニットIMUaおよび高倍干渉計ユニットIMUbにより構成される測定光学系と、CF基板120を載せるステージSTについて、CF基板120表面における所望の測定対象となる柱状スペーサPSと上記測定光学系の位置を一定の位置関係に相対移動するために、測定光学系かステージSTの何れかをXY軸方向(CF基板120の表面に対し平行な方向)に移動する移動機構を備える。
更に、表面段差測定装置200は、コンピュータ処理機能を内蔵した制御ユニットCUを備えており、表面段差測定装置200の測定方法のための各構成の移動に関するシーケンス制御や所定のデータ処理などを実行する。また、制御ユニットCUは、上記のシーケンス制御を行う動作制御ユニットや、CCD素子CCから得る信号を処理(画像処理)する信号処理部、測定状態を監視する表示画面(モニタ画面)DSPを備える。
次に、本実施形態1における表面段差測定装置200を用いてCF基板120上の柱状スペーサPSの高さを測定する動作(作用)について、図2〜図8を用いて説明を行う。まず、被測定物となるCF基板120の構造について、図2のCF基板120についての平面図を用いて簡単に説明を行う。
図2に示すとおり、一般的な液晶表示装置の製造工程の途中で行われる柱状スペーサPSの高さ測定工程における被測定物として用いられるCF基板120は、透明基板であるガラス基板121表面に、赤、緑、青などの特定の波長範囲の光を選択的に透過するフィルタであるカラーフィルタ124(それぞれ赤、緑、青に対応して、カラーフィルタ124R、124G、124Bとする)と、これら複数のカラーフィルタ124R〜124B間を遮光する遮光層であるブラックマトリクス(Black Matrix:BM)125と、測定対象となる柱状スペーサPSが形成されている。なお、詳細には、CF基板120表面においては、柱状スペーサPSよりも下層であって、カラーフィルタ124R〜124B、BM125の表面を覆い配置される透明導電膜よりなる共通電極が形成される。ここで測定される柱状スペーサPSの高さは、正確に言えば、この共通電極表面からの高さとなるが、高さ測定自体には大きく影響しないことから、ここでは共通電極の図示を省略している。
また、図示されるとおり、測定対象となる柱状スペーサPSは、カラーフィルタ124R〜124Bの3つの画素のカラーフィルタ124より構成される一つの絵素に対して、1ヵ所(1個)の割合で柱状スペーサPSが配置されている。更に、この柱状スペーサPSのうち、1つの柱状スペーサPSxを測定対象とした場合を例にとって、以下説明を行う。
次に、本実施形態1における表面段差測定装置200による柱状スペーサPSの高さ測定における動作の特徴としては、低倍率用の対物レンズLZ1aを備えた低倍干渉計ユニットIMUaによって、ミロー式干渉計の動作原理を用いて柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲内のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイル(相対的な高さデータ)を得る工程と、高倍率用の対物レンズLZ1bを備えた高倍干渉計ユニットIMUbによって、ミロー式干渉計の動作原理を用いて柱状スペーサPSxのごく近傍の範囲内のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得る工程と、それぞれ得られた2種類の三次元表面形状プロファイルのデータを所定の信号処理方法を用いて合成することにより、1つの三次元表面形状プロファイルのデータを生成する工程と、得られた1つの三次元表面形状プロファイルのデータより、柱状スペーサPSの高さHpsに相当するデータを抽出する工程とを備えることにある。
各工程に関して、より具体的に説明を行うと、低倍干渉計ユニットIMUaによって三次元表面形状プロファイルを得る工程と、高倍干渉計ユニットIMUbによって三次元表面形状プロファイルを得る工程については、特に実施する順番、つまり、何れを先に行っても良いが、ここでは、先ず、低倍干渉計ユニットIMUaによって三次元表面形状プロファイルを得る工程より説明を行う。
低倍干渉計ユニットIMUaによって三次元表面形状プロファイルを得る工程においては、先にCF基板120の説明に用いた図2において、測定対象となる柱状スペーサPSxに対して、近傍の概ね1絵素(絵素は赤、緑、青の3つの画素を単位とする)から2絵素単位の範囲として、点線で囲われた測定領域a1に対して、低倍干渉計ユニットIMUaと表面段差測定装置200により三次元表面形状プロファイルを抽出する。また、図3の模式図にて、表面段差測定装置200において、この低倍干渉計ユニットIMUaを用いた測定において要部の構成となる低倍率用の対物レンズLZ1aおよびCCD素子CCと、測定対象となる柱状スペーサPSxとCF基板120の位置関係を示す。なお、図3は、図2に示した断面線X1−X2での断面図に概ね対応した模式図としているが、柱状スペーサPSx自体は断面線X1−X2上に配置されていないので正確な断面図を示すものではなく、表面段差測定装置200における測定範囲と柱状スペーサPSxを含むCF基板120との垂直方向での位置関係を説明するために側面図的に図示されたものである。
この低倍干渉計ユニットIMUaを用いて行う測定の測定領域a1は、図2に示されるとおり、柱状スペーサPSxを含んだ領域であって、カラーフィルタ124Rからカラーフィルタ124G、カラーフィルタ124B、次の繰り返し単位のカラーフィルタ124Rまでの4行分のカラーフィルタ124と、2列分のカラーフィルタ124の計8つのカラーフィルタ124の領域に設定される。
また、この様に設定したことに関しては次の様な理由がある。図3に示されるとおり、カラーフィルタ124R、カラーフィルタ124G、カラーフィルタ124Bについては、異なる厚みに設定される場合が多いことから、この様に異なる色の配列される方向に4行分に設定することで、測定領域a1における両側で、同じ色のカラーフィルタ124(ここでは、カラーフィルタ124Rと、次の繰り返し単位のカラーフィルタ124R)が配置されることで、これら両側の位置で概ねカラーフィルタ124R〜124Bの形成されるガラス基板121表面からの高さが同じとなる。従って、これら測定領域a1における両側における同じ高さの部分について測定された高さデータを適宜校正に用いることで、CF基板120表面の基準となる面方向が、より正確に特定される。
また、図3において、対物レンズLZ1a部分で交差する2本の点線でCCD素子CCの両端からCF基板120までの光路を示しているが、この2本の点線で挟まれる範囲内が検査範囲に対応するものとして概念的に示しており、2本の点線がCF基板120に当接する部分が、図2に示される測定領域a1の境界を示す点線に対応する。また、この図3中の2本の点線で示されるとおり、カラーフィルタ124Rから、次の繰り返し単位のカラーフィルタ124Rまでの範囲が、CCD素子CCに配列して配置される各検出センサでの抽出データに対応する。
以上の様な位置関係で低倍干渉計ユニットIMUaによって測定領域a1のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得ることになるが、ミロー式干渉計の動作原理を用いて三次元表面形状プロファイルを得る方法についは、公知の方法であることから、図1の各構成の動作として簡単に説明を行う。測定時には、白色光光源LSの白色光が、ハーフミラーHMを介して低倍干渉計ユニットIMUaの低倍率用の対物レンズLZ1aに入射する。白色光は対物レンズLZ1aにより集束されるが、ビームスプリッタBSaにより半分の光量が反射されて反射ミラーRMaに入射するとともに、残りの半分の光量は、ビームスプリッタBSaを透過して下方へ出射する。また、測定領域a1のCF基板120表面を反射した光と反射ミラーRMaを反射した光は、再びビームスプリッタBSaに戻り、ここで干渉縞が発生する。
