JP6587779B2 - 目標検出装置及び目標検出方法 - Google Patents
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Description
図1は、この発明の実施の形態1による目標検出装置6を含むレーダ装置を示す構成図である。
図2は、この発明の実施の形態1による目標検出装置6を示す構成図である。図3は、この発明の実施の形態1による目標検出装置6を示すハードウェア構成図である。
図1から図3において、送信機1は、電磁波である送信RF信号を生成し、送信RF信号を送信アンテナ2に出力する。
送信アンテナ2は、送信機1から出力された送信RF信号を空間に放射する。
受信機4は、受信アンテナ3から出力された受信RF信号に対する受信処理を実施し、受信処理後の信号である受信信号をA/D変換器5に出力する。
受信機4では、受信処理として、例えば、受信RF信号に対する周波数変調処理、帯域制限処理及び増幅処理が実施される。
目標検出装置6は、A/D変換器5から出力されたデジタルの受信信号に基づいて目標を検出する装置である。
表示器7は、目標検出装置6により検出された目標の空間的な広がりなどを表示する。
クラッタ抑圧部11は、A/D変換器5から出力されたデジタルの受信信号に含まれているクラッタを抑圧し、クラッタ抑圧後の受信信号を積分部12に出力する処理を実施する。
目標検出装置6の積分部12は、例えば図3に示す積分回路22で実現される。
積分部12は、クラッタ抑圧部11から出力されたクラッタ抑圧後の受信信号を積分し、積分後の受信信号を検波部13に出力する処理を実施する。
検波部13は、積分部12から出力された積分後の受信信号の振幅又は電力を検波し、振幅又は電力の検波結果として受信ビデオ信号を目標検出部14−1〜14−Nのそれぞれに出力する処理を実施する。
目標検出装置6の目標検出部14−n(n=1,2,・・・,N)は、例えば図3に示す目標検出回路24で実現される。
目標検出部14−nは、検波部13から出力された受信ビデオ信号に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標の検出処理を実施する。
パラメータ記憶部15は、目標の検出性能設定用のパラメータを記憶している。
パラメータ記憶部15には、目標の検出性能設定用のパラメータとして、判定処理部16−m(m=1,2,・・・,M)別の目標判定用閾値と、目標検出部14−n毎の重み値とが記憶されている。
目標検出部14−n毎の重み値は、検出可能な目標の空間的な広がりに対応する重み値であり、判定処理部16−m別に記憶されている。
判定処理部16−mは、パラメータ記憶部15により記憶されている判定処理部16−m別の目標判定用閾値と、判定処理部16−m別の目標検出部14−n毎の重み値とが設定される。
判定処理部16−mは、目標検出部14−n毎に、当該目標検出部14−nに設定されている重み値と当該目標検出部14−nによる目標の検出処理結果を示す検出値との乗算値を算出する処理を実施する。
また、判定処理部16−mは、目標検出部14−1〜14−Nについての重み値と検出値との乗算値の総和と、当該判定処理部16−mに設定されている目標判定用閾値とを比較することで、目標の有無を判定する処理を実施する。
ここで、パラメータ記憶回路25は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
また、クラッタ抑圧回路21、積分回路22、検波回路23、目標検出回路24及び判定処理回路26は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
図4は、目標検出装置6がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図5は、目標検出装置6がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合の処理手順である目標検出方法を示すフローチャートである。
また、図3では、目標検出装置6の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図4では、目標検出装置6がソフトウェアやファームウェアなどで実現される例を示している。しかし、目標検出装置6は、一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェアなどで実現されるものであってもよい。
図6は、CFAR信号処理の概要を示す説明図である。
