JP6589370B2 - シャープペンシル - Google Patents

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本発明は、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるチャック体を使用したシャープペンシルに関する。
従来から、スリットにより分割され先端側が拡開するチャック体を使用したシャープペンシルにおいて、前記チャック体が拡開し筆記芯を解放する際に、別部材に形成した摺動孔内をチャック体の先端が前後動する構造が知られている。その一例として、芯把持部が先端に向け拡開するスリットにより2分割され、先端側が拡開するとともに、先部材の摺動孔内を前後に移動し、かつリングによって開閉され筆記芯を把持するチャック体において、チャック体の芯把持部先端に形成される略半円形の最大径部の曲率半径が、先部材の摺動孔の曲率半径よりわずかに小さく、かつリングの内径の曲率半径より大きく形成したシャープペンシルのチャック体がある(特開2001−39082号公報(特許文献1))。
このようにチャック体における先端部と先部材における摺動孔の曲率半径を形成することで、チャック体の拡開後に最大径部が摺動孔に当接し、先部材の摺動孔との軸心が一致し易くなり、芯タンク内の筆記芯をチャック体の芯把持部に落下することができる。
特開2001−39082号公報
しかし、前記特許文献1に記載の構造では、チャック体が拡開した際の開きが十分でなく最大径部が摺動孔に当接しない場合には、チャック体と先部材の軸芯を一致することができなく、仮に当接した場合でも、最大径部を有する先端部は前方に向けて拡径するテーパ状であり、曲率半径は摺動孔より小さく形成されている為、チャック体の最大径部と摺動孔との当接は一点のみとなり、左右への動きの規制がなくチャック体が拡開した直後の振動による摺動孔内での横振れを防止するには不十分であった。また、チャック体拡開後にも一点での当接では先端側におけるスリット幅を均等に規制するのは難しく片側が拡張してしまう可能性がある。この為、拡開時の横振れにより、筆記芯も横振れしチャック体のスリットに入り込んでしまい、芯把持部に案内できず筆記芯の繰り出しができなくなる恐れがあった。
また、筆記芯の前進は許容するが筆記芯の後退を阻止するチャック体、いわゆるボールチャックを使用したシャープペンシルにおいて、ノック部材の押圧によりチャック体を拡開することで、筆記芯の繰り出しやチャック体から筆記芯が離れた残芯の排除を行う機構を有する場合も同様に、拡開時の横振れにより、筆記芯も横振れしチャック体のスリットに入り込んでしまい、芯把持部に案内できず筆記芯の繰り出しができなくなる恐れがあった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるチャック体を使用したシャープペンシルにおいて、前記弾性片の先端面より前方に向けて、軸方向ストレートに先端面から突出する先端部を形成し、チャック体前方にチャック体が拡開時には前記先端部が内挿される摺動孔を設けると共に、チャック体拡開時に前記先端部外周面が前記摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制したことを要旨とする。
本発明は、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるチャック体を使用したシャープペンシルにおいて、前記弾性片の先端面より前方に向けて、軸方向ストレートに先端面から突出する先端部を形成し、チャック体前方にチャック体が拡開時には前記先端部が内挿される摺動孔を設けると共に、チャック体拡開時に前記先端部外周面が前記摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制したことから、チャック体が拡開した直後の振動による弾性片の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体拡開後の芯把持部における弾性片間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
第1実施例の製品全体の外観図である。 図1の状態から周方向に90度回転させた際の外観図である。 図1の状態から周方向に180度回転させた際の外観図である。 図2の製品全体の縦断面図である。 図4における先端部拡大図である。 図5におけるA−A断面図である。 図6におけるチャック体が芯把持状態の中心部拡大図である。 第1実施例のチャック体が拡開状態における先端部拡大図である。 図8におけるB−B断面図である。 図9におけるチャック体が拡開状態の中心部拡大図(点線は各弾性片22における軸芯方向への中心垂線を表すための仮想線)である。 第1実施例のチャック体の外観斜視図である。 第1実施例、第2実施例、第4実施例のチャックストッパーの外観斜視図である。 第2実施例のチャック体が芯把持状態における縦断面先端部拡大図である。 第2実施例のチャック体が拡開状態における縦断面先端部拡大図である。 図14におけるC−C断面図である。 図15におけるチャック体が拡開状態の中心部拡大図(点線は各弾性片49における軸芯方向への中心垂線を表すための仮想線)である。 第2実施例、第3実施例のチャック体の外観斜視図である。 第3実施例のチャック体が芯把持状態における縦断面先端部拡大図である。 第3実施例のチャック体が拡開状態における縦断面先端部拡大図である。 図19におけるD−D断面図である。 図20におけるチャック体が拡開状態の中心部拡大図(点線は各弾性片49における軸芯方向への中心垂線を表すための仮想線)である。 第3実施例のチャックストッパーの外観斜視図である。 第4実施例のチャック体が芯把持状態における縦断面先端部拡大図である。 第4実施例のチャック体が拡開状態における縦断面先端部拡大図である。 図24におけるE−E断面図である。 図25におけるチャック体が拡開状態の中心部拡大図(点線は各弾性片59における軸芯方向への中心垂線を表すための仮想線)である。 第4実施例のチャック体の外観斜視図である。 第4実施例の変形例におけるチャック体が芯把持状態における縦断面先端部拡大図である。 第4実施例の変形例におけるチャック体が拡開状態における縦断面先端部拡大図である。 第4実施例の変形例におけるチャックストッパーの外観斜視図である。 第4実施例の変形例におけるチャックストッパーの半断面図である 第5実施例の製品全体の外観図である。 図32の状態から周方向に90度回転させた際の縦断面図である。 図33における先端部拡大図である。 第5実施例のチャック体が拡開状態における先端部拡大図である。 図35におけるF−F断面図(点線は各弾性片72における軸芯方向への中心垂線を表すための仮想線)である。 第5実施例のチャック体の外観斜視図である。
本発明は、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるチャック体を使用したシャープペンシルにおいて、前記弾性片の先端面より前方に向けて、軸方向ストレートに先端面から突出する先端部を形成し、チャック体前方にチャック体が拡開時には前記先端部が内挿される摺動孔を設けると共に、チャック体拡開時に前記先端部外周面が前記摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制したことで、チャック体が拡開した直後の振動による弾性片の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体拡開後の芯把持部における弾性片間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部で筆記芯を内包することができる。
チャック体は、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるとともに、前記弾性片の先端面には前方に向けて軸方向ストレートに突出する形で形成された先端部を有している。チャック体が拡開した際に、前記先端部の外面が摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接するよう形成されている為、チャック体が拡開した直後の振動による弾性片の左右への動きを規制することができる。弾性片の横振れが確実に防止されることで、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、弾性片間のスリット幅が均等となることから、筆記芯を正確にチャック体の芯把持部に案内することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
前記先端部は弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接するよう形成されていればよく、前記先端部自体及び/又は前記チャック体と前記先端部とが一体であっても、複数に分割してもよい。前記先端部自体及び/又は前記チャック体と前記先端部とを一体で作製した場合は、強度が増すと共に、チャック体の加工がしやすく生産性を向上させることができる。また、先端部の内面にも芯把持部を形成することで芯把持部の面積を拡大できる為、筆記芯をより確実に把持することができる。