干渉縞の輝度が最も大きくなるのはビームスプリッタBSaから反射ミラーRMaまでの距離とCF基板120表面で反射した光の光路長が一致する場合である。この干渉縞は結像レンズLZCによりCCD素子CC上に結像する。従って、ピエゾアクチュエータを用いて干渉計IMaを光軸方向に微小移動しながら、干渉計IMaの位置ごとの干渉縞の輝度データを画像として取り込む測定処理を行う。続いて、この測定された干渉計IMaの位置に応じて抽出された画像データから、逆にCCD素子CC上の各検出センサに対応した干渉計IMaの位置ごとの輝度情報のデータに捕らえなおし、各検出センサに対応した干渉中心(輝度が最大)となる干渉計IMaの位置を求めるデータ処理を行う。そして、この輝度が最大となる干渉計IMaの位置をZ軸情報として、CCD素子CC上に二次元マトリクスに配列する各検出センサに対応した二次元XY軸に対してプロットすることで、CF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得ることができる。
続いて、以上の様な測定とデータ処理を行うことで低倍干渉計ユニットIMUaによって得られた測定領域a1のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルについて、図4を用いて説明を行う。先ず、図4(a)は、本実施の形態1における柱状スペーサPSxの高さ測定に関するデータ処理を概念的に説明するため、CF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを柱状スペーサPSxの段差部分を含んだ二次元形状プロファイルlp1に簡略化して示したもので、CCD素子CCの検出センサの一次元の素子数である1024個に対応した位置、P1,P2〜P1024で示している。また、図4(b)は、より正確に測定領域a1のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルLp1を現したもので、図4(a)との対応関係としては、図4(b)におけるP1,P2〜P1024を付した実線で示される二次元形状プロファイルlp1が、図4(a)に該当することになる。
また、この低倍干渉計ユニットIMUaにより得られるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルLp1については、このまま、このデータにおける柱状スペーサPSxの段差部に対応する凹凸プロファイルを柱状スペーサPSxの高さとして用いた場合には、一般的な従来の白色干渉方式の表面段差測定装置での測定データと同様となる。この低倍干渉計ユニットIMUaにより得られる三次元表面形状プロファイルLp1では、図4(a)に示される二次元形状プロファイルlp1、図4(b)に示される三次元表面形状プロファイルLp1の柱状スペーサPSxの段差部に対応する凹凸プロファイル部分において、特に柱状スペーサPSxの端部に相当する部分において鈍った形状となっている。これは、柱状スペーサPSxが微細な場合、具体的には、概ね1絵素から2絵素単位の範囲に設定される測定領域a1と比較して柱状スペーサPSxの占める比率が小さい場合においては、柱状スペーサPSx部分に対応するCCD素子CCの各検出センサの実質的な解像度が不十分となることで顕著となる。
本実施の形態1の表面段差測定装置200による柱状スペーサPSxの高さ測定の場合には、この低倍干渉計ユニットIMUaにより得られる三次元表面形状プロファイルLp1をそのまま用いるのではなく、上記説明した低倍干渉計ユニットIMUaによって三次元表面形状プロファイルを得る工程とは別途行われる高倍干渉計ユニットIMUbによって三次元表面形状プロファイルを得る工程により得られた三次元表面形状プロファイルのデータも活用して、柱状スペーサPSxの高さ測定が行われる。続いて、この高倍干渉計ユニットIMUbによって三次元表面形状プロファイルを得る工程について説明を行う。
高倍干渉計ユニットIMUbによって三次元表面形状プロファイルを得る工程おいては、CF基板120を示す図5(a)において、測定対象となる柱状スペーサPSxに対して、ごく近傍の範囲として、点線で囲われた測定領域a2に対して、高倍干渉計ユニットIMUbと表面段差測定装置200により三次元表面形状プロファイルを抽出する。また、図5(b)の模式図にて、表面段差測定装置200において、この高倍干渉計ユニットIMUbを用いた測定において要部の構成となる高倍率用の対物レンズLZ1bおよびCCD素子CCと、測定対象となる柱状スペーサPSxとCF基板120の位置関係を示す。
この高倍干渉計ユニットIMUbを用いて行う測定の測定領域a2は、図5(a)および図5(b)に示されるとおり、柱状スペーサPSxを含んだ領域であって、低倍干渉計ユニットIMUaを用いて行う測定の測定領域a1に比べて、一次元的に言えば1/3程度の長さ範囲、二次元的に言えば1/9程度の面積範囲の領域に設定される。なお、上記の比率は一例であって、当該測定領域の中で、柱状スペーサPSxの占める領域と、高さ測定の基準となる柱状スペーサPSx以外のCF基板120表面が占める領域の割合について、ある程度、両者の高さについての正確な情報が得られることが必要なことから、一次元的に言えば1対1程度の長さ比率、二次元的に言えば1対3程度の面積比率か、それ以上の比率を柱状スペーサPSx以外のCF基板120表面が占める程度の拡大率で高倍干渉計ユニットIMUbを用いて行う測定の測定領域が設定されることが好ましい。
以上の様な位置関係で高倍干渉計ユニットIMUbによって測定領域a2のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得ることになるが、三次元表面形状プロファイルを得る動作原理については、先に説明した低倍干渉計ユニットIMUaによる測定と同様であることから説明を省略する。以上の様に低倍干渉計ユニットIMUaを用いた場合と同様に高倍干渉計ユニットIMUbによって測定とデータ処理を行うことによって得られた測定領域a2におけるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルについて、図6を用いて説明を行う。
図6(a)および図6(b)は、図4(a)および図4(b)と同様に、それぞれ、測定領域a1のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルについて、柱状スペーサPSxの段差部分を含んだ二次元形状プロファイルhp1に簡略化して示したものと、より正確に測定領域a2のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルHp1を現したものであり、図6(a)および図6(b)の対応関係についても、図6(b)におけるP1,P2〜P1024を付した実線で示される二次元形状プロファイルhp1が、図6(a)に該当することになる。
また、この高倍干渉計ユニットIMUbにより得られるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルHp1では、図6(a)に示される二次元形状プロファイルhp1、図6(b)に示される三次元表面形状プロファイルHp1の柱状スペーサPSxの段差部に対応する凹凸プロファイル部分において、柱状スペーサPSxの端部に相当する部分も含めて、柱状スペーサPSxの形状をより正確に再現した形状となっている。これは、柱状スペーサPSx部分に対応するCCD素子CCの各検出センサの実質的な解像度が向上したことによるものである。