検波部13から出力された受信ビデオ信号は、CFAR信号処理の入力データであり、CFAR信号処理における複数のセル内を図中右方向に移動する。
即ち、受信ビデオ信号は、図中、左側のサンプルセルからガードセルに移動し、テストセルに到達する。その後、図中、右側のガードセルに移動して、右側のサンプルセルに移動する。
次に、CFAR信号処理では、目標の有無を判定する対象のセルであるテストセルの前後に存在している複数のサンプルセルにおける電力の平均値であるサンプルセル平均電力とCFAR係数を乗算することで、CFAR閾値Thcfarを算出する。
次に、CFAR信号処理では、テストセルの電力YとCFAR閾値Thcfar(=Z)とを比較する。CFAR信号処理では、テストセルの電力YがCFAR閾値Thcfar以上であれば、目標が有ると判定し、テストセルの電力YがCFAR閾値Thcfar未満であれば、目標が無いと判定する。
図6では、受信ビデオ信号の電力を受信ビデオ信号の信号強度として扱っているが、受信ビデオ信号の振幅を受信ビデオ信号の信号強度として扱うようにしてもよい。
図7において、横軸は、受信ビデオ信号の振幅X、縦軸は、受信ビデオ信号の振幅Xの発生頻度が全体に占める割合である確率密度P(X)を示している。
図7では、受信ビデオ信号の振幅を受信ビデオ信号の信号強度として扱っているが、受信ビデオ信号の電力を受信ビデオ信号の信号強度として扱うようにしてもよい。
Aは、クラッタである雑音のみの分布を表し、Bは、目標の信号と雑音の総和の分布を表している。
分布Bにおいて、受信ビデオ信号の振幅XがCFAR閾値Thcfarを超える部分が、目標として検出される確率を表しており、一般に、この確率は、検出確率Pdと呼ばれる。
分布Aにおいて、受信ビデオ信号の振幅XがCFAR閾値Thcfarを超える部分が、誤警報として雑音が検出される確率を表しており、一般に、この確率は、誤警報確率Pfaと呼ばれる。
式(1)において、xは、受信ビデオ信号の振幅、σは、受信ビデオ信号の振幅xの分散、p(x)は、受信ビデオ信号の振幅xの確率密度である。
式(2)及び式(3)において、kは係数、KはCFAR係数、<x>は雑音の振幅平均である。
図8Aは、信号強度のピーク性が高い目標とCFAR信号処理との関係を示す説明図である。
信号強度のピーク性が高い目標は、空間的な広がりが小さい目標であり、例えば、1つの目標だけが単独で存在している場合などが考えられる。
図8Bは、空間的な広がりが大きい目標とCFAR信号処理との関係を示す説明図である。
空間的な広がりが大きい目標は、例えば、複数の目標が一定の範囲内に存在している目標群などが考えられる。
図8では、CFAR信号処理における複数のセルがレンジ方向(距離方向)に並んでいる例を示している。
図8において、信号強度は、電力を意味する。
このため、サンプルセルの平均電力は、周囲の雑音平均電力とほぼ同等となり、サンプルセルの平均電力から算出されるCFAR閾値Thcfarは、図8Aに示すように、信号強度のピーク値と雑音平均電力との間の値になる。周囲の雑音平均電力は、背景雑音電力に相当する。
したがって、テストセルの信号強度がCFAR閾値Thcfar以上になるため、目標を検出することができる。
このため、サンプルセルの平均電力から算出されるCFAR閾値Thcfarは、図8Bに示すように、信号強度のピーク値よりも大きくなることがある。
したがって、テストセルの信号強度がCFAR閾値Thcfar未満になり、目標を検出できないことがある。
上記の特許文献1に開示されているCFAR信号処理では、図8Aのように、信号強度のピーク性が高い目標については検出することが可能であるが、図8Bのように、空間的な広がりが大きい目標については検出することができない。
送信機1は、電磁波である送信RF信号を生成し、送信RF信号を送信アンテナ2に出力する。
送信アンテナ2は、送信機1から出力された送信RF信号を空間に放射する。
受信アンテナ3は、送信アンテナ2から放射されたのち、目標に反射された送信RF信号を受信RF信号として受信し、受信RF信号を受信機4に出力する。
受信機4は、受信アンテナ3から出力された受信RF信号に対する受信処理を実施し、受信処理後の信号である受信信号をA/D変換器5に出力する。
A/D変換器5は、受信機4から出力された受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタルの受信信号を目標検出装置6に出力する。
これにより、レーダ装置が設置された場所の地形に由来するクラッタ及び気象状況に由来するクラッタなどが抑圧される。地形に由来するクラッタとしては、地面、山又は海などに反射されたクラッタが該当し、気象状況に由来するクラッタとしては、雨又は雲などに反射されたクラッタが該当する。