前記先端部はチャック体における先端面から縮径するように形成することで、チャック体の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体の前方から挿入するチャックスプリングや摺動孔を有する部材の外径も小さくすることができ、細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にできより多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
使用するチャック体は、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割され、囲繞するリングによって開閉を調整して芯を繰り出すチャック体、例えば2つ割りや3つ割りのコレットチャックであっても、先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割され、ボールを介して囲繞するリングとのくさび効果により筆記芯の前進は許容するが筆記芯の後退を阻止するチャック体、いわゆるボールチャックであり、例えば2つ割りや3つ割りのボールチャックであってもよく、前記弾性片の先端面から前方に向けて軸方向ストレートに突出する形で形成された先端部を有し、該先端部の外面が摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接するよう形成していればよい。後に詳述するが、筆記芯の前進は許容するが筆記芯の後退を阻止するチャック体を使用した場合は、上記の効果を得つつ、持ち替えてノック動作せずとも筆記芯を筆記状態に維持でき連続した筆記が可能となるシャープペンシルを提供することができる。
摺動孔は前記チャック体の前方に配される拡開規制部材に設けられている。先端からのスリットにより複数に分割された弾性片の芯把持部が前後動する際に、囲繞するリングによって開閉を調整して筆記芯を繰り出すチャック体では、先部材を拡開規制部材として、その内段の一部に摺動孔を設けることができる。また、ボールを介して囲繞するリングとのくさび効果により筆記芯の前進は許容するが筆記芯の後退を阻止するチャック体においては、ボールの脱落を防止するチャックストッパーを拡開規制部材とし、その拡開規制部材に摺動孔を形成することでチャック体の先端部の近傍に摺動孔を配設することができる。
前記摺動孔の断面形状は円形、楕円形、四角形などが挙げられ、前記断面形状にて軸方向にストレートや、前方に向けて拡径又は縮径する円弧状もしくはテーパ状に形成できるが、チャック体拡開時に先端部外周面が摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、特に限定されない。
前記摺動孔の軸方向の中心線は、チャック体の軸方向の中心線と同軸上になるように配設されている。中心線を同軸にすることで、チャック体が拡開し先端部が摺動孔と当接した際にも、各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接していることから、チャック体と摺動孔の中心線が合う為、筆記芯がチャック体の芯把持部を通過しても前方の部材と筆記芯の中心が合いやすくなり、良好な筆記芯の繰り出しや残芯の排出が行える。
前記摺動孔の大きさは、チャック体が拡開し、前記先端部外周面と摺動孔内面が各弾性片22における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成することで、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部で筆記芯を内包することができる。それにより、筆記芯がスリットへ入り込むことはなく、スリットへ入り込んだ筆記芯を把持した際に生じる筆記芯の欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯を良好な状態に保ちつつ、より正確な芯の案内及び把持ができ、安定した芯の繰り出しが行える製品を提供することができる。さらに本発明においては、チャック体の拡開後は先端部と摺動孔内面が各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接することでチャック体の左右への動きを規制でき、更に弾性片間のスリット幅が均等となるのでより確実に芯把持部で筆記芯を内包することができる。特に呼び直径0.5(JIS S 6005)以下の横振れによって筆記芯がチャック体のスリットに入り込みやすい芯径用のシャープペンシルに対して有効である。
先端部を確実に摺動孔内で摺動させる手段として、チャック体が筆記芯を把持した際は先端部が常に摺動孔内に内挿された状態になるよう形成してもよい。チャック体は筆記芯を把持することで拡径する為、ノック動作時にややもすると先端部前端面が摺動孔を設けた部材の後端面に当接し、チャック体を損傷してしまう恐れがある。そこで、筆記芯を把持した際には先端部が常に摺動孔に内挿している状態を保つことで、チャック体前進時に正確に先端部を摺動孔内に案内することができる。
摺動孔を設ける部材の材質は、チャック体における先端部との当接や部材の前後動により変形及び摺動孔の縮径、拡径が発生しなければよく、特に限定されない。望ましくは、鉄やステンレス鋼、アルミニウム合金、真鍮などの金属材料、また、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルスチレンブタジエン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレンテレフタレート樹脂(PET)などの硬質材料で形成するのが良い。
芯把持部を有する弾性片にチャック体の前方を複数分割するスリットは、一定の幅で連続して形成することで、スリットの加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体を拡開させることができるので安定した品質のチャック体を供給することができる。
更に、先端部外面と摺動孔内面の当接によって、チャック体が拡開した際の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制していることから、スリットに筆記芯が入り込むことがないので、加工時のスリットの幅を使用しうる芯径以上にすることも可能であり、チャック体の芯把持力の調整が容易になり、また加工工具のメンテナンス頻度も減少し、安定した品質のチャック体を安価で供給することができる。
本発明の第1実施例を図1〜図12に示し、説明する。尚、以下では、後述の先部材側を前方と言い、押圧部材側を後方という。
軸筒1の前方には、内部に圧入固定された先端リング2と先端スプリング3により前方に付勢され、前後に摺動可能なスライダー4を有する先部材5が、前軸6と後軸7から構成された軸筒本体8にネジ螺合により連結されている。前記軸筒本体8内部には芯繰り出しユニット9がクッションスプリング10により前方に付勢するように配され、使用時に高い筆圧がかかった際に前記クッションスプリング10が伸縮し、筆記芯Lに対する衝撃を緩和している。また、後述する芯繰り出しユニット9前方に配設されたチャックセット16が先部材5に内包されるように芯繰り出しユニット9を配することで、先部材5とチャックセット16の軸方向における中心線が同軸上となり、芯繰り出しユニット9から先部材5にかけて筆記芯Lを正確に案内することができ、良好な芯の繰り出しが行える。後軸7後方に形成された縮径部11にはクリップ12が嵌め込まれている。
前記スライダー4は、前方にステンレス製のパイプ13と内部に芯保持部材14を圧入固定し、外部にOリング15が装着されている。筆記の際は、筆記芯Lの摩耗によってパイプ13が紙面に触れた場合でも、筆記による筆記芯Lの摩耗と共に筆圧によってパイプ13が紙面に押されて後方へと後退する為、筆記を継続でき、パイプ13を紙面から離すと前記先端スプリング3によりスライダー4が前進する。後述する筆記芯の前進は許容するが後退は阻止するように筆記芯を把持できるチャック体19と併用することで、先端スプリング3によりスライダー4が前進する際、芯保持部材14に保持された筆記芯Lを常にパイプ13の先端まで引き抜くことができる為、持ち替えて後端の押圧部材44をノックせずとも筆記芯Lが筆記状態を維持できることから連続した筆記が可能となる。また、携帯時には、Oリング15によりスライダー4を先端リング2内部に嵌合させ、スライダー4の前後の移動を停止することで不意の筆記芯出を防止することができる。再度使用する際は、押圧部材44をノックして芯繰り出しユニット9によりスライダー4後端を押し、Oリング15の嵌合を解除することで、スライダー4が前進し、筆記可能となる。
前述した通り、筆記芯の前端面がパイプ13の前端面と略同位置となった状態や、当初パイプ13の前端面よりも突出していた筆記芯が摩耗により、筆記芯の前端面がパイプ13の前端面と略同位置となった状態でも筆記による筆記芯の摩耗と共に筆圧によってパイプ13が紙面に押されて後方へと後退する為、筆記を継続することができる。この構成は筆記芯の芯径が細い場合、具体的には、呼び直径が0.3、0.2やそれ以下の直径の芯に対して特に有効である。筆記芯をパイプ13から突出させず、筆記芯がパイプ13でガイドされた状態での筆記が可能となり、筆記時の筆圧変化や、筆記芯が紙面へひっかかった際にも筆記芯の折損を防止することができる。
