JP6586393B2 - 鍛造プレス機 - Google Patents
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Description
これらの金型は、製造する製品の形状が異なる場合に適宜交換されるが、これら金型は場合によっては数トンにも及ぶ重量物であるため、金型交換作業は容易なものではなく、その作業性の向上が望まれていた。
そして取り出されたワークはトランスファ装置の把持爪により把持されて次の鍛造加工部に搬送される。
同図において102は固定側フレーム、104はラム(可動側フレーム)で、ラム104の先端にはパンチ106を有する可動金型108が取り付けられている。
パンチ106の内部には中心部を軸方向に貫通するホールドピン110が設けられ、ホールドピン110の後端側には押出部材112が配置されている。
押出部材112の後端部には、ラム104の内部に形成された中空部116に沿って摺動するピストン114が一体に設けられている。
この例では、中空部116に高圧エアーが供給されると、押出部材112後端部のピストン114に図中左向きの力が付与され、押出部材112は図中左方向に移動し、ホールドピン110の先端部をパンチ106の先端面から突き出させて、ホールドピン110の先端部にてワークWを押圧する。
また金型交換時に作業者が人手によりホールドピン110ごと押出部材112を図中右方向に移動させ、押出部材112の先端部が金型取付面118から突出しない状態になるまで押出部材112を押し戻すことも考えられるが、この作業は狭い場所での作業となり、また作業姿勢も不自然なものとなってしまい作業性や安全性に問題がある。特に加工段数が多い場合に加工段ごとに押出部材112を押し戻す作業を行うのは非常に作業性が悪い。
本発明によれば、作業者が外部からワーク保持部材ごと押出部材の先端部をラム側に押し戻す作業を行なわなくとも、作動室の内部を減圧することで金型の内部から押出部材の先端部を引き戻す方向に押出部材を移動させることができる。
そして金型の内部から押出部材の先端部を引き戻す方向に押出部材を移動させることで、金型交換作業の際、金型と押出部材との干渉を解消させるか、若しくは干渉する部分を少なくすることができ、金型を金型取付面から離間させる際の移動量を少なくし得て金型交換作業の作業性をより向上させることができる。
これに対し本願発明では、押出部材の先端部を金型の内部に進入させる際に高圧エアーを中空部に供給するエアー通路を通じて作動室内部の減圧を行うため、新たな通路をラム内部に形成する必要がなく、ラムの強度を維持したまま押出部材の先端部を引き戻す機能を追加することができる。
この請求項2の構成によれば、金型交換の際に状態切替手段により真空ポンプとエアー通路とを連通させる第2の状態を選択することで、容易にエアー通路を通じて作動室の内部を減圧状態にすることができる。
ここで作動室を構成する中空部が複数ある場合、真空ポンプとエアー通路の間にヘッダを介在させ、ヘッダからの分岐管を各中空部から延びるエアー通路に接続させておけば、一度の切替操作によって各中空部の内部を同時に減圧させ、複数の押出部材を一度に引き戻すことができる。
図1は本実施形態の多段式鍛造プレス機を示した図である。
図1において、10は多段式鍛造プレス機(以下、鍛造プレス機とする場合がある)で、箱型形状をなすフレーム12の内部にワークを鍛造加工するための複数(ここでは3段)の鍛造加工部が水平方向に一定間隔で並設されている。
鍛造加工部はフレーム12側に固定されたダイ14(図2)と、ダイ14に対向して配置されたパンチ16とで構成されている。
各パンチ16は何れもラム18の先端側に装着されており、ラム18の前進移動により各鍛造加工部で材料(ワーク)が同時に成形される。
詳しくは、フライホイール軸25のフライホイール24とは反対側の端部に設けられたピニオンギア27と、クランク軸26の端部に設けられた大ギア28とが噛み合い状態で連結されている。
このため本例では主モータ20の動力によりフライホイール24が回転せしめられるとともに、その動力によりラム18が進退移動する。即ちラム18の先端側に装着されたパンチ16がダイ14に対して進退し鍛造加工が行なわれる。
そして鍛造加工が完了した製品は図示を省略した搬出装置により機外に搬出される。