クラッタ抑圧部11によるクラッタの抑圧手法としては、MTI(Moving Target Indication)又はAMTI(Adaptive Moving Target Indication)の手法などを用いることができる。
これにより、受信信号の信号対雑音比 (signal−to−noise ratio)を改善することができる。
検波部13は、積分部12から出力された積分後の受信信号の電力を検波し、電力の検波結果として受信ビデオ信号を目標検出部14−1〜14−Nのそれぞれに出力する(図5のステップST3)。
この実施の形態1では、検波部13が受信信号の電力を検波する例を説明するが、検波部13が受信信号の振幅を検波するようにしてもよい。
目標検出部14−1〜14−Nにより実施されるそれぞれのCFAR信号処理は、CFAR条件が互いに異なっており、目標検出部14−1〜14−Nによりそれぞれ検出可能な目標の空間的な広がりが互いに異なっている。
図9Aは、目標の空間的な広がりが大きくても、CFAR信号処理におけるガードセルの範囲が、目標の空間的な広がりが小さい場合と同じである例を示す説明図である。
図9Bは、目標の空間的な広がりが大きい場合、CFAR信号処理におけるガードセルの範囲が、目標の空間的な広がりが小さい場合よりも広げられている例を示す説明図である。
図9では、CFAR信号処理における複数のセルがレンジ方向に並んでいる例を示しているが、CFAR信号処理における複数のセルがドップラ周波数方向又は角度方向に並んでいるものであってもよい。
図9において、信号強度は、電力を意味する。
このため、サンプルセルの平均電力から算出されるCFAR閾値Thcfarは、図9Aに示すように、信号強度のピーク値よりも大きくなることがある。
したがって、テストセルの信号強度がCFAR閾値Thcfar未満になり、目標検出部14−nが、目標を検出できないことがある。
このため、サンプルセルの平均電力は、周囲の雑音平均電力とほぼ同等となり、サンプルセルの平均電力から算出されるCFAR閾値Thcfarは、図9Bに示すように、信号強度のピーク値と雑音平均電力との間の値になる。
したがって、テストセルの信号強度がCFAR閾値Thcfar以上になるため、目標検出部14−nが、目標を検出することができる。
以下、目標検出部14−nによる目標の検出処理を具体的に説明する。
式(4)において、K(n)は、目標検出部14−nにより実施されるCFAR信号処理におけるCFAR係数である。
xave(n,r)は、目標検出部14−nにより実施されるCFAR信号処理における距離ビン番号rがテストセルに設定されたときのサンプルセルの平均電力である。
ここでは、目標検出部14−nが、サンプルセルをレンジビン方向のみの一次元としているが、サンプルセルをドップラ周波数ビン方向又は角度ビン方向のみの一次元としてもよい。また、目標検出部14−nが、サンプルセルを、レンジビン方向、ドップラ周波数ビン方向及び角度ビン方向の組み合せによる多次元としてもよい。
式(5)において、Nsmp(n)は、目標検出部14−nにより実施されるCFAR信号処理におけるサンプルセル数、Pfaは、N個の目標検出部14−nに対して共通に設定される誤警報確率である。
次に、目標検出部14−nは、CFAR信号処理における全てのセルの電力のうち、距離ビン番号rがテストセルに設定されたときの電力x(r)と、上記の式(4)で設定された距離ビン番号rに対応するCFAR閾値Thcfar(n,r)とを比較する。
以下の式(6)は、テストセルである距離ビン番号rの電力x(r)と、CFAR閾値Thcfar(n,r)との比較処理を示している。
具体的には、式(6)は、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar(n,r)以上であれば、距離ビン番号rに目標が有る旨を示す検出処理結果として、検出値D(n,r)が1になることを示している。また、式(6)は、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar(n,r)未満であれば、距離ビン番号rに目標が無い旨を示す検出処理結果として、検出値D(n,r)が0になることを示している。
目標検出部14−nは、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar(n,r)以上であれば、検出値D(n,r)=1を判定処理部16−1〜16−Mのそれぞれに出力する。