芯繰り出しユニット9は、前方にチャックセット16を有し、該チャックセット16には前方に向けて拡径するテーパ部18を内部に形成するリング17を設け、リング17内部にはスリット20により芯把持部21を有する弾性片22に複数分割されるとともに、前記弾性片22の先端面23に前方に向けて軸方向ストレートに突出する形で形成された先端部24を有するチャック体19が配され、前記テーパ部18とチャック体19に形成されたボール受け座25との間にボール27を挿入している。また、前記チャック体19の後端に形成した鍔部26とリング17内段の間に配設したチャックスプリング28により、チャック体19を後方に付勢することで、リング17とチャック体19の間にボール27を介してくさび効果が発生し、筆記芯の前進は許容するが後退は阻止することができる。リング17の前方には、内部に摺動孔30を有するチャックストッパー29がカシメにより固定され、チャック体19及びボール27が前方に脱落しないようにしてある。本実施例におけるチャック体19及びチャックストッパー29は真鍮により形成しているが、鉄やステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属材料や、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリカーボネート樹脂(PC)により成形してもよく、使用する材質は特に限定しない。
前記チャックセット16後方には、頂点に平面部を有する略台形形状とした係合突起33が形成された弾性片部32を有し、後端が拡開可能な係止具31が圧入されている。係止具31内部には、前端に大径部35を形成し、大径部35後端面と係止具31前端面を当接させると共に、後方外周面には前記係合突起33と係合し、係合突起33に形成された平面部の部品軸線方向の長さよりも、開口部が長い略三角形状の係合溝36を設けた中継部材34を内包している。中継部材34内部には内径を挿通させる筆記芯1本以上で2本未満とした芯ガイドパイプ38を中継部材34後方からチャック体19の芯把持部21近傍にかけて配設し筆記芯Lを案内することで、中継部材34後方に圧入され筆記芯Lを収納する芯タンク39から、スリット20に筆記芯Lが挟まることなくチャック体19の芯把持部21まで確実に筆記芯Lを挿通させることができる。この構成は筆記芯の芯径が細くチャック体のスリット幅が使用しうる芯径以上になる可能性が高い場合、具体的には、呼び直径が0.3、0.2やそれ以下の直径の芯に対して特に有効である。また、中継部材34後方であり芯ガイドパイプ38と芯タンク39との間に、筆記芯が1本しか通らず、かつ芯ガイドパイプ38内径よりも小さくなるように芯挿通孔37を設けることで、芯タンク39から芯ガイドパイプ38まで確実に筆記芯を1本だけ挿通することができる。チャックセット16及び係止具31、中継部材34は、中子40を介し芯タンク39と中子40の間に配設されたノックスプリング41により後方に付勢されている。また、芯タンク39後端には消しゴム受け部材42が圧挿され、前記消しゴム受け部材42には消しゴム43、そして、押圧部材44が着脱自在に取り付けられている。
次に、シャープペンシルの後端に設けた押圧部材44のノックによる芯繰り出し操作について説明する。
1本目の筆記芯Lを繰り出す際は、まず軸筒1前方を鉛直下向きに向けることで、芯タンク39に収納された筆記芯Lが、チャック体19における弾性片22の芯把持部21まで自重で落下する。前述した、芯ガイドパイプ38及び中継部材34に形成した芯挿通孔37を配設したことで1本の筆記芯Lを確実にチャック体19の芯把持部21後端まで挿通することができる。
次に押圧部材44を軸筒1前方方向にノックし始めると、芯タンク39と共に、芯タンク前方に圧入された中継部材34も前進する。この時、中継部材34に形成された係合溝36と係止具31における弾性片部32内面に形成された係合突起33は係合状態となっており、係止具31及び係止具31前端に圧入固定されているチャックセット16は、先端リング2後端にチャックセット16前端が当接するまで中継部材34と一体となって前進する。この時スライダー4が収納された状態であれば、スライダー4後端にチャックセット16前端が当接しスライダー4を前方に押し出すことで、先端リング2内部に嵌合されていたOリング15の嵌合が外れ、先端スプリング3の弾発力によりスライダー4が前方に付勢される。
チャックセット16前端が先端リング2後端に当接して、係止具31及びチャックセット16の移動が停止しても、係止具31の後端は拡開可能な為、押圧部材44のノックを続けることで、係止具31における弾性片部32は押圧部材44を軸筒1前方方向にノックする荷重(以後、ノック荷重とする)により外側に撓み中継部材34との係合が解除される。そして、芯タンク39と中継部材34のみ前進が可能となり、係止具31及びチャックセット16は停止しているが、芯タンク39と中継部材34は前進するという相対的な動きの差を付けることができる。
押圧部材44のノックを続けると、中継部材34の前端でチャック体19の後端を押圧し、チャック体19を前進させることで、チャック体19に形成された先端部24は、チャック体19が閉じた状態でチャックストッパー29内部に形成された摺動孔30内に挿通する。そして、更にチャック体19が前進し、ボール27とリング17とのくさび効果が解除された時点でチャック体19が拡開し、前記先端部24外面は前記摺動孔30内面に各弾性片22における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、先端部24におけるスリット幅は使用しうる芯径より小さく規制される。この時点で筆記芯Lはスライダー4内の芯保持部材14における芯保持部45後端まで自重落下する。ノックによる中継部材34と芯タンク39の前進は、芯タンク39前端と係止具31後端が当接した時点で終了となる。
ここで、チャック体19が拡開した際に、チャック体19の先端外面が別部材と当接しない場合や、1箇所での当接の場合には、弾性片22の左右への動きを規制できないことから、チャック体19が拡開した直後の振動による弾性片22の横振れを防止することができず、スリット20の間隔が不均等になった時に、筆記芯Lも横振れするとチャック体19のスリット20に筆記芯Lが入り込んでしまい、スリット20へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどの発生や、筆記芯Lを芯把持部21に案内できず筆記芯Lの繰り出しができなくなる恐れがある。
押圧部材44への押圧を解除すると、中継部材34と芯タンク39はノックスプリング41により後退する。この時、係止具31の弾性片部32により中継部材34を挟持している為、中継部材34と係止具31は係止状態となっており、係止具31が中子40内段に当接し、移動が停止するまで中継部材34と係止具31及びチャックセット16は一体となって後退する。係止具31が中子40内段に当接するまでの間、チャック体19は中継部材34に押圧され拡開した状態となっている。
係止具31が中子40内段に当接後、中継部材34と芯タンク39が後退することでチャック体19への押圧も解除され、チャックスプリング28によりチャック体19が閉じ、くさび効果が発生するので芯把持状態となり、チャック体19は筆記芯Lを把持していない状態に比べ前方で停止する。この時、先端部24は摺動孔30に内挿された状態となっている。その後、中継部材34と芯タンク39は更に後退し、中継部材34に形成された係合溝36と係止具31における弾性片部32内面に形成された係合突起33が再度係合状態となったと同時に中継部材34の大径部35後端が、係止具31前端に当接して、全ての後退が終了する。
この後、再度押圧部材44のノックによる芯繰り出し操作を行い、係止具31と中継部材34が係合した状態で、芯把持状態のチャック体19をチャックセット16ごと前進させることで芯保持部材14に筆記芯Lを挿入し、係止具31と中継部材34の係合解除による係止具311と中継部材34及び芯タンク39の相対的な動きの差を利用して、更にチャック体19を前進させてチャック体19を拡開した後、中継部材34と係止具31が係止状態のまま後退することで、チャック体19の拡開状態を保ちながらチャックセット16を後退させる。係止具31が中子40内段に当接後、中継部材34と芯タンク39のみが後退することでチャック体19への押圧も解除され、チャックスプリング28によりチャック体19が閉じ、再度芯把持状態となり、筆記芯L先端は芯保持部材14内の前進位置にとどまるので筆記可能状態に近づく。
第1実施例におけるチャック体19は、先端から一定幅のスリット20により芯把持部21を有する弾性片22に2分割されるとともに、前記弾性片22の先端面23には前方に向けて軸方向ストレートにチャック体19先端から突出する形で、弾性片22における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の位置に1本ずつ、一弾性片22あたり2本の断面円形の先端部24を有している(図11)。チャック体19前方に配設されたチャックストッパー29には、チャック体19と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30が設けられている。チャック体19の拡開時には、前記先端部24外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片22における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。摺動孔30の内径は、チャック体19が拡開し、前記先端部24外周面と摺動孔30内面が各弾性片22における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開後のチャック体19における芯把持部21のスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさとなっている。