続いて、上記説明のとおり、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbによりそれぞれ得られた三次元表面形状プロファイルLp1と三次元表面形状プロファイルHp1の2種類の三次元表面形状プロファイルのデータを所定の信号処理方法を用いて合成することにより、1つの三次元表面形状プロファイルのデータを生成する工程について、図7および図8を用いて説明する。なお、以下で説明する所定の信号処理については、表面段差測定装置200が備えるCCD素子CCから得る信号を処理(画像処理)する信号処理部を有する制御ユニットCUが行う。
先ずは、低倍干渉計ユニットIMUaより得られた三次元表面形状プロファイルLp1について、柱状スペーサPSxの大きさ(平面方向でのサイズ)に対して実質的な解像度が不十分である柱状スペーサPSx部分については、先に説明した合成データには活用せず、データを削除する処理行う。具体的には、図7(a)では、説明簡略化のため、二次元形状プロファイルlp1で、この削除処理を説明するが、図示される様に、二次元形状プロファイルlp1より、CCD素子CCの検出センサの一次元の素子数である1024個に対応した位置、P1,P2〜P1024のうち、柱状スペーサPSx近傍の測定データとなるPn〜Pn+340の341個のデータを削除するデータ処理を行い、二次元形状プロファイルnlpが得られる(なお、nは、上記の柱状スペーサPSx近傍の測定データの範囲に対応した素子位置で決まる任意の整数である)。二次元形状プロファイルnlpにおいては、P1〜Pn−1,Pn+341〜P1024のデータを有していることとなる。
なお、この削除する範囲は、高倍干渉計ユニットIMUbより得られたデータを後に割り当てて合成を行うことから、高倍干渉計ユニットIMUbの測定領域a2に対応させる。本実施の形態1の例では、低倍干渉計ユニットIMUaの測定領域a1に対して一次元的に言えば1/3程度の長さ範囲としていることから、ここでは、1024個のP1〜P1024のデータのうち、概ね1/3となる341個のデータとして設定している。適宜、低倍干渉計ユニットIMUaの測定領域a1に対する高倍干渉計ユニットIMUbの測定領域a2の比率に応じて削除範囲を決定すれば良い。
実際のデータ処理としては低倍干渉計ユニットIMUaより得られたデータは、図7(b)で示したとおり、三次元表面形状プロファイルLp1であることから、その三次元表面形状プロファイルLp1より、柱状スペーサPSx近傍の1/9程度の面積範囲の測定データを削除し、図7(b)に示されるとおり、三次元表面形状プロファイルNLp1が得られる。
続いて、図8(a)に示すとおり、二次元形状プロファイルnlpのデータに対して、高倍干渉計ユニットIMUbより得られた二次元形状プロファイルhp1のデータを合成する。合成するに際して、両者のデータは、倍率の違い、即ち、測定領域a1と測定領域a2の違いから実質的な解像度が異なるデータとなっていることから、解像度を一致させて合成するのが良い。基本的には、一方のデータの解像度を他方のデータの解像度に併せ込む方法が選択できるが、ここでは、CCD素子CCの解像度に対しての柱状スペーサPSxの大きさ(平面方向でのサイズ)が比較的大きいことから、ある程度正確に測定された高倍干渉計ユニットIMUbより得られた二次元形状プロファイルhp1のデータの方の解像度を落とし、一次元的に言えば1/3、二次元的に言えば1/9のデータ数に変換して、PSx近傍のデータが削除された二次元形状プロファイルnlpにおける柱状スペーサPSx近傍のデータに当てはめる。
より具体的には、合成された二次元形状プロファイルhlpを図8(a)に示しているが、二次元形状プロファイルhlpにおける1024個データとなるXP1,XP2〜XP1024に対して、XP1〜XPn−1,XPn+341〜XP1024のデータについては、二次元形状プロファイルnlpにおけるP1〜Pn−1,Pn+341〜P1024のデータをそのまま当てはめる。更に、XPn〜XPn+340のデータについては、二次元形状プロファイルhp1における1024個のP1,P2〜P1024のデータについて、341個のXPn〜XPn+340データ数に併せて、データ圧縮処理を行う。圧縮処理としては、単純に3個の素子ごとのデータをXPn〜XPn+340に対して順に割り当てるか、或いは、隣接した3個の素子単位で平均値をXPn〜XPn+340に対して順に割り当てても良い。より、高度な演算を行って高精度な圧縮処理を行うとすれば、例えば、P1,P2〜P1024のデータより、データ間を補間外挿した仮想的な連続曲線データを作成した後、再度、341個の等間隔に分割して、XPn〜XPn+340に対して割り当てても良い。
また、高倍干渉計ユニットIMUbより得られたデータと低倍干渉計ユニットIMUaより得られたデータは異なる光学系より得られたデータであることから、解像度以外に、高さ絶対値や水平度がずれている場合がある。そこで、図8(a)において、二次元形状プロファイルnlpと二次元形状プロファイルhp1における両者を合成する際の境界部付近のデータについて、図中点線の楕円形で囲われた領域で、それぞれ、二次元形状プロファイルnlpにおいては、境界領域Ba11、境界領域Ba12と、二次元形状プロファイルhp1においては、境界領域Ba21、境界領域Ba22とで示しているが、これら境界領域において、合成した際に互いに隣接される領域間のデータをレベル併せする処理を行うと良い。
具体的には、二次元形状プロファイルhp1のP1,P2〜P1024のデータより、XPn〜XPn+340に変換処理する際に、先に説明を行った解像度の変換処理を行ったのち、例えば、二次元形状プロファイルnlp側における境界領域Ba11における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値に対して、隣接する二次元形状プロファイルhp1側の境界領域Ba21における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値を比較して、両者を一致させる補正値を二次元形状プロファイルhp1側の境界領域Ba21に設定し、同様に、二次元形状プロファイルnlp側における境界領域Ba12における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値に対して、隣接する二次元形状プロファイルhp1側の境界領域Ba22における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値を比較して、両者を一致させる補正値を二次元形状プロファイルhp1側の境界領域Ba22に設定する。続いて、この様にして得られた二次元形状プロファイルhp1のデータの両端付近の境界領域Ba21および境界領域Ba22における2つの補正値を元にして、二次元形状プロファイルhp1における一端から他端における各データに2つの補正値間で線形に等配分した補正値を順次加えたデータに変換して、XPn〜XPn+340のデータとする。
以上の様にすることで、合成された二次元形状プロファイルhlpにおいて、二次元形状プロファイルnlpからのXP1〜XPn−1,XPn+341〜XP1024のデータに対して、二次元形状プロファイルhp1からのXPn〜XPn+340が、境界部で、概ね段差なくつながるとともに、XPn〜XPn+340自体も連続したデータとなる。なお、上記のデータ処理に関する説明は、理解し易くするために、二次元形状プロファイルで行ったたが、三次元プロファイルに対しても、処理するデータがマトリクスデータとなるだけで、同様のデータ処理、すなわち、三次元表面形状プロファイルHp1のデータに対しての解像度の変換処理とレベル併せ処理を行い、三次元表面形状プロファイルNLp1に対して合成する処理を行うことができ、図8(b)に示すとおり、合成された三次元表面形状プロファイルHLp1を得ることができる。