目標検出部14−nは、電力x(r)CFAR閾値Thcfar(n,r)未満であれば、検出値D(n,r)=0を判定処理部16−1〜16−Mのそれぞれに出力する。
図10では、目標検出部14−1は、CFAR信号処理におけるガードセルの範囲が広げられているため、空間的な広がりが大きい目標を検出している例を示している。
また、図10では、目標検出部14−2は、CFAR信号処理におけるガードセルの範囲が狭いため、空間的な広がりが小さい目標を検出している例を示している。
図11は、パラメータ記憶部15により記憶されている目標の検出性能設定用のパラメータを示す説明図である。
パラメータ記憶部15には、目標の検出性能設定用のパラメータとして、判定処理部16−m(m=1,2,・・・,M)別の目標判定用閾値Thid(m)と、判定処理部16−m別の目標検出部14−n毎の重み値V(m,n)とが記憶されている。
例えば、判定処理部16−1に対応する目標判定用閾値Thid(1)は、Thαであり、判定処理部16−2に対応する目標判定用閾値Thid(2)は、Thβであり、判定処理部16−Mに対応する目標判定用閾値Thid(M)は、Thγである。
また、判定処理部16−1における目標検出部14−1に対応する重み値V(1,1)は、α1であり、判定処理部16−2における目標検出部14−3に対応する重み値V(2,3)は、β3である。
この実施の形態1では、重み値V(m,n)が正値であることを想定しているが、一部の重み値が0又は負値であってもよい。
判定処理部16−mは、以下の式(7)に示すように、目標検出部14−n毎の重み値V(m,n)と、目標検出部14−nから出力された検出値D(n,r)との乗算値V(m,n)D(n,r)を算出する。
そして、判定処理部16−mは、以下の式(7)に示すように、目標検出部14−1〜14−Nについてのそれぞれの乗算値V(m,n)D(n,r)の総和Vsum(m,r)を算出する。
一方、目標検出部14−nにより目標が検出されておらず、目標検出部14−nから出力された検出値がD(n,r)=0であれば、総和Vsum(m,r)には、判定処理部16−mによって、0の乗算値が加えられる。したがって、判定処理部16−mにより算出される総和Vsum(m,r)の値は、大きくならない。
判定処理部16−mは、総和Vsum(m,r)が目標判定用閾値Thid(m)未満であれば、目標が無いと判定し(図5のステップST5:NOの場合)。目標が無い旨を示す判定結果Xid(m,r)=0を表示器7に出力する(図5のステップST7)。
図12の例では、N個の目標検出部14−nのうち、目標検出部14−1,14−3,14−Nが目標を検出し、目標検出部14−2が目標を検出していない。
その結果、M個の判定処理部16−mのうち、判定処理部16−1が、目標が有ると判定し、判定処理部16−2,16−Mが、目標が無いと判定している例を示している。
式(9)において、mtgtは、M個の判定処理部16−mのうち、目標判定用閾値Thid(m)及び重み値V(m,n)を設定する対象の判定処理部を示す番号である。
Dtgt(n,r)は、判定処理部16−mtgtにより目標が有ると判定される場合の目標検出部14−nの検出処理結果を示す検出値D(n,r)であり、Dtgt(n,r)は、事前に設定される想定値である。
したがって、M個の判定処理部16−mによる有無の判定が可能な目標の空間的な広がりが互いに異なるようになる。
ここでは、表示器7が、M個の判定結果Xid(m,r)を表示する例を示している。しかし、これに限るものではなく、表示器7が、M個の判定処理部16−mから出力された判定結果Xid(m,r)を以下の式(10)に示すようにまとめ、M個の判定結果Xid(m,r)をまとめた判定結果Xdisp(r)を表示するようにしてもよい。
図13の例では、M個の判定結果Xid(m,r)が横一列に並べられるように、M個の判定結果Xid(m,r)がまとめられている判定結果Xdisp(r)が表示されている。
表示器7が、M個の判定結果Xid(m,r)又は判定結果Xdisp(r)を表示することで、検出された目標を確認することができるほか、検出された目標の空間的な広がりを確認することができる。
例えば、表示器7は、目標の空間的な広がりに優先度が設定されていれば、M個の判定処理部16−mから出力された判定結果Xid(m,r)のうち、優先度が高い空間的な広がりに対応する判定結果Xid(m,r)だけを表示するようにしてもよい。
しかし、これに限るものではなく、例えば、目標検出部14−1〜14−Nが、CFAR信号処理として、ドップラ周波数セル上のガードセルの範囲が互いに異なっているCFAR信号処理をそれぞれ実施するようにしてもよい。