本例ではワークを鍛造加工する鍛造加工部として、パンチ16−1を備えた第1加工部と、パンチ16−2を備えた第2加工部と、パンチ16−3を備えた第3加工部とが設けられている。
尚、図2等で示すように可動金型32と対向するフレーム12側には固定金型38が取り付けられている。固定金型38はパンチ16−1,16−2,16−3のそれぞれと嵌合する3つダイ14、詳しくは14−1,14−2,14−3を有している。
ワーク保持部材42はその大部分が断面円形の軸部42aからなり、その後端にこれよりも大径のストッパ部42bが形成されている。
一方、水平方向に延びるガイド孔47は、パンチ16−1内部の孔径に対してパンチ先端面に近い部分の孔径が小径に形成されており、ワーク保持部材42は軸部42aをガイド孔47の小径部分に挿通させ、その先端をパンチ16−1先端面の開口から突出可能となしている。また一定量突出したワーク保持部材42はストッパ部42bがガイド孔47の途中に設けられたテーパ面と係合することで抜止めされる。
押出部材44は、軸部46とその後端に一体に取り付けられたピストン45とからなり、ピストン45はラム18内に形成された断面円形の中空部49の内部に摺動可能に収容されている。ピストン45の外周面には環状の溝が形成されており、その溝にシールリングが装着されている。
ピストン45からストレートに延びる軸部46は、中空部49とガイド孔47とを連通させる連通孔51を通じて金型内部に進入可能に設けられている。
同図で示すようにエジェクタピン50−1が後退端に位置している場合、エジェクタピン50−1の先端面はダイ14−1の底面と同一高さとなっているが、エジェクタピン50−1の後端部に対向して配置された押出ロッド52−1を、図中左方向に移動させるとエジェクタピン50−1が押し出され、エジェクタピン50−1の先端がダイ14−1の底面から突出した状態となる。
本例では鍛造加工前のワークWをダイ14−1の内部に収容する際や、鍛造加工後のワークWをダイ14−1から取り出す際に、上記ワーク保持部材42とエジェクタピン50−1とで挟み込んでワークWを支持する。
ワーク保持部材43はその大部分が断面円形の軸部43aからなり、その後端にこれよりも大径のストッパ部43bが形成されている。但し、ストッパ部43bの軸方向の長さは第1加工部のワーク保持部材42のそれよりも若干長くなっている。
またワーク保持部材43の後端側には押出部材44が配置され、その棒状の軸部46の後端に一体に取り付けられたピストン45が、ラム18内に形成された中空部49の内部に摺動可能に収容されている。この点は上記第1加工部の場合と同じである。
同図で示すようにエジェクタピン50−2が後退端に位置している場合、エジェクタピン50−2の先端面はダイ14−2の底面と同一高さとなっているが、エジェクタピン50−2の後端部に対向して配置された押出ロッド52−2を、図中左方向に移動させるとエジェクタピン50−2が押し出され、エジェクタピン50−2の先端がダイ14−2の底面から突出した状態となる。
同図で示すようにラム18の内部には中空部49に連通するエアー通路70が形成されており、このエアー通路70を通じて高圧エアーを作動室54内部に供給することで押出部材44を図中右方向に移動させ、ワーク保持部材43に図中右方向の押圧力を付与することができる。
また、71はエアー通路70の開口端に装着された継手具で、後述する分岐管77と接続されている。
この図3では第2加工部の断面が示されているが、第1加工部及び第3加工部においても同様に、中空部49に連通するエアー通路70が形成されており、このエアー通路70を通じて高圧エアーが作動室54内部に供給される。
同図において、72はタンク等の高圧エアー源、82は減圧手段としての真空ポンプ、76は状態切替手段としての切替バルブで、高圧エアー源72からの配管73及び真空ポンプ82からの配管83は切替バルブ76を介して元管75と接続されている。
74は元管75に接続されたヘッダである。ヘッダ74からは分岐管77が延び出しており、各分岐管77の先にはラム18内部に形成された各エアー通路70が接続されている。
切替バルブ76では、付属のソレノイドを駆動させることで、高圧エアー源72とエアー通路70とを連通させる第1の状態と、真空ポンプ82とエアー通路70とを連通させる第2の状態とを切り替えることが可能である。
通常の鍛造加工時、切替バルブ76は第1の状態に設定されており、高圧エアー源72からの高圧エアーは、切替バルブ76,元管75を経て一旦ヘッダ74に導かれる。
