JP6587186B2 - 残存コーティング層の検出方法 - Google Patents
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Description
コーティング層を除去する方法として、例えば特許文献1には、塩酸等を含む強酸性洗浄液にガスタービン用部材を浸漬させる方法(酸洗処理)が開示されている。
ガスタービン用部材を空気中で熱処理すると加熱着色により、コーティング層が残存していない部分(すなわち母材が露出している部分)は青色に着色し、コーティング層が残存している部分は黄色に着色する。よって、目視観察によりコーティング層の残存の有無を簡便に確認することができる。
すなわち、本発明に係る残存コーティング層の検出方法は、母材の表面にコーティング層が形成された、運転後のガスタービン用部材に酸洗処理を施して、前記コーティング層の少なくとも一部を母材から除去する酸洗工程と、酸洗処理後のガスタービン用部材に酸化剤を含む酸性水溶液を接触させ、酸洗処理後のガスタービン用部材の表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程と、前記酸化皮膜形成工程の後に、前記ガスタービン用部材の表面の前記酸化皮膜の色調差に基づいて、母材の表面に残存するコーティング層を検出する検出工程と、を含む。
特に、前記母材は、母材の総質量に対してクロムを8.2〜22.5質量%含み、前記アンダーコート層は、アンダーコート層の総質量に対してクロムを10〜30質量%含むことが好ましい。
図1は、本発明に係る残存コーティング層の検出方法の工程を説明するフロー図である。図2は、ガスタービン用部材の一例を示す断面図である。
母材11としては、例えばNi基合金(ニッケル基合金)等の耐熱合金からなるものが挙げられる。
母材11は、母材11の総質量に対してクロムを8.2〜22.5質量%含むことが好ましく、13.2〜19.0質量%含むことがより好ましい。
アンダーコート層21は、母材11からトップコート層22が剥離することを抑制する役割を果たす。
アンダーコート層21は、耐食性および耐酸化性に優れた金属結合層である。アンダーコート層21は、例えば、溶射材としてMCrAlY合金の金属溶射粉を母材11の表面に対して溶射して形成される。ここで、アンダーコート層21を構成するMCrAlY合金の「M」は、金属元素を示している。この金属元素「M」は、例えば、NiCo、Ni、Co等の単独の金属元素、または、これらのうち2種以上の組み合わせからなる。「Cr」はクロムであり、「Al」はアルミニウムであり、「Y」はイットリウムである。
アンダーコート層21は、アンダーコート層21の総質量に対してクロムを10〜30質量%含むことが好ましく、20〜22質量%含むことがより好ましい。
トップコート層22を形成する際に用いられる溶射材としては、ジルコニア系セラミックを用いることができる。ジルコニア系セラミックとしては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、および、酸化イッテルビウム(Yb2O3)で部分安定化させたジルコニア(ZrO2)であるイッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)などが挙げられる。
酸洗処理は、例えば酸洗液に塩酸を添加し、この酸洗液にガスタービン用部材(トップコート層除去工程S1を実施する場合は、トップコート層が除去されたガスタービン用部材)を浸漬することで施される。
酸洗工程S2では、塩酸が添加された酸洗液にガスタービン用部材を接触させることで、アンダーコート層に含まれる金属間化合物を溶解させて、アンダーコート層の表層部を除去する。つまり、酸洗工程S2では、アンダーコート層と母材の表面との界面に形成される拡散層の近傍まで表層部を溶解する。
酸化剤としては、例えば過マンガン酸カリウム(KMnO4)、二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)、酸化クロム(CrO3)、ペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)、硝酸セリウムアンモニウム、過酸化水素などが挙げられる。
酸化剤の濃度については特に制限されないが、酸性水溶液の総質量に対して0.01〜30質量%が好ましい。
酸としては、例えば硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素、塩酸、シュウ酸などが挙げられる。
酸の濃度については特に制限されないが、酸性水溶液の総質量に対して0.1〜25質量%が好ましい。
例えば、母材やアンダーコート層にクロムが含まれている場合、クロムは下記式(1)に示すように酸化剤により酸化されて酸化皮膜(酸化クロム)が形成される。一方、酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる場合、酸化剤は下記式(1)に示すように還元される。
2Cr+3H2O→Cr2O3+6H++6e− ・・・(1)
MnO4 −+3e−+4H+→MnO2+2H2O ・・・(2)
上述したように、母材とアンダーコート層の組成は異なるため(例えば、クロムの含有量が異なるため)、酸洗工程後に母材上にコーティング層(特にアンダーコート層)が残存している場合、コーティング層が残存している部分と残存していない部分(母材が露出している部分)とで、厚さの異なる酸化皮膜が形成される。通常、アンダーコート層は母材よりもクロムを多く含んでいるため、コーティング層が残存している部分は、コーティング層が残存していない部分よりも酸化皮膜が厚く形成される。
特に、母材やアンダーコート層中のクロム含有量が上記範囲内であれば、コーティング層が残存している部分と残存していない部分とで、これらの表面に形成される酸化皮膜の厚さの差がより大きくなる。