また、目標検出部14−1〜14−Nが、CFAR信号処理として、角度セル上のガードセルの範囲が互いに異なっているCFAR信号処理をそれぞれ実施するようにしてもよい。
図14は、この発明の実施の形態2による目標検出装置6Bを含むレーダ装置を示す構成図である。
図15は、この発明の実施の形態2による目標検出装置6Bを示す構成図である。図16は、この発明の実施の形態2による目標検出装置6Bを示すハードウェア構成図である。
図14から図16において、図1から図3と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
表示器7は、目標検出装置6Bにより検出された目標の空間的な広がりなどを表示する。
ただし、検波部13は、振幅又は電力の検波結果として受信ビデオ信号を目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれに出力するほか、受信ビデオ信号を目標仮検出部17−1〜17−Kのそれぞれに出力する。
目標仮検出部17−kは、検波部13から出力された受信ビデオ信号に基づいて、目標の仮検出処理を実施することで、目標を仮検出する。
目標仮検出部17−1〜17−Kは、例えば、目標の仮検出処理として、CFAR信号処理を実施する。
目標仮検出部17−1〜17−Kによりそれぞれ実施されるCFAR信号処理で用いられる閾値が、目標仮検出部毎に異なっている。
目標仮検出部17−kは、目標の仮検出処理結果を論理和算出部18に出力する。
論理和算出部18は、目標仮検出部17−1〜17−Kによるそれぞれの目標の仮検出処理結果の論理和を算出する処理を実施する。
複数の目標仮検出部17−kが目標検出装置6Bに実装される場合、論理和算出部18は、目標検出装置6Bに実装されるが、1つの目標仮検出部17−1だけが目標検出装置6Bに実装される場合、論理和算出部18は、目標検出装置6Bに実装されない。
論理和算出部18は、算出した仮検出処理結果の論理和を目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれに出力する。
目標検出部19−nは、論理和算出部18から出力された仮検出処理結果の論理和に基づいて、目標仮検出部17−1〜17−Kのうち、1つ以上の目標仮検出部によって仮検出された目標をそれぞれ特定する。
目標検出部19−nは、それぞれ特定した目標の中から、検波部13から出力された受信ビデオ信号に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標をそれぞれ検出する処理を実施する。
実施の形態2では、目標仮検出部17−kの総数Kが、目標検出部19−nの総数N未満である。K<Nである。
また、クラッタ抑圧回路21、積分回路22、検波回路23、目標仮検出回路27、論理和算出回路28、目標検出回路24及び判定処理回路26は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。
目標検出装置6Bがソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合、パラメータ記憶部15が図4に示すコンピュータのメモリ31上に構成される。また、クラッタ抑圧部11、積分部12、検波部13、目標仮検出部17−k、論理和算出部18、目標検出部19−n及び判定処理部16−mの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ31に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
また、図16では、目標検出装置6Bの構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図4では、目標検出装置6Bがソフトウェアやファームウェアなどで実現される例を示している。しかし、目標検出装置6Bは、一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェアなどで実現されるものであってもよい。
検波部13は、積分部12から出力された積分後の受信信号の電力を検波する。
検波部13は、電力の検波結果として受信ビデオ信号を目標仮検出部17−1〜17−Kのそれぞれに出力するとともに、受信ビデオ信号を目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれに出力する(図17のステップST3)。
実施の形態2では、検波部13が受信信号の電力を検波する例を説明するが、検波部13が受信信号の振幅を検波するようにしてもよい。