先端部24は、チャック体19が筆記芯Lを把持した際は常に摺動孔30に内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部24が常に摺動孔30に内挿する状態としているが、前進したチャック体19が拡開する前に先端部24が摺動孔30に内挿するように形成してあればよい。
チャック体19における先端部24とチャックストッパー29における摺動孔30を上記のように、チャック体19の拡開時に、前記先端部24外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片22における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部21におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制した構成にすることで、チャック体が拡開した直後の振動による弾性片の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体拡開後の芯把持部における弾性片間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
また、筆記芯を把持した際には、先端部が常に摺動孔に内挿している状態を保つことで、チャック体前進時に正確に先端部を摺動孔内に案内することができ、安定して筆記芯の繰り出しが行える。
本実施例においては、チャックストッパーにおける摺動孔を断面円形で軸方向にストレートに形成したことで、チャック体が拡開した際に、チャック体において軸方向ストレートに形成された先端部と、各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所を線接触により当接させることができる(当接箇所T)。2箇所の当接箇所が線接触となることで、チャック体の左右への動きを規制できる部分が増えるので、チャック体が拡開した際に、チャック体が拡開した直後の弾性片の横振れをより確実に防止することができ、筆記芯への振動の伝達を確実に防ぐと共に、拡開後の芯把持部における弾性片間のスリット幅が均等となる。そして、芯径をX、スリット幅をYとした場合、XとYの関係がX>Yとなるように拡開後の芯把持部21における前記スリット幅を使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制したことから、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部21で筆記芯Lを内包することができる。それにより、スリット20へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯Lを良好な状態に保ちつつ、より正確な筆記芯Lの案内及び把持ができ、安定した筆記芯Lの繰り出しが行える製品を提供することができる。加えて、チャック体19の先端部24外面と摺動孔30内面が当接することで、チャック体19と摺動孔30の中心線が合うことから、筆記芯Lがチャック体19の芯把持部21を通過しても前方の部材と筆記芯Lの中心が合いやすくなり、良好な筆記芯Lの繰り出しや残芯の排出が行える。本実施例では、摺動孔を断面円形で軸方向にストレートに形成することで、チャック体拡開時に先端部外周面を摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、摺動孔の形状は特に限定されない。
本実施例において、前記先端部24はチャック体19における先端面23から縮径するように形成することで、チャック体19の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体19の前方から挿入するチャックスプリング28や摺動孔30を有する部材の外径も小さくすることができ細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体19が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体19の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にできより多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
また、チャック体19を分割するスリット20は一定の幅で連続して形成することで、スリット20の加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体19を拡開させることができるので安定した品質のチャック体19を供給することができる。
先端部24外面と摺動孔30内面の当接によって、チャック体19が拡開した際の芯把持部21におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制していることから、スリット20に筆記芯Lが入り込むことがないので、加工時のスリット20の幅を使用しうる芯径以上にすることも可能であり、チャック体19の芯把持力の調整が容易になり、また加工工具のメンテナンス頻度も減少し、安定した品質のチャック体19を安価で供給することができる。更に本実施例は摺動孔30が円形の為、チャック体19と摺動孔30との周方向での位置関係に制限はなく組立時の位置決めは不要である。
次に本発明の第2実施例を図13〜図17に示し、説明する。第2実施例は、各弾性片49において先端部51を一体で形成したチャック体46の例である。摺動孔を形成したチャックストッパーは、第1実施例と同一のチャックストッパー29である。
第2実施例におけるチャック体46は、先端から一定幅のスリット47により芯把持部48を有する弾性片49に2分割されるとともに、前記弾性片49の先端面50に前方に向けて断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体46先端から突出する形で形成された先端部51を有している(図17)。該先端部51の断面略半円の曲率半径は、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体46と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成している。チャック体46の拡開時には、前記先端部51外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片49における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。摺動孔30の内径は、チャック体46が拡開し、前記先端部51外周面と摺動孔30内面が各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開後のチャック体46におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成している。
チャック体46が筆記芯Lを把持した際、先端部51は常に摺動孔30に内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部51が常に摺動孔30に内挿する状態としているが、前進したチャック体46が拡開する前に先端部51が摺動孔30に内挿するように形成してあればよい。
また、本実施例のチャック体46では、弾性片49に形成した芯把持部48を前記先端部51の内面にも連接して形成しているが、先端部の内面に芯把持部を形成せず、芯把持部の内径より大きい孔としても良く、例えば、芯把持部の内径よりも大きい円筒状に形成しても良い。先端部51の内面にも芯把持部48を形成した場合には、芯把持部の面積を拡大できる為、筆記芯をより確実に把持することができる。
チャック体46における先端部51とチャックストッパー29における摺動孔30を上記のように、チャック体46の拡開時に、前記先端部51外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片49における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制した構成にすることで、チャック体46が拡開した直後の振動による弾性片49の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体46拡開後の芯把持部48における弾性片間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部48で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
また、筆記芯を把持した際には、先端部51が常に摺動孔30に内挿している状態を保つことで、チャック体46前進時に正確に先端部51を摺動孔30内に案内することができ、安定して筆記芯の繰り出しが行える。