例えば、加熱温度は50〜90℃が好ましい。加熱温度が50℃以上であれば短時間で酸化皮膜を形成できる。加熱温度が高くなるほど反応速度が上昇するが、温度が高すぎると装置の劣化も早いため、加熱温度は実用上、90℃以下が好ましい。
酸化皮膜は、その厚さによって色調が異なる。通常、酸化皮膜が厚くなるほど、色調は濃くなる傾向にある。上述したように、酸洗工程後に母材上にコーティング層が残存している場合、コーティング層が残存している部分と残存していない部分とで厚さの異なる酸化皮膜が形成されることから、酸化皮膜の色調差に基づいて母材の表面に残存するコーティング層の有無を目視にて容易に検出できる。
残存するコーティング層の除去方法としては、ブラスト処理が挙げられる。また、酸洗工程S2を再度行ってもよい。
ブラスト処理は、例えば、投射材としての流体をガスタービン用部材の表面に衝突させることによって行われる。具体的には、投射材として砂を用い、該砂を圧縮空気によりガスタービン用部材の表面に向かって噴射する(サンドブラスト)。これによって、ガスタービン用部材の表面に残存したコーティング層を剥離させることができる。
なお、ブラスト処理における投射材の種類としては、金属系の粉粒体やセラミック系の粉粒体等、適宜用いることができる。また、投射材として例えば研磨剤等を噴射するいわゆるウェットブラストを採用してもよい。
よって、本実施形態の残存コーティング層の検出方法によれば、簡便かつ短時間で母材に残存するコーティング層を検出できる。
例えば、酸化皮膜形成工程S3と検出工程S4との間に、中和洗浄処理、水洗処理、乾燥処理などを行ってもよい。
水洗処理は、酸化皮膜形成工程S3または中和洗浄処理後のガスタービン用部材を水で洗浄する工程である。これにより、酸性成分やアルカリ成分がガスタービン用部材に残留することを回避できるという効果が得られる。
乾燥処理は、酸化皮膜形成工程S3または中和洗浄処理または水洗処理後のガスタービン用部材を乾燥する工程である。
Ni基合金からなる母材の表面の半分に、MCrAlY合金の金属溶射粉を溶射してアンダーコート層を形成し、これを酸洗処理後のガスタービン用部材(試験片)とした。
試験片の表面(アンダーコート層が形成されている側の面)の写真を図3(試験前)に示す。また、母材とアンダーコート層の組成を以下に示す。
クロム:13.2質量%、炭素:0.08質量%、コバルト:10質量%、モリブデン:1.7質量%、タングステン:4.6質量%、タンタル:4.8質量%、チタン:2.4質量%、アルミニウム:4.0質量%、ホウ素:0.02質量%、ジルコニウム:0.025質量%、ニッケル:残部(合計で100質量%となる量)。
コバルト:38.5質量%、ニッケル:32質量%、クロム:21質量%、アルミニウム:8質量%、イットリウム:0.5質量%。
得られた酸性水溶液に試験片を浸漬させながら90℃で加熱した(酸化皮膜形成工程)。
加熱開始から10分、30分、60分経過毎に試験片を酸性水溶液から取り出し、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液による中和洗浄処理と水洗処理とを順次行った後、50℃で60分乾燥した。
乾燥後の試験片の表面(アンダーコート層が形成されている側の面)を目視にて観察した。結果を図3(10分後、30分後、60分後)に示す。
KMnO4の濃度が1質量%である酸性水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化皮膜形成工程を行い、時間毎に試験片の表面を目視にて確認した。結果を図4に示す。
母材の表面の全体にアンダーコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
水1Lに、硫酸(H2SO4)250gと、酸化クロム(VI)130gとを添加し、充分に攪拌して酸性水溶液を調製した。
得られた試験片および酸性水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化皮膜形成工程を行い、時間毎に試験片の表面を目視にて確認した。結果を図5に示す。
11 母材
20 コーティング層
21 アンダーコート層
22 トップコート層
Claims (4)
- 母材の表面にコーティング層が形成された、運転後のガスタービン用部材に酸洗処理を施して、前記コーティング層の少なくとも一部を母材から除去する酸洗工程と、
酸洗処理後のガスタービン用部材に酸化剤を含む酸性水溶液を接触させ、酸洗処理後のガスタービン用部材の表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程と、
前記酸化皮膜形成工程の後に、前記ガスタービン用部材の表面の前記酸化皮膜の色調差に基づいて、母材の表面に残存するコーティング層を検出する検出工程と、
を含む、残存コーティング層の検出方法。 - 前記コーティング層はアンダーコート層とトップコート層とを備え、
前記アンダーコート層中のクロムの含有量が、前記母材中のクロムの含有量よりも多い、請求項1に記載の残存コーティング層の検出方法。 - 前記母材は、母材の総質量に対してクロムを8.2〜22.5質量%含み、
前記アンダーコート層は、アンダーコート層の総質量に対してクロムを10〜30質量%含む、請求項2に記載の残存コーティング層の検出方法。 - 前記酸性水溶液は、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウムおよび酸化クロムからなる群より選ばれる1種以上と、硫酸とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の残存コーティング層の検出方法。
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