目標仮検出部17−k(k=1,2,・・・,K)は、図18に示すように、検波部13から受信ビデオ信号を受け取る。
目標仮検出部17−kは、受信ビデオ信号が示す電力x(r)に基づいて、目標の仮検出処理を実施することで、目標の仮検出を行う(図17のステップST8)。
以下、目標仮検出部17−kによる目標の仮検出処理を具体的に説明する。ここでは、目標の仮検出処理として、目標仮検出部17−kが、CFAR信号処理を実施するものとする。
式(11)において、Ktmp(k)は、目標仮検出部17−kにより実施されるCFAR信号処理におけるCFAR係数である。
xave(k,r)は、目標仮検出部17−kにより実施されるCFAR信号処理における距離ビン番号rがテストセルに設定されたときのサンプルセルの平均電力である。
ここでは、目標仮検出部17−kが、サンプルセルをレンジビン方向のみの一次元としているが、サンプルセルをドップラ周波数ビン方向又は角度ビン方向のみの一次元としてもよい。
また、目標仮検出部17−kが、サンプルセルを、レンジビン方向、ドップラ周波数ビン方向及び角度ビン方向の組み合せによる多次元としてもよい。
式(12)において、Pfaは、K個の目標仮検出部17−kに対して共通に設定される誤警報確率である。
Nsmp(k)は、目標仮検出部17−kにより実施されるCFAR信号処理におけるサンプルセル数である。
実施の形態2では、Nsmp(k)が、目標仮検出部17−k毎に異なっている。
Nsmp(k)が、目標仮検出部17−k毎に異なっているため、目標仮検出部17−1〜17−KのそれぞれがCFAR信号処理を実施する際に用いるCFAR閾値Thcfar,tmp(k,r)は、目標仮検出部17−k毎に異なっている。
次に、目標仮検出部17−kは、CFAR信号処理における全てのセルの電力のうち、距離ビン番号rがテストセルに設定されたときの電力x(r)と、式(11)に示す距離ビン番号rに対応するCFAR閾値Thcfar,tmp(k,r)とを比較する。
具体的には、式(13)は、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar,tmp(k,r)以上であれば、距離ビン番号rに目標が有る旨を示す仮検出処理結果として、検出値Dtmp(k,r)が1になることを示している。また、式(13)は、電力x(r)がCFAR閾Thcfar,tmp(k,r)未満であれば、距離ビン番号rに目標が無い旨を示す仮検出処理結果として、検出値Dtmp(k,r)が0になることを示している。
目標仮検出部17−kは、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar,tmp(k,r)以上であれば、仮検出処理結果として、検出値Dtmp(k,r)=1を論理和算出部18に出力する。
目標仮検出部17−kは、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar,tmp(k,r)未満であれば、仮検出処理結果として、検出値Dtmp(k,r)=0を論理和算出部18に出力する。
図8において、検出値Dtmp(k,r)=1のセル(k,r)については、目標を仮検出した旨を示す“〇”の記号を付している。また、検出値Dtmp(k,r)=0のセル(k,r)については、目標を仮検出していない旨を示す“×”の記号を付している。
複数の仮検出処理結果における論理和の算出処理は、複数の仮検出処理結果における同一のセル(k,r)の検出値Dtmp(k,r)毎に行われる。
複数の仮検出処理結果において、同一のセル(k,r)の検出値Dtmp(k,r)の中に、1つでも“1”の検出値があれば、当該セル(k,r)における仮検出処理結果の論理和結果は、“1”になる。
複数の仮検出処理結果において、同一のセル(k,r)の検出値Dtmp(k,r)の全てが“0”の検出値があれば、当該セル(k,r)における仮検出処理結果の論理和結果は、“0”になる。
論理和算出部18は、算出した仮検出処理結果の論理和として、仮検出処理結果D’tmp(k,r)を目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれに出力する。
目標検出部19−nは、図19に示すように、論理和算出部18から出力された仮検出処理結果D’tmp(k,r)と、検波部13から出力された受信ビデオ信号が示す電力x(r)とを受け取る。
目標検出部19−nは、論理和算出部18から出力された仮検出処理結果D’tmp(k,r)に基づいて、目標仮検出部17−1〜17−Kのうち、1つ以上の目標仮検出部によって仮検出された目標をそれぞれ特定する。