本実施例においては、先端部51の断面略半円の曲率半径を、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体46と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成したことでチャック体46が拡開した際に、チャック体46において軸方向ストレートに形成された先端部51と各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所を線接触により当接させることができる(当接箇所T)。2箇所の当接箇所が線接触となることで、チャック体46の左右への動きを規制できる部分が増えるので、チャック体46が拡開した際に、チャック体46が拡開した直後の弾性片49の横振れをより確実に防止することができ、筆記芯への振動の伝達を確実に防ぐと共に、拡開後の芯把持部48における弾性片49間のスリット幅が均等となる。そして、拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制したことから、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部48で筆記芯Lを内包することができる。それにより、スリット47へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯Lを良好な状態に保ちつつ、より正確な筆記芯Lの案内及び把持ができ、安定した筆記芯Lの繰り出しが行える製品を提供することができる。加えて、チャック体46の先端部51外面と摺動孔30内面が当接することで、チャック体46と摺動孔30の中心線が合うことから、筆記芯Lがチャック体46の芯把持部48を通過しても前方の部材と筆記芯Lの中心が合いやすくなり、良好な筆記芯Lの繰り出しや残芯の排出が行える。また、先端部51を一体で形成することでチャック体46の加工がし易く生産性を向上させると共に、先端部51の剛性が高まるので耐久性にも優れている。本実施例では、先端部51の断面略半円の曲率半径を、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体46と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成することで、チャック体46拡開時に先端部51外周面を摺動孔30内面に各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によって拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、特に限定されない。
本実施例において、前記先端部51はチャック体46における先端面50から縮径するように形成することで、チャック体46の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体46の前方から挿入するチャックスプリング28や摺動孔30を有する部材の外径も小さくすることができ細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体46が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体46の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にできより多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
また、チャック体46を分割するスリット47は一定の幅で連続して形成することで、スリット47の加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体46を拡開させることができるので安定した品質のチャック体46を供給することができる。
先端部51外面と摺動孔30内面の当接によって、チャック体46が拡開した際の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制していることから、スリット47に筆記芯Lが入り込むことがないので、加工時のスリット47の幅を使用しうる芯径以上にすることも可能であり、チャック体46の芯把持力の調整が容易になり、また加工工具のメンテナンス頻度も減少し、安定した品質のチャック体46を安価で供給することができる。更に本実施例は摺動孔30が円形の為、チャック体46と摺動孔30との周方向での位置関係に制限はなく組立時の位置決めは不要である。
次に本発明の第3実施例を図18〜図22に示し、説明する。第3実施例は、各弾性片49において先端部51を一体で形成した第2実施例と同一のチャック体46を用い、摺動孔55の断面形状を菱形に形成した例である。
第3実施例におけるチャック体46は、第2実施例と同一であり、先端から一定幅のスリット47により芯把持部48を有する弾性片49に2分割されるとともに、前記弾性片49の先端面50に前方に向けて断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体46先端から突出する形で形成された先端部51を有している。該先端部51の断面略半円の曲率半径は、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー54に、チャック体46と中心線が同軸の断面菱形で軸方向にストレートに形成された摺動孔55の内接円半径より大きく形成している。チャック体46の拡開時には、前記先端部51外周面と前記摺動孔55内面が各弾性片49における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。摺動孔55の形状は菱形であり、その内接円径は、チャック体46が拡開し、前記先端部51外周面と摺動孔55内面が各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開後のチャック体19におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成している。本実施例では、先端部51の断面略半円の曲率半径を、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー54における、チャック体46と中心線が同軸の断面菱形で軸方向にストレートに形成された摺動孔55の内接円半径より大きく形成したが、これに限らず拡開後のチャック体46におけるスリット幅が、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさであればよく、特に限定されない。
チャック体46が筆記芯Lを把持した際、先端部51は常に摺動孔55に内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部51が常に摺動孔5530に内挿する状態としているが、前進したチャック体46が拡開する前に先端部51が摺動孔55に内挿するように形成してあればよい。
また、本実施例のチャック体46では、弾性片49に形成した芯把持部48を前記先端部51の内面にも連接して形成しているが、先端部の内面に芯把持部を形成せず、芯把持部の内径より大きい孔としても良く、例えば、芯把持部の内径よりも大きい円筒状に形成しても良い。先端部51の内面にも芯把持部48を形成した場合には、芯把持部の面積を拡大できる為、筆記芯をより確実に把持することができる。
チャック体46における先端部51とチャックストッパー54における摺動孔55を上記のように、チャック体46の拡開時に、前記先端部51外周面と前記摺動孔55内面が各弾性49における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制した構成にすることで、チャック体46が拡開した直後の振動による弾性片49の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体46拡開後の芯把持部48における弾性片49間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部48で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
また、筆記芯を把持した際には、先端部51が常に摺動孔55に内挿している状態を保つことで、チャック体46前進時に正確に先端部51を摺動孔内55に案内することができ、安定して筆記芯の繰り出しが行える。