以上の様にして得られた、三次元表面形状プロファイルHLp1においては、柱状スペーサPSxの端部に相当する部分も含めて、柱状スペーサPSxの形状をより正確に再現したデータとなっているとともに、CF基板120表面における柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲の少なくとも複数の画素における同一の色のカラーファイルタ(本実施形態1ではカラーフィルタ124Rと、次の繰り返し単位のカラーフィルタ124R)の形成領域を含んだ測定データとなっている。
従って、これら三次元表面形状プロファイルHLp1を用いて、例えば、測定領域a1における両側における同じ高さの部分について測定された高さデータを適宜校正に用いてCF基板120表面の基準となる面方向を特定したうえで、当該面方向に対して垂直方向を高さ方向の基準として、柱状スペーサPSxを含まない領域範囲を指定して、当該領域内の平均高さを算出し、柱状スペーサPSx形成範囲内の領域範囲を指定して、当該領域内の平均高さを算出し、これらの平均高さの差を取るなど、一般的な公知の表面段差測定装置でも行われるデータ処理を行うことより、柱状スペーサPSxの高さを導出することができる。
また、上記説明においては、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbによりそれぞれ得られた三次元表面形状プロファイルLp1と三次元表面形状プロファイルHp1の2種類の三次元表面形状プロファイルのデータを合成するに際して、低倍干渉計ユニットIMUaより得られたデータの解像度に、高倍干渉計ユニットIMUbより得られた高解像度のデータを併せる信号処理を行った例を用いたが、CCD素子の解像度が低い場合や、更に、柱状スペーサの大きさ(平面方向でのサイズ)が比較的大きい場合など、解像度が高い合成データを得る必要がある場合には、高倍干渉計ユニットIMUbより得られたデータを解像度どおり合成データに用いて、低倍干渉計ユニットIMUaより得られたデータの方に対して、データ間に補間データを入れるなど、仮想的に解像度を高くするデータ処理を行って、高倍干渉計ユニットIMUbより得られたデータの解像度に併せる変換処理を行うと良い。
以上説明のとおり、本実施の形態1の表面段差測定装置200においては、高倍干渉計ユニットIMUbによって、測定対象となる段差部である柱状スペーサPSxに対して近傍の柱状スペーサPSx部分を含んだ測定領域a1において、CF基板120表面の三次元表面形状プロファイルHp1を得る工程と、低倍干渉計ユニットIMUaより得られた三次元表面形状プロファイルLp1より柱状スペーサPSx近傍の測定データを削除して、少なくとも測定領域a1に隣接した領域を含んだ領域である測定領域a2より測定領域a1を除いた測定領域についてのCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルNLp1を得る工程と、これら、三次元表面形状プロファイルHp1と三次元表面形状プロファイルNLp1を合成して、少なくとも柱状スペーサPSx近傍については三次元表面形状プロファイルHp1の比較的高い解像度のデータにもとづいた測定領域a1におけるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルHLp1を得る工程と、この三次元表面形状プロファイルHLp1より柱状スペーサPSxの高さを導出する工程を含んでいる。以上の方法を採用することにより、本実施の形態1の表面段差測定装置200と表面段差測定方法においては、測定対象となる柱状スペーサPSxの画素と比較しての大きさ(平面方向でのサイズ)が比較的小さい場合や、測定装置のコスト面や技術面から、高解像度のCCD素子を用いられない場合においても、柱状スペーサPSxの高さを正確に測定することができる。
なお、上記説明を行った実施の形態1の表面段差測定装置200においては、柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲内の三次元表面形状プロファイルを得る工程と柱状スペーサPSxのごく近傍の範囲内の三次元表面形状プロファイルを得る工程の切り替えを、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbの切り替えにより行う例を用いて説明を行ったが、基本的には対物レンズ以外の光学系については実質的に同じ条件、構成で、倍率のみを変えて測定することができれば良いことから、例えば、低倍率用の対物レンズLZ1aと高倍率用の対物レンズLZ1bのみを切り替えする装置構成としても良く、この様な構成においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、実施の形態1の表面段差測定装置200においては、低倍干渉計ユニットIMUaと高倍干渉計ユニットIMUbの2種類の倍率の対物レンズを含む光学系を備えた装置構成とした例を用いて説明を行ったが、装置としては、3種類以上の倍率の対物レンズ、或いは、その対物レンズを含む光学系を備えた構成として、柱状スペーサPSxの大きさ(平面方向でのサイズ)や画素における占める比率などに応じて、適当な2種類の異なる倍率の対物レンズ或いは光学系を選択して、その2種類の対物レンズ或いは光学系を順に切り替えて、実施の形態1と同様の測定を行っても良く、この様な構成においても、実施の形態1と同様の効果が得られ、より最適な測定が選択できる点で、より好ましい。
実施の形態2.
続いて、本実施形態2の白色干渉方式の表面段差測定装置と、その表面段差測定装置を用いた段差測定方法の一例として液晶表示装置におけるカラーフィルタの形成されるCF基板120上に設けられた柱状スペーサPSの高さを測定する測定方法について説明を行う。なお、ここでは、実施の形態1からの変更点に重点をおいて説明を行う。
まず、本実施形態2の表面段差測定装置300の構成について、図9を参照して説明する。実施形態2においても、液晶表示装置に用いられるCF基板120を被測定物とし、CF基板120上に形成される柱状スペーサPSの高さを測定する例で説明を行う。
本実施形態2の表面段差測定装置300は、図9に示す様に、CF基板120を載せるステージSTと、水平に対して45°に傾斜させたハーフミラーHMと、このハーフミラーHMの側方に配置されるハロゲンランプを用いた白色光光源LSと、このハーフミラーHMの上方に配置される結像レンズLZCと、結像レンズLZCの上方に配置されるイメージセンサとしてのCCD素子CCとを備える点は、実施の形態1の表面段差測定装置200と同様である。本実施形態2の表面段差測定装置300においては、ハーフミラーHMの下方において1つの干渉計ユニットIMUを備えて構成される。CCD素子CCの解像度については、実施の形態1の表面段差測定装置200と同様に1024×1024のタイプとした。
更に、干渉計ユニットIMUの詳細な構成としては、実施の形態1の表面段差測定装置200と同様にミロー式干渉計を用いたものであり、ハーフミラーHMおよびCCD素子CCの下方に配置される状態において、ハーフミラーHMの下方に配置される対物レンズLZ2と、対物レンズLZ2の下方に水平に配したビームスプリッタBSおよびこのビームスプリッタBSと対物レンズLZ2間に配置した微小な反射ミラーRMからなる干渉計IMと、この干渉計IMを光軸方向に微小移動することで測定光路(測定距離)を可変するピエゾアクチュエータ(図示省略)をそれぞれ備えて構成される。また、この干渉計ユニットIMUが備える対物レンズLZ2については、実施の形態1の表面段差測定装置200における高倍干渉計ユニットIMUbが備える高倍率用の対物レンズLZ1bと同等の高倍率用の対物レンズを選択している。
また、表面段差測定装置300においても、以上説明を行った白色光光源LS、CCD素子CC、低倍干渉計ユニットIMUにより構成される測定光学系と、CF基板120を載せるステージSTについて、CF基板120表面における所望の測定対象となる柱状スペーサPSと上記測定光学系の位置を一定の位置関係に相対移動するために、測定光学系かステージSTの何れかをXY軸方向(CF基板120の表面に対し平行な方向)に移動する移動機構を備える。