仮検出された目標は、仮検出処理結果D’tmp(k,r)が示す検出値Dtmp(k,r)が“1”のセル(k,r)に存在している目標である。
仮検出された目標は、検出値Dtmp(k,r)が“1”のセル(k,r)に存在している目標であるため、目標検出部19−nは、“1”の検出値Dtmp(k,r)に対応する距離ビン番号rを、目標の距離ビン番号としてテストセルに設定する。
検出値Dtmp(k,r)が“0”であれば、目標検出部19−nは、“0”の検出値Dtmp(k,r)に対応する距離ビン番号rを、目標の距離ビン番号としてテストセルに設定しない。
目標検出部19−nは、電力x(r)がCFAR閾値Thcfar(n,r)以上であれば、目標を検出した旨を示す目標の検出処理結果として、検出値D(n,r)=1を判定処理部16−1〜16−Mのそれぞれに出力する。
目標検出部19−nは、電力x(r)CFAR閾値Thcfar(n,r)未満であれば、目標を検出していない旨を示す目標の検出処理結果として、検出値D(n,r)=0を判定処理部16−1〜16−Mのそれぞれに出力する。
図19において、検出値D(n,r)=1のセル(n,r)については、目標を検出した旨を示す“〇”の記号を付している。また、検出値D(n,r)=0のセル(n,r)については、目標を検出していない旨を示す“×”の記号を付している。
また、目標検出部19−nが目標の検出処理を実施していないセル(n,r)については、記号が無印になっている。
このとき、目標検出部14−1〜14−Nは、目標が存在している可能性の低いセルについても、目標の検出処理を実施している。
即ち、目標検出部19−1〜19−Nは、目標仮検出部17−1〜17−Kのうち、1つ以上の目標仮検出部によって仮検出された目標が存在しているセルについてのみ目標の検出処理を実施している。したがって、目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれの計算処理負荷は、実施の形態1における目標検出部14−1〜14−Nのそれぞれの計算処理負荷よりも低減されている。
例えば、CFAR信号処理におけるセルの総数が数百程度であれば、仮検出される目標の数は、数個程度であるため、計算処理負荷は、数十分の1〜数百分の1になる。
例えば、目標仮検出部17−kの総数Kが1であれば、実施の形態1における目標検出部14−nが1つ追加された場合と同等の計算処理負荷だけ、実施の形態2の目標検出装置の計算処理負荷が増加する。
しかし、目標検出部19−1〜19−Nのそれぞれの計算処理負荷は、実施の形態1における目標検出部14−1〜14−Nのそれぞれの計算処理負荷の数十分の1〜数百分の1である。
また、検出対象の目標の種類の数は、数個〜数十個程度である。
したがって、目標仮検出部17−kの総数Kが、目標検出部19−nの総数Nよりも少なければ、実施の形態2の目標検出装置は、目標仮検出部17−1〜17−Kを実装していても、実施の形態1の目標検出装置よりも、計算処理負荷が低減される。
目標仮検出部17−kは、目標の仮検出を行う際、目標の検出漏れを防止するため、CFAR信号処理における誤警報確率を、目標検出部19−nにおけるCFAR信号処理における誤警報確率よりも下げるようにしてもよい。
Claims (15)
- 目標に反射された電磁波の受信信号の振幅又は電力を検波する検波部と、
前記検波部による振幅又は電力の検波結果に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標の検出処理をそれぞれ実施する複数の目標検出部と、
前記複数の目標検出部による目標の検出処理結果から目標の有無を判定する判定処理部と
を備え、
前記目標検出部毎に、検出可能な目標の空間的な広がりに対応する重み値が設定されており、
前記判定処理部は、前記目標検出部毎に、当該目標検出部に設定されている重み値と当該目標検出部による目標の検出処理結果を示す検出値との乗算値を算出し、前記複数の目標検出部についての重み値と検出値との乗算値の総和と目標判定用閾値とを比較することで、目標の有無を判定することを特徴とする目標検出装置。 - 前記複数の目標検出部は、目標の検出処理として、一定誤警報率処理をそれぞれ実施することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
- 前記複数の目標検出部は、前記一定誤警報率処理として、ガードセルの範囲が互いに異なっている一定誤警報率処理をそれぞれ実施することを特徴とする請求項2記載の目標検出装置。