本実施例においては、先端部51の断面略半円の曲率半径を、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー54に、チャック体46と中心線が同軸の断面菱形で軸方向にストレートに形成された摺動孔55の内接円半径より大きく形成したことでチャック体46が拡開した際に、チャック体46において軸方向ストレートに形成された先端部51と各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所を線接触により当接させることができる(当接箇所T)。2箇所の当接箇所が線接触となることで、チャック体46の左右への動きを規制できる部分が増えるので、チャック体46が拡開した際に、チャック体46が拡開した直後の弾性片49の横振れをより確実に防止することができ、筆記芯への振動の伝達を確実に防ぐと共に、拡開後の芯把持部48における弾性片49間のスリット幅が均等となる。そして、拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制したことから、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部48で筆記芯Lを内包することができる。それにより、スリット47へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯Lを良好な状態に保ちつつ、より正確な筆記芯Lの案内及び把持ができ、安定した筆記芯Lの繰り出しが行える製品を提供することができる。加えて、チャック体46の先端部51外面と摺動孔55内面が当接することで、チャック体46と摺動孔55の中心線が合うことから、筆記芯Lがチャック体46の芯把持部48を通過しても前方の部材と筆記芯Lの中心が合いやすくなり、良好な筆記芯Lの繰り出しや残芯の排出が行える。また、先端部51を一体で形成することでチャック体46の加工がし易く生産性を向上させると共に、先端部51の剛性が高まるので耐久性にも優れている。本実施例では、先端部51の断面略半円の曲率半径を、チャック体46前方に配設されたチャックストッパー54に、チャック体46と中心線が同軸の断面菱形で軸方向にストレートに形成された摺動孔55の内接円半径より大きく形成することで、チャック体46拡開時に先端部51外周面を摺動孔55内面に各弾性片49における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によって拡開後の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、特に限定されない。
本実施例のように摺動孔55を菱形に形成することで、チャック体46拡開時における先端部51外周面の摺動孔55内面との当接箇所Tを、先端部51側面の円筒部とすることができ、繰り返しの当接及び摺動による変形に強く、経時安定性の良い製品を提供することができる。更に、先端部51外周面と摺動孔55内面との当接箇所Tが先端部51のR曲面となり、当接時に発生する負荷が分散され、繰り返しの当接及び摺動による疲労に強く、より経時安定性の良い製品を提供することができる。
本実施例において、前記先端部51はチャック体46における先端面50から縮径するように形成することで、チャック体46の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体46の前方から挿入するチャックスプリング28や摺動孔55を有する部材の外径も小さくすることができ細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体46が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体46の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にでき、より多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
また、チャック体46を分割するスリット47は一定の幅で連続して形成することで、スリット47の加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体46を拡開させることができるので安定した品質のチャック体46を供給することができる。
先端部51外面と摺動孔55内面の当接によって、チャック体46が拡開した際の芯把持部48におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制していることから、スリット47に筆記芯Lが入り込むことがないので、加工時のスリット47の幅を使用しうる芯径以上にすることも可能であり、チャック体46の芯把持力の調整が容易になり、また加工工具のメンテナンス頻度も減少し、安定した品質のチャック体46を安価で供給することができる。
次に本発明の第4実施例を図23〜図27に示し、説明する。第4実施例は、各弾性片59において先端部61の両側面をカットした断面略半円形に一体で形成したチャック体56を用い、摺動孔30の断面形状を円形に形成した例である。摺動孔30を形成したチャックストッパーは、第1実施例、第2実施例と同一のチャックストッパー29である。
第4実施例におけるチャック体56は、先端から一定幅のスリット57により芯把持部58を有する弾性片59に2分割されるとともに、前記弾性片59の先端面60に前方に向けて両側面をカットしたカット部64が設けられ、断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体56先端から突出する形で形成された先端部61を有している。該先端部61の断面略半円の曲率半径は、チャック体56前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体56と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成している。チャック体56の拡開時には、前記先端部61外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片59における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。摺動孔30の内径は、チャック体56が拡開し、前記先端部61外周面と摺動孔30内面が各弾性片59における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開後のチャック体56におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成している。
チャック体56が筆記芯Lを把持した際、先端部61は常に摺動孔30に内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部61が常に摺動孔30に内挿する状態としているが、前進したチャック体56が拡開する前に先端部61が摺動孔30に内挿するように形成してあればよい。
また、本実施例のチャック体56では、弾性片59に形成した芯把持部58を前記先端部61の内面にも連接して形成しているが、先端部の内面に芯把持部を形成せず、芯把持部の内径より大きい孔としても良く、例えば、芯把持部の内径よりも大きい円筒状に形成しても良い。先端部61の内面にも芯把持部58を形成した場合には、芯把持部の面積を拡大できる為、筆記芯をより確実に把持することができる。
チャック体56における先端部61とチャックストッパー29における摺動孔30を上記のように、チャック体56の拡開時に、前記先端部61外周面と前記摺動孔30内面が各弾性片59における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部58におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制した構成にすることで、チャック体56が拡開した直後の振動による弾性片59の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体56拡開後の芯把持部58における弾性片59間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部58で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
また、筆記芯を把持した際には、先端部61が常に摺動孔30に内挿している状態を保つことで、チャック体56前進時に正確に先端部61を摺動孔30内に案内することができ、安定して筆記芯の繰り出しが行える。
本実施例においては、両側面をカットしたカット部64が設けられ、断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体56先端から突出する形で形成された先端部61の断面半円の曲率半径を、チャック体56前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体56と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成したことでチャック体56が拡開した際に、チャック体56において軸方向ストレートに形成された先端部61と各弾性片59における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所を線接触により当接させることができる(当接箇所T)。2箇所の当接箇所が線接触となることで、チャック体56の左右への動きを規制できる部分が増えるので、チャック体56が拡開した際に、チャック体56が拡開した直後の弾性片59の横振れをより確実に防止することができ、筆記芯への振動の伝達を確実に防ぐと共に、拡開後の芯把持部58における弾性片59間のスリット幅が均等となる。そして、拡開後の芯把持部58におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制したことから、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部58で筆記芯Lを内包することができる。