更に、表面段差測定装置300についても、コンピュータ処理機能を内蔵した制御ユニットCUを備えており、表面段差測定装置300の測定方法のための各構成の移動に関するシーケンス制御や所定のデータ処理などを実行する。また、制御ユニットCUは、上記のシーケンス制御を行う動作制御ユニットや、CCD素子CCから得る信号を処理(画像処理)する信号処理部、測定状態を監視する表示画面(モニタ画面)DSPを備える。なお、本実施の形態2の制御ユニットCUが行う各構成の具体的な移動や、所定のデータ処理の具体的な内容については、実施の形態1の制御ユニットCUが行うものとは異なっているが、以下で別途、表面段差測定装置300の測定動作(作用)説明の際に詳細説明を行うことから、ここでは説明を省略する。
次に、本実施形態2における表面段差測定装置300を用いてCF基板120上の柱状スペーサPSの高さを測定する動作(作用)について、図10〜図13を用いて説明を行う。なお、被測定物となるCF基板120の構造については、実施の形態1と同じであることから説明を省略するが、本実施形態2においても、図10に示されるとおり、測定対象となる柱状スペーサPSのうち、1つの柱状スペーサPSxの高さを測定する例について説明を行う。
次に、本実施形態2における表面段差測定装置300による柱状スペーサPSの高さ測定における動作の特徴としては、柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲内のCF基板120表面を測定領域a10として、この測定領域a10について、柱状スペーサPSxを含んだ領域と他の領域(柱状スペーサPSxを含まない領域)からなる複数の測定領域に分割して、個々の測定領域に対応して、柱状スペーサPSxと測定光学系の位置を先に説明を行った移動機構により順に相対移動しながら、高倍率用の対物レンズLZ2を備えた干渉計ユニットIMUによって、ミロー式干渉計の動作原理を用いて、それぞれの測定領域ごとの複数の三次元表面形状プロファイル(相対的な高さデータ)を得る工程と、それぞれ得られた複数の三次元表面形状プロファイルのデータを所定の信号処理方法を用いて合成することにより、1つの三次元表面形状プロファイルのデータを生成する工程と、得られた1つの三次元表面形状プロファイルのデータより、柱状スペーサPSの高さHpsに相当するデータを抽出する工程とを備えることにある。以下で、各工程に関して、より具体的に説明を行う。
先ず、干渉計ユニットIMUによって、複数の測定領域ごとの複数の三次元表面形状プロファイルを得る工程より説明を行う。図10(a)において、測定対象となる柱状スペーサPSxに対して、柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲内の測定領域a10を点線で囲い、複数に分割する境界を一点鎖線で示しており、より詳細には、図10(b)において、測定領域a10と、複数に分割された測定領域a11〜測定領域a33として示している。本実施形態2における表面段差測定装置300においては、一例として、測定領域a10を9つの測定領域(測定領域a11〜測定領域a33)に分割しており、測定領域a22が柱状スペーサPSxを含んだ領域となる。
また、図11の模式図にて、表面段差測定装置300において、この干渉計ユニットIMUa用いた測定において要部の構成となる対物レンズLZ2およびCCD素子CCと、測定対象となる柱状スペーサPSxとCF基板120の位置関係を示す。なお、図11は、図10(a)に示した断面線X1−X2での断面図に概ね対応した模式図としているが、実施の形態1において用いた図3の模式図と同様に正確な断面図を示すものではなく、表面段差測定装置300における測定範囲と柱状スペーサPSxを含むCF基板120との垂直方向での位置関係を説明するために側面図的に図示されたものである。
また、図中において、対物レンズLZ2およびCCD素子CCの構成について、実線で示される部分と破線で示される部分が図示されているが、移動を示す矢印を示しているとおり、各測定領域a11〜測定領域a33に応じて、対物レンズLZ2およびCCD素子CCの構成が、CF基板120上の柱状スペーサPSxに対して相対移動して、順に、個々の測定領域a11〜測定領域a33におけるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得ることになる。
以上の様な位置関係で順に干渉計ユニットIMUによって測定領域a11〜測定領域a33のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得ることになるが、ここでも、実施の形態1における低倍干渉計ユニットIMUa或いは高倍干渉計ユニットIMUbが行うのと同様にミロー式干渉計の動作原理を用いて三次元表面形状プロファイルを得るので良いことから詳細説明は省略する。
続いて、上記説明のとおり、干渉計ユニットIMUを順に相対移動して測定領域を変えて測定を行い、それぞれ得られた複数の三次元表面形状プロファイルのデータを所定の信号処理方法を用いて合成することにより、1つの三次元表面形状プロファイルのデータを生成する工程について、図12および図13を用いて説明する。なお、以下で説明する所定の信号処理については、表面段差測定装置200が備えるCCD素子CCから得る信号を処理(画像処理)する信号処理部を有する制御ユニットCUが行う。
先ず、干渉計ユニットIMUaによって得られた測定領域a11〜測定領域a33のCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルについて、図12を用いて説明を行う。図12は、本実施の形態2における柱状スペーサPSxの高さ測定に関するデータ処理を概念的に説明するため、CF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを柱状スペーサPSxの段差部分を含んだ一列に並んだ測定領域a12,測定領域a22,測定領域a32における二次元形状プロファイルhp2〜hp4に簡略化して示したものである。ここで、図12(a)が、測定領域a12における二次元形状プロファイルhp2を、図12(b)が、測定領域a22における二次元形状プロファイルhp3を、図12(c)が、測定領域a32における二次元形状プロファイルhp4をそれぞれ示したものである。
また、二次元形状プロファイルhp2〜hp4においては、実施の形態1における二次元形状プロファイルlp1や二次元形状プロファイルhp1と同様にCCD素子CCの検出センサの一次元の素子数である1024個に対応した位置、P1,P2〜P1024で示している。
続いて、図13(a)に示すとおり、測定領域a12,測定領域a22,測定領域a32において得られた3つの二次元形状プロファイルhp2〜hp4のデータを所定の信号処理方法を用いて合成し、1つの三次元表面形状プロファイルのデータを生成する。合成するに際して、3つの二次元形状プロファイルhp2〜hp4のデータは、対物レンズLZ2を用いた干渉計ユニットIMUにより共通して測定されることから、倍率に違いがなく、解像度も同じデータとなっていることから、特に解像度を変更する必要がなく、そのまま合成することができる。従って、3つの二次元形状プロファイルhp2〜hp4を合成して形成される二次元形状プロファイルhhpは、1次元的な解像度で言えば、実質的な解像度が3倍の解像度の3072個のデータとなる。
より具体的な合成処理としては、合成された二次元形状プロファイルhhpを図13(a)に示しているが、二次元形状プロファイルhhpにおける3072個データとなるXP1,XP2〜XP3072に対して、XP1〜XP1024のデータについては、二次元形状プロファイルhp2におけるP1〜P1024のデータを、XP1025〜XP2048のデータについては、二次元形状プロファイルhp3におけるP1〜P1024のデータを、XP2049〜XP3072のデータについては、二次元形状プロファイルhp4におけるP1〜P1024のデータを、それぞれ当てはめる。