- 前記複数の目標検出部は、前記一定誤警報率処理として、レンジセル上のガードセルの範囲が互いに異なっている一定誤警報率処理をそれぞれ実施することを特徴とする請求項3記載の目標検出装置。
- 前記複数の目標検出部は、前記一定誤警報率処理として、ドップラ周波数セル上のガードセルの範囲が互いに異なっている一定誤警報率処理をそれぞれ実施することを特徴とする請求項3記載の目標検出装置。
- 前記複数の目標検出部は、前記一定誤警報率処理として、角度セル上のガードセルの範囲が互いに異なっている一定誤警報率処理をそれぞれ実施することを特徴とする請求項3記載の目標検出装置。
- 前記判定処理部が複数設けられており、
前記目標検出部毎の重み値及び前記目標判定用閾値のそれぞれが前記判定処理部別に設定されており、
複数の判定処理部は、前記目標検出部毎に、当該目標検出部に設定されている重み値と当該目標検出部による目標の検出処理結果を示す検出値との乗算値を算出し、前記複数の目標検出部についての重み値と検出値との乗算値の総和と、当該判定処理部に設定されている目標判定用閾値とを比較することで、目標の有無をそれぞれ判定することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。 - 前記複数の判定処理部のそれぞれは、目標が有る旨の判定を行うと、当該目標の空間的な広がりを示す情報を表示器に表示することを特徴とする請求項7記載の目標検出装置。
- 前記複数の判定処理部による有無の判定が可能な目標の空間的な広がりが互いに異なるように、前記判定処理部別の前記目標検出部毎の重み値及び前記判定処理部別の目標判定用閾値がそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項7記載の目標検出装置。
- 前記受信信号を積分し、積分後の受信信号を前記検波部に出力する積分部を備えたことを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
- 前記受信信号に含まれているクラッタを抑圧し、クラッタ抑圧後の受信信号を前記検波部に出力するクラッタ抑圧部を備えたことを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
- 前記検波部による振幅又は電力の検波結果に基づいて、目標の仮検出処理を実施することで、前記目標を仮検出する目標仮検出部と、
前記複数の目標検出部は、前記目標仮検出部により仮検出された目標の中から、前記検波部による振幅又は電力の検波結果に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標をそれぞれ検出することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。 - 前記目標仮検出部が複数設けられており、
前記複数の目標仮検出部によるそれぞれの目標の仮検出処理結果の論理和を算出する論理和算出部を備え、
前記複数の目標検出部は、前記論理和算出部により算出された仮検出処理結果の論理和に基づいて、前記複数の目標仮検出部のうち、1つ以上の目標仮検出部によって仮検出された目標をそれぞれ特定し、それぞれ特定した目標の中から、前記検波部による振幅又は電力の検波結果に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標をそれぞれ検出することを特徴とする請求項12記載の目標検出装置。 - 前記複数の目標仮検出部は、目標の仮検出処理として、一定誤警報率処理をそれぞれ実施し、
前記複数の目標仮検出部によりそれぞれ実施される一定誤警報率処理で用いられる閾値が、目標仮検出部毎に異なることを特徴とする請求項13記載の目標検出装置。 - 検波部が、目標に反射された電磁波の受信信号の振幅又は電力を検波し、
複数の目標検出部が、前記検波部による振幅又は電力の検波結果に基づいて、空間的な広がりが互いに異なる目標の検出処理をそれぞれ実施し、
判定処理部が、前記複数の目標検出部による目標の検出処理結果から目標の有無を判定し、
前記目標検出部毎に、検出可能な目標の空間的な広がりに対応する重み値が設定されており、
前記判定処理部が、前記目標検出部毎に、当該目標検出部に設定されている重み値と当該目標検出部による目標の検出処理結果を示す検出値との乗算値を算出し、前記複数の目標検出部についての重み値と検出値との乗算値の総和と目標判定用閾値とを比較することで、目標の有無を判定する
目標検出方法。
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