それにより、スリット57へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯Lを良好な状態に保ちつつ、より正確な筆記芯Lの案内及び把持ができ、安定した筆記芯Lの繰り出しが行える製品を提供することができる。加えて、チャック体56の先端部61外面と摺動孔30内面が当接することで、チャック体56と摺動孔30の中心線が合うことから、筆記芯Lがチャック体56の芯把持部58を通過しても前方の部材と筆記芯Lの中心が合いやすくなり、良好な筆記芯Lの繰り出しや残芯の排出が行える。また、先端部61を一体で形成することでチャック体56の加工がし易く生産性を向上させることができる。本実施例では、両側面をカットしたカット部64が設けられ、断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体56先端から突出する形で形成された先端部61の断面略半円の曲率半径を、チャック体56前方に配設されたチャックストッパー29に、チャック体56と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔30の半径より大きく形成することで、チャック体56拡開時に先端部61外周面を摺動孔30内面に各弾性片59における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によって拡開後の芯把持部58におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、特に限定されない。
本実施例のように先端部61の両側面をカットしたカット部64を設けることで、先端部61の横幅が狭くなり、筆記芯Lを把持していない状態においても摺動孔30内へ先端部61をより確実に案内することができる。また、チャック体56拡開時における先端部61外周面と摺動孔30内面との当接箇所Tを90°以上の鈍角とすることができ、繰り返しの当接及び摺動による変形に強く、経時安定性の良い製品を提供することができる。先端部61外周面と摺動孔30内面との当接箇所Tがカット部64にて形成された陵線となり、チャック体56成形後に当接箇所Tの寸法管理が容易になる為、安定した品質のチャック体56を供給することができる。更に本実施例は摺動孔30が断面円形の為、チャック体56と摺動孔30との周方向での位置関係に制限はなく組立時の位置決めは不要であり、生産性を維持したまま長期使用の耐久性に優れた効果を得ることができる。
本実施例において、前記先端部61はチャック体56における先端面60から縮径するように形成することで、チャック体56の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体56の前方から挿入するチャックスプリング28や摺動孔30を有する部材の外径も小さくすることができ細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体56が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体56の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にできより多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
また、チャック体56を分割するスリット57は一定の幅で連続して形成することで、スリット57の加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体56を拡開させることができるので安定した品質のチャック体56を供給することができる。
先端部61外周面と摺動孔30内面の当接によって、チャック体56が拡開した際の芯把持部58におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制していることから、スリット57に筆記芯Lが入り込むことがないので、加工時のスリット57の幅を使用しうる芯径以上にすることも可能であり、チャック体56の芯把持力の調整が容易になり、また加工工具のメンテナンス頻度も減少し、安定した品質チャック体56を安価で供給することができる。
次に、本第4実施例における変形例として図28〜図31に示したように、チャックストッパーにその後端面から後方に向けて突出する凸部を設けても良い。本変形例のチャックストッパー65においては、後端面68から後方に向けて環状に突出する凸部67を形成し、該凸部67内径は第4実施例と同じチャック体56が拡開した際でも、チャック体56外周面が当接しない内径としている。
その他の構成については、第4実施例と同じである。そのため、本変形例にあっても、チャック体56が拡開した際に、先端部61外面と摺動孔66内面が弾性片59における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接するので、チャック体56が拡開した直後の振動による弾性片59の左右への動きを規制することができる。弾性片59の横振れが確実に防止されることで、筆記芯Lへの振動の伝達を防ぐと共に、弾性片59間のスリット幅が均等となることから、筆記芯Lを正確にチャック体56の芯把持部58に案内することができる為、良好な筆記芯Lの繰り出しが行える。その他の効果についても、第4実施例と同様である。
加えて、本変形例にあっては、前述した通り、チャックストッパー65に、その後端面68から後方に向けて環状に突出する凸部67を形成していることから、チャック体56による芯把持力をより一定に保ち易くなり、より良好に筆記の行えるシャープペンシルを提供することもできる。
ここで、本変形例を含む第1〜第4実施例のように、筆記芯の前進は許容するが後退は阻止することができるチャック体を使用した場合、前方に向けて拡径するテーパ部を内部に形成するリングを合わせて使用する。チャック体の拡開規制部材(チャックストッパー)を配し、ノック動作によりチャック体が前進した際に、チャック体の先端部の拡開規制がなされると、チャック体におけるボール受け座とリング内部のテーパ部との間の空間が大きくなる。この時、押圧部材のノックによるチャック体の前進量は任意に設定できるが、確実にチャック体を拡開させ、筆記芯の繰り出しを行う為にはチャック体の前進量は多い方が望ましい。しかし、前述したチャック体におけるボール受け座とリング内部のテーパ部との間の空間はチャック体の前進量が多くなるに伴い大きくなるので、ノック動作時にボールが前進してしまうと、ノック動作終了後のボール受け座に対するボールの位置が前方に移動してしまい、チャック体における筆記芯の把持力がばらついてしまう恐れがあった。
そこで、本変形例のようにチャックストッパー65の後端面68から後方に向けて環状に突出する凸部67を形成すると、ノック動作時のボールの前進を制御することができ、ノック動作終了後のボール受け座62に対するボール27の位置のばらつきを軽減することができる。そうすることで、チャック体56における芯把持力をより一定に保ち易くなり、より良好に筆記の行えるシャープペンシルを提供することができる。
また、本変形例のように、チャックストッパー65の凸部67の終端をリング17におけるテーパ部18に内包されるように形成することで、常にテーパ部18とボール受け座62の間でボール27を内包することができ、確実にテーパ部18とボール受け座62の間でボール27を挟持することができる。
尚、本変形例では第4実施例に記載のチャックストッパー65にその後端面68から後方に向けて環状に突出する凸部67を形成したが、第1〜3実施例においても後端面68から後方に向けて環状に突出する凸部67を形成したチャックストッパー65を用いることにより、ノック動作時のボール27の前進を制御することで、ノック動作終了後のボール受け座に対するボール27の位置のばらつきを軽減し、チャック体における芯把持力をより一定に保ち易くなり、より良好に筆記の行えるシャープペンシルを提供することができる。また、第3実施例においては、摺動孔55は断面菱形で軸方向にストレートに形成されている為、菱形の頂点からの対角線における長い対角線はチャック体46のスリット47と同軸上となり、短い対角線はチャック体46におけるボール受け座52と同軸上となる。そこで、前記凸部を短い対角線と同軸上にボール受け座52に対応するよう2箇所に設けてもよく、その場合にも同様にノック動作時のボール27の前進を制御することができ、ノック動作終了後のボール受け座52に対するボール27の位置のばらつきを軽減することができるので、チャック体46における芯把持力をより一定に保ち易くなり、より良好に筆記の行えるシャープペンシルを提供することができる。つまり、ノック動作時のボール前進を制御することができれば良く、凸部の形状は特に限定されない。
最後に本発明の第5実施例を図32〜図37に示し、説明する。第5実施例は、囲繞するリング76によって開閉を調整して筆記芯Lを繰り出すチャック体69を使用したシャープペンシルの例である。
軸筒1は、前方にステンレス製のパイプ13と内部に芯保持部材14が圧入固定され、内段の一部に摺動孔75を設けた先部材5と着脱自在に螺着された軸筒本体8とから構成されており、それらによって構成される軸筒1の内部には、芯繰り出しユニット9が配置されている。