そしてヘッダ74に続く分岐管77及びその途中に設けられたフレキシブルホース78を経て、ラム18内部の各エアー通路70を介して中空部49へと導入される。
尚、80は高圧エアーの圧力を一定に保持するためのレギュレータである。
第2の状態を選択した場合には、真空ポンプ82を作動させると、真空ポンプ82と連通状態にあるヘッダ74の内部が減圧され、更には分岐管77及びエアー通路70を介して作動室54の内部も減圧される。この時押出部材44には図中左向きの引き戻し方向の力が働く。
図5は鍛造加工前の状態を示している。作動室54に高圧エアーが供給された状態で、第1加工部及び第2加工部においては、押出部材44の先端部が可動金型32の内部のガイド孔47,48に進入し、押出部材44の先端部にてワーク保持部材42,43を押し出し、ワーク保持部材42,43を各パンチ先端面から突出させる。更にダイ側において押出ロッド52−1,52−2を駆動させてエジェクタピン50−1,50−2をダイの底面から突出させると、各ワークWはワーク保持部材42,43とエジェクタピン50−1,50−2とにより挟持される。
この時各ワーク保持部材42,43は、型締力を受けて可動金型32の内部に退入し、またエジェクタピン50−1,50−2も型締力を受けて固定金型38の内部に退入する。そして第1加工部及び第2加工部においてはパンチとダイとで形成されたキャビティ形状に従ってワークWが所定形状に成形される。
その後取り出された各ワークWはトランスファ装置30の把持爪(図示省略)にて把持されて次の工程に搬送される。
以上、第1加工部及び第2加工部を中心に鍛造プレス機の成形過程を説明したが、図示を省略した第3加工部においても同様に、ワークWはワーク保持部材とエジェクタピンとにより挟持された状態でダイ内部に収納され、また鍛造加工完了後にダイ内部から取り出される。
図3で示すように、可動金型32の裏面(金型取付部材34の金型取付面60と対向する面)における上部と下部には、断面T字状の溝部92及び93がそれぞれ水平方向(図3の紙面と直交する方向)に直線状に延びる形態で形成されている。
一方、金型取付部材34の金型取付面60からは金型支持体62が突出する状態で設けられており、本例ではこの金型支持体62の先端部を、可動金型32の溝部92及び93に嵌入させた状態で、金型支持体62の先端部と金型取付面60とで可動金型32を挟みつけて可動金型32を金型取付面60に取付固定している。
尚、本例では可動金型32の位置決めのため、可動金型32に凹部96が、金型取付面60に凸部97がそれぞれ形成されており、凹部96と凸部97とが凹凸嵌合することで金型取付面60に対する可動金型32の位置決めが行われている。
一方、金型取付部材40の金型取付面64からは金型支持体63が突出する状態で設けられており、この金型支持体63の先端部を、固定金型38の溝部98及び99に嵌入させた状態で、金型支持体63の先端部と金型取付面64とで固定金型38を挟みつけて固定金型38を金型取付面64に取付固定している。
尚、可動金型32の場合と同様に固定金型38には凸部100が、金型取付面64には凹部101がそれぞれ形成されており、これらが凹凸嵌合することで金型取付面64に対する固定金型38の位置決めが行われている。
84は金型取付部材34の金型取付面60と直交する水平方向に突出するように配置された軸部で、先端側に向かって大径部84−1、中径部84−2、小径部84−3と順次外径が小さくなる段付き形状をなしており、大径部84−1の外周面に嵌合しているスリーブ85によって軸部84は水平方向に進退可能にガイドされている。
ここでベアリング部88の外径(詳しくは外輪の外径)は、フランジ部86の外径よりも大きく設定されている。
本例では可動金型32を支持する金型支持体62が、これら軸部84とフランジ部86とベアリング部88とで構成されている。
尚、小径部84−3のベアリング部88よりも更に先端側には、ベアリング部88の抜けを防止するための止め輪90が装着されている。
一方、ベアリング部88よりも外径が小さいフランジ部86と溝部92の上壁面94との間には上下方向に隙間が形成されている。
尚、ラム18内部には図示を省略した油圧シリンダが設けられており、金型支持体62はこの油圧シリンダにより進退移動する。