なお、二次元形状プロファイルhp2〜hp4のデータについては、全て共通の干渉計ユニットIMUにより、測定面に対して水平移動して得られたデータであることから、解像度に加えて水平度も概ね一致し、合成する際に補正をする必要性は低い。必要に応じて補正を行う場合には、例えば、図13(a)において、二次元形状プロファイルhp2〜hp4のデータにおける3つのデータを合成する際の境界部付近のデータについて、図中点線の楕円形で囲われた領域で、それぞれ、二次元形状プロファイルhp2においては境界領域BA11、二次元形状プロファイルhp3においてはBA20とBA21、二次元形状プロファイルhp4においては、境界領域BA30とで示しているが、これら境界領域において、合成した際に互いに隣接される領域間のデータをレベル併せする処理を行うと良い。
具体的には、例えば、柱状スペーサPSx部分を含んだ測定領域a22のデータとなる二次元形状プロファイルhp3をベースとするのであれば、二次元形状プロファイルhp3におけるP1〜P1024のデータについては、XP1025〜XP2048にそのまま当てはめる。更に、二次元形状プロファイルhp2のP1,P2〜P1024のデータより、XP1〜XP1024に変換処理する際に、例えば、二次元形状プロファイルhp2側における境界領域BA11における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値に対して、隣接する二次元形状プロファイルhp3側の境界領域BA20における所定範囲(例えば、10ヶ所程度を規定)の平均値を比較して、両者を一致させる補正値を二次元形状プロファイルhp2側の境界領域BA11を含む全てのデータに、加えたデータに変換して、XP1〜XP1024のデータとする。同様に、二次元形状プロファイルhp4のP1,P2〜P1024のデータより、XP2049〜XP3072に変換処理する際に、隣接する境界領域BA21と境界領域BA30のデータより補正値を算出して、二次元形状プロファイルhp4のデータに加えたデータに変換してXP1〜XP1024のデータとする。
以上の様にすることで、合成された二次元形状プロファイルhhpにおいて、二次元形状プロファイルhp2からのXP1〜XP1024、二次元形状プロファイルhp3からのXP1025〜XP2048、二次元形状プロファイルhp4からのXP2049〜XP3072のそれぞれが、境界部で、概ね段差なくつながった連続したデータとなる。
なお、上記のデータ処理に関する説明は、理解し易くするために、二次元形状プロファイルで行ったたが、三次元プロファイルに対しても、処理するデータがマトリクスデータとなるだけで、同様のデータ処理、すなわち、複数に分割された測定領域a11〜測定領域a33に対応した9つの三次元プロファイルに対して、適宜、レベル併せ処理を行い、互いに合成する処理を行うことができる。以上の様な処理を行うことにより、三次元プロファイルに対しても、図13(b)に示すとおり、3072×3072の解像度のデータよりなる合成された三次元表面形状プロファイルHHp1を得ることができる。
以上の様にして得られた、三次元表面形状プロファイルHHp1においては、柱状スペーサPSxの端部に相当する部分も含めて、柱状スペーサPSxの形状をより正確に再現したデータとなっているとともに、CF基板120表面における柱状スペーサPSx近傍の概ね1絵素から2絵素単位の範囲の少なくとも複数の画素における同じ色のカラーファイルタ(本実施形態1ではカラーフィルタ124Rと、次の繰り返し単位のカラーフィルタ124R)の形成領域を含んだ測定データとなっている。
従って、これら三次元表面形状プロファイルHHp1を用いて、実施の形態1と同様に、例えば、測定領域a11、測定領域a31、測定領域a13、測定領域a33などにおける同じ高さの部分について測定された高さデータを適宜校正に用いてCF基板120表面の基準となる面方向を特定したうえで、当該面方向に対して垂直方向を高さ方向の基準として、柱状スペーサPSxを含まない領域範囲を指定して、当該領域内の平均高さを算出し、柱状スペーサPSx形成範囲内の領域範囲を指定して、当該領域内の平均高さを算出し、これらの平均高さの差を取るなど、一般的な公知の表面段差測定装置でも行われるデータ処理を行うことより、柱状スペーサPSxの高さを導出することができる。
以上説明のとおり、本実施の形態2の表面段差測定装置300においては、高倍干渉計ユニットIMUによって、測定対象となる段差部である柱状スペーサPSxに対して近傍の柱状スペーサPSx部分を含んだ所定領域を測定領域a22として、CF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得る工程と、移動した高倍干渉計ユニットIMUによって、測定領域a22を除いた測定領域11〜測定領域33までの少なくとも測定領域a22に隣接した領域を含む所定領域についてのCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルを得る工程と、これら測定領域11〜測定領域33の全ての三次元表面形状プロファイルを合成して、少なくとも柱状スペーサPSx近傍については高倍干渉計ユニットIMUにより得られた三次元表面形状プロファイルの比較的高い解像度のデータにもとづいた測定領域a10におけるCF基板120表面の三次元表面形状プロファイルHHp1を得る工程と、この三次元表面形状プロファイルHHp1より柱状スペーサPSxの高さを導出する工程を含んでいる。以上の方法を採用することにより、本実施の形態2の表面段差測定装置300と表面段差測定方法においては、測定対象となる柱状スペーサPSxの画素と比較しての大きさ(平面方向でのサイズ)が比較的小さい場合や、測定装置のコスト面から、高解像度のCCD素子を用いられない場合においても、柱状スペーサPSxの高さを正確に測定することができる。
また、本実施の形態2の表面段差測定装置300においては、一つの高倍干渉計ユニットIMUによって、上記作用効果が得られることから、装置構成が単純化され、省スペースにて、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、信号処理において解像度の変換を行う必要がなく、高い解像度の三次元表面形状プロファイルを得ることができることから、信号処理プログラムを単純化して低コストでの装置化を実現することができる。
なお、上記説明を行った実施の形態2の表面段差測定装置300においては、測定領域a10を9つの測定領域a11〜測定領域a33に分割して、各測定領域において得られた三次元表面形状プロファイルを合成したが、柱状スペーサPSxを含んだ領域と他の領域(柱状スペーサPSxを含まない領域)からなる複数の測定領域に分割すれば良い。例えば、最小限は柱状スペーサPSxを含んだ領域と柱状スペーサPSxを含まない領域の2つの測定領域に分割しても良く、3分割、6分割、更に9分割よりも更に細かく分割して測定を行っても良く、実施の形態2と同様の効果が得られる。
また、測定精度の観点から、柱状スペーサPSxが複数の測定領域の境界に配置されないことが、より望ましいことから、柱状スペーサPSxの配置、柱状スペーサPSxの大きさ(平面方向でのサイズ)に対して、正確な高さ測定を行うために必要な実質的な解像度などを考慮し、適宜、分割数を設定すると良い。なお、本発明は柱状スペーサPSxが境界に配置される場合を全く排除するものではなく、柱状スペーサPSxが複数の測定領域に跨って配置される場合においても、上記実施の形態2で得られる基本的な発明の効果については得ることができる。
実施の形態3.