本実施例の前記芯繰り出しユニット9においては、スリット70により芯把持部71を有する弾性片72に複数分割されるとともに、前記弾性片72の先端面73に前方に向けて軸方向ストレートに突出する形で形成された先端部74を有するチャック体69が軸筒1の前方に配置されており、そのチャック体69にはチャック体69の開閉を行うリング76が囲繞した状態で挿着されている。そして、チャック体69の後方には筆記芯Lを収容する芯タンク39が圧入固定され、芯繰り出しユニット9を軸筒1の後方へ付勢するチャックスプリング28が張設されている。
前記芯繰り出しユニット9の芯タンク39の後端には、消しゴム43と押圧部材44が着脱自在に取り付けられている。前記軸筒本体8の後方に形成された縮径部11にはクリップ12が嵌め込まれている。
第5実施例におけるチャック体69は、先端からスリット70により芯把持部71を有する弾性片72に2分割されるとともに、前記弾性片72の先端面73に前方に向けて断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体69先端から突出する形で形成された先端部74を有している。該先端部74の断面略半円の曲率半径は、チャック体69前方に配設された先部材5内部に、チャック体69と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された摺動孔75の半径より大きく、チャック体69が筆記芯Lを把持した際、先端部74は常に摺動孔75に内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部74が常に摺動孔75に内挿する状態としているが、前進したチャック体69が拡開する前に先端部74が摺動孔75に内挿するように形成してあればよい。チャック体69の拡開時には、前記先端部74外周面と前記摺動孔75内面が各弾性片72における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。摺動孔75の内径は、チャック体69が拡開し前記先端部74外周面と摺動孔75内面が当接した際に、拡開後のチャック体69におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成している。
本実施例のチャック体69では、弾性片72に形成した芯把持部71を前記先端部73の内面にも連接して形成しているが、先端部の内面に芯把持部を形成せず、芯把持部の内径より大きい孔としても良く、例えば、芯把持部の内径よりも大きい円筒状に形成しても良い。先端部73の内面にも芯把持部71を形成した場合には、芯把持部の面積を拡大できる為、筆記芯をより確実に把持することができる。
チャック体69における先端部74と先部材5における摺動孔75を上記のように、チャック体69の拡開時に、前記先端部74外周面と前記摺動孔75内面が各弾性片72における軸心方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部71におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制した構成にすることで、チャック体69が拡開した直後の振動による弾性片72の横振れが確実に防止され、筆記芯への振動の伝達を防ぐと共に、チャック体69拡開後の芯把持部71における弾性片72間のスリット幅が使用しうる筆記芯の芯径より小さくかつ均等となり、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部71で筆記芯を内包することができる為、良好な筆記芯の繰り出しが行える。
また、筆記芯を把持した際には、先端部74が常に摺動孔75に内挿している状態を保つことで、チャック体69前進時に正確に先端部74を摺動孔75内に案内することができ、安定して筆記芯の繰り出しが行える。
本実施例においては、先端部74の曲率半径を摺動孔75の半径より大くしたことで、チャック体69が拡開した際に、チャック体69において軸方向ストレートに形成された先端部74と各弾性片72における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所を線接触により当接させることができる(当接箇所T)。2箇所の当接箇所が線接触となることで、チャック体69の左右への動きを規制できる部分が増えるので、チャック体69が拡開した際に、チャック体69が拡開した直後の弾性片72の横振れをより確実に防止することができ、筆記芯への振動の伝達を確実に防ぐと共に、拡開後の芯把持部71における弾性片72間のスリット幅が均等となる。そして、拡開後の芯把持部71におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制したことから、ノック動作が終了するまでの間、常に芯把持部71で筆記芯Lを内包することができる。それにより、スリット70へ入り込んだ筆記芯Lを把持した際に生じる筆記芯Lの欠けやクラックなどが発生することなく、筆記芯Lを良好な状態に保ちつつ、より正確な筆記芯Lの案内及び把持ができ、安定した筆記芯Lの繰り出しが行える製品を提供することができる。加えて、チャック体69の先端部74外面と摺動孔75内面が当接することで、チャック体69と摺動孔75の中心線が合うことから、筆記芯Lがチャック体69の芯把持部71を通過しても前方の部材と筆記芯Lの中心が合いやすくなり、良好な筆記芯Lの繰り出しや残芯の排出が行える。また、先端部74を一体で形成することでチャック体69の加工がし易く生産性を向上させることができる。本実施例では、先端部74の曲率半径を摺動孔75の半径より大きく形成することで、チャック体69拡開時に先端部74外周面を摺動孔75内面に各弾性片72における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によって拡開後の芯把持部71におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、特に限定されない。
本実施例のように囲繞するリング76によって開閉を調整して芯を繰り出すチャック体69を使用することで、部品点数を減らすことができ安価で筆記芯Lの繰り出し性の良い製品を提供することができる。
本実施例において、前記先端部74はチャック体69における先端面73から縮径するように形成することで、チャック体69の最大径部を極力小さくすることができる。そうすることで、チャック体69の前方から挿入するチャックスプリング28や摺動孔75を有する部材の外径も小さくすることができ細身のシャープペンシルを提供することができる。特にチャック体69が配設される箇所の外面は筆記時において、使用者が把持する部分になることが多くチャック体69の最大径を小さくすることで、把持部の外径も小さく細身にできより多くの使用者に適合する製品デザインが可能となる。
1 軸筒
2 先端リング
3 先端スプリング
4 スライダー
5 先部材
6 前軸
7 後軸
8 軸筒本体
9 芯繰り出しユニット
10 クッションスプリング
11 縮径部
12 クリップ
13 パイプ
14 芯保持部材
15 Oリング
16 チャックセット
17 リング
18 テーパ部
19 チャック体
20 スリット
21 芯把持部
22 弾性片
23 先端面
24 先端部
25 ボール受け座
26 鍔部
27 ボール
28 チャックスプリング
29 チャックストッパー
30 摺動孔
31 係止具
32 弾性片部
33 係合突起
34 中継部材
35 大径部
36 係合溝
37 芯挿通孔
38 芯ガイドパイプ
39 芯タンク
40 中子
41 ノックスプリング
42 消しゴム受け部材
43 消しゴム
44 押圧部材
45 芯保持部
46 チャック体
47 スリット
48 芯把持部
49 弾性片
50 先端面
51 先端部
52 ボール受け座
53 鍔部
54 チャックストッパー
55 摺動孔
56 チャック体
57 スリット
58 芯把持部
59 弾性片
60 先端面
61 先端部
62 ボール受け座
63 鍔部
64 カット部
65 チャックストッパー
66 摺動孔
67 凸部
68 後端面
69 チャック体
70 スリット
71 芯把持部
72 弾性片
73 先端面
74 先端部
75 摺動孔
76 リング
L 筆記芯
X 芯径
Y スリット幅
T 当接箇所

Claims (3)

  1. 先端からのスリットにより芯把持部を有する複数の弾性片に分割されるチャック体を使用したシャープペンシルにおいて、前記弾性片の先端面より前方に向けて、軸方向ストレートに先端面から突出する先端部を形成し、チャック体前方にチャック体が拡開時には前記先端部が内挿される摺動孔を設けると共に、チャック体拡開時に前記先端部外周面が前記摺動孔内面に各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接し、その当接によって拡開後の芯把持部におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制したことを特徴とするシャープペンシル。
  2. チャック体が筆記芯把持時には先端部が摺動孔に内挿することを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシル。
  3. 前記チャック体がボールを介して囲繞するリングとのくさび効果により筆記芯の前進は許容するが筆記芯の後退を阻止するチャック体であることを特徴とする請求項1乃至2に記載のシャープペンシル。
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