本例では先ず切替バルブ76にて付属のソレノイドを駆動されて図4の部分拡大図で示すように真空ポンプ82とエアー通路70とを連通させる状態にする。この状態で真空ポンプ82を作動させるとエアー通路70を通じて作動室54の内部が減圧される。
すると図8で示すように、それまで軸部46の先端部を金型内部、詳しくはガイド孔48に進入させていた押出部材44は、その先端部を引き戻す方向(図中左方向)に移動する。そして押出部材44が後退端まで移動した状態で押出部材44の先端部は、金型取付面60、詳しくは位置決め用の凸部97の先端面から突出しない状態となり、可動金型32と押出部材44との干渉が解消される。
この図8では第2加工部の断面が示されているが、第1加工部及び第3加工部の押出部材においても同様にエアー通路70を通じて作動室54の内部が減圧され、押出部材44は図中左方向に移動し、押出部材44の先端部は、金型取付面60から突出しない状態となる。
これに続いて、可動金型32は金型支持体62の先端部とともに金型取付面60から離間する方向に移動し、金型側の凹部96と取付面側の凸部97との係合が解除される。
この際、可動金型32はベアリング部88とともに離間方向に移動するため、可動金型32と可動金型32の重量を支持しているベアリング部88との間に過大な摩擦力が生じることはなく、所定の位置まで可動金型32を離間方向に移動させることができる。
そして可動金型32の離間方向の移動が完了した後、可動金型32は金型支持体62(詳しくはベアリング部88)で支持された状態で、機外への搬出方向(図8における紙面と直交する方向)に移動可能となる。
尚、フレーム12の金型搬出方向の側面には貫通の開口部36(図1)が形成されており、取り外された可動金型32はこの開口32を通じて機外に搬出される。
そして可動金型32の内部から押出部材44の先端部を引き戻すことで、金型交換作業の際、可動金型32と押出部材44との干渉を解消させることができるので、可動金型32を金型取付面60から離間させる際の移動量L(図8参照)を少なくし得て金型交換作業の作業性をより向上させることができる。
また本実施形態では、真空ポンプ82とエアー通路70の間にヘッダ74を介在させ、ヘッダ74からの分岐管77を各中空部49から延びるエアー通路70に接続させておくことで、一度の切替操作によって3つの作動室54を同時に減圧させ、3つの押出部材44を一度に引き戻すことができる。
14,14−1,14−2,14−3 ダイ
16,16−1,16−2,16−3 パンチ
18 ラム
32 可動金型
42,43 ワーク保持部材
44 押出部材
45 ピストン
47,48 ガイド孔
49 中空部
54 作動室
70 エアー通路
72 高圧エアー源
76 切替バルブ
82 真空ポンプ
Claims (2)
- (a)鍛造加工部としてのパンチを有し、ラム側の金型取付面に脱着可能に取り付けられた金型と、(b)該金型の内部を摺動し、該パンチの先端面から突出可能に設けられたワーク保持部材と、(c)該ワーク保持部材の後端側に配置され、前記ラムの内部に形成された中空部に沿って摺動する押出部材と、を有し、該押出部材により前記ワーク保持部材を押し出して該ワーク保持部材の先端部でワークを押圧するようになした鍛造プレス機であって、
前記ラムの内部には前記中空部に連通するエアー通路が形成されていて、該エアー通路を通じて高圧エアーが、前記中空部と前記押出部材の後端部とで区画された作動室の内部に供給されることで、前記押出部材の先端部を前記金型の内部に進入させて、該押出部材の先端部にて前記ワーク保持部材を先端方向に押し出す一方、
前記エアー通路を通じて前記作動室の内部が減圧されることで、前記金型の内部から該押出部材の先端部を引き戻す方向に該押出部材を移動させるようになしたことを特徴とする鍛造プレス機。 - 請求項1において、減圧手段としての真空ポンプを有し、更に高圧エアー源と前記エアー通路とを連通させる第1の状態と、該真空ポンプと該エアー通路とを連通させる第2の状態と、を切り替える状態切替手段を有していることを特徴とする鍛造プレス機。
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JP2016105674A JP6586393B2 (ja) | 2016-05-26 | 2016-05-26 | 鍛造プレス機 |
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