続いて、本発明を液晶表示装置とその製造方法に適用した場合の実施形態となる実施の形態3について説明を行う。図14および図15は、本発明の実施の形態3における液晶表示装置を構成する液晶パネルの概略図である。以下、この液晶パネルの構成について。図14および図15を用いて説明する。図14は液晶パネル全体を示した平面図、図15は図14における断面線A−Bでの断面図を示したものである。なお、先にも述べたとおり模式的な図であり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。特に、CF基板120と対向配置されるアレイ基板110間に配置される構成については、説明の便宜上、双方の基板の厚みに比べて、基板間の距離や基板面に垂直方向の長さなどを誇張して図示している。また、図面が煩雑とならないよう、発明の主要部以外の省略や構成の一部簡略化などを適宜行っている。
ここでは、一例として、液晶の動作モードがTN(Twisted Nematic)モードで、スイッチング素子に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いた液晶パネルに本発明を適用した場合について説明する。
また、この液晶パネル10は、TFTなどのスイッチング素子と画素電極がアレイ状に配列するアレイ基板であるTFTアレイ基板(以下、アレイ基板)110と、このアレイ基板110と対向配置される対向基板であるカラーフィルタ基板(CF基板)120と、画像を表示する表示領域100に対応する領域を囲うように配置され、CF基板120とアレイ基板110との間の間隙を密封するシールパターン133を備えている。また、このシールパターン133により密封され、CF基板120とアレイ基板110との間の間隙の少なくとも表示領域100に対応する領域に液晶層130が狭持されている。よって、シールパターン133は、表示領域100に対応する領域の外側を額縁状に囲うように配置される額縁領域101に形成されることになる。
また、アレイ基板110およびCF基板120の外形は何れも矩形となっており、アレイ基板110の外形の方が、CF基板120の外形よりも大きく、CF基板120の外形端面より一部突出する突出部を有して重ね合わせ配置されている。
なお、図14の平面図では、CF基板120の下に配置されるアレイ基板110の構成を図示するために、図中左上の一部のみCF基板120を図示し、それ以外の領域では、CF基板120の図示を省略してアレイ基板110の構成を図示している。実際の構成としては、CF基板120は、シールパターン133により囲まれる領域の外側の図中破線で示される領域まで設けられている。
また、図中では、画像を表示する表示領域100となる矩形領域を点線で囲み、額縁領域101との境界としている。なお、ここで使用した額縁領域101については、液晶パネル10のアレイ基板110上、CF基板120上、或いは両基板間に挟まれる領域において、表示領域100外側に位置する表示領域100を取り囲む額縁状の領域、即ち表示領域100を除く全ての領域のことを意味し、表示領域100についても、液晶パネル10のアレイ基板110上、CF基板120上、或いは両基板間に挟まれる領域の全てにおいて使用することとし、本明細書中においては全て同様の意味にて使用する。
更にアレイ基板110とCF基板120間には、基板間に所定の一定距離の間隙を形成し保持する柱状スペーサPSが表示領域100内に多数配置される。なお、本実施の形態3においては、特に本発明の効果が有効に発揮される適用例として、高精細の表示が可能な画素サイズが比較的小さく、更に、低消費電力となる画素開口率の高い仕様の液晶パネルに適用し、この柱状スペーサPSの大きさ(平面方向でのサイズ)が小さく、また、画素における占める比率についても小さくなっている。また、このシールパターン133により密封され、柱状スペーサPSにより保持されたCF基板120とアレイ基板110との間の間隙の少なくとも表示領域100に対応する領域に液晶層140が狭持されている。
上述のアレイ基板110は、透明基板であるガラス基板111の一方の面に液晶を配向させる配向膜112、配向膜112の下部に設けられ液晶を駆動する電圧を印加する画素電極113、画素電極113に電圧を供給するスイッチング素子であるTFT114、TFT114を覆う絶縁膜115、TFT114に信号を供給する配線である複数のゲート配線117およびソース配線118、TFT114に供給される信号を外部から受け入れる端子116、端子116から入力された信号をCF基板120側へ伝達するためのトランスファ電極(図示省略)、端子116から入力された信号をゲート配線117およびソース配線118やトランスファ電極へ伝達する周辺配線(図示省略)などを有している。
TFT114については、アレイ基板110上の表示領域100において、それぞれ縦横に複数本配列して設けられるゲート配線117とソース配線118の各交差部近傍に設けられる。画素電極113については、ゲート配線117とソース配線118により囲まれる各画素領域内にマトリクス状に配列して形成される。また、端子116、トランスファ電極、周辺配線については、額縁領域101に形成される。また、ガラス基板111の他方の面には偏光板131を有している。
一方、上述のCF基板120は、透明基板であるガラス基板121の一方の面に液晶を配向させる配向膜122、配向膜122の下部に配置され、アレイ基板110上の画素電極113との間に電界を生じ液晶を駆動する共通電極123、共通電極123下部に複数配列して設けられるカラーフィルタ124および複数のカラーフィルタ124間を遮光するため、或いは表示領域100に対応する領域外側に配置される額縁領域101を遮光するために設けられる遮光層であるブラックマトリクス(Black Matrix:BM)125などを有しており、CF基板120のガラス基板121の他方の面、すなわち、カラーフィルタ124、BM125などの設けられる面と反対側の面には偏光板132を有している。
なお、図中においては、CF基板120表面に形成される配向膜122について、主に表示領域100内の柱状スペーサPSの形成部分以外の領域に形成された状態で図示されているが、柱状スペーサPSおよび柱状スペーサPSsの形成後に配向膜122とする配向膜材料は塗布されることから、柱状スペーサPSおよび柱状スペーサPSsの表面にも配向膜材料は塗布されていることになる。然しながら、柱状スペーサPSおよび柱状スペーサPSsの表面に形成される配向膜材料自体は比較的薄く形成されることや、柱状スペーサPSおよび柱状スペーサPSsの表面では配向処理された配向膜としての実質的な機能を有さないことから、配向膜122としての図示を省略している。
更に、この液晶パネル10は、後述する製造フロー(製造方法)に関する説明部分において別途詳細に説明を行うが、この一対の基板であるアレイ基板110およびCF基板120の何れか一方の基板表面に液晶が複数の液滴として配置された後に両方の基板間に挟まれることによりシールパターン133により囲まれる領域内に封止されて形成される滴下注入(ODF:One Drop Filling)方式により製造される。
従って、シールパターン133は、閉ループ形状であり真空注入方式で製造される液晶パネルの様に液晶を注入するための開口部である注入口は形成されておらず、別途注入口を封止するための封止材も設けられていないといった構造的な特徴を備えている。また、シールパターン133の材質は、導電性粒子を混在させた光硬化型シール剤(光硬化型樹脂)によりなる。
更にトランスファ電極と共通電極123は、シールパターン133中に混在される導電性粒子により電気的に接続されており、端子116から入力された信号が共通電極123に伝達される。導電性粒子としては、弾性変形可能なものが導通の安定の点で好ましく、例えば、表面に金メッキがされた球形の樹脂を用いると良い。この他に、液晶パネル10は、駆動信号を発生する制御基板134、制御基板134を端子116に電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)135などを備えている。
更に、液晶パネル10の表示面の反対側であるアレイ基板110に対向して光源となるバックライトユニット(図示せず)が配置されており、更に、液晶パネル10とバックライトユニット間には光の偏光状態や指向性などを制御する光学シートが配置されている。液晶パネル10は、これら部材と共に表示面となる表示領域100におけるCF基板120の外側の部分が開放された筐体(図示せず)の中に収納され、本実施の形態3の液晶表示装置は構成される。
<液晶表示装置の製造フロー>
本発明に係る実施の形態3の液晶表示装置の製造方法として、上記の様な構成の液晶パネルを有する液晶表示装置の製造フローについて、図16に示すフローチャートを用いて説明する。通常、液晶パネルは最終形状よりも大きなマザー基板から、液晶パネルを1枚或いは複数枚切り出して(多面取りとも呼ばれる)製造される。図16におけるステップS1〜S9(S10途中まで)のプロセスは、マザー基板の状態でのプロセスである。
まず、ステップS1の基板準備工程においてマザーアレイ基板およびマザーCF基板に対して配線、電極、柱状スペーサPS、その他の構成の形成が行われる。すなわち、マザーアレイ基板においては、図14或いは図15に示したゲート配線117、ソース配線118、TFT114および画素電極113などを作り込む工程を行うが、これらの作り込みは一般的な液晶パネルにおけるアレイ基板の製造方法と同様であるので、製造方法に関する詳細な説明は省略する。
一方、マザーCF基板においては、BM125、カラーフィルタ124、或いは、柱状スペーサPSなどを作り込む工程を行うが、これらの作り込みは一般的な液晶パネルにおけるCF基板の製造方法と同様であるので、製造方法に関する詳細な説明は省略する。特に本発明において測定対象となる柱状スペーサPSについては、比較的、大きさ(平面方向でのサイズ)の小さい仕様であるものの公知の感光性樹脂膜の塗布形成と、形成された感光性樹脂膜の写真製版技術を用いたパターニング加工を利用して形成することができる。
以上のとおり、マザーアレイ基板およびマザーCF基板を準備した後、まず、基板洗浄工程において、以上の様に準備されたマザーアレイ基板およびマザーCF基板に対して、基板を洗浄する基板洗浄工程を行う。次に、ステップS2の配向膜材料塗布工程において、マザーアレイ基板およびマザーCF基板の片側表面に、配向膜材料の塗布形成を行う。この工程ではマザーアレイ基板およびマザーCF基板の互いに向かい合う主面に、例えば、フレキソ印刷法により有機材で構成される配向膜材料を転写塗布し、ホットプレートなどにより焼成処理し乾燥させる工程を含んでいる。
次に、ステップS3の配向処理工程において、配向膜材料に対して、例えばラビング処理を行い、配向膜材料表面を配向処理して配向膜112および配向膜122を形成する。なお、マザーCF基板上に形成された柱状スペーサPS上は配向膜122により覆われる。
―次に、ステップS4の柱状スペーサ高さ測定工程において、実施の形態1で説明を行った表面段差測定装置200或いは実施の形態2で説明を行った表面段差測定装置300を用いて、マザーCF基板上に形成された柱状スペーサPSの高さ測定を行った。測定は、マザーCF基板上の場所による高さバラツキも考慮して、所定の複数の場所について柱状スペーサPSの高さ測定を行った。
次に、ステップS5のシール剤塗布工程において、シールディスペンサ装置を用いて、マザーアレイ基板或いはマザーCF基板の主面に、シール剤をペーストとしてディスペンサノズルより吐出して塗布する。シール剤は、液晶パネルの表示領域を囲うように塗布され、シールパターン133を形成する。次に、ステップS6の液晶滴下工程において、シールパターン133が形成された方の基板のシールパターン133で囲まれた領域内に液晶材料を滴下する。この液晶材料の滴下量は、ステップS4において測定した柱状スペーサPSの高さに基づいて決定される。特に液晶の滴下量は、液晶パネルとなった状態で、柱状スペーサPSが所定範囲に圧縮されるために必要な滴下量が、シールパターン133で囲まれた領域の面積と柱状スペーサPSの高さを考慮して設定される。
次に、ステップS7の真空貼り合わせ工程において、マザーアレイ基板とマザーCF基板とを真空状態で貼り合わせてマザーセル基板を形成する。次に、ステップS8のUV(紫外線)照射工程でマザーセル基板に紫外線を照射し、シール剤を仮硬化させる。その後、ステップS9において加熱によりアフターキュア工程を行い、シール剤を完全に硬化させて、硬化したシールパターン133を得る。
次に、ステップS10のセル分断工程において、マザーセル基板をスクライブラインに沿って切断し、個々の液晶セルに分断する。以上の様に分断された個々の液晶セルに対して、ステップS11の偏光板貼り付け工程、ステップS12の制御基板実装工程などを実行し、一連の製造工程が完了し、図14および図15のとおり、液晶パネル10が完成する。
更に、液晶パネル10の反視認側となるアレイ基板110の裏面側に位相差板などの光学フィルムを介して、バックライトユニットを配設し、樹脂や金属などよりなるフレーム(筐体)内に、液晶パネル10およびこれら周辺部材を適宜収納し、最終的な本発明を適用した液晶表示装置が完成する。
以上の様に製造された液晶表示装置は次の様に動作する。例えば、外部回路である制御基板134から画像信号や制御信号などの電気信号が入力されると、画素電極113および共通電極123に駆動電圧が加わり、駆動電圧に合わせて液晶の分子の方向が変わる。その結果、各画素の光透過率が制御される。そして、バックライトユニットの発する光がアレイ基板110、液晶層130およびCF基板120を介することで、外部へ各画素の光透過率に応じて透過或いは遮断されることにより、液晶パネル10の表示領域100にカラー画像などが表示される。
以上説明のとおり、本実施の形態3の液晶表示装置においては、比較的、大きさ(平面方向でのサイズ)が小さく、更に画素における占める比率についても小さい柱状スペーサPSが用いられることとなる、高精細度の表示を可能とするために画素サイズが比較的小さく、更に、低消費電力とするために画素開口率の高い仕様の液晶表示装置であるにも関わらず、この柱状スペーサPSの高さを実施の形態1の表面段差測定装置200或いは実施の形態2の表面段差測定装置300を用いて正確に測定することができ、更に、その柱状スペーサPSの高さの測定結果を用いて、それに合わせて滴下する液晶量を決定することで、適正な液晶量となることにより、液晶パネルとなった状態での柱状スペーサPSの圧縮量が適正範囲の圧縮量となる液晶表示装置を製造することができ、結果として、使用温度に応じた液晶の体積変化により生ずる不具合が改善された信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
以上説明のとおり、実施の形態3においては、実施の形態1の表面段差測定装置200或いは実施の形態2の表面段差測定装置300を液晶表示装置の製造における特に柱状スペーサPSの高さ測定と、その高さ測定結果を活用した例について説明を行ったが、実施の形態1の表面段差測定装置200或いは実施の形態2の表面段差測定装置300を、その他の被測定物の表面に設けられた微小形状部の高さを測定する際に用いても構わない。特に、微小形状部の大きさ(平面方向でのサイズ)が比較的小さい場合に有効であって、実施の形態1或いは実施の形態2において得られる効果と同様の効果を得ることができる。